説明

地盤密度測定装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、地盤の密度を測定する地盤密度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】盛土工事においては、その完成時に要求される地盤の強度や荷重による変形・残留沈下等に関する機能持性を満足させるため、締め固めた地盤の密度を測定し、その締固め度を管理しながら工事を行うようになっている。
【0003】その際、締め固めた地盤の密度を測定する方法としては、従来より「砂置換法」と呼ばれる最も単純な原理の方法が多く用いられている。この方法では、地盤に小径の穴を掘り、その掘り起こした土の体積および重量を正確に測定することによって地盤の密度を求めるようになっている。また近年においては、RI水分密度測定器を用いた地盤密度測定方法も用いられている。この方法では、放射線(ガンマ線)の土中での透過特性を利用して地盤の密度を測定するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の測定方法においては、次のような問題がある。
【0005】すなわち、上記砂置換法においては、測定作業から密度が得られるまでに早くても24時間程度の時間が必要であり、一方、RI水分密度測定器を用いた方法を採用した場合においても、15分から数10分程度の時間は必要である。したがって、盛土の締固め度を広範囲にわたって測定しようとした場合には膨大な時間が必要となってしまう、という問題がある。
【0006】このような問題は、盛土の締固め度の測定に限らず、地盤の密度を測定する場合一般において同様に生じ得る問題である。
【0007】本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、短時間で正確に地盤の密度を測定することができる地盤密度測定装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明は、重錘付コーンを地盤に落下貫入させてそのときの加速度を測定することにより地盤の密度の測定を行う装置を採用した上で、その具体的構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0009】すなわち、本願発明に係る地盤密度測定装置は、請求項1に記載したように、重錘付コーンを所定の高さから自由落下させて地盤に貫入させ、この地盤貫入時における上記重錘付コーンの加速度を測定することにより、上記地盤の密度を測定する装置であって、上記重錘付コーンと係脱可能に連結されたクランプ装置と、このクランプ装置を昇降させる第1昇降駆動装置と、上記クランプ装置の近傍において鉛直方向に延びる高さ設定部材と、この高さ設定部材を昇降させる第2昇降駆動装置と、上記第1および第2昇降駆動装置を支持する支持部材とを備えてなり、上記高さ設定部材を下降させて該高さ設定部材の下端部を上記地盤表面に当接させることにより落下基準位置を設定した後、該落下基準位置まで上記クランプ装置を下降させ、その後、該クランプ装置の上記重錘付コーンに対する係合を解除することにより該重錘付コーンを自由落下させるように構成されている、ことを特徴とするものである。
【0010】上記「重錘付コーン」とは、上端部に重錘(おもり)が一体的に設けられた下向きのコーンを意味するものである。この「コーン」の形状は、当該重錘付コーンを上記所定の高さから自由落下させたときに地盤に貫入可能な尖端形状を有するものであれば、必ずしも円錐形状である必要はなく、例えば角錐形状等であってもよい。
【0011】上記クランプ装置の上記重錘付コーンに対する係合の「解除」動作は、オペレータが上記クランプ装置を直接操作することにより行われるものであってもよいし、オペレータが遠隔スイッチを操作することによって行われるものであってもよいし、上記クランプ装置の上記落下基準位置への下降動作の完了と連動して自動的に行われるものであってもよい。
【0012】
【発明の作用効果】上記構成に示すように、本願発明に係る地盤密度測定装置は、上記重錘付コーンを地盤に落下貫入させてそのときの加速度を測定するようになっているので、該加速度を解析することにより上記地盤の密度を短時間で正確に測定することが可能であるが、これを実現するためには上記重錘付コーンの落下高さを正確に設定する必要がある。
【0013】この点、本願発明に係る地盤密度測定装置は、上記高さ設定部材を下降させてその下端部を上記地盤表面に当接させることにより落下基準位置を設定した後、該落下基準位置まで上記クランプ装置を下降させ、その後、該クランプ装置の上記重錘付コーンに対する係合を解除することにより該重錘付コーンを自由落下させるようになっているので、上記重錘付コーンの落下高さを正確に設定することができる。しかも、この落下高さ設定を極く短時間で行うことができる。
【0014】したがって、本願発明によれば、短時間で正確に地盤の密度を測定することができる。
【0015】ところで、上記重錘付コーンの自由落下による地盤貫入の後、該重錘付コーンおよび上記クランプ装置ならびに上記高さ設定部材を元の位置まで戻す作業が必要となる。この作業は、オペレータが手作業で行うようにしても比較的短時間で行うことが可能であり、この戻し作業時間を加味しても、地盤密度測定時間は、従来の測定方法を採用した場合に比して大幅に短縮されることとなるが、請求項2に記載したように、上記構成に加えて、上記重錘付コーンの自由落下による地盤貫入の後、上記クランプ装置を下降させて上記重錘付コーンに係合させた後、該クランプ装置を元の位置まで上昇させるとともに、上記高さ設定部材を元の位置まで上昇させる構成とすれば、より短時間で上記戻し作業を行うことができる。また、このような構成を採用することにより、上記重錘付コーンを持ち上げる力作業からオペレータを解放することができる。
【0016】本願発明においては、上記重錘付コーンの落下高さを正確に設定するため、上記高さ設定部材の下端部を上記地盤表面に当接させて落下基準位置を設定するとともに該落下基準位置まで上記クランプ装置を下降させるようになっているが、その具体的構成として、請求項3に記載したように、上記高さ設定部材に上記落下基準位置設定用の突起部を設けるとともに、上記クランプ装置に、該クランプ装置が上記落下基準位置まで下降したとき上記突起部と接触して上記第1昇降駆動装置の駆動を停止させる高さ設定スイッチを設けるようにすれば、簡易な構成により上記重錘付コーンの落下高さを正確に設定することができる。
【0017】また、上記構成において、請求項4に記載したように、上記クランプ装置および上記重錘付コーンの昇降をガイドするガイドレールを備えてなる構成とすれば、上記重錘付コーンの落下姿勢を安定させることができるので、その地盤貫入時における加速度の測定精度を一層高めることができ、また、加速度測定のための一連の動作を円滑に行うことができる。
【0018】この場合において、請求項5に記載したように、上記1対のガイドレールを上記高さ設定部材と一体的に形成するようにすれば、これらガイドレールおよび高さ設定部材の強度を相互に高めることができ、これにより測定精度をより一層高めることができる。
【0019】上記構成において、上記「支持部材」は、上記加速度測定の際に上記地盤に対して位置が固定されるように構成されたものであれば、その具体的構成は特に限定されるものではないが、請求項6に記載したように、上記地盤上を移動可能な移動手段に搭載された構成とすれば、地盤密度測定を複数の測定ポイントにおいて効率よく行うことができる。この場合において、上記「移動手段」は、上記地盤上を移動可能なものであれば、手動により移動する台車であってもよいし、走行駆動手段を備えた車両であってもよいし、この車両に牽引される被牽引車であってもよいし、遠隔操作により走行制御される車両であってもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施形態について説明する。
【0021】図1は、本願発明の一実施形態に係る地盤密度測定装置の全体構成を示す側面図であり、図2は、そのブロック図である。
【0022】図1に示すように、この地盤密度測定装置10は、盛土等の地盤2の密度(締固め度)を測定する車載型の装置であって、軽トラック100(移動手段)の荷台後部に搭載された測定ユニット12と、運転室に搭載されたコントロールボックス14およびノートパソコン16と、車体下部に搭載されたバッテリ電源18とを備えてなっている。そして、上記測定ユニット12の重錘付コーン20を所定の高さから自由落下させて上記地盤2に貫入させ、この地盤貫入時における上記重錘付コーン20の加速度を測定することにより、上記地盤2の密度を測定するようになっている。
【0023】ここで、上記地盤密度測定装置10の詳細構造について説明する前に、該地盤密度測定装置10による地盤密度測定の原理について説明する。
【0024】図6は、上記重錘付コーン20が上記地盤2に貫入するときの深度と該地盤2の破壊面4との関係をモデル化して示す図である。
【0025】同図において、上記重錘付コーン20の貫入が進行するにつれて上記破壊面4は拡がるが、このとき上記重錘付コーン20の貫入抵抗も該重錘付コーン20の貫入が進行するに従って大きくなる。そして、上記重錘付コーン20がさらに貫入すると、上記破壊面4は一定の大きさとなり、貫入抵抗は極限値となる。
【0026】図7は、上記重錘付コーン20の貫入深度と、その貫入抵抗との関係を示すグラフである。
【0027】同図において、貫入深度の増大に伴って貫入抵抗が増大する部分aは、上記地盤2の内部摩擦角に関係する性質を示しており、また、貫入抵抗が一定になる部分bは、上記地盤2の剪断抵抗に関係する性質を示している。そこで、上記部分aの勾配(貫入抵抗の深度勾配)および上記部分bの値(貫入抵抗の極限値)を指標値として用いることにより、上記地盤2の密度の測定(締固め度の評価)を精度よく行うことが可能となる。
【0028】なお、上記貫入抵抗は、地盤貫入時における上記重錘付コーン20の加速度を測定することにより容易に算出することができる。
【0029】すなわち、上記地盤貫入時における上記重錘付コーン20の運動方程式は、m(d2x/dt2)+R=0で表わされるが、上式において上記重錘付コーン20の質量mは既知であるので、加速度(d2x/dt2)を測定することにより貫入抵抗Rを算出することができる。
【0030】ところで、上記加速度測定の分解能は上記重錘付コーン20の質量に依存し、また、上記重錘付コーン20の貫入量は該重錘付コーン20の質量およびその落下高さに依存するので、必要とする深度での貫入抵抗を精度よく測定するためには、上記重錘付コーン20の質量およびその落下高さを、測定対象となる上記地盤2の土質に応じて適切な値に予め設定しておくことが肝要である。具体的には、例えば、上記重錘付コーン20の質量については、数kg〜数10kgの範囲内における適切な値、上記重錘付コーン20の落下高さについては数10mm〜数100mmの範囲内における適切な値に設定されることとなる。
【0031】次に、上記地盤密度測定装置10の詳細構造について説明する。
【0032】図2に示すように、上記バッテリ電源18はDC12V電源であって、上記コントロールボックス14への給電、およびDC12V/DC19Vのインバータ22を介して上記ノートパソコン16への給電を行うようになっている。また、上記コントロールボックス14は、上記加速度測定のための駆動制御信号を上記測定ユニット12へ出力するようになっている。さらに、上記測定ユニット12は、上記重錘付コーン20に取り付けられた加速度計24および上記駆動制御のための4つのリミットスイッチ26、28、30、32および着地センサ48(これらについては後述する)の検出信号を上記コントロールボックス14へ出力するようになっている。そして、上記ノートパソコン16は、オペレータのキー入力操作等により上記加速度測定の測定条件設定値や該加速度測定の際の操作信号を上記コントロールボックス14へ出力するとともに、該コントロールボックス14を介して入力される加速度データの解析、記録および画面表示等を行うようになっている。
【0033】図1に示すように、上記測定ユニット12は、上記重錘付コーン20と、この重錘付コーン20と係脱可能に連結されたクランプ装置34と、このクランプ装置34を昇降させる第1昇降駆動装置36と、上記クランプ装置34の前方近傍において鉛直方向に延びる高さ設定部材38と、この高さ設定部材38を昇降させる第2昇降駆動装置40と、上記第1および第2昇降駆動装置36、40を支持する支持部材42と、上記クランプ装置34および上記重錘付コーン20の昇降をガイドする1対のガイドレール44とを備えてなっている。
【0034】図3は、上記測定ユニット12を詳細に示す、図1の要部拡大図であり、図4は、そのIV方向矢視図である。
【0035】これらの図に示すように、上記重錘付コーン20は、下向き円錐状のコーン部20aと、このコーン部20aから上方へ延びる軸部20bと、この軸部20bの上端部に固定された重錘部20cと、この重錘部20cの両側部に設けられた1対のガイド支持部20dと、上記重錘部20cから上方へ延びる係合ピン20eとを備えてなっている。上記各ガイド支持部20dはリニアベアリングを内蔵しており、これにより上記重錘付コーン20を上記1対のガイドレール44に対して摺動抵抗なく昇降させ得るようになっている。上述した加速度計24(図2参照)は、上記重錘部20cに取り付けられている。
【0036】上記クランプ装置34は、ケーシング34aと、このケーシング34a内の下端部近傍において1対の水平軸回りに回動可能に支持された1対のクランプレバー34bと、このクランプレバー34bの上方に位置するようにして上記ケーシング34aの上壁内面に取り付けられたソレノイド34cと、その上壁外面に固定された吊り具34dと、その両側壁外面に設けられた1対のガイド支持部34eと、その後壁外面に固定された突片34fとを備えてなっている。
【0037】上記1対のクランプレバー34bは、その上端部が互いに近づく方向へ回動するようスプリング付勢されており、上記ソレノイド34cの出力ロッドに両側から当接するようになっている。また、これら1対のクランプレバー34bは、その下端部において上記重錘付コーン20の係合ピン20eの上端部と係合し、該重錘付コーン20を吊り下げた状態で支持するようになっている。しかしながら、上記ソレノイド34cが励磁されてその出力ロッドが上方へ退避すると、上記1対のクランプレバー34bが互いに近づく方向へ回動し、これにより該1対のクランプレバー34bと上記係合ピン20eとの係合が解除され、上記重錘付コーン20が自然落下するようになっている。
【0038】上記各ガイド支持部34eの構成は、上記重錘付コーン20の各ガイド支持部20dの構成と同様である。
【0039】上記支持部材42は、上記軽トラック100の荷台後部に載置固定されたフレーム42aと、このフレーム42aの後方側において該フレーム42aに固定されたフレーム42bと、これら両フレーム42a、42bの上面に固定された天板42cとを備えてなっている。そして、この支持部材42の天板42c上に上記第1および第2昇降駆動装置36、40が取り付けられている。
【0040】上記第1昇降駆動装置36は、上記クランプ装置34の吊り具34dに連結されたワイヤ36aと、このワイヤ36aを巻き付ける昇降ドラム36bと、この昇降ドラム36bを回転駆動するモータユニット36cと、これらを覆うカバー36dとを備えてなっている。上記モータユニット36cはモータおよび減速機構からなっている。
【0041】上記高さ設定部材38は、鉛直方向に延びるロッド38aと、このロッド38aの下端部にブラケット38bを介して連結された着地用プレート38cと、上記ロッド38aの中間位置に取り付けられた落下基準位置設定コマ38d(突起部)とを備えてなっている。そして、この高さ設定部材38の着地用プレート38cには、上記各ガイドレール44の下端部が固定されており、また、上記着地用プレート38cにおける上記ブラケット38bの近傍部位には、吊り具38eが固定されている。上記落下基準位置設定コマ38dは、調整ネジ38fにより上記ロッド38aに対して上下方向任意の位置で固定することができるようになっている。
【0042】図1に示すように、上記高さ設定部材38のロッド38aおよび上記各ガイドレール44は、その上端部においてこれらを連結する連結プレート46、その下端部において同じくこれらを連結する上記着地用プレート38cに各々ボルト固定されており、これにより上記高さ設定部材38と上記各ガイドレール44とがフレーム構造として一体的に形成されるようになっている。そして、上記各ガイドレール44は、上記支持部材42のフレーム42bに対して鉛直方向にスライド可能に支持されている。
【0043】図3に示すように、上記第2昇降駆動装置40は、上記高さ設定部材38の吊り具38eに連結されたワイヤ40aと、このワイヤ40aをガイドするガイドローラ40bと、上記ワイヤ40aを巻き付ける昇降ドラム40cと、この昇降ドラム40cを回転駆動するモータユニット40dと、これらを覆うカバー40eとを備えてなっている。上記モータユニット40dはモータおよび減速機構からなっている。
【0044】上記加速度測定の際の駆動制御のための4つのリミットスイッチ26、28、30、32のうち、リミットスイッチ26、28は上記ケーシング34aの前壁外面および下壁外面に各々取り付けられており、リミットスイッチ30は上記支持部材42のフレーム42bに取り付けられており、リミットスイッチ32は上記支持部材42のフレーム42aの後端面の下端部に取り付けられている。また、上記着地センサ48は、上記高さ設定部材38の着地用プレート38cの下面に取り付けられている。
【0045】図5は、上記地盤密度測定装置10による地盤密度測定手順を説明する、上記測定ユニット12の側面図である。
【0046】まず、上記測定ユニット12を同図(a)に示す測定待機位置に保持した状態で上記軽トラック100を走行移動させ、これにより上記測定ユニット12を上記地盤2の測定ポイントの上方位置にセットする。
【0047】この状態で、オペレータが上記ノートパソコン16に対して測定開始入力操作を行うと、同図(b)に示すように、上記第2昇降駆動装置40が駆動を開始して、上記高さ設定部材38を下降させる。この下降により該高さ設定部材38の着地用プレート38cが上記地盤2の表面に当接すると、該着地用プレート38cに取り付けられた着地センサ48がオンになって上記第2昇降駆動装置40の駆動が停止され、これにより落下基準位置が設定される。この落下基準位置は、後述するように上記重錘付コーン20の落下高さを決定するものであって、上記高さ設定部材38のロッド38aに対する上記落下基準位置設定コマ38dの固定位置を調整することにより、予め所定の位置に設定しておく。
【0048】上記着地センサ48のオン動作に連動して、同図(c)に示すように、上記第1昇降駆動装置36が駆動を開始して、上記クランプ装置34を下降させる。この下降により該クランプ装置34に取り付けられたリミットスイッチ26(高さ設定スイッチ)が上記落下基準位置設定コマ38dに当接してオンになると、上記第1昇降駆動装置36の駆動が停止され、これにより上記クランプ装置34が上記落下基準位置にセットされる。この落下基準位置にセットされたとき、上記重錘付コーン20のコーン部20aの下端点の上記地盤2の表面からの高さが、所定の落下高さhに設定される。
【0049】その後、オペレータが上記ノートパソコン16に対して落下入力操作を行うと、上記クランプ装置34のソレノイド34cが励磁されて該クランプ装置34のクランプレバー34bと上記重錘付コーン20の係合ピン20eとの係合が解除され、これにより同図(d)に示すように、上記重錘付コーン20が自然落下し、そのコーン部20aが上記地盤2に貫入する。その際、上記加速度計24により上記重錘付コーン20の地盤貫入時における加速度が測定され、その測定データが上記コントロールボックス14へ出力される。そして、この測定データは、プレトリガ方式により自動的に上記ノートパソコン16に取り込まれ、該ノートパソコン16において指標演算結果を画面に表示するとともに測定結果をメモリに記録する。この測定データ処理は極く短時間で行われる。
【0050】上記測定データ処理が完了すると、同図(e)に示すように、上記第1昇降駆動装置36が再度駆動を開始して、上記クランプ装置34を、その下面に取り付けられた上記リミットスイッチ28が上記重錘付コーン20の上面に当接してオンになる位置まで下降させる。その際、上記重錘付コーン20の係合ピン20eが上記クランプ装置34の1対のクランプレバー34bの間に挿入され、これら両クランプレバー34bをスプリング付勢力に抗して回動させ、該両クランプレバー34bと係合する。
【0051】そして、上記リミットスイッチ28のオン動作に連動して、同図(f)に示すように、上記第1昇降駆動装置36が逆方向に駆動を開始して、上記クランプ装置34を上記重錘付コーン20と共に、該クランプ装置34の後面に取り付けられた突片34fが上記支持部材42のフレーム42bに取り付けられたリミットスイッチ30に当接してこれをオンにする位置まで上昇させる。
【0052】さらに、上記リミットスイッチ30のオン動作に連動して、同図(g)に示すように、上記第2昇降駆動装置40が逆方向に駆動を開始して、上記高さ設定部材38を上記1対のガイドレール44と共に、該高さ設定部材38の着地用プレート38cの前端部が上記支持部材42のフレーム42aに取り付けられたリミットスイッチ32に当接してこれをオンにする位置まで上昇させ、上記測定ユニット12を同図(a)に示す元の測定待機位置に戻す。
【0053】以上の一連の動作により、上記測定ポイントにおける地盤密度測定が完了する。
【0054】その後、上記軽トラック100を走行移動させて上記測定ユニット12を上記地盤2の次の測定ポイントの上方位置にセットすれば、上記と同様にして地盤密度測定を行うことができる。
【0055】なお、上記地盤密度測定動作は、上記コントロールボックス14のスイッチボタン14aを押すことによっても、その一動作毎に順次行うことができるようになっている。
【0056】以上詳述したように、本実施形態に係る地盤密度測定装置10は、上記重錘付コーン20を上記地盤2に落下貫入させてそのときの加速度を測定し、その加速度を解析して上記地盤2の密度を測定するようになっているが、その加速度測定のための具体的構成として、上記高さ設定部材38を下降させてその下端部を上記地盤2の表面に当接させることにより落下基準位置を設定した後、該落下基準位置まで上記クランプ装置34を下降させ、その後、該クランプ装置34の上記重錘付コーン20に対する係合を解除することにより該重錘付コーン20を自由落下させるようになっているので、上記重錘付コーン20の落下高さhを正確に設定することができる。しかも、この落下高さ設定を極く短時間で行うことができる。
【0057】さらに、上記地盤密度測定装置10は、上記重錘付コーン20の自由落下による地盤貫入の後、上記クランプ装置34を下降させて上記重錘付コーン20に係合させた後、該クランプ装置34を元の位置まで上昇させるとともに、上記高さ設定部材38を元の位置まで上昇させるようになっているので、上記重錘付コーン20、上記クランプ装置34および上記高さ設定部材38を元の位置まで戻す作業を極く短時間で行うことができる。また、上記重錘付コーン20を持ち上げる力作業からオペレータを解放することができる。
【0058】本実施形態によれば、1〜2分程度の僅かな時間で正確に地盤の密度を測定することができる。なお、上記戻し作業を仮に手作業で行うとした場合においても、全体の測定所要時間を数分程度に抑えることができる。
【0059】また、本実施形態においては、上記高さ設定部材38に上記落下基準位置設定コマ38dと上記クランプ装置34のリミットスイッチ26との接触により、上記重錘付コーン20の落下高さhを設定するようになっているので、簡易な構成により上記落下高さhを正確に設定することができる。
【0060】さらに、本実施形態においては、上記1対のガイドレール44により上記クランプ装置34および上記重錘付コーン20の昇降がガイドされるようになっているので、上記重錘付コーン20の落下姿勢を安定させることができ、これにより該重錘付コーン20の地盤貫入時における加速度の測定精度を一層高めることができるとともに、加速度測定のための一連の動作を円滑に行うことができる。しかも、上記1対のガイドレール44は上記高さ設定部材38とフレーム状に一体的に形成されているので、これら両ガイドレール44および高さ設定部材38の強度を相互に高めることができ、これにより測定精度をより一層高めることができる。
【0061】また、本実施形態に係る地盤密度測定装置10は、上記軽トラック100に搭載されているので、該軽トラック100を適宜走行移動させることにより、上記地盤密度測定を上記地盤2の複数の測定ポイントに対して効率よく行うことができる。
【0062】上記実施形態においては、上記重錘付コーン20の落下が、上記ノートパソコン16に対するオペレータの落下入力操作により行われるようになっているが、上記リミットスイッチ26の上記落下基準位置設定コマ38dへの当接によるオン動作に連動して自動的に落下する構成とすることも可能である。
【0063】また、上記実施形態においては、上記落下基準位置設定コマ38dの上記ロッド38aに対する固定位置を上記調整ネジ38fにより調整するようになっているが、上記コントロールボックス14からの遠隔操作により調整することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願第1の発明の一実施形態に係る地盤密度測定装置の全体構成を示す側面図
【図2】上記地盤密度測定装置の全体構成を示すブロック図
【図3】上記地盤密度測定装置の測定ユニットを詳細に示す、図1の要部拡大図
【図4】図3のIV方向矢視図
【図5】上記地盤密度測定装置による地盤密度測定手順を説明する、上記測定ユニットの側面図
【図6】上記測定ユニットの重錘付コーンが地盤に貫入するときの深度と該地盤の破壊面との関係をモデル化して示す図
【図7】上記重錘付コーンの貫入深度とその貫入抵抗との関係を示すグラフ
【符号の説明】
2 地盤
4 破壊面
10 地盤密度測定装置
12 測定ユニット
14 コントロールボックス
14a スイッチボタン
16 ノートパソコン
18 バッテリ電源
20 重錘付コーン
20a コーン部
20b 軸部
20c 重錘部
20d ガイド支持部
20e 係合ピン
22 インバータ
24 加速度計
26 リミットスイッチ(高さ設定スイッチ)
28、30、32 リミットスイッチ
34 クランプ装置
34a ケーシング
34b クランプレバー
34c ソレノイド
34d 吊り具
34e ガイド支持部
34f 突片
36 第1昇降駆動装置
36a ワイヤ
36b 昇降ドラム
36c モータユニット
36d カバー
38 高さ設定部材
38a ロッド
38b ブラケット
38c 着地用プレート
38d 落下基準位置設定コマ(突起部)
38e 吊り具
38f 調整ネジ
40 第2昇降駆動装置
40a ワイヤ
40b ガイドローラ
40c 昇降ドラム
40d モータユニット
40e カバー
42 支持部材
42a、42b フレーム
42c 天板
44 ガイドレール
46 連結プレート
48 着地センサ
100 軽トラック(移動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 重錘付コーンを所定の高さから自由落下させて地盤に貫入させ、この地盤貫入時における上記重錘付コーンの加速度を測定することにより、上記地盤の密度を測定する装置であって、上記重錘付コーンと係脱可能に連結されたクランプ装置と、このクランプ装置を昇降させる第1昇降駆動装置と、上記クランプ装置の近傍において鉛直方向に延びる高さ設定部材と、この高さ設定部材を昇降させる第2昇降駆動装置と、上記第1および第2昇降駆動装置を支持する支持部材とを備えてなり、上記高さ設定部材を下降させて該高さ設定部材の下端部を上記地盤表面に当接させることにより落下基準位置を設定した後、該落下基準位置まで上記クランプ装置を下降させ、その後、該クランプ装置の上記重錘付コーンに対する係合を解除することにより該重錘付コーンを自由落下させるように構成されている、ことを特徴とする地盤密度測定装置。
【請求項2】 上記重錘付コーンの自由落下による地盤貫入の後、上記クランプ装置を下降させて上記重錘付コーンに係合させた後、該クランプ装置を元の位置まで上昇させるとともに、上記高さ設定部材を元の位置まで上昇させるように構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の地盤密度測定装置。
【請求項3】 上記高さ設定部材に上記落下基準位置設定用の突起部が設けられており、上記クランプ装置に、該クランプ装置が上記落下基準位置まで下降したとき上記突起部と接触して上記第1昇降駆動装置の駆動を停止させる高さ設定スイッチが設けられている、ことを特徴とする請求項1または2記載の地盤密度測定装置。
【請求項4】 上記クランプ装置および上記重錘付コーンの昇降をガイドする1対のガイドレールを備えてなる、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の地盤密度測定装置。
【請求項5】 上記1対のガイドレールが、上記高さ設定部材と一体的に形成されている、ことを特徴とする請求項4記載の地盤密度測定装置。
【請求項6】 上記支持部材が、上記地盤上を移動可能な移動手段に搭載されている、ことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の地盤密度測定装置。

【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】特許第3059700号(P3059700)
【登録日】平成12年4月21日(2000.4.21)
【発行日】平成12年7月4日(2000.7.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−58901
【出願日】平成10年2月23日(1998.2.23)
【公開番号】特開平11−241332
【公開日】平成11年9月7日(1999.9.7)
【審査請求日】平成11年11月1日(1999.11.1)
【出願人】(000183325)住友建設株式会社 (1)
【参考文献】
【文献】特開 平9−196838(JP,A)
【文献】特開 平5−230820(JP,A)
【文献】特開 平5−239819(JP,A)
【文献】実開 昭60−135334(JP,U)
【文献】登録実用新案3027598(JP,U)