説明

地盤攪拌装置

【課題】 回転軸に攪拌プレート7を設け、支持アームの下部延長部分の掘削や攪拌を十分に行うことができるようにした地盤攪拌装置を提供する。
【解決手段】 回転軸4に攪拌プレート7を回動自在に取り付ける。回転軸4が回転し、攪拌プレート7の一端11の先端11aが支持アーム3に接触すると、攪拌プレート7が回転軸4と斜めになるように回動する。回転軸4が更に回転し、攪拌プレート7の一端11の先端11aが支持アーム3と接触しなくなると、攪拌プレート7は回転軸4と平行になるように回動する。この状態で、回転軸4が回転すると、攪拌プレート7は、支持アームの下部延長部分の土壌20中を通過するので、下部延長部分の土壌が掘削および攪拌される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤を掘削しながら土壌とセメントミルク等の土壌改質材とを攪拌混合して軟弱地盤等を強化するための地盤攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤強化のための地盤攪拌装置として、例えば特許文献1に示されるように、回転軸の両端に、複数の攪拌ロッドが放射状に配設された回転筒体を設け、この回転筒体を回転させて、攪拌ロッドを地中で周回させて泥を攪拌するとともに、セメントミルク等の土壌改質材を地中に供給することによって、掘削した土壌と土壌改質材とを攪拌混合するように構成したものが知られている。
【0003】
図11および図12は、このような従来の地盤攪拌装置を示す図である。図11および図12において、本体フレーム21の基端部には、本装置を移動作業車両当のアーム先端部に着脱自在に取り付けるためのブラケット22が一体的に設けられている。
【0004】
本体フレーム21の先端部には、油圧モータ23が一体的に取り付けられている。油圧モータ23の左右からは回転軸24が延出される。回転軸24の左右には、それぞれ回転筒体25が着脱自在に取り付けられている。回転筒体25の外周面には、多数の攪拌ロッド26が着脱自在に取り付け固定されている。また、本体フレーム21の下端部には噴射ノズル31が設けられる。噴射ノズル31には、輸送管30を介してセメントミルク等の土壌改質材が供給される。
【0005】
軟質土壌の地盤強化を行う時には、油圧モータ23が回転し、回転軸24が左右の回転筒体25を回転させる。回転筒体25が回転すると、回転筒体25から放射状に植設された複数の攪拌ロッド26により、地盤が攪拌される。また、噴射ノズル31には、輸送管30を介して土壌改質材が供給され、噴射ノズル31からは、土壌に、土壌改質材が噴射される。
【特許文献1】特開2002−66293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる従来の地盤攪拌装置では、回転軸24の両端に設けられた回転筒体25を回転させることで、複数の攪拌ロッド26を回転させて、土壌の掘削と攪拌が行われるとともに、噴射ノズル31から土壌中に、土壌改質材が噴射される。これにより、地盤を掘削しながら、土壌中に土壌改質剤が攪拌混合され、軟弱地盤等の改質が行われる。
【0007】
ところが、このような従来の地盤攪拌装置では、回転軸24の両端の回転筒体25に設けられた攪拌ロッド26により、回転筒体25の下方の土壌については十分に掘削や攪拌が行われるが、本体フレーム21の下部延長部分については、攪拌ロッド26が届かないため、掘削や攪拌が十分に行うことができないという問題がある。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑み、回転軸に設けられた攪拌プレートを回転させ、支持アームの下部延長部分の掘削や攪拌を十分に行うことができるようにした地盤攪拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明は、可動アームの先端に装着された支持アームと、
前記支持アームの先端部分に設けられた回転軸と、前記回転軸の両端に設けられ、前記回転軸の回転に伴って回転して土壌の掘削および攪拌を行う複数の攪拌翼と、前記回転軸上に取り付けられた攪拌プレートとを備え、前記攪拌プレートは、前記回転軸の回転に伴って回転し、その一端が前記支持アームに接触すると、第1の方向に回動して回転軸に対して傾斜した状態で回転し、前記回転軸が更に回転し、前記攪拌プレートの一端が前記支持アームとの接触を脱出すると、第2の方向に回動して前記回転軸に対して平行な状態で回転し、前記攪拌プレートは、その一端が前記回転軸に対して平行な状態で前記支持アームの下部延長部分を通過するときに、支持アームの下部延長部分の土壌を攪拌する地盤攪拌装置である。
【0010】
好ましくは、攪拌プレートは、くの字状に屈曲された形状であることを特徴とする。
好ましくは、回転軸には、前記攪拌プレートを取り付けるための支持柱が設けられることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、回転軸には、攪拌プレートを摺動させるガイド部材が設けられることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、ガイド部材には、攪拌プレートの回動を制限するためのストッパが設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、可動アームの先端に装着された支持アームと、支持アームの先端部分に設けられた回転軸と、回転軸の両端に設けられ、回転軸の回転に伴って回転して土壌の掘削および攪拌を行う複数の攪拌翼と、回転軸上に取り付けられた攪拌プレートとを備え、攪拌プレートは、回転軸の回転に伴って回転し、その一端が支持アームに接触すると、第1の方向に回動して回転軸に対して傾斜した状態で回転し、回転軸が更に回転し、攪拌プレートの一端が支持アームとの接触を脱出すると、第2の方向に回動して回転軸に対して平行な状態で回転するようにしているので、支持アームの下部延長部分の掘削、攪拌を行うことができる。
【0014】
本発明によれば、攪拌プレートは、くの字状(ブーメラン形状)に形成されるので、攪拌プレートの一端側が支持アーム3との接触を脱出したときに、攪拌プレートの一端側は支持アーム3からの反力が無くなるので、攪拌プレートを回転軸に対して平行状態に戻すことができる。
【0015】
本発明によれば、回転軸には、前記攪拌プレートを取り付けるための支持柱が設けられその上に攪拌プレートが設けられるので、攪拌プレートの回転半径を攪拌翼の回転半径とほぼ同じくできるので、攪拌プレートは攪拌翼が取り残した土壌の部分を掘削することができる。
【0016】
本発明によれば、回転軸に攪拌プレートを摺動させるガイド部材が設けられるので、攪拌プレートをガタツキなくスムーズに回動させることができる。
【0017】
本発明によれば、ガイド部材には、攪拌プレートの回動を制限するためのストッパが設けられるので、攪拌プレートを回転軸に対して平行な状態に戻すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態の地盤攪拌装置の全体構成を示すものである。図1において、作業車両1には、可動アーム2が延設される。可動アーム2は、折曲可能に連結されたアーム2aおよび2bとからなる。可動アーム2の先端に、支持アーム3が取り付けられる。支持アーム3は、可動アーム2の操作により、地盤に対して垂直上下方向に動かすことができる。
【0019】
支持アーム3の先端部には、回転軸4が取り付けられる。図1に示すように、左右に延出する回転軸4の一方には、放射状に突出する複数の攪拌翼6a〜6cが設けられるとともに、攪拌プレート7が取り付けられる。回転軸4の他方には、放射状に突出する複数の攪拌翼6d〜6gが設けられる。これらの攪拌翼6a〜6cおよび6d〜6gは、土壌の掘削や攪拌を行うものであり、攪拌翼6a〜6cおよび6d〜6gは、その先端が櫛歯状に形成される。
【0020】
攪拌プレート7は、支持アーム3の下部延長部分の掘削や攪拌を行うものである。攪拌プレート7は、回転軸4の一方に回動自在に取り付けられる。なお、攪拌プレート7は、回転軸4の両方に回動自在に取り付けるようにしてもよい。このように、回転軸4の両方に取り付けると掘削速度が上昇するのでさらに好ましい。攪拌プレート7の働きについては、後に説明する。
【0021】
図1において、支持アーム3内には、図示しないモータやチェーン、スプロケット等の回転機構が設けられている。この回転機構により、回転軸4を回転させ、それに伴って攪拌翼6a〜6cおよび6d〜6gを回転させる。
【0022】
図2は、本発明の実施形態の地盤攪拌装置を用いた攪拌作業の説明図である。軟質土壌の地盤強化を行う場合には、図2(A)に示すように、支持アーム3の先端を土壌20の上方に位置させる。そして、図2(B)に示すように、攪拌翼6a〜6cおよび6d〜6gを回転させながら、可動アーム2を駆動することにより、支持アーム3を下方に移動させる。支持アーム3を下方に移動させると、支持アーム3の移動に伴って、攪拌翼6a〜6cおよび6d〜6gにより、土壌20が掘削される。また、このとき、支持アーム3の図示されていない先端には、作業車両1から、スラリー状または粉体状のセメント等の土壌改質材が導かれる。この土壌改質材が支持アーム3の先端から地中に吐出される。これにより、土壌が掘削されながら、土壌と土壌改質材とが攪拌混合される。
【0023】
このように、本発明の実施形態の地盤攪拌装置では、支持アーム3の先端部に設けられた回転軸4の両端に、複数の攪拌翼6a〜6cおよび6d〜6gが放射状に配設され、これらの攪拌翼6a〜6cおよび6d〜6gを回転させることで、土壌を掘削しながら攪拌して、軟質土壌の地盤改良を行うことができる。
【0024】
回転軸4の両端に取り付けられた複数の攪拌翼6a〜6cおよび6d〜6gにより、回転軸4の両端付近の土壌の掘削や攪拌は十分に行われるが、支持アーム3の下部延長部分は、攪拌翼6a〜6cおよび6d〜6gによって掘削や攪拌を行うことができない。
【0025】
そこで、本発明の実施形態では、回転軸4の一方4aに攪拌プレート7を回動自在に取り付け、この攪拌プレート7を回転軸4と連動して回転させることによって、支持アーム3の下部延長部分が攪拌できる。
【0026】
図3は、本発明の実施形態の地盤攪拌装置における攪拌プレートの構成を示す平面図である。攪拌プレート7は板状であり、攪拌プレート7には、孔10が形成されている。孔10の位置は、攪拌プレート7の孔10からその一端11の先端11aまでの距離をL1、孔10から攪拌プレート7の他端12までの距離をL2とすると、L2>L1であり、しかもL2=(1.5〜2)×L1程度に設定される。また、距離L1は、攪拌プレート7を支持柱16に取り付けたときに、攪拌プレート7の一端11の先端11aが支持アーム3の下部延長部分まで十分に届く長さに設定される。
【0027】
また、図3では、攪拌プレート7の先端11aは、その頂点が尖っているが、丸みを帯びるように形成しても良い。これは、攪拌プレート7が回転すると、攪拌プレート7の一端11が支持アーム3に接触し支持アーム3の軸側側面3a上を摺動し易くするためである。
【0028】
また、攪拌プレート7の他端12側は、くの字状に屈曲されている。攪拌プレート7の他端側が屈曲しているのは、後に説明するように、攪拌プレートの一端側が支持アーム3に接触しなくなったときに、その他端側が土壌から受ける反力によって攪拌プレートを平衡状態に戻すためである。
【0029】
図4は、攪拌プレート7の取り付け機構を示すものである。図4に示すように、回転軸4の一方の回転軸4a上に、ガイド部材15および支持柱16が固着される。支持柱16には、雌ネジ19が設けられる。また、ガイド部材15には、攪拌プレート7の回動範囲を制限するためのストッパ17が設けられる。ガイド部材15は、攪拌プレート7がガタツキなくスムーズに回動するように、攪拌プレート7の他端12側を支持するものである。攪拌プレート7は、その一端11が支持アーム3側を向き、その他端12は攪拌翼側6a〜6cを向くように配設され、雄ネジ18により、支持柱16の雌ネジ19に回動自在に取り付けられる。なお、本実施形態では攪拌プレート7は雄ネジ18によって支持柱16の雌ネジ19に取り付けるように記述されるが、この取り付け方はこのような構造に限定されることはなく、雄ネジ18を支持柱16に直接溶接等で接着しても良い。
【0030】
この攪拌プレート7の動作の概要について、図5および図6を参照して説明する。図5および図6は、本発明の実施形態の地盤攪拌装置における攪拌翼および攪拌プレートの説明に用いる斜視図である。図5および図6に示すように、攪拌プレート7は、回転軸4と連動して、矢印R方向に回転する。図5(A)に示すように、支持柱16が図の前側横にある状態から、図5(B)に示すような支持柱16が図の下側に位置する状態まで回転軸4が回転すると、攪拌プレート7が支持アーム3の下部延長部分の土壌を通過するので、回転軸4の下部延長部分の土壌の掘削および攪拌が行われる。
【0031】
そして、図6(A)のときには、攪拌プレート7は支持アーム3の裏側横部分の土壌の掘削および攪拌を行う。一方、回転軸4が回転し、図6(B)に示すように、攪拌プレート7の一端11の先端11aが支持アーム3の軸側側面3aの回転軸側面3aに接触する位置まで回転する。攪拌プレート7が支持アのーム3の後面3aに接触すると、攪拌プレート7は支持アーム3でその動きが遮られるので反時計廻りにA1方向に回動する。このように、攪拌プレート7が反時計廻りにA1方向に回動することにより、攪拌プレート7の一端11の先端11aは支持アーム3に接触したまま支持アーム3の軸側側面3aを軌跡Yのように摺動ししながらその回転を維持する。
【0032】
次に、支持アーム3の下部延長部分の土壌の掘削や攪拌を行う攪拌プレート7の動作について、更に詳述する。
【0033】
図7は、攪拌プレート7の回転位置の説明図である。攪拌プレート7は、上述のように、矢印R方向に回転する。回転軸4が回転すると、攪拌プレート7は、図7に示すように、回転位置(a)→(b)→(c)→(d)→(e)→(f)→(g)→(h)の順に回転していく。
【0034】
ここで、回転位置(a)は、攪拌プレート7の先端11aが支持アーム3に向かって図面右横方向に位置しているときを示し(図5(A)の状態)、回転位置(c)は、攪拌プレート7の先端11aが支持アーム3に向かって下方に位置しているときを示し(図5(B)の状態)、回転位置(b)は、攪拌プレート7の先端11aが回転位置(a)と(c)の中間に位置しているときの状態を示し、回転位置(e)は攪拌プレート7の先端11aが支持アーム3に向かって図面左横方向に位置しているときを示し(図6(A)の状態)、回転位置(d)は、攪拌プレート7の先端11aが回転位置(c)と(e)の中間に位置しているときの状態を示し、回転位置(g)は攪拌プレート7の先端11aが支持アーム3に向かって図面上方向に位置しているときの状態を示し(図6(B)の状態)、回転位置(f)は、攪拌プレート7の先端11aが回転位置(e)と(g)の中間に位置しているときの状態を示し、回転位置(h)は、攪拌プレート7の先端11aが回転位置(g)と(a)の中間に位置しているときの状態を示している。図7において、回転位置(f)と(h)の間の角度θは、後述するように、攪拌プレート7の先端11aが支持アーム3に接触している間の角度である。なお、回転位置(f)および回転位置(h)の角度θは、支持アーム3の横幅Hによって変化するものであり、一定の値を有するものではない。
【0035】
図8は、攪拌プレート7に加わる力および回動を説明するための図である。図8において、回転軸4が矢印R方向に回転し、攪拌プレート7が図7における回転位置(f)に来たときに、攪拌プレート7の一端11の先端11aが支持アーム3に接触する。このため、接触時には、図8(A)に示すように、攪拌プレート7の一端11の先端11aは、反時計方向である矢印A1の方向(第1の方向)に反力を受け、孔10を中心にして回動する。攪拌プレート7の先端11aは、回転位置(f)から回転位置(h)までの間、支持アーム3に接触したまま回転軸4の回転と共に回転する。この間では、攪拌プレート7の一端11は回転軸4と所定の角度θをなし、攪拌プレート7の先端11aは、支持アーム3に接触した状態で、図6(B)に示す軌跡Yを描くように回転する。
【0036】
また、攪拌プレート7が図7の回転位置(h)の位置に来ると、攪拌プレート7は支持アーム3と接触しなり、攪拌プレート7は支持アーム3からの反力がなくなるので、攪拌プレートは回転軸4と平行になろうとする。この原理を以下に説明する。攪拌プレート7が支持アーム3と接触しなくなる瞬間には、攪拌プレート7は図8(B)の2点鎖線で示すような状態になっている。このとき、攪拌プレート7の他端側12の側縁13は、回転軸4に平行になったままの状態で土壌に接触する。このため、攪拌プレート7の他端12の側縁13には2本の矢印で示すように土壌からの強い力F2が加わっている。一方、攪拌プレート7の一端側の側縁14は傾斜しているのでこの部分で受ける力F1はF2に比べ弱い状況にある。したがって、攪拌プレート7は、図8(B)において、矢印A2で示す方向(第2の方向)に回動し、実線で示すように、回転軸4に対して平行になる。このとき、攪拌プレート7の回動は、ガイド部材15のストッパ17により制限される。最終的には、攪拌プレート7は、図8(C)の実線で示すように、回転軸4に対して平行な状態となる。このときに、攪拌プレート7は、図3に示すように、L2>L1となるように設計されているので、攪拌プレート7のL1の部分が土壌から受ける力F1と攪拌プレート7のL2の部分が土壌から受ける力F2はほぼ同じになるように設計されるので、攪拌プレート7は回転軸4に対して平行な状態を維持する。
【0037】
さらに、回転軸4が回転して、攪拌プレート7が図7における回転位置(a)〜(e)を通過するときには、攪拌プレート7は、回転軸4に対して平行な状態で、支持アーム3の下方を通過する。このとき、攪拌プレート7の一端側11の側縁14および他端側12の側縁13が土壌に抗して進み、図8(C)に示すように、全体として、土壌からの力F1およびF2を受ける。このように、攪拌プレート7に対して、全体的に土壌からの力F1およびF2を受けるため、攪拌プレート7は、上述のように、回転軸4に対して平行な状態を維持して、支持アーム3の側方および下方を通過する。特に、攪拌プレート7が図7における回転位置(b)〜(d)を通過するときには、攪拌プレート7は、支持アーム3の下部延長部分の土壌を掘削および攪拌する。
【0038】
図9および図10は、攪拌プレート7の各回転位置において、攪拌プレート7を矢印S方向から見たときの攪拌プレート7にかかる力の変化を示す図である。図9および図10においては、攪拌翼6a〜6cおよび6d〜6gが、図2(B)に示すように、土壌中において回転している場合を想定して以下で説明する。図中Xは、攪拌プレート7が支持アーム3に接触していることを示す。
【0039】
図9(A)〜(D)および図10(A)は、攪拌プレート7が図7の回転位置(a)〜(e)にあるときの攪拌プレート7にかかる力の変化を示す図である。図9(A)〜図10(A)において、回転軸4が回転し、攪拌プレート7が回転位置(a)→(b)→(c)→(d)→(e)のように回転していくが、攪拌プレート7は、支持アーム3から離れた位置にあるので、支持アーム3には接触していない。したがって、攪拌プレート7が回転位置(a)〜(e)にあるときには、攪拌プレート7には攪拌プレートの他端側の側縁13と攪拌プレートの一端側の側縁14にそれぞれ土壌からの力F2およびF1が加わりそれらは均衡が取れているので、攪拌プレート7は回転軸4に対して平行な状態を維持したまま回転していく。
【0040】
回転軸4が更に回転すると、図10(B)に示すように、攪拌プレート7は回転位置(f)に達する。このとき、攪拌プレート7の一端11の先端11aは、支持アーム3の軸側側面3aに接触する。このとき、上述のように、攪拌プレート7の一端11aは、矢印A1に示す方向に回動し、攪拌プレート7が支持アーム3に接触した状態で傾斜する。このとき、攪拌プレートの他端側の側縁13は攪拌プレート7の回転軸方向に平行となり、攪拌プレートの一端側の側縁14は攪拌プレート7の回転軸方向と傾斜する。したがって、攪拌プレートの他端側の側縁13に加わる力F2は、2本の矢印で示すように、攪拌プレートの一端側の側縁14に加わる力よりも大きくなるので、時計方向に働く回転力を発生する。しかしながら、攪拌プレート7の一端11aが支持アーム3の軸側側面3aに接触しているので、攪拌プレート7は時計方向に回動することはできない。
【0041】
回転軸4が更に回転すると、図10(B)〜(D)に示すように、回転位置(f)〜(h)の間では、攪拌プレート7の一端11aは支持アーム3の軸側側面3aに接触したまま軸側側面3aに沿って軌跡Y上を回転する。この状態においても、攪拌プレートの他端側の側縁13は攪拌プレート7の回転方向に平行になっているので、攪拌プレートの他端側の側縁13に加わる力F2は、2本の矢印で示すように、攪拌プレートの一端側の側縁14に加わる力よりも大きくなり、時計方向に働く回転力が発生するが、攪拌プレート7の一端11の先端11aが支持アーム3の軸側側面3aに接触しているので、攪拌プレート7は時計方向に回動することはできない。
【0042】
そして、さらに回転軸4が回転すると、攪拌プレート7が回転位置(h)の端に来ると、図10(D)に示すように、攪拌プレート7の攪拌プレート7の一端11側の先端13aは支持アーム3の軸側側面3aとの接触がはずれる。このときに、上述のように、攪拌プレート7の他端12の側縁13には2本の矢印で示すように土壌からの強い力F2が加わる。一方、攪拌プレート7の一端側の側縁14は傾斜しているのでこの部分で受ける力F1はF2に比べ弱くなる。これにより、攪拌プレート7は、図10(D)において、矢印A2で示す方向(第2の方向)に、実線で示すように、回転軸4に対して平行になるまで回動する。上述のように、攪拌プレート7が回転位置(a)→(b)→(c)→(d)→(e)のように回転していく間、攪拌プレート7は、攪拌プレート7は回転軸4に対して平行な状態を維持したまま回転する。
【0043】
上述のように、攪拌プレート7は、回転位置(f)で、支持アームに接触し、回転位置(h)で支持アームとの接触がなくなるまで、攪拌プレート7は、矢印A1で示す方向に回動しその位置を維持する。よって、この間は、攪拌プレート7は斜めに回動した状態にある。
【0044】
一方、攪拌プレート7が支持アームに接触していない状態のときには、攪拌プレート7の他端12は、図9(A)〜(D)および図10(A)に示すように、回転軸4とほぼ平行の状態になっている。したがって、本発明においては、攪拌プレート7がこのように回転軸4とほぼ平行の状態で回転するときに、攪拌プレート7が支持アーム3の下部延長部分の土壌を通過し、土壌の掘削および攪拌が行われる。
【0045】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0046】
例えば、この例では、左右に延出する回転軸4のうちの一方の回転軸4aに、90度間隔で3つの攪拌翼6a〜6cを配設し、他方の回転軸4bに、90度間隔で4つの攪拌翼6d〜6gを配設しているが、攪拌翼の数や配置の仕方は、これに限定されるものではない。また、この例では、一方の回転軸4aに攪拌プレート7を取り付けているが、他方の回転軸4bに攪拌プレート7を取り付けるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、本発明は、地盤を掘削しながらセメントミルク等の固化材と土壌とを攪拌混合して軟弱地盤等を強化するための地盤攪拌装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態の地盤攪拌装置の全体構成を示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態の地盤攪拌装置を用いた攪拌作業の説明図である。
【図3】本発明の実施形態の地盤攪拌装置における攪拌プレートの構成を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態の地盤攪拌装置における攪拌プレートの取り付けの説明に用いる分解斜視図である。
【図5】本発明の実施形態の地盤攪拌装置における攪拌翼および攪拌プレートの説明に用いる斜視図である。
【図6】本発明の実施形態の地盤攪拌装置における攪拌翼および攪拌プレートの説明に用いる斜視図である。
【図7】本発明の実施形態の地盤攪拌装置における攪拌プレートの回転位置の説明図である。
【図8】本発明の実施形態の地盤攪拌装置における攪拌プレートに加わる力および攪拌プレートの回動を説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態の地盤攪拌装置における攪拌プレートの各回転位置で攪拌プレートにかかる力の変化を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態の地盤攪拌装置における攪拌プレートの各回転位置で攪拌プレートにかかる力の変化を示す説明図である。
【図11】従来の地盤攪拌装置の説明に用いる断面図である。
【図12】従来の地盤攪拌装置の説明に用いる断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 作業車両
2a,2b 可動アーム
3 支持アーム
3a 支持アームの軸側側面
4,4a,4b 回転軸
6a〜6cおよび6d〜6g 攪拌翼
7 攪拌プレート
10 孔
11 攪拌プレートの一端
11a 攪拌プレートの一端側の先端
12 攪拌プレートの他端
13 攪拌プレートの他端側の側縁
14 攪拌プレートの一端側の側縁
15 ガイド部材
16 支持柱
17 ストッパ
18 雄ネジ
19 雌ネジ
20 土壌


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動アームの先端に装着された支持アームと、
前記支持アームの先端部分に設けられた回転軸と、
前記回転軸の両端に設けられ、前記回転軸の回転に伴って回転して土壌の掘削および攪拌を行う複数の攪拌翼と、
前記回転軸上に取り付けられた攪拌プレートと
を備え、
前記攪拌プレートは、前記回転軸の回転に伴って回転し、その一端が前記支持アームに接触すると、第1の方向に回動して回転軸に対して傾斜した状態で回転し、前記回転軸が更に回転し、前記攪拌プレートの一端が前記支持アームとの接触を脱出すると、第2の方向に回動して前記回転軸に対して平行な状態で回転し、
前記攪拌プレートは、その一端が前記回転軸に対して平行な状態で前記支持アームの下部延長部分を通過するときに、支持アームの下部延長部分の土壌を攪拌することを特徴とする地盤攪拌装置。
【請求項2】
前記攪拌プレートは、くの字状に屈曲された形状を形成することを特徴とする請求項1に記載の地盤攪拌装置。
【請求項3】
前記回転軸には、前記攪拌プレートを取り付けるための支持柱が設けられることを特徴とする請求項1に記載の地盤攪拌装置。
【請求項4】
前記回転軸には、前記攪拌プレートを摺動させるガイド部材が設けられることを特徴とする請求項1に記載の地盤攪拌装置。
【請求項5】
前記ガイド部材には、前記攪拌プレートの回動を制限するためのストッパが設けられることを特徴とする請求項4に記載の地盤攪拌装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−75344(P2008−75344A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256238(P2006−256238)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【特許番号】特許第3958347号(P3958347)
【特許公報発行日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【出願人】(597028287)埼玉八栄工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】