説明

地盤改良体の強度推定方法

【課題】高圧噴射攪拌工法により形成された地盤改良体の強度を、施工後短期間のうちに、簡便かつ精度よく推定する。
【解決手段】硬化材液が硬化する前に、地盤中を撮影可能なカメラ部18と地盤改良体から改良土を採取するサンプリング部21が設けられたビデオサンプリングロッド5を備える注入ロッド1を地盤中に貫入し、カメラ部により撮影された画像を地上のモニター24に表示し、サンプリング部21から地盤改良体の改良土を採取し、採取された改良土から強度測定用試料を作製し、作製された強度測定用試料を促進養生し、強度測定用試料の強度を測定し、その強度測定用試料の強度に基づいて地盤改良体の強度を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良体の強度推定方法に関するものであり、詳しくは、高圧噴射攪拌工法によって、地盤中の所定深度まで貫入させた注入ロッドの噴射ノズルから硬化材液を噴射させて攪拌混合することにより造成される地盤改良体の強度推定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤中に硬化材液を注入することによって、軟弱地盤を固結させて、せん断強さを増大させ、地盤を改良する工法として高圧噴射撹拌工法が知られている。高圧噴射撹拌工法は、注入ロッドを用いて地盤を所定の深度まで削孔した後、該注入ロッドを回転または揺動させながら引き上げつつ、注入ロッドの下端に装着されている噴射ノズルから、硬化材液を水平方向に超高圧で噴射することによって、既存の地盤を切削しつつ、硬化材液と、地盤を形成する軟弱土を撹拌混合し、円柱状または扇形柱状の地盤改良体を形成する工法である。
【0003】
高圧噴射撹拌工法による地盤改良において、地盤改良体の品質は、地盤改良体が硬化した後にチェックボーリングを行うことで確認するのが一般的であった。具体的には、施工1〜2週間後にコアボーリングによってサンプリングされた供試体で連続性の確認が行われ、28日経過後に強度の確認が行われる。
【0004】
しかし、地盤改良体が硬化した後に確認する方法は、大掛かりな装置が必要であり、試料の採取に相当の時間を要するという問題があった。また、設計された強度を満足していないことが確認された場合には、追加施工や別種の補助工法を行うことが必要であった。
【0005】
そこで、高圧噴射撹拌工法による地盤改良体の施工直後に、地盤改良体から未硬化の改良土を試料として採取し、この試料土を型枠に充填して供試体を作製し、短期間の促進養生に供し、促進養生後の供試体の強度から地盤改良体の強度を推定する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、地盤改良工法により築造された築造直後の改良土(ソイルセメント体)を採取して供試体を作製し、この供試体に対して温水で1〜2日間促進養生を施し、促進養生後の供試体の強度を求め、予め求めておいた関係式を用いて促進養生後の供試体強度から、通常期間養生後の供試体強度を推定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−346768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、地盤改良工法により築造された築造直後の未硬化改良土の採取には、特願平6−183294(特開平8−49490号公報)、実開平3−54891号公報に開示されている試料採取装置を使用できることが記載されている。また、バックホウ等により任意の深度の改良土を採取する方法でもよいことが記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されている試料採取装置を用いた場合、特定の位置の改良土以外は採取できないという問題があった(図11参照)。
【0009】
図11に示すように、高圧噴射攪拌工法では、注入ロッドを所定の深度まで貫入し、回転または揺動させながら引き上げつつ、注入ロッドの下端に装着されている噴射ノズルから、硬化材液を水平方向に超高圧で噴射することにより地盤改良体が造成される。そして、特許文献1に記載されている試料採取装置は、注入ロッドを引き上げた後、これに代えて取り付けられるものであるため、注入ロッドが貫入された付近の改良土、つまり図8において斜線で示された範囲の改良土以外は採取することができなかった。
【0010】
また、任意の深度の改良土を採取するためにバックホウ等の重機を用いることが開示されているが、作業が大掛かりとなり、容易に実施できないという問題があった。
【0011】
高圧噴射攪拌工法による施工直後の未硬化の地盤改良体から採取した改良土を試料として、促進養生により地盤改良体の強度を推定する場合、特定の地点から採取された試料のみから推定される強度は、その特定の地点の強度を推定することはできるが、地盤改良体の他の地点の強度の推定に適したものではない。地盤改良体の強度を高精度に推定するためには、複数の任意の地点から採取された改良土を試料とし、これらから得られる強度のデータを総合的に判断することが望まれる。
【0012】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、高圧噴射攪拌工法により形成された地盤改良体の強度を、施工後短期間のうちに、簡便かつ精度よく推定できる方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の地盤改良体の強度推定方法は、上記課題を解決するために、高圧噴射攪拌工法によって、地盤中の所定深度まで貫入させた注入ロッドの噴射ノズルから硬化材液を噴射させて攪拌混合することにより造成される地盤改良体の強度推定方法であって、前記硬化材液が硬化する前に、前記注入ロッドの貫入位置から所定距離離れた地点において、前記地盤改良体から改良土を採取するサンプリング部が設けられたサンプリングロッドを備える前記注入ロッドを地盤中に貫入する注入ロッド貫入ステップと、前記サンプリング部から前記地盤改良体の改良土を採取する改良土採取ステップと、該改良土採取ステップにより採取された改良土から強度測定用試料を作製する強度測定用試料作製ステップと、該強度測定用試料作製ステップにより作製された強度測定用試料を促進養生する促進養生ステップと、該促進養生ステップ後の強度測定用試料の強度を測定する強度測定ステップと、該強度測定ステップにより得られた強度測定用試料の強度に基づいて前記地盤改良体の強度を推定する強度推定ステップと、を有するものである。
【0014】
本発明によれば、地盤改良体から改良土を採取するサンプリング部が設けられたサンプリングロッドを備えた注入ロッドが地盤中に貫入されるので、地盤改良体の施工に用いた地盤改良造成機などをそのまま用いて地盤改良体の改良土を採取することができる。これにより、簡便かつ確実に短時間で改良土を採取することができる。
【0015】
また、本発明の地盤改良体の強度推定方法は、サンプリングロッドとサンプリングロッド以外の注入ロッドとを着脱分離可能した注入ロッドを用いるものであり、特に、地盤改良体の造成に用いられた注入ロッドは、噴射ノズルが設けられた噴射ロッドを有し、注入ロッド貫入ステップでは、噴射ロッドを取り外し、サンプリングロッドを取り付けた注入ロッドを用いるものである。
【0016】
本発明の地盤改良体の強度推定方法は、上記課題を解決するために、高圧噴射攪拌工法によって、地盤中の所定深度まで貫入させた注入ロッドの噴射ノズルから硬化材液を噴射させて攪拌混合することにより造成される地盤改良体の強度推定方法であって、硬化材液が硬化する前に、注入ロッドの貫入位置から所定距離離れた地点において、地盤中を撮影可能なカメラ部と地盤改良体から改良土を採取するサンプリング部が設けられたビデオサンプリングロッドを備える注入ロッドを地盤中に貫入する注入ロッド貫入ステップと、カメラ部により撮影された画像を地上のモニターに表示させる画像表示ステップと、サンプリング部から地盤改良体の改良土を採取する改良土採取ステップと、該改良土採取ステップにより採取された改良土から強度測定用試料を作製する強度測定用試料作製ステップと、該強度測定用試料作製ステップにより作製された強度測定用試料を促進養生する促進養生ステップと、該促進養生ステップ後の強度測定用試料の強度を測定する強度測定ステップと、該強度測定ステップにより得られた強度測定用試料の強度に基づいて地盤改良体の強度を推定する強度推定ステップと、を有するものである。
【0017】
本発明によれば、地盤中を撮影可能なカメラ部と地盤改良体から改良土を採取するサンプリング部が設けられたビデオサンプリングロッドを備えた注入ロッドが地盤中に貫入されるので、地盤改良体の施工に用いた地盤改良造成機などをそのまま用いて地盤改良体の改良土を採取することができるとともに、カメラ部により地盤中の地盤改良体を確認しながら改良土を確実に採取することができる。これにより、簡便かつ確実に短時間で改良土を採取することができる。
【0018】
また、本発明の地盤改良体の強度推定方法は、ビデオサンプリングロッドとビデオサンプリングロッド以外の注入ロッドとを着脱分離可能した注入ロッドを用いるものであり、特に、地盤改良体の造成に用いられた注入ロッドは、噴射ノズルが設けられた噴射ロッドを有し、注入ロッド貫入ステップでは、噴射ロッドを取り外し、ビデオサンプリングロッドを取り付けた注入ロッドを用いるものである。
【0019】
本発明によれば、ビデオサンプリングロッドとビデオサンプリングロッド以外の注入ロッドとが着脱分離可能である注入ロッドを用いているので、従来から用いられている地盤改良体の施工に用いる注入ロッドにビデオサンプリングロッドを接続することだけで、地盤改良体の改良土を採取することができる。また、ビデオサンプリングロッドに不具合が生じた場合でも、注入ロッドからビデオサンプリングロッドのみを取り外すことにより容易に修理交換を行うことができる。
【0020】
また、本発明の地盤改良体の強度推定方法は、改良土採取ステップは、地盤改良体の設計範囲内の異なる位置における改良土を採取するものである。
【0021】
本発明によれば、地盤改良体の設計範囲内の複数の異なる位置から改良土を採取して強度測定用試料を作製し、これを促進養生して強度測定することにより施工後短期間のうちに、地盤改良体の全体にわたって高い精度で強度を推定することが可能となる。その結果、仮に地盤改良体の設計範囲内において設計強度を満足しない箇所が見つかった場合でも、直ちに再施工等の対策を講じることが可能であり、工期終了後に追加施工や別種の補助工法を行う事態が生じない。
【0022】
また、カメラ部が設けられた注入ロッドを深部まで貫入して、複数の地点で撮影されたそれぞれの画像に基づいて硬化材液の存在を確認することにより、改良体の有効径のみならず連続性をも施工直後に確実に確認することができる。これにより、仮に地盤改良体の連続性に問題が見出された場合であっても、直ちに再施工等の対策を講じることが可能であり、工期終了後に追加施工や別種の補助工法を行う事態が生じない。
【0023】
さらに、硬化材液が硬化する前の軟弱な泥状の地盤改良体中にカメラ部とサンプリング部が設けられた注入ロッドが貫入されるので、大きな力を要することなく容易に短時間で地盤改良体の最深部まで注入ロッドを貫入することができる。また、貫入された注入ロッドの引き上げも容易かつ短時間に行うことができるので、別の位置に移動して注入ロッドを貫入させることにより、短時間のうちに複数箇所の改良土を確実に採取することができる。
【0024】
また、本発明の地盤改良体の強度推定方法は、注入ロッドは、カメラ部の近傍に着色剤を散布する着色剤散布口をさらに備え、画像表示ステップは、着色剤散布口から硬化材液を土砂と識別可能に着色する着色剤を散布して硬化材液を着色する着色ステップを包含し、画像表示ステップにおいて、着色された硬化材液の画像がモニターに表示されるものである。
【0025】
本発明によれば、カメラ部の近傍に着色剤を散布する着色剤散布口が設けられているので、少ない着色剤であってもカメラ部で撮影される領域の硬化材液を確実に撮影することができる。これにより着色剤の低コスト化を図ることができる。また、硬化材液を土砂と識別可能に着色するので、画像中の土砂と硬化材液を識別することが困難な場合であっても、着色した硬化材液を確実に表示することができる。これにより、硬化材液の存在を把握して確実に改良土を採取することができる。
【0026】
また、本発明の地盤改良体の強度推定方法は、サンプリング部は、ビデオサンプリングロッドの内部に設けられ、改良土を収容可能な改良土収納部と、該改良土収納部と連通し、地盤改良体から採取された改良土が流入する改良土流入管と、該改良土流入管と連通し、注入ロッドの側壁にサンプリングシャッタが設けられた開口部とを備え、注入ロッドが地盤改良体の設計範囲内の所定の位置に到達した後に、サンプリングシャッタを開口することにより、改良土収納部に改良土を収納可能となるものである。
【0027】
本発明によれば、注入ロッドが地盤改良体の設計範囲内の目的の位置に到達した後に、サンプリングシャッタが開くことにより開口部が開口するので、目的の位置の改良土を確実に採取することができ、目的の位置以外の改良土が混入することがない。したがって、採取した改良土から強度測定用試料を作製し、これを促進養生して強度測定することにより、採取した位置における改良体の強度を高精度に推定することができる。
【0028】
また、本発明の地盤改良体の強度推定方法は、ビデオサンプリングロッドは、サンプリング部のうち、改良土収納部と改良土流入管の一部を有する改良土下流部分と、開口部と改良土流入管の一部を有する改良土上流部分とを着脱分離可能とし、該改良土下流部分と該改良土上流部分とが接続された状態では、改良土下流部分の改良土流入管と改良土上流部分の改良土流入管が連通するものである。
【0029】
本発明によれば、ビデオサンプリングロッドのサンプリング部を、改良土収納部と改良土流入管の一部を有する改良土下流部分と、開口部と改良土流入管の一部を有する改良土上流部分とを着脱分離可能としているので、改良土収納部に改良土が収納された後に、サンプリング部の改良土下流部分のみ分離移動させて、強度測定用試料の作製に用いることができるとともに、改良土流入管に改良土が詰まった場合でも容易にその詰まりを解消させることができる。
【0030】
また、本発明の地盤改良体の強度推定方法は、ビデオサンプリングロッドの内部または近傍に位置センサが設けられ、該位置センサは、地盤中の注入ロッドの傾斜角および傾斜方位をそれぞれ検出するための傾斜計および方位計を備え、傾斜計および方位計から得られる傾斜角情報および傾斜方位情報を用いて、地盤中のビデオサンプリングロッドの位置を検出する位置検出ステップを包含するものである。
【0031】
本発明によれば、地盤表面から地盤改良体の上端までの通常の地盤を通過する際に傾斜や方位のずれが生じる場合があり、この位置で生じたずれは地盤改良体に到達した後、深度が深くなるにつれて次第に大きなずれとなる。本発明によれば、ビデオサンプリングロッドの内部または近傍に位置センサが設けられているので、地盤中のビデオサンプリングロッドの位置を3次元的に検出することができる。そのため、ビデオサンプリングロッドの貫入方向が鉛直方向からずれた場合でも、どの方向にどれだけずれた位置で改良土を採取しているのか3次元的に把握することができ、目的の採取位置と実際の採取位置のずれに起因する精度の低下を防止し、高い精度を維持することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の地盤改良体の強度推定方法によれば、高圧噴射攪拌工法により形成された地盤改良体の強度を、施工後短期間のうちに、簡便かつ精度よく推定できる方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態における地盤改良体の造成に用いられる地盤改良体造成装置の概略構成図である。
【図2】ノズルが設けられた噴射ロッドの側面図である。
【図3】接続ロッド内の流路などを説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態における地盤改良体の改良土を採取する改良土採取装置の概略構成図である。
【図5】(a) ビデオサンプリングロッドの正面図である。 (b) ビデオサンプリングロッドの側面一部断面図である。
【図6】(a) サンプリングロッドの開口部付近を示す図である。 (b) 図6(a)のA−A断面を示す図である。
【図7】(a) カメラ部ロッドのカメラ部付近を示す図である。 (b) 図7(a)のB−B断面を示す図である。
【図8】図5(b)のC−C断面を示す図である。
【図9】本発明の変形例の地盤改良体の強度推定方法に用いられる地盤改良体造成装置の概略構成図である。
【図10】本発明の一実施形態における地盤改良体の強度推定工程のフローチャートである。
【図11】従来の改良土の採取可能範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の地盤改良体の強度推定方法の一実施形態について図面を参照にしながら説明する。本発明は、高圧噴射攪拌工法によって造成される地盤改良体の強度を地盤改良体の施工後短期間のうちに推定する方法であり、地盤改良体の設計範囲内の任意の位置における改良土を採取可能であることから、地盤改良体の全体にわたって高い精度で強度を推定可能な方法である。なお、「改良土」とは、地盤改良体の設計範囲内に存在する土砂、硬化材液および土砂と硬化材液との混合物を意図する。また、「地盤改良体の設計範囲内の任意の位置」とは、設計された地盤改良体が地盤中に存在する予定範囲内の地盤表面の任意の地点における任意の深度の地点を意図する。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態における地盤改良体の造成に用いられる地盤改良体造成装置の概略構成図であり、図2は、ノズルが設けられた噴射ロッドの側面図である。
【0036】
まず、地盤改良体造成装置100を用いて、高圧噴射攪拌工法によって、地盤中の所定深度まで貫入させた注入ロッド1の噴射ノズル2から硬化材液を噴射させて攪拌混合することにより地盤改良体を造成する方法について簡単に説明する。
【0037】
図1に示すように、注入ロッド1は、先端に設けられた噴射ロッド3(図2参照)と、その噴射ロッド3に接続された接続ロッド4(図3参照)により構成されている。噴射ロッド3は、先端に4つの先端ノズル101〜104と空気噴射口(図示略)が設けられ、その4つの先端ノズル101〜104、空気噴射口(図示略)から注入ロッド1内を介して供給される水(液体)、空気が噴射される。また、噴射ロッド3の側面には、噴射ノズル2が設けられ、その噴射ノズル2からは注入ロッド1内を介して供給されるセメントミルク(硬化材液)が噴射される。接続ロッド4は、中空の多孔管であり、注入ロッド1を地盤中に貫入する際に順次接続し、深い位置まで注入ロッド1を貫入可能にするものである。ここで、注入ロッド1とは、噴射ロッド3と接続ロッド4とを接続したものだけでなく、噴射ロッド3と接続ロッド4を備えた注入ロッド1から噴射ロッド3を取り外し、後述するビデオサンプリングロッド5を取り付け、ビデオサンプリングロッド5と接続ロッド4からなる注入ロッド1なども含まれる意味である。なお、図1および図2から明らかなように、噴射ロッド3と接続ロッド4は、着脱分離可能に接続されている。
【0038】
地盤改良造成機6は、注入ロッド1を支持するとともに、注入ロッド1を上下動および回転させる機械である。これにより、注入ロッド1は、地盤改良造成機6により、上下動のみならず回転も可能となる。注入ロッド1は、上述したように端部および側面にノズル(噴射ノズル2、先端ノズル101〜104)が設けられ、また、後端部には、スイベル7が取り付けられている。そして、注入ロッド1内には、噴射ノズル2、先端ノズル101〜104、空気噴射口(図示略)にそれぞれセメントミルク、空気、および水(液体)を供給するための水流路14、空気流路15、およびセメントミルク流路16などが設けられている(図3参照)。ここで、図3は、接続ロッド内の流路などを説明する図である。
【0039】
スイベル7は、水供給源8、空気供給源9、およびセメントミルク供給源10からそれぞれ供給される水、空気、およびセメントミルクの各供給管11、12、13(ホース)と連結され、水、空気、およびセメントミルク(硬化材液)を注入ロッド1内に設けられた水流路14、空気流路15、およびセメントミルク流路16に供給する。このように、水供給源8、空気供給源9、およびセメントミルク供給源10から、それぞれ供給されるセメントミルク、空気、および水は、各供給管11〜13→スイベル7→各流路14〜16を経て、ノズル(噴射ノズル2、先端ノズル101〜104)などから噴射される。
【0040】
このように、注入ロッド1の側面に設けられた噴射ノズル2からセメントミルクが噴射され、先端に設けられた先端ノズル101〜104と空気噴射口(図示略)からセメントミルクと水(液体)が噴射されることにより、地盤中に円柱状、扇形柱状、壁状、または格子状の地盤改良体を形成することができる。
【0041】
次に、高圧噴射攪拌工法を用いて造成された地盤改良体の設計範囲内の任意の位置における改良土を採取する装置について説明する。図4は、本発明の一実施形態における地盤改良体の改良土を採取する改良土採取装置の概略構成図である。なお、図4に示す改良土採取装置106では、図1に示す地盤改良体造成装置100の地盤改良造成機6が用いられる。
【0042】
図4に示すように、地盤改良体の設計範囲内の改良土を採取する際には、注入ロッド1は、接続ロッド4と、ビデオサンプリングロッド5と、先端ビット17により構成される。この接続ロッド4とビデオサンプリングロッド5と先端ビット17からなる注入ロッド1は、地盤改良体の造成に用いられた接続ロッド4と噴射ロッド3からなる注入ロッド1のうちの噴射ロッド3を取り外し、それに換えてビデオサンプリングロッド5と先端ビット17を取り付けたものである。
【0043】
ビデオサンプリングロッド5には、カメラ部18と着色剤散布口19を有するカメラ部ロッド20と、サンプリング部21を有するサンプリングロッド22とから構成されている(図5参照)。ここで、図5(a)は、ビデオサンプリングロッドの正面図であり、図5(b)は、ビデオサンプリングロッドの側面一部断面図である。
【0044】
また、サンプリング部21は、改良土収納部28と改良土流入管29の一部を有する改良土下流部分37と、開口部31と改良土流入管29の一部を有する改良土上流部分38を有し、サンプリングロッド22の改良土下流部分37と改良土上流部分38はそれぞれ着脱分離可能に構成されている。そして、改良土下流部分37と改良土上流部分38とが接続された状態では、改良土下流部分37の改良土流入管29と改良土上流部分38の改良土流入管29とが連通する。また、ビデオサンプリングロッド5のカメラ部18と着色剤散布口19を有するカメラ部ロッド20と、サンプリング部21を有するサンプリングロッド22も着脱可能に構成されている。
【0045】
サンプリング部21の開口部31には、サンプリングシャッタ30が設けられている。サンプリングシャッタ30は、2つのエアシリンダ39により支持されている(図6参照)。エアシリンダ39は、サンプリングシャッタ開閉スイッチ33を介し空気供給ホース32により空気供給源9に接続されている。そして、サンプリングシャッタ開閉スイッチ33が「ON」にされることにより、エアシリンダ39が伸びサンプリングシャッタ30が開き、サンプリングシャッタ開閉スイッチ33が「OFF」の状態では、サンプリングシャッタ30は閉じている。ここで、図6(a)は、サンプリングロッドの開口部付近を示す図であり、図6(b)は、図6(a)のA−A断面を示す図である。
【0046】
カメラ部ロッド20には、カメラ部18と着色剤散布口19が設けられている(図7参照)。ここで、図7(a)は、カメラ部ロッドのカメラ部付近を示す図であり、図7(b)は、図7(a)のB−B断面を示す図である。
【0047】
カメラ部18は、地盤中を撮影するものであり、カメラケーブル23により地上のモニター(表示手段)24に接続されている。これにより、カメラ部18によって撮影された地盤中の硬化材液などの画像を地上で確認することができる。
【0048】
カメラ部18は、地盤中を撮影可能なカメラ40と光源41と窓42を有している(図7(b)参照)。光源41は、カメラ40の両側に1個ずつ配置されており、光源41から発せられる光が窓42を通して外側の土砂を照射し、光が照射された範囲をカメラ40で撮影する。これにより、地盤中の土砂の状態を地上のモニター24で目視観察することが可能となる。ここで、カメラ40により撮影される画像は、静止画または動画として地上のモニター24に表示される。なお、窓42は外側が土砂と接するため、傷つき難い透明の素材(例えば、サファイア等)が用いられる。
【0049】
着色剤散布口19は、着色剤を散布するものであり、カメラ部18の下方近傍に設けられている。着色剤散布口19は、着色剤タンク27を介し、着色剤供給ホース25により着色剤供給ポンプスイッチ26に接続されている。そして、着色剤供給ポンプスイッチ26が「ON」になることにより、着色剤タンク27内の着色剤が着色剤散布口19から散布され、その着色剤により着色された硬化材液の画像が地上のモニター24に表示される。
ここで、硬化材液はアルカリ性となるのでpH指示薬を着色剤として用いることができる。pH指示薬は狭い範囲を着色し、着色直後に撮影する方法に用いられる着色剤として適している。本発明において好適なpH指示薬としては、フェノールフタレインが挙げられる。フェノールフタレインは酸性および中性領域では無色であり、アルカリ性領域では赤色を呈するので、セメント系固化材を含む硬化材液と土砂が混在する領域は赤色に着色され、セメント系固化材を含む硬化材液が到達していない領域の土砂は着色されない。また、フェノールフタレインは、アルカリ性雰囲気下で瞬時に赤色を呈するので、着色までのタイムラグを考慮する必要がない。それゆえ、フェノールフタレイン散布直後の撮影画像において、硬化材液の存在を容易かつ確実に確認することができる。
【0050】
先端ビット17は、円錐形状をし、注入ロッド1の先端に取り付けられている。この先端ビット17には、先端に水を噴射する水噴射口34が設けられており、水供給源8から供給された水が水供給ホース35と水流路36(図8参照)を介し水噴射口34に送られ、外部に噴射される。これにより、地盤が切削され、注入ロッド1を地中内に挿入することができる。ここで、図8は、図5(b)のC−C断面を示す図である。
【0051】
なお、本実施形態では、地盤改良体の設計範囲内の改良土を採取する際に、接続ロッド4とビデオサンプリングロッド5からなる注入ロッド1を使用する態様について説明したが、これに限らず、地盤改良体を造成する際、および地盤改良体の設計範囲内の改良土を採取する際に、接続ロッド4に噴射ロッド3とビデオサンプリングロッド5を順次接続した注入ロッド1を用いてもよい。このように、接続ロッド4に噴射ロッド3とビデオサンプリングロッド5を接続した注入ロッド1を用いることにより、地盤改良体を造成して、そのまま地盤改良体の改良土を採取することができる(図9参照)。図9は、本発明の変形例の地盤改良体の強度推定方法に用いられる地盤改良体造成装置の概略構成図である
【0052】
次に、図10を用いて、本発明の地盤改良体の強度推定方法について説明する。図10は、本発明の一実施形態における地盤改良体の強度推定工程のフローチャートである。
【0053】
〔地盤改良体造成ステップ〕
まず、S1により、注入ロッド1を用いて地盤を所定の深度まで削孔した後、該注入ロッド1を回転または揺動させながら引き上げつつ、注入ロッド1の下端に装着されている噴射ノズル2から、硬化材液を水平方向に超高圧で噴射することによって、既存の地盤を切削させ、硬化材液と地盤を形成する軟弱土を撹拌混合し、円柱状または扇柱状の地盤改良体を形成する(高圧噴射撹拌工法(図1参照))。この地盤改良体造成ステップでは、噴射ノズル2が設けられている噴射ロッド3と接続ロッド4からなる注入ロッド1が用いられている。なお、本発明の地盤改良体の強度推定方法は、地盤改良体が形成されていることが前提で行われるものなので、本発明の地盤改良体の強度推定方法に地盤改良体造成ステップを特に含めなくてもよい。
【0054】
〔注入ロッド貫入ステップ〕
次に、S2により、所定の位置に注入ロッド1が貫入される。注入ロッド1の貫入は、硬化材液が硬化する前に行われ、地盤改良体造成ステップ(S1)により注入ロッド1が貫入された位置から所定の距離離れた地点、すなわち地盤改良体の改良土を採取しようとする所望の位置に、地盤中を撮影可能なカメラ部18と地盤改良体から改良土を採取するサンプリング部21が設けられたビデオサンプリングロッド5が備えられた注入ロッド1が地盤中に貫入され(図4参照)、通常の地盤を通過してビデオサンプリングロッド5の先端が目的の深度に到達するまで順次接続ロッド4を接続しながら貫入される。その際、通常の地盤を通過する直前まで注入ロッド1の先端に設けられた先端ビット17の水噴射口34から水が噴射されて地盤が削孔され、その後は地盤下方方向に力を掛けて注入ロッド1が貫入される。ここで、注入ロッド1の貫入の際には、地盤改良体の造成に用いられた地盤改良造成機6が用いられ、先端ビット17とビデオサンプリングロッド5と接続ロッド4からなる注入ロッド1が用いられる。
【0055】
〔画像表示ステップ〕
次に、S3により、地盤中の画像がモニター24に表示される。地盤中の硬化材液などの画像表示(S3)は、上述した注入ロッド1の貫入と並行して行われる。すなわち、画像表示は、注入ロッド1が地盤中に貫入されながら、注入ロッド1に設けられたカメラ部18により撮影された画像が地上のモニター24に表示される。ここで、本実施形態では、硬化材液の画像をモニター24に表示させるために、注入ロッド1を貫入させながら、カメラ部18の下部近傍に設けられた着色剤散布口19から硬化材液と土砂とを識別するための着色剤を散布させ(着色ステップ)、硬化材液を着色させている。このように、着色剤散布口19がカメラ部18の下部近傍に設けられているので、注入ロッド1が貫入されながら着色剤散布口19から着色剤が散布され、その後に着色剤が散布された場所にカメラ部18が移動するので、着色された硬化材液の画像を少ない着色剤であっても確実にモニター24に表示することができる。なお、本実施形態では、注入ロッド1を貫入する際に着色剤を散布する態様について説明したが、これに限らず、注入ロッド1を抜き取る際に着色剤を散布するようにしてもよい。この場合は、着色剤散布口19はカメラ部18の上部近傍に設けられる。また、本実施形態では、硬化材液などの画像表示において、注入ロッド1に設けられた着色剤散布口19から硬化材液と土砂とを識別するための着色剤を散布させた(着色ステップ)が、特に着色剤を散布しない態様で行ってもよい。
【0056】
〔改良土採取ステップ〕
次に、S4により、改良土が採取される。地盤改良体の改良土の採取は、サンプリングロッド22のサンプリング部21により行われる。詳述すると、注入ロッド1が地盤改良体の設計範囲内の所定の位置に到達した後、すなわち地盤改良体の改良土を採取する所望の位置に到着した後に、サンプリングシャッタ開閉スイッチ33を「ON」にすることにより、サンプリングシャッタ30が開口される。このサンプリングシャッタ30は上方に開口しているので、注入ロッド1が引き上げられることにより開口部31からサンプリング部21内に改良土が入り込み、開口部31から入り込んだ改良土は改良土流入管29を通って改良土収納部28に流れ込み、改良土収納部28に改良土が収納される。そして、所望の量の改良土が改良土収納部28に収納されたと判断された場合に、サンプリングシャッタ開閉スイッチ33を「OFF」にすることにより、サンプリングシャッタ30が閉口される。なお、改良土収納部28内に収納されている改良土の量は、改良土収納部28内に圧力センサ(図示略)を複数個配置し、それぞれの圧力センサの圧力変化により求めてもよい。すなわち、改良土収納部28内の改良土が収納されている部分は改良土の流れがなく改良土収納部28内の改良土と接する部分の圧力が高くなる。この性質を利用して改良土収納部28内の改良土の量を判断することができる。
【0057】
改良土の採取が終了した後に注入ロッド1は地上に引き上げる。そして、ビデオサンプリングロッド5の改良土下流部分37をそれ以外の注入ロッド1から取り外し、改良土収納部28内の塩化ビニル製の中空管43を改良土収納部28から引き抜き、中空管43内の改良土を取り出す(図4参照)。このように、ビデオサンプリングロッド5には開口部31以外の開口がないので、注入ロッド1が引き抜き時に目的の位置以外の改良土が混入することはない。
【0058】
〔強度測定用試料作製ステップ〕
次に、S5により、強度測定用試料の作製が行われる。強度測定用試料の作製では、改良土採取ステップで採取した改良土を型枠に充填して強度測定用試料が作製される。型枠の大きさや形状は特に限定されないが、後述する強度測定ステップにおいて規格に基づいた強度測定用試料が必要である場合は、規格に従って強度測定用試料が作製される。例えば、強度測定ステップにおいて一軸圧縮試験を行う場合には、直径5cm×高さ10cm、直径4cm×高さ8cm、直径3.5cm×高さ7cmの強度測定用試料(供試体)を作製し得る型枠が好適に用いられる。型枠種類としては、鋳鉄製2つ割りモールド、エポキシ樹脂モールド、金属製や紙製の有底円筒缶、塩化ビニル缶などが挙げられる。強度測定用試料の作製は、地盤工学会基準「安定処理土の締固めをしない供試体作製方法(JGST
821)」を参照して行うことができる。
【0059】
〔促進養生ステップ〕
次に、S6により、強度測定用試料の促進養生が行われる。強度測定用試料の促進養生では、強度測定用試料作製ステップで作製した強度測定用試料が促進養生される。促進養生は、例えば、強度測定用試料を型枠のまま電気乾燥炉(電気恒温機)や温水養生装置(恒温水槽)に収容し、温度を加えることにより行うことができる。強度測定用試料の乾燥を防止するために、強度測定用試料を樹脂フィルムで密封したり、強度測定用試料を密封容器に入れてから加温することが好ましい。加える温度は、コンクリート試験体の標準養生温度(20±3℃)を超える温度であればよい。好ましくは30℃〜80℃、より好ましくは40℃〜60℃である。養生時間は加える温度により適宜選択される。具体的には、例えば55℃に設定した温水養生装置で20〜24時間養生する方法が挙げられる。
【0060】
〔強度測定ステップ〕
次に、S7により、強度測定用試料の強度測定が行われる。強度測定用試料の強度測定では、促進養生ステップ後の強度測定用試料の強度が測定される。促進養生後の強度測定用試料を室温に戻し、型枠を取り外して強度測定を行う。強度測定試験としては、例えば一軸圧縮試験、超音波試験、割裂試験、動的変形試験などを挙げることができる。一軸圧縮試験はJIS A1216「土の一軸圧縮試験方法」またはJIS A1108「コンクリートの圧縮試験方法」に準じて行うことができる。超音波試験はP波、S波を測定する試験であり、JGS 2110−1998「パルス透過法による超音波速度測定方法」を参照して行うことができる。割裂試験は引張強度を測定する試験でありJGS 2551−2002「圧裂による岩石の引張り強さ試験方法」を参照して行うことができる。動的変形試験は動的な性質(剛性低下・減衰など)を測定する試験であり、JGS 0542−2000「地盤材料の変形特性を求めるための繰返し三軸試験方法」を参照して行うことができる。
【0061】
〔強度推定ステップ〕
次に、S8により、地盤改良体の強度が推定される。地盤改良体の強度の推定は、硬度測定ステップにおいて得られた供試体の強度に基づいて地盤改良体の強度が推定される。地盤改良体の強度推定は、過去の蓄積データに基づいて得られる式を用いて行うのが一般的である。地盤改良体の強度推定に用いられる式は、通常期間(例えば20℃で28日)養生後の供試体強度と、促進養生後の供試体強度との関係から求められる(特許文献1参照)。前段の硬度測定ステップにおいて得られた供試体の強度を、上述の関係式に適用することで、地盤改良体の強度を推定することができる。そして、地盤改良体の設計範囲内の異なる位置における改良土を採取して行なうことにより、予定していた場所の地盤改良体の広い範囲での強度が推定できる。
【0062】
以上のように、本発明によれば、高圧噴射攪拌工法によって造成される地盤改良体の設計範囲内の任意の位置における改良土を採取可能であり、目的の位置の改良土を簡便かつ確実に採取することができるので、地盤改良体の設計範囲内の複数の異なる位置から改良土を採取して強度測定用試料を作製し、これを促進養生して強度測定することにより、施工後短期間のうちに、地盤改良体の全体にわたって高い精度で強度を推定することが可能となる。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される
【0064】
次に本発明の変形例について説明する。
(1) 本実施形態では、地盤中の注入ロッド1の位置を検出していない態様について説明したが、これに限らず、地盤中の注入ロッド1、特にサンプリング部21の位置を検出するようにしてもよい。例えば、ビデオサンプリングロッド5の近傍(または内部)に位置センサを設けられる。この位置センサは、地盤中の注入ロッド1の傾斜角および傾斜方位(東西南北)をそれぞれ検出するものであり、注入ロッド1の傾斜角および傾斜方位(東西南北)をそれぞれ検出するための傾斜計および方位計が備えている。なお、位置センサには、位置情報伝送ケーブルが接続され、傾斜計および方位計により検出された傾斜角および傾斜方位の情報が地上のコンピュータに伝送される。コンピュータでは、伝送されてきた傾斜角および傾斜方位の情報と地面からサンプリング部21(開口部)まで注入ロッド1の長さを用い、サンプリングロッド22(サンプリング部21)の位置をモニターに表示する。
【0065】
これにより、ビデオサンプリングロッド5の内部または近傍に位置センサが設けられているので、地盤中のビデオサンプリングロッド5の位置を3次元的に検出することができる。そのため、ビデオサンプリングロッド5の貫入方向が鉛直方向からずれた場合でも、どの方向にどれだけずれた位置で改良土を採取しているのか3次元的に把握することができ、目的の採取位置と実際の採取位置のずれに起因する精度の低下を防止し、高い精度を維持することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 注入ロッド
2 噴射ノズル
3 噴射ロッド
4 接続ロッド
5 ビデオサンプリングロッド
6 地盤改良造成機
7 スイベル
8 水供給源
9 空気供給源
10 セメントミルク供給源
11 水供給管
12 空気供給管
13 セメントミルク供給管
14 水流路
15 空気流路
16 セメントミルク流路
17 先端ビット
18 カメラ部
19 着色剤散布口
20 カメラ部ロッド
21 サンプリング部
22 サンプリングロッド
23 カメラケーブル
24 モニター
25 着色剤供給ホース
26 着色剤供給ポンプスイッチ
27 着色剤タンク
28 改良土収納部
29 改良土流入管
30 サンプリングシャッタ
31 開口部
32 空気供給ホース
33 サンプリングシャッタ開閉スイッチ
34 水噴射口
35 水供給ホース
36 水流路
37 改良土下流部分
38 改良土上流部分
39 エアシリンダ
40 カメラ
41 光源
42 窓
43 中空管
100 地盤改良体造成装置
101 先端ノズル
102 先端ノズル
103 先端ノズル
104 先端ノズル
106 改良土採取装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧噴射攪拌工法によって、地盤中の所定深度まで貫入させた注入ロッドの噴射ノズルから硬化材液を噴射させて攪拌混合することにより造成される地盤改良体の強度推定方法であって、
前記硬化材液が硬化する前に、前記注入ロッドの貫入位置から所定距離離れた地点において、前記地盤改良体から改良土を採取するサンプリング部が設けられたサンプリングロッドを備える前記注入ロッドを地盤中に貫入する注入ロッド貫入ステップと、
前記サンプリング部から前記地盤改良体の改良土を採取する改良土採取ステップと、
該改良土採取ステップにより採取された改良土から強度測定用試料を作製する強度測定用試料作製ステップと、
該強度測定用試料作製ステップにより作製された強度測定用試料を促進養生する促進養生ステップと、
該促進養生ステップ後の強度測定用試料の強度を測定する強度測定ステップと、
該強度測定ステップにより得られた強度測定用試料の強度に基づいて前記地盤改良体の強度を推定する強度推定ステップと、
を有する地盤改良体の強度推定方法。
【請求項2】
高圧噴射攪拌工法によって、地盤中の所定深度まで貫入させた注入ロッドの噴射ノズルから硬化材液を噴射させて攪拌混合することにより造成される地盤改良体の強度推定方法であって、
前記硬化材液が硬化する前に、前記注入ロッドの貫入位置から所定距離離れた地点において、地盤中を撮影可能なカメラ部と前記地盤改良体から改良土を採取するサンプリング部が設けられたビデオサンプリングロッドを備える前記注入ロッドを地盤中に貫入する注入ロッド貫入ステップと、
前記カメラ部により撮影された画像を地上のモニターに表示させる画像表示ステップと、
前記サンプリング部から前記地盤改良体の改良土を採取する改良土採取ステップと、
該改良土採取ステップにより採取された改良土から強度測定用試料を作製する強度測定用試料作製ステップと、
該強度測定用試料作製ステップにより作製された強度測定用試料を促進養生する促進養生ステップと、
該促進養生ステップ後の強度測定用試料の強度を測定する強度測定ステップと、
該強度測定ステップにより得られた強度測定用試料の強度に基づいて前記地盤改良体の強度を推定する強度推定ステップと、
を有する地盤改良体の強度推定方法。
【請求項3】
前記注入ロッドは、前記ビデオサンプリングロッドと該ビデオサンプリングロッド以外の注入ロッドとを着脱分離可能に構成したことを特徴とする請求項2記載の地盤改良体の強度推定方法。
【請求項4】
前記地盤改良体の造成に用いられた前記注入ロッドは、前記噴射ノズルが設けられた噴射ロッドを有し、
前記注入ロッド貫入ステップでは、前記噴射ロッドを取り外し、前記ビデオサンプリングロッドを取り付けた前記注入ロッドを用いることを特徴とする請求項3記載の地盤改良体の強度推定方法。
【請求項5】
前記改良土採取ステップは、前記地盤改良体の設計範囲内の異なる位置における改良土を採取することを特徴とする請求項2記載の地盤改良体の強度推定方法。
【請求項6】
前記注入ロッドは、
前記カメラ部の近傍に着色剤を散布する着色剤散布口をさらに備え、
前記画像表示ステップは、前記着色剤散布口から前記硬化材液を土砂と識別可能に着色する着色剤を散布して前記硬化材液を着色する着色ステップを包含し、
前記画像表示ステップにおいて、着色された前記硬化材液の画像が前記モニターに表示されることを特徴とする請求項2記載の地盤改良体の強度推定方法。
【請求項7】
前記サンプリング部は、
前記注入ロッドの内部に設けられ、改良土を収容可能な改良土収納部と、
該改良土収納部と連通し、前記地盤改良体から採取された改良土が流入する改良土流入管と、
該改良土流入管と連通し、前記注入ロッドの側壁にサンプリングシャッタが設けられた開口部とを備え、
前記注入ロッドが前記地盤改良体の設計範囲内の所定の位置に到達した後に、前記サンプリングシャッタを開口することにより、前記改良土収納部に改良土を収納可能となる請求項2記載の地盤改良体の強度推定方法。
【請求項8】
前記ビデオサンプリングロッドは、前記サンプリング部のうち、前記改良土収納部と前記改良土流入管の一部を有する改良土下流部分と、前記開口部と前記改良土流入管の一部を有する改良土上流部分とを着脱分離可能とし、該改良土下流部分と該改良土上流部分とが接続された状態では、前記改良土下流部分の改良土流入管と前記改良土上流部分の改良土流入管が連通することを特徴とする請求項7記載の地盤改良体の強度推定方法。
【請求項9】
前記ビデオサンプリングロッドの内部または近傍に位置センサが設けられ、
該位置センサは、地盤中の前記注入ロッドの傾斜角および傾斜方位をそれぞれ検出するための傾斜計および方位計を備え、
前記傾斜計および前記方位計から得られる傾斜角情報および傾斜方位情報を用いて、地盤中の前記ビデオサンプリングロッドの位置を検出する位置検出ステップを包含することを特徴とする請求項2記載の地盤改良体の強度推定方法。























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−255318(P2010−255318A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107151(P2009−107151)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【出願人】(599070260)有限会社ニューテック研究▲しゃ▼ (14)
【Fターム(参考)】