説明

地盤改良工法

【課題】地盤改良工法により形成された柱状固結体の周辺地盤の液状化を防止し、また、液状化した地盤中において柱状固結体が硬質地盤に到達していない場合であっても、柱状固結体の倒壊、浮上を防止できる地盤改良工法を提供する。
【解決手段】先端に掘削ヘッド2が設けられるとともに掘削ヘッド2の上方に攪拌翼3が設けられた掘削機1を用いて地盤13を掘削して掘削穴5を形成し、掘削ヘッド2の下方に形成された第1吐出口7から掘削穴5の下方5bに第1グラウト11を吐出させて地盤13と混合させるとともに、掘削穴5の側方5aに向けて攪拌翼3に形成された第2吐出口9から掘削穴5の側方5aの地盤13に第2グラウト12を加圧して圧入させる掘削工程と、掘削工程において圧入させた第2グラウト12を地盤13に注入して、掘削穴5に吐出させた第1グラウト11と地盤13に注入した第2グラウト12とを一体的に固結させる固結工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラウトを地盤に注入して軟弱地盤を強化させる地盤改良工法に関し、特に地震時に地盤が液状化し易い土砂層の地盤改良の効果の維持に好適な地盤改良工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、軟弱地盤の上に構造物を建設する場合において、杭を地盤中に打設して杭の支持力によって構造物の荷重を支える杭基礎工法や、グラウトを地盤に注入する地盤改良工法を用いることが一般的である。
【0003】
杭基礎工法は、支持杭の杭基礎工法と摩擦杭の杭基礎工法とに分類される。先ず支持杭は、軟弱地盤よりも下層の硬質地盤まで杭の先端を到達させて支持するものである。支持杭は、深い硬質地盤まで杭を打設する必要があり、浅い軟弱地盤に打設する摩擦杭よりも深くまで掘削する必要があるため、支持杭の打設の施工費用は、一般的に増大する。また摩擦杭は、硬質地盤よりも上層の軟弱地盤において、杭と周辺地盤との周辺摩擦力によって支持するものである。摩擦杭の打設の施工費用は、支持杭の打設に比べて低廉であるが、地盤の液状化によって杭と周辺地盤との摩擦力が失われると、地盤中で杭が倒壊するおそれがあり、また地盤中の浮力により杭が浮き上がるおそれもある。
【0004】
これに対して地盤改良工法は、地盤中に杭を打設する代わりに、グラウトを軟弱地盤に注入することによって地盤を強化するものである。地盤改良工法は、地盤中にセメント系材料等のグラウトを注入して、地盤中の土砂とグラウトとを混合させて固結させる。地盤改良工法は、地盤中に柱状の固結体を形成することによって、その柱状固結体に杭と同様の機能を担わせて構造物を支持するものである。地盤改良工法は、既製杭の打設音の発生が許容されない環境である場合や既製杭の打設スペースが確保できない場合等に、杭基礎工法に代替して用いるものである。地盤改良工法は、杭基礎工法と同様に、硬質地盤に到達するまで柱状固結体を形成する場合に相応の掘削深度を必要とするため、一般的に施工費用が増大する。地盤改良工法は、柱状固結体を硬質地盤に到達させない場合においても杭基礎工法と同様に、低廉な施工費用である反面、軟弱地盤の液状化による柱状固結体の倒壊、浮上のおそれがあるという問題がある。
【0005】
柱状固結体を硬質地盤に到達させない場合に、柱状固結体の倒壊、浮上を防止することを目的として、特許文献1に開示される地盤改良工法が、従来から提案されている。特許文献1に開示された地盤改良工法は、柱状固結体の周辺地盤にグラウトを注入し、周辺地盤中の土砂と注入したグラウトとを混合して固結させ、周辺地盤を強化するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−72810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、地盤改良工法により形成された地盤中の柱状固結体の周辺地盤の液状化を防止し、また、液状化した地盤中において柱状固結体が硬質地盤に到達していない場合であっても、柱状固結体の倒壊、浮上を防止することのできる地盤改良工法を低廉な施工費用で提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上述した課題を解決するために、掘削穴の側方にグラウトを強制的に加圧して圧入させてこれを地盤中に注入し、掘削穴において掘削土砂と攪拌混合させたグラウトと一体的に固結させる地盤改良工法を提案した。
【0009】
本願請求項1に記載の地盤改良工法は、先端に掘削ヘッドが設けられるとともに上記掘削ヘッドの上方に攪拌翼が設けられた掘削機を用いて地盤を掘削して掘削穴を形成し、上記掘削ヘッドを上記掘削穴から引き上げながら上記掘削ヘッドの下方に形成された第1吐出口から上記掘削穴の下方に第1グラウトを吐出させるとともに、上記掘削穴の側方に向けて上記攪拌翼に形成された第2吐出口から、上記掘削穴の側方の地盤中に第2グラウトを加圧して圧入させる掘削工程と、上記掘削工程において圧入させた上記第2グラウトを地盤中に注入して、上記掘削穴に吐出させた上記第1グラウトと上記地盤中に注入した上記第2グラウトとを一体的に固結させる固結工程とを有することを特徴とする。
【0010】
本願請求項2に記載の地盤改良工法は、請求項1に記載の地盤改良工法において、上記固結工程において、地盤中に注入した上記第2グラウトによって地盤中に貫入孔を形成し、上記第2グラウトの一部を上記貫入孔から地盤中に脈状に圧入させて固結させるとともに、上記貫入孔において上記第2グラウトを固結させることを特徴とする。
【0011】
本願請求項3に記載の地盤改良工法は、請求項1又は2に記載の地盤改良工法において、上記掘削工程において、上記攪拌翼の回転を一時停止させ、上記第2吐出口から上記掘削穴の側方の地盤中に上記第2グラウトを加圧して圧入させることを特徴とする。
【0012】
本願請求項4に記載の地盤改良工法は、請求項1又は2に記載の地盤改良工法において、上記掘削工程において、上記攪拌翼を回転させながら、上記第2吐出口から上記掘削穴の側方の地盤中に上記第2グラウトを加圧して圧入させることを特徴とする。
【0013】
本願請求項5に記載の地盤改良工法は、請求項1〜4の何れか1項に記載の地盤改良工法において、上記掘削工程において、上記掘削穴を形成する過程で掘削ヘッドを下降させながら上記第2吐出口から上記掘削穴の側方の地盤中に上記第2グラウトを加圧して圧入させることを特徴とする。
【0014】
本願請求項6に記載の地盤改良工法は、請求項1〜5の何れか1項に記載の地盤改良工法において、上記掘削工程において、1〜10MPaに加圧した上記第2グラウトを上記第2吐出口から圧入させることを特徴とする。
【0015】
本願請求項7に記載の地盤改良工法は、請求項1〜6の何れか1項に記載の地盤改良工法において、上記掘削工程において、上記第1グラウト及び上記第2グラウトとして少なくともセメントと水とが混練されてなるセメント系材料を用い、上記第1グラウトと土砂とが混合されてなる固結体の固結強度と同等以上の固結強度となる上記第2グラウトを上記第2吐出口から圧入させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の地盤改良工法は、第2グラウトを地盤中で脈状に固結させて強固な固結体を形成することで地盤の液状化を防止することができる。また本発明の地盤改良工法は、第1グラウトと第2グラウトを一体的に固結させることで、柱状固結体の倒壊、浮上を防止することができる。さらに本発明の地盤改良工法は、局所的に第2グラウトを注入するためグラウトの使用量を少なくすることができ、柱状固結体の周辺地盤との混合を必要としないため施工に要する期間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した地盤改良工法が施工された地盤とその地盤上の構造物を示す正面図である。
【図2】掘削ヘッド及び攪拌翼からグラウトが吐出、圧入する状況を示す拡大正面図である。
【図3】攪拌翼からグラウトが圧入する状況を示す拡大平面図である。
【図4】(a)は地盤の掘削過程を示す正面図である。(b)はグラウトの吐出、圧入過程を示す正面図である。(c)は地盤改良工法の施工完了を示す正面図である。
【図5】地盤改良工法を施工した地盤の状況を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態として、グラウトを地盤に注入して軟弱地盤の強さを増大させる地盤改良工法について、一例として図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明を適用して地盤改良工法が施工された地盤とその地盤上の構造物を示す正面図である。図2は、掘削ヘッド及び攪拌翼からグラウトが吐出、圧入する状況を示す拡大正面図である。図3は、攪拌翼からグラウトが圧入する状況を示す拡大平面図である。
【0020】
地盤改良工法に用いる掘削機1は、図2に示すように、地上から掘削穴5に進入させる掘削ロッド17の先端に掘削ヘッド2が設けられ、掘削ヘッド2の上方には掘削ロッド17を回転軸とした攪拌翼3が設けられている。この掘削ヘッド2と攪拌翼3とは、一体構造であっても、又は掘削ヘッド2と攪拌翼3は離れた位置にあってもよい。
【0021】
掘削ヘッド2は、図2に示すように、下方に向かって掘削刃4及び第1吐出口7を備えている。掘削ヘッド2は、掘削ロッド17を軸として回転して地盤13を掘削するものであるが、これに限らず、掘削刃4から与えられる振動や衝撃によって地盤13を掘削するものであってもよい。掘削刃4は、直方体や半円体、錐体等の形状であってもよい。
【0022】
攪拌翼3は、図3に示すように、掘削機1の掘削方向の断面の中心1aから掘削穴5の側方5aに向かって延設されており、掘削機1の掘削方向の断面の中心1aに対して点対称に2枚の翼状板6が設けられている。攪拌翼3は、掘削機1の掘削方向の断面の中心1aから掘削穴5の側方5aに向けて延伸していればいかなる構成であってもよく、1枚の翼状板6により構成するもの、3枚以上の翼状板6により構成するもの、柱体、螺旋羽根等の形状であってもよい。攪拌翼3は、図3に示すように、掘削穴5の側方5aに向かって第2吐出口9を備えている。
【0023】
第1吐出口7は、図2に示すように、掘削ロッド17の内部に設けられた第1管体8から第1グラウト11を吐出させる。第1吐出口7は、図3に示す掘削ヘッド2における掘削機1の掘削方向の断面の中心1aに、図2に示すように、掘削穴5の下方5bに向かって設けられている。第1吐出口7は、圧入ノズルの形状となっていてもよい。第1吐出口7は、掘削穴5の下方5bに向かっていればいかなる位置に設けられていてもよく、掘削ヘッド2において掘削機1の掘削方向の断面の図示しない側端に設けられていてもよい。
【0024】
第1吐出口7から吐出される第1グラウト11は、所定の流動性を有するとともに、掘削により発生した土砂と攪拌混合して固結強度が0.5〜6.0N/mm2となるようなセメント系材料を用いる。
【0025】
第2吐出口9は、図2に示すように、掘削ロッド17の内部に設けられた第2管体10から第2グラウト12を圧入させる。第2吐出口9は、掘削穴5の側方5aに向けて攪拌翼3の端面3aに設けられている。第2吐出口9は、圧入ノズルの形状となっていてもよく、1枚の攪拌翼3の端面3aにおいてのみ設けられていてもよい。第2吐出口9は、攪拌翼3の複数箇所に設けられていてもよい。
【0026】
第2吐出口9から圧入される第2グラウト12は、地盤13に注入するために必要な流動性を有するとともに、所定の強度を得ることができるセメント系材料を用いる。第2グラウト12は、水ガラスを用いてもよい。第2グラウト12は、粘着材あるいは強度増強剤としてベントナイト、水ガラス又は硫酸バンド等を配合して用いてもよい。第2グラウト12自体の固結強度は、第1グラウト11と地盤13とを混合した固結強度と同等あるいはそれ以上の強度であってもよい。
【0027】
図4(a)乃至(c)は、地盤改良工法の施工過程を示す正面図である。本発明は、掘削ヘッド2を掘削穴5から引き上げながら第1グラウト11を吐出させるとともに第2グラウト12を圧入させる掘削工程と、第2グラウト12を地盤13に注入して掘削穴5に吐出させた第1グラウト11と一体的に固結させる固結工程とからなる地盤改良工法である。
【0028】
本発明の掘削工程は、先ず、図2に示す掘削ロッド17を軸として掘削刃4を回転させながら地盤13に進入させることによって、図4(a)に示すように地盤面13aの上方から地盤13を掘削して掘削穴5を形成させる。次に、図2に示す攪拌翼3を回転させながら、図4(b)に示すように掘削ヘッド2を地上に引き上げる。このとき、図4(b)に示す掘削工程において、図2に示すように第1吐出口7から掘削穴5の下方5bに第1グラウト11を吐出させて土砂と混合させる。このとき、第1グラウト11を地上と第1吐出口7の高低差の圧力によって吐出させてもよいし、さらに加圧して吐出させてもよい。また、図3に示すように第2吐出口9から掘削穴5の側方5aに向けて第2グラウト12を加圧して圧入させる。第2グラウト12は、貫入孔14を形成できる圧力、例えば1〜10MPa程度の加圧がなされてもよい。なお、通常の注入圧力とは異なり、強制的に高い圧力を付加させて地盤13に第2グラウト12を貫入させることができ、指方性を確保できる。
【0029】
本発明の掘削工程は、攪拌翼3を回転させ、掘削ヘッド2を埋没させている掘削土砂を流動させながら掘削ヘッド2を地上に引き上げるため、その引き上げが容易となる。また、第1吐出口7から第1グラウト11を吐出させながら攪拌翼3を回転させて掘削ヘッド2を引き上げるため、掘削ヘッド2の引き上げの際に掘削穴5の中で掘削土砂と第1グラウト11とを攪拌混合することができる。さらに、回転する攪拌翼3の端面3aに設けられた第2吐出口9から第2グラウト12が圧入されるため、掘削穴5の側方5aの地盤13に対して掘削方向の断面のあらゆる方向に第2グラウト12を貫入させることができる。
【0030】
本発明の掘削工程は、第2グラウト12を圧入する際に攪拌翼3の回転を一時停止させることで、その停止した箇所で掘削穴5の側方5aの地盤13に対して局所的に集中して第2グラウト12を注入することができる。本発明の掘削工程において、攪拌翼3を回転させながら第2グラウト12を圧入した場合は、攪拌翼3の回転を停止させないため施工の効率性は向上する。
【0031】
本発明の掘削工程は、地盤13の掘削、掘削ヘッド2の引き上げ、第1グラウト11と掘削土砂との攪拌混合及び第2グラウト12の圧入を一連の作業によって行なうことができ効率的な施工が可能となる。
【0032】
本発明の固結工程は、図2に示すように第2グラウト12を掘削穴5の側方5aに向けて加圧して圧入させ、第2グラウト12を地盤13に横向きに注入させる。本発明の固結工程において、地盤13に対して加圧して注入された第2グラウト12が土粒子を押し分けて地盤13に進入することによって貫入孔14が形成される。その後、第2グラウト12は、地盤13で形成された貫入孔14の周辺地盤に脈状に細かく圧入される。
【0033】
図5は、地盤改良工法を施工した地盤13の状況を示す拡大正面図である。本発明の固結工程は、図5に示すように第2グラウト12を地盤13の遠くまで浸入した貫入孔14を通じて、周辺の地盤13において地盤13の奥に至るに従って分枝部分を増加させながら細かく圧入される。この第2グラウト12を固結させることによって脈状固結体16が形成され、広い範囲で土粒子との摩擦力を増大させ、軟弱地盤の液状化を防止することが可能となる。
【0034】
本発明の固結工程は、図2に示すように掘削穴5の側方5aの地盤13に対して局所的に第2グラウト12を注入し、掘削穴5の側方5aの地盤13を構成する土砂と第2グラウト12との混合を必要とせずに、簡易に軟弱地盤の液状化を防止できる。第2グラウト12を局所的に注入するため、掘削穴5の周辺の地盤13と第2グラウト12とを全体的に混合させる場合と比較して、第2グラウト12の使用量を少なくすることができる。したがって、地盤改良工法に必要となる施工費用の増大を抑制することができる。また、掘削穴5の周辺の地盤13を構成する土砂に第2グラウト12の圧入は時間を必要としないため、施工期間を短縮することができる。
【0035】
本発明の固結工程では、第2グラウト12は貫入孔14において、第1グラウト11は掘削穴5において、互いにほぼ同じタイミングで固結する。また、図5に示すように、掘削穴5の柱状固結体15は脈状固結体16と、掘削穴5と貫入孔14との境界14bを介して一体的に形成される。
【0036】
本発明は、柱状固結体15の周辺の地盤13が液状化した場合であっても、その液状化した地盤13よりも奥の液状化していない地盤13に形成された脈状固結体16に摩擦力が発生する。図5に示すように柱状固結体15と脈状固結体16とが掘削穴5と貫入孔14との境界14bを介して一体的に形成されるため、脈状固結体16に発生した摩擦力が柱状固結体15に伝達される。これにより、脈状固結体16から柱状固結体15に伝達した摩擦力によって柱状固結体15の倒壊、浮上を防止することができる。また、図1に示すように、複数の柱状固結体15を形成した場合は、図5に示す脈状固結体16が、複数の柱状固結体15によって地盤13に高密度に形成されるため、より強固に柱状固結体15の倒壊、浮上を防止することができる。
【0037】
本発明の固結工程において、第1グラウト11及び第2グラウト12が固結する前に、貫入孔14と掘削穴5の境界14bを介して第2グラウト12の一部が第1グラウト11に混合する。本発明において、第2グラウト12として用いられるセメント系材料のグラウト自体の固結強度が第1グラウト11と地盤13とを混合した固結強度と同等あるいはそれ以上となる。これにより、第2グラウト12の固結後の強度は、第1グラウト11の固結後の強度以上となり、第2グラウト12の一部が混合した第1グラウト11によって形成される柱状固結体15の強度が低下することを回避することができる。
【0038】
本発明において、第1吐出口7は、図示しない地上のグラウト供給設備と第1管体8によって連通され、第2吐出口9は、図示しない地上のグラウト供給設備と第2管体10によって連通される。これにより、本発明は、地盤13の状況に応じて第1グラウト11及び第2グラウト12として用いられるセメント系材料の配合比を調整することが可能となり、地盤13の状況に臨機応変に対応することができる。
【0039】
なお、本発明の掘削工程は、掘削の後、掘削ヘッド2を引き上げる際に第2グラウト12を吐出させるものであるが、これに限らず、掘削の際に掘削ヘッド2を掘削穴5に下降させながら第2グラウト12を吐出させてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 掘削機
2 掘削ヘッド
3 攪拌翼
4 掘削刃
5 掘削穴
6 翼状板
7 第1吐出口
8 第1管体
9 第2吐出口
10 第2管体
11 第1グラウト
12 第2グラウト
13 地盤
14 貫入孔
15 柱状固結体
16 脈状固結体
17 掘削ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に掘削ヘッドが設けられるとともに上記掘削ヘッドの上方に攪拌翼が設けられた掘削機を用いて地盤を掘削して掘削穴を形成し、上記掘削ヘッドを上記掘削穴から引き上げながら上記掘削ヘッドの下方に形成された第1吐出口から上記掘削穴の下方に第1グラウトを吐出させるとともに、上記掘削穴の側方に向けて上記攪拌翼に形成された第2吐出口から、上記掘削穴の側方の地盤中に第2グラウトを加圧して圧入させる掘削工程と、
上記掘削工程において圧入させた上記第2グラウトを地盤中に注入して、上記掘削穴に吐出させた上記第1グラウトと上記地盤中に注入した上記第2グラウトとを一体的に固結させる固結工程とを有すること
を特徴とする地盤改良工法。
【請求項2】
上記固結工程において、地盤中に注入した上記第2グラウトによって地盤中に貫入孔を形成し、上記第2グラウトの一部を上記貫入孔から地盤中に脈状に圧入させて固結させるとともに、上記貫入孔において上記第2グラウトを固結させること
を特徴とする請求項1に記載の地盤改良工法。
【請求項3】
上記掘削工程において、上記攪拌翼の回転を一時停止させ、上記第2吐出口から上記掘削穴の側方の地盤中に上記第2グラウトを加圧して圧入させること
を特徴とする請求項1又は2に記載の地盤改良工法。
【請求項4】
上記掘削工程において、上記攪拌翼を回転させながら、上記第2吐出口から上記掘削穴の側方の地盤中に上記第2グラウトを加圧して圧入させること
を特徴とする請求項1又は2に記載の地盤改良工法。
【請求項5】
上記掘削工程において、上記掘削穴を形成する過程で掘削ヘッドを下降させながら上記第2吐出口から上記掘削穴の側方の地盤中に上記第2グラウトを加圧して圧入させること
を特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の地盤改良工法。
【請求項6】
上記掘削工程において、1〜10MPaに加圧した上記第2グラウトを上記第2吐出口から圧入させること
を特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の地盤改良工法。
【請求項7】
上記掘削工程において、上記第1グラウト及び上記第2グラウトとして少なくともセメントと水とが混練されてなるセメント系材料を用い、上記第1グラウトと土砂とが混合されてなる固結体の固結強度以上の固結強度となる上記第2グラウトを上記第2吐出口から圧入させること
を特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の地盤改良工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−68017(P2013−68017A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207846(P2011−207846)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【特許番号】特許第4926293号(P4926293)
【特許公報発行日】平成24年5月9日(2012.5.9)
【出願人】(391032004)有限会社シモダ技術研究所 (13)
【Fターム(参考)】