説明

地盤改良機

【課題】 柱状改良体の施工ピッチを変えることができる地盤改良機を提供する。
【解決手段】 軟弱地盤32に対して複数の柱状改良体33を同時に施工するための複数のオーガ4を互いに平行となるようにかつ横方向に互いに間隔を開けて装備した地盤改良機1であって、長手方向に沿ってオーガ4が昇降しかつ隣接するリーダ3同士を、上下方向に互いに間隔を開けて配置された少なくとも2つの連結部材5で連結すると共に、連結部材5を伸縮自在とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤に対して複数の柱状改良体を同時に施工するための複数のオーガを有する地盤改良機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の技術としては、互いに平行となるようにかつ横方向に互いに間隔を開けて装備された複数のオーガにより、軟弱地盤に対して複数の柱状改良体を同時に施工できる多軸式の地盤改良機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実登3042001号公報(請求項1、図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来の地盤改良機では、オーガのピッチが一定であるので、柱状改良体の施工ピッチを変えることができないという問題点がある。
【0004】
本発明は、以上のような事情や問題点に鑑みてなされたものであり、柱状改良体の施工ピッチを変えることができる地盤改良機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1の発明は、軟弱地盤に対して複数の柱状改良体を同時に施工するための複数のオーガを互いに平行となるようにかつ横方向に互いに間隔を開けて装備した地盤改良機であって、長手方向に沿って前記オーガが昇降しかつ隣接するリーダ同士を、上下方向に互いに間隔を開けて配置された少なくとも2つの連結部材で連結すると共に、前記連結部材を伸縮自在としたものである。
【0006】
請求項2の発明は、走行可能な地盤改良機本体にいずれかのリーダの下端を前後方向に回動自在となるように固定したものである。
【0007】
請求項3の発明は、走行可能な地盤改良機本体にいずれかのリーダの下端を左右方向に回動自在となるように固定したものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、リーダのピッチ、即ちオーガのピッチが可変であるので、柱状改良体の施工ピッチを変えることができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、互いに連結された複数のリーダを前側又は後側へ所定角度倒すことができるので、軟弱地盤の地面が前後方向に傾斜している場合でも柱状改良体を鉛直方向に施工することができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、互いに連結された複数のリーダを右側又は左側へ所定角度倒すことができるので、軟弱地盤の地面が左右方向に傾斜している場合でも柱状改良体を鉛直方向に施工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態に係る地盤改良機1は、図1及び図2に示すように、主な構成部材として、地盤改良機本体2、3つのリーダ3、3つのオーガ4、及び左右2つずつの連結部材5を備えた多軸式のものである。
【0012】
地盤改良機本体2は、図1に示すように、基体11、操縦部12、走行部13、及び2つの支持部14を備えており、作業者が操縦部12に乗り込んだ状態で走行可能な自走式のものである。
【0013】
操縦部12は、基体11上に設けられている。走行部13は、例えばクローラ式のものであり、基体11の下に設けられている。支持部14は、基体11上の例えば前側(図1の右側)に前後方向(図1の横方向)に間隔を開けて対向するように設けられている。
【0014】
2つの支持部14の間には、スイング部21の下端21bが左右方向(図1の紙面に対して垂直な方向、図2の横方向)に回動自在となるように軸支されている。スイング部21の上端21aには、例えば油圧シリンダで伸縮自在に構成されたバックステー22の下端22bが前後方向に回動自在となるように軸支されている。
【0015】
リーダ3は、図1及び図2に示すように、長尺に形成されている。連結部材5は、例えば油圧シリンダで伸縮自在に構成されている。隣接するリーダ3同士は、リーダ3の例えば後側に上下方向に互いに間隔を開けて配置された2つの連結部材5で連結されている。中央のリーダ3の下端3bは、スイング部21の上端21aの前側に前後方向に回動自在となるように軸支されている。バックステー22の上端22aは、中央のリーダ3の後側に前後方向に回動自在となるように軸支されている。連結部材5により互いに連結された3つのリーダ3を、前側へ倒すにはバックステー22を伸ばせばよく、後側へ倒すにはバックステー22を縮めればよい。一方、3つのリーダ3を右側又は左側へ倒すには、図示しない駆動部によりスイング部21を右側又は左側へ倒せばよい。
【0016】
なお、リーダ3は、スイング部21を介することなく、地盤改良機本体2の適宜の位置に前後方向及び左右方向に回動自在となるように直接固定してもよい。また、スイング部21又は地盤改良機本体2に固定するリーダ3は、中央のリーダ3の他、右側のリーダ3や左側のリーダ3であってもよい。隣接するリーダ3同士を連結する連結部材の数も、2つずつに限定されるものではなく、3つ以上ずつであってもよい。リーダ3の数も、3つに限定されるものではなく、必要とするオーガ4の数に合わせて2つ又は4つ以上であってもよい。
【0017】
リーダ3の前側には、リーダ3の長手方向に沿って昇降するフィーダ23が設けられている。このフィーダ23内には、オーガ4の頭部4aを着脱自在に支持した状態でオーガ4を回転駆動する回転駆動部24が設けられている。リーダ3の下端3bの前側には、内部に挿通されたオーガ4を摺動自在に保持する振れ止め部25が設けられている。オーガ4をリーダ3の長手方向に沿って昇降させるには、このオーガ4の頭部4aを回転駆動部24を介して着脱自在に支持したフィーダ23をリーダ3の長手方向に沿って昇降させればよい。
【0018】
オーガ4は、長尺かつ中空に形成されている。このオーガ4内には、オーガ4の頭部4a等に接続された図示しない供給装置によりセメントミルク等の地盤改良材が圧送される。オーガ4内に圧送された地盤改良材は、オーガ4の先端4b等の適宜の位置に設けられた図示しない排出口から図3のような掘削穴31内へ排出され、オーガ4により掘削された軟弱地盤32の土砂と混合・撹拌される。地盤改良材と軟弱地盤32の土砂との混合物が固化すれば、図3のような柱状改良体33となる。そのため、複数のオーガ4によれば、軟弱地盤32に対して複数の柱状改良体33が同時に施工される。
【0019】
なお、柱状改良体33の直径、即ちオーガ4による掘削径は、600mm以上の寸法の他、600mm未満、例えば150〜200mmであってもよい。柱状改良体33の長さ、即ちオーガ4による掘削深さも、3000mmを超える寸法の他、3000mm以下、例えば500〜3000mmであってもよい。柱状改良体33の施工ピッチ、即ちリーダ3のピッチとしてのオーガ4のピッチは、連結部材5の伸縮により数百mm以上に調節できるようにしておけばよい。
【0020】
上記のように構成された地盤改良機1において、中央のリーダ3と右側のリーダ3とを連結した上下の連結部材5を同じ長さだけ伸ばせば、図4に示すように、右側のリーダ3が外側へ平行移動する。同様に、中央のリーダ3と左側のリーダ3とを連結した上下の連結部材5を同じ長さだけ伸ばせば、左側のリーダ3が外側へ平行移動する。これに対し、中央のリーダ3と右側のリーダ3とを連結した上下の連結部材5を同じ長さだけ縮めれば、図示しないが、右側のリーダ3が内側へ平行移動する。同様に、中央のリーダ3と左側のリーダ3とを連結した上下の連結部材5を同じ長さだけ縮めれば、左側のリーダ3が内側へ平行移動する。このように、地盤改良機1によれば、リーダ3のピッチ、即ちオーガ4のピッチが可変であるので、柱状改良体33の施工ピッチを変えることができるという利点がある。
【0021】
また、図1のように地盤改良機本体2に中央のリーダ3の下端3bを前後方向に回動自在となるように固定しておけば、図示しないが、互いに連結された3つのリーダ3を前側又は後側へ所定角度倒すことができるので、軟弱地盤32の地面32aが前後方向に傾斜している場合でも柱状改良体33を鉛直方向に施工できるという利点がある。
【0022】
更に、図2のように地盤改良機本体2に中央のリーダ3の下端3bを左右方向に回動自在となるように固定しておけば、互いに連結された3つのリーダ3を図5のように右側(図5の左側)へ所定角度倒したり、図示しないが左側へ所定角度倒したりできるので、軟弱地盤32の地面32aが左右方向に傾斜している場合でも柱状改良体33を鉛直方向に施工できるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように、本発明に係る地盤改良機は、柱状改良体の施工ピッチを変えるのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態に係る地盤改良機の右側から見た概略側面図。
【図2】地盤改良機の前側から見た概略正面図。
【図3】地盤改良機により軟弱地盤に対して3つの柱状改良体を同時に施工した状態を示す概略断面図。
【図4】リーダのピッチを大きくした状態を示す概略正面図。
【図5】互いに連結された3つのリーダを地盤改良機の右側へ少し倒した状態を示す概略正面図。
【符号の説明】
【0025】
1 地盤改良機
2 地盤改良機本体
3 リーダ
3b 下端
4 オーガ
5 連結部材
32 軟弱地盤
33 柱状改良体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟弱地盤に対して複数の柱状改良体を同時に施工するための複数のオーガを互いに平行となるようにかつ横方向に互いに間隔を開けて装備した地盤改良機であって、
長手方向に沿って前記オーガが昇降しかつ隣接するリーダ同士を、上下方向に互いに間隔を開けて配置された少なくとも2つの連結部材で連結すると共に、前記連結部材を伸縮自在としたことを特徴とする地盤改良機。
【請求項2】
走行可能な地盤改良機本体にいずれかのリーダの下端を前後方向に回動自在となるように固定した請求項1記載の地盤改良機。
【請求項3】
走行可能な地盤改良機本体にいずれかのリーダの下端を左右方向に回動自在となるように固定した請求項1又は2記載の地盤改良機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−177527(P2007−177527A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377741(P2005−377741)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】