説明

地盤改良装置及びそのリーダ起伏方法

【課題】補助重機に比べ簡易で設置場所の制約を受けないリーダ建て込み用補助手段にてリーダの起伏作業を迅速に行えるようにする。
【解決手段】ベースマシン先端に傾動可能に枢支されたリーダ2と、上端部をリーダ背面に枢支され下端部をベースマシン両側に配置される支持用ステー3と、ベースマシン側のウインチから繰出されて、先端をリーダ上側に連結されるワイヤ8とを備えた地盤改良装置において、ワイヤ8とは別途にリーダ2を倒伏状態から立ち上げるリーダ建て込み用補助手段4として、地表側の設置ベース41と、下端部を設置ベースに回動可能に支持され、上端部に設けられてリーダ前面に当接するパッド43を有した支持アーム44と、設置ベース側と支持アーム側とに両端部の異なる一方をそれぞれ連結している全寸が可変調節可能な伸縮部材45とを備え、リーダ2を、伸縮部材45の全寸を長くすることで支持アーム44を介し倒伏状態から立ち上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーダ起伏用ワイヤとは別途にリーダを倒伏状態から少なくとも所定傾斜角まで容易に起立可能にした地盤改良装置及びそのリーダ起伏方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地盤改良などでの施工の大規模化に伴って、大型のベースマシン及び全寸の長いリーダの使用と共に、大型クレーンの搬入、設置箇所の地耐力確保、組立、解体に時間及び費用がかかり、更に高所作業の頻度も多く熟練も要求される。一例として、図8の地盤改良装置は、ベースマシン1及びベースマシンの先端部に傾動可能に枢支されたリーダ2と、上端部をリーダ背面の金具24に枢支され、下端部をベースマシン1の両側対応部に枢支される3点式の支持用ステー3と、ベースマシン1に搭載された不図示のウインチから繰出されて、先端をリーダ上側に連結されるリーダ起伏用ワイヤ8とを備えている。
【0003】
図9は以上の地盤改良装置において、リーダ起伏角度θ(3から80度)とリーダ起伏用ワイヤ8に加わる張力との関係を示している。このグラフからは、仮に、ワイヤ8による起伏能力(ワイヤの強度、ウインチ能力、ウインチ支持用フレーム12、ベースマシン1の安定度など)が100tあるとした場合、リーダをθ=40度までワイヤ以外の補助手段により持ち上げ、その後はリーダ支持用ワイヤ8により垂直状態まで立ち上げなければならない。
【0004】
実際の作業では、図8の場合だと、リーダ2を倒伏状態から立ち上げるリーダ建て込み用補助手段として、複数の補助重機K1,K2を用いて起伏操作される。リーダ起立作業において、同(a)では補助重機K1のクレーンから下ろされた吊りロープR1によりリーダ2の上側をa領域だけ引き上げる。続く、b領域ではリーダ2がワイヤ8により最終の垂直状態まで引き上げられる。その際は、補助重機K2のクレーンから下ろされた吊りロープR2により各ステー3の下端側が引き上げられて、最終的にベースマシン対応部に固定される。
【0005】
上記した作業では、補助重機K1,K2などを2台以上必要となり、経費が嵩むだけではなく高所での危険な玉掛作業(例えばリーダ上側にロープR1の先端を着脱する作業)を必要となる。ところで、特許文献1には、以上のような玉掛作業を地表付近で行えるようにした構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−256363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の構造は、リーダ背面側に設けられるガイドレール、ガイドレールに摺動可能に設けられるスライダ、ガイドレールの上下に設けられてスライダの摺動を規制する上下のストッパなどを必要として操作も複雑となる。また、従来構造では、地盤改良域が狭くなると、補助重機の設置場所の確保も困難になることも多く、用いられる補助重機の大きさやタイプにも制約を受けることがある。
【0008】
本発明の目的は、地盤改良装置において、上述した補助重機に比べ簡易で設置場所の制約を受けないリーダ建て込み用補助手段を実現してリーダの起伏作業を少しでも迅速に行えるようにすることにある。他の目的は以下の内容説明の中で明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明は、図面を参照して特定すると、ベースマシン1及びそのベースマシンの先端部に傾動可能に枢支されたリーダ2と、上端部を前記リーダの背面に枢支され、下端部を前記ベースマシンの両側に配置される一対の支持用ステー3と、前記ベースマシンに搭載されたウインチ14から繰出されて、先端を前記リーダの上側に連結されるリーダ起伏用ワイヤ8とを備えた地盤改良装置において、前記ワイヤ8とは別途に前記リーダを倒伏状態から立ち上げるリーダ建て込み用補助手段4として、地表側に配置される設置ベース41と、下端部を前記設置ベース41に回動可能に支持され、上端部に設けられて前記リーダ2の前面に当接してリーダ荷重を受けるパッド43を有した支持アーム44と、前記設置ベース側と前記支持アーム側とに両端部の異なる一方をそれぞれ連結している全寸が可変調節可能な伸縮部材45とを備え、前記リーダ2を、前記伸縮部材45の全寸を長くすることにより前記支持アーム44を介して倒伏状態から立ち上げることを特徴としている。以上の本発明は、以下のように具体化されることがより好ましい。
【0010】
(ア)前記伸縮部材45は、シリンダ46からロッド47を出没する油圧シリンダ、又は、前記油圧シリンダを長手方向の一部に有している構成である(請求項2)。
(イ)前記伸縮部材45は前記支持アーム44の左右両側に張出アーム48を介して並設されている構成である(請求項3)。
【0011】
(ウ)前記設置ベース41は前記ベースマシン1の前側に連結されている構成である(請求項4)。
(エ)前記ベースマシン1の両側でベースマシン前後方向に配設されたガイドレール53を有し、前記ステー3の下端部を前記ガイドレール53に摺動可能に支持し、かつガイドレール後側に係止手段5により固定可能となっている構成である(請求項5)。
【0012】
(オ)請求項6は以上の地盤改良装置を用いたリーダ起伏方法を特定したものであり、請求項1から5の何れかに記載の地盤改良装置を用いて、前記リーダ2を、前記補助手段4により倒伏状態から起立途中の所定傾斜角に切り換える第1工程と、前記起伏用ワイヤ8により前記所定傾斜角から垂直状態に切り換える第2工程とを経ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、補助手段が図1に例示されるごとく設置ベース、パッドをリーダ前面に当接した状態で設置ベースとリーダとの間に介在される支持アーム、全寸が可変調節可能で設置ベース側と支持アーム側とに両端部の異なる一方をそれぞれ連結している伸縮部材とからなるため、従来使用していたリーダを吊り上げる補助重機に比べて簡易かつ容易にリーダを起伏することができる。また、本発明の補助手段は、高所での玉掛作業もないため、経費低減と同時に安全性を確保できる。
【0014】
請求項2の発明では、伸縮部材が形態例のごとくシリンダからロッドを出没する油圧シリンダを長手方向の一部に有している構成に限らず、油圧シリンダーだけで構成することも含む点を確認的に特定したもので、汎用性が得られる。
【0015】
請求項3の発明では、伸縮部材が形態例のごとく支持アームの左右両側に張出アームを介して並設されているため大荷重に対する二倍の耐力を発揮できる。
【0016】
請求項4の発明では、設置ベースをベースマシンの前側に連結しているため図5(a)のごとく設置ベースに加わる荷重ないしは応力をベースマシンを反力として受け止めることができ、かつ補助手段をベースマシンに追随して移動できる。
【0017】
請求項5の発明では、ガイドレールに摺動可能に嵌合されて支持用ステーの下端部を揺動自在に案内する軸受を有しているため、図1〜図3に例示されるごとくリーダの起伏動作時における一対の支持用ステーの組立解体動作を従来のごとく補助重機を用いることなく、効率よく行うことができる。
【0018】
請求項6の発明では、以上の地盤改良装置を用いたリーダ起伏方法として、各構成の利点が得られ、それにより従来の補助重機を用いる方法に比べ簡易で設置場所の制約を受けず、リーダの起伏作業を迅速安全に行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a),(b)は形態例の地盤改良装置によりリーダを倒状状態から立ち上げる際の補助手段の組込態様を示す模式側面図とそのA1部の拡大図である。
【図2】(a),(b)は上記リーダを補助手段により立ち上げた第1工程を説明するための模式側面図とそのA2部の拡大図である。
【図3】(a),(b)は上記リーダをリーダ起状用ワイヤにより立ち上げた第2工程を説明するための模式側面図とそのA3部の拡大図である。
【図4】上記補助手段の模式側面図である。
【図5】(a),(b)はリーダを上記補助手段により所定傾斜角立ち上げた状態での補助手段の部材関係を示す模式側面図とその右側から見た模式図である。
【図6】(a),(b)はベースマシンの詳細構造を示す側面図と上面図である。
【図7】(a)はベースマシン要部の半断面平面図、(b)はガイドレールの後端部を示す(a)のA矢視図、(c)はそのガイドレールに軸受を嵌合した図、(d)はガイドレールの後端部を示す(a)のB矢視図、(c)はそのガイドレールに軸受を嵌合した図である。
【図8】(a)は従来の地盤改良装置の作動状態を示す模式側面図、(b)は同装置のリーダを傾動した状態を示す模式側面図である。
【図9】上記リーダの起伏角度とワイヤ張力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明形態を図1〜図7を参照して説明する。この説明では、本発明の装置構造を明らかにした後、使い方ないしは作動に言及する。なお、各図では、地盤改良装置の基本構造は従来と同一であるため、その同一箇所については図8と同じ符号を用い、異なる箇所、或いは新たに付加された部材のみ異なる符号を付している。また、各図では、作図上の制約から一部を省略したり模式化している。
【0021】
(装置構造)形態の地盤改良装置は、図面に示されるごとく自走式のベースマシン1と、ベースマシン1の先端側に傾動可能に枢支されたリーダ2と、上端部をリーダ2に枢支され、かつ下端部をベースマシン1の両側に配置される3点支持式の一対(左右)の支持用ステー3と、リーダ2を倒伏状態から立ち上げるリーダ建て込み用補助手段4と、ベースマシン1に搭載されたウインチ14から繰出されて先端をリーダ2の上側の連結部25に連結されるリーダ起伏用ワイヤ8と、ベースマシン1の両側前後方向に配設されたガイドレール53と、各ステー3の下端部をガイドレール53に摺動可能に支持する軸受6、及び軸受6をガイドレール53の後方定位置に着脱可能に固定する係止手段としてのピン5とを備えている。
【0022】
ここで、ベースマシン1は、従来と同じくキャタピラ11を有した下走行体に対し、メインフレーム10が旋回部を介して旋回可能に支持されている。メインフレーム10には、図3のごとく前方片側に配置された操縦室と、前縁の左右中間部に突出された支持部13、略中央部に設けられた2つのウインチ14及びフレーム12と、後縁に結合されて後方へ延びているステージ15などが設けられている。フレーム12の上側にはワイヤや吊りロープを案内する滑車が組み込まれている。各ウインチ14は、一方がワイヤ8用であり、他方が例えば昇降手段を構成する不図示の吊りロープ用である。ステージ15には、空気タンク、コンプレッサ、発動機などの駆動機器17が上面に搭載されているとともに、下面に後述する駆動手段としての油圧シリンダ7により前後動されるバランスウエイト75が設けられている。符号16は手摺りである。
【0023】
支持部13にはリーダ2が図1のごとくピン26などにより枢支される。このリーダ2は、リーダ形成部を必要数だけ結合手段などにより連結した目的に応じた長さとなっている。リーダ2は、前面に設けられて両側上下方向に延びているガイドレール21、背面上側に設けられたステー用金具24、複数のワイヤ用連結部25などを備えている。
【0024】
両側のガイドレール53は、メインフレーム10の前後部にあって左右方向に配置された横フレーム51,52上に略水平かつ平行に保持された状態に配設されている。断面形状は、矩形枠の上面にガイド溝53aを長手方向に形成している。各ガイドレール53の前端には一段高くなった柱54が設けられている。各ガイドレール53の後端には案内板部55が連続するよう配設されている。この案内板部55は、図7に示されるごとくガイド溝53aと連続するガイド溝55aと、下面に結合されてガイド溝55aの両側を区画している対向した固定板部56と、各固定板部56に同軸線上に貫通形成した複数のピン穴56aとを有している。また、案内板部55の両側には後ストッパ57が設けられている。各後ストッパ57は、前方に向けて開口した係合部57aを有し、一部がガイドレール53の対応部に接合された状態で互いに対向配置されている。以上のガイド溝55aには、図7(c)と(e)のごとく後述するステー用軸受6がガイド溝53aから摺動可能に配置される。
【0025】
軸受6は、本体60がガイド溝53a,55aに嵌合される板状からなり、本体60の上端面に一体化した幅広の受板62と、受板62の前端に沿って左右に延びている棒状の規制部63と、受板62の中央部に立設された支持部65と、支持部65に設けられた凹状の軸穴66とからなる。本体60には、ピン穴56aに一致する不図示の複数の貫通孔が設けられている。そして、この軸受6は、対応するガイドレール53に対し、本体60をガイド溝53a,55aに摺動自在に嵌合した状態に組み込まれて、前方へは規制部63が柱54に当たることで位置規制され、また、後方へは規制部63が後ストッパ57の係合部57aに係止されることで位置規制される。軸受6は、規制部63が係合部57aに係止された状態において、係止手段としてピン5がピン穴56a、上記本体60の貫通孔、ピン穴56aに挿入されると、固定板部56に位置固定される。
【0026】
そして、両側の軸受6は、軸穴66に対して各ステー3の下端に形成した球体35が揺動可能に嵌合される。すなわち、各ステー3は、上端は蛙股状となっていて、リーダ2の上部背面に設けられた金具24の左右に突設した連結ピン37等を利用して回動可能に係合されている(図1拡大部参照)。ステー3の下部側は、油圧シリンダが一体的に連結されていて、シリンダ33に対して出没駆動されるロッド34を有している。ロッド34の下端ないしは先端は球体35に形成されている。そして、各ステー3の下端は、球体35が軸受の軸穴66に揺動自在に嵌合支持されることになる。
【0027】
一方、上記ステージ15の下面には、図6に示したごとく前後方向に設けられた2本のガイドレール74と、両ガイドレール74に摺動自在に支持されている不図示のスライダと、そのスライダに取り付けられた左右のバランスウエイト75と、各バランスウエイト75を前記のスライダを介して前後動する駆動手段としての油圧シリンダ7とが設けられている。すなわち、油圧シリンダ7は、シリンダ70がステージ側に位置固定された金具78に対し対応端に設けられた連結部72を固定した状態に支持され、ロッド71が前記スライダの一部に結合されている。このため、この構造では、リーダ2の傾斜角度に応じて油圧シリンダ7のロッド1をステージ後方へ突出させてバランスウエイト75を前記スライダを介して後方移動させることにより、リーダの傾動に伴うベースマシン前後の重心位置の変動を少なく抑え、ベースマシンの傾動方向への転倒を確実に未然に防止できる。
【0028】
これに対し、上記の補助手段4は、ベースマシン前方の地表側に配置される設置ベース41と、下端部44aを設置ベース50に回動可能に支持され、上端部44bに設けられてリーダ受け用のパッド43を有した支持アーム44と、支持アーム44の長手方向の略中間付近に固着されて支持アーム44の左右に突出した張出アーム49と、設置ベース41と支持アーム44の張出アーム49とに両端部の異なる一方をそれぞれ連結している全寸が可変調節可能な油圧シリンダ45とを備えている。油圧シリンダ45は伸縮部材に相当し、複数(この例では2つ)が組として用いられている。
【0029】
設置ベース41は、リーダ2から受ける荷重ないしは応力を受ける部材であり、ベースマシン側に突設された連結具42Aと、ベースマシン1から離れる側にあって連結具42Aから所定間隔を保って突設された左右の連結具42Bと、ベースマシン側の端部に設けられた上下に長い接合部42Cとを有している。連結具42A,42B及び接合部42Cは、相手側の取付部を挟み込む凹状になっている。
【0030】
以上の設置ベース41は、ベースマシン1に対し接続部材40を介して連結される。接続部材40は、一端が接合部42Cに結合され、他端が図1の拡大図に示されるごとくベースマシン1の前側左右中間付近のフレーム部に突設された連結部18に結合される。これにより、この構造では、設置ベース41に加わる図5(a)のX方向の応力をベースマシン1の重量により受け止めて、設置ベース41の同方向への移動を防ぐようになっている。
【0031】
支持アーム44は、一端44aが連結具42AにピンPなどを介して回動可能に枢支される。他端44bには、リーダ2の前面に当接してリーダ荷重を受けるパッド43がピンPなどを介し揺動可能に連結される。ここで、パッド43は、図5から推察されるごとく正面側がリーダ側ガイドレール21,21に摺動自在に嵌合される形状で、リーダ2の前面に当接してリーダ荷重を受け止める。このパッド43は、背面に突設された対の挟持片43aを有し、挟持片同士の間に配置される支持アームの他端44bに対しピンPなどを介して揺動可能に連結される。詳述すると、パッド43は、図示を省略したが、挟持片43aを突設している固定部に対し、両側がそれぞれ油圧シリンダで駆動される可動部に構成されている。前記固定部にはその油圧シリンダのシリンダが固定されている。両側の可動部は、前内側に設けられたガイドレール21に係脱される嵌合部と、後側に設けられて前記固定部に回動可能に連結する取付部と、内側に設けられて前記油圧シリンダのロッドに連結アームを介して連結される連結部とを有している。そして、この構造において、前記両可動部は、前記油圧シリンダがロッドの没状態で前記嵌合部を対応するガイドレール21と嵌合し、前記油圧シリンダがロッドの突状態に切り換えられると両可動部が前記連結アームを介して取付部を支点として外側へ回動されてガイドレール21に対する嵌合を解除する。
【0032】
左右の張出アーム49には対の挟持片48がそれぞれ突設されている。そして、油圧シリンダ45は、シリンダ46及びロッド47からなり、シリンダ46の取付端46aが連結具42Bに対しピンPなどを介して回動可能に枢支され、ロッド47の取付端47aが対応する挟持片48に対しピンPなどを介して回動可能に枢支される。この構造では、ロッド(伸縮部材の対応部)47が支持アーム44ではなく張出アーム49に接続されることにより、シリンダ46から突出されたときに支持アーム44を持ち上げる方向の分力として働くようにしている。
【0033】
(作動)以上の地盤改良装置を用いたリーダ起状方法では、リーダ2を、補助手段4により倒伏状態から起立途中の所定傾斜角、或いはそれとは反対に前記所定傾斜角から倒伏状態に切り換える第1工程と、起伏用ワイヤ8により前記所定傾斜角から垂直状態或いはそれとは反対に垂直状態から前記所定傾斜角に切り換える第2工程とを経る。
【0034】
第1工程において、リーダ2は、まず、下端側がベースマシンの支持部13にピン26で枢支されるとともに、地表側の架台9に支持される。次に、補助手段4の構成部材、つまり設置ベース41、支持アーム44、パッド43、油圧シリンダ45が上述した要領で図1のごとく対応部にセットされ、また、設置ベース41は、ベースマシン1に連結された接続部材40にボルトなどにより結合される。他の準備操作としては、図1のごとく各ステー側の下取付基部(ロッドの球体35)を軸受6を介してスライドレール53のガイド溝53aに嵌合され、バランスウエイト75を油圧シリンダ7を介して最後方側へ移動させる。
【0035】
その後、リーダ2は、図2及び図5のごとく油圧シリンダ45の駆動によりロッド47を伸長すると、支持アーム44が連結具42B側のピンPを支点として、張出アーム49を介して所定傾斜角だけ立ち上げられる。この過程では、各ステー3の下取付基部(ロッドの球体35)が軸受6を介してガイドレール53のガイド溝53aに沿って所定距離だけ後方へ摺動され、又、ワイヤ8がウインチ14を介して支持可能な程度まで巻き上げられる。
【0036】
第2工程において、リーダ2は、従来と同様にワイヤ8を介して図3の垂直状態まで引き起こされる。この過程では、各ステー3の下取付基部(ロッドの球体35)が軸受6を介してガイドレール53を構成している最後部の案内板部55に摺動される。各ステー3の下取付基部(ロッドの球体35)は、上記したピン5のピン穴56a、上記した本体60の貫通孔、ピン穴56aに対する差込操作により固定板部56に固定される。これにより、リーダ2は、ワイヤ8によって起立された状態で2本のステー3により安定支持される。
【0037】
その後は、油圧シリンダ7のロッド71がシリンダ70に没入されるようにして、バランスウエイト22を前側に移動して、リーダ2が垂直状態でのステージ15を含むベースマシン1の前後における荷重バランスを保つようにする。また、補助手段4において、パッド43は、上記した要領で両側の可動部を外側へ回動してガイドレール21に対する嵌合を解除される。また、支持アーム44は、油圧シリンダ45がロッド47をシリンダ46に没入されて図1のセットの状態に切り換えられる。その後は、接続部材40をベースマシン1から切り離し、全体を施工の邪魔にならない場所へ移動される。
【0038】
リーダ2を再び地表側へ倒す場合は、まず、上記したピン5を外すことにより各ステー3の下端側の拘束を解放し、軸受6を介してガイドレール53に沿って摺動可能にする。次に、補助手段4が上記した操作により図2の状態にセットされ、その後、ワイヤ8が繰出されてリーダ2を前傾させる。すると、リーダ2は、支持アーム44に設けられたパッド43に受け止められる。更に、リーダ2は、油圧シリンダ45がロッド47をシリンダ46に没入すると、支持アーム44の前傾に伴って図1のセット状態に切り換えられる。その際には、リーダ2の傾動角増加に伴い油圧シリンダ7のロッド71を突出させることにより、バランスウエイト75を後方へ移動してステージ15を含むベースマシン1の前後荷重の偏在を解消する。
【0039】
なお、以上の形態は本発明を何ら制約するものではない。本発明は、請求項1で特定される技術要素を備えておればよく、細部は必要に応じて種々変更可能なものである。その一例として、本発明の伸縮部材は、形態のごとく油圧シリンダ45だけの構成に代えて、例えば全寸をより長くするため油圧シリンダ45のシリンダ46に延長部材を接合一体化したような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1・・・ベースマシン(10は本体、11はキャタピラ、15はステージ)
2・・・リーダ(20は本体、21はガイドレール、26はピン)
3・・・支持用ステー(32は油圧シリンダ、34はロッド、35は球体)
4・・・リーダ建て込み用補助手段(41は設置ベース、44は支持アーム)
6・・・軸受(60は本体、63は規制部、65は支持部、66は軸穴)
5・・・ピン(係止手段)
7・・・油圧シリンダ(駆動手段に相当し、70はシリンダ、71はロッド)
8・・・リーダ起状用ワイヤ
9・・・架台
43・・・パッド(43aは挟持片)
45・・・油圧シリンダ(伸縮部材に相当し、46はシリンダ、47はロッド)
53・・・ガイドレール(53aはガイド溝)
55・・・案内板部(55aはガイド溝)
56・・・固定板部(56aはピン穴)
57・・・後ストッパ(57aは位置決め部としての係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシン及びそのベースマシンの先端部に傾動可能に枢支されたリーダと、上端部を前記リーダの背面に枢支され、下端部を前記ベースマシンの両側に配置される一対の支持用ステーと、前記ベースマシンに搭載されたウインチから繰出されて、先端を前記リーダの上側に連結されるリーダ起伏用ワイヤとを備えた地盤改良装置において、
前記ワイヤとは別途に前記リーダを倒伏状態から立ち上げるリーダ建て込み用補助手段として、地表側に配置される設置ベースと、下端部を前記設置ベースに回動可能に支持され、上端部に設けられて前記リーダの前面に当接してリーダ荷重を受けるパッドを有した支持アームと、前記設置ベース側と前記支持アーム側とに両端部の異なる一方をそれぞれ連結している全寸が可変調節可能な伸縮部材とを備え、
前記リーダを、前記伸縮部材の全寸を長くすることにより前記支持アームを介して倒伏状態から立ち上げることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項2】
前記伸縮部材は、シリンダからロッドを出没する油圧シリンダ、又は、前記油圧シリンダを長手方向の一部に有していることを特徴とする請求項1に記載の地盤改良装置。
【請求項3】
前記伸縮部材は前記支持アームの左右両側に張出アームを介して並設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤改良装置。
【請求項4】
前記設置ベースは前記ベースマシンの前側に連結されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の地盤改良装置。
【請求項5】
前記ベースマシンの両側でベースマシン前後方向に配設されたガイドレールを有し、前記ステーの下端部を前記ガイドレールに摺動可能に支持し、かつガイドレール後側に係止手段により固定可能となっていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の地盤改良装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の地盤改良装置を用いて、前記リーダを、前記補助手段により倒伏状態から起立途中の所定傾斜角に切り換える第1工程と、前記起伏用ワイヤにより前記所定傾斜角から垂直状態に切り換える第2工程とを経ることを特徴とする地盤改良装置のリーダ起伏方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−225008(P2012−225008A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91743(P2011−91743)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000236610)株式会社不動テトラ (136)
【出願人】(591039953)株式会社ソイルテクニカ (4)
【Fターム(参考)】