地盤改良装置
【課題】掘削効率、撹拌効率を向上させ、掘削土と充填材との撹拌・混合を十分行えるようにし、さらに改良精度も向上させる。
【解決手段】掘削ロッド10の先端に単一の主軸部21を介して支持される掘削部材30と、該掘削部材30と一体回転するケーシング20と、掘削部材30およびケーシング20によって回転可能に両持ち支持された撹拌軸41ならびに該撹拌軸41に設けられた撹拌翼42を有する撹拌部材40と、主軸部21に設けられた撹拌翼22と、掘削ロッド10に設けられた太陽ギア2と、撹拌部材40に設けられた遊星ギア4と、掘削部材30に形成されたスパイラル31と、充填材の吐出孔50と、ケーシング20等を回転させる駆動源と、を備え、掘削部材30およびケーシング20を一体回転させることにより、撹拌軸41を自転させながら主軸部21の周囲に公転させて撹拌領域を形成する。
【解決手段】掘削ロッド10の先端に単一の主軸部21を介して支持される掘削部材30と、該掘削部材30と一体回転するケーシング20と、掘削部材30およびケーシング20によって回転可能に両持ち支持された撹拌軸41ならびに該撹拌軸41に設けられた撹拌翼42を有する撹拌部材40と、主軸部21に設けられた撹拌翼22と、掘削ロッド10に設けられた太陽ギア2と、撹拌部材40に設けられた遊星ギア4と、掘削部材30に形成されたスパイラル31と、充填材の吐出孔50と、ケーシング20等を回転させる駆動源と、を備え、掘削部材30およびケーシング20を一体回転させることにより、撹拌軸41を自転させながら主軸部21の周囲に公転させて撹拌領域を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、掘削土と充填材とを混合させて地盤を改良する地盤改良装置の構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤に杭を施工する際、杭の支持力(鉛直支持力、水平支持力、引き抜き支持力)を向上させるための一手法として地盤改良が行われる。例えば杭頭付近に軟弱地盤が存在する場合、地盤改良後に杭を施工することによって、地震時に作用する水平力に対して杭の変位量が大きくなるといった悪影響を軽減することが可能となる。
【0003】
また地盤改良の他の用途には、土壌汚染対策工法として、汚染の浄化材、例えば鉄粉を汚染土壌と混合したり、汚染土壌の周囲を地盤改良体にて囲い、汚染物質の流出を防ぐといったものがある。
【0004】
このような地盤改良を実施するための装置としては、掘削軸の下端部に掘削用のビットを備えていて、ビットの上方の掘削軸には撹拌翼が複数段状に取り付けられていて、ビットと撹拌翼間の掘削軸や撹拌翼と撹拌翼間の掘削軸には共回り防止翼(板)が回動自在に支持されているもの等が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
一方、このような地盤改良装置においては、共回り防止翼を未掘削地盤に圧入する必要があり、固い地盤での掘削が困難な場合もあるため、このような欠点の解消を図るべく、従来、駆動装置で掘削外管を回転するとビット軸に設けられたビットと撹拌翼とが自転しながら公転するような、共回り防止翼を不用とした装置も提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特公昭58−29374号公報
【特許文献2】実開平7−15827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のごとき地盤改良装置には、固い地盤に適応困難であるという課題や、掘削効率が十分でないといった課題がある。また、特許文献2のごとき地盤改良装置には、掘削効率、撹拌効率が十分でない、掘削土と充填材との撹拌・混合も十分でない、さらに改良精度も十分でないといった課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、固い地盤にも適応可能となり、掘削効率、撹拌効率を向上させ、掘削土と充填材との撹拌・混合を十分行えるようにし、さらに改良精度も向上させた地盤改良装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(掘削効率について)
かかる課題を解決するべく本発明者は種々の検討を行った。まず掘削効率についてみてみると、上述のごとき従来の地盤改良装置は共回り防止翼を備えることがあり、当該共回り防止翼は、両端が地盤壁に入り込んだ状態となることによって掘削部材(例えば掘削ビット)と共回りしないように設けられおり、これにより、掘削土をせん断してより細かく砕くことを可能としている。しかしその一方で、未掘削の地盤へと貫入させる共回り防止翼があると、固い地盤の掘削が困難になることから掘削効率が悪化する場合もある。また、上述の特許文献2の地盤改良装置のように複数の掘削軸(掘削ビットが設けられた軸)が遊星運動をする構成となっていると、掘進時に垂直方向の抵抗を受けると共に水平方向の抵抗も受けるため、特に固い地盤を掘削する場合に掘削速度を上げることが難しく、掘削効率を向上させることが難しい。
【0009】
(撹拌効率について)
また、特許文献2の地盤改良装置のように、掘削機構の直上において掘削軸(掘削ビットが設けられた軸)に撹拌翼が一対ないし一組ずつ連結されているだけの場合、撹拌も掘削軸の中央部でのみ行われるため撹拌効率を向上させることが難しい。また、回転速度を上げるにしても上述した垂直方向・水平方向の抵抗との関係もあり、上限がある。しかも、特許文献2におけるように撹拌領域が比較的狭かったり充填材を吐出する範囲が狭かったりすると、掘削土と充填材とを効率的に撹拌できる範囲が狭小である。
【0010】
(掘削土と充填材との混合について)
特許文献2の地盤改良装置のように充填材の吐出口が掘削撹拌領域の上部に配置されていると、ロッドの掘進の際、充填材が撹拌領域に供給されず撹拌・混合されない。
【0011】
(任意径への対応について)
特許文献2の地盤改良装置のように掘削部材(例えば掘削ビット)と撹拌翼とが一体化されていて所定位置に着脱される構成となっていると、掘削部材や撹拌翼の各々の径を変更することが容易ではない。
【0012】
(改良精度について)
特許文献2の地盤改良装置のように掘削部材が掘削ビットで構成されていると、ロッド引き上げの際に改良土を下方に押し付けるような施工は不可能である。また、特許文献2の地盤改良装置のように掘削・撹拌用回転軸が片持ちであり先端が自由端になっていると、施工中に軸がぶれて改良精度が劣る可能性がある。
【0013】
以上のごとく種々の検討を重ねた本発明者は、これら課題の解決に結び付く新たな知見を得るに至った。本発明はかかる知見に基づくもので、掘削土と充填材とを混合させて地盤を改良する地盤改良装置において、掘削ロッドの先端に単一の主軸部を介して支持される掘削部材と、該掘削部材と接続され当該掘削部材と一体回転するケーシングと、先端側を掘削部材によって、他端側を該ケーシングによってそれぞれ回転可能に両持ち支持された撹拌軸、および該撹拌軸に設けられた撹拌翼を有する撹拌部材と、主軸部に設けられた撹拌翼と、掘削ロッドに設けられた太陽ギアと、撹拌部材に設けられて該太陽ギアと直接または間接的に噛合する遊星ギアと、掘削部材に形成されたスパイラルと、少なくとも撹拌部材よりも掘削部材寄りに配置された充填材の吐出孔と、ケーシング等を回転させる駆動源と、を備え、掘削部材およびケーシングを一体回転させることにより、撹拌軸を自転させながら主軸部の周囲に公転させて撹拌領域を形成するというものである。
【0014】
(掘削効率について)
本発明においては、掘削部材にスパイラルを形成したうえで、該掘削部材を単軸(単一の主軸部)上に設けて主軸部と掘削軸とが同軸回転する構成としていることから、複数の掘削軸を有する装置と比較して、特に掘進時における水平方向の抵抗を低減させることが可能である。したがって、本発明にかかる地盤改良装置によれば掘削効率を向上させることができる。
【0015】
(撹拌効率について)
また、本発明においては、掘削土をスパイラルによって掘削部材よりも上方の撹拌領域へと螺旋羽根を伝うようにして効率よく送り込むことが可能であり、撹拌軸を公転(遊星回転)させて当該掘削土を撹拌させるので、撹拌効率を向上させることができる。
【0016】
(掘削土と充填材との混合について)
本発明においては、充填材の吐出孔を、少なくとも撹拌部材よりも掘削部材寄りに配置しているため、掘削ロッドの掘進時、充填材を撹拌領域に供給して撹拌・混合することができる。また、当該吐出孔を利用して、掘削ロッドの掘進時に水を吐出してより効率的に掘削することも可能となる。
【0017】
(任意径への対応について)
また、本発明においては、撹拌軸を掘削部材とケーシングとによって両持ち支持する構造としていることから、掘削部材と撹拌部材とが一体化されずにそれぞれ独立して着脱することが可能となっている。このため、地盤の条件や掘削・撹拌に必要な径などを考慮し、掘削部材と撹拌部材をそれぞれ単独で交換して任意径へ変更することができる。
【0018】
(改良精度について)
さらに、本発明においては、掘削部材と撹拌部材とを一体化せず上記のように独立した構成としており、尚かつ掘削部材にスパイラルを形成していることから、掘削ロッドの引上げ時に当該掘削部材およびスパイラルを逆回転させることにより、撹拌部材で撹拌・混合された改良土を下方へと押し付け押圧しながら施工することが可能であり、したがって、密度をより増加させた改良体を造成することができる。しかも、本発明においては掘削部材とケーシングとで撹拌軸を両持ち支持しており、施工中に軸がぶれる可能性が低いことから、この点でも改良精度の向上を図ることができる。
【0019】
(排出土量の低減について)
また、掘削ロッドの引上げ時に当該掘削部材およびスパイラルを逆回転させることにより、改良土を下方へと押し付けることで、地上へと排出される残土を低減することができる。
【0020】
上述のごとき地盤改良装置においては、撹拌軸が複数設けられていることが好ましい。また、撹拌翼が複数設けられていることも好ましい。
【0021】
さらに、上述のごとき地盤改良装置においては、撹拌翼が傾斜していることが好ましい。この場合、撹拌翼の傾斜角θ1とスパイラルの傾斜角θ2の関係はθ1≦θ2であることがさらに好ましい。
【0022】
また、上述のごとき地盤改良装置において、掘削ロッドが外管と内管とからなる二重管構造であることが好ましい。この場合、外管と内管のいずれか一方は地盤改良施工時に回転しない管であることも好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、掘削効率、撹拌効率を向上させ、掘削土と充填材との撹拌・混合を十分行えるようにし、さらに改良精度を向上させ、排出土も低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態における地盤改良装置のうち先端部分の構造を示す部分断面図である。
【図2】地盤改良装置の全体を示す断面図である。
【図3】地盤改良装置の全体を示す断面図であって、回転しない不動部をメッシュ地で表したものである。
【図4】(A)伝達ギアがある場合、(B)伝達ギアが無い場合の、太陽ギア等の回転動作の概略を示す平面図である。
【図5】ケーシング等を回転させたときの主軸撹拌翼、撹拌軸、遊星撹拌翼など各部材の動きを概略的に示す平面図である。
【図6】図5の後の一時点における各部材の動きを概略的に示す平面図である。
【図7】図6の後の一時点における各部材の動きを概略的に示す平面図である。
【図8】掘削・撹拌に必要な径が異なる場合の地盤改良装置の一例を示す図である。
【図9】掘削・撹拌に必要な径がまた異なる場合の地盤改良装置の一例を示す図である。
【図10】掘削・撹拌に必要な径がさらに異なる場合の地盤改良装置の一例を示す図である。
【図11】地盤改良装置および杭打機による施工手順の一例を示すもので、(A)杭打機による杭芯合わせ、(B)セメントミルクと地盤を撹拌混合してのソイルセメントコラム築造、(C)ソイルセメントコラムの築造完了、(D)鋼管杭の建て込み、(E)鋼管杭の杭芯合わせ、鉛直性の確認、(F)鋼管杭のソイルセメントコラム中への回転埋設、(G)鋼管杭の杭頭レベルの確認 の各工程を表す図である。
【図12】平面(鉛直軸に垂直な面)に対して傾斜した撹拌翼とスパイラル、およびこれらの傾斜角θ1,θ2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1等に本発明にかかる地盤改良装置1の実施形態を示す。本発明にかかる地盤改良装置1は、掘削ロッド10、ギアケーシング(ケーシング)20、掘削部材30、撹拌部材40、撹拌翼22,42、太陽ギア2、伝達ギア3、遊星ギア4、充填材の吐出孔50などを備えており、地盤Gの掘削時、掘削孔200中で掘削土と充填材とを混合させて地盤Gを改良する装置である。本明細書でいう充填材は、セメントミルクなどの硬化材のみならず、ベントナイト泥水、ベントナイト粉体、鉄粉といったものも含む概念である。
【0027】
本実施形態の掘削ロッド10は外管11と内管12からなる二重管構造であり、本実施形態ではこのような二重管の掘削ロッド10を単一の駆動源(オーガー102)によって駆動する(図2、図3参照)。この掘削ロッド10の先端(下端)には、ギアケーシング20、掘削部材30などが回転可能な状態に支持されている。掘削ロッド10は内部が中空の構造であり、地表側(基端側)からセメントミルクなどの充填材を供給する配管を兼ねている。地盤Gの掘削時、掘削ロッド10は地表の杭打機100によって操作され、オーガーモータ(図示省略)の回転駆動力を伝達してギアケーシング20などを回転させる(図1参照)。
【0028】
外管11は、地盤改良施工時にオーガー102の回転駆動力を伝達してギアケーシング20などを回転させる管であり、その上端(基端)部はオーガー102の回転駆動装置102aに接続され、下端(先端)部はギアケーシング20に連結されている。
【0029】
一方、内管12は地盤改良施工時に回転しない管であり、地表側から充填材を供給するための配管を兼ねている。内管12の上端(基端)部は回転駆動装置102aを貫通している。内管12の上端には充填材を送り込む供給ホース13が接続されている。また、この内管12の先端(下端)には太陽ギア2が当該内管12に対し相対回転不能に剛結されており、これら内管12と太陽ギア2とが常に不動の状態で一体化している。なお、図3においては、内管12等、地盤改良施工時に回転しない不動部をメッシュ地で表している。
【0030】
ギアケーシング20は、太陽ギア2、伝達ギア3、遊星ギア4を収容する筐体として機能しており、掘削ロッド10の外管11の先端に支持されている(図1参照)。また、ギアケーシング20は、軸受43,44を介して撹拌部材40の撹拌軸41の一端を回転可能に支持している。このギアケーシング20の下部中心には(複数ではなく)単一の主軸部21が接続され、さらに該主軸部21を介して掘削部材30が接続されており、これらギアケーシング20、主軸部21および掘削部材30は一体となって回転する。
【0031】
掘削部材30は、ギアケーシング20、主軸部21ともに掘削ロッド10の先端に支持されている部材で、地盤Gを掘削する際、その先端部周辺のノズル32からエアーや水、掘削液などを噴出するように構成されている。また、掘削部材30の下端部には複数の掘削刃33が設けられている(図1参照)。なお、当該掘削部材30により掘削が行われる領域を本明細書では掘削領域ともいう(図1参照)。
【0032】
また、掘削部材30には、例えば軸34を中心とした右ネジ状のスクリュー(螺旋状)羽根からなるスパイラル31が形成されている(図1参照)。このスパイラル31の上部は、掘削土が撹拌領域(撹拌翼22,42によって撹拌が行われる領域)へと流れ込みやすくなるよう開口した形状となっている。このようにスパイラル31が形成された掘削部材30は、螺旋状羽根によって掘削土を掘削部材30よりも上方の撹拌領域へと効率よく送り込む。また、本実施形態においてはスパイラル31が形成された掘削部材30を単一の主軸部(単軸)21に接続した構成としているため、複数の掘削軸を有する装置に比べ、特に掘進時における水平方向の抵抗が低減する。また、スパイラル31が形成された掘削部材30を用いれば、掘進時の掘進性がより向上するという利点もある。
【0033】
撹拌部材40は掘削土と充填材とを撹拌・混合する部材であり、本実施形態では撹拌軸41と撹拌翼42とで構成されている。撹拌軸41は、掘削時、自転しながら主軸部21の周囲を公転するように設けられているもので、その先端側は、掘削部材30の上面の一部において軸受45を介して回転可能に支持されている。また、撹拌軸41の他端側(基端側)は、上述したように軸受43,44を介してギアケーシング20に回転可能に支持されている。
【0034】
撹拌翼42は、撹拌軸41に剛結された(剛な状態で結合された)撹拌用羽根である(本明細書では遊星撹拌翼ともいう)。掘削孔200中で撹拌軸41が回転(自転・公転)すると遊星撹拌翼42も回転し、掘削土と充填材とを撹拌・混合する。遊星撹拌翼42は、例えば撹拌軸41に沿って複数枚が多段に設けられていてもよく、こうすることによって撹拌・混合の効率をさらに向上させることができるようになる(図1参照)。また、本実施形態では一例として2枚1組の遊星撹拌翼42が180度おきに設けられた撹拌部材40を示しているが(図1参照)、もちろん、3枚あるいはこれを超える枚数の遊星撹拌翼42を均等に設けてもよい。あるいは、撹拌軸41の軸方向において、または周方向において複数の遊星撹拌翼42を不均等に設けてもよい。
【0035】
また、本実施形態においては、主軸部21に剛結された別の撹拌翼(本明細書では主軸撹拌翼ともいう)22を設けている(図1参照)。遊星撹拌翼42に主軸撹拌翼22を加えることで、掘削土と充填材とをより効率的に撹拌・混合することが可能となる。なお、上述の遊星撹拌翼42と同様、3枚あるいはこれを超える枚数の主軸撹拌翼22を軸方向または周方向に均等または不均等に設けてもよい。また、水平面(鉛直軸に垂直な面)に対して主軸撹拌翼22を傾斜させてもよい(図1参照)。
【0036】
さらに、充填材の吐出孔50が、例えば掘削部材30の軸34に配置されている(図1参照)。掘削ロッド10、主軸部21などの配管を通じて供給された充填材はこの吐出孔50から吐出される。このように掘削部材30に配置された吐出孔50から充填材を吐出する本実施形態の地盤改良装置1によれば、地盤Gの掘削(掘進)時、充填材をより確実に撹拌領域へ供給して撹拌・混合することができる。なお、掘削時に充填材を撹拌領域へ供給するという観点からすれば、吐出孔50は少なくとも上述した撹拌部材40よりも先端側(掘削部材30寄り)に配置されていれば足りるが、上述のように掘削部材30(の軸34)に配置されていれば充填材の撹拌領域への供給がより確実になるという点で好ましい。さらには、吐出孔50は掘削部材30の軸34の先端部に配置されることが、スパイラル上の土も充填材と混合させることができるという点で好ましい。また、軸方向に沿って複数の吐出孔50を配置することも好ましい(図1参照)。
【0037】
ここで、本実施形態においては、太陽ギア2、遊星ギア4等を用いることで、ギアケーシング20等を回転させた際、撹拌部材40が自転しながら公転(遊星運動)するようにしている。太陽ギア2は、掘削ロッド10の内管12の先端付近に相対回転不能に設けられている。遊星ギア4は、撹拌軸41の基端付近に、当該撹拌軸41に対し相対回転不能に設けられている。これら太陽ギア2と遊星ギア4とは直接噛み合うものでもよいが、本実施形態では両ギア2,4間に伝達ギア3を介在させている(図1参照)。また、本実施形態では、太陽ギア2よりも小径でギア数が少ない遊星ギア4を採用している。
【0038】
上述のような二重管構造の掘削ロッド10を用いた場合において、ギアケーシング20自体が回転しようとすると遊星ギア(伝達ギア)4も共に回転(公転)しようとする。このとき、太陽ギア2は不動であるため、遊星ギア4は太陽ギア2を反力として自転を始める。その時の遊星ギア4の回転方向は、原則、伝達ギア3がある場合にはギアケーシング20と逆方向に、伝達ギア3が無い場合にはギアケーシング20と同方向になる(図4参照)。
【0039】
なお、伝達ギア3が無くても遊星ギア4を回転させることは可能だが、伝達ギア3が無いギア列を用いて、伝達ギア3がある場合と同じ径の地盤を改良しようとすると、より大径の太陽ギア2と、投影面積の大きい(幅Bがより大きい)ギアケーシング20とを採用せざるを得なくなり、施工上不利となる面がある(図4参照)。この観点からすれば、伝達ギア3を含むギア列を採用することが好ましい。
【0040】
このような地盤改良装置1において掘削部材30等を回転させたときの各部材の動きについて説明すると以下のとおりである(図5〜図7等参照)。まず掘削時において、ギアケーシング20等を介して掘削部材30を時計回りに回転させると(以下、正回転ともいう)、右ネジ状の螺旋状羽根からなるスパイラル31が同角度回転して地盤Gを掘削し、また、主軸部21や主軸撹拌翼22も同角度回転する。さらに、撹拌軸41が主軸部21の回りを時計回りに同角度公転(遊星運動)するとともに、所定角度自転する(図5〜図7参照)。自転の際の所定角度と回転方向は太陽ギア2と遊星ギア4とのギア比で決まるものであり、例えば太陽ギア2よりも小径でギア数が少ない遊星ギア4を採用している本実施形態の場合、撹拌軸41は、反時計回りに所定割合で自転しながら時計回りに公転(遊星運動)する。なお、ギアケーシング20等を逆回転(反時計回りに回転)させたときの動きは、上述した場合とは逆に図7、図6、図5と辿る動きになることはいうまでもない。
【0041】
上述のように、ギアケーシング20等を正回転させることにより多段の主軸撹拌翼22を時計回りに回転させ、その周囲において多段の遊星撹拌翼42を自転させながら時計回りに公転させる本実施形態によれば、鉛直方向および水平方向にワイドな撹拌領域を形成することができる。また、本実施形態のように多段の主軸撹拌翼22と遊星撹拌翼42とが交互に並ぶように配置すれば、せん断力を向上ないし最適化して掘削土と充填材とをさらに効率的に撹拌・混合することができる(図1参照)。
【0042】
また、地盤Gから掘削ロッド10を引き上げる際、掘削部材30等を反時計回りに回転させる(逆回転させる)ことも好ましい。こうした場合、掘削部材30のスパイラル31も逆回転することから、撹拌部材40によって撹拌・混合された改良土を撹拌領域でさらに撹拌するとともに、下方(掘削孔200の底側)へと押し付けながら施工することで密度をより増加させた改良体を造成することが可能となる。また、主軸撹拌翼22や遊星撹拌翼42が傾斜している場合には、これら撹拌翼(羽根)の裏側で改良土を下方へと押し付け掘削領域(スパイラル領域)へと効率よく送り込むことが可能となる。
【0043】
加えて、本実施形態の地盤改良装置1においては、ギアケーシング20と掘削部材30とで撹拌軸41を両持ち支持していることから、施工中に撹拌軸41がぶれる(横ぶれする)のが効果的に抑えられる。したがって、この点でも地盤改良の精度向上の観点で有利である。
【0044】
また、掘削部材30と撹拌部材40とを一体化せず、このようにギアケーシング20と掘削部材30とで撹拌軸41を両持ち支持する構成の本実施形態においては、これら掘削部材30と撹拌部材40をそれぞれ独立して着脱することが可能である。したがって、この地盤改良装置1においては、地盤Gの条件や掘削・撹拌に必要な径などを考慮し、掘削部材30と撹拌部材40をそれぞれ単独で交換して任意径へ変更することができる。図8〜図10に例を示しながら説明すれば、掘削・撹拌に必要な径がD1、D2、D3である場合に、当該径に合う別の掘削部材30に取り換えることが容易であり、また、併せて、撹拌部材40を、径の異なる(遊星撹拌翼42の水平方向への突出量が異なる)別の撹拌部材40に取り換えることも容易である(図8〜図10参照)。あるいは、主軸撹拌翼22が設けられていない主軸部21を採用している場合に、遊星撹拌翼42の水平方向への突出量(腕の長さ)が主軸部21の周面に届くほど十分である撹拌部材40に取り換えることも容易である(図10参照)。
【0045】
さらに、本実施形態の地盤改良装置1によれば、ギアケーシング20を回転させれば掘削部材30、撹拌部材40等を連動させることができるため、回転のための動力源が単一のもので済むという点でも有利である。
【0046】
続いて、上述のごとき地盤改良装置1を用いて地盤Gを改良する際に使用する杭打機100およびこれによる施工手順についても簡単に説明しておく(図11参照)。
【0047】
杭打機100は、リーダー101、オーガー102、振れ止め装置103などを有し、地盤Gを掘削した後、当該掘削孔200に杭(例えば鋼管杭)500を立設させながら回転させて埋設する機械である(図11参照)。回転駆動源となるオーガー(杭回転装置)102は、鉛直方向に立設するリーダー101に沿って杭打時に移動するように設けられており、当該リーダー101の長手方向に沿って昇降する。オーガー102には、鋼管杭500が直接またはヤットコ(図示省略)を介して連結され、該オーガー102が回転駆動することによって当該鋼管杭500を回転させ、地盤Gに貫入させる。
【0048】
この杭打機100と地盤改良装置1を用いて地盤Gを掘削して地盤改良する場合は、まず、施工対象の地盤Gの所定位置に杭打機100の杭芯位置を合わせ(図11(A)参照)、地盤改良装置1の掘削部材30により地盤Gを掘削し、充填材(例えばセメントミルク)と地盤Gのソイル(土壌)とを撹拌・混合して地盤改良し、ソイルセメントコラム300を築造する(図11(B)参照)。築造が完了したら掘削孔200から掘削ロッド10を引き抜き(図11(C)参照)、鋼管杭500の建て込みを行う(図11(D)〜(G)参照)。
【0049】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述した各実施形態では主軸撹拌翼22や遊星撹拌翼42の形状等については簡単に言及しただけであるが、これらの形状や大きさは、掘削土を撹拌・混合して地盤Gの改良を行いうるものである限り特に限定されない。例示すれば、図8に示したように径方向先端部が鉛直方向上方へ曲折した腕形状の遊星撹拌翼42を採用してもよいし、本実施形態において説明したように平面(鉛直軸に垂直な面)に対して傾斜した遊星撹拌翼42を採用してもよい。
【0050】
また、平面(鉛直軸に垂直な面)に対して傾斜した撹拌翼22(42)を採用する場合、当該傾斜角θ1が特に限定されることはないが、実際の施工を考慮すれば10°≦θ1≦30°であることが撹拌・混合の効率等の実用上の観点から好ましい(図12参照)。また、上述した掘削部材30のスパイラル31についてもその傾斜角θ2が特に限定されることはないが、実際の掘削状況等を考慮すれば10°≦θ2≦30°であることが好ましい。
【0051】
これら傾斜角θ1,θ2は互いに独立して設定することができる値だが、上述した実施形態のごとき地盤改良装置1においては、撹拌翼22(42)の傾斜角θ1とスパイラル31の傾斜角θ2がθ1≦θ2となることが最適となる場合がある。θ1をθ2より小さくした場合、掘進時においてスパイラル31にて掘り上げた土が、撹拌領域に滞留し、撹拌回数を多くすることができる。また一方で、両傾斜角θ1,θ2を等しくした場合、掘進時においてスパイラル31と撹拌翼22(42)の互いの回転軌跡に齟齬が起きずに一致しやすくなり、土から受ける抵抗を低減することが可能となる。以上は、地盤Gからの掘削ロッド10の引上げ時に掘削部材30等を逆回転させる場合にも当てはまる場合がある。
【0052】
また、上述した実施形態では撹拌軸41が2本設けられた地盤改良装置1を例示したがこれも好適例にすぎず、この他、3以上の撹拌軸41を設けることもできるし、撹拌軸41を単一とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、掘削土と充填材とを混合させて地盤を改良する地盤改良装置に適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0054】
1…地盤改良装置、2…太陽ギア、4…遊星ギア、10…掘削ロッド、11…外管、12…内管、20…ギアケーシング(ケーシング)、21…主軸部、22…主軸撹拌翼(撹拌翼)、30…掘削部材、31…スパイラル、40…撹拌部材、41…撹拌軸、42…遊星撹拌翼(撹拌翼)、50…吐出孔、102…オーガー(駆動源)、G…地盤
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、掘削土と充填材とを混合させて地盤を改良する地盤改良装置の構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤に杭を施工する際、杭の支持力(鉛直支持力、水平支持力、引き抜き支持力)を向上させるための一手法として地盤改良が行われる。例えば杭頭付近に軟弱地盤が存在する場合、地盤改良後に杭を施工することによって、地震時に作用する水平力に対して杭の変位量が大きくなるといった悪影響を軽減することが可能となる。
【0003】
また地盤改良の他の用途には、土壌汚染対策工法として、汚染の浄化材、例えば鉄粉を汚染土壌と混合したり、汚染土壌の周囲を地盤改良体にて囲い、汚染物質の流出を防ぐといったものがある。
【0004】
このような地盤改良を実施するための装置としては、掘削軸の下端部に掘削用のビットを備えていて、ビットの上方の掘削軸には撹拌翼が複数段状に取り付けられていて、ビットと撹拌翼間の掘削軸や撹拌翼と撹拌翼間の掘削軸には共回り防止翼(板)が回動自在に支持されているもの等が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
一方、このような地盤改良装置においては、共回り防止翼を未掘削地盤に圧入する必要があり、固い地盤での掘削が困難な場合もあるため、このような欠点の解消を図るべく、従来、駆動装置で掘削外管を回転するとビット軸に設けられたビットと撹拌翼とが自転しながら公転するような、共回り防止翼を不用とした装置も提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特公昭58−29374号公報
【特許文献2】実開平7−15827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のごとき地盤改良装置には、固い地盤に適応困難であるという課題や、掘削効率が十分でないといった課題がある。また、特許文献2のごとき地盤改良装置には、掘削効率、撹拌効率が十分でない、掘削土と充填材との撹拌・混合も十分でない、さらに改良精度も十分でないといった課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、固い地盤にも適応可能となり、掘削効率、撹拌効率を向上させ、掘削土と充填材との撹拌・混合を十分行えるようにし、さらに改良精度も向上させた地盤改良装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(掘削効率について)
かかる課題を解決するべく本発明者は種々の検討を行った。まず掘削効率についてみてみると、上述のごとき従来の地盤改良装置は共回り防止翼を備えることがあり、当該共回り防止翼は、両端が地盤壁に入り込んだ状態となることによって掘削部材(例えば掘削ビット)と共回りしないように設けられおり、これにより、掘削土をせん断してより細かく砕くことを可能としている。しかしその一方で、未掘削の地盤へと貫入させる共回り防止翼があると、固い地盤の掘削が困難になることから掘削効率が悪化する場合もある。また、上述の特許文献2の地盤改良装置のように複数の掘削軸(掘削ビットが設けられた軸)が遊星運動をする構成となっていると、掘進時に垂直方向の抵抗を受けると共に水平方向の抵抗も受けるため、特に固い地盤を掘削する場合に掘削速度を上げることが難しく、掘削効率を向上させることが難しい。
【0009】
(撹拌効率について)
また、特許文献2の地盤改良装置のように、掘削機構の直上において掘削軸(掘削ビットが設けられた軸)に撹拌翼が一対ないし一組ずつ連結されているだけの場合、撹拌も掘削軸の中央部でのみ行われるため撹拌効率を向上させることが難しい。また、回転速度を上げるにしても上述した垂直方向・水平方向の抵抗との関係もあり、上限がある。しかも、特許文献2におけるように撹拌領域が比較的狭かったり充填材を吐出する範囲が狭かったりすると、掘削土と充填材とを効率的に撹拌できる範囲が狭小である。
【0010】
(掘削土と充填材との混合について)
特許文献2の地盤改良装置のように充填材の吐出口が掘削撹拌領域の上部に配置されていると、ロッドの掘進の際、充填材が撹拌領域に供給されず撹拌・混合されない。
【0011】
(任意径への対応について)
特許文献2の地盤改良装置のように掘削部材(例えば掘削ビット)と撹拌翼とが一体化されていて所定位置に着脱される構成となっていると、掘削部材や撹拌翼の各々の径を変更することが容易ではない。
【0012】
(改良精度について)
特許文献2の地盤改良装置のように掘削部材が掘削ビットで構成されていると、ロッド引き上げの際に改良土を下方に押し付けるような施工は不可能である。また、特許文献2の地盤改良装置のように掘削・撹拌用回転軸が片持ちであり先端が自由端になっていると、施工中に軸がぶれて改良精度が劣る可能性がある。
【0013】
以上のごとく種々の検討を重ねた本発明者は、これら課題の解決に結び付く新たな知見を得るに至った。本発明はかかる知見に基づくもので、掘削土と充填材とを混合させて地盤を改良する地盤改良装置において、掘削ロッドの先端に単一の主軸部を介して支持される掘削部材と、該掘削部材と接続され当該掘削部材と一体回転するケーシングと、先端側を掘削部材によって、他端側を該ケーシングによってそれぞれ回転可能に両持ち支持された撹拌軸、および該撹拌軸に設けられた撹拌翼を有する撹拌部材と、主軸部に設けられた撹拌翼と、掘削ロッドに設けられた太陽ギアと、撹拌部材に設けられて該太陽ギアと直接または間接的に噛合する遊星ギアと、掘削部材に形成されたスパイラルと、少なくとも撹拌部材よりも掘削部材寄りに配置された充填材の吐出孔と、ケーシング等を回転させる駆動源と、を備え、掘削部材およびケーシングを一体回転させることにより、撹拌軸を自転させながら主軸部の周囲に公転させて撹拌領域を形成するというものである。
【0014】
(掘削効率について)
本発明においては、掘削部材にスパイラルを形成したうえで、該掘削部材を単軸(単一の主軸部)上に設けて主軸部と掘削軸とが同軸回転する構成としていることから、複数の掘削軸を有する装置と比較して、特に掘進時における水平方向の抵抗を低減させることが可能である。したがって、本発明にかかる地盤改良装置によれば掘削効率を向上させることができる。
【0015】
(撹拌効率について)
また、本発明においては、掘削土をスパイラルによって掘削部材よりも上方の撹拌領域へと螺旋羽根を伝うようにして効率よく送り込むことが可能であり、撹拌軸を公転(遊星回転)させて当該掘削土を撹拌させるので、撹拌効率を向上させることができる。
【0016】
(掘削土と充填材との混合について)
本発明においては、充填材の吐出孔を、少なくとも撹拌部材よりも掘削部材寄りに配置しているため、掘削ロッドの掘進時、充填材を撹拌領域に供給して撹拌・混合することができる。また、当該吐出孔を利用して、掘削ロッドの掘進時に水を吐出してより効率的に掘削することも可能となる。
【0017】
(任意径への対応について)
また、本発明においては、撹拌軸を掘削部材とケーシングとによって両持ち支持する構造としていることから、掘削部材と撹拌部材とが一体化されずにそれぞれ独立して着脱することが可能となっている。このため、地盤の条件や掘削・撹拌に必要な径などを考慮し、掘削部材と撹拌部材をそれぞれ単独で交換して任意径へ変更することができる。
【0018】
(改良精度について)
さらに、本発明においては、掘削部材と撹拌部材とを一体化せず上記のように独立した構成としており、尚かつ掘削部材にスパイラルを形成していることから、掘削ロッドの引上げ時に当該掘削部材およびスパイラルを逆回転させることにより、撹拌部材で撹拌・混合された改良土を下方へと押し付け押圧しながら施工することが可能であり、したがって、密度をより増加させた改良体を造成することができる。しかも、本発明においては掘削部材とケーシングとで撹拌軸を両持ち支持しており、施工中に軸がぶれる可能性が低いことから、この点でも改良精度の向上を図ることができる。
【0019】
(排出土量の低減について)
また、掘削ロッドの引上げ時に当該掘削部材およびスパイラルを逆回転させることにより、改良土を下方へと押し付けることで、地上へと排出される残土を低減することができる。
【0020】
上述のごとき地盤改良装置においては、撹拌軸が複数設けられていることが好ましい。また、撹拌翼が複数設けられていることも好ましい。
【0021】
さらに、上述のごとき地盤改良装置においては、撹拌翼が傾斜していることが好ましい。この場合、撹拌翼の傾斜角θ1とスパイラルの傾斜角θ2の関係はθ1≦θ2であることがさらに好ましい。
【0022】
また、上述のごとき地盤改良装置において、掘削ロッドが外管と内管とからなる二重管構造であることが好ましい。この場合、外管と内管のいずれか一方は地盤改良施工時に回転しない管であることも好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、掘削効率、撹拌効率を向上させ、掘削土と充填材との撹拌・混合を十分行えるようにし、さらに改良精度を向上させ、排出土も低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態における地盤改良装置のうち先端部分の構造を示す部分断面図である。
【図2】地盤改良装置の全体を示す断面図である。
【図3】地盤改良装置の全体を示す断面図であって、回転しない不動部をメッシュ地で表したものである。
【図4】(A)伝達ギアがある場合、(B)伝達ギアが無い場合の、太陽ギア等の回転動作の概略を示す平面図である。
【図5】ケーシング等を回転させたときの主軸撹拌翼、撹拌軸、遊星撹拌翼など各部材の動きを概略的に示す平面図である。
【図6】図5の後の一時点における各部材の動きを概略的に示す平面図である。
【図7】図6の後の一時点における各部材の動きを概略的に示す平面図である。
【図8】掘削・撹拌に必要な径が異なる場合の地盤改良装置の一例を示す図である。
【図9】掘削・撹拌に必要な径がまた異なる場合の地盤改良装置の一例を示す図である。
【図10】掘削・撹拌に必要な径がさらに異なる場合の地盤改良装置の一例を示す図である。
【図11】地盤改良装置および杭打機による施工手順の一例を示すもので、(A)杭打機による杭芯合わせ、(B)セメントミルクと地盤を撹拌混合してのソイルセメントコラム築造、(C)ソイルセメントコラムの築造完了、(D)鋼管杭の建て込み、(E)鋼管杭の杭芯合わせ、鉛直性の確認、(F)鋼管杭のソイルセメントコラム中への回転埋設、(G)鋼管杭の杭頭レベルの確認 の各工程を表す図である。
【図12】平面(鉛直軸に垂直な面)に対して傾斜した撹拌翼とスパイラル、およびこれらの傾斜角θ1,θ2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1等に本発明にかかる地盤改良装置1の実施形態を示す。本発明にかかる地盤改良装置1は、掘削ロッド10、ギアケーシング(ケーシング)20、掘削部材30、撹拌部材40、撹拌翼22,42、太陽ギア2、伝達ギア3、遊星ギア4、充填材の吐出孔50などを備えており、地盤Gの掘削時、掘削孔200中で掘削土と充填材とを混合させて地盤Gを改良する装置である。本明細書でいう充填材は、セメントミルクなどの硬化材のみならず、ベントナイト泥水、ベントナイト粉体、鉄粉といったものも含む概念である。
【0027】
本実施形態の掘削ロッド10は外管11と内管12からなる二重管構造であり、本実施形態ではこのような二重管の掘削ロッド10を単一の駆動源(オーガー102)によって駆動する(図2、図3参照)。この掘削ロッド10の先端(下端)には、ギアケーシング20、掘削部材30などが回転可能な状態に支持されている。掘削ロッド10は内部が中空の構造であり、地表側(基端側)からセメントミルクなどの充填材を供給する配管を兼ねている。地盤Gの掘削時、掘削ロッド10は地表の杭打機100によって操作され、オーガーモータ(図示省略)の回転駆動力を伝達してギアケーシング20などを回転させる(図1参照)。
【0028】
外管11は、地盤改良施工時にオーガー102の回転駆動力を伝達してギアケーシング20などを回転させる管であり、その上端(基端)部はオーガー102の回転駆動装置102aに接続され、下端(先端)部はギアケーシング20に連結されている。
【0029】
一方、内管12は地盤改良施工時に回転しない管であり、地表側から充填材を供給するための配管を兼ねている。内管12の上端(基端)部は回転駆動装置102aを貫通している。内管12の上端には充填材を送り込む供給ホース13が接続されている。また、この内管12の先端(下端)には太陽ギア2が当該内管12に対し相対回転不能に剛結されており、これら内管12と太陽ギア2とが常に不動の状態で一体化している。なお、図3においては、内管12等、地盤改良施工時に回転しない不動部をメッシュ地で表している。
【0030】
ギアケーシング20は、太陽ギア2、伝達ギア3、遊星ギア4を収容する筐体として機能しており、掘削ロッド10の外管11の先端に支持されている(図1参照)。また、ギアケーシング20は、軸受43,44を介して撹拌部材40の撹拌軸41の一端を回転可能に支持している。このギアケーシング20の下部中心には(複数ではなく)単一の主軸部21が接続され、さらに該主軸部21を介して掘削部材30が接続されており、これらギアケーシング20、主軸部21および掘削部材30は一体となって回転する。
【0031】
掘削部材30は、ギアケーシング20、主軸部21ともに掘削ロッド10の先端に支持されている部材で、地盤Gを掘削する際、その先端部周辺のノズル32からエアーや水、掘削液などを噴出するように構成されている。また、掘削部材30の下端部には複数の掘削刃33が設けられている(図1参照)。なお、当該掘削部材30により掘削が行われる領域を本明細書では掘削領域ともいう(図1参照)。
【0032】
また、掘削部材30には、例えば軸34を中心とした右ネジ状のスクリュー(螺旋状)羽根からなるスパイラル31が形成されている(図1参照)。このスパイラル31の上部は、掘削土が撹拌領域(撹拌翼22,42によって撹拌が行われる領域)へと流れ込みやすくなるよう開口した形状となっている。このようにスパイラル31が形成された掘削部材30は、螺旋状羽根によって掘削土を掘削部材30よりも上方の撹拌領域へと効率よく送り込む。また、本実施形態においてはスパイラル31が形成された掘削部材30を単一の主軸部(単軸)21に接続した構成としているため、複数の掘削軸を有する装置に比べ、特に掘進時における水平方向の抵抗が低減する。また、スパイラル31が形成された掘削部材30を用いれば、掘進時の掘進性がより向上するという利点もある。
【0033】
撹拌部材40は掘削土と充填材とを撹拌・混合する部材であり、本実施形態では撹拌軸41と撹拌翼42とで構成されている。撹拌軸41は、掘削時、自転しながら主軸部21の周囲を公転するように設けられているもので、その先端側は、掘削部材30の上面の一部において軸受45を介して回転可能に支持されている。また、撹拌軸41の他端側(基端側)は、上述したように軸受43,44を介してギアケーシング20に回転可能に支持されている。
【0034】
撹拌翼42は、撹拌軸41に剛結された(剛な状態で結合された)撹拌用羽根である(本明細書では遊星撹拌翼ともいう)。掘削孔200中で撹拌軸41が回転(自転・公転)すると遊星撹拌翼42も回転し、掘削土と充填材とを撹拌・混合する。遊星撹拌翼42は、例えば撹拌軸41に沿って複数枚が多段に設けられていてもよく、こうすることによって撹拌・混合の効率をさらに向上させることができるようになる(図1参照)。また、本実施形態では一例として2枚1組の遊星撹拌翼42が180度おきに設けられた撹拌部材40を示しているが(図1参照)、もちろん、3枚あるいはこれを超える枚数の遊星撹拌翼42を均等に設けてもよい。あるいは、撹拌軸41の軸方向において、または周方向において複数の遊星撹拌翼42を不均等に設けてもよい。
【0035】
また、本実施形態においては、主軸部21に剛結された別の撹拌翼(本明細書では主軸撹拌翼ともいう)22を設けている(図1参照)。遊星撹拌翼42に主軸撹拌翼22を加えることで、掘削土と充填材とをより効率的に撹拌・混合することが可能となる。なお、上述の遊星撹拌翼42と同様、3枚あるいはこれを超える枚数の主軸撹拌翼22を軸方向または周方向に均等または不均等に設けてもよい。また、水平面(鉛直軸に垂直な面)に対して主軸撹拌翼22を傾斜させてもよい(図1参照)。
【0036】
さらに、充填材の吐出孔50が、例えば掘削部材30の軸34に配置されている(図1参照)。掘削ロッド10、主軸部21などの配管を通じて供給された充填材はこの吐出孔50から吐出される。このように掘削部材30に配置された吐出孔50から充填材を吐出する本実施形態の地盤改良装置1によれば、地盤Gの掘削(掘進)時、充填材をより確実に撹拌領域へ供給して撹拌・混合することができる。なお、掘削時に充填材を撹拌領域へ供給するという観点からすれば、吐出孔50は少なくとも上述した撹拌部材40よりも先端側(掘削部材30寄り)に配置されていれば足りるが、上述のように掘削部材30(の軸34)に配置されていれば充填材の撹拌領域への供給がより確実になるという点で好ましい。さらには、吐出孔50は掘削部材30の軸34の先端部に配置されることが、スパイラル上の土も充填材と混合させることができるという点で好ましい。また、軸方向に沿って複数の吐出孔50を配置することも好ましい(図1参照)。
【0037】
ここで、本実施形態においては、太陽ギア2、遊星ギア4等を用いることで、ギアケーシング20等を回転させた際、撹拌部材40が自転しながら公転(遊星運動)するようにしている。太陽ギア2は、掘削ロッド10の内管12の先端付近に相対回転不能に設けられている。遊星ギア4は、撹拌軸41の基端付近に、当該撹拌軸41に対し相対回転不能に設けられている。これら太陽ギア2と遊星ギア4とは直接噛み合うものでもよいが、本実施形態では両ギア2,4間に伝達ギア3を介在させている(図1参照)。また、本実施形態では、太陽ギア2よりも小径でギア数が少ない遊星ギア4を採用している。
【0038】
上述のような二重管構造の掘削ロッド10を用いた場合において、ギアケーシング20自体が回転しようとすると遊星ギア(伝達ギア)4も共に回転(公転)しようとする。このとき、太陽ギア2は不動であるため、遊星ギア4は太陽ギア2を反力として自転を始める。その時の遊星ギア4の回転方向は、原則、伝達ギア3がある場合にはギアケーシング20と逆方向に、伝達ギア3が無い場合にはギアケーシング20と同方向になる(図4参照)。
【0039】
なお、伝達ギア3が無くても遊星ギア4を回転させることは可能だが、伝達ギア3が無いギア列を用いて、伝達ギア3がある場合と同じ径の地盤を改良しようとすると、より大径の太陽ギア2と、投影面積の大きい(幅Bがより大きい)ギアケーシング20とを採用せざるを得なくなり、施工上不利となる面がある(図4参照)。この観点からすれば、伝達ギア3を含むギア列を採用することが好ましい。
【0040】
このような地盤改良装置1において掘削部材30等を回転させたときの各部材の動きについて説明すると以下のとおりである(図5〜図7等参照)。まず掘削時において、ギアケーシング20等を介して掘削部材30を時計回りに回転させると(以下、正回転ともいう)、右ネジ状の螺旋状羽根からなるスパイラル31が同角度回転して地盤Gを掘削し、また、主軸部21や主軸撹拌翼22も同角度回転する。さらに、撹拌軸41が主軸部21の回りを時計回りに同角度公転(遊星運動)するとともに、所定角度自転する(図5〜図7参照)。自転の際の所定角度と回転方向は太陽ギア2と遊星ギア4とのギア比で決まるものであり、例えば太陽ギア2よりも小径でギア数が少ない遊星ギア4を採用している本実施形態の場合、撹拌軸41は、反時計回りに所定割合で自転しながら時計回りに公転(遊星運動)する。なお、ギアケーシング20等を逆回転(反時計回りに回転)させたときの動きは、上述した場合とは逆に図7、図6、図5と辿る動きになることはいうまでもない。
【0041】
上述のように、ギアケーシング20等を正回転させることにより多段の主軸撹拌翼22を時計回りに回転させ、その周囲において多段の遊星撹拌翼42を自転させながら時計回りに公転させる本実施形態によれば、鉛直方向および水平方向にワイドな撹拌領域を形成することができる。また、本実施形態のように多段の主軸撹拌翼22と遊星撹拌翼42とが交互に並ぶように配置すれば、せん断力を向上ないし最適化して掘削土と充填材とをさらに効率的に撹拌・混合することができる(図1参照)。
【0042】
また、地盤Gから掘削ロッド10を引き上げる際、掘削部材30等を反時計回りに回転させる(逆回転させる)ことも好ましい。こうした場合、掘削部材30のスパイラル31も逆回転することから、撹拌部材40によって撹拌・混合された改良土を撹拌領域でさらに撹拌するとともに、下方(掘削孔200の底側)へと押し付けながら施工することで密度をより増加させた改良体を造成することが可能となる。また、主軸撹拌翼22や遊星撹拌翼42が傾斜している場合には、これら撹拌翼(羽根)の裏側で改良土を下方へと押し付け掘削領域(スパイラル領域)へと効率よく送り込むことが可能となる。
【0043】
加えて、本実施形態の地盤改良装置1においては、ギアケーシング20と掘削部材30とで撹拌軸41を両持ち支持していることから、施工中に撹拌軸41がぶれる(横ぶれする)のが効果的に抑えられる。したがって、この点でも地盤改良の精度向上の観点で有利である。
【0044】
また、掘削部材30と撹拌部材40とを一体化せず、このようにギアケーシング20と掘削部材30とで撹拌軸41を両持ち支持する構成の本実施形態においては、これら掘削部材30と撹拌部材40をそれぞれ独立して着脱することが可能である。したがって、この地盤改良装置1においては、地盤Gの条件や掘削・撹拌に必要な径などを考慮し、掘削部材30と撹拌部材40をそれぞれ単独で交換して任意径へ変更することができる。図8〜図10に例を示しながら説明すれば、掘削・撹拌に必要な径がD1、D2、D3である場合に、当該径に合う別の掘削部材30に取り換えることが容易であり、また、併せて、撹拌部材40を、径の異なる(遊星撹拌翼42の水平方向への突出量が異なる)別の撹拌部材40に取り換えることも容易である(図8〜図10参照)。あるいは、主軸撹拌翼22が設けられていない主軸部21を採用している場合に、遊星撹拌翼42の水平方向への突出量(腕の長さ)が主軸部21の周面に届くほど十分である撹拌部材40に取り換えることも容易である(図10参照)。
【0045】
さらに、本実施形態の地盤改良装置1によれば、ギアケーシング20を回転させれば掘削部材30、撹拌部材40等を連動させることができるため、回転のための動力源が単一のもので済むという点でも有利である。
【0046】
続いて、上述のごとき地盤改良装置1を用いて地盤Gを改良する際に使用する杭打機100およびこれによる施工手順についても簡単に説明しておく(図11参照)。
【0047】
杭打機100は、リーダー101、オーガー102、振れ止め装置103などを有し、地盤Gを掘削した後、当該掘削孔200に杭(例えば鋼管杭)500を立設させながら回転させて埋設する機械である(図11参照)。回転駆動源となるオーガー(杭回転装置)102は、鉛直方向に立設するリーダー101に沿って杭打時に移動するように設けられており、当該リーダー101の長手方向に沿って昇降する。オーガー102には、鋼管杭500が直接またはヤットコ(図示省略)を介して連結され、該オーガー102が回転駆動することによって当該鋼管杭500を回転させ、地盤Gに貫入させる。
【0048】
この杭打機100と地盤改良装置1を用いて地盤Gを掘削して地盤改良する場合は、まず、施工対象の地盤Gの所定位置に杭打機100の杭芯位置を合わせ(図11(A)参照)、地盤改良装置1の掘削部材30により地盤Gを掘削し、充填材(例えばセメントミルク)と地盤Gのソイル(土壌)とを撹拌・混合して地盤改良し、ソイルセメントコラム300を築造する(図11(B)参照)。築造が完了したら掘削孔200から掘削ロッド10を引き抜き(図11(C)参照)、鋼管杭500の建て込みを行う(図11(D)〜(G)参照)。
【0049】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述した各実施形態では主軸撹拌翼22や遊星撹拌翼42の形状等については簡単に言及しただけであるが、これらの形状や大きさは、掘削土を撹拌・混合して地盤Gの改良を行いうるものである限り特に限定されない。例示すれば、図8に示したように径方向先端部が鉛直方向上方へ曲折した腕形状の遊星撹拌翼42を採用してもよいし、本実施形態において説明したように平面(鉛直軸に垂直な面)に対して傾斜した遊星撹拌翼42を採用してもよい。
【0050】
また、平面(鉛直軸に垂直な面)に対して傾斜した撹拌翼22(42)を採用する場合、当該傾斜角θ1が特に限定されることはないが、実際の施工を考慮すれば10°≦θ1≦30°であることが撹拌・混合の効率等の実用上の観点から好ましい(図12参照)。また、上述した掘削部材30のスパイラル31についてもその傾斜角θ2が特に限定されることはないが、実際の掘削状況等を考慮すれば10°≦θ2≦30°であることが好ましい。
【0051】
これら傾斜角θ1,θ2は互いに独立して設定することができる値だが、上述した実施形態のごとき地盤改良装置1においては、撹拌翼22(42)の傾斜角θ1とスパイラル31の傾斜角θ2がθ1≦θ2となることが最適となる場合がある。θ1をθ2より小さくした場合、掘進時においてスパイラル31にて掘り上げた土が、撹拌領域に滞留し、撹拌回数を多くすることができる。また一方で、両傾斜角θ1,θ2を等しくした場合、掘進時においてスパイラル31と撹拌翼22(42)の互いの回転軌跡に齟齬が起きずに一致しやすくなり、土から受ける抵抗を低減することが可能となる。以上は、地盤Gからの掘削ロッド10の引上げ時に掘削部材30等を逆回転させる場合にも当てはまる場合がある。
【0052】
また、上述した実施形態では撹拌軸41が2本設けられた地盤改良装置1を例示したがこれも好適例にすぎず、この他、3以上の撹拌軸41を設けることもできるし、撹拌軸41を単一とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、掘削土と充填材とを混合させて地盤を改良する地盤改良装置に適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0054】
1…地盤改良装置、2…太陽ギア、4…遊星ギア、10…掘削ロッド、11…外管、12…内管、20…ギアケーシング(ケーシング)、21…主軸部、22…主軸撹拌翼(撹拌翼)、30…掘削部材、31…スパイラル、40…撹拌部材、41…撹拌軸、42…遊星撹拌翼(撹拌翼)、50…吐出孔、102…オーガー(駆動源)、G…地盤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削土と充填材とを混合させて地盤を改良する地盤改良装置において、
掘削ロッドの先端に単一の主軸部を介して支持される掘削部材と、
該掘削部材と接続され当該掘削部材と一体回転するケーシングと、
先端側を前記掘削部材によって、他端側を該ケーシングによってそれぞれ回転可能に両持ち支持された撹拌軸、および該撹拌軸に設けられた撹拌翼を有する撹拌部材と、
前記主軸部に設けられた撹拌翼と、
前記掘削ロッドに設けられた太陽ギアと、
前記撹拌部材に設けられて該太陽ギアと直接または間接的に噛合する遊星ギアと、
前記掘削部材に形成されたスパイラルと、
少なくとも前記撹拌部材よりも前記掘削部材寄りに配置された前記充填材の吐出孔と、
前記ケーシング等を回転させる駆動源と、
を備え、
前記掘削部材および前記ケーシングを一体回転させることにより、前記撹拌軸を自転させながら前記主軸部の周囲に公転させて撹拌領域を形成する、地盤改良装置。
【請求項2】
前記撹拌軸が複数設けられている、請求項1に記載の地盤改良装置。
【請求項3】
前記撹拌翼が複数設けられている、請求項1または2に記載の地盤改良装置。
【請求項4】
前記撹拌翼が傾斜している、請求項1から3のいずれか一項に記載の地盤改良装置。
【請求項5】
前記撹拌翼の傾斜角θ1と前記スパイラルの傾斜角θ2がθ1≦θ2である、請求項4に記載の地盤改良装置。
【請求項6】
前記掘削ロッドが外管と内管とからなる二重管構造である、請求項1から5のいずれか一項に記載の地盤改良装置。
【請求項7】
前記外管と前記内管のいずれか一方は地盤改良施工時に回転しない管である、請求項6に記載の地盤改良装置。
【請求項1】
掘削土と充填材とを混合させて地盤を改良する地盤改良装置において、
掘削ロッドの先端に単一の主軸部を介して支持される掘削部材と、
該掘削部材と接続され当該掘削部材と一体回転するケーシングと、
先端側を前記掘削部材によって、他端側を該ケーシングによってそれぞれ回転可能に両持ち支持された撹拌軸、および該撹拌軸に設けられた撹拌翼を有する撹拌部材と、
前記主軸部に設けられた撹拌翼と、
前記掘削ロッドに設けられた太陽ギアと、
前記撹拌部材に設けられて該太陽ギアと直接または間接的に噛合する遊星ギアと、
前記掘削部材に形成されたスパイラルと、
少なくとも前記撹拌部材よりも前記掘削部材寄りに配置された前記充填材の吐出孔と、
前記ケーシング等を回転させる駆動源と、
を備え、
前記掘削部材および前記ケーシングを一体回転させることにより、前記撹拌軸を自転させながら前記主軸部の周囲に公転させて撹拌領域を形成する、地盤改良装置。
【請求項2】
前記撹拌軸が複数設けられている、請求項1に記載の地盤改良装置。
【請求項3】
前記撹拌翼が複数設けられている、請求項1または2に記載の地盤改良装置。
【請求項4】
前記撹拌翼が傾斜している、請求項1から3のいずれか一項に記載の地盤改良装置。
【請求項5】
前記撹拌翼の傾斜角θ1と前記スパイラルの傾斜角θ2がθ1≦θ2である、請求項4に記載の地盤改良装置。
【請求項6】
前記掘削ロッドが外管と内管とからなる二重管構造である、請求項1から5のいずれか一項に記載の地盤改良装置。
【請求項7】
前記外管と前記内管のいずれか一方は地盤改良施工時に回転しない管である、請求項6に記載の地盤改良装置。
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図4】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2012−184612(P2012−184612A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49268(P2011−49268)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【出願人】(511059988)SIC Agora eX 株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【出願人】(511059988)SIC Agora eX 株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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