説明

地盤高データ生成装置、地盤高データ生成方法、及びプログラム

【課題】森林領域の地表面の標高値を取得するためのコストを低く抑え、森林領域の地表面の標高値を正確に取得可能な地盤高データ生成装置を提供する。
【解決手段】ステレオ処理部50はステレオ画像データから処理対象領域の標高値を示す三次元表面モデルデータ(DSM)を取得する。地形分類部60はDSMと近赤外線画像データから処理対象地域を森林領域と地面領域等に分類する。階層分割部70はDSMに基づき処理対象領域を複数の階層に分割する。階層分類部80は標高の高低で全階層を凹階層と凸階層等に分類する。凸階層処理部90は凸階層を高木領域と山頂上領域等に分類する。山単位抽出部100は山領域を示す山領域情報を抽出する。樹高算出部110は地面・森林領域の標高差から各階層の森林領域の平均樹高を得る。地盤高データ出力部120は、階層毎に森林領域の標高値から平均樹高を引き地表面の標高値を求め地盤高データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤高データ生成装置、地盤高データ生成方法、及びプログラムに関し、特に、森林領域の地盤高データを生成することに適した地盤高データ生成装置、地盤高データ生成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜4には、航空機や人工衛星により撮影された画像を用いるステレオマッチング処理や、航空機や衛星に搭載されたレーザスキャナの計測値を用いる処理により取得した三次元表面モデル(DSM)データから、処理対象地域の地表面の標高値等を求める方法が開示される。
【0003】
特許文献1では、空中写真画像とレーザスキャナを用いて、効率的に三次元表面モデル(DSM)データを取得する方法が記載されている。具体的には、空中写真画像を領域分割することで、色彩が均一な画像領域が得られ、更に各色領域に重なるレーザスキャナの三次元点群の標高値を初期値としてステレオマッチングし、マッチング結果の標高値が初期値とほぼ同じである場合、計算結果の標高値がこの領域の標高値として設定される。
【0004】
特許文献2では、ステレオマッチング処理やレーザプロファイラ等により、建物、樹木などの地物を含める標高分布情報が取得されて、該標高分布情報を用いて地形形状抽出処理が行われる。この地形形状抽出処理では、処理対象の標高範囲を特定する標高の最大値と最小値を指定し、この標高範囲内の各標高について同じ処理が行われる。この処理では、ある処理標高では、処理対象領域内のデータに対し、この処理標高を標高閾値として使い、データを2値化し、2値化しした結果から、ラベリングを行うことで分割領域を抽出する。更に各分割領域に面積閾値を使い、面積閾値以下の領域を非地面領域として検出する。非地面領域として検出された領域内の各点の標高値を、今の時点の処理標高に書き換えることで、非地面領域内の建物、樹木などを除去する。
【0005】
特許文献3では、レーザスキャナを用いて森林領域の標高値を計測し、取得した点群を格子状に分割し、各格子内に最高標高値と最低標高値を求め、そして全格子の最高標高値を含む面を上層面とし、全格子の最低標高値を含む面を仮想下層面とし、最高標高値と最低標高値の差分である標高差の最大値を仮想樹高値として計算する。更にこの仮想樹高値に補正を行い、取得した補正樹高分布と先に求めた上層面との差分で地盤高を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−323640号公報
【特許文献2】特開2004−093632号公報
【特許文献3】特開2006−003332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで特許文献1では、色彩が均一な画像領域は、標高値が同一の地物を示すという仮定があり、その仮定の基でステレオマッチング処理が行われ、画像領域内の標高が取得される。しかし、航空写真に写っている森林は常に様々なテクスチャ特徴がある領域であり、色彩が均一な画像領域があまり存在しない。また、特許文献1のDSM生成方法は、建物の屋上、路面、グランド、その他広い平坦地には適用できるが、森林領域のような地形の変化が激しい山地には適用できない。
【0008】
また特許文献2は、孤立した小さな領域である建物や樹木だけを除去可能であり、広範囲に樹木の樹冠が連結する森林域に対して適用することが困難である。特許文献2では、各処理標高で処理対象データを2値化し、そしてラベリング処理で分割領域を抽出し、分割領域に面積閾値を使い非地面領域の判定を行う。つまり、もし地物の面積は面積閾値よりも大きい場合、非地面領域と認識することができず、この地物を除去することもできない。また、地物が孤立していない場合には、例えば、ラベリング処理により、他の地物と連結することで、1つの大きな分割領域になり、非地面領域として認識することもできない。
【0009】
また特許文献3では、レーザーデータの反射特性を利用し地盤高を予測する方法が記載されている。しかし、特許文献3の方法は、レーザーデータを取得するために、航空写真を用いる方法などと比べ、多大なコストを要するおそれがある。
【0010】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたもので、ステレオ画像と近赤外線画像を利用し、森林領域の地表面の標高値を取得するためのコストを低く抑え、自動的に森林領域の地表面の標高値を正確に取得可能な地盤高データ生成装置、地盤高データ生成方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る地盤高データ生成装置は、
処理対象領域のステレオ画像データから、処理対象領域の各地点の標高値を示す三次元表面モデルデータを取得するステレオ処理部と、
前記三次元表面モデルデータと、処理対象領域の近赤外線画像データとに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域の地形を森林領域と、非森林緑地領域、地面が露出する領域と、家屋が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す地形分類情報を出力する地形分類部と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、予め設定される標高近似度値とに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象領域を、平均標高値が異なる複数の階層に分割して、該分割結果を示す階層分割情報を出力する階層分割部と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報とに基づき、階層分割情報が示す各階層の平均標高を算出するとともに、該平均標高を用いて、各階層を、凸階層、凹階層、中間階層のいずれかに分類して、該分類結果と、各階層の平均標高とを示す階層分類情報を出力する階層分類部と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報と、前記階層分類情報と、パラメータ記憶部に記憶された面積閾値とに基づき、前記凸階層を、前記家屋が存在する領域と、高木が存在する領域と、山の頂上が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す凸階層分類情報を出力する凸階層処理部と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記凸階層分類情報とを用いて、処理対象地域に存在する山の領域を示す山領域情報を抽出する山単位抽出部と、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記地面が露出する領域と、この周囲に存在する前記森林領域とを特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記森林領域内に前記地面が露出する領域と隣接するピクセルの標高値と前記地面が露出する領域の平均標高値との差を求めることで、前記地面が露出する領域の周りの森林領域の樹高を算出する計算を、各階層における全部の地面が露出する領域に対して行い、それぞれ算出した樹高の平均値を当階層の平均樹高として算出し、該平均樹高を示す樹高情報を出力する樹高算出部と、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記森林領域を特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記各階層に存在する森林領域の標高値を取得し、該各階層の森林領域の標高値から、前記樹高情報が示す各階層の森林領域の平均樹高をそれぞれ差し引くことで、前記各階層の森林領域における地表面の標高値を算出して、該森林領域における地表面の標高値を示す地盤高データを出力する地盤高データ出力部と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の観点に係る地盤高データ生成方法は、
処理対象領域のステレオ画像データから、処理対象領域の各地点の標高値を示す三次元表面モデルデータを取得するステレオ処理ステップと、
前記三次元表面モデルデータと、処理対象領域の近赤外線画像データとに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域の地形を森林領域と、非森林緑地領域、地面が露出する領域と、家屋が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す地形分類情報を出力する地形分類ステップと、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、予め設定される標高近似度値とに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象領域を、平均標高値が異なる複数の階層に分割して、該分割結果を示す階層分割情報を出力する階層分割ステップと、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報とに基づき、階層分割情報が示す各階層の平均標高を算出するとともに、該平均標高を用いて、各階層を、凸階層、凹階層、中間階層のいずれかに分類して、該分類結果と、各階層の平均標高とを示す階層分類情報を出力する階層分類ステップと、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報と、前記階層分類情報と、パラメータ記憶部に記憶された面積閾値とに基づき、前記凸階層を、前記家屋が存在する領域と、高木が存在する領域と、山の頂上が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す凸階層分類情報を出力する凸階層処理ステップと、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記凸階層分類情報とを用いて、処理対象地域に存在する山の領域を示す山領域情報を抽出する山単位抽出ステップと、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記地面が露出する領域と、この周囲に存在する前記森林領域とを特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記森林領域内に前記地面が露出する領域と隣接するピクセルの標高値と前記地面が露出する領域の平均標高値との差を求めることで、前記地面が露出する領域の周りの森林領域の樹高を算出する計算を、各階層における全部の地面が露出する領域に対して行い、それぞれ算出した樹高の平均値を当階層の平均樹高として算出し、該平均樹高を示す樹高情報を出力する樹高算出ステップと、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記森林領域を特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記各階層に存在する森林領域の標高値を取得し、該各階層の森林領域の標高値から、前記樹高情報が示す各階層の森林領域の平均樹高をそれぞれ差し引くことで、前記各階層の森林領域における地表面の標高値を算出して、該森林領域における地表面の標高値を示す地盤高データを出力する地盤高データ出力ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータに、
処理対象領域のステレオ画像データから、処理対象領域の各地点の標高値を示す三次元表面モデルデータを取得するステレオ処理手段、
前記三次元表面モデルデータと、処理対象領域の近赤外線画像データとに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域の地形を森林領域と、非森林緑地領域、地面が露出する領域と、家屋が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す地形分類情報を出力する地形分類手段、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、予め設定される標高近似度値とに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象領域を、平均標高値が異なる複数の階層に分割して、該分割結果を示す階層分割情報を出力する階層分割手段、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報とに基づき、階層分割情報が示す各階層の平均標高を算出するとともに、該平均標高を用いて、各階層を、凸階層、凹階層、中間階層のいずれかに分類して、該分類結果と、各階層の平均標高とを示す階層分類情報を出力する階層分類手段と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報と、前記階層分類情報と、パラメータ記憶部に記憶された面積閾値とに基づき、前記凸階層を、前記家屋が存在する領域と、高木が存在する領域と、山の頂上が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す凸階層分類情報を出力する凸階層処理手段と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記凸階層分類情報とを用いて、処理対象地域に存在する山の領域を示す山領域情報を抽出する山単位抽出手段と、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記地面が露出する領域と、この周囲に存在する前記森林領域とを特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記森林領域内に前記地面が露出する領域と隣接するピクセルの標高値と前記地面が露出する領域の平均標高値との差を求めることで、前記地面が露出する領域の周りの森林領域の樹高を算出する計算を、各階層における全部の地面が露出する領域に対して行い、それぞれ算出した樹高の平均値を当階層の平均樹高として算出し、該平均樹高を示す樹高情報を出力する樹高算出手段、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記森林領域を特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記各階層に存在する森林領域の標高値を取得し、該各階層の森林領域の標高値から、前記樹高情報が示す各階層の森林領域の平均樹高をそれぞれ差し引くことで、前記各階層の森林領域における地表面の標高値を算出して、該森林領域における地表面の標高値を示す地盤高データを出力する地盤高データ出力手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の地盤高データ生成装置によれば、ステレオ画像データから取得された三次元表面モデルデータと、近赤外線画像データとが用いられて、処理対象地域における地表面の標高値が求められる。よって、レーザスキャナデータを用いる場合のように、多大なコストを要せずに、地表面の標高値を求めることができる。
【0015】
また、三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域が複数の階層に分割されて、この階層毎に、森林領域の平均樹高が求められる。そして、階層毎に、三次元表面モデルデータが示す森林領域の標高値から、森林領域の平均樹高が差し引かれることで、樹木の影響が排されて、森林領域における地表面の標高値が算出される。よって、森林領域における地表面の標高値が正確な値で求められる。
【0016】
また、三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域が、階層内部に標高が近似している条件で、複数の階層に分割される。そして、この階層毎に、階層内部に存在する地面が露出する領域と、その周りの森林領域の標高の差を利用することによって、当階層上における森林領域の平均樹高が取得されて、森林領域における地表面の標高値が求められる。よって、処理対象地域が高密度の森林領域である場合でも、地表面の標高値を正確に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る地盤高データ生成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る地盤高データ生成装置の物理的な構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る森林領域地盤高データを生成する動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る地盤高データ生成装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
地盤高データ生成装置1は、森林領域を処理対象地域として、森林領域の地表面の標高を示す地盤高データを生成するものであり、ステレオ画像データ入力部10と、近赤外線画像データ入力部20と、パラメータ入力部30と、パラメータ記憶部40と、ステレオ処理部50と、地形分類部60と、階層分割部70と、階層分類部80と、凸階層処理部90と、山単位抽出部100と、樹高算出部110と、地盤高データ出力部120と、を備える。
【0020】
ステレオ画像データ入力部10は、ステレオ画像データを入力する機能を有する。ステレオ画像データは、異なる位置から処理対象地域が撮影された2枚の航空写真や衛星写真から取得されるものであり、ステレオ情報を有する左画像及び右画像のペアからなる。
【0021】
航空写真が使用されて、ステレオ画像データが取得される場合には、例えば、航空機の飛行方向の前後の重なりが60%、飛行コースの上下の重なりが30%である2枚の航空写真が準備されて、これらの写真から左画像及び右画像が得られる。
【0022】
また、上記航空写真として、アナログカメラで撮影された航空写真を使用できる。この場合、航空写真をスキャニング等でデジタル化することで、ステレオ画像データが取得される。
【0023】
近赤外線画像データ入力部20は、近赤外線画像データを入力する機能を有する。近赤外線画像データは、例えば、近赤外線チャネルや赤・緑など色のチャネルの情報を有するデータである。或いは、近赤外線画像データは、上記のチャネルに加えて、他のバンドを有する写真(例えばマルチスペクトルの衛星写真)から取得されるデジタル画像データである。
【0024】
パラメータ入力部30は、地盤高データを生成する処理で必要とされるパラメータを入力する機能を有する。パラメータ入力部30に入力されるパラメータには、階層分割部70が使用する標高近似度値や、凸階層処理部90が使用する面積閾値が含まれる。パラメータ記憶部40は、パラメータ入力部30に入力されたパラメータを記憶する。
【0025】
ステレオ処理部50は、ステレオ画像データを用いるステレオマッチング処理により、処理対象地域の各地点の標高値を示す三次元表面モデルデータ(DSM)を出力する。
【0026】
具体的には、ステレオ処理部50は、ステレオ画像データから、左画像及び右画像に撮影された同一地物の視差(異なる傾きや位置のずれ)を示す視差情報を取得する。この処理では、左画像及び右画像に撮影された同一地物全ての視差が取得されるように、例えば処理対象領域内に存在する最小視差から最大視差までの視差探索範囲を示すパラメータが予め設定される。
【0027】
さらに、ステレオ処理部50は、視差情報に基づき、左画像及び右画像に撮影された地物の標高値を計算して、三次元表面モデルデータを出力する。上記のように同一地物全ての視差が取得されることで、処理対象地域が山間部のように視差の変化が激しい地域でも、三次元表面モデルデータは、処理対象地域の各地点の標高値を正確に示すものとなる。
【0028】
地形分類部60は、ステレオ処理部50が取得した三次元表面モデルデータと、近赤外線画像データ入力部20に入力された近赤外線画像データとに基づき、三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域の地形を、緑地領域と非緑地領域とに分類し、さらに、緑地領域を森林領域と非森林緑地領域とに分類し、非緑地領域を、地面が露出する領域と家屋が存在する領域とに分類して、以上の分類結果を示す地形分類情報を出力する。
【0029】
具体的には、地形分類部60は、まず、近赤外線画像データから、緑地領域を識別するための植生指数を取得する。植生指数は、例えば、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)や、EVI(Enhanced Vegetation Index)である。
【0030】
ついで、地形分類部60は、植生指数を用いて、処理対象地域を、緑地領域と非緑地領域とに分類する。
【0031】
ついで、地形分類部60は、三次元表面モデルデータを用いて、緑地領域を、森林領域と非森林緑地領域とに分類する。この処理では、三次元表面モデル上の緑地領域に対して、各箇所の近傍領域内の標高分布に基づき局所的な標高閾値を決め、局所の標高閾値で森林領域と非森林緑地領域に分類する。具体的には、標高閾値より標高が高い箇所は、森林領域に属していると判定され、標高閾値より標高が低い箇所は、非森林緑地領域に属していると判定されることで、地域の分類が行われる。この処理では、三次元表面モデルの全体で1つの標高閾値を利用することは行わない。これは、森林地域は、山間部である場合が多いので、標高の変化が非常に激しいため、処理対象の全域に対して1つの閾値を利用する場合には、処理対象地域をうまく分類することができなくなることを考慮したものである。なお、非森林緑地は、例えば、田んぼ、芝生などである。三次元表面モデルでは、これらの領域の地盤高の標高が示されている。よって、三次元表面モデルの標高が、このまま非森林緑地の地盤高として出力される。
【0032】
また、地形分類部60は、非緑地領域を、地面が露出する領域と、家屋が存在する領域とに分類する。この処理では、三次元表面モデル上の非緑地領域に対して、各箇所の近傍領域内の標高分布に基づき局所的な標高閾値を決め、局所の標高閾値で地面が露出する領域と、家屋が存在する領域に分類する。具体的には、標高閾値より標高が高い箇所は、家屋が存在する領域に属していると判定され、標高閾値より標高が低い箇所は、地面が露出する領域に属していると判定されることで、地域の分類が行われる。この処理においても、森林地域が山間部である場合が多いことから、三次元表面モデルの全体に1つの標高閾値を利用することは行われない。
【0033】
以上の処理により、処理対象地域の地形が、森林領域と、非森林緑地と、地面が露出する領域と、家屋が存在する領域とに分類されて、該分類結果を示す地形分類情報が出力あされる。
【0034】
階層分割部70は、三次元表面モデルデータにより表現される処理対象領域を、画像分割の部分成長法(region growing)により、複数の階層に分割して、該分割結果を示す階層分割情報を出力する。
【0035】
具体的には、階層分割部70は、まず、三次元表面モデルデータを画像化することで、三次元表面画像を取得する。
【0036】
ついで、階層分割部70は、三次元表面画像をパラメータ記憶部40から取得した標高近似度値に基づき分割する。具体的には、処理ピクセルを中心ピクセルとして、その周りのピクセルを1つずつ考察する。具体的には、中心ピクセルの標高と考察対象のあるピクセルの標高(以下、ピクセルの標高と記す)を比較する。考察(比較)対象の周りのピクセルの標高と、中心の処理ピクセルの標高との差が標高近似度値以下である場合、考察(比較)対象の周りのピクセルは中心ピクセルと同じ階層に属していると判断する。逆の場合、周りのピクセルは中心ピクセルと違う階層に属していると判断する。続いて、中心ピクセルと同じ階層の周りのピクセルに、以上と同じような処理を行う。このような処理で、最初の処理ピクセルから、処理ピクセルと同じ階層のピクセルまで判断の対象をすこしずつ拡張し、標高近似度値でこの拡張の範囲を制限する。処理ピクセルからの判断対象の拡張が終了することで、処理ピクセル上の処理が終了する。あるピクセル上の処理が終了したら、次にまだ階層情報をもっていないピクセルから処理する。最後に全画像内に、全てのピクセルが階層情報をもっていることになれば、全体の処理を終了する。
【0037】
また、三次元画像を分割する処理結果は、ピクセルの処理順番を定めるルールにより変わる。例えば、あるルールでは、最初の処理ピクセルは左上のピクセルに決定し、そのピクセルの処理が終了した後、次の処理ピクセルを、画像内に階層情報がないピクセルの中から探す。このとき、画像の左上のピクセルを始めとして、まず画像の左から右へ、そして画像の上から下へ探し、最初に見つけた階層情報がないピクセルを次の処理ピクセルと決定する。また例えば、他のルールでは、最初の処理ピクセルは全画像内に一番高い標高を持っているピクセルに決定し、そのピクセルの処理が終了した後、次の処理ピクセルを、画像内に階層情報がないピクセルの中から探す。このとき、画像内に階層情報がないピクセルの中に一番高い標高を持っているピクセルを次の処理ピクセルと決定する。また例えば、他のルールでは、最初の処理ピクセルは全画像内に一番低い標高を持っているピクセルに決定し、そのピクセルの処理が終了した後、次の処理ピクセルを、画像内に階層情報がないピクセルの中から探す。このとき、画像内に階層情報がないピクセルの中に一番低い標高を持っているピクセルを次の処理ピクセルと決定する。
【0038】
ついで、階層分割部70は、パラメータ記憶部40から標高近似度値を取得し、三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、処理対象域を階層のような領域に分割する。標高近似度値により、分割階層の範囲が異なる。つまり、階層分割部70の処理では、各階層内のピクセルの標高の差は標高近似度値より低いという条件が定められる。このため、標高近似度値が低い場合、処理対象域は細かい階層に分割される。逆に、標高近似度値が高い場合、処理対象域は荒い階層に分割される。
【0039】
階層分類部80は、三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、階層分割情報が示す各階層の平均標高を算出するとともに、該平均標高を用いて、各階層を、凸階層、凹階層、中間階層のいずれかに分類して、該分類結果と、各階層の平均標高とを示す階層分類情報を出力する。
【0040】
分析対象の階層の平均標高が、周囲にある全ての階層の平均標高よりも高い場合、分析対象の階層は、凸階層に分類される。凸階層は、家屋が存在する領域、山の頂上が存在する領域、高木が存在する領域に相当する。
【0041】
分析対象の階層の平均標高が、周囲にある全ての階層の平均標高よりも低い場合、分析対象の階層は、凹階層に分類される。凹階層は、地面が露出する領域や、谷が存在する領域に相当する。
【0042】
分析対象の階層が、凸階層及び凹階層のいずれにも該当しない場合には、分析対象の階層は、中間階層に分類される。
【0043】
凸階層処理部90は、パラメータ記憶部40に記憶された面積閾値と、階層分類情報と、地形分類情報とを用いて、凸階層を、家屋が存在する領域と、高木が存在する領域と、山の頂上が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す凸階層分類情報を出力する。
【0044】
具体的には、凸階層処理部90は、まず、階層分類情報が示す凸階層を、地形分類情報が示す家屋が存在する領域と、それ以外の領域(以下、家屋以外の領域)とに分類する。
【0045】
ついで、凸階層処理部90は、パラメータ記憶部40から面積閾値を取得して、該面積閾値を用いて、家屋以外の領域を、高木が存在する領域と、山の頂上が存在する領域とに分類する。面積が閾値以下である領域は、高木が存在する領域に分類される。面積が閾値よりも大きな領域は、山の頂上が存在する領域に分類される。
【0046】
さらに、凸階層処理部90は、三次元モデルデータが示す標高値に基づき、家屋が存在する領域の周囲にある地表面の標高値を取得して、該地表面の標高値に基づき、家屋が存在する領域の地表面の標高値を取得する。これにより、家屋が存在する領域では、その場所の地盤高を算出することが可能になる。また、凸階層処理部90は、三次元モデルデータが示す標高値に基づき、高木が存在する領域の周囲にある領域の標高値を取得して、該標高値を高木が存在する領域の標高値として設定する。森林内における高木の周りにこの高木より低い木が存在する場合、高木の領域内にある低い木の標高値を設定し、その後に樹高除去の処理で低い木を除去することで地盤高を取得する。これにより、高木が存在する領域では、この領域の地盤高を、周りの低い木のある領域の地盤高と同じ標高値にすることが可能になる。
【0047】
山単位抽出部100は、階層分割情報と、凸階層分類情報とを用いて、処理対象地域に存在する山の領域を示す山領域情報を抽出する。
【0048】
具体的には、山単位抽出部100は、階層分割情報が示す複数の階層のうち、凸階層分類情報が示す山の頂上が属する頂上階層を特定する。
【0049】
ついで、山単位抽出部100は、階層分割情報が示す平均標高に基づき、凸階層分類部90から取得した頂上が存在する領域(以下、頂上領域と記す)から処理する。まず1つの頂上領域が階層Aであるとき、階層A(頂上領域)と隣接する全ての階層の中に、平均標高が一番高い階層Bを階層Aの次の階層(直下の階層)と決定する。ついで、階層Bに対して、階層Bと隣接する全ての階層のうち、既に高低関係を決めた階層(例えば階層A)以外の階層で、平均標高が一番高い階層Cを階層Bの次の階層(直下の階層)と決定する。続いて、階層Cに、階層B上の処理と同じ処理を行う。このような処理で、1つの頂上領域から、この頂上領域が属している山の上から下へ少しずつ、各階層の高低関係を含めて決定する。
【0050】
また、山単位抽出部100は、一つの階層Mが異なるA山,B山に属すると判定する場合、A山において階層Mの1つ上に階層Nがあり、またB山において階層Mの1つ上に階層Pがあれば、階層Nと階層Pの輪郭形状に基づき、例えば、階層MをM1とM2の2つの部分に分割し、部分M1や部分M2は、それぞれA山やB山に属していると判定する。一つの階層が複数の山に属すると判定されることは、特に山麓の場所が処理対象とされる場合に多く発生する。
【0051】
樹高算出部110は、階層分割情報と、地形分類情報と、凸階層分類情報と、山単位抽出情報と、三次元表面モデルデータとを用いて、階層分割情報が示す階層毎に、森林領域の平均樹高を算出して、該平均樹高を示す樹高情報を出力する。
【0052】
具体的には、樹高算出部110は、階層分割情報と、地形分類情報とを用いて、分析対象の階層に存在する、地面が露出する領域を特定する。
【0053】
ついで、樹高算出部110は、上記特定した地面が露出する領域が、階層分類情報が示す凹階層に属するか否かを判定する。
【0054】
凹階層に属すると判定された場合、樹高算出部110は、階層分割情報と、地形分類情報とを用いて、分析対象の階層において、上記地面が露出する領域の周囲に存在する森林領域を特定する。
【0055】
ついで、樹高算出部110は、三次元表面モデルデータが示す標高値から、上記特定した地面が露出する領域とその周囲に存在する森林領域の標高値に基づき、前記地面が露出する領域と隣接する前記森林領域との境界上のピクセルの標高値と、前記地面が露出する領域の平均標高値との差を求めることで、前記地面が露出する領域の周りの森林領域の樹高を算出する計算を、各階層における全部の地面が露出する領域に対して行い、それぞれ算出した樹高の平均値を、分析対象の階層の平均樹高として算出する。
【0056】
以上の処理が、階層分割情報が示す階層毎に行われることで、各階層における森林領域の平均樹高が算出されて、樹高情報が出力される。
【0057】
地盤高データ出力部120は、三次元表面モデルデータと、階層分割情報と、階層分類情報と、地形分類情報と、樹高情報とを用いて、階層分割情報が示す階層毎に、森林領域や地面が露出する領域における地表面の標高値を取得して、地盤形状の標高値等を示す地盤高データを出力する。
【0058】
具体的には、地盤高データ出力部120は、まず、階層分割情報と、地形分類情報とを用いて、分析対象の階層に存在する森林領域を特定する。
【0059】
ついで、地盤高データ出力部120は、三次元表面モデルデータが示す標高値と地形分類情報に基づき、上記特定した森林領域の標高値を取得する。
【0060】
ついで、地盤高データ出力部120は、樹高情報に基づき、分析対象の階層に存在する森林領域の平均樹高を取得する。
【0061】
ついで、地盤高データ出力部120は、上記森林領域の標高値から、上記森林領域の平均樹高を差し引くことで、森林領域における地表面の標高値を算出する。
【0062】
ついで、地盤高データ出力部120は、階層分割情報と、地形分類情報とを用いて、分析対象の階層における、地面が露出する領域を特定する。
【0063】
ついで、地盤高データ出力部120は、上記特定した地面が露出する領域における地表面の標高値を、三次元表面モデルデータが示す標高値そのままで取得して、該標高値を地表面の標高値(地盤高)として出力する。
【0064】
以上の処理が、階層分割情報が示す階層毎に行われることで、各階層の森林領域や地面が露出する領域における地表面の標高値が算出される。この後、地盤高データ出力部120は、地盤高データ出力部120が取得した地表面の標高値を出力する。
【0065】
図2は、本実施の形態に係る地盤高データ生成装置1をコンピュータに実装する場合、物理的な構成の一例を示すブロック図である。
【0066】
本発明に係る地盤高データ生成装置1は、一般的なコンピュータ装置と同様のハードウェア構成によって実現することができ、制御部201、入出力部202、表示部203、操作部204、主記憶部205、外部記憶部206及びシステムバス207から構成される。
【0067】
入出力部202、表示部203、操作部204、主記憶部205及び外部記憶部206は、いずれもシステムバス207を介して制御部201に接続されている。
【0068】
制御部201は、CPU(Central Processing Unit)などから構成され、外部記憶部206に記憶されている制御プログラム300に従って、地盤高データ生成処理を実行する。
【0069】
入出力部202は、無線送受信機、無線モデムまたは網終端装置、及びそれらと接続するシリアルインターフェースまたはLAN(Local Area Network)インターフェース等から構成される。入出力部202を介して、ステレオ画像データ、近赤外線画像データ、処理パラメータ、及びオペレータの指示を受信・入力し、また地盤高データを出力することが可能である。そして入出力部202から処理した結果データの地盤高データを送信することもできる。
【0070】
表示部203は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイや、プリンタ等を含む。表示部203は、三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域の地形を表す三次元表面モデル(DSM)データや、ステレオ画像データ、近赤外線画像データ、及び生成した地盤高データの内容を表示可能である。
【0071】
操作部204は、キーボード及びマウスなどのポインティングデバイスなどをシステムバス207に接続するインターフェース装置から構成される。操作部204を介して、ステレオ画像データ、近赤外線画像データ、処理パラメータの入力・送受信等の指示や、生成した地盤高データの表示等の指示を入力することが可能であり、操作部204を介して入力された情報は、制御部201に供給される。
【0072】
主記憶部205は、RAM(Random Access Memory)などのメインメモリであり、外部記憶部206に記憶されている制御プログラム300をロードし、制御部201の作業領域として用いられる。
【0073】
外部記憶部206は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD-RAM(Digital Versatile Disk Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、磁気ディスク、半導体メモリなどの不揮発性メモリから構成される。外部記憶部206は、処理を制御部201に行わせるための制御プログラム300をあらかじめ記憶し、また、制御部201の指示に従い、この制御プログラム300が記憶するデータを制御部201に供給し、制御部201から供給されたデータを記憶する。
【0074】
図1に示されている地盤高データ生成装置1の各構成部分の処理は、制御プログラム300をが、制御部201、入出力部202、表示部203、操作部204、主記憶部205、外部記憶部206などを資源として用いて処理することで実行される。その場合、制御部201は、外部記憶部206に格納されている制御プログラム300を、主記憶部205にロードし実行し、各部の動作を制御し上記の各機能を行わせることにより、地盤高データ生成装置1をソフトウェア的に実現する。
【0075】
なお、本発明による地盤高データ生成装置1の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを利用し実現することが可能である。
【0076】
また、地盤高データ生成の機能を実現する回路を込み込んだLSI(Large Scale Integration)などのハードウェア部品から構成される回路を実装し、電子回路として構成することができる。
【0077】
次に、地盤高データ生成装置1の動作について、図3に示されるフローチャートを用いて説明する。図3のフローチャートに示される一連の処理は、ステレオ画像データ入力部10に、処理対象領域のステレオ画像データが入力され、近赤外線画像データ入力部20に、処理対象領域の近赤外線画像が入力され、パラメータ入力部30にパラメータが入力されることに応じて開始される。
【0078】
ステレオ処理部50は、ステレオ画像データから、処理対象領域の各地点の標高値を示す三次元表面モデルデータを出力する(ステップS101)。
【0079】
次に、地形分類部60は、ステレオ処理部50が取得した三次元表面モデルデータと、近赤外線画像データ入力部20に入力された近赤外線画像データとに基づき、三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域の地形を、森林領域と非森林緑地領域と、地面が露出する領域と家屋が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す地形分類情報を出力する(ステップS102)。
【0080】
次に、階層分割部70は、三次元表面モデルデータが示す標高値と、パラメータ記憶部40に記憶された標高近似度値とに基づき、三次元表面モデルデータにより表現される処理対象領域を、複数の階層に分割して、該分割結果を示す階層分割情報を出力する(ステップS103)。
【0081】
次に、階層分類部80は、三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、階層分割情報が示す各階層の平均標高値を求め、該平均標高値に基づき、各階層を、凸階層、凹階層、中間階層のいずれかに分類して、分類結果と、各階層の平均標高値とを示す階層分類情報を出力する(ステップS104)。
【0082】
次に、凸階層処理部90は、階層分類情報と、地形分類情報と、パラメータ記憶部40に記憶された面積閾値とを用いて、凸階層を、家屋が存在する領域と、高木が存在する領域と、山の頂上が存在する領域とに分類して、分類結果を示す凸階層分類情報を出力する(ステップS105)。
【0083】
さらに、凸階層処理部90は、三次元モデルデータが示す標高値に基づき、家屋が存在する領域の周囲にある地表面の標高値を取得して、該標高値に基づき、家屋が存在する領域の地表面の標高値を取得するとともに、三次元モデルデータが示す標高値に基づき、高木が存在する領域の周囲にある領域の標高値を取得して、該標高値に基づき、高木領域の標高値を暫定的に周りの低い木がある領域の標高値と同じ値に設定する(ステップS106)。
【0084】
次に、山単位抽出部100は、階層分割情報と、凸階層分類情報(具体的には凸階層分類情報中の山の頂上が存在する領域を示す情報)とを用いて、処理対象地域に存在する山の領域を特定し、複数の山に属する階層が存在する場合には、該階層を各山に属する部分に分割することで、山の領域を示す山領域情報を抽出する(ステップS107)。
【0085】
次に、樹高算出部110は、階層分割情報と、地形分類情報と、凸階層分類情報と、山単位抽出情報とを用いて、階層分割情報が示す階層毎に、地面が露出する領域と、この周囲に存在する森林領域とを特定するとともに、三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、地面が露出する領域(以下、地面領域と適宜記す)の平均標高値とその地面領域と隣接する前記森林領域との境界上のピクセルの標高値との差を求めることで、この地面領域の周囲にある森林領域における樹高を算出し、さらに階層内の全ての地面領域からの樹高の平均値を各階層における森林領域の平均樹高として算出して、該平均樹高を示す樹高情報を出力する(ステップS108)。
【0086】
次に、地盤高データ出力部120は、階層分割情報と地形分類情報とを用いて、階層分割情報が示す階層毎に、森林領域を特定するとともに、三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、各階層に存在する森林領域の標高値を取得し、さらに、上記各階層の森林領域の標高値から、樹高情報が示す各階層の森林領域の平均樹高をそれぞれ差し引くことで、各階層の森林領域における地表面の標高値を取得する(ステップS109)。
【0087】
さらに、地盤高データ出力部120は、階層分割情報と、地形分類情報とを用いて、地面が露出する領域を特定して、三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、地面が露出する領域における地表面の標高値を取得する(ステップS110)。
【0088】
次に、地盤高データ出力部120は、ステップS109で取得された地表面の標高値と、ステップS107で出力された山領域情報とを含む地盤高データを出力する(ステップS111)。
【0089】
以上、本実施の形態によれば、ステレオ航空写真から生成した三次元表面モデルデータと、近赤外線画像データとが用いられて、処理対象地域における地表面の標高値が求められる。よって、レーザスキャナデータを用いる場合のように、多大なコストを要せずに、地表面の標高値を求めることができる。また処理対象領域の地形情報が記録されていない場合でも、地表面の標高値を取得できる。
【0090】
また、三次元表面モデルデータで示す森林領域の標高値から、三次元表面モデルデータを分割して取得した階層毎の森林領域の平均樹高を差し引くことで、樹木の影響が排されて、森林領域における地表面の標高値が算出される。これにより、森林領域における地表面の標高値が正確な値で求められる。
【0091】
また、三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域が、階層内部で標高が近似する条件で、複数の階層に分割される。そして、この階層毎に、階層内部に存在する地面が露出する領域とその周りの森林領域との標高の差を利用することによって、当階層上における森林領域の平均樹高が取得されて、森林領域における地表面の標高値が求められる。よって、処理対象地域が高密度の森林領域である場合でも、地表面の標高値を正確に取得することができる。
【0092】
また、三次元表面モデルデータと近赤外線画像データとが用いられることで、処理対象領域を、森林領域と、非森林緑地領域と、地面が露出する領域と、家屋が存在する領域等に分類され、これら領域毎に異なる処理で地表面の標高値が求められる。つまり、地物の種類に応じた処理で地物の影響が排されて、地表面の標高値が求められる。よって、処理対象地域における各領域の地表面の標高値が正確な値で求められる。
【0093】
また、地盤高データに山領域情報が含まれることで、地盤高データに基づき、処理対象地域に存在する山を認識させる画像が表示可能となる。
【0094】
また、地面が露出する領域が、階層分類情報が示す凹階層に属するか否かが判定され、凹階層に属すると判定された場合に、地面が露出する領域の平均標高値に基づき、森林領域の平均樹高が算出される。これにより、森林領域の平均樹高が、確実にその周囲の地盤(地表面の標高)に基づき得られるため、森林領域における地表面の標高値がより正確になる。
【0095】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限らない。
【0096】
(付記1)
処理対象領域のステレオ画像データから、処理対象領域の各地点の標高値を示す三次元表面モデルデータを取得するステレオ処理部と、
前記三次元表面モデルデータと、処理対象領域の近赤外線画像データとに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域の地形を森林領域と、非森林緑地領域、地面が露出する領域と、家屋が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す地形分類情報を出力する地形分類部と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、予め設定される標高近似度値とに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象領域を、平均標高値が異なる複数の階層に分割して、該分割結果を示す階層分割情報を出力する階層分割部と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報とに基づき、階層分割情報が示す各階層の平均標高を算出するとともに、該平均標高を用いて、各階層を、凸階層、凹階層、中間階層のいずれかに分類して、該分類結果と、各階層の平均標高とを示す階層分類情報を出力する階層分類部と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報と、前記階層分類情報と、パラメータ記憶部に記憶された面積閾値とに基づき、前記凸階層を、前記家屋が存在する領域と、高木が存在する領域と、山の頂上が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す凸階層分類情報を出力する凸階層処理部と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記凸階層分類情報とを用いて、処理対象地域に存在する山の領域を示す山領域情報を抽出する山単位抽出部と、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記地面が露出する領域と、この周囲に存在する前記森林領域とを特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記森林領域内に前記地面が露出する領域と隣接するピクセルの標高値と前記地面が露出する領域の平均標高値との差を求めることで、前記地面が露出する領域の周りの森林領域の樹高を算出する計算を、各階層における全部の地面が露出する領域に対して行い、それぞれ算出した樹高の平均値を当階層の平均樹高として算出し、該平均樹高を示す樹高情報を出力する樹高算出部と、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記森林領域を特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記各階層に存在する森林領域の標高値を取得し、該各階層の森林領域の標高値から、前記樹高情報が示す各階層の森林領域の平均樹高をそれぞれ差し引くことで、前記各階層の森林領域における地表面の標高値を算出して、該森林領域における地表面の標高値を示す地盤高データを出力する地盤高データ出力部と、
を備えることを特徴とする地盤高データ生成装置。
【0097】
(付記2)
前記地形分類部は、前記近赤外線画像データを用いて、処理対象地域を緑地領域と非緑地領域とに分類し、前記三次元表面モデルデータを用いて、前記緑地領域を、前記森林領域と非森林領域とに分類し、前記三次元表面モデルデータを用いて、前記非緑地領域を、前記地面が露出する領域と、前記家屋が存在する領域とに分類して、以上の分類結果を示す前記地形分類情報を出力することを特徴とする付記1に記載の地盤高データ生成装置。
【0098】
(付記3)
前記近赤外線画像データは、近赤外線チャネルや赤色及び緑色のチャネルを有するデータであり、
前記地形分類部は、前記近赤外線画像データから、前記緑地領域を識別するための植生指数を取得して、該植生指数を用いて、処理対象地域を前記緑地領域と前記非緑地領域とに分類することを特徴とする付記2に記載の地盤高データ生成装置。
【0099】
(付記4)
前記地形分類部は、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値の分布に基づき、前記緑地領域を複数の区域に分けるとともに、前記三次元表面モデルデータが示す各区域の標高値に基づき、前記森林領域と前記非森林緑地領域とを区別するための標高閾値を区域毎に設定して、該標高閾値を用いて、前記緑地領域を前記森林領域と前記非森林緑地領域とに分類し、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値の分布に基づき、前記非森林緑地領域を複数の区域に分けるとともに、前記三次元表面モデルデータが示す各区域の標高値に基づき、前記地面が露出する領域と前記家屋が存在する領域とを区別するための標高閾値を区域毎に設定して、該標高閾値を用いて、前記非森林緑地領域を、前記地面が露出する領域と、前記家屋が存在する領域とに分類することを特徴とする付記2又は3に記載の地盤高データ生成装置。
【0100】
(付記5)
前記階層分割部は、
前記三次元表面モデルデータを画像化した三次元表面画像を取得し、
前記三次元表面画像において画像分割の部分成長法(region growing)を用いたピクセルレベルの処理として、処理ピクセルの中心から周りのピクセルを考察し、考察対象のピクセルの標高値と処理ピクセルの標高値との差が標高近似度値以下の場合、考察対象のピクセルは処理ピクセルと同じ階層に属していると判定する処理を、各ピクセルに対して行うことで、最後に三次元表面画像を多数の分割領域の階層に分割することを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の地盤高データ生成装置。
【0101】
(付記6)
前記樹高算出部は、前記地面が露出する領域が、階層分類情報が示す凹階層に属するか否かを判定し、前記凹階層に属すると判定された場合、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記地面が露出する領域と、この周囲に存在する前記森林領域とを特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記森林領域内に前記地面が露出する領域と隣接するピクセルの標高値と前記地面が露出する領域の平均標高値との差を求めることで、前記地面が露出する領域の周りの森林領域の樹高を算出する計算を、各階層における全部の地面が露出する領域に対して行い、それぞれ算出した樹高の平均値を当階層の平均樹高として算出し、該平均樹高を示す樹高情報を出力することを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の地盤高データ生成装置。
【0102】
(付記7)
前記地盤高データ出力部は、前記山領域情報を、前記地盤高データに含めることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の地盤高データ生成装置。
【0103】
(付記8)
前記凸階層処理部は、前記階層分類情報が示す凸階層を、前記地形分類情報が示す家屋が存在する領域と、家屋以外の領域とに分類するとともに、予め設定される面積閾値を用いて、前記家屋以外の領域を、前記高木が存在する領域と、前記山の頂上が存在する領域とに分類することを特徴とする1乃至7のいずれか1項に記載の地盤高データ生成装置。
【0104】
(付記9)
前記凸階層処理部は、前記三次元モデルデータが示す標高値に基づき、前記家屋が存在する領域の周囲にある地表面の標高値を取得して、該地表面の標高値に基づき、前記家屋が存在する領域の地表面の標高値を取得し、さらに、前記三次元モデルデータが示す標高値に基づき、前記高木が存在する領域の周囲にある低い木の領域の標高値を取得して、該標高値を前記高木が存在する領域の標高値として設定し、その後に樹高除去の処理で低い木を除去することで地盤高を取得して、前記高木が存在する領域の標高値を、周りの低い木がある領域の標高値と同じ値に設定することを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項に記載の地盤高データ生成装置。
【0105】
(付記10)
前記階層分類情報には、前記階層分類部が求めた前記各階層の平均標高値が含まれ、
前記山単位抽出部は、
前記階層分割情報が示す複数の階層のうち、前記凸階層分類情報が示す山の頂上が属する頂上階層を特定し、
この頂上領域と隣接する全ての階層の中に、平均標高が一番高い階層を頂上階層の次の階層と決定し、頂上階層の次の階層に対して、その次の階層と隣接する全ての階層のうち、高低関係が決められていない階層で、平均標高が一番高い階層を、当階層の次の階層と決定する処理を繰り返すことで、1つの頂上領域から、この頂上領域が属している山の上から下へ少しずつ、各階層の高低関係を含めて決定することを特徴とする付記1乃至9のいずれか1項に記載の地盤高データ生成装置。
【0106】
(付記11)
前記山単位抽出部は、前記山に属すると特定された階層の中に、隣接する複数の山に属する階層が含まれる場合、該複数の山に属する階層を、その輪郭形状に基づき、各山に属する部分に分割して、該各山に属する部分を示す情報を、前記山領域情報に含めることを特徴とする付記1乃至10のいずれか1項に記載の地盤高データ生成装置。
【0107】
(付記12)
前記地盤高データ出力部は、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記地面が露出する領域における地表面の標高値を取得して、前記地面が露出する領域における地表面の標高値を、前記地盤高データに含めることを特徴とする付記1乃至11のいずれか1項に記載の地盤高データ生成装置。
【0108】
(付記13)
前記地盤高データ出力部は、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、森林領域の標高値から森林領域の平均樹高を差し引くことで、森林領域における地表面の標高値を算出し、森林領域の地表面の標高値として前記地盤高データに含めることを特徴とする付記1乃至12のいずれか1項に記載の地盤高データ生成装置。
【0109】
(付記14)
処理対象領域のステレオ画像データから、処理対象領域の各地点の標高値を示す三次元表面モデルデータを取得するステレオ処理ステップと、
前記三次元表面モデルデータと、処理対象領域の近赤外線画像データとに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域の地形を森林領域と、非森林緑地領域、地面が露出する領域と、家屋が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す地形分類情報を出力する地形分類ステップと、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、予め設定される標高近似度値とに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象領域を、平均標高値が異なる複数の階層に分割して、該分割結果を示す階層分割情報を出力する階層分割ステップと、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報とに基づき、階層分割情報が示す各階層の平均標高を算出するとともに、該平均標高を用いて、各階層を、凸階層、凹階層、中間階層のいずれかに分類して、該分類結果と、各階層の平均標高とを示す階層分類情報を出力する階層分類ステップと、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報と、前記階層分類情報と、パラメータ記憶部に記憶された面積閾値とに基づき、前記凸階層を、前記家屋が存在する領域と、高木が存在する領域と、山の頂上が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す凸階層分類情報を出力する凸階層処理ステップと、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記凸階層分類情報とを用いて、処理対象地域に存在する山の領域を示す山領域情報を抽出する山単位抽出ステップと、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記地面が露出する領域と、この周囲に存在する前記森林領域とを特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記森林領域内に前記地面が露出する領域と隣接するピクセルの標高値と前記地面が露出する領域の平均標高値との差を求めることで、前記地面が露出する領域の周りの森林領域の樹高を算出する計算を、各階層における全部の地面が露出する領域に対して行い、それぞれ算出した樹高の平均値を当階層の平均樹高として算出し、該平均樹高を示す樹高情報を出力する樹高算出ステップと、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記森林領域を特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記各階層に存在する森林領域の標高値を取得し、該各階層の森林領域の標高値から、前記樹高情報が示す各階層の森林領域の平均樹高をそれぞれ差し引くことで、前記各階層の森林領域における地表面の標高値を算出して、該森林領域における地表面の標高値を示す地盤高データを出力する地盤高データ出力ステップと、
を備えることを特徴とする地盤高データ生成方法。
【0110】
(付記15)
コンピュータに、
処理対象領域のステレオ画像データから、処理対象領域の各地点の標高値を示す三次元表面モデルデータを取得するステレオ処理手段、
前記三次元表面モデルデータと、処理対象領域の近赤外線画像データとに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域の地形を森林領域と、非森林緑地領域、地面が露出する領域と、家屋が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す地形分類情報を出力する地形分類手段、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、予め設定される標高近似度値とに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象領域を、平均標高値が異なる複数の階層に分割して、該分割結果を示す階層分割情報を出力する階層分割手段、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報とに基づき、階層分割情報が示す各階層の平均標高を算出するとともに、該平均標高を用いて、各階層を、凸階層、凹階層、中間階層のいずれかに分類して、該分類結果と、各階層の平均標高とを示す階層分類情報を出力する階層分類手段、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報と、前記階層分類情報と、パラメータ記憶部に記憶された面積閾値とに基づき、前記凸階層を、前記家屋が存在する領域と、高木が存在する領域と、山の頂上が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す凸階層分類情報を出力する凸階層処理手段、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記凸階層分類情報とを用いて、処理対象地域に存在する山の領域を示す山領域情報を抽出する山単位抽出手段、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記地面が露出する領域と、この周囲に存在する前記森林領域とを特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記森林領域内に前記地面が露出する領域と隣接するピクセルの標高値と前記地面が露出する領域の平均標高値との差を求めることで、前記地面が露出する領域の周りの森林領域の樹高を算出する計算を、各階層における全部の地面が露出する領域に対して行い、それぞれ算出した樹高の平均値を当階層の平均樹高として算出し、該平均樹高を示す樹高情報を出力する樹高算出手段、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記森林領域を特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記各階層に存在する森林領域の標高値を取得し、該各階層の森林領域の標高値から、前記樹高情報が示す各階層の森林領域の平均樹高をそれぞれ差し引くことで、前記各階層の森林領域における地表面の標高値を算出して、該森林領域における地表面の標高値を示す地盤高データを出力する地盤高データ出力手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0111】
1 地盤高データ生成装置
10 ステレオ画像データ入力部
20 近赤外線画像データ入力部
30 パラメータ入力部
40 パラメータ記憶部
50 ステレオ処理部
60 地形分類部
70 階層分割部
80 階層分類部
90 凸階層処理部
100 山単位抽出部
110 樹高算出部
120 地盤高データ出力部
201 制御部
202 入出力部
203 表示部
204 操作部
205 主記憶部
206 外部記憶部
207 システムバス
300 制御プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象領域のステレオ画像データから、処理対象領域の各地点の標高値を示す三次元表面モデルデータを取得するステレオ処理部と、
前記三次元表面モデルデータと、処理対象領域の近赤外線画像データとに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域の地形を森林領域と、非森林緑地領域、地面が露出する領域と、家屋が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す地形分類情報を出力する地形分類部と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、予め設定される標高近似度値とに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象領域を、平均標高値が異なる複数の階層に分割して、該分割結果を示す階層分割情報を出力する階層分割部と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報とに基づき、階層分割情報が示す各階層の平均標高を算出するとともに、該平均標高を用いて、各階層を、凸階層、凹階層、中間階層のいずれかに分類して、該分類結果と、各階層の平均標高とを示す階層分類情報を出力する階層分類部と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報と、前記階層分類情報と、パラメータ記憶部に記憶された面積閾値とに基づき、前記凸階層を、前記家屋が存在する領域と、高木が存在する領域と、山の頂上が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す凸階層分類情報を出力する凸階層処理部と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記凸階層分類情報とを用いて、処理対象地域に存在する山の領域を示す山領域情報を抽出する山単位抽出部と、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記地面が露出する領域と、この周囲に存在する前記森林領域とを特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記森林領域内に前記地面が露出する領域と隣接するピクセルの標高値と前記地面が露出する領域の平均標高値との差を求めることで、前記地面が露出する領域の周りの森林領域の樹高を算出する計算を、各階層における全部の地面が露出する領域に対して行い、それぞれ算出した樹高の平均値を当階層の平均樹高として算出し、該平均樹高を示す樹高情報を出力する樹高算出部と、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記森林領域を特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記各階層に存在する森林領域の標高値を取得し、該各階層の森林領域の標高値から、前記樹高情報が示す各階層の森林領域の平均樹高をそれぞれ差し引くことで、前記各階層の森林領域における地表面の標高値を算出して、該森林領域における地表面の標高値を示す地盤高データを出力する地盤高データ出力部と、
を備えることを特徴とする地盤高データ生成装置。
【請求項2】
前記地形分類部は、前記近赤外線画像データを用いて、処理対象地域を緑地領域と非緑地領域とに分類し、前記三次元表面モデルデータを用いて、前記緑地領域を、前記森林領域と非森林領域とに分類し、前記三次元表面モデルデータを用いて、前記非緑地領域を、前記地面が露出する領域と、前記家屋が存在する領域とに分類して、以上の分類結果を示す前記地形分類情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の地盤高データ生成装置。
【請求項3】
前記近赤外線画像データは、近赤外線チャネルや赤色及び緑色のチャネルを有するデータであり、
前記地形分類部は、前記近赤外線画像データから、前記緑地領域を識別するための植生指数を取得して、該植生指数を用いて、処理対象地域を前記緑地領域と前記非緑地領域とに分類することを特徴とする請求項2に記載の地盤高データ生成装置。
【請求項4】
前記地形分類部は、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値の分布に基づき、前記緑地領域を複数の区域に分けるとともに、前記三次元表面モデルデータが示す各区域の標高値に基づき、前記森林領域と前記非森林緑地領域とを区別するための標高閾値を区域毎に設定して、該標高閾値を用いて、前記緑地領域を前記森林領域と前記非森林緑地領域とに分類し、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値の分布に基づき、前記非森林緑地領域を複数の区域に分けるとともに、前記三次元表面モデルデータが示す各区域の標高値に基づき、前記地面が露出する領域と前記家屋が存在する領域とを区別するための標高閾値を区域毎に設定して、該標高閾値を用いて、前記非森林緑地領域を、前記地面が露出する領域と、前記家屋が存在する領域とに分類することを特徴とする請求項2又は3に記載の地盤高データ生成装置。
【請求項5】
前記樹高算出部は、前記地面が露出する領域が、階層分類情報が示す凹階層に属するか否かを判定し、前記凹階層に属すると判定された場合、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記地面が露出する領域と、この周囲に存在する前記森林領域とを特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記森林領域内に前記地面が露出する領域と隣接するピクセルの標高値と前記地面が露出する領域の平均標高値との差を求めることで、前記地面が露出する領域の周りの森林領域の樹高を算出する計算を、各階層における全部の地面が露出する領域に対して行い、それぞれ算出した樹高の平均値を当階層の平均樹高として算出し、該平均樹高を示す樹高情報を出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の地盤高データ生成装置。
【請求項6】
前記地盤高データ出力部は、前記山領域情報を、前記地盤高データに含めることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の地盤高データ生成装置。
【請求項7】
前記凸階層処理部は、前記三次元モデルデータが示す標高値に基づき、前記家屋が存在する領域の周囲にある地表面の標高値を取得して、該地表面の標高値に基づき、前記家屋が存在する領域の地表面の標高値を取得し、さらに、前記三次元モデルデータが示す標高値に基づき、前記高木が存在する領域の周囲にある低い木の領域の標高値を取得して、該標高値を前記高木が存在する領域の標高値として設定し、その後に樹高除去の処理で低い木を除去することで地盤高を取得して、前記高木が存在する領域の標高値を、周りの低い木がある領域の標高値と同じ値に設定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の地盤高データ生成装置。
【請求項8】
前記地盤高データ出力部は、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記地面が露出する領域における地表面の標高値を取得して、前記地面が露出する領域における地表面の標高値を、前記地盤高データに含めることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の地盤高データ生成装置。
【請求項9】
処理対象領域のステレオ画像データから、処理対象領域の各地点の標高値を示す三次元表面モデルデータを取得するステレオ処理ステップと、
前記三次元表面モデルデータと、処理対象領域の近赤外線画像データとに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域の地形を森林領域と、非森林緑地領域、地面が露出する領域と、家屋が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す地形分類情報を出力する地形分類ステップと、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、予め設定される標高近似度値とに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象領域を、平均標高値が異なる複数の階層に分割して、該分割結果を示す階層分割情報を出力する階層分割ステップと、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報とに基づき、階層分割情報が示す各階層の平均標高を算出するとともに、該平均標高を用いて、各階層を、凸階層、凹階層、中間階層のいずれかに分類して、該分類結果と、各階層の平均標高とを示す階層分類情報を出力する階層分類ステップと、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報と、前記階層分類情報と、パラメータ記憶部に記憶された面積閾値とに基づき、前記凸階層を、前記家屋が存在する領域と、高木が存在する領域と、山の頂上が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す凸階層分類情報を出力する凸階層処理ステップと、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記凸階層分類情報とを用いて、処理対象地域に存在する山の領域を示す山領域情報を抽出する山単位抽出ステップと、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記地面が露出する領域と、この周囲に存在する前記森林領域とを特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記森林領域内に前記地面が露出する領域と隣接するピクセルの標高値と前記地面が露出する領域の平均標高値との差を求めることで、前記地面が露出する領域の周りの森林領域の樹高を算出する計算を、各階層における全部の地面が露出する領域に対して行い、それぞれ算出した樹高の平均値を当階層の平均樹高として算出し、該平均樹高を示す樹高情報を出力する樹高算出ステップと、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記森林領域を特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記各階層に存在する森林領域の標高値を取得し、該各階層の森林領域の標高値から、前記樹高情報が示す各階層の森林領域の平均樹高をそれぞれ差し引くことで、前記各階層の森林領域における地表面の標高値を算出して、該森林領域における地表面の標高値を示す地盤高データを出力する地盤高データ出力ステップと、
を備えることを特徴とする地盤高データ生成方法。
【請求項10】
コンピュータに、
処理対象領域のステレオ画像データから、処理対象領域の各地点の標高値を示す三次元表面モデルデータを取得するステレオ処理手段、
前記三次元表面モデルデータと、処理対象領域の近赤外線画像データとに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象地域の地形を森林領域と、非森林緑地領域、地面が露出する領域と、家屋が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す地形分類情報を出力する地形分類手段、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、予め設定される標高近似度値とに基づき、前記三次元表面モデルデータにより表現される処理対象領域を、平均標高値が異なる複数の階層に分割して、該分割結果を示す階層分割情報を出力する階層分割手段、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報とに基づき、階層分割情報が示す各階層の平均標高を算出するとともに、該平均標高を用いて、各階層を、凸階層、凹階層、中間階層のいずれかに分類して、該分類結果と、各階層の平均標高とを示す階層分類情報を出力する階層分類手段と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記階層分割情報と、前記階層分類情報と、パラメータ記憶部に記憶された面積閾値とに基づき、前記凸階層を、前記家屋が存在する領域と、高木が存在する領域と、山の頂上が存在する領域とに分類して、該分類結果を示す凸階層分類情報を出力する凸階層処理手段と、
前記三次元表面モデルデータが示す標高値と、前記凸階層分類情報とを用いて、処理対象地域に存在する山の領域を示す山領域情報を抽出する山単位抽出手段と、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記地面が露出する領域と、この周囲に存在する前記森林領域とを特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記森林領域内に前記地面が露出する領域と隣接するピクセルの標高値と前記地面が露出する領域の平均標高値との差を求めることで、前記地面が露出する領域の周りの森林領域の樹高を算出する計算を、各階層における全部の地面が露出する領域に対して行い、それぞれ算出した樹高の平均値を当階層の平均樹高として算出し、該平均樹高を示す樹高情報を出力する樹高算出手段、
前記地形分類情報と、前記階層分割情報とを用いて、前記階層分割情報が示す階層毎に、前記森林領域を特定するとともに、前記三次元表面モデルデータが示す標高値に基づき、前記各階層に存在する森林領域の標高値を取得し、該各階層の森林領域の標高値から、前記樹高情報が示す各階層の森林領域の平均樹高をそれぞれ差し引くことで、前記各階層の森林領域における地表面の標高値を算出して、該森林領域における地表面の標高値を示す地盤高データを出力する地盤高データ出力手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−243226(P2012−243226A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115266(P2011−115266)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】