説明

地絡検出装置、地絡検出方法、太陽光発電システム、及び地絡検出プログラム

【課題】地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮する。
【解決手段】地絡検出装置1では、演算制御部5の各種機能を実行することにより、2つの太陽電池ストリング103,103nが太陽光発電システム100から解列され、そして、一方の太陽電池ストリング103nについての測定が測定器3により実施されるのと並列的に、当該測定前の他方の太陽電池ストリング103が充放電部4によって充放電される。つまり、後段のステップで太陽電池ストリング103を測定器3に接続した後即座に測定を実施できるように、太陽電池ストリング103の充放電が太陽電池ストリング103の測定と同じタイミングで予めなされることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地絡検出装置、地絡検出方法、太陽光発電システム、及び地絡検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光を利用して発電を行う太陽光発電システムでは、一般的に、複数の太陽電池モジュールが直列接続されて太陽電池ストリングが構成され、さらに、複数の太陽電池ストリングが並列接続されて太陽電池アレイが構成されている。この太陽電池アレイからの出力は、パワーコンディショナ等の負荷装置に供給され、商用電力系統等に供給される。
【0003】
このような太陽光発電システムにおいて、太陽電池アレイ内に絶縁不良があると、例えば人や物が絶縁不良箇所に触れたときや、絶縁不良箇所と金属架台等とが接触したとき、電気回路が外部と意図しない形で接触する地絡が生じる場合がある。この地絡を検出するものとして、従来、例えば特許文献1に記載された地絡検出装置が知られている。特許文献1に記載の地絡検出装置では、接地された太陽電池アレイの電路から大地に流れる電流値が測定され、この電流値が予め設定された電流設定値を超えたとき、太陽電池アレイの地絡が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−158282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記地絡検出装置では、太陽光発電システムが有する対地静電容量の影響で、地絡を誤検出してしまう虞がある。さらに、地絡検出の際、負荷装置に起因して生じるノイズ(例えば、高周波スイッチ動作や、商用周波数(50〜60Hz)等により生じるノイズ)の影響を受け易く、このことからも、地絡を誤検出してしまう虞がある。
【0006】
また、近年の地絡検出装置においては、例えば太陽光発電システムの普及拡大に伴い、太陽電池アレイ内の地絡の検出に要する時間を短縮できるものが強く望まれている。
【0007】
そこで、本発明は、地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮することができる地絡検出装置、地絡検出方法、太陽光発電システム及び地絡検出プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る地絡検出装置は、複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、太陽電池アレイ内の地絡を検出する地絡検出装置であって、複数の太陽電池ストリングのうち2つ以上の太陽電池ストリングを、互いに電気的に切り離されるようにして太陽光発電システムから解列するスイッチング部と、複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対し、接続して所定の測定を実施する測定部と、複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対し、その対地電位が測定部に接続時の対地電位と等しくなるよう接続して充放電させる充放電部と、少なくとも測定部及び充放電部の動作の制御と、測定部による測定値に基づく地絡検出と、を実施する制御部と、を備え、制御部は、スイッチング部により解列された2つ以上の太陽電池ストリングのうち、一の太陽電池ストリングについて、測定対象ストリングとして測定部により所定の測定を実施させることと並列的に、スイッチング部により解列された2つ以上の太陽電池ストリングのうち、測定対象ストリングとは別で且つ所定の測定を実施前の他の太陽電池ストリングを、充放電対象ストリングとして充放電部により充放電させること、を特徴とする。
【0009】
この本発明の地絡検出装置では、地絡検出を実施する測定対象ストリングを太陽光発電システムから解列している。そのため、測定対象の対地静電容量を下げ、対地静電容量による悪影響が地絡検出に及ぶのを軽減できると共に、地絡検出時に太陽電池ストリングが負荷装置に対して電気的に切り離されることとなり、当該負荷装置に起因して発生するノイズの悪影響が地絡検出に及ぶのを抑制できる。従って、地絡を確実に検出することが可能となる。
ここで、一般的に、太陽電池ストリングを測定部に接続した直後では、この測定部による測定値が太陽電池ストリングの対地静電容量に起因して変動する場合があり、そのため、かかる変動が落ち着くまで測定の実施を待機する必要がある。この点、本発明では、解列された2つ以上の太陽電池ストリングうち測定対象ストリングについて測定を実施するのと並列的に、測定前の充放電対象ストリングを充放電させる。つまり、太陽電池ストリングを測定部に接続した後即座に測定を実施できるように、測定と同じタイミングで充放電が予めなされることとなる。よって、太陽電池ストリングに測定部を接続直後においては、測定値の変動が抑制され、待つことなく測定を実施することができる。従って、太陽電池アレイ内の地絡の検出に要する時間を短縮することが可能となる。
【0010】
ちなみに、ここでの「一の太陽電池ストリング」とは、任意の少なくとも1つの太陽電池ストリングを意味し、「他の太陽電池ストリング」とは、他(残部)の少なくとも1つの太陽電池ストリングを意味している。また、ここでの「並列的」は、例えば並列、略並列、同時並列、同時並列的、同時、略同時、同時的とも称することができ、具体的には、測定を実施している期間と充放電を実施している期間との間に重複する時間が少なくとも存在することを意味している。これらについては、以下においても同様である。
【0011】
また、測定部は、接地電位に繋がる接続部を介して互いに接続された第1及び第2検出抵抗を有し、充放電部は、接地電位に繋がる接続部を介して互いに接続された第1及び第2充放電抵抗を有し、第1検出抵抗と第1充放電抵抗とは、互いに等しい抵抗値とされていると共に、第2検出抵抗と第2充放電抵抗とは、互いに等しい抵抗値とされ、制御部は、解列された測定対象ストリングの正極側に第1検出抵抗における接続部側と反対側を接続させると共に、負極側に第2検出抵抗における接続部と反対側を接続した状態にて、第1及び第2検出抵抗に生じる電圧値に関する測定値の測定を測定部により実施させる測定処理と、測定処理と並列的に、解列された充放電対象ストリングの正極側に第1充放電抵抗における接続部側と反対側を接続させると共に、負極側に第2充放電抵抗における接続部と反対側を接続させることで、充放電部により当該充放電対象ストリングを接地して充放電させる充放電処理と、測定させた測定値に基づいて、地絡の有無を判定する判定処理と、を実行すること、が好ましい。
【0012】
この場合、接続部から接地電位に流れる電流値に関する測定値を監視し、解列状態における測定対象ストリングの地絡検出に必要な所定の測定と並列的に、解列状態における充放電対象ストリングを接地して充放電させることが可能となる。なお、例えば、電圧計等を用いて検出抵抗での電圧値を監視する場合には、当該電圧値が測定値に相当し、電流センサ等を用いて接地電位に流れる電流値を監視する場合には、当該電流値が測定値に相当する(以下の測定値において同様)。
【0013】
また、測定部は、一方側が接地電位に接続された測定用直流電源を少なくとも有し、充放電部は、一方側が接地電位に接続された充放電用直流電源を少なくとも有し、測定用直流電源の他方側及び充放電用直流電源の他方側は、ともに解列された個々の太陽電池ストリングと負荷装置との間の電路における所定箇所に接続可能とされ、測定用直流電源が印加する直流電圧値と充放電用直流電源が印加する直流電圧値とは、互いに等しい電圧値とされ、制御部は、解列された測定対象ストリングの所定箇所に測定用直流電源の他方側を接続させた状態にて、所定箇所から接地電位に流れる電流値に関する測定値の測定を測定部により実施させる測定処理と、測定処理と並列的に、解列された充放電対象ストリングの所定箇所に充放電用直流電源の他方側を接続させることで、充放電部により当該充放電対象ストリングを接地して充放電させる充放電処理と、測定させた測定値に基づいて、地絡の有無を判定する判定処理と、を実行すること、が好ましい。
【0014】
この場合、解列状態における測定対象ストリングに測定部の測定用直流電源を接続し、所定箇所から接地電位に流れる電流値(地絡電流)に関する測定値を監視し、当該測定対象ストリングの地絡の有無を判定するのと並列的に、解列状態における充放電対象ストリングを接地して充放電させることが可能となる。また、この場合、地絡検出に必要な所定の測定にあたって、解列された太陽電池ストリングに対し一方側が接地電位に接続された直流電源により電圧を印加し、太陽電池ストリングの対地電位を意図的に変化させて地絡電流を測定することが可能である。さらに、この場合、測定部と充放電部とは、共に解列された個々の太陽電池ストリングと負荷装置との間の電路における所定箇所一点でのみ接続されるため、太陽電池ストリングを測定したり充放電したりするための配線及びスイッチ等の数を減らし、その回路構成を簡単化することができる。
【0015】
また、測定処理は、解列された測定対象ストリングの正極側又は負極側に測定用直流電源における負極側又は正極側としての他方側を接続させ、充放電処理は、解列された充放電対象ストリングの正極側又は負極側に充放電用直流電源における負極側又は正極側としての他方側を接続させること、が好ましい。
【0016】
この場合、測定用直流電源が接続された測定対象ストリングの対地電位の絶対値を、大きく又は小さくすることができる。そのため、地絡検出の感度を高めることが可能となる。
【0017】
また、測定部は、一方側が接地電位に接続されていると共に他方側が複数の太陽電池ストリングの正極側及び負極側に接続可能な測定用電路を有し、充放電部は、一方側が大地に接続されていると共に他方側が複数の太陽電池ストリングの正極側及び負極側に接続可能な充放電用電路を有し、測定用電路と充放電用電路とは、互いに等しい抵抗値とされ、制御部は、測定対象ストリングの正極側のみに測定用電路を接続した状態にて、測定用電路に流れる電流値に関する測定値を第1測定値として測定させる第1測定処理と、測定対象ストリングの負極側のみに測定用電路を接続した状態にて、測定用電路を流れる電流値に関する測定値を第2測定値として測定させる第2測定処理と、充放電対象ストリングの正極側のみに充放電用電路を接続させることで、充放電部により当該充放電対象ストリングを接地して充放電させる第1充放電処理と、充放電対象ストリングの負極側のみに充放電用電路を接続させることで、充放電部により当該充放電対象ストリングを接地して充放電させる第2充放電処理と、測定させた第1及び第2測定値に基づいて、地絡の有無を判定する地絡判定処理と、を実行し、且つ、第1又は第2測定処理と、第1又は第2充放電処理とを並列的に実行すること、が好ましい。
【0018】
この場合、解列状態における測定対象ストリングの正極側及び負極側それぞれに測定部の測定用電路を接続し、測定用電路に流れる電流値に関する第1及び第2測定値を測定することで、地絡の有無を判定することができる。また、これら第1又は第2測定値の測定の何れかと並列的に、解列状態における充放電対象ストリングの正極側及び負極側の少なくとも一方に充放電用電路を接続して、これらの少なくとも一方を充放電させることができる。
【0019】
また、太陽電池アレイ内の地絡の検出に要する時間を短縮するという上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、制御部は、解列された太陽電池ストリングに対し、充放電部による充放電を実施させた後、太陽光発電システムに電気的に接続させることなく連続して、測定部による所定の測定を実施させる構成が挙げられる。
【0020】
また、本発明に係る地絡検出方法は、複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、太陽電池アレイ内の地絡を検出する地絡検出方法であって、複数の太陽電池ストリングのうち2つ以上の太陽電池ストリングを、互いに電気的に切り離されるようにして太陽光発電システムから解列する解列ステップと、複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対し、測定部を接続して所定の測定を実施する測定ステップと、複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対し、その対地電位が測定部に接続時の対地電位と等しくなるよう接続して充放電させる充放電ステップと、測定ステップにより得た測定値に基づき地絡の有無を判定する地絡検出ステップと、を備え、測定ステップでは、解列ステップにより解列された2つ以上の太陽電池ストリングのうち一の太陽電池ストリングについて、測定対象ストリングとして所定の測定を実施し、充放電ステップでは、測定ステップにて測定対象ストリングの測定を実施するのと並列的に、解列ステップにより解列された2つ以上の太陽電池ストリングのうち、測定対象ストリングとは別で且つ所定の測定を実施前の他の太陽電池ストリングを、充放電対象ストリングとして充放電させること、を特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る太陽光発電システムは、複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、上記地絡検出装置と、を具備することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る地絡検出プログラムは、複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、太陽電池アレイ内の地絡を検出するための地絡検出プログラムであって、複数の太陽電池ストリングのうち2つ以上の太陽電池ストリングを、互いに電気的に切り離されるようにして太陽光発電システムから解列させる解列機能と、複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対し、測定部を接続させて所定の測定を実施させる測定機能と、複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対し、その対地電位が測定部に接続時の対地電位と等しくなるよう充放電部を接続させて充放電させる充放電機能と、測定機能により得た測定値に基づき地絡の有無を判定する地絡検出機能と、をコンピュータに実行させ、測定機能では、解列機能により解列させた2つ以上の太陽電池ストリングのうち一の太陽電池ストリングについて、測定対象ストリングとして所定の測定を実施させ、充放電機能では、測定機能により測定対象ストリングの測定を実施させるのと並列的に、解列機能により解列させた2つ以上の太陽電池ストリングのうち、測定対象ストリングとは別で且つ所定の測定を実施前の他の太陽電池ストリングを、充放電対象ストリングとして充放電させること、を特徴とする。
【0023】
これら本発明に係る地絡検出方法、太陽光発電システム、及び地絡検出プログラムにおいても、地絡が検出される太陽電池ストリングを太陽光発電システムから解列することができる。また、解列された測定対象ストリングの測定を実施するのと並列的に、測定前の充放電対象ストリングを予め充放電させることができる。よって、上記作用効果、すなわち、地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮するという作用効果が奏される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムの一状態を示す概略構成図である。
【図2】図1の太陽光発電システムにおける他の状態を示す概略構成図である。
【図3】図1の地絡検出装置の演算制御部を示す機能ブロック図である。
【図4】図1の地絡検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】図1の地絡検出装置における太陽電池ストリングごとの動作スキームを示す図である。
【図6】第2実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムの一状態を示す概略構成図である。
【図7】図6の太陽光発電システムにおける他の状態を示す概略構成図である。
【図8】図6の地絡検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】第3実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムの一状態を示す概略構成図である。
【図10】図9の太陽光発電システムにおける他の状態を示す概略構成図である。
【図11】図9の太陽光発電システムにおける別の他の状態を示す概略構成図である。
【図12】図9の太陽光発電システムにおけるさらに別の他の状態を示す概略構成図である。
【図13】図9の地絡検出装置における太陽電池ストリングごとの動作スキームを示す図である。
【図14】図9の地絡検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】図9の地絡検出装置の他の動作を示すフローチャートである。
【図16】第4実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムの一状態を示す概略構成図である。
【図17】図16の太陽光発電システムにおける他の状態を示す概略構成図である。
【図18】図16の太陽光発電システムにおける別の他の状態を示す概略構成図である。
【図19】図16の太陽光発電システムにおけるさらに別の他の状態を示す概略構成図である。
【図20】図16の地絡検出装置における太陽電池ストリングごとの動作スキームを示す図である。
【図21】図16の地絡検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図22】図16の地絡検出装置の他の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0027】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について説明する。図1,2は、第1実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムを示す概略構成図、図3は、図1に示す地絡検出装置の演算制御部を示す機能ブロック図である。図1,2に示すように、地絡検出装置1は、太陽光発電システム100において太陽電池アレイ101内の地絡を検出するものである。そこで、まず、この太陽光発電システム100について説明する。
【0028】
太陽光発電システム100は、太陽光エネルギを利用して発電を行う発電システムであり、太陽電池アレイ101と、パワーコンディショナ(負荷装置)102と、を備えている。太陽電池アレイ101は、太陽光エネルギを電気エネルギへ変換し、直流出力としてパワーコンディショナ102へ供給する。太陽電池アレイ101は、複数の太陽電池ストリング103が並列接続されて構成されている。つまり、太陽電池アレイ101においては、第1〜第n太陽電池ストリング103〜103が並列接続されている(nは2以上の整数)。
【0029】
複数の太陽電池ストリング103のぞれぞれは、複数(ここでは、8つ)の太陽電池モジュール104が直列接続されて構成されている。これら複数の太陽電池ストリング103は、パワーコンディショナ102に対し、地絡検出装置1の切替部2を介して接続されている。
【0030】
パワーコンディショナ102は、太陽電池アレイ101から供給された直流出力を交流出力に変換し、この交流出力を後段の電力系統(例えば商用電力系統)へ供給する。このパワーコンディショナ102は、太陽電池アレイ101の最大出力が得られるよう太陽電池アレイ101の動作電圧を制御する動作電圧制御機能と、電力系統の異常が検知された場合に安全にシステム停止する等の系統保護機能と、を有している。なお、パワーコンディショナ102は、絶縁トランスを有するトランス絶縁型であってもよいし、トランスレス(非絶縁)型であってもよい。
【0031】
本実施形態の地絡検出装置1は、切替部2と、測定器(測定部)3と、充放電部4と、演算制御部(制御部)5と、記憶部6と、を備えている。切替部2は、電気回路の開閉を行う部位である。切替部2は、2つ以上(ここでは、2つ)の太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100から同時解列し、解列状態におけるm個(ここでは1つ)の太陽電池ストリング103を、測定対象ストリングとして測定器3に接続する。これと並列的に、切替部2は、解列状態であって測定対象ストリングとは別で且つ測定器3による測定前のm個の太陽電池ストリング103を、充放電対象ストリングとして充放電部4に接続する。
【0032】
この切替部2は、各太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100から解列するための解列用スイッチ(スイッチング部)7と、解列した太陽電池ストリング103を測定器3に接続するための測定用スイッチ8と、解列した太陽電池ストリング103を充放電部4に接続するための充放電用スイッチ9と、を有している。この切替部2内では、各太陽電池ストリング103の正極及び負極が集約され、並列接続された正極母線及び負極母線が構成されている。
【0033】
解列用スイッチ7は、太陽電池ストリング103とパワーコンディショナ102との間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替える。解列用スイッチ7は、各太陽電池ストリング103の正極及び負極のそれぞれに直列接続された解列用スイッチ素子7aを複数含んで構成されている。解列用スイッチ素子7aは、演算制御部5に接続されており、演算制御部5からの指示信号に応じてオンオフを切り替える。ここでの解列用スイッチ素子7aは、通常時にオン状態とされて電気的接続状態とされる一方、地絡検出に必要な所定の測定時と充放電時とにオフ状態とされて電気的遮断状態とされる。
【0034】
また、複数の解列用スイッチ素子7aのパワーコンディショナ102側の端子は、正極側同士及び負極側同士で結線され、これにより、正極母線及び負極母線が構成されている。これら正極母線及び負極母線は、パワーコンディショナ102に接続されている。解列用スイッチ素子7aとしては、FET(電界効果トランジスタ,Field Effect Transistor)等の半導体スイッチや、リレースイッチ等の機械式スイッチを用いることができる。
【0035】
このように構成された解列用スイッチ7では、2つの太陽電池ストリング103の正極側及び負極側に接続された2組の解列用スイッチ素子7a,7aが順次にオフ状態とされる。これにより、2つの太陽電池ストリング103が太陽光発電システム100から順次に電気的に切り離されて解列される(解列状態となる)。
【0036】
測定用スイッチ8は、太陽電池ストリング103と測定器3との間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替える。この測定用スイッチ8は、各太陽電池ストリング103の正極及び負極のそれぞれに直列接続された複数の測定用スイッチ素子8aを含んで構成されている。測定用スイッチ素子8aは、演算制御部5に接続されており、演算制御部5からの指示信号に応じてオンオフ切替を実施する。ここでの測定用スイッチ素子8aは、通常時にオフ状態とされて電気的遮断状態とされる一方、地絡検出に必要な所定の測定時にオン状態とされて電気的接続状態とされる。
【0037】
また、複数の測定用スイッチ素子8aの測定器3側の端子は、正極側同士及び負極側同士で結線され、これにより、正極母線及び負極母線が構成されている。これら正極母線及び負極母線は、測定器3に接続されている。測定用スイッチ素子8aとしては、FET等の半導体スイッチや、リレースイッチ等の機械式スイッチを用いることができる。
【0038】
このように構成された測定用スイッチ8では、解列用スイッチ7により2つ以上の太陽電池ストリング103が太陽光発電システム100から解列されたとき、そのうちのm個の太陽電池ストリング103における正極側及び負極側に接続された一組の測定用スイッチ素子8a,8aがオン状態とされる。これにより、当該太陽電池ストリング103が、測定器3で測定可能とされる。
【0039】
充放電用スイッチ9は、太陽電池ストリング103と充放電部4との間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替える。この充放電用スイッチ9は、各太陽電池ストリング103の正極及び負極のそれぞれに直列接続された複数の充放電用スイッチ素子9aを含んで構成されている。充放電用スイッチ素子9aは、演算制御部5に接続されており、演算制御部5からの指示信号に応じてオンオフ切替を実施する。ここでの充放電用スイッチ素子9aは、通常時にオフ状態とされて電気的遮断状態とされる一方、充放電時にオン状態とされて電気的接続状態とされる。
【0040】
また、複数の充放電用スイッチ素子9aの充放電部4側の端子は、正極側同士及び負極側同士で結線され、これにより、正極母線及び負極母線が構成されている。これら正極母線及び負極母線は、充放電部4に接続されている。充放電用スイッチ素子9aとしては、FET等の半導体スイッチや、リレースイッチ等の機械式スイッチを用いることができる。
【0041】
このように構成された充放電用スイッチ9では、解列用スイッチ7により2つの太陽電池ストリング103が太陽光発電システム100から解列されたとき、そのうちの測定器3に電気的に接続されていないm個の太陽電池ストリング103における正極側及び負極側に接続された一組の充放電用スイッチ素子9a,9aがオン状態とされる。これにより、当該m個の太陽電池ストリング103が、充放電部4で充放電可能とされる。
【0042】
測定器3は、解列された太陽電池ストリング103について地絡検出のための所定の測定を実施するものである。測定器3は、その一方側が接続点(接続部)X1を介して互いに接続された第1及び第2検出抵抗11,12と、第1検出抵抗11に生じる電圧値V11を測定する第1電圧計13と、第2検出抵抗12に生じる電圧値V12を測定する第2電圧計14と、を有している。
【0043】
第1及び第2検出抵抗11,12の接続点X1は、接地電位Gに接続されている。第1検出抵抗11の他方側(接続点X1と反対側)は、太陽電池ストリング103の正極母線に測定用スイッチ8を介して電気的に接続可能とされている。第2検出抵抗12の他方側(接続点X1と反対側)は、太陽電池ストリング103の負極母線に測定用スイッチ8を介して電気的に接続可能とされている。
【0044】
これら第1及び第2検出抵抗11,12の抵抗値は、測定時に過電流が流れないように、地絡発生時の安全性の観点から所定下限値以上とされ、且つ、測定値(ここでは電圧値V11,V12)の検出容易性の観点から所定上限値以下とされている。この抵抗値については、以下の抵抗においても同様である。
【0045】
第1電圧計13は、切替部2と第1検出抵抗11との間、及び第1検出抵抗11と接続点X1との間に接続されている。また、第1電圧計13は、演算制御部5に接続されており、演算制御部5からの指示信号に応じて電圧値V11の測定を実行し、その測定結果を記憶部6に記憶する。第2電圧計14は、切替部2と第2検出抵抗12との間、及び第2検出抵抗12と接続点X1との間に接続されている。この第2電圧計14は、演算制御部5に接続されており、演算制御部5からの指示信号に応じて電圧値V12の測定を実行し、その測定結果を記憶部6に記憶する。
【0046】
充放電部4は、解列された太陽電池ストリング103に対し、その対地電位が測定器3に接続した時の対地電位と等しくなるよう接続する。この状態で、充放電部4は、太陽電池ストリング103の対地静電容量中の電荷量が、測定器3に接続した時の対地静電容量中の電荷量と等しくなるよう充放電(充電又は放電)させる。これにより、太陽電池ストリング103の対地電池は、測定器3に接続されて安定した値に収束したときの対地電位と等しい値となる。充放電部4は、その一方側が接続点(接続部)X2を介して互いに接続された第1及び第2充放電抵抗16,17を有している。
【0047】
第1及び第2充放電抵抗16,17の接続点X2は、接地電位Gに接続されている。第1充放電抵抗16の他方側(接続点X2と反対側)は、太陽電池ストリング103の正極母線に充放電用スイッチ9を介して電気的に接続可能とされている。第2充放電抵抗17の他方側(接続点X2と反対側)は、太陽電池ストリング103の負極母線に充放電用スイッチ9を介して電気的に接続可能とされている。これら第1及び第2充放電抵抗16,17それぞれの抵抗値は、測定器3における第1及び第2検出抵抗11,12のそれぞれと等しくなるように設定されている。
【0048】
演算制御部5は、地絡検出装置1全体を制御するためのもの(コンピュータ)である。ここでの演算制御部5は、後述の地絡検出プログラムを実行し、充放電部4による充放電を制御すると共に、測定器3による測定、記憶及び測定結果に基づく演算、並びに地絡存否の判定を制御する。この演算制御部5は、切替部2、測定器3及び記憶部6に接続されている。演算制御部5としては、CPU(Central Processing Unit)により構成してもよいし、アナログIC回路やPLD(Programmable Logic Device)回路により構成してもよい。
【0049】
この演算制御部5は、図3に示すように、太陽光発電システム100から解列させる太陽電池ストリング103を選定するストリング選定機能と、切替部2の解列用スイッチ7へオンオフ切替を指示して太陽電池ストリング103の解列を制御する解列制御機能と、切替部2の測定用スイッチ8へオンオフ切替を指示すると共に電圧計13,14へ測定実施を指示する測定指示機能と、各太陽電池ストリング103の測定状況や電圧計13,14の測定結果及び演算結果を記憶部6に記憶する記憶機能と、記憶部6に記憶された測定結果に基づき演算を実施する演算機能と、地絡の有無を判定する地絡判定機能と、切替部2の充放電用スイッチ9へオンオフ切替を指示して太陽電池ストリング103の充放電実施を指示する充放電指示機能と、を有している。
【0050】
記憶部6は、演算制御部5が実行する地絡検出プログラム、測定器3による測定結果、及び演算制御部5による演算結果を記憶するための記録媒体である。なお、記憶部6としては、半導体メモリや磁気記憶装置等を用いることができる。また、記憶部6に地絡検出プログラムの全部又は一部が記憶されていない場合には、外部記憶装置(例えば、ハードディスク)に地絡検出プログラムの全部又は一部を記憶し、これを読み込むことにより演算制御部5にて地絡検出に係る処理を実行させてもよい。
【0051】
次に、地絡検出装置1により実施される地絡検出方法(地絡検出プログラムによる動作)の一例について、図4に示すフローチャートを参照しつつ例示して説明する。
【0052】
上述した地絡検出装置1において太陽電池アレイ101内の地絡を検出する場合、例えば図5の動作スキームに示すように、複数の太陽電池ストリング103のうち2つの太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100から順次に解列する(図中の太枠)。このとき、解列状態の一方の太陽電池ストリング103について測定対象ストリング103として所定の測定を実施するのと並列的に、解列状態であって所定の測定を実施前の他方の太陽電池ストリング103を充放電対象ストリング103として充放電させる。
【0053】
なお、図5中では、8つの太陽電池ストリング103からなる太陽電池アレイ101について例示している。また、図1,2に示す地絡検出装置1の状態は、図5中のTIME=1,2のときの状態にそれぞれ対応している。
【0054】
具体的には、演算制御部5の各種機能を実行して次の処理を行う。すなわち、iは1以上の整数とし、i>nのときi=i−nとし、iの初期値をnとしたとき、図4のフローチャートに示すように、まず、複数の太陽電池ストリング103の中から、太陽光発電システム100に対して解列させる第i及び第(i+1)太陽電池ストリング103,103を選択する(S1)。
【0055】
続いて、選択した第i及び第(i+1)太陽電池ストリング103,103に対応する解列用スイッチ素子7aをオフにし、これにより、これら第i及び第(i+1)太陽電池ストリング103,103を太陽光発電システム100から電気的に切り離して解列し、解列状態とする(S2:図1参照)。
【0056】
続いて、解列状態の第i及び第(i+1)太陽電池ストリング103,103のうち一方の第i太陽電池ストリング103を測定対象ストリングとし、これに対応する測定用スイッチ素子8aをオンにして当該第i太陽電池ストリング103を測定器3に接続する(S3)。この状態で、電圧計13,14により第1及び第2検出抵抗11,12の電圧値V11,V12を測定し、当該測定結果を記憶部6に記憶する(S4)。
【0057】
続いて、記憶した電圧値V11,V12から下式(1)により漏れ電流値Ileakを演算し、記憶部6に記憶する(S5)。続いて、記憶した漏れ電流値Ileakと、予め記憶部6に記憶されている基準電流値とを比較し、第i太陽電池ストリング103の地絡判定を行う(S6)。具体的には、漏れ電流値Ileakが基準電流値を超えた場合、「地絡あり」と判定する一方、漏れ電流値Ileakが基準電流値以下の場合、「地絡無し」と判定する。ちなみに、漏れ電流値Ileakは、第1及び第2検出抵抗11,12と接地電位Gとの間に流れる漏れ電流(つまり、漏洩電流又は零相電流)の電流値である。
leak=|V11/R11|−|V12/R12| …(1)
但し、R11:第1検出抵抗11の抵抗値
R12:第2検出抵抗12の抵抗値
【0058】
また、上記S3〜S6の処理と並列的に、解列状態の第i及び第(i+1)太陽電池ストリング103,103のうち他方の第(i+1)太陽電池ストリング103を充放電対象ストリングとし、これに対応する充放電用スイッチ素子9aをオンにして充放電部4に接続する(S7)。そして、この状態で、第(i+1)太陽電池ストリング103の対地静電容量に蓄えられた電荷量が、測定器3に接続したときの対地静電容量に蓄えられる電荷量と等しくなるまで、充放電部4により第(i+1)太陽電池ストリング103を充放電させる(S8)。
【0059】
つまり、本実施形態では、第(i+1)太陽電池ストリング103の測定を後段のステップにて実施する際に測定器3に接続した後即座に実施できるように、第(i+1)太陽電池ストリング103の充放電が、第i太陽電池ストリング103の測定と同時並列的(同じタイミング)にバックグラウンドで予め処理されることとなる。
【0060】
続いて、上記S6における地絡判定結果が「地絡無し」であれば、解列状態の第i太陽電池ストリング103について、解列用スイッチ素子7a,7aをオン状態にして太陽光発電システム100に接続すると共に、測定用スイッチ素子8a,8aをオフにして測定器3から切り離す(S9)。また、地絡判定結果が「地絡あり」であれば、解列状態の第i太陽電池ストリング103について、解列用スイッチ素子7a,7aをオフのままにして解列状態のままにする(解列状態を維持する)と共に、測定用スイッチ素子8a,8aをオフにして測定器3から切り離す(S10)。
【0061】
続いて、全ての太陽電池ストリング103の地絡検出(上記S3〜S6)が完了した場合、充放電対象ストリングとしての第(i+1)太陽電池ストリング103について、解列用スイッチ素子7a,7aをオン状態にして太陽光発電システム100に接続すると共に、充放電用スイッチ素子9a,9aをオフにして充放電部4から切り離し、地絡検出を終了する(S11,S12)。
【0062】
一方、地絡検出が完了していない場合、太陽光発電システム100に接続されている複数の太陽電池ストリング103の中から、別の第(i+2)太陽電池ストリング103をさらに選択する(S13)。この選択した第(i+2)太陽電池ストリング103に対応する解列用スイッチ素子7aをオフにし、これにより、第(i+2)太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100から電気的に切り離して解列し、解列状態とする(S14:図2参照)。
【0063】
そして、全ての太陽電池ストリング103について地絡判定が完了するまで、i=i+1としながら上記S3〜S14を繰り返した後、終了する。
【0064】
ちなみに、上記においては、上記S3の前に(つまり、地絡検出に際して太陽電池ストリング103が1番最初に測定器3に接続される前に)、測定対象としての太陽電池ストリング103に充放電部4を予め接続して充放電させてもよい。或いは、太陽電池ストリング103を測定器3に接続した直後(つまり、地絡検出に際して太陽電池ストリング103が1番最初に測定器3に接続された直後)のみ、待機時間を設けてもよい。また、上記においては、複数の太陽電池ストリング103のうち最後の太陽電池ストリング103について所定の測定を実施するときには、これと並列的に行う太陽電池ストリング103の充放電を省略することができる。これらについては、以下の実施形態でも同様である。
【0065】
また、本実施形態においては、第1電圧計13により第1検出抵抗11の電圧値V11を、第2電圧計14により第2検出抵抗12の電圧値V12を、それぞれ測定する構成としたが、第1及び第2検出抵抗11,12を流れる電流値I11,I12を測定する構成としてもよい。この場合、演算制御部5は、漏れ電流値Ileakを、Ileak=|I11|−|I12|により算出することができる。
【0066】
以上、本実施形態では、地絡検出に必要な所定の測定を実施する測定対象ストリングとしての太陽電池ストリング103を、太陽光発電システム100から電気的に切り離して解列している。このように、測定対象を小さい単位として測定を実施することから、測定対象の対地静電容量を下げることができ(つまり、測定対象の電路を短くし、及び総面積を小さくすることができ)、対地静電容量により流れる電流の悪影響が地絡検出に及ぶのを抑制することが可能となる。
【0067】
これと共に、地絡検出時に太陽電池ストリング103がパワーコンディショナ102に対して電気的に切り離されることとなり、当該パワーコンディショナ102に起因して発生するノイズの悪影響が地絡検出に及ぶのをも抑制できる。従って、地絡を確実に検出することが可能となる。
【0068】
ここで、一般的に、太陽電池ストリング103における測定用スイッチ素子8a,8aをオンにして当該太陽電池ストリング103を測定器3に接続した直後では、測定される電圧値V11,V12(測定値)が太陽電池ストリング103の対地静電容量に起因して変動する場合があるため、通常は、かかる変動が落ち着くまで測定の実施を待機する必要がある。
【0069】
この点、本実施形態では、上述したように、解列された2つ以上の太陽電池ストリング103うち、1つの測定対象ストリング103について所定の測定(電圧値V11,V12の測定)を実施するのと並列的に(パラレルに)、所定の測定を実施前の1つの充放電対象ストリング103を予め充放電させている。よって、太陽電池ストリング103に測定器3を接続直後において、測定される電圧値V11,V12の変動を抑制でき、待つことなくすぐに測定を実施することが可能となる。従って、太陽電池アレイ101内の地絡の検出に要する時間(太陽電池アレイ101の地絡検出にかかる総時間)を短縮することが可能となる。
【0070】
また、上述したように、地絡検出に必要な所定の測定を実施する測定対象ストリング103の個数と充放電させる充放電対象ストリング103の個数とが、互いに同じm個(ここでは、1つ)とされているため、充放電された全て(m個)の太陽電池ストリング103を次のタイミングで測定することができ、無駄に解列される太陽電池ストリング103が生じない。従って、地絡検出中の無駄な発電量低下を低減させることができる。
【0071】
特に、本実施形態では、上述したように、解列状態の測定対象ストリング103に接続された第1及び第2検出抵抗11,12における電圧値V11,V12を監視することで、当該測定対象ストリング103の地絡を検出できる。そして、これと並列的に、解列状態の充放電対象ストリング103を接地して充放電させることができる。
【0072】
また、本実施形態では、上述したように、解列状態の太陽電池ストリング103について地絡が検出されなかった場合、当該太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100に電気的に接続することができる。つまり、地絡が検出されない太陽電池ストリング103を、太陽光発電システム100に自動的に接続させることが可能となる。また、上述したように、地絡が検出された場合、当該太陽電池ストリング103を解列状態のままにすることができる。つまり、太陽光発電システム100において、絶縁不良箇所を電気的に切り離し、その安全性を高めることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態では、地絡検出の際、測定対象外且つ充放電対象外の太陽電池ストリング103はパワーコンディショナ102に接続されたままの状態にされることから、地絡検出の際でも有効に発電を行うことが可能となる。
【0074】
また、本実施形態では、地絡検出に際し、電圧印加が不要であり、その安全性を確保することができる。なお、電圧計13,14は電流計に比べてその測定精度が一般的に高いことから、本実施形態のように電圧値V11,V12を測定して電流値Ileakを求めると、電流値Ileakを精度よく把握することができ、よって、地絡を精度よく検出することが可能となる。
【0075】
また、パワーコンディショナ102がトランスレス型のものであり、接地された電力系統に太陽電池アレイ101が接続されている場合でも、本実施形態では、解列状態の太陽電池ストリング103の地絡を検出することから、上記(1)を成立させて地絡を確実に検出することが可能となる。その結果、太陽電池アレイ101に接続するパワーコンディショナ102の絶縁型/非絶縁型を問わずに確実に地絡を検出することができ、ユーザの多様なニーズに応えることが可能となる。
【0076】
また、本実施形態では、上述したように、充放電部4による充放電後に、太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100に電気的に接続することなく、測定器3による測定を実施している。つまり、太陽電池ストリング103を解列してから再び接続するまでの間に、当該太陽電池ストリング103に対し充放電と測定とを連続して実施している。これにより、当該太陽電池ストリング103に対する充放電の効果が失われない間に測定を実施することが可能となる。
【0077】
上記において、ストリング選定機能及び解列制御機能が、特許請求の範囲における解列機能を構成し、測定指示機能が、特許請求の範囲における測定機能を構成する。記憶機能、演算機能及び地絡判定機能が、特許請求の範囲における地絡検出機能を構成する。また、充放電指示機能が、特許請求の範囲における充放電機能を構成する。また、測定器3及び測定用スイッチ8が、特許請求の範囲における測定部を構成し、充放電部4及び充放電用スイッチ9が特許請求の範囲における充放電部を構成する。
【0078】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0079】
図6,7は、第2実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムを示す概略構成である。図6,7に示すように、本実施形態の地絡検出装置20が上記地絡検出装置1と異なる点は、切替部2(図1参照)に代えて切替部22を備え、測定器3(図1参照)に代えて測定器23を備え、充放電部4(図1参照)に代えて充放電部24を備えた点である。なお、図6,7に示す地絡検出装置20の状態は、図5中のTIME=1,2のときの状態にそれぞれ対応している。
【0080】
切替部22は、上記解列用スイッチ7と、上記測定用スイッチ8と同様な測定用スイッチ28と、上記充放電用スイッチ9と同様な充放電用スイッチ29と、を有している。測定用スイッチ28は、各太陽電池ストリング103の正極に直列接続された測定用スイッチ素子28aを複数含んで構成されている。充放電用スイッチ29は、各太陽電池ストリング103の正極に直列接続された充放電用スイッチ素子29aを複数含んで構成されている。
【0081】
測定器23は、太陽電池ストリング103に対し直流電圧値VDsourceの電圧(DCバイアス)を印加する測定用直流電源25を有している。測定用直流電源25の一方側は、正極側とされており、接地電位Gに検出抵抗21aを介して接続されている。一方、測定用直流電源25の他方側は、負極側とされており、太陽電池ストリング103の正極母線に測定用スイッチ28を介して電気的に接続可能とされている。ここでは、測定用直流電源25の他方側は、太陽電池ストリング103とパワーコンディショナ102との間の電路130における所定箇所Qに接続可能とされている。
【0082】
なお、直流電圧値VDsourceは、地絡検出の感度向上の観点から所定下限値以上とされ、且つ、測定対象の太陽電池回路を破損防止の観点から所定上限値以下とされている。また、ここでの直流電圧値VDsourceは、好ましい値として、1つの太陽電池ストリング103の電圧値と同程度の電圧値とされている。この測定用直流電源25は、演算制御部5に接続されており、演算制御部5からの指示信号に応じて直流電圧値VDsourceを印加する。演算制御部5は、直流電圧値VDsourceを記憶部6に記憶させる。
【0083】
さらに、測定器23は、検出抵抗21aにて発生する電圧値V21を検出する電圧計26を有している。電圧計26は、測定用直流電源25と検出抵抗21aとの間、及び検出抵抗21aと接地電位Gとの間に電気的に接続されている。電圧計26は、演算制御部5に接続されており、演算制御部5からの指示信号に応じて電圧値V21の測定を実行する。演算制御部5は、その測定結果を記憶部6に記憶させる。
【0084】
充放電部24は、上記測定用直流電源25と同様な充放電用直流電源27を有している。この充放電用直流電源27の一方側は、正極側とされ、接地電位Gに充放電抵抗21bを介して接続されている。一方、充放電用直流電源27の他方側は、負極側とされ、太陽電池ストリング103の正極母線に充放電用スイッチ29を介して電気的に接続可能とされている。ここでは、充放電用直流電源27の他方側は、太陽電池ストリング103とパワーコンディショナ102との間の電路130における上記所定箇所Qに接続可能とされている。充放電抵抗21bは、その抵抗値が測定器23における検出抵抗21aの抵抗値と等しくなるように設定されている。
【0085】
このように構成された本実施形態において太陽電池アレイ101内の地絡を検出する場合、複数の太陽電池ストリング103のうち2つの太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100から順次に解列する。このとき、解列状態におけるm個(ここでは、1つ)の太陽電池ストリング103について測定対象ストリングとして測定を実施するのと並列的に、解列状態であって測定対象ストリングとは別で且つ測定前のm個の太陽電池ストリング103を、充放電対象ストリングとして充放電させる。
【0086】
次に、地絡検出装置20により実施される地絡検出方法(地絡検出プログラムによる動作)の一例について、図8に示すフローチャートを参照しつつ例示して説明する。すなわち、iは1以上の整数とし、i>nのときi=i−nとし、iの初期値をnとしたとき、解列状態の一方の第i太陽電池ストリング103nを測定器23に接続した後(上記S3の後)、検出抵抗21aの電圧値V21を測定し、記憶部6に記憶する(S21)。続いて、記憶した電圧値V21に基づいて、下式(2)により漏れ電流値Ileakを演算する(S22)。そして、演算した漏れ電流値Ileakと予め記憶部6に記憶されている基準電流値とを比較して地絡を判定する上記S6へ移行する。
leak2=V21/R21 …(2)
但し、R21:検出抵抗21aの抵抗値
【0087】
以上、本実施形態においても、解列状態の測定対象ストリング103について所定の測定を実施するのと並列的に、解列状態であって所定の測定実施前の充放電対象ストリング103を予め充放電させることができる。よって、上記作用効果、すなわち、地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮するという作用効果が奏される。
【0088】
特に、本実施形態では、上述したように、解列状態における測定対象ストリング103に測定用直流電源25及び検出抵抗21aを接続し、検出抵抗21aで生じる電圧値V21ひいては漏れ電流値(地絡電流)Ileak2を監視することで、当該測定対象ストリング103の地絡を検出できる。そして、これと並列的に、解列状態における充放電対象ストリング103を接地して充放電させることができる。
【0089】
また、本実施形態では、地絡検出にあたって、解列された太陽電池ストリング103に対し一方側が接地電位Gに接続された直流電源25により電圧を印加し、太陽電池ストリング103の対地電位を意図的に変化させて地絡電流を測定することが可能である。
【0090】
また、本実施形態では、上述したように、測定用直流電源25の他方側及び充放電用直流電源27の他方側が、ともに解列された個々の太陽電池ストリング103とパワーコンディショナ102との間の電路130における所定箇所Qに一点接続される。そのため、当該電路130上における測定器23及び充放電部24への配線及びスイッチ等の数を減らし、その構成を簡易化することができる。
【0091】
また、本実施形態では、上述したように、測定対象ストリング103の正極側に測定用直流電源25における負極側を接続し、充放電対象ストリング103の正極側に充放電用直流電源27における負極側を接続している。そのため、測定部23による測定の際、測定対象ストリング103の対地電位の絶対値を大きく又は小さくすることができ、その結果、太陽電池103の何れの箇所でも接地電位Gと間に電位差が発生しやすくなり、地絡検出の感度を高めると共に、地絡箇所によらずに地絡検出を確実に実施することができる。
【0092】
また、上述したように、太陽電池ストリング103に解列して地絡検出を行うことから、パワーコンディショナ102に測定用直流電源25による直流電圧が印加されるのを防止し、パワーコンディショナ102内のサージアブソーバや対地コンデンサ等の部品に負担がかかったり低寿命化したりするのを抑制でき、機器の破損を防止することが可能となる。
【0093】
なお、本実施形態では、直流電源25,27の他方側が太陽電池ストリング103の正極母線に電気的に接続されているが、直流電源25,27の他方側が太陽電池ストリング103の負極母線に電気的に接続されていてもよい。この場合、直流電源25,27の一方側は、負極側とされ、接地電位Gに抵抗21a,21bを介して接続される一方、直流電源25,27の他方側は、正極側とされ、太陽電池ストリング103の負極母線に電気的に接続される。
【0094】
また、本実施形態では、電圧計26により検出抵抗21aの電圧値を測定する構成としたが、電流計により検出抵抗21aを流れる電流を測定する構成としてもよい。この場合、測定した電流の値が漏れ電流値となる。
【0095】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0096】
図9〜12は、第3実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムを示す概略構成である。図9〜12に示すように、本実施形態の地絡検出装置30が上記地絡検出装置1と異なる点は、測定器3(図1参照)に代えて測定器33を備え、充放電部4(図1参照)に代えて充放電部34を備えた点である。
【0097】
測定器33は、一方側が接地電位Gに接続された検出抵抗31と、検出抵抗31に生じる電圧値V31を測定する電圧計32と、を測定用電路Ds上に有している。検出抵抗31は、その他方側が太陽電池ストリング103の正極母線又は負極母線の何れかに測定用スイッチ8を介して電気的に接続可能とされている。つまり、測定用電路Dsは、一方側が接地電位Gに接続されていると共に他方側が複数の太陽電池ストリング103の正極側及び負極側に接続可能とされている。
【0098】
電圧計32は、切替部2と検出抵抗31との間、及び検出抵抗31と接地電位Gとの間に電気的に接続されており、検出抵抗31の電圧降下値及びその符号を測定する。ここでは、電圧計32は、検出抵抗31が太陽電池ストリング103の正極側に測定用スイッチ8により接続されたとき、電圧降下値を正極側電圧降下値(第1電圧降下値)V1として測定すると共に、検出抵抗31が太陽電池ストリング103の負極側に測定用スイッチ8により接続されたとき、電圧降下値を負極側電圧降下値(第2電圧降下値)V2として測定する。なお、電圧降下値の符号は、例えば、接地電位Gに向かって電流が流れる方向を正とし、逆向きを負として設定することができる。
【0099】
また、電圧計32は、太陽電池ストリング103それぞれの正極母線及び負極母線にも接続されており(不図示)、解列された太陽電池ストリング103の正極と負極との間の電位差(以下、「極間電圧値」という)及びその符号を測定する。極間電圧値の符号は、例えば、負極側電位を基準として正極側電位の大小を比較することで設定することができる。また、電圧計32は、演算制御部5に接続されており、演算制御部5からの指示信号に応じて各種測定を実行する。演算制御部5は、その測定結果を記憶部6に記憶させる。
【0100】
充放電部34は、一方側が接地電位Gに接続された充放電抵抗35を、充放電用電路Dj上に有している。充放電抵抗35は、その他方側が太陽電池ストリング103の正極母線又は負極母線に充放電用スイッチ9を介して電気的に接続可能とされている。また、充放電抵抗35は、その抵抗値が測定器33における検出抵抗31の抵抗値と等しくなるように設定されている。つまり、充放電用電路Djは、一方側が接地電位Gに接続されていると共に他方側が複数の太陽電池ストリング103の正極側及び負極側に接続可能とされている。この充放電用電路Djは、測定用電路Dsと等しい抵抗値とされている。
【0101】
このような本実施形態において太陽電池アレイ101内の地絡を検出する場合、例えば図13の動作スキームに示すように、複数の太陽電池ストリング103のうち2つの太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100から順次に解列する(図中の太枠)。このとき、解列状態の一方の太陽電池ストリング103における正極側又は負極側に測定器33を接続して検出抵抗31の電圧降下値を測定するのと並列的に、解列状態であって当該測定前の他方の太陽電池ストリング103における正極側又は負極側に充放電部34を接続して充放電させる。
【0102】
なお、図13中では、8つの太陽電池ストリング103からなる太陽電池アレイ101について例示している。また、図9〜図12に示す地絡検出装置30の状態は、図13中のTIME=1〜4のときの状態にそれぞれ対応している。
【0103】
次に、地絡検出装置30により実施される地絡検出方法(地絡検出プログラムによる動作)の一例について、図13に示す動作スキーム及び図14,15に示すフローチャートを参照しつつ例示して説明する。すなわち、iは1以上の整数とし、i>nのときi=i−nとし、iの初期値をnとしたとき、図14のフローチャートに示すように、まず、第i太陽電池ストリング103を選択し太陽光発電システム100から解列し、第(i+1)太陽電池ストリング103を選択し太陽光発電システム100から解列する(S31,S32)。
【0104】
続いて、図9に示すように、解列状態の太陽電池ストリング103,103のうち一方の第i太陽電池ストリング103を測定対象ストリングとし、第i太陽電池ストリング103の負極側の測定用スイッチ素子8aをオンにして測定器33に接続すると共に、正極側の測定用スイッチ素子8aをオフにして解放する(S33)。この状態で、電圧計32により第i太陽電池ストリング103の負極側電圧降下値V2とその符号を測定し、当該測定結果を記憶部6に記憶する(S34)
【0105】
上記S33,S34の処理と並列的に、解列状態の他方の第(i+1)太陽電池ストリング103を充放電対象ストリングとし、第(i+1)太陽電池ストリング103の正極側の充放電用スイッチ素子9aをオンにして充放電部34に接続する(S35)。この状態で、第(i+1)太陽電池ストリング103の対地静電容量に蓄えられた電荷量が、その正極側を測定器33に接続したときの対地静電容量に蓄えられる電荷量と等しくなるまで、充放電部34によりを充放電させる(S36)。
【0106】
続いて、図10に示すように、解列状態の第i太陽電池ストリング103について、解列用スイッチ素子7aをオン状態にして太陽光発電システム100に接続する(S37)。そして、太陽光発電システム100に接続されている複数の太陽電池ストリング103の中から、別の第(i+2)太陽電池ストリング103をさらに選択し、これに対応する解列用スイッチ素子7aをオフにし、これにより、第(i+2)太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100から電気的に切り離して解列し、解列状態とする(S38)。
【0107】
続いて、測定用スイッチ素子8a及び充放電用スイッチ素子9aをオフにした後、解列状態の第(i+1)太陽電池ストリング103を測定対象ストリングとし、第(i+1)太陽電池ストリング103の正極側の測定用スイッチ素子8aをオンにして測定器33に接続すると共に、負極側の測定用スイッチ素子8aをオフにして解放する(S39)。この状態で、電圧計32により第(i+1)太陽電池ストリング103の正極側電圧降下値V1とその符号を測定し、当該測定結果を記憶部6に記憶する(S40)。
【0108】
上記S39,S40の処理と並列的に、解列状態の第(i+2)太陽電池ストリング103を充放電対象ストリングとし、第(i+2)太陽電池ストリング103の正極側の充放電用スイッチ素子9aをオンにして充放電部34に接続する(S41)。この状態で、第(i+2)太陽電池ストリング103の対地静電容量に蓄えられた電荷量が、その正極側を測定器33に接続したときの対地静電容量に蓄えられる電荷量と等しくなるまで、充放電部34によりを充放電させる(S42)。
【0109】
続いて、測定用スイッチ素子8a及び充放電用スイッチ素子9aをオフにした後、図11に示すように、解列状態の第(i+2)太陽電池ストリング103を測定対象ストリングとし、第(i+2)太陽電池ストリング103の正極側の測定用スイッチ素子8aをオンにして測定器33に接続すると共に、負極側の測定用スイッチ素子8aをオフにして解放する(S43)。この状態で、電圧計32により第(i+2)太陽電池ストリング103の正極側電圧降下値V1とその符号を測定し、当該測定結果を記憶部6に記憶する(S44)。
【0110】
上記S43,S44の処理と並列的に、解列状態の第(i+1)太陽電池ストリング103を充放電対象ストリングとし、第(i+1)太陽電池ストリング103の負極側の充放電用スイッチ素子9aをオンにして充放電部34に接続する(S45)。この状態で、第(i+1)太陽電池ストリング103の対地静電容量に蓄えられた電荷量が、その負極側を測定器33に接続したときの対地静電容量に蓄えられる電荷量と等しくなるまで、充放電部34によりを充放電させる(S46)。
【0111】
続いて、測定用スイッチ素子8a及び充放電用スイッチ素子9aをオフにした後、図12に示すように、解列状態の第(i+1)太陽電池ストリング103を再び測定対象ストリングとし、第(i+1)太陽電池ストリング103の負極側の測定用スイッチ素子8aをオンにして測定器33に接続すると共に、正極側の測定用スイッチ素子8aをオフにして解放する(S47)。この状態で、電圧計32により第(i+1)太陽電池ストリング103の負極側電圧降下値V2とその符号を測定し、当該測定結果を記憶部6に記憶する(S48)。
【0112】
上記S47,S48の処理と並列的に、解列状態の第(i+2)太陽電池ストリング103を再び充放電対象ストリングとし、第(i+2)太陽電池ストリング103の負極側の充放電用スイッチ素子9aをオンにして充放電部34に接続する(S49)。この状態で、第(i+2)太陽電池ストリング103の対地静電容量に蓄えられた電荷量が、その負極側を測定器33に接続したときの対地静電容量に蓄えられる電荷量と等しくなるまで、充放電部34によりを充放電させる(S50)。
【0113】
続いて、解列状態の第(i+1)太陽電池ストリング103について、解列用スイッチ素子7aをオン状態にして太陽光発電システム100に接続する(S51)。そして、全ての太陽電池ストリング103について電圧降下値V1,V2の測定が完了するまで、i=i+2としながら上記S32〜S51を繰り返した後、解列状態の太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100に接続して終了する。
【0114】
ここで、図15のフローチャートに示すように、太陽電池ストリング103について、記憶部6に電圧降下値V1,V2が記憶されている場合、その極間電圧値及びその符号をさらに測定すると共に、下式(3)を用いて絶縁抵抗値Rleakを算出する(S61,S62)。
leak=R×|V0|/(|V1|+|V2|)−R …(3)
但し、R:検出抵抗31の抵抗値
V0:極間電圧値
V1:正極電圧降下値
V2:負極電圧降下値
【0115】
続いて、演算した絶縁抵抗値Rleakと、予め記憶部6に記憶されている基準抵抗値とを比較し、地絡判定を行う(S63)。具体的には、演算した絶縁抵抗値Rleakが基準抵抗値以上であれば、「地絡無し」と判定する一方、絶縁抵抗値Rleakが基準抵抗値未満であれば、「地絡あり」と判定する。
【0116】
そして、上記S63における地絡判定結果が「地絡無し」であれば、解列状態の測定対象としての太陽電池ストリング103について、解列用スイッチ素子7a,7aをオン状態にして太陽光発電システム100に接続すると共に、測定用スイッチ素子8a,8aをオフにして測定器33から切り離す(S64)。一方、地絡判定結果が「地絡あり」であれば、解列状態の測定対象としての太陽電池ストリング103について、解列用スイッチ素子7a,7aをオフのままにして解列状態のままにすると共に、測定用スイッチ素子8a,8aをオフにして測定器33から切り離す(S65)。
【0117】
以上、本実施形態においても、解列状態の一方の太陽電池ストリング103について所定の測定を実施するのと並列的に、解列状態であって所定の測定を実施前の他方の太陽電池ストリング103を予め充放電させることができる。よって、上記作用効果、すなわち、地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮するという作用効果が奏される。
【0118】
特に、本実施形態では、解列状態における一方の太陽電池ストリング103の正極側及び負極側それぞれに測定器33の検出抵抗31を接続し、電圧降下値V1,V2それぞれを測定することで、地絡の有無を判定することができる。そして、電圧降下値V1,V2の測定の何れかと並列的に、解列状態における他方の太陽電池ストリング103の正極側又は負極側に充放電部34の充放電抵抗35を接続し、これらの何れかを接地して充放電させることができる。
【0119】
ちなみに、一般的に、零相電流を監視して地絡を検出する場合、零相電流は地絡が生じないと流れないことから、触れた人等に電流が流れる原因となる対地絶縁不良を予め検知するのが困難となることがある。この点、本実施形態では、零相電流を監視して地絡を検出するのではなく、上述したように、電圧降下値V1,V2を測定し当該電圧降下値V1,V2から演算された絶縁抵抗値Rleakにより地絡の有無を判定するため、対地絶縁不良を予め好適に検知することができる。加えて、電圧降下値V1,V2のバランスから、地絡箇所を検知することも可能となる。
【0120】
また、本実施形態では、上述したように、検出抵抗31の第1及び第2電圧降下値V1,V2と極間電圧値V0とこれらの符号とを測定するだけで、太陽電池ストリング103の地絡検出可能であるため、比較的安価な測定機器でも十分な精度で絶縁抵抗値Rleakを検知することができる。
【0121】
また、本実施形態では、上述したように、1つの検出抵抗31を用いて絶縁抵抗値Rleakを求めることが可能である。これに対し、複数の検出抵抗31を用いて絶縁抵抗値Rleakを求めようとすると、これら複数の検出抵抗31に対する高精度のキャリブレーションが必要となる。よって、本実施形態では、複数の検出抵抗31に対する高精度のキャリブレーションが不要となり、絶縁抵抗値Rleakの誤差を容易に低減することが可能となる。
【0122】
なお、上記S61においては、解列された太陽電池ストリング103の極間電圧値V0を、正極側及び負極側の少なくとも一方の測定用スイッチ素子8aをオンにした状態で測定してもよいし、これら両者をオフにした状態で測定してもよい。
【0123】
また、本実施形態では、電圧計32で検出抵抗31の電圧降下値を測定する構成としたが、測定用スイッチ素子8aを正極側に接続したときに検出抵抗31を流れる電流値I1と、負極側に接続したときに検出抵抗31を流れる電流値I2とを、電流計によりそれぞれ測定する構成としてもよい。この場合、演算制御部5は、絶縁抵抗値Rleakを、Rleak=V0/(|I1|+|I2|)−Rにより算出することができる。
【0124】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0125】
図16〜19は、第4実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムを示す概略構成である。図16〜19に示すように、本実施形態の地絡検出装置40が上記地絡検出装置1と異なる点は、4つの太陽電池ストリング103を同時解列し、一方の2つの太陽電池ストリング103について正極側電圧降下値V1又は負極側電圧降下値V2を測定するのと並列的に、他方の2つの太陽電池ストリング103の正極側又は負極側を充放電させる点である。
【0126】
このような本実施形態において太陽電池アレイ101内の地絡を検出する場合、図20の動作スキームに示すように、複数の太陽電池ストリング103のうち、4つの太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100から順次に解列する(図中の太枠)。このとき、解列状態の太陽電池ストリング103の正極側と,これとは別の太陽電池ストリング103の負極側とに測定器3を接続して検出抵抗11,12の電圧降下値V1,V2を測定する。これと並列的に、解列状態であって測定前の太陽電池ストリング103の正極側と、これとは別の太陽電池ストリング103の負極側とに充放電部4を接続して充放電させる。
【0127】
なお、図20中では、8つの太陽電池ストリング103からなる太陽電池アレイ101について例示している。また、図16〜図19に示す地絡検出装置40の状態は、図20中のTIME=1〜4のときの状態にそれぞれ対応している。
【0128】
次に、地絡検出装置40により実施される地絡検出方法(地絡検出プログラムによる動作)の一例について、図20に示す動作スキーム及び図21、22に示すフローチャートを参照しつつ例示して説明する。すなわち、iは1以上の整数とし、i>nのときi=i−nとし、iの初期値をn−2としたとき、図21のフローチャートに示すように、まず、第i太陽電池ストリング103n−2を選択し太陽光発電システム100から解列し、第(i+1)太陽電池ストリング103n−1を選択し太陽光発電システム100から解列し、第(i+2)太陽電池ストリング103を選択し太陽光発電システム100から解列し、第(i+3)太陽電池ストリング103を選択し太陽光発電システム100から解列する(図16参照:S71〜S74)。
【0129】
続いて、解列状態の第i太陽電池ストリング103n−2の負極側の測定用スイッチ素子8aをオンにして測定器3に接続すると共に、正極側の測定用スイッチ素子8aをオフにして解放する(S75)。この状態で、電圧計14により第i太陽電池ストリング103n−2の負極側電圧降下値V2とその符号を測定し、当該測定結果を記憶部6に記憶する(S76)。
【0130】
上記S75,S76と並列的に、解列状態の第(i+1)太陽電池ストリング103n−1の負極側の充放電用スイッチ素子9aをオンにして充放電部4に接続する(S77)。この状態で、第(i+1)太陽電池ストリング103n−1の対地静電容量に蓄えられた電荷量が、その負極側を測定器3に接続したときの対地静電容量に蓄えられる電荷量と等しくなるまで、充放電部4によりを充放電させる(S78)。
【0131】
上記S75〜S78と並列的に、解列状態の第(i+2)太陽電池ストリング103の正極側の測定用スイッチ素子8aをオンにして測定器3に接続すると共に、負極側の測定用スイッチ素子8aをオフにして解放する(S79)。この状態で、電圧計13により第(i+2)太陽電池ストリング103の正極側電圧降下値V1とその符号を測定し、当該測定結果を記憶部6に記憶する(S80)。
【0132】
上記S75〜S80と並列的に、解列状態の第(i+3)太陽電池ストリング103の正極側の充放電用スイッチ素子9aをオンにして充放電部4に接続する(S81)。この状態で、第(i+3)太陽電池ストリング103の対地静電容量に蓄えられた電荷量が、その正極側を測定器3に接続したときの対地静電容量に蓄えられる電荷量と等しくなるまで、充放電部4によりを充放電させる(S82)。
【0133】
続いて、解列状態の第i太陽電池ストリング103n−2について、解列用スイッチ素子7aをオン状態にして太陽光発電システム100に接続する(S83)。そして、全ての太陽電池ストリング103について電圧降下値V1,V2の測定が完了するまで、i=i+1としながら上記S74〜S83を繰り返し(例えば図17〜図19参照)、その後、解列状態の太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100に接続して終了する。
【0134】
ここで、図22のフローチャートに示すように、太陽電池ストリング103について記憶部6に電圧降下値V1,V2が記憶されている場合、上記S61,62と同様に、その極間電圧値及びその符号をさらに測定し、絶縁抵抗値Rleakを算出する(S91,S92)。そして、上記S63と同様な地絡判定を行い(S93)、地絡判定結果が「地絡無し」であれば、解列状態の太陽電池ストリング103について太陽光発電システム100に接続すると共に測定器3から切り離す(S94)。一方、地絡判定結果が「地絡あり」であれば、解列状態の太陽電池ストリング103について解列状態のままにすると共に測定器3から切り離す(S95)。
【0135】
以上、本実施形態においても、解列状態の一方の太陽電池ストリング103について所定の測定を実施するのと並列的に、解列状態であって所定の測定(電圧降下値V1,V2の測定)前の他方の太陽電池ストリング103を予め充放電させることができる。よって、上記作用効果、すなわち、地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮するという作用効果が奏される。
【0136】
特に、本実施形態では、複数の太陽電池ストリング103について地絡検出のための測定を行うのと並列的に、複数の太陽電池ストリング103を充放電させている。よって、地絡の検出に要する時間を一層短縮することができる。
【0137】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0138】
例えば、上記実施形態では、地絡検出を行う太陽電池ストリング103の個数及び充放電を行う太陽電池ストリング103の個数であるmを1としている、すなわち、解列状態における1つの測定対象ストリング103について地絡検出に必要な所定の測定を行うと共に、解列状態における1つの充放電対象ストリング103を充放電させているが、これに限定されるものではなく、mは2以上の整数であっても勿論よい。
【0139】
また、上記実施形態では、負荷装置としてパワーコンディショナ102を備えているが、負荷装置は、電力を消費又は変換するものであればよく、コンバータや蓄電池等の直流負荷であってもよい。また、各太陽電池ストリング103を構成する太陽電池モジュール104の数は、2〜7つでもよいし、9つ以上でもよい。
【0140】
また、上記第1及び第2実施形態は、電流計をさらに備え、当該電流計によって上述の漏れ電流値Ileakを測定し地絡判定を行ってもよい。この電流計としては、例えばホール素子を利用した直流零相電流検出器等が用いられる。また太陽光発電システム100から同時解列される太陽電池ストリング103の数は、3つ又は5つ以上であってもよい。さらに、測定対象の太陽電池ストリング103の数、及び充放電対象の太陽電池ストリング103の数は、3つ以上であってもよい。
【0141】
また、上記実施形態では、複数の太陽電池ストリング103により太陽電池ストリング群を構成し、複数の太陽電池ストリング群により太陽電池アレイ101を構成してもよい。この場合、複数の太陽電池ストリング群のうち2つ以上の太陽電池ストリング群が太陽光発電システム100から解列され、解列状態におけるm個の太陽電池ストリング群について測定が実施されるのと並列的に、解列状態における当該測定前のm個の太陽電池ストリング群が充放電されることとなる。
【0142】
なお、上記の「等しい」は、略等しいを含んでおり、製造上、設計上及び計測上のばらつきや誤差を許容するものである。
【符号の説明】
【0143】
1,20,30,40…地絡検出装置、3,23,33…測定器(測定部)、4,24,34…充放電部(充放電部)、5…演算制御部(制御部)、7…解列用スイッチ(スイッチング部)、8,28…測定用スイッチ(測定部)、9,29…充放電用スイッチ(充放電部)、11…第1検出抵抗、12…第2検出抵抗、16…第1充放電抵抗、17…第2充放電抵抗、21a,31…検出抵抗、21b,35…充放電抵抗、25,27…測定用直流電源、27…充放電用直流電源、100…太陽光発電システム、101…太陽電池アレイ、102…パワーコンディショナ(負荷装置)、103…太陽電池ストリング、104…太陽電池モジュール、130…電路、Dj…充放電用電路、Ds…測定用電路、G…接地電位、Q…所定箇所、V1…正極側電圧降下値(第1電圧降下値)、V2…負極側電圧降下値(第2電圧降下値)、X1,X2…接続点(接続部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の前記太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、前記太陽電池アレイ内の地絡を検出する地絡検出装置であって、
複数の前記太陽電池ストリングのうち2つ以上の前記太陽電池ストリングを、互いに電気的に切り離されるようにして前記太陽光発電システムから解列するスイッチング部と、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれに対し、接続して所定の測定を実施する測定部と、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれに対し、その対地電位が前記測定部に接続時の対地電位と等しくなるよう接続して充放電させる充放電部と、
少なくとも前記測定部及び前記充放電部の動作の制御と、前記測定部による測定値に基づく地絡検出と、を実施する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記スイッチング部により解列された2つ以上の前記太陽電池ストリングのうち、一の太陽電池ストリングについて、測定対象ストリングとして前記測定部により前記所定の測定を実施させることと並列的に、
前記スイッチング部により解列された2つ以上の前記太陽電池ストリングのうち、前記測定対象ストリングとは別で且つ前記所定の測定を実施前の他の太陽電池ストリングを、充放電対象ストリングとして前記充放電部により充放電させること、を特徴とする地絡検出装置。
【請求項2】
前記測定部は、接地電位に繋がる接続部を介して互いに接続された第1及び第2検出抵抗を有し、
前記充放電部は、接地電位に繋がる接続部を介して互いに接続された第1及び第2充放電抵抗を有し、
前記第1検出抵抗と前記第1充放電抵抗とは、互いに等しい抵抗値とされていると共に、前記第2検出抵抗と前記第2充放電抵抗とは、互いに等しい抵抗値とされ、
前記制御部は、
解列された前記測定対象ストリングの正極側に前記第1検出抵抗における前記接続部側と反対側を接続させると共に、負極側に前記第2検出抵抗における前記接続部と反対側を接続した状態にて、前記接続部から接地電位に流れる電流値に関する測定値の測定を前記測定部により実施させる測定処理と、
前記測定処理と並列的に、解列された前記充放電対象ストリングの正極側に前記第1充放電抵抗における前記接続部側と反対側を接続させると共に、負極側に前記第2充放電抵抗における前記接続部と反対側を接続させることで、前記充放電部により当該充放電対象ストリングを接地して充放電させる充放電処理と、
測定させた前記測定値に基づいて、地絡の有無を判定する判定処理と、を実行すること、を特徴とする請求項1記載の地絡検出装置。
【請求項3】
前記測定部は、一方側が接地電位に接続された測定用直流電源を少なくとも有し、
前記充放電部は、一方側が接地電位に接続された充放電用直流電源を少なくとも有し、
前記測定用直流電源の他方側及び前記充放電用直流電源の他方側は、ともに解列された個々の前記太陽電池ストリングと前記負荷装置との間の電路における所定箇所に接続可能とされ、
前記測定用直流電源が印加する直流電圧値と前記充放電用直流電源が印加する直流電圧値とは、互いに等しい電圧値とされ、
前記制御部は、
解列された前記測定対象ストリングの前記所定箇所に前記測定用直流電源の他方側を接続させた状態にて、前記所定箇所から接地電位に流れる電流値に関する測定値の測定を前記測定部により実施させる測定処理と、
前記測定処理と並列的に、解列された前記充放電対象ストリングの前記所定箇所に前記充放電用直流電源の他方側を接続させることで、前記充放電部により当該充放電対象ストリングを接地して充放電させる充放電処理と、
測定させた前記測定値に基づいて、地絡の有無を判定する判定処理と、を実行すること、を特徴とする請求項1記載の地絡検出装置。
【請求項4】
前記測定処理は、解列された前記測定対象ストリングの正極側又は負極側に前記測定用直流電源における負極側又は正極側としての他方側を接続させ、
前記充放電処理は、解列された前記充放電対象ストリングの正極側又は負極側に前記充放電用直流電源における負極側又は正極側としての他方側を接続させること、を特徴とする請求項3記載の地絡検出装置。
【請求項5】
前記測定部は、一方側が接地電位に接続されていると共に他方側が複数の前記太陽電池ストリングの正極側及び負極側に接続可能な測定用電路を有し、
前記充放電部は、一方側が大地に接続されていると共に他方側が複数の前記太陽電池ストリングの正極側及び負極側に接続可能な充放電用電路を有し、
前記測定用電路と前記充放電用電路とは、互いに等しい抵抗値とされ、
前記制御部は、
前記測定対象ストリングの正極側のみに前記測定用電路を接続した状態にて、前記測定用電路に流れる電流値に関する測定値を第1測定値として測定させる第1測定処理と、
前記測定対象ストリングの負極側のみに前記測定用電路を接続した状態にて、前記測定用電路を流れる電流値に関する測定値を第2測定値として測定させる第2測定処理と、
前記充放電対象ストリングの正極側のみに前記充放電用電路を接続させることで、前記充放電部により当該充放電対象ストリングを接地して充放電させる第1充放電処理と、
前記充放電対象ストリングの負極側のみに前記充放電用電路を接続させることで、前記充放電部により当該充放電対象ストリングを接地して充放電させる第2充放電処理と、
測定させた前記第1及び第2測定値に基づいて、地絡の有無を判定する地絡判定処理と、を実行し、且つ、
前記第1又は第2測定処理と、前記第1又は第2充放電処理とを並列的に実行すること、を特徴とする請求項1記載の地絡検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、解列された前記太陽電池ストリングに対し、前記充放電部による充放電を実施させた後、前記太陽光発電システムに電気的に接続させることなく連続して、前記測定部による前記所定の測定を実施させること、を特徴とする請求項1〜5の何れか一項記載の地絡検出装置。
【請求項7】
複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の前記太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、前記太陽電池アレイ内の地絡を検出する地絡検出方法であって、
複数の前記太陽電池ストリングのうち2つ以上の前記太陽電池ストリングを、互いに電気的に切り離されるようにして前記太陽光発電システムから解列する解列ステップと、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれに対し、測定部を接続して所定の測定を実施する測定ステップと、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれに対し、その対地電位が前記測定部に接続時の対地電位と等しくなるよう接続して充放電させる充放電ステップと、
前記測定ステップにより得た測定値に基づき地絡の有無を判定する地絡検出ステップと、を備え、
前記測定ステップでは、前記解列ステップにより解列された2つ以上の前記太陽電池ストリングのうち一の太陽電池ストリングについて、測定対象ストリングとして前記所定の測定を実施し、
前記充放電ステップでは、前記測定ステップにて前記測定対象ストリングの測定を実施するのと並列的に、前記解列ステップにより解列された2つ以上の前記太陽電池ストリングのうち、前記測定対象ストリングとは別で且つ前記所定の測定を実施前の他の太陽電池ストリングを、充放電対象ストリングとして充放電させること、を特徴とする地絡検出方法。
【請求項8】
複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、
複数の前記太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、
電力を消費又は変換する負荷装置と、
請求項1〜6の何れか一項記載の地絡検出装置と、を具備することを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項9】
複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の前記太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、前記太陽電池アレイ内の地絡を検出するための地絡検出プログラムであって、
複数の前記太陽電池ストリングのうち2つ以上の前記太陽電池ストリングを、互いに電気的に切り離されるようにして前記太陽光発電システムから解列させる解列機能と、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれに対し、測定部を接続させて所定の測定を実施させる測定機能と、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれに対し、その対地電位が前記測定部に接続時の対地電位と等しくなるよう充放電部を接続させて充放電させる充放電機能と、
前記測定機能により得た測定値に基づき地絡の有無を判定する地絡検出機能と、をコンピュータに実行させ、
前記測定機能では、前記解列機能により解列させた2つ以上の前記太陽電池ストリングのうち一の太陽電池ストリングについて、測定対象ストリングとして前記所定の測定を実施させ、
前記充放電機能では、前記測定機能により前記測定対象ストリングの測定を実施させるのと並列的に、前記解列機能により解列させた2つ以上の前記太陽電池ストリングのうち、前記測定対象ストリングとは別で且つ前記所定の測定を実施前の他の太陽電池ストリングを、充放電対象ストリングとして充放電させること、を特徴とする地絡検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−33825(P2013−33825A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168694(P2011−168694)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】