地質推定システム、及び地質推定方法
【課題】地質分布を推定する技術を提供する。
【解決手段】地盤中に埋設される長状の埋設物を地盤に打設する際の抵抗を取得する抵抗取得手段と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する変換手段と、前記変換手段で変換された貫入力を処理して、前記埋設物が埋設された領域の地層分布を生成する地層分布生成手段と、前記地層分布生成手段で生成された地層分布を出力する出力手段と、を備え、前記変換手段は、前記抵抗取得手段で取得された抵抗を処理して、打設方向における前記埋設物の先端部に作用する先端抵抗力を算出する先端抵抗力算出手段と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗を処理して、前記埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力を算出する周面摩擦抵抗力算出手段と、前記先端抵抗力と前記周面摩擦抵抗力とを処理して、前記埋設物を打設する際の埋設物の貫入力を算出する貫入力算出手段と、を有する。
【解決手段】地盤中に埋設される長状の埋設物を地盤に打設する際の抵抗を取得する抵抗取得手段と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する変換手段と、前記変換手段で変換された貫入力を処理して、前記埋設物が埋設された領域の地層分布を生成する地層分布生成手段と、前記地層分布生成手段で生成された地層分布を出力する出力手段と、を備え、前記変換手段は、前記抵抗取得手段で取得された抵抗を処理して、打設方向における前記埋設物の先端部に作用する先端抵抗力を算出する先端抵抗力算出手段と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗を処理して、前記埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力を算出する周面摩擦抵抗力算出手段と、前記先端抵抗力と前記周面摩擦抵抗力とを処理して、前記埋設物を打設する際の埋設物の貫入力を算出する貫入力算出手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地質推定システム、及び地質推定方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤改良に関する技術として、地盤中に帯状や棒状のドレーンを多数打設し、このドレーンを介して地盤中の水分を排出する方法がある。ドレーンには各種のものがあるが、樹脂製で内部に多数の排水孔が長手方向に沿って延びるものが多用されている。地盤中にドレーンを多数打設することで、地盤に含まれる水が排出され、地盤の圧密が促進される(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−307552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地盤改良に関する技術として、地盤中に帯状や棒状のドレーンを多数打設し、このドレーンを介して地盤中の水分を排出する方法がある。地盤改良の対象となる軟弱層(粘性土)の層厚や分布位置が改良効果に大きな影響を与えるため、地盤改良を行うに際しては、地盤の地質分布を把握し、ドレーンを適切に配置することや圧密放置期間を設定することが重要である。施工前に実施される例えばボーリングなどの調査結果により地盤内の地質分布をある程度把握することはできる。事前の調査では、例えばボーリング数を増やすこと(ボーリング間隔を小さくすること)で、より詳細な地質分布の把握が可能となるものの、ボーリング数の増加はコストアップに繋がる。従って、従来一般的に行われる事前の調査結果からでは、地盤内の詳細な地質分布の把握は難しいとの懸念があった。また、地盤の堆積環境が複雑になればなるほど地質分布の把握は困難となる。
【0005】
ここで、従来のドレーンを用いた地盤改良では、通常、施工時にドレーンととともに地盤に貫入するケーシングの貫入深度や貫入速度を取得し、設計した深度や範囲にドレーンが確実に打設されているかの確認(出来形管理)が行われている。その際、ドレーンを打設する際の抵抗(例えば、油圧抵抗)の取得及び記録も行われている。しかしながら、ドレーンの打設後の地盤の地質分布の把握や管理は行われていない。また、ドレーンを打設する際の抵抗は、地質分布の管理にはほとんど活用されていなかった。
【0006】
更に、地盤改良を行う場合に限らず、地質部分布の把握が可能な新たな技術の開発が求められている。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑み、地質分布を推定する新たな技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、ドレーンを打設する際の抵抗とコーン貫入試験における貫入力に相関関係があることに着目し、上記抵抗を貫入力に変換することでドレーンの打設範囲の地質分布を推定することを見出した。貫入力に変換する抵抗は、ドレーンの打設の際の抵抗に限らず、ケーシングや矢板などの埋設物を地盤に打設する際の抵抗であればよい。そこで、本発明では、埋設物を地盤に打設する際の抵抗を取得し、この抵抗を地盤強度に変換することで所定の埋設物の打設範囲の地質分布を推定することとした。
【0009】
詳細には、本発明は、地質推定システムであって、地盤中に埋設される長状の埋設物を地盤に打設する際の抵抗を取得する抵抗取得手段と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する変換手段と、前記変換手段で変換された貫入力を処理して、前記埋設物が埋設された領域の地層分布を生成する地層分布生成手段と、前記地層分布生成手段で生成された地層分布を出力する出力手段と、を備え、前記変換手段は、前記抵抗取得手段で取得された抵抗を処理して、打設方向における前記埋設物の先端部に作用する先端抵抗力を算出する先端抵抗力算出手段と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗を処理して、前記埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力を算出する周面摩擦抵抗力算出手段と、前記先端抵抗力と前記周面摩擦抵抗力とを処理して、前記埋設物を打設する際の埋設物の貫入力を算出する貫入力算出手段と、を有する。
【0010】
コーン貫入試験によって得られる貫入力(貫入抵抗ともいう)は、従来から地盤強度の把握、粘性土の圧縮強さの把握、地層分布の推定又は把握など様々な利用が図られている。本発明では、地盤中に埋設される埋設物を地盤に打設する際の抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換することで、上記抵抗から地盤強度の把握、粘性土の圧縮強さの把握、地層分布の推定などが可能となる。
【0011】
本発明に係る地質推定システムでは、貫入力に変換する抵抗と貫入試験における貫入力とに相関関係があれば、抵抗を貫入力に変換することができる。そこで、貫入力に変換する抵抗は、コーン貫入試験によって得られる貫入力と相関関係が見られるものであればよい。埋設物を地盤に打設する際の抵抗には、ドレーンを地盤に打設する際の抵抗の他、ケーシングや矢板などを地盤に打設する際の抵抗が含まれる。
【0012】
埋設物の先端部に作用する先端抵抗力、埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力、及び埋設物を打設する際の埋設物の貫入力は、コーン貫入試験で求められる、先端抵抗力、周面摩擦抵抗力、貫入力に夫々対応している。つまり、本発明に係る地質推定システムでは、埋設物を地盤に打設する際の抵抗を処理することで、コーン貫入試験で求められる、先端抵抗力、周面摩擦抵抗力、及び貫入力に夫々対応する、埋設物の先端部に作用する先端抵抗力、埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力、及び埋設物を打設する際の埋設物の貫入力を算出することができる。算出された埋設物を打設する際の埋設物の貫入力は、従来から地層分布の推定などに利用されているコーン貫入試験で得られる貫入力に対応している。したがって、本発明の地質推定システムでは、地層分布を生成することが可能となる。
【0013】
例えば、先端抵抗力は、先端部属性情報から算出される先端部属性係数と抵抗とを処理することで算出することができる。また、周面摩擦抵抗力は、摩擦影響情報から算出される摩擦影響係数と抵抗とを処理することで算出することができる。そこで、本発明に係る地質推定システムにおいて、前記先端抵抗算出手段は、前記埋設物の先端部の形状と材質とのうち少なくとも何れか一つを含む先端部属性情報から算出される先端部属性係数と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗とを処理して前記先端抵抗力を算出し、前記周面摩擦抵抗力算出手段は、前記埋設物の表面材質、前記埋設物の周面積、前記地盤の条件のうち少なくとも何れか一つを含む摩擦影響情報から算出される摩擦影響係数と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗とを処理して前記周面摩擦抵抗力を算出し、前記貫入力算出手段は、前記埋設物を打設する打設装置の打設装置属性情報から算出される打設装置属性係数と、前記先端抵抗力と、前記周面摩擦抵抗力とを処理して前記貫入力を算出するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明に係る地質推定システムにおいて、前記抵抗取得手段は、前記埋設物としてのドレーンを地盤に打設する打設装置から、前記抵抗としての油圧抵抗を取得し、前記
変換手段は、前記抵抗取得手段で取得された油圧抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換するようにしてもよい。
【0015】
本発明によれば、従来地質分布の管理には殆ど活用されていなかった油圧抵抗を活用し、地質分布を生成することが可能となる。また、ドレーンは、事前調査として行われるボーリングと比べて打設間隔が狭いことから、より詳細な地質分布の推定が可能となる。
【0016】
また、本発明に係る地質推定システムにおいて、前記地層分布生成手段は、前記変換手段によって変換された貫入力を処理して三次元地層分布を生成するようにしてもよい。地層分布は二次元で生成してもよいが三次元分布を生成すること地質分布の把握がより明確となる。
【0017】
また、本発明は、上述した地質推定システムで実行される地質推定方法、プログラム、又はそのようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。本発明を地質推定方法として特定する場合、例えば、本発明は、地盤中に埋設される長状の埋設物を地盤に打設する際の抵抗を取得する抵抗取得ステップと、前記抵抗取得ステップで取得された抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する変換ステップと、前記変換ステップで変換された貫入力を処理して、前記埋設物が埋設された領域の地層分布を生成する地層分布生成ステップと、前記地層分布生成ステップで生成された地層分布を出力する出力ステップと、を有し、前記変換ステップでは、前記抵抗取得ステップで取得された抵抗を処理して打設方向における前記埋設物の先端部に作用する先端抵抗力を算出する先端抵抗力算出ステップと、前記抵抗取得ステップで取得された抵抗を処理して前記埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力を算出する周面摩擦抵抗力算出ステップと、前記先端抵抗力と前記周面摩擦抵抗力とを処理して前記埋設物を打設する際の埋設物の貫入力を算出する貫入力算出ステップと、が実行される地質推定方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、地質分布を推定する新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ペーパードレーン工法を説明する図を示す。
【図2】実施形態に係る地質推定システムのシステム構成を示す。
【図3】実施形態に係るケーシングの貫入機構の概要を示す。
【図4】実施形態に係る事務所端末の機能ブロック図を示す。
【図5】実施形態に係る地質推定システムで実行される地質推定処理フローを示す。
【図6】ケーシングの力の釣り合いを示す。
【図7】ケーシングの先端形状とコーンの先端形状との相違の一例を示す。
【図8】貫入力の分布図(三次元)の一例を示す。
【図9A】図8におけるA−A´断面図を示す。
【図9B】図8におけるB−B´断面図を示す。
【図9C】図8におけるC−C´断面図を示す。
【図10A】図8のA−A´断面における、地盤の強度から推定した地質分布図を示す。
【図10B】図8のB−B´断面における、地盤の強度から推定した地質分布図を示す。
【図10C】図8のC−C´断面における、地盤の強度から推定した地質分布図を示す。
【図11】変形係数確認試験を行う様子を示す。
【図12】変形係数確認試験の条件を示す。
【図13A】変形係数確認試験(中型機)の試験結果を示す。
【図13B】変形係数確認試験(大型機)の試験結果を示す。
【図14】ケーシングの押し込み力と引き抜き力の釣り合い関係を示す。
【図15】ケーシングの押し込みと引き抜き試験を実施し、先端抵抗力と周面摩擦抵抗力を個別に評価する場合の関係式を示す。
【図16】相関係数確認試験の条件を示す。
【図17A】ケーシングの押し込みと引き抜き試験の結果(CPT−01)を示す。
【図17B】ケーシングの押し込みと引き抜き試験の結果(CPT−02)を示す。
【図18】相関係数αの検討手順を示す。
【図19】相関係数αの検討結果を示す。
【図20】相関係数βの検討手順を示す。
【図21】相関係数βの検討結果を示す。
【図22】実現場における貫入抵抗の推定条件を示す。
【図23A】比較結果の例(1)を示す。
【図23B】比較結果の例(2)を示す。
【図23C】比較結果の例(3)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る地質推定システムをペーパードレーン打設機の油圧抵抗を用いた場合について説明する。但し、以下で説明する実施形態は本発明を実施するための例示であり、本発明は以下で説明する態様に限定されない。
【0021】
[実施形態]
<ペーパードレーン工法>
図1は、ペーパードレーン工法を説明する図を示す。ペーパードレーン工法は、軟弱地盤内にカードボード又はプラスチックボードをドレーン打設機によって多数打設することで、水平方向の排水距離を短縮し、地盤の圧密を促進させる工法である。具体的には、図1に示す手順で行われる。すなわち、(1)では、ドレーン打設機を地盤改良の対象箇所(ペーパードレーンの打設箇所)に設置され、ペーパードレーンがケーシング内にセットされる。次に、(2)では、ケーシングとペーパードレーンが地盤内に貫入される。本実施形態では、ドレーン打設機が有する油圧モータが作動することで、ケーシングの貫入及び後述するケーシングの引き抜きが行われる。次に、(3)では、ペーパードレーンが地盤内に残され、油圧モータが作動することで、ケーシングが引き抜かれる。次に、(4)では、ペーパードレーンが切断され、ドレーン打設機が次ぎの打設箇所へ移動される。上記(1)から(4)の工程が順次繰り返されることで、ペーパードレーンが多数打設される。
【0022】
<地質推定システムの構成>
図2は、実施形態に係る地質推定システムのシステム構成を示す。実施形態に係る地質推定システム1は、現場端末10及び事務所端末20とを有し、センサ装置3と管理装置2と電気的に接続されている。
【0023】
センサ装置3は、ドレーン打設機に接続され、油圧抵抗及びドレーン材の貫入深度(打設深度ともいう)を検出する。検出結果は、管理装置及び地質推定システム1へ出力される。より具体的には、センサ装置3は、油圧抵抗検出器、ドレーン材検出器を含む。ドレーン材検出器は、ドレーン材を収容するペーパードレーンリール(ドレーン材収納リールともいう)とケーシングの間に設けられ、ドレーン材の貫入深度や貫入速度を検出する。
油圧抵抗検出器は、ケーシングの貫入機構と接続され、ケーシングとドレーン材を貫入する際の油圧抵抗を検出する。ここで、図3は、実施形態に係るケーシングの貫入機構の概要を示す。実施形態に係る貫入機構は、駆動油圧モータ、ギア、フリクションローラ、駆動ベルトを含む。駆動油圧モータに油圧差(正圧と背圧との差)が作用することで、駆動油圧モータが回転しトルク力が発揮される。トルク力は、ギア、駆動ベルトを介してフリクションローラへ伝達される。その結果、フリクションローラの回転によって、ケーシングが押し込まれる。
【0024】
管理装置2は、記録計を有し、センサ装置から出力される油圧抵抗、貫入深度及び貫入速度を記録する。管理装置2は、地盤改良の出来形管理を目的として従来から用いられているものである。管理装置2では、オシログラフに記録されたケーシングの貫入深度や貫入速度を用いて、設計した深度や範囲にドレーン材が確実に施工されているか否かの出来形管理が実施される。なお、本実施形態は、既存のセンサ装置3及び管理装置2に地質推定システム1を適用する場合を説明している。新規に地質推定システム1を用いる場合には、管理装置2が有する上記管理を地質推定システム1で行うようにしてもよい。この場合、管理装置2が不要となり、より簡易な構成とすることができる。
【0025】
地質推定システム1は、センサ装置3から管理装置2へ出力されるデータのうち、油圧抵抗を取得し、油圧抵抗を静的コーン貫入試験における貫入力(貫入抵抗)に変換して、最終的に、貫入抵抗の分布図や地質分布図を出力する。本実施形態の地質推定システム1は、2台の汎用のコンピュータ(現場端末10及び事務所端末20)を有し、現場端末10がセンサ装置3と直接電気的に接続され、油圧抵抗を取得する。現場端末10で取得された油圧抵抗に関するデータは、可搬型記録媒体を介して事務所端末20へ入力される。そして、事務所端末20が、油圧抵抗を取得し、油圧抵抗を静的コーン貫入試験における貫入力(貫入抵抗)に変換して、最終的に、貫入抵抗の分布図や地質分布図を出力する。なお、事務所端末20で行われる処理は、現場端末10で行うようにしてもよい。また、現場端末10と事務所端末20とをネットワーク回線(有線、無線いずれでもよい)を通じて接続し、現場端末10から事務所端末20への油圧抵抗に関するデータの移行を行うようにしてもよい。
【0026】
地質推定システム1を構成する現場端末10及び事務所端末20は、いずれも汎用のコンピュータによって構成される。図4は、実施形態に係る事務所端末20の機能ブロック図を示す。事務所端末20は、CPU(中央演算処理装置)21、メモリ22、記憶装置23、表示装置24、入力装置25、インターフェース26等を備える。
【0027】
CPU21は、バスを介して記憶装置23等の各ハードウェアと接続されている。CPU21は、記憶装置23等のハードウェアを制御すると共に、メモリを構成するROM(Read Only Memory)に格納されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。記憶装置23は、ハードディスクドライブ(HDDとする。)や半導体メモリを含む。メモリ22は、揮発性のRAM(Random Access Memory)と、不揮発性のROM(Read Only Memory)を含む。ROMには、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory
)のような書き換え可能な半導体メモリを含む。表示装置24には、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、CRT(Cathode Ray Tube)、エレクトロルミネッセンスパネル等が例示される。入力装置25は、ポインティングデバイスやキーボードを含む。インターフェース26には、USB等のシリアルインターフェース、PCI(Peripheral Component Interconnect)、ISA(Industry Standard Architecture )、EISA(Extended ISA)、ATA(AT Attachment)、IDE(Integrated Drive Electronics)、I
EEE1394、SCSI(Small Computer System Interface)が例示される。
【0028】
事務所端末20は、更に、抵抗取得部212、変換部213、地層分布生成部214、出力部215の各機能部を有する。これらの各機能部は、CPU22上で実行されるコンピュータプログラムとして構成することができる。また、各機能部は、専用のプロセッサとして構成してもよい。
【0029】
抵抗取得部212は、地盤中に埋設される長状の埋設物としてのケーシング及びドレーンを地盤に打設する際の油圧抵抗を取得する。具体的には、抵抗取得部212は、センサ装置3の油圧抵抗検出部で検出された油圧抵抗を、現場端末10及び可搬型記録媒体を介して取得する。
【0030】
変換部213は、抵抗取得部で取得された油圧抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する。変換部213は、先端抵抗算出部、周面摩擦抵抗算出部、及び貫入力算出部を有している。先端抵抗算出部は、本発明の先端属性情報としてのケーシングの形状と材質から算出される先端部属性係数と、抵抗取得部212で取得された油圧抵抗とを処理して先端抵抗力を算出する。周面摩擦抵抗力算出部は、本発明の摩擦影響情報としての、ケーシングの表面材質、ケーシングの周面積、地盤の条件から算出される摩擦影響係数と、抵抗取得部212で取得された抵抗とを処理して周面摩擦抵抗力を算出する。貫入力算出部は、ケーシング及びドレーン材を打設するドレーン打設機の打設装置属性情報から算出される打設装置属性係数と、先端抵抗力と、周面摩擦抵抗力とを処理して貫入力を算出する。なお、変換部の具体的な処理については、後述する。
【0031】
地層分布生成部214は、変換部で変換された貫入力を処理して、ドレーン材が打設(埋設)された領域の地層分布を生成する。
【0032】
出力部214は、地層分布生成部214で生成された地層分布を表示装置24に表示させる。
【0033】
<地質推定処理>
次に、上述した地質推定システム1で実行される地質推定処理について説明する。図5は、実施形態に係る地質推定システムで実行される地質推定処理フローを示す。
【0034】
[油圧抵抗の取得]
ステップS01では、油圧抵抗が取得される。具体的には、抵抗取得部212が、センサ装置3の油圧抵抗検出部で検出された油圧抵抗を、現場端末10及び可搬型記録媒体を介して取得する。油圧抵抗が取得されるとステップS02へ進む。
【0035】
[貫入力への変換]
ステップS02では、油圧抵抗が貫入力へ変換される。具体的には、ケーシングの先端部に作用する先端抵抗力、ケーシングの周面に作用する周面摩擦抵抗力、及びケーシングを打設する際のケーシングの貫入力を夫々算出することで、最終的に油圧抵抗が貫入力へ変換される。この油圧抵抗の貫入力への変換は、ペーパードレーン工法においてケーシングに作用する力の釣り合いを、静的コーン貫入試験における貫入力(貫入抵抗)を用いて定式化することで実現される。換言すると、油圧抵抗とコーン貫入試験によって得られる貫入力の相関関係を前提に、ケーシングに作用する力の釣り合いを、静的コーン貫入試験における貫入力(貫入抵抗)を用いて定式化するため、各条件から算出される係数を用いて油圧抵抗に処理を加えることで、貫入力への変換が実現される。ここで、図6は、ケーシングの力の釣り合いを示す。図6に示すように、ケーシングには、ケーシングの先端部に作用する先端抵抗力とケーシングの周面に作用する周面摩擦抵抗力が作用する。そして、先端抵抗力と周面摩擦抵抗力が、ケーシングの貫入力と釣り合っており、この関係を式で示すと数1のようになる。
【0036】
【数1】
【0037】
上記ケーシングの力の釣り合いの関係は、静的コーン貫入試験におけるコーンの力の釣り合いの関係と相関している。そこで、本実施形態では、コーン貫入試験で求められる、先端抵抗力、周面摩擦抵抗力、及び貫入力に夫々対応する、ケーシングの先端部に作用する先端抵抗力、ケーシングの周面に作用する周面摩擦抵抗力、及びケーシングを打設する際のケーシングの貫入力を算出し、油圧抵抗を貫入力へ変換する。
【0038】
[先端抵抗力の算出]
先端抵抗力の算出は、先端抵抗力算出部が、数2に基づいて実行する。数2に示す式は、数3に示す式と数4に示す式によって導かれる。すなわち、ケーシングの先端抵抗力は、ケーシングの断面積とケーシングに作用する先端抵抗によって求められる。一方でケーシングに作用する先端抵抗と静的コーン試験による先端抵抗には相関関係があり、ケーシングに作用する先端抵抗は、相関係数αと静的コーン試験による先端抵抗を用いて表すことができる(数3参照)。以上より、ケーシングの先端抵抗力は、数2に示すように、先端抵抗力における相関関数、ケーシングの断面積、静的コーン試験による先端抵抗で表すことが可能となる。
【0039】
【数2】
【0040】
【数3】
【0041】
【数4】
【0042】
先端抵抗力における相関係数αは、本発明の先端部属性係数に相当し、コーン貫入試験における貫入速度とペーパードレーン工法における貫入速度の相違と、ケーシングの先端形状とコーンの先端形状との相違を考慮して算出される。図7は、ケーシングの先端形状とコーンの先端形状との相違の一例を示す。図7に示すように、ケーシングの先端形状とコーン先端形状は形状が異なる。なお、貫入速度の違いとは、例えば、コーン試験の貫入速度は0.01m/s、ペーパードレーン工法における貫入速度が0.3m/sである。
【0043】
[周面摩擦抵抗力の算出]
周面摩擦抵抗力の算出は、周面摩擦抵抗力算出部が、数5に基づいて実行する。数5は、数6から数10に示す式によって導かれる。すなわち、ケーシングの周面摩擦抵抗力は、ケーシングの周長、ケーシングに作用する周面摩擦、ケーシングの打設深度によって求められる。また、ケーシングに作用する周面摩擦と静的コーン試験による周面摩擦には相関関係があり、ケーシングに作用する周面摩擦は、相関係数βと静的コーン試験による周面摩擦とを用いて表すことができる(数7参照)。更に、ペーパードレーンが打設される地盤は、圧密促進を必要とする軟弱な粘性土であることから、そこで、軟弱な粘性土の周面摩擦係数は、0.03〜0.06と設定することができる。なお、本実施形態では、周面摩擦係数を0.05としたが(数5、数9参照)、周面摩擦係数は地盤に応じて適宜設定すればよい。また、ケーシングの周面摩擦抵抗力は、数10に示す式によって表される。以上より、ケーシングの周面摩擦抵抗力は、数5に示すように、周面摩擦係数(本実施形態では、0.05)、相関係数β、によって表すことが可能となる。なお、相関係数βは、本発明の摩擦影響係数に相当し、静的コーン貫入試験に用いるコーンの材質とペーパードレーン工法で用いるケーシングの材質の相違と、動摩擦の影響、また、ケーシング周辺地盤のリモールドの影響を考慮して算出される。
【0044】
【数5】
【0045】
【数6】
【0046】
【数7】
【0047】
【数8】
【0048】
【数9】
【0049】
【数10】
【0050】
[貫入力]
貫入力の算出は、貫入力算出部が、数11に基づいて実行する。数11は、先に説明した数1に示すケーシングの釣り合いを示す式に、数2に示すケーシングの先端抵抗力を算出する式、及び数5に示すケーシングの周辺摩擦抵抗力を算出する式を代入することで導かれる。数11に示す貫入力を算出する式は、静的コーン貫入試験の貫入抵抗で表されている。以上により、ケーシングの貫入力は、ケーシングの先端抵抗力とケーシングの周面摩擦抵抗力によって算出される。
【0051】
【数11】
【0052】
[貫入力の補正]
貫入力の算出に際しては、貫入力算出部は、更に数12に示す式に基づいて貫入力を算出する。すなわち、従来オシログラフに記録されていた油圧抵抗は、ドレーン打設機の油圧モータに作用する油圧差である(図3参照)。つまり、取得される油圧抵抗は、ケーシングの貫入力を直接測定したものではない。そこで、本実施形態では、ドレーン打設機のトルク力やギア比などの属性情報を考慮して貫入力を補正する。具体的には、ケーシングの貫入力は、数13に示すように、ケーシングの自重と駆動油圧モータによって表される。一方、駆動油圧モータによる押し込み力は、駆動油圧モータが発揮するトルク力や、ドレーン打設機のギア比などの機械的な影響によって決定される。そこで、駆動油圧モータの押し込み力と油圧抵抗は相関関係があることとし、駆動油圧モータの押し込み力をドレーン打設機のトルク力やギア比などの属性情報を考慮することで求められる変形係数μと駆動油圧抵抗で表すこととした(数14参照)。
【0053】
【数12】
【0054】
【数13】
【0055】
【数14】
【0056】
以上により、油圧抵抗が貫入力へ変換される。なお、上記処理は、打設される全てのケーシングに対して実行される。貫入力への変換が終了すると、ステップS03へ進む。
【0057】
[地層分布の生成]
ステップS03では、地層分布が生成される。具体的には、地層分布生成部214は、変換された貫入力を集計し、地層分布を生成する。静的コーン貫入試験で得られる貫入力からは、地盤強度の特定など種々の利用が既に行われている。従って、地層分布の生成に際しては、既存の技術を適宜用いることができる。地層分布は、地層の状態を特定できればよく態様は特に限定されない。地層分布には、例えば、貫入力の分布図、地盤強度から推定した地質分布図が含まれる。地層分布は、表形式、図形式の何れでもよい。図形式の場合、地層分布は、二次元、三次元の何れでもよい。地層分布の生成が完了すると、ステップS04へ進む。
【0058】
[地層分布の出力]
ステップS04では、出力部214は、表示装置24に地層分布生成部214が生成した地層分布を表示させる。ここで、図8は、貫入力の分布図(三次元)の一例を示す。図9Aは、図8におけるA−A´断面図、図9Bは、図8におけるB−B´断面図、図9Cは、図8におけるC−C´断面図を示す。図8は、図9A、図9B、図9Cにおいて、濃淡は、抵抗の大きさを示し、色が濃い領域は抵抗が大きい領域を示す。なお、図8は、図9A、図9B、図9Cは、ドレーン打設間隔を1.2m×1.2m(正方配置)、ドレーン打設深度を最大29m、ドレーン本数を7107本で行った例である。図8は、図9A
、図9B、図9Cに示すように、本実施形態では、貫入力の分布を詳細に把握することができる。
【0059】
図10Aは、図8のA−A´断面における、地盤の強度から推定した地質分布図を示す。図10Bは、図8のB−B´断面における、地盤の強度から推定した地質分布図を示す。図10Cは、図8のC−C´断面における、地盤の強度から推定した地質分布図を示す。図10A、図10B、図10Cにおいて、白い領域は砂の分布を示し、黒い領域は粘土の分布を示す。図10A、図10B、図10Cに示すように、本実施形態では、地質分布を詳細に把握することができる。
【0060】
<効果>
以上説明した、実施形態に係る地質推定システム1によれば、地盤改良において、ペーパードレーンとケーシングを打設する際の油圧抵抗を取得し、取得した油圧抵抗を静的コーン貫入試験における貫入力に変換することで、打設範囲の詳細な地質分布を推定することができる。
【0061】
<試験>
次に試験結果について説明する。以下、(1)油圧抵抗と駆動油圧モータによる押し込み力の間の比例関係を確認する試験(以下、変形係数確認試験という)、(2)数11に示したケーシングの貫入力を算出する式における相関係数(α、β)を確認する試験(以下、相関係数確認試験)について説明する。
【0062】
[変形係数確認試験]
変形係数確認試験は、敷鉄板の上にロードセルを設置し、ケーシングを押し込む際の駆動油圧抵抗を計測すると同時に、ケーシングの貫入力をロードセルにて測定することで実施した。図11は、変形係数確認試験を行う様子を示す。また、図12は、変形係数確認試験の条件を示す。この度の試験例では、中型機と大型機の夫々について試験を行った。
【0063】
図13Aは、変形係数確認試験(中型機)の試験結果を示す。また、図13Bは、変形係数確認試験(大型機)の試験結果を示す。図13A、図13Bに示すように、中型機、大型機のいずれにおいても、油圧抵抗と駆動油圧モータによる押し込み力の間には、比例関係が成り立つことが確認された。また、同型のドレーン打設機であれば、各機体による差が殆どないことが確認された。なお、この度の試験例では、中型機については、μ=0.0032、大型機については、μ=0.0050との結果が得られた。
【0064】
[相関係数確認試験]
相関係数確認試験では、先に説明した数11に示すケーシングの貫入力を算出する式における相関係数α、βの検討を行った。未知数として相関係数αとβの二つが存在することから、ケーシングの押し込みと引き抜き試験を実施し、先端抵抗力と周面摩擦抵抗力を個別に評価した。図14は、ケーシングの押し込み力と引き抜き力の釣り合い関係を示す。また、図15は、ケーシングの押し込みと引き抜き試験を実施し、先端抵抗力と周面摩擦抵抗力を個別に評価する場合の関係式を示す。そして、静的コーン貫入試験が実施された位置の周辺で、ケーシングの押し込みと引き抜き試験を行った。図16は、相関係数確認試験の条件を示す。
【0065】
次に、相関係数確認試験の試験結果について説明する。図17Aは、ケーシングの押し込みと引き抜き試験の結果(CPT−01)を示す。図17Bは、ケーシングの押し込みと引き抜き試験の結果(CPT−02)を示す。
【0066】
[相関係数α]
相関係数αの検討は、図18のように行った。図18は、相関係数αの検討手順を示す。すなわち、打設試験による先端抵抗力と静的コーン貫入試験(CPT)から求めた先端抵抗力とを比較した。図19は、相関係数αの検討結果を示す。図19に示すように、打設試験による先端抵抗力と静的コーン貫入試験から求めた先端抵抗力には相関関係が確認された。すなわち、先端抵抗力の式が妥当であることが確認された。また、この度の試験例では、α=1.0との結果が得られた。
【0067】
[相関係数β]
相関係数βの検討は、図20のように行った。図20は、相関係数βの検討手順を示す。すなわち、打設試験による周面摩擦抵抗力と静的コーン貫入試験(CPT)から求めた周面摩擦抵抗力とを比較した。図21は、相関係数βの検討結果を示す。図21に示すように、打設試験による周面摩擦抵抗力と静的コーン貫入試験から求めた周面摩擦抵抗力には相関関係が確認された。すなわち、周面摩擦抵抗力の式が妥当であることが確認された。また、この度の試験例では、β=0.06との結果が得られた。
【0068】
[実現場における貫入抵抗の推定]
実現場において、事前調査として実施されている静的コーン貫入試験による貫入抵抗と、ドレーン打設時の油圧抵抗から推定した貫入抵抗の比較を行った。図22は、実現場における貫入抵抗の推定条件を示す。また、図23Aから図23Cは、比較結果の例を示す。その結果、何れの現場においても推定した貫入抵抗は十分な精度を有していることが確認された。
【符号の説明】
【0069】
1・・・地質推定システム
2・・・管理装置
3・・・センサ装置
20・・・事務所端末
21・・・CPU
22・・・メモリ
23・・・記憶装置
24・・・表示装置
25・・・入力装置
26・・・インターフェース
212・・・抵抗取得部
213・・・変換部
214・・・地層分布生成部
215・・・出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、地質推定システム、及び地質推定方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤改良に関する技術として、地盤中に帯状や棒状のドレーンを多数打設し、このドレーンを介して地盤中の水分を排出する方法がある。ドレーンには各種のものがあるが、樹脂製で内部に多数の排水孔が長手方向に沿って延びるものが多用されている。地盤中にドレーンを多数打設することで、地盤に含まれる水が排出され、地盤の圧密が促進される(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−307552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地盤改良に関する技術として、地盤中に帯状や棒状のドレーンを多数打設し、このドレーンを介して地盤中の水分を排出する方法がある。地盤改良の対象となる軟弱層(粘性土)の層厚や分布位置が改良効果に大きな影響を与えるため、地盤改良を行うに際しては、地盤の地質分布を把握し、ドレーンを適切に配置することや圧密放置期間を設定することが重要である。施工前に実施される例えばボーリングなどの調査結果により地盤内の地質分布をある程度把握することはできる。事前の調査では、例えばボーリング数を増やすこと(ボーリング間隔を小さくすること)で、より詳細な地質分布の把握が可能となるものの、ボーリング数の増加はコストアップに繋がる。従って、従来一般的に行われる事前の調査結果からでは、地盤内の詳細な地質分布の把握は難しいとの懸念があった。また、地盤の堆積環境が複雑になればなるほど地質分布の把握は困難となる。
【0005】
ここで、従来のドレーンを用いた地盤改良では、通常、施工時にドレーンととともに地盤に貫入するケーシングの貫入深度や貫入速度を取得し、設計した深度や範囲にドレーンが確実に打設されているかの確認(出来形管理)が行われている。その際、ドレーンを打設する際の抵抗(例えば、油圧抵抗)の取得及び記録も行われている。しかしながら、ドレーンの打設後の地盤の地質分布の把握や管理は行われていない。また、ドレーンを打設する際の抵抗は、地質分布の管理にはほとんど活用されていなかった。
【0006】
更に、地盤改良を行う場合に限らず、地質部分布の把握が可能な新たな技術の開発が求められている。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑み、地質分布を推定する新たな技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、ドレーンを打設する際の抵抗とコーン貫入試験における貫入力に相関関係があることに着目し、上記抵抗を貫入力に変換することでドレーンの打設範囲の地質分布を推定することを見出した。貫入力に変換する抵抗は、ドレーンの打設の際の抵抗に限らず、ケーシングや矢板などの埋設物を地盤に打設する際の抵抗であればよい。そこで、本発明では、埋設物を地盤に打設する際の抵抗を取得し、この抵抗を地盤強度に変換することで所定の埋設物の打設範囲の地質分布を推定することとした。
【0009】
詳細には、本発明は、地質推定システムであって、地盤中に埋設される長状の埋設物を地盤に打設する際の抵抗を取得する抵抗取得手段と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する変換手段と、前記変換手段で変換された貫入力を処理して、前記埋設物が埋設された領域の地層分布を生成する地層分布生成手段と、前記地層分布生成手段で生成された地層分布を出力する出力手段と、を備え、前記変換手段は、前記抵抗取得手段で取得された抵抗を処理して、打設方向における前記埋設物の先端部に作用する先端抵抗力を算出する先端抵抗力算出手段と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗を処理して、前記埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力を算出する周面摩擦抵抗力算出手段と、前記先端抵抗力と前記周面摩擦抵抗力とを処理して、前記埋設物を打設する際の埋設物の貫入力を算出する貫入力算出手段と、を有する。
【0010】
コーン貫入試験によって得られる貫入力(貫入抵抗ともいう)は、従来から地盤強度の把握、粘性土の圧縮強さの把握、地層分布の推定又は把握など様々な利用が図られている。本発明では、地盤中に埋設される埋設物を地盤に打設する際の抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換することで、上記抵抗から地盤強度の把握、粘性土の圧縮強さの把握、地層分布の推定などが可能となる。
【0011】
本発明に係る地質推定システムでは、貫入力に変換する抵抗と貫入試験における貫入力とに相関関係があれば、抵抗を貫入力に変換することができる。そこで、貫入力に変換する抵抗は、コーン貫入試験によって得られる貫入力と相関関係が見られるものであればよい。埋設物を地盤に打設する際の抵抗には、ドレーンを地盤に打設する際の抵抗の他、ケーシングや矢板などを地盤に打設する際の抵抗が含まれる。
【0012】
埋設物の先端部に作用する先端抵抗力、埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力、及び埋設物を打設する際の埋設物の貫入力は、コーン貫入試験で求められる、先端抵抗力、周面摩擦抵抗力、貫入力に夫々対応している。つまり、本発明に係る地質推定システムでは、埋設物を地盤に打設する際の抵抗を処理することで、コーン貫入試験で求められる、先端抵抗力、周面摩擦抵抗力、及び貫入力に夫々対応する、埋設物の先端部に作用する先端抵抗力、埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力、及び埋設物を打設する際の埋設物の貫入力を算出することができる。算出された埋設物を打設する際の埋設物の貫入力は、従来から地層分布の推定などに利用されているコーン貫入試験で得られる貫入力に対応している。したがって、本発明の地質推定システムでは、地層分布を生成することが可能となる。
【0013】
例えば、先端抵抗力は、先端部属性情報から算出される先端部属性係数と抵抗とを処理することで算出することができる。また、周面摩擦抵抗力は、摩擦影響情報から算出される摩擦影響係数と抵抗とを処理することで算出することができる。そこで、本発明に係る地質推定システムにおいて、前記先端抵抗算出手段は、前記埋設物の先端部の形状と材質とのうち少なくとも何れか一つを含む先端部属性情報から算出される先端部属性係数と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗とを処理して前記先端抵抗力を算出し、前記周面摩擦抵抗力算出手段は、前記埋設物の表面材質、前記埋設物の周面積、前記地盤の条件のうち少なくとも何れか一つを含む摩擦影響情報から算出される摩擦影響係数と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗とを処理して前記周面摩擦抵抗力を算出し、前記貫入力算出手段は、前記埋設物を打設する打設装置の打設装置属性情報から算出される打設装置属性係数と、前記先端抵抗力と、前記周面摩擦抵抗力とを処理して前記貫入力を算出するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明に係る地質推定システムにおいて、前記抵抗取得手段は、前記埋設物としてのドレーンを地盤に打設する打設装置から、前記抵抗としての油圧抵抗を取得し、前記
変換手段は、前記抵抗取得手段で取得された油圧抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換するようにしてもよい。
【0015】
本発明によれば、従来地質分布の管理には殆ど活用されていなかった油圧抵抗を活用し、地質分布を生成することが可能となる。また、ドレーンは、事前調査として行われるボーリングと比べて打設間隔が狭いことから、より詳細な地質分布の推定が可能となる。
【0016】
また、本発明に係る地質推定システムにおいて、前記地層分布生成手段は、前記変換手段によって変換された貫入力を処理して三次元地層分布を生成するようにしてもよい。地層分布は二次元で生成してもよいが三次元分布を生成すること地質分布の把握がより明確となる。
【0017】
また、本発明は、上述した地質推定システムで実行される地質推定方法、プログラム、又はそのようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。本発明を地質推定方法として特定する場合、例えば、本発明は、地盤中に埋設される長状の埋設物を地盤に打設する際の抵抗を取得する抵抗取得ステップと、前記抵抗取得ステップで取得された抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する変換ステップと、前記変換ステップで変換された貫入力を処理して、前記埋設物が埋設された領域の地層分布を生成する地層分布生成ステップと、前記地層分布生成ステップで生成された地層分布を出力する出力ステップと、を有し、前記変換ステップでは、前記抵抗取得ステップで取得された抵抗を処理して打設方向における前記埋設物の先端部に作用する先端抵抗力を算出する先端抵抗力算出ステップと、前記抵抗取得ステップで取得された抵抗を処理して前記埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力を算出する周面摩擦抵抗力算出ステップと、前記先端抵抗力と前記周面摩擦抵抗力とを処理して前記埋設物を打設する際の埋設物の貫入力を算出する貫入力算出ステップと、が実行される地質推定方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、地質分布を推定する新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ペーパードレーン工法を説明する図を示す。
【図2】実施形態に係る地質推定システムのシステム構成を示す。
【図3】実施形態に係るケーシングの貫入機構の概要を示す。
【図4】実施形態に係る事務所端末の機能ブロック図を示す。
【図5】実施形態に係る地質推定システムで実行される地質推定処理フローを示す。
【図6】ケーシングの力の釣り合いを示す。
【図7】ケーシングの先端形状とコーンの先端形状との相違の一例を示す。
【図8】貫入力の分布図(三次元)の一例を示す。
【図9A】図8におけるA−A´断面図を示す。
【図9B】図8におけるB−B´断面図を示す。
【図9C】図8におけるC−C´断面図を示す。
【図10A】図8のA−A´断面における、地盤の強度から推定した地質分布図を示す。
【図10B】図8のB−B´断面における、地盤の強度から推定した地質分布図を示す。
【図10C】図8のC−C´断面における、地盤の強度から推定した地質分布図を示す。
【図11】変形係数確認試験を行う様子を示す。
【図12】変形係数確認試験の条件を示す。
【図13A】変形係数確認試験(中型機)の試験結果を示す。
【図13B】変形係数確認試験(大型機)の試験結果を示す。
【図14】ケーシングの押し込み力と引き抜き力の釣り合い関係を示す。
【図15】ケーシングの押し込みと引き抜き試験を実施し、先端抵抗力と周面摩擦抵抗力を個別に評価する場合の関係式を示す。
【図16】相関係数確認試験の条件を示す。
【図17A】ケーシングの押し込みと引き抜き試験の結果(CPT−01)を示す。
【図17B】ケーシングの押し込みと引き抜き試験の結果(CPT−02)を示す。
【図18】相関係数αの検討手順を示す。
【図19】相関係数αの検討結果を示す。
【図20】相関係数βの検討手順を示す。
【図21】相関係数βの検討結果を示す。
【図22】実現場における貫入抵抗の推定条件を示す。
【図23A】比較結果の例(1)を示す。
【図23B】比較結果の例(2)を示す。
【図23C】比較結果の例(3)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る地質推定システムをペーパードレーン打設機の油圧抵抗を用いた場合について説明する。但し、以下で説明する実施形態は本発明を実施するための例示であり、本発明は以下で説明する態様に限定されない。
【0021】
[実施形態]
<ペーパードレーン工法>
図1は、ペーパードレーン工法を説明する図を示す。ペーパードレーン工法は、軟弱地盤内にカードボード又はプラスチックボードをドレーン打設機によって多数打設することで、水平方向の排水距離を短縮し、地盤の圧密を促進させる工法である。具体的には、図1に示す手順で行われる。すなわち、(1)では、ドレーン打設機を地盤改良の対象箇所(ペーパードレーンの打設箇所)に設置され、ペーパードレーンがケーシング内にセットされる。次に、(2)では、ケーシングとペーパードレーンが地盤内に貫入される。本実施形態では、ドレーン打設機が有する油圧モータが作動することで、ケーシングの貫入及び後述するケーシングの引き抜きが行われる。次に、(3)では、ペーパードレーンが地盤内に残され、油圧モータが作動することで、ケーシングが引き抜かれる。次に、(4)では、ペーパードレーンが切断され、ドレーン打設機が次ぎの打設箇所へ移動される。上記(1)から(4)の工程が順次繰り返されることで、ペーパードレーンが多数打設される。
【0022】
<地質推定システムの構成>
図2は、実施形態に係る地質推定システムのシステム構成を示す。実施形態に係る地質推定システム1は、現場端末10及び事務所端末20とを有し、センサ装置3と管理装置2と電気的に接続されている。
【0023】
センサ装置3は、ドレーン打設機に接続され、油圧抵抗及びドレーン材の貫入深度(打設深度ともいう)を検出する。検出結果は、管理装置及び地質推定システム1へ出力される。より具体的には、センサ装置3は、油圧抵抗検出器、ドレーン材検出器を含む。ドレーン材検出器は、ドレーン材を収容するペーパードレーンリール(ドレーン材収納リールともいう)とケーシングの間に設けられ、ドレーン材の貫入深度や貫入速度を検出する。
油圧抵抗検出器は、ケーシングの貫入機構と接続され、ケーシングとドレーン材を貫入する際の油圧抵抗を検出する。ここで、図3は、実施形態に係るケーシングの貫入機構の概要を示す。実施形態に係る貫入機構は、駆動油圧モータ、ギア、フリクションローラ、駆動ベルトを含む。駆動油圧モータに油圧差(正圧と背圧との差)が作用することで、駆動油圧モータが回転しトルク力が発揮される。トルク力は、ギア、駆動ベルトを介してフリクションローラへ伝達される。その結果、フリクションローラの回転によって、ケーシングが押し込まれる。
【0024】
管理装置2は、記録計を有し、センサ装置から出力される油圧抵抗、貫入深度及び貫入速度を記録する。管理装置2は、地盤改良の出来形管理を目的として従来から用いられているものである。管理装置2では、オシログラフに記録されたケーシングの貫入深度や貫入速度を用いて、設計した深度や範囲にドレーン材が確実に施工されているか否かの出来形管理が実施される。なお、本実施形態は、既存のセンサ装置3及び管理装置2に地質推定システム1を適用する場合を説明している。新規に地質推定システム1を用いる場合には、管理装置2が有する上記管理を地質推定システム1で行うようにしてもよい。この場合、管理装置2が不要となり、より簡易な構成とすることができる。
【0025】
地質推定システム1は、センサ装置3から管理装置2へ出力されるデータのうち、油圧抵抗を取得し、油圧抵抗を静的コーン貫入試験における貫入力(貫入抵抗)に変換して、最終的に、貫入抵抗の分布図や地質分布図を出力する。本実施形態の地質推定システム1は、2台の汎用のコンピュータ(現場端末10及び事務所端末20)を有し、現場端末10がセンサ装置3と直接電気的に接続され、油圧抵抗を取得する。現場端末10で取得された油圧抵抗に関するデータは、可搬型記録媒体を介して事務所端末20へ入力される。そして、事務所端末20が、油圧抵抗を取得し、油圧抵抗を静的コーン貫入試験における貫入力(貫入抵抗)に変換して、最終的に、貫入抵抗の分布図や地質分布図を出力する。なお、事務所端末20で行われる処理は、現場端末10で行うようにしてもよい。また、現場端末10と事務所端末20とをネットワーク回線(有線、無線いずれでもよい)を通じて接続し、現場端末10から事務所端末20への油圧抵抗に関するデータの移行を行うようにしてもよい。
【0026】
地質推定システム1を構成する現場端末10及び事務所端末20は、いずれも汎用のコンピュータによって構成される。図4は、実施形態に係る事務所端末20の機能ブロック図を示す。事務所端末20は、CPU(中央演算処理装置)21、メモリ22、記憶装置23、表示装置24、入力装置25、インターフェース26等を備える。
【0027】
CPU21は、バスを介して記憶装置23等の各ハードウェアと接続されている。CPU21は、記憶装置23等のハードウェアを制御すると共に、メモリを構成するROM(Read Only Memory)に格納されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。記憶装置23は、ハードディスクドライブ(HDDとする。)や半導体メモリを含む。メモリ22は、揮発性のRAM(Random Access Memory)と、不揮発性のROM(Read Only Memory)を含む。ROMには、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory
)のような書き換え可能な半導体メモリを含む。表示装置24には、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、CRT(Cathode Ray Tube)、エレクトロルミネッセンスパネル等が例示される。入力装置25は、ポインティングデバイスやキーボードを含む。インターフェース26には、USB等のシリアルインターフェース、PCI(Peripheral Component Interconnect)、ISA(Industry Standard Architecture )、EISA(Extended ISA)、ATA(AT Attachment)、IDE(Integrated Drive Electronics)、I
EEE1394、SCSI(Small Computer System Interface)が例示される。
【0028】
事務所端末20は、更に、抵抗取得部212、変換部213、地層分布生成部214、出力部215の各機能部を有する。これらの各機能部は、CPU22上で実行されるコンピュータプログラムとして構成することができる。また、各機能部は、専用のプロセッサとして構成してもよい。
【0029】
抵抗取得部212は、地盤中に埋設される長状の埋設物としてのケーシング及びドレーンを地盤に打設する際の油圧抵抗を取得する。具体的には、抵抗取得部212は、センサ装置3の油圧抵抗検出部で検出された油圧抵抗を、現場端末10及び可搬型記録媒体を介して取得する。
【0030】
変換部213は、抵抗取得部で取得された油圧抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する。変換部213は、先端抵抗算出部、周面摩擦抵抗算出部、及び貫入力算出部を有している。先端抵抗算出部は、本発明の先端属性情報としてのケーシングの形状と材質から算出される先端部属性係数と、抵抗取得部212で取得された油圧抵抗とを処理して先端抵抗力を算出する。周面摩擦抵抗力算出部は、本発明の摩擦影響情報としての、ケーシングの表面材質、ケーシングの周面積、地盤の条件から算出される摩擦影響係数と、抵抗取得部212で取得された抵抗とを処理して周面摩擦抵抗力を算出する。貫入力算出部は、ケーシング及びドレーン材を打設するドレーン打設機の打設装置属性情報から算出される打設装置属性係数と、先端抵抗力と、周面摩擦抵抗力とを処理して貫入力を算出する。なお、変換部の具体的な処理については、後述する。
【0031】
地層分布生成部214は、変換部で変換された貫入力を処理して、ドレーン材が打設(埋設)された領域の地層分布を生成する。
【0032】
出力部214は、地層分布生成部214で生成された地層分布を表示装置24に表示させる。
【0033】
<地質推定処理>
次に、上述した地質推定システム1で実行される地質推定処理について説明する。図5は、実施形態に係る地質推定システムで実行される地質推定処理フローを示す。
【0034】
[油圧抵抗の取得]
ステップS01では、油圧抵抗が取得される。具体的には、抵抗取得部212が、センサ装置3の油圧抵抗検出部で検出された油圧抵抗を、現場端末10及び可搬型記録媒体を介して取得する。油圧抵抗が取得されるとステップS02へ進む。
【0035】
[貫入力への変換]
ステップS02では、油圧抵抗が貫入力へ変換される。具体的には、ケーシングの先端部に作用する先端抵抗力、ケーシングの周面に作用する周面摩擦抵抗力、及びケーシングを打設する際のケーシングの貫入力を夫々算出することで、最終的に油圧抵抗が貫入力へ変換される。この油圧抵抗の貫入力への変換は、ペーパードレーン工法においてケーシングに作用する力の釣り合いを、静的コーン貫入試験における貫入力(貫入抵抗)を用いて定式化することで実現される。換言すると、油圧抵抗とコーン貫入試験によって得られる貫入力の相関関係を前提に、ケーシングに作用する力の釣り合いを、静的コーン貫入試験における貫入力(貫入抵抗)を用いて定式化するため、各条件から算出される係数を用いて油圧抵抗に処理を加えることで、貫入力への変換が実現される。ここで、図6は、ケーシングの力の釣り合いを示す。図6に示すように、ケーシングには、ケーシングの先端部に作用する先端抵抗力とケーシングの周面に作用する周面摩擦抵抗力が作用する。そして、先端抵抗力と周面摩擦抵抗力が、ケーシングの貫入力と釣り合っており、この関係を式で示すと数1のようになる。
【0036】
【数1】
【0037】
上記ケーシングの力の釣り合いの関係は、静的コーン貫入試験におけるコーンの力の釣り合いの関係と相関している。そこで、本実施形態では、コーン貫入試験で求められる、先端抵抗力、周面摩擦抵抗力、及び貫入力に夫々対応する、ケーシングの先端部に作用する先端抵抗力、ケーシングの周面に作用する周面摩擦抵抗力、及びケーシングを打設する際のケーシングの貫入力を算出し、油圧抵抗を貫入力へ変換する。
【0038】
[先端抵抗力の算出]
先端抵抗力の算出は、先端抵抗力算出部が、数2に基づいて実行する。数2に示す式は、数3に示す式と数4に示す式によって導かれる。すなわち、ケーシングの先端抵抗力は、ケーシングの断面積とケーシングに作用する先端抵抗によって求められる。一方でケーシングに作用する先端抵抗と静的コーン試験による先端抵抗には相関関係があり、ケーシングに作用する先端抵抗は、相関係数αと静的コーン試験による先端抵抗を用いて表すことができる(数3参照)。以上より、ケーシングの先端抵抗力は、数2に示すように、先端抵抗力における相関関数、ケーシングの断面積、静的コーン試験による先端抵抗で表すことが可能となる。
【0039】
【数2】
【0040】
【数3】
【0041】
【数4】
【0042】
先端抵抗力における相関係数αは、本発明の先端部属性係数に相当し、コーン貫入試験における貫入速度とペーパードレーン工法における貫入速度の相違と、ケーシングの先端形状とコーンの先端形状との相違を考慮して算出される。図7は、ケーシングの先端形状とコーンの先端形状との相違の一例を示す。図7に示すように、ケーシングの先端形状とコーン先端形状は形状が異なる。なお、貫入速度の違いとは、例えば、コーン試験の貫入速度は0.01m/s、ペーパードレーン工法における貫入速度が0.3m/sである。
【0043】
[周面摩擦抵抗力の算出]
周面摩擦抵抗力の算出は、周面摩擦抵抗力算出部が、数5に基づいて実行する。数5は、数6から数10に示す式によって導かれる。すなわち、ケーシングの周面摩擦抵抗力は、ケーシングの周長、ケーシングに作用する周面摩擦、ケーシングの打設深度によって求められる。また、ケーシングに作用する周面摩擦と静的コーン試験による周面摩擦には相関関係があり、ケーシングに作用する周面摩擦は、相関係数βと静的コーン試験による周面摩擦とを用いて表すことができる(数7参照)。更に、ペーパードレーンが打設される地盤は、圧密促進を必要とする軟弱な粘性土であることから、そこで、軟弱な粘性土の周面摩擦係数は、0.03〜0.06と設定することができる。なお、本実施形態では、周面摩擦係数を0.05としたが(数5、数9参照)、周面摩擦係数は地盤に応じて適宜設定すればよい。また、ケーシングの周面摩擦抵抗力は、数10に示す式によって表される。以上より、ケーシングの周面摩擦抵抗力は、数5に示すように、周面摩擦係数(本実施形態では、0.05)、相関係数β、によって表すことが可能となる。なお、相関係数βは、本発明の摩擦影響係数に相当し、静的コーン貫入試験に用いるコーンの材質とペーパードレーン工法で用いるケーシングの材質の相違と、動摩擦の影響、また、ケーシング周辺地盤のリモールドの影響を考慮して算出される。
【0044】
【数5】
【0045】
【数6】
【0046】
【数7】
【0047】
【数8】
【0048】
【数9】
【0049】
【数10】
【0050】
[貫入力]
貫入力の算出は、貫入力算出部が、数11に基づいて実行する。数11は、先に説明した数1に示すケーシングの釣り合いを示す式に、数2に示すケーシングの先端抵抗力を算出する式、及び数5に示すケーシングの周辺摩擦抵抗力を算出する式を代入することで導かれる。数11に示す貫入力を算出する式は、静的コーン貫入試験の貫入抵抗で表されている。以上により、ケーシングの貫入力は、ケーシングの先端抵抗力とケーシングの周面摩擦抵抗力によって算出される。
【0051】
【数11】
【0052】
[貫入力の補正]
貫入力の算出に際しては、貫入力算出部は、更に数12に示す式に基づいて貫入力を算出する。すなわち、従来オシログラフに記録されていた油圧抵抗は、ドレーン打設機の油圧モータに作用する油圧差である(図3参照)。つまり、取得される油圧抵抗は、ケーシングの貫入力を直接測定したものではない。そこで、本実施形態では、ドレーン打設機のトルク力やギア比などの属性情報を考慮して貫入力を補正する。具体的には、ケーシングの貫入力は、数13に示すように、ケーシングの自重と駆動油圧モータによって表される。一方、駆動油圧モータによる押し込み力は、駆動油圧モータが発揮するトルク力や、ドレーン打設機のギア比などの機械的な影響によって決定される。そこで、駆動油圧モータの押し込み力と油圧抵抗は相関関係があることとし、駆動油圧モータの押し込み力をドレーン打設機のトルク力やギア比などの属性情報を考慮することで求められる変形係数μと駆動油圧抵抗で表すこととした(数14参照)。
【0053】
【数12】
【0054】
【数13】
【0055】
【数14】
【0056】
以上により、油圧抵抗が貫入力へ変換される。なお、上記処理は、打設される全てのケーシングに対して実行される。貫入力への変換が終了すると、ステップS03へ進む。
【0057】
[地層分布の生成]
ステップS03では、地層分布が生成される。具体的には、地層分布生成部214は、変換された貫入力を集計し、地層分布を生成する。静的コーン貫入試験で得られる貫入力からは、地盤強度の特定など種々の利用が既に行われている。従って、地層分布の生成に際しては、既存の技術を適宜用いることができる。地層分布は、地層の状態を特定できればよく態様は特に限定されない。地層分布には、例えば、貫入力の分布図、地盤強度から推定した地質分布図が含まれる。地層分布は、表形式、図形式の何れでもよい。図形式の場合、地層分布は、二次元、三次元の何れでもよい。地層分布の生成が完了すると、ステップS04へ進む。
【0058】
[地層分布の出力]
ステップS04では、出力部214は、表示装置24に地層分布生成部214が生成した地層分布を表示させる。ここで、図8は、貫入力の分布図(三次元)の一例を示す。図9Aは、図8におけるA−A´断面図、図9Bは、図8におけるB−B´断面図、図9Cは、図8におけるC−C´断面図を示す。図8は、図9A、図9B、図9Cにおいて、濃淡は、抵抗の大きさを示し、色が濃い領域は抵抗が大きい領域を示す。なお、図8は、図9A、図9B、図9Cは、ドレーン打設間隔を1.2m×1.2m(正方配置)、ドレーン打設深度を最大29m、ドレーン本数を7107本で行った例である。図8は、図9A
、図9B、図9Cに示すように、本実施形態では、貫入力の分布を詳細に把握することができる。
【0059】
図10Aは、図8のA−A´断面における、地盤の強度から推定した地質分布図を示す。図10Bは、図8のB−B´断面における、地盤の強度から推定した地質分布図を示す。図10Cは、図8のC−C´断面における、地盤の強度から推定した地質分布図を示す。図10A、図10B、図10Cにおいて、白い領域は砂の分布を示し、黒い領域は粘土の分布を示す。図10A、図10B、図10Cに示すように、本実施形態では、地質分布を詳細に把握することができる。
【0060】
<効果>
以上説明した、実施形態に係る地質推定システム1によれば、地盤改良において、ペーパードレーンとケーシングを打設する際の油圧抵抗を取得し、取得した油圧抵抗を静的コーン貫入試験における貫入力に変換することで、打設範囲の詳細な地質分布を推定することができる。
【0061】
<試験>
次に試験結果について説明する。以下、(1)油圧抵抗と駆動油圧モータによる押し込み力の間の比例関係を確認する試験(以下、変形係数確認試験という)、(2)数11に示したケーシングの貫入力を算出する式における相関係数(α、β)を確認する試験(以下、相関係数確認試験)について説明する。
【0062】
[変形係数確認試験]
変形係数確認試験は、敷鉄板の上にロードセルを設置し、ケーシングを押し込む際の駆動油圧抵抗を計測すると同時に、ケーシングの貫入力をロードセルにて測定することで実施した。図11は、変形係数確認試験を行う様子を示す。また、図12は、変形係数確認試験の条件を示す。この度の試験例では、中型機と大型機の夫々について試験を行った。
【0063】
図13Aは、変形係数確認試験(中型機)の試験結果を示す。また、図13Bは、変形係数確認試験(大型機)の試験結果を示す。図13A、図13Bに示すように、中型機、大型機のいずれにおいても、油圧抵抗と駆動油圧モータによる押し込み力の間には、比例関係が成り立つことが確認された。また、同型のドレーン打設機であれば、各機体による差が殆どないことが確認された。なお、この度の試験例では、中型機については、μ=0.0032、大型機については、μ=0.0050との結果が得られた。
【0064】
[相関係数確認試験]
相関係数確認試験では、先に説明した数11に示すケーシングの貫入力を算出する式における相関係数α、βの検討を行った。未知数として相関係数αとβの二つが存在することから、ケーシングの押し込みと引き抜き試験を実施し、先端抵抗力と周面摩擦抵抗力を個別に評価した。図14は、ケーシングの押し込み力と引き抜き力の釣り合い関係を示す。また、図15は、ケーシングの押し込みと引き抜き試験を実施し、先端抵抗力と周面摩擦抵抗力を個別に評価する場合の関係式を示す。そして、静的コーン貫入試験が実施された位置の周辺で、ケーシングの押し込みと引き抜き試験を行った。図16は、相関係数確認試験の条件を示す。
【0065】
次に、相関係数確認試験の試験結果について説明する。図17Aは、ケーシングの押し込みと引き抜き試験の結果(CPT−01)を示す。図17Bは、ケーシングの押し込みと引き抜き試験の結果(CPT−02)を示す。
【0066】
[相関係数α]
相関係数αの検討は、図18のように行った。図18は、相関係数αの検討手順を示す。すなわち、打設試験による先端抵抗力と静的コーン貫入試験(CPT)から求めた先端抵抗力とを比較した。図19は、相関係数αの検討結果を示す。図19に示すように、打設試験による先端抵抗力と静的コーン貫入試験から求めた先端抵抗力には相関関係が確認された。すなわち、先端抵抗力の式が妥当であることが確認された。また、この度の試験例では、α=1.0との結果が得られた。
【0067】
[相関係数β]
相関係数βの検討は、図20のように行った。図20は、相関係数βの検討手順を示す。すなわち、打設試験による周面摩擦抵抗力と静的コーン貫入試験(CPT)から求めた周面摩擦抵抗力とを比較した。図21は、相関係数βの検討結果を示す。図21に示すように、打設試験による周面摩擦抵抗力と静的コーン貫入試験から求めた周面摩擦抵抗力には相関関係が確認された。すなわち、周面摩擦抵抗力の式が妥当であることが確認された。また、この度の試験例では、β=0.06との結果が得られた。
【0068】
[実現場における貫入抵抗の推定]
実現場において、事前調査として実施されている静的コーン貫入試験による貫入抵抗と、ドレーン打設時の油圧抵抗から推定した貫入抵抗の比較を行った。図22は、実現場における貫入抵抗の推定条件を示す。また、図23Aから図23Cは、比較結果の例を示す。その結果、何れの現場においても推定した貫入抵抗は十分な精度を有していることが確認された。
【符号の説明】
【0069】
1・・・地質推定システム
2・・・管理装置
3・・・センサ装置
20・・・事務所端末
21・・・CPU
22・・・メモリ
23・・・記憶装置
24・・・表示装置
25・・・入力装置
26・・・インターフェース
212・・・抵抗取得部
213・・・変換部
214・・・地層分布生成部
215・・・出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤中に埋設される長状の埋設物を地盤に打設する際の抵抗を取得する抵抗取得手段と、
前記抵抗取得手段で取得された抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する変換手段と、
前記変換手段で変換された貫入力を処理して、前記埋設物が埋設された領域の地層分布を生成する地層分布生成手段と、
前記地層分布生成手段で生成された地層分布を出力する出力手段と、を備え、
前記変換手段は、
前記抵抗取得手段で取得された抵抗を処理して、打設方向における前記埋設物の先端部に作用する先端抵抗力を算出する先端抵抗力算出手段と、
前記抵抗取得手段で取得された抵抗を処理して、前記埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力を算出する周面摩擦抵抗力算出手段と、
前記先端抵抗力と前記周面摩擦抵抗力とを処理して、前記埋設物を打設する際の埋設物の貫入力を算出する貫入力算出手段と、を有する
地質推定システム。
【請求項2】
前記先端抵抗算出手段は、前記埋設物の先端部の形状と材質とのうち少なくとも何れか一つを含む先端部属性情報から算出される先端部属性係数と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗とを処理して前記先端抵抗力を算出し、
前記周面摩擦抵抗力算出手段は、前記埋設物の表面材質、前記埋設物の周面積、前記地盤の条件のうち少なくとも何れか一つを含む摩擦影響情報から算出される摩擦影響係数と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗とを処理して前記周面摩擦抵抗力を算出し、
前記貫入力算出手段は、前記埋設物を打設する打設装置の打設装置属性情報から算出される打設装置属性係数と、前記先端抵抗力と、前記周面摩擦抵抗力とを処理して前記貫入力を算出する、請求項1に記載の地質推定システム。
【請求項3】
前記抵抗取得手段は、前記埋設物としてのドレーンを地盤に打設する打設装置から、前記抵抗としての油圧抵抗を取得し、
前記変換手段は、前記抵抗取得手段で取得された油圧抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する、請求項1又は2に記載の地質推定システム。
【請求項4】
前記地層分布生成手段は、前記変換手段によって変換された貫入力を処理して三次元地層分布を生成する、請求項1から3の何れか1項に記載の地質推定システム。
【請求項5】
地盤中に埋設される長状の埋設物を地盤に打設する際の抵抗を取得する抵抗取得ステップと、
前記抵抗取得ステップで取得された抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する変換ステップと、
前記変換ステップで変換された貫入力を処理して、前記埋設物が埋設された領域の地層分布を生成する地層分布生成ステップと、
前記地層分布生成ステップで生成された地層分布を出力する出力ステップと、を有し、
前記変換ステップでは、
前記抵抗取得ステップで取得された抵抗を処理して打設方向における前記埋設物の先端部に作用する先端抵抗力を算出する先端抵抗力算出ステップと、
前記抵抗取得ステップで取得された抵抗を処理して前記埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力を算出する周面摩擦抵抗力算出ステップと、
前記先端抵抗力と前記周面摩擦抵抗力とを処理して前記埋設物を打設する際の埋設物の貫入力を算出する貫入力算出ステップと、が実行される地質推定方法。
【請求項1】
地盤中に埋設される長状の埋設物を地盤に打設する際の抵抗を取得する抵抗取得手段と、
前記抵抗取得手段で取得された抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する変換手段と、
前記変換手段で変換された貫入力を処理して、前記埋設物が埋設された領域の地層分布を生成する地層分布生成手段と、
前記地層分布生成手段で生成された地層分布を出力する出力手段と、を備え、
前記変換手段は、
前記抵抗取得手段で取得された抵抗を処理して、打設方向における前記埋設物の先端部に作用する先端抵抗力を算出する先端抵抗力算出手段と、
前記抵抗取得手段で取得された抵抗を処理して、前記埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力を算出する周面摩擦抵抗力算出手段と、
前記先端抵抗力と前記周面摩擦抵抗力とを処理して、前記埋設物を打設する際の埋設物の貫入力を算出する貫入力算出手段と、を有する
地質推定システム。
【請求項2】
前記先端抵抗算出手段は、前記埋設物の先端部の形状と材質とのうち少なくとも何れか一つを含む先端部属性情報から算出される先端部属性係数と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗とを処理して前記先端抵抗力を算出し、
前記周面摩擦抵抗力算出手段は、前記埋設物の表面材質、前記埋設物の周面積、前記地盤の条件のうち少なくとも何れか一つを含む摩擦影響情報から算出される摩擦影響係数と、前記抵抗取得手段で取得された抵抗とを処理して前記周面摩擦抵抗力を算出し、
前記貫入力算出手段は、前記埋設物を打設する打設装置の打設装置属性情報から算出される打設装置属性係数と、前記先端抵抗力と、前記周面摩擦抵抗力とを処理して前記貫入力を算出する、請求項1に記載の地質推定システム。
【請求項3】
前記抵抗取得手段は、前記埋設物としてのドレーンを地盤に打設する打設装置から、前記抵抗としての油圧抵抗を取得し、
前記変換手段は、前記抵抗取得手段で取得された油圧抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する、請求項1又は2に記載の地質推定システム。
【請求項4】
前記地層分布生成手段は、前記変換手段によって変換された貫入力を処理して三次元地層分布を生成する、請求項1から3の何れか1項に記載の地質推定システム。
【請求項5】
地盤中に埋設される長状の埋設物を地盤に打設する際の抵抗を取得する抵抗取得ステップと、
前記抵抗取得ステップで取得された抵抗をコーン貫入試験における貫入力に変換する変換ステップと、
前記変換ステップで変換された貫入力を処理して、前記埋設物が埋設された領域の地層分布を生成する地層分布生成ステップと、
前記地層分布生成ステップで生成された地層分布を出力する出力ステップと、を有し、
前記変換ステップでは、
前記抵抗取得ステップで取得された抵抗を処理して打設方向における前記埋設物の先端部に作用する先端抵抗力を算出する先端抵抗力算出ステップと、
前記抵抗取得ステップで取得された抵抗を処理して前記埋設物の周面に作用する周面摩擦抵抗力を算出する周面摩擦抵抗力算出ステップと、
前記先端抵抗力と前記周面摩擦抵抗力とを処理して前記埋設物を打設する際の埋設物の貫入力を算出する貫入力算出ステップと、が実行される地質推定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【公開番号】特開2012−97480(P2012−97480A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246858(P2010−246858)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【出願人】(591159675)錦城護謨株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【出願人】(591159675)錦城護謨株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
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