地震対応医用診断装置
【課題】地震発生時に地震の揺れ情報を基に自己診断システムが働くことでいち早く故障個所の確認を行い故障個所に応じてその後の医用診断装置の使用状況が決定されるとともに、診断結果がサービスセンタに報告されることで、故障個所の重要度に応じて修理態勢を決定できダウンタイムを可能な限り短くすることのできる地震対応医用診断装置を提供する。
【解決手段】地震による揺れを検出する地震検出手段1mと、地震検出手段1mが検出した揺れ情報に基づいて医用診断装置1の故障箇所の有無を確認する自己診断システム2とを備える。
【解決手段】地震による揺れを検出する地震検出手段1mと、地震検出手段1mが検出した揺れ情報に基づいて医用診断装置1の故障箇所の有無を確認する自己診断システム2とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震が発生した際の揺れを検出してこの地震による故障個所の有無を診断する自己診断システムを搭載した地震対応医用診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、X線診断装置やCT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)装置をはじめ、超音波診断装置、磁気共鳴診断装置、ガンマカメラやPET(positron-emission tomography:ポジトロン放出断層撮影)、及び診断用ワークステーション等、医用診断装置の発展が目覚ましい。これらの医用診断装置はいずれも精密機械であり、複雑で振動に弱い部品が多数含まれている。また、特に撮影中にこれらの医用診断装置に故障が発生すると、被験者または操作者が被る被爆等の被害は大きく、人体に与える影響が大である。
【0003】
そのため、従来地震災害が発生した場合には、医療の安全性確保のため、原則としてその震度の大小に拘わらずサービスエンジニアが医用診断装置を直接点検してその安全性を確認した後でなければ使用することはできないとする運用が採用されることが多かった。
【0004】
但し、地震災害が発生すると交通網に障害が発生することも多く、医用診断装置点検のためにサービスエンジニアが設置されている医療機関に出向くことが難しくなる。そのため医用診断装置の使用できない時間(ダウンタイム)は長くなる傾向にある。一方で、医療機関とすれば、地震災害による怪我人の診断等に用いるため、できるだけ早期に医用診断装置を使用できるようにして欲しいとの要望がある。
【0005】
地震防災における電気等のライフラインの確保等を目的として、以下に挙げる特許文献1においては、緊急地震速報を受信し、予備処置および強制処置の機能を具備することを特徴とする緊急地震速報利用による防災システムおよび装置に関する発明が開示されている。この発明によれば、従来感震器のみで処置を決定していた場合に比較して、予備処置情報とのANDで処置を決定するので誤制御がなくなるとともに、感震器の精度を今までより高めることができるので、より安全な処置が可能になるとされる。
【0006】
また、特許文献2では、装置自体が所定の状況の下に自発的に自己診断又は自己調整を行い、操作者はこれらの実行時期を考える必要がなく、また、これらの結果を装置のある所まで行かなくても知ることができる画像形成装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−184190号公報
【特許文献2】特開平5−35013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1においては、その効果がどちらかといえば地震発生直前の被害回避処理に限定され、地震発生後の機器の復帰方法については考慮されていない。また、上記特許文献2においては、画像形成装置における自己診断又は自己調整は、装置本体の使用状況をきっかけとして行われるものであり、例えば、地震等の外的要因に基づいて自己診断又は自己調整が行われるわけではない。
【0008】
特に医用診断装置の場合には、故障の発生が被験者や操作者に与える影響は大きく、安全性の確保が何よりも優先される。一方で災害発生時にこそ怪我人等に対して医用診断装置を使用したい、との要求が出され、安全性の確保を図った上で早期の使用開始が求められる。上記特許文献1及び2は、この点については全く言及されていない。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、地震発生時に地震の揺れ情報を基に自己診断システムが働くことでいち早く故障個所の確認を行い故障個所に応じてその後の医用診断装置の使用状況が決定されるとともに、診断結果がサービスセンタに報告されることで、故障個所の重要度に応じて修理態勢を決定できダウンタイムを可能な限り短くすることのできる地震対応医用診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、据え置き型医用診断装置において、地震による揺れを検出する地震検出手段と、地震検出手段が検出した揺れ情報に基づいて医用診断装置の故障箇所の有無を確認する自己診断システムとを備える。
【0011】
また、本発明の実施の形態における第2の特徴は、移動型医用診断装置において、地震の直前予報を受信する地震予報受信手段と、地震による実際の揺れを検出する地震検出手段と、地震予報受信手段が受信した直前予報と地震検出手段が検出した揺れ情報とに基づいて医用診断装置の故障箇所の有無を確認する自己診断システムとを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、地震発生時に地震の揺れ情報を基に自己診断システムが働くことでいち早く故障個所の確認を行い故障個所に応じてその後の医用診断装置の使用状況が決定されるとともに、診断結果がサービスセンタに報告されることで、故障個所の重要度に応じて修理態勢を決定できダウンタイムを可能な限り短くすることのできる地震対応医用診断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態における医用診断装置1の内部構成を示すブロック図である。ここで、医用診断装置1は、上述したように、例えば、X線診断装置やCT装置、超音波診断装置、磁気共鳴診断装置、ガンマカメラやPET及び診断用ワークステーション等が該当する。
【0015】
また、医療機関に据え置き型の医用診断装置だけではなく、移動可能な医用診断装置も含まれる。但し、移動型医用診断装置は、移動の際に医用診断装置自体が揺れることから、医用診断装置内に組み込まれた地震検出手段のみの揺れ情報のみでは正確な情報を得ることができない。従って、移動型医用診断装置については、以下に述べるように、地震の直前予報を受信する地震予報受信手段を地震検出手段内に設けている。
【0016】
医用診断装置1は、CPU(Central Processing Unit)1aと、ROM(Read Only Memory)1bと、RAM(Random Access Memory)1c及び入出力インターフェイス1dがバス1eを介して接続されている。入出力インターフェイス1dには、入力手段1fと、表示手段1gと、通信制御手段1hと、記憶手段1iと、測定データ格納手段1jと、駆動部制御手段1kとが接続されており、駆動部制御手段1kによって医用診断装置1の各駆動部が制御される。
【0017】
また、本発明の実施の形態における医用診断装置1においては、自己診断プログラム或いはデータ退避のためにバックアップ処理をされたデータを保存しておくデータ格納手段1lと、地震に関する情報を入手する地震検出手段1mとが設けられている。
【0018】
CPU1aは、入力手段1fからの入力信号に基づいてROM1bから医用診断装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶手段1iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU1aは、入力手段1fや入出力インターフェイス1dを介して、図1おいて図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。さらにCPU1aは、RAM1cや記憶手段1i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM1cにロードするとともに、RAM1cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、データの計算または加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0019】
入力手段1fは、医用診断装置1の操作者が各種の操作を入力するキーボード、ダイヤル等の入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成しバス1eを介してCPU1aに送信される。また、医用診断装置1には、キーボード等だけでなく専用の操作パネルが設けられており、その操作パネル上の入力デバイスを介して操作画面に対する操作を行うこともできる。表示手段1gは、例えば液晶ディスプレイであり、例えばCPU1aからバス1eを介して出力信号を受信し、自己診断システム2による故障個所の有無確認の結果やCPU1aの処理結果等を表示する手段である。
【0020】
通信制御手段1hは、LANカードやモデム等の手段であり、医用診断装置1をインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続することを可能とする手段である。通信制御手段1hを介して、例えば、財団法人気象業務支援センターから送信される緊急地震速報や通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
【0021】
記憶手段1iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU1aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。
【0022】
測定データ格納手段1jは、自己診断システム2が稼働した際に、医用診断装置1内の駆動部や各種装置に設けられている測定手段から故障が発生したか否かを判断するに必要な測定データを収集する。
【0023】
データ格納手段1lは、自己診断プログラムを格納しておく記憶手段である。地震が発生した場合であっても格納されている自己診断プログラムに影響が及ばないようにするため、別途設けられている記憶手段1iよりも、例えば振動に強いストレージが使用されている。また、このデータ格納手段1lには、バックアップ処理によって保存されるデータも格納できるようにされている。
【0024】
地震検出手段1mは、図2に示すように、受信手段1maと、地震計1mbと、振動情報収集手段1mcと、送信手段1mdとから構成される。
【0025】
本発明の実施の形態における移動型医用診断装置1においては、地震予報受信手段が設けられる。これは、移動型医用診断装置1では、被検体のいる場所まで医用診断装置1を移動させて検査を行うため、次に述べる地震計1mbだけから地震の揺れの大きさを検出することとすると、その揺れが、地震による揺れなのか、医用診断装置1を移動させているときの振動なのかを区別することが困難となる。そこで、特に移動型医用診断装置1では、地震計1mbの他に、直前予報を受信することとして、地震計1mbが示す揺れが地震による揺れか移動による揺れかを判断するための情報とする。
【0026】
本発明の実施の形態においては、受信手段1maが緊急地震速報等、地震の直前予報を受信する地震予報受信手段としての役割を果たす。もちろん、地震予報受信手段を独立して地震検出手段1m内に設けても良い。受信手段1mは、受信した地震の直前予報を振動情報収集手段1mcに送る。
【0027】
地震計1mbは、据え置き型、或いは移動型、いずれの医用診断装置1においても設けられており、医用診断装置1が揺れたときにその揺れを検知する。この検知された揺れの大きさ(以下、「揺れ情報」という。)は、地震計1mbから振動情報収集手段1mcに送られる。
【0028】
振動情報収集手段1mcでは、揺れ情報と移動型の医用診断装置の場合は直前予報とを収集して、自己診断システム2に送信する。これらの地震による揺れが基となって医用診断装置1における自己診断が行われる。
【0029】
なお、本発明の実施の形態における医用診断装置1では、自己診断プログラムがデータ格納手段1lに格納されており、CPU1aに読み込まれ実行されることにより、自己診断システム2が医用診断装置1に実装されることになる。
【0030】
図3は、自己診断システム2が医用診断装置1に実装された場合の構成を示すブロック図である。自己診断システム2は、受信手段2aと、判断手段2bと、診断結果判断手段2cと、送信手段2dとから構成される。
【0031】
受信手段2aは、自己診断システム2を稼働させるきっかけとなる地震検出手段1m内の振動情報収集手段1mcからの揺れ情報等を受信して、自己診断を行うに際しての様々な判断を行う判断手段2bに送信する。診断結果判断手段2cは、自己診断終了後の医用診断装置1における故障個所の有無等を基に、医用診断装置1の動作停止も含め、今後この医用診断装置1をどのように動かすかを判断する。送信手段2dは、判断手段2b、或いは診断結果判断手段2cからの指示を医用診断装置1内の各部に入出力インターフェイス1d、バス1eを介して送信する。
【0032】
次に、自己診断システム2の診断手順を図4に示すフローチャート、図5ないし図10に示す画面例等を用いて説明する。
【0033】
まず、地震検出手段1m内の受信手段1maが緊急地震速報を受信する(ST1)。この受信された情報は、振動情報収集手段1mcを経て自己診断システム2の判断手段2bに送信される。判断手段2bは、まず、図5の画面例に示すように、医用診断装置1を一旦停止させる旨の表示を表示手段1gを介して操作者に報知する。なお、報知の方法としては図5に示すように視覚に訴えるものであっても、例えば、ブザーを鳴らして聴覚に訴える等、どのような態様であっても良い。また、図5以下、診断手順を説明する上で示す画面例は、あくまでも例示であって、表示の内容やレイアウト等は任意に設定することができる。
【0034】
そして、判断手段2bは例えば、被験者の撮影中である場合には、放射線の曝射を止める、或いは、直ちに患者を天板から降ろす等の退避処理を行うべく、駆動部制御手段1kに指示を出す(ST2)。同時に、地震計1mbは、医用診断装置1の震度を検出する(ST3)。
【0035】
なお、この流れは、移動型医用診断装置1における流れであるが、据え置き型の医用診断装置1においては、まず、地震計1mbによって震度の検出が行われ、その後、その震度の報告が判断手段2bに送られる。判断手段2bでは、上述した退避処理を行って被験者及び操作者の安全の確保を図る。
【0036】
次に、判断手段2bは、揺れが収束したか否かを判断する(ST4)。揺れが続いている状態では自己診断システム2を用いて自己診断を行うことはできないからである。地震計1mbは例えば、揺れが続いている間断続的に揺れ情報等を判断手段2bに送信しているが、判断手段2bでは、この揺れ情報等を受信しなくなってから任意に定めることのできる所定の時間が経過した後に、揺れが収束したものと判断する。
【0037】
判断手段2bは、揺れが収束したと判断した後、今回の地震による最大震度が予め決められている基準値よりも大きかったか否かを判断する(ST5)。本発明の実施の形態においてはこの判断の基準値を特に明確にしていないが、この基準値は、医用診断装置1が使用される医療機関が存在する地方の地震の発生状況に合わせて設定することができる。また、1つの基準値を用いて判断するだけではなく、複数の基準値を設けて細かく自己診断システム2の運用を図るようにしてもよい。
【0038】
基準値より揺れが小さかった場合は(ST5のNo)、判断手段2bは、地震が発生して医用診断装置1が揺れたことをサービスセンタに報告する(ST6)。サービスセンタは通常医用診断装置1が使用される医療機関から遠隔の地にあることが多いので、通信制御手段1h及び通信ネットワークを介して報告がなされる。サービスセンタでは、他の医用診断装置からの報告も合わせて受けて故障個所等を把握し、サービスエンジニアがどのように修理等に回ればよいかを判断する際の材料とする。
【0039】
また、判断手段2bは、表示手段1gを介して自己診断の結果を医用診断装置の操作者に報知する(ST7)。通知を受けた操作者は、その医用診断装置1の今後の運用に関して検討を加えることができる。
【0040】
判断手段2bによって基準値以上の揺れであったと判断された場合は(ST5のYes)、自己診断システム2による自己診断を開始して良いか、例えば、図6に示すような画面例を操作者に示して確認をする(ST8)。これは、自己診断には、所定の時間が掛かり、医用診断装置1で検査中の場合にはその検査を中断しなくてはならなくなるため、検査の妨げにならぬよう操作者に確認を求めるものである。本発明の実施の形態においては、医用診断装置1を再起動した時に自己診断システム2が働くように設定されていることから、図6に示す画面例にも示すように、「再起動時に自己診断プログラムを実行す」る旨の表示がされる。判断手段2bは、操作者によって医用診断装置1の再起動が選択されたかを判断する(ST9)。図6に示す画面例において「継続(後で再起動)」と表示されるボタンは、現在その医用診断装置1を使用してなされている検査をそのまま継続する場合に押されるものである。このボタンが押された場合には、そのまま検査が続行され(ST10)、検査が終了すると(ST11)、退避処理(ST12)が行われて自己診断システム2が働く(ST13)。
【0041】
自己診断システム2が働くと、医用診断装置1の各駆動部に設けられたセンサを通じて、測定データ格納手段1jに測定結果が集められる。測定データ格納手段1jに集められた各駆動部についての測定結果は、自己診断システム2内の診断結果判断手段2cに送られて、医用診断装置1に故障個所があるか否かが判断される(ST14)。その結果故障個所がなく、異常が発見されなかった場合は(ST14のNo)、その旨がサービスセンタに報告されるとともに(ST6)、診断結果が操作者にも報告される(ST7)。この場合、例えば、操作者には図7に示すような画面例が表示される。
【0042】
一方、異常が発見された場合(ST14のYes)、まず診断結果判断手段2cによって発見された故障個所から縮退動作が可能であるか否かが判断される(ST15)。この縮退動作とは、医用診断装置1の持つ機能の中で故障した個所の機能を使用できなくする(制限する)動作をいう。医用診断装置1は他の汎用機器の場合とは異なり、地震災害が生じ怪我人が発生した場合にこそその使用できる状態とされていなければならず、医用診断装置1内の一部に軽微な故障個所が発生したからといって医用診断装置1の全ての機能を止めることは実際的ではない。そこで、発見された故障個所に応じて縮退動作が可能か否かを判断して医用診断装置1の動作を全て停止するか、故障個所の機能のみを停止するかを決定する。
【0043】
この判断に当たっては、例えば、図8に示す表を基にする。この表は、医用診断装置1の各構成部品とその構成部品の重要度ランクを一覧にして示したものである。この重要度ランク表は診断結果判断手段2c内に記憶されていても、或いは、自己診断プログラム同様、データ格納手段1l内に記憶されていても良い。
【0044】
図8に示す重要度ランク表は、例えば、X線CT装置に関するものであり、左側に構成部品が、右側にその構成部品がX線CT装置の中でどのような重要度を持っているかを示すランクが示されている。この重要度ランク表においては、重要度が高い方からA、B、Cとランク付けがされている。例えば、地震災害発生時においてX線CT装置に最も求められるのは撮影できることである。従って、X線CT装置において最も重要な撮影部分である「X線発生部」、「X線検出部」や「回転機構部」はランクAとされる。一方、撮影データの保存を行うデータ記録部等は、たとえ故障したとしても撮影することはできるため、その重要度は低くランクCとされる。
【0045】
従って、自己診断システム2による自己診断の結果、ランクAが付される構成部品に故障が発生した場合にはそのX線CT装置を使用することはできない。一方で、ランクCの構成部品が故障しただけであればその部分に対して縮退動作を行って検査を続行させることも可能である。そこで、診断結果判断手段2cは、この重要度ランク表に基づいて故障個所のランクを見極めて縮退動作が可能であるか否かを判断する(ST15)。
【0046】
判断の結果、ランクAの構成部品が故障している場合には(ST15のNo)、医用診断装置1全体の動作を停止させる措置を採る(ST16)。そしてサービスセンタに報告されるとともに(ST6)、操作者に対しても表示手段1gを介して報告される。図9は、操作者に示される診断結果の画面例である。ここでは、サービスエンジニアによる点検完了まで医用診断装置1を使用することができない旨表示される。なお、この図9に示す画面例では、「※診断結果をサービスセンタに連絡して下さい。」との表示が出されているが、これは、医用診断装置1の通信制御手段1hが故障した場合、或いは、地震災害によりネットワークが破壊されたため医用診断装置1からサービスセンタに報告することができない場合に操作者からサービスセンタへの連絡を促すために表示されるものである。
【0047】
一方、診断結果判断手段2cによって故障個所は縮退動作が可能な箇所であると判断された場合は(ST15のYes)、縮退動作モードに設定する(ST17)。その場合には、ここまで行われた検査の記録や患者情報等のデータをバックアップ処理によって保存する(ST18)。データのバックアップ先としては、医用診断装置1が接続されているネットワーク上に同じく接続されているサーバ等が考えられる。このサーバは各医用診断装置から送られてくる被験者の撮影データ等の検査記録等を保存するものであり、一般的に堅牢に構成されている。
【0048】
そこで、診断結果判断手段2cは、まずサーバにデータをバックアップすることができるか否かを判断する(ST19)。地震災害によってもネットワークが寸断されず、医用診断装置1からサーバにデータを送ることができるのであれば、バックアップのためにデータをサーバに送り記録する(ST20)。これは、自己診断システム2による診断の結果、記憶手段1iが故障した場合に、特に有効である。一方、ネットワークが寸断され、サーバへのデータの送信ができない状況であり、しかも記憶手段1i等、医用診断装置1においてデータを保存する部分が故障していないならば、診断結果判断手段2cは、データをサーバに送らず(ST19のNo)、データ格納手段1l、或いは記憶手段1iに記録する(ST21)。このようにしてデータをバックアップするとともに、サービスセンタ及び操作者にその旨報告される(ST6、ST7)。
【0049】
図10は、縮退動作を行った際に表示手段1gに表示される画面例を示した模式図である。この画面例に示されるように、操作者に対して一部故障個所が発見された旨、縮退動作が行われたこと及びサービスセンタに報告されたことが報告される。縮退動作を行ったことに関しては、図10の画面例に示すように、例えば「利用制限」という項目を設けて、「CD−Rへのデータ保存ができません。」、「動画の保存ができません。」等、行われた縮退動作の一覧が表示される。
【0050】
このように地震発生時に地震の揺れ情報を基に医用診断装置1が備える自己診断システム2が働くことでいち早く故障個所の確認を行い故障個所に応じてその後の医用診断装置1の使用状況が決定されるとともに、診断結果がサービスセンタに報告されることで、故障個所の重要度に応じて修理態勢を決定できダウンタイムを可能な限り短くすることのできる地震対応医用診断装置を提供することができる。
【0051】
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0052】
第2の実施の形態では、医用診断装置1及び医用診断装置1が備える自己診断システム2が余震に対応して自己診断を行う点に特徴を有する。
【0053】
図11は、本発明の第2の実施の形態における医用診断装置11の内部構成を示すブロック図である。第1の実施の形態における医用診断装置1と異なるのは、発生地震記録手段11nが設けられていることである。
【0054】
地震が発生すると、その本震よりも小さな余震が発生することも多い。この余震は一般的に、本震直後に多く時間とともに次第に少なくなるとされるが、余震のたびに自己診断システム2が働き医用診断装置11の稼働を中止させると、地震災害後の怪我人に対する検査が必要なときに医用診断装置11を使用することができず、検査を妨げることになる。
【0055】
そこで、本発明の第2の実施の形態においては、発生地震記録手段11nを設けてこれまで発生した地震を記録しておき、発生した揺れが余震によるものであるか否かを判断し、余震である場合にはその度に自己診断システム2を働かせて医用診断装置11を止めることのないようにした。
【0056】
図12に示すフローチャートは、本発明の第2の実施の形態における自己診断の流れを示すものである。まず、地震による揺れが生じた場合には、地震検出手段1mにおいて震度が検出される(ST31)。そして、この揺れを発生地震記録手段11nに記録するとともに、この揺れが前回の地震から所定の時間内に生じたものであるか否かが自己診断システム2の判断手段2bにおいて判断される(ST32)。
【0057】
上述したように、一般的に余震は本震が発生した直後から発生するものであるため、予め定められた所定時間内に揺れた場合には余震と判断することが可能である。このとき発生した揺れが所定時間内に起きたものではなかった場合には、新たな本震と判断することができるため、その際には第1の実施の形態における自己診断の流れ(図4のフローチャートを参照)のAの部分から自己診断が始まる。
【0058】
次に、判断手段2bによって地震検出手段1mにおいて検出された揺れが、発生地震記録手段11nに記録されている所定時間内であってこの揺れ以前に発生した地震の中で最も大きな地震よりも大きな揺れであるか否かが判断される(ST33)。
【0059】
この「発生地震記録手段11nに記録されている所定時間内であってこの揺れ以前に発生した地震の中で最も大きな地震」は、いわゆる本震のことである。本震と地震検出手段1mにおいて検出された揺れの震度とを比較することで余震であるか否かが判断できる。ここで検出された揺れが本震より大きいと判断された場合は(ST33のYes)、もはや余震とは考えられないことから、第1の実施の形態における自己診断の流れ(図4のフローチャートを参照)のAの部分から改めて自己診断を始める。
【0060】
さらに、余震と判断された場合であっても(ST33のNo)、その余震が予め定めてある基準震度よりも大きな揺れであったか否かが判断される(ST34)。これは余震と判断されてもその余震が予想以上に大きかった場合には、故障個所の有無を発見するために医用診断装置11を再起動させて自己診断システム2を働かせた方がより医療の安全性を確保することができると考えられる。従って、余震であると判断されても基準値以上の揺れであった場合には、第1の実施の形態における自己診断の流れ(図4のフローチャートを参照)のAの部分から自己診断を改めて行う(ST34のYes)。
【0061】
余震であってしかもその余震が基準値以下の揺れであった場合には(ST34のNo)、自己診断を開始するか否かについて操作者に確認を求める(ST8)。また、自己診断を開始するための医用診断装置11の再起動が行われたか否かが判断される(ST9)。ここで、再起動が選択されない場合は(ST9のNo)、操作者が医用診断装置11の自己診断を行わずに検査を続行することを意味するが、医療の安全性を考慮すると余震が続く中で全く自己診断を行わないとの判断も採りにくい。一方で、自己診断には時間がかかるためその時間は検査ができないことから余震のたびに自己診断システム2を起動させることも難しい。
【0062】
そこで、余震の場合には、余震が発生するたびに自己診断を行うのではなく、次回医用診断装置11を起動した直後に自己診断を行うようにすれば検査の時間を確保しつつ自己診断を行うことができる。本発明の第2の実施の形態においては、次回起動時に自己診断を開始するように自己診断システム2の起動を設定することができるようにされている(ST35)。
【0063】
このように自己診断システム2を設定することで(ST36)、そのまま検査を続行することができ(ST37)、余震のたびに自己診断を行うことによる検査の中段を避けることができる。この設定についてはサービスセンタに報告されるとともに(ST6)、操作者にも報告される(ST7)。なお、次回起動時に自己診断を開始する選択がなされなかった場合には(ST35のNo)、医療の安全性を確保するため、強制的に自己診断を開始させる(ST13)。以後の自己診断の流れは、上述した第1の実施の形態において説明した流れに従って行われる。
【0064】
このように、余震に対応して適宜次回起動時に自己診断を開始することができるように構成することで、検査の中段を避けつつ医療の安全性にも配慮した地震対応医用診断装置を提供することができる。また、同時に地震発生時に地震の揺れ情報を基に医用診断装置1が備える自己診断システム2が働くことでいち早く故障個所の確認を行い故障個所に応じてその後の医用診断装置1の使用状況が決定されるとともに、診断結果がサービスセンタに報告されることで、故障個所の重要度に応じて修理態勢を決定できダウンタイムを可能な限り短くすることのできる地震対応医用診断装置を提供することができる。
【0065】
この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、自己診断の一環として、自己診断システム2による自己診断が行われるのに並行して、医用診断装置1の各駆動部を動かし異常音の発生がないか等を操作者に問いかけて、機械的な不具合の有無を判断するようにしても良い。
【0066】
また、上述した本発明の実施の形態においては、自己診断システム2が行う診断プログラムは1つであったが、例えば、震度によって診断項目に変化を持たせた「簡易自己診断」と「詳細自己診断」といった複数の診断プログラムが選択されて実施されるようにしても良い。
【0067】
上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態における医用診断装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における地震検出手段の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における自己診断システムの内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における自己診断システムにおいて行われる自己診断処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】自己診断の流れにおいて操作者に対して表示手段を介して示される画面例である。
【図6】自己診断の流れにおいて操作者に対して表示手段を介して示される画面例である。
【図7】自己診断の流れにおいて操作者に対して表示手段を介して示される画面例である。
【図8】医用診断装置の各構成部品とその構成部品の重要度ランクを一覧にして示した表の一例である。
【図9】自己診断の流れにおいて操作者に対して表示手段を介して示される画面例である。
【図10】自己診断の流れにおいて操作者に対して表示手段を介して示される画面例である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における医用診断装置の内部構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における自己診断システムにおいて行われる自己診断処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 医用診断装置
2 自己診断システム
2a 受信手段
2b 判断手段
2c 診断結果判断手段
2d 送信手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震が発生した際の揺れを検出してこの地震による故障個所の有無を診断する自己診断システムを搭載した地震対応医用診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、X線診断装置やCT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)装置をはじめ、超音波診断装置、磁気共鳴診断装置、ガンマカメラやPET(positron-emission tomography:ポジトロン放出断層撮影)、及び診断用ワークステーション等、医用診断装置の発展が目覚ましい。これらの医用診断装置はいずれも精密機械であり、複雑で振動に弱い部品が多数含まれている。また、特に撮影中にこれらの医用診断装置に故障が発生すると、被験者または操作者が被る被爆等の被害は大きく、人体に与える影響が大である。
【0003】
そのため、従来地震災害が発生した場合には、医療の安全性確保のため、原則としてその震度の大小に拘わらずサービスエンジニアが医用診断装置を直接点検してその安全性を確認した後でなければ使用することはできないとする運用が採用されることが多かった。
【0004】
但し、地震災害が発生すると交通網に障害が発生することも多く、医用診断装置点検のためにサービスエンジニアが設置されている医療機関に出向くことが難しくなる。そのため医用診断装置の使用できない時間(ダウンタイム)は長くなる傾向にある。一方で、医療機関とすれば、地震災害による怪我人の診断等に用いるため、できるだけ早期に医用診断装置を使用できるようにして欲しいとの要望がある。
【0005】
地震防災における電気等のライフラインの確保等を目的として、以下に挙げる特許文献1においては、緊急地震速報を受信し、予備処置および強制処置の機能を具備することを特徴とする緊急地震速報利用による防災システムおよび装置に関する発明が開示されている。この発明によれば、従来感震器のみで処置を決定していた場合に比較して、予備処置情報とのANDで処置を決定するので誤制御がなくなるとともに、感震器の精度を今までより高めることができるので、より安全な処置が可能になるとされる。
【0006】
また、特許文献2では、装置自体が所定の状況の下に自発的に自己診断又は自己調整を行い、操作者はこれらの実行時期を考える必要がなく、また、これらの結果を装置のある所まで行かなくても知ることができる画像形成装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−184190号公報
【特許文献2】特開平5−35013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1においては、その効果がどちらかといえば地震発生直前の被害回避処理に限定され、地震発生後の機器の復帰方法については考慮されていない。また、上記特許文献2においては、画像形成装置における自己診断又は自己調整は、装置本体の使用状況をきっかけとして行われるものであり、例えば、地震等の外的要因に基づいて自己診断又は自己調整が行われるわけではない。
【0008】
特に医用診断装置の場合には、故障の発生が被験者や操作者に与える影響は大きく、安全性の確保が何よりも優先される。一方で災害発生時にこそ怪我人等に対して医用診断装置を使用したい、との要求が出され、安全性の確保を図った上で早期の使用開始が求められる。上記特許文献1及び2は、この点については全く言及されていない。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、地震発生時に地震の揺れ情報を基に自己診断システムが働くことでいち早く故障個所の確認を行い故障個所に応じてその後の医用診断装置の使用状況が決定されるとともに、診断結果がサービスセンタに報告されることで、故障個所の重要度に応じて修理態勢を決定できダウンタイムを可能な限り短くすることのできる地震対応医用診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、据え置き型医用診断装置において、地震による揺れを検出する地震検出手段と、地震検出手段が検出した揺れ情報に基づいて医用診断装置の故障箇所の有無を確認する自己診断システムとを備える。
【0011】
また、本発明の実施の形態における第2の特徴は、移動型医用診断装置において、地震の直前予報を受信する地震予報受信手段と、地震による実際の揺れを検出する地震検出手段と、地震予報受信手段が受信した直前予報と地震検出手段が検出した揺れ情報とに基づいて医用診断装置の故障箇所の有無を確認する自己診断システムとを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、地震発生時に地震の揺れ情報を基に自己診断システムが働くことでいち早く故障個所の確認を行い故障個所に応じてその後の医用診断装置の使用状況が決定されるとともに、診断結果がサービスセンタに報告されることで、故障個所の重要度に応じて修理態勢を決定できダウンタイムを可能な限り短くすることのできる地震対応医用診断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態における医用診断装置1の内部構成を示すブロック図である。ここで、医用診断装置1は、上述したように、例えば、X線診断装置やCT装置、超音波診断装置、磁気共鳴診断装置、ガンマカメラやPET及び診断用ワークステーション等が該当する。
【0015】
また、医療機関に据え置き型の医用診断装置だけではなく、移動可能な医用診断装置も含まれる。但し、移動型医用診断装置は、移動の際に医用診断装置自体が揺れることから、医用診断装置内に組み込まれた地震検出手段のみの揺れ情報のみでは正確な情報を得ることができない。従って、移動型医用診断装置については、以下に述べるように、地震の直前予報を受信する地震予報受信手段を地震検出手段内に設けている。
【0016】
医用診断装置1は、CPU(Central Processing Unit)1aと、ROM(Read Only Memory)1bと、RAM(Random Access Memory)1c及び入出力インターフェイス1dがバス1eを介して接続されている。入出力インターフェイス1dには、入力手段1fと、表示手段1gと、通信制御手段1hと、記憶手段1iと、測定データ格納手段1jと、駆動部制御手段1kとが接続されており、駆動部制御手段1kによって医用診断装置1の各駆動部が制御される。
【0017】
また、本発明の実施の形態における医用診断装置1においては、自己診断プログラム或いはデータ退避のためにバックアップ処理をされたデータを保存しておくデータ格納手段1lと、地震に関する情報を入手する地震検出手段1mとが設けられている。
【0018】
CPU1aは、入力手段1fからの入力信号に基づいてROM1bから医用診断装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶手段1iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU1aは、入力手段1fや入出力インターフェイス1dを介して、図1おいて図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。さらにCPU1aは、RAM1cや記憶手段1i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM1cにロードするとともに、RAM1cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、データの計算または加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0019】
入力手段1fは、医用診断装置1の操作者が各種の操作を入力するキーボード、ダイヤル等の入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成しバス1eを介してCPU1aに送信される。また、医用診断装置1には、キーボード等だけでなく専用の操作パネルが設けられており、その操作パネル上の入力デバイスを介して操作画面に対する操作を行うこともできる。表示手段1gは、例えば液晶ディスプレイであり、例えばCPU1aからバス1eを介して出力信号を受信し、自己診断システム2による故障個所の有無確認の結果やCPU1aの処理結果等を表示する手段である。
【0020】
通信制御手段1hは、LANカードやモデム等の手段であり、医用診断装置1をインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続することを可能とする手段である。通信制御手段1hを介して、例えば、財団法人気象業務支援センターから送信される緊急地震速報や通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
【0021】
記憶手段1iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU1aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。
【0022】
測定データ格納手段1jは、自己診断システム2が稼働した際に、医用診断装置1内の駆動部や各種装置に設けられている測定手段から故障が発生したか否かを判断するに必要な測定データを収集する。
【0023】
データ格納手段1lは、自己診断プログラムを格納しておく記憶手段である。地震が発生した場合であっても格納されている自己診断プログラムに影響が及ばないようにするため、別途設けられている記憶手段1iよりも、例えば振動に強いストレージが使用されている。また、このデータ格納手段1lには、バックアップ処理によって保存されるデータも格納できるようにされている。
【0024】
地震検出手段1mは、図2に示すように、受信手段1maと、地震計1mbと、振動情報収集手段1mcと、送信手段1mdとから構成される。
【0025】
本発明の実施の形態における移動型医用診断装置1においては、地震予報受信手段が設けられる。これは、移動型医用診断装置1では、被検体のいる場所まで医用診断装置1を移動させて検査を行うため、次に述べる地震計1mbだけから地震の揺れの大きさを検出することとすると、その揺れが、地震による揺れなのか、医用診断装置1を移動させているときの振動なのかを区別することが困難となる。そこで、特に移動型医用診断装置1では、地震計1mbの他に、直前予報を受信することとして、地震計1mbが示す揺れが地震による揺れか移動による揺れかを判断するための情報とする。
【0026】
本発明の実施の形態においては、受信手段1maが緊急地震速報等、地震の直前予報を受信する地震予報受信手段としての役割を果たす。もちろん、地震予報受信手段を独立して地震検出手段1m内に設けても良い。受信手段1mは、受信した地震の直前予報を振動情報収集手段1mcに送る。
【0027】
地震計1mbは、据え置き型、或いは移動型、いずれの医用診断装置1においても設けられており、医用診断装置1が揺れたときにその揺れを検知する。この検知された揺れの大きさ(以下、「揺れ情報」という。)は、地震計1mbから振動情報収集手段1mcに送られる。
【0028】
振動情報収集手段1mcでは、揺れ情報と移動型の医用診断装置の場合は直前予報とを収集して、自己診断システム2に送信する。これらの地震による揺れが基となって医用診断装置1における自己診断が行われる。
【0029】
なお、本発明の実施の形態における医用診断装置1では、自己診断プログラムがデータ格納手段1lに格納されており、CPU1aに読み込まれ実行されることにより、自己診断システム2が医用診断装置1に実装されることになる。
【0030】
図3は、自己診断システム2が医用診断装置1に実装された場合の構成を示すブロック図である。自己診断システム2は、受信手段2aと、判断手段2bと、診断結果判断手段2cと、送信手段2dとから構成される。
【0031】
受信手段2aは、自己診断システム2を稼働させるきっかけとなる地震検出手段1m内の振動情報収集手段1mcからの揺れ情報等を受信して、自己診断を行うに際しての様々な判断を行う判断手段2bに送信する。診断結果判断手段2cは、自己診断終了後の医用診断装置1における故障個所の有無等を基に、医用診断装置1の動作停止も含め、今後この医用診断装置1をどのように動かすかを判断する。送信手段2dは、判断手段2b、或いは診断結果判断手段2cからの指示を医用診断装置1内の各部に入出力インターフェイス1d、バス1eを介して送信する。
【0032】
次に、自己診断システム2の診断手順を図4に示すフローチャート、図5ないし図10に示す画面例等を用いて説明する。
【0033】
まず、地震検出手段1m内の受信手段1maが緊急地震速報を受信する(ST1)。この受信された情報は、振動情報収集手段1mcを経て自己診断システム2の判断手段2bに送信される。判断手段2bは、まず、図5の画面例に示すように、医用診断装置1を一旦停止させる旨の表示を表示手段1gを介して操作者に報知する。なお、報知の方法としては図5に示すように視覚に訴えるものであっても、例えば、ブザーを鳴らして聴覚に訴える等、どのような態様であっても良い。また、図5以下、診断手順を説明する上で示す画面例は、あくまでも例示であって、表示の内容やレイアウト等は任意に設定することができる。
【0034】
そして、判断手段2bは例えば、被験者の撮影中である場合には、放射線の曝射を止める、或いは、直ちに患者を天板から降ろす等の退避処理を行うべく、駆動部制御手段1kに指示を出す(ST2)。同時に、地震計1mbは、医用診断装置1の震度を検出する(ST3)。
【0035】
なお、この流れは、移動型医用診断装置1における流れであるが、据え置き型の医用診断装置1においては、まず、地震計1mbによって震度の検出が行われ、その後、その震度の報告が判断手段2bに送られる。判断手段2bでは、上述した退避処理を行って被験者及び操作者の安全の確保を図る。
【0036】
次に、判断手段2bは、揺れが収束したか否かを判断する(ST4)。揺れが続いている状態では自己診断システム2を用いて自己診断を行うことはできないからである。地震計1mbは例えば、揺れが続いている間断続的に揺れ情報等を判断手段2bに送信しているが、判断手段2bでは、この揺れ情報等を受信しなくなってから任意に定めることのできる所定の時間が経過した後に、揺れが収束したものと判断する。
【0037】
判断手段2bは、揺れが収束したと判断した後、今回の地震による最大震度が予め決められている基準値よりも大きかったか否かを判断する(ST5)。本発明の実施の形態においてはこの判断の基準値を特に明確にしていないが、この基準値は、医用診断装置1が使用される医療機関が存在する地方の地震の発生状況に合わせて設定することができる。また、1つの基準値を用いて判断するだけではなく、複数の基準値を設けて細かく自己診断システム2の運用を図るようにしてもよい。
【0038】
基準値より揺れが小さかった場合は(ST5のNo)、判断手段2bは、地震が発生して医用診断装置1が揺れたことをサービスセンタに報告する(ST6)。サービスセンタは通常医用診断装置1が使用される医療機関から遠隔の地にあることが多いので、通信制御手段1h及び通信ネットワークを介して報告がなされる。サービスセンタでは、他の医用診断装置からの報告も合わせて受けて故障個所等を把握し、サービスエンジニアがどのように修理等に回ればよいかを判断する際の材料とする。
【0039】
また、判断手段2bは、表示手段1gを介して自己診断の結果を医用診断装置の操作者に報知する(ST7)。通知を受けた操作者は、その医用診断装置1の今後の運用に関して検討を加えることができる。
【0040】
判断手段2bによって基準値以上の揺れであったと判断された場合は(ST5のYes)、自己診断システム2による自己診断を開始して良いか、例えば、図6に示すような画面例を操作者に示して確認をする(ST8)。これは、自己診断には、所定の時間が掛かり、医用診断装置1で検査中の場合にはその検査を中断しなくてはならなくなるため、検査の妨げにならぬよう操作者に確認を求めるものである。本発明の実施の形態においては、医用診断装置1を再起動した時に自己診断システム2が働くように設定されていることから、図6に示す画面例にも示すように、「再起動時に自己診断プログラムを実行す」る旨の表示がされる。判断手段2bは、操作者によって医用診断装置1の再起動が選択されたかを判断する(ST9)。図6に示す画面例において「継続(後で再起動)」と表示されるボタンは、現在その医用診断装置1を使用してなされている検査をそのまま継続する場合に押されるものである。このボタンが押された場合には、そのまま検査が続行され(ST10)、検査が終了すると(ST11)、退避処理(ST12)が行われて自己診断システム2が働く(ST13)。
【0041】
自己診断システム2が働くと、医用診断装置1の各駆動部に設けられたセンサを通じて、測定データ格納手段1jに測定結果が集められる。測定データ格納手段1jに集められた各駆動部についての測定結果は、自己診断システム2内の診断結果判断手段2cに送られて、医用診断装置1に故障個所があるか否かが判断される(ST14)。その結果故障個所がなく、異常が発見されなかった場合は(ST14のNo)、その旨がサービスセンタに報告されるとともに(ST6)、診断結果が操作者にも報告される(ST7)。この場合、例えば、操作者には図7に示すような画面例が表示される。
【0042】
一方、異常が発見された場合(ST14のYes)、まず診断結果判断手段2cによって発見された故障個所から縮退動作が可能であるか否かが判断される(ST15)。この縮退動作とは、医用診断装置1の持つ機能の中で故障した個所の機能を使用できなくする(制限する)動作をいう。医用診断装置1は他の汎用機器の場合とは異なり、地震災害が生じ怪我人が発生した場合にこそその使用できる状態とされていなければならず、医用診断装置1内の一部に軽微な故障個所が発生したからといって医用診断装置1の全ての機能を止めることは実際的ではない。そこで、発見された故障個所に応じて縮退動作が可能か否かを判断して医用診断装置1の動作を全て停止するか、故障個所の機能のみを停止するかを決定する。
【0043】
この判断に当たっては、例えば、図8に示す表を基にする。この表は、医用診断装置1の各構成部品とその構成部品の重要度ランクを一覧にして示したものである。この重要度ランク表は診断結果判断手段2c内に記憶されていても、或いは、自己診断プログラム同様、データ格納手段1l内に記憶されていても良い。
【0044】
図8に示す重要度ランク表は、例えば、X線CT装置に関するものであり、左側に構成部品が、右側にその構成部品がX線CT装置の中でどのような重要度を持っているかを示すランクが示されている。この重要度ランク表においては、重要度が高い方からA、B、Cとランク付けがされている。例えば、地震災害発生時においてX線CT装置に最も求められるのは撮影できることである。従って、X線CT装置において最も重要な撮影部分である「X線発生部」、「X線検出部」や「回転機構部」はランクAとされる。一方、撮影データの保存を行うデータ記録部等は、たとえ故障したとしても撮影することはできるため、その重要度は低くランクCとされる。
【0045】
従って、自己診断システム2による自己診断の結果、ランクAが付される構成部品に故障が発生した場合にはそのX線CT装置を使用することはできない。一方で、ランクCの構成部品が故障しただけであればその部分に対して縮退動作を行って検査を続行させることも可能である。そこで、診断結果判断手段2cは、この重要度ランク表に基づいて故障個所のランクを見極めて縮退動作が可能であるか否かを判断する(ST15)。
【0046】
判断の結果、ランクAの構成部品が故障している場合には(ST15のNo)、医用診断装置1全体の動作を停止させる措置を採る(ST16)。そしてサービスセンタに報告されるとともに(ST6)、操作者に対しても表示手段1gを介して報告される。図9は、操作者に示される診断結果の画面例である。ここでは、サービスエンジニアによる点検完了まで医用診断装置1を使用することができない旨表示される。なお、この図9に示す画面例では、「※診断結果をサービスセンタに連絡して下さい。」との表示が出されているが、これは、医用診断装置1の通信制御手段1hが故障した場合、或いは、地震災害によりネットワークが破壊されたため医用診断装置1からサービスセンタに報告することができない場合に操作者からサービスセンタへの連絡を促すために表示されるものである。
【0047】
一方、診断結果判断手段2cによって故障個所は縮退動作が可能な箇所であると判断された場合は(ST15のYes)、縮退動作モードに設定する(ST17)。その場合には、ここまで行われた検査の記録や患者情報等のデータをバックアップ処理によって保存する(ST18)。データのバックアップ先としては、医用診断装置1が接続されているネットワーク上に同じく接続されているサーバ等が考えられる。このサーバは各医用診断装置から送られてくる被験者の撮影データ等の検査記録等を保存するものであり、一般的に堅牢に構成されている。
【0048】
そこで、診断結果判断手段2cは、まずサーバにデータをバックアップすることができるか否かを判断する(ST19)。地震災害によってもネットワークが寸断されず、医用診断装置1からサーバにデータを送ることができるのであれば、バックアップのためにデータをサーバに送り記録する(ST20)。これは、自己診断システム2による診断の結果、記憶手段1iが故障した場合に、特に有効である。一方、ネットワークが寸断され、サーバへのデータの送信ができない状況であり、しかも記憶手段1i等、医用診断装置1においてデータを保存する部分が故障していないならば、診断結果判断手段2cは、データをサーバに送らず(ST19のNo)、データ格納手段1l、或いは記憶手段1iに記録する(ST21)。このようにしてデータをバックアップするとともに、サービスセンタ及び操作者にその旨報告される(ST6、ST7)。
【0049】
図10は、縮退動作を行った際に表示手段1gに表示される画面例を示した模式図である。この画面例に示されるように、操作者に対して一部故障個所が発見された旨、縮退動作が行われたこと及びサービスセンタに報告されたことが報告される。縮退動作を行ったことに関しては、図10の画面例に示すように、例えば「利用制限」という項目を設けて、「CD−Rへのデータ保存ができません。」、「動画の保存ができません。」等、行われた縮退動作の一覧が表示される。
【0050】
このように地震発生時に地震の揺れ情報を基に医用診断装置1が備える自己診断システム2が働くことでいち早く故障個所の確認を行い故障個所に応じてその後の医用診断装置1の使用状況が決定されるとともに、診断結果がサービスセンタに報告されることで、故障個所の重要度に応じて修理態勢を決定できダウンタイムを可能な限り短くすることのできる地震対応医用診断装置を提供することができる。
【0051】
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0052】
第2の実施の形態では、医用診断装置1及び医用診断装置1が備える自己診断システム2が余震に対応して自己診断を行う点に特徴を有する。
【0053】
図11は、本発明の第2の実施の形態における医用診断装置11の内部構成を示すブロック図である。第1の実施の形態における医用診断装置1と異なるのは、発生地震記録手段11nが設けられていることである。
【0054】
地震が発生すると、その本震よりも小さな余震が発生することも多い。この余震は一般的に、本震直後に多く時間とともに次第に少なくなるとされるが、余震のたびに自己診断システム2が働き医用診断装置11の稼働を中止させると、地震災害後の怪我人に対する検査が必要なときに医用診断装置11を使用することができず、検査を妨げることになる。
【0055】
そこで、本発明の第2の実施の形態においては、発生地震記録手段11nを設けてこれまで発生した地震を記録しておき、発生した揺れが余震によるものであるか否かを判断し、余震である場合にはその度に自己診断システム2を働かせて医用診断装置11を止めることのないようにした。
【0056】
図12に示すフローチャートは、本発明の第2の実施の形態における自己診断の流れを示すものである。まず、地震による揺れが生じた場合には、地震検出手段1mにおいて震度が検出される(ST31)。そして、この揺れを発生地震記録手段11nに記録するとともに、この揺れが前回の地震から所定の時間内に生じたものであるか否かが自己診断システム2の判断手段2bにおいて判断される(ST32)。
【0057】
上述したように、一般的に余震は本震が発生した直後から発生するものであるため、予め定められた所定時間内に揺れた場合には余震と判断することが可能である。このとき発生した揺れが所定時間内に起きたものではなかった場合には、新たな本震と判断することができるため、その際には第1の実施の形態における自己診断の流れ(図4のフローチャートを参照)のAの部分から自己診断が始まる。
【0058】
次に、判断手段2bによって地震検出手段1mにおいて検出された揺れが、発生地震記録手段11nに記録されている所定時間内であってこの揺れ以前に発生した地震の中で最も大きな地震よりも大きな揺れであるか否かが判断される(ST33)。
【0059】
この「発生地震記録手段11nに記録されている所定時間内であってこの揺れ以前に発生した地震の中で最も大きな地震」は、いわゆる本震のことである。本震と地震検出手段1mにおいて検出された揺れの震度とを比較することで余震であるか否かが判断できる。ここで検出された揺れが本震より大きいと判断された場合は(ST33のYes)、もはや余震とは考えられないことから、第1の実施の形態における自己診断の流れ(図4のフローチャートを参照)のAの部分から改めて自己診断を始める。
【0060】
さらに、余震と判断された場合であっても(ST33のNo)、その余震が予め定めてある基準震度よりも大きな揺れであったか否かが判断される(ST34)。これは余震と判断されてもその余震が予想以上に大きかった場合には、故障個所の有無を発見するために医用診断装置11を再起動させて自己診断システム2を働かせた方がより医療の安全性を確保することができると考えられる。従って、余震であると判断されても基準値以上の揺れであった場合には、第1の実施の形態における自己診断の流れ(図4のフローチャートを参照)のAの部分から自己診断を改めて行う(ST34のYes)。
【0061】
余震であってしかもその余震が基準値以下の揺れであった場合には(ST34のNo)、自己診断を開始するか否かについて操作者に確認を求める(ST8)。また、自己診断を開始するための医用診断装置11の再起動が行われたか否かが判断される(ST9)。ここで、再起動が選択されない場合は(ST9のNo)、操作者が医用診断装置11の自己診断を行わずに検査を続行することを意味するが、医療の安全性を考慮すると余震が続く中で全く自己診断を行わないとの判断も採りにくい。一方で、自己診断には時間がかかるためその時間は検査ができないことから余震のたびに自己診断システム2を起動させることも難しい。
【0062】
そこで、余震の場合には、余震が発生するたびに自己診断を行うのではなく、次回医用診断装置11を起動した直後に自己診断を行うようにすれば検査の時間を確保しつつ自己診断を行うことができる。本発明の第2の実施の形態においては、次回起動時に自己診断を開始するように自己診断システム2の起動を設定することができるようにされている(ST35)。
【0063】
このように自己診断システム2を設定することで(ST36)、そのまま検査を続行することができ(ST37)、余震のたびに自己診断を行うことによる検査の中段を避けることができる。この設定についてはサービスセンタに報告されるとともに(ST6)、操作者にも報告される(ST7)。なお、次回起動時に自己診断を開始する選択がなされなかった場合には(ST35のNo)、医療の安全性を確保するため、強制的に自己診断を開始させる(ST13)。以後の自己診断の流れは、上述した第1の実施の形態において説明した流れに従って行われる。
【0064】
このように、余震に対応して適宜次回起動時に自己診断を開始することができるように構成することで、検査の中段を避けつつ医療の安全性にも配慮した地震対応医用診断装置を提供することができる。また、同時に地震発生時に地震の揺れ情報を基に医用診断装置1が備える自己診断システム2が働くことでいち早く故障個所の確認を行い故障個所に応じてその後の医用診断装置1の使用状況が決定されるとともに、診断結果がサービスセンタに報告されることで、故障個所の重要度に応じて修理態勢を決定できダウンタイムを可能な限り短くすることのできる地震対応医用診断装置を提供することができる。
【0065】
この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、自己診断の一環として、自己診断システム2による自己診断が行われるのに並行して、医用診断装置1の各駆動部を動かし異常音の発生がないか等を操作者に問いかけて、機械的な不具合の有無を判断するようにしても良い。
【0066】
また、上述した本発明の実施の形態においては、自己診断システム2が行う診断プログラムは1つであったが、例えば、震度によって診断項目に変化を持たせた「簡易自己診断」と「詳細自己診断」といった複数の診断プログラムが選択されて実施されるようにしても良い。
【0067】
上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態における医用診断装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における地震検出手段の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における自己診断システムの内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における自己診断システムにおいて行われる自己診断処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】自己診断の流れにおいて操作者に対して表示手段を介して示される画面例である。
【図6】自己診断の流れにおいて操作者に対して表示手段を介して示される画面例である。
【図7】自己診断の流れにおいて操作者に対して表示手段を介して示される画面例である。
【図8】医用診断装置の各構成部品とその構成部品の重要度ランクを一覧にして示した表の一例である。
【図9】自己診断の流れにおいて操作者に対して表示手段を介して示される画面例である。
【図10】自己診断の流れにおいて操作者に対して表示手段を介して示される画面例である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における医用診断装置の内部構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における自己診断システムにおいて行われる自己診断処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 医用診断装置
2 自己診断システム
2a 受信手段
2b 判断手段
2c 診断結果判断手段
2d 送信手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震による揺れを検出する地震検出手段と、
前記地震検出手段が検出した揺れ情報に基づいて医用診断装置の故障箇所の有無を確認する自己診断システムと、
を備えることを特徴とする据え置き型医用診断装置。
【請求項2】
前記自己診断システムは、故障していない個所についてはそのまま使用可能と判断するとともに、確認された故障個所についてはその機能の使用を制限する縮退動作を行う判断を下すことを特徴とする請求項1に記載の据え置き型医用診断装置。
【請求項3】
前記自己診断システムは、故障個所のその医用診断装置内における重要度に応じて縮退動作を行うか前記医用診断装置の停止を行うかの判断を下すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の据え置き型医用診断装置。
【請求項4】
前記自己診断システムは、前記揺れ情報に含まれる震度と前記医用診断装置の使用状況とを考慮して、前記医用診断装置の故障箇所の有無確認をレベルを変更して行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の据え置き型医用診断装置。
【請求項5】
前記自己診断システムは、診断結果をユーザに報告するとともにサービスセンタに報告することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の据え置き型医用診断装置。
【請求項6】
地震の直前予報を受信する地震予報受信手段と、
地震による実際の揺れを検出する地震検出手段と、
前記地震予報受信手段が受信した前記直前予報と前記地震検出手段が検出した揺れ情報とに基づいて医用診断装置の故障箇所の有無を確認する自己診断システムと、
を備えることを特徴とする移動型医用診断装置。
【請求項7】
前記地震予報受信手段による前記直前予報は、緊急地震速報であることを特徴とする請求項6に記載の移動型医用診断装置。
【請求項8】
前記自己診断システムは、前記直前予報及び前記揺れ情報に含まれる震度と前記医用診断装置の使用状況とを考慮して、前記医用診断装置の故障箇所の有無確認をレベルを変更して行うことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の移動型医用診断装置。
【請求項9】
前記自己診断システムは、診断結果をユーザに報告するとともにサービスセンタに報告することを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の移動型医用診断装置。
【請求項1】
地震による揺れを検出する地震検出手段と、
前記地震検出手段が検出した揺れ情報に基づいて医用診断装置の故障箇所の有無を確認する自己診断システムと、
を備えることを特徴とする据え置き型医用診断装置。
【請求項2】
前記自己診断システムは、故障していない個所についてはそのまま使用可能と判断するとともに、確認された故障個所についてはその機能の使用を制限する縮退動作を行う判断を下すことを特徴とする請求項1に記載の据え置き型医用診断装置。
【請求項3】
前記自己診断システムは、故障個所のその医用診断装置内における重要度に応じて縮退動作を行うか前記医用診断装置の停止を行うかの判断を下すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の据え置き型医用診断装置。
【請求項4】
前記自己診断システムは、前記揺れ情報に含まれる震度と前記医用診断装置の使用状況とを考慮して、前記医用診断装置の故障箇所の有無確認をレベルを変更して行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の据え置き型医用診断装置。
【請求項5】
前記自己診断システムは、診断結果をユーザに報告するとともにサービスセンタに報告することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の据え置き型医用診断装置。
【請求項6】
地震の直前予報を受信する地震予報受信手段と、
地震による実際の揺れを検出する地震検出手段と、
前記地震予報受信手段が受信した前記直前予報と前記地震検出手段が検出した揺れ情報とに基づいて医用診断装置の故障箇所の有無を確認する自己診断システムと、
を備えることを特徴とする移動型医用診断装置。
【請求項7】
前記地震予報受信手段による前記直前予報は、緊急地震速報であることを特徴とする請求項6に記載の移動型医用診断装置。
【請求項8】
前記自己診断システムは、前記直前予報及び前記揺れ情報に含まれる震度と前記医用診断装置の使用状況とを考慮して、前記医用診断装置の故障箇所の有無確認をレベルを変更して行うことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の移動型医用診断装置。
【請求項9】
前記自己診断システムは、診断結果をユーザに報告するとともにサービスセンタに報告することを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の移動型医用診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−172238(P2009−172238A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15438(P2008−15438)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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