説明

均一な温度分布を有する有機発光装置

有機発光装置(100)はエレクトロルミネセンスビームを形成するための活性層と、エレクトロルミネセンスプロセス中に生じた熱を導出するための熱伝導層(206)とを有している。当該熱伝導層(206)は、200W/mKを越え、殊に500W/mKを越える熱伝導率を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光装置に関する。
【0002】
有機発光装置(organic light emitting deviceないしはOLED)は、電気エネルギーから電磁ビームを形成するルミネセンス放射装置である。OLEDは、少なくとも1つの有機活性層を有しており、この有機活性層内で電磁ビームが生じる。活性層は、アノードカソードとの間に配置される。順方向ポテンシャルが加えられると、アノードはホールを活性層内に注入する。また、カソードは電子を注入する。注入されたホールと電子はそれぞれ(外部から加えられた電界に影響されて)、反対に充電された電極へと移動し、活性層内での再結合の際に、エレクトロルミネセンス放射を形成する。
【0003】
OLEDは殊に、大面積で、均一な光源として使用可能である、という利点を有している。これによって、照明手段としての完全に新たな用途が可能となる。今日では、市販されているOLED、例えば出願人の製品「ORBEUS CDW−031」は、まだ、相対的に低い発光量しか有していない。しかし将来的には、格段に高い発光量および光束密度が得られるべきである。しかし、大きさおよび高い光束密度によって、OLEDの内部が加熱されてしまうという問題が生じる。従って、熱による影響、例えば種々の機能層の劣化が生じてしまう。大面積のデバイスにわたる温度分布は均一ではないので、異なる局部的な劣化過程が層の中で生じる。これは、デバイスの動作時間が長くなるにつれて、光束密度を著しく不均一にさせる。しかし、このような不均一性は望まれていない。
【0004】
本発明は、この問題を基底に置き、不均一な温度分布ができるだけ回避された有機発光装置を提供する。
【0005】
上述の問題は、請求項1に記載されている有機発光装置によって解決される。
【0006】
この有機発光装置の発展形態および有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0007】
実施例
有機発光装置の種々の実施形態は、電磁ビームを形成するための活性層と、エレクトロルミネセンス過程の間に生じる熱を導出するための熱伝導層とを有している。熱伝導層は、200W/mK、殊に500W/mKを上回る熱伝導率を有している。
【0008】
これらの実施形態に共通している基本的な考えは、有機発光装置内に、熱を導出するないしは分配する熱伝導層を設けるということである。この熱伝導層は、特に良好な熱伝導率を有している。この熱伝導率は、有機発光装置内で使用されている金属の熱伝導率よりも高い。アルミニウムの伝導率は、例えば約200W/mKである。熱伝導材料として、殊に、炭素をベースとした材料が使用される。これは例えば、カーボンナノチューブ(carbon nano tubesないしはCNT)を使用する。カーボンナノチューブは、熱伝導性が特に良好な材料である。従って、装置内で形成された熱は良好に外部に搬送される。さらに、半導体または電気的な導体としての使用を可能にする、カーボンナノチューブの電気的な特性は、特に可変に、有機発光装置の種々の材料内で使用される。最後に、カーボンナノチューブの光学的な特性は、装置の光像に僅かにのみ影響を与えるのに適している。光学的な特性が特別な役割を担わない限り、別の材料、例えばグラファイトを含有する、薄い熱伝導フィルムが使用可能である。この熱伝導フィルムは、金属も含有し得る。これによって、高い熱伝導率が得られる。
【0009】
種々の実施形態では、熱伝導層は活性層と直接的に接触している。このために熱伝導層は、活性層と直接的に機械的ないしは物理的に接触している。これは例えば、活性層に被着される。これによって、活性層内で生じた熱が、特に効果的に活性層から、有機発光装置の別の領域へと導かれる。さらに、活性層内で特に効果的な熱分布の均一化が行われる。これによって、例えば、活性層内で経年劣化プロセスが均一に経過する。従って、有機発光装置の光像は、活性層の劣化時にも実質的に均一なままである。
【0010】
種々の実施形態では、熱伝導層(206)は、エレクトロルミネセンスビームのビーム出力経路内に配置されている。熱伝導層はここで有利には充分に高い透明性を、エレクトロルミネセンスビームに対して有している。従って、熱均一性がまさに、有機発光装置の光像が生じるないしは実質的に影響される領域において得られる。
【0011】
熱を特に良好に導出するために、熱伝導層は種々の実施形態において、装置の外側まで延在している。別の実施形態では熱伝導層はヒートシンクないしは冷却体と結合している。幾つかの実施形態では熱は単に装置内で均一に分配され、これによって、同様の、すなわち均一な温度分布が得られる。
【0012】
幾つかの実施形態では熱伝導層は、複数の別個にされた部分領域を有している。これらの部分領域は、有機発光装置内の適切な全ての箇所に配置される。従って、装置の熱負荷時に所望の温度分布が得られる。
【0013】
幾つかの実施形態では、有機発光装置はアノード層を有しており、熱伝導層はアノード層内の中間層として設けられている。これは特に有利である。なぜならアノード側は、しばしば、透明な金属酸化物を層材料として有しているからである。透明な金属酸化物はしばしば、中間層によって改善される、低い熱伝導率を有している。
【0014】
ここでこの実施形態の幾つかの構成では、熱伝導層は複数の中間層としてアノード層内に設けられている。
【0015】
幾つかの実施形態では、有機発光装置は、活性層を有している有機機能層を有している。熱伝導層は、中間層として、この有機機能層内に設けられている。この実施形態は特に有利である。なぜなら、これによって熱が、その内部でしばしば熱が形成される有機発光装置の領域から導出されるからである。活性層内では、電磁ビームがエレクトロルミネセンスによって形成される。これは、電子―ホール対の再結合(励起:Exitonen)およびその弛緩(Relaxation)によって生じる。しかしこの弛緩は、電磁ビームの送出とは異なるプロセスによっても生じ、例えば熱が生じる「クエンチング:quenching」によって生じる。しかしこの効果が所望されていない場合にも、これは完全には阻止されるべきではない。この熱導出に加えてさらに、有機機能層内の熱伝導層によって、この敏感な有機材料が、上述した実施形態の構造化によって特に良好に冷却される;しかしこの熱伝導層によって少なくとも、熱エネルギーの均一な分布ひいては、有機機能層の均一な熱負荷が実現される。
【0016】
この実施形態の幾つかの構成では、熱伝導層が、複数の中間層として有機機能層内に設けられている。
【0017】
幾つかの実施形態では、有機発光装置はカソード層を有している。このカソード層は熱伝導層によって覆われている。しばしば、カソード層を介してビームが取り出されないので、この構造は特に良好な、ひいては効率的な熱取り出しを実現する。これは、カソード層が金属、金属合金または金属層、ひいては同様に相対的に良好な熱導体を有する場合には、一層当てはまる。
【0018】
幾つかの実施形態では、熱伝導層は、アノード層と有機機能層との間に配置される。これによって、既存の製造プロセスを大きく変更することなく、熱伝導層を有機発光装置内に設けることができる。この装置ではさらに有利には、通常は温度補償が極めて悪い箇所での熱導出が改善される。幾つかの構成では熱伝導層は、アノード層と有機機能層との間の境界面で、分断されたストリップの形状で延在する。従ってアノード側を介した光学的な出力への影響ができるだけ小さくされる。幾つかの実施形態では、熱伝導層は網状に、アノード層と有機機能層との間の境界面に延在する。
【0019】
有機発光装置の種々の実施例を以下で図面に基づき、より詳細に説明する。図では、参照番号の一番目の(複数の)数字は、その参照番号が初めて使用された図をあらわす。同じ参照番号が、全ての図面内の同種の部材または同じ作用を有する部材ないしは特性に対して使用される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】有機発光装置の平面図
【図2】切断軸A−Aに沿った、第1の実施例の横断面図
【図3】第1の実施例のアノード層の平面図
【図4】第1の実施例の発展形態のアノード層の平面図
【図5】切断軸A−Aに沿った、第2の実施例の横断面図
【図6】切断軸A−Aに沿った、第3の実施例の横断面図
【図7】切断軸A−Aに沿った、第4の実施例の横断面図
【実施例】
【0021】
図1は、有機発光装置の平面図を示している。有機発光装置100は、エレクトロルミネッセンス装置である。これは、カソード層102上に被着されている第1の表面を有している。カソード層102は、カソード端子104と接続されている。この接続は、第1の電極106を介して行われる。これは、図示されている有機発光装置100内のカソードの一部である。有機発光装置100のアノードは、アノード端子108と接続されており、第2の電極110を有している。この第2の電極110は、直接的にアノード層に接している。このアノード層は、カソード層102に対向している、有機発光装置100の表面を覆っている。アノード層は、図1には示されていない。
【0022】
カソード層102およびアノード層は、有機機能層への電荷キャリアの電気的な供給部として用いられる。有機機能層はカソードとアノードとの間に配置されている。2つの供給部は金属、例えばAgないしは金属化合物を含んでいる。ここで、高い反射係数を有している金属が、有機機能層内の吸収を回避するのに特に適している。電気的な供給部の少なくとも1つが透明な供給部として構成され、これによって、有機機能層内で形成された電磁ビームを外へ出力することができる。同様に、2つの供給部を透明な供給部として構成することが可能である。これによって、全体的に透明な有機発光装置が実現される。透明な供給部は、透明導電性酸化物(transparent conductive oxideないしはTCO)を有する。透明導電性酸化物は通常、酸化金属であり、例えば酸化亜鉛、酸化スズ、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化インジウムまたは酸化インジウムスズ(ITO)である。SnOおよびInも属する、二成分から成る金属物質化合物の他に、三成分から成る金属物質化合物、例えば、ZnSnO、CdSnO、ZnSnO、MgIn、GaInO、ZnInまたはInSn12または異なる透明導電性酸化物の組み合わせも、透明導電性酸化物のグループに属する。さらに、透明導電性酸化物は必ずしも化学量論的な組成に相応せず、pドーピングまたはnドーピングされてもよい。これによって、高い導電性が得られる。電気的な供給部は、導電性の高い有機材料、例えばポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)またはドーピングされた有機層を含む。有機導電性層との関連において、用語「ドーピング」とは、有機層の部分的な酸化ないしは還元をあらわす。上述した全ての材料を相互に適切に組み合わせて、電気的な供給部にすることが可能である。
【0023】
有機発光装置100の構造を以下で、切断軸A−Aに沿った横断面に基づいて、4つの実施例に対してより詳細に説明する。ここでは、対向している第1の電極106と第2の電極110は、分かりやすく示すために、カソード端子104ないしはアノード端子108の一部とされている。
【0024】
第1の実施例
図2は、切断軸A−Aに沿った、第1の実施例の横断面を示している。有機発光装置100は基板200を有しており、この基板上に層列が被着されている。典型的には、基板200は透明な担体、例えばガラスまたはフィルムであり、例えば撓むプラスチックフィルムである。基板200上には、アノード層202が被着されている。アノード層202は、透明である。さらに、アノード層202は適切な透明な導電性材料を含んでいる。これは、例えば透明導電性酸化物、例えば酸化インジウムスズである。アノード層202上には、有機機能層204が被着されている。有機機能層202上にカソード層102が被着されている。通常は、図示の層列は、カプセル封入部によって覆われている。このカプセル封入部は分かりやすく示すために、全ての説明に対して考慮されておらず、省かれている。
【0025】
有機機能層204は、1つまたは複数の有機層を有している。少なくとも、活性層が設けられており、活性層に電圧が加えられると、この中で放射ビームが形成される。活性層は、エレクトロルミネセンス材料を有している。例えば、エレクトロルミネセンス材料は蛍光放射またはりん光放射に適したポリマーを有している。択一的に、蛍光またはりん光を放射する、小さい有機分子が活性層(有機エレクトロルミネッセンス層)として用いられる。
【0026】
順方向電圧が加えられると、アノードはホールをアノード層202内に注入する。またカソードは電子をカソード層102内に注入する。注入されたホールと電子はそれぞれ(外部から加えられた電界の影響を受けて)反対方向に充電された電極へと移動し、活性層内での再結合によって、エレクトロルミネセンス放射を形成する。
【0027】
電荷キャリアの供給はそれぞれ、電荷搬送層を介して行われる。アノード層202と活性層の間に配置された電荷搬送層は正孔輸送層(hole transport layer:HTL)とも称される。これは例えばp型ドーピングされた導電性の有機材料または無機材料を有し得る。カソード層102と活性層の間に配置された電荷搬送層は、電子輸送層(electron transport layer:ETL)とも称される。これは例えば、n型ドーピングされた導電性有機材料または無機材料を有し得る。2つの電荷搬送層に対して、適切な、固有の、すなわちドーピングされていない層を使用することもできる。これらの電荷搬送層は同様に、有機機能層の一部である。
【0028】
電圧を、有機機能層204ないしは活性層に印加するために、カソード層102は、第1の端子104と接続されている。アノード層202は、第2の電気的な端子108と接続されている。第1の端子104と第2の端子108は、図示されていないエネルギー源に接続される。例えば、これらの端子は一定の電源、例えばバッテリーまたは駆動回路に結合されている。
【0029】
活性層内での電荷キャリアの再結合時に、並びに電気的な供給部内のオーム抵抗によって、有機発光装置100内で熱が生成される。これは特に、有機機能層204内の材料にとって不利である。そこで使用されている材料は完全に、有機分子または有機マクロ分子(ポリマー)である。これらは、温度作用によって変質する。殊に、分離等のプロセスが生じ得る。OLEDの製造時に使用される有機材料は、温度の影響を受けて、分子構造においても、材料構造においても変化する(これは例えば、(再)結晶化、ガラス転移等による)。従って、例えば放出スペクトルまたは屈折率に関する別の光学的な特性が引き起こされる。第1の実施例では、熱排出のために熱排出層206が設けられる。この熱排出層は複数の部分領域を有している。これらは導体ストリップの形状で、水平方向に、アノード層202と有機機能層204との間に延在している。すなわち熱伝導層206は、いわゆるブスバーと同様に、アノード層202と有機機能層204との間に配置されている。この配置構成は殊に、図3と関連して明らかである。図3は、第1の実施例のアノード層202の平面図を示している。
【0030】
熱排出層206は、熱伝導材料を有している。これは2つの実質的な特性を相互に接続している。一方ではこの材料は高い熱伝導率を有している。ここで、OLEDのボディ内に設けられている熱伝導層206に対しては、少なくとも、500W/mKの熱伝導率が設定されるべきである。他方では、この材料は少なくとも部分的に、放射ビームに対して透過性である。従って、有機発光装置100の光像への影響ができるだけ小さくされる。このために特に良好に適している材料は、CNTである。これは一般的に、極めて高い熱伝導率を有している。これは、金属よりも少なくとも1オーダー(ファクタ10)ぶんだけ高い。さらに、しばしばアノード側で使用される透明金属酸化物および基板200は低い熱伝導性を有する。CNTの構造を適切に選択することによって、さらに、CNTの所望の光学的な特性および/または高い導電性が得られる。従ってCNTは、特に良好なヒートシンクを有機発光装置100内に形成することができる。しかも、エレクトロルミネッセンス装置としてのその元来の機能が実質的に損なわれることはない。
【0031】
熱伝導層206は、アノード層202の部分領域上にのみ被着されているので、殊に光像は僅かにのみ影響を受ける。ここで特に薄いストリップを、熱伝導層206の部分領域として設けることもできる。一般的に、この部分領域の大きさ、数および密度を選択することによって、有機機能層204とアノード層202との間の熱導出を改善することができる。
【0032】
しかし同様に、熱導出が有機発光装置の別の箇所で影響されて、温度特性を適切に設計することが可能である。これは以下の実施例に基づいて明示されるべきである。
【0033】
図4は、第1の実施例の別の構成のアノード層の平面図を示している。熱伝導層206は網状にアノード層202上に延在する。熱伝導層206は、六角形の網を形成する。従って、できるだけ良好な熱結合が、覆いの減少とともに得られる。有機発光装置の光像に与えられる影響は、これによって特に少なくなる。
【0034】
2つの構成において、熱伝導層は、熱蒸着、化学気相成長(CVD)等の方法によって、ライトアークまたはレーザによって被着される。構造化は、マスクないしはリソグラフィステップによって得られる。
【0035】
第2の実施例
図5は、切断軸A−Aに沿った第2の実施例の断面を示している。この第2の実施例は、第1の実施例と、熱伝導層206がアノード層202と有機機能層204との間に配置されておらず、熱伝導層206が有機機能層204から離れて対向している側でカソード層102を覆っている、という点において異なる。これは特に、カソード層102を介してビームが出力されない場合に可能である。なぜならこれによって、熱伝導層206内へのビームの吸収が結果的に意味を有さないからである。この場合には、カソード層102は、有利には反射性の材料、例えば金またはアルミニウムを有している。熱伝導層206は理想的には、第1の実施例におけるように、炭素を有している。熱伝導率はカソード層102の材料の熱伝導率よりも高いべきである。不透明なカソード層の場合には、反射係数が高いため、しばしばアルミニウムが使用される。従って熱伝導層206は、200W/mKを超える熱伝導係数を有しているべきである。これは熱伝導フィルム、例えば、薄いグラファイトフィルムから成り得る。これは、カソード層102上に被着される。これがCNT等の材料を有していてもよい。CNTは、優れた熱伝導体を形成する。従って、カソード層102を介して、特に良好なヒートシンクが形成される。
【0036】
第3の実施例
図6は、切断軸A−Aに沿った、第3の実施例の断面を示している。この第3の実施例は、第1および第2の実施例とは、熱伝導層206が、複数の部分領域の形状で、アノード層202内に入れられているという点において異なる。熱伝導層206のこれらの部分領域はここで中間層を形成し、これは交互にアノード層材料間に入れられている。熱伝導層206の厚さはここで、次のように選択される。すなわち、これがアノード層202の光学的な特性に、できるだけ影響を与えないように選択される。ここでも、CNTの使用が特に適している。なぜなら、この材料は、ナノチューブの構造が適切に選択されると、良好な電気的な導体になるからである。
【0037】
第4の実施例
図7は、切断軸A−Aに沿った、第4の実施例の断面を示している。この第4の実施例は、他の実施例と、熱伝導層206が中間層の形で、有機機能層204内に入れられているという点において異なる。この中間層は、個々の機能的な部分層、例えばHTL、活性層またはETLを分断する、またはこれらの機能的な部分層内に埋設される。ここでも、光学的および電気的な特性のために、殊にCNT等の材料が使用される。
【0038】
上述した全ての実施例は、適切に相互に組み合わせられる。従って熱伝導層206の部分領域は、有機発光装置100の全ての適切な箇所に設けられる。例えば、これらの部分領域が有機発光装置100の外側領域に延在していることによって、これらの部分領域はそれぞれヒートシンクとして構成される。従って、熱は外部へ導出される。これらの部分領域は例えば、別のヒートシンク、例えば冷却体と熱的に結合される。
【0039】
全体として、グラファイトフィルムまたはCNTが、熱伝導層206の材料として適している。なぜならこれらは、有機発光装置100の全ての適切な箇所で使用可能であるからである。CNTは、材料として特に良好に熱伝導性である。従って装置100内で生成された熱は、良好に外部へ搬送される。これに加えてCNTは、半導体としての使用も電気的な導体としての使用も可能にする自身の電気的な特性において、特に可変に、有機発光装置100の種々の材料内で使用可能である。最後に、CNTは自身の光学的な特性において、装置100の光像を僅かにのみ影響するのに適している。CNTは殊に熱による蒸着によって被着され、これによって、既に入れられている有機材料の不要な熱的な負荷が回避される。
【0040】
最終確認
有機発光装置を、基になる考えを具体化するために、幾つかの実施例に基づいて説明した。これらの実施例はここで、特定の特徴組み合わせに限定されない。幾つかの特徴および構成が、特別な実施例との関連においてのみまたは個々の実施例との関連においてのみ記載されていても、これはそれぞれ、別の実施例からの別の特徴と組み合わせ可能である。同様に、一般的な技術的な教示が実現されるならば、実施例において個別に示された特徴または特別な構成を省くまたは付加することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
100 有機発光装置、 102 カソード層、 104 カソード端子、 106 第1の電極、 108 アノード端子、 110 第2の電極、 200 基板、 202 アノード層、 204 有機機能層、 206 熱伝導層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光装置(100)であって、
・エレクトロルミネセンスビームを形成し、かつ当該エレクトロルミネセンスビームを出力するための活性層と、
・前記エレクトロルミネセンスビームの出力経路内に配置された、エレクトロルミネセンスプロセス中に生じた熱を導出するための熱伝導層(206)とを有しており、
当該熱伝導層(206)は、200W/mKを越え、殊に500W/mKを越える熱伝導率を有している、
ことを特徴とする有機発光装置(100)。
【請求項2】
前記熱伝導層(206)は、前記活性層と直接的に接触している、請求項1記載の有機発光装置(100)。
【請求項3】
前記熱伝導層(206)は、前記エレクトロルミネセンスビームのビーム出力経路内に配置されている、請求項1または2記載の有機発光装置(100)。
【請求項4】
前記熱伝導層(206)は分離した複数の部分領域を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の有機発光装置(100)。
【請求項5】
・アノード層(202)を有しており
前記熱伝導層(206)は中間層として当該アノード層(202)内に設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の有機発光装置(100)。
【請求項6】
前記熱伝導層(206)は、複数の中間層として、前記アノード層(202)内に設けられている、請求項4記載の有機発光装置(100)。
【請求項7】
・有機機能層(204)を有しており、当該有機機能層(204)は活性層を有しており
前記熱伝導層(206)は中間層として当該有機機能層(204)内に設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の有機発光装置(100)。
【請求項8】
前記熱伝導層(206)は複数の中間層として前記有機機能層(204)内に設けられている、請求項7記載の有機発光装置(100)。
【請求項9】
・カソード層(102)を有しており、
前記熱伝導層(206)は当該カソード層(102)を覆っている、請求項1から8までのいずれか1項記載有機発光装置(100)。
【請求項10】
前記熱伝導層(206)は、前記アノード層(202)と前記有機機能層(204)との間に配置されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の有機発光装置(100)。
【請求項11】
前記熱伝導層(206)は分離した複数のストリップの形状で、前記アノード層(202)と前記有機機能層(204)との間の境界面上に延在している、請求項10記載の有機発光装置(100)。
【請求項12】
前記熱伝導層(206)は網状に、前記アノード層(202)と前記有機機能層(204)との間の境界面上に延在している、請求項10記載の有機発光装置(100)。
【請求項13】
前記熱伝導層(206)はカーボンナノチューブを熱伝導材料として有している、請求項1から12までのいずれか1項記載の有機発光装置(100)。
【請求項14】
前記熱伝導層(206)はグラファイトを熱伝導材料として有している、請求項1から13までのいずれか1項記載の有機発光装置(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−514612(P2013−514612A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543614(P2012−543614)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069245
【国際公開番号】WO2011/073077
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】