説明

均一な粒子径を有するメソ多孔性炭素ビーズ、その製造方法および製造装置、ならびに該メソ多孔性炭素ビーズを担体とする水処理用触媒、該触媒の性能評価装置と、該触媒を用いた実廃水処理装置

【課題】流動層型反応器用のカーボン触媒担体や高速液体クロマトグラフ用カラム充填材として用いることができ、さらに環境ホルモンやダイオキシンなど比較的分子量の大きな微量有機汚染物質を対象とした吸着剤として有用な、均一な粒子径を有するメソ多孔性炭素ビーズおよびその製造方法等を提供する。
【解決手段】フェノール系樹脂のビーズ状成形体を前駆体とするメソ多孔性炭素ビーズであって、粒子直径分布の標準偏差が平均粒子直径の30%未満である、均一な粒子径を有するメソ多孔性炭素ビーズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動層型反応器用のカーボン触媒担体や高速液体クロマトグラフ用カラム充填材として用いることができ、さらに環境ホルモンやダイオキシンなど比較的分子量の大きな微量有機汚染物質を対象とした吸着剤として有用な、均一な粒子径を有するメソ多孔性炭素ビーズおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
また、本発明は、該メソ多孔性炭素ビーズを担体とする水処理用触媒、該触媒の性能評価装置と、該触媒を用いた実廃水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
近年、多孔性炭素はエネルギー技術や環境浄化技術をはじめとする広い分野で利用されており、その用途に応じて要求される細孔特性や形状も様々に異なっている。最も汎用的に用いられている活性炭では、粉末状、粒状の他に、吸着分離機能を向上させた分子篩炭、流動床用吸着材として適当なビーズ状活性炭、吸脱着速度に優れた繊維状活性炭、高吸着能を持つ高比表面積活性炭、化学吸着機能を付与した薬品添着活性炭、触媒担持活性炭など、種々の細孔特性や形状を有する活性炭が開発されている。活性炭をはじめとする多孔性炭素は高い疎水性を有するため、大気中や水中の微量有機汚染物質の反応による分解や吸着分離など工業的に広く利用されている。
【0004】
一般に活性炭はミクロ細孔(細孔直径が2nm以下)の発達したものが多い。しかしながら、環境ホルモンやダイオキシンなど分子量の比較的大きな有機物分子を選択的に吸着するためには、ミクロ細孔では大きさが十分でないため、メソ細孔(細孔直径が2〜50nm)が発達している多孔性炭素が好適である。
【0005】
これまでメソ多孔性炭素としては、例えば特許文献1、非特許文献1-2で報告されて
いるようにメソ細孔領域に発達した細孔を有するカーボンゲルが知られている。カーボンゲルは合成条件を調節することで細孔特性を制御することが可能であり、ターゲットとなる有機物分子に合わせた細孔構造の設計が可能である。
【0006】
しかし、この方法では、微量有機汚染物質の反応による分解や吸着分離への用途に適した形状の、ビーズ状や繊維状のメソ多孔性炭素を得ることが困難であるといった問題点があった。
【0007】
一方、メソポーラスシリカを鋳型として炭素前駆体の有機物を含浸させ炭化して無機/カーボンの複合体を作製した後、無機物をフッ酸で溶出して得られるインプリンテッドメソポーラス炭素も知られている(特許文献2)が、一般にインプリンテッド法は構造規則性シリカなどの高価な鋳型が必要であり、また鋳型であるシリカを複合体から溶出させて除去する工程を必要とするため製造工程の連続化が不可能であり、その結果、製造コストが非常に高く実用化は困難である。
【0008】
ところで、多孔性炭素を工業的に吸着材として使用する際には、固定床あるいは流動床方式の反応器やカラム内で使用されることが多い。このため、十分な圧潰強度や摩耗強度を得るためにビーズ状の形状であることが好適であると考えられる。さらに、反応器やカラム内における充填物の粒子径が不均一である場合には、容器に通気(あるいは通液)する際の圧力損失が大きくなることや、反応成分・分離対象成分の反応器・カラム内での滞
留時間分布が不均一になるなどの問題が生じるため、粒子径は均一であることが望ましい。
【0009】
このような多孔性炭素を製造する方法としては、「カーボンゲルの前駆体水溶液を逆相乳化重合した後、乾燥し、さらに不活性雰囲気中で炭化することで、ビーズ状のメソ多孔性炭素(カーボンゲル微粒子)が得られること」が報告されている(特許文献1,特許文献3、非特許文献3−4)。
【0010】
またこれと類似した方法で、フェノールとホルムアルデヒドの部分縮合物を、分散剤を含む加熱した油中に注入し攪拌して得られるビーズ状多孔性成形物を、不活性ガス中で熱分解することで多孔性炭素ビーズが得られることも特許文献4で報告されている。
【0011】
しかしながら、これらの合成法では粒度分布を均一に制御することが困難であるため、粒度分布の標準偏差が平均粒径の30%未満である多孔性炭素ビーズを作製することが不可能であり、その結果、反応器やカラムへの充填物として適した均一な粒度分布を有するビーズ状のメソ多孔性炭素が得られていなかった。
【0012】
また、粒子径の揃った多孔性炭素のビーズ状成形体を得るためには、特許文献5-8で
報告されているように、炭素質微粉末にピッチ・タール・フェノール系樹脂などのバインダーと呼ばれる結合剤を加えて混合・混練して押し出し成型機や転動造粒機により粒状化した後、乾燥・固化・焼成する方法が一般的に用いられる。バインダーを添加する方法は、通常多くの経験と知識を有するため、困難である場合が多い。例えば、非特許文献5に報告されている様に、成型体の機械強度が最大となる様にバインダーの最適な添加量を決定する必要があり、また、多孔性炭素の細孔特性に適したバインダーを選択しなければバインダー成分が細孔を閉塞することで多孔性炭素の細孔特性を変化させてしまう恐れがある。
【0013】
このため均一な粒子径を有するビーズ状のメソ多孔性炭素およびこのものを高価なメソポーラスシリカなどの鋳型やバインダーを添加することなく作製するための方法が強く求められていた。
【0014】
一方で、均一な粒子径を有するビーズ状のメソ多孔性炭素を担体とし、排水中に含まれるダイオキシンや環境ホルモンなど分子量の比較的大きな有機物分子を効果的に分解することができる水処理用触媒が望まれていた。
【0015】
さらに、その水処理用触媒が被処理水(廃水等)に有効であるか性能評価をすることができる水処理用触媒性能評価装置と、上記のようなダイオキシンや環境ホルモンなどの有機物を含有する廃水から有機物を効果的に分解除去する実廃水処理装置の実現が望まれていた。
【特許文献1】米国特許第5508341号明細書
【特許文献2】特表2004−534713号公報
【特許文献3】特開2004−315283号公報
【特許文献4】特表2004−506753号公報
【特許文献5】特公昭59−10931号公報
【特許文献6】特開平3−31586号公報
【特許文献7】特開平10−263393号公報
【特許文献8】特開平10−316837号公報
【非特許文献1】“Organic aerogels from the polycondensation of resorcinol withformaldehyde.”, Pekala et al., J. Mater. Sci. 1989;24:3221-7.
【非特許文献2】“Porous structure of organic and carbon aerogels synthesized bysol-gel polycondensation of resorcinol with formaldehyde.” Tamon et al., Carbon1997;35:791-796.
【非特許文献3】“Resorcinol-Formaldehyde and Carbon Aerogel Microspheres.”, Gross etal., J. Mater. Res. Soc. Symp. Proc., Microporous and Macroporous Materials,1996; 431:521-526.
【非特許文献4】“Preparation and characterization of carbon cryogel microspheres.”Yamamoto et al., Carbon 2002; 40: 1345-1351.
【非特許文献5】多孔質体の性質とその応用技術,株式会社フジ・テクノシステム発行,p.13,1999年3月30日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、流動層型反応器用のカーボン触媒担体や高速液体クロマトグラフ用カラム充填材として用いることができ、さらに環境ホルモンやダイオキシンなど比較的分子量の大きな微量有機汚染物質を対象とした吸着剤として有用な、均一な粒子径を有するメソ多孔性炭素ビーズおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、均一な粒子径を有するビーズ状のメソ多孔性炭素を担体とし、排水中に含まれるダイオキシンや環境ホルモンなど分子量の比較的大きな有機物分子を効果的に分解することができる水処理用触媒を提供することを別の目的とする。
【0018】
さらに、本発明は、水処理用触媒が非処理水(廃水等)に有効であるか性能評価をすることができる水処理用触媒性能評価装置と、上記のようなダイオキシンや環境ホルモンなどの有機物を含有する廃水から有機物を効果的に分解することのできる実廃水処理装置を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意工夫した結果、フェノール系樹脂の前駆体水溶液を、均一な孔径を有する吐出手段の先端から好ましくは加熱した油相中に一定に制御された速度で連続的に吐出させる液滴固化造粒法により、ビーズ状にゲル化させ、ついで、フェノール系樹脂成形体を乾燥した後、不活性雰囲気中で炭化することで、均一な粒子径を有するビーズ状のメソ多孔性炭素が作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
【0021】
(1)フェノール系樹脂のビーズ状成形体を前駆体とするメソ多孔性炭素ビーズであって、粒子直径分布の標準偏差が平均粒子直径の30%未満であることを特徴とするメソ多孔性炭素ビーズ。
【0022】
(2)粒子直径分布の標準偏差が平均粒子直径の20%未満であることを特徴とする上記(1)に記載のメソ多孔性炭素ビーズ。
【0023】
(3)下記の工程を含むことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法。
(a)フェノール類(P)とアルデヒド類(A)とを、反応溶媒(S1)中で触媒(C)の存在下で重合反応させてフェノール系樹脂の前駆体溶液を調製する工程、
(b)得られる前駆体溶液を、分散溶媒(S2)中に断続的に吐出させてゲル化させる、液滴固化造粒法により、フェノール系樹脂のビーズ状成形体を得る工程、
(c)得られるビーズ状成形体の粒子内細孔に含まれる溶媒を除去し乾燥する工程、
(d)乾燥されたビーズ状成形体を炭化させることによりメソ多孔性炭素ビーズを得る工程。
【0024】
(4)前駆体溶液を、シリンジ、ノズルあるいは多孔質膜のいずれかを用いて、分散溶媒(S2)中に断続的に吐出させることを特徴とする上記(3)に記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法。
【0025】
(5)フェノール類(P)と触媒(C)とのモル比(P/C)が10〜1500であることを特徴とする上記(3)又は(4)に記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法。
【0026】
(6)フェノール類(P)と反応溶媒(S1)の比率(P/S1)が0.05g/cm〜飽和濃度未満であることを特徴とする上記(3)乃至(5)の何れかに記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法。
【0027】
(7)炭化温度が、500℃以上であることを特徴とする上記(3)乃至(6)の何れかに記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法。
【0028】
(8)炭化温度が、750℃以上であることを特徴とする上記(7)に記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法。
【0029】
(9)上記(3)乃至(8)の何れかに記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法に使用される装置であって、下記の手段を備えたことを特徴とするメソ多孔性炭素ビーズの製造装置。
(a)フェノール類(P)とアルデヒド類(A)とを、反応溶媒(S1)中で触媒(C)の存在下で重合反応させてフェノール系樹脂の前駆体溶液を調製する手段、
(b)得られる前駆体溶液を、分散溶媒(S2)中に断続的に吐出させてゲル化させ、フェノール系樹脂のビーズ状成形体を得る手段、
(c)得られるビーズ状成形体の粒子内細孔に含まれる溶媒を除去し乾燥する手段、
(d)乾燥されたビーズ状成形体を炭化させることによりメソ多孔性炭素ビーズを得る手段。
【0030】
(10)前駆体溶液を分散溶媒(S2)中に断続的に吐出させる手段が、シリンジ、ノズルあるいは多孔質膜の何れかであることを特徴とする上記(9)に記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造装置。
【0031】
(11)上記(1)又は(2)に記載のメソ多孔性炭素ビーズのメソ細孔内に金属を担持させてなることを特徴とする水処理用触媒。
【0032】
(12)被処理水を内部に導入するための被処理水導入部、処理水を排出するための処理水排出部、およびオゾンを内部に導入するためのオゾン導入部をそれぞれ有し、並列に配置された複数の反応器と、被処理水を貯留する被処理水貯留槽と、該反応器の処理水排出部より排出された処理水を貯留する処理水貯留槽と、該被処理水貯留槽から被処理水を該反応器に供給する被処理水供給機構と、該反応器にオゾンを供給するオゾン供給機構を備え、上記(11)に記載の水処理用触媒を充填した反応器と、水処理用触媒を充填しない反応器による処理水を該水処理用触媒の性能評価のための分析目的に連続的に採取することを特徴とする水処理用触媒性能評価装置。
【0033】
(13)該処理水貯留槽に貯留された処理水を循環させて該反応器に導入させる処理水循環機構を有することを特徴とする上記(12)に記載の水処理用触媒性能評価装置。
【0034】
(14)上記(11)の水処理用触媒が充填され、廃液を内部に導入するための廃液導入部、処理水を排出するための処理水排出部、オゾンを内部に導入するためのオゾン導入部を有する反応器と、廃液を貯留する廃液貯留槽と、該反応器の処理水排出部より排出された処理水を貯留する処理水貯留槽と、該廃液貯留槽から廃液を該反応器に供給する廃液供給機構と、該反応器にオゾンを供給するオゾン供給機構と、該処理水貯留槽の処理水を循環させて該反応器に導入させる処理水循環機構を備えることを特徴とする実廃水処理装置。
【0035】
(15)上記(11)の水処理用触媒がそれぞれ充填され、処理水を排出するための処理水排出部、およびオゾンを内部に導入するためのオゾン導入部をそれぞれ有する複数の直列配置された反応器と、廃液を貯留する廃液貯留槽と、最終的に処理された処理水を貯留する処理水貯留槽と、該廃液貯留槽から廃液を1段目の反応器に供給する廃液供給機構と、各反応器にオゾンを供給するオゾン供給機構を備え、2段目以降の反応器は前段の反応器から排出された処理水に対してさらに廃水処理を行うことを特徴とする実廃水処理装置。
【発明の効果】
【0036】
本発明によると反応器やカラムへの充填に適した均一な粒子径を有する新しいメソ多孔性炭素ビーズが提供される。本発明の均一な粒子径を有するメソ多孔性炭素ビーズは、従来の活性炭ビーズ等の炭素ビーズに比較して、メソ細孔が発達していることが特徴であり、ダイオキシンや環境ホルモンなど分子量の比較的大きな有機物分子を、触媒酸化反応により分解するための触媒担体や、選択的に吸着除去するためのカラム充填材としての使用が可能になる。
【0037】
また、本発明によると上記メソ多孔性炭素ビーズを担体とする水処理用触媒が提供される。本発明の水処理用触媒は、上記のようにダイオキシンや環境ホルモンなど分子量の比較的大きな有機物分子を、触媒酸化反応により分解することができる。
【0038】
さらに、本発明によると該水処理用触媒の性能を評価し、どの種の水処理用触媒がどの種の廃水の処理に有効かを判断できる水処理用触媒性能評価装置と、有機物を含有する廃水から有機物を効果的に分解除去する実廃水処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明に係るメソ多孔性炭素ビーズは、フェノール系樹脂のビーズ状成形体を前駆体とし、粒子直径分布の標準偏差が平均粒子直径の30%未満、好ましくは20%未満であることを特徴としている。
【0040】
一般に、粒子直径分布の標準偏差と平均粒子直径との比、すなわち粒子直径分布の標準偏差/平均粒子直径は、相対的な散らばりを表す指標であり、変動係数(CV:Coefficient of Variation)とも呼ばれる。標準偏差はスケールの影響を受けるためスケールや単位が異なる検査法同士では相互に比較ができないが、変動係数はスケールの影響を排除しているため、散らばりの度合いが相互に比較できる。
【0041】
【数1】

【0042】
したがって、その比が、本発明のように、30%未満、好ましくは20%未満であることはビーズ状成形体の大きさの散らばりの度合いが小さいことを表しており、変動係数が小さい場合には、ビーズ状成形体を反応器やカラムに充填した際にビーズ同士の空隙に形
成される反応物の流路が均一であるため滞留時間に分布が生じにくい。その結果、反応器の設計が容易になることやカラムの分離性能が優れていることを意味することとなる。
【0043】
本発明に係るメソ多孔性炭素ビーズは用途に合わせて、液滴固化造粒法において使用する吐出手段の形状や孔径を適切に選択することにより、任意の大きさのビーズを得ることが可能である。例えば流動層型反応器や固定層型反応器を用いて大量の廃水を処理する必要がある場合には反応器に充填する粒子直径を小さくしすぎると圧力損失が大きくなるため、好適な平均粒子直径は100〜2000ミクロンである。また高速液体クロマトグラフィー用カラム充填剤として使用する場合には、粒子直径が小さいほど分離特性が向上するため100ミクロン未満の平均粒子直径が好適である。
【0044】
また本発明に係るメソ多孔性炭素ビーズの標準偏差は平均粒子直径に依存して異なった値を示すが、平均粒子直径が100〜1000ミクロンの範囲にある場合には標準偏差は40〜140ミクロンの範囲である。
【0045】
また、本発明に係るメソ多孔性炭素ビーズは、細孔直径分布において2〜50nmのいわゆるメソ細孔領域に分布のピーク値を有し、かつメソ細孔の容積が全細孔容積の60%以上好ましくは70%以上を占めるものである。
【0046】
なお、本発明に係るメソ多孔性炭素ビーズの炭素含有率は70重量%以上、好ましくは80%以上である。
【0047】
本発明に係るメソ多孔性炭素ビーズは、たとえば、下記工程によって合成することができる。
(a)フェノール類(P)とアルデヒド類(A)とを、反応溶媒(S1)中で触媒(C)の存在下で重合反応させてフェノール系樹脂の前駆体溶液を調製する工程、
(b)得られる前駆体溶液を、分散溶媒(S2)中に断続的に吐出させてゲル化させる、液滴固化造粒法により、フェノール系樹脂のビーズ状成形体を得る工程、
(c)得られるビーズ状成形体の粒子内細孔に含まれる溶媒を除去し乾燥する工程、
(d)乾燥されたビーズ状成形体を炭化させることによりメソ多孔性炭素ビーズを得る工程。
【0048】
(a)の工程はフェノール系樹脂の前駆体溶液を調製する工程である。
【0049】
この工程で用いるフェノール系樹脂としては、いずれの価数のものも用いることができる。例えば一価フェノール類であるフェノール、クレゾール、チモール、ナフトール、二価フェノールであるカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン、三価フェノールであるピロガロール、フロログルシノールなどが例示される。特に、二価フェノールは均一な溶液を調製しやすいので好ましい。
【0050】
アルデヒド類(A)としてはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒドをはじめ、いずれのアルデヒドも用いることができるが、ホルムアルデヒドが特に好適である。
【0051】
触媒(C)としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の化合物が好ましいが、特に好ましいのはアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属水酸化物である。
【0052】
反応溶媒(S1)としては前記フェノール類(P)とアルデヒド類(A)の溶解度が大きいものであれば特に制限されないが、分散溶媒(S2)への溶解性が低いものを選択する必要があるため、水が最も好適である。
【0053】
反応触媒(C)は、周期表の1族元素の炭酸塩、炭酸水素塩、又は水酸化物、6A族および8族元素のアンミン錯体、アセチルアセトナト錯体、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、塩化物のうちの何れか1種類、または2種類以上の組み合わせを用いることが好適である。
【0054】
フェノール類(P)と触媒(C)とのモル比(P/C)およびフェノール類(P)と反応溶媒(S1)の比率(P/S1)とは、メソ多孔性炭素ビーズの細孔径分布を制御する上で重要なパラメーターである。多孔性炭素ビーズの構造は図1に示すように、1次粒子と呼ばれる単位構造が3次元的に連結し、その間隙に細孔が形成されている。P/Cが小さすぎると該1次粒子の粒子径が小さくなりすぎるためメソ細孔が十分に形成されない。一方P/Cが大きすぎると該1次粒子の粒子径が大きくなりすぎるため細孔径分布がマクロ孔(細孔直径>50nm)領域に遷移し、メソ細孔領域に十分な細孔が形成されない。以上の理由から、P/Cの特に好ましい範囲は100〜1000である。
【0055】
また、フェノール類(P)と反応溶媒(S1)の比率(P/S1)は、反応系内におけるフェノール類(P)の濃度を意味し、上記1次粒子の溶液中の数密度を決定するパラメーターである。P/S1が小さすぎると溶液中に形成される上記1次粒子の数密度が低くなるため、図1に示した3次元構造が形成されるための十分な個数の1次粒子が生成しない。逆にP/S1が大きすぎると1次粒子の数密度が高くなりすぎるため、1次粒子間に形成される空隙の容積が小さくなり、十分に大きいメソ細孔容積を有する多孔性炭素ビーズを得ることができない。よって、P/S1の特に好ましい範囲は0.1〜0.5g/cmである。
【0056】
(b)の工程は、上記(a)工程で得られるフェノール系樹脂の前駆体溶液を、液滴固化造粒法によりフェノール系樹脂のビーズ状成形体に成形するものである。
【0057】
本発明者等の検討によれば、フェノール系樹脂の前駆体水溶液を分散溶媒(S2)中に、好ましくは所定量ずつ断続的に吐出させると、逆相乳化重合法を用いた場合に比較して、均一にゲル化反応が進むことが知見された。この理由は現時点では定かではないが、逆相乳化重合法で得られる多分散の粒度分布を有する前駆体水溶液の液滴では、分散溶媒中で大きな液滴はさらに大きく、小さな液滴はさらに小さくなる、いわゆる「オストワルド熟成」が避けられないのに対し、本発明の方法を用いた場合には、均一な粒度分布を有する前駆体水溶液の液滴の分散状態が得られるため、分散溶媒中での分散安定性が比較的向上するからと考えている。
【0058】
このようなゲル化反応を好適に行える装置としては、たとえば、図2に示すような装置を挙げることができる。
【0059】
図2において、(1)はシリンジポンプであり、シリンジ針の先端から前駆体水溶液を一定速度で、分散溶媒(S2)中に吐出させるために使用する。また、(2)は分散溶媒を循環させるためのラインである。(3)はしごきポンプであり、分散溶媒を連続的に循環させるが、一般にしごきポンプ(3)は装置の構造上、脈動が生じる。本装置では、この脈動によるライン内の流速の周期的な変動を利用してシリンジ針の先端から前駆体水溶液を切り取っている。即ち、しごきポンプ(3)の回転速度を上げると、脈動の周波数も大きくなるため、シリンジ針の先端に形成された前駆体水溶液の液滴が切り取られるまでの時間は短くなるため、形成される液滴の大きさは小さくなる。このようにしごきポンプ(3)の回転速度を制御することで、液滴の粒子径を制御することが可能である。このライン(2)を経由して、前駆体水溶液の液滴はタンク(4)に集められる。さらに、タンク(4)は分散溶媒で満たされ、前駆体水溶液に含まれる反応溶媒(S1)の沸点以下に温度制御されている。また、(5)は液滴同士の凝集を抑制するためにタンク(4)の底部に設置したマグネチックスターラーであり、シリンジ内の前駆体水溶液が全て吐出されてさらにゲル化反応が終了するまでの間、低速度で攪拌を継続している。この方法により、シリンジ針の先端から押し出された前駆体溶液の液滴は循環する油相により、切り取られ球状となり、ついで恒温槽でゲル化し、ビーズ状成形体となる。
【0060】
この図2の装置を用いてフェノール系樹脂の前駆体溶液のゲル化物を得るには、シリンジ針にフェノール系樹脂の前駆体溶液を導入し、その先端から該前駆体溶液を加熱した油相中に一定に制御された速度で連続的に吐出させればよい。
【0061】
この成形工程において使用する吐出手段は反応溶媒(S1)や分散溶媒(S2)により腐食・変形・変性されやすい材質を除けば、いかなる材質を用いても良い。使用する吐出手段の変型例としては、たとえば図3に示すように(1)金属ノズル、(2)多孔質セラミック多孔質膜などを挙げることができるが、他のいかなる材質・形状のものも用いることができる。
【0062】
成形工程において使用する分散溶媒(S2)は、反応溶媒(S1)に対する溶解性の低いものであればいかなる種類のものも用いることができるが反応触媒(S1)よりも沸点の高いものであることが好ましい。反応触媒(S1)として水を用いるのが好適であるため、水との親和性の低い疎水性溶媒が分散触媒(S2)として特に好適である。
【0063】
(c)の工程は、得られるビーズ状成形体のゲル化物の粒子内細孔に含まれる溶媒を除去し乾燥する工程である。
【0064】
乾燥工程において用いられる乾燥法は特に制限されることなく、超臨界乾燥、凍結乾燥、熱風乾燥、真空乾燥、マイクロ波乾燥等の公知の各種の乾燥法も用いることができる。なかでも、メソ細孔の乾燥による収縮を最小限に抑制するためには、超臨界乾燥または凍結乾燥を利用するのが特に好適である。
【0065】
(d)の工程は、乾燥されたビーズ状成形体を好ましくは不活性ガス雰囲気中で炭化させることによりメソ多孔性炭素ビーズを作製する工程である。
【0066】
この炭化工程における処理温度は得られる多孔性炭素ビーズの疎水性に影響する。炭化温度が500℃より低いと炭素前駆体の熱分解が十分に進まないため炭素含有量が低くなり疎水性吸着材として十分な特性が得られない。中でも、好ましい温度範囲は750℃以上である。また、その上限温度は、処理温度が高すぎると熱分解が進みすぎてビーズの構造が脆くなるため1500℃程度である。
【0067】
本発明に係るメソ多孔性炭素ビーズは、該炭素ビーズのメソ孔内に金属を担持させることで触媒として用いることができる。
【0068】
この場合、担持させる金属としては、用途に応じて適宜の材料を選択することができる。例えば、水処理用触媒とする場合には、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄、バナジウム、セリウム、亜鉛などの周期表における4A族から8族の遷移金属を担持させることが好ましい。担持させる金属の量としては、水処理のための性能を十分発揮させるためには、触媒全体に対して0.5〜50質量%程度であることが好ましい。金属をメソ多孔性ビーズに担持させる方法としては、例えば含浸法のような方法を用いることができる。
【0069】
メソ多孔性炭素ビーズに金属を担持させたビーズ状触媒は、例えば、該ビーズ状触媒を充填した反応器に、有機物を溶解した水溶液を流通させ、酸化剤としてオゾンを反応器底部から通気(バブリング)してビーズ状触媒を流動化させることにより、水溶液中に含まれる有機物の分解除去させることが可能となる。
【0070】
ここで水処理用触媒としての本発明のビーズ状触媒の性能評価を行う装置例(マルチサンプリング式・オゾン反応促進触媒性能評価装置)について図9および図10により説明する。図9は本発明の実施形態に係るマルチサンプリング式・オゾン反応促進触媒性能評価装置の構造を概念的に示した図、図10は図9の性能評価装置による着色水の脱色反応におけるビーズ状触媒の有無による効果の相違を示す図である。
【0071】
この性能評価装置は、並列に配置された4つの反応器(11)〜(14)を備えている。この例では反応器(11)と(12)、反応器(13)と(14)がそれぞれ対となっている。各反応器(11)〜(14)の底部にはオゾンを内部に導入するためのオゾン導入部(11a)〜(14a)が形成され、各反応器(11a)〜(14a)の上方には被処理水(15A)、(15B)を内部に導入するための被処理水導入部(11b)〜(14b)が設けられ、各反応器(11)〜(14)の下方には処理水排出のための処理水排出部(11c)〜(14c)が設けられている。
【0072】
(16A)、(16B)はそれぞれ被処理水(15A)、(15B)を貯留する被処理水貯留槽であり、この例では、被処理水貯留槽(16A)に貯留されている被処理水(15A)は赤系の染料を含有した溶液、被処理水貯留槽(16B)に貯留されている被処理水(15B)は青系の染料を含有した溶液としてある。
【0073】
被処理水貯留槽(16A)に貯留されている被処理水(15A)はライン(17A)、(17B)を介してそれぞれ反応器(11)、(12)に供給されるようになっている。被処理水貯留槽(16B)に貯留されている被処理水(15B)はライン(17C)、(17D)を介してそれぞれ反応器(13)、(14)に供給されるようになっている。一方、反応器(11)〜(14)で処理された被処理水は処理水排出部(11c)〜(14c)よりライン(18A)〜(18D)を介して処理水(19A)〜(19D)として送液され、処理水貯留槽(20A)〜(20D)に貯留されるようになっている。
【0074】
反応器(12)、(14)内には本発明に係るビーズ状水処理用触媒(21A)、(21B)がそれぞれ充填されており、反応器(11)、(13)内には水処理用触媒は充填されていない。
【0075】
オゾン発生器(22)はコンプレッサー(23)から供給された酸素をオゾンとし、ライン(24)と該ライン(24)より分岐したライン(25A)〜(25D)を介して反応器(11)〜(14)にオゾン導入部(11a)〜(11d)から供給されるようになっている。分岐ライン(25A)〜(25D)には三方弁と流量計がそれぞれ取り付けられ、反応器(11)〜(14)内に供給されるオゾン量が制御できるようになっている。
【0076】
なお、図示はしていないが、自動制御機構により、被処理水貯留槽(16A)、(16B)から所定量ずつ各反応器(11)〜(14)に被処理水(15A)、(15B)が供給され、所定時間のオゾンバブリングを行った後に、処理水を自動的に処理水貯留槽(20A)〜(20D)に排出する。この一連の供給・排出処理は上記の自動制御機構により繰り返し行われるようになっている。
【0077】
本実施形態の水処理用触媒性能評価装置による水処理用触媒(21A)、(21B)の性能評価は次のようにして行われる。
【0078】
上述のように反応器(12)、(14)内には水処理用触媒(21A)、(21B)が充填され、反応器(11)、(13)には水処理用触媒は充填されていない状態となっている。この状態において、被処理水貯留槽(16A)より被処理水(15A)をライン(17A)、(17B)を介して被処理水導入部(11b)、(12b)から反応器(11)、(12)内に供給し、また被処理水貯留槽(16B)より被処理水(15B)をライン(17C)、(17D)を介して被処理水導入部(13b)、(14b)から反応器(13)、(14)内に供給する。一方、コンプレッサー(23)から供給されてきた空気をオゾン発生器(22)により高濃度オゾンを含む空気とし、発生させたオゾンをライン(24)と分岐ライン(25A)〜(25D)を介してオゾン導入部(11a)〜(11d)から反応容器(11)〜(14)に供給し、内部でバブリングを起こさせる。このとき、反応器(12)、(14)内では、オゾンのバブリングによりビーズ状の水処理用触媒(21A)、(21B)が流動化する。反応器(11)、(13)内ではオゾンのバブリングのみとなる。反応器(11)〜(14)で処理された処理水(19A)〜(19D)は処理水排出部(11c)〜(14c)よりライン(18A)〜(18D)を介して送液され、処理水貯留槽(20A)〜(20D)に貯留される。
【0079】
上記のようにすると、水処理用触媒(21A)、(21B)の有無による着色した被処理水(15A)、(15B)への影響を、処理水(19A)〜(19D)の脱色の様子として目視することができる。
【0080】
上記では、染料で着色した被処理水(15A)、(15B)を用いたが、これに限定されず、工場や家庭、研究所等の各種廃液をはじめ、有機物を含有する溶液を用いることができる。
【0081】
また、上記では、2対の反応器(11)、(12);(13)、(14)を用いたが、1対でも、3対以上の適宜の対数とすることができる。
【0082】
上記装置は、特に開発中の触媒量が少ない場合に好適である(少ない触媒量に対して多量のサンプル水を得ることができる)。また、触媒の評価の精度を高くするためには,水が接触する各部品の表面に分解対象とする有機物の分子が吸着しにくい材質を使用するとよい。
【0083】
もちろん、上記性能評価装置は一般のオゾン反応促進触媒の評価実験に使用することもできる。
【0084】
次に、本発明の水処理用ビーズ状触媒を実廃水処理装置に適用した実施形態について図11および図12により説明する。図11は循環型の実廃水処理装置の構造の概念図であり、図12は連続型の実廃水処理装置の構造の概念図である。
【0085】
まず、循環型の実廃水処理装置について述べる。
【0086】
図11中V1は、本発明のビーズ状水処理用触媒が充填された反応器である。廃液貯留槽(T0)は廃液(31)を貯留し、ライン(32)を介して反応器(V1)の廃液導入部(33)に連結されており、その途中に三方弁(34)、送液ポンプ(35)、流量計(36)、三方弁(37)が配置されている。また、オゾン発生器(38)はコンプレッサー(39)から供給された空気から高濃度オゾンを発生させ、ライン(40)を介して反応器(V1)に連結されており、反応器(V1)の底部に設けられたオゾン導入部(41)から内部に高濃度オゾンを供給するようになっている。ライン(40)の途中には三方弁(42)、流量計(43)が配置されている。
【0087】
反応器(V1)には処理水排出部(44)が形成されており、処理された廃液が処理水(45)としてライン(46)を介して送液され、処理水貯留槽(T1)に貯留されるようになっている。処理水(45)は一旦処理水貯留槽(T1)に貯留された後、別の処理水貯留槽(T2)に送液され、貯留される。このため、処理水貯留槽(T1)と処理水貯留槽(T2)の間には、三方弁(47)、送液ポンプ(48)、流量計(49)が配置されている。処理水貯留槽(T2)に貯留された処理水(45)の一部はライン(50)、三方弁(37)およびライン(32)を介して再度反応器(V1)に送液されるようになっている。ライン(50)の途中には流量計(51)、送液ポンプ(52)、三方弁(53)が配置されている。処理水貯留槽(T2)の排出側にも三方弁(54)、送液ポンプ(55)、流量計(56)が配置されている。
【0088】
本実施形態の実廃水処理装置による廃水処理は次のようにして行われる。
【0089】
上述のように反応器(V1)内には水処理用触媒が必要量充填されている。廃液貯留槽(T0)内に貯留されている廃液(31)は送液ポンプ(35)によりライン(32)を介して廃液導入部(33)から反応器(V1)内に供給される。一方、オゾン発生器(38)はコンプレッサー(39)から供給されてきた空気をオゾンとし、発生させたオゾンをライン(40)を介してオゾン導入部(41)から反応器(V1)の底部に供給し、内部でバブリングを起こさせる。このとき、反応器(V1)内では、オゾンのバブリングによりビーズ状の水処理用触媒が流動化する。反応器(V1)で処理された処理水(45)は処理水排出部(44)よりライン(46)を介して送液され、処理水貯留槽(T1)に貯留される。処理水貯留槽(T1)に一旦貯留された処理水(45)は送液ポンプ(48)により別の処理水貯留槽(T2)に送液され、貯留される。処理水貯留槽(T2)に送液された処理水(45)の一部は、送液ポンプ(52)によりライン(50)、三方弁(37)およびライン(32)を介して再度反応器(V1)に送液され、再び処理された後、処理水(45)として排出される。以降、上記と同様、貯留、送液、貯留が繰り返される。
【0090】
次に、連続型の実廃水処理装置について述べる。
【0091】
図12に示す実廃水処理装置では、本発明のビーズ状水処理用触媒が充填された3つ反応器(V0)、(V1)、(V2)が連続配置されている。廃液貯留槽(T0)は廃液(61)を貯留し、ライン(62)を介して第1段目の反応器(V0)の廃液導入部(63)に連結されており、その途中に送液ポンプ(64)、三方弁(65)、流量計(66)が配置されている。第1段目の反応器(V0)には処理水排出口(67)が設けられ、1回目の処理をされた廃液である処理水(68)がライン(69)を介して送液され、処理水貯留槽(70)に貯留されるようになっている。第2段目の反応器(V1)にも廃液導入部(71)が形成され、上記処理水貯留槽(70)とライン(72)を介して連結されている。ライン(72)上にも送液ポンプ(73)が配置されている。第2段目の反応器(V1)にも処理水排出口(74)が設けられ、2回目の処理をされた廃液である処理水(75)がライン(76)を介して送液され、処理水貯留槽(77)に貯留されるようになっている。第3段目の反応器(V2)にも廃液導入部(78)が形成され、上記処理水貯留槽(77)とライン(79)を介して連結されている。ライン(79)上にも送液ポンプ(80)が配置されている。第3段目の反応器(V2)にも処理水排出口(81)が設けられ、最終的な処理水(82)がライン(83)を介して送液され、処理水貯留槽(T1)に貯留されるようになっている。ライン(83)には三方弁(84)が配置されている。処理水貯留槽(T1)の排出側には送液ポンプ(85)、三方弁(86)、流量計(87)が配置されている。
【0092】
また、オゾン発生器(88)はブロワー(89)から供給された空気を高濃度オゾンを含む空気とし、ライン(90)と該ライン(90)より分岐したライン(91A)〜(91C)を介して反応器(V0)〜(V2)に連結されており、反応器(V0)〜(V2)の底部にそれぞれ設けられたオゾン導入部(92)〜(94)から内部にオゾンを供給するようになっている。ライン(91A)〜(91C)の途中にはそれぞれ流量計(95A)〜(95C)、三方弁(96A〜96C)が配置されている。
【0093】
本実施形態の実廃水処理装置による廃水処理は次のようにして行われる。
【0094】
上述のように反応器(V0)〜(V2)内にはそれぞれ水処理用触媒が必要量充填されている。廃液貯留槽(T0)内に貯留されている廃液(61)は送液ポンプ(64)によりライン(62)を介して廃液導入部(63)から反応器(V0)内に供給される。一方、オゾン発生器(88)はブロワー(89)から供給されてきた空気をオゾンとし、発生させたオゾンをライン(90)、(91A)を介してオゾン導入部(92)から反応器(V0)の底部に供給し、内部でバブリングを起こさせる。このとき、反応器(V0)内では、オゾンのバブリングによりビーズ状の水処理用触媒が流動化する。反応器(V0)で処理された処理水(68)は処理水排出部(67)よりライン(69)を介して送液され、処理水貯留槽(68)に貯留される。同様な操作が反応器(V1)、(V2)においても行われ、最終的な処理水(82)がライン(83)を介して送液され、処理水貯留槽(T1)に貯留される。
【0095】
上記では、反応器の段数を3にしたが、その段数はこれに限定されることなく、適宜の数に設定することができる。
【実施例】
【0096】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって何ら制限されるものではない。
【0097】
実施例1
(1)均一な粒子径を有するメソ多孔性炭素ビーズの作製
原料のフェノール類(P)としてのレゾルシノールと、アルデヒド類(A)としてのホルムアルデヒドと、触媒(C)としての炭酸ナトリウムとを、反応溶媒(S)としての蒸留水に溶解して、レゾルシノール/ホルムアルデヒド水溶液(RF水溶液)を調製し、25℃において保持してゾル−ゲル反応を進行させた。これら原料の混合比率は、RF水溶液中のレゾルシノールとホルムアルデヒドのモル比(R/F [mol/mol])を0.5、レゾルシノールと炭酸ナトリウムとのモル比(R/C [mol/mol])を400、レゾルシノールと蒸留水との比率(R/W [g/cm])を0.25とした。ゾル−ゲル反応は、原料 を混合した後、粘度が0.5(Pa・s)以上となるまで25℃において進行させた。
【0098】
このようにして得られたRF水溶液25cmをシリンジに取り、図2に示すような装置を使用してシリンジ針(孔径0.41mm)の先端から分散溶媒中に0.025cm/分の速度で押し出した。押し出された液滴は循環する分散溶媒流れによりシリンジ針先端から一定体積ずつ切り取られて球状となり、90℃に保温した恒温槽の中でゲル化してRF湿潤ゲルビーズが合成された。分散溶媒の循環速度は1.3cm/分に設定した。
【0099】
RF湿潤ゲルビーズはシクロヘキサンおよびエタノールで洗浄し、付着した分散溶媒を十分に洗浄した後、アルコール溶媒中(t−ブタノール)に浸漬する操作を3回繰り返した。続いて得られたRF湿潤ゲルビーズを凍結乾燥することによって、炭素前駆体であるRF有機ゲルビーズを得た。続いて電気管状炉を用いてアルゴン雰囲気中でRF有機ゲルビーズの炭化を行った。まず250℃/分の昇温速度で250℃まで昇温し2時間保持した後、次に250℃/分の昇温速度で1000℃まで昇温し、この温度で4時間保持した後放冷し、多孔性炭素ビーズを得た。
【0100】
(2)均一な粒子径を有するメソ多孔性炭素ビーズの粒度分布測定
多孔性炭素ビーズの全体像を光学顕微鏡で撮影し、撮影画像を画像解析することで粒子直径分布、平均粒子直径、分布の標準偏差を求めた。図4に粒子直径分布を表1に平均粒子直径と標準偏差を示す。図4より得られた多孔性炭素ビーズは均一な粒子直径分布を有していることが確認できる。また表1に示すように、標準偏差の平均粒子直径に対する割合は10.2%であり、この出願の発明の多孔性炭素ビーズが得られていることが確認された。
【0101】
【表1】

【0102】
(3)均一な粒子径を有するメソ多孔性炭素ビーズの細孔特性評価
多孔性炭素ビーズの細孔特性を、窒素ガス吸着法により評価した。窒素ガス吸着量の測定は−196℃で行い、測定した窒素ガスの脱着側の等温線にDollimore-Heal解析法(DH解析法)を適用することにより、メソ細孔の分布と容積を求めた。またミクロ細孔容積は等温線をtプロット法で解析することにより求めた。図5に、得られた多孔性炭素ビーズのDH解析法による細孔径分布を、また表2に、細孔径分布のピーク値、メソ細孔容積、ミクロ細孔容積、メソ細孔容積が全細孔容積に占める割合を示した。
【0103】
図5より、実施例1で得られた多孔性炭素ビーズの細孔直径分布のピーク値が14.0nmであり、2〜50nmの範囲内にピーク値を有する。また、直径50nm以上のいわゆるマクロ孔は全く存在しないことが確認できる。表2より、メソ細孔容積は0.86cm/g、ミクロ細孔容積は0.17cm/gであるため、全細孔容積に占めるメソ細孔の割合は83%である。以上の結果から、この出願の発明の多孔性炭素ビーズが得られていることが確認された。
【0104】
【表2】

【0105】
(4)均一な粒子径を有するメソ多孔性炭素ビーズの組成分析
このようにして得られた多孔性炭素ビーズの組成を、元素分析計を用いて測定した。表3に示すように炭素が85.6%、酸素が13.7%、水素が0.7%であることから、この出願の発明の多孔性炭素ビーズが得られていることが確認された。
【0106】
【表3】

【0107】
実施例2
実施例1において、分散溶媒の循環速度を2.0cm/分に設定し、あとは実施例1と同様にして、多孔性炭素ビーズを製造した。得られた多孔性炭素ビーズについて、実施例1と同様に、粒子直径分布測定および細孔特性評価を行った。
【0108】
図4より、実施例2で得られた多孔性炭素ビーズも均一な粒子直径分布を有していることが確認できる。表1に示すように、分布の標準偏差は平均粒子直径の11.0%である。また、図5に示すように、実施例2で得られた多孔性炭素ビーズの細孔直径分布のピーク値は10.0nmであり、2〜50nmの範囲内にピーク値を有し、さらに表2に示したように、実施例2において得られた多孔性炭素ビーズのメソ細孔容積は全細孔容積の60%以上を占める。以上の結果から、この出願の発明の多孔性炭素ビーズが得られていることが確認された。
【0109】
実施例3
実施例1において、分散溶媒の循環速度を3.0cm/分に設定し、あとは実施例1と同様にして、多孔性炭素ビーズを製造した。得られた多孔性炭素ビーズについて、実施例1と同様に、粒子直径分布測定および細孔特性評価を行った。
【0110】
図4より、実施例3で得られた多孔性炭素ビーズも均一な粒子直径分布を有していることが確認できる。表1に示すように、分布の標準偏差は平均粒子直径の18.8%ある。また、図5に示すように、実施例3で得られた多孔性炭素ビーズの細孔直径分布のピーク値は14.0nmであり、2〜50nmの範囲内にピーク値を有し、さらに表2に示したように、実施例3において得られた多孔性炭素ビーズのメソ細孔容積は全細孔容積の60%以上を占める。以上の結果から、この出願の発明の多孔性炭素ビーズが得られていることが確認された。
【0111】
実施例4
実施例1において、分散溶媒の循環速度を6.0cm/分に設定し、あとは実施例1と同様にして、多孔性炭素ビーズを製造した。得られた多孔性炭素ビーズについて、実施例1と同様に、粒子直径分布測定および細孔特性評価を行った。
【0112】
図4より、実施例4で得られた多孔性炭素ビーズも均一な粒子直径分布を有していることが確認できる。表1に示すように、分布の標準偏差は平均粒子直径の19.6%である。また、図5に示すように、実施例4で得られた多孔性炭素ビーズの細孔直径分布のピーク値は19.2nmであり、2〜50nmの範囲内にピーク値を有し、さらに表2に示したように、実施例4において得られた多孔性炭素ビーズのメソ細孔容積は全細孔容積の60%以上を占める。以上の結果から、この出願の発明の多孔性炭素ビーズが得られていることが確認された。
【0113】
実施例5
実施例1において、分散溶媒の循環速度を10cm/分に設定し、あとは実施例1と同様にして、多孔性炭素ビーズを製造した。得られた多孔性炭素ビーズについて、実施例1と同様に、粒子直径分布測定および細孔特性評価を行った。
【0114】
図4より、実施例5で得られた多孔性炭素ビーズも均一な粒子直径分布を有していることが確認できる。表1に示すように、分布の標準偏差は平均粒子直径の12.7%である。また、図5に示すように、実施例5で得られた多孔性炭素ビーズの細孔直径分布のピーク値は19.2nmであり、2〜50nmの範囲内にピーク値を有し、さらに表2に示したように、実施例5において得られた多孔性炭素ビーズのメソ細孔容積は全細孔容積の60%以上を占める。以上の結果から、この出願の発明の多孔性炭素ビーズが得られていることが確認された。
【0115】
実施例6
実施例1において、分散溶媒の循環速度を20cm/分に設定し、あとは実施例1と同様にして、多孔性炭素ビーズを製造した。得られた多孔性炭素ビーズについて、実施例1と同様に、粒子直径分布測定および細孔特性評価を行った。
【0116】
図4より、実施例6で得られた多孔性炭素ビーズも均一な粒子直径分布を有していることが確認できる。表1に示すように、分布の標準偏差は平均粒子直径の17.3%である。また、図5に示すように、実施例6で得られた多孔性炭素ビーズの細孔直径分布のピーク値は10.0nmであり、2〜50nmの範囲内にピーク値を有し、さらに表2に示したように、実施例6において得られた多孔性炭素ビーズのメソ細孔容積は全細孔容積の60%以上を占める。以上の結果から、この出願の発明の多孔性炭素ビーズが得られていることが確認された。
【0117】
上記の実施例1〜6で得られた多孔性炭素ビーズの平均粒子直径は図6に示すように、200〜1000ミクロンの範囲で制御することが可能である。よって、この出願の発明の多孔性炭素ビーズが得られていることが確認された。
【0118】
比較例1
(1)逆相乳化重合によるメソ多孔性炭素ビーズの作製
特開2004−315283号公報の記載の逆相乳化重合によりメソ多孔性炭素ビーズを合成した。原料の混合比率は、実施例1に記載したのと同じ条件とした。
【0119】
まず、RF水溶液中のレゾルシノールとホルムアルデヒドのモル比(R/F[mol/mol]
)を0.5、レゾルシノールと炭酸ナトリウムとのモル比(R/C [mol/mol])を400、レゾルシノールと蒸留水との比率(R/W [g/cm])を0.25とした。ゾル−
ゲル反応は、原料を混合した後、粘度が0.5(Pa・s)以上となるまで25℃において進行させた。
【0120】
このようにして得られたRF水溶液40cmを、ソルビタンモノオレートを主成分とする界面活性剤(ICI社の商品名SPAN80)を5体積%溶解させた分散溶媒としてのシクロヘキサン中に、攪拌しながら注入してエマルジョンを生成させた後、ゲル化が完了するまで5〜10時間連続して攪拌を行ない、RF湿潤ゲルビーズを作製した。この時のシクロヘキサンの温度は60℃とした。
【0121】
RF湿潤ゲルビーズは、アルコール溶媒中(t−ブタノール)に浸漬する操作を3回繰り返した後、得られたRF湿潤ゲルビーズを凍結乾燥することによって、炭素前駆体であるRF有機ゲルビーズを得た。続いて電気管状炉を用いてアルゴン雰囲気中でRF有機ゲルビーズの炭化を行った。まず250℃/分の昇温速度で250℃まで昇温し2時間保持した後、次に250℃/分の昇温速度で1000℃まで昇温し、この温度で4時間保持した後放冷し、多孔性炭素ビーズを得た。
【0122】
(2)逆相乳化重合により得られたメソ多孔性炭素ビーズの細孔特性評価
図4より、比較例1で得られた多孔性炭素ビーズの細孔直径分布のピーク値は7.8nmであり、2〜50nmの範囲内にピーク値を有する。また、直径50nm以上のいわゆるマクロ孔は全く存在しないことが確認できる。また、表2より、メソ細孔容積は0.63cm/g、ミクロ細孔容積は0.13cm/gであるため、全細孔容積に占めるメソ細孔の割合は83%である。
【0123】
(3)逆相乳化重合により得られたメソ多孔性炭素ビーズの粒度分布測定
多孔性炭素ビーズの全体像を光学顕微鏡で撮影し、撮影画像を画像解析することで粒子直径分布、平均粒子直径、分布の標準偏差を求めた。図7に比較例1で得られた多孔性炭素ビーズの全体像を、実施例5で得られた多孔性炭素ビーズのそれと比較した。その結果、実施例5の多孔性炭素ビーズは粒度が均一であるのに対し、比較例1の多孔性炭素ビーズの粒度分布は多分散であることが明白である。図8に比較例1の多孔性炭素ビーズの粒子直径分布を示す。また、表1に平均粒子直径と分布の標準偏差を示す。図8より得られた多孔性炭素ビーズの粒子直径分布は25〜700ミクロンの広い範囲に分布を有していることが確認できる。また表1に示すように、分布の標準偏差は平均粒子直径の56.2%であることが確認された。よって、本方法で得られた炭素ビーズはメソ多孔性を示すものの、粒度分布は均一ではない。
【0124】
実施例7
実施例3で作成したメソ多孔性炭素ビーズにコバルトを担持させたビーズ状水処理用触媒を作製した。コバルトの担持量は触媒全体に対して5.0質量%とした。
【0125】
この水処理用触媒を用い、図9および図10に示した構成のマルチサンプリング式・オゾン反応促進触媒評価装置を用いて着色水の脱色性能評価試験を行った。ビーズ状触媒は図10の反応器(12)と(14)にのみ充填した。ビーズ状触媒を充填した反応器(12)および(14)は、オゾンのみをバブリングした(ビーズ状触媒を用いていない)反応器(11)および(13)に比較して着色水がほぼ完全に脱色されていることが確認された。
【0126】
実施例8
実施例7において、コバルトの代わりにニッケルを担持させ、その担持量を触媒全体の5.0質量%としたこと以外は同様にして脱色性評価試験を行った。その結果、実施例7と同様な結果が得られた。
【0127】
実施例9
図11に示すタイプの装置であって循環型の装置の反応器に実施例7、8で用いたものと同様なビーズ状触媒をそれぞれ充填し、酸化剤としてオゾンをバブリングして水溶液中のフェノールを分解した場合のフェノール濃度の経時変化を調べた。その結果を図13に示す。オゾンのみをバブリングした場合には30分間フェノール水溶液を循環させてもフェノールの濃度が初期値の60%程度までしか低下していないのに対し、本発明のビーズ状触媒をオゾンと併用した場合には15分でフェノール濃度が初期値の10%以下まで低下しており、該ビーズ状触媒が水溶液中の有機物のオゾン酸化反応を促進させる効果があることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】メソ多孔性炭素ビーズの内部に形成される1次粒子の3次元構造を概念的に示す図である。
【図2】本発明に係るメソ多孔性炭素ビーズの前駆体の合成装置の説明図である。
【図3】図2の合成装置における吐出手段の変型例の説明図である。
【図4】実施例1〜6において得られたメソ多孔性炭素ビーズの粒子直径分布を示した図である。
【図5】実施例1〜6および比較例1において得られたメソ多孔性炭素ビーズのDH解析法による細孔直径分布を例示した図である。
【図6】実施例1〜6において得られたメソ多孔性炭素ビーズの平均粒子直径と分散溶媒の循環速度の関係を例示した図である。
【図7】実施例5および比較例1において得られたメソ多孔性炭素ビーズの全体像を示した光学顕微鏡写真である。
【図8】比較例1において得られたメソ多孔性炭素ビーズの粒子直径分布を示した図である。
【図9】マルチサンプリング式・オゾン反応促進触媒評価装置の構造を概念的に示した図である。
【図10】マルチサンプリング式・オゾン反応促進触媒評価装置による着色水の脱色反応におけるビーズ状触媒の有無の効果を示した図である。
【図11】循環型の実廃水処理装置の構造を概念的に示した図である。
【図12】連続型の実廃水処理装置の構造を概念的に示した図である。
【図13】循環型の実廃水処理装置によるフェノール水溶液中のフェノール濃度の経時変化を示した図である。
【符号の説明】
【0129】
1 シリンジポンプ
2 ライン
3 しごきポンプ
4 タンク
5 マグネチックスターラー
11〜14 反応器
15A、15B 被処理水
16A、16B 被処理水貯留槽
19A〜19D 処理水
20A〜20D 処理水貯留槽
V1(図11) 反応器
T0 廃液貯留槽
31 廃液
38 オゾン発生器
39 コンプレッサー
45 処理水
V0、V1、V2(図12) 反応器
T0 廃液貯留槽
61 廃液
68、75、82 処理水
70、77、T1(図12) 処理水貯留槽
88 オゾン発生器
89 ブロワー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール系樹脂のビーズ状成形体を前駆体とするメソ多孔性炭素ビーズであって、粒子直径分布の標準偏差が平均粒子直径の30%未満であることを特徴とするメソ多孔性炭素ビーズ。
【請求項2】
粒子直径分布の標準偏差が平均粒子直径の20%未満であることを特徴とする請求項1に記載のメソ多孔性炭素ビーズ。
【請求項3】
下記の工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法。
(a)フェノール類(P)とアルデヒド類(A)とを、反応溶媒(S1)中で触媒(C)の存在下で重合反応させてフェノール系樹脂の前駆体溶液を調製する工程、
(b)得られる前駆体溶液を、分散溶媒(S2)中に断続的に吐出させてゲル化させる、液滴固化造粒法により、フェノール系樹脂のビーズ状成形体を得る工程、
(c)得られるビーズ状成形体の粒子内細孔に含まれる溶媒を除去し乾燥する工程、
(d)乾燥されたビーズ状成形体を炭化させることによりメソ多孔性炭素ビーズを得る工程。
【請求項4】
前駆体溶液を、シリンジ、ノズルあるいは多孔質膜のいずれかを用いて、分散溶媒(S2)中に断続的に吐出させることを特徴とする請求項3に記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法。
【請求項5】
フェノール類(P)と触媒(C)とのモル比(P/C)が10〜1500であることを特徴とする請求項3又は4に記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法。
【請求項6】
フェノール類(P)と反応溶媒(S1)の比率(P/S1)が0.05g/cm〜飽和濃度未満であることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法。
【請求項7】
炭化温度が、500℃以上であることを特徴とする請求項3乃至6の何れかに記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法。
【請求項8】
炭化温度が、750℃以上であることを特徴とする請求項7に記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法。
【請求項9】
請求項3乃至8の何れかに記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造方法に使用される装置であって、下記の手段を備えたことを特徴とするメソ多孔性炭素ビーズの製造装置。
(a)フェノール類(P)とアルデヒド類(A)とを、反応溶媒(S1)中で触媒(C)の存在下で重合反応させてフェノール系樹脂の前駆体溶液を調製する手段、
(b)得られる前駆体溶液を、分散溶媒(S2)中に断続的に吐出させてゲル化させ、フェノール系樹脂のビーズ状成形体を得る手段、
(c)得られるビーズ状成形体の粒子内細孔に含まれる溶媒を除去し乾燥する手段、
(d)乾燥されたビーズ状成形体を炭化させることによりメソ多孔性炭素ビーズを得る手段。
【請求項10】
前駆体溶液を分散溶媒(S2)中に断続的に吐出させる手段が、シリンジ、ノズルあるいは多孔質膜の何れかであることを特徴とする請求項9に記載のメソ多孔性炭素ビーズの製造装置。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のメソ多孔性炭素ビーズのメソ細孔内に金属を担持させてなることを特徴とする水処理用触媒。
【請求項12】
被処理水を内部に導入するための被処理水導入部、処理水を排出するための処理水排出部、およびオゾンを内部に導入するためのオゾン導入部をそれぞれ有し、並列に配置された少なくとも2つの反応器と、
被処理水を貯留する被処理水貯留槽と、
該反応器の処理水排出部より排出された処理水を貯留する処理水貯留槽と、
該被処理水貯留槽から被処理水を該反応器に供給する被処理水供給機構と、
該反応器にオゾンを供給するオゾン供給機構を備え、
請求項11に記載の水処理用触媒を充填した反応器と、水処理用触媒を充填しない反応器による処理水を該水処理用触媒の性能評価のための分析目的に連続的に採取することを特徴とする水処理用触媒性能評価装置。
【請求項13】
該処理水貯留槽に貯留された処理水を循環させて該反応器に導入させる処理水循環機構を有することを特徴とする請求項12に記載の水処理用触媒性能評価装置。
【請求項14】
請求項11の水処理用触媒が充填され、廃液を内部に導入するための廃液導入部、処理水を排出するための処理水排出部、およびオゾンを内部に導入するためのオゾン導入部を有する反応器と、
廃液を貯留する廃液貯留槽と、
該反応器の処理水排出部より排出された処理水を貯留する処理水貯留槽と、
該廃液貯留槽から廃液を該反応器に供給する廃液供給機構と、
該反応器にオゾンを供給するオゾン供給機構と、
該処理水貯留槽の処理水を循環させて該反応器に導入させる処理水循環機構を備えることを特徴とする実廃水処理装置。
【請求項15】
請求項11の水処理用触媒がそれぞれ充填され、処理水を排出するための処理水排出部、およびオゾンを内部に導入するためのオゾン導入部をそれぞれ有する複数の直列配置された反応器と、
廃液を貯留する廃液貯留槽と、
最終的に処理された処理水を貯留する処理水貯留槽と、
該廃液貯留槽から廃液を1段目の反応器に供給する廃液供給機構と、
各反応器にオゾンを供給するオゾン供給機構を備え、
2段目以降の反応器は前段の反応器から排出された処理水に対してさらに廃水処理を行うことを特徴とする実廃水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図7】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−99612(P2007−99612A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235387(P2006−235387)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】