説明

均一磁界発生器

【課題】磁界を均一状態にすることができる均一磁界発生器を提供する。
【解決手段】この均一磁界発生装置は、各巻回軸に巻回した、少なくとも4つのコイルを有する。これら4つのコイルは、同じ電流で駆動されるとき、これらのコイルが発生させた磁界の少なくとも1次の微係数から、7次の微係数までを、中心点で巻回軸に並列的に相殺するため互いに間隔が置く。各コイルは円形状であり、このコイルの径は、中心点を中心とする球形、および、このコイルを通すとともに、このコイルの巻回軸と直交する面の交差により定めた円形の径の、プラスマイナス2%の範囲内としてある。球形状は、同じ巻回軸に巻回した、全てのコイルに対して同じ形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状体の中心を中心とする均一磁界発生器に関し、また、この発生器を内蔵している磁界センサーにも関する。
【背景技術】
【0002】
従来の磁界発生器は、
−第1の巻回軸、第2の巻回軸、第3巻の巻回軸にそれぞれ巻回されている少なくとも1つの第1コイル、第2コイル、第3コイルを備え、第1の巻回軸、第2の巻回軸、第3の巻回軸は、中心点に対応する共通点で互いに直交および正割であり、
−同じ巻回軸に巻回されている1つのコイルまたは複数のコイルは、この1つまたは複数のコイルが同じ電流と交差するとき、この1つのコイルまたは複数のコイルにより発生した磁界の安定領域が中心となるように、この巻回軸のまわりに配置されている。
【0003】
3つの直交する各軸に沿って発生した磁界の安定領域が中心に来るとき、磁界は均一であると言われる。さらに詳しくは、均一磁界とは、中心点のレベルで、少なくとも1次の微係数がゼロである磁界である。1次の微係数のみがゼロである場合、中心点のおける磁界のテイラー級数分解の非ゼロ1次の微係数は、2次の微係数に対応するため、2次の均一磁場と呼ばれる。
【0004】
これ以降、磁界の中心点におけるテイラー級数分解の非ゼロ1次の微係数が(N−1)次の微係数に対応する場合、磁界にはN次の均一性であると言う。
【0005】
これ以降、「N次の発生器」という語は、N次の均一磁界の発生器を意味するものとする。
【0006】
磁界発生器が、同じ中心点で3つ直交方向に均一磁界を発生させる場合、磁界は、球状体の中心を中心とする均一状態である。
【0007】
現在、磁界発生器は、電気絶縁性材料からなる球状体に設けた溝にワイヤを巻回することにより製造されているが、その製造作業は複雑である。
【0008】
本発明に関連する先行技術文献としては、次のものを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許第10148288A1号
【特許文献2】特開2005−294537号公報
【特許文献3】特開2002−232182号公報
【特許文献4】欧州特許第2259081A1号
【特許文献5】欧州特許第1873543A1号
【特許文献6】欧州特許第1481637A1号
【0010】
これらの先行技術文献には、従前より簡単に形成することができるコイルの形態が記載されているが、このコイルの形態では、より精巧な磁界発生器により発生させられた磁界と比べると、その磁界の状態は、それほど均一ではない。さらに、必要な占有スペースは、相当に大である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この欠点を克服するため、本発明は、均一性に勝れ、かつ必要な占有スペースを最小とした磁界発生器を提供することを目的としている。本発明の目的は、請求項1に記載する発生器によって達成される。
【0012】
また、本発明の磁界発生器は、8次の均一磁界を発生させることが可能である。一方、上記の先行技術文献に記載されている磁界発生器は、せいぜい4次の均一磁界を発生させることができるのみである。また本発明の磁界発生器では、コイルは球状体の中心まわりに埋め込まれているため、磁界発生器は小型となり、必要な占有スペースは小さい。
【0013】
本発明の磁界発生器の実施形態は、従属請求項に記載する特徴の1つ以上を備えることができる。
【0014】
さらに、本発明の磁界発生器の実施形態は、下記の利点を有する。
−磁性リングは、電気配線の担持体としての機能を果たす以外、各磁性リングに設けたノッチおよび肩部により、関係位置を互いに精密に保つことができる。そのため、均一磁界発生器の組立および製造が簡単になる。
−同じ巻回軸に巻回した異なるコイルを直列に接続するため、磁界発生器の組立および使用が簡単になる。
−第2コイルの磁性リングにノッチを刻むとともに、第1コイルの磁性リングに肩部を設けたので、第1コイルの磁性リングを、他の固定手段を使用することなく、簡単に組み立てた状態で固定することができる。
−第3コイルの磁性リングにノッチを刻むとともに、第2コイルの磁性リングの対応する個所にノッチに対応する係合部を設けることにより、第2コイルの磁性リングを、その他の固定手段を使用することなく、簡単に組み立てた状態で固定することができる。
【0015】
また、本発明は、請求項7に記載の磁界センサーを提供することも目的としている。
【0016】
この種のセンサーは、磁心の内部におけるゼロ磁場で作動するように、それぞれの磁界に補償コイルを巻回した磁界センサーに比して、遥かに高い精度を有する。
【0017】
本発明のセンサーのある実施形態では、請求項8に記載する特徴を備えている。
【0018】
また、本発明のセンサーの実施形態は、次のような利点を有する。
−同じ磁性リングにおけるトランスデューサーのコイルを、ジェネレーターのコイルと同じように製造するので、磁性リングの数を減少させることができ、従って、センサーの製造が簡単になる。
【0019】
図を参照しながら、非限定的な実施例に関する次の説明を読むことにより、本発明をより明確に把握することができると思う。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】磁界センサーの概略図である。
【図2】図1の磁界センサーに使用しうる均一磁界発生装置の第1実施形態における概略斜視図である。
【図3】図2の磁界発生装置を形成するための、磁性リングを示す図である。
【図4】図2の磁界発生装置を形成するための、別の磁性リングを示す図である。
【図5】図2の磁界発生装置を形成するための、別の磁性リングを示す図である。
【図6】図2の磁界発生装置を組立てる工程の概略図である。
【図7】図2の磁界発生装置を組立てる工程の概略図である。
【図8】図2の磁界発生装置におけるコイルの関係位置を示す略図である。
【図9】磁界と中心Oの距離との関係における磁界の変化を示すグラフである。
【図10】図1のセンサーに使用しうる磁界発生装置の第2実施形態を示す概略斜視図である。
【図11】図10の磁界発生装置における磁性リングの略図である。
【図12】図10の磁界発生装置における磁性リングの略図である。
【図13】図10の磁界発生装置における磁性リングの略図である。
【図14】図10の磁界発生装置におけるコイルの位置を示す略図である。
【図15】図1の磁気センサーにおける磁界発生装置の第3実施形態を示す斜視図である。
【図16】図15に示す磁界発生装置における磁性リングの概略図である。
【図17】図15に示す磁界発生装置における磁性リングの概略図である。
【図18】図15に示す磁界発生装置における磁性リングの概略図である。
【図19】図1の磁界センサーに用いうる磁界発生装置の第4実施形態における磁性リングの略図である。
【図20】図1の磁界センサーに用いうる磁界発生装置の第4実施形態における磁性リングの略図である。
【図21】図1の磁界センサーに用いうる磁界発生装置の第4実施形態における磁性リングの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
各図において、同じ符号は、同じ要素を示している。
【0022】
以下において、当業者には公知の特徴や作用については、詳しく記載しない。
【0023】
この例では、磁性リングまたはPCBは、電気部品の組を電気的に接続するための支持体である。このような磁性リングは、全体的に成層板または積層板として形成される。この磁性リングは、単層または複層の磁性リング基板である。単層の磁性リングは、1つの金属化層のみを有し、この金属化層には、異なる電気部品を互いに電気的に接続するための導電性配線がプリントされている。逆に、複層磁性リングは、複数、例えば少なくとも2、好ましくは4、または6以上の金属化層を有する。
【0024】
金属化層は、磁性リングを形成する成層板の層の1つである。この磁性リングには、1つ以上の導電性配線が形成され、導電性配線は異なる電気部品を互いに電気的に接続している。この層は、平らであり、成層板の面と平行をなしている。
通常、金属化層は、導電性材料、典型的には、銅のような金属を、均一に蒸着し、次に、導電性配線のみが残されるように、この均一層をエッチングすることにより得られる。
【0025】
磁性リングの異なる金属化層同士は、電気絶縁性材料からなる絶縁層により、互いに間隔が設けられている。この絶縁性材料は、例えば、典型的には、3MV/m以上、好ましくは10MV/m以上の高い誘電剛性率を有している。電気絶縁性材料は、例えばエポキシ樹脂、および/またはガラス繊維である。絶縁層は、他の層と接合した際、粘質とならない材料からなる硬質板の形態をなしており、例えば、不可逆的な熱硬化性処理を施した熱硬化性樹脂からなっている。
【0026】
複層の磁性リングの異なる層は、「予備含浸層」と呼ばれ、一般的に「プレプレグ層」として知られている粘着性層により、自由度なく互いに接合されている。
【0027】
異なる金属化層の導電性配線は、絶縁層へ通した導電性パッドにより、電気的に接続することができる。導電性パッドは、一般に、「ビア」または「ビアホール」として知られている。ビアは、平面層に対して概ね直交している。これらのビアは、さまざまな方法で開けることがある。もっとも一般的な方法は、被交差絶縁層の単層または複層に孔を開け、次にこれらの孔の内壁に金属を塗布することである。従ってこのような孔は、金属化ホールと呼ばれている。
【0028】
図1は、磁界の3軸センサー2を示す。
より詳しくは、このセンサー2は、中心Oにおいて、互いに直交し、かつ正割である磁界強度を、X軸、Y軸、Z軸に沿って測定し、かつX軸、Y軸、Z軸における磁界の正投影を測定する。
【0029】
センサー2はフラックスゲートセンサーであり、このフラックスゲートセンサーは、
−磁界を電力に変換可能な、3軸トランスデューサー4と、
−3軸トランスデューサー4により発生させられた電力を処理するための処理装置6とを備えている。
【0030】
3軸トランスデューサー4は、
−それぞれX軸、Y軸、Z軸に沿って伸びる少なくとも3つの飽和可能な棒磁石と、
−各棒磁石を同期的に飽和させるために、各棒磁石に巻回されている励磁コイルと、
−各棒磁石における磁界を測定するための測定用コイルとを備えている。
【0031】
棒磁石は、磁性リングを形成するため、互いに磁気的に接続することができる。3軸トランスデューサー4は、例えば、図1に示すように、補償コイルが省略されていることを除き、フランス国原子力庁(Commissariat a l'energie atomique et aux energies alternatives)により、2011年9月7日に出願されたフランス国特許出願、発明の名称「磁性リング基板」(出願番号FR1157933号)に記載されているトランスデューサーと同じものである。
【0032】
処理装置6は、励磁コイルの駆動を制御し、X軸、Y軸、Z軸に沿う磁界強度を、そこから推定するために、測定用コイルの測定値を処理する。
【0033】
3軸センサー2は、均一磁界を発生させるための制御可能なジェネレーター8を備えている。このジェネレーター8は、球体10状の均一磁界を発生させる。
この球体10は、点Oを中心とし、その内部における磁界は所望の方向に均一であるとともに、X軸、Y軸、Z軸方向に調整可能である。
【0034】
3軸トランスデューサー4における3つの棒磁石は、この球体10の中に配置されている。
【0035】
ここで、ジェネレーター8は、それぞれX軸、Y軸、Z軸まわりに巻回された補償コイルからなっている。本発明のジェネレーター8の実施形態を、以下の図面を参照して、さらに詳しく説明する。
【0036】
なお、処理装置6は、測定磁界を相殺する補償磁界を、ジェネレーター8により発生させるためのX軸、Y軸、Z軸に沿って測定した磁界に応じて、ジェネレーター8を制御することが可能である。従って、補償磁界により、3軸トランスデューサー4の棒磁石の磁界は実質的にゼロである。換言すると、ジェネレーター8は、フランス国特許出願第FR1157933号に記載されている補償コイルに取って代るものである。従って、X軸、Y軸、Z軸に沿う磁界強度の測定は、ジェネレーター8の補償コイルに流れる電流の強度に基いて行われる。
【0037】
図2は、ジェネレーター8として使用できる4次のジェネレーター20を示す。この4次のジェネレーター20は、製造するための有利な技術を示す簡単な例を示すものである。この同じ技術は、図面を参照して説明する、他のジェネレーターを製造するためにも使用することができる。図2においては、このジェネレーター20を組立てた状態で示してある。
【0038】
ジェネレーター20は、
−X軸に巻回された1対のコイル22、23と、
−Y軸に巻回された1対のコイル26、27と、
−Z軸に巻回された1対のコイル28、29とを備えている。
【0039】
各コイルは、少なくとも1つの巻数を、好ましくは数回の巻数を有する。
【0040】
ここで、各コイルの対は、それらの巻回軸における2つのコイルの間に、4次の均一磁界を発生させるのように、ヘルムホルツコイルとして知られているコイル対を形成している。
【0041】
例えば、コイルの周囲は、その軸を中心とする円形をなしている。また、同じ対における2つのコイルは、同じ巻数を有する。
【0042】
コイル22は、面YZに対して、即ち軸Y、軸Zを含む面に対して、コイル23と対称である。同様に、コイル26、28は、それぞれ面XZ、XYに対して、コイル27、29と対称である。
【0043】
コイル22、23およびコイル26〜29を形成するためには、ジェネレーターは、6つの磁性リング、即ち磁性リング32、33、および磁性リング36〜39を備えている。
各磁性リング32、33、および磁性リング36〜39は、電気配線用硬質支持体を、それぞれ形成するための基板42、43、および基板46〜49を備えている。
「硬質」という語は、例えばヤング率が、25℃で、2GPa以上であり、好ましくは4GPa、10GPaまたは50 GPa以上の基板のことを指している。
【0044】
磁性リングは、単層リングであっても、積層磁性リングであってもよい。
【0045】
コイル22、23およびコイル26〜29にターンを形成するため、各磁性リングの金属化層には、円形状電気配線を形成してある。この配線は、例えば異なる磁性リングの異なる基板の金属化層にエッチングされる。
【0046】
図3〜図5は、それぞれ、磁性リング32、36、38の詳細に示している。磁性リング33、37、39は、それぞれ磁性リング32、36、38と対称である。
【0047】
各図において、磁性リングの面上のX軸、Y軸、Z軸の直交投影には、同じ符号を付してある。磁性リングの中心における垂直の軸は、黒点で示してある。
【0048】
基板42の内周縁は、X軸を中心とする円形である。また、その外周縁は、X軸を中心とし、係合部が切欠された円形である。
基板42は、
−組立てた状態で、基板47に当接する2つの係合部60、61と、
−組立てた状態で、基板46に当接する2つの係合部64、65と、
−組立てた状態で、基板49に当接する2つの係合部68、69と、
−組立てた状態で、基板48に当接する2つの係合部72、73とを備えている。
【0049】
係合部60、64、68、69は、平面YXに対して、それぞれ、係合部61、65、72、73と対称である。また、係合部60、61、68、72は、平面ZXに対して、それぞれ、係合部64、65、69、73と対称である。
【0050】
係合部60、64および係合部61、65の間隔は、コイル26、27を互いに離れた距離に位置決めするように定められ、これにより、Y軸に沿う均一磁界を得ることができるようになっている。この距離は、図8と、図9にさらに詳しく示してある。
【0051】
同様に、係合部68、72および係合部69、73の間隔は、コイル28、29を、互いに離れた距離に位置決めするために選択され、これによって、Z軸に沿う均一磁界を得ることができる。
【0052】
また係合部は、ジェネレーター20の異なるコイルを、正確かつ容易に、正しい角度で位置決めすることができる。
【0053】
図4は、磁性リング36を示す。
この磁性リング36の内周縁は、Y軸を中心とする円形であり、ノッチ80〜83が、その内周縁に設けられている。
ノッチ80、82は、平面YZに対して、ノッチ81、83と対称である。
ノッチ80、81は、平面XYに対して、ノッチ82、83と対称である。
ジェネレーター20を組立てると、ノッチ80、81およびノッチ82、83は、それぞれ基板42、43を摺動可能に受ける。そのため、X軸と平行方向の各ノッチの幅は、eから2eの範囲内であり、好ましくは、e+5μmからe+300μmの範囲内にある。ただし、eは、ジェネレーター30を形成するための基板の厚さである。各切欠部は、その幅より深いのが好ましい。
【0054】
各ノッチは、X方向に移動する基板42または基板43を固定させる。
【0055】
磁気リング36の円形外周縁は、Y軸を中心としている。ノッチ86〜89が、基板48、49を位置決めするため、この外周縁に切欠されている。より詳しくは、ノッチ86、87は、組立てた状態では基板49に当接する。また、ノッチ88、89は、組立てた状態では、基板48に当接する。
【0056】
ノッチ86、87は、平面YZに対して、ノッチ88、89と対称である。ノッチ86、88は、平面XYに対して、ノッチ87、89と対称である。
【0057】
ノッチ86、88およびノッチ87、89の間隔は、互いに離れた距離にコイル28、29を位置決めるように定められ、これによって、Z軸に沿って均一磁界が発生されることとなる。
【0058】
図5は、磁性リング38を示す。その円形の内周縁は、Z軸を中心としている。ノッチ90〜97が、この内周縁に切欠されている。これらのノッチは、同様の機能を果たし、磁性リング36における、前記したノッチと同様に形成されている。ノッチ92、93、94、96は、平面YZに対して、それぞれ、ノッチ90、91、95、97と対称である。
ノッチ90、92、94、95は、平面XZに対して、それぞれ、ノッチ91、93、96、97の対称である。
【0059】
組立の際、ノッチ90、91およびノッチ92、93は、それぞれ、基板42、43を摺動可能に受ける。
【0060】
組立の際、ノッチ94、95およびノッチ96、97は、それぞれ、基板47、46を摺動可能に受ける。
【0061】
ノッチ90〜97は、磁性リング32、33および磁性リング36、37がX、Y軸方向に動かないように固定保持している。
【0062】
図6は、ジェネレーター20を組立てるための第1工程を示す。詳しくは、図6は、ジェネレーター20を分解した状態を示している。組立の最初の工程では、磁性リング36、37は、矢印F1方向に移動させることにより、磁性リング32、33と組立てられる。この目的を達するには、磁性リング32、33は、それぞれ、磁性リング36、37の、ノッチ80、81およびノッチ82、83に挿入される。
この操作の間、磁性リング36、37は、磁性リング32、33に形成した、対応する肩部を当接する。
【0063】
図7は、組立てるための次の工程を示す。この工程では、磁性リング38、39を、以前の工程で組み立てられた磁性リングと組み立てる。この目的を達するには、磁性リング38、39を、矢印F2の方向に移動させる。これにより、組立てた状態のジェネレーター20が得られる。この組立てた状態では、磁性リング38、39は、磁性リング32、33、36、37を、位置決めした状態で固定する。
接着剤により、磁性リング38、39を、他の磁性リングに、自由度なしに固定される。従って接着剤は、ジェネレーター20を組立てた状態で固定することとなる。
【0064】
図8は、コイル22、23の間隔Dを示す。他のコイルの間隔も、同じように定められる。X方向の、コイル22、23間の距離dは、これらのコイルの半径Rと等しい。従って、コイル22、23により発生させられた磁界は、球体10に、4次の均一性を有する。この構成は、ヘルムホルツコイルとして知られている。
【0065】
ここで、同じ軸に巻回された2つのコイルの間隔は、磁性リングが当接している肩部の間隔により定められる。従って、係合部の間隔は、各コイル対がヘルムホルツコイルを形成するように選択される。
【0066】
コイル22、23の円周は、点Oを中心とする球状体Sに記録される。この構成によると、ジェネレーター20の必要な占有スペースは最小となる。
【0067】
図9は、均一磁界が中心点Oで発生された様々な場合に、中心からの距離の函数として、X軸に沿う磁界強度の変化を示す。
【0068】
曲線102は、平面YZ内に含まれる単体の円形コイルの場合を示す。
曲線104、106は、それぞれ、2つのコイルおよび4つのコイルの場合を示す。図示のように、多数のコイルを使用することにより、より均一的な磁界を発生させることができる。例えば、ここで、点Oを中心とする単体のコイルで、2次の均一磁界を発生させることが可能である。しかし、2つのコイルで、4次の均一磁界を発生させることもできる。最後に、4つのコイルで、8次の均一磁界を発生させることもできる。
【0069】
図10は、8次のジェネレーター120を組立てた状態を示す。このジェネレーター120は、3軸センサー2におけるジェネレーター8として使い易いものであり、ジェネレーター20と同一の原理により形成されているが、8次の均一磁界を発生させるために、追加のコイルを備えている。
【0070】
この目的を達するためには、ジェネレーター120は、次のものを備えている。
−X軸を中心とし、平面YZに対して対称的に位置決めされた4つの磁性リング122〜125。
−Z軸を中心とし、平面XYに対して対称的に位置決めされた4つの磁性リング128〜131。
−Y軸を中心とし、平面XZに対称的に位置決めされた4つの磁性リング134〜137。
【0071】
図11〜図13は、磁性リング122、123、128、129、134、135をより詳細に示している。ジェネレーター120の他の磁性リングは、平面XY、平面XZ、または平面YZに対して、対称であり、これらの磁性リングから推定できると思う。
【0072】
ジェネレーター20の場合と同様に、各磁性リングは、硬質基板を備え、
この硬質基板には、コイルとなる電気配線が形成され、これらの磁性リングを、互いに相対的に位置決めさせるため、ノッチ、および/または肩部が設けられている。
図11〜図13及びそれ以降の図面では、コイルはBで示され、ノッチはEで示され、肩部はPで示されている。
【0073】
ノッチEおよび肩部Pは、コイルを、発生した磁界が8次の均一状態となるように、互いに離れた距離に配置されている。
【0074】
図14は、磁性リング122〜125の金属化層にエッチングした円形コイル140〜143のX軸に沿う状態を示している。8次の均一磁界を得るための、X軸に沿う位置CX、および各コイルの半径RYは、静磁気学方程式を用いて計算し決定する。無限の解決法があるので、この構成による解決法は、次の2つの追加条件を満たすものである。
1)各コイルの円周は、点Oを中心とする選択された半径の球型形状Sの周囲に、なるべく近いこと。
2)コイル141、142に流れる単位強度の電流に対して、端末コイル140、143に流れる、8次の均一磁界を可能になる電流強度は、単位電流の有理分数であること。
【0075】
条件1)によると、ジェネレーター120の小型化が図れる。
条件2)によると、各コイル140〜143を、整数である巻数とすることができる。
単位半径を有する球状に対して、各コイル140〜143の位置CXおよび半径CYを、下記の表で示す:
【0076】
【表1】

【0077】
これらの値により、コイルの径と、磁性リングの面、および球体Sの交差に対応する、円のおよび直径との乖離は、2%以下であり、この場合は、0.5%以下である。乖離は、球Sの直径の参照することによって得られる。
【0078】
電流およびコイル140、143は、8次の均一磁界を得るためのコイル141、142に流れる電流と比べて、3分の1に減少される。これは、この構成を達成するには、同じ補償電流により交差されるため、コイル140〜143が直列に接続されるということを意味する。コイル141、142の巻数は、3の倍数の整数として選択される。また、この条件下では、コイル140、143の巻数は、整数であり、さらに、コイル141、142の巻数に2/3を乗じることにより推定される。例えば、コイル141、143は、3回巻数のみで形成され、コイル140、143は、2回巻数のみで形成される。また、このような選択により、ジェネレーターの作成が可能となる。
【0079】
図15〜図18は、四角で区切ったコイルを用いて形成されていることを除き、ジェネレーター20とは同一の4次のジェネレーター150を示す。このジェネレーター150は、6つの磁性リング152〜157を有し、この6つの磁性リングは、四角形の外周および四角形の内周を有する。上記の実施形態で記載したように、磁性リングを互いに相対的に位置決めすることは、これら磁性リングの基板の周囲に切欠された、ノッチEおよび肩部Pの形状的協働により行われる。
【0080】
コイルが四角形であるので、4次の均一磁界を得るための異なるコイルの間隔は、コイルが円形である場合の間隔と全く同じではない。
四角形コイルの間隔に1.089で乗じるにより、静磁気学方程式により、円形状コイルの間隔または距離Dを推定することができる。
【0081】
図19〜図21は、2次のジェネレーターを組み立てるための3つの磁性リング170〜172を示す。この場合、3つ磁性リングの3つのコイルは、同心であり、その中心と同じ中心Oを有している。
これら各コイルは、他の2つのコイルの面と直交する面に配置されている。
この実施形態において、ノッチEは、他の磁性リングの基板を摺動可能に受けるため、磁性リング171、172の基板の中心に切欠された矩形である。これにより、組立てた状態で、磁性リング170は、磁性リング171のノッチEの内部に受け入れられており、かつ磁性リング170、171の組立体は、磁性リング172のノッチEの内部に受け入れられている。
【0082】
また、この実施形態において、3軸トランスデューサー4の少なくとも1つのコイル174は、センサーの製造を容易させるように、磁性リング170の金属化層に形成された導電性配線で形成されている。
【0083】
上記以外に、多くの実施形態が可能である。例えば、同じコイルの数回の巻数を、磁性リングの同じ金属化層に形成するか、または、互いに積層した金属化層で形成することができる。この場合、通常、異なった巻数がビアで接続される。ジェネレーターの次数に応じ、円形のコイルの代わりに、四角形のコイルとすることも可能である。また、他の形状のコイルとすることも可能である。
【0084】
磁性リングを互いに結合することは、接着剤以外の手段によっても可能である。例えば、磁性リングを互いに付着させるため、半田つけを利用できる。この半田つけ箇所は、この目的のために設けられる。
【0085】
変形した実施形態においては、各軸に沿うコイルの数が異なる。
【0086】
また、8次より次数の高いものでは、コイルを追加、それにより磁性リングも追加することにより、形成することができる。
【0087】
6次のジェネレーターは、各々の軸X、軸Y、軸Zに沿って3つのコイルを位置決めすることにより形成することができることに注目すべきである。
3つコイルの中の1つは、点Oを通る平面にある。
【0088】
実施形態の変化としては、ジェネレーターのコイルを形成するため磁性リングは、ノッチや肩部を使用することなく、相対的に互いに位置決めされることができる。例えば、磁性リングは、手動により、またはロボットにより互いに相対的に位置決めし、次に、接着剤つけまたは半田つけなどの固定手段により、自由度の無いように、互いに付着される。
【0089】
実施形態の変形として、コイルを、磁性リングの電気配線により形成することなく、例えば、非磁性材料よりなる球体の周囲に形成された円形状ノッチに線を巻くことにより形成することもできる。
【符号の説明】
【0090】
2 3軸センサー
4 3軸トランデューサー
6 処理装置
8 ジェネレーター
10 球体
20 ジェネレーター
22〜29 コイル
32〜39 磁性リング
42〜49 基板
60〜73 係合部
80〜97 ノッチ
102 曲線
120 ジェネレーター
122〜137 磁性リング
140〜143 コイル
150 ジェネレーター
152〜157、170〜172 磁性リング
174 コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球体の中心を中心とする均一磁界発生装置であって、
第1、第2、第3の巻回軸が、中心点に相当する共通点で互いに直交し、かつ正割であり、1つまたは複数のコイルに同じ電流が流れたとき、前記の1つまたは複数のコイルにより発生した磁界の安定領域が中心となるように、同じ巻回軸に巻回した前記1つまたは複数のコイルが前記巻回軸に沿って配置され、それぞれ、前記の第1、第2、第3の巻回軸(X、Y、Z)に巻回された、第1コイル、第2コイル、第3コイル(22、23、26−29;B)の少なくとも1つを備えており、
4つのコイルは、2つのコイル対で形成されており、各コイル対は、前記巻回軸と直交し、かつ前記中心点を通る対称面に相対的に、前記他のコイル対と対称であり、前記4つのコイルが前記同じ電流で駆動されるとき、前記のコイルが発生させた磁界の少なくとも1次の微係数から7次の微係数までを、前記中心点で前記巻回軸に並列に相殺するため互いに間隔を置く、各前記巻回軸に巻回した少なくとも4つのコイル(B)を備え、
各コイル(22、23、26−29;B)の外周は円形状であり、中心点を中心とする形状、および、前記コイルを通すとともに前記コイルの巻回軸に垂直な面の交差より定義した円径に、前記円形状の円径が、+/−2%の範囲内で等しく、前記球型形状が同じ巻回軸に巻回した全てのコイルに対して、同じ球状あることを特徴とする球型形状に中心点を中心とする均一磁界発生装置。
【請求項2】
同じ巻回軸に巻回した異なるコイル(22、23、26−29;B)の巻数が整数であるように、電気的に直列に接続され、かつ巻回軸に沿って位置決めされている、請求項1に記載の均一磁界発生装置。
【請求項3】
各コイルに対して、前記コイルの巻数となる電気配線に形成した磁性リング(122−125、128−131、134−137)を備え、前記磁性リングは、前記電気配線に対して担持体を形成する硬質性基板(42、43、46−49)を備える、請求項1〜2のいずれか1項に記載の均一磁界発生装置。
【請求項4】
また、前記基板の少なくとも1つは、その他1つの磁性リングの基板の係合部(60、61、64、65、68、69、72、73、86−89;P)と形状的協働により、コイルにより発生させた前記磁界安定領域の強度が、前記コイルが同じ電流で交差した際中心となる位置に、前記基板に相対的に前記他の磁性リングを位置決め可能な、少なくとも1つのノッチ(80−81、90−97;E)を備える、請求項3に記載の均一磁界発生装置。
【請求項5】
第2コイルの磁性リングの基板(46、47)は、第1コイルの磁性リングの基板(42、43)を摺動可能に受けられる少なくとも1つのノッチ(80−83;E)を備え、第1コイルの磁性リングの基板(42、43)は、前記基板が第2コイルの磁性リングの基板のノッチに摺動する際、第2コイルの磁性リングの基板が当接可能な少なくとも1つの係合部(60、61、64、65;P)を備える、請求項4に記載の発生器。
【請求項6】
第3コイルの磁性リングの基板(48、49)は、第2コイルの磁性リングの基板を摺動可能に受けられるノッチ(94−97;E)を有し、第2コイルの磁性リングの基板(46、47)は、前記基板が第3コイルの磁性リングの基板のノッチに摺動する際、第3コイルの磁性リングの基板が当接しうる係合部(86−89;P)を有する、請求項5に記載の発生器。
【請求項7】
各ノッチは、eから2eの範囲内である距離dをもって互いに離れている、2つの平行な縁部により画定している、ただし、eは前記ノッチに摺動可能に受けた基板の厚さと等しい、請求項4〜6のいずれか1項に記載の発生器。
【請求項8】
磁界センサーであって、3つ直交方向の強度の安定領域が中心点にあり、均一磁界を発生可能な、制御可能なジェネレーター(8)と、前記3つ直交方向の磁界強度を、それぞれ電力に変換可能で、中心点に配置された3軸トランデューサー(4)と、中心点で測定した磁界を相殺するため、トランデューサーにより測定した磁界の関数として発生器を制御可能な処理装置(6)とを備える磁界センサーであって、ジェネレーター(8)は、請求項1〜7のいずれか1項に記載されたものであることを特徴とする磁界センサー。
【請求項9】
3軸トランデューサー(4)は、少なくとも1つの前記3つの方向に沿って磁界を測定するための、少なくとも測定用コイルを備え、ジェネレーター(8)は、前記測定用コイル(174)となる電気配線、および発生器の1つのコイル(B)となる他の電気配線を形成している磁性リング(170)とを備える請求項8に記載のセンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−79942(P2013−79942A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−196454(P2012−196454)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【出願人】(510132347)コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ (51)
【Fターム(参考)】