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均一系不斉水素化反応用触媒
説明

均一系不斉水素化反応用触媒

【課題】比較的容易に入手可能で、経済性及び作業性がよい、水素化反応、特に不斉水素化反応に有用な、不斉配位子を有する不斉銅錯体を含有する均一系水素化反応用触媒、特に均一系不斉水素化反応用触媒、及び該触媒を用いる収率及び光学純度がよい不飽和化合物の水素化物、特に光学活性化合物の製造方法の提供。
【解決手段】一般式(61)
[L1112CuL13n35 (61)
(式中、L11は二座配位性の光学活性リン化合物を示し、L12はL11と異なるリン化合物を示し、L13は配位子を示し、n35は自然数を示す。)で表される不斉銅錯体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均一系水素化反応、特に均一系不斉水素化反応に有用な新規な触媒に関し、詳しくは、該触媒を用いる不飽和化合物の水素化物の製造方法、特に光学活性化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不斉合成の分野では、触媒として銅を用いた合成法の研究が広く行われている。
例えば、特許文献1には、α,β−不飽和エステルの不斉ヒドロシリル化反応が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載されている方法は、前記α,β−不飽和エステルのシリルエーテル体を形成しなければならず、目的化合物を得るためには、酸やアルカリ処理が必要となることから、操作が煩雑となり、また、シラン廃棄物が理論的に当量以上出てくるため高コストとなる。更に、ヒドロシリル化反応で用いる還元剤のシラン化合物は、水素ガスに比べ高価である等の問題点を有していた。
【0003】
特許文献2には、塩化銅(I)とリン化合物とを反応させて得られる錯体を用いたオレフィンの水素化反応が記載されている。しかしながら、特許文献2では、塩化銅(I)と反応させるリン化合物はキラルな化合物ではなく、また、得られる錯体もキラルな錯体ではなく、不斉配位子と銅化合物とを反応させることについては記載されてない。そのため、特許文献2に記載のオレフィンの水素化反応は、不斉水素化反応ではない。
【0004】
非特許文献1には、ラネー銅と光学活性アミノ酸とから得られた錯体を用いる、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンの不斉水素化反応が記載されている。しかしながら、非特許文献1に記載の不斉水素化反応は、不均一系である。そのため、反応溶液が均一とならず、また、ラネー銅は取り扱いに注意する必要があり、作業性がよくない等の問題点を有していた。更に、非特許文献1に記載の反応は、反応系の触媒活性、不斉収率はきわめて低く、実用レベルに達していない。
【0005】
特許文献3及び非特許文献2には、特定のビスホスフィン配位子を銅塩と反応させてキラルな銅錯体を一旦製造し、得られた銅錯体とロジウム錯体とを反応させる銅−ロジウム金属交換反応を行ってロジウム錯体を得ることが記載され、また、得られたロジウム錯体を用いる均一系の不斉水素化反応が記載されている。しかしながら、特許文献3に記載の方法では、銅錯体を触媒として用いた不斉水素化反応は記載されておらず、銅錯体は、ホスフィン配位子の単離生成のためにのみ用いられており、特許文献3及び非特許文献2に記載の触媒種は、金属交換反応によって得られたロジウムホスフィン錯体である。また、特許文献3及び非特許文献2に記載の方法は、最初に銅錯体を合成しなければならず、操作が煩雑である。しかも、ロジウムは非常に高価であるため、経済性が悪い等の問題点を有していた。
【0006】
非特許文献3には、ラネー銅−ルテニウム合金と光学活性な酒石酸を用いる不均一系の不斉水素化反応が記載されている。また、ラネー銅及び光学活性な酒石酸を用いる不均一系の不斉水素化反応が記載されている。しかしながら、非特許文献3に記載の方法は、不均一系の不斉水素化反応であり、反応溶液が均一とならず、また、ラネー銅は取り扱いに注意する必要があり、作業性がよくない等の問題点を有していた。また、銅の他にルテニウムを用いるため、コストがかかる等の問題点を有していた。
【0007】
このように、不斉配位子を有する銅錯体を用い、また、不斉水素化反応に関わる遷移金属として、銅を唯一の遷移金属として用い、かつ、均一系で行う実用的かつ経済的な不斉水素化反応は未だない。
【0008】
【特許文献1】WO01/19761号パンフレット
【特許文献2】米国特許第3732329号明細書
【特許文献3】特開昭54−39052号公報
【非特許文献1】React. Kinet. Catal. Lett., Vol.9, No.1,73(1978).
【非特許文献2】J. Org. Chem., 45, 2995 (1980).
【非特許文献3】Inst. Org. Khim. im. Zelinskogo, Moscow, USSR. Kinetika i Kataliz., 16(4), 1081 (1975).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記状況に鑑みなされたものであり、比較的容易に入手可能で、経済性及び作業性がよい、水素化反応、特に不斉水素化反応に有用な均一系水素化反応用触媒、特に均一系不斉水素化反応用触媒、及び該触媒を用いる収率のよい、不飽和化合物の水素化物、特に光学活性化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、不飽和化合物の水素化反応、特に不斉水素化反応を均一系で不斉配位子及び銅を触媒として用いて行うことにより、収率よく、更に経済性及び作業性よく所望の不飽和化合物の水素化物、特に光学活性化合物が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0011】
即ち、本発明は、下記1)〜18)である。
1)不斉配位子を有する不斉銅錯体を含有する均一系水素化反応用触媒。
2)不斉銅錯体が不斉配位子と銅化合物とを反応させて得られる銅錯体である、1)に記載の均一系水素化反応用触媒。
3)不斉配位子と銅化合物との混合物を含有する均一系水素化反応用触媒。
4)不斉配位子が単座配位子、二座配位子、三座配位子及び四座配位子からなる群から選ばれる少なくとも1種である、1)〜3)の何れかに記載の均一系水素化反応用触媒。
5)更に添加剤を含有する1)〜4)の何れかに記載の均一系水素化反応用触媒。
6)銅化合物、一般式(41)
PR1513 (41)
(式中、3個のR151は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基、アミノ基又は置換アミノ基を示す。)で表されるリン化合物、及び光学活性ジホスフィン化合物を含有する、請求の範囲第3〜5項の何れかに記載の均一系水素化反応用触媒。
7)一般式(51)
[CuL3(PR2013n31n32 (51)
(式中、L3は配位子を示し、3個のR201は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基、アミノ基又は置換アミノ基を示し、n31及びn32は夫々独立して、自然数を示す。)で表される銅錯体、及び光学活性ジホスフィン化合物を含有する3)〜5)の何れかに記載の均一系水素化反応用触媒。
8)均一系水素化反応用触媒が均一系不斉水素化反応用触媒である、1)〜7)の何れかに記載の触媒。
9)1)〜8)の何れかに記載の均一系水素化反応用触媒の存在下、不飽和化合物を均一系水素化反応させることを特徴とする、該不飽和化合物の水素化物の製造方法。
10)不飽和化合物がプロキラルな化合物であり、均一系水素化反応用触媒が均一系不斉水素化反応用触媒であり、かつ得られる不飽和化合物の水素化物が光学活性化合物である、9)に記載の製造方法。
11)1)〜7)の何れかに記載の均一系水素化反応用触媒を用いる均一系水素化反応方法。
12)8)に記載の均一系不斉水素化反応用触媒を用いる均一系不斉水素化反応方法。
13)一般式(61)
[L1112CuL13n35 (61)
(式中、L11は二座配位性の光学活性リン化合物を示し、L12はL11と異なるリン化合物を示し、L13は配位子を示し、n35は自然数を示す。)で表される不斉銅錯体。
14)13)に記載の不斉銅錯体を含有する均一系水素化反応用触媒。
15)14)に記載の均一系水素化反応用触媒が、均一系不斉水素化反応用触媒である、14)に記載の触媒。
16)15)に記載の均一系不斉水素化反応用触媒の存在下、プロキラルな化合物を均一系不斉水素化反応させることを特徴とする、光学活性化合物の製造方法。
17)14)に記載の均一系水素化反応用触媒を用いる均一系水素化反応方法。
18)14)に記載の均一系不斉水素化反応用触媒を用いる均一系不斉水素化反応方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、水素ガスの存在下で行う水素化反応、特に不斉水素化反応や水素供与性物質の共存下で行う水素移動型水素化反応、特に水素移動型不斉水素化反応に有用な新規な均一系水素化反応用触媒、特に均一系不斉水素化反応用触媒を提供するものである。それにより、各種の不飽和化合物を前記触媒の存在下、均一系で水素化反応、特に不斉水素化反応を行うことにより、医薬、農薬等の中間体や香料等として有用な前記不飽和化合物の水素化物、特に光学活性化合物を効率及び光学純度よく得られるばかりでなく、作業性が向上し、更に、経済性よく得られる、という効果を奏するものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、「配位子」とは、銅(Cu)と共に錯体を形成する原子及び原子団の他に、銅(Cu)と錯体を形成可能な原子及び原子団を含む。
【0014】
[1]均一系水素化反応用触媒
本発明の均一系水素化反応用触媒は、不斉配位子を有する不斉銅錯体を含有する。また、本発明の均一系水素化反応用触媒は、不斉配位子と銅化合物との混合物を含有する。
【0015】
ここで、本発明において「均一系」とは、用いる触媒活性を持つ均一系水素化反応用触媒が水素化反応の際に実質的に溶解している状態であることを意味し、該触媒が、溶液中に溶解している状態及び溶解している状態になり得る状態を意味する。該触媒が溶液中に溶解している状態とは、均一系水素化反応用触媒が水素化反応開始時に溶けている状態である。また、該触媒が溶液中に溶解している状態になり得る状態とは、均一系水素化反応用触媒が水素化反応開始時に溶け得る状態であることをいい、例えば、用いる均一系水素化反応用触媒が、反応温度の上昇や反応の進行とともに溶解する場合等が挙げられ、用いる不飽和化合物や溶媒等の種類や反応温度等の反応条件等により、該触媒が溶解する状態であることをいう。更に、反応系に境界面が存在する場合には、反応系の性質が境界面でほとんど変化なく、全体を通じて均一又はほぼ均一な状態が挙げられる。このように、本発明における「均一系」とは、均一系水素化反応用触媒として用いる不斉銅錯体又は銅化合物が水素化反応の際に実質的に溶解している状態であり、反応系において、均一系水素化反応に用いる基質(不飽和化合物)、必要に応じて用いる添加剤、或いは失活した均一系水素化反応用触媒等が固体として存在していてもよい。
また、本発明において、均一系水素化反応用触媒を用いる水素化反応は、遷移金属として銅のみが関わる水素化反応である。即ち、本発明の均一系水素化反応用触媒には、銅以外の遷移金属が実質的に含有されてなく、銅を唯一の遷移金属として用いる触媒である。
【0016】
[1−1]不斉銅錯体
本発明の均一系水素化反応用触媒で用いられる不斉銅錯体は、上記したように、不斉配位子を有する不斉銅錯体であり、不斉配位子を有している不斉銅錯体であれば何れも使用可能であり、不斉配位子と銅化合物とを反応させることにより得られる不斉銅錯体が好ましく用いられる。ここで、反応させることにより得られる不斉銅錯体は、不斉配位子と銅化合物とを反応させた後、i)必要に応じて後処理等をして得られた不斉銅錯体、ii)後処理等をした後に更に単離及び/又は精製した不斉銅錯体、iii)後処理や単離、精製等を行わずに、反応混合物をそのまま用いる不斉銅錯体等を含む。
【0017】
本発明で用いられる不斉配位子を有する不斉銅錯体(以下、単に、「不斉銅錯体」ということもある。)としては、上記したように不斉配位子を有する不斉な銅錯体であればよく、例えば、Handbook of Enantioselective Catalysis (VCH, 1993)、J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 5843.、J. Org. Chem. 1998, 63, 6090.、Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 1679.、Dalton. Trans. 2003, 1881.、Organic Letters, Vol.6, No.14, 2305 (2004).等に記載されている不斉銅錯体で、不斉合成等に使用可能な不斉銅錯体が挙げられる。本発明で用いられる前記不斉銅錯体は、中でも不斉配位子と銅化合物とを反応させることにより得られる不斉銅錯体が好ましい。
【0018】
1)不斉配位子
本発明で用いられる不斉配位子は、光学活性部位を有し、光学活性な化合物であって、不斉配位子として使用可能なものであれば何れも挙げられる。前記不斉配位子としては、例えば、Catalytic Asymmetric Synthesis (Wiley-VCH,2000)、Handbook of Enantioselective Catalysis with Transition Metal Complex (VCH,1993)、ASYMMETRIC CATALYSIS IN ORGANIC SYNTHESIS (John Wiley & Sons Inc.(1994))、WO2005/070875号等に記載されている不斉配位子が挙げられる。
より具体的に説明すると、本発明で用いられる不斉配位子は、例えば、単座配位子、二座配位子、三座配位子、四座配位子等が挙げられる。
【0019】
単座配位子としては、例えば、光学活性リン化合物、光学活性アミン化合物、光学活性アルコール化合物、光学活性硫黄化合物、光学活性カルベン化合物等が挙げられる。
【0020】
光学活性リン化合物としては、その分子内に、光学活性化合物となるような光学活性部位を有するリン化合物であればよく、例えば、下記一般式(6)〜(8)で表される光学活性リン化合物等が挙げられる。これら一般式(6)〜(8)で表される光学活性リン化合物は、その分子内に光学活性部位を有する光学活性リン化合物である。
【0021】
PR13 (6)
(式中、3個のR1は同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基、アミノ基又は置換アミノ基を示す。また、3個のR1中の2個又は3個が互いに結合して環を形成してもよい。)
【0022】
【化1】

[式中、R2は置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換アミノ基を示し、Q1はスペーサーを示し、Z1及びZ2は夫々独立して、酸素原子、硫黄原子又は−NR4−(R4は水素原子又は保護基を示す。)を示す。]
【0023】
【化2】

[(式中、R3は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Q2はスペーサーを示し、Z3及びZ4は夫々独立して、酸素原子、硫黄原子又は−NR5−(R5は水素原子又は保護基を示す。)を示す。]
【0024】
一般式(6)〜(8)において用いられる各基について説明する。
1〜R3で示される置換基を有していてもよい炭化水素基は、炭化水素基及び置換炭化水素基が挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルカジエニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
アルキル基としては、直鎖状でも、分岐状でも或いは環状でもよい、例えば炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−メチルペンタン−3−イル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜10のアルキニル基が挙げられる。アルキニル基の具体例としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。
アルカジエニル基としては、前記アルキル基の鎖中の任意の位置に二重結合を2個有する、直鎖状でも、分岐状でも或いは環状でもよい、例えば、炭素数4以上、好ましくは炭素数4〜20、より好ましくは炭素数4〜15、更に好ましくは炭素数4〜10のアルカジエニル基が挙げられる。アルカジエニル基の具体例としては、例えば、1,3−ブタジエニル基、2,3−ジメチル−1,3ブタジエニル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜15のアリール基が挙げられる。アリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、前記アルキル基の少なくとも1個の水素原子が前記アリール基で置換された、例えば炭素数7〜20、好ましくは炭素数7〜15のアラルキル基が挙げられる。アラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、3−ナフチルプロピル基等が挙げられる。
置換炭化水素基(置換基を有する炭化水素基)としては、上記炭化水素基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換された炭化水素基が挙げられ、例えば、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アルカジエニル基、置換アリール基、置換アラルキル基等が挙げられる。置換基については、後述する(以下同じ)。
置換アルキル基の具体例としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基等が挙げられる。
置換アリール基の具体例としては、例えば、トリル基(例えば4−メチルフェニル基)、キシリル基(例えば3,5−ジメチルフェニル基)、4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル基、4−メトキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基等が挙げられる。
【0025】
1で示される置換基を有していてもよい複素環基は、複素環基及び置換複素環基が挙げられる。複素環基としては、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。
脂肪族複素環基としては、例えば、炭素数2〜14で、少なくとも1個、好ましくは1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、3〜8員、好ましくは5又は6員の単環、多環又は縮合環の脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の具体例としては、例えば、ピロリジル−2−オン基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、モルホリニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、チオラニル基等が挙げられる。
芳香族複素環基としては、例えば、炭素数2〜15で、少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、3〜8員、好ましくは5又は6員の単環式、多環式又は縮合環式の芳香族複素環基が挙げられる。芳香族複素環基の具体例としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピリダジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フタラジル基、キナゾリル基、ナフチリジル基、シンノリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、アクリジル基、アクリジニル基等が挙げられる。
置換複素環基(置換基を有する複素環基)としては、上記複素環基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換された複素環基が挙げられ、置換脂肪族複素環基及び置換芳香族複素環基が挙げられる。
【0026】
置換基を有していてもよいアルコキシ基は、アルコキシ基及び置換アルコキシ基が挙げられる。
アルコキシ基としては、直鎖状でも、分岐状でも或いは環状でもよい、例えば炭素数1〜20のアルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、2−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、3−メチルブトキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、中でも炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましい。
置換アルコキシ基(置換基を有するアルコキシ基)としては、前記アルコキシ基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアルコキシ基が挙げられる。
【0027】
置換基を有していてもよいアリールオキシ基は、アリールオキシ基及び置換アリールオキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基としては、例えば炭素数6〜20のアリールオキシ基が挙げられる。アリールオキシ基の具体例としては、例えば、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基等が挙げられる。前記アリールオキシ基は、中でも炭素数6〜14のアリールオキシ基が好ましい。
置換アリールオキシ基(置換基を有するアリールオキシ基)としては、前記アリールオキシ基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアリールオキシ基が挙げられる。
【0028】
置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基は、アラルキルオキシ基及び置換アラルキルオキシ基が挙げられる。
アラルキルオキシ基としては、例えば炭素数7〜20のアラルキルオキシ基が挙げられる。アラルキルオキシ基の具体例としては、例えば、ベンジルオキシ基、2−フェニルエトキシ基、1−フェニルプロポキシ基、2−フェニルプロポキシ基、3−フェニルプロポキシ基、1−フェニルブトキシ基、2−フェニルブトキシ基、3−フェニルブトキシ基、4−フェニルブトキシ基、1−フェニルペンチルオキシ基、2−フェニルペンチルオキシ基、3−フェニルペンチルオキシ基、4−フェニルペンチルオキシ基、5−フェニルペンチルオキシ基、1−フェニルヘキシルオキシ基、2−フェニルヘキシルオキシ基、3−フェニルヘキシルオキシ基、4−フェニルヘキシルオキシ基、5−フェニルヘキシルオキシ基、6−フェニルヘキシルオキシ基等が挙げられる。前記アラルキルオキシ基は、中でも炭素数7〜12のアラルキルオキシ基が好ましい。
置換アラルキルオキシ基(置換基を有するアラルキルオキシ基)としては、前記アラルキルオキシ基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアラルキルオキシ基が挙げられる。
【0029】
1及びR2で示される置換アミノ基としては、アミノ基の1個又は2個の水素原子がアミノ保護基等の置換基で置換された鎖状又は環状のアミノ基が挙げられる。前記アミノ保護基は、通常、アミノ保護基として用いられているものであれば何れも使用可能であり、例えば、「PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS THIRD EDITION[JOHN WILEY & SONS INC.(1999)]」にアミノ保護基として記載されている基等が挙げられる。アミノ保護基の具体例としては、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素基(例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基等)、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基、置換スルホニル基等が挙げられる。
【0030】
上記アミノ保護基の具体例として例示した置換基を有していてもよい炭化水素基、例えばアルキル基、アリール基及びアラルキル基等は、上記で説明した置換基を有していてもよい炭化水素基で説明した各基と同義であってよい。
アルキル基で置換されたアミノ基、即ち、アルキル基置換アミノ基の具体例としては、例えば、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基が挙げられる。
アリール基で置換されたアミノ基、即ちアリール基置換アミノ基の具体例としては、例えば、N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−ナフチルアミノ基、N−ナフチル−N−フェニルアミノ基等のモノ又はジアリールアミノ基が挙げられる。
アラルキル基で置換されたアミノ基、即ちアラルキル基置換アミノ基の具体例としては、例えば、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等のモノ又はジアラルキルアミノ基が挙げられる。また、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N−ベンジル−N−メチルアミノ基等のジ置換アミノ基が挙げられる。
【0031】
置換基を有していてもよいアシル基は、アシル基及び置換アシル基が挙げられる。
アシル基としては、直鎖状でも、分岐状でも或いは環状でもよい、例えば、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸等の酸由来の炭素数1〜20のアシル基が挙げられる。
カルボン酸由来のアシル基としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等のカルボン酸由来のアシル基が挙げられ、例えば、式:−CORb[式中、Rbは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基等を示す(該置換基を有していてもよい炭化水素基及び該置換基を有していてもよい複素環基は、上記で説明した各基と同じであってよい)。]で表されるアシル基が挙げられる。カルボン酸由来のアシル基の具体例としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ラウロイル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等が挙げられる。前記アシル基は、中でも炭素数2〜18のアシル基が好ましい。
スルホン酸由来のアシル基としては、スルホニル基が挙げられる。スルホニル基としては、置換スルホニル基が挙げられ、例えば、式:Rc−SO2−[式中、Rcは、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、置換アミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基又は置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基を示す(該置換基を有していてもよい炭化水素基、該置換基を有していてもよい複素環基、置換アミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基及び置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基は、上記で説明した各基と同じであってよい)。]で表される置換スルホニル基が挙げられる。スルホニル基の具体例としては、例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等が挙げられる。Rcがアミノ基又は置換アミノ基であるスルホニル基は、アミノスルホニル基である。アミノスルホニル基の具体例としては、例えば、アミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ジエチルアミノスルホニル基、ジフェニルアミノスルホニル基等が挙げられる。また、Rcが置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基又は置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基である置換スルホニル基は、アルコキシスルホニル基である。アルコキシスルホニル基の具体例としては、例えば、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、フェノキシスルホニル基、ベンジルオキシスルホニル基等が挙げられる。
スルフィン酸由来のアシル基としては、スルフィニル基が挙げられる。スルフィニル基としては、置換スルフィニル基が挙げられ、例えば、式:Rd−SO−[式中、Rdは、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は置換アミノ基を示す(該置換基を有していてもよい炭化水素基、該置換基を有していてもよい複素環基及び該置換アミノ基は、上記で説明した各基と同じであってよい。)で表される置換スルフィニル基が挙げられる。スルフィニル基の具体例としては、例えば、メタンスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基等が挙げられる。
ホスフィン酸由来のアシル基としては、ホスフィニル基が挙げられる。ホスフィニル基としては、置換ホスフィニル基が挙げられ、例えば、式:(Re2−PO−[式中、2個のReは同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す(該置換基を有していてもよい炭化水素基は、上記で説明した置換基を有していてもよい炭化水素基と同じであってよい)。]で表される置換ホスフィニル基が挙げられる。ホスフィニル基の具体例としては、例えば、ジメチルホスフィニル基、ジフェニルホスフィニル基等が挙げられる。
ホスホン酸由来のアシル基としては、ホスホニル基が挙げられる。ホスホニル基としては、置換ホスホニル基が挙げられ、例えば、式:(RfO)2−PO−[式中、2個のRfは同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す(該置換基を有していてもよい炭化水素基は、上記で説明した置換基を有していてもよい炭化水素基と同じであってよい)。]で表される置換ホスホニル基が挙げられる。ホスホニル基の具体例としては、例えば、ジメチルホスホニル基、ジフェニルホスホニル基等が挙げられる。
置換アシル基(置換基を有するアシル基)としては、上記アシル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアシル基が挙げられる。
【0032】
置換基を有していてもよいアシル基で置換されたアミノ基、即ちアシルアミノ基の具体例としては、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ペンタノイルアミノ基、ヘキサノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
アシル基の中でも、スルホニル基で置換されたアミノ基、即ちスルホニルアミノ基の具体例としては、例えば、−NHSO2CH3、−NHSO265、−NHSO264CH3、−NHSO2CF3、−NHSO2OCH3、−NHSO2NH2等が挙げられる。
アシル基の中でも、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基又は置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基で置換されたアミノ基、即ちアルコキシスルホニルアミノ基の具体例としては、例えば、メトキシスルホニルアミノ基、エトキシスルホニルアミノ基、フェノキシスルホニルアミノ基、ベンジルオキシスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0033】
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基は、アルコキシカルボニル基及び置換アルコキシカルボニル基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、直鎖状でも、分岐状でも或いは環状でもよい、例えば炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が挙げられる。アルコキシカルボニル基の具体例としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、2−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、ラウリルオキシカルボニル基、ステアリルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
置換アルコキシカルボニル基(置換基を有するアルコキシカルボニル基)としては、前記アルコキシカルボニル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアルコキシカルボニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基で置換されたアミノ基、即ちアルコキシカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n−プロポキシカルボニルアミノ基、n−ブトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、ペンチルオキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0034】
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基は、アリールオキシカルボニル基及び置換アリールオキシカルボニル基が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、例えば、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基が挙げられる。アリールオキシカルボニル基の具体例としては、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
置換アリールオキシカルボニル基(置換基を有するアリールオキシカルボニル基)としては、前記アリールオキシカルボニル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアリールオキシカルボニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基で置換されたアミノ基、即ちアリールオキシカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、アミノ基の1個の水素原子が前記したアリールオキシカルボニル基で置換されたアミノ基が挙げられ、その具体例としては、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、ナフチルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0035】
置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基は、アラルキルオキシカルボニル基及び置換アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
アラルキルオキシカルボニル基としては、例えば、炭素数8〜20のアラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。アラルキルオキシカルボニル基の具体例としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
置換アラルキルオキシカルボニル基(置換基を有するアラルキルオキシカルボニル基)としては、前記アラルキルオキシカルボニル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基で置換されたアミノ基、即ちアラルキルオキシカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、ベンジルオキシカルボニルアミノ基、フェネチルオキシカルボニルアミノ基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0036】
また、環状のアミノ基としては、例えば、アルキレン基で結合して含窒素環を形成したアミノ基等が挙げられる。前記アルキレン基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数1〜6のアルキレン基が挙げられる。アルキレン基の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、2−メチルプロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2−エチルプロピレン基等が挙げられる。また、前記アルキレン基は、該アルキレン基の末端又は鎖中の任意の位置に酸素原子、窒素原子、カルボニル基等や二重結合を有していてもよい。
【0037】
1及びQ2で示されるスペーサーとしては、置換基を有していてもよい2価の有機基等が挙げられる。置換基を有していてもよい2価の有機基の具体例としては、例えば、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基等が挙げられる。また、前記2価の有機基は、該有機基の末端又は鎖中の任意の位置に酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、イミノ基、置換イミノ基等のヘテロ原子又は原子団を少なくとも1個有していてもよい。更に、前記スペーサーは、光学活性部位を有していてもよい。
アルキレン基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。アルキレン基の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、2−メチルプロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2−エチルプロピレン基等が挙げられる。
アリーレン基としては、例えば炭素数6〜20のアリーレン基が挙げられる。アリーレン基の具体例としては、例えば、フェニレン基、ビフェニルジイル基、ビナフタレンジイル基、ビスベンゾジオキソールジイル基等が挙げられる。
ヘテロアリーレン基としては、例えば、炭素数2〜20で、少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、3〜8員、好ましくは5又は6員の単環式、多環式又は縮合環式のヘテロアリーレン基が挙げられる。ヘテロアリーレン基の具体例としては、例えば、ビピリジンジイル基、ビスベンゾチオールジイル基、ビスチオールジイル基等が挙げられる。
置換イミノ基は、イミノ基(−NH−)中の水素原子がアミノ保護基で置換されたイミノ基が挙げられる。アミノ保護基は、上記置換アミノ基で説明したアミノ保護基と同じであってよい。
ヘテロ原子又は原子団を有する2価の有機基としては、−CH2−O−CH2−、−C64−O−C64−等が挙げられる。
これら2価の有機基は後述する置換基で置換されていてもよい。
【0038】
また、スペーサーが光学活性部位を有する場合における、光学活性部位を有するスペーサーの具体例としては、例えば、1,2−ジメチルエチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,2−ジフェニルエチレン基、1,2−ジ(4−メチルフェニル)エチレン基、1,2−ジシクロヘキシルエチレン基、1,3−ジメチルトリメチレン基、1,3−ジフェニルトリメチレン基、1,4−ジメチルテトラメチレン基、1,3−ジオキソラン−4,5−ジイル基、ビフェニルジイル基、ビナフタレンジイル基等が挙げられる。これら光学活性部位を有するスペーサーは、(R)体、(S)体、(R,R)体又は(S,S)体が挙げられる。
【0039】
1及びZ2で示される、−NR4−におけるR4で示される保護基、及びZ3〜及びZ4で示される、−NR5−におけるR5で示される保護基は、上記置換アミノ基で説明したアミノ保護基と同じであってよい。
【0040】
置換基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアラルキルチオ基、置換基を有していてもよいヘテロアリールチオ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキレンジオキシ基、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、スルホ基、置換シリル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシチオカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシチオカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシチオカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルチオカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換ホスフィノ基、オキソ基等が挙げられる。
【0041】
置換基としての、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基及び置換アミノ基は、上記で説明した各基及び置換アミノ基で説明した各基と同じであってよい。
【0042】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0043】
ハロゲン化炭化水素基としては、上記炭化水素基の少なくとも1個の水素原子がハロゲン化(例えばフッ素化、塩素化、臭素化、ヨウ素化等)された基が挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基等が挙げられる。
ハロゲン化アルキル基としては、例えば、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が挙げられ、その具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、クロロエチル基、ブロモプロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロブチル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシル基、フルオロヘプチル基、フルオロオクチル基、フルオロノニル基、フルオロデシル基、ジフルオロメチル基、ジフルオロエチル基、フルオロシクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、ペルフルオロ−n−プロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロ−n−ブチル基、ペルフルオロイソブチル基、ペルフルオロ−tert−ブチル基、ペルフルオロ−sec−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロイソペンチル基、ペルフルオロ−tert−ペンチル基、ペルフルオロ−n−ヘキシル基、ペルフルオロイソヘキシル基、ペルフルオロヘプチル基、ペルフルオロオクチル基、ペルフルオロノニル基、ペルフルオロデシル基、ペルフルオロオクチルエチル基、ペルフルオロシクロプロピル基、ペルフルオロシクロペンチル基、ペルフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。前記ハロゲン化アルキル基は、中でも炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基が好ましい。
ハロゲン化アリール基としては、例えば炭素数6〜20のハロゲン化アリール基が挙げられ、その具体例としては、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル、2−トリクロロメチルフェニル基、3−トリクロロメチルフェニル基、4−トリクロロメチルフェニル基、ペルフルオロフェニル基、ペルフルオロナフチル基、ペルフルオロアントリル基、ペルフルオロビフェニル基等が挙げられる。前記ハロゲン化アリール基は、中でも炭素数6〜15のハロゲン化アリール基が好ましい。
ハロゲン化アラルキル基としては、前記アラルキル基の少なくとも1個の水素原子がハロゲン原子で置換された基が挙げられ、例えば炭素数7〜20のハロゲン化アラルキル基が挙げられ、その具体例としては2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、4−ブロモベンジル基、4−ヨードベンジル基、2−トリフルオロメチルベンジル基、3−トリフルオロメチルベンジル基、4−トリフルオロメチルベンジル基、4−トリクロロメチルベンジル基、ペルフルオロベンジル基等が挙げられる。前記ハロゲン化アラルキル基は、中でも炭素数6〜15のハロゲン化アラルキル基が好ましい。
【0044】
置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基は、ヘテロアリールオキシ基及び置換ヘテロアリールオキシ基が挙げられる。
ヘテロアリールオキシ基としては、例えば、少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜15のヘテロアリールオキシ基が挙げられる。ヘテロアリールオキシ基の具体例としては、例えば、2−ピリジルオキシ基、2−ピラジルオキシ基、2−ピリミジルオキシ基、2−キノリルオキシ基等が挙げられる。
置換ヘテロアリールオキシ基(置換基を有するヘテロアリールオキシ基)としては、前記アラルキルオキシ基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたヘテロアリールオキシ基が挙げられる。置換基は、特に断りのない限り上記置換基と同じであってよい(以下同じ。)。
【0045】
置換基を有していてもよいアルキルチオ基は、アルキルチオ基及び置換アルキルチオ基が挙げられる。
アルキルチオ基としては、直鎖状でも、分岐状でも或いは環状でもよい、例えば炭素数1〜20のアルキルチオ基が挙げられる。アルキルチオ基の具体例としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、2−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、2−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基等が挙げられる。前記アルキルチオ基は、中でも炭素数1〜10のアルキルチオ基が好ましく、炭素数1〜6のアルキルチオ基がより好ましい。
置換アルキルチオ基(置換基を有するアルキルチオ基)としては、前記アルキルチオ基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアルキルチオ基が挙げられる。
【0046】
置換基を有していてもよいアリールチオ基は、アリールチオ基及び置換アリールチオ基が挙げられる。
アリールチオ基としては、例えば炭素数6〜20のアリールチオ基が挙げられる。アリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。前記アリールチオ基は、中でも炭素数6〜14のアリールチオ基が好ましい。
置換アリールチオ基(置換基を有するアリールチオ基)としては、前記アリールチオ基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアリールチオ基が挙げられる。
【0047】
置換基を有していてもよいアラルキルチオ基は、アラルキルチオ基及び置換アラルキルチオ基が挙げられる。
アラルキルチオ基としては、例えば炭素数7〜20のアラルキルチオ基が挙げられる。アラルキルチオ基の具体例としては、例えば、ベンジルチオ基、2−フェネチルチオ基等が挙げられる。前記アラルキルチオ基は、中でも炭素数7〜12のアラルキルチオ基が好ましい。
置換アラルキルチオ基(置換基を有するアラルキルチオ基)としては、前記アラルキルチオ基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアラルキルチオ基が挙げられる。
【0048】
置換基を有していてもよいヘテロアリールチオ基は、ヘテロアリールチオ基及び置換ヘテロアリールチオ基が挙げられる。
ヘテロアリールチオ基としては、例えば、少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜15のヘテロアリールチオ基が挙げられる。ヘテロアリールチオ基の具体例としては、例えば、4−ピリジルチオ基、2−ベンズイミダゾリルチオ基、2−ベンズオキサゾリルチオ基、2−ベンズチアゾリルチオ基等が挙げられる。
置換ヘテロアリールチオ基(置換基を有するヘテロアリールチオ基)としては、前記ヘテロアリールチオ基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたヘテロアリールチオ基が挙げられる。
【0049】
置換基を有していてもよいアシルオキシ基は、アシルオキシ基及び置換アシルオキシ基が挙げられる。
アシルオキシ基としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等のカルボン酸由来の例えば炭素数2〜20のアシルオキシ基が挙げられる。アシルオキシ基の具体例としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ラウロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。前記アシルオキシ基は、中でも炭素数2〜18のアシルオキシ基が好ましい。
置換アシルオキシ基(置換基を有するアシルオキシ基)としては、前記アシルオキシ基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアシルオキシ基が挙げられる。
【0050】
置換基を有していてもよいアルコキシチオカルボニル基は、アルコキシチオカルボニル基及び置換アルコキシチオカルボニル基が挙げられる。
アルコキシチオカルボニル基としては、直鎖状でも、分岐状でも或いは環状でもよい、例えば炭素数2〜20のアルコキシチオカルボニル基が挙げられる。アルコキシチオカルボニル基の具体例としては、例えば、メトキシチオカルボニル基、エトキシチオカルボニル基、n−プロポキシチオカルボニル基、2−プロポキシチオカルボニル基、n−ブトキシチオカルボニル基、tert−ブトキシチオカルボニル基、ペンチルオキシチオカルボニル基、ヘキシルオキシチオカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシチオカルボニル基、ラウリルオキシチオカルボニル基、ステアリルオキシチオカルボニル基、シクロヘキシルオキシチオカルボニル基等が挙げられる。
置換アルコキシチオカルボニル基(置換基を有するアルコキシチオカルボニル基)としては、上記アルコキシチオカルボニル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアルコキシチオカルボニル基が挙げられる。
【0051】
置換基を有していてもよいアリールオキシチオカルボニル基は、アリールオキシチオカルボニル基及び置換アリールオキシチオカルボニル基が挙げられる。
アリールオキシチオカルボニル基としては、例えば炭素数7〜20のアリールオキシチオカルボニル基が挙げられる。アリールオキシチオカルボニル基の具体例としては、例えば、フェノキシチオカルボニル基、ナフチルオキシチオカルボニル基等が挙げられる。
置換アリールオキシチオカルボニル基(置換基を有するアリールオキシチオカルボニル基)としては、上記アリールオキシチオカルボニル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアリールオキシチオカルボニル基が挙げられる。
【0052】
置換基を有していてもよいアラルキルオキシチオカルボニル基は、アラルキルオキシチオカルボニル基及び置換アラルキルオキシチオカルボニル基が挙げられる。
アラルキルオキシチオカルボニル基としては、例えば炭素数8〜20のアラルキルオキシチオカルボニル基が挙げられる。アラルキルオキシチオカルボニル基の具体例としては、例えば、ベンジルオキシチオカルボニル基、フェネチルオキシチオカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシチオカルボニル基等が挙げられる。
置換アラルキルオキシチオカルボニル基(置換基を有するアラルキルオキシチオカルボニル基)としては、上記アラルキルオキシチオカルボニル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアラルキルオキシチオカルボニル基が挙げられる。
【0053】
置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基は、アルキルチオカルボニル基及び置換アルキルチオカルボニル基が挙げられる。
アルキルチオカルボニル基としては、直鎖状でも、分岐状でも或いは環状でもよい、例えば炭素数2〜20のアルキルチオカルボニル基が挙げられる。アルキルチオカルボニル基の具体例としては、例えば、メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、n−プロピルチオカルボニル基、例えば、2−プロピルチオカルボニル基、n−ブチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基、ペンチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、2−エチルヘキシルチオカルボニル基、ラウリルチオカルボニル基、ステアリルチオカルボニル基、シクロヘキシルチオカルボニル基等が挙げられる。
置換アルキルチオカルボニル基(置換基を有するアルキルチオカルボニル基)としては、上記アルキルチオカルボニル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアルキルチオカルボニル基が挙げられる。
【0054】
置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基は、アリールチオカルボニル基及び置換アリールチオカルボニル基が挙げられる。
アリールチオカルボニル基としては、例えば炭素数7〜20のアリールチオカルボニル基が挙げられる。アリールチオカルボニル基の具体例としては、例えば、フェニルチオカルボニル基、ナフチルチオカルボニル基等が挙げられる。
置換アリールチオカルボニル基(置換基を有するアリールチオカルボニル基)としては、上記アリールチオカルボニル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアリールチオカルボニル基が挙げられる。
【0055】
置換基を有していてもよいアラルキルチオカルボニル基は、アラルキルチオカルボニル基及び置換アラルキルチオカルボニル基が挙げられる。
アラルキルチオカルボニル基としては、例えば炭素数8〜20のアラルキルチオカルボニル基が挙げられる。アラルキルチオカルボニル基の具体例としては、例えば、ベンジルチオカルボニル基、フェネチルチオカルボニル基、9−フルオレニルメチルチオカルボニル基等が挙げられる。
置換アラルキルチオカルボニル基(置換基を有するアラルキルチオカルボニル基)としては、上記アラルキルチオカルボニル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアラルキルチオカルボニル基が挙げられる。
【0056】
置換基を有していてもよいカルバモイル基は、カルバモイル基及び置換カルバモイル基が挙げられる。
置換カルバモイル基としては、カルバモイル基中のアミノ基の1個又は2個の水素原子が置換基を有していてもよい炭化水素基等の置換基で置換されたカルバモイル基が挙げられる。置換基を有していてもよい炭化水素基は、上記で説明した置換基を有していてもよい炭化水素基と同じである。置換カルバモイル基の具体例としては、例えば、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等が挙げられる。
【0057】
置換ホスフィノ基としては、ホスフィノ基の1個又は2個の水素原子が置換基を有していてもよい炭化水素基等の置換基で置換されたホスフィノ基が挙げられる。置換基を有していてもよい炭化水素基は、上記で説明した置換基を有していてもよい炭化水素基と同じである。置換ホスフィノ基の具体例としては、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェニルホスフィノ基等が挙げられる。
【0058】
置換シリル基としては、例えば、シリル基の3個の水素原子が上記置換基を有していてもよい炭化水素基、上記置換基を有していてもよいアルコキシ基等の置換基で置換されたトリ置換シリル基が挙げられる。置換シリル基の具体例としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ(2−プロピル)シリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、tert−ブチルメトキシフェニルシリル基、tert−ブトキシジフェニルシリル基等が挙げられる。
【0059】
置換シリルオキシ基としては、例えば、炭素数1〜18で、シリルオキシ基の1〜3個の水素原子が上記置換基を有していてもよい炭化水素基、上記置換基を有していてもよいアルコキシ基等の置換基で置換されたトリ置換シリルオキシ基が挙げられる。置換シリルオキシ基の具体例としては、例えば、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリ(2−プロピル)シリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、tert−ブチルメトキシフェニルシリルオキシ基、tert−ブトキシジフェニルシリルオキシ基等が挙げられる。
【0060】
置換基を有していてもよいアルキレンジオキシ基は、アルキレンジオキシ基及び置換アルキレンジオキシ基が挙げられる。
アルキレンジオキシ基としては、例えば、炭素数1〜3のアルキレンジオキシ基が挙げられる。アルキレンジオキシ基の具体例としては、例えば、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基等が挙げられる。
置換アルキレンジオキシ基(置換基を有するアルキレンジオキシ基)としては、上記アルキレンジオキシ基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアルキレンジオキシ基が挙げられる。置換アルキレンジオキシ基の具体例としては、ジフルオロメチレンジオキシ基等が挙げられる。
【0061】
光学活性リン化合物の具体例としては、例えば下記に示す光学活性リン化合物等が挙げられる。
【0062】
【化3】

【0063】
光学活性アミン化合物は、その分子内に、光学活性化合物となるような光学活性部位を有するアミン化合物であればよい。
前記光学活性アミン化合物としては、光学活性脂肪族アミン化合物、光学活性芳香族アミン化合物、光学活性含窒素複素環化合物等が挙げられる。
光学活性脂肪族アミン化合物の具体例としては、例えば、光学活性メンチルアミン、光学活性1−フェニルエチルアミン等が挙げられる。光学活性芳香族アミン化合物の具体例としては、例えば、光学活性部位をもつアニリン化合物等が挙げられる。光学活性含窒素化合物の具体例としては、例えば、光学活性部位をもつ、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、オキサゾリン化合物等が挙げられる。ここで、単座配位子の光学活性オキサゾリン化合物も光学活性アミン化合物に含まれる。
【0064】
【化4】

【0065】
光学活性アルコール化合物としては、その分子内に、光学活性化合物となるような光学活性部位を有するアルコール化合物であればよい。光学活性アルコール化合物の具体例としては、例えば下記に示す光学活性アルコール化合物等が挙げられる。
【0066】
【化5】

【0067】
光学活性硫黄化合物としては、その分子内に、光学活性化合物となるような光学活性部位を有する硫黄化合物であればよい。光学活性硫黄化合物の具体例としては、例えば下記に示す光学活性硫黄化合物等が挙げられる。
【0068】
【化6】

【0069】
光学活性カルベン化合物としては、その分子内に、光学活性化合物となるような光学活性部位を有するカルベン化合物であればよい。光学活性カルベン化合物の具体例としては、例えば下記に示す光学活性カルベン化合物等が挙げられる。
【0070】
【化7】

【0071】
二座配位子としては、光学活性ジホスフィン化合物、ホスフィン−ホスファイト化合物等の二座配位性の光学活性リン化合物、光学活性ジアミン化合物、光学活性アミノアルコール化合物、光学活性ジオール化合物、光学活性アミノホスフィン化合物、光学活性ホスフィノアルコール化合物、光学活性アミノチオール化合物、光学活性ビスオキサゾリン化合物等が挙げられる。
【0072】
二座配位性の光学活性リン化合物としては、その分子内に、光学活性化合物となるような光学活性部位を有する二座配位性のリン化合物であればよく、例えば、下記一般式(10)で表される光学活性リン化合物が挙げられる。前記一般式(10)で表される光学活性リン化合物は、その分子内に光学活性部位を有するリン化合物である。
【0073】
67P−Q3−PR89 (10)
[式中、R6〜R9は夫々独立して、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基又は置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基を示し、Q3はスペーサーを示す。また、R6とR7とP及び/又はR8とR9とP、R6及び/又はR7とQ3又はR8及び/又はR9とQ3、とが結合して環を形成していてもよい。尚、R6〜R9及びQ3は、一般式(10)で表されるリン化合物が光学活性リン化合物となるような基であればよい。]
一般式(10)において、R6〜R9で示される置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基及び置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基は、上記で説明した各基と同じであってよい。また、Q3で示されるスペーサーも上記Q1及びQ2で説明したスペーサーと同じであってよい。
【0074】
前記光学活性リン化合物の具体例としては、例えば、1,2−ビス(アニシルフェニルホスフィノ)エタン(DIPAMP)、1,2−ビス(アルキルメチルホスフィノ)エタン(BisP*)、2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(CHIRAPHOS)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(PROPHOS)、2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−5−ノルボルネン(NORPHOS)、2,3−O−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(DIOP)、1−シクロヘキシル−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(CYCPHOS)、1−置換−3,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ピロリジン(DEGPHOS)、2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ペンタン(SKEWPHOS)、1,2−ビス(置換ホスホラノ)ベンゼン(DuPHOS)、1,2−ビス(置換ホスホラノ)エタン(BPE)、1−((置換ホスホラノ)−2−(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン(UCAP−Ph)、1−(ビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−2−(置換ホスホラノ)ベンゼン(UCAP−DM)、1−((置換ホスホラノ)−2−(ビス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)ベンゼン(UCAP−DTBM)、1−((置換ホスホラノ)−2−(ジ−ナフタレン−1−イル−ホスフィノ)ベンゼン(UCAP−(1−Nap))、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビシクロペンタン(BICP)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−(5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロビナフチル)(H8−BINAP)、2,2’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(TOL−BINAP)、2,2’−ビス(ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(DM−BINAP)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニル(BICHEP)、(4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5’−ジイルビス(ジフェニルホスフィン)(SEGPHOS)、(4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5’−ジイルビス[ビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン](DM−SEGPHOS)、[(4S)−[4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール]−5,5’−ジイル]ビス[ビス[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メトキシフェニル]ホスフィン](DTBM−SEGPHOS)等の光学活性体である、光学活性ジホスフィン化合物等が挙げられる。また、下記に示す光学活性リン化合物等が挙げられる。
【0075】
【化8】

【0076】
【化9】

【0077】
二座配位性の光学活性ジアミン化合物としては、その分子内に、光学活性化合物となるような光学活性部位を有するジアミン化合物であればよく、例えば下記一般式(11)で表される光学活性ジアミン化合物が挙げられる。下記一般式(11)で表される光学活性ジアミン化合物は、その分子内に光学活性部位を有するジアミン化合物である。
1011N−Cf(R1415)−Q4−Cg(R1617)−NR1213 (11)
(式中、R10〜R13は夫々独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換スルホニル基又は保護基を示し、R14〜R17は夫々独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示し、Q4はスペーサー又は結合手を示し、f及びgは夫々独立して0又は1を示す。但し、R14とR15とCfと、及び/又はR16とR17とCgとが結合して環を形成してもよい。また、R10又はR11とR14又はR15とCfとNとが、及び/又はR12又はR13とR16又はR17とCgとNとが結合して炭素環や脂肪族環等の環を形成していてもよい。更に、R14又はR15とR16又はR17とが結合して環を形成していてもよい。更にまた、R10とR11とN、及び/又はR12とR13とNとが結合して環を形成してもよい。また、R10とR11とNと、及び/又はR12とR13とNとが結合してピリジン環等の複素環を形成していてもよい。更に、R14又はR15とR16又はR17とCfとQ4とCgとが結合して芳香環や脂肪族環等の環を形成していてもよい。)
【0078】
一般式(11)において、R10〜R17で示される各基、即ち、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換スルホニル基及び保護基は、上記で説明した各基と同じであってよい。また、Q4で示されるスペーサーも上記Q1及びQ2等で説明したスペーサーと同じであってよい。
14とR15と、及び/又はR16とR17とが結合して形成する環、R10又はR11とR14又はR15とが、及び/又はR12又はR13とR16又はR17とが結合して形成する環、R14又はR15とR16又はR17とが結合して形成する環、及びR10とR11、及び/又はR12とR13とが結合して形成する環、は、例えばアルキレン基で結合して形成する炭素素環や複素環等の環等が挙げられる。前記アルキレン基は、上記一般式(7)及び(8)において、Q1及びQ2におけるスペーサーで説明したアルキレン基と同じであってよい。前記形成する環の具体例としては、例えば、シクロヘキサン環、ベンゼン環等の脂肪族環等の炭素環、ピリジン環、ピペリジン環等の複素環等が挙げられる。尚、これら形成する環には、更に上記したような置換基を有していてもよい。
【0079】
前記光学活性ジアミン化合物としては、光学活性芳香族ジアミン類、光学活性脂肪族ジアミン類、光学活性ビスオキサゾリン化合物等が挙げられる。
光学活性ジアミン化合物における光学活性ビスオキサゾリン化合物は、二座配位性の光学活性ビスオキサゾリン化合物である。二座配位性の光学活性ビスオキサゾリン化合物としては、分子内に光学活性化合物となるような光学活性部位を有するビスオキサゾリン化合物であればよく、例えば、下記一般式(17)で表される光学活性ビスオキサゾリン化合物等が挙げられる。下記一般式(17)で表される光学活性ビスオキサゾリン化合物は、その分子内に光学活性部位を有するビスオキサゾリン化合物である。尚、前記光学活性オキサゾリン化合物は、スペーサーやオキサゾリン環の置換基の種類により、三座配位子や四座配位子等になることもある。
【0080】
【化10】

【0081】
(式中、オキサゾリン環A及びBは、置換基を有していてもよいオキサゾリン環を示し、Q10はスペーサー又は結合手を示す。)
【0082】
上記一般式(17)において、オキサゾリン環A及びBで示される置換基を有していてもよいオキサゾリン環は、オキサゾリン環(即ち、置換基を有さないオキサゾリン環)又は置換オキサゾリン環(即ち、置換基を有するオキサゾリン環)が挙げられる。置換基を有していてもよいオキサゾリン環における置換基は、上記で説明した置換基と同じであってよい。また、Q10で示されるスペーサーも上記Q1及びQ2で説明したスペーサーと同じであってよい。
【0083】
光学活性ジアミン化合物の具体例としては、例えば、1,2−ジフェニルエチレンジアミン、1,2−ビス(4−メトキシフェニル)エチレンジアミン、1,2−ジシクロヘキシルエチレンジアミン、1,2−ジ(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)エチレンジアミン、1,2−ジ(4−N,N−ジエチルアミノフェニル)エチレンジアミン、1,2−ジ(4−N,N−ジプロピルアミノフェニル)エチレンジアミン、1,2−(N−ベンゼンスルホニル)−1,2−ジ(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)エチレンジアミン、1,2−(N−p−トルエンスルホニル)−1,2−ジ(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)エチレンジアミン、1,2−(N−メタンスルホニル)−1,2−ジ(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)エチレンジアミン、1,2−(N−トリフルオロメタンスルホニル)−1,2−ジ(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)エチレンジアミン、1,2−(N−ベンゼンスルホニル)−1,2−ジ(4−N,N−ジエチルアミノフェニル)エチレンジアミン、1,2−(N−ベンゼンスルホニル)−1,2−ジ(4−N,N−ジプロピルアミノフェニル)エチレンジアミン、1,2−ジ(4−スルホニルフェニル)エチレンジアミン、1,2−ジ(4−ナトリウムオキシスルホニルフェニル)エチレンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,2−シクロヘプタンジアミン、2,3−ジメチルブタンジアミン、1−メチル−2,2−ジフェニルエチレンジアミン、1−イソブチル−2,2−ジフェニルエチレンジアミン、1−イソプロピル−2,2−ジフェニルエチレンジアミン、1−メチル−2,2−ジ(p−メトキシフェニル)エチレンジアミン、1−イソブチル−2,2−ジ(p−メトキシフェニル)エチレンジアミン、1−イソプロピル−2,2−ジ(p−メトキシフェニル)エチレンジアミン、1−ベンジル−2,2−ジ(p−メトキシフェニル)エチレンジアミン、1−メチル−2,2−ジナフチルエチレンジアミン、1−イソブチル−2,2−ジナフチルエチレンジアミン、1−イソプロピル−2,2−ジナフチルエチレンジアミン、ビス[N−(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、N,N’−ビス(フェニルメチル)−1,2−ジフェニル−1,2−エチレンジアミン、N,N’−ビス(メシチルメチル)−1,2−ジフェニル−1,2−エチレンジアミン、N,N’−ビス(ナフチルメチル)−1,2−ジフェニル−1,2−エチレンジアミン等の光学活性体が挙げられる。また、下記に示す光学活性ジアミン化合物等が挙げられる。
【0084】
【化11】

【0085】
これら光学活性ジアミン化合物には、光学活性体として(1R,2R)、(1S,2S)、(1R,2S)、(1S,2R)体が含まれるが、中でも(1R,2R)、(1S,2S)体が好ましい光学活性ジアミン化合物として挙げられる(ここで、光学活性体について、特に断らない限り後述する光学活性アミノアルコール化合物等の同様の構造を有する化合物においても同様である。)。(1R,2R)体及び(1S,2S)体の光学活性ジアミン化合物の具体例を示すと、例えば、(1R,2R)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、(1S,2S)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2R)−1,2−ジ(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)エチレンジアミン、(1S,2S)−1,2−ジ(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)エチレンジアミン、(1R,2R)−1,2−ジ(4−N,N−ジエチルアミノフェニル)エチレンジアミン、(1S,2S)−1,2−ジ(4−N,N−ジエチルアミノフェニル)エチレンジアミン、(1R,2R)−1,2−ジ(4−N,N−ジプロピルアミノフェニル)エチレンジアミン、(1S,2S)−1,2−ジ(4−N,N−ジプロピルアミノフェニル)エチレンジアミン等が挙げられる。
【0086】
また、光学活性ビスオキサゾリン化合物の具体例としては、例えば、(S,S)−2,6−ビス(4−イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、(R,R)−2,6−ビス(4−イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、(S,S)−2,6−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、(R,R)−2,6−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、(S,S)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、(R,R)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、(S,S)−(−)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−メチレンビス[(4R又は4S)−フェニル−5,5−ジメチルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R又は4S)−フェニル−5,5−ジエチルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R又は4S)−フェニル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R又は4S)−フェニル−5,5−ジ−i−プロピルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R又は4S)−フェニル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R又は4S)−フェニル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R又は4S)−フェニル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R又は4S)−フェニル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R又は4S)−フェニル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R又は4S)−フェニル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R又は4S)−フェニル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R又は4S)−フェニル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[スピロ((4R又は4S)−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン)]、2,2’−メチレンビス[スピロ((4R又は4S)−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン)]、2,2’−メチレンビス[スピロ((4R又は4S)−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン)]、2,2’−メチレンビス[スピロ((4R又は4S)−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン)]等が挙げられる。
【0087】
二座配位性の光学活性アミノアルコール化合物としては、その分子内に、光学活性化合物となるような光学活性部位を有するアミノアルコール化合物であればよく、例えば下記一般式(12)で表される光学活性アミノアルコール化合物が挙げられる。下記一般式(12)で表される光学活性アミノアルコール化合物は、その分子内に光学活性部位を有するアミノアルコール化合物である。
【0088】
1819N−Cf(R2021)−Q5−Cg(R2223)−OH (12)
(式中、R18及びR19は夫々独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換スルホニル基又は保護基を示し、R20〜R23は夫々独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示し、Q5はスペーサー又は結合手を示し、f及びgは前記と同じ。但し、R20とR21とCfとが、及び/又はR22とR23とCgとが結合して環を形成していてもよい。また、R18又はR19とR20又はR21とNとCfとが結合して炭素環や脂肪族環等の環を形成していてもよい。更に、R18とR19とが結合して環を形成していてもよい。また、R18とR19とNとが結合してピリジン環等の複素環を形成していてもよい。更に、R20とR21とCfとQ5とが結合して脂肪族環や芳香族環等の環を形成していてもよい。)
【0089】
一般式(12)において、R18〜R23で示される各基、即ち、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換スルホニル基及び保護基は、上記で説明した各基と同じであってよい。また、Q5で示されるスペーサーも上記Q1及びQ2で説明したスペーサーと同じであってよい。
【0090】
前記光学活性アミノアルコール化合物としては、光学活性芳香族アミノアルコール類、光学活性脂肪族アミノアルコール類等が挙げられる。光学活性アミノアルコール化合物の具体例としては、例えば、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−ブタノール、アラニノール、ロイシノール、イソロイシノール、2−アミノシクロヘキサノール、4−アミノシクロヘキサノール、2−アミノシクロヘキサンメタノール等の光学活性脂肪族アミノアルコール類;フェニルグリシノール、フェニルアラニノール、エフェドリン、ノルエフェドリン、シュードエフェドリン、2−アミノ−1、2−ジフェニルエタノール、2−ベンジルアミノシクロヘキサンメタノール等の光学活性芳香族アミノアルコール類等が挙げられる。また、下記に示す光学活性アミノアルコール化合物等が挙げられる。
【0091】
【化12】

【0092】
これら光学活性アミノアルコール化合物には、光学活性体として(1R,2R)、(1S,2S)、(1R,2S)、(1S,2R)体が含まれるが、中でも(1R,2R)、(1S,2S)体が好ましい光学活性アミノアルコール化合物として挙げられる。
【0093】
二座配位性の光学活性ジオール化合物としては、分子内に光学活性化合物となるような光学活性部位を有するジオール化合物であればよく、例えば下記一般式(13)で表される光学活性ジオール化合物が挙げられる。下記一般式(13)で表される光学活性ジオール化合物は、その分子内に光学活性部位を有するジオール化合物である。
【0094】
HO−Cf(R2425)−Q6−Cg(R2627)−OH (13)
(式中、R24〜R27は夫々独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示し、Q6はスペーサー又は結合手を示し、f及びgは前記と同じ。但し、R24とR25とCfとが、及び/又はR26とR27とCgとが結合して環を形成していてもよい。また、R24又はR25とCfとQ6とCgとR26又はR27とが結合して脂肪族環や芳香族環等の環を形成していてもよい。)
【0095】
一般式(13)において、R24〜R27で示される置換基を有していてもよい炭化水素基及び置換基を有していてもよい複素環基は、上記で説明した各基と同じであってよい。また、Q6で示されるスペーサーも上記Q1及びQ2で説明したスペーサーと同じであってよい。
【0096】
前記光学活性ジオール化合物の具体例としては、例えば、下記に示す光学活性ジオール化合物等が挙げられる。
【0097】
【化13】

【0098】
これら光学活性ジオール化合物には、光学活性体として(1R,2R)、(1S,2S)、(1R,2S)、(1S,2R)体が含まれるが、中でも(1R,2R)、(1S,2S)体が好ましい光学活性ジオール化合物として挙げられる。
【0099】
二座配位性の光学活性アミノホスフィン化合物としては、分子内に光学活性化合物となるような光学活性部位を有するアミノホスフィン化合物であればよく、例えば下記一般式(14)で表される光学活性アミノホスフィン化合物が挙げられる。下記一般式(14)で表される光学活性アミノホスフィン化合物は、その分子内に光学活性部位を有するアミノホスフィン化合物である。
【0100】
67P−Q7−Cg(R1617)−NR1213 (14)
(式中、Q7はスペーサー又は結合手を示し、R6、R7、R12、R13、R16及びR17及びgは前記と同じ。但し、R6とR7とP、R6及び/又はR7とPとQ7、R16とR17とCg、R12又はR13とR16又はR17とCg、及び/又はR12とR13とNとが結合して環を形成してもよい。また、R12とR13とNとが結合してピリジン環等の複素環を形成していてもよい。更に、R16又はR17とが結合して芳香環や脂肪族環等の環を形成していてもよい。)
一般式(13)において、Q7で示されるスペーサーも上記Q1及びQ2で説明したスペーサーと同じであってよい。
前記光学活性アミノホスフィン化合物の具体例としては、例えば、下記に示す化合物等が挙げられる。
【0101】
【化14】

【0102】
二座配位性の光学活性ホスフィノアルコール化合物としては、分子内に光学活性化合物となるような光学活性部位をするホスフィノアルコール化合物であればよく、例えば下記一般式(15)で表される光学活性ホスフィノアルコール化合物が挙げられる。前記一般式(15)で表される光学活性ホスフィノアルコール化合物は、その分子内に光学活性部位を有するホスフィノアルコール化合物である。
【0103】
67P−Q8−Cg(R2627)−OH (15)
(式中、Q8はスペーサー又は結合手を示し、R6、R7、R26及びR27、及びgは前記と同じ。但し、R6とR7とP、R26及び/又はR27とCgとQ8、R26とR27とCg、R26又はR27とCg8と、が結合して環を形成してもよい。)
【0104】
一般式(15)において、Q8で示されるスペーサーも上記Q1及びQ2で説明したスペーサーと同じであってよい。
【0105】
前記光学活性ホスフィノアルコール化合物の具体例としては、例えば、下記に示す化合物等が挙げられる。
【0106】
【化15】

【0107】
二座配位性の光学活性アミノチオ化合物としては、分子内に光学活性化合物となるような光学活性部位を有するアミノチオ化合物であればよく、例えば下記一般式(16)で表される光学活性アミノチオ化合物が挙げられる。下記一般式(16)で表される光学活性アミノチオ化合物は、その分子内に光学活性部位を有するアミノチオ化合物である。
【0108】
1819N−Cf(R2021)−Q9−Cg(R2223)−SR28 (16)
(式中、R28は水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示し、Q9はスペーサー又は結合手を示し、R18、R19、R20〜R23、及びf及びgは前記と同じ。但し、R20とR21とCfと、及び/又はR22とR23とCgとが結合して環を形成していてもよい。また、R18又はR19とR20又はR21とNとCfとが結合して環を形成していてもよい。更に、R18とR19とNとが結合してピリジン環やピペリジン環等の複素環等の環を形成していてもよい。)更にまた、R20又はR21とCfとQ9とCgとR22又はR23とが結合して芳香環や脂肪族環等の環を形成していてもよい。
【0109】
一般式(16)において、R28で示される置換基を有していてもよい炭化水素基及び置換基を有していてもよい複素環基は、上記で説明した各基と同じであってよい。また、Q9で示されるスペーサーも上記Q1及びQ2で説明したスペーサーと同じであってよい。
【0110】
前記光学活性アミノチオ化合物の具体例としては、例えば、下記に示す化合物等が挙げられる。
【0111】
【化16】

【0112】
三座配位子としては、例えば、下記に示す化合物等が挙げられる。
【0113】
【化17】

【0114】
四座配位子としては、例えば、下記に示す化合物等が挙げられる。
【0115】
【化18】

【0116】
尚、上記本発明で用いられる不斉配位子は、反応条件等に応じて、異なる配位状態の配位子として機能してもよい。
上記不斉配位子は、夫々単独で用いても2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。また、これら不斉配位子は、該不斉配位子が任意に結合して、不斉配位子を構成していてもよい。
また、上記不斉配位子は、市販品を用いても、常法や上記したような文献等に記載の方法で適宜製造した不斉配位子を用いてもよい。
【0117】
2)銅化合物
本発明で用いられる銅化合物は、不斉配位子と反応させることにより不斉銅錯体が得られ、得られた不斉銅錯体を均一系水素化反応用触媒として用いても該反応に悪影響を及ぼさないものであれば何れも使用可能である。
本発明で用いられる銅化合物としては、一価又は二価の銅を含有する化合物が挙げられ、例えば、銅塩、その他の銅化合物、銅錯体等が挙げられる。これら本発明で用いられる銅化合物の具体例としては、例えば、Organocopper Reagent A Practical Approach (OXFORD UNIVERSITY PRESS, 1994)に記載の銅化合物等が挙げられる。
【0118】
銅塩としては、例えば下記一般式(2−1)で表される銅塩等が挙げられる。
[Cun111n12n13 (2−1)
(式中、n12個のX1は同一又は異なって、アニオンを示し、n11〜n13は夫々独立して、自然数を示す。)
【0119】
1で示されるアニオンとしては、硝酸イオン、亜硝酸イオン、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、スルホン酸イオン、スルファミン酸イオン、炭酸イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫化物イオン、チオシアン酸イオン、リン酸イオン、ピロリン酸イオン、酸化物イオン、リン化物イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、ヨウ素酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、シアン化物イオン、ホウ酸イオン、メタホウ酸イオン、ほうフッ化物イオン等が挙げられる。
【0120】
ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。
スルホン酸イオンとしては、R105SO3-(R105は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。置換基を有していてもよい炭化水素基は上記と同じ。)等で示される基が挙げられる。スルホン酸イオンの具体例としては、例えば、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等が挙げられる。
カルボン酸イオンとしては、R106COO-(R106は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。置換基を有していてもよい炭化水素基は上記と同じ。)等で示される。カルボン酸イオンの具体例としては、例えば、酢酸イオン、ぎ酸イオン、プロピオン酸イオン、グルコン酸イオン、オレイン酸イオン、しゅう酸イオン、安息香酸イオン、フタル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン等が挙げられる。
【0121】
n11及びn12は夫々独立して自然数を示すが、好ましくは1〜10の自然数である。
【0122】
銅塩の具体例としては、例えば、硝酸銅(I)、硝酸銅(II)等の硝酸銅;亜硝酸銅(I)、亜硝酸銅(II)等の亜硝酸銅;塩化銅(I)、塩化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、フッ化銅(I)、フッ化銅(II)、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)等のハロゲン化銅;硫酸銅(II)等の硫酸銅;亜硫酸銅(II)等の亜硫酸銅;メタンスルホン酸銅(I)、メタンスルホン酸銅(II)、p−トルエンスルホン酸銅(I)、p−トルエンスルホン酸銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)等のスルホン酸銅;スルファミン酸銅(II)等のスルファミン酸銅;炭酸銅(II)等の炭酸銅;水酸化銅(II)等の水酸化銅;酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、ギ酸銅(II)、プロピオン酸銅(II)、グルコン酸銅(II)、オレイン酸銅(II)、シュウ酸銅(II)、安息香酸銅(II)、フタル酸銅(II)、カプリル酸銅(II)、クエン酸銅(II)、サリチル酸銅(II)、酒石酸銅(II)、ステアリン酸銅(II)、ナフテン酸銅、乳酸銅(II)、ラウリン酸銅(II)等のカルボン酸銅;硫化銅(I)、硫化銅(II)等の硫化銅;チオシアン酸銅(I)、チオシアン酸銅(II)等のチオシアン酸銅;リン酸銅(II)、ピロリン酸銅(II)等のリン酸銅;酸化銅(I)、酸化銅(II)等の酸化銅;塩素酸銅(I)、過塩素酸銅(II)等の過ハロゲン化酸銅;ヨウ素酸銅(II)等のハロゲン化酸銅;ヘキサフルオロケイ酸銅等のケイ酸銅;シアン化銅(I)、シアン化銅(II)等のシアン化銅;ホウ酸銅、メタホウ酸銅、銅テトラフルオロボレート等のホウ酸銅等が挙げられる。
【0123】
その他の銅化合物としては、例えば下記一般式(2−2)で表される銅化合物等が挙げられる。
[Cun142n15n16 (2−2)
[式中、n15個のX2は同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、OR101(R101は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)、NR1022(2個のR102は同一又は異なって、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)、PR1032(2個のR103は同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)、SR104(R104は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)、1,3−ジカルボニル化合物或いはそのエノラート又はヒドリドを示し、n14〜n16は夫々独立して、自然数を示す。]
【0124】
一般式(2−2)において、n14及びn15は夫々独立して自然数を示すが、好ましくは1〜10の自然数である。
2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基、及びOR101、NR1022、PR1032及びSR104において、R101、R102、R103及びR104で示される置換基を有していてもよい炭化水素基は、夫々上記で説明した置換基を有していてもよい炭化水素基と同じであってよい。
【0125】
2で示されるOR101の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基等が挙げられる。
NR1022の具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
PR1032の具体例としては、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジ(tert−ブチル)ホスフィノ基、ジシクロヘキシルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基等が挙げられる。
SR104の具体例としては、SMe、SEt、SBu、SPh、S(CH365)等が挙げられる。
1,3−ジカルボニル化合物或いはそのエノラートの具体例としては、2,5−ペンタンジオン(acac)、1,1,1−トリフルオロ−2,5−ペンタンジオン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロペンタンジオン(hfac)、ベンゾイルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が挙げられる。
【0126】
一般式(2−2)で表される銅化合物の具体例としては、例えば、銅ジメトキシド、銅ジエトキシド、銅ジイソプロポキシド、銅tert−ブトキシド等の銅アルコキシド;銅フェノキシド等の銅フェノキシド;銅ジ(tert−ブチルホスフィド)、銅ジシクロヘキシルホスフィド、銅ジフェニルホスフィド等の銅ホスフィド;銅ジシクロヘキシルアミド等の銅アミド;銅ブタンチオレート、銅チオフェノレート等の銅チオレート;銅2,4−ペンタンジオネート、銅ベンゾイルアセトネート、銅1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオネート、銅エチルアセトアセテート、銅トリフルオロペンタンジオネート、銅ヘキサフルオロペンタンジオネート等の銅1,3−ジカルボニル化合物或いはそのエノラート;水素化銅;メシチル銅、エチニル銅等の炭化水素化銅;トリメチルシリルエチニル銅等のシリル化銅等が挙げられる。
【0127】
その他の銅化合物は、また、例えば下記一般式(2−3)で表される銅化合物等が挙げられる。
[HCuP(R1073n17 (2−3)
(式中、3個のR107は同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、n17は自然数を示す。)
【0128】
一般式(2−3)で表される銅化合物の具体例としては、例えば、水素化銅(I)(トリフェニルホスフィン)ヘキサマー(Stryker試薬)等が挙げられる。
【0129】
一般式(2−3)で表される銅化合物の具体例としては、例えば、ヒドリド(トリフェニルホスフィン)銅(I)ヘキサマー等が挙げられる。
【0130】
上記銅塩及び上記その他の銅化合物等の銅化合物は、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等)やアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等)の塩と複塩を形成していてもよい。形成される複塩の具体例としては、例えば、KCuF3、K3[CuF6]、CuCN・LiCl、Li2CuCl4、Li2CuCl3、LiCuBr2等が挙げられる。これら銅塩及び上記その他の銅化合物は、無水物でも水和物でもよい。
【0131】
銅化合物として用いられる銅錯体は、i)不斉配位子以外の配位子を有し、不斉配位子と反応して均一系水素化反応用触媒、特に均一系不斉水素化反応用触媒として使用可能な不斉銅錯体を形成する、又はii)不斉配位子と共に均一系水素化反応用触媒、特に均一系不斉水素化反応用触媒として使用可能となる銅錯体、或いはiii)不斉配位子と反応して不斉銅錯体を形成する不斉銅錯体前駆体として用いられる銅錯体、であれば何れも挙げられる。前記銅錯体としては、例えば、COMPREHENSIVE ORGANOMETALLIC CHEMISTRY II (Pergamon, 1995)、COMPREHENSIVE ORGANOMETALLIC CHEMISTRY (Pergamon, 1982)、WO2005/016943号、日本化学会編「第4版 実験化学講座」第17巻(無機錯体・キレート錯体)、同第18巻(有機金属錯体)1991年(丸善)、Inorg. Chem., 1382 (1965).等に記載されている銅錯体等が挙げられる。
【0132】
銅化合物として用いられる銅錯体は、その構造が複雑であるため一概にはいえないが、敢えて一般式で表すとすると、例えば下記一般式(2−4)で表される銅錯体等が挙げられる。
[Cun212n22n233n24 (2−4)
(式中、n22個のL2は同一又は異なって、配位子を示し、n24個のX3は同一又は異なって、アニオン又はカチオンを示し、n21〜n23は夫々独立して、自然数を示し、n24は0又は自然数を示す。)
【0133】
一般式(2−4)において、L2で示される配位子は、銅と結合又は配位する化合物であればよい。該配位子としては、例えば、単座、二座、三座、四座等の配位子が挙げられる。
【0134】
前記L2で示される配位子の具体例としては、例えば、ハロゲン原子、一酸化炭素(CO)、ニトリル類、シアニド類、中性配位子、炭化水素基類、ヒドリド基、リン化合物、アミン化合物、硫黄化合物、アニオン、置換基を有していてもよい炭化水素基、OR101(R101は前記と同じ。)、NR1022(R102は前記と同じ。)、PR1032(R103は前記と同じ。)、SR104(R104は前記と同じ。)、又は1,3−ジカルボニル化合物或いはそのエノラート(該1,3−ジカルボニル化合物或いはそのエノラートは上記と同じ。)等が挙げられる。
【0135】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
ニトリル類としては、例えば、R110CN(R110は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)で表されるニトリル類等が挙げられる。R110で示される置換基を有していてもよい炭化水素基は、上記で説明した置換基を有していてもよい炭化水素基と同じである。ニトリル類の具体例としては、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
シアニド類としては、例えば、R111NC(R111は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)で表されるシアニド類等が挙げられる。R111で示される置換基を有していてもよい炭化水素基は、上記で説明した置換基を有していてもよい炭化水素基と同じである。シアニド類の具体例としては、例えば、メチルイソシアニド、フェニルイソシアニド等が挙げられる。
中性配位子としては、例えば、芳香族化合物、オレフィン類、ジオレフィン類等の炭化水素類、その他の中性配位子等が挙げられる。芳香族化合物としては、ベンゼン、p−シメン、1,3,5−トリメチルベンゼン(メシチレン)、ヘキサメチルベンゼン等が挙げられる。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、シクロオクテン等が挙げられる。ジオレフィン類としては、ブタジエン、シクロオクタジエン(cod)、ノルボルナジエン(nbd)等が挙げられる。その他の中性配位子としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、クロロホルム等が挙げられる。
炭化水素基類としては、シクロペンタジエニル基(Cp)、テトラメチルシクロペンタジエニル基等が挙げられる。
リン化合物としては、例えば、一般式(41)
PR1513 (41)
(式中、3個のR151は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基、アミノ基又は置換アミノ基を示す。)で表されるリン化合物等が挙げられる。
151で示される置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基及び置換アミノ基は、上記で説明した各基と同じであってよい。
一般式(41)において、R151で示される置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基及び置換アミノ基は、上記で説明した各基と同じであってよい。また、2つのリン化合物が結合して、ジホスフィン化合物、例えば、一般式(42)
1512P−Q21−PR1512 (42)
(式中、Q21はスペーサーを示し、4個のR151は同一又は異なって、前記と同じ。)で表されるジホスフィン化合物を形成していてもよい。
一般式(42)において、Q21で示されるスペーサーは、R151に由来の基であり、上記で説明したアルキレン基と同じであってよい。
前記リン化合物の具体例としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィノメタン(dppm)、ジフェニルホスフィノエタン(dppe)、ジフェニルホスフィノプロパン(dppp)、ジフェニルホスフィノブタン(dppb)、ジフェニルホスフィノフェロセン(dppf)等のホスファン化合物、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等のホスファイト化合物等が挙げられる。
アミン化合物としては、例えば、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、s−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族アミン類;アニリン、ジメチルアニリン等の芳香族アミン類;ピリジン(py)、ジメチルアミノピリジン、等の含窒素芳香族複素環類、ピロリジン、ピペラジン等の含窒素脂肪族複素環類;エチレンジアミン(en)、プロピレンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ビピリジン(bpy)、フェナントロリン(phen)等のジアミン類等が挙げられる。
硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジブチルスルフィド等が挙げられる。
アニオンは、上記一般式(2−1)におけるX1で説明したアニオンと同じであってよい。また、置換基を有していてもよい炭化水素基も、上記で説明した置換基を有していてもよい炭化水素基と同じであってよい。
【0136】
3で示されるアニオンとしては、例えば、ハロゲン化物イオン、BR1124(4個のR112は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又はハロゲン原子を示す。)、ClO4、BrO3、OTf、NO3、PF6、SbF6、AsF6、I3、硫酸イオン、CuR1132(2個のR113は同一又は異なって、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)等が挙げられる。ここで、Tfは、トリフルオロメタンスルホニル基(SO2CF3)を示す。ハロゲン原子、ハロゲン化物イオン及び置換基を有していてもよい炭化水素基は、上記で説明した各基と同じである。
BR1124の具体例としては、例えば、BH4、BPh4、BF4等が挙げられる。
【0137】
CuR1132におけるR113がハロゲン原子である場合の具体例としては、例えば、CuCl2、CuBr2、CuI2、CuF2等が挙げられる。また、R113が置換基を有していてもよい炭化水素基の場合の具体例としては、例えば、CuMe2、CuPh2、Cu(Mes)2等が挙げられる。ここで、Mesはメシチル基を示す。
【0138】
カチオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン等が挙げられる。
アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン等が挙げられる。
アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン等が挙げられる。
アンモニウムイオンとしては、アンモニウムイオン及び置換アンモニウムイオンが挙げられる。置換アンモニウムイオンの具体例としては、例えば、メチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラフェニルアンモニウムイオン等が挙げられる。
ホスホニウムイオンとしては、フェニルホスホニウムイオン、ジフェニルホスホニウムイオン、トリフェニルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン等が挙げられる。
【0139】
n21は自然数を示すが、好ましくは1〜10の自然数である。また、n22は自然数を示すが、好ましくは1〜20の自然数である。
【0140】
前記銅化合物として用いられる銅錯体の具体例としては、例えば、下記に示す銅化合物等がその一例として挙げられる。
CuBr・SMe2、CuI・SMe2、CuBr・P(OMe)3、CuI・P(OMe)3、CuI・P(OEt)3、CuI・PBu3、CuO−tert−Bu・PEt3、CuI・PPh3、CuBr・(SBu22、CuI・(SBu22、CuBr・[P(OMe)32、CuI・[P(OMe)32、CuI・TMEDA、CuCl(cod)、CuBr(cod)、CuI(cod)、[Cu(BF4)(PPh33]、[CuBr(PPh3)]n、Cu(PEt3)Cp、Cu(PPh3)CpCu(cod)(hfac)、Cu(C2Me2)(hfac)、[Cu(en)2](ClO4)2、[Cu(en)2]SO4、[CuI(py)]、[CuI(MeNC)]、[Cu(MeCN)4][BF4]、[Cu(MeCN)4][ClO4]、[Cu(bpy)2][BF4]、[Cu(bpy)2][ClO4]、[Cu(phen)2][ClO4]、[Cu(cod)]2[ClO4]、[Cu(cod)]2[OTf]、[Cu(cod)]2[BF4]、[Cu(cod)]2[PF6]、[Cu(CO)(en)][BPh4]、[Cu(NH34]SO4、[Cu(py)4]ClO4、[Cu(py)6][ClO42、[Cu(NH36]Cl2、[CuCl(PPh33]、[CuI(PEt33]、CuCl(C8122)、{[Cu(CNMe)2][CuI2]}n、K2[Cu(C242]、(NH42[CuCl4]、K3[Cu(CN)4]、K3[Cu(NO25]、Li[CuMe2]、Li[Cu(C35)(SPh)]、Cu(NH42(SO42
【0141】
これら上記したような銅化合物、即ち、銅塩、その他の銅化合物、銅錯体等の銅化合物として用いられる銅化合物は、無水物でも水和物でもよい。また、それら銅化合物は、夫々単独で用いても2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
また、上記銅化合物は、市販品を用いても、或いは常法や、本明細書に記載の文献等に記載の方法で適宜製造したものを用いてもよい。
【0142】
3)不斉銅錯体
本発明で用いられる不斉銅錯体の具体例としては、例えば、Handbook of Enantioselective Catalysis(VCH, 1993)、J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 5843.、J. Org. Chem. 1998, 63, 6090.、Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 1679.、Dalton. Trans. 2003, 1881.、ORGANIC LETTERS, Vol.6, No.14, 2305(2004)等に記載されている不斉銅錯体等が挙げられる。また、下記に示す不斉銅錯体も本発明で用いられる不斉配位子を有する不斉銅錯体の具体例として挙げられる。
【0143】
【化19】

【0144】
【化20】

【0145】
これら不斉銅錯体は、夫々単独で用いても、必要に応じて適宜2種以上組み合わせて用いてもよい。また、不斉配位子を有する不斉銅錯体は、無水物でも水和物でもよい。更に、本発明で用いられる不斉銅錯体は、市販品を用いても、常法や上記した文献に記載の方法、或いは後述する方法等により製造したものを用いてもよい。
【0146】
本発明で用いられる不斉銅錯体は、上記1)不斉配位子で説明したような不斉配位子を有する不斉銅錯体であれば何れでもよいが、該不斉銅錯体を構造式で表すとすると、その構造は複雑であるため一概には言えず、一般式で表すことは困難であるが、敢えて表すとすると、例えば下記一般式(1)で表される。
【0147】
[Cun11n22n31n52n6n9n4[X1n53n7n8 (1)
[式中、n2個のL1は同一又は異なって、不斉配位子を示し、n3個のL2は同一又は異なって、配位子を示し、n5個のX1は同一又は異なって、アニオンを示し、n6個のX2は同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、OR101(R101は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)、NR1022(2個のR102は同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)、PR1032(2個のR103は同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)、SR104(R104は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)、1,3−ジカルボニル化合物或いはそのエノラート又はヒドリドを示し、n7個のX3は同一又は異なって、アニオン又はカチオンを示し、n1、n2及びn4は夫々独立して、自然数を示し、n3及びn6〜n9は夫々独立して、0又は自然数を示し、2個のn5は同一又は異なって、0又は自然数を示す。]
【0148】
一般式(1)において、L1で示される不斉配位子は、上記1)不斉配位子で説明した不斉配位子である。L2で示される配位子、X1で示されるアニオン、X2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基、OR101、NR1022、PR1032、SR104及び1,3−ジカルボニル化合物或いはそのエノラート、及びX3で示されるアニオン及びカチオンは、上記で説明したそれぞれと同じであってよい。
【0149】
n1は自然数を示すが、好ましくは1〜10の自然数である。n2は自然数を示すが、好ましくは1〜12の自然数である。n3は0又は自然数を示すが、好ましくは0又は1〜20の自然数である。n5は自然数を示すが、好ましくは1〜10の自然数である。n6は0又は自然数を示すが、好ましくは0又は1〜10の自然数である。
【0150】
上記一般式(1)で表される不斉銅錯体は、例えば一般式(61)
[L1112CuL13n35 (61)
(式中、L11は二座配位性の光学活性リン化合物を示し、L12はL11と異なるリン化合物を示し、L13は配位子を示し、n35は自然数を示す。)で表される不斉銅錯体が挙げられる。
一般式(61)において、L11で示される二座配位性の光学活性リン化合物は、上記不斉配位子で説明した光学活性リン化合物と同じであってよい。L11で示される二座配位性の光学活性リン化合物は、中でも光学活性ジホスフィン化合物が好ましい。前記光学活性ジホスフィン化合物は、上記不斉配位子で説明した光学活性リン化合物と同じであってよい。L12で示されるL11と異なるリン化合物は、L11で示される二座配位性の光学活性リン化合物と異なるリン化合物であればよく、光学活性体(不斉配位子)でも不斉配位子ではない配位子でもよく、例えば、本明細書において、上記不斉配位子で説明した光学活性リン化合物や上記一般式(2−4)において、L2で示される配位子として説明したリン化合物と同じであってよい。L13で示される配位子としては、上記一般式(2−4)において、L2で示される配位子として説明した配位子と同じであってよい。
【0151】
一般式(61)で表される不斉銅錯体の具体例としては、例えば、[CuF(PPh3)(L20)]n、[CuCl(PPh3)(L20)]n、[CuBr(PPh3)(L20)]n、[CuI(PPh3)(L20)]n、[CuH(PPh3)(L20)]n、[CuOTf(PPh3)(L20)]n、[Cu(NO3)(PPh3)(L20)]n、[Cu(OAc)(PPh3)(L20)]n、[CuCl(P(3,5−xylyl)3)(L20)]n、等が挙げられる。(式中、L20はL11と同様の光学活性ジホスフィン化合物((R)−BINAP、(S)−BINAP、(R)−DM−BINAP、(S)−DM−BINAP、(R)−SEGPHOS、(S)−SEGPHOS、(R)−DM−SEGPHOS、(S)−DM−SEGPHOS、(R)−DTBM−SEGPHOS、(S)−DTBM−SEGPHOS、(R,R)−SKEWPHOS、(S,S)−Me−DuPHOS、(S,S)−Me−DuPHOS、(R,S)−Josiphos、(S,R)−Josiphos等)を示し、nは自然数を示す。)等が挙げられる。
【0152】
本発明で用いられる不斉銅錯体は、例えば、本明細書に記載した文献等に記載の方法に従って製造すればよい。
即ち、不斉配位子と銅化合物とを、必要に応じて適当な溶媒中で反応させることにより、不斉銅錯体を容易に得ることができる。
【0153】
上記不斉配位子及び銅化合物の使用量は、用いる銅化合物や不斉配位子の種類等により異なるため特に限定されないが、不斉配位子の使用量が銅化合物に対して、通常0.000001〜100当量、好ましくは0.00001〜10当量の範囲から適宜選択される。
【0154】
必要に応じて用いられる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、tert−ブタノール、2−エトキシエタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル等の含シアノ有機化合物類、N−メチルピロリドン、水等が挙げられる。これら溶媒は、夫々単独で用いても2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
溶媒の使用量は、銅化合物に対して、通常1〜1000倍量、好ましくは5〜200倍量の範囲から適宜選択される。
【0155】
また、上記不斉配位子と銅化合物との反応は、必要に応じて、その他の試薬の存在下で行ってもよい。
その他の試薬としては、酸、塩基、還元剤、ハロゲン化剤等が挙げられる。
【0156】
酸としては、無機酸、有機酸、ルイス酸等が挙げられる。
無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、テトラフルオロホウ酸、過塩素酸、過ヨウ素酸等挙げられる。
有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、吉草酸、ヘキサン酸、クエン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、フタル酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム等のハロゲン化ジアルキルアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム、四塩化チタン等のハロゲン化チタン、テトライソプロポキシチタン等のテトラアルコキシチタン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等のハロゲン化ホウ素、塩化亜鉛、臭化亜鉛等のハロゲン化亜鉛等が挙げられる。
塩基としては、無機塩基、有機塩基等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸水素塩類、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、アンモニア等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、カリウムナフタレニド、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジフェニルホスフィド、ナトリウムジフェニルホスフィド、カリウムジフェニルホスフィド等のアルカリ・アルカリ土類金属の塩、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、トリ−n−ブチルアミン、N−メチルモルホリン等の有機アミン類、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、n−プロピルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムクロリド、s−ブチルマグネシウムクロリド、tert−ブチルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、n−プロピルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムブロミド、n−ブチルマグネシウムブロミド、s−ブチルマグネシウムブロミド、tert−ブチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド等の有機金属化合物類、上記で不斉配位子として例示したジアミン化合物の光学活性体(光学活性ジアミン化合物)及びラセミ体等が挙げられる。
還元剤としては、例えば、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。
ハロゲン化剤としては、例えば、テトラブチルアンモニウムフロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムトリフェニルジフルオロシリケート等の4級アンモニウム塩、ヨウ素、臭素等のハロゲン等が挙げられる。
これらその他の試薬は、夫々単独で用いても2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
その他の試薬の使用量としては、銅化合物に対して通常0.001〜100当量、好ましくは0.01〜100当量の範囲から適宜選択される。
【0157】
上記不斉配位子と銅化合物との反応温度は、溶媒の種類等により異なるが、通常−100℃〜150℃、好ましくは−80℃〜120度の範囲から適宜選択される。
反応時間は、通常1分〜100時間、好ましくは10分〜24時間の範囲から適宜選択される。
【0158】
反応後は、後処理等をせずにそのまま均一系水素化反応用触媒、特に均一系不斉水素化反応用触媒として用いてもよく、必要に応じて後処理、精製、単離等を行った後に、該触媒として用いてもよい。後処理の具体的な方法としては、溶媒抽出、塩析、晶出、再結晶、各種クロマトグラフィー等、自体公知の分離、精製方法等が挙げられる。
【0159】
このようにして得られた上記不斉銅錯体は、所謂単量体や多量体の混合物である場合がある。即ち、上記一般式(1)におけるn4が1である不斉銅錯体(モノマー)及びn4が2以上である不斉銅錯体(ポリマー)が混在している場合がある。
[1−2]均一系水素化反応用触媒
【0160】
本発明の不斉銅錯体を含有する均一系水素化反応用触媒及び不斉配位子と銅化合物との混合物を含有する均一系水素化反応用触媒は、固体状でも溶液状でもよく、該触媒中に必要に応じてその他の成分を添加してもよい。必要に応じて添加するその他の成分としては、均一系水素化反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば上記したような、溶媒、その他の試薬等が挙げられる。
【0161】
本発明の不斉配位子及び銅化合物との混合物を含有する均一系水素化反応用触媒において、不斉配位子と銅化合物との混合物の比は不斉配位子に対して銅化合物を通常0.000001〜10当量、好ましくは0.0001〜1当量の範囲から適宜選択して用いればよい。
【0162】
[2]不飽和化合物の水素化物の製造方法
本発明の不飽和化合物の水素化物の製造方法は、上記均一系水素化反応用触媒の存在下、不飽和化合物を原料(基質)として用いて均一系で水素化反応を行うことにより、容易且つ収率よく所望の不飽和化合物の水素化物を得ることができる。ここで、不飽和化合物としてプロキラルな化合物を用い、均一系水素化反応用触媒として均一系不斉水素化反応用触媒の存在下で不斉水素化反応を行えば、得られる不飽和化合物の水素化物は光学活性化合物として得られる。
【0163】
本発明の製造方法において、均一系水素化反応は、上記した銅錯体の存在下で行うか、或いは不斉配位子及び銅化合物と不飽和化合物とを混合して行えばよい。
【0164】
また、本発明の製造方法においては、反応系内(反応混合物中)に、必要に応じて、不斉配位子を有する銅錯体を含有する均一系水素化反応用触媒、不斉配位子と銅化合物との混合物を含有する均一系水素化反応用触媒、不斉配位子、及び/又は銅化合物を更に添加してもよい。
【0165】
1)不飽和化合物
本発明で用いられる不飽和化合物としては、例えば、アルケン類、ケトン類、イミン類、ケトカルボン酸類、ケトアルケン類等の不飽和化合物等が挙げられる。
【0166】
アルケン類としては、プロキラルなアルケン類が好ましく、例えば下記一般式(21)で表されるアルケン類等が挙げられる。
【0167】
【化21】

【0168】
ケトン類としては、プロキラルなケトン類が好ましく、例えば下記一般式(22)で表されるケトン類等が挙げられる。
【0169】
【化22】

【0170】
イミン類としては、プロキラルなイミン類が好ましく、例えば下記一般式(23)で表されるイミン類等が挙げられる。
【0171】
【化23】

【0172】
ケトカルボン酸類としては、プロキラルなケトカルボン酸類が好ましく、例えば一般式(24)で表されるケトカルボン酸類等が挙げられる。
【0173】
【化24】

【0174】
ケトアルケン類としては、プロキラルなケトアルケン類が好ましく、例えば下記一般式(25)で表されるケトアルケン類等が挙げられる。
【0175】
【化25】

【0176】
上記一般式(21)〜(25)において、R31〜R45で示される基は、各化合物が存在するような基であればよく、例えば、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアラルキルチオ基、置換基を有していてもよいヘテロアリールチオ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキレンジオキシ基、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、スルホ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシチオカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシチオカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシチオカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルチオカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換ホスフィノ基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基等の基から適宜選択される。一般式(24)及び(25)において、Q11及びQ12はスペーサー又は結合手を示す。但し、R31とR32、R31とR33、R31とR34、R32とR33、R32とR34、R33とR34、R35とR36、R38とR39、R38又はR39とR37、R40とQ11、R40とR41、R41とQ11、R42とQ12、R44とQ12、R42とR43、R42とR44又はR45、R43とR44、R43とR45、R44とR45、とが結合して環を形成していてもよい。前記形成する環は、例えばアルキレン基又はアルキレンジオキシ基で結合して環を形成する場合等が挙げられる。尚、これら形成する環には、更に置換基を有していてもよい。
【0177】
上記一般式(21)〜(25)において、R31〜R45で示される各基、環を形成する場合のアルキレン基又はアルキレンジオキシ基は、特に断りのない限り、上記[1]で説明した各基及び置換基で説明した各基や、後述する各基と同じであってよい(以下同じ)。また、Q11及びQ12で示されるスペーサーも、上記[1]で説明したスペーサーと同じであってよい。
【0178】
また、一般式(24)において、R41で示される基は、アルカリ金属等の金属原子であってもよい。また、上記カルボキシ基及びスルホ基もアルカリ金属等の金属原子等の金属塩となっていてもよい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。
【0179】
一般式(21)〜(25)において、R31〜R45の各基が環を形成する場合は、例えば、R31とR32、R31とR33、R32とR34、R33とR34、R35とR36、R38とR39、R38又はR39とR37、R40とQ11、R40とR41、R41とQ11、R42とQ12、R42とR43、R42とR44又はR45、R43とR44、R44とR45、とが結合して環を形成する場合には、例えば置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルキレンジオキシ基等の炭素鎖を介して結合して環を形成する場合等が挙げられる。形成される環は、単環状でも多環状でも或いは縮合環状でもよく、例えば4〜8員環等の脂肪族環や芳香族環等が挙げられる。
【0180】
前記置換基を有していてもよいアルキレン基は、アルキレン基及び置換アルキレン基が挙げられる。アルキレン基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。前記アルキレン基の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、2−メチルプロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2−エチルプロピレン基等が挙げられる。また、前記環を形成する炭素鎖中には、酸素原子、硫黄原子、イミノ基、置換イミノ基、カルボニル基(C=O)、チオカルボニル基(C=S)等を有していてもよい。環を形成する場合の環の具体例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、例えば5〜7員のラクトン環、例えば5〜7員のラクタム環、シクロペンタノン環、シクロヘキサノン環等が挙げられる。これら形成される環は、不斉水素化する部位の炭素原子が、均一系不斉水素化反応により不斉炭素となり得るような環が好ましい。置換イミノ基における置換基は上記で説明した置換基と同じである。
置換アルキレン基(置換基を有するアルキレン基)としては、上記アルキレン基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアルキレン基が挙げられる。
【0181】
置換基を有していてもよいアルキレンジオキシ基は、アルキレンジオキシ基及び置換アルキレンジオキシ基が挙げられる。アルキレンジオキシ基としては、例えば炭素数1〜3のアルキレンジオキシ基が挙げられる。アルキレンジオキシ基の具体例としては、例えば、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基等が挙げられる。
置換アルキレンジオキシ基(置換基を有するアルキレンジオキシ基)としては、上記アルキレンジオキシ基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されたアルキレンジオキシ基が挙げられる。置換アルキレンジオキシ基の具体例としては、ジフルオロメチレンジオキシ基等が挙げられる。
【0182】
スペーサーとしては、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基等の置換基を有していてもよい2価の有機基等が挙げられる。前記2価の有機基は、該有機基の末端又は鎖中の任意の位置に酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、イミノ基、置換イミノ基等の異種原子又は原子団を少なくとも1個有していてもよい。置換イミノ基における置換基は後述する置換基と同じである。
【0183】
アルキレン基としては、例えば炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。アルキレン基の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等が挙げられる。
アリーレン基としては、例えば炭素数6〜20のアリーレン基が挙げられる。アリーレン基の具体例としては、例えば、フェニレン基、ビフェニルジイル基、ビナフタレンジイル基、ビスベンゾジオキソールジイル基等が挙げられる。
ヘテロアリーレン基としては、例えば、炭素数2〜20で、少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子等の異種原子を含んでいる、3〜8員、好ましくは5又は6員の単環式、多環式又は縮合環式のヘテロアリーレン基が挙げられる。ヘテロアリーレン基の具体例としては、例えば、ビピリジンジイル基、ビスベンゾチオールジイル基、ビスチオールジイル基等が挙げられる。
ヘテロ原子又は原子団を有する2価の有機基としては、−CH2−O−CH2,−C64−O−C64−等が挙げられる。
これら2価の有機基は、上記[1]で説明した置換基で置換されていてもよい。
【0184】
一般式(24)において、R41で示される基は、アルカリ金属等の金属原子であってもよい。また、上記カルボキシ基及びスルホ基もアルカリ金属等の金属原子等の金属塩となっていてもよい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。
【0185】
これら不飽和化合物は、中でもプロキラルな化合物が好ましい。尚、不飽和化合物がプロキラルな化合物である場合には、上記一般式(21)〜(25)におけるR31〜R45で示される基は、得られる前記プロキラルな化合物の水素化物が光学活性化合物となるような基であればよい。
【0186】
本発明で用いられる不飽和化合物における、アルケン類の具体例としては、例えば、下記に示すアルケン等が挙げられる。
【0187】
【化26】

【0188】
ケトン類の具体例としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトフェノン、1−インダノン、3,4−ジヒドロ−(2H)−ナフタレノンフェロセニルメチルケトン等、及び例えば下記に示すケトン等が挙げられる。
【0189】
【化27】

【0190】
【化28】

【0191】
イミン類の具体例としては、例えば、下記に示すイミン等が挙げられる。
【0192】
【化29】

【0193】
ケトカルボン酸類の具体例としては、例えば、下記に示すケトカルボン酸等が挙げられる。
【0194】
【化30】

【0195】
ケトアルケン類の具体例としては、例えば、下記に示すケトアルケン等が挙げられる。
【0196】
【化31】

【0197】
尚、上記不飽和化合物は、プロキラルな化合物となるような部位の他に、その分子内にキラル中心を有していてもよい。
【0198】
2)均一系水素化反応(均一系不斉水素化反応)
本発明において、均一系水素化反応(均一系水素化反応方法)は、水素源の存在下で行う。水素源としては、水素ガス及び水素供与性物質が挙げられる。即ち、本発明における均一系水素化反応は、水素ガスの存在下で行う均一系水素化反応(好ましくは均一系不斉水素化反応)又は水素供与性物質の存在下で行う均一系水素移動型水素化反応(好ましくは均一系水素移動型不斉水素化反応)である。
【0199】
均一系水素化反応用触媒の使用量は、特に限定されないが、不斉銅錯体を含有する均一系水素化反応用触媒を用いる場合は、不斉銅錯体の使用量が不飽和化合物に対して、0.00001〜1当量、好ましくは、0.0001〜0.1当量となる範囲から適宜選択される。また、不斉配位子と銅化合物との混合物を含有する均一系水素化反応用触媒を用いる場合は、銅化合物の使用量が不飽和化合物に対して、0.00001〜1当量、好ましくは、0.0001〜0.1当量となる範囲から適宜選択される。
【0200】
本発明の製造方法を水素ガスの存在下で均一系水素化反応、好ましくは均一系不斉水素化反応を行う場合における、水素ガスの圧力は、水素雰囲気下であればよく、0.1MPa以下でも十分であるが、経済性や操作性等を考慮すると、水素ガスの圧力を通常0.1〜20MPa、好ましくは0.2〜10MPaの範囲から適宜選択される。また、経済性を考慮して1MPa以下でも高い活性を維持することが可能である。
【0201】
水素供与性物質としては、例えば、ギ酸又はその塩類、ギ酸と塩基との組み合わせ、ヒドロキノン、シクロヘキサジエン、亜リン酸、アルコール類等が挙げられる。これらの中では、ギ酸又はその塩類、ギ酸と塩基との組み合わせ、アルコール類等が特に好ましい。
【0202】
ギ酸又はその塩類におけるギ酸の塩類としては、ギ酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のギ酸の金属塩、アンモニウム塩、置換アミン塩等が挙げられる。
【0203】
また、ギ酸と塩基との組み合わせにおけるギ酸は、反応系内でギ酸がギ酸の塩の形態となるもの、或いは実質的にギ酸の塩の形態となるものであればよい。
【0204】
これらギ酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のギ酸の金属塩や、アンモニウム塩、置換アミン塩等を形成する塩基、並びに、ギ酸と塩基との組み合わせにおける塩基としては、アンモニア、無機塩基、有機塩基等が挙げられる。
【0205】
ギ酸と塩を形成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。また、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
【0206】
無機塩基としては、例えば、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属塩、水素化ナトリウム等の金属水素化物類等が挙げられる。
【0207】
有機塩基としては、例えば、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、等のアルカリ金属アルコキシド、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属の酢酸塩類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、トリ−n−ブチルアミン、N−メチルモルホリン等の有機アミン類、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化プロピルマグネシウム、塩化tert−ブチルマグネシウム、臭化tert−ブチルマグネシウム、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等の有機金属化合物類等が挙げられる。
【0208】
水素供与性物質としてのアルコール類としては、水素原子をα位に有する低級アルコール類が好ましく、その具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール等が挙げられる。水素供与性物質としてのアルコール類は、中でもイソプロパノールが好ましい。
【0209】
水素供与性物質の使用量は、不飽和化合物に対して通常0.1〜10000当量、好ましくは0.5〜2000当量の範囲から適宜選択される。
【0210】
本発明における均一系水素化反応、即ち不飽和化合物の水素化物の製造方法は、必要に応じて溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセリン等の多価アルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これら溶媒は、夫々単独で用いても2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
溶媒の使用量は、用いる反応基質である不飽和化合物の種類や溶解度、経済性等により異なるため特に限定されないが、例えば、反応基質に対して通常0〜200倍量、好ましくは0〜40倍量の範囲から適宜選択すればよい。例えば溶媒としてアルコール類を用いた場合には、用いる不飽和化合物によっては1%以下の低濃度から無溶媒あるいは無溶媒に近い状態で行うことができる。
【0211】
反応温度は、用いる不斉触媒の種類や使用量、用いる不飽和化合物の種類により異なるため特に限定されないが、経済性等を考慮して、通常−30〜250℃、好ましくは0〜100℃の範囲から適宜選択される。例えば反応温度が−30〜0℃の低温でも、或いは100〜250℃の高温でも、反応を実施することができる。
反応時間は、用いる不斉触媒の種類や使用量、用いる不飽和化合物の種類や濃度、反応温度、水素の圧力等の反応条件等により異なるが、通常1分〜48時間、好ましくは10分〜24時間の範囲から適宜選択される。
【0212】
本発明における均一系水素化反応は、反応形式がバッチ式であっても連続式であっても実施することができる。また、フラスコや反応釜、オートクレーブ等、この分野で用いられる反応容器中で行うことができる。
【0213】
また、均一系水素化反応は、必要に応じて添加剤の存在下で行うことができる。添加剤としては、酸、含フッ素アルコール、塩基、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、リン化合物、ハロゲン、還元剤、水等が挙げられる。
【0214】
添加剤としての酸としては、無機酸、有機酸、ルイス酸等が挙げられる。
無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、テトラフルオロホウ酸、過塩素酸、過ヨウ素酸等挙げられる。
有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、吉草酸、ヘキサン酸、クエン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、フタル酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム等のハロゲン化ジアルキルアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム、四塩化チタン等のハロゲン化チタン、テトライソプロポキシチタン等のテトラアルコキシチタン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等のハロゲン化ホウ素、塩化亜鉛、臭化亜鉛等のハロゲン化亜鉛等が挙げられる。
これらの酸は、夫々単独で用いても2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
酸の使用量は、不飽和化合物に対して通常0.0001〜100当量、好ましくは0.001〜10当量の範囲から適宜選択される。
【0215】
添加剤としての含フッ素アルコールとしては、含フッ素脂肪族アルコールが好ましい。含フッ素脂肪族アルコールの具体例としては、例えば炭素数1〜10の飽和又は不飽和の含フッ素脂肪族アルコールが挙げられる。含フッ素脂肪族アルコールの具体例としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2−ジフルオロエタノール、3,3,3−トリフルオロプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブタノール、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタノール、5,5,6,6,6−ペンタフルオロヘキサノール、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等が挙げられる。これらの含フッ素脂肪族アルコールは、夫々単独で用いても2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
含フッ素アルコールの使用量は、不飽和化合物に対して通常0.01〜100当量、好ましくは0.1〜10当量の範囲から適宜選択される。
【0216】
添加剤としての塩基としては、無機塩基、有機塩基等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸水素塩類、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、アンモニア等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、カリウムナフタレニド、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジフェニルホスフィド、ナトリウムジフェニルホスフィド、カリウムジフェニルホスフィド等のアルカリ・アルカリ土類金属の塩、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、トリ−n−ブチルアミン、N−メチルモルホリン等の有機アミン類、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、n−プロピルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムクロリド、s−ブチルマグネシウムクロリド、tert−ブチルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、n−プロピルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムブロミド、n−ブチルマグネシウムブロミド、s−ブチルマグネシウムブロミド、tert−ブチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド等の有機金属化合物類、上記で不斉配位子として例示したジアミン化合物の光学活性体(光学活性ジアミン化合物)及びラセミ体等が挙げられる。
塩基の使用量は、不飽和化合物に対して、通常0〜100当量、好ましくは0〜10の範囲から適宜選択される。
【0217】
添加剤としての四級アンモニウム塩としては、例えば炭素数4〜24の四級アンモニウム塩が挙げられる。四級アンモニウム塩の具体例としては、テトラブチルアンモニウムフロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨージド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムトリフェニルジフルオロシリケート等が挙げられる。
四級アンモニウム塩の使用量は、不飽和化合物に対して通常0.0001〜100当量、好ましくは0.001〜10当量の範囲から適宜選択される。
【0218】
四級ホスホニウム塩としては、例えば炭素数4〜36の四級ホスホニウム塩が挙げられる。四級ホスホニウム塩の具体例としては、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨージド、メチルトリフェニルホスホニウムクロリド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムヨージド等が挙げられる。
四級ホスホニウム塩の使用量は、不飽和化合物に対して通常0.0001〜100当量、好ましくは0.001〜10当量の範囲から適宜選択される。
【0219】
リン化合物としては、上記一般式(P)で表されるリン化合物と同じであってよい。
前記リン化合物の具体例としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィノメタン(dppm)、ジフェニルホスフィノエタン(dppe)、ジフェニルホスフィノプロパン(dppp)、ジフェニルホスフィノブタン(dppb)、ジフェニルホスフィノフェロセン(dppf)等のホスフィン化合物、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等のホスファイト化合物等が挙げられる。
リン化合物の使用量は、不飽和化合物に対して通常0.00001〜1当量、好ましくは0.0001〜1当量の範囲から適宜選択される。
【0220】
ハロゲンとしては、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
ハロゲンの使用量は、不飽和化合物に対して通常0.0001〜100当量、好ましくは0.001〜10当量の範囲から適宜選択される。
【0221】
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム,水素化ジイソブチルアルミニウム等が挙げられる。
還元剤の使用量は、不飽和化合物に対して通常0.00001〜1当量、好ましくは0.0001〜1当量の範囲から適宜選択される。
上記添加剤は、夫々単独で用いても2種以上適宜併用してもよい。
【0222】
本発明の製造方法により得られる不飽和化合物の水素化物は、該不飽和化合物を均一系水素化反応を行うことにより得られる化合物であり、好ましくは光学活性化合物が得られる。即ち本発明において、均一系水素化反応は、均一系不斉水素化反応が好ましい。そのため、本発明において得られる上記不飽和化合物の水素化物は、光学活性化合物が好ましく、各不飽和化合物に相当する光学活性化合物が得られる。例えば、アルケン類を水素化反応させることにより得られる化合物は光学活性アルカン類であり、ケトン類を不斉水素化反応させることにより得られる化合物は光学活性アルコール類であり、イミン類を水素化反応させることにより得られる化合物は光学活性アミン類であり、ケトカルボン酸類を水素化反応させることにより得られる化合物は光学活性ヒドロキシエステル類であり、ケトアルケン類を水素化反応させることにより得られる化合物はヒドロキシアルケン類、ヒドロキシアルカン類及び/又はケトアルカン類が夫々得られる。
【0223】
アルケン類を不斉水素化反応させることにより得られる光学活性アルカン類としては、例えば下記一般式(31)で表される光学活性アルカン類等が挙げられる。
【0224】
【化32】

【0225】
ケトン類を不斉水素化反応させることにより得られる光学活性アルコール類としては、例えば下記一般式(32)で表される光学活性アルコール類等が挙げられる。
【0226】
【化33】

【0227】
イミン類を不斉水素化反応させることにより得られる光学活性アミン類としては、例えば下記一般式(33)で表される光学活性アミン類等が挙げられる。
【0228】
【化34】

【0229】
ケトカルボン酸類を不斉水素化反応させることにより得られる光学活性ヒドロキシエステル類としては、例えば下記一般式(34)で表される光学活性ヒドロキシエステル類等が挙げられる。
【0230】
【化35】

【0231】
ケトアルケン類を不斉水素化反応させることにより得られる光学活性ヒドロキシアルケン類、光学活性ヒドロキシアルカン類及び光学活性ケトアルカン類は、例えば下記一般式(35)〜(37)で夫々表される。
【0232】
【化36】

【0233】
【化37】

【0234】
【化38】

【0235】
上記式中、*は不斉炭素を示し、R31〜R45、Q11及びQ12は上記と同じ。但し、例えば、一般式(32)において、R35=R36である場合、R35及びR36の何れか一方が水素原子である場合等、R31〜R45の種類によっては不斉炭素とならない場合がある。
【0236】
光学活性化合物の具体例としては、上記で不飽和化合物の水素化物の具体例として挙げた夫々の不飽和化合物の水素化物の光学活性体が挙げられる。
【0237】
尚、得られた光学活性化合物は、必要に応じて精製、単離等の後処理や、官能基の保護等を行った後、必要に応じて精製、単離等の後処理を行ってもよい。後処理の具体的な方法としては、上記で説明した方法と同様である。
【0238】
本発明の均一系水素化反応用触媒は、安価で得られるばかりでなく、取り扱いが容易であるため作業性が向上したものである。この均一系水素化反応用触媒を均一系不斉水素化反応用触媒として用いた光学活性化合物の製造方法は、用いる不斉配位子の種類を代えることにより、不飽和化合物の不斉水素化反応を制御することがより可能となり、また、任意の光学活性化合物を得ることも可能であ、収率及び光学純度よく所望の不飽和化合物の水素化物である光学活性化合物が得られる。
本発明の製造方法により得られる不飽和化合物の水素化物、及び該水素化物の中でも光学活性化合物は、医農薬等の中間体や香料等として有用である。
【実施例】
【0239】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
以下の実施例において、物性等の測定に用いた装置は次の通りである。
NMR:Bruker社 DRX−500
ガスクロマトグラフィー(GC):Hewlett Packard社 5890−II
マススペクトル:ESI−MS[島津製作所(株) LCMS−IT−TOF]、EI−MS(Thermo Electron社 Poralis Q)
尚、下記実施例において、記号「n」は自然数を示す。
【0240】
実施例1. [CuBr((S)−SEGPHOS)]nの合成
(S)−SEGPHOS 500mg(0.819mmol)及び臭化銅(I)(CuBr)176mg(1.23mmol、1.5当量)を反応容器に入れ、内部を窒素置換し、トルエン5mLを加えた後、室温で16時間撹拌反応させた。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、溶媒を留去して、表題化合物を得た。
31P−NMR(CDCl3):δ;−8.1
【0241】
実施例2. [CuCl((S)−SEGPHOS)]nの合成
(S)−SEGPHOS 1.0g(1.64mmol)及び塩化銅(I)(CuCl)2.44mg(2.46mmol、1.5当量)を反応容器に入れ、内部を窒素置換し、トルエン5mLを加えた後、室温で16時間撹拌反応させた。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、溶媒を留去して、表題化合物を得た。
31P−NMR(CDCl3):δ;−7.0
【0242】
実施例3. [CuI((S)−SEGPHOS)]nの合成
(S)−SEGPHOS 500mg(0.819mmol)及びヨウ化銅(I)(CuI)234mg(1.23mmol、1.5当量)を反応容器に入れ、内部を窒素置換し、トルエン5mLを加えた後、室温で16時間撹拌反応させた。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、溶媒を留去して、表題化合物を得た。
31P−NMR(CDCl3):δ;−9.2
【0243】
実施例4. [Cu(OTf)((S)−SEGPHOS)]nの合成
(S)−SEGPHOS 500mg(0.819mmol)及びCuOTf・0.5C66 309mg(1.23mmol、1.5当量)を反応容器に入れ、内部を窒素置換し、トルエン5mLを加えた後、室温で16時間撹拌反応させた。反応液をセライトで濾過した後、溶媒を留去して、表題化合物を得た。
31P−NMR(CDCl3):δ;−1.1
19F−NMR(CDCl3):δ;−77.4
【0244】
実施例5〜8. 下記スキームAに示した、Cu(I)塩を用いたイソホロン1の均一系不斉水素化反応
【0245】
【化39】

【0246】
下記表1に示した銅塩(CuX)0.03mmol、(S)−SEGPHOS 18.3mg(0.03mmol)及びナトリウムtert−ブトキシド(NaO−t−Bu)28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、内部を窒素置換した後、トルエンとtert−ブチルアルコール(t−BuOH)との3:1混合溶媒2mL及びイソホロン1(0.15mL、1.0mmol)を加え、水素圧3.0MPa、50℃で16〜17時間撹拌反応させた。反応混合物をGC分析した結果を表1に示す。
表1.
【0247】
【表1】

【0248】
a)dr(ジアスレテオマー比)
b)主ジアステレオマーの光学純度(%ee)
c)Cu(OTf)・0.5C66
【0249】
実施例9〜11. 上記スキームAに示した、Cu(II)塩を用いた均一系不斉水素化反応
下記表2に示した銅塩(CuX2)0.03mmol、(S)−SEGPHOS 18.3mg(0.03mmol)及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、内部を窒素置換した後、トルエンとt−BuOHとの3:1混合溶媒2mL及びイソホロン1(0.15mL、1.0mmol)を加え、水素圧5.0MPa、50℃で15〜17時間撹拌反応させた。反応混合物をGC分析した結果を表2に示す。
表2.
【0250】
【表2】

【0251】
a)dr(ジアスレテオマー比)
b)主ジアステレオマーの光学純度(%ee)
【0252】
実施例12〜16. 上記スキームAに示した、上記スキームAに表した[CuX((S)−SEGPHOS)]nを用いたイソホロン1の均一系不斉水素化反応
実施例1〜4で得られた不斉銅錯体[CuX((S)−SEGPHOS)]n 0.03mmol(Cu換算)、及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、内部を窒素置換した後、トルエンとt−BuOHとの3:1混合溶媒2mL及びイソホロン1(0.15mL、1.0mmol)を加え、水素圧5.0MPa、50℃で撹拌反応させた。反応混合物をGC分析した結果を表3に示す。
表3.
【0253】
【表3】

【0254】
a)dr:ジアスレテオマー比
b)主ジアステレオマーの光学純度(%ee)
【0255】
実施例17. 上記スキームAに示した、[CuBr((S)−SEGPHOS)]nを用いたイソホロン1の均一系不斉水素化反応
実施例1と同様の方法で得られた不斉銅錯体[CuBr((S)−SEGPHOS)]n 22.6mg(0.03mmol;Cu換算)、(S)−SEGPHOS 18.3mg(0.03mmol)及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、内部を窒素置換した後、トルエンとt−BuOHとの3:1混合溶媒2mL及びイソホロン1(0.15mL、1mmol)を加え、水素圧5.0MPa、50℃で17時間撹拌反応させた。反応混合物をGCで分析した結果、上記スキームAで表した生成物である3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン2を収率18%(光学純度93%ee)、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール3を収率61%(dr;93/7、主ジアステレオマーの光学純度;95%ee)、3,3,5−トリメチル−2−シクロヘキセノール4を痕跡量(trace)で夫々得た。
【0256】
実施例18及び19. 上記スキームAに示した、上記スキームAに示したCuF(PPh33・2EtOHを用いたイソホロン1の均一系不斉水素化反応
CuF(PPh33・2EtOH 28.8mg(0.03mmol)、不斉配位子0.03mmol及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、内部を窒素置換した後、イソプロピルアルコール(IPA)2mL及びイソホロン1(0.45mL、3.0mmol)を加え、水素圧5.0MPa、30℃で16時間撹拌反応させた。反応混合物をGC分析した結果を表4に示す。
表4.
【0257】
【表4】

【0258】
b)主ジアステレオマーの光学純度(%ee)
【0259】
実施例20. [CuBr((S)−SEGPHOS)]nを用いたアセトフェノンの均一系不斉水素化反応
実施例1と同様の方法で得られた[CuBr((S)−SEGPHOS)]n 21.3mg[0.029mmol(Cu換算)]及びNaO−t−Bu 27.8mg(0.29mmol)を20mLのシュレンク管に入れ、内部を窒素置換した後、トルエン1.4mLを加え、室温で1時間撹拌した。次に、100mLのステンレス製オートクレーブを別途用意し、内部を窒素置換した後、このオートクレーブ中にアセトフェノン113μL(0.96mmol)及びt−BuOH450μL入れ、次いで、先に調製したシュレンク管の内容物を加え、水素圧3MPa、50℃で19時間撹拌反応させた。反応混合物をGCで分析した結果、収率65.4%、光学純度65.7%eeでアセトフェノンの水素化物である1−フェネチルアルコールを得た。
【0260】
実施例21. [CuBr((S)−SEGPHOS)]nを用いた2−アセチルフランの均一系不斉水素化反応
実施例1と同様の方法で得られた[CuBr((S)−SEGPHOS)]n 22.6mg[0.03mmol(Cu換算)]及びNaO−t−Bu28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、内部を窒素置換した後、トルエン1.5mL、t−BuOH500μL及び2−アセチルフラン110.1mg(1.0mmol)を加え、水素圧3.0MPa、50℃で17時間撹拌反応させた。反応混合物をGCで分析した結果、収率13%、光学純度59.5%eeで2−アセチルフランの水素化物である1−(2−フリル)エタノールを得た。
【0261】
実施例22. [CuH(PPh3)]6を用いたイソホロンの均一系不斉水素化反応
[CuH(PPh3)]6 9.8mg[0.03mmol(Cu換算)]及び(S)−SEGPHOS 18.3mg(0.03mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、内部を窒素置換した後、トルエンとt−BuOHとの3:1混合溶媒2mL及びイソホロン0.15mL(1.0mmol)を加え、水素圧5.0MPa、50℃で17時間撹拌反応させた。反応混合物をGCで分析した結果を表5に示す。
【0262】
実施例23. [CuH(PPh3)]6を用いたイソホロンの均一系不斉水素化反応
実施例22において、塩基としてNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を加え、反応時間を18時間に代えた以外は、実施例22と同様にして反応を行った。反応混合物をGC分析した結果を表5に併せて示す。
表5.
【0263】
【表5】

【0264】
実施例24. 2−メチルブタン酸メチルの製造
チグリン酸メチルエステル114mg(1mmol)、[CuBr((S)−SEGPHOS)]n 22.6mg[0.03mmol(Cu換算)]、カリウムtert−ブトキシド(tBuOK)33.6mg(0.3mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、内部を窒素置換した後、トルエンとt−BuOHとの3:1混合溶媒1.1mL加え、水素圧3.0MPa、85℃で17時間撹拌反応させて、チグリン酸メチルの水素化物である2−メチルブタン酸メチルを収率63.8%で得た。
【0265】
実施例25. 2−メチル3−フェニルプロピオン酸メチルの製造
2−メチル−3−フェニルプロペン酸メチル176mg(1mmol)、[CuBr((S)−SEGPHOS)]n 22.6mg[0.03mmol(Cu換算)]、tBuOK 33.6mg(0.3mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、内部を窒素置換した後、トルエンとt−BuOHとの3:1混合溶媒1.8mLを加え、水素圧3.0MPa、85℃で17時間撹拌反応させて、2−メチル−3−フェニルプロぺン酸メチルの水素化物である2−メチル3−フェニルプロピオン酸メチルを収率54.7%で得た。
【0266】
実施例26. 2−アセトアミドプロピオン酸メチルの製造
2−アセトアミド−2−プロペン酸メチル143mg(1mmol)、[CuBr((S)−SEGPHOS)]n 22.6mg[0.03mmol(Cu換算)]、tBuOK 33.6mg(0.3mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、内部を窒素置換した後、トルエンとt−BuOHとの3:1混合溶媒1.4mLを加え、水素圧3.0MPa、85℃で17時間撹拌反応させて、2−アセトアミド−2−プロペン酸メチルの水素化物である2−アセトアミドプロピオン酸メチルを収率52.5%で得た。
【0267】
実施例27. [CuCl((R,R)−SKEWPHOS)(PPh3)]nの合成
トリフェニルホスフィン131mg(0.5mmol)を窒素置換した20mLシュレンク管に入れ、これにトルエン1mLを加え、均一溶液とした。この溶液に、CuCl 49.5mg(0.5mmol)及びトルエン5mLを加え、室温で3時間撹拌した。次いで、(R,R)−SKEWPHOS 220mg(0.5mmol)を添加して30分撹拌した後、更にトルエン2.5mLを加えて室温で3時間撹拌反応させた。得られた白色懸濁液をろ取し、次いでトルエンで洗浄して、目的の表題化合物320mg(収率80%)を白色固体として得た。
31P−NMR(CDCl3):δ;−10.0(br,1P),2.3(br,2P)EI−MS:765.3[(M−Cl)+]
ESI−MS:765.2[(M−Cl)+]
【0268】
実施例28〜30. [CuCl((R,R)−SKEWPHOS)(PPh3)]nを用いたアセトフェノンの均一系不斉水素化反応
実施例27で得られた[CuCl((R,R)−SKEWPHOS)(PPh3)]n 24.0mg(0.03mmol)、下記表6に記した量のトリフェニルホスフィン及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素置換した後、イソプロピルアルコール2.0mL及びアセトフェノン1.05mL(9.0mmol)を加え、水素圧5MPa、30℃で16〜17時間撹拌反応させて、アセトフェノンの水素化物である1−フェネチルアルコールを得た。反応混合物をGC分析した。結果を表6に示す。
表6.
【0269】
【表6】

【0270】
実施例31〜40. アセトフェノンの均一系不斉水素化反応(塩基添加)
銅化合物[0.03mmol(Cu換算)])、(R,R)−SKEWPHOS 13.2mg(0.03mmol)、及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これに、溶媒2.0mL及びアセトフェノン1.05mL(9.0mmol)を加え、所定の水素圧及び温度で16〜17時間撹拌反応させた。用いた銅化合物、溶媒、水素圧、反応温度、及び反応混合物をGCで分析したアセトフェノンの水素化物である1−フェネチルアルコールの収率及び光学純度を表7に示す。
表7.
【0271】
【表7】

【0272】
t−BuOH:tert−ブチルアルコール
EtOH:エチルアルコール
IPA:イソプロピルアルコール
t−Bu(Me)CHOH:3,3−ジメチルブタン−2−オール
(R)−t−Bu(Me)CHOH:(R)−3,3−ジメチルブタン−2−オール
CPME:シクロペンチルメチルエーテル
tol:−C64CH3
【0273】
実施例41〜46. アセトフェノンの均一系不斉水素化反応
下記表8に記載のハロゲン化銅(CuX)0.03mmol、トリフェニルホスフィン(PPh3)、(R,R)−SKEWPHOS、及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これに、IPA 2.0mL、アセトフェノン1.05mL(9.0mmol)を加え、水素圧5.0MPa、30℃で16〜17時間撹拌反応させた。用いたハロゲン化銅CuX、(R,R)−SKEWPHOSの使用量、トリフェニルホスフィンの使用量、及び反応混合物をGCで分析したアセトフェノンの水素化物である1−フェネチルアルコールの収率及び光学純度を表8に示す。
表8.
【0274】
【表8】

【0275】
実施例47〜60. アセトフェノンの均一系不斉水素化反応
CuCl 3.0mg(0.03mmol)、配位子0.09mmol、(R,R)−SKEWPHOS 13.2mg(0.03mmol)及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これに、IPA 2.0mL及びアセトフェノン1.05mL(9.0mmol)を加え、水素圧5.0MPa、30℃で16〜17時間撹拌反応させた。用いた配位子、及び反応混合物をGCで分析したアセトフェノンの水素化物である1−フェネチルアルコールの収率及び光学純度を表9に示す。
表9.
【0276】
【表9】

【0277】
実施例61及び62. アセトフェノンの均一系不斉水素化反応(塩基添加)
CuF(PPh33・2EtOH 28.8mg[0.03mmol/Cu(Cu換算)]、(R,R)−SKEWPHOS 39.6mg(0.09mmol)及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これに、溶媒7.0mL及びアセトフェノン3.5mL(30mmol)を加え、水素圧5.0MPa、50℃で24時間撹拌反応させた。用いた溶媒、及び反応混合物をGCで分析したアセトフェノンの水素化物である1−フェネチルアルコールの収率及び光学純度を表10に示す。
表10.
【0278】
【表10】

【0279】
実施例63. アセトフェノンの均一系不斉水素化反応(シリルエノールエーテル添加) CuF(PPh33・2EtOH 28.8mg(0.03mmol/Cu)、(R,R)−SKEWPHOS 13.2mg(0.03mmol)、及び1−フェニル−1−(トリメチルシロキシ)エチレン61.5μL(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これに、t−BuOH 2.0mL及びアセトフェノン 1.05mL(9.0mmol)を加え、水素圧3.0MPa、50℃で16時間撹拌反応させた。反応混合物をGC分析したアセトフェノンの水素化物である1−フェネチルアルコールを収率24%、光学純度50%eeで得た。
【0280】
実施例64及び65. [CuH(PPh3)]6を用いたアセトフェノンの均一系不斉水素化反応
[CuH(PPh3)]6 9.8mg[0.03mmol(Cu換算)]、(R,R)−SKEWPHOS 13.2mg(0.03mmol)及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これに、溶媒2.0mL及びアセトフェノン1.05mL(9.0mmol)を加え、水素圧3.0MPa、30℃で16時間撹拌反応させた。用いた溶媒、及び反応混合物をGCで分析したアセトフェノンの水素化物である1−フェネチルアルコールの収率及び光学純度を表11に示す。
表11.
【0281】
【表11】

【0282】
実施例66〜68. 置換アセトフェノンの均一系不斉水素化反応
CuF(PPh33・2EtOH 28.8mg(0.03mmol)、(R,R)−SKEWPHOSを13.2mg(0.03mmol)、及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これに、IPA 2.0mL及び置換アセトフェノン9.0mmolを加え、水素圧5.0MPa、30℃で16時間撹拌反応させた。用いた置換アセトフェノン、及び反応混合物をGCで分析した置換アセトフェノンの水素化物の収率及び光学純度を表12に示す。
表12.
【0283】
【表12】

【0284】
実施例69〜79. 置換アセトフェノンの均一系不斉水素化反応
CuCl 3.0mg(0.03mmol)、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン31.1mg(0.09mmol)、(R,R)−SKEWPHOS 13.2mg(0.03mmol)及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これに、IPA 2.0mL及び置換アセトフェノン1.05mL(9.0mmol)を加え、水素圧5MPa、30℃で16〜17時間撹拌反応させた。用いた置換アセトフェノン及び反応混合物をGCで分析した置換アセトフェノンの水素化物の収率及び光学純度を表13に示す
表13.
【0285】
【表13】

【0286】
注1:トリス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンを0.25mmol使用
注2:2,4−ジメチル−3−ペンタノールを溶媒に使用
【0287】
実施例80. ピナコリンの均一系不斉水素化反応
CuF(PPh33・2EtOH 28.8mg[0.03mmol(Cu換算)]、(R,R)−SKEWPHOS 13.2mg(0.03mmol)及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これに、IPA 2.0mL及びピナコリン1.13mL(9.0mmol)を加え、水素圧5.0MPa、30℃で16時間撹拌反応させた。反応混合物をGCで分析した結果、ピナコリンの水素化物である3,3−ジメチルブタン−2−オールを収率79%、光学純度17%eeで得た。
【0288】
実施例81. 2−アセチルフランの均一系不斉水素化反応
CuF(PPh33・2EtOH 28.8mg[0.03mmol(Cu換算)]、(R,R)−SKEWPHOS 13.2mg(0.03mmol)、及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これに、IPA 2.0mL及び2−アセチルフラン0.90mL(9.0mmol)を加え、水素圧5.0MPa、30℃で16時間撹拌反応させた。反応混合物をGCで分析した結果、2−アセチルフランの水素化物である1−(2−フリル)エタノールを収率99%、光学純度31%eeで得た。
【0289】
実施例82. 2,3,3−トリメチルインドレニンの均一系不斉水素化反応 CuCl(PPh33 26.5mg(0.03mmol)、(R,R)−SKEWPHOS 13.2mg(0.03mmol)及びNaO−t−Bu 28.8mg(0.30mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これに、IPA 2.0mL及び2,3,3−トリメチルインドレニン161μL(1.0mmol)を加え、水素圧5.0MPa、30℃で16時間撹拌反応させた。反応混合物をGCで分析した結果、2,3,3−トリメチルインドレニンの水素化物である2,3,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドールを収率7%、光学純度57%eeで得た。
【0290】
実施例83〜96. アセトフェノンの均一系不斉水素化反応
Cu(NO32(PPh32 11.7mg[0.018mmol(Cu換算)]及び不斉配位子(0.018mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これに、0.09M NaO−t−BuのIPA溶液2.0mL(0.18mmol)及びアセトフェノン1.05mL(9.0mmol)を加え、水素圧5.0MPa及び30℃で16〜17時間撹拌反応させた。反応混合物をGCで分析した。用いた不斉配位子及びアセトフェノンの水素化物である1−フェネチルアルコールの収率及び光学純度を下記表14に示す
表14.
【0291】
【表14】

【0292】
BPPM:N−tert−ブトキシカルボニル−4−ジフェニルホスフィノ−2−ジフェニルホスフィノメチルピロリジン;
BCPM:N−tert−ブトキシカルボニル−4−ジシクロヘキシルホスフィノ−2−ジフェニルホスフィノメチルピロリジン;
Xylyl−P−PHOS:2,2‘,6,6’−テトラメトキシ−4,4‘−ビス(ジ(3,5−キシリル)ホスフィノ)−3,3’−ビピリジン;
Josiphos:[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;
Me−DuPHOS:1,2−ビス(2,5−ジメチルホスフォラノ)ベンゼン
IPR−BeePHOS:1,2−ビス(2−イソプロピル−2,3−ジヒドロ−1H−ホスホインドール−1−イル)ベンゼン
【0293】
実施例97. アセトフェノンの均一系不斉水素化反応
[CuH(PPh336 5.9mg[0.018mmol(Cu換算)]、及び(S,S)−SKEWPHOS 7.9mg(0.018mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これにIPA2.0mL及びアセトフェノン1.05mL(9mmol)を加え、水素圧5.0MPa及び30℃で16時間撹拌した。反応混合物をGCで分析した結果、アセトフェノンの水素化物である1−フェネチルアルコールの収率は67%、光学純度は47%eeであった。
【0294】
実施例98. アセトフェノンの均一系不斉水素化反応
[CuH(PPh336 5.9mg[0.018mmol(Cu換算)]、トリフェニルホスフィン4.7mg(0.018mmol)、及び(S,S)−SKEWPHOS 7.9mg(0.018mmol)を100mLのステンレス製オートクレーブに入れ、系内を窒素で置換した。これにIPA2.0mL及びアセトフェノン1.05mL(9mmol)を加え、水素圧5.0MPa及び30℃で16時間撹拌した。反応混合物をGCで分析した結果、アセトフェノンの水素化物である1−フェネチルアルコールの収率は99%、光学純度は47%eeであった。
【産業上の利用可能性】
【0295】
本発明の均一系水素化反応用触媒は、均一系で行う水素化反応に有用であり、特に該触媒を均一系不斉水素化反応用触媒として不飽和化合物の不斉水素化反応を行えば、所望の光学活性化合物を収率及び光学純度よく、更に経済性及び作業性よく製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(61)
[L1112CuL13n35 (61)
(式中、L11は二座配位性の光学活性リン化合物を示し、L12はL11と異なるリン化合物を示し、L13は配位子を示し、n35は自然数を示す。)で表される不斉銅錯体。
【請求項2】
請求の範囲第1項に記載の不斉銅錯体を含有する均一系水素化反応用触媒。
【請求項3】
請求の範囲第2項に記載の均一系水素化反応用触媒が、均一系不斉水素化反応用触媒である、請求の範囲第2項に記載の触媒。
【請求項4】
請求の範囲第3項に記載の均一系不斉水素化反応用触媒の存在下、プロキラルな化合物を均一系不斉水素化反応させることを特徴とする、光学活性化合物の製造方法。
【請求項5】
請求の範囲第2項に記載の均一系水素化反応用触媒を用いる均一系水素化反応方法。
【請求項6】
請求の範囲第3項に記載の均一系不斉水素化反応用触媒を用いる均一系不斉水素化反応方法。

【公開番号】特開2013−60451(P2013−60451A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−243030(P2012−243030)
【出願日】平成24年11月2日(2012.11.2)
【分割の表示】特願2007−524614(P2007−524614)の分割
【原出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】