説明

均鉱の積付方法

【課題】常に一定の品質の焼結原料を払い出すことが可能な均鉱の積付け方法を提供する。
【解決手段】複数種類の原料を順次積み付けて払い出し面1aの形状が三角形状になる均鉱のパイル1を形成する均鉱の積付方法であって、一対のバスケットホイールを備えたパイル1の払い出し用リクレーマ装置の一対のバスケットホイールの中心間距離がHであり、積付後のパイル1の三角形状の払い出し面1aの底辺幅が2Hであるとき、積付後のパイル1を払い出し面1aからみたときに、副原料3が、底面幅(H−H/15)の三角形状の積付領域Aaの上側かつ底面幅(H+H/15)の三角形状の積付領域Abの下側の積付領域Aに位置するように、副原料3を積付ける均鉱の積付方法を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製鉄所における焼結工程の原料である均鉱の積付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所における原料の焼結工程においては、まず、鉱石運搬船内の粉鉱石をアンローダ、スタッカを介して粗鉱ヤードに銘柄別に山積みして粗鉱山を形成する。次いで、銘柄別に山積みした粗鉱山の粉鉱石(主原料)、雑原料及び雑熱源等(副原料)の数十種類を、所定割合でリクレーマ及びブレンディングスタッカーを介して、均鉱ヤードに層状に山積みして均鉱パイルを形成する。次いで、ブレンディングリクレーマで均鉱パイルから各原料が混合するようにして払い出し、焼結工場の配合槽に均鉱として装入している。
【0003】
図4に、積付けられた均鉱のパイルを示す。図4に示すように、均鉱のパイル101は、ブレンディングスタッカーにより各原料を中央部から順次外部に向けて薄い層状をなすように積付けられる。均鉱のパイル101を積付ける際のブレンディングスタッカーの往復回数は約1,000回に達する。積付の目的は、各断面が均質な品質を有する均鉱をつくることにある。
【0004】
一般に、均鉱のパイルの積付けトン数は、一つの均鉱のパイルにつき10〜15万トンであり、このため一回積付けると払出し完了迄には6〜8日間を必要とする。そこで、もし均鉱の品質にばらつきがあれば後工程の焼結鉱の生産量と品質の阻害要因となる。このため、原料工場では、例えば図5に示すように、積付け順位に従いa,b,c,dと分割し(これをブロックと言う)、各ブロックの品質を一定にする操業管理を行っている。
【0005】
均鉱の払い出しは、図4及び図5に示すように、バスケットホイール103及びハロー104をそれぞれ一対で備えたダブルホイル式リクレーマ(横行定速式)を、均鉱のパイル101の払出し面101aに対向させて配置する。ハロー104は、フレームに爪が取り付けられて構成され、バスケットホイール103の上方において均鉱パイル101の払い出し面101aに爪が対向するように設置される。
そして、2個のバスケットホイール103、103の中心間距離Hを常に一定に保ったまま、バスケットホイール103及びハロー104の左右への横行を繰り返すと、ハロー104の爪によってパイル101の払い出し面101aが掻き崩され、落下したばら物がバスケットホイール103によって掬い上げられた後、図示略のベルトコンベアに移されて焼結工場に搬送される。
なお、図5には、パイル101の幅方向両側に、パイル101の雪崩止め用のよう壁106が図示されている。
【0006】
複数の銘柄の原料を積み付ける均鉱の積付方法においては、均一な品質の原料を払い出すために、様々な改良が成されている。特許文献1には、原料炭の例ではあるが、40%以上の主要炭を最初に積付けた後、主要銘柄以外の原料炭を順次積付け、最後に残りの主要銘柄の原料炭を積付ける方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−226002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
均鉱の積付方法においては、原料炭の積付とは異なる次のような事情が存在する。製鉄所の各工程からは、スケール、コークス粉、高炉のガス灰、珪石粉といった副原料が発生する。これらの副原料は、均鉱のパイルを積付ける際に各原料に添加され、焼結原料として再利用されている。
【0009】
ところで、スケールは所謂酸化鉄であり、高炉のガス灰には未燃焼のコークスが含まれることから、スケール、高炉のガス灰及びコークス粉が焼結原料中に偏在すると、焼結中の焼結原料の温度を部分的に高める場合がある。また、珪石粉は、スラグ源となる酸化珪素を多く含むことから、珪石粉が焼結原料中に偏在すると、焼結原料の組成が不均一になる。従って、焼結原料の品質を保つためには、焼結原料における主原料に対する副原料の配合比を常に一定にする必要がある。
【0010】
例えば、これらの副原料を含む均鉱のパイルの積付方法として、パイル全体における主原料に対する副原料の配合比を均一にするために、予め副原料を主原料に混合して配合比を均一にしてから積付けるといった手段が考えられる。しかし、副原料の量は主原料に対して1%以下程度と大幅に少ないため、大量の主原料に少量の副原料を混合して配合比を均一にしてから積付けるといった手段の採用は、現実には極めて困難である。
【0011】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、常に一定の品質の焼結原料を払い出すことが可能な均鉱の積付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者が均鉱パイルにおける副原料の積付け位置を鋭意検討したところ、ある特定の条件下で積付けをすることによって、焼結原料の品質を常に一定にできることを見出し、本発明を完成させた。本発明の構成は、以下の通りである。
【0013】
[1] 複数種類の原料を順次積み付けて払い出し面の形状が三角形状になる均鉱のパイルを形成する均鉱の積付方法であって、一対のバスケットホイールを備えた前記パイルの払い出し用リクレーマ装置の前記一対のバスケットホイールの中心間距離がHであり、積付後の前記パイルの三角形状の払い出し面の底辺幅が2Hであるとき、前記積付後のパイルを前記払い出し面からみたときに、副原料が、底面幅(H−H/15)の三角形状の積付領域の上側かつ底面幅(H+H/15)の三角形状の積付領域の下側の積付領域内に位置するように、前記副原料を積付けることを特徴とする均鉱の積付方法。
[2] 前記パイル全体に対する割合で24質量%以上27質量%以下の範囲で前記原料が積付けられる間に、前記副原料を積み付けることを特徴とする[1]に記載の均鉱の積付方法。
[3] 前記パイル全体に対する割合で、前記副原料の積付け割合が、1質量%以下の範囲であることを特徴とする[1]または[2]に記載の均鉱の積付方法。
[4] 前記副原料が、スケール、還元鉄、コークス粉、高炉のガス灰、珪石粉の少なくとも1種以上であることを特徴とする[1]乃至[3]の何れか一項に記載の均鉱の積付方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の均鉱の積付方法は、均鉱のパイルを積付ける際、積付後のパイルを払い出し面からみたときに、副原料を、底面幅(H−H/15)の三角形状の積付領域よりも上側かつ底面幅(H+H/15)の三角形状の積付領域よりも下側の積付領域内に積付ける。このように積付けたパイルから焼結原料を払い出す際に、中心間距離Hだけ離間した一対のバケットホイールを備えたリクレーマ装置を用いると、パイルに対するバケットホイールの位置によらず、副原料が、常に、何れか一方のバケットホイールによって払い出される。これにより、払い出された焼結原料に、主原料に対して常に一定の割合で副原料を含めることができ、焼結原料の品質を常に一定にできる。
【0015】
また、本発明の均鉱の積付方法では、パイル全体に対する割合で24質量%以上27質量%以下の範囲で主原料が積付けられる間に、副原料を積み付ける。このように積付けたパイルから焼結原料を払い出すと、払い出された焼結原料における副原料の配合割合がほぼ一定になる。
【0016】
また、本発明の均鉱の積付方法によれば、副原料として、スケール、還元鉄、コークス粉、高炉のガス灰等、珪石粉などを用いることで、これら副原料を再利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態である均鉱の積付方法を説明する図であって、均鉱のパイルを払い出し面から見た正面図である。
【図2】本発明の実施形態の均鉱のパイルと、リクレーマ装置との位置関係を説明する模式図である。
【図3】本発明の範囲外である均鉱のパイルと、リクレーマ装置との位置関係を説明する模式図である。
【図4】従来の均鉱のパイルを示す図であって、(a)はパイルの側面模式図であり、(b)はパイルを払い出し面側から見た正面図である。
【図5】従来の均鉱のパイルを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の均鉱の積付方法を説明する図であって、均鉱パイルを払い出し面から見た正面図である。また、図2は、本発明の均鉱パイルと、リクレーマ装置との位置関係を説明する模式図である。更に、図3は、本発明の範囲外である均鉱パイルと、リクレーマ装置との位置関係を説明する模式図である。尚、以下の説明において参照する図面は、本発明の均鉱の積付方法を説明する模式図であり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の均鉱のパイル等の寸法関係とは異なっている。
【0019】
図1に示す均鉱のパイル1(以下、パイル1という)は、本発明の均鉱の積付方法によって積付けられたパイルである。製鉄所の原料の焼結工程では、鉱石運搬船内の粉鉱石を粗鉱ヤードに銘柄別に山積みして粗鉱山を形成する。次いで、銘柄別に山積みした粗鉱山の粉鉱石(主原料)、雑原料及び雑熱源等といった数十種類の副原料を、所定割合でブレンディングスタッカーBSを介して、均鉱ヤード2に層状に山積みする。こうして山積みされたパイルが、図1に示されるパイル1である。なお、均鉱ヤード2の幅方向は矢印X方向であり、均鉱ヤード2の長手方向は矢印Y方向である。
【0020】
図1に示すパイル1は、ブレンディングスタッカーBSにより各原料を中央部から順次外部に向けて薄い層状をなすように積付けられて形成されたものである。ブレンディングスタッカーBSの原料落下位置は、均鉱ヤード2の幅方向中央(パイル頂上)の上方に位置している。ブレンディングスタッカーBSから落下された原料は、パイルを形成しつつ積付けられる。ばら物として落下された原料は、既に形成されたパイルの傾斜面を雪崩落ちて、薄い層状をなすように広げられる。また、ブレンディングスタッカーBSは、落下位置を上記の様にパイル頂上の上方に位置したまま、均鉱ヤード2の長手方向(Y方向)に沿って往復移動する。往復回数は約1,000回に達する。ブレンディングスタッカーBSが1往復する間に1層分の原料を積付ける。すなわち、パイル1は、複数種類の原料がほぼ1000層に渡って積付けられてなる。パイル1は、ブレンディングスタッカーBSから原料をばら物として落下させて積み上げられるため、パイル1の払い出し面1aの輪郭はほぼ三角形状になる。
【0021】
図1に示すパイル1は、一対のバスケットホイールが備えられた払い出し用リクレーマ装置によって払い出される。積付後のパイル1の底面の幅は、リクレーマ装置の一対のバスケットホイールの中心間距離Hの2倍に等しくする。すなわち、パイル1の底面幅は2Hにすることが好ましい。パイル1の底面幅は、均鉱ヤード2に備えられた一対のよう壁2a、2a間の距離によって規定される。
【0022】
図1に示すパイル1には、複数種類の原料に加えて、副原料3を積付けている。副原料3の積付け量はパイル全体に対して少量であるから、副原料3は、パイルを構成する1000層程度の複数種類の原料のうちの1層程度になる。従って図1では、払い出し面1aにおける副原料3の積付位置を実線で示している。
【0023】
副原料3のパイル1への添加量は、製鐵所内で発生する量で異なるが、パイルの一つあたり質量比で1%を超えない程度にすることが好ましい。
【0024】
本実施形態では、副原料3を、図1における一点鎖線で囲まれた積付領域A内に積付ける。積付領域Aは、積付後のパイル1を払い出し面1aからみたときに、底面幅(H−H/15)の三角形状の積付領域Aaの上側かつ底面幅(H+H/15)の三角形状の積付領域Abの下側の領域である。
ブレンディングリクレーマBSによる原料の投下位置は、パイルの底面幅方向の中心としている。従って図1に示すように、底面幅(H−H/15)の三角形状の積付領域Aaは、その底面幅の中心がパイルの底面幅の中心に一致する。同様に、底面幅(H+H/15)の三角形状の積付領域Abの底面幅の中心は、パイルの底面幅の中心に一致する。
図1における積付領域Aの下側の一点鎖線Aは、底面幅(H−H/15)の三角形状の積付領域Aaの輪郭線に対応する。また、図1における積付領域Aの上側の一点鎖線Aは、底面幅(H+H/15)の三角形状の積付領域Abの輪郭線に対応する。
【0025】
また、パイル1全体をなす原料の質量%を100質量%とすると、パイル1における原料の積付けは0質量%から開始して100質量%で終了する。この場合の副原料3は、24質量%から27質量%の原料が積付けられる間のいずれかのときに積付けることが好ましい。図1における積付領域Aの下側の一点鎖線Aは、パイル1の全体に対する割合で24質量%まで原料が積み付けられたときのパイルの輪郭線に対応する。また、図1における積付領域Aの上側の一点鎖線Aは、パイル1の全体に対する割合で27質量%まで原料が積み付けられたときのパイルの輪郭線に対応する。このように、副原料3を、パイル1の全体に対する割合で24質量%以上27%以下の範囲の原料が積付けられる間に積付ける。
【0026】
副原料3の積付位置を積付領域Aの範囲とすることにより、中心間距離Hの一対のバスケットホイールを備えたリクレーマ装置をパイル1の幅方向に沿って移動させながら焼結原料を払い出す際、リクレーマ装置の移動区間の全区間に渡って、常に、片方のバスケットホイールのみから副原料3が掬い取られ、両方のバスケットホイールから副原料3が掬い取られなかったり、掬い取られたりすることがない。これにより、払い出される焼結原料中の副原料3の配合割合が経時的に常に一定になる。
【0027】
一方、積付領域Aが、底面幅(H−H/15)の三角形状の積付領域Aaの下側にあると、リクレーマ装置で焼結原料を払い出す際、両方のバスケットホイールで副原料を掬い取れない区間が発生したり、片方では掬い取れる区間か発生したりすることから、焼結原料における副原料の配合割合が経時的に変動する。また、積付領域Aが、底面幅(H+H/15)の三角形状の積付領域Abの上側にあると、リクレーマ装置で焼結原料を払い出す際、両方のバスケットホイールで副原料が掬い取られたり、片方のみでしか掬い取れない区間が発生し、前記同様に焼結原料における副原料の配合割合が経時的に変動する。
【0028】
また、図1には、積付領域Aのパイルの厚さ方向の中心位置Aを二点鎖線で示している。この中心位置Aは、パイル1を払い出し面1aからみたときに、パイル1の底面幅中心Oから底面幅方向両側にそれぞれH/2の距離まで至る範囲に位置している。
副原料3の積付位置は、積付領域Aの中心位置Aとすることが最も好ましいが、本実施形態では、積付領域Aを上記のように一定の範囲としている。本発明者らが検討したところでは、積付領域A内であって中心位置A以外のいずれかの位置に副原料を積付けると、リクレーマ装置で焼結原料を払い出す際に、両方のバスケットホイールで副原料が掬い取られる区間が部分的に発生する。しかし、その区間はパイルの全幅に対して1/15以下の短い区間になるので、焼結原料の品質への影響は少なくなる。
【0029】
副原料3は、スケール、還元鉄、コークス粉、高炉のガス灰、珪石粉の少なくとも1種以上であり、これらを単独または混合して積付ければよい。また、積付領域Aの範囲内であれば、副原料3を複数の層に分けて積付けてもよい。例えば、最初の層にスケールを積付け、次の層に珪石粉を積付けるというように、副原料の種類毎に別々の層に積付けても良いし、複数種類の混合物を複数の層に分けて積付けても良い。
【0030】
次に、副原料3の積付領域Aを限定した理由について、図2及び図3を参照して更に詳細に説明する。
【0031】
図2には、本発明の均鉱の積付方法によって積付けられたパイル1と、払い出し用リクレーマ装置の一対のバスケットホイール4L、4Rとの位置関係を示している。図2において、バスケットホイール4Lの移動範囲は区間La〜Ldの範囲であり、バスケットホイール4Rの移動範囲は区間Ra〜Rdの範囲である。区間La乃至Rdはそれぞれ、パイルの全幅2Hを8等分した区間である。バスケットホイール4L、4Rの初期位置はそれぞれ、区間La、Raの各左端であり、各バスケットホイール4L、4Rは、区間La、Raから区間Ld、Rdの間を往復移動しつつ払い出し動作を行う。バスケットホイール4L、4Rの中心間距離Hは、払い出し動作の間は常に一定である。
【0032】
図2に示すように、バスケットホイール4L、4Rのパイルに近い側にはハロー5L、5Rが備えられている。ハロー5L、5Rは、フレーム5aに図示略の爪が取り付けられて構成されている。また、ハロー5L、5Rは、バスケットホイール4L、4Rよりもパイル1に近い側に配置されており、パイル1の払い出し面1aに爪が対向している。そして、2個のバスケットホイール4L、4Rの間隔Hを常に一定に保ったまま、バスケットホイール4L、4R及びハロー5L、5Rの左右への横行を繰り返すと、ハロー5L、5Rの爪によって均鉱パイル1の払い出し面1aが掻き崩され、落下したばら物がバスケットホイール4L、4Rによって掬い上げられた後、図示略のベルトコンベアに移されて焼結工場に搬送される。
【0033】
バスケットホイール4Lが区間Laを走行する間は、バスケットホイール4Lの位置と副原料3の積付領域Aとが重ならず、副原料3は払い出されない。一方、バスケットホイール4Rが区間Raを走行する間は、バスケットホイール4Rの位置が副原料3の積付領域Aに重なり、副原料3を払い出す。従って、区間La、Raを走行するバスケットホイール4L、4Rの一方から、副原料を含む焼結原料が必ず払い出される。
【0034】
次に、バスケットホイール4Lが区間Lbを走行する間は、バスケットホイール4Lの位置と副原料3の積付領域Aとがほとんど重ならず、副原料3は払い出されない。但し、積付領域Aのうち、区間Lbにかかる部分に副原料3が積み付けられた場合は、区間Lbの最後において僅かな量の副原料3が払い出される。
一方、バスケットホイール4Rが区間Rbを走行する間は、バスケットホイール4Rの位置と副原料3の積付領域Aとがほとんど重なり、副原料3を払い出す。但し、積付領域Aのうち、区間Rcにかかる部分に副原料3が積み付けられた場合は、区間Rbには副原料3が積み付けられないため、区間Rbでは副原料は払い出されない。
このようにして、区間Lb、Rbを走行するバスケットホイール4L、4Rの一方から、副原料3を含む焼結原料が必ず払い出される。
【0035】
次に、バスケットホイール4Lが区間Lcを走行する間は、バスケットホイール4Lの位置と副原料3の積付領域Aとがほとんど重なり、副原料3を払い出す。但し、積付領域Aのうち、区間Lbにかかる部分に副原料3が積み付けられた場合は、区間Lcには副原料3が積み付けられないため、区間Lcでは副原料は払い出されない。
一方、バスケットホイール4Rが区間Rcを走行する間は、バスケットホイール4Rに位置と副原料3の積付領域Aとがほとんど重ならず、副原料3は払い出されない。但し、積付領域Aのうち、区間Rcにかかる部分に副原料が積み付けられた場合は、僅かな量の副原料3が払い出される。
このようにして、区間Lc、Rcを走行するバスケットホイール4L、4Rの一方から、副原料3を含む焼結原料が必ず払い出される。
【0036】
次に、バスケットホイール4Lが区間Ldを走行する間は、バスケットホイール4Lの位置と副原料3の積付領域Aとが重なるため、副原料3を払い出す。一方、バスケットホイール4Rが区間Rdを走行する間は、バスケットホイール4Rの位置と副原料3の積付領域Aとが重ならないため、副原料を払い出さない。
このようにして、区間Ld、Rdを走行するバスケットホイール4L、4Rの一方から、副原料を含む焼結原料が必ず払い出される。
【0037】
以上の組合せを一覧表にまとめると、下記表1の通りになる。表1において、○印は、いずれか一方のバスケットホイール4L,4Rによって副原料を含む焼結原料が払い出される場合であり、×印は、両方のバスケットホイール4L,4Rによって副原料を含む焼結原料が払い出される場合、または、両方のバスケットホイール4L,4Rによって副原料含む焼結原料が払い出されない場合である。
【0038】
表1に示すように、本発明の積付方法によって形成された均鉱のパイル1は、リクレーマ装置のバスケットホイール4L、4Rの位置によらず、常に、いずれか一方のバスケットホイールから副原料を含む焼結原料が払い出され、他方のバスケットホイールからは副原料を含まない焼結原料が払い出されるので、払い出された焼結原料に含まれる副原料の配合割合は径時的に常に一定になる。
【0039】
【表1】

【0040】
これに対して、図3に示すように、副原料が、領域B、C、Dに積み付けられた場合は、以下に説明するように、払い出される焼結原料中の副原料の配合割合が径時的に変動し、常に一定にならない。
【0041】
まず、副原料が図3の領域Bに積み付けられた場合について説明する。
積付領域Bは、底面幅(H−H/15)の三角形状の積付領域よりも下側の領域である。
この積付領域Bは、パイル1を払い出し面1aからみたときに、均鉱ヤード2の積付面において、パイル1の積付後の全幅の中心Oから全幅方向両方向にそれぞれH/4の距離に至る範囲の領域である。
【0042】
積付領域Bに副原料3が積み付けられた場合において、バスケットホイール4Lが区間Laを走行する間は、バスケットホイール4Lに位置と積付領域Bとが重ならず、副原料3は払い出されない。一方、バスケットホイール4Rが区間Raを走行する間は、バスケットホイール4Rの位置と積付領域Bとが重なり、副原料3を払い出す。従って、区間La、Raを走行するバスケットホイール4L、4Rのうちの一方から、副原料3を含む焼結原料が必ず払い出される。
【0043】
次に、バスケットホイール4Lが区間Lbを走行する間は、バスケットホイール4Lの位置と積付領域Bとが重ならず、副原料3は払い出されない。一方、バスケットホイール4Rが区間Rbを走行する間は、バスケットホイール4Rの位置と積付領域Bとがほぼ重ならず、副原料を払い出さない。積付領域Bのうち、区間Rbにかかる部分に副原料が積み付けられたとしても、区間Rbにおける副原料は払出量は僅かである。
このようにして、バスケットホイール4L、4Rが区間Lb、Rbを走行する間は、副原料を含まない焼結原料が払い出される。仮に副原料が含まれたとしてもその量はごく少量になる。
【0044】
次に、バスケットホイール4Lが区間Lcを走行する間は、バスケットホイール4Lの位置と積付領域Bとがほとんど重ならず、副原料3を払い出さない。積付領域Bのうち、区間Lcにかかる部分に副原料3が積み付けられたとしても、区間Lcにおける副原料は払出量は僅かである。
一方、バスケットホイール4Rが区間Rcを走行する間は、バスケットホイール4Rの位置と積付領域Bとが重ならず、副原料は払い出されない。
このようにして、バスケットホイール4L、4Rが区間Lc、Rcを走行する間は、副原料を含まない焼結原料が払い出される。仮に副原料が含まれたとしてもその量はごく少量になる。
【0045】
次に、バスケットホイール4Lが区間Ldを走行する間は、バスケットホイール4Lの位置と積付領域Bとが重なるため、副原料は払い出される。一方、バスケットホイール4Rが区間Rdを走行する間は、バスケットホイール4Rの位置と積付領域Bとが重ならないため、副原料を払い出さない。
このようにして、区間Ld、Rdを走行するバスケットホイール4L、4Rの一方から、副原料を含む焼結原料が必ず払い出される。
【0046】
以上の組合せを一覧表にまとめると、表2の通りになる。表2において、○印は、いずれか一方のバスケットホイール4L,4Rによって副原料を含む焼結原料が払い出される場合であり、×印は、両方のバスケットホイール4L,4Rによって副原料を含む焼結原料が払い出される場合、または、両方のバスケットホイール4L,4Rによって副原料を含む焼結原料が払い出されない場合である。
【0047】
表2に示すように、積付領域Bに副原料が積付けられた均鉱のパイルは、リクレーマ装置のバスケットホイール4L、4Rの位置によって、両方のバスケットホイール4L,4Rから副原料を含む焼結原料が払い出される場合と、払い出されない場合がある。
従って、積付領域Bに副原料が積付けられたパイルからは、リクレーマ装置の位置によって、副原料を含む焼結原料と、副原料をより多く含む焼結原料と、副原料を含まない焼結原料とが払い出される結果、焼結原料に含まれる副原料の配合割合が径時的に変動する。
【0048】
【表2】

【0049】
同様にして、積付領域Cに副原料が積付けられた均鉱のパイルについて、副原料の払い出し結果を表3に示す。積付領域Cは、底面幅(H+H/15)の三角形状の積付領域よりも上側の領域である。また、積付領域Cは、パイル1を払い出し面1aからみたときに、均鉱ヤード2の積付面において、パイル1の積付後の全幅の中心Oから全幅方向両方向にそれぞれ7H/8の距離まで至る範囲の領域である。
【0050】
また、積付領域Dに副原料が積付けられた均鉱のパイルについて、副原料の払い出し結果を表4に示す。積付領域Dは、底面幅(H+H/15)の三角形状の積付領域よりも上側の領域である。また、積付領域Dは、パイル1を払い出し面1aからみたときに、均鉱ヤード2の積付面において、パイル1の積付後の全幅の範囲に渡る領域である。
【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
表3に示すように、積付領域Cに副原料が積付けられた均鉱のパイルは、リクレーマ装置のバスケットホイール4L、4Rの位置によって、両方のバスケットホイール4L,4Rから副原料を含む焼結原料が払い出される場合と、払い出されない場合がある。
従って、積付領域Cに副原料が積付けられたパイルからは、リクレーマ装置の位置によって、副原料を含む焼結原料と、副原料をより多く含む焼結原料と、副原料を含まない焼結原料とが払い出される結果、焼結原料に含まれる副原料の配合割合が径時的に変動する。
【0054】
また、表4に示すように、積付領域Dに副原料が積付けられた均鉱のパイルは、リクレーマ装置のバスケットホイール4L、4Rの位置によらず、両方のバスケットホイール4L、4Rから副原料を含む焼結材料が払い出される。従って、払い出された焼結原料に含まれる副原料の配合割合は径時的に一定になる。
しかし、積付領域Dはパイル1の最上層に位置するため、原料の積付面積が最大になっている。副原料3の積付け量は、パイル全体の原料の積付量に対して1質量%以下と少量なので、積付領域Dのうち、区間Laまたは区間Rdにおける積付量は、区間Ldまたは区間Raにおける積付量より大幅に小さくなる。
従って実際には、積付領域Dに副原料が積付けられた均鉱のパイルにおいては、払い出された焼結原料中の副原料の配合割合が、リクレーマ装置のバスケットホイール4L、4Rの位置によって径時的に変動する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の均鉱の積付方法は、パイル1を積付ける際、積付後のパイル1を払い出し面1aからみたとき、副原料3を、底面幅(H−H/15)の三角形状の積付領域Aaよりも上側かつ底面幅(H+H/15)の三角形状の積付領域Abよりも下側の積付領域Aに積付ける。このように積付けたパイル1から焼結原料を払い出す際に、中心間距離Hだけ離間した一対のバケットホイール4L、4Rを備えたリクレーマ装置を用いると、パイル1に対するバケットホイール4L、4Rの位置によらず、副原料3が、常に、何れか一方のバケットホイール4L、4Rによって払い出される。これにより、払い出された焼結原料に、径時的に常に一定の割合で副原料1を含めることができる。
【0056】
また、本実施形態の均鉱の積付方法では、パイル全体に対する割合で24質量%以上27%の範囲で原料が積付けられる間に、副原料3を積み付ける。このように積付けたパイル1から原料を払い出すと、払い出された焼結原料における副原料3の配合割合をほぼ一定にできる。
【0057】
また、本実施形態の均鉱の積付方法によれば、副原料として、製鉄所から発生するスケール、還元鉄、コークス粉、高炉のガス灰、珪石粉等を用いることで、製鉄所の工程から発生する副生物を再資源化できる。
【符号の説明】
【0058】
1…パイル(均鉱のパイル)、1a…払い出し面、3…副原料、4L、4R…バスケットホイール、A…副原料の積付領域、Aa…底面幅(H−H/15)の三角形状の積付領域、Ab…底面幅(H+H/15)の三角形状の積付領域、H…バスケットホイールの中心間距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の原料を順次積み付けて払い出し面の形状が三角形状になる均鉱のパイルを形成する均鉱の積付方法であって、
一対のバスケットホイールを備えた前記パイルの払い出し用リクレーマ装置の前記一対のバスケットホイールの中心間距離がHであり、積付後の前記パイルの三角形状の払い出し面の底辺幅が2Hであるとき、
前記積付後のパイルを前記払い出し面からみたときに、副原料が、底面幅(H−H/15)の三角形状の積付領域の上側かつ底面幅(H+H/15)の三角形状の積付領域の下側の積付領域内に位置するように、前記副原料を積付けることを特徴とする均鉱の積付方法。
【請求項2】
前記パイル全体に対する割合で24質量%以上27質量%以下の範囲で前記原料が積付けられる間に、前記副原料を積み付けることを特徴とする請求項1に記載の均鉱の積付方法。
【請求項3】
前記パイル全体に対する割合で、前記副原料の積付け割合が、1質量%以下の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の均鉱の積付方法。
【請求項4】
前記副原料が、スケール、コークス粉、高炉のガス灰、珪石粉の少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の均鉱の積付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−208214(P2011−208214A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76692(P2010−76692)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】