坑内流体分析のための可変送出を有する流体処理のシステム及び方法
【課題】流体処理、特に、掘削坑環境内の流体サンプルの化学分析に関する技術を提供する。
【解決手段】本明細書に説明するのは、最初に表面に流体を移送する必要なくリザーバ流体のサンプルを特徴付けるのに使用可能な可変容積リザーバ(例えば、シリンジポンプ)ベースの処理及びシステムである。可変容積リザーバは、例えば、反応剤の格納、混合比の制御、使用済み薬剤の格納のうちの1つ又はそれよりも多くに使用される。処理及びシステムは、連続混合モード、流れ注入分析、及び滴定のような様々なモードで使用することができる。分光計のような流体質問器を使用して、混合物内の検体を示す混合物の物理特性の変化を検出することができる。少なくとも一部の実施形態では、検体溶液の濃度は、検出した物理特性から判断することができる。
【解決手段】本明細書に説明するのは、最初に表面に流体を移送する必要なくリザーバ流体のサンプルを特徴付けるのに使用可能な可変容積リザーバ(例えば、シリンジポンプ)ベースの処理及びシステムである。可変容積リザーバは、例えば、反応剤の格納、混合比の制御、使用済み薬剤の格納のうちの1つ又はそれよりも多くに使用される。処理及びシステムは、連続混合モード、流れ注入分析、及び滴定のような様々なモードで使用することができる。分光計のような流体質問器を使用して、混合物内の検体を示す混合物の物理特性の変化を検出することができる。少なくとも一部の実施形態では、検体溶液の濃度は、検出した物理特性から判断することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般的に流体処理に関する。より具体的には、本出願は、掘削坑環境内の流体サンプルの化学分析に関する。
【背景技術】
【0002】
化学分析は、炭化水素鉱床の評価における極めて重要な段階である。流体/気体組成は、リザーバの経済価値に大きな影響を与える。更に、流体/気体組成によって坑井完了及び生成戦略が決まる。従来、サンプルは、現地で取られ、研究所に送られ、多くの場合にリザーバ条件に再構成され、その後に分析される。
【0003】
多くの成分は、サンプリングの結果として変化するので坑内で分析すべきである。例えば、水サンプルのpHは、二酸化炭素(CO2)又は硫化水素(H2S)のガス抜けのために変化する可能性がある。気体又は油における硫化水素は、金属部分又はサンプル瓶により除去される可能性があり、水中のバリウムは、サンプルが取られる前に硫酸バリウムとし沈殿することさえある。
【0004】
分光技術は、全く準備なしで油/気体中の一部の成分を判断することができる。これを示す例は、テキサス州シュガーランド所在の「Schlumberger Technology Corporation」から市販の工具一式である「モジュール式累層動力学試験器(MDT)」の「組成流体分析器(CFA)」モジュールのような分析器によって行われるような組成分析である。しかし、分光技術により直接に判断することができる成分の数には限界がある。流体の1つの成分を判断するために溶液に着色剤(染料)を添加することは、成功するpHの判断方法(例えば、生流体分析器、MDTのLFA−pHモジュールを使用)であることが証明されている。
【0005】
ある一定の限界内で、染料濃度は、一般的にpH測定の場合には殆ど又は全く重要ではない。しかし、pH測定は、例外であり、殆どの他の測定では、試薬とサンプルの公知の混合比率が必要である。一例は、金属イオンとの比色反応により油、気体、又は水中の硫化水素濃度を判断する新開発の方法である。
【0006】
滴定は、溶液中のターゲット成分の濃度を判断する一般的な方法である。滴定において、突然のイベント(例えば、色変化、沈殿、又は他の観測可能な変化)が起こるまで、1つの試薬が、ターゲット成分のサンプル溶液にゆっくりと添加される(又はその逆)。別の成分(ターゲット)の溶液に1つの成分(試薬)をゆっくりと添加することは、2つの成分の混合比がゆっくりと変動することに等しい。しかし、ターゲット成分の濃度を判断するためには、最終混合比が既知でなければならない。一例は、溶液(サンプル)のアルカリ度を判断することに関連している。サンプルは、pH感応染料の存在下で、滴定サンプルのpHに反応してpH感応染料のために色変化が起こるまで酸でゆっくりと滴定される。
【0007】
化学分析の一般的な手法は、「流れ注入分析(FIA)」の使用である。FIAは、特に化学センサがあまり安定していない場合があり、少量のみが利用可能であり、又は反応生成物を原位置で測定すべきである時の状況に役に立つ技術である。FIA技術を使用して、基準反応を有する試薬の注入に対する混合物の反応を比較することができる。FIA測定は、検出器のドリフト又は比色反応の場合には試薬の背景色調変化に対して補償することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特に炭化水素鉱床の評価における化学分析は、「環境にやさしく」ない場合がある益々多くの薬剤を使用する可能性が非常に高いことになる。少なくとも1つのこのような例は、金属イオンとの反応が適切な感知技術として示唆される油及び気体中の硫化水素の存在を検出するためのサンプルの分析に関連する。このような状況に使用される適切な金属は、発がん性であることが公知のカドミウムを含む可能性がある。すなわち、このような化学反応の廃棄物の回収は、善良な市民の例として望ましいであろう。更に、一部の環境的に影響を受けやすい地域(例えば、アラスカ)では、油井の試験及び生成中に薬剤が後に残らないことが要求される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
坑内流体分析は、リザーバ特性付けにおいて重要な役割を果たす。この分野の開発を続けるために、坑内化学反応を含むより複雑な化学分析を行わなければならない。ミニ及びマイクロ流体力学のようなこのような坑内分析に向けて適応されたデバイス及び処理は、この開発において重要な役割を果たすことができる。本明細書に説明するのは、最初に表面に流体を移送する必要がなくリザーバ流体のサンプルを特徴付けるのに使用することができる可変容積リザーバ(例えば、プランジャ)ベースのシステムである。リザーバは、例えば、反応剤を格納し、混合比を制御し、かつ使用済み薬剤の格納することのうちの1つ又はそれよりも多くに使用することができる。システムは、流れ注入に対して及び滴定に対して連続モードで使用することができる。
【0010】
一態様では、本明細書に説明する少なくとも1つの実施形態は、反応剤で事前充填された第1の可変容積リザーバを含む坑内流体処理デバイスを提供する。第1のリザーバは、流体導管と流体連通した開放端を有する。デバイスはまた、同じく流体導管と流体連通した開放端を有する第2の可変容積リザーバを含む。一部の実施形態では、第1及び第2の可変容積リザーバの1つ又はそれよりも多くは、シリンジポンプを含む。流体混合器は、第1及び第2の可変容積リザーバの開放端の間の位置で流体導管に沿って直列に配置される。流体混合器は、受動混合器及び能動混合器のうちの1つ又はそれよりも多くを含むことができる。デバイスは、高圧自噴ラインから地下層から引かれた流体のサンプルを受け取るように構成されたサンプルポートを更に含む。サンプルポートは、第1の可変容積リザーバの開放端と流体混合器の間の位置で流体導管と流体連通している。反応剤及びサンプリングされた流体の選択可能な混合物は、第1及び第2の可変容積リザーバの容積を変えることによって取得可能である。
【0011】
一部の実施形態では、デバイスは、サンプルポートと流体導管の間に配置された遮断弁及びサンプルポートと流体連通したフィルタのうちの1つ又はそれよりも多くを含む。窓付き流体導管は、混合器と第2の可変容積リザーバの開放端との間で流体導管と直列に流体連通させて設けることができる。照明源及び検出器は、照明源−検出器組合せが反応剤及びサンプリングされた流体の混合物の光学特性の観測を可能にするように窓付き流体導管の視野に配置することができる。
【0012】
一部の実施形態では、デバイスは、サンプルポートと流体導管の間で流体連通した開放端を有する第3の可変容積リザーバを含む。第1の遮断弁は、第3の可変容積リザーバの開放端とサンプルポートの間に配置される。第1の遮断弁は、第3の可変容積リザーバと流体導管の間の流体連通を可能にしながら、第3の可変容積リザーバをサンプルポートから選択的に隔離するようになっている。第2の遮断弁も設けられ、第3の可変容積リザーバの開放端と流体導管の間に配置される。第2の遮断弁は、第3の可変容積リザーバとサンプルポートの間の流体連通を可能にしながら、第3の可変容積リザーバを流体導管から選択的に隔離するようになっている。
【0013】
少なくとも一部の実施形態では、第1、第2、及び第3の可変容積リザーバのうちの1つ又はそれよりも多くは、自噴ラインと流体連通した圧力平衡ポートを含むことができる。このような圧力平衡ポートは、自噴ライン圧力に露出されたその開放端を有するそれぞれの可変容積リザーバの容積変動を自噴ライン圧力に打ち勝つ必要なく可能にする。
【0014】
別の態様では、本明細書に説明する少なくとも1つの実施形態は、掘削坑内の流体サンプルを分析するための処理を提供する。処理は、反応剤が予め装填されて流体導管に露出された開放端を有する第1のリザーバの容積を変える段階を含む。第2のリザーバの容積も変えられ、第2のリザーバは、同様に流体導管に露出された開放端を有する。第1及び第2のリザーバの開放端の間の流体導管の領域は、地下層から引かれた高圧流体の高圧流に露出される。流体サンプルは、第1及び第2のリザーバの容積の相対変動に応答して高圧流体の流れから抽出される。
【0015】
少なくとも一部の実施形態では、処理は、第1のリザーバの容積を最初に低減する段階と、所定の時間にわたって第2のリザーバの容積を同等に増大させ、それによって試薬の少なくとも一部分で流体導管を事前充填する段階を含む。反応剤の少なくとも一部分と抽出流体サンプルの少なくとも一部分を選択的に互いに混合する行為は、第1及び第2のリザーバの容積の相対変動に応答することができる。選択的に混合する段階は、反応剤の少なくとも一部分及び抽出流体サンプルの少なくとも一部分の組合せを攪拌する段階を含むことができる。処理は、更に、試薬−サンプル混合物の物理特性を検出する段階、例えば、試薬−サンプル混合物の光学特性、電気特性、及び化学特性のうちの少なくとも1つを検出する段階を含むことができる。
【0016】
少なくとも一部の実施形態では、処理は、更に、試薬−サンプル混合物の廃棄物部分を回収し、それによって局所環境への露出を回避する段階を含む。試薬−サンプル混合物を回収する段階は、例えば、試薬−サンプル混合物の少なくとも一部分を高圧流体の流れに注入する段階を含むことができる。
【0017】
更に別の態様では、本明細書に説明する少なくとも1つの実施形態は、掘削坑内の流体サンプルを分析するための処理を提供する。処理は、掘削坑内に反応剤を供給する段階を含む。掘削坑内の温度及び圧力の各々は、掘削坑表面での対応する温度及び圧力よりも実質的に大きい。反応剤の少なくとも一部分は、容積比に従って掘削坑内で累層流体のサンプルと混合される。得られる混合物は、容積比に応答する物理特性を有する。混合物の物理特性が判断される。少なくとも一部の実施形態では、判断された物理特性は、混合物の容積割り当て量を示している。
【0018】
反応剤が既知の濃度で溶液内に供給される少なくとも一部の実施形態では、処理は、更に、反応剤溶液の増加部分を累層流体のサンプルと繰返し混合する段階を含む。サンプリングされた累層流体は、検体の未知の濃度を有する。得られる混合物の物理特性の実質的な変化が検出される。累層流体のサンプル内に存在する検体の濃度は、容積比及び得られる混合物の物理特性の実質的な変化が観測された検出物理特性のうちの少なくとも一方に応答して判断することができる。
【0019】
同様の参照番号が図面のいくつかの図を通して類似の部分を表す本発明の例示的な実施形態の非限定的な例による上述の複数の図面を参照して、本発明を以下の詳細説明で更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】坑内条件の下でサンプルを試薬と混合するためのデバイスの実施形態のブロック図である。
【図2】様々な混合比で得られた例示的な混合物に対して測定された光吸収率を示す図である。
【図3】図2の光吸収率の平均対理論的混合物濃度を示す図である。
【図4】混合比の関数としてブロモクレゾールグリーンの例示的な混合物に対するアルカリピーク及び酸ピークでの光吸収率を示す図である。
【図5】染料濃度から判断した混合割り当て量対ポンプ速度から判断した混合比を示す図である。
【図6】染料ベースの混合比の関数としての例示的な混合物のピーク比(酸性ピーク/アルカリピーク)を示す図である。
【図7】別のプランジャを押すよりも高い速度でプランジャを引くことによって注入後に得られた測定吸光率を示す図である。
【図8】硫化ナトリウム溶液の反復注入後に例示的な混合物に関して得られた生吸収データを示す図である。
【図9】カドミウム含有試薬内への硫化ナトリウム溶液の5回の注入に従って取得した例示的な混合物に関する補正後の吸収応答を示す図である。
【図10】カドミウム含有試薬内への異なる容積の硫化ナトリウム溶液の反復注入後に例示的な混合物に関して取得した測定吸収応答を示す図である。
【図11】サンプルの相対容積に従って基準チャンネルを減算した後に取得したピーク吸収高さを示す図である。
【図12】例示的な混合物の計算濃度に従って吸収ピーク下と判断された区域を示す図である。
【図13】例示的な混合物に関する吸収ピーク高さ対注入時間を示す図である。
【図14】坑内条件下でサンプルを試薬と混合するための3プランジャデバイスの実施形態のブロック図である。
【図15】坑内条件下でサンプルを試薬と混合するためのデバイスの別の実施形態のブロック図である。
【図16】圧力平衡形ポンプを含む坑内条件下でサンプルを試薬と混合するためのデバイスの実施形態のブロック図である。
【図17】坑内条件下でサンプルを試薬と混合するための処理の実施形態を示す図である。
【図18】坑内条件下でサンプルを試薬と混合するための別の処理の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好ましい実施形態の以下の詳細説明において、本明細書の一部を形成し、かつ本発明を実施することができる特定的な実施形態を例示的に示す添付図面を参照する。他の実施形態を利用することができ、かつ本発明の範囲から逸脱することなく構造上の変更を行うことができることは理解されるものとする。
【0022】
本明細書に示す詳細は、一例としてかつ本発明の実施形態を例示的に説明することを目的とするにすぎず、本発明の原理及び概念上の特徴の最も有用で容易に理解される説明であると思われるものを示すために示している。この点に関して、本発明の基本的な理解に必要である以上に本発明の詳細を示そうとはしておらず、図面と共に行う説明は、本発明のいくつかの形態を実際に具現化することができる方法を当業者に明らかにするものである。更に、様々な図面内の同様の参照番号及び名称は、同様の要素を示している。
【0023】
坑内条件下で検体溶液を含有する流体サンプルを試薬と混合するためのデバイス及び処理を示す。例えば、試薬による検体溶液のこのような混合を達成し、例えば、流体サンプル内の検体の存在及び濃度のうちの1つ又はそれよりも多くを検出することができる。少なくとも一部の実施形態では、試薬及び検体溶液の混合比は、望ましい精度で確立することができる。このような手法を使用して、例えば、(i)少なくとも2つの流体を簡単に混合して化学検体に対して混合物からデータを取得するか、(ii)滴定を達成するか、又は(iii)流れ注入分析を行うことができる。少なくとも一部の実施形態では、このような手法は、坑内条件下のシステムの自己較正の可能性を含む。
【0024】
掘削坑内の坑内位置での温度及び圧力は、掘削坑の表面での温度及び圧力と異なることを認めるべきである。累層流体が抽出される場合がある掘削坑深さに対して、このような温度及び圧力は、表面でよりも実質的に大きい可能性がある。例えば、坑内温度は、100℃、150℃、又は200℃まで又はそれよりも高い範囲である可能性がある。同様に、坑内圧力は、500psi、1,000psi、10,000psi、更には30,000psi、及びそれよりも高い範囲である可能性がある。地下層から得られた流体サンプルを評価する時に、流体が地下層に存在する状態に最も密接に似ている状態でサンプリングされた流体にこのような評価を行うことが望ましいことが多い。少なくとも1つのこのような手法は、流体がサンプリングされた位置にできるだけ接近した地下の位置(すなわち、坑内)でサンプリングされた流体を評価する段階を含む。最低限でも、サンプリングされた流体の物質の状態(すなわち、固体、液体、気体)は、累層内(例えば、炭化水素鉱床内)の流体の物質の状態に最も密接に似ていると考えられる。
【0025】
一例として、坑内条件下で流体サンプルを試薬と混合するシステム100の実施形態を図1に示している。システム100は、流体導管106に流体連通した開放端104を有する第1の流体リザーバ102から構成される。流体導管106に流体連通した開放端114を有する第2の流体リザーバ112も設けられる。流体混合器116は、第1及び第2の可変容積リザーバ102、112の開放端の間の位置で流体導管に沿って直列に配置される。システム100は、高圧自噴ライン126から流体のサンプルを受け取るように構成されたサンプルポート120も含む。少なくとも一部の実施形態では、高圧自噴ライン126内に流れているのはm炭化水素鉱床のような地下層から引かれた流体である。従って、サンプリングされた流体は、液体、気体、及び懸濁固形分のうちの1つ又はそれよりも多くの組合せを含有する場合がある。
【0026】
サンプルポート120も、第1の可変容積リザーバの開放端104と流体混合器116の間の位置で流体導管106と流体連通している。サンプリング流体導管128は、サンプルポート120と流体導管106の間に配置され、その上の流体の流れを可能にする。少なくとも一部の実施形態では、サンプリング流体導管128は、流れ抵抗及び死容積を低減するためにできるだけ短いく構成される。1つ又はそれよりも多くのフィルタ130を設けて、自噴ライン126からサンプルポート120を通ってかつ流体導管106に向けて流れる流体を濾過することができる。このようなフィルタ130を使用して、除去しなければシステムを塞ぐか又は測定値のオフセットの原因になりかねない流体サンプルからの粒子を除去することができる。
【0027】
少なくとも一部の実施形態では、弁132は、サンプルポート120と流体導管106の間に設けられる。例えば、遮断弁132は、サンプリング流体導管128に沿って位置する。遮断弁132は、サンプルポート120と流体導管106の間の流体の流れを選択的に可能にするか又はそうでなければ遮断するように構成される。そのように位置決めされると、遮断弁132は、第1の流体リザーバ102、第2の流体リザーバ112、及び流体混合器116の間の流体の流れを妨げない。弁132は、任意的であるが、含めて、例えば、移送中に及びシステム100を掘削坑内に設けている間に試薬(例えば、第1及び第2のリザーバ102、112の1つ又はそれよりも多くに格納)の漏れを防止することができる。弁132の閉鎖状態を利用して、作業期間中に自噴ライン126内で遭遇する可能性がある突然の圧力降下及び圧力スパイクにシステム100の残りが露出されるのを防止することができる。
【0028】
システム100は、流体の物理特性を判断するように構成された流体質問器140を用いて構成することができる。例示的な実施形態では、流体質問器140は、流体混合器116と第2の流体リザーバ112との間の位置で流体に質問するように位置決めされる。1つのこのような流体質問器140は、吸光率とも呼ばれる光学密度のような流体の光学特性を判断するように構成される。吸光率は、物体(すなわち、流体)に入射する放射束に対する物体により吸収される放射束の比である。吸収分光法は、サンプルとの相互作用ために周波数又は波長の関数として放射線の吸収を測定する分光技術を指す。例えば、吸収分光法を分析化学ツールとして使用して、サンプルにおいて特定の物質の存在を判断し、多くの場合に、存在する物質の量を定量化することができる。
【0029】
例示的な質問器140は、光源142及び光検出器144(分光用途のための波長依存検出器)を含む。質問される流体の少なくとも一部は、光源142と光検出器144の間を通過する。光源142により行われた照明の少なくとも一部は、検出器144の方向に誘導されて流体を通過する。少なくとも一部の実施形態では、窓146a、146bは、その中で流れる流体のこのような光学的な質問を可能にするように流体導管106に沿って適切に位置決めされる。掘削坑内の坑内使用のために構成されたこのような工具の大規模な例は、テキサス州シュガーランド所在のSchlumbergerによって提供される商業サービスに利用可能である工具一式である「モジュール式累層力学試験器(MDT)」の「生流体分析器(LFA)」モジュール又は「組成流体分析器(CFA)」モジュールを含む。
【0030】
少なくとも一部の実施形態では、光学質問器140は、他の流体質問器により置換されるか、又はそうでなければ補足することができることが理解される。例えば、このような質問器の例には、例えば流体に電気的に質問して電気的応答(例えば、塩分の指標としての導電率)を判断する電気化学検出器、例えば流体によってもたらされた周波数シフトを判断する圧電質問器、及び例えば流体の磁化率の変化のような磁気特性を判断する磁気質問器がある。
【0031】
作動面では、第1の流体リザーバ102は、例えば、反応剤(例えば、試薬)で事前充填することができる。試薬及び自噴ライン126から得られた検体溶液の流体サンプルの混合物が1つ又はそれよりも多くの流体質問器140により検出することができる流体の物理特性の検出可能な変化を生成することになるように、分析されている特定の検体溶液に従って試薬を選択することができる。
【0032】
例示的な実施形態では、第1及び第2の流体リザーバ102、112の各々は、可変容積リザーバである。例えば、流体リザーバ102、112の各々は、それぞれの再位置決め可能なプランジャ152、162を含むことができる。リザーバ102、112のいずれかの内部のプランジャ152、162を位置決めし直すことにより、対応してそれぞれのリザーバ102、112の容積V1、V2が変化する。従って、例示的な実施形態の2つのプランジャ152、162を使用して、流体導管106内を流れる1つ又はそれよりも多くの流体を操作することができる。例えば、第1のポンプ154を使用して、例えば、第1のプランジャ152を位置決めし直す、例えば、それを開放端104に向けて前進させて、リザーバ102から流体導管106に実質的に試薬を押し進めることができる。同様に、第2のポンプ164を使用して、第2のプランジャ162を開放端114から押し離し、流体導管106から第2のリザーバl12に流体を実質的に引き込むことができる。同様に、第1及び第2のプランジャ152、162の再位置決めの様々な組合せを用いて、流体導管106内、特に流体質問器140に露出された流体導管106の領域内の試薬及びリザーバ流体の比を調節することができる。
【0033】
第2のプランジャ162を使用して、自噴ライン126からリザーバ流体の1つ又はそれよりも多くを第1のリザーバ102から流体導管106を通って試薬から引くことができる。試薬を収容する第1のリザーバ102の第1のプランジャ152を前進させると、リザーバ102から出て流体導管106を通るように試薬を押し進めることができる。第2のプランジャ162のみが移動中である状況では、弁132が開いていると仮定して、自噴ライン126からサンプルポート120を通って流体導管106内にリザーバ流体を選択的に引くことができる。代替的に、2つのリザーバ102、112の間の容積の同等の変化を達成するために、第2のプランジャ162を使用して同時に第2のリザーバ112に流体を引き込みながら第1のプランジャ152を使用して第1のリザーバ102から試薬を押し進めることにより、流体導管106にサンプル流体を引き込むことなく試薬を流体チャンネルに選択的に引き込む流体の流れの制御を達成することができる。この結果は、弁132が存在した場合にたとえ開いているとしても達成することができる。
【0034】
より具体的には、第1及び第2のプランジャ152及び162が、逆の意味で(すなわち、(dV1/dt)=(−dV2/dt))各それぞれのリザーバ102、112の容積の同等の変化率をもたらすように移動する時に、サンプリング流体導管128からの流体は、弁132が開いているにも関わらず流体導管に入ることが防止される。従って、流体導管106が自噴ライン126からの流体の加圧流に露出されたにも関わらず、流体導管106を通じて試薬だけを引くことができる。第1のプランジャ152(すなわち、試薬プランジャ)の再位置決めによって達成される第1のリザーバの容積の変化率が、第2のプランジャ162の場合よりも僅かにより低いことは(すなわち、|dV1/dt|<|−dV2/dt|)、サンプリング流体導管128から流体導管106内へのリザーバ流体の制御された流れをもたらす。2つのリザーバ102、112の容積の相対的な変化率を制御することにより、既知の混合比を流体導管106内で取得することができる。この混合比は、例えば、センサの作動範囲を拡張するために第1のリザーバ102の容積の変化率を変えることによって変えることができる。
【0035】
少なくとも一部の実施形態では、少なくとも第1及び第2のポンプ154、164の作動を制御するためにコントローラ170が設けられる。シリンジポンプのようなポンプは、プランジャ(x)の位置を利用して関連のリザーバの容積(V)を判断することができるように較正することができる。同様に、プランジャ位置変化率(dx/dt)を利用してリザーバ容積の変化率(dV/dt)を判断することができる。このようなプロセッサ170は、それぞれのリザーバ102、112の容積の変化を引き起こすためにポンプ154、164の1つ又はそれよりも多くと電気通信することができる。代替的に又は追加的に、コントローラ170は、流体のあらゆる質問された物理特性に関してステータスを受信するために流体質問器140と電気通信することができる。このようなプロセッサは、例えば、1組の予めプログラムされた命令を実行する1つ又はそれよりも多くのマイクロプロセッサを含むことができる。このような予めプログラムされた命令は、1つ又はそれよりも多くの分析プロトコルを実行するために準備することができる。少なくとも一部の実施形態では、コントローラ170を使用して弁132の作動を制御することができるように考えられている。少なくとも一部の実施形態では、コントローラ170は、持続時間及びシーケンスとしてのタイミング及び流体が移動する速度のうちの1つ又はそれよりも多くを制御するのに使用可能なタイミング基準を含む。
【0036】
少なくとも一部の実施形態では、システム100(例えば、コントローラ170)は、分析結果を記録するか又はそうでなければ文書化するように構成されたユーザインタフェース及び/又はデータレコーダを含む。コントローラ、ユーザインタフェース、及びデータレコーダのうちの1つ又はそれよりも多くは、例えば、坑内の表面位置に位置付けられ、遠隔測定を通じて又は分散型構成でシステム100の様々な要素に結合することができ、一部の要素は坑内に位置し、他のものは、1つ又はそれよりも多くの表面位置に位置付けられる。表面構成要素の一部は、掘削坑の直近に位置することができ、一方、他の表面構成要素は、遠隔に位置することができることも考えられている。あらゆるこのような遠隔表面構成要素間の通信は、電気通信のようなあらゆる適切な手段で及び「インターネット」を通じて達成することができる。
【0037】
サンプリングされたリザーバ流体及び試薬の各々が別々に流れることが許容される場合、システム100の遠隔(例えば、坑内)較正を達成することができる。このような方法によるシステム100の較正により、リザーバ流体又は試薬による光吸収のような質問された物理特性のいずれも補正が可能である。例えば、較正中に、質問器140により質問されるのに十分なほど流体導管106を通るように所定の比の流体(例えば、純粋な試薬)を前進させることができる。流体質問器140により判断された物理特性は、例えば、コントローラ170により、類似の状況下で予想された又はそうでなければ予め測定された結果と比較することができる。流体質問器140によって得られた測定値と予想結果のあらゆる変動を使用して、システム100及び/又はシステム作動中に使用される流体の1つ又はそれよりも多くの要素を特徴付けることができる。例えば、較正を利用して、1つよりも多い測定を行う場合に光学窓146a、146bの汚れを検出及び/又は補正することができる。代替的に又は追加的に、較正を利用して、光源142の経年変化のような短期及び長期の効果を検出することができる。較正係数は、基準からオフセットまでの変動に基づいて判断するか、又はそうでなければ測定結果を較正することができる。
【0038】
流体サンプル(検体溶液)及び試薬の容積混合比が高度な特異性で既知である時に、例えば、検体溶液の存在及び/又は濃度を識別する際の精度増加が予想される。非常に正確なプランジャの動きによって得られるような例えば非常に正確な体積変化率を用いることによってこのような結果を達成することができる。別の方法は、試薬に鈍感な着色剤の追加を含む。着色剤は、検体染料組合せと異なる波長で吸収するように選択される。このような着色剤の良好な例は、市販の食品着色料である。
【0039】
流体混合器116は、導管106を通る流体の流れと流体接触するように設けられたニシン骨構造のような受動混合器とすることができる。ニシン骨又は類似の構造により、例えば、流れが2つ又はそれよりも多くの成分を含む時に、結果として混合作用が得られる流れ中の流体の乱流が発生する。あらゆるタイプの受動混合、例えば、蛇行線を用いることができることが理解される。代替的に又は追加的に、流体混合器116は、圧電デバイス、機械式撹拌器、又は両方の何らかの組合せのような能動混合器を含むことができる。
【0040】
第1のリザーバ102は、サンプリングされた流体の意図する分析を行うのに少なくとも十分な容積の試薬を収容するように寸法決めされる。同様に、第2のリザーバ112は、意図する分析に使用される少なくともその容積のサンプリングされた流体及び試薬を収容するのに十分に寸法決めされる。少なくとも一部の実施形態では、リザーバ102、112の1つ又はそれよりも多く及びプランジャ152、162の利用可能な変位は、1つよりも多い測定を行うことができるように十分に大きく選択される。
【0041】
サンプリングされた流体及び試薬の混合物を含む試薬への局所環境の露出を回避することが一般的に望ましい。例示的な実施形態では、第1及び第2のリザーバ102、112は、サンプルポート120を通じて以外、周囲の環境から隔離される。プランジャ142、162の1つ又はそれよりも多く及び存在する時に遮断弁132の作動は、リザーバ102、112、流体導管106、及び流体混合器116のいずれかからサンプルポート120を通って自噴ライン126の方向への流体の流れを防止するように制御することができる。更に、第2のリザーバ112及びプランジャ162は、十分にシステム100により処理した全ての流体を回収し、従って、分析中に使用されるあらゆる薬剤への環境の露出を防止するのに十分なように寸法決めすることができる。少なくとも一部の実施形態では、第2のプランジャ162は、同時に廃棄物を回収しながら、混合器116を通って流体質問器140の質問領域内に試薬及びサンプリングされた流体の1つ又はそれよりも多くを引き込むように作動される。
【0042】
システム100の1つ又はそれよりも多くの構成要素は、一般的にマイクロ流体、ミニ流体、又はマイクロ流体及びミニ流体の組合せであると理解される技術及び構成要素に従って実施することができる。マイクロ流体システムは、一般的に数百マイクロメートル又は一部の場合にそれ未満の程度の流体チャンネルから構成されると理解される。マイクロ流体システムにおいて、関連の容積は、比較的小さく、比較的小さいモータを用いてプランジャ152、162及びポンプ154、164の小型化が可能になる。マイクロ流体システム又はシステム構成要素の短所は、汚れにより影響を受けやすく、かつ比較的小さい流体導管内の流れ抵抗及び粘性が混合比に影響を与える可能性があるという点である。「ミニ流体」への言及は、本明細書で使用する時に約0.5ミリメートルから約2ミリメートルまでの直径を有する流体導管又は流体チャンネルを指す。このようなミニ流体システムは、比較的より大きなモータを有するより大きいプランジャ152、162及びポンプ154、164を一般的に必要とすることになる。しかし、利点は、目詰まり及び流れ抵抗にさほど影響を受けないことであろう。
【0043】
連続混合
図1に示すシステム100のような様々な流体分析システムのいずれも、様々な作動モードで作動させることができる。例えば、第1の作動モードは、連続混合と本明細書で呼ぶものである。連続混合モードに関する連続とは、高圧自噴ライン126からサンプリングされた累層流体及び試薬が、システム100が安定した信号を流体質問器140から取得することができる平衡状態に到達することを可能にするのに十分な持続時間にわたってシステム100内で流れていることを示唆している。例えば、流量、容積、及び死空間のような特徴に基づいて、平衡に到達するのに必要とされる時間は、数分まで又はそれよりも多く掛かる場合がある。
【0044】
連続混合モードは、掘削坑環境(すなわち、坑内)において流体サンプルの化学分析中に様々な方法で使用することができる。例えば、連続混合をシステム100の坑内較正に用いることができる。坑内較正を達成して、試薬の呈色又は光源及び検出器の経年変化、又は基準の変化を引き起こすことがあり得る他のいずれかの影響に関して検査することができる。自噴ライン内の流体の呈色でさえも、サンプリングされた累層流体のみを用いた第2の測定値を使用することによって検出することができる。このような較正測定値に従って混合比を調節し、流体質問結果を最適化し、それによって測定範囲を拡大することができる。
【0045】
本明細書に説明する混合及び質問技術に従って流体サンプル内の硫化物のような検体の濃度を判断するのに1回の測定で十分とすることができることが一般的に理解される。しかし、様々な混合でのこのような測定の繰返しを行って精度を改善することができることも認められる。例えば、このような反復測定値の平均を使用して硫化物濃度を計算することができる。代替的に又は追加的に、曲線当て嵌め(例えば、最良直線当て嵌め)のような推定値を測定値点を通じて計算することができる。後者の方法は、反復測定におけるオフセットが補正されるという点で利点を提供する。
【0046】
図2は、室温及び大気圧で硫化物検出のために構成された流体質問器を使用して得られた例示的な吸光率測定値を示している。光学質問器を使用して、約400nmでピーク吸光率を有する流体サンプル試薬混合物の吸光率を検出した。吸光率180は、測定値の数に対してプロットされている。硫化物は、硫化ナトリウムの形態で添加され、2%ポリ(酢酸)(PAA)水溶液中に供給されたカドミウムと反応させた。混合比を変えて、同じサンプルの複数の混合比182a、182b、182c、182d、182e、182f(全体的に182)での測定値を取得した。各ピーク領域182は(例えば、ほぼ150回、300回、500回、650回、850回、及び1,050回の測定での)、それぞれの混合物の反復質問に関連する。混合比が連続サンプルで増大する時に、それぞれの吸光率は、図示のように増加する。各ピーク領域182はまた、実質的に同じ混合比での複数の測定値(例えば、30〜40回の測定値)も表している。
【0047】
ピーク領域間にある谷又はトラフ184a、184b(全体的に184)は、試薬のみが流れる時に取った測定値に対応する。例示的な例において観測することができるように、トラフ184の各々は、ほぼ同じ比較的低い吸光率を有する。トラフを通るように引かれた破線186は、試薬だけの基準測定値を示している。図示のように、基準186は、実質的に水平であり、実験での反復測定に対して殆ど変化が発生しなかったことを示唆している。しかし、一部の状況では、1つ又はそれよりも多くのファクタにより、例えば、試薬染料の呈色、流体が質問される窓の汚れ、又は流体質問器140の性能変動などである変化がもたらされる場合がある(図1)。存在してこのような測定に従って検出された時のこのような変動により、基準トラフ測定値のシフトがもたらされる。他の全てが等しい状態で、このような変動の量を使用して、混合物が検出された期間中の吸光率測定値182を補正し、その他の方法で変動に対処し、事実上測定値を較正することができる。
【0048】
混合物が検出された各領域182内で、反復測定値の平均を取ることによって平均吸収値を各ピーク領域に関連付けられた複数の(例えば、30〜40回)測定値から計算することができる。例えば、図2の結果に対してこのようにして取得した平均吸収値を図3に示している。理論的な硫化物濃度に対して、各ピーク領域及びその関連のポンプ速度の平均吸収値を座標軸上にプロットしている。例えば、試薬及び検体溶液の正確な容積を知り、次に、試薬と検体の間に内在する化学反応の容積分析を実行することによって理論的な濃度を判断することができる。図示のようにかつプロットした平均値に適合した直線によって示すように、線形結果が得られている。本明細書に図示して説明するように、このような容積測定システム内の化学反応を達成した時に、吸光率の物理特性を検体濃度の指標として使用することができる。例えば、直線関係を利用して異なる測定吸光率での濃度を予想することができる。
【0049】
混合器をゴム管により光学系及びプランジャに接続した状態で、プラスチックチップを使用して上述の結果を取得した。このような流体分析システムを通るように流体を引けば、その結果、圧力降下が発生し、気泡の形成がもたらされるように考えられている。流体中の成分、例えば、油中のメタン又は水中の二酸化炭素により、気泡の層を発生することがあり得る。気泡のこのような層を防止するために、ポンプ154、164の作動中にもたらされる圧力降下を最小にすべきである。流量を低減し及び/又は流れ抵抗を低減することによってこのような望ましい結果を達成することができる。例えば、流れ抵抗は、経路長の短縮及び/又はチャンネルの相対的な拡幅により低減することができる。
【0050】
滴定
本明細書に説明する様々な流体分析システムの別の作動モードは、滴定である。滴定は、終点に到達するまで既知の濃度を有する試液の添加により、検体溶液の未知の濃度の判断を可能にすると一般的に理解される。終点は、色変化、沈殿、又はそうでなければ観測可能な変化のようなあらゆる検出可能な手段によって示すことができる。検体溶液の未知のサンプルの初期濃度は、終点で存在するサンプル及び試薬の量(すなわち、容積)から計算することができる。滴定は、アルカリ度、塩化物濃度、及びバリウム濃度を含め多くの検体の判断に使用される。判断した混合比と共に、内在する化学反応又は測定物理特性間の所定の関係を理解して検体の濃度を判断することができる。
【0051】
マイクロ流体滴定において、混合比を変えて終点を判断する。混合比は、段階的変化、連続的、又は段階的及び連続的の何らかの組合せで変えることができる。混合比の段階的変動は、混合比が全ての測定値で異なるいくつかの測定を行うことに比するものである。いずれかの特定の混合割り当ての測定を繰返して、例えば、関連の混合比の指標として平均化することができることが理解される。正に通常滴定のように、終点は、例えば、色変化、沈殿、又は他の検出可能な特性(例えば、pHの変化、塩分)のような終点指標の達成により判断することができる、
【0052】
このような手法に使用される容積測定段階サイズは、比較的小さいものであるべきであり、その理由は、終点は、典型的には、2つの隣接した段階の間に一般的に発生する観測物理特性の突発的かつ劇的な変化により観測されるからである。少なくとも一部の実施形態では、終点に関連付けられた混合物は、終点指標が観測される混合物比の近似値と考えられる。少なくとも一部の他の実施形態では、終点指標が観測される前後に、終点に関連付けられた混合物は、1つ又はそれよりも多くの観測の間で補間される。代替的に又は追加的に、比較的粗い段階サイズを用いて、2つの隣接した段階の間に発生する終点を最初に隔離することができる。処理は、次に、第2のより細かい段階サイズで特定された段階の間で繰返して、終点に関連付けられた混合物の位置をより正確に識別することができる。処理は、更により細かい段階サイズに対して必要に応じて繰り返すことができる。
【0053】
連続的に変化する混合比の方が、一般的に処理しにくい。流量は、両方の流体が一緒になる点(例えば、接合点172(図1))と流体質問器140間の移動時間が既知であるように、非常に正確に知っておく必要がある。
【0054】
別の滴定手法は、混合比の指標として染料濃度に依存するものである。この手法は、試薬に添加されるその染料又は終点を示す染料において比較的影響を受けないとすることができる。しかし、後者の場合には、終点に到達する前後に光学吸光度を示す染料が必要である。多くのpH感応染料は、この挙動を示している。
【0055】
図4を次に参照すると、室温及び大気圧で溶液のアルカリ度を判断する実験の結果が示されている。一例として、5mMNaOH溶液を0.0182N硫酸で滴定する。酸は、0.0952mMのpH感応染料であるブロモクレゾールグリーンを含む。染料を光学質問器によって得られた混合物の吸光率スペクトルで識別することができるように染料のモル吸収係数を実験の前に判断した。試薬及び検体溶液の混合比を変えてポンプ速度(又は容積変化)に従って追跡する時に、吸光率を酸及びアルカリに対して測定する。酸及びアルカリの1つ又はそれよりも多くの吸光率の突発的変化が約0.225の混合比で観測されるまで、混合物は、滴定中に変化させられる。混合比変化の段階的増加を図示のように継続した。例えば、このような処理は、本明細書に説明する流体分析システムのいずれかを使用して掘削坑環境内で達成することができる。
【0056】
有用なことに、酸(400nm)とアルカリ(570nm)の混合比は、染料濃度から判断可能にすることができる。このような混合比は、相対ポンプ速度から判断した混合比と比較することができる。例示的な実施例において、図5に示すように、混合比は、線形であり、ポンプ速度から判断されるような混合比と良好に一致する。図5は、光吸収率から計算した混合比対ポンプ速度から計算した染料濃度を示している。
【0057】
図6は、アルカリピークに対する酸性ピークの割り当て量(酸ピーク/アルカリピーク)として判断されたピーク比対ポンプ比から判断された混合比を示している。酸ピーク及びアルカリピークの各々は、図4の結果から判断され、次に、図5にプロットした比として公式化することができる。酸ピーク(400nm):アルカリピーク(570nm)の比が混合比の関数としてどのように変わるかを明確に見ることができる。理論的な終点は、約0.220の混合比であるように計算される。この終点は、染料濃度を混合比判断の有効な指標とすることができることを示すピーク比が増加し始める点である。
【0058】
流れ注入分析
本明細書に説明する様々な流体分析システムの別の作動モードは、「流れ注入分析」と呼ばれる。流れ注入分析において、溶液(例えば、サンプリングされた形成流体)の小さいサンプルは、流れ中の試薬に「注入」される。一部の実施形態では、試薬を流れ中のサンプルに注入することができる。図1に示すシステム100を参照すると、このような注入流れは、第1の速度(dx1/dt)で前進して第1の容積測定変化率(dV1/dt)に従って第1のリザーバ102の容積を低減する第1のプランジャ152を有することによって達成することができる。第2のプランジャ162は、それぞれの速度(dx2/dt)で引いてそれぞれの容積変化率(dV2/dt)に従って第2のリザーバ112の容積を増大させることができる。弁132が開状態で相対的な容積変化率を使用し、試薬(第1のリザーバ102から)の相対流量を制御して、上述のように累層流体(自噴ライン126から)のサンプルを選択的かつ独立してサンプリングすることができる。
【0059】
例えば、プランジャ152、162を前進させる/引いて同等の容積変化率(−dV1/dt=dV2/dt)を達成することができる。自噴ライン126内を流れる形成流体がサンプリング流体導管128を通って(すなわち、弁132が開)流体導管106に露出されると仮定して、接合部172での圧力の均衡は、流体質問器140を過ぎて試薬の実質的に純粋な流れをもたらす。自噴ライン126からのサンプリングされた形成流体を導入し、相対的な容積変化率を変えることによって試薬と結合することができる。例えば、より速い速度で短い瞬間に第2のプランジャ162を選択的に引く(dx2/dtを増大させる)ことにより、第2のリザーバ112の容積変化率(dV2/dt)を増大させる。第1及び第2のリザーバ102、112の間の容積の変化の差(例えば、第1のリザーバが崩壊するよりも迅速に拡張する第2のリザーバ)は、サンプリング流体導管128からのサンプリングされた形成流体の流れによって取り上げられる。結果は、試薬及び流体質問器140を過ぎて引かれた流体サンプルの混合物である。
【0060】
例えば、純粋な試薬から試薬及びサンプリングされた形成流体の混合物への混合物内の得られる変動により、結果として流体の検出物理特性の対応する変動が発生する。光学流体質問器(例えば、分光計)を使用して、試薬/混合物の吸光率の変動を観測することができる。サンプリングされた形成流体内の選択的検体を示す吸光率ピーク(対応する波長)を追跡する時に、吸光率の短いピーク対時間(サンプル番号)が、検出器144により検出される。このようなピークが結果として発生する吸光率の変化は、サンプリングされた流体と、光学流体質問器140の質問領域を通過する試薬との混合物を提供する。ポンプ速度の変動と、サンプリングされた流体が試薬に導入される接合部172と質問ゾーンの間の流体移動時間から生じる吸光率変化の検出との間に恐らく何らかの遅延があると考えられる。例えば、ピーク高さ(すなわち、最大吸光率)に従って又は吸光率ピーク下の領域を積分することによってピーク変動を分析することができる。
【0061】
流れ注入分析の少なくとも1つの利点は、連続基準測定が、本来、試薬及び検体の混合物が検出される期間の間の時間で発生する実質的に純粋な試薬の流れ(サンプル)により行われることである。このような基準を利用して、システム100及び試薬の1つ又はそれよりも多くの変動を検出し、少なくとも一部の例において、このような基準を利用して測定値を較正し、基準内で観測されたあらゆるオフセットを考慮することができる。更に、流れ注入分析は、比較的速くかつ混合の期間中に注入される比較的少量のような限られた量の流体サンプルを使用する。流れ注入分析により、連続混合モードで行われる場合があるような終点又は平衡に到達するのに十分なサンプル及び試薬を使用する必要性が軽減される。代替的に、結果として質問した特性(例えば、吸光率)の検出可能な変動が得られることを条件として少量のサンプルを使用することができる。少量のみを使用することによってサンプリングされた形成流体を分析することができる点は、特に、金属イオンとの硫化物の反応の場合と同様に、析出の発生が可能である状況に有用である。
【0062】
実施例では、2つのシリンジポンプ(154、164)、スネーク混合器(116)、及び光学セル(質問器140)を使用して図1に関連して説明するシステム100を模倣した。一方の注射器102にはCd−PAA−水溶液(例えば、試薬)を満たし、押し進めるように構成されたものであり、他方の注射器112は、引くように構成されたものであった。自噴ライン(126)は、硫化ナトリウム溶液(例えば、サンプリングされた形成流体)を満したエルレンマイヤーフラスコにより模倣した。ポンプ154、164は、約0.5ml/minの速度で押す/引くように構成されたものであった。引き速度を約15秒間約0.7ml/minに上げ、次に、もう一度、約0.5ml/minに落とした。高い方の引き速度により、エルレンマイヤーフラスコからの硫化物を第1のシリンジポンプ154からの試薬流において注入することができた。この構成を使用して光学セルにより測定された光学応答を記録して図7に示している。図は、注入前領域、次に、注入に対応する実質的なピーク、次に、注入後の期間中のピークの後縁に関連して一般的な流れ−注入−分析応答を示している。ピーク吸光率は、少なくとも部分的にリザーバ102、112と質問器140間の移動時間のために注入のタイミングに対して僅かな遅延後に発生する。測定吸光率は、いわゆる注入後の期間におけるいくつかの更に別の小さなピークを含む。これらのピークは、システム構成のアーチファクトから生じたものである。すなわち、小さなピークは、シリンジポンプ154、164の想定外の不均一な押し及び引きによるものであった。2つのシリンジポンプ154、164の相対的な容積変化率間の小さな変動により、少量の硫化物が、非注入期間中に試薬流に入った。想定外の硫化物により、結果として小さな検出可能な変動が発生した。この影響は、注入容積が小さいほど及び/又は短いほど一般的により深いものである。このような想定外の結果は、より正確なポンプ154、164を使用することによって回避することができる。しかし、比較的小さいピークは、例えば、閾値、例えば、注入を示す0.1よりも大きい吸光率を確立することによって区別することができることに注意すべきである。
【0063】
図8〜図13は、室温及び大気圧で取得した硫化物検出に関する測定吸光率の結果を示している。図8〜図13に示す結果を取得する際に使用した実験的な構成は、開放出口を用いて押し進められる2つの注射器を含むものであった。本明細書に説明するシステム及び技術のいずれかを使用して、類似の結果は、試薬及びサンプリングされた形成流体の混合、次に、掘削坑内の混合物の質問によって達成することができる。注入を模擬するために、両方ともシステムを通るように流体(試薬及び硫化物溶液)を押し進める2つのシリンジポンプを使用した。硫化物は、1.75%PAA水溶液中でカドミウム(例えば、2mMのCdSO4)と反応する。図8は、硫化ナトリウム溶液(Na2S)への10mMのうち100μlの反復注入の生データを示している。100μl硫化ナトリウム溶液を600μl/minの速度で注入する。各注入は、400nmで得られる混合物の吸光率の実質的な増加により観測可能である。試薬の流量は、約1ml/minである。950μmで取得した混合物の基準吸光率を図8の生データにも示されている。400nmでの被補正吸光率は、400nmでの吸光率から950nmでの吸光率を減算することによって取得することができる。図8のデータに適用されたこのような補正の結果を図9に示している。
【0064】
少なくとも一部の実施形態では、例えば、注入前の最後の10個の測定値の平均を減算してあらゆる基準オフセットを補正することによって最大吸光率を計算することができる。例示的な実施例において、6個の測定値の平均吸光率は、008の標準偏差で約0.255であり、従って、良好な反復性が示されている。
【0065】
図10は、カドミウム含有試薬(3.5mM−CdSO4、水中での1.75%のPAA溶液)内への16.7mM硫化ナトリウム溶液(Na2S)の5回の注入の結果を示している。注入時間は、15秒であり、注入容積を12μlずつ上げた(図示の5つのこのような段階に関する結果)。試薬流量は、1.0ml/mnであり、5つの増加中の注入流量は、48μl/min、96μl/min、144μl/min、192μl/min、及び240μl/minであった。
【0066】
グラフは、他の基準波長(すなわち、700nm及び950nm)での400μm吸光率応答及び限られた応答のみにおける各注入期間中の明確な増加を示している。単一の注入後の吸光率は、サンプル中の硫化物濃度を判断するのに十分であることが明らかである。同じく観測することができるように、基準チャンネルの減算後のピーク高さは、サンプルの相対容積に対して線形に変化する。線形の関係は、図11の方が良好に観測され、図11では、ピーク補正吸光率値が、サンプル及び試薬の容積比に対してプロットされている。図示のように、測定値は、直線に沿って実質的に下降している。ここでもまた、線形の関係に従って試薬サンプル混合物のピーク測定光吸収率をサンプル割合容積比に関する指標として使用することができることが明らかである。
【0067】
注入時間の関数としての吸光率の別の関係を図12に示している。この例において、400nm注入ピークの各々の下の区域は、別々に積分される。5つの注入期間の各々の得られる区域は、試薬−サンプルのサンプル割合に対してプロットされている。同様に、測定値は、図示のように直線に沿って実質的に下降している。ピークの下の表面積も、計算濃度との良好な関係を示すことが、同じく明らかである。表面積方法は、ピーク拡張に対しても受ける影響は小さい。更に、表面積は、注入点及び検出器が十分に遠く離れた方向にある場合は注入速度とは独立している。検出器(質問器)までの移動時間は、注入時間よりも長いものであるべきである。時には、ピークの正しい終点の判断は、この手法を使用しても困難である可能性がある。
【0068】
測定値の精度を改善するために、単一の測定値の代わりに、異なるサンプル容積によるいくつかの測定を行うことができる。サンプル割合と吸光率の間のこのようにして取得した線形の勾配は、硫化物濃度に直接に関連するが、より正確な結果が得られる。
【0069】
流れ注入分析において、単一の注入後の吸光率は、サンプル中の硫化物濃度を判断するのに十分である。しかし、このピーク高さは、流量及び注入時間に強く依存する。従って、流量及び注入時間(容積)の正確な制御を行うことが必要である。更に、少なくとも一部の実施形態では、測定に使用されるように較正曲線を流量及び容積条件下で取得することが望ましい。このような較正曲線において、流れ注入分析における濃度の変化に対する吸光率の感度(勾配)は、連続混合よりも小さい。連続混合においては、平衡状態に到達し、一方、流れ注入分析においては、このような平衡状態に必ずしも到達するというわけではない。図13は、最大吸光率ピーク高さが20秒に近い注入時間で得られることを示している。これらの20秒は、連続混合作動モードに説明するように、連続混合に関する最小時間の一例として見ることができる。
【0070】
2つよりも多いプランジャを有する方式
より複雑な流体処理シナリオを可能にする流体分析器の他の実施形態が考えられている。例えば、1つ又はそれよりも多くの付加的な可変容積リザーバ及び対応するプランジャの追加により、多くの新しい機会が生まれる。一例として、図14は、第1のプランジャ252aと第1のポンプ254aとを有する第1の流体リザーバ202aと、第2のプランジャ262と第2のポンプ264とを有する第2の流体リザーバ212とを含むという点において図1のシステム100と類似のシステム200の図を示している。第1及び第2のリザーバ202a、212の開放端204a、214は、同様に流体導管206aのそれぞれの端部に結合され、流体サンプルポート220は、流体導管206aに沿って連続的に配置された第1の流体リザーバ202a及び流体混合器216の間の位置で流体導管206aと流体連通している。質問器240は、流体混合器204と第2のリザーバ212の間に流体の光学特性からのデータを取得するように同様に構成される。上述の場合のように、例示的な実施形態では、流体質問器240は、窓246a、246b、光源242、及び流体の吸光率を測定するように構成された検出器244を含む。
【0071】
システム200は、第3のプランジャ252bと第3のポンプ254bとを有する第3の流体リザーバ202bにより前の実施例から区別される。第2の弁232bが、第3の流体リザーバ202bの開放端とサンプルポート220の間に設けられる。第2の弁232bを操作して、第3のリザーバ202bを含むサンプル導管228を高圧ライン226からサンプルポート220を通る形成流体の流れから選択的に隔離するか又はその流れに露出することができる。
【0072】
弁232a、232bを有する第3のプランジャ252bを使用して、自噴ライン226から選択的に形成流体をサンプリングし、次に、システム200を通るようにサンプルを押し進めることができる。例えば、第2の弁232bにより、システム200は、自噴ライン226から流体サンプルを取得することができる。例えば、第3のプランジャ252bを引いて第3のリザーバ202bの容積を拡張することができる。第1の弁232aが閉状態かつ第2の弁232bが開状態で、このような作用により、第3のリザーバ202b内で自噴ライン226からサンプルを回収し、一方、第2の弁232bは開状態、かつ第1の弁232aは閉状態である。第1の弁232aを開き、第2の弁232bを閉じた後に、第3のプランジャ252bの前進により(すなわち、リザーバ容積の崩壊)、流体サンプルが押し進められて第3のリザーバ202bからシステム200の残りを通り、流体サンプルが接合部272を通り、かつ混合器216の方向に前進する。第1及び第2のポンプ254a、264を操作して、同様に、望ましい比で第1のリザーバ202aからの試薬を混合し、かつ第2のリザーバ212内の廃棄物を回収することができる。
【0073】
少なくとも一部の実施形態では、試薬をサンプルと混合する前に流体サンプルの背景測定を行うことができる。プランジャ252a、252bが押し進む速度により、混合比が決まる。少なくとも一部の実施形態では、プランジャ252a、252b、262の1つ又はそれよりも多くは、制御方式でリザーバ202a、202b、212の容積を変えるように受動プランジャの作動が他の2つのプランジャの変形によって達成されるように受動とすることができる。ポンプ254a、254b、264がそれぞれのプランジャ252a、262、252bを駆動するエンジンを有する範囲で、少なくとも一部の実施形態では、プランジャの1つは、プランジャの1つに対してエンジンが必要とされないように、他のプランジャの1つ又はそれよりも多くの圧力変動により作動させることが可能である。このシステム構成200は、流れ注入測定が行われる時に特に有用である。
【0074】
このシステム200の少なくとも1つの利点は、形成流体のサンプルの注入の期間中でさえも、第2の弁232bを使用して完全にシステム200を自噴ライン226から隔離することができることである。これを達成することができるのは、その後の化学分析を予想して、サンプルは、得られた状態で第3のリザーバ202b内に格納することができるからである。このような機能により、マイクロ流体システムのようなシステム200の影響を受けやすい実施形態が、作動期間中に及び非作動期間中に自噴ライン力学の変動に不要に露出される可能性が取り除かれる。実際には、自噴ライン226にシステム200が露出されることは、形成流体のサンプルが自噴ライン226から得られて第3のリザーバ212内の格納される短い期間に限定することができる。
【0075】
少なくとも3つのプランジャシステムの別の変形により、例えば、次々の又は一斉の2つ又はそれよりも多くの異なる試薬の混合が考慮される。これは、2つの薬剤を次々と添加すべきである場合又は2つの薬剤が共に安定していない場合に有用とすることができる。このような手法は、サンプルポート220を通じて第3のリザーバ202b内に格納された第1の試薬を高圧自噴ライン226から得られたサンプルと混合することを可能にするサンプル導管228内の第1の接合部282を含む。作動面において、第1及び第2の弁232a、232bを開くことができ、自噴ライン228、206a及び混合器216内で3つ又はそれよりも多くのリザーバ202a、202b、212の各々と自噴ライン226の間の圧力平衡を可能にすることができる。少なくとも一部の実施形態では、第1のリザーバ202aは、第2の試薬が予め装填される。従って、第1と第3のリザーバ202a、202bからの試薬及びサンプリングされた流体の1つ又はそれよりも多くの選択的な混合物を3つの対応するポンプ254a、264、254bの選択的な作動により取得することができる。3つのリザーバ容積V1、V2、V3の変化率は、選択的な混合物をもたらす。全てのプランジャの正確な制御は、このような混合物の制御に好ましい。
【0076】
3つ又はそれよりも多くのプランジャシステムの更に別の変形において、全ての3つ又はそれよりも多くの流れは、1つの共通位置で一緒になる。ここでもまた、これは、2つの薬剤を一緒に格納することができない時に有用である。別の用途は、洗浄にポンプ254a、264、254bの1つを使用することである。試薬とのサンプルの反応により析出又は光学窓の汚れが発生する可能性がある場合に、ポンプ254a、254bの一方を使用して経路を通るように洗浄剤を押し進めることができる。所定の数の洗浄サイクルを達成することができるように十分な洗浄剤をリザーバ202a、202bの一方に予め装填することができ、洗浄液は、混合器を通って流体質問器240の位置を通過する。
【0077】
図15を次に参照すると、上述のシステムの変形が示されており(200’)、廃棄物ポンプ264は、高圧自噴ライン226への再度の直結を優先して放棄される。例示的な実施形態では、混合物は、第1と第3のポンプ254a、254bのポンプ速度に従って制御される。それぞれの内容物を混合器216内に押し進めるためにポンプ254a、254bを前進させた時に、混合物は、戻り導管296を通ってかつ高圧自噴ライン226内の廃棄物ポート290に向けて前進する。従って、廃棄物は、掘削坑環境に露出されることなく自噴ライン226に戻される。流体圧力は移行の瞬間の間を除き流体導管228、206a、296内で全体的に均衡が保たれているので、廃棄物ポート290を通じた自噴ライン圧力に露出されても問題にはならない。
【0078】
別の変形(図示せず)において、システム200’は、更に、例えば、流れ注入モード作動に対してより広範囲な試験に適合するようになっている。変形システムは、2つのプッシングプランジャ252a及び252bと、混合器216と、流体質問器240とを含み、また、回収リザーバがなく、任意的に第1及び第2の弁232a、232bがなくても使用することができる。第1のリザーバ202aは、試薬で満たされ、一方、第3のリザーバ232bは、サンプルで満たされる。充填前のリザーバ232bの使用により、通常作動中の第1の段階、すなわち、第1の弁232aが閉状態かつ第2の弁232bが開状態でリザーバ232bを充填する段階、次に、第2の弁232bを閉じ、第1の弁232aを開く段階が排除される。
【0079】
圧力補償
休止時に本明細書に説明するプランジャ(すなわち、ピストン)に掛かる力は、プランジャの上の圧力差及びプランジャの直径に依存する。作動中に、流体の密度及びプランジャが移動中の速度に依存する付加的な力は、能動的である。非常に小径のプランジャ(例えば、1mm又はそれ未満)は、プランジャを駆動する通常のポンプ又はエンジンが非常に実現可能であるように、必要とする力は、高圧下でさえも比較的小さい。しかし、多量の試薬が入るように構成されたリザーバに対して、プランジャの直径、従って、プランジャ自体は、より大きくなければならない。力が強いほどプランジャを駆動するのに強いエンジンが必要になることになる。休止中のプランジャに掛かる力は、直径の二乗(すなわち、プランジャの表面積)に比例する。少なくとも一部の実施形態では、比較的大きいプランジャに掛かるこのような過剰な力は、プランジャの上の圧力差を低下させることによって低減することができる。
【0080】
図16は、プランジャ352の上の圧力差が実質的にゼロであるプランジャ352を示している。プランジャ352は、可変容積リザーバ302の一部を形成する。リザーバ302は、プランジャ352背後の密封容積に開く自噴ライン326への開口部305を有する。開口部305は、第1の圧力均衡ポート305と呼ばれる。第1の圧力均衡ポート305は、第2の圧力均衡ポート307を通る高圧自噴ライン326と流体連通している。第2の流路309は、第1及び第2の圧力均衡ポート305、307間に流体連通している。プランジャ352の前方表面上に配置された流体リザーバ302のその部分は、導管306及びサンプルポート320を通じて自噴ライン圧力にも露出される。従って、実質的に同等の圧力がプランジャ352の両側に掛かり、プランジャ352に作用する得られる力は、対向するものであり、実際上互いに取り消される。
【0081】
プランジャ352の後向き面と高圧自噴ライン326とのこのような開放接続の結果として、プランジャ352の上の圧力降下は、比較的小さいポンプ(エンジン)を使用してプランジャ352を駆動することができるように最小にされる。自噴ライン326とプランジャ352の間の第2の流体導管309が流体リザーバ302の容積よりも大きい場合に、第2の流体導管309は、プランジャ352の汚れを防止する油圧流体で満たすことができる。更に、輸送中又は井戸内に機器を降ろしている時の突然の衝撃の結果としてのプランジャの損傷を防止する弁232を追加することができる。他の圧力補償技術も実現可能である。このような圧力補償技術は、本明細書に説明する実施形態のいずれのプランジャの1つ又はそれよりも多くにも適用することができる。
【0082】
図17は、坑内条件下でサンプルを試薬と混合するための処理400の実施形態を示している。処理400は、反応剤が予め装填され、かつ流体導管に露出された開放端を有する第1のリザーバの容積を変える段階を含む。410では、第2のリザーバの容積も変え、第2のリザーバは、同様に流体導管に露出された開放端を有する。415では、第1及び第2のリザーバの開放端間の流体導管の領域を地下層から引かれた高圧流体の高圧流に露出する。420では、第1及び第2のリザーバの容積の相対変動に応答して流体サンプルが高圧流体の流れから抽出される。
【0083】
図18は、坑内条件下でサンプルを試薬と混合する別の処理450の実施形態を示している。処理は、455で高温度及び高圧力を有する掘削坑内に反応剤を供給する段階を含む。掘削坑内の温度及び圧力の各々は、掘削坑表面での対応する温度及び圧力より実質的に大きい。460では、容積比に従って掘削坑内で反応剤の少なくとも一部分を形成流体のサンプルと混合する。得られる混合物は、容積比に応答する物理特性を有する。465では、混合物の物理特性を判断する。少なくとも一部の実施形態では、判断された物理特性は、混合物の容積割り当て量を示している。
【0084】
「生の流体」という用語は、単一相のままである加圧されたリザーバ流体サンプルを指すために一般的に使用される。
【0085】
以上の説明を読んだ後に本発明の多くの変形及び修正が間違いなく当業者に明らかになるであろうが、例示として図示及び説明した特定的な実施形態は、いかなる点においても制限的と見なすことを意図していないことは理解されるものとする。更に、本発明を特定の好ましい実施形態を参照して説明したが、本発明の精神及び範囲の変形が当業者に想起されるであろう。上述の実施例は、単に説明を目的として示したものであり、いかなる点においても本発明の制限と解釈すべきではないことに注意されたい。
【0086】
本発明を例示的な実施形態を参照して説明したが、本明細書で使用した文言は、限定文言よりもむしろ説明及び例示の文言であることが理解される。その態様における本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、現在説明かつ修正されたように、特許請求の範囲内で変更を行うことができる。
【0087】
本発明を特定の手段、材料、及び実施形態を参照して本明細書に説明したが、本発明は、本明細書で開示する詳細に限定されることを意図したものではない。むしろ、本発明は、特許請求の範囲にあるように全ての機能的に同等な構造、方法、及び用途まで拡張される。
【符号の説明】
【0088】
100 坑内条件下で流体サンプルを試薬と混合するシステム
102 第1の流体リザーバ
104 開放端
106 流体導管
112 第2の流体リザーバ
116 流体混合器
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般的に流体処理に関する。より具体的には、本出願は、掘削坑環境内の流体サンプルの化学分析に関する。
【背景技術】
【0002】
化学分析は、炭化水素鉱床の評価における極めて重要な段階である。流体/気体組成は、リザーバの経済価値に大きな影響を与える。更に、流体/気体組成によって坑井完了及び生成戦略が決まる。従来、サンプルは、現地で取られ、研究所に送られ、多くの場合にリザーバ条件に再構成され、その後に分析される。
【0003】
多くの成分は、サンプリングの結果として変化するので坑内で分析すべきである。例えば、水サンプルのpHは、二酸化炭素(CO2)又は硫化水素(H2S)のガス抜けのために変化する可能性がある。気体又は油における硫化水素は、金属部分又はサンプル瓶により除去される可能性があり、水中のバリウムは、サンプルが取られる前に硫酸バリウムとし沈殿することさえある。
【0004】
分光技術は、全く準備なしで油/気体中の一部の成分を判断することができる。これを示す例は、テキサス州シュガーランド所在の「Schlumberger Technology Corporation」から市販の工具一式である「モジュール式累層動力学試験器(MDT)」の「組成流体分析器(CFA)」モジュールのような分析器によって行われるような組成分析である。しかし、分光技術により直接に判断することができる成分の数には限界がある。流体の1つの成分を判断するために溶液に着色剤(染料)を添加することは、成功するpHの判断方法(例えば、生流体分析器、MDTのLFA−pHモジュールを使用)であることが証明されている。
【0005】
ある一定の限界内で、染料濃度は、一般的にpH測定の場合には殆ど又は全く重要ではない。しかし、pH測定は、例外であり、殆どの他の測定では、試薬とサンプルの公知の混合比率が必要である。一例は、金属イオンとの比色反応により油、気体、又は水中の硫化水素濃度を判断する新開発の方法である。
【0006】
滴定は、溶液中のターゲット成分の濃度を判断する一般的な方法である。滴定において、突然のイベント(例えば、色変化、沈殿、又は他の観測可能な変化)が起こるまで、1つの試薬が、ターゲット成分のサンプル溶液にゆっくりと添加される(又はその逆)。別の成分(ターゲット)の溶液に1つの成分(試薬)をゆっくりと添加することは、2つの成分の混合比がゆっくりと変動することに等しい。しかし、ターゲット成分の濃度を判断するためには、最終混合比が既知でなければならない。一例は、溶液(サンプル)のアルカリ度を判断することに関連している。サンプルは、pH感応染料の存在下で、滴定サンプルのpHに反応してpH感応染料のために色変化が起こるまで酸でゆっくりと滴定される。
【0007】
化学分析の一般的な手法は、「流れ注入分析(FIA)」の使用である。FIAは、特に化学センサがあまり安定していない場合があり、少量のみが利用可能であり、又は反応生成物を原位置で測定すべきである時の状況に役に立つ技術である。FIA技術を使用して、基準反応を有する試薬の注入に対する混合物の反応を比較することができる。FIA測定は、検出器のドリフト又は比色反応の場合には試薬の背景色調変化に対して補償することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特に炭化水素鉱床の評価における化学分析は、「環境にやさしく」ない場合がある益々多くの薬剤を使用する可能性が非常に高いことになる。少なくとも1つのこのような例は、金属イオンとの反応が適切な感知技術として示唆される油及び気体中の硫化水素の存在を検出するためのサンプルの分析に関連する。このような状況に使用される適切な金属は、発がん性であることが公知のカドミウムを含む可能性がある。すなわち、このような化学反応の廃棄物の回収は、善良な市民の例として望ましいであろう。更に、一部の環境的に影響を受けやすい地域(例えば、アラスカ)では、油井の試験及び生成中に薬剤が後に残らないことが要求される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
坑内流体分析は、リザーバ特性付けにおいて重要な役割を果たす。この分野の開発を続けるために、坑内化学反応を含むより複雑な化学分析を行わなければならない。ミニ及びマイクロ流体力学のようなこのような坑内分析に向けて適応されたデバイス及び処理は、この開発において重要な役割を果たすことができる。本明細書に説明するのは、最初に表面に流体を移送する必要がなくリザーバ流体のサンプルを特徴付けるのに使用することができる可変容積リザーバ(例えば、プランジャ)ベースのシステムである。リザーバは、例えば、反応剤を格納し、混合比を制御し、かつ使用済み薬剤の格納することのうちの1つ又はそれよりも多くに使用することができる。システムは、流れ注入に対して及び滴定に対して連続モードで使用することができる。
【0010】
一態様では、本明細書に説明する少なくとも1つの実施形態は、反応剤で事前充填された第1の可変容積リザーバを含む坑内流体処理デバイスを提供する。第1のリザーバは、流体導管と流体連通した開放端を有する。デバイスはまた、同じく流体導管と流体連通した開放端を有する第2の可変容積リザーバを含む。一部の実施形態では、第1及び第2の可変容積リザーバの1つ又はそれよりも多くは、シリンジポンプを含む。流体混合器は、第1及び第2の可変容積リザーバの開放端の間の位置で流体導管に沿って直列に配置される。流体混合器は、受動混合器及び能動混合器のうちの1つ又はそれよりも多くを含むことができる。デバイスは、高圧自噴ラインから地下層から引かれた流体のサンプルを受け取るように構成されたサンプルポートを更に含む。サンプルポートは、第1の可変容積リザーバの開放端と流体混合器の間の位置で流体導管と流体連通している。反応剤及びサンプリングされた流体の選択可能な混合物は、第1及び第2の可変容積リザーバの容積を変えることによって取得可能である。
【0011】
一部の実施形態では、デバイスは、サンプルポートと流体導管の間に配置された遮断弁及びサンプルポートと流体連通したフィルタのうちの1つ又はそれよりも多くを含む。窓付き流体導管は、混合器と第2の可変容積リザーバの開放端との間で流体導管と直列に流体連通させて設けることができる。照明源及び検出器は、照明源−検出器組合せが反応剤及びサンプリングされた流体の混合物の光学特性の観測を可能にするように窓付き流体導管の視野に配置することができる。
【0012】
一部の実施形態では、デバイスは、サンプルポートと流体導管の間で流体連通した開放端を有する第3の可変容積リザーバを含む。第1の遮断弁は、第3の可変容積リザーバの開放端とサンプルポートの間に配置される。第1の遮断弁は、第3の可変容積リザーバと流体導管の間の流体連通を可能にしながら、第3の可変容積リザーバをサンプルポートから選択的に隔離するようになっている。第2の遮断弁も設けられ、第3の可変容積リザーバの開放端と流体導管の間に配置される。第2の遮断弁は、第3の可変容積リザーバとサンプルポートの間の流体連通を可能にしながら、第3の可変容積リザーバを流体導管から選択的に隔離するようになっている。
【0013】
少なくとも一部の実施形態では、第1、第2、及び第3の可変容積リザーバのうちの1つ又はそれよりも多くは、自噴ラインと流体連通した圧力平衡ポートを含むことができる。このような圧力平衡ポートは、自噴ライン圧力に露出されたその開放端を有するそれぞれの可変容積リザーバの容積変動を自噴ライン圧力に打ち勝つ必要なく可能にする。
【0014】
別の態様では、本明細書に説明する少なくとも1つの実施形態は、掘削坑内の流体サンプルを分析するための処理を提供する。処理は、反応剤が予め装填されて流体導管に露出された開放端を有する第1のリザーバの容積を変える段階を含む。第2のリザーバの容積も変えられ、第2のリザーバは、同様に流体導管に露出された開放端を有する。第1及び第2のリザーバの開放端の間の流体導管の領域は、地下層から引かれた高圧流体の高圧流に露出される。流体サンプルは、第1及び第2のリザーバの容積の相対変動に応答して高圧流体の流れから抽出される。
【0015】
少なくとも一部の実施形態では、処理は、第1のリザーバの容積を最初に低減する段階と、所定の時間にわたって第2のリザーバの容積を同等に増大させ、それによって試薬の少なくとも一部分で流体導管を事前充填する段階を含む。反応剤の少なくとも一部分と抽出流体サンプルの少なくとも一部分を選択的に互いに混合する行為は、第1及び第2のリザーバの容積の相対変動に応答することができる。選択的に混合する段階は、反応剤の少なくとも一部分及び抽出流体サンプルの少なくとも一部分の組合せを攪拌する段階を含むことができる。処理は、更に、試薬−サンプル混合物の物理特性を検出する段階、例えば、試薬−サンプル混合物の光学特性、電気特性、及び化学特性のうちの少なくとも1つを検出する段階を含むことができる。
【0016】
少なくとも一部の実施形態では、処理は、更に、試薬−サンプル混合物の廃棄物部分を回収し、それによって局所環境への露出を回避する段階を含む。試薬−サンプル混合物を回収する段階は、例えば、試薬−サンプル混合物の少なくとも一部分を高圧流体の流れに注入する段階を含むことができる。
【0017】
更に別の態様では、本明細書に説明する少なくとも1つの実施形態は、掘削坑内の流体サンプルを分析するための処理を提供する。処理は、掘削坑内に反応剤を供給する段階を含む。掘削坑内の温度及び圧力の各々は、掘削坑表面での対応する温度及び圧力よりも実質的に大きい。反応剤の少なくとも一部分は、容積比に従って掘削坑内で累層流体のサンプルと混合される。得られる混合物は、容積比に応答する物理特性を有する。混合物の物理特性が判断される。少なくとも一部の実施形態では、判断された物理特性は、混合物の容積割り当て量を示している。
【0018】
反応剤が既知の濃度で溶液内に供給される少なくとも一部の実施形態では、処理は、更に、反応剤溶液の増加部分を累層流体のサンプルと繰返し混合する段階を含む。サンプリングされた累層流体は、検体の未知の濃度を有する。得られる混合物の物理特性の実質的な変化が検出される。累層流体のサンプル内に存在する検体の濃度は、容積比及び得られる混合物の物理特性の実質的な変化が観測された検出物理特性のうちの少なくとも一方に応答して判断することができる。
【0019】
同様の参照番号が図面のいくつかの図を通して類似の部分を表す本発明の例示的な実施形態の非限定的な例による上述の複数の図面を参照して、本発明を以下の詳細説明で更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】坑内条件の下でサンプルを試薬と混合するためのデバイスの実施形態のブロック図である。
【図2】様々な混合比で得られた例示的な混合物に対して測定された光吸収率を示す図である。
【図3】図2の光吸収率の平均対理論的混合物濃度を示す図である。
【図4】混合比の関数としてブロモクレゾールグリーンの例示的な混合物に対するアルカリピーク及び酸ピークでの光吸収率を示す図である。
【図5】染料濃度から判断した混合割り当て量対ポンプ速度から判断した混合比を示す図である。
【図6】染料ベースの混合比の関数としての例示的な混合物のピーク比(酸性ピーク/アルカリピーク)を示す図である。
【図7】別のプランジャを押すよりも高い速度でプランジャを引くことによって注入後に得られた測定吸光率を示す図である。
【図8】硫化ナトリウム溶液の反復注入後に例示的な混合物に関して得られた生吸収データを示す図である。
【図9】カドミウム含有試薬内への硫化ナトリウム溶液の5回の注入に従って取得した例示的な混合物に関する補正後の吸収応答を示す図である。
【図10】カドミウム含有試薬内への異なる容積の硫化ナトリウム溶液の反復注入後に例示的な混合物に関して取得した測定吸収応答を示す図である。
【図11】サンプルの相対容積に従って基準チャンネルを減算した後に取得したピーク吸収高さを示す図である。
【図12】例示的な混合物の計算濃度に従って吸収ピーク下と判断された区域を示す図である。
【図13】例示的な混合物に関する吸収ピーク高さ対注入時間を示す図である。
【図14】坑内条件下でサンプルを試薬と混合するための3プランジャデバイスの実施形態のブロック図である。
【図15】坑内条件下でサンプルを試薬と混合するためのデバイスの別の実施形態のブロック図である。
【図16】圧力平衡形ポンプを含む坑内条件下でサンプルを試薬と混合するためのデバイスの実施形態のブロック図である。
【図17】坑内条件下でサンプルを試薬と混合するための処理の実施形態を示す図である。
【図18】坑内条件下でサンプルを試薬と混合するための別の処理の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好ましい実施形態の以下の詳細説明において、本明細書の一部を形成し、かつ本発明を実施することができる特定的な実施形態を例示的に示す添付図面を参照する。他の実施形態を利用することができ、かつ本発明の範囲から逸脱することなく構造上の変更を行うことができることは理解されるものとする。
【0022】
本明細書に示す詳細は、一例としてかつ本発明の実施形態を例示的に説明することを目的とするにすぎず、本発明の原理及び概念上の特徴の最も有用で容易に理解される説明であると思われるものを示すために示している。この点に関して、本発明の基本的な理解に必要である以上に本発明の詳細を示そうとはしておらず、図面と共に行う説明は、本発明のいくつかの形態を実際に具現化することができる方法を当業者に明らかにするものである。更に、様々な図面内の同様の参照番号及び名称は、同様の要素を示している。
【0023】
坑内条件下で検体溶液を含有する流体サンプルを試薬と混合するためのデバイス及び処理を示す。例えば、試薬による検体溶液のこのような混合を達成し、例えば、流体サンプル内の検体の存在及び濃度のうちの1つ又はそれよりも多くを検出することができる。少なくとも一部の実施形態では、試薬及び検体溶液の混合比は、望ましい精度で確立することができる。このような手法を使用して、例えば、(i)少なくとも2つの流体を簡単に混合して化学検体に対して混合物からデータを取得するか、(ii)滴定を達成するか、又は(iii)流れ注入分析を行うことができる。少なくとも一部の実施形態では、このような手法は、坑内条件下のシステムの自己較正の可能性を含む。
【0024】
掘削坑内の坑内位置での温度及び圧力は、掘削坑の表面での温度及び圧力と異なることを認めるべきである。累層流体が抽出される場合がある掘削坑深さに対して、このような温度及び圧力は、表面でよりも実質的に大きい可能性がある。例えば、坑内温度は、100℃、150℃、又は200℃まで又はそれよりも高い範囲である可能性がある。同様に、坑内圧力は、500psi、1,000psi、10,000psi、更には30,000psi、及びそれよりも高い範囲である可能性がある。地下層から得られた流体サンプルを評価する時に、流体が地下層に存在する状態に最も密接に似ている状態でサンプリングされた流体にこのような評価を行うことが望ましいことが多い。少なくとも1つのこのような手法は、流体がサンプリングされた位置にできるだけ接近した地下の位置(すなわち、坑内)でサンプリングされた流体を評価する段階を含む。最低限でも、サンプリングされた流体の物質の状態(すなわち、固体、液体、気体)は、累層内(例えば、炭化水素鉱床内)の流体の物質の状態に最も密接に似ていると考えられる。
【0025】
一例として、坑内条件下で流体サンプルを試薬と混合するシステム100の実施形態を図1に示している。システム100は、流体導管106に流体連通した開放端104を有する第1の流体リザーバ102から構成される。流体導管106に流体連通した開放端114を有する第2の流体リザーバ112も設けられる。流体混合器116は、第1及び第2の可変容積リザーバ102、112の開放端の間の位置で流体導管に沿って直列に配置される。システム100は、高圧自噴ライン126から流体のサンプルを受け取るように構成されたサンプルポート120も含む。少なくとも一部の実施形態では、高圧自噴ライン126内に流れているのはm炭化水素鉱床のような地下層から引かれた流体である。従って、サンプリングされた流体は、液体、気体、及び懸濁固形分のうちの1つ又はそれよりも多くの組合せを含有する場合がある。
【0026】
サンプルポート120も、第1の可変容積リザーバの開放端104と流体混合器116の間の位置で流体導管106と流体連通している。サンプリング流体導管128は、サンプルポート120と流体導管106の間に配置され、その上の流体の流れを可能にする。少なくとも一部の実施形態では、サンプリング流体導管128は、流れ抵抗及び死容積を低減するためにできるだけ短いく構成される。1つ又はそれよりも多くのフィルタ130を設けて、自噴ライン126からサンプルポート120を通ってかつ流体導管106に向けて流れる流体を濾過することができる。このようなフィルタ130を使用して、除去しなければシステムを塞ぐか又は測定値のオフセットの原因になりかねない流体サンプルからの粒子を除去することができる。
【0027】
少なくとも一部の実施形態では、弁132は、サンプルポート120と流体導管106の間に設けられる。例えば、遮断弁132は、サンプリング流体導管128に沿って位置する。遮断弁132は、サンプルポート120と流体導管106の間の流体の流れを選択的に可能にするか又はそうでなければ遮断するように構成される。そのように位置決めされると、遮断弁132は、第1の流体リザーバ102、第2の流体リザーバ112、及び流体混合器116の間の流体の流れを妨げない。弁132は、任意的であるが、含めて、例えば、移送中に及びシステム100を掘削坑内に設けている間に試薬(例えば、第1及び第2のリザーバ102、112の1つ又はそれよりも多くに格納)の漏れを防止することができる。弁132の閉鎖状態を利用して、作業期間中に自噴ライン126内で遭遇する可能性がある突然の圧力降下及び圧力スパイクにシステム100の残りが露出されるのを防止することができる。
【0028】
システム100は、流体の物理特性を判断するように構成された流体質問器140を用いて構成することができる。例示的な実施形態では、流体質問器140は、流体混合器116と第2の流体リザーバ112との間の位置で流体に質問するように位置決めされる。1つのこのような流体質問器140は、吸光率とも呼ばれる光学密度のような流体の光学特性を判断するように構成される。吸光率は、物体(すなわち、流体)に入射する放射束に対する物体により吸収される放射束の比である。吸収分光法は、サンプルとの相互作用ために周波数又は波長の関数として放射線の吸収を測定する分光技術を指す。例えば、吸収分光法を分析化学ツールとして使用して、サンプルにおいて特定の物質の存在を判断し、多くの場合に、存在する物質の量を定量化することができる。
【0029】
例示的な質問器140は、光源142及び光検出器144(分光用途のための波長依存検出器)を含む。質問される流体の少なくとも一部は、光源142と光検出器144の間を通過する。光源142により行われた照明の少なくとも一部は、検出器144の方向に誘導されて流体を通過する。少なくとも一部の実施形態では、窓146a、146bは、その中で流れる流体のこのような光学的な質問を可能にするように流体導管106に沿って適切に位置決めされる。掘削坑内の坑内使用のために構成されたこのような工具の大規模な例は、テキサス州シュガーランド所在のSchlumbergerによって提供される商業サービスに利用可能である工具一式である「モジュール式累層力学試験器(MDT)」の「生流体分析器(LFA)」モジュール又は「組成流体分析器(CFA)」モジュールを含む。
【0030】
少なくとも一部の実施形態では、光学質問器140は、他の流体質問器により置換されるか、又はそうでなければ補足することができることが理解される。例えば、このような質問器の例には、例えば流体に電気的に質問して電気的応答(例えば、塩分の指標としての導電率)を判断する電気化学検出器、例えば流体によってもたらされた周波数シフトを判断する圧電質問器、及び例えば流体の磁化率の変化のような磁気特性を判断する磁気質問器がある。
【0031】
作動面では、第1の流体リザーバ102は、例えば、反応剤(例えば、試薬)で事前充填することができる。試薬及び自噴ライン126から得られた検体溶液の流体サンプルの混合物が1つ又はそれよりも多くの流体質問器140により検出することができる流体の物理特性の検出可能な変化を生成することになるように、分析されている特定の検体溶液に従って試薬を選択することができる。
【0032】
例示的な実施形態では、第1及び第2の流体リザーバ102、112の各々は、可変容積リザーバである。例えば、流体リザーバ102、112の各々は、それぞれの再位置決め可能なプランジャ152、162を含むことができる。リザーバ102、112のいずれかの内部のプランジャ152、162を位置決めし直すことにより、対応してそれぞれのリザーバ102、112の容積V1、V2が変化する。従って、例示的な実施形態の2つのプランジャ152、162を使用して、流体導管106内を流れる1つ又はそれよりも多くの流体を操作することができる。例えば、第1のポンプ154を使用して、例えば、第1のプランジャ152を位置決めし直す、例えば、それを開放端104に向けて前進させて、リザーバ102から流体導管106に実質的に試薬を押し進めることができる。同様に、第2のポンプ164を使用して、第2のプランジャ162を開放端114から押し離し、流体導管106から第2のリザーバl12に流体を実質的に引き込むことができる。同様に、第1及び第2のプランジャ152、162の再位置決めの様々な組合せを用いて、流体導管106内、特に流体質問器140に露出された流体導管106の領域内の試薬及びリザーバ流体の比を調節することができる。
【0033】
第2のプランジャ162を使用して、自噴ライン126からリザーバ流体の1つ又はそれよりも多くを第1のリザーバ102から流体導管106を通って試薬から引くことができる。試薬を収容する第1のリザーバ102の第1のプランジャ152を前進させると、リザーバ102から出て流体導管106を通るように試薬を押し進めることができる。第2のプランジャ162のみが移動中である状況では、弁132が開いていると仮定して、自噴ライン126からサンプルポート120を通って流体導管106内にリザーバ流体を選択的に引くことができる。代替的に、2つのリザーバ102、112の間の容積の同等の変化を達成するために、第2のプランジャ162を使用して同時に第2のリザーバ112に流体を引き込みながら第1のプランジャ152を使用して第1のリザーバ102から試薬を押し進めることにより、流体導管106にサンプル流体を引き込むことなく試薬を流体チャンネルに選択的に引き込む流体の流れの制御を達成することができる。この結果は、弁132が存在した場合にたとえ開いているとしても達成することができる。
【0034】
より具体的には、第1及び第2のプランジャ152及び162が、逆の意味で(すなわち、(dV1/dt)=(−dV2/dt))各それぞれのリザーバ102、112の容積の同等の変化率をもたらすように移動する時に、サンプリング流体導管128からの流体は、弁132が開いているにも関わらず流体導管に入ることが防止される。従って、流体導管106が自噴ライン126からの流体の加圧流に露出されたにも関わらず、流体導管106を通じて試薬だけを引くことができる。第1のプランジャ152(すなわち、試薬プランジャ)の再位置決めによって達成される第1のリザーバの容積の変化率が、第2のプランジャ162の場合よりも僅かにより低いことは(すなわち、|dV1/dt|<|−dV2/dt|)、サンプリング流体導管128から流体導管106内へのリザーバ流体の制御された流れをもたらす。2つのリザーバ102、112の容積の相対的な変化率を制御することにより、既知の混合比を流体導管106内で取得することができる。この混合比は、例えば、センサの作動範囲を拡張するために第1のリザーバ102の容積の変化率を変えることによって変えることができる。
【0035】
少なくとも一部の実施形態では、少なくとも第1及び第2のポンプ154、164の作動を制御するためにコントローラ170が設けられる。シリンジポンプのようなポンプは、プランジャ(x)の位置を利用して関連のリザーバの容積(V)を判断することができるように較正することができる。同様に、プランジャ位置変化率(dx/dt)を利用してリザーバ容積の変化率(dV/dt)を判断することができる。このようなプロセッサ170は、それぞれのリザーバ102、112の容積の変化を引き起こすためにポンプ154、164の1つ又はそれよりも多くと電気通信することができる。代替的に又は追加的に、コントローラ170は、流体のあらゆる質問された物理特性に関してステータスを受信するために流体質問器140と電気通信することができる。このようなプロセッサは、例えば、1組の予めプログラムされた命令を実行する1つ又はそれよりも多くのマイクロプロセッサを含むことができる。このような予めプログラムされた命令は、1つ又はそれよりも多くの分析プロトコルを実行するために準備することができる。少なくとも一部の実施形態では、コントローラ170を使用して弁132の作動を制御することができるように考えられている。少なくとも一部の実施形態では、コントローラ170は、持続時間及びシーケンスとしてのタイミング及び流体が移動する速度のうちの1つ又はそれよりも多くを制御するのに使用可能なタイミング基準を含む。
【0036】
少なくとも一部の実施形態では、システム100(例えば、コントローラ170)は、分析結果を記録するか又はそうでなければ文書化するように構成されたユーザインタフェース及び/又はデータレコーダを含む。コントローラ、ユーザインタフェース、及びデータレコーダのうちの1つ又はそれよりも多くは、例えば、坑内の表面位置に位置付けられ、遠隔測定を通じて又は分散型構成でシステム100の様々な要素に結合することができ、一部の要素は坑内に位置し、他のものは、1つ又はそれよりも多くの表面位置に位置付けられる。表面構成要素の一部は、掘削坑の直近に位置することができ、一方、他の表面構成要素は、遠隔に位置することができることも考えられている。あらゆるこのような遠隔表面構成要素間の通信は、電気通信のようなあらゆる適切な手段で及び「インターネット」を通じて達成することができる。
【0037】
サンプリングされたリザーバ流体及び試薬の各々が別々に流れることが許容される場合、システム100の遠隔(例えば、坑内)較正を達成することができる。このような方法によるシステム100の較正により、リザーバ流体又は試薬による光吸収のような質問された物理特性のいずれも補正が可能である。例えば、較正中に、質問器140により質問されるのに十分なほど流体導管106を通るように所定の比の流体(例えば、純粋な試薬)を前進させることができる。流体質問器140により判断された物理特性は、例えば、コントローラ170により、類似の状況下で予想された又はそうでなければ予め測定された結果と比較することができる。流体質問器140によって得られた測定値と予想結果のあらゆる変動を使用して、システム100及び/又はシステム作動中に使用される流体の1つ又はそれよりも多くの要素を特徴付けることができる。例えば、較正を利用して、1つよりも多い測定を行う場合に光学窓146a、146bの汚れを検出及び/又は補正することができる。代替的に又は追加的に、較正を利用して、光源142の経年変化のような短期及び長期の効果を検出することができる。較正係数は、基準からオフセットまでの変動に基づいて判断するか、又はそうでなければ測定結果を較正することができる。
【0038】
流体サンプル(検体溶液)及び試薬の容積混合比が高度な特異性で既知である時に、例えば、検体溶液の存在及び/又は濃度を識別する際の精度増加が予想される。非常に正確なプランジャの動きによって得られるような例えば非常に正確な体積変化率を用いることによってこのような結果を達成することができる。別の方法は、試薬に鈍感な着色剤の追加を含む。着色剤は、検体染料組合せと異なる波長で吸収するように選択される。このような着色剤の良好な例は、市販の食品着色料である。
【0039】
流体混合器116は、導管106を通る流体の流れと流体接触するように設けられたニシン骨構造のような受動混合器とすることができる。ニシン骨又は類似の構造により、例えば、流れが2つ又はそれよりも多くの成分を含む時に、結果として混合作用が得られる流れ中の流体の乱流が発生する。あらゆるタイプの受動混合、例えば、蛇行線を用いることができることが理解される。代替的に又は追加的に、流体混合器116は、圧電デバイス、機械式撹拌器、又は両方の何らかの組合せのような能動混合器を含むことができる。
【0040】
第1のリザーバ102は、サンプリングされた流体の意図する分析を行うのに少なくとも十分な容積の試薬を収容するように寸法決めされる。同様に、第2のリザーバ112は、意図する分析に使用される少なくともその容積のサンプリングされた流体及び試薬を収容するのに十分に寸法決めされる。少なくとも一部の実施形態では、リザーバ102、112の1つ又はそれよりも多く及びプランジャ152、162の利用可能な変位は、1つよりも多い測定を行うことができるように十分に大きく選択される。
【0041】
サンプリングされた流体及び試薬の混合物を含む試薬への局所環境の露出を回避することが一般的に望ましい。例示的な実施形態では、第1及び第2のリザーバ102、112は、サンプルポート120を通じて以外、周囲の環境から隔離される。プランジャ142、162の1つ又はそれよりも多く及び存在する時に遮断弁132の作動は、リザーバ102、112、流体導管106、及び流体混合器116のいずれかからサンプルポート120を通って自噴ライン126の方向への流体の流れを防止するように制御することができる。更に、第2のリザーバ112及びプランジャ162は、十分にシステム100により処理した全ての流体を回収し、従って、分析中に使用されるあらゆる薬剤への環境の露出を防止するのに十分なように寸法決めすることができる。少なくとも一部の実施形態では、第2のプランジャ162は、同時に廃棄物を回収しながら、混合器116を通って流体質問器140の質問領域内に試薬及びサンプリングされた流体の1つ又はそれよりも多くを引き込むように作動される。
【0042】
システム100の1つ又はそれよりも多くの構成要素は、一般的にマイクロ流体、ミニ流体、又はマイクロ流体及びミニ流体の組合せであると理解される技術及び構成要素に従って実施することができる。マイクロ流体システムは、一般的に数百マイクロメートル又は一部の場合にそれ未満の程度の流体チャンネルから構成されると理解される。マイクロ流体システムにおいて、関連の容積は、比較的小さく、比較的小さいモータを用いてプランジャ152、162及びポンプ154、164の小型化が可能になる。マイクロ流体システム又はシステム構成要素の短所は、汚れにより影響を受けやすく、かつ比較的小さい流体導管内の流れ抵抗及び粘性が混合比に影響を与える可能性があるという点である。「ミニ流体」への言及は、本明細書で使用する時に約0.5ミリメートルから約2ミリメートルまでの直径を有する流体導管又は流体チャンネルを指す。このようなミニ流体システムは、比較的より大きなモータを有するより大きいプランジャ152、162及びポンプ154、164を一般的に必要とすることになる。しかし、利点は、目詰まり及び流れ抵抗にさほど影響を受けないことであろう。
【0043】
連続混合
図1に示すシステム100のような様々な流体分析システムのいずれも、様々な作動モードで作動させることができる。例えば、第1の作動モードは、連続混合と本明細書で呼ぶものである。連続混合モードに関する連続とは、高圧自噴ライン126からサンプリングされた累層流体及び試薬が、システム100が安定した信号を流体質問器140から取得することができる平衡状態に到達することを可能にするのに十分な持続時間にわたってシステム100内で流れていることを示唆している。例えば、流量、容積、及び死空間のような特徴に基づいて、平衡に到達するのに必要とされる時間は、数分まで又はそれよりも多く掛かる場合がある。
【0044】
連続混合モードは、掘削坑環境(すなわち、坑内)において流体サンプルの化学分析中に様々な方法で使用することができる。例えば、連続混合をシステム100の坑内較正に用いることができる。坑内較正を達成して、試薬の呈色又は光源及び検出器の経年変化、又は基準の変化を引き起こすことがあり得る他のいずれかの影響に関して検査することができる。自噴ライン内の流体の呈色でさえも、サンプリングされた累層流体のみを用いた第2の測定値を使用することによって検出することができる。このような較正測定値に従って混合比を調節し、流体質問結果を最適化し、それによって測定範囲を拡大することができる。
【0045】
本明細書に説明する混合及び質問技術に従って流体サンプル内の硫化物のような検体の濃度を判断するのに1回の測定で十分とすることができることが一般的に理解される。しかし、様々な混合でのこのような測定の繰返しを行って精度を改善することができることも認められる。例えば、このような反復測定値の平均を使用して硫化物濃度を計算することができる。代替的に又は追加的に、曲線当て嵌め(例えば、最良直線当て嵌め)のような推定値を測定値点を通じて計算することができる。後者の方法は、反復測定におけるオフセットが補正されるという点で利点を提供する。
【0046】
図2は、室温及び大気圧で硫化物検出のために構成された流体質問器を使用して得られた例示的な吸光率測定値を示している。光学質問器を使用して、約400nmでピーク吸光率を有する流体サンプル試薬混合物の吸光率を検出した。吸光率180は、測定値の数に対してプロットされている。硫化物は、硫化ナトリウムの形態で添加され、2%ポリ(酢酸)(PAA)水溶液中に供給されたカドミウムと反応させた。混合比を変えて、同じサンプルの複数の混合比182a、182b、182c、182d、182e、182f(全体的に182)での測定値を取得した。各ピーク領域182は(例えば、ほぼ150回、300回、500回、650回、850回、及び1,050回の測定での)、それぞれの混合物の反復質問に関連する。混合比が連続サンプルで増大する時に、それぞれの吸光率は、図示のように増加する。各ピーク領域182はまた、実質的に同じ混合比での複数の測定値(例えば、30〜40回の測定値)も表している。
【0047】
ピーク領域間にある谷又はトラフ184a、184b(全体的に184)は、試薬のみが流れる時に取った測定値に対応する。例示的な例において観測することができるように、トラフ184の各々は、ほぼ同じ比較的低い吸光率を有する。トラフを通るように引かれた破線186は、試薬だけの基準測定値を示している。図示のように、基準186は、実質的に水平であり、実験での反復測定に対して殆ど変化が発生しなかったことを示唆している。しかし、一部の状況では、1つ又はそれよりも多くのファクタにより、例えば、試薬染料の呈色、流体が質問される窓の汚れ、又は流体質問器140の性能変動などである変化がもたらされる場合がある(図1)。存在してこのような測定に従って検出された時のこのような変動により、基準トラフ測定値のシフトがもたらされる。他の全てが等しい状態で、このような変動の量を使用して、混合物が検出された期間中の吸光率測定値182を補正し、その他の方法で変動に対処し、事実上測定値を較正することができる。
【0048】
混合物が検出された各領域182内で、反復測定値の平均を取ることによって平均吸収値を各ピーク領域に関連付けられた複数の(例えば、30〜40回)測定値から計算することができる。例えば、図2の結果に対してこのようにして取得した平均吸収値を図3に示している。理論的な硫化物濃度に対して、各ピーク領域及びその関連のポンプ速度の平均吸収値を座標軸上にプロットしている。例えば、試薬及び検体溶液の正確な容積を知り、次に、試薬と検体の間に内在する化学反応の容積分析を実行することによって理論的な濃度を判断することができる。図示のようにかつプロットした平均値に適合した直線によって示すように、線形結果が得られている。本明細書に図示して説明するように、このような容積測定システム内の化学反応を達成した時に、吸光率の物理特性を検体濃度の指標として使用することができる。例えば、直線関係を利用して異なる測定吸光率での濃度を予想することができる。
【0049】
混合器をゴム管により光学系及びプランジャに接続した状態で、プラスチックチップを使用して上述の結果を取得した。このような流体分析システムを通るように流体を引けば、その結果、圧力降下が発生し、気泡の形成がもたらされるように考えられている。流体中の成分、例えば、油中のメタン又は水中の二酸化炭素により、気泡の層を発生することがあり得る。気泡のこのような層を防止するために、ポンプ154、164の作動中にもたらされる圧力降下を最小にすべきである。流量を低減し及び/又は流れ抵抗を低減することによってこのような望ましい結果を達成することができる。例えば、流れ抵抗は、経路長の短縮及び/又はチャンネルの相対的な拡幅により低減することができる。
【0050】
滴定
本明細書に説明する様々な流体分析システムの別の作動モードは、滴定である。滴定は、終点に到達するまで既知の濃度を有する試液の添加により、検体溶液の未知の濃度の判断を可能にすると一般的に理解される。終点は、色変化、沈殿、又はそうでなければ観測可能な変化のようなあらゆる検出可能な手段によって示すことができる。検体溶液の未知のサンプルの初期濃度は、終点で存在するサンプル及び試薬の量(すなわち、容積)から計算することができる。滴定は、アルカリ度、塩化物濃度、及びバリウム濃度を含め多くの検体の判断に使用される。判断した混合比と共に、内在する化学反応又は測定物理特性間の所定の関係を理解して検体の濃度を判断することができる。
【0051】
マイクロ流体滴定において、混合比を変えて終点を判断する。混合比は、段階的変化、連続的、又は段階的及び連続的の何らかの組合せで変えることができる。混合比の段階的変動は、混合比が全ての測定値で異なるいくつかの測定を行うことに比するものである。いずれかの特定の混合割り当ての測定を繰返して、例えば、関連の混合比の指標として平均化することができることが理解される。正に通常滴定のように、終点は、例えば、色変化、沈殿、又は他の検出可能な特性(例えば、pHの変化、塩分)のような終点指標の達成により判断することができる、
【0052】
このような手法に使用される容積測定段階サイズは、比較的小さいものであるべきであり、その理由は、終点は、典型的には、2つの隣接した段階の間に一般的に発生する観測物理特性の突発的かつ劇的な変化により観測されるからである。少なくとも一部の実施形態では、終点に関連付けられた混合物は、終点指標が観測される混合物比の近似値と考えられる。少なくとも一部の他の実施形態では、終点指標が観測される前後に、終点に関連付けられた混合物は、1つ又はそれよりも多くの観測の間で補間される。代替的に又は追加的に、比較的粗い段階サイズを用いて、2つの隣接した段階の間に発生する終点を最初に隔離することができる。処理は、次に、第2のより細かい段階サイズで特定された段階の間で繰返して、終点に関連付けられた混合物の位置をより正確に識別することができる。処理は、更により細かい段階サイズに対して必要に応じて繰り返すことができる。
【0053】
連続的に変化する混合比の方が、一般的に処理しにくい。流量は、両方の流体が一緒になる点(例えば、接合点172(図1))と流体質問器140間の移動時間が既知であるように、非常に正確に知っておく必要がある。
【0054】
別の滴定手法は、混合比の指標として染料濃度に依存するものである。この手法は、試薬に添加されるその染料又は終点を示す染料において比較的影響を受けないとすることができる。しかし、後者の場合には、終点に到達する前後に光学吸光度を示す染料が必要である。多くのpH感応染料は、この挙動を示している。
【0055】
図4を次に参照すると、室温及び大気圧で溶液のアルカリ度を判断する実験の結果が示されている。一例として、5mMNaOH溶液を0.0182N硫酸で滴定する。酸は、0.0952mMのpH感応染料であるブロモクレゾールグリーンを含む。染料を光学質問器によって得られた混合物の吸光率スペクトルで識別することができるように染料のモル吸収係数を実験の前に判断した。試薬及び検体溶液の混合比を変えてポンプ速度(又は容積変化)に従って追跡する時に、吸光率を酸及びアルカリに対して測定する。酸及びアルカリの1つ又はそれよりも多くの吸光率の突発的変化が約0.225の混合比で観測されるまで、混合物は、滴定中に変化させられる。混合比変化の段階的増加を図示のように継続した。例えば、このような処理は、本明細書に説明する流体分析システムのいずれかを使用して掘削坑環境内で達成することができる。
【0056】
有用なことに、酸(400nm)とアルカリ(570nm)の混合比は、染料濃度から判断可能にすることができる。このような混合比は、相対ポンプ速度から判断した混合比と比較することができる。例示的な実施例において、図5に示すように、混合比は、線形であり、ポンプ速度から判断されるような混合比と良好に一致する。図5は、光吸収率から計算した混合比対ポンプ速度から計算した染料濃度を示している。
【0057】
図6は、アルカリピークに対する酸性ピークの割り当て量(酸ピーク/アルカリピーク)として判断されたピーク比対ポンプ比から判断された混合比を示している。酸ピーク及びアルカリピークの各々は、図4の結果から判断され、次に、図5にプロットした比として公式化することができる。酸ピーク(400nm):アルカリピーク(570nm)の比が混合比の関数としてどのように変わるかを明確に見ることができる。理論的な終点は、約0.220の混合比であるように計算される。この終点は、染料濃度を混合比判断の有効な指標とすることができることを示すピーク比が増加し始める点である。
【0058】
流れ注入分析
本明細書に説明する様々な流体分析システムの別の作動モードは、「流れ注入分析」と呼ばれる。流れ注入分析において、溶液(例えば、サンプリングされた形成流体)の小さいサンプルは、流れ中の試薬に「注入」される。一部の実施形態では、試薬を流れ中のサンプルに注入することができる。図1に示すシステム100を参照すると、このような注入流れは、第1の速度(dx1/dt)で前進して第1の容積測定変化率(dV1/dt)に従って第1のリザーバ102の容積を低減する第1のプランジャ152を有することによって達成することができる。第2のプランジャ162は、それぞれの速度(dx2/dt)で引いてそれぞれの容積変化率(dV2/dt)に従って第2のリザーバ112の容積を増大させることができる。弁132が開状態で相対的な容積変化率を使用し、試薬(第1のリザーバ102から)の相対流量を制御して、上述のように累層流体(自噴ライン126から)のサンプルを選択的かつ独立してサンプリングすることができる。
【0059】
例えば、プランジャ152、162を前進させる/引いて同等の容積変化率(−dV1/dt=dV2/dt)を達成することができる。自噴ライン126内を流れる形成流体がサンプリング流体導管128を通って(すなわち、弁132が開)流体導管106に露出されると仮定して、接合部172での圧力の均衡は、流体質問器140を過ぎて試薬の実質的に純粋な流れをもたらす。自噴ライン126からのサンプリングされた形成流体を導入し、相対的な容積変化率を変えることによって試薬と結合することができる。例えば、より速い速度で短い瞬間に第2のプランジャ162を選択的に引く(dx2/dtを増大させる)ことにより、第2のリザーバ112の容積変化率(dV2/dt)を増大させる。第1及び第2のリザーバ102、112の間の容積の変化の差(例えば、第1のリザーバが崩壊するよりも迅速に拡張する第2のリザーバ)は、サンプリング流体導管128からのサンプリングされた形成流体の流れによって取り上げられる。結果は、試薬及び流体質問器140を過ぎて引かれた流体サンプルの混合物である。
【0060】
例えば、純粋な試薬から試薬及びサンプリングされた形成流体の混合物への混合物内の得られる変動により、結果として流体の検出物理特性の対応する変動が発生する。光学流体質問器(例えば、分光計)を使用して、試薬/混合物の吸光率の変動を観測することができる。サンプリングされた形成流体内の選択的検体を示す吸光率ピーク(対応する波長)を追跡する時に、吸光率の短いピーク対時間(サンプル番号)が、検出器144により検出される。このようなピークが結果として発生する吸光率の変化は、サンプリングされた流体と、光学流体質問器140の質問領域を通過する試薬との混合物を提供する。ポンプ速度の変動と、サンプリングされた流体が試薬に導入される接合部172と質問ゾーンの間の流体移動時間から生じる吸光率変化の検出との間に恐らく何らかの遅延があると考えられる。例えば、ピーク高さ(すなわち、最大吸光率)に従って又は吸光率ピーク下の領域を積分することによってピーク変動を分析することができる。
【0061】
流れ注入分析の少なくとも1つの利点は、連続基準測定が、本来、試薬及び検体の混合物が検出される期間の間の時間で発生する実質的に純粋な試薬の流れ(サンプル)により行われることである。このような基準を利用して、システム100及び試薬の1つ又はそれよりも多くの変動を検出し、少なくとも一部の例において、このような基準を利用して測定値を較正し、基準内で観測されたあらゆるオフセットを考慮することができる。更に、流れ注入分析は、比較的速くかつ混合の期間中に注入される比較的少量のような限られた量の流体サンプルを使用する。流れ注入分析により、連続混合モードで行われる場合があるような終点又は平衡に到達するのに十分なサンプル及び試薬を使用する必要性が軽減される。代替的に、結果として質問した特性(例えば、吸光率)の検出可能な変動が得られることを条件として少量のサンプルを使用することができる。少量のみを使用することによってサンプリングされた形成流体を分析することができる点は、特に、金属イオンとの硫化物の反応の場合と同様に、析出の発生が可能である状況に有用である。
【0062】
実施例では、2つのシリンジポンプ(154、164)、スネーク混合器(116)、及び光学セル(質問器140)を使用して図1に関連して説明するシステム100を模倣した。一方の注射器102にはCd−PAA−水溶液(例えば、試薬)を満たし、押し進めるように構成されたものであり、他方の注射器112は、引くように構成されたものであった。自噴ライン(126)は、硫化ナトリウム溶液(例えば、サンプリングされた形成流体)を満したエルレンマイヤーフラスコにより模倣した。ポンプ154、164は、約0.5ml/minの速度で押す/引くように構成されたものであった。引き速度を約15秒間約0.7ml/minに上げ、次に、もう一度、約0.5ml/minに落とした。高い方の引き速度により、エルレンマイヤーフラスコからの硫化物を第1のシリンジポンプ154からの試薬流において注入することができた。この構成を使用して光学セルにより測定された光学応答を記録して図7に示している。図は、注入前領域、次に、注入に対応する実質的なピーク、次に、注入後の期間中のピークの後縁に関連して一般的な流れ−注入−分析応答を示している。ピーク吸光率は、少なくとも部分的にリザーバ102、112と質問器140間の移動時間のために注入のタイミングに対して僅かな遅延後に発生する。測定吸光率は、いわゆる注入後の期間におけるいくつかの更に別の小さなピークを含む。これらのピークは、システム構成のアーチファクトから生じたものである。すなわち、小さなピークは、シリンジポンプ154、164の想定外の不均一な押し及び引きによるものであった。2つのシリンジポンプ154、164の相対的な容積変化率間の小さな変動により、少量の硫化物が、非注入期間中に試薬流に入った。想定外の硫化物により、結果として小さな検出可能な変動が発生した。この影響は、注入容積が小さいほど及び/又は短いほど一般的により深いものである。このような想定外の結果は、より正確なポンプ154、164を使用することによって回避することができる。しかし、比較的小さいピークは、例えば、閾値、例えば、注入を示す0.1よりも大きい吸光率を確立することによって区別することができることに注意すべきである。
【0063】
図8〜図13は、室温及び大気圧で取得した硫化物検出に関する測定吸光率の結果を示している。図8〜図13に示す結果を取得する際に使用した実験的な構成は、開放出口を用いて押し進められる2つの注射器を含むものであった。本明細書に説明するシステム及び技術のいずれかを使用して、類似の結果は、試薬及びサンプリングされた形成流体の混合、次に、掘削坑内の混合物の質問によって達成することができる。注入を模擬するために、両方ともシステムを通るように流体(試薬及び硫化物溶液)を押し進める2つのシリンジポンプを使用した。硫化物は、1.75%PAA水溶液中でカドミウム(例えば、2mMのCdSO4)と反応する。図8は、硫化ナトリウム溶液(Na2S)への10mMのうち100μlの反復注入の生データを示している。100μl硫化ナトリウム溶液を600μl/minの速度で注入する。各注入は、400nmで得られる混合物の吸光率の実質的な増加により観測可能である。試薬の流量は、約1ml/minである。950μmで取得した混合物の基準吸光率を図8の生データにも示されている。400nmでの被補正吸光率は、400nmでの吸光率から950nmでの吸光率を減算することによって取得することができる。図8のデータに適用されたこのような補正の結果を図9に示している。
【0064】
少なくとも一部の実施形態では、例えば、注入前の最後の10個の測定値の平均を減算してあらゆる基準オフセットを補正することによって最大吸光率を計算することができる。例示的な実施例において、6個の測定値の平均吸光率は、008の標準偏差で約0.255であり、従って、良好な反復性が示されている。
【0065】
図10は、カドミウム含有試薬(3.5mM−CdSO4、水中での1.75%のPAA溶液)内への16.7mM硫化ナトリウム溶液(Na2S)の5回の注入の結果を示している。注入時間は、15秒であり、注入容積を12μlずつ上げた(図示の5つのこのような段階に関する結果)。試薬流量は、1.0ml/mnであり、5つの増加中の注入流量は、48μl/min、96μl/min、144μl/min、192μl/min、及び240μl/minであった。
【0066】
グラフは、他の基準波長(すなわち、700nm及び950nm)での400μm吸光率応答及び限られた応答のみにおける各注入期間中の明確な増加を示している。単一の注入後の吸光率は、サンプル中の硫化物濃度を判断するのに十分であることが明らかである。同じく観測することができるように、基準チャンネルの減算後のピーク高さは、サンプルの相対容積に対して線形に変化する。線形の関係は、図11の方が良好に観測され、図11では、ピーク補正吸光率値が、サンプル及び試薬の容積比に対してプロットされている。図示のように、測定値は、直線に沿って実質的に下降している。ここでもまた、線形の関係に従って試薬サンプル混合物のピーク測定光吸収率をサンプル割合容積比に関する指標として使用することができることが明らかである。
【0067】
注入時間の関数としての吸光率の別の関係を図12に示している。この例において、400nm注入ピークの各々の下の区域は、別々に積分される。5つの注入期間の各々の得られる区域は、試薬−サンプルのサンプル割合に対してプロットされている。同様に、測定値は、図示のように直線に沿って実質的に下降している。ピークの下の表面積も、計算濃度との良好な関係を示すことが、同じく明らかである。表面積方法は、ピーク拡張に対しても受ける影響は小さい。更に、表面積は、注入点及び検出器が十分に遠く離れた方向にある場合は注入速度とは独立している。検出器(質問器)までの移動時間は、注入時間よりも長いものであるべきである。時には、ピークの正しい終点の判断は、この手法を使用しても困難である可能性がある。
【0068】
測定値の精度を改善するために、単一の測定値の代わりに、異なるサンプル容積によるいくつかの測定を行うことができる。サンプル割合と吸光率の間のこのようにして取得した線形の勾配は、硫化物濃度に直接に関連するが、より正確な結果が得られる。
【0069】
流れ注入分析において、単一の注入後の吸光率は、サンプル中の硫化物濃度を判断するのに十分である。しかし、このピーク高さは、流量及び注入時間に強く依存する。従って、流量及び注入時間(容積)の正確な制御を行うことが必要である。更に、少なくとも一部の実施形態では、測定に使用されるように較正曲線を流量及び容積条件下で取得することが望ましい。このような較正曲線において、流れ注入分析における濃度の変化に対する吸光率の感度(勾配)は、連続混合よりも小さい。連続混合においては、平衡状態に到達し、一方、流れ注入分析においては、このような平衡状態に必ずしも到達するというわけではない。図13は、最大吸光率ピーク高さが20秒に近い注入時間で得られることを示している。これらの20秒は、連続混合作動モードに説明するように、連続混合に関する最小時間の一例として見ることができる。
【0070】
2つよりも多いプランジャを有する方式
より複雑な流体処理シナリオを可能にする流体分析器の他の実施形態が考えられている。例えば、1つ又はそれよりも多くの付加的な可変容積リザーバ及び対応するプランジャの追加により、多くの新しい機会が生まれる。一例として、図14は、第1のプランジャ252aと第1のポンプ254aとを有する第1の流体リザーバ202aと、第2のプランジャ262と第2のポンプ264とを有する第2の流体リザーバ212とを含むという点において図1のシステム100と類似のシステム200の図を示している。第1及び第2のリザーバ202a、212の開放端204a、214は、同様に流体導管206aのそれぞれの端部に結合され、流体サンプルポート220は、流体導管206aに沿って連続的に配置された第1の流体リザーバ202a及び流体混合器216の間の位置で流体導管206aと流体連通している。質問器240は、流体混合器204と第2のリザーバ212の間に流体の光学特性からのデータを取得するように同様に構成される。上述の場合のように、例示的な実施形態では、流体質問器240は、窓246a、246b、光源242、及び流体の吸光率を測定するように構成された検出器244を含む。
【0071】
システム200は、第3のプランジャ252bと第3のポンプ254bとを有する第3の流体リザーバ202bにより前の実施例から区別される。第2の弁232bが、第3の流体リザーバ202bの開放端とサンプルポート220の間に設けられる。第2の弁232bを操作して、第3のリザーバ202bを含むサンプル導管228を高圧ライン226からサンプルポート220を通る形成流体の流れから選択的に隔離するか又はその流れに露出することができる。
【0072】
弁232a、232bを有する第3のプランジャ252bを使用して、自噴ライン226から選択的に形成流体をサンプリングし、次に、システム200を通るようにサンプルを押し進めることができる。例えば、第2の弁232bにより、システム200は、自噴ライン226から流体サンプルを取得することができる。例えば、第3のプランジャ252bを引いて第3のリザーバ202bの容積を拡張することができる。第1の弁232aが閉状態かつ第2の弁232bが開状態で、このような作用により、第3のリザーバ202b内で自噴ライン226からサンプルを回収し、一方、第2の弁232bは開状態、かつ第1の弁232aは閉状態である。第1の弁232aを開き、第2の弁232bを閉じた後に、第3のプランジャ252bの前進により(すなわち、リザーバ容積の崩壊)、流体サンプルが押し進められて第3のリザーバ202bからシステム200の残りを通り、流体サンプルが接合部272を通り、かつ混合器216の方向に前進する。第1及び第2のポンプ254a、264を操作して、同様に、望ましい比で第1のリザーバ202aからの試薬を混合し、かつ第2のリザーバ212内の廃棄物を回収することができる。
【0073】
少なくとも一部の実施形態では、試薬をサンプルと混合する前に流体サンプルの背景測定を行うことができる。プランジャ252a、252bが押し進む速度により、混合比が決まる。少なくとも一部の実施形態では、プランジャ252a、252b、262の1つ又はそれよりも多くは、制御方式でリザーバ202a、202b、212の容積を変えるように受動プランジャの作動が他の2つのプランジャの変形によって達成されるように受動とすることができる。ポンプ254a、254b、264がそれぞれのプランジャ252a、262、252bを駆動するエンジンを有する範囲で、少なくとも一部の実施形態では、プランジャの1つは、プランジャの1つに対してエンジンが必要とされないように、他のプランジャの1つ又はそれよりも多くの圧力変動により作動させることが可能である。このシステム構成200は、流れ注入測定が行われる時に特に有用である。
【0074】
このシステム200の少なくとも1つの利点は、形成流体のサンプルの注入の期間中でさえも、第2の弁232bを使用して完全にシステム200を自噴ライン226から隔離することができることである。これを達成することができるのは、その後の化学分析を予想して、サンプルは、得られた状態で第3のリザーバ202b内に格納することができるからである。このような機能により、マイクロ流体システムのようなシステム200の影響を受けやすい実施形態が、作動期間中に及び非作動期間中に自噴ライン力学の変動に不要に露出される可能性が取り除かれる。実際には、自噴ライン226にシステム200が露出されることは、形成流体のサンプルが自噴ライン226から得られて第3のリザーバ212内の格納される短い期間に限定することができる。
【0075】
少なくとも3つのプランジャシステムの別の変形により、例えば、次々の又は一斉の2つ又はそれよりも多くの異なる試薬の混合が考慮される。これは、2つの薬剤を次々と添加すべきである場合又は2つの薬剤が共に安定していない場合に有用とすることができる。このような手法は、サンプルポート220を通じて第3のリザーバ202b内に格納された第1の試薬を高圧自噴ライン226から得られたサンプルと混合することを可能にするサンプル導管228内の第1の接合部282を含む。作動面において、第1及び第2の弁232a、232bを開くことができ、自噴ライン228、206a及び混合器216内で3つ又はそれよりも多くのリザーバ202a、202b、212の各々と自噴ライン226の間の圧力平衡を可能にすることができる。少なくとも一部の実施形態では、第1のリザーバ202aは、第2の試薬が予め装填される。従って、第1と第3のリザーバ202a、202bからの試薬及びサンプリングされた流体の1つ又はそれよりも多くの選択的な混合物を3つの対応するポンプ254a、264、254bの選択的な作動により取得することができる。3つのリザーバ容積V1、V2、V3の変化率は、選択的な混合物をもたらす。全てのプランジャの正確な制御は、このような混合物の制御に好ましい。
【0076】
3つ又はそれよりも多くのプランジャシステムの更に別の変形において、全ての3つ又はそれよりも多くの流れは、1つの共通位置で一緒になる。ここでもまた、これは、2つの薬剤を一緒に格納することができない時に有用である。別の用途は、洗浄にポンプ254a、264、254bの1つを使用することである。試薬とのサンプルの反応により析出又は光学窓の汚れが発生する可能性がある場合に、ポンプ254a、254bの一方を使用して経路を通るように洗浄剤を押し進めることができる。所定の数の洗浄サイクルを達成することができるように十分な洗浄剤をリザーバ202a、202bの一方に予め装填することができ、洗浄液は、混合器を通って流体質問器240の位置を通過する。
【0077】
図15を次に参照すると、上述のシステムの変形が示されており(200’)、廃棄物ポンプ264は、高圧自噴ライン226への再度の直結を優先して放棄される。例示的な実施形態では、混合物は、第1と第3のポンプ254a、254bのポンプ速度に従って制御される。それぞれの内容物を混合器216内に押し進めるためにポンプ254a、254bを前進させた時に、混合物は、戻り導管296を通ってかつ高圧自噴ライン226内の廃棄物ポート290に向けて前進する。従って、廃棄物は、掘削坑環境に露出されることなく自噴ライン226に戻される。流体圧力は移行の瞬間の間を除き流体導管228、206a、296内で全体的に均衡が保たれているので、廃棄物ポート290を通じた自噴ライン圧力に露出されても問題にはならない。
【0078】
別の変形(図示せず)において、システム200’は、更に、例えば、流れ注入モード作動に対してより広範囲な試験に適合するようになっている。変形システムは、2つのプッシングプランジャ252a及び252bと、混合器216と、流体質問器240とを含み、また、回収リザーバがなく、任意的に第1及び第2の弁232a、232bがなくても使用することができる。第1のリザーバ202aは、試薬で満たされ、一方、第3のリザーバ232bは、サンプルで満たされる。充填前のリザーバ232bの使用により、通常作動中の第1の段階、すなわち、第1の弁232aが閉状態かつ第2の弁232bが開状態でリザーバ232bを充填する段階、次に、第2の弁232bを閉じ、第1の弁232aを開く段階が排除される。
【0079】
圧力補償
休止時に本明細書に説明するプランジャ(すなわち、ピストン)に掛かる力は、プランジャの上の圧力差及びプランジャの直径に依存する。作動中に、流体の密度及びプランジャが移動中の速度に依存する付加的な力は、能動的である。非常に小径のプランジャ(例えば、1mm又はそれ未満)は、プランジャを駆動する通常のポンプ又はエンジンが非常に実現可能であるように、必要とする力は、高圧下でさえも比較的小さい。しかし、多量の試薬が入るように構成されたリザーバに対して、プランジャの直径、従って、プランジャ自体は、より大きくなければならない。力が強いほどプランジャを駆動するのに強いエンジンが必要になることになる。休止中のプランジャに掛かる力は、直径の二乗(すなわち、プランジャの表面積)に比例する。少なくとも一部の実施形態では、比較的大きいプランジャに掛かるこのような過剰な力は、プランジャの上の圧力差を低下させることによって低減することができる。
【0080】
図16は、プランジャ352の上の圧力差が実質的にゼロであるプランジャ352を示している。プランジャ352は、可変容積リザーバ302の一部を形成する。リザーバ302は、プランジャ352背後の密封容積に開く自噴ライン326への開口部305を有する。開口部305は、第1の圧力均衡ポート305と呼ばれる。第1の圧力均衡ポート305は、第2の圧力均衡ポート307を通る高圧自噴ライン326と流体連通している。第2の流路309は、第1及び第2の圧力均衡ポート305、307間に流体連通している。プランジャ352の前方表面上に配置された流体リザーバ302のその部分は、導管306及びサンプルポート320を通じて自噴ライン圧力にも露出される。従って、実質的に同等の圧力がプランジャ352の両側に掛かり、プランジャ352に作用する得られる力は、対向するものであり、実際上互いに取り消される。
【0081】
プランジャ352の後向き面と高圧自噴ライン326とのこのような開放接続の結果として、プランジャ352の上の圧力降下は、比較的小さいポンプ(エンジン)を使用してプランジャ352を駆動することができるように最小にされる。自噴ライン326とプランジャ352の間の第2の流体導管309が流体リザーバ302の容積よりも大きい場合に、第2の流体導管309は、プランジャ352の汚れを防止する油圧流体で満たすことができる。更に、輸送中又は井戸内に機器を降ろしている時の突然の衝撃の結果としてのプランジャの損傷を防止する弁232を追加することができる。他の圧力補償技術も実現可能である。このような圧力補償技術は、本明細書に説明する実施形態のいずれのプランジャの1つ又はそれよりも多くにも適用することができる。
【0082】
図17は、坑内条件下でサンプルを試薬と混合するための処理400の実施形態を示している。処理400は、反応剤が予め装填され、かつ流体導管に露出された開放端を有する第1のリザーバの容積を変える段階を含む。410では、第2のリザーバの容積も変え、第2のリザーバは、同様に流体導管に露出された開放端を有する。415では、第1及び第2のリザーバの開放端間の流体導管の領域を地下層から引かれた高圧流体の高圧流に露出する。420では、第1及び第2のリザーバの容積の相対変動に応答して流体サンプルが高圧流体の流れから抽出される。
【0083】
図18は、坑内条件下でサンプルを試薬と混合する別の処理450の実施形態を示している。処理は、455で高温度及び高圧力を有する掘削坑内に反応剤を供給する段階を含む。掘削坑内の温度及び圧力の各々は、掘削坑表面での対応する温度及び圧力より実質的に大きい。460では、容積比に従って掘削坑内で反応剤の少なくとも一部分を形成流体のサンプルと混合する。得られる混合物は、容積比に応答する物理特性を有する。465では、混合物の物理特性を判断する。少なくとも一部の実施形態では、判断された物理特性は、混合物の容積割り当て量を示している。
【0084】
「生の流体」という用語は、単一相のままである加圧されたリザーバ流体サンプルを指すために一般的に使用される。
【0085】
以上の説明を読んだ後に本発明の多くの変形及び修正が間違いなく当業者に明らかになるであろうが、例示として図示及び説明した特定的な実施形態は、いかなる点においても制限的と見なすことを意図していないことは理解されるものとする。更に、本発明を特定の好ましい実施形態を参照して説明したが、本発明の精神及び範囲の変形が当業者に想起されるであろう。上述の実施例は、単に説明を目的として示したものであり、いかなる点においても本発明の制限と解釈すべきではないことに注意されたい。
【0086】
本発明を例示的な実施形態を参照して説明したが、本明細書で使用した文言は、限定文言よりもむしろ説明及び例示の文言であることが理解される。その態様における本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、現在説明かつ修正されたように、特許請求の範囲内で変更を行うことができる。
【0087】
本発明を特定の手段、材料、及び実施形態を参照して本明細書に説明したが、本発明は、本明細書で開示する詳細に限定されることを意図したものではない。むしろ、本発明は、特許請求の範囲にあるように全ての機能的に同等な構造、方法、及び用途まで拡張される。
【符号の説明】
【0088】
100 坑内条件下で流体サンプルを試薬と混合するシステム
102 第1の流体リザーバ
104 開放端
106 流体導管
112 第2の流体リザーバ
116 流体混合器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応剤が事前充填され、かつ流体導管に流体連通した開放端を有する第1の可変容積リザーバと、
前記流体導管に流体連通した開放端を有する第2の可変容積リザーバと、
前記第1及び第2の可変容積リザーバの開放端の間の位置で前記流体導管に沿って直列に配置された流体混合器と、
地下層から引かれた流体のサンプルを高圧自噴ラインから受け取るように構成され、前記第1の可変容積リザーバの前記開放端と前記流体混合器の間の位置で前記流体導管に流体連通したサンプルポートと、
を含み、
前記反応剤と前記サンプリングされた流体との選択可能な混合物が、前記第1及び第2の可変容積リザーバの容積を変えることによって取得可能である、
ことを特徴とする坑内流体処理装置。
【請求項2】
前記サンプルポートと前記流体導管の間に配置され、該サンプルポートを該流体導管から選択的に隔離するようになった遮断弁を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サンプルポートと前記流体導管の間を流体連通したフィルタを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記反応剤と前記サンプル流体との前記混合物の物理特性を質問するように位置決めされた流体質問器を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記流体質問器は、光学特性、電気特性、化学特性から構成される群から選択された特性を質問するように構成されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記流体質問器は、分光計を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記可変容積リザーバの少なくとも1つが、シリンジポンプを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記サンプルポートと前記流体導管の間を流体連通した開放端を有する第3の可変容積リザーバと、
前記第3の可変容積リザーバの前記開放端と前記サンプルポートの間に配置され、該第3の可変容積リザーバと該流体導管の間の流体連通を可能にしながら該第3の可変容積リザーバを該サンプルポートから選択的に隔離するようになった第1の遮断弁と、
前記第3の可変容積リザーバの前記開放端と前記流体導管の間に配置され、該第3の可変容積リザーバと前記サンプルポートの間の流体連通を可能にしながら該第3の可変容積リザーバを該流体導管から選択的に隔離するようになった第2の遮断弁と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1、第2、第3の可変容積リザーバのうちの少なくとも1つが、前記自噴ラインに流体連通した圧力平衡ポートを含み、該圧力平衡ポートは、自噴ライン圧力に露出された該第1、第2、第3の可変容積リザーバのうちの該少なくとも1つの容積変動を自噴ライン圧力に打ち勝つ必要なく可能にすることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の可変容積リザーバの少なくとも一方が、前記自噴ラインに流体連通した圧力平衡ポートを含み、該圧力平衡ポートは、自噴ライン圧力に露出された該第1及び第2の可変容積リザーバの該少なくとも一方の容積変動を自噴ライン圧力に打ち勝つ必要なく可能にすることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記流体導管は、マイクロ流体チャンネルを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
掘削坑内の流体サンプルを分析する方法であって、
反応剤が事前装填され、かつ流体導管に露出された開放端を有する第1のリザーバの容積を変える段階と、
同じく前記流体導管に露出された開放端を有する第2のリザーバの容積を変える段階と、
前記第1及び第2のリザーバの開放端の間の前記流体導管の領域を地下層から得られた高圧流体の高圧流に露出する段階と、
前記第1及び第2のリザーバの容積の相対変動に応答して流体サンプルを前記高圧流体の流れから抽出する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記第1及び第2のリザーバの容積の相対変動に応答して前記反応剤の少なくとも一部分と前記抽出した流体サンプルの少なくとも一部分とを互いに選択的に混合する段階を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
選択的に混合する段階は、前記反応剤の少なくとも一部分及び前記抽出された流体サンプルの少なくとも一部分の組合せを攪拌する段階を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記試薬−サンプル混合物の物理特性を検出する段階を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記検出する行為は、光学特性、電気特性、化学特性から構成される群から選択された前記試薬−サンプル混合物の物理特性を検出する段階を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
選択的に混合する段階は、前記検出された特性の最大反応が得られるように前記反応剤の十分な部分を注入する段階を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
選択的に混合する段階は、そうでなければ前記検出された特性の最大反応をもたらすであろう前記反応剤の十分な部分よりも少ないものを注入する段階を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプル及び前記試薬のうちの少なくとも一方の基準物理特性を検出する段階と、
前記検出された基準に応答して前記試薬−サンプル混合物の前記検出された物理特性を調節する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記試薬−サンプル混合物の少なくとも一部分を回収し、それによって局所環境への露出を回避する段階を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記回収する行為は、前記試薬−サンプル混合物の少なくとも一部分を前記高圧流体の高圧流に注入する段階を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のリザーバの前記容積を低減し、一方、所定の時間にわたって前記第2のリザーバの前記容積を同等に増大させ、それによって前記流体導管を前記試薬の少なくとも一部分で事前充填する段階を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項23】
掘削坑内の流体サンプルを分析する方法であって、
掘削坑内に反応剤を供給する段階と、
容積比に従って前記反応剤の少なくとも一部分を地下層から得られた流体のサンプルと前記掘削坑内で混合する段階であって、該混合物が、該容積比に応答する物理特性を有する前記混合する段階と、
前記物理特性の指示を前記掘削坑内で検出する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
前記反応剤は、既知の濃度を有する溶液で供給され、
方法が、前記反応剤溶液の増加する容積を検体の未知の濃度を有する累層流体の前記サンプルと繰返し混合する段階と、該得られた混合物の前記物理特性の実質的な変化を判断する段階とを更に含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記得られた混合物の前記物理特性の前記実質的な変化が観測された容積比に応答して、前記累層流体のサンプル内に存在する前記検体の濃度を判断する段階を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記得られた混合物の前記物理特性の前記実質的な変化が観測された検出された物理特性に応答して、前記累層流体のサンプル内に存在する前記検体の濃度を判断する段階を更に含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記物理特性は、光学特性、電気特性、化学特性、及びその組合せから構成された群から選択されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
物理特性は、光学的吸収率であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記試薬−サンプル混合物の廃棄物部分を回収し、それによって局所環境への露出を回避する段階を更に含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項30】
掘削坑内に別の反応剤を供給する段階と、
容積比に従って他方の反応剤の少なくとも一部分を前記反応剤と累層流体との前記混合物と前記掘削坑内で混合する段階であって、該混合物が、該容積比に応答した物理特性を有する前記混合する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項31】
反応剤及び前記累層流体のうちの一方の基準物理特性を前記掘削坑内で検出する段階と、
前記検出された基準物理特性に応答して前記混合物の前記検出された物理特性を調節する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記反応剤は、染料を含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記判断された物理特性は、前記容積比を示すことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項1】
反応剤が事前充填され、かつ流体導管に流体連通した開放端を有する第1の可変容積リザーバと、
前記流体導管に流体連通した開放端を有する第2の可変容積リザーバと、
前記第1及び第2の可変容積リザーバの開放端の間の位置で前記流体導管に沿って直列に配置された流体混合器と、
地下層から引かれた流体のサンプルを高圧自噴ラインから受け取るように構成され、前記第1の可変容積リザーバの前記開放端と前記流体混合器の間の位置で前記流体導管に流体連通したサンプルポートと、
を含み、
前記反応剤と前記サンプリングされた流体との選択可能な混合物が、前記第1及び第2の可変容積リザーバの容積を変えることによって取得可能である、
ことを特徴とする坑内流体処理装置。
【請求項2】
前記サンプルポートと前記流体導管の間に配置され、該サンプルポートを該流体導管から選択的に隔離するようになった遮断弁を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サンプルポートと前記流体導管の間を流体連通したフィルタを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記反応剤と前記サンプル流体との前記混合物の物理特性を質問するように位置決めされた流体質問器を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記流体質問器は、光学特性、電気特性、化学特性から構成される群から選択された特性を質問するように構成されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記流体質問器は、分光計を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記可変容積リザーバの少なくとも1つが、シリンジポンプを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記サンプルポートと前記流体導管の間を流体連通した開放端を有する第3の可変容積リザーバと、
前記第3の可変容積リザーバの前記開放端と前記サンプルポートの間に配置され、該第3の可変容積リザーバと該流体導管の間の流体連通を可能にしながら該第3の可変容積リザーバを該サンプルポートから選択的に隔離するようになった第1の遮断弁と、
前記第3の可変容積リザーバの前記開放端と前記流体導管の間に配置され、該第3の可変容積リザーバと前記サンプルポートの間の流体連通を可能にしながら該第3の可変容積リザーバを該流体導管から選択的に隔離するようになった第2の遮断弁と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1、第2、第3の可変容積リザーバのうちの少なくとも1つが、前記自噴ラインに流体連通した圧力平衡ポートを含み、該圧力平衡ポートは、自噴ライン圧力に露出された該第1、第2、第3の可変容積リザーバのうちの該少なくとも1つの容積変動を自噴ライン圧力に打ち勝つ必要なく可能にすることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の可変容積リザーバの少なくとも一方が、前記自噴ラインに流体連通した圧力平衡ポートを含み、該圧力平衡ポートは、自噴ライン圧力に露出された該第1及び第2の可変容積リザーバの該少なくとも一方の容積変動を自噴ライン圧力に打ち勝つ必要なく可能にすることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記流体導管は、マイクロ流体チャンネルを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
掘削坑内の流体サンプルを分析する方法であって、
反応剤が事前装填され、かつ流体導管に露出された開放端を有する第1のリザーバの容積を変える段階と、
同じく前記流体導管に露出された開放端を有する第2のリザーバの容積を変える段階と、
前記第1及び第2のリザーバの開放端の間の前記流体導管の領域を地下層から得られた高圧流体の高圧流に露出する段階と、
前記第1及び第2のリザーバの容積の相対変動に応答して流体サンプルを前記高圧流体の流れから抽出する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記第1及び第2のリザーバの容積の相対変動に応答して前記反応剤の少なくとも一部分と前記抽出した流体サンプルの少なくとも一部分とを互いに選択的に混合する段階を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
選択的に混合する段階は、前記反応剤の少なくとも一部分及び前記抽出された流体サンプルの少なくとも一部分の組合せを攪拌する段階を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記試薬−サンプル混合物の物理特性を検出する段階を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記検出する行為は、光学特性、電気特性、化学特性から構成される群から選択された前記試薬−サンプル混合物の物理特性を検出する段階を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
選択的に混合する段階は、前記検出された特性の最大反応が得られるように前記反応剤の十分な部分を注入する段階を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
選択的に混合する段階は、そうでなければ前記検出された特性の最大反応をもたらすであろう前記反応剤の十分な部分よりも少ないものを注入する段階を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプル及び前記試薬のうちの少なくとも一方の基準物理特性を検出する段階と、
前記検出された基準に応答して前記試薬−サンプル混合物の前記検出された物理特性を調節する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記試薬−サンプル混合物の少なくとも一部分を回収し、それによって局所環境への露出を回避する段階を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記回収する行為は、前記試薬−サンプル混合物の少なくとも一部分を前記高圧流体の高圧流に注入する段階を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のリザーバの前記容積を低減し、一方、所定の時間にわたって前記第2のリザーバの前記容積を同等に増大させ、それによって前記流体導管を前記試薬の少なくとも一部分で事前充填する段階を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項23】
掘削坑内の流体サンプルを分析する方法であって、
掘削坑内に反応剤を供給する段階と、
容積比に従って前記反応剤の少なくとも一部分を地下層から得られた流体のサンプルと前記掘削坑内で混合する段階であって、該混合物が、該容積比に応答する物理特性を有する前記混合する段階と、
前記物理特性の指示を前記掘削坑内で検出する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
前記反応剤は、既知の濃度を有する溶液で供給され、
方法が、前記反応剤溶液の増加する容積を検体の未知の濃度を有する累層流体の前記サンプルと繰返し混合する段階と、該得られた混合物の前記物理特性の実質的な変化を判断する段階とを更に含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記得られた混合物の前記物理特性の前記実質的な変化が観測された容積比に応答して、前記累層流体のサンプル内に存在する前記検体の濃度を判断する段階を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記得られた混合物の前記物理特性の前記実質的な変化が観測された検出された物理特性に応答して、前記累層流体のサンプル内に存在する前記検体の濃度を判断する段階を更に含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記物理特性は、光学特性、電気特性、化学特性、及びその組合せから構成された群から選択されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
物理特性は、光学的吸収率であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記試薬−サンプル混合物の廃棄物部分を回収し、それによって局所環境への露出を回避する段階を更に含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項30】
掘削坑内に別の反応剤を供給する段階と、
容積比に従って他方の反応剤の少なくとも一部分を前記反応剤と累層流体との前記混合物と前記掘削坑内で混合する段階であって、該混合物が、該容積比に応答した物理特性を有する前記混合する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項31】
反応剤及び前記累層流体のうちの一方の基準物理特性を前記掘削坑内で検出する段階と、
前記検出された基準物理特性に応答して前記混合物の前記検出された物理特性を調節する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記反応剤は、染料を含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記判断された物理特性は、前記容積比を示すことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−72873(P2013−72873A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−110002(P2012−110002)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【出願人】(500177204)シュルンベルジェ ホールディングス リミテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】Schlnmberger Holdings Limited
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110002(P2012−110002)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【出願人】(500177204)シュルンベルジェ ホールディングス リミテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】Schlnmberger Holdings Limited
【Fターム(参考)】
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