説明

垂れ紐状間仕切り、カーテン

【課題】垂れ紐状間仕切りあるいはカーテンを安価で確実に製作する製法を提供する。
【解決手段】並列された垂れ紐の上端相互をテープ状生地部により連結した紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテンにおいて、編み始めテープ状布地結束部6及び編み終わりテープ状布地結束部4はテープ状布地として多数の紐糸を結束して経糸を紐糸とし、垂れ紐状部5は経糸で編成し、横方向には経糸を連結する編糸3に水溶性糸を使用し、布地状体とした後、水溶性編糸3は水洗除去して作成する垂れ紐状間仕切りあるいはカーテン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂れ紐状間仕切りあるいはカーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インテリアの高級化多様化志向により、経紐で構成された垂れ紐状間仕切り或いはカーテンの需要が増加している。また背丈の高く、安価なものが大ホールや吹き抜け家屋等の用途に求められている。
【0003】
従来技術をしては次の2つがあった。
【特許文献1】特公平6−61295
1) 第一の従来技術は引例の特公平6−61295の図2から図4に開示された技術であり、あらかじめ用意された紐状に編まれた糸を編み機上では緯糸である緯紐とし、経方向には引例の図3に示された経糸を編みこみ、所定の経方向長さまで編み上げて布地状にした後、この経糸を引き抜き除去して、紐部を経にして上部はテープ状生地で連結して垂れ紐状として使用するものである。
2) 第二の従来技術は引例の特公平6−61295の図5に従来技術として示されているものであり、並列された垂れ紐の上端相互をテープ状生地部により連結した紐状生地であり、垂れ紐は編み機上で経糸として所定の長さまで編みながら作り上げるものである。
【0004】
しかしこの2つの従来技術には次の問題があった。
1) 第一の従来技術の問題点
▲1▼緯紐は前もって用意するため、編み込み開始までに準備時間が必要であった。
▲2▼垂れ紐状カーテンとして使用する場合、その横幅は編み機で自由に可変できるが、その丈は一定で、編み機上で可変は出来なかった。従って天井の高い家屋には適さないものであった。
▲3▼編み機上での経糸は、編み上がり後、引き抜くため、その分の工数を必要とした。
2) 第二の従来技術の問題点
▲1▼第一の従来技術に対し横幅は一定となるが、その丈は自由に可変でき、垂れ紐は編み機上で紐状に作り出すことが出来る。また背丈の高いものも可能である。しかし、編み機上で使用する緯糸は、垂れ紐状カーテン等に使用する場合は、引き抜き除去するため、時間を要し、コストアップ要因がここにあった。
▲2▼また第二の従来技術の類似技術として編み機上で緯糸を使用しない方式もあり、その場合、例えば材料によっては形態安定のためテンションを掛けながら熱処理を行うがこのとき経糸が絡み合いテンションを掛け難く作業を困難としていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の内の第二の従来技術の問題点の改良にある。その解決しようとする問題点は、編み機上で使用する緯糸は、垂れ紐状カーテン等に使用する場合は、引き抜き除去するため、時間を要し、コストアップ要因となっていた点を改良するものである。また編み機上で緯糸を使用しない方式の場合の形態安定の作業性の悪さを改善するためのものでもある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
「手段1」
並列された垂れ紐の上端相互をテープ状生地部により連結した紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテンにおいて、垂れ紐部は経糸として経紐に編成し、所定の幅で編糸に水溶性糸を使用し布状に所定の長さまで編みあげた後、水洗により水溶性編糸のみ溶解除去後乾燥して垂れ紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテンとするものである。
「手段2」
手段1において、水洗による編糸の溶解除去工程前に、染色、プリントや刺繍等の加飾をし、その後に編糸のみ溶解除去してなる垂れ紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテンとするものである。
「手段3」
手段1において、経糸である垂れ紐は複数の色別あるいは複数の素材の紐としたことを特徴とし、水洗により編糸のみ溶解除去して垂れ紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテンとする。
「手段4」
手段1において、編み始めテープ状布地結束部を除去し、所定の長さに構成したことを特徴とする垂れ紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテン。
【発明の効果】
【0007】
本発明の垂れ紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテンは以下の効果を有する。
▲1▼第一の従来技術に対し横幅は一定となるが、垂れ紐は編み機上で経糸により紐状に編成されるので、その丈は自由に可変できる。これは第一の従来技術の改良に相当する。そして編み機上で使用する前述した水溶性編糸は、布地状にした後、従来のような引き抜き除去せず、水洗にて溶解除去するため、時間を要しないので、安価となる。これは第二の従来技術の改良に相当する。即ち背丈の高いものも安価に製作できる。
▲2▼水洗による水溶性編糸の溶解除去工程前に、プリントや刺繍等の加飾をし、その後に水溶性編糸のみ溶解除去して垂れ紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテンとすると、カラフルな、また装飾性に富んだ垂れ紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテンとすることが出来る。
▲3▼経糸である垂れ紐は複数の色別あるいは複数の素材の紐とすることが編み工程で容易に出来るので、水洗により水溶性編糸のみ溶解除去した後も装飾性に富んだ垂れ紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテンが安価に実現する。
▲4▼カーテンや部屋の間仕切りとして使用し、紐状なので、従来の布を折りたたむものに対し、極めて束ね易く、採光や通路部空間を容易に確保できるとともに装飾性に富んだインテリア空間を表現できる。
▲5▼編み始めテープ状布地結束部を除去し、所定の長さに構成したことにより、解れ難い垂れ紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテンを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を実現するための具体的な方法を以下に示す。
【実施例1】
【0009】
図1aは本発明を具現した経糸と水溶性糸を編みこむ場合の図であり、第一製造工程の図となる。図1bは図1aの組織の拡大図である。1は経糸であり垂れ紐状部5を編成し、2は複数の経糸1を上部4で結束し下部6で結束し、テープ状布地結束部を編成するための挿入糸、3は経糸を連結するための水溶性の編糸である。上部4は編み終わりテープ状布地結束部、5は1及び2で編成された垂れ紐状部、下部6は編み始めテープ状布地結束部である。図1aおよび図1bの編工程は図1aの下部6より編み始め、垂れ紐状部5を編み、上部4で編み工程を終了する。
3の水溶性編糸がないと布地状にならないので、その後の取り扱いや後工程で、更なる加工をする場合に、5なる垂れ紐状部が絡み合い扱い難いものとなる。このようにして編み上げた布地状体はその後、水溶性編糸のみは水溶性なので水洗除去して垂れ紐状部5と上部4、下部6を残し、最後に垂れ紐状部5を7なる点線部で所定の長さにカットし、図1aの下部6の部分を取り除くことで垂れ紐状間仕切りや垂れ紐状カーテンとすることが出来る。また水溶性編糸を水洗除去する前に染色、プリントや刺繍などの加飾を容易にすることが出来る。その後、編糸のみは水溶性なので水洗除去して経糸のみに加飾を残すことが容易に出来る。
【0010】
図2aは図1aの水溶性編糸を水洗除去し経紐部5を7なる点線部で所定の長さにカットした垂れ紐状間仕切りや垂れ紐状カーテンとしたものであり第二製造工程の図となる。図2aの4、5は図1aの4、5と同一部品である。
なお、7なる点線部で所定の長さにカットする際、垂れ紐状間仕切りや垂れ紐状カーテンの裾部に編み始めの部分が来るようにすることにより、1の経糸は編み終わり部より解すと容易に解れてしまうが、編み始め部より解した場合は解れないという特性を有しているため、裾部からの編み目の解れを防止することができる。
【0011】
図3は従来技術の例であり前述した特公平6−61295の図2に相当する図である。8、10はテープ状布地結束部、9は垂れ紐となる編み工程時の緯糸、11は経糸であり、編み後、垂れ紐状カーテンとする前に引き抜き除去するものである。
【産業上の利用可能性】
【0012】
水溶性編糸を使用することで安価で実用性の高い垂れ紐状間仕切りあるいはカーテンを実現できる発明であるので、その工業上の利用可能性は極めて高いものといえる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1a】本発明の第一製造工程の説明図である。
【図1b】図1aの拡大図である。
【図2a】本発明の第二製造工程の説明図である。
【図2b】図2aの拡大図である。
【図3】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
【0014】
1、経糸
2、挿入糸
3、水溶性編糸
4、編み終わりテープ状布地結束部
5、垂れ紐状部
6、編み始めテープ状布地結束部
7、カット位置
8、テープ状布地結束部
9、垂れ紐となる編み工程時の緯糸
10、テープ状布地結束部
11、経糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列された垂れ紐の上端相互をテープ状生地部により連結した紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテンにおいて、該垂れ紐部は経糸として経紐に編成し、所定の幅で横方向に該経糸を連結する編糸に水溶性糸を使用し、布状に所定の縦方向長さまで編みあげた後、水洗により該編糸のみ溶解除去してなる垂れ紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテン。
【請求項2】
請求項1において、水洗による該編糸の溶解除去工程前に、染色、プリントあるいは刺繍等の加飾をし、その後に該編糸のみ溶解除去してなる垂れ紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテン。
【請求項3】
請求項1において、経糸である垂れ紐は複数の色別、あるいは複数の素材の紐としたことを特徴とする、該編糸のみ水洗溶解除去してなる垂れ紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテン。
【請求項4】
請求項1において、編み始めテープ状布地結束部を除去し、所定の長さに構成したことを特徴とする垂れ紐状間仕切りまたは垂れ紐状カーテン。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−181699(P2007−181699A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−357167(P2006−357167)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3120452号
【原出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(593071823)株式会社黒沢レ−ス (13)
【Fターム(参考)】