説明

垂盆草から得られる肝保護剤、該肝保護剤を含有する医薬又は食品、及び垂盆草から得られる新規メガスチグマン化合物。

【課題】ベンケイソウ科植物である垂盆草より得られる肝保護剤、肝保護効果を有するヒト又は動物用医薬もしくは食品、さらに、垂盆草の抽出成分を分離、精製することにより得ることができる新規メガスチグマン化合物を提供する。
【解決手段】垂盆草の全草、水もしくは低級脂肪族アルコールの含水物等により垂盆草を抽出して得られる抽出液、又は前記抽出液を濃縮して得られる抽出エキス、又は該抽出液等を分離、精製して得られるメガスチグマン化合物を含むことを特徴とする肝保護剤、この肝保護剤を含有するヒト又は動物用医薬及び食品、並び該抽出液等を分離、精製することにより得ることができる新規メガスチグマン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンケイソウ科(Crassulaceae)植物である垂盆草、その抽出物もしくは抽出エキス、又はこれらから得られるメガスチグマン化合物を含有する肝保護剤、及びその肝保護剤を含有する医薬や健康食品に関する。本発明は、さらに、垂盆草、その抽出物又は抽出エキスから得られる新規メガスチグマン化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
垂盆草(学名:Sedum sarmentosum Bge.)は、多年生多肉質草本で、高さは10〜20cm、茎は淡紅色で、枝は細く、斜めに伸び、ほふくし、花序に近いところにまた根が生じやすい。中国の遼寧、河北、河南、山東、山西、陜西、四川、浙江、江蘇、安徽、江西、湖北、広西、雲南、貴州省などに分布し、その山間部の山肌の傾斜面もしくは岩石上に自生している。垂盆草は和名をツルマンネングサと称し、またその全草は漢薬“石指甲(セキシコウ)”と称され、「清熱する、腫れを消す、解毒する、の効能がある」等とされている(非特許文献1)。しかしながら従来は、垂盆草に関する詳細な含有成分の探索等の科学的研究はあまり実施されていなかった。
【非特許文献1】上海科学技術出版社編、中薬大辞典、小学館、1985、pp.1427−1428.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、垂盆草に関する詳細な含有成分の探索、及びその薬剤としての作用についての研究に基づいてなされたもので、垂盆草より得られ、肝保護作用を有する薬剤(肝保護剤)を提供することを目的とする。本発明は、又、この肝保護剤を含有するヒト又は動物用医薬、及び、この肝保護剤を含有する食品を提供することを目的とする。本発明は、さらに、垂盆草を水や低級アルコール等により抽出し、抽出成分を分離、精製することにより得ることができる新規メガスチグマン化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、垂盆草の全草や、垂盆草を水や低級脂肪族アルコール等により抽出して得られた抽出液又は抽出エキスについて、肝保護剤としての活性評価の指標として、マウス肝初代培養細胞を用いたD−ガラクトサミン(D−GalN)誘発細胞障害に対する保護作用を検討した。その結果、垂盆草の全草、その抽出液、抽出エキスが、この保護作用を示すことを見出し、以下に示す態様の発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は、その第1の態様として、垂盆草の全草、水、低級脂肪族アルコールもしくは低級脂肪族アルコールの含水物により垂盆草を抽出して得られる抽出液、又は前記抽出液を濃縮して得られる抽出エキスを有効成分として含むことを特徴とする肝保護剤(請求項1)を提供する。
【0006】
本発明者は、さらに、前記の抽出液又は抽出エキスを分離、精製し、含有成分の詳細な探索等を行うとともに、この分離、精製により得られた化合物について、マウス肝初代培養細胞を用いたD−ガラクトサミン(D−GalN)誘発細胞障害に対する保護作用を検討したところ、いくつかの化合物がこの保護作用を示すことを見出し、以下に示す態様の発明を完成した。
【0007】
即ち本発明は、その第2の態様として、下記の構造式(1)〜(5)、(7)、(13)、(15)、(16)、及び(19)〜(30)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表されるメガスチグマン化合物を有効成分として含むことを特徴とする肝保護剤(請求項2)を提供する。
【0008】
【化1】

【0009】
【化2】

【0010】
【化3】

【0011】
【化4】

【0012】
【化5】

【0013】
【化6】

【0014】
【化7】

【0015】
【化8】

【0016】
【化9】

【0017】
【化10】

【0018】
【化11】

【0019】
【化12】

【0020】
【化13】

【0021】
【化14】

【0022】
【化15】

【0023】
【化16】

【0024】
【化17】

【0025】
【化18】

【0026】
【化19】

【0027】
【化20】

【0028】
【化21】

【0029】
前記の第1の態様及び第2の態様の肝保護剤は、肝保護作用を有するため、これを含有させることにより、肝保護作用を有する医薬や健康食品等を得ることができる。即ち、本発明は、その第3の態様として、前記の第1の態様及び第2の態様の肝保護剤を含有することを特徴とするヒト又は動物用の医薬(請求項3)を提供する。又、その第4の態様として、前記の第1の態様及び第2の態様の肝保護剤を含有することを特徴とする食品(請求項4)を提供する。
【0030】
本発明者は、さらに又、前記の抽出液又は抽出エキスを分離、精製して得られた含有成分の中に、いくつかの新規化合物が含まれていることを見いだした。これらの新規化合物の中には、前記構造式(1)〜(5)、(7)、(13)、(15)、(16)及び(19)〜(23)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表され、肝保護作用を有するメガスチグマン化合物が含まれている。即ち、本発明は、その第5の態様として、前記構造式(1)〜(5)、(7)、(13)、(15)、(16)及び(19)〜(23)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表される新規なメガスチグマン化合物(請求項5)を提供する。
【0031】
本発明者は、前記の抽出液又は抽出エキスを分離、精製して得られた含有成分の中には、他に、下記の構造式(6)、(8)〜(12)、(14)、(17)、及び(18)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表されるメガスチグマン化合物が含まれていることを見出した。これらの化合物と類似構造のメガスチグマン化合物には、これまでに、抗発ガンプロモーター活性、抗原誘発ヒスタミン遊離抑制活性、ラジカル消去活性、抗炎症活性、抗菌活性及び膵島からのインスリン分泌促進活性等を有することが見出されている。従って、下記の構造式(6)、(8)〜(12)、(14)、(17)、及び(18)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表されるメガスチグマン化合物も、同様な活性を有し、同様な条件にて医薬等に適用できると考えられる。
【0032】
【化22】

【0033】
【化23】

【0034】
【化24】

【0035】
【化25】

【0036】
【化26】

【0037】
【化27】

【0038】
【化28】

【0039】
【化29】

【0040】
【化30】

【0041】
即ち、本発明は、その第6の態様として、前記構造式(6)、(8)〜(12)、(14)、(17)、及び(18)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表される新規なメガスチグマン化合物(請求項6)を提供する。
【発明の効果】
【0042】
本発明の第1の態様(垂盆草の全草、その水、低級脂肪族アルコールもしくはその含水物による抽出により得られる抽出液または抽出エキスを有効成分として含有)、又は第2の態様(構造式(1)〜(5)、(7)、(13)、(15)、(16)及び(19)〜(30)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表されるメガスチグマン化合物を有効成分として含有)の肝保護剤は、マウス肝初代培養細胞を用いたD−ガラクトサミン(D−GalN)誘発細胞障害に対する保護作用を示し、肝保護剤としての優れた活性を有する。この肝保護剤を含有させた医薬や健康食品(本発明の第3の態様、第4の態様)は、優れた肝保護効果を示す医薬又は健康食品である。さらに、本発明の第5の態様の新規なメガスチグマン化合物は、前記のような肝保護作用を有するものであり、肝保護剤として使用することができる。さらに又、本発明の第6の態様の新規なメガスチグマン化合物は、抗発ガンプロモーター活性、抗原誘発ヒスタミン遊離抑制活性、ラジカル消去活性、抗炎症活性、抗菌活性及び膵島からのインスリン分泌促進活性等を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
次に、本発明を実施するための最良の形態につき説明するが、本発明の範囲はこの実施の形態のみに限定されるものではない。
【0044】
本発明の第1の態様の肝保護剤としては、垂盆草の全草を用いたものを例示することができる。垂盆草の全草を用いる場合は、垂盆草の全草をそのまま用いることができるし、又は、粉砕、破砕、切断、すりつぶしなどによる形状変化を行ったもの、もしくは、乾燥などの調製を実施したものを用いることもできる。
【0045】
本発明の第1の態様の肝保護剤としては、又、垂盆草を、水、低級脂肪族アルコールもしくは低級脂肪族アルコールの含水物により抽出して得られる抽出液、又はその抽出エキスを用いたものも例示することができる。
【0046】
この抽出液は、垂盆草の全草をそのまま、水、低級脂肪族アルコール及び低級脂肪族アルコールの含水物より選ばれる抽出溶媒により、抽出して得ることもできるが、垂盆草の全草を、粉砕、破砕、切断、すりつぶしなどによる形状変化を行ったものを用いて抽出する方法が、抽出効率の面で好ましい。
【0047】
抽出溶媒として用いられるアルコールとしては、炭素数1〜4の低級アルコール類が挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール又はこれらの混液が挙げられる。抽出溶媒としては、好ましくはこれらのアルコール、又はこれらのアルコールに30容量%までの水を含有する含水アルコールが用いられる。前記のアルコールの中でもメタノール又はエタノールが好ましい。これらの抽出溶媒は、抽出材料に対して、1〜50倍(重量)程度、好ましくは10〜30倍程度用いられる。
【0048】
抽出温度は、室温〜溶媒の沸点の間で任意に設定できるが、例えば50℃〜抽出溶媒の沸点の温度で、振盪下もしくは非振盪下または還流下に、前記の抽出材料、即ち、垂盆草の全草、又は、それを粉砕、破砕、切断、すりつぶしなどによる形状変化を行ったもの等を、前記の抽出溶媒に浸漬することによって行うのが適当である。
【0049】
好ましい抽出時間は、抽出温度や抽出の際の振盪の有無等により変動し、特に限定されない。例えば、抽出材料を振盪下に浸漬する場合には、30分間〜10時間程度行うのが適当であり、非振盪下に浸漬する場合には、1時間〜20日間程度行うのが適当である。又、抽出溶媒の還流下に抽出するときは、30分間〜数時間加熱還流するのが好ましい。なお、50℃より低い温度で浸漬して抽出することも可能であるが、その場合には、前記の時間よりも長時間浸漬するのが好ましい。抽出操作は、同一材料について1回だけ行ってもよいが、複数回、例えば2〜5回程度繰り返すのが好ましい。
【0050】
前記の抽出工程により得られた抽出液には垂盆草の含有成分が溶出されている。本発明の肝保護剤には、このようにして得られた抽出液をそのまま加えてもよいが、前記抽出液を濃縮して抽出エキスにして肝保護剤としてもよい。濃縮は、低温で減圧下に行うのが好ましい。なお、濃縮する前にろ過してろ液を濃縮してもよい。抽出エキスは、濃縮したままの状態で肝保護剤として用いることができるが、また、濃縮は乾固するまで行ってもよく、粉末状又は凍結乾燥品等として用いてもよい。濃縮する方法、粉末状及び凍結乾燥品とする方法は、当該分野での公知の方法を用いることができる。
【0051】
このようにして得られる抽出液又は抽出エキスを、精製処理に付し、含有される各成分に分離することができる。そして、分離された成分中には、肝保護作用を有する化合物が含まれており、これらも肝保護剤として用いることができる(本発明の第2の態様)。
【0052】
精製処理は、例えば、クロマトグラフ法、イオン交換樹脂を使用する溶離法、溶媒による分配抽出等を単独又は組み合わせて採用することができる。クロマトグラフ法としては、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、遠心液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を挙げることができ、これらのいずれか又はそれらを組み合わせで行う方法が挙げられる。この際の担体、溶出溶媒等の精製条件は、各種クロマトグラフィーに対応して適宣選択することができる。
【0053】
抽出液又は抽出エキスを、精製処理に付し、各成分に分離することにより、前記の構造式(1)〜(30)のいずれかで表される化合物を得ることができる。この中で、構造式(1)〜(23)のいずれかで表されるメガスチグマン化合物は、新規の化合物であり、それぞれ以下に示すように命名した。
【0054】
構造式(1)の化合物:サルメント酸(sarmantoic acid)
構造式(2)の化合物:サルメントールA(sarmentol A)
構造式(3)の化合物:セダモシドA1(Sedumoside A1)
構造式(4)の化合物:セダモシドA2(Sedumoside A2)
構造式(5)の化合物:セダモシドA3(Sedumoside A3)
構造式(6)の化合物:セダモシドA4(Sedumoside A4)
構造式(7)の化合物:セダモシドA5(Sedumoside A5)
構造式(8)の化合物:セダモシドA6(Sedumoside A6)
構造式(9)の化合物:セダモシドB(Sedumoside B)
構造式(10)の化合物:セダモシドC(Sedumoside C)
構造式(11)の化合物:セダモシドD(Sedumoside D)
構造式(12)の化合物:セダモシドE1(Sedumoside E1)
構造式(13)の化合物:セダモシドE2(Sedumoside E2)
構造式(14)の化合物:セダモシドE3(Sedumoside E3)
構造式(15)の化合物:セダモシドF1(Sedumoside F1)
構造式(16)の化合物:セダモシドF2(Sedumoside F2)
構造式(17)の化合物:セダモシドG(Sedumoside G)
構造式(18)の化合物:セダモシドH(Sedumoside H)
構造式(19)の化合物:セダモシドI(Sedumoside I)
構造式(20)の化合物:サルメノシドI(sarmenoside I)
構造式(21)の化合物:サルメノシドII(sarmenoside II)
構造式(22)の化合物:サルメノシドIII(sarmenoside III)
構造式(23)の化合物:サルメノシドIV(sarmenoside IV)
【0055】
また、構造式(24)で表される化合物は、抽出過程でサルメント酸がメチル化された二次生成物と考えられるサルメント酸メチルエステルであり、構造式(25)で表される化合物は、(3S,5R,6S,9R)−メガスチグマン−3,9−ジオール((3S,5R,6S,9R)−megastigman−3,9−diol)であり、構造式(26)で表される化合物は、アランジオシドJ(alangioside J)であり、構造式(27)で表される化合物は、ミルシニオノシドD(myrsinionoside D)であり、構造式(29)で表される化合物は、ミルシニオノシドA(myrsinionoside A)であり、いずれも、Otsuka H. et.al.,Chem. Pharm. Bull.,49,1093−1097(2001).に記載された既知化合物である。
【0056】
構造式(28)で表される化合物は、プラタニオノシドD(platanionoside D)であり、Otsuka H. et.al.,Chem. Pharm. Bull.,50,390−394(2002).に記載された既知化合物である。又、構造式(30)で表される化合物は、アランジオシドA(alangioside A)であり、De Marino S. et.al.,J. Agric. Food Chem.,52,7525−7531(2004).に記載された既知化合物である。
【0057】
前記のように、垂盆草の全草、水、低級脂肪族アルコールもしくは低級脂肪族アルコールの含水物により垂盆草を抽出して得られる抽出液、前記抽出液を濃縮して得られる抽出エキス、及び、構造式(1)〜(5)、(7)、(13)、(15)、(16)及び(19)〜(30)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表されるメガスチグマン化合物は、肝保護剤としての活性評価の指標として実施したマウス肝初代培養細胞を用いたD−GalN誘発細胞障害に対する保護作用試験において、活性が見出された。
【0058】
この保護作用試験は、正常細胞である初代培養肝細胞に肝毒物であるD−GalNを共存させて培養し、培養後の細胞生存率をMTTアッセイにて評価したものである。これにより、D−GalN存在下での肝細胞の生存率の高い検体は、直接的な肝毒物による細胞障害から保護する作用を有すると判断される。従って、垂盆草の全草、水、低級脂肪族アルコールもしくは低級脂肪族アルコールの含水物により垂盆草を抽出して得られる抽出液、前記抽出液を濃縮して得られる抽出エキス、及び、構造式(1)〜(5)、(7)、(13)、(15)、(16)及び(19)〜(30)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表されるメガスチグマン化合物は、肝保護剤として用いることができる。
【0059】
さらに、この本発明の肝保護剤は、医薬や食品に適用することができ、この肝保護剤を含有させることにより優れた肝保護効果を有する医薬や健康食品を製造することができる。
【0060】
例えば、垂盆草の全草、水、低級脂肪族アルコールもしくは低級脂肪族アルコールの含水物により垂盆草を抽出して得られる抽出液、前記抽出液を濃縮して得られる抽出エキス、及び、構造式(1)〜(5)、(7)、(13)、(15)、(16)及び(19)〜(30)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表されるメガスチグマン化合物のそれぞれを、そのままの状態で又は適当な媒体で希釈して、医薬品等の製造分野における公知の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤又は液剤等の種々の形態にして、医薬品として使用することができる。
【0061】
これらの形態においては、適当な媒体を添加してもよい。適当な媒体としては、医薬的に許容される賦形剤、例えば結合剤(例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガント又はポリビニルピロリドン)、充填剤(例えば乳糖、砂糖、トウモロコシ澱粉、リン酸カルシウム、ソルビトール又はグリシン)、錠剤用滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール又はシリカ)、崩壊剤(例えば馬鈴薯澱粉)又は湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)等が挙げられる。
【0062】
錠剤とする場合は、通常の製薬における周知の方法でコートしてもよい。液体製剤とする場合は、例えば水性又は油性の懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ又はエリキシルの形態であってもよい。又、使用前に水や他の適切な賦形剤と混合する乾燥製品として提供してもよい。
【0063】
こうした液体製剤は、通常の添加剤、例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン水添加食用脂等の懸濁化剤、レシチン、ソルビタンモノオレエート、アラビアゴム等の乳化剤(食用脂を含んでもよい)、アーモンド油、分画ココヤシ油又はグリセリン、プロピレングリコールやエチレングリコールのような油性エステル等の非水性賦形剤、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル又はソルビン酸等の保存剤、を含んでもよく、さらに所望により着色剤又は香料等を含んでもよい。
【0064】
垂盆草の全草、水、低級脂肪族アルコールもしくは低級脂肪族アルコールの含水物により垂盆草を抽出して得られる抽出液、前記抽出液を濃縮して得られる抽出エキス、及び、構造式(1)〜(5)、(7)、(13)、(15)、(16)及び(19)〜(30)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表されるメガスチグマン化合物は、それぞれ単独で又は混合物として、食品又は健康食品に含有させ、食品又は健康食品に肝保護効果を与えることができる。
【0065】
ここで、健康食品とは、通常の食品よりも積極的な意味で、保健、健康維持・増進等を目的とした食品を意味する。食品又は健康食品の形態としては、例えば、液体又は半固形、固形の製品、具体的には散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤又は液剤等のほか、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類、清涼飲料、お茶類、栄養飲料、スープ等の形態が挙げられる。これらの食品の製造工程において、あるいは最終製品に、前記の抽出物、抽出エキス、及び/又は化合物を混合又は塗布、噴霧などにより添加して、健康食品とすることができる。
【0066】
本発明の医薬又は食品における、前記抽出液、抽出エキス、構造式(1)〜(5)、(7)、(13)、(15)、(16)及び(19)〜(30)から選ばれるいずれかで表される化合物の使用量は、濃縮、精製の程度、活性の強さ等、使用目的、対象疾患や自覚症状の程度、使用者の体重、年齢等によって適宣調整される。例えば、医薬として成人について使用する場合は、1回の投与毎に、抽出液又は抽出エキスでは、1mg〜20g程度の範囲で使用し、この範囲内で精製度や水分含量等に応じて調整することが適当な場合が多い。又、前記化合物を使用する場合は、1mg〜1g程度が適当な場合が多い。
【0067】
また、健康食品として使用する場合は、食品の味や外観に悪影響を及ぼさない量、例えば、対象となる食品1kgに対して、前記の抽出液又は抽出エキス、式(1)〜式(5)、式(7)、式(13)、式(15)、式(16)及び(19)〜(30)の化合物を、1mg〜20g程度の範囲で添加することが適当な場合が多い。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、以下の実施例では、特に記載がない限り、以下の各種溶媒、ろ紙、クロマトグラフィー用担体及びHPLCカラムを用いた。
【0069】
[溶媒]
メタノール:ナカライテスク社製、一級
クロロホルム:ナカライテスク社製、一級
HPLC用メタノール:関東化学社製、特級
HPLC用アセトニトリル:関東化学社製、特級
【0070】
[ろ紙] アドバンテック社製:No.2
【0071】
[クロマトグラフィー用担体]
順相シリカゲルカラムクロマトグラフ用担体:富士シリシア社製、BW−200,150〜300メッシュ
逆相ODSカラムクロマトグラフ用担体:富士シリシア社製、Chromatorex ODS1020T,100〜200メッシュ
多孔質ポリマーカラムクロマトグラフ用担体:日本練水社製、ダイアイオンHP−20及びファルマシア社製、セファデックスLH−20
【0072】
[HPLCカラム]
YMC社製、YMC Pack−ODS−A、20mm(i.d.)×250mm
【0073】
実施例1 垂盆草全草の熱水抽出エキスの調製
新鮮な垂盆草の全草800kgを粉砕し、これに約10倍量の水(8000L)を加え、加熱還流下1時間抽出した。抽出後、ひだ折りろ紙でろ過した後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下に、抽出液より溶媒を留去して、垂盆草(ツルマンネングサ)の熱水抽出エキス10kg(乾燥原料からの収率1.25%)を得た。
【0074】
実施例2 熱水抽出エキスの分離及び精製
前記の熱水抽出エキス(1950g)に約10倍量のメタノール(20L)を加え、加熱還流下3時間抽出した。抽出後、ひだ折りろ紙でろ過した後、抽出残渣に再度メタノール(50L)を加え、3時間加熱還流し、同様にろ過作業を行った。合計3回の抽出を行い、その抽出液をあわせ、ロータリーエバポレーターを用いて、減圧下に溶媒を留去して、垂盆草のメタノール可溶性画分887.5g(原料からの収率0.57%)を得た。
【0075】
実施例3 メタノール可溶性画分の調製
前記メタノール可溶性画分(398.6g)を、多孔質ポリマーカラムカラムクロマトグラフィー(ダイアイオンHP−20:4.0kg,移動相:水→メタノール)で順次溶出し、水溶出部(305.0g)及びメタノール溶出部(93.6g)を得た。
【0076】
実施例4 メタノール溶出部の分離及び精製
前記メタノール溶出部(72.0g)を、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(2.0kg、移動相:クロロホルム/メタノール/水(10/3/0.5,下層→7/3/1,下層)→メタノール)で順次溶出し、溶出画分1(12.1g)、2(19.2g)、3(10.4g)、4(8.7g)、5(16.3g)を得た。
【0077】
実施例5
このうち、溶出画分1(12.1g)について、逆相ODSカラムクロマトグラフィー(300g,移動相:メタノール/水(5/95→10/90→20/80→30/70→50/50→70/30)→メタノール)、多孔質ポリマーカラムカラムクロマトグラフィー(セファデックスLH−20:150g,移動相:クロロホルム/メタノール(50/50))及びHPLC(移動相:メタノール/水(35/65,40/60又は50/50))にて分離、精製し、a(125.8mg,0.00023%)、b(107.2mg,0.00020%)、c(48.5mg,0.00009%)、及びd(14.8mg,0.00003%)を得た。a〜dのそれぞれについて、質量分析、赤外吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトル等の測定を行ったところ後述する結果が得られた。又、その結果より構造決定を行ったところ、それぞれ、以下に示す番号の構造式で表される化合物であることがわかった。
【0078】
a: 構造式(2) サルメントールA
b: 構造式(19) セダモシドI
c: 構造式(29) ミリシニオノシドA
d: 構造式(25)(3S,5R,6S,9R)−メガスチグマン−3,9−ジオール
【0079】
実施例6
溶出画分2(19.2g)について、逆相ODSカラムクロマトグラフィー(600g,移動相:メタノール/水(20/80→30/70→40/60→70/30)→メタノール)、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(100g,移動相:クロロホルム→クロロホルム/メタノール(50/1→20/1→10/1)→クロロホルム/メタノール/水(20/3/1,下層)→メタノール)もしくは多孔質ポリマーカラムカラムクロマトグラフィー(セファデックスLH−20:150g,移動相:クロロホルム/メタノール(50/50))、及びHPLC(移動相:メタノール/水(30/70,32/68又は40/60)、アセトニトリル/水(15/85)又はアセトニトリル/メタノール/水(10/8/82又は20/8/72))にて分離、精製し、化合物e(429.8mg,0.00080%)、f(196.5mg,0.00036%)、g(899.2mg,0.0017%)、h(230.1mg,0.00029%)、i(4.9mg,0.00001%)、j(3.2mg,0.00001%)、k(24.1mg,0.00005%)、l(263.5mg,0.00049%)、m(5.1mg,0.00001%)、n(21.7mg,0.00004%)、o(5.3mg,0.00001%)、p(82.5mg,0.00015%)、q(22.6mg,0.00004%)、r(2.5mg,0.00001%)、s(121.2mg,0.00023%)、t(34.1mg,0.00006%)、u(24.5mg,0.00005%)、v(102.1mg,0.00019%)、w(52.8mg,0.00010%)、x(182.1mg,0.00034%)を得た。e〜xのそれぞれについて、質量分析、赤外吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトル等の測定を行ったところ後述する結果が得られた。又、その結果より構造決定を行ったところ、それぞれ、以下に示す番号の構造式で表される化合物であることがわかった。
【0080】
e: 構造式(1) サルメント酸
f: 構造式(3) セダモシドA1
g: 構造式(4) セダモシドA2
h: 構造式(5) セダモシドA3
i: 構造式(6) セダモシドA4
j: 構造式(9) セダモシドB
k: 構造式(10) セダモシドC
l: 構造式(11) セダモシドD
【0081】
m: 構造式(12) セダモシドE1
n: 構造式(13) セダモシドE2
o: 構造式(14) セダモシドE3
p: 構造式(15) セダモシドF1
q: 構造式(16) セダモシドF2
r: 構造式(17) セダモシドG
s: 構造式(18) セダモシドH
t: 構造式(19) セダモシドI
u: 構造式(24) サルメント酸メチルエステル
v: 構造式(26) アランジオシドJ
w: 構造式(30) アランジオシドA
x: 構造式(27) ミリシニオノシドD
【0082】
実施例7
溶出画分3(10.4 g)について、逆相ODSカラムクロマトグラフィー(240 g,移動相:メタノール/水(10/90→20/80→30/70→40/60)→メタノール)、多孔質ポリマーカラムカラムクロマトグラフィー(セファデックスLH−20:150g,移動相:クロロホルム/メタノール(50/50))及びHPLC(移動相:メタノール/水(32/68,40/60又は45/55))にて分離、精製し、y(21.6mg,0.00004%)、z(73.8mg,0.00014%)、ab(72.2mg,0.00013%)、ac(17.7mg,0.00003%)及びad(12.0mg,0.00002%)を得た。y、z、ab、ac及びadのそれぞれについて、質量分析、赤外吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトル等の測定を行った。又、その結果より構造決定を行ったところ、それぞれ、以下に示す番号の構造式で表される化合物であることがわかった。
【0083】
y: 構造式(12) セダモシドE1
z: 構造式(13) セダモシドE2
ab: 構造式(16) セダモシドF2
ac: 構造式(28) プランタニオシドD
ad: 構造式(8) セダモシドA6
【0084】
実施例8
溶出画分4(8.7g)について、逆相ODSカラムクロマトグラフィー(240g,移動相:メタノール/水(10/90→20/80→30/70→40/60→50/50)→メタノール)、多孔質ポリマーカラムカラムクロマトグラフィー(セファデックスLH−20:150g,移動相:クロロホルム/メタノール(50/50))及びHPLC(移動相:メタノール/水(35/65))にて分離、精製し、bb(18.4mg,0.00003%)、bc(28.1mg,0.00005%)、bd(343.9mg,0.00064%)、be(6.3mg,0.00001%)及びbf(10.6mg,0.00002%)を得た。なお、HPLCの条件は、移動相:メタノール/水(40/60))又はアセトニトリル/メタノール/水(15/8/77)としてもよい。
【0085】
bb、bc、bd、be及びbfのそれぞれについて、質量分析、赤外吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトル等の測定を行った。又、その結果より構造決定を行ったところ、それぞれ、以下に示す番号の構造式で表される化合物であることがわかった。
【0086】
bb: 構造式(7) セダモシドA5
bc: 構造式(20) サルメノシドI
bd: 構造式(21) サルメノシドII
be: 構造式(22) サルメノシドIII
bf: 構造式(23) サルメノシドIV
【0087】
前記の実施例で得られたa〜z、ab、ac、ad、bb、bc、bd、be及びbfについての、質量分析、赤外吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトル等の測定により得られた結果を以下に示す。なお、以下のH−NMR及び13C−NMRによる構造解析に用いたナンバリングは、次式に基づいている。
【0088】
[構造式(1)〜(19)の化合物について]
【0089】
【化31】

【0090】
[構造式(20)〜(23)の化合物について]
【0091】
【化32】

【0092】
[e(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]27: −3.3°(c=1.02,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C1324Na (M+Na): 267.1572
実測値 : 267.1579
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3364,2971,2922,2512,1713,1470,1294,1267,1192,1113,1080,1042,948,793,650
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 267 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,ピリジン−d):δ
1.42(1H,br dd,J=ca.3,14Hz,2α−H),1.81(1H,m,2β−H),4.29(1H,m,3−H),1.28(1H,ddd,J=2.8,13.2,14.7Hz,4α−H),1.97(1H,ddd,J=3.1,5.5,14.7Hz,4β−H),2.12(1H,m,5−H),0.78(1H,ddd,J=2.2,5.8,10.8Hz,6−H),1.72,2.05(1H each,both m,7−H),2.19,2.22(1H each,both m,8−H),4.73(1H,dd,J=4.0,7.6Hz,9−H),1.34,1.03(3H each,both s,11,12−H),1.07(3H,d,J=6.7Hz,13−H
13C−NMR(125MHz,ピリジン−d):δ
34.8(C−1),48.0(C−2),66.7(C−3),44.4(C−4),29.7(C−5),53.7(C−6),25.5(C−7),37.6(C−8),71.7(C−9),178.2(C−10),23.5(C−11),31.9(C−12),21.2(C−13)
以上の結果より、前記構造式(1)で表される構造を有するサルメント酸であることが判った。
【0093】
[a(前記実施例5)の物性測定値]
・性状: 無色油状物質
・旋光度:[α]27: −7.4° (c=0.10,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C1326Na (M+Na): 253.1780
実測値 : 253.1774
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3389,2926,2874,1472,1387,1026,756
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 253 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,CDCl):δ
1.10(1H,dd,J=11.9,11.9Hz,2α−H),1.69(1H,ddd,J=2.8,4.3,11.9Hz,2β−H),3.76(1H,m,3−H),0.93(1H,ddd,J=12.2,12.2,12.2Hz,4α−H),1.92(1H,m,4β−H),1,46(1H,m,5−H),0.55(1H,ddd,J=1.9,4.9,10.7Hz,6−H),1.05,1.57(1H each,both m,7−H),1.40,1.55(1H each,both m,8−H),3.67(1H,m,9−H),(3.44(1H,dd,J=8.2,11.6Hz),3.67(1H,dd,J=3.1,11.6Hz),10−H2),0.81,0.95(3H each,both s,11,12−H),0,98(3H,d,J=6.5Hz,13−H
13C−NMR(125MHz,CDCl):δ
35.9(C−1),51.0(C−2),66.9(C−3),45.6(C−4),33.6(C−5),52.7(C−6),24.9(C−7),35.5(C−8),72.8(C−9),66.7(C−10),21.0(C−11),30.7(C−12),21.5(C−13)
以上の結果より、前記構造式(2)で表される構造を有するサルメントールAであることが判った。
【0094】
[f(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]22: −28.3° (c=1.64,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C1936Na (M+Na): 415.2308
実測値 :415.2313
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3389,2930,2876,1474,1368,1163,1078,1022
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 415 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,ピリジン−d):δ
1.29(1H,dd,J=12.2,12.2Hz,2α−H),2.03(1H,ddd,J=1.9,3.5,12.2Hz,2β−H),4.12(1H,m,3−H),1.20(1H,ddd,J=11.3,11.3,11.3Hz,4α−H),2.21(1H,m,4β−H),1.28(1H,m,5−H),0.57(1H,ddd,J=2.2,4.6,10.7Hz,6−H),1.18,1.83(1H each,both m,7−H),1.65,1.89(1H each,both m,8−H),4.05(1H,m,9−H),(3.52(1H,dd,J=5.8,11.9Hz),3.65(1H,dd,J=3.4,11.9Hz),10−H),0.75,0.92(3H each,both s,11,12−H),0.92(3H,d,J=6.1Hz,13−H),5.02(1H,d,J=7.6Hz,Glc−1−H)
13C−NMR(125MHz,ピリジン−d):δ
35.8(C−1),48.1(C−2),74.2(C−3),44.3(C−4),33.9(C−5),53.1(C−6),25.7(C−7),36.9(C−8),73.3(C−9),67.5(C−10),21.0(C−11),30.9(C−12),21.1(C−13),103.0(C−Glc−1),75.4(C−Glc−2),78.7(C−Glc−3),71.8(C−Glc−4),78.5(C−Glc−5),62.9(C−Glc−6)
以上の結果より、前記構造式(3)で表される構造を有するセダモシドA1であることが判った。
【0095】
[g(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]27: −6.2° (c=1.69,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C1936Na (M+Na) : 415.2308
実測値 :415.2313
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3410,2918,1508,1474,1377,1165,1076,1022
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 415 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,ピリジン−d):δ
1.36(1H,dd,J=12.0,12.0Hz,2α−H),1.90(1H,m,2β−H),3.97(1H,m,3−H),1.17,2.10(1H each,both m,4α,4β−H),1.35(1H,m,5−H),0.53(1H,ddd,J=2.2,5.3,11.7Hz,6−H),1.18,1.89(1H each,both m,7−H),1.77,1.85(1H each,both m,8−H),4.10(1H,m,9−H),3.79(2H,m,10−H),0.83,0.93(3H each,both s,11,12−H),0.97(3H,d,J=6.2Hz,13−H),5.12(1H,d,J=7.6Hz,Glc−1−H)
13C−NMR(125MHz,ピリジン−d):δ
36.0(C−1),51.9(C−2),66.0(C−3),46.6(C−4),33.9(C−5),53.3(C−6),25.3(C−7),35.0(C−8),82.8(C−9),65.0(C−10),21.2(C−11),31.0(C−12),21.3(C−13),104.5(C−Glc−1),75.7(C−Glc−2),78.4(C−Glc−3),71.7(C−Glc−4),78.2(C−Glc−5),62.8(C−Glc−6)
以上の結果より、前記構造式(4)で表される構造を有するセダモシドA2であることが判った。
【0096】
[h(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]27: −16.9° (c=0.95,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C1936Na (M+Na) : 415.2308
実測値 : 415.2303
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3389,2940,1561,1522,1474,1175,1085,1032
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 415 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,ピリジン−d):δ
1.39(1H,dd,J=12.0,12.0Hz,2α−H),1.92(1H,ddd,J=2.8,4.5,12.0Hz,2β−H),4.02(1H,m,3−H),1.21(1H,ddd,J=11.3,11.3,11.3Hz,4α−H),2.12(1H,m,4β−H),1.35(1H,m,5−H),0.53(1H,ddd,J=2.5,5.0,11.0Hz,6−H),1.16,1.82(1H each,both m,7−H),1.60,1.75(1H each,both m,8−H),4.14(1H,m,9−H),(3.89(1H,dd,J=8.6,10.1Hz),4.27(1H,dd,J=3.7,10.1Hz),10−H),0.80,0.94(3H each,both s,11,12−H),0.96(3H,d,J=6.1Hz,13−H),5.00(1H,d,J=7.6Hz,Glc−1−H)
13C−NMR(125MHz,ピリジン−d):δ
35.9(C−1),52.1(C−2),66.0(C−3),46.8(C−4),34.0(C−5),53.1(C−6),25.5(C−7),36.5(C−8),71.4(C−9),75.8(C−10),21.3(C−11),31.0(C−12),21.3(C−13),105.5(C−Glc−1),75.4(C−Glc−2),78.6(C−Glc−3),71.7(C−Glc−4),78.6(C−Glc−5),62.8(C−Glc−6)
以上の結果より、前記構造式(5)で表される構造を有するセダモシドA3であることが判った。
【0097】
[i(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]26: −11.1° (c=0.25,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C1834Na (M+Na) : 385.2202
実測値 : 385.2209
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3405,2924,2870,1473,1072,1039
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 385 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
1.09(1H,dd,J=11.9,11.9Hz,2α−H),1.64(1H,ddd,J=2.4,4.0,11.9Hz,2β−H),3.70(1H,m,3−H),0.90(1H,ddd,J=11.9,11.9,11.9Hz,4α−H),1.89(1H,m,4β−H),1.45(1H,m,5−H),0.53(1H,ddd,J=2.0,4.6,10.7Hz,6−H),1.07,1.66(1H each,both m,7−H),1.49,1.65(1H each,both m,8−H),3.62(1H,m,9−H),(3.53(1H,dd,J=6.7,12.5Hz),3.62(1H,m),10−H),0.84,0.95(3H each,both s,11,12−H),0.98(3H,d,J=6.8Hz,13−H),4.34(1H,d,J=7.7Hz,Xyl−1−H)
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
36.8(C−1),51.9(C−2),67.4(C−3),46.5(C−4),34.8(C−5),54.3(C−6),26.0(C−7),35.2(C−8),82.8(C−9),65.1(C−10),21.4(C−11),31.3(C−12),21.4(C−13),105.1(C−Xyl−1),75.5(C−Xyl−2),78.0(C−Xyl−3),71.2(C−Xyl−4),67.1(C−Xyl−5)
以上の結果より、前記構造式(6)で表される構造を有するセダモシドA4であることが判った。
【0098】
[bb(前記実施例8)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]19: −16.7° (c=0.93,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C254613Na (M+Na) : 577.2836
実測値 :577.2831
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3410,2941,2898,1474,1171,1076,1030
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 577 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
1.13(1H,dd,J=12.2,12.2Hz,2α−H),1.79(1H,ddd,J=2.2,3.7,12.2Hz,2β−H),3.84(1H,m,3−H),1.02(1H,ddd,J=12.2,12.2,12.2Hz,4α−H),2.01(1H,m,4β−H),1.45(1H,m,5−H),0.55(1H,ddd,J=1.9,5.2,11.3Hz,6−H),1.08,1.65(1H each,both m,7−H),1.57,1.64(1H each,both m,8−H),3.69(1H,m,9−H),(3.52(1H,dd,J=5.8,11.9Hz),3.65(1H,dd,J=3.4,11.9Hz),10−H),0.83,0.97(3H each,both s,11,12−H),0.98(3H,d,J=6.5Hz,13−H),4.33,4.42(1H each,both d,J=7.7Hz,3−O−,9−O−Glc−1−H)
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
36.8(C−1),48.5(C−2),75.8(C−3),44.8(C−4),35.0(C−5),54.4(C−6),26.1(C−7),35.2(C−8),82.5(C−9),64.9(C−10),21.4(C−11),31.4(C−12),21.6(C−13),102.7(3−O−C−Glc−1),75.1(3−O−C−Glc−2),78.1(3−O−C−Glc−3),71.7(3−O−C−Glc−4),77.9(3−O−C−Glc−5),62.7(3−O−C−Glc−6),104.0(9−O−C−Glc−1),75.6(9−O−C−Glc−2),78.1(9−O−C−Glc−3),71.7(9−O−C−Glc−4),77.9(9−O−C−Glc−5),62.7(9−O−C−Glc−6)
以上の結果より、前記構造式(7)で表される構造を有するセダモシドA5であることが判った。
【0099】
[ad(前記実施例7)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]17: −26.8° (c=0.60,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C244412Na (M+Na) : 547.2730
実測値 :547.2728
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3410,2940,2918,1541,1474,1171,1081,1047
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 547 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
1.13(1H,dd,J=12.2,12.2Hz,2α−H),1.79(1H,ddd,J=2.2,4.3,12.2Hz,2β−H),3.84(1H,m,3−H),1.02(1H,ddd,J=11.9,11.9,11.9Hz,4α−H),2.01(1H,m,4β−H),1.44(1H,m,5−H),0.53(1H,ddd,J=2.2,4.6,10.7Hz,6−H),1.06,1.65(1H each,both m,7−H),1.49,1.65(1H each,both m,8−H),3.61(1H,m,9−H),(3.51(1H,dd,J=7.0,12.8Hz),3.60(1H,m),10−H),0.82,0.95(3H each,both s,11,12−H),0.97(3H,d,J=6.5Hz,13−H),4.33,4.33(1H each,both d,J=7.7Hz,Glc−1,Xyl−1−H)
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
36.8(C−1),48.5(C−2),75.7(C−3),44.8(C−4),34.9(C−5),54.4(C−6),26.1(C−7),35.3(C−8),82.9(C−9),65.1(C−10),21.4(C−11),31.3(C−12),21.5(C−13),102.7(Glc−C−1),75.5(Glc−C−2),78.1(Glc−C−3),71.7(Glc−C−4),77.9(Glc−C−5),62.9(Glc−C−6),105.1(Xyl−C−1),75.1(Xyl−C−2),78.0(Xyl−C−3),71.3(Xyl−C−4),67.1(Xyl−C−5)
以上の結果より、前記構造式(8)で表される構造を有するセダモシドA6であることが判った。
【0100】
[j(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]23: −15.7° (c=0.16,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C1936Na (M+Na) : 415.2308
実測値 :415.2313
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3390,2928,2876,1474,1078,1022
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 415 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
1.08(1H,dd,J=11.6,11.6Hz,2α−H),1.64(1H,m,2β−H),3.69(1H,m,3−H),0.92(1H,ddd,J=12.2,12.2,12.2Hz,4α−H),1.88(1H,m,4β−H),1.44(1H,m,5−H),0.53(1H,ddd,J=3.1,4.9,11.3Hz,6−H),1.32,1.47(1H each,both m,7−H),1.50,1.69(1H each,both m,8−H),3.65(1H,m,9−H),3.59(2H,d−like,10−H),0.83,0.96(3H each,both s,11,12−H),0.99(3H,d,J=6.4Hz,13−H),4.33(1H,d,J=8.0Hz,Glc−1−H)
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
36.8(C−1),51.9(C−2),67.4(C−3),46.5(C−4),34.8(C−5),54.4(C−6),25.9(C−7),35.0(C−8),83.2(C−9),65.9(C−10),21.4(C−11),31.4(C−12),21.6(C−13),104.0(Glc−C−1),75.2(Glc−C−2),78.2(Glc−C−3),71.7(Glc−C−4),77.9(Glc−C−5),62.7(Glc−C−6)
以上の結果より、前記構造式(9)で表される構造を有するセダモシドBであることが判った。
【0101】
[k(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]27: −0.8° (c=0.82,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C1934Na (M+Na) : 413.2151
実測値 :413.2153
・円二色性スペクトル(λmax,nm(Δε)): 284 (+0.08)
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3432,2958,1702,1653,1474,1100,1061
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 413 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
2.38(1H,d,J=13.2Hz,2α−H),1.97(1H,dd,J=2.4,13.2Hz,2β−H),2.15(1H,ddd,J=0.9,14.1,14.1Hz,4α−H),2.21(1H,ddd,J=2.4,4.6,14.1Hz,4β−H),1.78(1H,m,5−H),1.16(1H,ddd,J=2.5,4.9,11.3Hz,6−H),1.20,1.67(1H each,both m,7−H),1.47,1.65(1H each,both m,8−H),3.75(1H,m,9−H),(3.40(1H,dd,J=8.0,10.5Hz),3.93(1H,dd,J=3.4,10.5Hz),10−H),0.77,1.08(3H each,both s,11,12−H),1.09(3H,d,J=6.1Hz,13−H),4.28(1H,d,J=7.7Hz,Glc−1−H)
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
40.4(C−1),57.1(C−2),214.2(C−3),50.9(C−4),37.7(C−5),52.2(C−6),26.1(C−7),36.5(C−8),72.2(C−9),75.4(C−10),21.1(C−11),30.3(C−12),21.5(C−13),104.9(Glc−C−1),75.1(Glc−C−2),77.9(Glc−C−3),71.6(Glc−C−4),78.0(Glc−C−5),62.7(Glc−C−6)
以上の結果より、前記構造式(10)で表される構造を有するセダモシドCであることが判った。
【0102】
[l(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]27: −1.4° (c=2.01,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C1934Na (M+Na) : 413.2151
実測値 : 413.2147
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3432,2961,1719,1655,1647,1561,1541,1474,1079,1051
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 413 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
1.09(1H,dd,J=11.9,11.9Hz,2α−H),1.64(1H,ddd,J=2.4,4.0,11.9Hz,2β−H),3.69(1H,m,3−H),0.92(1H,ddd,J=12.2,12.2,12.2Hz,4α−H),1.88(1H,m,4β−H),1.35(1H,m,5−H),0.60(1H,ddd,J=2.8,5.5,11.0Hz,6−H),1.47,1.74(1H each,both m,7−H),(2.54(1H,ddd,J=6.1,10.4,16.8Hz),2.62(1H,ddd,J=5.5,11.6,16.8Hz),8−H),4.28,4.51(1H each,both d,J=17.4Hz,10−H),0.83,0.95(3H each,both s,11,12−H),0.97(3H,d,J=6.4Hz,13−H),4.29(1H,d,J=7.1Hz,Glc−1−H)
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
36.8(C−1),51.8(C−2),67.3(C−3),46.4(C−4),34.9(C−5),53.4(C−6),23.4(C−7),41.6(C−8),210.9(C−9),74.7(C−10),21.3(C−11),31.4(C−12),21.4(C−13),104.3(Glc−C−1),75.0(Glc−C−2),77.8(Glc−C−3),71.6(Glc−C−4),78.2(Glc−C−5),62.8(Glc−C−6)
以上の結果より、前記構造式(11)で表される構造を有するセダモシドDであることが判った。
【0103】
[m(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]24: −33.9° (c=1.08,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C254611Na (M+Na) : 545.2938
実測値 :545.2933
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3431,2967,2932,1509,1473,1458,1081,1046
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 545 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
1.14(1H,dd,J=11.9,11.9Hz,2α−H),1.79(1H,ddd,J=1.9,3.7,11.9Hz,2β−H),3.78(1H,m,3−H),1.02(1H,ddd,J=11.6,11.6,11.6Hz,4α−H),2.04(1H,m,4β−H),1.48(1H,m,5−H),0.54(1H,ddd,J=2.4,5.4,11.3Hz,6−H),1.04,1.43(1H each,both m,7−H),1.46,1.53(1H each,both m,8−H),3.63(1H,m,9−H),0.84,0.96(3H each,both s,11,12−H),0.98,1.14(3H each,both d,J=6.4Hz,13,10−H),4.32(1H,d,J=8.0Hz,Glc−1−H),4.73(1H,d,J=1.5Hz,Rha−1−H),1.26(3H,d,J=6.4Hz,Rha−6−H
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
36.8(C−1),48.6(C−2),76.3(C−3),44.9(C−4),35.0(C−5),54.3(C−6),26.4(C−7),42.7(C−8),69.2(C−9),23.4(C−10),21.4(C−11),31.3(C−12),21.6(C−13),103.0(Glc−C−1),75.2(Glc−C−2),78.1(Glc−C−3),71.7(Glc−C−4),76.7(Glc−C−5),68.0(Glc−C−6),102.2(Rha−C−1),72.3(Rha−C−2),72.4(Rha−C−3),74.3(Rha−C−4),69.8(Rha−C−5),18.2(Rha−C−6)
以上の結果より、前記構造式(12)で表される構造を有するセダモシドE1であることが判った。
【0104】
[n(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]22: −38.6° (c=0.27,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C254611Na (M+Na) : 545.2938
実測値 :545.2932
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3432,2967,2934,1541,1509,1474,1458,1069,1046
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 545 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
1.08(1H,dd,J=12.0,12.0Hz,2α−H),1.63(1H,ddd,J=1.9,3.7,12.0Hz,2β−H),3.69(1H,m,3−H),0.90(1H,ddd,J=11.9,11.9,11.9Hz,4α−H),1.87(1H,m,4β−H),1.45(1H,m,5−H),0.51(1H,ddd,J=2.5,4.9,11.1Hz,6−H),1.08,1.55(1H each,both m,7−H),1.55,1.59(1H each,both m,8−H),3.77(1H,m,9−H),0.83,0.94(3H each,both s,11,12−H),0.97,1.17(3H each,both d,J=6.4Hz,13,10−H),4.29(1H,d,J=7.7Hz,Glc−1−H),4.73(1H,d,J=1.6Hz,Rha−1−H),1.26(3H,d,J=6.1Hz,Rha−6−H
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
36.8(C−1),51.8(C−2),67.5(C−3),46.4(C−4),34.8(C−5),54.1(C−6),26.0(C−7),40.6(C−8),76.6(C−9),20.0(C−10),21.6(C−11),31.4(C−12),21.6(C−13),102.3(Glc−C−1),75.1(Glc−C−2),78.1(Glc−C−3),71.5(Glc−C−4),76.7(Glc−C−5),68.5(Glc−C−6),102.3(Rha−C−1),72.2(Rha−C−2),72.4(Rha−C−3),74.0(Rha−C−4),69.7(Rha−C−5),18.2(Rha−C−6)
以上の結果より、前記構造式(13)で表される構造を有するセダモシドE2であることが判った。
【0105】
[o(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]21: −41.5° (c=0.35,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C244411Na (M+Na) : 531.2781
実測値 :531.2774
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3339,2922,1471,1387,1039,1028
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 531 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
1.08(1H,dd,J=12.0,12.0Hz,2α−H),1.63(1H,ddd,J=2.4,4.0,12.2Hz,2β−H),3.69(1H,m,3−H),0.90(1H,ddd,J=12.2,12.2,12.2Hz,4α−H),1.87(1H,m,4β−H),1.45(1H,m,5−H),0.51(1H,ddd,J=2.4,5.8,11.0Hz,6−H),1.08,1.54(1H each,both m,7−H),1.55,1.59(1H each,both m,8−H),3.77(1H,m,9−H),0.83,0.95(3H each,both s,11,12−H),0.98,1.17(3H each,both d,J=6.5Hz,13,10−H),4.29(1H,d,J=8.0Hz,Glc−1−H),5.00(1H,d,J=2.5Hz,Ara(f)−1−H)
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
36.9(C−1),51.9(C−2),67.5(C−3),46.5(C−4),34.8(C−5),54.3(C−6),26.0(C−7),40.6(C−8),76.4(C−9),20.0(C−10),21.6(C−11),31.5(C−12),21.6(C−13),102.3(Glc−C−1),75.2(Glc−C−2),78.2(Glc−C−3),71.8(Glc−C−4),76.9(Glc−C−5),68.7(Glc−C−6),111.0(RAra(f)−C−1),78.0(Ara(f)−C−2),80.6(Ara(f)−C−3),75.0(Ara(f)−C−4),65.8(Ara(f)−C−5)
以上の結果より、前記構造式(14)で表される構造を有するセダモシドE3であることが判った。
【0106】
[p(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]24: −11.2° (c=1.14,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C1934Na (M+Na) : 397.2202
実測値 : 397.2206
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3389,2960,2919,1734,1684,1671,1559,1541,1509,1474,1341,1078,1034
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 397 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
1.11(1H,dd,J=12.2,12.2Hz,2α−H),1.69(1H,ddd,J=2.0,4.0,12.2Hz,2β−H),3.73(1H,m,3−H),0.90(1H,ddd,J=12.2,12.2,12.2Hz,4α−H),1.96(1H,m,4β−H),1.53(1H,m,5−H),1.32(1H,dd,J=9.8,10.4Hz,6−H),5.35(1H,dd,J=9.8,15.6Hz,7−H),5.53(1H,dd,J=7.0,15.6Hz,8−H),4.35(1H,m,9−H),0.88,0.90(3H each,both s,11,12−H),0.82,1.28(3H each,both d,J=6.4Hz,13,10−H),4.35(1H,d,J=7.9Hz,Glc−1−H)
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
35.8(C−1),51.1(C−2),67.3(C−3),45.5(C−4),32.1(C−5),58.5(C−6),133.1(C−7),136.4(C−8),78.0(C−9),21.6(C−10),21.8(C−11),32.2(C−12),21.9(C−13),102.2(Glc−C−1),75.3(Glc−C−2),78.0(Glc−C−3),71.2(Glc−C−4),77.9(Glc−C−5),62.8(Glc−C−6)
以上の結果より、前記構造式(15)で表される構造を有するセダモシドF1であることが判った。
【0107】
[q(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]24: −26.0° (c=1.08,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C254411Na (M+Na) : 543.2781
実測値 :543.2776
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3410,2967,2940,1669,1474,1341,1140,1055,968
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 543 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
1.12(1H,dd,J=12.2,12.2Hz,2α−H),1.69(1H,ddd,J=1.9,4.3,12.2Hz,2β−H),3.72(1H,m,3−H),0.91(1H,ddd,J=12.2,12.2,12.2Hz,4α−H),1.96(1H,m,4β−H),1.54(1H,m,5−H),1.32(1H,dd,J=9.8,10.4Hz,6−H),5.35(1H,dd,J=9.8,15.6Hz,7−H),5.52(1H,dd,J=7.0,15.6Hz,8−H),4.31(1H,m,9−H),1.28(3H,d,J=6.1Hz,10−H),0.87,0.91(3H each,both s,11,12−H),0.83(3H,d,J=6.4Hz,13−H),4.32(1H,d,J=7.9Hz,Glc−1−H),4.71(1H,d,J=1.5Hz,Rha−1−H),1.27(3H,d,J=6.1Hz,Rha−6−H
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
36.0(C−1),51.2(C−2),67.4(C−3),45.6(C−4),32.2(C−5),58.7(C−6),133.5(C−7),136.4(C−8),78.2(C−9),21.6(C−10),21.8(C−11),32.4(C−12),21.9(C−13),102.4(Glc−C−1),75.4(Glc−C−2),78.3(Glc−C−3),71.5(Glc−C−4),76.8(Glc−C−5),67.9(Glc−C−6),102.2(Rha−C−1),72.2(Rha−C−2),72.4(Rha−C−3),74.1(Rha−C−4),69.8(Rha−C−5),18.2(Rha−C−6)
以上の結果より、前記構造式(16)で表される構造を有するセダモシドF2であることが判った。
【0108】
[r(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]19: −35.7° (c=0.17,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C254411Na (M+Na) : 543.2781
実測値 :543.2787
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3406,2932,1716,1456,1368,1066,1047
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 543 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
1.15(1H,dd,J=12.1,12.1Hz,2α−H),1.79(1H,ddd,J=2.5,4.4,12.1Hz,2β−H),3.78(1H,m,3−H),1.03(1H,ddd,J=12.1,12.1,12.1Hz,4α−H),2.05(1H,m,4β−H),1.48(1H,m,5−H),0.59(1H,ddd,J=2.3,5.3,10.8Hz,6−H),1.31,1.70(1H each,both m,7−H),(2.46(1H,ddd,J=5.8,11.0,16.9Hz),2.59(1H,ddd,J=5.2,10.7,16.9Hz),8−H),0.85,0.95,2.12(3H each,all s,11,12,10−H),0.97(3H,d,J=6.5Hz,13−H),4.32(1H,d,J=7.9Hz,Glc−1−H),4.73(1H,d,J=1.8Hz,Rha−1−H),1.26(3H,d,J=6.3Hz,Rha−6−H
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
36.8(C−1),48.6(C−2),76.2(C−3),44.9(C−4),35.0(C−5),54.3(C−6),24.0(C−7),46.4(C−8),211.9(C−9),29.9(C−10),21.3(C−11),31.3(C−12),21.5(C−13),103.1(Glc−C−1),75.2(Glc−C−2),78.1(Glc−C−3),71.8(Glc−C−4),76.7(Glc−C−5),68.0(Glc−C−6),102.2(Rha−C−1),72.3(Rha−C−2),72.4(Rha−C−3),74.3(Rha−C−4),69.8(Rha−C−5),18.1(Rha−C−6)
以上の結果より、前記構造式(17)で表される構造を有するセダモシドGであることが判った。
【0109】
[s(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]27: +71.4° (c=0.21,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C1932Na (M+Na) : 411.1995
実測値 : 411.1989
・円二色性スペクトル(λmax,nm(Δε)): 211(+4.40),237(+3.42),335(+0.75)
・紫外吸収スペクトル(MeOH,nm (logε)): 240(4.08)
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3389,3011,2961,2876,1669,1471,1076,1038,752
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 411 (M+Na)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
2.00,2.46(1H each,both d,J=17.1Hz,2β,2α−H),5.81(1H,s,4−H),1.96(1H,m,6−H),1.49,1.98(1H each,both m,7−H),1.51,1.61(1H each,both m,8−H),3.75(1H,m,9−H),(3.43(1H,dd,J=6.4,10.1Hz),4.74(1H,dd,J=3.4,10.1Hz),10−H),1.01,1.09,2.04(3H each,all s,12,11,13−H),4.28(1H,d,J=7.7Hz,Glc−1−H)
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
37.3(C−1),47.9(C−2),202.3(C−3),125.4(C−4),169.6(C−5),52.2(C−6),26.8(C−7),33.9(C−8),71.5(C−9),75.2(C−10),27.4(C−11),29.0(C−12),24.9(C−13),104.7(Glc−C−1),75.1(Glc−C−2),77.8(Glc−C−3),71.6(Glc−C−4),77.9(Glc−C−5),62.7(Glc−C−6)
以上の結果より、前記構造式(18)で表される構造を有するセダモシドHであることが判った。
【0110】
[t(前記実施例6)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]24: −0.2° (c=1.41,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution EI−MS):
理論値 C1932 (M) : 388.2097
実測値 : 388.2095
・円二色性スペクトル(λmax,nm(Δε)): 285 (+0.09)
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1): 3431,2961,1723,1715,1559,1472,1076,1044,753
・質量分析
EI−MS: m/z(%) 388 (M,1),370(1),255(100),227(66),208(42)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,メタノール−d):δ
2.39(1H,d,J=13.2Hz,2α−H),1.96(1H,dd,J=2.2,13.2Hz,2β−H),22.16(1H,dd,J=14.1,14.1Hz,4α−H),2.22(1H,ddd,J=2.2,4.6,14.1Hz,4β−H),1.81(1H,m,5−H)1.21(1H,ddd,J=3.1,6.1,10.7Hz,6−H),1.46,1.81(1H each,both m,7−H),2.69(2H,m,8−H),4.33,4.52(1H each,both d,J=17.4Hz,10−H),0.77,1.07(3H each,both s,11,12−H),1.08(3H,d,J=6.7Hz,13−H),4.31(1H,d,J=7.7Hz,Glc−1−H)
13C−NMR(125MHz,メタノール−d):δ
40.2(C−1),57.0(C−2),214.0(C−3),50.7(C−4),37.5(C−5),52.6(C−6),23.2(C−7),41.3(C−8),210.6(C−9),74.7(C−10),21.1(C−11),30.3(C−12),21.4(C−13),104.2(Glc−C−1),74.9(Glc−C−2),77.8(Glc−C−3),71.6(Glc−C−4),78.1(Glc−C−5),62.8(Glc−C−6)
以上の結果より、前記構造式(19)で表される構造を有するセダモシドIであることが判った。
【0111】
[bc(前記実施例8)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]24: −80.6° (c=1.00,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C424622Na (M+Na) : 925.2378
実測値 : 925.2383
・紫外吸収スペクトル(MeOH,nm(log ε)):266(4.38),329(4.08)
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1):3431,2932,1655,1541,1509,1491,1458,1270,1208,1175,1024,961,816
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 925 (M+Na)
negative−ion FAB−MS: m/z 901 (M−H)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500MHz,DMSO−d):δ
0.92,1.13(3H each,both d,J=6.1Hz,6'',6''''−H),3.06(1H,dd,J=8.0,8.9Hz,2'''−H),3.14(1H,dd,J=9.5,9.5Hz,4''−H),3.20(1H,m,3'''−H),3.21(1H,m,4'''−H),3.31(1H,m,4''''−H),3.32(1H,m,5'''−H),3.38(1H,m,5''−H),3.44(1H,m,5''''−H),3.56(1H,dd,J=3.7,9.5Hz,3''−H),3.64(1H,dd,J=3.4,9.5Hz,3''''−H),3.86(1H,m,2''''−H),4.14(1H,br s,J=ca.2Hz,2''−H),4.16,4.21(1H each,both m,6'''−H),4.33(1H,d,J=8.0Hz,1'''−H),5.61(1H,br s,1''−H),5.53(1H,d,J=1.2Hz,1''''−H),6.12,7.38(1H each,both d,J=15.9Hz,8'''',7'''''−H),6.43,6.70(1H each,both d,J=2.2Hz,6,8−H),6.68(1H,d,J=8.3Hz,5'''''−H),6.86(1H,dd,J=1.8,8.3Hz,6'''''−H),6.93(1H,d,J=1.8Hz,2'''''−H),6.93,7.78(1H each,both d,J=8.9Hz,3’,5’,2’,6’−H),12.55(1H,br s,5−OH)
13C−NMR(125 MHz,DMSO−d):δは表1に記載した。
以上の結果より、前記構造式(20)で表される構造を有するサルメノシドIであることが判った。
【0112】
[bd(前記実施例8)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]24: −111.2° (c=1.06,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C424622Na (M+Na) : 925.2378
実測値 :925.2374
・紫外吸収スペクトル(MeOH,nm(log ε)):257(4.42),317(4.45)
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1):3389,2934,1655,1605,1516,1491,1449,1348,1271,1206,1169,1022,963,814
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 925 (M+Na)
negative−ion FAB−MS: m/z 901 (M−H)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500 MHz,DMSO−d):δ
0.97(3H,d,J=6''−H),1.15(3H,d,J=6.1Hz,6''''−H),3.08(1H,dd,J=7.9,8.5Hz,2'''−H),3.17(1H,dd,J=9.5,9.5Hz,4''−H),3.22(1H,m,4'''−H),3.24(1H,m,3'''−H),3.30(1H,m,5'''−H),3.33(1H,dd、J=9.5,9.5Hz,4''''−H),3.46(1H,m,5''''−H),3.61(1H,m,5''−H),3.64(1H,dd,J=3.4,9.5Hz,3''−H),3.66(1H,dd,J=3.4,9.5Hz,3''''−H),3.88(1H,m,2''''−H),(4.11(1H,br s,J=ca.11Hz),4.17(1H,dd,J=4.3,11.3Hz),6'''−H),4.20(1H,br d,J=ca.3Hz,2''−H),4.31(1H,d,J=7.9Hz,1'''−H),5.58(1H,br s,1''−H),5.54(1H,d,J=0.7Hz,1''''−H),6.25,7.45(1H each,both d,J=15.9Hz,8''''',7'''''−H),6.42,6.68(1H each,both d,J=2.2Hz,6,8−H),6.71,7.41(2H ecah,both d,J=8.9Hz,3''''',5''''',2''''',6'''''−H),6.92(1H,d,J=8.2Hz,5’−H),7.31(1H,dd,J=2.2,8.2Hz,6’−H),7.43(1H,d,J=2.1Hz,2’−H),12.61(1H,br s,5−OH)
13C−NMR(125 MHz,DMSO−d):δは表1に記載した。
以上の結果より、前記構造式(21)で表される構造を有するサルメノシドIIであることが判った。
【0113】
[be(前記実施例8)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]26: −87.6° (c=0.11,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C424623Na (M+Na) : 941.2328
実測値 : 941.2336
・紫外吸収スペクトル(MeOH,nm(log ε)):255(4.44),336(4.37)
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1):3431,2940,1651,1605,1509,1500,1458,1348,1273,1175,1052,966,820
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 941 (M+Na)
negative−ion FAB−MS: m/z 917 (M−H)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500 MHz,DMSO−d):δ
0.93(1H,d,J=6.1Hz,6''−H),1.12(3H,d,J=6.4Hz,6''''−H),3.04(1H,dd,J=7.7,8.3Hz,2'''−H),3.13(1H,dd,J=9.5,9.5Hz,4''−H),3.17(1H,m,3'''−H),3.19(1H,m,4'''−H),3.25(1H,m,5'''−H),3.29(1H,m,4''''−H),3.40(1H,m,5''''−H),3.59(1H,dd,J=3.4,9.5Hz,3''−H),3.61(1H,m,5''−H),3.63(1H,dd,J=3.4,9.5Hz,3''''−H),3.84(1H,m,2''''−H),(4.01(1H,br d,J=ca.11Hz),4.17(1H,dd,J=2.8,11.3Hz),6'''−H),4.16(1H,br s,2''−H),4.28(1H,d,J=7.7Hz,1'''−H),5.50(1H,br s,1''−H),5.52(1H,br s,1''''−H),6.15,7.37(1H each,both d,J=15.9Hz,8''''',7'''''−H),6.41,6.70(1H each,both d,J=2.2Hz,6,8−H),6.67(1H,d,J=8.3Hz,5'''''−H),6.88(1H,dd,J=2.5,8.3Hz,6'''''−H),6.95(1H,d,J=2.5Hz,2'''''−H),6.89(1H,d,J=8.5Hz,5’−H),7.30(1H,dd,J=2.1,8.5Hz,6’−H),7.43(1H,d,J=2.1Hz,2’−H),12.61(1H,br s,5−OH)
13C−NMR(125 MHz,DMSO−d):δは表1に記載した。
以上の結果より、前記構造式(22)で表される構造を有するサルメノシドIIIであることが判った。
【0114】
【表1】

【0115】
[bf(前記実施例8)の物性測定値]
・性状: 不定形粉末
・旋光度:[α]22: −77.5° (c=0.62,MeOH)
・高分解能質量分析(High−resolution positive−ion FAB−MS):
理論値 C344220Na (M+Na) : 793.2176
実測値 : 793.2161
・紫外吸収スペクトル(MeOH,nm(log ε)):255(4.27),349(4.12)
・赤外吸収スペクトル(KBr,cm−1):3389,2918,1653,1647,1605,1559,1541,1509,1489,1474,1458,1341,1210,1169,1025,970,814
・質量分析
positive−ion FAB−MS: m/z 793 (M+Na)
negative−ion FAB−MS: m/z 769 (M−H)
・核磁気共鳴スペクトル:
H−NMR(500 MHz,DMSO−d):δ
0.81(1H,d,J=6.1Hz,6''−H),1.15(3H,d,J=6.4Hz,6''''−H),3.06(1H,dd,J=7.9,8.3Hz,2''''−H),3.07(1H,m,4''''−H),3.14(1H,m,4''−H),3.15(1H,m,5''''−H),3.17(1H,m,5''−H),3.17(1H,m,3''''−H),3.29(1H,m,4'''−H),3.42,3.66(1H each,both m,6''''−H),3.46(1H,m,5'''−H),3.51(1H,m,3''−H),3.68(1H,m,3'''−H),3.86(3H,s,3’−OCH),3.93(1H,dd,J=1.6,3.7Hz,2'''−H),3.98(1H,br s,2''−H),4.38(1H,d,J=7.9Hz,1''''−H),5.28(1H,d,J=1.6Hz,1''−H),5.94(1H,d,J=1.5Hz,1'''−H),6.48,6.85(1H each,both d,J=2.2Hz,6,8−H),6.94(1H,d,J=8.6Hz,5’−H),7.44(1H,dd,J=2.2,8.6Hz,6’−H),7.48(1H,d,J=2.2Hz,2’−H),12.60(1H,br s,5−OH)
13C−NMR(125 MHz,DMSO−d):δは表2に記載した。
以上の結果より、前記構造式(23)で表される構造を有するサルメノシドIVであることが判った。
【0116】
【表2】

【0117】
[化合物uの物性測定]
前記実施例6で得られた化合物uについて、核磁気共鳴スペクトル及び質量分析等の物理化学データを得たところ、そのデータより、構造式(1)で表されるサルメント酸のカルボン酸部分をメチル化して得られた化合物、即ち構造式(24)で表される化合物であると同定された。
【0118】
[化合物d、v、x及びcの物性測定]
前記実施例5で得られた化合物d及びc、並びに前記実施例6で得られた化合物v及びxについて、核磁気共鳴スペクトル及び質量分析等の物理化学データを得た。そのデータと、Otsuka H. et.al.,Chem. Pharm. Bull.,49,1093−1097(2001)に記載された化合物の核磁気共鳴スペクトル及び質量分析等の物理化学データの比較により、化合物d、v、x、cは、それぞれ、この文献に記載された構造式(25)、(26)、(27)、(29)で表される化合物であると同定された。
【0119】
[化合物acの物性測定]
前記実施例7で得られた化合物acについて、核磁気共鳴スペクトル及び質量分析等の物理化学データを得た。そのデータと、Otsuka H. et.al.,Chem. Pharm. Bull.,50,390−394(2002)に記載された化合物の核磁気共鳴スペクトル及び質量分析等の物理化学データの比較により、化合物acは、この文献に記載された構造式(28)で表される化合物であると同定された。
【0120】
[化合物acの物性測定]
前記実施例6で得られた化合物wについて、核磁気共鳴スペクトル及び質量分析等の物理化学データを得た。そのデータと、De Marino S. et.al.,J. Agric. Food Chem.,52,7525−7531(2004)に記載された化合物の核磁気共鳴スペクトル及び質量分析等の物理化学データの比較により、化合物wは、この文献に記載された構造式(30)で表される化合物であると同定された。
【0121】
実施例10 マウス肝初代培養細胞を用いたD−GalN誘発細胞障害に対する保護作用試験
垂盆草抽出液、抽出エキス、及び実施例5〜9で得られた構造式(1)〜(5)、(7)、(13)、(15)、(16)及び(19)〜(30)で表される化合物について、肝保護作用の指標として、マウス肝初代培養細胞を用いたD−GalN誘発細胞障害に対する保護作用試験を実施した。試験方法を以下に示す。
【0122】
ddY系雄性マウス(体重約30g)を、ペントバルビタール(50mg/kg,i.p.)麻酔下で開腹し、30℃に保温したLiver Perfuson Medium(GIBCO BRL社製)を門脈より灌流して肝臓を脱血した。前記灌流液を、Collagenase−Hepatocyte Qualified(GIBCO BRL社製)を0.5mg/mLの濃度で含有するpH7.5の灌流液(塩化ナトリウム:8g/L、塩化カリウム:0.4g/L、塩化カルシウム二水和物:0.74g/L、リン酸二水素ナトリウム・一水和物:78g/L、リン酸水素二ナトリウム・十二水和物:151g/L、HEPES:2.38g/L、炭酸水素ナトリウム:350mg/L、フェノールレッド:6g/L)と交換した後、さらに10分間灌流した。この肝臓を濾過して得られた肝実質細胞を実験に供した。
【0123】
前記肝実質細胞を、10%牛胎児血清を含むウイリアムズ培地E(GIBCO BRL社製)に懸濁し、96穴平底マイクロプレートに4×104細胞/100μL/穴の割合で細胞を播種した後、5%の二酸化炭素雰囲気下、37℃において4時間培養した。その後、前記培地を1mM D−GalN及び被験物質のDMSO溶液をそれぞれ含有する培地に変えた。ここで、被験物質のDMSO溶液は、培地中のDMSO濃度が0.5%になるように添加した。44時間培養した後、0.5mg/mLの3−(4,5−dimethyl−2−thiazolyl)2,5−diphenyl−2H−tetrazolium brimide(MTT)を含有する培地と交換し、さらに4時間培養した。培地を除去後、精製したホルマザンを0.04N塩酸含有イソプロピルアルコール100μL/穴で溶解した後、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度(測定波長562nm、参照波長660nm)を測定した。測定された吸光度を用い、以下の式に従って、肝細胞の障害抑制率(Inhibition)を算出した。
【0124】
障害抑制率(%)={[O.D.Sample−O.D.Control]/
(O.D.Normal−O.D.Control)]}×100
式中、O.D.Normalは、被験物質を含まない培地(すなわち、培地中に0.5%DMSOのみを含むもの)で測定される吸光度を示し、O.D.Controlは、培地中に0.5%DMSO及び1mM D−GalNを含有する場合に測定される吸光度を、O.D.Sampleは、培地中に被験物質及び1mM D−GalNを含有する場合に測定される吸光度を意味する。結果を以下の表3及び表4に示す。結果はいずれも平均値と標準誤差で表し、対照群との有意差検定には、Dunnettの多重比較検定を用いた。
【0125】
【表3】

【0126】
【表4】

【0127】
前記表3及び表4中、障害抑制率の結果の末尾の符号「*」および「**」は、Dunnettの多重比較検定で検定した対照との有意差:pが0.05および0.01未満であったことを表す。
【0128】
前記表3及び表4の結果より、垂盆草の全草の熱水抽出エキスのメタノール可溶性画分、その画分を、多孔質ポリマーカラム(ダイアイオンHP−20)を通じて調製したメタノール溶出部、及び構造式(1)〜(5)、(7)、(13)、(15)、(16)及び(19)〜(30)で表される化合物は、マウス肝初代培養細胞を用いたD−GalN誘発細胞障害に対する保護作用試験において有意な肝保護作用の有することがわかる。
【0129】
その活性強度は、構造式(15)のセダモシドF1がIC50=47μM、構造式(20)のサルメノシドIがIC50=46μM、構造式(21)のサルメノシドIIがIC50=94μM、構造式(22)のサルメノシドIIIがIC50=4.4μM、構造式(25)の(3S,5R,6S,9R)−メガスチグマン−3,9−ジオールがIC50=61μM、構造式(27)のミルシニオノシドDがIC50=62μM、及び構造式(29)のミルシニオノシドAがIC50=52μMであり、とりわけサルメノシドIIIは、市販肝保護剤であるシリビン(silybin)(IC50=41μM)よりも強力な肝保護効果を有することが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂盆草の全草、水、低級脂肪族アルコールもしくは低級脂肪族アルコールの含水物により垂盆草を抽出して得られる抽出液、又は前記抽出液を濃縮して得られる抽出エキスを有効成分として含むことを特徴とする肝保護剤。
【請求項2】
下記の構造式(1)〜(5)、(7)、(13)、(15)、(16)、及び(19)〜(30)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表されるメガスチグマン化合物を有効成分として含むことを特徴とする肝保護剤。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の肝保護剤を含有することを特徴とするヒト又は動物用の医薬。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の肝保護剤を含有することを特徴とする食品。
【請求項5】
下記の構造式(1)〜(5)、(7)、(13)、(15)、(16)、及び(19)〜(23)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表されるメガスチグマン化合物。
【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【請求項6】
下記の構造式(6)、(8)〜(12)、(14)、(17)、及び(18)からなる群の中から選ばれるいずれかの構造式で表されるメガスチグマン化合物。
【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】


【公開番号】特開2008−266272(P2008−266272A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115305(P2007−115305)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 第56回 日本薬学会近畿支部総会・大会 主催:社団法人 日本薬学会 2006年10月28日 社団法人 日本薬学会発行 化学薬学報告 第55号 第3号 発行日:2007年3月1日 日本薬学会第127年会 主催:社団法人 日本薬学会 2007年3月29日
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【出願人】(503462394)株式会社栄進商事 (4)
【Fターム(参考)】