説明

垂直循環式駐車装置用ケージ及びその改造方法

【課題】垂直循環式駐車装置用ケージにおいて、車高の低い車を入庫しても車両の底とパレット中央部とが干渉しないようにする。また、タイヤ幅の広い車両の入庫を可能とする。
【解決手段】パレット11Aは、車両を乗せる車路上面が幅方向にほぼ平坦に形成されたフラット部11aを有する。また、パレット11Aは、フラット部11aの車両出入側に連結されパレット端部に向うにつれて上面が低くなる傾斜端部11bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直循環式駐車装置用ケージ及びその改造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車設備の一形態としていわゆるタワーパーキングと呼ばれる垂直循環式駐車装置が知られている(例えば下記特許文献1を参照)。
【0003】
垂直循環式駐車装置は、図8に示すように、建屋(図示せず)の上部に設置された上フレーム2aに一対の上スプロケット3aをその回転軸方向へ所要間隔をあけて回転自在に配設すると共に、建屋の下部に設置された下フレーム2bに一対の下スプロケット3bをその回転軸方向へ所要間隔をあけて回転自在に配設し、上スプロケット3aと下スプロケット3b間に主務チェーン4を無端状に掛け回し、二条の主務チェーン4によって多数のケージ5を支持してなる構成を有している。
【0004】
上スプロケット3aには、回転駆動系統としてモータ6が減速機7を介して接続されており、モータ6による上スプロケット3aの回転駆動によって主務チェーン4を周回させ、前記ケージ5を循環させるようになっている。なお、図8では、上下端に位置する二基のケージ5のみ示してあり、他のケージ5は図示を省略している。
【0005】
ケージ5は、水平方向へ延びる吊り軸5aの両端部に、リング状のケージ枠5bを吊り下げるように設け、前後のケージ枠5bの下辺部間に車載用のパレット5cを掛け渡すように取り付けてなる構成を有し、吊り軸5aの両端部を、主務チェーン4に取り付けられたアタッチメント8,8間に掛け渡すように連結してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−321406号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図9は、ケージ5の正面図である。一般に垂直循環式駐車装置では、収容効率を高めるために隣接するケージ間の間隔をできるだけ小さく設定している。そのため、隣接するケージ5が上下に並んだときに、上に位置するケージ5のケージ枠5bと下に位置するケージ5の吊り軸5aとが干渉しないように、図9に示すように、ケージ枠5bの下辺部5dを中央がやや盛り上がった形状にしている。また下辺部5dの中央盛り上がりのため、パレット5cも中央が盛り上がった形状になっている。
【0008】
このように従来のケージ5においては、パレット中央が盛り上がっているために、車高の低い車両を入庫させた場合に、車両Cの底とパレット中央部が干渉する恐れがあるという問題がある。
また、近年の車両においては、タイヤ幅(左右のタイヤの外側−外側間の距離)Wが広くなる傾向があり、タイヤ幅の広い車両の入庫を可能とすることが要望されている。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、車高の低い車を入庫しても車両の底とパレット中央部とが干渉しない垂直循環式駐車装置用ケージを提供することを課題とする。また、車高の低い車を入庫しても車両の底とパレット中央部とが干渉せず、タイヤ幅の広い車両の入庫を可能とするようにケージを改造する垂直循環式駐車装置用ケージの改造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため本発明の垂直循環式駐車装置用ケージ及びその改造方法は、以下の技術的手段を採用する。
【0011】
(1)本発明は、車両搭載用のパレットと、該パレットの車両出入側端部に配置された第1ケージ枠と、前記パレットの反車両出入側端部に配置された第2ケージ枠と、前記パレットの前後方向に延びて両ケージ枠の上部同士を連結する吊り軸とを備えた垂直循環式駐車装置用ケージにおいて、前記パレットは、車両を乗せる車路上面が幅方向にほぼ平坦に形成されたフラット部と、前記フラット部の前後両端にそれぞれ連結され前記フラット部とほぼ同等の高さの中央端部と、該中央端部の幅方向両側に設けられパレット端部に向うにつれて上面が低くなる傾斜始端部とを有する、ことを特徴とする。
【0012】
上記の本発明の構成によれば、パレットは、車両を乗せる車路上面が幅方向にほぼ平坦に形成されたフラット部を有するので、パレット中央の盛り上がりが無いフラットな形状となっている。これにより、車高が低い車両を入庫しても車両の底がパレット中央部と干渉することがない。
【0013】
(2)また上記(1)の垂直循環式駐車装置用ケージにおいて、前記第1ケージ枠は、ケージ枠の幅方向に延びて前記パレットの車両出入側の端部を支持し中央部が切り欠かれた第1下辺部を有し、前記第2ケージ枠は、ケージ枠の幅方向に延びて前記パレットの反車両出入側の端部を支持し中央部が湾曲して盛り上がった形状の第2下辺部を有し、前記パレットは、前記フラット部の車両出入側に連結されパレット端部に向うにつれて上面が低くなる傾斜端部を有する。
【0014】
上記の構成によれば、第1ケージ枠における第1下辺部の中央が切り欠かれているので、隣接するケージが上下に並んだときに上側のケージの第1ケージ枠と下側のケージの吊り軸との干渉を回避できる。また上記の構成によれば、第2下辺部の盛り上がりがある分、パレット上面が高くなるが、パレットにおけるフラット部の車両出入側に傾斜端部が形成されていることにより、パレットの車両出入側端部を車両の乗り入れ床面の高さとほぼ一致させることで、パレットへの車両の乗り入れを支障なく行うことができる。
【0015】
(3)また上記(1)の垂直循環式駐車装置用ケージにおいて、前記第1ケージ枠は、ケージ枠の幅方向に延びて前記パレットの車両出入側の端部を支持し中央部が湾曲して盛り上がった形状の第1下辺部を有し、前記第2ケージ枠は、ケージ枠の幅方向に延びて前記パレットの反車両出入側の端部を支持し中央部が湾曲して盛り上がった形状の第2下辺部を有する。
【0016】
上記の構成によれば、第1下辺部と第2下辺部はともに中央が湾曲して盛り上がった形状となっているので、隣接するケージが上下に並んだときに上側のケージの第1ケージ枠及び第2ケージ枠と下側のケージの吊り軸との干渉を回避できる。また上記の構成によれば、第1下辺部及び第2下辺部の中央の盛り上がりがある分、パレット上面が高くなるが、パレットの前後端部に傾斜始端部が形成されていることにより、パレットの車両出入側端部を車両の乗り入れ床面の高さとほぼ一致させることで、パレットへの車両の乗り入れを支障なく行うことができる。また上記の構成によれば、ともに中央が湾曲して盛り上がった形状の第1下辺部と第2下辺部の対称性により、パレットを前後対称の形状とすることができるので、パレット旋回装置によりパレットの前後方向を反転させる形式のケージにも適用できる
【0017】
(4)また本発明は、車両搭載用のパレットと、該パレットの車両出入側端部に配置された第1ケージ枠と、前記パレットの反車両出入側端部に配置された第2ケージ枠と、前記パレットの前後方向に延びて両ケージ枠の上部同士を連結する吊り軸とを備えた垂直循環式駐車装置用ケージの改造方法であって、前記パレットを、上記(1)に記載の垂直循環式駐車装置用ケージの前記パレットに交換する、ことを特徴とする。
【0018】
上記の本発明の方法によれば、フラット形状のパレットに交換するので、車高が低い車両を入庫しても車両の底がパレット中央部と干渉することがない。したがって、入庫可能な車種を増やすことができる。
【0019】
(5)また上記(4)に記載の垂直循環式駐車装置用ケージの改造方法において、前記第1ケージ枠を、ケージ枠の幅方向に延びて前記パレットの車両出入側の端部を支持し中央部が切り欠かれた第1下辺部を有するものに交換し、前記第2ケージ枠を、ケージ枠の幅方向に延びて前記パレットの反車両出入側の端部を支持し中央部が湾曲して盛り上がった形状の第2下辺部を有するものに交換し、前記フラット部を有するパレットは、前記フラット部の車両出入側に連結されパレット端部に向うにつれて上面が低くなる傾斜端部を有する。
【0020】
上記の方法によれば、第1ケージ枠における第1下辺部の中央が切り欠かれているので、隣接するケージが上下に並んだときに上側のケージの第1ケージ枠と下側のケージの吊り軸との干渉を回避できる。また第2下辺部の盛り上がりがある分、パレット上面が高くなるが、フラット部の車両出入側に傾斜端部が形成されていることにより、パレットの車両出入側端部を車両の乗り入れ床面の高さとほぼ一致させることで、パレットへの車両の乗り入れを支障なく行うことができる。
【0021】
(6)また上記(4)に記載の垂直循環式駐車装置用ケージの改造方法において、前記第1ケージ枠を、ケージ枠の幅方向に延びて前記パレットの車両出入側の端部を支持し中央部が湾曲して盛り上がった形状の第1下辺部を有するものに交換し、前記第2ケージ枠を、ケージ枠の幅方向に延びて前記パレットの反車両出入側の端部を支持し中央部が湾曲して盛り上がった形状の第2下辺部を有するものに交換する。
【0022】
上記の方法によれば、第1下辺部と第2下辺部はともに中央が湾曲して盛り上がった形状となっているので、隣接するケージが上下に並んだときに上側のケージの第1ケージ枠及び第2ケージ枠と下側のケージの吊り軸との干渉を回避できる。また上記の方法によれば、第1下辺部及び第2下辺部の中央の盛り上がりがある分、パレット上面が高くなるが、パレットの前後端部に傾斜始端部が形成されていることにより、パレットの車両出入側端部を車両の乗り入れ床面の高さとほぼ一致させることで、パレットへの車両の乗り入れを支障なく行うことができる。また上記の方法によれば、ともに中央が湾曲して盛り上がった形状の第1下辺部と第2下辺部の対称性により、パレットを前後対称の形状とすることができるので、パレット旋回装置によりパレットの前後方向を反転させる形式のケージにも適用できる。
【0023】
(7)また上記(4)乃至(6)のいずれかに記載の垂直循環式駐車装置用ケージの改造方法において、前記パレットを、より幅の広いものに交換する。
【0024】
上記の方法によれば、タイヤ幅の広い車両の入庫が可能となるので、入庫可能な車種を増やすことができる。
【0025】
(8)また上記(4)乃至(7)のいずれかに記載の垂直循環式駐車装置用ケージの改造方法において、前記パレットを、より最大搭載可能重量が大きいものに交換する。
【0026】
上記の方法によれば、より重量の大きい車両の入庫が可能となるので、入庫可能な車種を増やすことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、車高の低い車を入庫しても車両の底とパレット中央部との干渉を回避することができるとともに、タイヤ幅の広い車両の入庫が可能となる。したがって、入庫可能な車種を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる垂直循環式駐車装置用ケージの構成を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる垂直循環式駐車装置用ケージを車両出入側から見た図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる垂直循環式駐車装置用ケージを反車両出入側から見た図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる垂直循環式駐車装置用ケージにおけるパレットの斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる垂直循環式駐車装置用ケージの構成を示す側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる垂直循環式駐車装置用ケージを反車両出入側から見た図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる垂直循環式駐車装置用ケージにおけるパレットの斜視図である。
【図8】従来の垂直循環式駐車装置の構成図である。
【図9】従来の垂直循環式駐車装置におけるケージの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0030】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる垂直循環式駐車装置用ケージ10Aの構成を示す側面図である。以下、垂直循環式駐車装置用ケージ10Aを単に「ケージ」と呼ぶ場合がある。この駐車装置では、建屋9の地上階が入出庫階となっており、ここに入出庫口Gが設けられている。この入出庫口Gは、車両Cを建屋内に進入させる出入口であり、この入出庫口Gの内側に、車両Cが乗り入れ床面Fを通って乗り入れるための一つのケージ10Aが位置している。
【0031】
図1に示すように、ケージ10Aは、車両搭載用のパレット11Aと、パレット11Aの車両出入側端部に配置された第1ケージ枠12と、パレット11の反車両出入側端部に配置された第2ケージ枠13と、パレット11Aの前後方向に延びて両ケージ枠の上部同士を連結する吊り軸14とを備える。吊り軸14は、その両端部において図示しない主務チェーンに取り付けられたアタッチメント8,8間に掛け渡される形で連結されている。
【0032】
図2は、ケージ10Aを車両出入側から見た図である。図2に示すように、第1ケージ枠12は、ケージ枠の幅方向に延びてパレット11Aの車両出入側の端部を支持する第1下辺部12aを有しており、この第1下辺部12aは中央部が切り欠かれた形状を有する。
【0033】
図3は、ケージ10Aを反車両出入側から見た図である。図3に示すように、第2ケージ枠13は、ケージ枠の幅方向に延びてパレット11Aの反車両出入側の端部を支持する第2下辺部13aを有し、この第2下辺部13aは中央部が湾曲して盛り上がった形状を有する。
【0034】
図4は、パレット11Aの斜視図である。図4に示すように、パレット11Aは、車両を乗せる車路上面が幅方向にほぼ平坦に形成されたフラット部11aと、フラット部11aの車両出入側に連結されパレット端部に向うにつれて上面が低くなる傾斜端部11bとを有する。この傾斜端部11bの前後方向の長さは、車両Cがパレット11Aに完全に搭載した状態で車両Cのタイヤが傾斜端部11bに乗らないように設定される。
【0035】
またパレット11Aの両側端部には前後方向に延びるガイド部材11cが設けられている。なお、図3に示すようにパレット11Aの下部には前後方向に延びる補強部材15が設けられている。
【0036】
上記のように構成された本実施形態のケージ10Aによれば、以下の効果が得られる。
パレット11Aが、車両Cを乗せる車路上面が幅方向にほぼ平坦に形成されたフラット部11aを有するので、中央の盛り上がりが無いフラットな形状となっている。これにより、車高が低い車両Cを入庫しても車両Cの底がパレット中央部と干渉することがない。
【0037】
また第1ケージ枠12における第1下辺部12aの中央が切り欠かれているので、隣接するケージ10Aが上下に並んだときに上側のケージ10Aの第1ケージ枠12と下側のケージ10Aの吊り軸14との干渉を回避できる。
【0038】
また上記の構成によれば、第2下辺部13aの盛り上がりがある分、パレット11A上面が高くなるが、パレット11Aにおけるフラット部11aの車両出入側に傾斜端部11bが形成されていることにより、パレット11Aの車両出入側端部を車両Cの乗り入れ床面Fの高さとほぼ一致させることで、パレット11Aへの車両Cの乗り入れを支障なく行うことができる。
【0039】
本実施形態のケージ10Aは、既設のケージを改造することによって設置してもよい。すなわち、既設のケージがある場合に、そのパレットを、上記構成のパレット11Aに交換することで、ケージの改造を行ってもよい。既設のケージのこのような改造を施すことにより、入庫可能な車種を増やすことができる。またこの場合、パレットを、より幅の広いものに交換することで、入庫可能な車種をさらに増やすことができる。
【0040】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態にかかる垂直循環式駐車装置用ケージ10Bの構成を示す側面図である。本実施形態のケージ10Bは、車両搭載用のパレット11Bと、パレット11Bの車両出入側端部に配置された第1ケージ枠12と、パレット11Bの反車両出入側端部に配置された第2ケージ枠13と、パレット11Bの前後方向に延びて両ケージ枠の上部同士を連結する吊り軸14とを備える。この点は第1実施形態と同じである。
【0041】
本実施形態において、パレット11Bは、ピットPに設置されたパレット旋回装置16によって持ち上げられ、水平面内で旋回させられることによって前後方向を反転できるように構成されている。このため、パレット11Bは、第1ケージ枠12及び第2ケージ枠13に対して上方に外れるように、第1ケージ枠12と第2ケージ枠13の両下辺部12a,13aに単に載せられた状態で支持されている。
【0042】
図6は、ケージ10Bを車両出入側から見た図である。本実施形態において、第1ケージ枠12の下辺部12aは第1実施形態と異なり、中央部が湾曲して盛り上がった形状を有する。また、本実施形態では、第2ケージ枠13の第2下辺部13aにおいても、第1ケージ枠12と同様に、中央部が切り欠かれた形状を有する。
【0043】
図7は、パレット11Bの斜視図である。図7に示すように、本実施形態のパレット11Bは、車両を乗せる車路上面が幅方向にほぼ平坦に形成されたフラット部11aと、フラット部11aの前後両端にそれぞれ連結されフラット部11aとほぼ同等の高さの中央端部11dと、中央端部11dの幅方向両側に設けられパレット端部に向うにつれて上面が低くなる傾斜始端部11eとを有する。この傾斜始端部11eの前後方向の長さは、車両Cがパレット11Bに完全に搭載した状態で車両Cのタイヤが傾斜始端部11eに乗らないように設定される。
【0044】
上記した本実施形態の構成によれば、以下のような効果が得られる。
パレット11Bが、車両Cを乗せる車路上面が幅方向にほぼ平坦に形成されたフラット部11aを有するので、中央の盛り上がりが無いフラットな形状となっている。これにより、車高が低い車両Cを入庫しても車両Cの底がパレット中央部と干渉することがない。
【0045】
本実施形態の構成によれば、第1下辺部12aと第2下辺部13aはともに中央が湾曲して盛り上がった形状となっているので、隣接するケージが上下に並んだときに上側のケージの第1ケージ枠及び第2ケージ枠と下側のケージの吊り軸との干渉を回避できる。
【0046】
また本実施形態の構成によれば、第1下辺部12a及び第2下辺部13aの中央の盛り上がりがある分、パレット上面が高くなるが、パレット11Bの前後端部に傾斜始端部11eが形成されていることにより、パレット11Bの車両出入側端部を車両Cの乗り入れ床面Fの高さとほぼ一致させることで、パレット11Bへの車両Cの乗り入れを支障なく行うことができる。
【0047】
また本実施形態の構成によれば、ともに中央が湾曲して盛り上がった形状の第1下辺部12aと第2下辺部13aの対称性により、パレット11Bを前後対称の形状とすることができるので、パレット旋回装置16によりパレット11Bの前後方向を反転させる形式のケージにも適用できる。
【0048】
本実施形態のケージ10Bは、既設のケージを流用することによって設置してもよい。すなわち、既設のケージがある場合に、そのパレットを、上記構成のパレット11Bに交換することで、ケージの改造を行ってもよい。既設のケージのこのような改造を施すことにより、入庫可能な車種を増やすことができる。またこの場合、パレットを、より幅の広いものに交換することで、入庫可能な車種をさらに増やすことができる。
また、この場合、既設のパレットを、より最大搭載可能重量が大きいものに交換する(例えば1.6tから1.9tへの増加)ことで、より重量の大きい車両の入庫が可能となるので、入庫可能な車種を増やすことができる。
【0049】
なお、上記において、本発明の実施形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0050】
10A,10B 垂直循環式駐車装置用ケージ
11A,11B パレット
11a フラット部
11b 傾斜端部
11c ガイド部材
12 第1ケージ枠
12a 第1下辺部
13 第2ケージ枠
13a 第2下辺部
14 吊り軸
15 補強部材
16 パレット旋回装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両搭載用のパレットと、該パレットの車両出入側端部に配置された第1ケージ枠と、前記パレットの反車両出入側端部に配置された第2ケージ枠と、前記パレットの前後方向に延びて両ケージ枠の上部同士を連結する吊り軸とを備えた垂直循環式駐車装置用ケージにおいて、
前記パレットは、車両を乗せる車路上面が幅方向にほぼ平坦に形成されたフラット部と、前記フラット部の前後両端にそれぞれ連結され前記フラット部とほぼ同等の高さの中央端部と、該中央端部の幅方向両側に設けられパレット端部に向うにつれて上面が低くなる傾斜始端部とを有する、ことを特徴とする垂直循環式駐車装置用ケージ。
【請求項2】
前記第1ケージ枠は、ケージ枠の幅方向に延びて前記パレットの車両出入側の端部を支持し中央部が湾曲して盛り上がった形状の第1下辺部を有し、
前記第2ケージ枠は、ケージ枠の幅方向に延びて前記パレットの反車両出入側の端部を支持し中央部が湾曲して盛り上がった形状の第2下辺部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の垂直循環式駐車装置用ケージ。
【請求項3】
前記パレットは、パレットの下部で前後方向に延びる補強部材を有し、
前記補強部材の後端の上面は、前記パレットの下面に接し、
前記補強部材の後端の下面は、湾曲して盛り上がった前記中央部でない部位の前記第2下辺部に接する、ことを特徴とする請求項2に記載の垂直循環式駐車装置用ケージ。
【請求項4】
車両搭載用のパレットと、該パレットの車両出入側端部に配置された第1ケージ枠と、前記パレットの反車両出入側端部に配置された第2ケージ枠と、前記パレットの前後方向に延びて両ケージ枠の上部同士を連結する吊り軸とを備えた垂直循環式駐車装置用ケージの改造方法であって、
前記パレットを、請求項1に記載の垂直循環式駐車装置用ケージの前記パレットに交換する、ことを特徴とする垂直循環式駐車装置用ケージの改造方法。
【請求項5】
前記第1ケージ枠を、ケージ枠の幅方向に延びて前記パレットの車両出入側の端部を支持し中央部が湾曲して盛り上がった形状の第1下辺部を有するものに交換し、
前記第2ケージ枠を、ケージ枠の幅方向に延びて前記パレットの反車両出入側の端部を支持し中央部が湾曲して盛り上がった形状の第2下辺部を有するものに交換する、ことを特徴とする請求項4に記載の垂直循環式駐車装置用ケージの改造方法。
【請求項6】
前記パレットを、より幅の広いものに交換する、ことを特徴とする請求項4または5に記載の垂直循環式駐車装置用ケージの改造方法。
【請求項7】
前記パレットを、より最大搭載可能重量が大きいものに交換する、ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の垂直循環式駐車装置用ケージの改造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−255340(P2012−255340A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−221060(P2012−221060)
【出願日】平成24年10月3日(2012.10.3)
【分割の表示】特願2008−165401(P2008−165401)の分割
【原出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)