垂直搬送装置
【課題】 連続的に搬送物を容易に水平から垂直方向(または逆方向)に搬送物を転換させつつ、垂直搬送を可能とした垂直搬送機を提供することにある。
【解決手段】 厚みTを長さLで除した値が1/2より小さく1/10より大きい搬送物Wを搬送する水平コンベヤ10と、水平コンベヤ10の折返し部側に配置される垂直ベルトコンベヤ20と、水平コンベヤ10の折返し部側の上部に、垂直ベルトコンベヤ20と対向配置される押さえローラユニット30とを備え、押さえローラユニット30は、水平コンベヤ10と垂直ベルトコンベヤ20との対向面側に、搬送物Wによって押しのけられることにより、自重を縦方向および横方向に押付力として働かせて移動する複数のフリーローラ37を並列に軸支設置して成る。
【解決手段】 厚みTを長さLで除した値が1/2より小さく1/10より大きい搬送物Wを搬送する水平コンベヤ10と、水平コンベヤ10の折返し部側に配置される垂直ベルトコンベヤ20と、水平コンベヤ10の折返し部側の上部に、垂直ベルトコンベヤ20と対向配置される押さえローラユニット30とを備え、押さえローラユニット30は、水平コンベヤ10と垂直ベルトコンベヤ20との対向面側に、搬送物Wによって押しのけられることにより、自重を縦方向および横方向に押付力として働かせて移動する複数のフリーローラ37を並列に軸支設置して成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に流れてきた搬送物を水平から垂直方向に転換させつつ、垂直搬送を可能とした垂直搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続的に流れてきた搬送物を水平から垂直方向に搬送する際、標準的なコンベヤで搬送物の搬送方向を水平から垂直に転換させることは容易ではない。
そこで、従来、グリップ機構等を用いた特殊コンベヤ(1本ベルトで水平+傾斜一体のコンベヤ)と挟み込み用ベルトコンベヤの組合せ、または、チェン+スラットを用いたバーチレータ式コンベヤなどを用いることが知られている。
【特許文献1】特開昭60−26509号公報
【特許文献2】特開平6−135524号公報
【特許文献3】特開平11−139418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の搬送装置は、特殊な構造であり、高価なユニットが必要となる。また、特殊構造のコンベヤを使用することによってコストアップとなる。加えて、バーチレータ式は構造上、設置スペースが広く必要となる。
従って、垂直搬送が必要で、方向転換に要するスペースが少ない場合、あまりコストをかけずに、方向転換したい場合などの要望に応えることができない。
なお、特許文献1〜3には、搬送物を垂直方向に搬送することを開示するが、連続的に流れてきた搬送物を水平から垂直方向に搬送することに提供することは困難である。
【0004】
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、連続的に搬送物を容易に水平から垂直方向(または逆方向)に搬送物を転換させつつ、垂直搬送を可能とした垂直搬送機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、厚みTを長さLで除した値が1/2より小さく1/10より大きい搬送物を搬送する水平コンベヤと、前記水平コンベヤの折返し部側に配置される垂直ベルトコンベヤと、前記水平コンベヤの前記折返し部側の上部に、前記垂直ベルトコンベヤと対向配置される押さえローラユニットとを備え、前記押さえローラユニットは、前記水平コンベヤと前記垂直ベルトコンベヤとの対向面側に、前記搬送物によって押しのけられることにより、自重を縦方向および横方向に押付力として働かせて移動する複数のフリーローラを並列に軸支設置して成ることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の垂直搬送装置において、前記押さえローラユニットは、少なくとも1つのフリーローラから成る前記水平コンベヤとの対向面に設置された下部フリーローラ群と、垂直に並列した複数のフリーローラから成る前記垂直ベルトコンベヤとの対向面に設置された垂直部フリーローラ群とから成り、前記下部フリーローラ群は、前記水平コンベヤから前記垂直ベルトコンベヤへの前記搬送物の乗り移り時に、前記搬送物の押しのけで発生する各フリーローラ自重による押付力によって、前記搬送物の浮き上がりを防止しながら前記水平コンベヤの搬送力を維持することで、前記水平コンベヤの搬送力および前記垂直ベルトコンベヤの搬送力により、前記搬送物を引き起こして搬送方向を垂直に方向転換し、前記垂直ベルトコンベヤに押し付けることができるように設置され、前記垂直部フリーローラ群は、前記水平コンベヤから前記垂直ベルトコンベヤへの前記搬送物の乗り移り後に、前記垂直に並列した複数のフリーローラが、自重による押付力によって前記垂直に方向転換された前記搬送物を、前記垂直ベルトコンベヤとの間に挟み込んで搬送することができるように設置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2記載の垂直搬送装置において、前記押さえローラユニットは、前記水平コンベヤとの対向面および前記垂直ベルトコンベヤとの対向面において、前記複数のフリーローラが、前記押さえローラユニットの軸線に対して前記垂直ベルトコンベヤに向かって鋭角に傾斜するように設けられた落とし込み用長孔に滑動自在かつ回転自在に配置されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3の何れか記載の垂直搬送装置において、前記複数のフリーローラは、押さえローラ軸と、前記押さえローラ軸に滑動自在かつ回転自在に配置される複数の樹脂製のフリーローラと、前記押さえローラ軸の両端部に配置される摩擦抵抗の小さい樹脂製のすべり軸受とで構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項3の何れか記載の垂直搬送装置において、前記水平コンベヤおよび前記垂直ベルトコンベヤのベルトは、高摩擦ベルトであることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項2ないし請求項5の何れか記載の垂直搬送装置において、前記下部フリーローラ群は、前記搬送物と最初に接する前記フリーローラが、前記押さえローラユニットの軸線方向に移動するように前記押さえローラユニットの軸線方向に切り込まれた落とし込み用長孔に滑動自在かつ回転自在に配置されていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項3ないし請求項6の何れか記載の垂直搬送装置において、前記落とし込み用長孔の下端に前記フリーローラが位置している際に、前記下部フリーローラ群の前記搬送物と最初に接する前記フリーローラの軸央と前記水平コンベヤ搬送面との距離La、および前記垂直部フリーローラ群の前記フリーローラの軸央と前記垂直ベルトコンベヤ搬送面との距離Lbともに、搬送物の厚みT<La<{搬送物の厚みT+(フリーローラ径/2)}、搬送物の厚みT<Lb<{搬送物の厚みT+(フリーローラ径/2)}であることを特徴とする。
【0009】
請求項8に係る発明は、請求項4ないし請求項7の何れか記載の垂直搬送装置において、前記垂直部フリーローラ群における前記フリーローラの前記垂直ベルトコンベヤへの押付力による垂直搬送力Wvは、前記垂直搬送時に前記搬送物に触れる前記フリーローラの本数をn、前記落とし込み用長孔の長さ方向が前記押さえローラユニットの軸線に対して傾斜する角度をθ、前記フリーローラ1本の重量をRW、前記フリーローラの軸両端のすべり軸受の摩擦抵抗をμ1、前記搬送物と前記垂直ベルトコンベヤとの摩擦抵抗をμ2としたとき、Wv=[[RWcosθ−(RWsinθ×μ1)]×sinθ×μ2]×nであり、前記搬送物の重量Wwに対して、Wv>Wwであるように前記垂直部フリーローラ群を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、水平コンベヤと垂直ベルトコンベヤとの対向面側に、搬送物によって押しのけられることにより、自重を縦方向および横方向に押付力として働かせて移動する複数のフリーローラを並列に軸支設置して押さえローラユニットを配置したので、連続する搬送物でもスムースに方向転換(水平⇔傾斜)が可能となった。
【0011】
また、水平コンベヤと垂直ベルトコンベヤとの対向面側に押さえローラユニットを配設するという簡易な構造で方向転換が可能となった。また、構造が簡易なため設置省スペース化が可能となった。
さらに、水平コンベヤと垂直ベルトコンベヤとは、標準コンベヤの組合せで済むため、従来よりコスト削減となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る垂直搬送装置1を示す。
本実施形態に係る垂直搬送装置1は、厚みTを長さLで除した値が1/2より小さく1/10より大きい搬送物(例えば、長さLが厚みTの2倍の箱状のケース)Wを搬送する下部側の水平コンベヤである水平ベルトコンベヤ10と、水平ベルトコンベヤ10の折返し部(頭部プーリ13)側に配置される垂直ベルトコンベヤ20と、水平ベルトコンベヤ10の折返し部(頭部プーリ13)側の上部に、垂直ベルトコンベヤ20と対向配置され、水平ベルトコンベヤ10と垂直ベルトコンベヤ20との対向面側に、搬送物Wがフリーローラ37を押しのけることにより、フリーローラ37の自重を縦方向および横方向にも押付力として働かせて移動するように複数のフリーローラ37を並列に軸支設置して成る押さえローラユニット30と、搬送物Wを搬送する上部側の水平ベルトコンベヤ50とを備える。
【0013】
下部側の水平ベルトコンベヤ10は、図1、図2に示すように、駆動モータ14によって駆動される駆動プーリ12と頭部プーリ13との間に巻回されるベルト11とを備え、コンベヤ取付ベース40に複数の取付ブラケット15を介して固定されている。ベルト11としては、搬送物Wを垂直ベルトコンベヤ20と押さえローラユニット30とで挟持して確実に垂直搬送させる際に搬送物Wに水平ベルトコンベヤ10の搬送力を確実に伝達するため、高摩擦ベルトが好適である。本実施形態では、例えばベルト表面摩擦係数を0.9(対鋼材)とした。
【0014】
垂直ベルトコンベヤ20は、図1〜図4、図11〜図13に示すように、駆動モータ24によって駆動される駆動プーリ22と頭部プーリ23との間に巻回されるベルト21を備え、コンベヤ取付ベース40に取付ブラケット25を介して固定されている。ベルト21としては、搬送物Wを押さえローラユニット30と挟持して確実に垂直搬送するため、高摩擦ベルトが好適である。本実施形態では、例えばベルト表面摩擦係数を0.9(対鋼材)とした。
【0015】
押さえローラユニット30は、図1、図2、図4〜図13に示すように、水平ベルトコンベヤ10の横幅より大きく、垂直ベルトコンベヤ20の高さより高い板材からなる背板32の両側に、水平ベルトコンベヤ10との対向面側31Aと垂直ベルトコンベヤ20との対向面側31Bとに複数の落とし込み用長孔34を設けた側板33を対向配置して一体的に設けた押さえローラ取付ブラケット31と、押さえローラ軸36に複数の樹脂製のフリーローラ37を滑動自在かつ回転自在に配置するとともに押さえローラ軸36の両端部に摩擦抵抗の小さい樹脂製の円筒部材に両面取り部38aを設けたすべり軸受38を滑動自在かつ回転自在に配置して成る複数の押さえローラ35とを備え、図9(B)に示すように、押さえローラ軸36に複数の樹脂製のフリーローラ37を挿通し端部にすべり軸受38を装着することによって、図9(A)、図9(B)に示すように、各押さえローラ35を各落とし込み用長孔34にすべり軸受38の両面取り部38aを滑動自在に配置した後、図4、図6に示すように、両側板33の外側に抜け止め板39を取り付けて押さえローラ35が抜け出ないように取付ブラケット31の孔31aにボルト・ナット31cを螺合するとともに、図1、図4に示すように、コンベヤ取付ベース40に取付ブラケット31の孔31bにボルト・ナット31dを螺合することによって固定されている。なお、押さえローラ35の抜け止めとしては、例えば、図10に示すように、抜け止めボルト41を用いても良い。
【0016】
複数の落とし込み用長孔34は、図5に示すように、水平ベルトコンベヤ10との対向面側31Aおよび垂直ベルトコンベヤ20との対向面側31Bにおいて、複数の押さえローラ35が、押さえローラユニット30の長手方向の軸線30aに対して垂直ベルトコンベヤ20に向かって、例えば+45°のように鋭角に傾斜するように設けられている。ただし、水平ベルトコンベヤ10との対向面側31Aにおいて、搬送物Wと最初に接する押さえローラ35を配置する落とし込み用長孔34Aは、押さえローラユニット30の軸線30a方向に移動するように押さえローラユニット30の軸線方向に切り込まれている。
【0017】
また、押さえローラユニット30には、上部に搬送物Wを上部側の水平ベルトコンベヤ50に搬送物Wを確実に受け渡すためのガイド42が設けてある。
そして、押さえローラユニット30は、図11、図12に示すように、1つのフリーローラ37aから成る水平コンベヤ10との対向面に設置された下部フリーローラ群37Aと、垂直に設けた最下端のフリーローラ37bと最下端のフリーローラ37bと並列して設けた複数のフリーローラ37b’から成る垂直ベルトコンベヤ20との対向面に設置された垂直部フリーローラ群37Bとを備えている。下部フリーローラ群37Aのフリーローラ37aおよび垂直部フリーローラ群37Bの最下端のフリーローラ37bの自重による押付力によって水平ベルトコンベヤ10の搬送力を維持して、水平ベルトコンベヤ10と垂直ベルトコンベヤ20との協働による搬送物Wの引き起こしに寄与する。また、垂直部フリーローラ群37Bは、垂直ベルトコンベヤ20との間に挟み込んで搬送することに寄与する。
【0018】
下部フリーローラ群37Aのフリーローラ37aおよび垂直部フリーローラ群37Bの最下端のフリーローラ37bは、水平コンベヤ10から垂直ベルトコンベヤ20への搬送物Wの乗り移り時に、搬送物Wの押しのけで発生するフリーローラ37aおよび最下端のフリーローラ37bの自重による押付力によって、搬送物Wの浮き上がりを防止しながら水平コンベヤ10の搬送力を維持することで、水平コンベヤ10の搬送力および垂直ベルトコンベヤ20の搬送力により、搬送物Wを引き起こして搬送方向を垂直に方向転換し、垂直ベルトコンベヤ20に押し付けることができるように設置されている。また、下部フリーローラ群37Aは、上述したように、搬送物Wと最初に接するフリーローラ37aが、押さえローラユニット30の軸線30a方向に移動するように押さえローラユニット20の軸線30a方向に切り込まれた落とし込み用長孔34Aに滑動自在かつ回転自在に配置されている。
【0019】
垂直部フリーローラ群37Bは、水平コンベヤ10から垂直ベルトコンベヤ20への搬送物Wの乗り移り後に、垂直に並列した複数のフリーローラ37b’が、自重による押付力によって垂直に方向転換された搬送物Wを、垂直ベルトコンベヤ20との間に挟み込んで搬送することができるように設置されている。
【0020】
落とし込み用長孔34、34Aの下端にフリーローラ37が位置している際に、下部フリーローラ群37Aの搬送物Wと最初に接するフリーローラ37aの軸央と水平コンベヤ10の搬送面との距離La、および垂直部フリーローラ群37Bのフリーローラ37b’の軸央と垂直ベルトコンベヤ20の搬送面との距離Lbともに、
搬送物Wの厚みT<La<{搬送物Wの厚みT+(フリーローラ37の径/2)}
搬送物Wの厚みT<Lb<{搬送物Wの厚みT+(フリーローラ37の径/2)}
である。
【0021】
ここでは、下部フリーローラ群37Aの搬送物Wに最初に接するフリーローラ37aが落とし込み用長孔34Aの下端、つまり搬送物Wによる押しのけを受けていない場合の位置を、搬送物Wとフリーローラ37の軸央とで規定している。上式で規定する距離の間にあることによって、搬送物Wがフリーローラ37を押しのけることが可能となり、またフリーローラ37が搬送物Wの行く手を遮るという不具合が解消できる。また、垂直部フリーローラ群37Bも、上式の範囲にフリーローラ37の軸央が存在しないと、搬送物Wの角を傷めてしまう。さらに、このように規定することによって、下部フリーローラ群37Aのうち、搬送物Wと最初に接するフリーローラ37a以外の位置は、その位置を、搬送物Wの引き起こし時に有効に水平コンベヤ10および垂直ベルトコンベヤ20それぞれに押し付けるような移動範囲に適宜設計して決めることになる。
【0022】
また、図13に示すように、垂直部フリーローラ群37Bは、垂直部フリーローラ群37Bにおけるフリーローラ37b,37b’の垂直ベルトコンベヤ20への押付力による垂直搬送力Wvは、垂直搬送時に搬送物Wに触れるフリーローラ37b,37b’の本数をn、落とし込み用長孔34の長さ方向が押さえローラユニット30の軸線30aに対して傾斜する角度をθ、1本のフリーローラ37bの重量をRW、フリーローラ37b,37b’の軸両端のすべり軸受38の摩擦抵抗をμ1、搬送物Wと垂直ベルトコンベヤ20との摩擦抵抗をμ2としたとき、
Wv=[[RWcosθ−(RWsinθ×μ1)]×sinθ×μ2]×nであり、
搬送物Wの重量Wwに対して、Wv>Wwであるように設けられている。
ここで、RWsinθ×μ1が反力※1としてRWcosθから減じられている。
【0023】
搬送物Wとしては、形状の安定した極端な凹凸のないものであれば、特に限定するものではなく、例えば、タバコ(箱・カートン)、菓子箱、眼鏡ケース等の箱状のケースがある。
【0024】
次に、斯くして構成された本実施形態に係る搬送装置1の作用を説明する。
搬送物Wは、図14(a)に示すように、水平ベルトコンベヤ10によって例えば搬送速度30m/minで連続的に搬送され、図14(b)に示すように、押さえローラユニット30の水平ベルトコンベヤ10との対向面側に来ると、搬送物Wは落とし込み用長孔34Aに配置した最初の押さえローラ35(図11、図12に示すように、下部フリーローラ群37Aのフリーローラ37aを備えている)と接し、図14(c)に示すように、その押さえローラ35のフリーローラ37aと接しながら垂直ベルトコンベヤ20のベルト21に当接するまで搬送される。この間は、水平搬送のため、押さえローラユニット30による押付力は発生しているが、特に不要である。
【0025】
図14(c)から図14(d)に移行する際、搬送物Wは、水平ベルトコンベヤ10のベルト駆動によって垂直ベルトコンベヤ20のベルト21面に押し付けられ、最初の押さえローラ35のフリーローラ37aが搬送物Wの中心より後部側に位置するので、最初の押さえローラ35と次の押さえローラ35(図11、図12に示すように、垂直部フリーローラ群37Bの最下端に位置する最初のフリーローラ37bを備えている)とによって搬送物Wを水平ベルトコンベヤ10に押し付けて摩擦力を発生させ、搬送物Wが上下動しないように抑制することができる。このような動きを可能とするために、第2番目の押さえローラ35(図11、図12に示すように、垂直部フリーローラ群37Bの最下端に位置する最初のフリーローラ37bを備えている)を案内する落とし込み用長孔34は、その他の落とし込み用長孔34の長さより長く設定されている。これにより、水平ベルトコンベヤ10へ搬送物Wを押し付けることで、垂直ベルトコンベヤ20への搬送物Wの押付力も確保される。
【0026】
図14(e)〜図14(h)に示すように、搬送物Wが水平から傾斜に移行する際、45°傾斜(図14(f))になるまで、最初の押さえローラ35(図11、図12に示すように、下部フリーローラ群37Aのフリーローラ37aを備えている)、第2番目の押さえローラ35(図11、図12に示すように、垂直部フリーローラ群37Bの最下端に位置する最初のフリーローラ37bを備えている)および第3番目の押さえローラ35(図11、図12に示すように、垂直部フリーローラ群37Bの第2番目のフリーローラ37b’を備えている)は、水平ベルトコンベヤ10への押付力を掛け、以降は少しずつ垂直ベルトコンベヤ20のベルト21への搬送物Wの押し付けで発生するフリーローラ37自重による押付力を加えていく。
【0027】
図14(i)〜図14(j)に示すように、搬送物Wが垂直になってから垂直搬送を始めると、垂直ベルトコンベヤ20のベルト21への押付力は搬送物Wの長さおよび幅により異なる。搬送物Wの重量とベルト21の摩擦、押さえローラ35とは、図13に示す関係から下記の条件が成立する。
【0028】
垂直ベルトコンベヤ20のベルト21の表面摩擦係数を0.9(対鋼材)とする。搬送物Wがシュリンク後製品の場合、鋼材と比較し、摩擦係数は高くなるが、鋼材の0.9を使用する。
すべり軸受38の摩擦係数を0.24(対鋼材)とする。
押さえローラ35の自重を0.075kg/本とする。
上記条件での垂直搬送摩擦力は、以下のようになる。
押さえローラ35の垂直ベルトコンベヤ20への押付力=0.028kg/本
2本の押さえローラ35による押さえであることから、ここでの垂直搬送摩擦力は、0.05kg/ケとなる。
その後、搬送物Wは、押さえローラユニット30と垂直ベルトコンベヤ20とで挟持されながら上部のガイド42に至り、ここで、上部側の水平ベルトコンベヤ50上に乗り換えるように方向が変換される。
【0029】
以上のように、本実施形態では、押さえローラ35は、スポンジやスプリングなどによる付勢力を用いることなく、自重により搬送物Wを垂直ベルトコンベヤ20のベルト21に押し付けるので、連続する搬送物Wでもスムースに方向転換(水平⇔傾斜)ができる。
押さえローラ35のフリーローラ37の自重を縦方向だけでなく、横方向にも押付力を働かせることが可能となり、連続する搬送物Wでもスムースに方向転換(水平⇔傾斜)ができる。
【0030】
押さえローラ35は、フリーローラ37自身を樹脂製として単独で回転させつつ軸も摩擦抵抗の小さい樹脂製のすべり軸受38を使用しているので、フリーローラ37の回転抵抗を減らすことができる。
また、摩擦抵抗の小さいすべり軸受38を斜めに配置した落とし込み用長孔34、34Aに差し込むことにより、押さえローラ35のフリーローラ37を自重により落とし込み用長孔34、34Aに沿って軽く移動させることができる。
【0031】
なお、上記実施形態において、水平ベルトコンベヤ10との対向面側31Aに最初に設けた落とし込み用長孔34Aを、図5に示すように、押さえローラユニット30の軸線方向に設けたが、本発明はこれに限らず、残りの落とし込み用長孔34と同様に、例えば45°に傾斜するものとしても良い。この場合には、押さえローラユニット30の横幅が広めとなる。
【0032】
また、上記実施形態では、搬送物Wとして、その長さLが厚みTの2倍の箱状のケースについて説明したが、本発明はこれに限らず、その長さLが厚みTの10倍までの箱状のケースであっても同様に搬送することが可能である。なお、長さLが厚みTの2倍以上10倍以下とした理由は、フリーローラ37の自重で押付力として働かせるためには、搬送物Wによるフリーローラ37の押付力が必要となり、長さLと厚みTとが近い搬送物Wや長尺の搬送物Wでは、フリーローラ37の押付力を確実に得ることができずらくなるからである。
【0033】
また、上記実施形態では、下部フリーローラ群37Aを1つのフリーローラ37aによって構成したが、本発明はこれに限らず、複数のフリーローラ37aによって構成しても良い。
また、上記実施形態では、押さえローラユニット30に設けた落とし込み用長孔34の取付角度を45°とした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば50°、40°、30°などのように搬送物Wに応じて適宜変更することができる。
【0034】
また、上記実施形態では、水平ベルトコンベヤ10を1本のベルト11を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、2本のベルトを用いることも可能である。
また、上記実施形態では、押さえローラユニット30は、5つのフリーローラ37を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、搬送物Wに応じて適宜変更することが可能である。
また、上記実施形態では、水平コンベヤとして水平ベルトコンベヤ10、50を用いたが、本発明はこれに限らず、スラットコンベヤやチェンコンベヤを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る垂直搬送装置1を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の垂直ベルトコンベヤ20の側面図である。
【図4】図1の側面図である。
【図5】図1の押さえローラユニット20の押さえローラ取付ブラケット31を示す正面図である。
【図6】図4のA部の拡大図である。
【図7】図6のX矢視図である。
【図8】図1の押さえローラ35の正面図である。
【図9】図1の押さえローラユニット30における押さえローラ35の取り付けを示す説明図である。
【図10】図1の押さえローラユニット30における押さえローラ35の別の取り付けを示す説明図である。
【図11】図1の押さえローラユニット30と水平ベルトコンベヤ10と垂直ベルトコンベヤ20との関係を示す拡大図である。
【図12】図1の押さえローラユニット30と水平ベルトコンベヤ10と垂直ベルトコンベヤ20との関係を示す拡大図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る垂直搬送装置1における押さえローラユニット30における押さえローラ35のフリーローラ37の垂直ベルトコンベヤ20への押付力による垂直搬送を示す説明図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る垂直搬送装置1の作用を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 垂直搬送装置
10、50 水平ベルトコンベヤ
11、21 ベルト
12、22 駆動プーリ
13、23 頭部プーリ
14、24 駆動モータ
15、25 取付ブラケット
20 垂直ベルトコンベヤ
30 押さえローラユニット
31 押さえローラ取付ブラケット
31a、31b 孔
31c、31d ボルト・ナット
31A 水平ベルトコンベヤ10との対向面側
31B 垂直ベルトコンベヤ20との対向面側
32 背板
33 側板
34 落とし込み用長孔
35 押さえローラ
36 ローラ軸
37、37a、37b、37b’ フリーローラ
37A 下部フリーローラ群
37B 垂直部フリーローラ群
38 すべり軸受
39 抜け止め板
40 コンベヤ取付ベース
41 抜け止めボルト
W 搬送物
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に流れてきた搬送物を水平から垂直方向に転換させつつ、垂直搬送を可能とした垂直搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続的に流れてきた搬送物を水平から垂直方向に搬送する際、標準的なコンベヤで搬送物の搬送方向を水平から垂直に転換させることは容易ではない。
そこで、従来、グリップ機構等を用いた特殊コンベヤ(1本ベルトで水平+傾斜一体のコンベヤ)と挟み込み用ベルトコンベヤの組合せ、または、チェン+スラットを用いたバーチレータ式コンベヤなどを用いることが知られている。
【特許文献1】特開昭60−26509号公報
【特許文献2】特開平6−135524号公報
【特許文献3】特開平11−139418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の搬送装置は、特殊な構造であり、高価なユニットが必要となる。また、特殊構造のコンベヤを使用することによってコストアップとなる。加えて、バーチレータ式は構造上、設置スペースが広く必要となる。
従って、垂直搬送が必要で、方向転換に要するスペースが少ない場合、あまりコストをかけずに、方向転換したい場合などの要望に応えることができない。
なお、特許文献1〜3には、搬送物を垂直方向に搬送することを開示するが、連続的に流れてきた搬送物を水平から垂直方向に搬送することに提供することは困難である。
【0004】
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、連続的に搬送物を容易に水平から垂直方向(または逆方向)に搬送物を転換させつつ、垂直搬送を可能とした垂直搬送機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、厚みTを長さLで除した値が1/2より小さく1/10より大きい搬送物を搬送する水平コンベヤと、前記水平コンベヤの折返し部側に配置される垂直ベルトコンベヤと、前記水平コンベヤの前記折返し部側の上部に、前記垂直ベルトコンベヤと対向配置される押さえローラユニットとを備え、前記押さえローラユニットは、前記水平コンベヤと前記垂直ベルトコンベヤとの対向面側に、前記搬送物によって押しのけられることにより、自重を縦方向および横方向に押付力として働かせて移動する複数のフリーローラを並列に軸支設置して成ることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の垂直搬送装置において、前記押さえローラユニットは、少なくとも1つのフリーローラから成る前記水平コンベヤとの対向面に設置された下部フリーローラ群と、垂直に並列した複数のフリーローラから成る前記垂直ベルトコンベヤとの対向面に設置された垂直部フリーローラ群とから成り、前記下部フリーローラ群は、前記水平コンベヤから前記垂直ベルトコンベヤへの前記搬送物の乗り移り時に、前記搬送物の押しのけで発生する各フリーローラ自重による押付力によって、前記搬送物の浮き上がりを防止しながら前記水平コンベヤの搬送力を維持することで、前記水平コンベヤの搬送力および前記垂直ベルトコンベヤの搬送力により、前記搬送物を引き起こして搬送方向を垂直に方向転換し、前記垂直ベルトコンベヤに押し付けることができるように設置され、前記垂直部フリーローラ群は、前記水平コンベヤから前記垂直ベルトコンベヤへの前記搬送物の乗り移り後に、前記垂直に並列した複数のフリーローラが、自重による押付力によって前記垂直に方向転換された前記搬送物を、前記垂直ベルトコンベヤとの間に挟み込んで搬送することができるように設置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2記載の垂直搬送装置において、前記押さえローラユニットは、前記水平コンベヤとの対向面および前記垂直ベルトコンベヤとの対向面において、前記複数のフリーローラが、前記押さえローラユニットの軸線に対して前記垂直ベルトコンベヤに向かって鋭角に傾斜するように設けられた落とし込み用長孔に滑動自在かつ回転自在に配置されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3の何れか記載の垂直搬送装置において、前記複数のフリーローラは、押さえローラ軸と、前記押さえローラ軸に滑動自在かつ回転自在に配置される複数の樹脂製のフリーローラと、前記押さえローラ軸の両端部に配置される摩擦抵抗の小さい樹脂製のすべり軸受とで構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項3の何れか記載の垂直搬送装置において、前記水平コンベヤおよび前記垂直ベルトコンベヤのベルトは、高摩擦ベルトであることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項2ないし請求項5の何れか記載の垂直搬送装置において、前記下部フリーローラ群は、前記搬送物と最初に接する前記フリーローラが、前記押さえローラユニットの軸線方向に移動するように前記押さえローラユニットの軸線方向に切り込まれた落とし込み用長孔に滑動自在かつ回転自在に配置されていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項3ないし請求項6の何れか記載の垂直搬送装置において、前記落とし込み用長孔の下端に前記フリーローラが位置している際に、前記下部フリーローラ群の前記搬送物と最初に接する前記フリーローラの軸央と前記水平コンベヤ搬送面との距離La、および前記垂直部フリーローラ群の前記フリーローラの軸央と前記垂直ベルトコンベヤ搬送面との距離Lbともに、搬送物の厚みT<La<{搬送物の厚みT+(フリーローラ径/2)}、搬送物の厚みT<Lb<{搬送物の厚みT+(フリーローラ径/2)}であることを特徴とする。
【0009】
請求項8に係る発明は、請求項4ないし請求項7の何れか記載の垂直搬送装置において、前記垂直部フリーローラ群における前記フリーローラの前記垂直ベルトコンベヤへの押付力による垂直搬送力Wvは、前記垂直搬送時に前記搬送物に触れる前記フリーローラの本数をn、前記落とし込み用長孔の長さ方向が前記押さえローラユニットの軸線に対して傾斜する角度をθ、前記フリーローラ1本の重量をRW、前記フリーローラの軸両端のすべり軸受の摩擦抵抗をμ1、前記搬送物と前記垂直ベルトコンベヤとの摩擦抵抗をμ2としたとき、Wv=[[RWcosθ−(RWsinθ×μ1)]×sinθ×μ2]×nであり、前記搬送物の重量Wwに対して、Wv>Wwであるように前記垂直部フリーローラ群を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、水平コンベヤと垂直ベルトコンベヤとの対向面側に、搬送物によって押しのけられることにより、自重を縦方向および横方向に押付力として働かせて移動する複数のフリーローラを並列に軸支設置して押さえローラユニットを配置したので、連続する搬送物でもスムースに方向転換(水平⇔傾斜)が可能となった。
【0011】
また、水平コンベヤと垂直ベルトコンベヤとの対向面側に押さえローラユニットを配設するという簡易な構造で方向転換が可能となった。また、構造が簡易なため設置省スペース化が可能となった。
さらに、水平コンベヤと垂直ベルトコンベヤとは、標準コンベヤの組合せで済むため、従来よりコスト削減となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る垂直搬送装置1を示す。
本実施形態に係る垂直搬送装置1は、厚みTを長さLで除した値が1/2より小さく1/10より大きい搬送物(例えば、長さLが厚みTの2倍の箱状のケース)Wを搬送する下部側の水平コンベヤである水平ベルトコンベヤ10と、水平ベルトコンベヤ10の折返し部(頭部プーリ13)側に配置される垂直ベルトコンベヤ20と、水平ベルトコンベヤ10の折返し部(頭部プーリ13)側の上部に、垂直ベルトコンベヤ20と対向配置され、水平ベルトコンベヤ10と垂直ベルトコンベヤ20との対向面側に、搬送物Wがフリーローラ37を押しのけることにより、フリーローラ37の自重を縦方向および横方向にも押付力として働かせて移動するように複数のフリーローラ37を並列に軸支設置して成る押さえローラユニット30と、搬送物Wを搬送する上部側の水平ベルトコンベヤ50とを備える。
【0013】
下部側の水平ベルトコンベヤ10は、図1、図2に示すように、駆動モータ14によって駆動される駆動プーリ12と頭部プーリ13との間に巻回されるベルト11とを備え、コンベヤ取付ベース40に複数の取付ブラケット15を介して固定されている。ベルト11としては、搬送物Wを垂直ベルトコンベヤ20と押さえローラユニット30とで挟持して確実に垂直搬送させる際に搬送物Wに水平ベルトコンベヤ10の搬送力を確実に伝達するため、高摩擦ベルトが好適である。本実施形態では、例えばベルト表面摩擦係数を0.9(対鋼材)とした。
【0014】
垂直ベルトコンベヤ20は、図1〜図4、図11〜図13に示すように、駆動モータ24によって駆動される駆動プーリ22と頭部プーリ23との間に巻回されるベルト21を備え、コンベヤ取付ベース40に取付ブラケット25を介して固定されている。ベルト21としては、搬送物Wを押さえローラユニット30と挟持して確実に垂直搬送するため、高摩擦ベルトが好適である。本実施形態では、例えばベルト表面摩擦係数を0.9(対鋼材)とした。
【0015】
押さえローラユニット30は、図1、図2、図4〜図13に示すように、水平ベルトコンベヤ10の横幅より大きく、垂直ベルトコンベヤ20の高さより高い板材からなる背板32の両側に、水平ベルトコンベヤ10との対向面側31Aと垂直ベルトコンベヤ20との対向面側31Bとに複数の落とし込み用長孔34を設けた側板33を対向配置して一体的に設けた押さえローラ取付ブラケット31と、押さえローラ軸36に複数の樹脂製のフリーローラ37を滑動自在かつ回転自在に配置するとともに押さえローラ軸36の両端部に摩擦抵抗の小さい樹脂製の円筒部材に両面取り部38aを設けたすべり軸受38を滑動自在かつ回転自在に配置して成る複数の押さえローラ35とを備え、図9(B)に示すように、押さえローラ軸36に複数の樹脂製のフリーローラ37を挿通し端部にすべり軸受38を装着することによって、図9(A)、図9(B)に示すように、各押さえローラ35を各落とし込み用長孔34にすべり軸受38の両面取り部38aを滑動自在に配置した後、図4、図6に示すように、両側板33の外側に抜け止め板39を取り付けて押さえローラ35が抜け出ないように取付ブラケット31の孔31aにボルト・ナット31cを螺合するとともに、図1、図4に示すように、コンベヤ取付ベース40に取付ブラケット31の孔31bにボルト・ナット31dを螺合することによって固定されている。なお、押さえローラ35の抜け止めとしては、例えば、図10に示すように、抜け止めボルト41を用いても良い。
【0016】
複数の落とし込み用長孔34は、図5に示すように、水平ベルトコンベヤ10との対向面側31Aおよび垂直ベルトコンベヤ20との対向面側31Bにおいて、複数の押さえローラ35が、押さえローラユニット30の長手方向の軸線30aに対して垂直ベルトコンベヤ20に向かって、例えば+45°のように鋭角に傾斜するように設けられている。ただし、水平ベルトコンベヤ10との対向面側31Aにおいて、搬送物Wと最初に接する押さえローラ35を配置する落とし込み用長孔34Aは、押さえローラユニット30の軸線30a方向に移動するように押さえローラユニット30の軸線方向に切り込まれている。
【0017】
また、押さえローラユニット30には、上部に搬送物Wを上部側の水平ベルトコンベヤ50に搬送物Wを確実に受け渡すためのガイド42が設けてある。
そして、押さえローラユニット30は、図11、図12に示すように、1つのフリーローラ37aから成る水平コンベヤ10との対向面に設置された下部フリーローラ群37Aと、垂直に設けた最下端のフリーローラ37bと最下端のフリーローラ37bと並列して設けた複数のフリーローラ37b’から成る垂直ベルトコンベヤ20との対向面に設置された垂直部フリーローラ群37Bとを備えている。下部フリーローラ群37Aのフリーローラ37aおよび垂直部フリーローラ群37Bの最下端のフリーローラ37bの自重による押付力によって水平ベルトコンベヤ10の搬送力を維持して、水平ベルトコンベヤ10と垂直ベルトコンベヤ20との協働による搬送物Wの引き起こしに寄与する。また、垂直部フリーローラ群37Bは、垂直ベルトコンベヤ20との間に挟み込んで搬送することに寄与する。
【0018】
下部フリーローラ群37Aのフリーローラ37aおよび垂直部フリーローラ群37Bの最下端のフリーローラ37bは、水平コンベヤ10から垂直ベルトコンベヤ20への搬送物Wの乗り移り時に、搬送物Wの押しのけで発生するフリーローラ37aおよび最下端のフリーローラ37bの自重による押付力によって、搬送物Wの浮き上がりを防止しながら水平コンベヤ10の搬送力を維持することで、水平コンベヤ10の搬送力および垂直ベルトコンベヤ20の搬送力により、搬送物Wを引き起こして搬送方向を垂直に方向転換し、垂直ベルトコンベヤ20に押し付けることができるように設置されている。また、下部フリーローラ群37Aは、上述したように、搬送物Wと最初に接するフリーローラ37aが、押さえローラユニット30の軸線30a方向に移動するように押さえローラユニット20の軸線30a方向に切り込まれた落とし込み用長孔34Aに滑動自在かつ回転自在に配置されている。
【0019】
垂直部フリーローラ群37Bは、水平コンベヤ10から垂直ベルトコンベヤ20への搬送物Wの乗り移り後に、垂直に並列した複数のフリーローラ37b’が、自重による押付力によって垂直に方向転換された搬送物Wを、垂直ベルトコンベヤ20との間に挟み込んで搬送することができるように設置されている。
【0020】
落とし込み用長孔34、34Aの下端にフリーローラ37が位置している際に、下部フリーローラ群37Aの搬送物Wと最初に接するフリーローラ37aの軸央と水平コンベヤ10の搬送面との距離La、および垂直部フリーローラ群37Bのフリーローラ37b’の軸央と垂直ベルトコンベヤ20の搬送面との距離Lbともに、
搬送物Wの厚みT<La<{搬送物Wの厚みT+(フリーローラ37の径/2)}
搬送物Wの厚みT<Lb<{搬送物Wの厚みT+(フリーローラ37の径/2)}
である。
【0021】
ここでは、下部フリーローラ群37Aの搬送物Wに最初に接するフリーローラ37aが落とし込み用長孔34Aの下端、つまり搬送物Wによる押しのけを受けていない場合の位置を、搬送物Wとフリーローラ37の軸央とで規定している。上式で規定する距離の間にあることによって、搬送物Wがフリーローラ37を押しのけることが可能となり、またフリーローラ37が搬送物Wの行く手を遮るという不具合が解消できる。また、垂直部フリーローラ群37Bも、上式の範囲にフリーローラ37の軸央が存在しないと、搬送物Wの角を傷めてしまう。さらに、このように規定することによって、下部フリーローラ群37Aのうち、搬送物Wと最初に接するフリーローラ37a以外の位置は、その位置を、搬送物Wの引き起こし時に有効に水平コンベヤ10および垂直ベルトコンベヤ20それぞれに押し付けるような移動範囲に適宜設計して決めることになる。
【0022】
また、図13に示すように、垂直部フリーローラ群37Bは、垂直部フリーローラ群37Bにおけるフリーローラ37b,37b’の垂直ベルトコンベヤ20への押付力による垂直搬送力Wvは、垂直搬送時に搬送物Wに触れるフリーローラ37b,37b’の本数をn、落とし込み用長孔34の長さ方向が押さえローラユニット30の軸線30aに対して傾斜する角度をθ、1本のフリーローラ37bの重量をRW、フリーローラ37b,37b’の軸両端のすべり軸受38の摩擦抵抗をμ1、搬送物Wと垂直ベルトコンベヤ20との摩擦抵抗をμ2としたとき、
Wv=[[RWcosθ−(RWsinθ×μ1)]×sinθ×μ2]×nであり、
搬送物Wの重量Wwに対して、Wv>Wwであるように設けられている。
ここで、RWsinθ×μ1が反力※1としてRWcosθから減じられている。
【0023】
搬送物Wとしては、形状の安定した極端な凹凸のないものであれば、特に限定するものではなく、例えば、タバコ(箱・カートン)、菓子箱、眼鏡ケース等の箱状のケースがある。
【0024】
次に、斯くして構成された本実施形態に係る搬送装置1の作用を説明する。
搬送物Wは、図14(a)に示すように、水平ベルトコンベヤ10によって例えば搬送速度30m/minで連続的に搬送され、図14(b)に示すように、押さえローラユニット30の水平ベルトコンベヤ10との対向面側に来ると、搬送物Wは落とし込み用長孔34Aに配置した最初の押さえローラ35(図11、図12に示すように、下部フリーローラ群37Aのフリーローラ37aを備えている)と接し、図14(c)に示すように、その押さえローラ35のフリーローラ37aと接しながら垂直ベルトコンベヤ20のベルト21に当接するまで搬送される。この間は、水平搬送のため、押さえローラユニット30による押付力は発生しているが、特に不要である。
【0025】
図14(c)から図14(d)に移行する際、搬送物Wは、水平ベルトコンベヤ10のベルト駆動によって垂直ベルトコンベヤ20のベルト21面に押し付けられ、最初の押さえローラ35のフリーローラ37aが搬送物Wの中心より後部側に位置するので、最初の押さえローラ35と次の押さえローラ35(図11、図12に示すように、垂直部フリーローラ群37Bの最下端に位置する最初のフリーローラ37bを備えている)とによって搬送物Wを水平ベルトコンベヤ10に押し付けて摩擦力を発生させ、搬送物Wが上下動しないように抑制することができる。このような動きを可能とするために、第2番目の押さえローラ35(図11、図12に示すように、垂直部フリーローラ群37Bの最下端に位置する最初のフリーローラ37bを備えている)を案内する落とし込み用長孔34は、その他の落とし込み用長孔34の長さより長く設定されている。これにより、水平ベルトコンベヤ10へ搬送物Wを押し付けることで、垂直ベルトコンベヤ20への搬送物Wの押付力も確保される。
【0026】
図14(e)〜図14(h)に示すように、搬送物Wが水平から傾斜に移行する際、45°傾斜(図14(f))になるまで、最初の押さえローラ35(図11、図12に示すように、下部フリーローラ群37Aのフリーローラ37aを備えている)、第2番目の押さえローラ35(図11、図12に示すように、垂直部フリーローラ群37Bの最下端に位置する最初のフリーローラ37bを備えている)および第3番目の押さえローラ35(図11、図12に示すように、垂直部フリーローラ群37Bの第2番目のフリーローラ37b’を備えている)は、水平ベルトコンベヤ10への押付力を掛け、以降は少しずつ垂直ベルトコンベヤ20のベルト21への搬送物Wの押し付けで発生するフリーローラ37自重による押付力を加えていく。
【0027】
図14(i)〜図14(j)に示すように、搬送物Wが垂直になってから垂直搬送を始めると、垂直ベルトコンベヤ20のベルト21への押付力は搬送物Wの長さおよび幅により異なる。搬送物Wの重量とベルト21の摩擦、押さえローラ35とは、図13に示す関係から下記の条件が成立する。
【0028】
垂直ベルトコンベヤ20のベルト21の表面摩擦係数を0.9(対鋼材)とする。搬送物Wがシュリンク後製品の場合、鋼材と比較し、摩擦係数は高くなるが、鋼材の0.9を使用する。
すべり軸受38の摩擦係数を0.24(対鋼材)とする。
押さえローラ35の自重を0.075kg/本とする。
上記条件での垂直搬送摩擦力は、以下のようになる。
押さえローラ35の垂直ベルトコンベヤ20への押付力=0.028kg/本
2本の押さえローラ35による押さえであることから、ここでの垂直搬送摩擦力は、0.05kg/ケとなる。
その後、搬送物Wは、押さえローラユニット30と垂直ベルトコンベヤ20とで挟持されながら上部のガイド42に至り、ここで、上部側の水平ベルトコンベヤ50上に乗り換えるように方向が変換される。
【0029】
以上のように、本実施形態では、押さえローラ35は、スポンジやスプリングなどによる付勢力を用いることなく、自重により搬送物Wを垂直ベルトコンベヤ20のベルト21に押し付けるので、連続する搬送物Wでもスムースに方向転換(水平⇔傾斜)ができる。
押さえローラ35のフリーローラ37の自重を縦方向だけでなく、横方向にも押付力を働かせることが可能となり、連続する搬送物Wでもスムースに方向転換(水平⇔傾斜)ができる。
【0030】
押さえローラ35は、フリーローラ37自身を樹脂製として単独で回転させつつ軸も摩擦抵抗の小さい樹脂製のすべり軸受38を使用しているので、フリーローラ37の回転抵抗を減らすことができる。
また、摩擦抵抗の小さいすべり軸受38を斜めに配置した落とし込み用長孔34、34Aに差し込むことにより、押さえローラ35のフリーローラ37を自重により落とし込み用長孔34、34Aに沿って軽く移動させることができる。
【0031】
なお、上記実施形態において、水平ベルトコンベヤ10との対向面側31Aに最初に設けた落とし込み用長孔34Aを、図5に示すように、押さえローラユニット30の軸線方向に設けたが、本発明はこれに限らず、残りの落とし込み用長孔34と同様に、例えば45°に傾斜するものとしても良い。この場合には、押さえローラユニット30の横幅が広めとなる。
【0032】
また、上記実施形態では、搬送物Wとして、その長さLが厚みTの2倍の箱状のケースについて説明したが、本発明はこれに限らず、その長さLが厚みTの10倍までの箱状のケースであっても同様に搬送することが可能である。なお、長さLが厚みTの2倍以上10倍以下とした理由は、フリーローラ37の自重で押付力として働かせるためには、搬送物Wによるフリーローラ37の押付力が必要となり、長さLと厚みTとが近い搬送物Wや長尺の搬送物Wでは、フリーローラ37の押付力を確実に得ることができずらくなるからである。
【0033】
また、上記実施形態では、下部フリーローラ群37Aを1つのフリーローラ37aによって構成したが、本発明はこれに限らず、複数のフリーローラ37aによって構成しても良い。
また、上記実施形態では、押さえローラユニット30に設けた落とし込み用長孔34の取付角度を45°とした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば50°、40°、30°などのように搬送物Wに応じて適宜変更することができる。
【0034】
また、上記実施形態では、水平ベルトコンベヤ10を1本のベルト11を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、2本のベルトを用いることも可能である。
また、上記実施形態では、押さえローラユニット30は、5つのフリーローラ37を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、搬送物Wに応じて適宜変更することが可能である。
また、上記実施形態では、水平コンベヤとして水平ベルトコンベヤ10、50を用いたが、本発明はこれに限らず、スラットコンベヤやチェンコンベヤを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る垂直搬送装置1を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の垂直ベルトコンベヤ20の側面図である。
【図4】図1の側面図である。
【図5】図1の押さえローラユニット20の押さえローラ取付ブラケット31を示す正面図である。
【図6】図4のA部の拡大図である。
【図7】図6のX矢視図である。
【図8】図1の押さえローラ35の正面図である。
【図9】図1の押さえローラユニット30における押さえローラ35の取り付けを示す説明図である。
【図10】図1の押さえローラユニット30における押さえローラ35の別の取り付けを示す説明図である。
【図11】図1の押さえローラユニット30と水平ベルトコンベヤ10と垂直ベルトコンベヤ20との関係を示す拡大図である。
【図12】図1の押さえローラユニット30と水平ベルトコンベヤ10と垂直ベルトコンベヤ20との関係を示す拡大図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る垂直搬送装置1における押さえローラユニット30における押さえローラ35のフリーローラ37の垂直ベルトコンベヤ20への押付力による垂直搬送を示す説明図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る垂直搬送装置1の作用を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 垂直搬送装置
10、50 水平ベルトコンベヤ
11、21 ベルト
12、22 駆動プーリ
13、23 頭部プーリ
14、24 駆動モータ
15、25 取付ブラケット
20 垂直ベルトコンベヤ
30 押さえローラユニット
31 押さえローラ取付ブラケット
31a、31b 孔
31c、31d ボルト・ナット
31A 水平ベルトコンベヤ10との対向面側
31B 垂直ベルトコンベヤ20との対向面側
32 背板
33 側板
34 落とし込み用長孔
35 押さえローラ
36 ローラ軸
37、37a、37b、37b’ フリーローラ
37A 下部フリーローラ群
37B 垂直部フリーローラ群
38 すべり軸受
39 抜け止め板
40 コンベヤ取付ベース
41 抜け止めボルト
W 搬送物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚みTを長さLで除した値が1/2より小さく1/10より大きい搬送物を搬送する水平コンベヤと、
前記水平コンベヤの折返し部側に配置される垂直ベルトコンベヤと、
前記水平コンベヤの前記折返し部側の上部に、前記垂直ベルトコンベヤと対向配置される押さえローラユニットと
を備え、
前記押さえローラユニットは、前記水平コンベヤと前記垂直ベルトコンベヤとの対向面側に、前記搬送物によって押しのけられることにより、自重を縦方向および横方向に押付力として働かせて移動する複数のフリーローラを並列に軸支設置して成る
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の垂直搬送装置において、
前記押さえローラユニットは、少なくとも1つのフリーローラから成る前記水平コンベヤとの対向面に設置された下部フリーローラ群と、垂直に並列した複数のフリーローラから成る前記垂直ベルトコンベヤとの対向面に設置された垂直部フリーローラ群とから成り、
前記下部フリーローラ群は、
前記水平コンベヤから前記垂直ベルトコンベヤへの前記搬送物の乗り移り時に、前記搬送物の押しのけで発生する各フリーローラ自重による押付力によって、前記搬送物の浮き上がりを防止しながら前記水平コンベヤの搬送力を維持することで、前記水平コンベヤの搬送力および前記垂直ベルトコンベヤの搬送力により、前記搬送物を引き起こして搬送方向を垂直に方向転換し、前記垂直ベルトコンベヤに押し付けることができるように設置され、
前記垂直部フリーローラ群は、
前記水平コンベヤから前記垂直ベルトコンベヤへの前記搬送物の乗り移り後に、前記垂直に並列した複数のフリーローラが、自重による押付力によって前記垂直に方向転換された前記搬送物を、前記垂直ベルトコンベヤとの間に挟み込んで搬送することができるように設置されている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の垂直搬送装置において、
前記押さえローラユニットは、
前記水平コンベヤとの対向面および前記垂直ベルトコンベヤとの対向面において、前記複数のフリーローラが、前記押さえローラユニットの軸線に対して前記垂直ベルトコンベヤに向かって鋭角に傾斜するように設けられた落とし込み用長孔に滑動自在かつ回転自在に配置されている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか記載の垂直搬送装置において、
前記複数のフリーローラは、押さえローラ軸と、前記押さえローラ軸に滑動自在かつ回転自在に配置される複数の樹脂製のフリーローラと、前記押さえローラ軸の両端部に配置される摩擦抵抗の小さい樹脂製のすべり軸受とで構成されている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3の何れか記載の垂直搬送装置において、
前記水平コンベヤおよび前記垂直ベルトコンベヤのベルトは、高摩擦ベルトである
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5の何れか記載の垂直搬送装置において、
前記下部フリーローラ群は、
前記搬送物と最初に接する前記フリーローラが、前記押さえローラユニットの軸線方向に移動するように前記押さえローラユニットの軸線方向に切り込まれた落とし込み用長孔に滑動自在かつ回転自在に配置されている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6の何れか記載の垂直搬送装置において、
前記落とし込み用長孔の下端に前記フリーローラが位置している際に、
前記下部フリーローラ群の前記搬送物と最初に接する前記フリーローラの軸央と前記水平コンベヤ搬送面との距離La、
および前記垂直部フリーローラ群の前記フリーローラの軸央と前記垂直ベルトコンベヤ搬送面との距離Lbともに、
搬送物の厚みT<La<{搬送物の厚みT+(フリーローラ径/2)}、
搬送物の厚みT<Lb<{搬送物の厚みT+(フリーローラ径/2)}
である
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項8】
請求項4ないし請求項7の何れか記載の垂直搬送装置において、
前記垂直部フリーローラ群における前記フリーローラの前記垂直ベルトコンベヤへの押付力による垂直搬送力Wvは、
前記垂直搬送時に前記搬送物に触れる前記フリーローラの本数をn、前記落とし込み用長孔の長さ方向が前記押さえローラユニットの軸線に対して傾斜する角度をθ、前記フリーローラ1本の重量をRW、前記フリーローラの軸両端のすべり軸受の摩擦抵抗をμ1、前記搬送物と前記垂直ベルトコンベヤとの摩擦抵抗をμ2としたとき、
Wv=[[RWcosθ−(RWsinθ×μ1)]×sinθ×μ2]×nであり、
前記搬送物の重量Wwに対して、Wv>Wwであるように前記垂直部フリーローラ群を設けた
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項1】
厚みTを長さLで除した値が1/2より小さく1/10より大きい搬送物を搬送する水平コンベヤと、
前記水平コンベヤの折返し部側に配置される垂直ベルトコンベヤと、
前記水平コンベヤの前記折返し部側の上部に、前記垂直ベルトコンベヤと対向配置される押さえローラユニットと
を備え、
前記押さえローラユニットは、前記水平コンベヤと前記垂直ベルトコンベヤとの対向面側に、前記搬送物によって押しのけられることにより、自重を縦方向および横方向に押付力として働かせて移動する複数のフリーローラを並列に軸支設置して成る
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の垂直搬送装置において、
前記押さえローラユニットは、少なくとも1つのフリーローラから成る前記水平コンベヤとの対向面に設置された下部フリーローラ群と、垂直に並列した複数のフリーローラから成る前記垂直ベルトコンベヤとの対向面に設置された垂直部フリーローラ群とから成り、
前記下部フリーローラ群は、
前記水平コンベヤから前記垂直ベルトコンベヤへの前記搬送物の乗り移り時に、前記搬送物の押しのけで発生する各フリーローラ自重による押付力によって、前記搬送物の浮き上がりを防止しながら前記水平コンベヤの搬送力を維持することで、前記水平コンベヤの搬送力および前記垂直ベルトコンベヤの搬送力により、前記搬送物を引き起こして搬送方向を垂直に方向転換し、前記垂直ベルトコンベヤに押し付けることができるように設置され、
前記垂直部フリーローラ群は、
前記水平コンベヤから前記垂直ベルトコンベヤへの前記搬送物の乗り移り後に、前記垂直に並列した複数のフリーローラが、自重による押付力によって前記垂直に方向転換された前記搬送物を、前記垂直ベルトコンベヤとの間に挟み込んで搬送することができるように設置されている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の垂直搬送装置において、
前記押さえローラユニットは、
前記水平コンベヤとの対向面および前記垂直ベルトコンベヤとの対向面において、前記複数のフリーローラが、前記押さえローラユニットの軸線に対して前記垂直ベルトコンベヤに向かって鋭角に傾斜するように設けられた落とし込み用長孔に滑動自在かつ回転自在に配置されている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか記載の垂直搬送装置において、
前記複数のフリーローラは、押さえローラ軸と、前記押さえローラ軸に滑動自在かつ回転自在に配置される複数の樹脂製のフリーローラと、前記押さえローラ軸の両端部に配置される摩擦抵抗の小さい樹脂製のすべり軸受とで構成されている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3の何れか記載の垂直搬送装置において、
前記水平コンベヤおよび前記垂直ベルトコンベヤのベルトは、高摩擦ベルトである
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5の何れか記載の垂直搬送装置において、
前記下部フリーローラ群は、
前記搬送物と最初に接する前記フリーローラが、前記押さえローラユニットの軸線方向に移動するように前記押さえローラユニットの軸線方向に切り込まれた落とし込み用長孔に滑動自在かつ回転自在に配置されている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6の何れか記載の垂直搬送装置において、
前記落とし込み用長孔の下端に前記フリーローラが位置している際に、
前記下部フリーローラ群の前記搬送物と最初に接する前記フリーローラの軸央と前記水平コンベヤ搬送面との距離La、
および前記垂直部フリーローラ群の前記フリーローラの軸央と前記垂直ベルトコンベヤ搬送面との距離Lbともに、
搬送物の厚みT<La<{搬送物の厚みT+(フリーローラ径/2)}、
搬送物の厚みT<Lb<{搬送物の厚みT+(フリーローラ径/2)}
である
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項8】
請求項4ないし請求項7の何れか記載の垂直搬送装置において、
前記垂直部フリーローラ群における前記フリーローラの前記垂直ベルトコンベヤへの押付力による垂直搬送力Wvは、
前記垂直搬送時に前記搬送物に触れる前記フリーローラの本数をn、前記落とし込み用長孔の長さ方向が前記押さえローラユニットの軸線に対して傾斜する角度をθ、前記フリーローラ1本の重量をRW、前記フリーローラの軸両端のすべり軸受の摩擦抵抗をμ1、前記搬送物と前記垂直ベルトコンベヤとの摩擦抵抗をμ2としたとき、
Wv=[[RWcosθ−(RWsinθ×μ1)]×sinθ×μ2]×nであり、
前記搬送物の重量Wwに対して、Wv>Wwであるように前記垂直部フリーローラ群を設けた
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−298532(P2009−298532A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153924(P2008−153924)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】
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