説明

垂直搬送装置

【課題】連続的に流れてくる保形性を有する搬送物を垂直搬送することを可能とする、駆動されるベルト搬送面一つのみを用いた垂直搬送機を提供する。
【解決手段】高摩擦ベルト11を用いるとともに搬送面11aを垂直に位置させる垂直ベルトコンベヤ10と、ローラ周面が弾性体で構成される複数の接触ローラ21を回転自在に垂直に並列に配置させるとともに、垂直ベルトコンベヤ10と距離L4離して対向配置される押さえローラユニット20とを備え、複数の接触ローラ21は、垂直ベルトコンベヤ10と接触ローラ21との間に導入される厚みL2の保形性を有する搬送物Wを垂直ベルトコンベヤ10と接触ローラ21との間で挟持し垂直ベルトコンベヤ10の搬送力で搬送面11aに沿って垂直方向へ搬送するように、搬送時に搬送物Wにより長さL2−L4分潰されその潰れに抗する反発力で搬送物Wを搬送面11aに押圧するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量な保形性を有する搬送物を、簡単な機構で垂直搬送を可能とする垂直搬送装置に関する。さらには、連続的に流れてきた搬送物を水平から垂直方向に転換させつつ、垂直搬送を可能とした垂直搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続的に流れてきた搬送物を水平から垂直方向に搬送する際、標準的なコンベヤで搬送物の搬送方向を水平から垂直に転換させることは容易ではない。
そこで、従来、搬送部分で二重の搬送ベルトで挟持する、グリップ機構等を備える主搬送コンベヤ(1本ベルトで水平+傾斜一体のコンベヤ)と挟み込み用ベルトコンベヤの組合せ、または、チェン+スラットを用いたバーチレータ式コンベヤなどを用いることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−26509号公報
【特許文献2】特開平6−135524号公報
【特許文献3】特開平11−139418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の搬送装置のうち、二重ベルトとなっているものは、挟み付ける両搬送面を同期させる必要があるため、その駆動部分に高価なユニットが必要となる。また、特殊な構造をとる必要があり、やはりコストアップとなる。さらに、同期駆動や特殊の構造のため部品点数が多く、故障メンテナンス頻度が増加してしまう。また、搬送物の形状が変わると、その特殊な構造のため設計変更が大変である。加えて、バーチレータ式は構造上、設置スペースが広く必要となる。
従って、垂直搬送が必要で、方向転換に要するスペースが少ない場合、あまりコストをかけずに、方向転換したい場合などの要望に応えることができない。
【0005】
なお、特許文献1には、搬送物を垂直方向に搬送することを開示するが、連続的に流れてきた搬送物を水平から垂直方向に搬送することに提供することは困難である。
また、特許文献2,3には、不定形バラものをその天地に関係なく垂直方向に転換して搬送する装置の開示があるが、搬送物自体の保形性を利用し、水平から垂直方向へ搬送方向を転換後、さらに上部で水平方向に搬送方向を再転換する際に、最初の搬送物の天地をそのままに搬送することの開示はなく、その提供は困難である。
【0006】
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、連続的に流れてくる保形性を有する搬送物を垂直搬送することを可能とする、駆動されるベルト搬送面一つのみを用いた垂直搬送機を提供することにある。
本発明の別の目的は、連続的に流れてくる保形性を有する搬送物を水平から垂直に方向を転換しつつ垂直搬送を可能とし、さらには上部で水平方向に搬送方向を再転換する際に、最初の搬送物の天地をそのままに搬送することを可能とした垂直搬送機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、高摩擦ベルトを用いるとともに搬送面を垂直に位置させる垂直ベルトコンベヤと、ローラ周面が弾性体で構成される複数の接触ローラを回転自在に垂直に並列に配置させるとともに、垂直ベルトコンベヤと距離L4離して対向配置される押さえローラユニットとを備え、複数の接触ローラは、垂直ベルトコンベヤと接触ローラとの間に導入される厚みL2の保形性を有する搬送物を垂直ベルトコンベヤと接触ローラとの間で挟持し垂直ベルトコンベヤの搬送力で搬送面に沿って垂直方向へ搬送するように、搬送時に搬送物により長さL2−L4分潰されその潰れに抗する反発力で搬送物を搬送面に押圧するように配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の垂直搬送装置において、垂直ベルトコンベヤの搬送面と押さえローラユニットとの距離L4は、接触ローラによる搬送物への押圧力を、予め測定して求めた接触ローラのバネ定数aに、搬送物の押圧幅L3と接触ローラの凹み長さL2−L4と安全率α1とを乗じた値であるように決めていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、厚みL2を長さL1で除した値が1/2以下、1/30以上の保形性を有する搬送物を搬送する水平コンベヤと、高摩擦ベルトを用いるとともに搬送面を垂直に位置させる垂直ベルトコンベヤと、ローラ周面が弾性体で構成される複数の接触ローラを回転自在に垂直に並列に配置させるとともに、垂直ベルトコンベヤと距離L4離して対向配置される押さえローラユニットと、押さえローラユニットの下部に水平コンベヤから垂直ベルトコンベヤへ搬送物を乗り移す連続搬入ユニットとを備え、複数の接触ローラは、垂直ベルトコンベヤと接触ローラとの間に導入される搬送物を垂直ベルトコンベヤと接触ローラとの間で挟持し垂直ベルトコンベヤの搬送力で搬送面に沿って垂直方向へ搬送するように、搬送時に搬送物により長さL2−L4分潰されその潰れに抗する反発力で搬送物を搬送面に押圧するように配置され、連続搬入ユニットは、その上端部に垂直ベルトコンベヤと距離L6を離してローラ周面が弾性体で構成されるくわえ込みローラを対向配置していることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3記載の垂直搬送装置において、垂直ベルトコンベヤの搬送面と押さえローラユニットとの距離L4は、接触ローラによる搬送物への押圧力を、予め測定して求めた接触ローラのバネ定数aに、搬送物の押圧幅と接触ローラの凹み長さL2−L4と安全率α1とを乗じた値であるように、垂直ベルトコンベヤの搬送面とくわえ込みローラとの距離L6は、くわえ込みローラによる搬送物への押圧力を、予め測定して求めたくわえ込みローラのバネ定数aに、搬送物の押圧幅とくわえ込みローラの凹み長さL2−L6と安全率α2とを乗じた値であるように、それぞれ決めていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項3又は4記載の垂直搬送装置において、連続搬入ユニットは、押さえローラユニットの下端部に所定の角度で取り付けられる入口可動ローラユニットと、高摩擦ベルトを用い、垂直ベルトコンベヤの搬送面側に折返し部を配置し対向する折返し部を水平コンベヤ頭部プーリ側面に配置するとともに入口可動ローラユニットと平行に配置される下部傾斜ベルトコンベヤとを備え、入口可動ローラユニットは、弾性体からなるローラを取り付けた可動用ローラホルダと、可動用ローラホルダの端部を回動自在に軸支するとともに可動用ローラホルダを上下動自在に案内する長孔を有する側板とを有し、下部傾斜ベルトコンベヤ上を移動する搬送物にローラを接触し搬送物の移動に伴ってローラを介して可動用ローラホルダの荷重を押圧力として搬送物に付加するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5記載の垂直搬送装置において、垂直ベルトコンベヤと下部傾斜ベルトコンベヤとの搬送面を形成する共通ベルトを、ベルト駆動部を両コンベヤ共通で1基として所定のプーリにかけ廻して無端ベルトに形成し、下部傾斜ベルトコンベヤの下方にベルト駆動部を設けていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5又は6記載の垂直搬送装置において、連続搬送ユニットは、下部傾斜ベルトコンベヤの垂直ベルトコンベヤの搬送面側折返し部の上面と、上端部に配置されるくわえ込みローラの軸心との距離を、搬送物長さL1より長く、かつ折返し部の上面とくわえ込みローラ表面の搬送物と最初に接触する部位のレベルとの距離が搬送物長さL1より短く配置し、可動用ローラホルダに取り付けられたローラは、搬送物が下部傾斜ベルトコンベヤ上で水平から45度引き起こされた際に、搬送物長さの後ろ半分の上面に接していることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項3又は4記載の垂直搬送装置において、連続搬入ユニットは、水平コンベヤと垂直ベルトコンベヤとの対向面側に、搬送物によって押しのけられることにより、自重を縦方向及び横方向に押し付け力として働かせて移動する複数のフリーローラを並列に軸支設置して備え、水平コンベヤから垂直ベルトコンベヤへの搬送物の乗り移り時に、搬送物の押しのけで発生する各フリーローラ自重による押し付け力によって、搬送物の浮き上がりを防止しながら水平コンベヤの搬送力を維持することで、水平コンベヤの搬送力及び垂直ベルトコンベヤの搬送力により、搬送物を引き起こして搬送方向を垂直に方向転換し、垂直ベルトコンベヤに押し付けることができるよう構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項8記載の垂直搬送装置において、連続搬入ユニットは、水平コンベヤとの対向面及び垂直ベルトコンベヤとの対向面において、複数のフリーローラが、押さえローラユニットの軸線に対して垂直ベルトコンベヤに向かって鋭角に傾斜するように設けられた落とし込み用長孔に滑動自在かつ回転自在に配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項8又は9記載の垂直搬送装置において、連続搬入ユニットは、水平コンベヤの垂直ベルトコンベヤ側の折返し部の上面と、上端部に配置されるくわえ込みローラの軸心との距離を、搬送物長さL1より長く、かつ折返し部の上面とくわえ込みローラ表面の搬送物と最初に接触する部位のレベルとの距離が搬送物長さL1より短く配置し、搬送物と最初に接するフリーローラが、押さえローラユニットの軸線方向に移動するように押さえローラユニットの軸線方向に切り込まれた落とし込み用長孔に滑動自在かつ回転自在に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、垂直ベルトコンベヤと押さえローラユニットとで構成できるので、駆動される搬送面は1つとなり、搬送面の同期の必要のない簡単な構造で垂直搬送装置を提供することができる。
本発明によれば、押さえローラユニットは、駆動される搬送面の動きに搬送物を介して従うだけのシンプルな構成だが、そのローラ周面の弾性体の搬送物による潰れに抗する反発力を利用することで、確実に垂直搬送力を搬送物に付与することができる。
【0018】
本発明によれば、連続的に流れてくる保形性を有する搬送物を水平から垂直に方向を転換しつつ垂直搬送を確実にすることができる。
本発明によれば、連続的に流れてくる保形性を有する搬送物を水平から垂直に方向を転換するのに、搬送物の保形性を利用して単純な搬送面への押圧手段のみで確実に方向転換することができる。
本発明によれば、連続的に流れてくる保形性を有する搬送物を水平から垂直に方向を転換するに際し、単純ではあるが搬送物の姿勢変化に追随しやすく、押圧力を適切に掛けることができる、ローラ周面が弾性体のくわえ込みローラで確実に方向転換ができる。
【0019】
本発明によれば、連続的に流れてくる保形性を有する搬送物を水平から垂直に方向を転換するに際し、駆動部は水平コンベヤもしくは下部傾斜ベルトコンベヤと垂直ベルトコンベヤの搬送面だけで、駆動される搬送面の動きに搬送物を介して従うだけのシンプルな構成の連続搬入ユニットを利用することにより、故障の少ない機構で確実な方向転換ができる。
本発明によれば、垂直ベルトコンベヤの駆動と、連続搬入ユニットの下部傾斜ベルトコンベヤの駆動とを共通の一駆動部で行うことで、シンプル及びコンパクトで、かつ同期の必要のない垂直搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一実施形態に係る垂直搬送装置1を示す側面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1の背面図である。
【図4】図1の平面図である。
【図5】図1のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図1の入口可動ローラユニットと下部傾斜ベルトコンベヤとの関係を説明する図である。
【図7】図6のVII−VII線矢視図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿った端面図である。
【図9】本発明の第一実施形態における垂直ベルトコンベヤ10と押さえローラユニット20との関係を示す説明図である。
【図10】本発明の第一実施形態におけるスポンジバネ定数aを求める測定法を示す正面図である。
【図11】本発明の第一実施形態におけるスポンジバネ定数aを求める測定法を示す側面図である。
【図12】本発明の第一実施形態におけるスポンジローラ32が搬送物(以下、ワークと称する)Wに与える力を示す説明図である。
【図13】本発明の第一実施形態における搬送工程でワークWが下部傾斜ベルトコンベヤ40上に搬入された状態を示す説明図である。
【図14】本発明の第一実施形態における搬送工程でワークWが入口可動ローラユニット30と下部傾斜ベルトコンベヤ40との間に搬入された状態を示す説明図である。
【図15】本発明の第一実施形態における搬送工程でワークWが入口可動ローラユニット30と下部傾斜ベルトコンベヤ40との間に搬入され、ワークWの先端部が垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに達した状態を示す説明図である。
【図16】本発明の第一実施形態における搬送工程でワークWが入口可動ローラユニット30と下部傾斜ベルトコンベヤ40との間に搬入され、ワークWの先端部が垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに達し、ワークWが垂直ベルトコンベヤ10によって持ち上げられ始めた状態を示す説明図である。
【図17】本発明の第一実施形態における搬送工程でワークWが入口可動ローラユニット30と下部傾斜ベルトコンベヤ40との間に搬入され、ワークWの先端部が垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに達し、ワークWが垂直ベルトコンベヤ10によって図16の状態よりさらに持ち上げられ始めた状態を示す説明図である。
【図18】本発明の第一実施形態における搬送工程でワークWが入口可動ローラユニット30と下部傾斜ベルトコンベヤ40との間に搬入され、ワークWの先端部が垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに達し、ワークWが垂直ベルトコンベヤ10によって図17の状態よりさらに持ち上げられ始めた状態を示す説明図である。
【図19】本発明の第一実施形態における搬送工程でワークWが垂直ベルトコンベヤ10とくわえ込みローラ21aとによって持ち上げられ始めた状態を示す説明図である。
【図20】本発明の第一実施形態における搬送工程でワークWが垂直ベルトコンベヤ10とくわえ込みローラ21aと押さえローラユニット20とによって持ち上げられる状態を示す説明図である。
【図21】本発明の第二実施形態に係る垂直搬送装置101を示す側面図である。
【図22】本発明の第二実施形態に係る垂直搬送装置101におけるフリーローラ135の構成を示す説明図である。
【図23】本発明の第二実施形態に係る垂直搬送装置101におけるフリーローラ135の平面図である。
【図24】本発明の第二実施形態に係る垂直搬送装置101におけるフリーローラ135の組み付け状態を示す説明する図である。
【図25】本発明の第二実施形態に係る垂直搬送装置101における押さえローラユニット130と水平ベルトコンベヤ110と垂直ベルトコンベヤ120との関係を示す拡大図である。
【図26】本発明の第二実施形態に係る垂直搬送装置101における押さえローラユニット130と連続搬入ユニット141と水平ベルトコンベヤ110と垂直ベルトコンベヤ120との関係を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る垂直搬送装置1を示す。
本実施形態に係る垂直搬送装置1は、図1〜図8に示すように、例えば、表面摩擦係数を0.9(対鋼材)とする高摩擦ベルト11を用いるとともにベルト搬送面11aを垂直に位置させる垂直ベルトコンベヤ10と、ローラ周面が弾性体で構成される円柱形状の複数の接触ローラ(以下、スポンジローラと称する)21を回転自在に垂直に並列に配置させるとともに、垂直ベルトコンベヤ10と対向配置される押さえローラユニット20と、押さえローラユニット20の下端部26に水平方向に対して所定の角度θ(本実施形態では30°)で取り付けられる入口可動ローラユニット30と、スポンジローラ21の下端に並列されたくわえ込みローラ21aと、垂直ベルトコンベヤ10に対向して水平方向に対して所定の角度θ(本実施形態では30°)で垂直ベルトコンベヤ10の下端部に下部傾斜ベルトコンベヤユニット48を介して取り付けられる下部傾斜ベルトコンベヤ40と、垂直ベルトコンベヤ10に対向して水平方向に対して所定の角度θ(本実施形態では30°)で垂直ベルトコンベヤ10の上端部に取付枠部材64を介して取り付けられる上部傾斜ベルトコンベヤ50と、下部傾斜ベルトコンベヤ40の尾部プーリ41側に頭部プーリ56側を連接される下部水平ベルトコンベヤ55と、上部傾斜ベルトコンベヤ50の頭部プーリ51側に尾部プーリ58側を連接される上部水平ベルトコンベヤ57と、押さえローラユニット20の上端部側に水平方向に所定の角度θ(本実施形態では30°)で取り付けられる出口可動ガイドユニット59とを備えている。本実施形態では、入口可動ローラユニット30、くわえ込みローラ21a及び下部傾斜ベルトコンベヤ40が、連続搬入ユニット39を構成している。
【0022】
垂直ベルトコンベヤ10は、設置箇所の床70上に配置される脚ユニット60のスタンド61に取り付けた取付枠部材65を介してベルト搬送面11aが垂直に維持されるように固定されている。一つの取付枠部材65には、インバータユニット68が取り付けられている。脚ユニット60のスタンド62には、下部傾斜ベルトコンベヤ40を取り付ける下部傾斜ベルトコンベヤユニット48が取付枠部材66を介して固定されている。押さえローラユニット20は、取付枠部材67を介して垂直ベルトコンベヤ10と平行に、後述する距離L4を離して対向位置されている。脚ユニット60は、設置脚64を備えるベース63上に、スタンド61、62を錘設している。
【0023】
垂直ベルトコンベヤ10は、取付枠部材65、66に支持固定される垂直部材12と、垂直部材12の上端部に取り付ける俯仰部プーリ13と、リターンローラ14とを備えている。
下部傾斜ベルトコンベヤユニット48には、高摩擦ベルト11全体のテンションを調整するためのテークアップボルト43と、テークアッププーリ44と、ベンド部プーリ45とを備えている。
【0024】
高摩擦ベルト11は、下部傾斜ベルトコンベヤユニット48のテークアッププーリ44、下部傾斜ベルトコンベヤ40の尾部プーリ41、下部傾斜ベルトコンベヤ40の中間部プーリ42、下部傾斜ベルトコンベヤ40のベンド部プーリ45、垂直ベルトコンベヤ10の俯仰部プーリ13、上部傾斜ベルトコンベヤ50の頭部プーリ51、垂直ベルトコンベヤ10のリターンローラ14、下部傾斜ベルトコンベヤユニット48にある駆動プーリ46、及び再びテークアッププーリ44を介して下部傾斜ベルトコンベヤ40と垂直ベルトコンベヤ10と上部傾斜ベルトコンベヤ50との間に掛け渡され、下部傾斜ベルトコンベヤユニット48に取り付けられているモータ47の回転駆動力を駆動プーリ46に伝達することによって矢印方向に移動されるように構成されている。
【0025】
押さえローラユニット20は、垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに保形性を有する搬送物(ワークW)を押圧付勢することができる押圧力として、ローラ周面の潰れに抗する反発力を利用するものである。そのために、例えば、ポリウレタンフォームからなる複数のスポンジローラ21を取付部材25に所定の間隔で並列に長手方向に回転自在に配置している。スポンジローラ21は、弾性部材からなるローラ本体22と、このローラ本体22を軸支する回転軸23とで構成され、回転軸23の軸受24aを固定する取付金具24を介して取付部材25にネジ止めされている。
スポンジローラ21の材質は、ポリウレタンフォーム以外に、ポリエチレンフォームや低硬度のゴム等でも良い。また、スポンジローラ21は、浮き輪のように空気を入れた輪状のものに軸を通し、空気圧でワークWを押さえ付けける構造としても良い。
【0026】
押さえローラユニット20の下端部26に水平方向に対して所定の角度θ(本実施形態では30°)で取り付けられる入口可動ローラユニット30は、支持用の穴31aと回動用の円弧形状の長孔31bとを側部に備えた略L字状の2枚の側板31と、支持用の穴34a、34b、34c、34dを側部に備えた2枚のローラ支持板34間を支持用の穴34a、34cを介して軸支する2本の繋ぎ材33a、33bで連結し、支持用の穴34dに固定する軸受を介して弾性体からなるローラ(以下、スポンジローラと称する)32を回転自在に軸支する軸32aを取り付けた可動ローラホルダ35と、2枚の側板31を支持用の穴31aを介して連結する側板繋ぎ材33cと、2枚のローラ支持板34にそれぞれ溶接で固着され、2枚の側板31の支持用の穴31cに軸抜け防止ネジ36aを介して回転自在に取り付けられる回転軸36と、2枚の側板31の回動用の円弧形状の長孔31bと可動ローラホルダ35の支持用の穴34bとをそれぞれ貫通し、2枚の側板31間に可動ローラホルダ35を回動用の円弧形状の長孔31bに沿って回動自在に支持する回転防止ネジ37と、側板31の端部から立ち上がるように折れ曲がり、押さえローラユニット20の下端部26により延びるブラケットにネジ38aによって固定される固定部38とを有する。ここで、スポンジローラ32は、スポンジローラ21と同様に構成されている。回転軸36は、樹脂製の軸受けを介して支持用の穴31aに取り付けられている。回転防止ネジ37には、ウレタンクッションが被覆されている。
【0027】
入口可動ローラユニット30は、スポンジローラ32がワークWの移動に伴って押し上げられる際に、可動用ローラホルダ35が回転軸36を支点として押し上げられると共に、回転防止ネジ37が長孔31bに沿って移動し、スポンジローラ32及び可動用ローラホルダ35によってワークWに荷重を掛けるように構成されている。
本実施形態において、ワークWとしては、軽量小形で押圧力に抗してつぶれにくい保形性を有するものであれば特に限定しない。例えば、食品、医薬品、化粧品等の単品もしくは複数一体品などが好適である。一般的な紙製菓子箱程度の剛性及び強度があるものが望ましい。ただし、剛性のない袋物などは基本的に不向きである。また、一般物流の大型ダンボールなどは除く。
【0028】
次に、本実施形態に係る垂直搬送装置1の作用について説明する。
本実施形態において、図9に示すように、ワークWの長さL1を150mm、ワーク厚さL2を34mm、ワークWの押圧幅L3を80mm、ワークWの重量mを0.1kg、高摩擦ベルト11の摩擦係数μを0.9、スポンジローラ21の先端位置と高摩擦ベルト11のベルト搬送面11aとの距離L4を32mm、スポンジローラ21のローラピッチL5を75mm、重力加速度gを9.81m/s2、スポンジバネ定数aを0.002559kg/mm2として説明する。
【0029】
ここで、本実施形態では、スポンジバネ定数aを下記のように実験によって求めた。
(スポンジバネ定数a)×(ワーク押圧幅)×(スポンジ凹み量)=(ワーク押圧力)
図10、図11に示すように、直径φ40mmのローラ本体22に直径φ8mmの軸23を取り付けたスポンジローラ21を用意し、軸23を高さ30mmの2つの支持台80上に載置し、スポンジローラ21を保持する。次に、スポンジローラ21上に幅48mmのアルミニウム製のガイド81を載せる。次に、アルミニウム製のガイド81上に錘として丸棒82を載せ、そのときのスポンジローラ21のローラ本体22の凹み量(スポンジ凹み量)Y1を測定し、次式で算出した。この際、錘としての丸棒82は、0本、2本、4本、6本、8本として測定した。なお、無荷重時には、地面からスポンジローラ21の上端までの高さは54.6mmであった。また、ガイド81は、錘(丸棒82)を載せて撓んだりしてしまっては正確なスポンジ凹み量が計測できないので、錘(丸棒82)を載せても撓まない程度の剛性を有するものであればアルミニウム製でなくても良い。また、錘も丸棒82に限らない。
スポンジバネ定数a=(錘+ガイド重量)/(ガイド幅×スポンジ凹み量Y1)
その結果を表1に示す。
なお、ここでは、スポンジバネ定数aを簡単のため平均して扱うこととしているが、スポンジの円形断面の形状による凹み量とバネ定数とを1次関数で関係づけた変化するバネ定数で扱うこととすればなお望ましい。
【0030】
【表1】

【0031】
次に、入口側可動ローラ30がワークWに与える力Fについて説明する。
図12は、押さえローラユニット20の下端部26に取り付けられた入口可動ローラユニット30のスポンジローラ32がワークWによってある角度持ち上げられた状態を示す。
ここで、回転軸36と繋ぎ材33aとの距離を30mm、繋ぎ材33aと回転防止ネジ37との距離を30mm、回転防止ネジ37と繋ぎ材33bとの距離を30mm、繋ぎ材33bとスポンジローラ32aの軸32aとの距離を30mmとし、繋ぎ材33a、33bの直径をφ8mm、重量m1を87.2g、可動ローラホルダ35の2つのローラ支持板34の重量m2を101.1g、スポンジローラ32及び軸受の合計重量m3を91.0g、スポンジローラ32の有効ローラ幅B1を195mm、鉄比重を7.85g/cm3として説明する。
【0032】
入口側可動ローラ30の取付角度θにおいてワークWに与える力Fθは、下記の式によって求められる。
Fθ=(30m1gcosθ+60m2gcosθ+90m1gcosθ+120m3gcosθ)/120
ここで、gは重力加速度(9.81m/s2)である。
【0033】
なお、スポンジローラ32の有効ローラ幅B1に対する、繋ぎ材33a、33bの重量m1と、2つのローラ支持板34の重量m2と、スポンジローラ32及び軸受の合計の重量m3との関係を表2に示す。
また、スポンジローラ32の有効ローラ幅B1に対する、入口側可動ローラ30の取付角度θとワークWに与える力Fθとの関係を表3に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
次に、本実施形態に係る垂直搬送装置1によるワークWの搬送について順を追って説明する。
以下の説明において、入口側可動ローラ30は押さえローラユニット20の下端部26
に対して可動ローラホルダ35の最下端位置の水平となす角度θ2を29°とし、下部傾斜ベルトコンベヤ40の水平となす角度θ1を30°として説明する。なお、スポンジローラ32の軸芯と下部傾斜ベルトコンベヤ40のベルト面との距離は、ワークWの厚さL2(34mm)とスポンジローラ32の半径(φ40/2mm)とを加え、さらにF29でスポンジローラ32が荷重を加えながら角度1度分浮き上がるスポンジ凹み量も加えてなる距離として設定してある。
【0037】
図13は、ワークWが下部傾斜ベルトコンベヤ40上に搬入された状態を示す。
ワークWは、下部傾斜ベルトコンベヤ40上に位置するが、入口側可動ローラ30とはまだ接触していない。また、入口側可動ローラ30では、2枚の側板31の回動用の円弧形状の長孔31bの最下端部に回転防止ネジ37が位置して静止している。
ここでは、下部傾斜ベルトコンベヤ40によって搬送される力(μ・m・g・cos30=0.76(N))が、下部傾斜ベルトコンベヤ40からワークWを滑り落とそうとする力(m・g・sin30=0.49(N))より大きくなる。従って、下部傾斜ベルトコンベヤ40上のワークWを搬送するための力の条件を満足している。
【0038】
図14は、ワークWが下部傾斜ベルトコンベヤ40により搬送されて入口側可動ローラ30のスポンジローラ32に接触した状態を示す。
スポンジローラ32がワークWに接触することによって、可動ローラホルダ35の角度θ2が29°から30°となる。
そのため、FθはF30となる。F30は、表3に示すように、スポンジローラ32による押圧力が1.94(N)となる。
ここでは、下部傾斜ベルトコンベヤ40によって搬送される力(μ・(F30+m・g・cos30=2.51(N))が、下部傾斜ベルトコンベヤ40からワークWが滑り落ちる力(m・g・sin30=0.49(N))より大きくなる。従って、下部傾斜ベルトコンベヤ40上のワークWを搬送するための力の条件を満足している。
【0039】
図15は、ワークWが入口側可動ローラ30のスポンジローラ32によって押圧されながら下部傾斜ベルトコンベヤ40によって搬送され、ワークWの先端部が垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに当接した状態を示す。
この段階でも、Fθ=F30であるから、表3に示すように、スポンジローラ32による押圧力は1.94(N)である。
ここでは、ワークWを運ぶための力が、下部傾斜ベルトコンベヤ40方向の力の条件と垂直ベルトコンベヤ10方向の力の条件とを要する。
【0040】
ワークWを下部傾斜ベルトコンベヤ40方向に移動させようとする力は、[μ・(F30+m・g・cos30)+μ・μ・(F30+m・g・cos30)・cos30・sin30]=3.49(N)となり、ワークWを下部傾斜ベルトコンベヤ40を滑り落とそうとする力(垂直ベルトコンベヤ反力を含む)[μ・(F30+m・g・cos30)・cos30・cos30+m・g・sin30]=2.38(N)より大きくなっている。
ワークWに対する垂直ベルトコンベヤ10の上昇方向に移動させようとする力は、[μ・(F30+m・g・cos30)・sin30+(F30+m・g・cos30)・cos30+μ・μ・(F30+m・g・cos30)・cos30]=5.63(N)となり、ワークWに対する垂直ベルトコンベヤ10の下降方向に移動させようとする力(F30・cos30+m・g)=2.66(N)より大きくなっている。
【0041】
従って、ワークWは入口側可動ローラ30のスポンジローラ32によって押圧されながら下部傾斜ベルトコンベヤ40によって搬送され、ワークWの先端部を垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに当接させ、さらに垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aで引き上げることができる。
【0042】
図16は、ワークWが入口側可動ローラ30のスポンジローラ32によって押圧されながら下部傾斜ベルトコンベヤ40によって搬送され、ワークWの先端部が垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに当接した状態で、垂直ベルトコンベヤ10の搬送力によって45°持ち上げられた状態を示す。
この段階では、スポンジローラ32がワークWによって押し上げられ、可動ローラホルダ35の水平となす角度θ2が39°になる。そのため、Fθは、F39となり、表3に示すように、スポンジローラ32による押圧力は1.74(N)となる。
【0043】
そして、ワークWの後端部の下部傾斜ベルトコンベヤ40との接点A点とスポンジローラ32との接点とのそれぞれローラ支持板34長手中心軸の法線間距離L’が70.5mm、スポンジローラ32との接点とワークWの先端部の垂直ベルトコンベヤ10との接点B点とのそれぞれローラ支持板34長手中心軸の法線間距離L”が78.7mmとなる。
ここで、A点周りのモーメントの釣合は、式1の通りとなる。また、B点周りのモーメントの釣合は、式2の通りとなる。
【0044】
【数1】

【0045】
【数2】

【0046】
そこで、ワークWを運ぶための力の条件は、下部傾斜ベルトコンベヤ40方向の力の条件と垂直ベルトコンベヤ10方向の力の条件とを要する。
ワークWに対する下部傾斜ベルトコンベヤ40による移動方向の力は、[μ・FB・sin30+μ・FA+F39・sin(θ2−30)]=2.28(N)となり、ワークWに対する下部傾斜ベルトコンベヤ40を滑り落とそうとする力(FB・cos30+m・g・sin30)=1.19(N)より大きくなっている。
【0047】
ワークWに対する垂直ベルトコンベヤ10を上昇方向に移動させようとする力は、(μ・FB+μ・FA・sin30+FA・cos30)=3.14(N)となり、ワークWに対する垂直ベルトコンベヤ10を下降方向に滑り落とそうとする力(m・g+F39・cosθ2)=2.34(N)より大きくなっている。
従って、ワークWが入口側可動ローラ30のスポンジローラ32によって押圧されながら下部傾斜ベルトコンベヤ40によって搬送され、ワークWの先端部を垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに当接した状態で、垂直ベルトコンベヤ10の搬送力によって45°持ち上げることができる。なお、このワークWが水平となす角度が45°となるとき、スポンジローラ32はワークWの長さL1の半分より搬送方向の後ろ、つまり長さ後半分に位置するようにワークWに接する。これにより、有効にワークWを垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに押圧しつつ、ワークWの挫屈を回避できるようになる。
【0048】
図17は、ワークWが入口側可動ローラ30のスポンジローラ32によって押圧されながら下部傾斜ベルトコンベヤ40によって搬送され、ワークWの先端部が垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに当接した状態で、垂直ベルトコンベヤ10の搬送力によって60°持ち上げられた状態を示す。
この段階では、スポンジローラ32がワークWによって押し上げられ、可動ローラホルダ35の水平となす角度θ2が41°になる。そのため、Fθは、F41となり、表3に示すように、スポンジローラ32による押圧力は1.69(N)となる。
【0049】
そして、ワークWの後端部の下部傾斜ベルトコンベヤ40との接点A点とスポンジローラ32との接点とのそれぞれローラ支持板34長手中心軸の法線間距離L’が41.8mm、スポンジローラ32との接点とワークWの先端部の垂直ベルトコンベヤ10との接点B点とのそれぞれローラ支持板34長手中心軸の法線間距離L”が100mmとなる。
ここで、A点周りのモーメントの釣合は、式3の通りとなる。また、B点周りのモーメントの釣合は、式4の通りとなる。
【0050】
【数3】

【0051】
【数4】

【0052】
そこで、ワークWを運ぶための力の条件は、下部傾斜ベルトコンベヤ40方向の力の条件と垂直ベルトコンベヤ10方向の力の条件とを要する。
ワークWを下部傾斜ベルトコンベヤ40による移動させる方向の力は、[μ・FB・sin30+μ・FA+F41・sin(θ2−30)]=3.72(N)となり、ワークWを下部傾斜ベルトコンベヤ40を滑り落とそうとする力(FB・cos30+m・g・sin30)=0.90(N)より大きくなっている。
【0053】
ワークWを垂直ベルトコンベヤ10の上昇方向に移動させようとする力は、(μ・FB+μ・FA・sin30+FA・cos30)=5.08(N)となり、ワークWを垂直ベルトコンベヤ10の下降方向に移動させようとする力(m・g+F41・cosθ2)=2.26(N)より大きくなっている。
従って、ワークWが入口側可動ローラ30のスポンジローラ32によって押圧されながら下部傾斜ベルトコンベヤ40によって搬送され、ワークWの先端部を垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに当接した状態で、垂直ベルトコンベヤ10の搬送力によって60°持ち上げることができる。
【0054】
図18は、ワークWが入口側可動ローラ30のスポンジローラ32によって押圧されながら下部傾斜ベルトコンベヤ40によって搬送され、ワークWの先端部が垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに当接した状態で、垂直ベルトコンベヤ10の搬送力によって75°持ち上げられた状態を示す。
この段階では、スポンジローラ32がワークWによって押し上げられ、可動ローラホルダ35の角度θ2が33°になる。そのため、Fθは、F33となり、表3に示すように、スポンジローラ32による押圧力は1.88(N)となる。
【0055】
そして、ワークWの後端部の下部傾斜ベルトコンベヤ40との接点A点とスポンジローラ32との接点とのそれぞれローラ支持板34長手中心軸の法線間距離L’が2mm、スポンジローラ32との接点とワークWの先端部の垂直ベルトコンベヤ10との接点B点とのそれぞれローラ支持板34長手中心軸の法線間距離L”が133.3mmとなる。
ここで、A点周りのモーメントの釣合は、式5の通りとなる。また、B点周りのモーメントの釣合は、式6の通りとなる。
【0056】
【数5】

【0057】
【数6】

【0058】
そこで、ワークWを運ぶための力の条件は、下部傾斜ベルトコンベヤ40方向の力の条件と垂直ベルトコンベヤ10方向の力の条件とを要する。
ワークWを下部傾斜ベルトコンベヤ40による移動させる方向の力は、[μ・FB・sin30+μ・FA+F33・sin(θ2−30)]=24.38(N)となり、ワークWを下部傾斜ベルトコンベヤ40を滑り落とそうとする力(FB・cos30+m・g・sin30)=0.52(N)より大きくなっている。
ワークWを垂直ベルトコンベヤ10の上昇方向に移動させようとする力は、(μ・FB+μ・FA・sin30+FA・cos30)=35.52(N)となり、ワークWを垂直ベルトコンベヤ10の下降方向に移動させようとする力(m・g+F33・cosθ2)=2.56(N)より大きくなっている。
【0059】
従って、ワークWが入口側可動ローラ30のスポンジローラ32によって押圧されながら下部傾斜ベルトコンベヤ40によって搬送され、ワークWの先端部を垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに当接した状態で、垂直ベルトコンベヤ10の搬送力によって75°持ち上げることができる。
そして、ワークWは、その先端部が連続搬入ユニット39上端に設けられたローラ周面が弾性体で構成されるくわえ込みローラ21aの周面に当接する位置に達している。連続搬入ユニット39は、その上端部に垂直ベルトコンベヤ10と距離L6を離してくわえ込みローラ21aを対向配置しており、この距離L6は、くわえ込みローラ21aによるワークWへの押圧力を、予め測定して求めたくわえ込みローラ21aのスポンジバネ定数aに、ワークWの押圧幅L3とくわえ込みローラ21aの凹み長さL2−L6と安全率α2とを乗じた値であるように、それぞれ決めている。そして、連続搬送ユニット39は、下部傾斜ベルトコンベヤ40の垂直ベルトコンベヤ10の搬送面側にある中間部プーリ42の上面と、くわえ込みローラ21a表面のワークWが最初に接触する部位のレベルとの垂直距離が、ワークWの長さL1より短くなるようくわえ込みローラ21aを配置している。
【0060】
図19は、ワークWが入口側可動ローラ30のスポンジローラ32によって押圧されながら下部傾斜ベルトコンベヤ40によって搬送され、ワークWの先端部が垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aに当接した状態で、垂直ベルトコンベヤ10の搬送力によって持ち上げられ、先端部が連続搬入ユニット39上端に設けられたローラ周面が弾性体で構成されるくわえ込みローラ21aと垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aとで挟持された状態を示す。
この段階では、スポンジローラ32はワークWから離れ、自重によって図13に示す元の位置に戻っている。
そして、連続搬送ユニット39は、下部傾斜ベルトコンベヤ40の垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11a側にある中間部プーリ42の上面と、上端部に配置されるくわえ込みローラ21aの軸心との垂直距離を、ワークWの長さL1より長くなるようくわえ込みローラ21aを配置している。
【0061】
そして、ワークWを運ぶための力の条件は、スポンジ力Fs=(スポンジバネ定数a)×(L2−L4)×(ワークWの押圧幅L3)×gに高摩擦ベルト11の表面摩擦係数μを乗じた値であるから、簡単のため重力加速度gを省略してkgで表示すると、Fs=0.368476(kg)となり、ワークWの重量m=0.1(kg)より大きくなる。
従って、ワークWを落とすことなく垂直ベルトコンベヤ10の搬送力にてワークWを搬送することができる。なお、スポンジ力Fs(kg)をワークWの重量m(kg)で除した値が、所定の安全率α2(今回、例えば、3.5)を超えるように設定するよう距離L6を定める。
【0062】
そして、ワークWが垂直ベルトコンベヤ10と押さえローラユニット20との上部側へ搬送されると、押さえローラユニット20の上端部側に水平に対して所定の角度θ(本実施形態では30°)で取り付けられた出口可動ガイドユニット59によって上部傾斜ベルトコンベヤ50へ移送され、上部傾斜ベルトコンベヤ50を介して所定の場所に搬送される。
図20は、垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aにワークWを押圧付勢することで垂直搬送する状態を示す。
ここで、ワークWとスポンジローラ21との関係について説明する。
【0063】
本実施形態において、図9に示すように、ワークWの長さL1を150mm、ワーク厚さL2を34mm、ワークWの押圧幅L3を80mm、ワークWの重量mを0.1kg、高摩擦ベルト11の摩擦係数μを0.9、スポンジローラ21の先端位置と高摩擦ベルト11のベルト搬送面11aとの距離L4を32mm、スポンジローラ21のローラピッチL5を75mm、重力加速度gを9.81m/s2、スポンジバネ定数aを0.002559kg/mm2としたので、ワークWが接触しうるスポンジローラ21の数b(bは自然数)は(L1/L5+1)より少ない。つまり、L1/L5+1=2.8の時、b=2、1であり、L1/L5+1=3.2の時、b=3、2、1である。
【0064】
そこで、ワークWが接触しうるスポンジローラ21の数bが3の時は、μ・Fs・bがm・gであるから、簡単のため重力加速度gを省略してkgで表示すると、3・a・(L2−L4)・L3・μが1.105429(kg)となり、ワークWの重量m=0.1(kg)より大きい。
また、ワークWが接触しうるスポンジローラ21の数bが2の時は、μ・Fs・bがm・gであるから、簡単のため重力加速度gを省略してkgで表示すると、2・a・(L2−L4)・L3・μが0.736953(kg)となり、ワークWの重量m=0.1(kg)より大きい。
また、ワークWが接触しうるスポンジローラ21の数bが1の時は、μ・Fs・bがm・gであるから、簡単のため重力加速度gを省略してkgで表示すると、2・a・(L2−L4)・L3・μが0.368475(kg)となり、ワークWの重量m=0.1(kg)より大きい。
【0065】
このように、ワークWがスポンジローラ21と垂直ベルトコンベヤ10のベルト搬送面11aとで挟持されると、ワークWは軽量小型でかつつぶれにくいため、スポンジローラ21のローラ周面がワークWをベルト搬送面11aに押圧することによって、その潰れに抗する反発力が押圧力としてワークWに作用する。
押さえローラユニット20は、複数のスポンジローラ21を回転自在に垂直に並列させて垂直ベルトコンベヤ10と距離L4を離して対向配置しており、この距離L4は、スポンジローラ21によるワークWへの押圧力を、予め測定して求めたスポンジローラ21のスポンジバネ定数aに、ワークWの押圧幅L3とスポンジローラ21の凹み長さL2−L4と安全率α1とを乗じた値であるように、それぞれ決めている。例として、スポンジ力Fs(kg)をワークの重量m(kg)で除した値が所定の安全率α1(今回、例えば、必ず2つのローラがワークWに接するようローラピッチL5を定めた場合、7.0)を超えるように設定するよう距離L4を定める。
本実施形態に係る垂直搬送装置1によれば、以上の工程を連続的に行うことによって、連続的に流れてくる軽量小型でかつつぶれにくいワークWを、下部水平ベルトコンベヤ55で受け入れて、下部傾斜ベルトコンベヤ40及び入口可動ローラユニット30にて垂直ベルトコンベヤ10に向かって水平から垂直に方向を転換しつつ垂直搬送を行ない、上部水平払い出しコンベヤ57へ受渡すことが可能となる。
【0066】
なお、上記実施形態では、スポンジローラ32の軸芯と下部傾斜ベルトコンベヤ40のベルト面との距離を、ワークWの厚さL2(34mm)とスポンジローラ32の半径(φ40/2mm)とを加え、さらにF29でスポンジローラ32が荷重を加えながら角度1度分浮き上がるスポンジ凹み量も加えてなる距離として設定したが、本発明はこれに限らず、ワークWの厚さL2に応じて入口可動ローラユニット30を押さえローラユニット20の下端部26に取り付ける位置を調整したり重量を変更することによって調整することが可能である。
また、上記実施形態では、ワークWを水平ベルトコンベヤ55から下部傾斜ベルトコンベヤ40へ搬入する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、作業者が下部傾斜ベルトコンベヤ40上にワークWを搬入しても良い。
【0067】
また、上記実施形態では、垂直ベルトコンベヤ10と押さえローラユニット20との下部にワークWの連続搬入装置として入口可動ローラユニット30と下部傾斜ベルトコンベヤ40とくわえ込みローラ21aとを設置した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、垂直ベルトコンベヤ10と押さえローラユニット20との下部からワークWを直接搬入しても良い。
また、上記実施形態では、垂直ベルトコンベヤ10と押さえローラユニット20との下部にワークWの連続搬入装置として入口可動ローラユニット30と下部傾斜ベルトコンベヤ40とくわえ込みローラ21aとを設置した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、入口可動ローラユニット30に代えてワークWに所定の押圧力を付与しながら下部傾斜ベルトコンベヤ40上を移送させることができる装置を設置することも可能である。
【0068】
次に、本発明の第二実施形態に係る垂直搬送装置101を図面に基づいて説明する。
図21は、本発明の第二実施形態に係る垂直搬送装置101を示す。
本実施形態に係る垂直搬送装置101は、厚みL2を長さL1で除した値が1/2より小さく1/30より大きいワーク(例えば、長さL1が厚みL2の5倍の箱状のケース)Wを搬送する下部側の水平コンベヤである水平ベルトコンベヤ110と、水平ベルトコンベヤ110の折返し部(頭部プーリ113)側に配置される垂直ベルトコンベヤ120と、水平ベルトコンベヤ110の折返し部(頭部プーリ113)側の上部に、垂直ベルトコンベヤ120と対向配置され、水平ベルトコンベヤ110と垂直ベルトコンベヤ120との対向面側に、ワークWによりローラ周面が弾性体で構成される複数のスポンジローラ137の周面を潰すことでその潰れに抗する反発力で前記搬送面に押圧するように働かせるよう、複数のスポンジローラ143を並列に軸支設置して成る押さえローラユニット130と、後述する連続搬入ユニット141と、ワークWを搬送する上部側の水平ベルトコンベヤ150とを備える。
【0069】
下部側の水平ベルトコンベヤ110は、図21に示すように、駆動モータ114によって駆動される駆動プーリ112と頭部プーリ113との間に巻回されるベルト111とを備え、コンベヤ取付ベース140に複数の取付ブラケット115を介して固定されている。ベルト111としては、ワークWを垂直ベルトコンベヤ120と押さえローラユニット130とで挟持して確実に垂直搬送させるために、ワークWを垂直に引き起こして方向転換する際に垂直ベルトコンベヤ120へワークWを押し付ける力を大きく発生させることにより、ワークWに水平ベルトコンベヤ110の搬送力を確実に伝達することができる、高摩擦ベルトが好適である。本実施形態では、例えば、ベルト表面摩擦係数を0.9(対鋼材)とした。
【0070】
垂直ベルトコンベヤ120は、第一実施形態と同様に、図21に示すように、駆動モータ124によって駆動される駆動プーリ122と頭部プーリ123との間に巻回されるベルト121を備え、コンベヤ取付ベース140に取付ブラケット125を介して固定されている。ベルト121としては、ワークWを押さえローラユニット130と挟持して確実に垂直搬送するため、高摩擦ベルトが好適である。本実施形態では、例えば、ベルト表面摩擦係数を0.9(対鋼材)とした。
【0071】
連続搬入ユニット141の複数のフリーローラユニット137Aは、図21〜図24に示すように、水平ベルトコンベヤ110の横幅より大きく、垂直ベルトコンベヤ120の高さより高い板材からなる背板132の両側に、水平ベルトコンベヤ110との対向面側131Aと垂直ベルトコンベヤ120との対向面側131Bとに複数の落とし込み用長孔134を設けた側板133を対向配置して一体的に設けたフリーローラ取付ブラケット131と、フリーローラ軸136に複数の樹脂製のフリーローラ137を滑動自在かつ回転自在に配置するとともにフリーローラ軸136の両端部に摩擦抵抗の小さい樹脂製の円筒部材に両面取り部138aを設けたすべり軸受138を滑動自在かつ回転自在に配置して成る複数のフリーローラ135とを備え、図24(B)に示すように、フリーローラ軸136に複数の樹脂製のフリーローラ137を挿通し端部にすべり軸受138を装着することによって、図24(A)、図24(B)に示すように、各フリーローラ135を各落とし込み用長孔134にすべり軸受138の両面取り部138aを滑動自在に配置した後、図22に示すように、両側板133の外側に抜け止め板139を取り付けてフリーローラ135が抜け出ないように取付ブラケット131の孔131aにボルト・ナット131cを螺合するとともに、図21に示すように、コンベヤ取付ベース140に取付ブラケット131の孔131bにボルト・ナット131dを螺合することによって固定されている。
【0072】
複数の落とし込み用長孔134は、水平ベルトコンベヤ110との対向面側131A及び垂直ベルトコンベヤ120との対向面側131Bにおいて、複数のフリーローラ135が、フリーローラユニット137Aの長手方向の軸線130aに対して垂直ベルトコンベヤ120に向かって、例えば、+45°のように鋭角に傾斜するように設けられている。ただし、水平ベルトコンベヤ110との対向面側131Aにおいて、ワークWと最初に接するフリーローラ135を配置する落とし込み用長孔134Aは、フリーローラユニット137Aの軸線130a方向に移動するようにフリーローラユニット137Aの垂直軸線方向に切り込まれている。
【0073】
そして、フリーローラユニット137Aは、図25、図26に示すように、1つのフリーローラ137aから成る水平ベルトコンベヤ110との対向面に設置され、垂直軸に沿って後述のくわえ込みローラ137b’に並列して設けた垂直部最下端に位置するフリーローラ137bと、その直上にローラ周面を弾性体で構成されるくわえ込みローラ137b’から成っている。フリーローラユニット137Aのフリーローラ137a及び垂直部最下端のフリーローラ137bの自重による押付力によって水平ベルトコンベヤ110の搬送力を維持して、水平ベルトコンベヤ110と垂直ベルトコンベヤ120との協働によるワークWの引き起こしに寄与する。
【0074】
フリーローラユニット137Aのフリーローラ137a及び垂直部最下端のフリーローラ137bは、水平ベルトコンベヤ110から垂直ベルトコンベヤ120へのワークWの乗り移り時に、ワークWの押しのけで発生するフリーローラ137a及び垂直部最下端のフリーローラ137bの自重による押付力によって、ワークWの浮き上がりを防止しながら水平ベルトコンベヤ110の搬送力を維持することで、水平ベルトコンベヤ110の搬送力及び垂直ベルトコンベヤ120の搬送力により、ワークWを引き起こして搬送方向を垂直に方向転換し、垂直ベルトコンベヤ120に押し付けることができるように設置されている。また、フリーローラユニット137Aは、上述したように、ワークWと最初に接するフリーローラ137aが、押さえローラユニット130の軸線130a方向に移動するように軸線130a方向に切り込まれた落とし込み用長孔134Aに滑動自在かつ回転自在に配置されている。
【0075】
図26に示すように、フリーローラ137a、垂直部最下端のフリーローラ137b、水平ベルトコンベヤ110の搬送ベルト111による搬送力、及び垂直ベルトコンベヤ120の搬送ベルト121による搬送力によって、協働して水平に対し75°など垂直に近く引き起こされたワークWは、連続搬入ユニット141の一部を構成するフリーローラユニット137A上端に位置するくわえ込みローラ137b’により垂直ベルトコンベヤ120の搬送面との間に挟持され、第一実施形態と同様に、0054段落以降に準じて垂直にワークWを方向転換しつつ垂直に持ち上げるように動く。
そして、ワークWは、その先端部が連続搬入ユニット141上端に設けられたローラ周面が弾性体で構成されるくわえ込みローラ137b’の周面に当接する位置に達している。連続搬入ユニット141は、その上端部に垂直ベルトコンベヤ120と距離L6を離してくわえ込みローラ137b’を対向配置しており、この距離L6は、くわえ込みローラ137b’によるワークWへの押圧力を、予め測定して求めたくわえ込みローラ137b’のスポンジバネ定数aに、ワークWの押圧幅L3とくわえ込みローラ137b’の凹み長さL2−L6と安全率α2とを乗じた値であるように、それぞれ決めている。そして、連続搬送ユニット141は、水平ベルトコンベヤ110の垂直ベルトコンベヤ120の搬送面側にある頭部プーリ113の上面と、くわえ込みローラ137b’表面のワークWが最初に接触する部位のレベルとの垂直距離がワークWの長さL1より短くなるようくわえ込みローラ137b’を配置している。
【0076】
押さえローラユニット130は、第一実施形態における押さえローラユニット20と同様の働きを行うものである。ワークWがスポンジローラ143と垂直ベルトコンベヤ120のベルト搬送面121とで挟持されると、ワークWは軽量小型でかつつぶれにくいため、スポンジローラ143のローラ周面がワークWをベルト搬送面121に押圧することによって、その潰れに抗する反発力が押圧力としてワークWに作用する。
押さえローラユニット130は、複数のスポンジローラ143を回転自在に垂直に並列させて垂直ベルトコンベヤ120と距離L4を離して対向配置しており、この距離L4は、スポンジローラ143によるワークWへの押圧力を、予め測定して求めたスポンジローラ143のスポンジバネ定数aに、ワークWの押圧幅L3とスポンジローラ143の凹み長さL2−L4と安全率α1とを乗じた値であるように、それぞれ決めている。例として、スポンジ力Fs(kg)をワークの重量m(kg)で除した値が所定の安全率α1(今回、例えば、必ず2つのローラがワークWに接するようローラピッチL5を定めた場合、7.0)を超えるように設定するよう距離L4を定める。
【0077】
本実施形態に係る垂直搬送装置101によれば、以上の工程を連続的に行うことによって、連続的に流れてくる軽量小型でかつつぶれにくい搬送物Wを、下部側の水平ベルトコンベヤ110で受け入れて、水平ベルトコンベヤ110及びフリーローラユニット137Aとくわえ込みローラ137b’から成る連続搬入ユニット141にて垂直ベルトコンベヤ120に向かって水平から垂直に方向を転換しつつ垂直搬送を行ない、上部水平払い出しコンベヤ150へ受渡すことが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1 垂直搬送装置
10 垂直ベルトコンベヤ
11 高摩擦ベルト
11a ベルト搬送面
12 垂直部材
13 俯仰部プーリ
14 リターンローラ
20 押さえローラユニット
21、32 スポンジローラ
21a くわえ込みローラ
30 入口可動ローラユニット
31 側板
31a、31c 支持用の穴
31b 回動用の円弧形状の長孔
32a 軸
33a、33b、33c 繋ぎ材
34 ローラ支持板
34a、34b、34c、34d 支持用の穴
35 可動ローラホルダ
36 回転軸
37 回転防止ネジ
39 連続搬入ユニット
40 下部傾斜ベルトコンベヤ
42 中間部プーリ
43 テークアップボルト
44 テークアッププーリ
45 ベンド部プーリ
46 駆動プーリ
47 モータ
50 上部傾斜ベルトコンベヤ
55 下部水平ベルトコンベヤ
57 上部水平ベルトコンベヤ
59 出口可動ガイドユニット
60 脚ユニット
101 垂直搬送装置
110 水平コンベヤ
113 頭部プーリ
120 垂直ベルトコンベヤ
130 押さえローラユニット
134 落とし込み用長孔
134a 落とし込み用長孔
135 フリーローラ
137a フリーローラ
137b 垂直部最下端尾のフリーローラ
137b’ くわえ込みローラ
141 連続搬入ユニット
143 スポンジローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高摩擦ベルトを用いるとともに搬送面を垂直に位置させる垂直ベルトコンベヤと、
ローラ周面が弾性体で構成される複数の接触ローラを回転自在に垂直に並列に配置させるとともに、前記垂直ベルトコンベヤと距離L4離して対向配置される押さえローラユニットと
を備え、
前記複数の接触ローラは、前記垂直ベルトコンベヤと前記接触ローラとの間に導入される厚みL2の保形性を有する搬送物を前記垂直ベルトコンベヤと前記接触ローラとの間で挟持し前記垂直ベルトコンベヤの搬送力で前記搬送面に沿って垂直方向へ搬送するように、前記搬送時に前記搬送物により長さL2−L4分潰されその潰れに抗する反発力で前記搬送物を前記搬送面に押圧するように配置されている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の垂直搬送装置において、
前記垂直ベルトコンベヤの搬送面と前記押さえローラユニットとの距離L4は、
前記接触ローラによる搬送物への押圧力を、予め測定して求めた前記接触ローラのバネ定数aに、前記搬送物の押圧幅L3と前記接触ローラの凹み長さL2−L4と安全率α1とを乗じた値であるように決めている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項3】
厚みL2を長さL1で除した値が1/2以下、1/30以上の保形性を有する搬送物を搬送する水平コンベヤと、
高摩擦ベルトを用いるとともに搬送面を垂直に位置させる垂直ベルトコンベヤと、
ローラ周面が弾性体で構成される複数の接触ローラを回転自在に垂直に並列に配置させるとともに、前記垂直ベルトコンベヤと距離L4離して対向配置される押さえローラユニットと、
前記押さえローラユニットの下部に前記水平コンベヤから前記垂直ベルトコンベヤへ前記搬送物を乗り移す連続搬入ユニットと
を備え、
前記複数の接触ローラは、前記垂直ベルトコンベヤと前記接触ローラとの間に導入される前記搬送物を前記垂直ベルトコンベヤと前記接触ローラとの間で挟持し前記垂直ベルトコンベヤの搬送力で前記搬送面に沿って垂直方向へ搬送するように、前記搬送時に前記搬送物により長さL2−L4分潰されその潰れに抗する反発力で前記搬送物を前記搬送面に押圧するように配置され、
前記連続搬入ユニットは、その上端部に前記垂直ベルトコンベヤと距離L6を離してローラ周面が弾性体で構成されるくわえ込みローラを対向配置している
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項4】
請求項3記載の垂直搬送装置において、
前記垂直ベルトコンベヤの搬送面と前記押さえローラユニットとの距離L4は、
前記接触ローラによる搬送物への押圧力を、予め測定して求めた前記接触ローラのバネ定数aに、前記搬送物の押圧幅と前記接触ローラの凹み長さL2−L4と安全率α1とを乗じた値であるように、
前記垂直ベルトコンベヤの搬送面と前記くわえ込みローラとの距離L6は、
前記くわえ込みローラによる搬送物への押圧力を、予め測定して求めた前記くわえ込みローラのバネ定数aに、前記搬送物の押圧幅と前記くわえ込みローラの凹み長さL2−L6と安全率α2とを乗じた値であるように、それぞれ決めている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載の垂直搬送装置において、
前記連続搬入ユニットは、
前記押さえローラユニットの下端部に所定の角度で取り付けられる入口可動ローラユニットと、高摩擦ベルトを用い、前記垂直ベルトコンベヤの搬送面側に折返し部を配置し対向する折返し部を前記水平コンベヤ頭部プーリ側面に配置するとともに前記入口可動ローラユニットと平行に配置される下部傾斜ベルトコンベヤとを備え、
前記入口可動ローラユニットは、弾性体からなるローラを取り付けた可動用ローラホルダと、前記可動用ローラホルダの端部を回動自在に軸支するとともに前記可動用ローラホルダを上下動自在に案内する長孔を有する側板とを有し、前記下部傾斜ベルトコンベヤ上を移動する前記搬送物に前記ローラを接触し前記搬送物の移動に伴って前記ローラを介して前記可動用ローラホルダの荷重を押圧力として前記搬送物に付加するように構成されている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項6】
請求項5記載の垂直搬送装置において、
前記垂直ベルトコンベヤと前記下部傾斜ベルトコンベヤとの搬送面を形成する共通ベルトを、ベルト駆動部を両コンベヤ共通で1基として所定のプーリにかけ廻して無端ベルトに形成し、
前記下部傾斜ベルトコンベヤの下方に前記ベルト駆動部を設けている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の垂直搬送装置において、
前記連続搬送ユニットは、
前記下部傾斜ベルトコンベヤの前記垂直ベルトコンベヤの搬送面側折返し部の上面と、上端部に配置される前記くわえ込みローラの軸心との距離を、前記搬送物長さL1より長く、かつ前記折返し部の上面と前記くわえ込みローラ表面の搬送物と最初に接触する部位のレベルとの距離が前記搬送物長さL1より短く配置し、
前記可動用ローラホルダに取り付けられた前記ローラは、前記搬送物が前記下部傾斜ベルトコンベヤ上で水平から45度引き起こされた際に、前記搬送物長さの後ろ半分の上面に接している
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項8】
請求項3又は4記載の垂直搬送装置において、
前記連続搬入ユニットは、
前記水平コンベヤと前記垂直ベルトコンベヤとの対向面側に、前記搬送物によって押しのけられることにより、自重を縦方向及び横方向に押し付け力として働かせて移動する複数のフリーローラを並列に軸支設置して備え、
前記水平コンベヤから前記垂直ベルトコンベヤへの前記搬送物の乗り移り時に、前記搬送物の押しのけで発生する各フリーローラ自重による押し付け力によって、前記搬送物の浮き上がりを防止しながら前記水平コンベヤの搬送力を維持することで、前記水平コンベヤの搬送力及び前記垂直ベルトコンベヤの搬送力により、前記搬送物を引き起こして搬送方向を垂直に方向転換し、前記垂直ベルトコンベヤに押し付けることができるよう構成されている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項9】
請求項8記載の垂直搬送装置において、
前記連続搬入ユニットは、
前記水平コンベヤとの対向面及び前記垂直ベルトコンベヤとの対向面において、
前記複数のフリーローラが、前記押さえローラユニットの軸線に対して前記垂直ベルトコンベヤに向かって鋭角に傾斜するように設けられた落とし込み用長孔に滑動自在かつ回転自在に配置されている
ことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項10】
請求項8又は9記載の垂直搬送装置において、
前記連続搬入ユニットは、
前記水平コンベヤの前記垂直ベルトコンベヤ側の折返し部の上面と、上端部に配置される前記くわえ込みローラの軸心との距離を、前記搬送物長さL1より長く、かつ前記折返し部の上面と前記くわえ込みローラ表面の搬送物と最初に接触する部位のレベルとの距離が前記搬送物長さL1より短く配置し、
前記搬送物と最初に接する前記フリーローラが、前記押さえローラユニットの軸線方向に移動するように前記押さえローラユニットの軸線方向に切り込まれた落とし込み用長孔に滑動自在かつ回転自在に配置されている
ことを特徴とする垂直搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−241583(P2010−241583A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94593(P2009−94593)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】