説明

垂直構造ダイオードとその製造方法

【課題】LEDの所望の特性を犠牲にしたり変更することなしに、GaNベースLEDを低コストで大量生産する。
【解決手段】金を含む第1の金属層と、第1の金属層上の第1の電極と、第1の電極は反射層として機能し、第1の電極上に第1の表面を有するGaN半導体構造と、半導体構造は、第1の種類の層、第1の種類の層上の活性層、及び、活性層上の第2の種類の層を備え、第1の種類の層と第1の電極の間の緩衝層と、緩衝層は、GaN半導体構造を支持し、半導体構造の第2の表面上の第2の電極と、第2の表面は、第1の表面の反対側にあり、第2の電極上の金を含む第2の金属層パッドと、を備え、第1の電極および第2の表面は、第1の電極が活性層からの光を第2の表面に向けて反射させて第2の表面を通過させるように構成され、第1の電極および第2の電極は、半導体構造の反対の表面上にそれぞれ配置され、それにより、装置の輝度を向上させ、第1の電極の幅は、第2の金属層の幅より大きい、発光デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイオードに関し、具体的には、垂直構造型発光ダイオード(LED)に関する。本発明はGaNベースの発光ダイオードに関して検討しているが、本発明は様々な種類の発光ダイオードにも使用可能であり、例えば、レーザダイオードのような異なる種類のダイオードを含め、広い範囲の用途に利用できる。
【背景技術】
【0002】
通常「LED」と呼ばれる発光ダイオードは電気的エネルギーを放射光に変換する半導体デバイスである。電子が原子或いは分子の形で許容エネルギーレベル間を移動すると、この遷移は常に特定量子エネルギーの増大或いは損失を伴うことはこの技術分野では良く知られたことである。発光ダイオードにおいては、ダイオードの接合部における電子流、又は、ホール流の生成或いは注入は、このような電子の遷移を喚起し、代りに振動エネルギー、発光、或いはその双方を生じさせることになる。又、この分野では良く知られていることであるが、発光ダイオードによって生み出すことの出来る発光色は使用する半導体物質の特性によって限定され、特に個々の原子の価電子帯と電導帯との間のエネルギー準位差を示す禁制帯の差異によって最も著しく限定される。
【0003】
窒化ガリウム(GaN)は最近LED分野の研究者から多くの注目を浴びている。これは、直接禁制帯を持った広いGaNの物質特性が、他の赤色及び緑色LEDの中で組成することが最も難しいと考えられていた青色LEDを製造するのに適しているからである。
それ故、GaNベースの光電子デバイス技術は1994年にこれらのデバイスが市場に登場して以来、研究・開発の領域から商用へと急速に発展した。GaN発光ダイオードの効率は、例えば白熱灯を凌駕し、今や蛍光灯と比肩するに至っている。
【0004】
GaNベースのデバイスの市場成長は、毎年工業市場の予測を遥かに超えてきた。このような急速な開発スピードにも拘らず、GaNベースのデバイスによるフルカラー表示器は、依然まだ高価である。これはフルカラー表示器の実現に必須な青色ダイオードの製造コストが、他の可視LEDに比べて高いことに起因する。青色LEDを製造するウエハーは2インチ迄に制限され、GaNエピタキシャル層を成長させるプロセスが他の半導体物質に比べ難しい。故に、性能を犠牲にすることのない大量生産技術の開発が、青色LEDの製造コストを減らし、それにより安価なGaN LEDを使ったフルカラー表示器の製造に役立ち、現在可能な効率よりも遥かに良好な効率を実現するのに主要な論点であることは決定的である。
一般に、GaNベースのLEDはサファイア基板を使用し、ラテラル構造を有するように組成される。これは、サファイアが基板として他の物質に比べ、GaNエピタキシャル層を殆ど欠陥なしに成長させることができる物質だからである。サファイアは電気的には絶縁物であるので、上側面にn型とp型両方の金属接触を有するラテラル構造型のLEDは、MQW層内に電流を注入するために必要不可欠である。
【0005】
図1に従来型のラテラル型LEDを概略的に例示する。図1を参照すると、従来型のラテラル型LEDは、サファイア等の基板100を有している。随意で設けることができる緩衝層120は、例えば窒化ガリウムからなり、基板100上に形成されている。n型GaN層140は緩衝層120上に形成されている。例えば窒化アルミニウム−インジュウム−ガリウム(AlInGaN)からなる多重量子井戸(MQW)層160等の活性層はn型GaN層140上に形成されている。p型GaN層180は、活性層160上に形成されている。透過性導電層220はp型GaN層180上に形成されている。透過性導電層220は、例えば、Ni/Au、又は酸化インジュウム−錫(ITO)等、任意の適切な物質から構成してよい。次いでp型電極240が透過性導電層220の片側に形成されている。p型電極240は、例えばNi/Au、Pd/Au、Pd/Ni、Ptを含め、任意の適切な物質から構成してよい。パッド260はp型電極240上に形成されている。パッドは、例えばAuを含め、任意の適切な物質から構成してよい。透過性導電層220、p型GaN層180、活性層160、及び、n型GaN層140はすべて、n型電極250とパッド270を形成するために、一部分においてエッチングされている。
【0006】
サファイアは絶縁体であるので、n型金属接触を形成するためにn型GaN層を露出させなければならない。GaNは化学エッチング法によってエッチングできないので、一般にドライエッチング法が用いられる。この方法は、追加のリソグラフィやストリッピング処理を必要とするのでかなり不利である。加えて、ドライエッチング中GaN面上にプラズマ損傷がしばしば発生する。更に、デバイスの頂部に二つの金属接触を形成する必要があるので、デバイスのラテラル構造はデバイスのサイズを大きくする。更に、ラテラル構造のデバイスは、二つの金属電極がお互いに近接して配置されているので静電気に弱い。それ故、ラテラル構造のGaNベースLEDは、交通信号や信号灯のような高電圧応用製品には適していない。
【0007】
現在、シリコンカーバイド(SiC)基板を使用した垂直構造のGaNベースLEDがCree Research社によって製造されている。しかし、高い製造コストのため、SiC基板を使用したLEDは大量生産には向いていない。更に、SiCは、エピタキシャル膜の品質を考えると、GaN層を成長させるのに最も普通の方法である有機金属気相堆積(MOCVD)法によるGaN層の成長の間に存在する水素原子に非常に敏感である。高品質のGaNベースのエピタキシャル膜を成長させるには、「表面処理」と呼ばれる追加処理が必要となる。更に、SiCを基板とするGaNベースLEDは、GaNエピタキシャル層を成長させる前に、SiC基板上に追加の導電緩衝層を必要とする。この処理はラテラル構造のデバイスには必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−077476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、関連技術の限界や欠点に起因する一つ以上の問題を実質的に除去する、簡潔な垂直構造LEDの大量生産のための製造方法を目指している。
本発明の利点の一つは、限定されたウエハー内に製造されるLEDデバイスの数を増やすことである。
本発明のもう一つの利点は、LEDデバイスの製造工程が簡単であることである。
本発明のその他の機能や利点は、以下の説明の中で記述され、説明、又は本発明の実施によって明らかにされる。本発明の目的と他の利点は、本明細書、特許請求の範囲、及び添付図面で特に指摘されている構造によって実現され、得られる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施例を示し、且つ広義に説明するように、これら利点及び他の利点を達成するため、本発明の目的に従って、本発光ダイオード製造方法は、サファイア基板上に気相エピタキシー(VPE)法により緩衝GaN層を形成すること;緩衝GaN層上にMOCVD法によりn型GaNエピタキシャル層を形成すること;n型GaNエピタキシャル層上に多重量子井戸(MQW)層を形成すること;MQW層上にMOCVD法によりp型GaN層を形成すること;他の層からサファイア基板を分離する処理を行うこと;p型及びn型金属接触を形成すること;p型GaN層側に金属透過性接触を形成すること;及びp型GaN層上に金属パッドを形成することから構成される。
【0011】
他の態様においては、本発光ダイオード製造方法は、サファイア基板上にVPE法により緩衝GaN層を形成すること;緩衝GaN層上にVPE法により非ドープ処理GaN層を形成すること;非ドープ処理GaN層上にVPE法によりn型GaN層を形成すること;VPE法によって成長させたn型GaN層上にMOCVD法によりn型GaNエピタキシャル層を形成すること;n型GaNエピタキシャル層上にMQW層を形成すること;MQW層上にMOCVD法によりp型GaN層を形成すること;他の層からサファイア基板を分離する処理を行うこと;p型及びn型金属接触を形成すること;p型GaN層上に金属透過性接触を形成すること;及びp型GaN層上に金属パッドを形成することから構成される。
【0012】
別の態様において、本発光ダイオード製造方法は、サファイア基板上にVPE法により緩衝GaN層を形成すること;緩衝GaN層上にMOCVD法によりn型GaNエピタキシャル層を形成すること;n型GaNエピタキシャル層上にMQW層を形成すること;MQW層上にMOCVD法によりp型AlGaNクラッディング層を形成すること;p型AlGaN層上にMOCVD法によりp型GaN導電層を形成すること;サファイア基板を他の層から分離する処理を行うこと;p型及びn型金属接触を形成すること;p型GaN層上に金属透過性接触を形成すること;及びp型GaN層上に金属パッドを形成することから構成される。
【0013】
更に別の態様において、本発光ダイオードを製造する方法は、サファイア基板上にVPE法により緩衝GaN層を形成すること;緩衝GaN層上にVPE法により非ドープ処理GaN層を形成すること;非ドープ処理GaN層上にVPE法によりn型GaN層を形成すること;VPE法によって成長させたn型GaN層上にMOCVD法によりn型GaNエピタキシャル層を形成すること;n型GaNエピタキシャル層上にMQW層を形成すること;MQW層上にMOCVD法によりp型AlGaNクラッディング層を形成すること;p型AlGaN層上にMOCVD法によりp型GaN導電層を形成すること;サファイア基板を他の層から分離する処理を行うこと;p型及びn型金属接触を形成すること;p型GaN層上に金属透過性接触を形成すること;及びp型GaN層上に金属パッドを形成することから構成される。
【0014】
前述した一般論と以下の詳細な説明は共に例証的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲に記載した本発明をより良く説明することを目的としている。
添付図面は、本発明をより良く理解するために提供されており、本明細書に包含されて本発明の一部を構成し、本発明の実施例を例示し、本明細書と共に本発明の原理を説明するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は従来型のラテラル構造のLEDを示す。
【図2】図2は本発明の一実施例による垂直構造のLEDを示す。
【図3】図3は本発明による発光ダイオードを形成するための製造工程を示す。
【図4】図4は本発明による発光ダイオードを形成するための製造工程を示す。
【図5】図5は本発明による発光ダイオードを形成するための製造工程を示す。
【図6】図6は本発明による発光ダイオードを形成するための製造工程を示す。
【図7】図7は本発明による発光ダイオードを形成するための製造工程を示す。
【図8】図8は本発明による発光ダイオードを形成するための製造工程を示す。
【図9】図9は本発明による発光ダイオードを形成するための製造工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を詳細に説明し、その実施例を付属図面に示す。
図2は本発明の一実施例に則った垂直構造の発光ダイオードを示す。図2を参照すると、垂直構造LEDはn型接触500を有している。GaN105からなる緩衝層がn型接触500上にある。n型GaN層140が緩衝層105上にある。例えばAlInGaNを含む多重量子井戸(MQW)層からなる活性層160が、n型GaN層140上にある。p型GaN層180が活性層160上にある。p型接触層220がp型GaN層180上にある。p型電極240とパッド260がp型接触層220上にある。
【0017】
図2に示すLEDにおいて、n型接触500は二つの役割をもつ。第一に、n型接触500は導電性物質なので電気的性能を有する。第二に、n型接触500は、活性層160からn型接触500に放射された光量子を反射する。これにより、他の場合には吸収されるか、又は無駄になるであろう光量子がn型接触500に反射され発光するのでLEDの輝度を増大させる。鏡のように良好な反射特性を持つ物質をn型接触500として使用することが出来る。そのような物質の一例は研磨されたアルミニウム層である。このような反射特性は、本出願の出願人により2001年7月17日に出願された本発明者(Myung Cheol Yoo)による「高輝度ダイオードとその方法(Diode Having Brightness and Method Thereof)」と題する同時係属中の出願の中にさらに詳細に記述されており、参考のためこの同出願全体を本出願に包含する。n型接触500のための物質を以下に詳細に検討する。
【0018】
本発明によるこの垂直構造LEDの利点は、従来型のラテラル構造のLEDに比べ、LEDチップサイズを顕著に減少できることにある。このようにチップが小さいことにより、これまでよりずっと多くのチップをサファイア等の同じ大きさのウエハー上に形成することが出来る。さらに、以下でより詳細に検討するように、本発明による垂直構造LEDを形成するための処理工程の数は減少する。図3ないし図9に本発明による垂直構造GaNベースの発光ダイオード(LED)を製造するためのプロセスを概略的に例示する。サファイアは安定性が高く、比較的廉価であるため、GaNベースのLEDを組成するためにサファイア基板が一般に使用される。サファイア基板上に成長した種々のGaN層のエピタキシャル層の品質は、その熱的安定性とGaNの類似した水晶構造により、他の基板物質を使用した場合よりも優れている。
【0019】
図3に示すように、緩衝層120を透過性基板100、好ましくはサファイア基板上に形成する。最終的にサファイア基板100の機能を置換する緩衝層120は、1、2、又は3つの層で形成されてよい。例えば、緩衝層120はVPE法によって成長させたn型GaN層だけを持ってもよい。緩衝層が2つの場合には、第一の層であるGaN層110をVPE法等によりサファイア基板上に成長させ、第二の層であるn型GaN層120をVPE法等によりGaN層110上に成長させる。緩衝層が3つの場合は、第一の層であるGaN層110をVPE法等によりサファイア基板上に成長させ、第二の層である非ドープ処理GaN層130をVPE法等により第一の層であるGaN層110上に成長させ、第三の層であるn型GaN層120をVPE法等により非ドープ処理GaN層130上に成長させる。
【0020】
GaN層110は約40〜50nmの範囲の厚さを有するように形成できる。非ドープ処理GaN層130は約30〜40μmの範囲の厚さを有するように形成できる。n型GaN層120は約1〜2μmの厚さを持つように形成できる。n型GaN層120には、シランガス(SiH)をn型のドープ処理剤として使用することができる。
図4を参照すると、n型GaN層140のようなn型エピタキシャル層が、有機金属気相堆積(MOCVD)法により緩衝層120上にエピタキシャル成長している。良質のn型GaNエピタキシャル層140を得るためには、MOCVD法によりn型GaN層140を成長させることに先立って、VPE法により成長させた緩衝層120の化学洗浄処理(図示されていない)を追加することが有益である。この場合、n型GaN層140は約1017cm−3以上のドープ濃度を有するシリコン(Si)でドープ処理した。
【0021】
図5に示すように、AlInGaN多重量子井戸(MQW)等の活性層160をMOCVD法によりn型GaN層140上に形成する。活性層160は、単一の量子井戸層、或いは、二重異質構造等、任意の適切な構造を有してよい。この場合、インジュウム(In)の量により、ダイオードが緑色、或いは青色になるかが決定する。青色LEDには約22%のインジュウムが使用され、緑色LEDには約40%のインジュウムが使用される。使用されるインジュウムの量は、所望の青色、又は緑色の波長に応じて変えてよい。次に、MOCVD法により、p型ドープ処理剤として例えばCPMgを使用してp型GaN層180を活性層160上に形成する。この場合p型GaN層180は、約1017cm−3以上のドープ濃度を有するマグネシウム(Mg)によりドープ処理する。
【0022】
図6に示すように、サファイア基板100を好ましくはレーザリフトオフ法により他の層から分離する。サファイア基板100を他の層から分離するために他の適切な技術を使用してもよい。他の層には緩衝層120、n型GaN層140、活性層160、p型GaN層180が含まれる。電気的絶縁物であるサファイア基板100をデバイスから取去ることにより、n型金属接続を導電体であるn型GaN緩衝層120下に形成することが出来る。
【0023】
図7に示すように、基板100を除去した後、緩衝層120の下の層を、例えばドライエッチング法を使用して同様に除去することができる。図8に示すように、この処理はn型GaN緩衝層120を露出させ、n型接触500に電気的に接続する。
図9に示すように、透過性導電層220をp型GaN層180上に形成する。この透過性導電層220は、例えば酸化インジュウム−錫(ITO)を含む任意の適切な物質からなる。p型電極240を透過性導電層220上に形成する。n型電極500を緩衝層120の底部に形成する。p型電極240は、例えばNi/Au、Pd/Au、Pd/Ni、及びPtを含む任意の適切な物質からなる。n型電極500は、例えば、Ti/Al、Cr/Au、Ti/Auを含む任意の適切な物質からなる。パッド260をp型電極240上に形成する。パッド260は、例えばAuを含む任意の適切な物質からなる。パッド260の厚みは0.5μm以上とすることができる。p型電極240と異なり、n型電極500はパッドを必要としない。但し、パッドを所望する場合は使用しても良い。
【0024】
本発明の他の実施例においては、p型GaN層180と活性層160との間にクラッディング層が形成されている。クラッディング層はp型ドープ処理剤としてCPMgを使用して、MOCVD法により、p型AlGaNで形成されることが好ましい。クラッディング層はLEDデバイスの性能を向上させる。
【0025】
本発明によれば、従来のラテラル型、及び垂直型GaNベースLEDの両方に比べ、多くの利点を持っている。従来型のラテラル構造のGaNベースLEDに比べ、本発明による製造プロセスは、デバイスの上方にn型金属接触がないことにより、一定のウエハーサイズ内に組込まれるLEDデバイスの数を増大させる。例えば250×250μmから160×160μm、或いはそれ以下に、デバイス寸法を減少させることができる。基板上、又はデバイスの上方にn型金属接触を持たないことにより、本発明による製造プロセスは顕著に単純化される。これは、n型金属接触を形成するためのフォトリソグラフィーとエッチングプロセスの必要がなく、又、従来型のラテラル構造のGaNベースLEDにおいてn型GaN層上でしばしば発生するプラズマ損傷がないからである。更に、本発明によって組成されたLEDデバイスは静電気に対して非常に高い耐性を持っている。これにより、本LEDは、高電圧応用分野において従来型のラテラル構造LEDデバイスより高い適応性を持つ。
【0026】
一般に、VPE堆積法はMOCVD法と比較して非常に単純であり、特定の厚みを持つエピタキシャル層を成長させるための時間も短い。それ故、本発明による製造プロセスは緩衝層及びn型GaN層を成長させるためにMOCVD法を使う必要がない点で、従来の垂直型GaNベースLEDと比較した場合も、組成プロセスは単純で、処理時間が短い。全体として、製造工程数が減少しており、例えば、従来方法の28工程から本発明の方法では15工程に減少している。加えて、基板としてサファイア基板の10倍の費用がかかるシリコンカーバイド(SiC)を使用する従来型の垂直構造GaNベースLEDに比べ、製造コストがかなり減少する。更に、本発明による方法は、従来型の垂直構造GaNベースLEDに比べ、接着パッドとn、p両接触との間に良好な金属接着をもたらす。
【0027】
本発明により、LEDの所望の特性を犠牲にしたり変更することなしに、GaNベースLEDを低コストで大量生産することが可能となる。更に、本発明の垂直構造LEDは、反射性基底n型接触という付加機能を有し、LEDの発光輝度を向上させる。本発明は、現在販売されている青色、緑色、赤色、及び白色のLEDに適用されるだけではなく、他の適切なデバイスにも適用できる。
【0028】
GaN技術を使ったダイオードに関して本発明を詳述したが、本発明は赤色LED等の異なる種類のダイオード、及び面発光型半導体レーザ等のレーザダイオードにも容易に適用できる。
本発明の精神及び範囲を逸脱することなしに本発明に種々の変更態様や変形態様が可能であることは、この当業者には自明である。故に、これら変更形態や変形形態が特許請求の範囲に記載の範囲内であるならば、本発明はそれら変更形態や変形形態、並びにその均等物を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスであって、
金を含む第1の金属層と、
前記第1の金属層上の第1の電極と、前記第1の電極は反射層として機能し、
前記第1の電極上に第1の表面を有するGaN半導体構造と、前記半導体構造は、第1の種類の層、前記第1の種類の層上の活性層、及び、前記活性層上の第2の種類の層を備え、
前記第1の種類の層と前記第1の電極の間の緩衝層と、前記緩衝層は、GaN半導体構造を支持し、
前記半導体構造の第2の表面上の第2の電極と、前記第2の表面は、前記第1の表面の反対側にあり、
前記第2の電極上の金を含む第2の金属層パッドと、
を備え、
前記第1の電極および前記第2の表面は、前記第1の電極が前記活性層からの光を前記第2の表面に向けて反射させて前記第2の表面を通過させるように構成され、前記第1の電極および第2の電極は、前記半導体構造の反対の表面上にそれぞれ配置され、それにより、前記装置の輝度を向上させ、前記第1の電極の幅は、前記第2の金属層の幅より大きい、発光デバイス。
【請求項2】
前記第1の電極が、Ti/Al、Cr/AuおよびTi/Auの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第2の電極が、Ni/Au、Pd/Au、Pd/NiおよびPtの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記活性層が、22%〜40%のインジウム組成を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記活性層上に、クラッディング層をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記クラッディング層が、AlGaNを含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の金属層が、前記デバイスの底部に配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1の金属層が、第1のパッドとして機能するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2の金属層が、第2のパッドとして機能するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第2の金属層の厚さが、約0.5μm以上である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記半導体構造上に、透過性導電層をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記緩衝層が、VPE法により成長する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記緩衝層が、n−GaN層を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1の電極が、研磨されたアルミニウム層を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
基板上に第1のn−GaN層を備える緩衝層を形成することと、
前記緩衝層上に第2のn−GaN層を形成することと、
前記n−GaN層上に活性層を形成することと、
前記活性層上にp−GaN層を形成することと、
前記n−GaN層から前記基板を分離することと、
前記第1のn−GaN層上に第1の電極を形成することと、
前記p−GaN層上に第2の電極を形成することと、を備え、
前記第1の電極は、前記活性層からの光を反射する反射層として機能する、発光デバイスを製造する方法。
【請求項16】
前記緩衝層が、前記基板の機能を置換する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のn−GaN層が、VPE法により成長する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のn−GaN層が、MOCVD法により成長する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記緩衝層が、GaN層をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記緩衝層が、非ドープ処理GaN層をさらに備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のn−GaN層の厚さが1〜2μmである、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の電極と前記p−GaN層との間に透過性導電層を形成することをさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記活性層と前記p−GaN層との間にクラッディング層を形成することをさらに備える、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−102243(P2013−102243A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−43151(P2013−43151)
【出願日】平成25年3月5日(2013.3.5)
【分割の表示】特願2009−225811(P2009−225811)の分割
【原出願日】平成14年10月21日(2002.10.21)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】