説明

垂直面上に結合材を有する構造補強材

【課題】本発明者は、キャリアに適用する結合材の改善された構成を有する補強材を提供し、結果的に補強材の性能を向上させること。
【解決手段】構造部材(20)に取り付けるための補強材(22)を開示する。補強材は少なくとも第1面(26)及び第2面(28)を有する剛性キャリア(24)を含む。第1面(26)は、第2面(28)にほぼ垂直である。結合材は両前記第1面(26)及び第2面(28)の上に配置される。補強材(22)は第1面(26)が構造部材(20)の長手軸(L)にほぼ平行になるように、且つ第2面(28)は構造部材(20)の長手軸(L)にほぼ垂直になるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
構造補強材は、様々な製品において構造的補助を供給するため、または騒音及び/または振動を軽減するために様々な産業で使用される。例えば自動車産業では、補強材は、車両のビーム、ピラー、レール、ノードまたはルーフを補強するために使われてもよい。公知の補強材は、剛性キャリア部材及び、キャリアの外面上の所定の箇所に配置された構造発泡体または構造用接着剤(まとめて「結合材」)を一般的に含む。キャリアは金属、プラスチック、ガラス充填または金属ハイブリッドプラスチック、或いはプラスチックハイブリッドファイバーマットまたはプラスチックから作られることがある。結合材は一般的に、補強材が製造される時は膨張していない状態であるが、熱などの活性化因子に応じて膨張して、構造部材の面に結合する。自動車関係では、活性化熱は車両が塗装ブースを通る工程おいて通常与えられる。
【背景技術】
【0002】
いくつかの公知の補強材形態が、図1A〜図1Cで示される。各図1A〜図1Cは、チャンネル12の内側に配置された補強材19断面端面図である。補強材10はキャリア部材14及び所定の箇所に配置された結合材16を含む。各実施形態において、結合材16は、キャリア部材14の長さに沿って延在するキャリア14の長手外側壁に配置される。特に、これらの実施形態では、構造部材12または補強材10の長手軸にほぼ垂直なキャリアのどの面にも結合材が配置されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者は、キャリアに適用する結合材の改善された構成を有する補強材を開発し、結果的に補強材の性能を向上させた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
構造部材に取り付けるための補強材が開示されている。補強材は、少なくとも第1面及び第2面を有する剛性キャリアを含む。第1面は前記第2面に対しほぼ垂直である。結合材は前記第1面及び前記第2面の両方に配置される。補強材は、構造部材に取り付けられる時、結合材が構造部材の長手軸にほぼ平行な構造部材の面と、構造部材の長手軸にほぼ垂直な面とのそれぞれに結合するように構成される。
【0005】
下記の例示的な図面の詳細な説明から前述の説明がより完全に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】公知の補強材の断面図である。
【図1B】公知の補強材の断面図である。
【図1C】公知の補強材の断面図である。
【図2】1つの例示的な実施形態に対する補強材の図である。
【図3】例となる構造部材を示す図である。
【図4】外側パネルを1つ外した図3の構造部材を示す図である。
【図5】構造部材のブラケットに取り付けられた図2の補強材を分離して示す図である。
【図6】図2、図4及び5図で示めす補強材の断面図である。
【図7】構造部材の内側に配置された2つの補強材を有する第2実施形態の斜視図である。
【図8】図7で示す補強材配置の断面図である。
【図9】構造部材の他の実施形態の斜視図である。
【図10】パネルの1つを外して、構造部材の内側に位置した補強材を示す図9の構造部材を示す図である。
【図11】図10の補強材を分離して示す図である。
【図12】図11の補強材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
改善された補強材について説明する。補強材は、剛性キャリア部材及び、キャリア部材の外面上の所定の箇所に配置される構造発泡体または構造用接着剤(まとめて「結合材」)を含む。キャリア部材は、金属、プラスチック、ガラス充填または金属ハイブリッドプラスチック、或いはプラスチックハイブリッドファイバーマットまたはプラスチックから作られることがある。結合材は一般的に、補強材を組み立てる時には、膨張していない状態(構造発泡体の場合)または適応性がある未硬化状態(接着剤の場合)であるが、組立工程中に膨張し、そして硬化するまたは圧縮され、且つ熱などの活性化因子に応じて硬化するように構成される。自動車関係では、活性化熱は車両が塗装ブースを通る工程おいて通常与えられる。補強材は、例えば自動車の支柱(column)、溝(channel)またはピラーなどのような構造部材の開口した空洞部の中に取り付けられるものである。結合材は互いに垂直なキャリアの少なくとも2つの面に塗布される。第1面は、構造部材の長手軸にほぼ平行に取り付けられるように構成される。第2面は、構造部材の長手軸にほぼ垂直に取り付けられるよう構成される。結合材は構造部材の垂直な面に結合するように構成される。本特許の目的において、「ほぼ垂直」とは構造部材の主長手軸に対する角度を、好ましくは約90度で形成すること意味するが、60度または45度程度に小さくても、また120度または135度程度に大きくてもよい。
【0008】
図2は補強材22の実施形態を示す。補強材22は、キャリア24と、少なくとも互いにほぼ垂直な第1面26及び第2面28の両方に配置された結合材と、を含む。補強材22はキャリア24の他の面にも同様に結合材を有してもよい。補強材22はまた、補強材22を構造部材のパネルに機械的に取り付けるために使用できる機械的接合材25を含んでもよい。
【0009】
図3〜図6は、結合材の活性化前の構造部材に取り付けられた補強材22を、まとめて示す。図3は構造部材20の斜視図であり、構造部材は、この具体的な場合において自動車のフロント・アッパー・レール/ロード・パス(Shotogun)である。構造部材20は主長手軸Lを有する。
【0010】
図4は図3に示す構造部材20の斜視図であるが、補強材22を含む構造部材の内部が見えるように構造部材のパネルの1つが取り外されている。キャリアの第2面28上の結合材の層は、取り付けられると構造部材の長手軸Lにほぼ垂直になる。また、第2面28上の結合材は、キャリア20の一部、この場合長手軸Lにほぼ垂直なブラケット29に当接する。結合材が活性化されると、それは、構造部材22の長手軸Lにほぼ平行な面に、かつ長手軸Lにほぼ垂直な面、すなわちブラケット29に結合する。
【0011】
図5は補強材22及びブラケット29の分離した図である。キャリア24の垂直面上の結合材28は、結合材が活性化されると膨張し、ブラケット29に結合する。
【0012】
図6は、図5で示す補強材22の6−6線に沿った断面図である。キャリア24の長手面上の結合材26は、構造部材22の長手面23に当接する。キャリア24の垂直面28上の結合材28はブラケット29に当接する。結合材は、活性化中にキャリア24のそれぞれの面に結合する。キャリア24の垂直面及び構造部材22において形成された結果として生じる結合は、それらがキャリア24の長手面と構造部材22の長手面との間で結合されただけよりも、結果としてより強固な構造部材20の補強になる。
【0013】
図7〜図12は、様々な他の実施形態を示す。図7及び図8は構造部材の中に取り付けられた2つの補強材を含む実施形態の異なる図である。図7は、構造部材20の内部及び取り付けられた補強材22、32が見えるように、構造部材20のパネルが取り外された斜視図であり、図8は、図7に示す組立体の断面図である。構造部材20はブラケット29を含む。第1補強材22及び第2補強材32は、構造部材20の中にブラケット29の両側に取り付けられる。第1補強材22は、共に結合材を有する第1及び第2面26、28を含む。第1面26及び第2面28は互いにほぼ垂直である。第2面28はブラケット29に当接する。同様に第2補強材32も互いにほぼ垂直で、結合材が配置された2つの面36、38を含む。第2補強材32の第2面38は、第1補強材22の第2面28の反対側のブラケット29と当接する。機械的締結具27が、ブラケット29において第1及び第2補強材22、32を連結するために使用されてもよい。取り付ける時、両補強材22、32の第1面26、36上の結合材は、長手軸Lにほぼ平行な構造部材の面に結合する。両補強材22、32の第2面28、38上の結合材は、例えば、長手軸Lにほぼ垂直なブラケット29のような面に結合する。
【0014】
図9〜図12は他の実施形態を示す。図10は構造部材の内部が見えるようにパネルが取り外された構造部材90を示す。構造部材90の内部は補強材92及び補強レール95である。補強材92は、互いにほぼ垂直な第1面98及び第2面100上に結合材を有するキャリア94を含む。第2面100は、長手軸Lにほぼ垂直な構造部材90の面96に近接する。
【0015】
図11は補強材92の分離した図であり、第1及び第2面98、100上に配置された結合材をより詳細に示す。図11に示されるように、キャリア94はハニカム構造を含む様々な構成をなすことができる。
【0016】
図12は図11で示す補強材92の断面図であり、構造部材90に取り付けられる。図12は平面部材99の両側端100、101に配置された結合材を有する平面部材99を含むキャリア部材94を最もよく示す。第1面98上の結合材は、長手軸Lにほぼ平行な構造部材90の面に結合するように構成される。平面部材99の両側の結合材は、長手軸Lにほぼ垂直な構造部材90の2つの平面部材96、97の間に挟まれる。
【0017】
上記の説明は、例示的であり、限定するものではない。上述の説明を読めば、与えられた実施例の他に多くの代替手段または用途が当業者には明らかだろう。本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、添付の請求項及びそのような請求項が権利化されるところの同等物の全範囲を参照して決定されるべきである。将来的な発展がここで論じられた分野で起こるだろうし、開示されたシステム及び方法が、将来的な用例に取り込まれるだろう。さらに、本発明が、変更及び変形が可能であり、添付する請求項によってのみ限定されることが理解できるだろう。
【0018】
本実施形態を詳細に示しかつ説明したが、それは単なるベストモードの例示である。当業者であれば、下記の特許請求の範囲で規定される本発明の概念及び範囲から逸脱することなく、ここで説明された実施形態の様々な代替物を用いて特許請求の範囲を実施できることを理解できるだろう。以下の請求項は本発明の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲内の方法及び装置、並びに同等物が本発明の範囲に含まれるものする。本発明の記載はここに開示した要素の新規な組み合わせ及び明示していない組み合わせの全てを含むと理解されるべきであり、これらの要素のあらゆる新規な組み合わせ及び明示していない組み合わせを本願または後の出願で請求することができる。また、上記の実施形態は例示目的であって、本願または後の出願で請求できるあらゆる可能な組み合わせに必須の構造または要素ではない。
【0019】
本出願で使われるすべての単語はそれらの合理的な最も広い解釈が与えられるものであって、これらの通常の意味は、当業者であれば、それとは反対の明確な指摘がここでなされなくても理解されるだろう。得に、「ある」、「その」または「前記」のような単数冠詞は、それと反対な明確な限定を列挙する請求なしに一つ以上の指摘されている要素を列挙して読まれるべきである。
【符号の説明】
【0020】
20、90 構造部材
22、92 補強材、第1補強材
24、94 剛性キャリア部材、剛性キャリア、キャリア
26、36 第1面、(第1面上の)結合材
27 機械的締結具
28、38 第2面、垂直面、(第2面上の)結合材
29 ブラケット、剛性部材
32 補強材、第2補強材
95 補強レール
96 平面部材
97 平面部材
98 第1面
99 平面部材
100 第2面、側面
101 側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸(L)を有する構造部材に取り付けられた補強材(22)であって、
少なくとも第1面(26)及び第2面(28)を有する剛性キャリア(24)であって、前記第1面(26)が、前記第2面(28)にほぼ垂直である剛性キャリア(24)と、
前記第1面(26)及び前記第2面(28)に配置された結合材と、を備え、
当該補強材(22)は、前記第1面(26)が長手軸(L)にほぼ平行になり、且つ前記第2面(26)が長手軸(L)にほぼ垂直になるように構成されていることを特徴とする補強材。
【請求項2】
前記剛性キャリア(24)は以下の1つ、すなわち、
金属、プラスチック、ガラス充填プラスチックまたは金属ハイブリッドプラスチック、或いはプラスチックハイブリッドファイバーマットまたはプラスチック、
から作られることを特徴とする請求項1に記載の補強材。
【請求項3】
前記結合材が、以下の一つ、すなわち
構造発泡体または熱硬化接着剤、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の補強材。
【請求項4】
構造部材(20)が、自動車における開口した空洞部を形成することを特徴とする請求項1に記載の補強材。
【請求項5】
前記キャリア剛性(24)が、ハニカム構造を備えることを特徴とする請求項1に記載の補強材。
【請求項6】
構造部材(20)の組立方法であって、
構造部材(20)内に補強材(22)を取り付ける工程であって、前記補強材(22)は、剛性キャリア(24)と第1面(26)上及び第2面(28)上に配置された結合材とを有し、前記第2面(28)は前記第1面(26)にほぼ垂直に補強材を取り付ける、工程と、
構造部材(20)の対応する面に前記キャリア(24)の第1及び第2面(26、28)を接合するために前記結合材を活性化する工程と、
を含むことを特徴とする組立方法。
【請求項7】
前記活性化する工程は、所定の閾値を超えて過熱することを含むことを特徴とする請求項6に記載の組立方法。
【請求項8】
前記活性化工程は、自動車両の塗装と同時に加熱することを含むことを特徴とする請求項6に記載の組立方法。
【請求項9】
構造部材の部分組立体であって、
第1補強材(22)であって、剛性キャリア(24)と該第1補強材(22)の前記剛性キャリア(24)の第1面(26)及び第2面(28)上に配置された結合材とを有し、前記第2面(28)が、前記第1面(26)にほぼ垂直である第1補強材(22)と、
第2補強材(32)であって、剛性キャリアと該第2補強材(32)の前記キャリアの第1面(36)及び第2面(38)上に配置された結合材とを有し、前記第2面(38)が、前記第1面(36)にほぼ垂直である第2補強材(32)と、
前記第1及び第2補強材(22、32)のそれぞれの前記第2面(28、38)間で結合されたほぼ平面的な剛性部材(29)と、を備えることを特徴とする部分組立体。
【請求項10】
前記第1補強材(22)、前記第2補強材(32)及びほぼ平面的な前記剛性部材(29)が、機械的締結具(27)によって連結されることを特徴とする請求項9に記載の構造部材部分組立体。
【請求項11】
ほぼ平面的な前記剛性部材(29)が、構造部材(20)に取り付けられるように構成されることを特徴とする請求項9に記載の部分組立体。
【請求項12】
構造部材の部分組立体であって、
構造体部材(90)と、
前記構造部材(90)に配置された補強材(92)であって、該補強材(92)が、剛性キャリア(94)を有し、前記剛性キャリア(94)が、平面部材(99)を有する補強材(92)と、
前記剛性キャリア(94)の第1面(98)上及び前記平面部材(99)の両側面(100、101)上に配置された結合材であって、前記平面部材(99)は、前記第1面(98)にほぼ垂直であり、かつ前記構造体(90)の平面部材(96、97)の対の間に挟まれる結合材と、
を備えることを特徴とする構造部材部分組立体。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−46373(P2011−46373A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172185(P2010−172185)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】