説明

型内被覆成形用金型

【課題】型内で成形した樹脂成形品を塗料によって被覆する型内被覆成形において、樹脂成形品の両面に塗装を施しても塗料漏れしない漏れ防止機構を備えた型内被覆成形用金型を提供する。
【解決手段】型内被覆用成形金型の製品キャビティ15の外周部に金型開閉方向に延びる補助キャビティ17Aを設けて、該補助キャビティ17Aの固定側面及び可動型面に溝部を形成する。そして、樹脂の成形の際に、該溝部で補助キャビティで成形した部分の両面に突起を形成することによって、例え、金型を微開して塗料を注入したとしても、塗料が漏れ出さないシールを形成する。また、前記補助キャビティの先端に、エジェクターピン8等を配して、補助キャビティ17A部分をエジェクターピン8で突き出して製品を取り出す方式とすれば、製品取り出しの際にも、樹脂成形品の塗装面を傷つけることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型内で樹脂成形品を成形した後、樹脂成形品を金型から取り出さないまま塗料によって被覆(塗装と称することもある)する型内被覆成形方法に用いるに好適な型内被覆成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂成形品の表面を塗料で被覆して加飾する方法の一つとして、樹脂成形品の成形と、被覆を同一の金型で行う型内被覆成形方法(インモールドコーティング方法と称されることもある)が知られている。
【0003】
熱可塑性樹脂を基材とする型内被覆成形方法の1例を、以下、簡略に説明する。
型内被覆成形方法においては、金型キャビティ内に樹脂を射出充填することによって、金型内で樹脂成形品を成形した後、該金型をわずかに開いた状態(金型微開)とする。前記工程で金型をわずかに開くと、金型内で成形した樹脂成形品と金型キャビティ面との間に塗料を注入することのできる隙間が生じるので、該隙間に塗料注入機を使用して塗料を注入する。そして、塗料注入後に、金型を再度型締することにより樹脂成形品の表面に塗料を均一に拡張させて硬化させる。塗料が硬化した後に、金型を開いて塗料で被覆した樹脂成形品を金型から取り出す。
【0004】
前述した従来の型内被覆成形方法によれば、熱可塑性樹脂の成形と被覆を同一の金型内で行うことができるので、浮遊している塵が硬化する以前の被覆に付着して不良となる等といったことがほとんどなく、高い品質の被覆成形品を得ることができる。型内被覆成形方法については、近年、数多くの提案がなされており、又型内被覆成形方法に用いるに好適な金型として、様々な構造の金型が提案されている。
【0005】
ところで、前述した型内被覆成形技術については、一般的に、成形品の片側のみ実施されるケースが多いが、樹脂成形品の両面ともに塗装が求められるケースもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−272816公報
【特許文献2】特開平6−079752公報
【0007】
特許文献1には、1台の塗料注入機を使用して、金型内で成形した樹脂成形品の両面に塗料を注入する方法が開示されている。また、特許文献2は、固定型と可動型のそれぞれに1台ずつの塗料注入機を備えた型内被覆成形用金型が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
型内被覆成形に使用する塗料は、一般的に、溶融樹脂の粘度より極めて低い粘度であり、流動性に富むために、金型外へ漏れだしやすいという性質を有している。そのため、従来構造の樹脂用金型では、樹脂の漏れを防止できても、塗料の漏れを防止することは難しい。型内被覆成形技術においては、塗料の漏れを防止する金型も提案されているが、その難しさから、塗料漏れを防止する機構は、樹脂成形品の片側のみ塗装するケースを想定して提案されていることがほとんどであった。そのため、樹脂成形品の両面に塗装を施しても塗料漏れしない漏れ防止機構を備えた金型の提案が望まれていた。
なお、特許文献1及び特許文献2には、樹脂成形品の両面に塗料を注入するための方法について記載はされているが、塗料の漏れを防止する方法について具体的な記載はない。
【0009】
また、型内被覆成形においても、製品取り出し等においては、エジェクターピン等で成形品を突き出す必要がある。しかし、両面塗装した樹脂成形品を、エジェクターピン等で突き出すと、その塗装面を傷つけるという問題が生じる可能性があった。さらに言えば、塗装面にエジェクターピンを設けると、金型とエジェクターピンとの間のわずかな隙間に塗料が入り込んでトラブルを引き起こす可能性もある。
【0010】
なお、塗料漏れを防止するために製品キャビティに隣接する金型分割面近傍に塗料硬化用のヒータを配する場合がある。金型分割面近傍に塗料硬化用のヒータを配した場合であっても、塗料注入機が1台であれば、塗料注入機をヒータと反対側に設置することで、製品キャビティに塗料注入機を隣接させることが可能である。
しかし、樹脂成形品の両面を塗装するために、固定型及び可動型の両方に塗料注入機を設置しなければならないケースでは、塗料注入機がヒータに干渉して、取り付けることができないという問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、樹脂成形品の両面に塗装を施しても、塗料の漏れを効果的に防止するに好適な型内被覆成形用金型を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明による型内被覆成金型は、
(1) 固定型と可動型の間で製品キャビティを形成し、該製品キャビティで成形した樹脂成形品の表面と裏面に被覆を施すための塗料注入機を備えた型内被覆成形用金型であって、該塗料注入機を固定型と可動型のそれぞれに少なくとも1台を配すると共に、
該製品キャビティの外周部に金型開閉方向に延びる補助キャビティを設け、該補助キャビティの固定型側面及び可動型側面に、金型開閉方向に直交する方向に突き出す突起部を形成するための溝部を形成した。
【0013】
(2) (1)に記載の型内被覆成形用金型において、前記補助キャビティの先端に、製品キャビティで成形した製品を離型させるためのエジェクターピン、又はエジェクタープレートを配した。
【0014】
(3) (1)又は(2)に記載の型内被覆成形用金型において、前記製品キャビティに隣接して、塗料を注入するためのタブを成形するタブ成形キャビティを備えて、該タブ成形キャビティを金型開閉方向に屈曲させて、反製品キャビティ側に向かって延びる突部を形成して塗料注入機を配することにより、製品キャビティと塗料注入機とを金型開閉方向に離間させた。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、製品キャビティの外周部に金型開閉方向に延びる補助キャビティを設けて、該補助キャビティの固定側面及び可動型面に溝部を形成する。本発明は補助キャビティの両面に溝部を加工することによって、金型開閉方向に延びる補助キャビティで成形した部分の両面に突起を形成する。そして、両面に形成した突起で、金型からの塗料漏れを防止する。従って、樹脂成形品の両面を塗装する場合においても、その両面をシールして塗料漏れを防止できる。
【0016】
また、本発明においては、補助キャビティの先端に、エジェクターピン、又はエジェクタープレートを配して、補助キャビティで成形した部分をエジェクターピンで突き出して製品を取り出す方式とすれば、製品取り出しの際にも、樹脂成形品の塗装面を傷つけることがない。
【0017】
さらに、製品キャビティに隣接する塗料注入用タブに塗料硬化用のヒータを配したケースで、塗料注入機がヒータに干渉し設置できなくなるという問題が発生するケースがある。しかし、本発明であれば、タブを屈曲させて突起を形成し、該突起に塗料注入機を配することにより、製品キャビティと塗料注入機とを金型開閉方向に離間させることによって、塗料硬化用のヒータと塗料注入機の位置的な干渉を回避することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係わる金型の横断面の構造について説明するための図である。
【図2】本実施形態に係わり製品キャビティの外周部に設けた補助キャビティを説明する図である。
【図3】本実施形態に係わり補助キャビティ内の樹脂挙動を説明する概念図である。
【図4】本実施形態に係わる金型の縦断面の構造について説明するための図である。
【図5】本実施形態に係わりタブ成形キャビティの外周部に設けた補助キャビティを説明する図である。
【図6】本実施形態で成形した樹脂成形品の縦断面形状を説明するための図である。
【図7】本実施形態で成形した樹脂成形品の横断面形状を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について、その好ましい1例を説明する。
図1から図7は、本発明に係わる型内被覆成形用金型100(金型100と称することもある)について説明するための図であり、図1は金型の横断面構造について説明するための図であり(a)が型開状態を示し、(b)が型閉状態を示したものである。図2は金型100について製品キャビティの外周部に形成した補助キャビティの構造を説明するための図である。図3は金型100を使用した際における樹脂の挙動を概念的に説明するための図であり(1)から(5)まで順次進行する工程の図を示す。
【0020】
図4は金型の縦断面構造について説明するための図であり(a)が型開状態を示し、(b)が型閉状態を示したものである。図5は金型100について、タブ成形キャビティの外周部に形成した補助キャビティの構造を説明するための図である。図6及び図7は、本発明の実施形態に係わり金型で成形した樹脂成形品の形状を説明するための図である。
【0021】
以下、本発明の実施形態として金型100を説明する。
まず、最初に図1を用いて金型100の横方向に切断した際の構造を説明する。
本実施形態による金型100は、図1(a)及び(b)に示すように、可動型5と固定型3を備えている。そして、可動型5と固定型3を組み合わせて閉じた際に、可動型5と固定型3の間に、樹脂成形品を成形するための製品キャビティ15等を形成する。
【0022】
ここで、金型100において成形する樹脂成形品200の形状について説明すると、樹脂成形品200の製品部201の形状は、図7に示すような平板であり、その左右に塗料を注入するためのタブ202及びタブ203を有する。
なお、図1又図2に示した金型断面は、図7に記載された成形品の断面C−C部分を成形する部分に相当する。
【0023】
そして、金型100においては、製品キャビティ15の外周部に、金型開閉方向に延びる補助キャビティ17Aが形成される。本実施形態においては、図2に示すように、製品キャビティ15の外周部に、金型開閉方向に延びる補助キャビティ17Aが形成されており、箱形状を形成するような立ち面にて、その側面を囲う形となっている。
また、本実施形態における補助キャビティ17Aは、製品キャビティ15の外周部から金型開閉方向に延びた後、L字型に屈曲して金型開閉方向に直行する方向に延びているが、これは後述する製品取り出しの際に、エジェクターピン8で押すための部分である。
従って、金型100においては、製品取り出しの際にも、樹脂成形品の塗装面をエジェクターピン8で押す必要がない。
【0024】
なお、金型100については、補助キャビティ17Aが、いくつかの金型ブロック或はヒータ等の組み合わせで形成されているので、その1つにC面加工することによって、補助キャビティに溝部を形成することが可能である。
溝部の配置及び構造を図2に示す。補助キャビティ17Aについては、固定型3を部分的に形成するヒータH1について、その一部をC面加工して溝部M1を形成する。
また、同様に可動型5を部分的に形成する金型ブロック53について、その一部をC面加工して溝部M2を形成する。
なお、金型100においては、金型ブロック53の製品キャビティ15側の面には、わずかな突起部Eを設けて、後述するタブ202及びタブ203の切断除去の際の効率化を図った。
【0025】
次に、図4に金型100を縦方向に切断した際の断面図を示す。前述したように本実施形態において成形する樹脂成形品200の形状は、製品部201が平板で、塗料を注入するためのタブ202及びタブ203を有する。
なお、図4又図5に示した金型断面は、図6に記載された成形品の断面B−B部分を成形する部分に相当する。
【0026】
そして、金型100においては、前述した製品キャビティ15の外周と同様に、製品キャビティ15に配したタブ202及びタブ203を成形するためのタブ成形キャビティ16の外周部にも、金型開閉方向に延びる補助キャビティ17Bが形成されており、箱形状を形成するような立ち面にて、その側面を囲う形となっている。
なお、金型100については、タブ成形キャビティ16の外周部に配した補助キャビティ17Bについて、製品取り出しのためのエジェクターピン8を受けるL字型の屈曲部は形成していない。
【0027】
ここで、補助キャビティ17Bは、前述した補助キャビティ17Aと同様に、いくつかの金型ブロック等の組み合わせで形成されているので、ブロックの1つにC面加工することにより、補助キャビティ17Bに溝部を形成することができる。
溝部の配置及び構造を図5に示す。補助キャビティ17Aについては、固定型3を部分的に形成するヒータH2について、その一部をC面加工して溝部M2を形成する。
また、同様に可動型5を部分的に形成する金型ブロック53について、その一部をC面加工して、溝部M2を形成する。
【0028】
また、金型100は、図4及び図5に示したように、固定型3の中に、ホットランナーとバルブゲート60Aを配する構造となっており、固定型3に射出ノズル60を当接させて樹脂を射出することにより、前述したホットランナー、バルブゲート60Aを介して金型内に樹脂を供給することができるように構成されている。
【0029】
ここで、金型100は、樹脂成形品の表面及び裏面に被覆を施すことを目的として製作されている。そのため、可動型5及び固定型3に、それぞれ第1塗料注入機50A及び第2塗料注入機50Bが取り付けられている。詳細は後述するが、第1塗料注入機50A及び50Bからタブ202及び203を介して、製品キャビティ15内に塗料を注入することができるように構成されている。
【0030】
塗料注入機50は、図示しない駆動装置によって駆動されており、所望する量の塗料を正確に、製品キャビティ15内に注入することができるように構成されており、後述する型内被覆成形の際には、型内に塗料を注入して、樹脂成形品の被覆が可能である。
【0031】
なお、金型100においては、前述したように補助キャビティ17Bに溝部M2を形成するためのヒータH2を配している。そのため、第1塗料注入機50Aを、補助キャビティ17Bに取り付けるにあたり、ヒータH2が位置的に干渉する可能性がある。
本実施形態においては、図6に示したように、タブを屈曲させて、反製品キャビティ側に向かって延びる突部を形成して、該突部の反製品キャビティ側に塗料注入機を配する構成となっている。金型100は、前述の構成により、製品キャビティ15と第1塗料注入機50Aの取り付け位置を金型開閉方向に離間させることによって、塗料硬化用のヒータと塗料注入機の位置的な干渉を回避することができる。
【0032】
なお、本実施形態においては好ましい形態の1例として、金型100を使用した。しかし、本発明の適応できる範囲の金型構造は、これに限るものではなく、本発明の技術思想の範囲を逸脱しない範囲で変更は可能である。
【0033】
以下、第1金型100を用いた型内被覆成形方法について説明する。
まず、図示しない射出成形機の型締装置に、図1(a)のように示すように取り付けられた可動型5と固定型3を、図2(b)に示したように組み合わせて型閉及び型締めして、製品キャビティ15、タブ成形用キャビティ16、補助キャビティ17A及び補助キャビティ17Bを形成する。製品キャビティ15と補助キャビティ17Aの境界部分について金型内の状況を図3(1)に示す。
【0034】
次に、射出ノズル60からバルブゲート60Aを介して、基材である熱可塑性樹脂(本実施形態においては基材としてABS樹脂を使用した)を射出する。樹脂は、製品キャビティ15等について、金型が閉じた状態において、隙間なく完全に満たした状態で充填される。なお、溝部M1及び溝部M2付近の状況について、図3(2)に示す。
【0035】
樹脂の射出充填完了後、充填した樹脂の冷却にともなう収縮により、図3(3)のようにわずかな隙間を形成する。型締力を低下させて、その隙間に第1塗料注入機50A及び第2塗料注入機50Bから塗料を注入する。
本実施形態であれば、溝部M1及び溝部M2に充填した樹脂が突起となってシール部を形成するので、図3(4)に示したように、塗料注入時においても、塗料が金型外へ漏れ出さない。以上、説明したように、本実施形態においては、補助キャビティ17Aに形成した溝部M1及びM2で成形した突起によりシール部を形成して、塗料の漏れを防止するシール機構を形成する。
【0036】
なお、本実施形態においては、樹脂の冷却にともなう収縮を利用して塗料注入のための隙間を形成したが、塗料注入するための隙間を形成する方法は、これに限らず、金型100をわずかに微開することによって塗料を注入するための隙間を形成しても良い。
また、塗料の注入は、塗料注入後に金型を再度型締めすることにより、塗料を拡張させて製品面を被覆する方式であっても良い。
【0037】
ここで、塗料注入のタイミングとしては、第1塗料注入機50A及び第2塗料注入機50Bを同時に作動させても良いが、別々に作動させても良いのであって、例えば、第1の塗料注入機が塗料注入完了してから、第2の塗料注入機で塗料注入開始しても良い。
従って、例えば、樹脂の射出充填完了後に、金型100をわずかに開くことにより塗料注入のための隙間を形成してから、該隙間に第1の塗料注入機により塗料を注入開始して、第1の塗料注入機が塗料注入完了後に、型締めすることによってキャビティ内の塗料を拡張させて可動型5側の製品面を被覆する。その後、再度、金型100をわずかに開いて塗料注入のための隙間を形成して第2の塗料注入機により塗料注入開始し、塗料注入が完了してから、再度、型締めすることにより塗料を拡張させて固定型5側の製品面を被覆する等の方法であっても良い。
【0038】
また、タブ成形用キャビティ16の外周に配した補助キャビティ17Bについても、補助キャビティ17Aで前述したと同様に、溝部M3及びM4で成形した突起によりシール部を形成して、塗料の漏れを防止するシール機構を形成する。
【0039】
そして、塗料を注入した後、型締力を大きくすることにより、金型100を型締しながら、隙間の中に注入した塗料を拡張させて、樹脂成形品200の表面を被覆する。
本実施形態においては、樹脂成形品200の両面を塗料で被覆した後、塗料を硬化させる。塗料が硬化した後、金型100を型開きしてからエジェクターピン8を作動させて、被覆した樹脂成形品200を、金型100から取り出す。
取り出した樹脂成形品200は、図3(5)で示したように、突起部Eで形成した溝部E付近等で切断して、成形後不要となったタブ202及びタブ203を切断除去した。
【0040】
なお、本実施形態であれば、補助キャビティ17Aの先端にL字型に曲げられた部分を形成して、該L字型に曲げられた部分を、エジェクターピン8で突き出す構成となっている。従って樹脂成形品200の取り出しの際にも、樹脂成形品200の塗装された製品部201を突き出す必要がないので、樹脂成形品200の塗装面に傷つけることがない。
仮に、製品部201等の塗装面にエジェクターピン8を配すれば、エジェクターピン8と可動型5の間の隙間から塗料が漏れ出す可能性があって好ましくない。
【0041】
また、固定型3と可動型5の金型分割面に塗料硬化用のヒータH2を配した場合、補助キャビィ17Aに隣接する第1塗料注入機50AがヒータH2に干渉して、設置できなくなる可能性がある。本発明であれば、屈曲させたタブ202に第1塗料注入機50Aを配することによって、製品キャビティ15と第1塗料注入機50Aとを金型開閉方向に離間させて、塗料硬化用のヒータH2と第1塗料注入機50Aの位置的な干渉を回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の適応範囲は特に限定されないが、自動車部品、或いは家電品等において使用される樹脂の表面を塗料で被覆した被覆成形品において、特に好ましく適用できる。
【符号の説明】
【0043】
3 固定型
5 可動型
8 エジェクターピン
15 製品キャビティ
16 タブ成形キャビティ
17A 補助キャビティ
17B 補助キャビティ
50A 第1塗料注入機
50B 第2塗料注入機
60 射出ノズル
60A バルブゲート
100 型内被覆成形用金型
200 樹脂成形品
J 樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定型と可動型の間で製品キャビティを形成し、該製品キャビティで成形した樹脂成形品の表面と裏面に被覆を施すための塗料注入機を備えた型内被覆成形用金型であって、
該塗料注入機を固定型と可動型のそれぞれに少なくとも1台を配すると共に、
該製品キャビティの外周部に金型開閉方向に延びる補助キャビティを設け、該補助キャビティの固定型側面及び可動型側面に、金型開閉方向に直交する方向に突き出す突起部を形成するための溝部を形成したことを特徴とした型内被覆成形用金型。
【請求項2】
前記補助キャビティの先端に、製品キャビティで成形した製品を離型させるためのエジェクターピン、又はエジェクタープレートを配した請求項1記載の型内被覆成形用金型。
【請求項3】
前記製品キャビティに隣接して、塗料を注入するためのタブを成形するタブ成形キャビティを備えて、該タブ成形キャビティを金型開閉方向に屈曲させて、反製品キャビティ側に向かって延びる突部を形成して塗料注入機を配することにより、製品キャビティと塗料注入機とを金型開閉方向に離間させた請求項1又は請求項2記載の型内被覆成形用金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−86366(P2012−86366A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232234(P2010−232234)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)
【Fターム(参考)】