説明

型板組合せの造形構造

新しい造形美を有し、着衣せずとも観賞に堪えうるマネキンを形成可能な型板組合せの造形構造を提供するために、型板組合せの造形構造は、端縁に切欠溝を形成した水平型板と、多段に配した水平型板を一定間隔を保持して上下に保形するために、端縁に切欠溝を形成した連結型板と、多段に配した水平型板を一定間隔を保持して上下に保形するために、端緑に切欠溝を形成すると共に、水平型板の上下方向に突出片を形成した縦型板と、連結型板や縦型板を保形するために、端緑に切欠溝を形成した連結補助型板とよりなることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、型板組合せの造形構造に関する。
【背景技術】
従来、服をディスプレイするためのマネキン等は、当初より頭部、胸部、脚部、腕部等に分解造形して、これらの分解造形した部品を着衣しやすい順序で組付けしながらマネキンの型に組み立てる。
ところが、これらの従来のマネキン等の造形構造は、現代のディスプレイに使用するには陳腐となり、最近では、斬新な造形構造として、例えば線材を組み合わせて、着衣した状態では人体の輪郭を認識できるようにした構造や、板材を組み合わせて、着衣した状態では人体の輪郭を表した構造等が使用されている。(例えば、日本実公平1−19906号公報、及び日本実開平2−92761号公報参照。)。
しかし、上記した構造は、着衣しない状態でも芸術的構造を表すことができるものではなく、また、搬送には嵩が大きいため煩雑であり、保管するに際しても分解した各ブロックが大きいため保管場所を取る等の欠点を有したものであった。
この発明では、新しい造形美を有し、組立てがし易く、かつ、組立て作業にゲーム感覚の楽しみを醸しだし、さらには、ディスプレイのための着衣用のマネキンとして使用する以外にも単なる装飾用としておいておくだけでも視覚的楽しみを生起する造形構造を提供する。
【発明の開示】
本発明は、端縁に切欠溝を形成した水平型板と、多段に配した水平型板を一定間隔を保持して上下に保形するために、端縁に切欠溝を形成した連結型板と、多段に配した水平型板を一定間隔を保持して上下に保形するために、端縁に切欠溝を形成すると共に、水平型板の上下方向に突出片を形成した縦型板と、連結型板や縦型板を保形するために、端縁に切欠溝を形成した連結補助型板とよりなることを特徴とする型板組合せの造形構造を提供せんとするものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る型板組合せの造形構造を用いて形成したマネキンの斜視図である。
図2は、マネキンの形成に用いる型板を割り振った型板シートを示す平面図である。
図3は、マネキンの形成に用いる型板を割り振った型板シートを示す平面図である。
図4は、マネキンの形成に用いる型板を割り振った型板シートを示す平面図である。
図5は、マネキンの形成に用いる型板を割り振った型板シートを示す平面図である。
図6は、マネキンの形成に用いる型板を割り振った型板シートを示す平面図である。
図7は、マネキンの形成に用いる型板を割り振った型板シートを示す平面図である。
図8は、マネキンの形成に用いる型板を割り振った型板シートを示す平面図である。
図9は、マネキンの形成に用いる型板を割り振った型板シートを示す平面図である。
図10は、マネキンの形成に用いる型板を割り振った型板シートを示す平面図である。
図11は、マネキンの形成に用いる型板を割り振った型板シートを示す平面図である。
図12は、マネキンの形成に用いる型板を割り振った型板シートを示す平面図である。
図13は、型板シートから型板を切り出した状態を示す斜視図である。
図14は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図15は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図16は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図17は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図18は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図19は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図20は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図21は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図22は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図23は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図24は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図25は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図26は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図27は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図28は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図29は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図30は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図31は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図32は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図33は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図34は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図35は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図36は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図37は、マネキンの組立て手順を示す斜視図である。
図38は、本発明に係る型板組合せの造形構造を用いて形成した模型の正面方向からの斜視図である。
図39は、同背面方向からの斜視図である。
図40は、同正面方向からの分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明は、機能の異なる複数種類の型板を組み合わせて構築した型板組合せの造形構造であり、前記型板として、端縁に切欠溝を形成した水平型板と、多段に配した水平型板を一定間隔を保持して上下に保形するために、端縁に切欠溝を形成した連結型板と、多段に配した水平型板を一定間隔を保持して上下に保形するために、端縁に切欠溝を形成すると共に、水平型板の上下方向に突出片を形成した縦型板と、連結型板や縦型板を保形するために、端縁に切欠溝を形成した連結補助型板とを用いている。
上記した各型板において端縁に形成している切欠溝は、型板同士を組み合わせるためのものであり、一方の型板に形成した切欠溝に他方の型板に形成した切欠溝を噛み合わせることによって、両型板を組み合わせる。
従って、上記した4種類の型板を用いて構築した型板組合せの造形構造においては、連結型板や縦型板は起立状態となっており、かかる連結型板や縦型板の側端縁に櫛状に形成した複数の切欠溝のそれぞれに、水平型板の周端縁に形成した切欠溝を噛み合わせている。このようにして、連結型板や縦型板と、水平型板とを組み合わせるので、水平型板を上下方向に多段に配することができると共に、各水平型板を一定間隔を保持して上下に保形することができるのである。
しかも、水平型板を保形するだけの連結型板とは異なり、縦型板には、保形した水平型板の上下方向に突出する突出片を形成しているので、縦型板により水平型板を保形した場合には、水平型板よりも上方又は/及び下方に縦型板が突出することとなり、縦型板の突出片の形状によって本造形構造の輪郭を形成することが可能となる。
なお、上下に位置する水平型板の間隔は、全て一定にしても部位によって変化させてもよく、この水平型板の間隔をどのように設定するかによって、構築される造形構造の印象を変えることができる。例えば、凹部において、水平型板の間隔を他に比較して狭窄状にすれば、凹部の深さをより強調することができ、逆に、凸部において、凹部より型板の間隔を広くすれば、凸部の突出状態をより強調することができる。
このように、水平型板の間隔が狭い箇所と広い箇所とを設けることにより、遠近感を出したり、特定の箇所を強調したりすることもできる。
また、上述したように連結型板や縦型板は起立状態にあるので、当該連結型板や縦型板を保形する連結補助型板には、上端縁或いは下端縁に切欠溝を形成しており、上端縁に形成した切欠溝に対しては、連結型板や縦型板の下端縁に形成した切欠溝を噛み合わせ、下端縁に形成した切欠溝に対しては、連結型板や縦型板の上端縁に形成した切欠溝を噛み合わせている。このようにして、連結型板や縦型板と、連結補助型板とを組み合わせるので、起立状態にある連結型板や縦型板を保形することができるのである。
上記型板組合せの造形構造によれば、平面的な型板を組み合わせて立体的な造形構造を構築することができるうえに、構築された造形構造が、水平方向の面と垂直方向の面とが組み合わされた見た目に美しく且つ丈夫な構造となるので、様々な用途への利用が考えられる。
例えば、上記型板組合せの造形構造を用いてマネキンを形成すれば、組立て作業時にはゲーム感覚で楽しく型板を組み立てることができると共に、完成したマネキンは、着衣しない状態でも芸術的な構造を有するので、単なる着衣用のマネキンとして使用する以外にも、装飾品として使用することができる。また、搬送時や保管時には、各型板に分解してコンパクトにまとめることができるので、場所をとらない。
なお、本型板組合せの造形構造は、上記マネキン以外にも、模型やオブジェや家具や容器等、様々な用途に利用することができる。
また、型板の素材としては、アクリル等の樹脂や段ボール紙や木材や金属や発泡材等、様々なものを用いることができ、例えば、段ボール紙のように断面形状に変化のある素材を用いれば、見た目に一層装飾的な造形構造とすることができる。
特に、段ボール紙は、一定間隔で重複した2枚の側紙の間に波形の補強紙を介在させて、接着剤により側紙と波形の補強紙とを接着することにより構成されたものである。従って、かかる段ボール紙を型板の素材として用いれば、型板の強度を保持することができると共に、型板同士を組み合わせる際には、型板の端縁に形成した切欠溝が段ボール紙の厚みに相当する一定の幅員を有することとなり、切欠溝同士を噛み合わせ易く、型板間において確実な係合状態を作ることができる。
さらには、段ボール紙は、前述した波形の補強紙により弾力性を有するため、切欠溝の幅員中に型板を嵌入する際に、切欠溝の幅員の誤差や湿度による段ボール紙の収縮があったとしても、確実に切欠溝中に型板を嵌入することができる。
以下、本発明に係る型板組合せの造形構造を、同造形構造により形成した一実施例としてのマネキンSを用いて図面に基づき説明する。
図1には上記マネキンSの完成状態を示しており、図示するように、本マネキンSは、頭部Aと胸部Bと腹部Cと臀部Dと下肢部Eとの5つの部位からなり、各部位は、水平型板と連結型板と縦型板と連結補助型板との4つの型板を適宜組み合わせて形成している。以下、マネキンSの前面方向を前、マネキンSの右体側方向を右、マネキンSの左体側方向を左、マネキンSの背面方向を後として説明する。
水平型板は、水平状態で使用する型板であり、同水平型板を一定間隔を空けて上下方向に多段に配することによってマネキンSの外形を形成する。
すなわち、1枚1枚の水平型板は、本造形構造によって体現しようとする人体形状を水平方向に輪切りしたときの断面形状を成しており、このように、体現しようとする人体形状から一定間隔毎に断面形状を抜き出し、同断面形状を水平型板の形状と成して抜き出した順番通りに多段に並べることにより、水平型板の周端縁の形状でマネキンSの外形を形作ることができるのである。
そして、上述の如く上下に多段に配した水平型板の位置関係を保つために、水平型板の周端縁に切欠溝を形成し、同切欠溝を利用して次に述べる連結型板又は縦型板を組み合わせるようにしている。
連結型板は、垂直に起立させると共に、その一側端縁に複数の切欠溝を上下方向に櫛状に形成しており、各切欠溝に前記水平型板の切欠溝を噛み合わせることによって、多段に配した水平型板を一定間隔を保持して上下に保形するようにしている。すなわち、連結型板に形成した切欠溝と切欠溝との間隔が、上下に位置する2枚の水平型板の間隔となる。
また、連結型板の他側端縁の形状は、本造形構造によって体現しようとする人体形状を垂直方向に切断したときの輪郭線(以下、単にマネキンSの輪郭線と記す。)を成しており、同連結型板を水平型板に組み合わせたときに、連結型板の外側端縁が水平型板の周端縁と共にマネキンSの外形を形作るようにしている。
このように、本実施例では、連結型板の一方の側端縁のみがマネキンSの輪郭線を成すようにして、同側端縁を外側端縁とし、他方の切欠溝を設けた側の側端縁は、マネキンSの外表面には露出することのない内側端縁としているが、連結型板は、一方の側端縁のみならず両側端縁に切欠溝を設ける場合もあるし、両側端縁の形状が本造形構造によって体現しようとする物体(ここでは、人体)の輪郭線を成すように形成する場合もある。
縦型板は、上記連結型板と同様、垂直に起立させると共にその一側端縁に複数の切欠溝を上下方向に櫛状に形成しており、各切欠溝に前記水平型板の切欠溝を噛み合わせることによって、多段に配した水平型板を一定間隔を保持して上下に保形するようにしている。そして、他側端縁の形状も、上記連結型板と同様、マネキンSの輪郭線を成すように形成して、水平型板に組み合わせたときには、連結型板の他側端縁が水平型板の周端縁と共にマネキンSの外形を形作るようにしている。
なお、縦型板においても、上記連結型板と同様、一方の側端縁のみならず両側端縁に切欠溝を設ける場合もあるし、両側端縁の形状が本造形構造によって体現しようとする物体(ここでは、人体)の輪郭線を成すように形成する場合もあり、本実施例においては、後述するように、一側端縁にのみ切欠溝を設けた縦型板と、両側端縁に切欠溝を設けた縦型板との両方、一側端縁のみがマネキンSの輪郭線を成す縦型板と、両側端縁ともマネキンSの輪郭線を成す縦型板との両方を使用している。
上記連結型板と縦型板との違いは、連結型板は、直上方及び直下方に同連結型板により保形した以外の水平型板が存在する箇所で使用するのに対して、縦型板は、直上方又は/及び直下方に同縦型板により保形した以外の水平型板が存在しない箇所で使用するという点である。
従って、連結型板においては、側端縁の形状のみがマネキンSの輪郭線を成せば良いのに対し、縦型板においては、側端縁のみならず、同側端縁に連続する上端縁又は/及び下端縁の形状もマネキンSの輪郭線を成す必要がある。かかる構成とすることによって、マネキンSの上端又は/及び下端が水平型板のみになるのを防止し、マネキンSの外形を滑らかな形状とすることができる。
そのため、縦型板には、水平型板の上下方向に突出する突出片を形成しており、同突出片の端縁の形状も、マネキンSの輪郭線を成すようにしている。従って、本実施例では使用していないが、縦型板の上下両端部に突出片を形成した場合においては、縦型板の周端縁全てが本造形構造によって体現しようとする物体(ここでは、人体)の輪郭線を成す場合もあり得る。
なお、上記連結型板や縦型板を水平型板に組み合わせる際には、上述したように型板の端縁に形成した切欠溝同士を噛み合わせて、型板同士を直角に交差させた形状とする。
また、1枚の水平型板に組み合わせる連結型板や縦型板の数が増えるほど水平型板の保形強度が高まるので、本実施例においては、1枚の水平型板に対して2〜10枚の連結型板又は縦型板を組み合わせている。
本実施例では、上述した縦型板を保形するために、縦型板の上端縁又は/及び下端縁に切欠溝を形成し、同切欠溝を利用して次に述べる連結補助型板を組み合わせるようにしている。
連結補助型板は、本実施例では胸部Bを形成するために1枚のみ使用しており、同連結補助型板は、垂直に起立させると共に、その下端縁及び上端縁に複数の切欠溝を櫛状に形成し、各切欠溝に前記縦型板の切欠溝を噛み合わせることによって、縦型板を起立状態に保形している。
また、連結補助型板の上端縁及び同上端縁に連続する両側端縁の形状は、マネキンSの輪郭線を成すようにしており、同連結補助型板を縦型板に組み合わせたときには、連結補助型板の上端縁及び同上端縁に連続する両側端縁が上述した水平型板や連結型板や縦型板の端縁と共にマネキンSの外形を形作るようにしている。
なお、本実施例では上述したように連結補助型板を1枚しか使用しておらず、同連結補助型板によって保形する型板も縦型板のみであるが、これに限らず、複数枚の連結補助型板を使用したり、連結補助型板によって連結型板を保形したりすることもできる。
また、連結補助型板を縦型板や連結型板に組み合わせる際には、型板の端縁に形成した切欠溝同士を噛み合わせて、型板同士を直角に交差させた形状とするのである。
本実施例では、上述したような4種類の型板からなるマネキンSの形成に必要な全ての型板を以下に記す(i)〜(v)の手順に沿って形成している。
(i)型板用基礎矩形の作成
まず、型板によって構築する造形構造の対象である人体を、正面及び側面からデジタルカメラ等により撮影し、人体(対象物)の各部位における左右幅(正面視による人体の幅)、及び前後幅(側面視による人体の幅)を測定する。そして、例えば、バスト、ウェスト、ヒップのような人体の特徴的な部位において、前記人体の左右幅を一辺とし、人体の前後幅を他辺とする矩形(以下、型板用基礎矩形と呼ぶ)を作成する。
(ii)横断面図の作成
次に、上記(i)において作成した型板用基礎矩形を基にして、マネキンSの横断面図を作成する。すなわち、予め統計的に算出している人体の各部位の横断面図を前記型板用基礎矩形に当てはめて、型板用基礎矩形の4辺に内接する横断面図として再構築するのである。
(iii)型板データの作成
次に、上記(ii)において作成した横断面図から、マネキンSの構築に必要な各型板のデータと同型板に設ける切欠溝のデータとを含む型板データを作成する。
なお、上記(ii)において細かい間隔で横断面図を作成した場合には、対象物である人体により即したマネキンSを構築することができ、上記(ii)において代表的な部位の横断面図のみを作成し、同横断面図間に介在する横断面図に関しては、(ii)において作成した横断面図を段階的に変化させることにより作成した場合には、(i)(ii)において横断面図の作成に要する手間を省くことができる。
また、切欠溝の幅員は、型板を切り出す型板シートPの厚みに応じて調整し、単に切欠溝の幅員のみを変更することにより調整したり、或いは、型板全体の輪郭を外側に所定幅ずつ拡張することにより切欠溝の幅員を狭め、逆に、型板全体の輪郭を内側に所定幅ずつ縮小することにより切欠溝の幅員を広げて調整したりすることができる。
特に、幅員の調整幅が微小である場合には、後者のように型板全体の大きさを変更しても型板全体の形状が大きく変形しないので、後者の方法により切欠溝の幅員を調整しやすい。しかも、後者の方法により切欠溝の幅員を調整した場合には、型板に設けた全ての切欠溝の幅員を一度に変更することができ、型板同士を組み合わせる際の切欠溝の摩擦力を、型板に設けた全ての切欠溝において一度に高めたり弱めたりすることができる。
(iv)型板素材の選択
次に、型板に用いる素材を選択する。この型板に用いる素材によっても、切欠溝の摩擦力が変わってくるので、上記(iii)において切欠溝の幅員を調整する際には、型板に用いる素材のことも考慮して調整を行うことが望ましい。
(v)型板の切り出し
次に、上記型板データに基づき、データ制御によりレーザーカッターを作動させて、型板シートPから型板を切り出す。本実施例では、図2〜図12に示すように、マネキンSの形成に必要な全ての型板を、強化段ボール紙からなる複数枚の型板シートPに適宜割り振って、図13に示すように、各型板シートPから型板を切り出すようにしている。
なお、型板シートPから型板を切り出す際に、型板シートPから完全に型板を切り出すのではなく、型板の輪郭線に沿って予め大部分の箇所に切り込みを入れておき、実際に各型板を組み立てるときになって、わずかに残っている接合箇所のみを切り取るだけで型板シートPから型板を切り抜くことができるようにしてもよく、この場合は、実際に型板を切り抜くまでは型板シートPから型板がばらばらに離れることがないので、型板を紛失しないようにすることができると共に、実際に型板を切り抜く際には速やかに型紙を切り抜くことができる。
(vi)型板の組立て
そして、6番目の手順として、上述のようにして(i)〜(v)の手順に沿って形成した型板を、図14〜図37に示すように、まず各部位に組み立て、次に各部位同士を連結することにより、マネキンS全体を構築することができるのである。
以下、本マネキンSに用いる型板、及び同型板の組立て手順について、より具体的に説明する。
なお、以下の説明において、各型板には、型板の通し番号(1〜88)と、型板の種類(水平型板はa、連結型板はb、縦型板はc、連結補助型板はd)と、型板によって形成する部位(頭部A、胸部B、腹部C、臀部D、下肢部E)とを組み合わせた符号を付しており、例えば、通し番号が12で、種類が水平型板で、形成する部位が頭部Aの場合には、12aAという符号を付している。また、1つの型板が2つの部位に跨っていて両者を連結する場合には、66bBCのようにその型板が形成する部位として2つの部位を記載するようにしている。
図2〜12に示すように、本マネキンSに用いる型板は、水平型板47枚、連結型板20枚、縦型板20枚、連結補助型板1枚の合計88枚からなり、前述した(i)〜(v)の手順に沿って11枚の型板シートPから各型板を適宜切り出している。
そして、前記(vi)のようにして、型板シートPから切り出した型板を組み立てて、マネキンSの頭部A、胸部B、腹部C、臀部D、下肢部Eを別々に形成し、その後、前記5つの部位を連結するのであるが、本実施例では、この(vi)における型板の組立て手順として、
(1)頭部Aを形成し、
(2)胸部Bを形成し、
(3)腹部Cを形成しながら同腹部Cに手順(2)で形成した胸部Bを連結し、
(4)臀部Dを形成し、
(5)手順(3)で形成した胸部Bと腹部Cとの連結体に手順(4)で形成した臀部Dを連結し、
(6)手順(5)で形成した胸部Bと腹部Cと臀部Dとの連結体に手順(1)で形成した頭部Aを連結し、
(7)下肢部Eを形成し、
(8)手順(6)で形成した頭部Aと胸部Bと腹部Cと臀部Dとの連結体に手順(7)で形成した下肢部Eを連結して、より簡単にマネキンSを構築できるようにしている。
そこで、上述した(1)〜(8)の手順に沿って、各部位を構成する型板や、同型板の組立て手順について説明する。
(1)頭部Aの形成
頭部Aは、水平型板18枚(1aA〜18aA)、縦型板4枚(19cA〜22cA)の合計22枚からなり、図14に示すように、まず、略三角形の同一形状に形成した2枚の縦型板19cA,20cAを左右に並列状態に起立させて、両縦型板19cA,20cAに、略円形状に形成した11枚の水平型板1aA〜11aAと、略矩形状に形成した3枚の水平型板12aA〜14aAとを組み合わせる。
すなわち、両縦型板19cA,20cAの前端縁にはそれぞれ14個ずつ切欠溝を形成しており、同切欠溝に、前記14枚の水平型板1aA〜14aAの後端縁にそれぞれ形成した左右2個の切欠溝を順次噛み合わせて、両縦型板19cA,20cAと水平型板1aA〜14aAとを組み合わせるのである。
同様にして、両縦型板19cA,20cAの後端縁にそれぞれ4個ずつ形成した切欠溝に、略矩形状に形成した4枚の水平型板15aA〜18aAの前端縁にそれぞれ形成した左右2個の切欠溝を順次噛み合わせて、両縦型板19cA,20cAと水平型板15aA〜18aAとを組み合わせる。
さらに、図15に示すように、前記略円形状に形成した11枚の水平型板1aA〜11aAのうち、上側5枚の水平型板1aA〜5aAの右端縁にそれぞれ1個ずつ形成した切欠溝に、略直角三角形状に形成した縦型板21cAの左端縁に形成した5個の切欠溝を噛み合わせて、水平型板1aA〜5aAに縦型板21cAを組み合わせる一方、前記水平型板1aA〜5aAの左端縁にそれぞれ1個ずつ形成した切欠溝に、前記縦型板21cAと左右対称な略直角三角形状に形成した縦型板22cAの右端縁に形成した5個の切欠溝を噛み合わせて、水平型板1aA〜5aAに縦型板22cAを組み合わせる。このようにして、頭部Aを形成することができる。
なお、上述した2枚の縦型板19cA,20cAには、下端縁にもそれぞれ1個ずつ切欠溝を形成しており、同切欠溝には、後述するように胸部Bを構成する連結補助型板23dBをはめ込むようにしている。
(2)胸部Bの形成
胸部Bは、水平型板5枚(36aB〜40aB)、縦型板12枚(24cB〜35cB)、連結補助型板1枚(23dB)の合計18枚からなり、図16に示すように、まず、略三角形状に形成した縦型板24cBを起立させて、同縦型板24cBに、略楕円形状に形成した2枚の水平型板38aB,39aBを組み合わせる。
すなわち、縦型板24cBの後端縁には2個の切欠溝を形成しており、同切欠溝のうち上側の切欠溝に、一方の水平型板38aBの前端縁に形成した切欠溝を噛み合わせると共に、下側の切欠溝に、他方の水平型板38aBの前端縁に形成した切欠溝を噛み合わせて、縦型板24cBに、略楕円形状に形成した2枚の水平型板38aB,39aBを組み合わせるのである。
なお、上述のようにして縦型板24cBに組み合わせることにより上下に配されるようになった2枚の水平型板38aB,39aBのうち、上方に位置する水平型板38aBの前端縁には、前記縦型板24cBを噛み合わせた切欠溝を含めて合計6個の切欠溝を、下方に位置する水平型板39aBの前端縁には、前記縦型板24cBを噛み合わせた切欠溝を含めて合計4個の切欠溝を形成しており、前記縦型板24cBは、上方に位置する水平型板38aBの左から3番目の切欠溝と、下側に位置する水平型板39aBの左から2番目の切欠溝とにそれぞれ噛み合わせている。
このとき、下方に位置する水平型板39aBの4個の切欠溝の直上方には、上方に位置する水平型板38aBの6個の切欠溝のうち、中央側4個の切欠溝がそれぞれ位置しており、この上下関係にある4組の切欠溝のうち、中央側の1組に前記縦型板24cBが噛み合わされている。従って、残りの3組の切欠溝にも、同様にしてそれぞれ同一の縦型板を噛み合わせる。
すなわち、図17に示すように、4組の切欠溝のうち、中央側の残り1組の切欠溝には、上記縦型板24cBと同一形状とした縦型板25cBの後端縁に2個の切欠溝を形成して、同切欠溝を噛み合わせる。また、外側の2組の切欠溝には、略三角形の同一形状とした2枚の縦型板26cB,27cBの後端縁にそれぞれ4個の切欠溝を形成して、同切欠溝のうち、中央側2個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせる。このようにして、上下2枚の水平型板38aB,39aBに、4枚の縦型板24cB〜27cBが組み合わされたこととなる。
次に、図18に示すように、上下2枚の水平型板38aB,39aBに組み合わせた4枚の縦型板24cB〜27cBのうち、外側2枚の縦型板26cB,27cBに、略円形状に形成した水平型板40aBをさらに組み合わせる。
すなわち、水平型板40aBの前端縁には3個の切欠溝を形成しており、このうち外側2個の切欠溝を、前記縦型板26cBと縦型板27cBとの後端縁にそれぞれ形成した4個の切欠溝のうち最も下側に位置する切欠溝にそれぞれ噛み合わせるのである。これにより、3枚の水平型板38aB〜40aBが上下方向に配されたこととなる。
次に、図19に示すように、上記3枚の水平型板38aB〜40aBのうち最上段に位置する水平型板38aBに、略三角形の同一形状に形成した縦型板28cBと縦型板29cBとを組み合わせる。
すなわち、縦型板28cBと縦型板29cBとの後端縁にはそれぞれ上下2個の切欠溝を形成しており、このうち下側の切欠溝を、前記水平型板38aBの前端縁に形成した6個の切欠溝のうちの最も外側に位置する左右2個の切欠溝にそれぞれ噛み合わせるのである。これにより、水平型板38aBには、左右方向に6枚の縦型板24cB〜29cBが組み合わされたこととなる。
そして、このようにして水平型板38aBに組み合わされた6枚の縦型板24cB〜29cBの上端縁には、それぞれ切欠溝が1個ずつ形成されており、同切欠溝を利用して、図20に示すように、6枚の縦型板24cB〜29cBに略山形状の連結補助型板23dBを組み合わせる。
すなわち、連結補助型板23dBの下端縁には6個の切欠溝を形成しており、同切欠溝を前記6枚の縦型板24cB〜29cBの上端縁に形成した切欠溝にそれぞれ噛み合わせるのである。
さらに、上記連結補助型板23dBには、上端縁にも8個の切欠溝を形成しており、同8個の切欠溝のうち、中央側の2個を除く外側の6個を利用して、図21に示すように、連結補助型板23dBに、略三角形の同一形状に形成した2枚の縦型板30cB,31cBと、同じく略三角形の同一形状に形成した2枚の縦型板32cB,33cBと、略円形の同一形状に形成した2枚の縦型板34cB,35cBとの合計6枚の縦型板30cB〜35cBを組み合わせる。
すなわち、2枚を1組として、各組毎に同一形状に形成した3組の縦型板30cB〜35cBの下端縁には、それぞれ1個ずつ切欠溝を形成しており、前記連結補助型板23dBの上端縁に形成した8個の切欠溝のうち、中央側の2個を除く残り6組の切欠溝に、中央に近い側から順に1組目の縦型板30cB,31cBに設けた切欠溝、2組目の縦型板32cB,33cBに設けた切欠溝、3組目の縦型板34cB,35cBに設けた切欠溝を順次噛み合わせて、連結補助型板23dBに3組の縦型板30cB〜35cBを左右対称に配するのである。これにより、連結補助型板23dBの下端縁に形成した切欠溝に噛み合わせた前記6枚の縦型板24cB〜29cBの外側に、連結補助型板23dBの上端縁に形成した切欠溝に噛み合わせた縦型板30cB〜35cBが、左右にそれぞれ3枚ずつ合計6枚配されることとなり、連結補助型板23dBには、同一形状の2枚を1組とする6組12枚の縦型板24cB〜35cBが左右対称に配されたこととなる。
そして、上述のようにして6組12枚の縦型板24cB〜35cBを連結補助型板23dBに組み合わせたところで、図22に示すように、中央側の1組を除く外側5組10枚の縦型板26cB〜35cBのうち、左側の5枚に、略直角三角形状に形成した水平型板36aBを組み合わせると共に、右側の5枚に、前記水平型板36aBと左右対称な略直角三角形状に形成した水平型板37aBを組み合わせる。
すなわち、上記左側5枚の縦型板26cB,28cB,30cB,32cB,34cBと、右側5枚の縦型板27cB,29cB,31cB,33cB,35cBとからなる10枚の縦型板26cB〜35cBのうち、連結補助型板23dBの下端縁に設けた切欠溝に噛み合わせた内側4枚の縦型板26cB〜29cBには、前述したように後端縁に複数個の切欠溝を形成していて、このうち最も上側の切欠溝には未だ他の型板を噛み合わせておらず、その一方で、連結補助型板23dBの上端縁に設けた切欠溝に噛み合わせた外側6枚の縦型板30cB〜35cBには、後端縁にそれぞれ1個ずつ切欠溝を形成しているので、この内側4枚の縦型板26cB〜29cBの後端縁で未だ他の型板が噛み合わされることなく空いている切欠溝と、外側6枚の縦型板30cB〜35cBの後端縁に形成した切欠溝とに、前記水平型板36aB,37aBの前端縁に形成した5個の切欠溝を噛み合わせるのである。このようにして、胸部Bを形成することができる。
(3)腹部Cの形成、及び腹部Cと胸部Bとの連結
腹部Cは、水平型板6枚(41aC〜46aC)、連結型板4枚(65bBC〜68bBC)の合計10枚からなり、図23に示すように、まず、連結型板65bBCを起立させると共に、同連結型板65bBCの左端縁に形成した8個の切欠溝のうち下側の6個の切欠溝に、略楕円形状に形成した6枚の水平型板41aC〜46aCの右端縁に形成した切欠溝をそれぞれ噛み合わせて、6枚の水平型板41aC〜46aCと連結型板65bBCとを組み合わせる。このとき、6枚の水平型板41aC〜46aCの上下間隔は、下方に行くほど狭窄状にしている。そして次に、図24に示すように、既に組み立てた胸部Bを組み合わせながら、腹部Cを形成する残りの型板を組み合わせる。
すなわち、腹部Cにおいては、連結型板65bBC〜68bBCが、胸部Bと腹部Cとを連結する型板としても使用され、前記6枚の水平型板41aC〜46aCに組み合わせた連結型板65bBCの切欠溝のうち、未だ他の型板が噛み合わされることなく空いている上側2つの切欠溝に、胸部Bを構成する水平型板39aB,40aBの右端縁に設けた切欠溝を噛み合わせて、胸部Bを腹部Cに連結するのである。
同様にして、図25に示すように、前記6枚の水平型板41aC〜46aCの左端縁にそれぞれ形成した切欠溝に、連結型板66bBCの右端縁に形成した8個の切欠溝のうち下側の6個を噛み合わせて、6枚の水平型板41aC〜46aCと連結型板66bBCを組み合わせると共に、胸部Bを構成する水平型板39aB,40aBの左端縁に設けた切欠溝に、連結型板66bBCに形成した8個の切欠溝のうち上側に位置する残り2個の切欠溝を噛み合わせて、胸部Bを腹部Cに連結する。
また、図26に示すように、前記6枚の水平型板41aC〜46aCの前端縁にそれぞれ形成した切欠溝に、連結型板67bBCの後端縁に形成した8個の切欠溝のうち下側の6個を噛み合わせて、6枚の水平型板41aC〜46aCと連結型板67bBCを組み合わせると共に、胸部Bを構成する水平型板39aB,40aBの前端縁に設けた切欠溝に、連結型板67bBCに形成した8個の切欠溝のうち上側に位置する残り2個の切欠溝を噛み合わせて、胸部Bを腹部Cに連結する。
また、図26に示すように、前記6枚の水平型板41aC〜46aCの後端縁にそれぞれ形成した切欠溝に、連結型板68bBCの前端縁に形成した8個の切欠溝のうち下側の6個を噛み合わせて、6枚の水平型板41aC〜46aCと連結型板68bBCを組み合わせると共に、胸部Bを構成する水平型板39aB,40aBの後端縁に設けた切欠溝に、連結型板68bBCに形成した8個の切欠溝のうち上側に位置する残り2個の切欠溝を噛み合わせて、胸部Bを腹部Cに連結する。このようにして、腹部Cを形成すると共に、同腹部Cと胸部Bとを連結することができる。
なお、腹部Cを構成する6枚の水平型板41aC〜46aCのうち、下側の2枚の水平型板45aC,46aCには、上述したようにして既に連結型板65bBC又は連結型板66bBCを噛み合わせた切欠溝とは別に、左右端縁にそれぞれもう1個ずつ切欠溝を形成している。すなわち、水平型板45aC,46aCには、左右端縁にそれぞれ2個ずつ切欠溝を形成しており、後方の切欠溝には、前記連結型板65bBC又は連結型板66bBCを噛み合わせる一方、まだ型板がはめ込まれていない前方の切欠溝には、後述するように、腹部Cと臀部Dとを連結する連結型板がはめ込まれる。
さらに、上記2枚の水平型板45aC,46aCのうち、下側の水平型板46aC、すなわち、腹部Cを構成する6枚の水平型板41aC〜46aCのうち、最も下側の水平型板46aCには、上述したようにして既に連結型板67bBC又は連結型板68bBCを噛み合わせた切欠溝とは別に、前後端縁にそれぞれもう2個切欠溝を形成している。すなわち、水平型板46aCには、前後端縁にそれぞれ3個ずつ切欠溝を形成しており、中央の切欠溝には、前記連結型板67bBC又は連結型板68bBCを噛み合わせる一方、まだ型板がはめ込まれていない切欠溝には、後述するように、腹部Cと臀部Dとを連結する連結型板がはめ込まれる。
(4)臀部Dの形成
臀部Dは、水平型板8枚(48aD〜55aD)、連結型板4枚(69bD〜72bD)の合計12枚からなり、図27に示すように、まず、連結型板69bDを起立させると共に、同連結型板69bDの左端縁に形成した8個の切欠溝に、略楕円形状に形成した8枚の水平型板48aD〜55aDの右端縁に形成した切欠溝をそれぞれ噛み合わせて、8枚の水平型板48aD〜55aDと連結型板69bDとを組み合わせる。このとき、8枚の水平型板48aD〜55aDの上下間隔は、上方に行くほど狭窄状にしている。
同様にして、図28に示すように、水平型板48aD〜55aDの左端縁に形成した切欠溝に連結型板70bDの右端縁に形成した8個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせて、8枚の水平型板48aD〜55aDと連結型板70bDを組み合わせる。
また、図29に示すように、水平型板48aD〜55aDの前端縁に形成した切欠溝に連結型板71bDの後端縁に形成した8個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせて、8枚の水平型板48aD〜55aDと連結型板71bDを組み合わせる。
また、図29に示すように、水平型板48aD〜55aDの後端縁に形成した切欠溝に連結型板72bDの前端縁に形成した8個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせて、8枚の水平型板48aD〜55aDと連結型板72bDを組み合わせる。このようにして、臀部Dを形成することができる。
なお、臀部Dを構成する8枚の水平型板48aD〜55aDのうち、上側の2枚の水平型板48aD,49aDには、上述したようにして既に連結型板69bD又は連結型板70bDを噛み合わせた切欠溝とは別に、左右端縁にそれぞれもう1個ずつ切欠溝を形成している。すなわち、水平型板48aD,49aDには、左右端縁にそれぞれ2個ずつ切欠溝を形成しており、後方の切欠溝に前記連結型板69bD又は連結型板70bDを噛み合わせる一方、まだ型板がはめ込まれていない前方の切欠溝には、後述するように、腹部Cと臀部Dとを連結する連結型板がはめ込まれる。
さらに、上記2枚の水平型板48aD,49aDのうち、上側の水平型板48aD、すなわち、臀部Dを構成する8枚の水平型板48aD〜55aDのうち、最も上側の水平型板48aDには、上述したようにして既に連結型板71bD又は連結型板72bDを噛み合わせた切欠溝とは別に、前後端縁にそれぞれもう2個切欠溝を形成している。すなわち、水平型板48aDには、前後端縁にそれぞれ3個ずつ切欠溝を形成しており、中央の切欠溝に前記連結型板71bD又は連結型板72bDを噛み合わせる一方、まだ型板がはめ込まれていない切欠溝には、後述するように、腹部Cと臀部Dとを連結する連結型板がはめ込まれる。
上述したようにして、臀部Dを構成する8枚の水平型板48aD〜55aDのうち、上側の2枚の水平型板48aD,49aDに形成した切欠溝は、腹部Cと臀部Dとを連結するためのものであるが、同様にして、臀部Dを構成する8枚の水平型板48aD〜55aDのうち、下側の2枚の水平型板54aD,55aDには、臀部Dと下肢部Eとを連結するための切欠溝を設けている。
すなわち、臀部Dを構成する8枚の水平型板48aD〜55aDのうち、下側の2枚の水平型板54aD,55aDには、上述したようにして既に連結型板71bD又は連結型板72bDを噛み合わせた切欠溝とは別に、前後端縁にそれぞれもう2個ずつ切欠溝を形成している。すなわち、水平型板54aD,55aDには、前後端縁にそれぞれ3個ずつ切欠溝を形成しており、中央の切欠溝に前記連結型板71bD又は連結型板72bDを噛み合わせる一方、まだ型板がはめ込まれていない切欠溝には、後述するように、臀部Dと下肢部Eとを連結する連結型板がはめ込まれる。
さらに、上記した2枚の水平型板54aD,55aDのうち、より下側の水平型板55aD、すなわち、臀部Dを構成する8枚の水平型板48aD〜55aDのうち、最も下側の水平型板55aDには、上述したようにして既に連結型板69bD又は連結型板70bDを噛み合わせた切欠溝とは別に、左右端縁にそれぞれ1個ずつ切欠溝を形成している。すなわち、水平型板55aDには、左右端縁にそれぞれ2個ずつ切欠溝を形成しており、後方の切欠溝に前記連結型板69bD又は連結型板70bDを噛み合わせる一方、まだ型板がはめ込まれていない前方の切欠溝には、後述するように、臀部Dと下肢部Eとを連結する連結型板がはめ込まれる。
(5)胸部Bと腹部Cとの連結体と、臀部Dとの連結
次に、上記臀部Dに前記胸部Bと腹部Cとの連結体を連結する。両者の連結には、水平型板1枚(47aCD)、連結型板6枚(77bCD〜82bCD)の合計7枚を使用しており、図30に示すように、まず、腹部Cと臀部Dとの間に略円形状に形成した水平型板47aCDを配し、次に、同水平型板47aCDと、その直上方に位置する腹部Cの水平型板46aCと、その直下方に位置する臀部Dの水平型板48aDとに、4枚の連結型板79bCD〜82bCDを組み合わせる。
すなわち、水平型板47aCDの前端縁及び後端縁にはそれぞれ2個ずつ切欠溝を形成しており、その直上方に位置する水平型板46aC、及び直下方に位置する水平型板48aDの前端縁及び後端縁にも前述したようにそれぞれ3個ずつ切欠溝を形成していて、このうち中央の切欠溝を除く外側の2個の切欠溝には未だ型板がはめ込まれていないので、この3枚の水平型板46aC,47aCD,48aDの前端縁右側の切欠溝に、連結型板79bCDの後端縁に形成した3個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせ、水平型板46aC,47aCD,48aDの前端縁左側の切欠溝に連結型板80bCDの後端縁に形成した3個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせ、水平型板46aC,47aCD,48aDの後端縁右側の切欠溝に連結型板82bCDの前端縁に形成した3個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせ、水平型板46aC,47aCD,48aDの後端縁左側の切欠溝に連結型板81bCDの前端縁に形成した3個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせるのである。
続いて、図31に示すように、水平型板47aCDと、その直上方に位置する腹部Cの2枚の水平型板46aC,45aCと、その直下方に位置する臀部Dの2枚の水平型板48aD,49aDとに、2枚の連結型板77bCD,78bCDを組み合わせる。
すなわち、水平型板47aCDの右端縁及び左端縁にはそれぞれ1個ずつ切欠溝を形成しており、その直上方に位置する2枚の水平型板46aC,45aC、及び直下方に位置する2枚の水平型板48aD,49aDの右端縁及び左端縁にも前述したようにそれぞれ2個ずつ切欠溝を形成していて、このうち前側の切欠溝には未だ型板がはめ込まれていないので、この5つの水平型板45aC,46aC,47aCD,48aD,49aDの右端縁の切欠溝に、連結型板77bCDの左端縁に形成した5個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせ、水平型板45aC,46aC,47aCD,48aD,49aDの左端縁の切欠溝に、連結型板78bCDの右端縁に形成した5個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせるのである。このようにして、胸部Bと腹部Cとの連結体を臀部Dに連結することができる。
またこのとき、下方に行くほど水平型板41aC〜46aCの上下間隔を狭窄状にした腹部Cと、上方に行くほど水平型板48aD〜55aDの上下間隔を狭窄状にした臀部Dとが連続することとなり、腹部Cと臀部Dとの境目に位置するマネキンSのウエストを中心として、そこから上下に離れるほど水平型板の間隔が広がることとなる。このように、ウエスト部分の水平型板の上下間隔を密にしたので、より一層ウエスト部分が細くなっているように見せることができ、ウエストの括れを強調することができる。
(6)胸部Bと腹部Cと臀部Dとの連結体と、頭部Aとの連結
次に、上記胸部Bと腹部Cと臀部Dとの連結体に前記頭部Aを連結する。すなわち、図32に示すように、頭部Aを構成する2枚の縦型板19cA,20cAの下端縁にそれぞれ1個ずつ形成している切欠溝を、胸部Bを構成する連結補助型板23dBの上端縁に形成した8個の切欠溝のうち、未だ型板がはめ込まれていない中央側2個の切欠溝に噛み合わせることにより、胸部Bと腹部Cと臀部Dとの連結体に頭部Aを連結するのである。このようにして、胸部Bと腹部Cと臀部Dとの連結体に頭部Aを連結することができる。
(7)下肢部Eの形成
下肢部Eは、水平型板8枚(57aE〜64aE)、縦型板4枚(73cE〜76cE)の合計12枚からなり、図33に示すように、まず、縦型板73cEを起立させると共に、同縦型板73cEの左端縁に形成した8個の切欠溝に、略楕円形状に形成した8枚の水平型板57aE〜64aEの右端縁に形成した切欠溝をそれぞれ噛み合わせて、8枚の水平型板57aE〜64aEと縦型板73cEとを組み合わせる。このとき、8枚の水平型板57aE〜64aEの上下間隔は、下方に行くほど広げている。
同様にして、図34に示すように、水平型板57aE〜64aEの左端縁に形成した切欠溝に縦型板74cEの右端縁に形成した8個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせて、8枚の水平型板57aE〜64aEと縦型板74cEを組み合わせる。
また、図35に示すように、水平型板57aE〜64aEの前端縁に形成した切欠溝に縦型板75cEの後端縁に形成した8個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせて、8枚の水平型板57aE〜64aEと縦型板75cEを組み合わせる。
また、図35に示すように、水平型板57aE〜64aEの後端縁に形成した切欠溝に縦型板76cEの前端縁に形成した8個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせて、8枚の水平型板57aE〜64aEと縦型板76cEを組み合わせる。このようにして、下肢部Eを形成することができる。
なお、下肢部Eを構成する8枚の水平型板57aE〜64aEのうち、上側の2枚の水平型板57aE,58aEには、上述したようにして既に縦型板75cE又は縦型板76cEを噛み合わせた切欠溝とは別に、前後端縁にそれぞれ2個ずつ切欠溝を形成している。すなわち、水平型板57aE,58aEには、前後端縁にそれぞれ3個ずつ切欠溝を形成しており、中央の切欠溝に前記縦型板75cE又縦型板76cEを噛み合わせる一方、まだ型板がはめ込まれていない切欠溝には、後述するように、臀部Dと下肢部Eとを連結する連結型板がはめ込まれる。
さらに、上記した2枚の水平型板57aE,58aEのうち、より上側の水平型板57aE、すなわち、下肢部Eを構成する8枚の水平型板57aE〜64aEのうち、最も上側の水平型板57aEには、上述したようにして既に縦型板73cE又は縦型板74cEを噛み合わせた切欠溝とは別に、左右端縁にそれぞれ1個ずつ切欠溝を形成している。すなわち、水平型板57aEには、左右端縁にそれぞれ2個ずつ切欠溝を形成しており、後方の切欠溝に前記縦型板73cE又は縦型板74cEを噛み合わせる一方、まだ型板がはめ込まれていない前方の切欠溝には、後述するように、臀部Dと下肢部Eとを連結する連結型板がはめ込まれる。
(8)頭部Aと胸部Bと腹部Cと臀部Dとの連結体と、下肢部Eとの連結
次に、上記下肢部Eに前記頭部Aと胸部Bと腹部Cと臀部Dとの連結体を連結する。両者の連結には、水平型板1枚(56aDE)、連結型板6枚(83bDE〜88bDE)の合計7枚を使用しており、図36に示すように、まず、臀部Dと下肢部Eとの間に略円形状に形成した水平型板56aDEを配し、次に、同水平型板56aDEと、その直上方に位置する腹部Cの2枚の水平型板54aD,55aDと、その直下方に位置する下肢部Eの2枚の水平型板57aE,58aEとに、4枚の連結型板85bDE〜88bDEを組み合わせる。
すなわち、水平型板56aDEの前端縁及び後端縁にはそれぞれ2個ずつ切欠溝を形成しており、その直上方に位置する2枚の水平型板54aD,55aD、及び直下方に位置する2枚の水平型板57aE,58aEの前端縁及び後端縁にも前述したようにそれぞれ3個ずつ切欠溝を形成していて、このうち中央の切欠溝を除く外側の2個の切欠溝には未だ型板がはめ込まれていないので、この5枚の水平型板54aD,55aD,56aDE,57aE,58aEの前端縁右側の切欠溝に、連結型板85bDEの後端縁に形成した5個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせ、水平型板54aD,55aD,56aDE,57aE,58aEの前端縁左側の切欠溝に連結型板86bDEの後端縁に形成した5個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせ、水平型板54aD,55aD,56aDE,57aE,58aEの後端縁右側の切欠溝に連結型板88bDEの前端縁に形成した5個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせ、水平型板54aD,55aD,56aDE,57aE,58aEの後端縁左側の切欠溝に連結型板87bDEの前端縁に形成した5個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせるのである。
続いて、図37に示すように、水平型板56aDEと、その直上方に位置する臀部Dの水平型板55aDと、その直下方に位置する下肢部Eの水平型板57aEとに、2枚の連結型板83bDE,84bDEを組み合わせる。
すなわち、水平型板56aDEの右端縁及び左端縁にはそれぞれ1個ずつ切欠溝を形成しており、その直上方に位置する水平型板55aD、及び直下方に位置する水平型板57aEの右端縁及び左端縁にも前述したようにそれぞれ2個ずつ切欠溝を形成していて、このうち前側の切欠溝には未だ型板がはめ込まれていないので、この3つの水平型板55aD,56aDE,57aEの右端縁の切欠溝に、連結型板83bDEの左端縁に形成した3個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせ、水平型板55aD,56aDE,57aEの左端縁の切欠溝に、連結型板84bDEの右端縁に形成した3個の切欠溝をそれぞれ噛み合わせるのである。このようにして、頭部Aと胸部Bと腹部Cと臀部Dとの連結体を下肢部Eに連結し、マネキンS全体を構築することができる。
またこのとき、下方に行くほど水平型板48aD〜55aDの上下間隔を広げた(上方に行くほど水平型板48aD〜55aDの上下間隔を狭窄状にした)臀部Dと、下方に行くほど水平型板57aE〜64aEの上下間隔を広げた下肢部Eとが連続することとなり、臀部Dから下肢部Eにかけて、下方に行くほど水平型板の間隔が広がることとなる。従って、マネキンSの下半身をより細長く見せることができ、マネキンSのスタイルを美しく見せることができる。
上述したようにして組み立てたマネキンSは、下端に支柱支持台を取り付けた自立可能な支柱に取り付けたり、天井に吊り下げたり、壁面に取り付けたりして起立させる。
なお、支柱に取り付ける場合には、臀部Dや下肢部Eの水平型板の中心に、予め支柱を通すための支柱孔を設けておけば、同支柱孔に下方から順次支柱を挿入して、簡単に支柱に取り付けることができる。
また、図1からも分かるとおり、本実施例では、マネキンSの外形を女性の人体形状としているが、型板の形状を変えることによって、男性の人体形状としたり、子供の人体形状としたりすることもできる。
また、本実施例では、頭部Aと胸部Bと腹部Cと臀部Dと下肢部Eとを有するマネキンSとしているが、下肢部Eをさらに下方に延長させて自立可能なマネキンSとしたり、頭部Aから腹部C、或いは臀部DまでのマネキンSとして、パンツも着衣可能なマネキンSとしたり、胸部Bに上肢部を連結して、服の袖を通すことが可能なマネキンSとしたりすることもできる。
さらに、型板シートPに型板の輪郭線を表記するに際に、1つの型板に対して男性用、女性用、子供用等、複数タイプの輪郭線を表記しておけば、どの輪郭線を選択するかによってマネキンSのプロポーションを変えて、同一の型板シートPから異なるタイプのマネキンSを組み立てることができる。
同様にして、型板シートPに型板の輪郭線を表記するに際に、1つの型板に対して異なるサイズ用の輪郭線を表記しておけば、どの輪郭線を選択するかによってマネキンSのサイズを変えて、同一の型板シートPから異なるサイズのマネキンSを組み立てることができる。
このように、本実施例では、型板組合せの造形構造を用いてマネキンSを形成するので、形成されたマネキンSは、着衣しない状態でも芸術的な構造を有し、単なる着衣用のマネキンSとして使用する以外にも、装飾品として使用することができる。
しかも、各型板を強化段ボール紙で形成しているので、マネキンSを低コストで製造することができると共に、不要になったマネキンSは、古紙としてリサイクルしたり、焼却処分したりして、安価に処分することができる。
図38〜図40には、本発明に係る型板組合せの造形構造によって形成した他実施例として、動物の模型Tを示している。
図示するように、ここでは犬の模型Tとしており、同模型Tは、胴体部Lと四肢部Mと尾部Nとの3つの部位から構成している。そして、各部位は、本実施例において新たに設けた垂直型板及び横型板と、前記マネキンSにおいても使用した水平型板及び縦型板との4種類の型板を適宜組み合わせて形成している。水平型板と縦型板については、前記マネキンSの実施例において説明したので、ここでは、新たに設けた垂直型板と横型板について説明する。なお、以下の説明においては、模型Tである犬の頭の方向を前、右肢の方向を右、左肢の方向を左、尾の方向を後としている。
垂直型板は、垂直に起立させた状態で使用する型板であり、同水平型板を一定間隔を空けて前後方向に多列に配することによって模型Tの外形を形成する。
すなわち、1枚1枚の垂直型板は、模型Tによって体現しようとする動物の形状を左右方向に垂直に輪切りしたときの断面形状を成しており、このように、体現しようとする動物の形状から一定間隔毎に断面形状を抜き出し、同断面形状を垂直型板の形状と成して抜き出した順番通りに多列に並べることにより、垂直型板の周端縁の形状で模型Tの外形を形作ることができるのである。
そして、上述の如く前後に多列に配した垂直型板の位置関係を保つために、垂直型板の下端縁に切欠溝を形成し、同切欠溝を利用して次に述べる横型板を組み合わせるようにしている。
なお、本実施例では、上記垂直型板を前後方向にのみ多列に配しているが、これに限らず、垂直型板は、左右方向に多列に配することもでき、その場合は、1枚1枚の垂直型板は、模型Tによって体現しようとする動物の形状を前後方向に垂直に輪切りしたときの断面形状を成すことになる。
また、本実施例では、切欠溝を垂直型板の下端縁にのみ形成しているが、これには、垂直型板に横型板を組み合わせる位置が、本実施例では前記垂直型板の下端縁の1カ所のみだからであり、切欠溝は、横型板を組み合わせる位置に応じて垂直型板の周端縁の何れにも形成することができる。
横型板は、垂直に起立させると共に、その上端縁に複数の切欠溝を前後方向に櫛状に形成しており、各切欠溝に前記垂直型板の切欠溝を噛み合わせることによって、多列に配した垂直型板を一定間隔を保持して前後に保形するようにしている。すなわち、横型板に形成した切欠溝と切欠溝との間隔が、前後に位置する2枚の垂直型板の間隔となる。
また、横型板の周端縁の形状は、本造形構造によって体現しようとする動物の形状を前後方向に垂直に切断したときの輪郭線(以下、単に模型Tの輪郭線と記す。)を成しており、同横型板を垂直型板に組み合わせたときに、横型板の周端縁が水平型板の周端縁と共に模型Tの外形を形作るようにしている。
このように、本実施例では、横型板を起立させてその上端縁にのみ切欠溝を形成しているが、これは、前記垂直型板の下端縁に形成した切欠溝と横型板とを噛み合わせるためであり、垂直型板と横型板との組合せ位置が変われば、横型板の傾きも変わり、切欠溝を形成する位置も変わる。
すなわち、横型板は、前記垂直型板においても説明したように、垂直に起立させた垂直型板の周端縁に対して、1周どの方向からでも組み合わせることができるので、例えば、垂直型板の左端縁に形成した切欠溝に横型板を噛み合わせるのであれば、横型板を水平状態にしてその右端縁に切欠溝を形成することになるし、垂直型板の上端縁に形成した切欠溝に横型板を噛み合わせるのであれば、横型板を起立状態にしてその下端縁に切欠溝を形成することになるのである。
また、本実施例では、横型板の周端縁が模型Tの輪郭線を成すように形成しているが、これに限らず、横型板の周端縁の一部のみが模型Tの輪郭線を成すように形成することもあり得る。
さらに、本実施例では、横型板において切欠溝を前後方向に複数形成しているが、これは、前記垂直型板を前後方向に多列に配しているからであり、垂直型板を左右方向に多列に配する場合には、切欠溝も左右方向に複数形成することとなる。
上述した垂直型板や横型板は、前後方向に長い動物の形状を表現するために、前記マネキンSにおいて用いた型板とは別に新たに設けた型板である。すなわち、前記マネキンSにおいては、水平型板を上下に多段に配すると共に、同水平型板を連結型板や縦型板で保形することにより、上下方向に長い人体形状を表現したのに対し、本模型Tにおいては、垂直型板を前後に多列に配すると共に、同垂直型板を横型板で保形することにより、前後方向に長い動物の形状を表現しているのである。
上記マネキンSと模型Tとの比較からも分かるとおり、水平型板と垂直型板、縦型板と横型板は、同型板によって構築する構造の向きこそ異なれそれぞれ同様の機能を担っている。従って、同様にして、マネキンSにおける連結型板と対応する第2の連結型板、すなわち、多列に配した垂直型板を一定間隔を保持して前後又は左右に保形するために端縁に切欠溝を形成した型板や、マネキンSにおける連結補助型板と対応する第2の連結補助型板、すなわち、第2の連結型板や横型板を保形するために端縁に切欠溝を形成した型板を設けることも可能であり、同型板を造形構造の構築に使用することも可能である。
また、見方を変えて、模型Tである犬の頭の方向を上、尾の方向を下とすれば、上述した垂直型板は水平型板となり、横型板は縦型板となり、第2の連結型板はマネキンにおいて用いた通常の連結型板となり、第2の連結補助型板はマネキンにおいて用いた通常の連結補助型板となるので、かかる垂直型板と横型板と第2の連結型板と第2の連結補助型板との4種類の型板は、前記マネキンにおいて用いた4種類の型板と同じものであるとも言える。
以下、本実施例に用いる型板、及び同型板の組立て手順について、より具体的に説明する。
なお、本実施例においても、上記マネキンSと同様に、各型板には、型板の通し番号(101〜178)と、型板の種類(水平型板はa、縦型板はc、垂直型板はe、横型板はf)と、型板によって形成する部位(胴体部Lと四肢部Mと尾部N)とを組み合わせた符号を付している。
そして、上記した各型板を、前述したマネキンSにおける手順(i)〜(v)と同様にして強化段ボール紙からなる複数枚の型板シートPから適宜切り出し、模型Tの形成に必要な型板を形成する。
図40に示すように、本模型Tに用いる型板は、水平型板40枚、縦型板4枚、垂直型板31枚、横型板3枚の合計78枚からなり、前述したマネキンSにおける手順(vi)と同様、各型板を組み立てて、
(1)四肢部Mを形成し、
(2)胴体部Lを形成しながら同胴体部Lに手順(1)で形成した四肢部M連結し、
(3)尾部Nを形成し、同尾部Nを手順(2)で形成した胴体部Lと四肢部Mとの連結体に連結して、模型Tを構築するようにしている。
そこで、上述した(1)〜(3)の手順に沿って、各部位を構成する型板や、同型板の組立て手順について説明する。
(1)四肢部Mの形成
四肢部Mは、水平型板40枚(139aM〜178aM)、縦型板4枚(135cM〜138cM)の合計44枚からなり、図38〜図40に示すように、まず、犬の前肢の形状に形成した同一形状の2枚の縦型板135cM,136cMをそれぞれ起立させて、各縦型板に略円形状に形成した水平型板をそれぞれ9枚ずつ組み合わせる。
すなわち、縦型板135cMと縦型板136cMとの前端縁にはそれぞれ9個の切欠溝を形成しており、縦型板135cMの前端縁に形成した9個の切欠溝に、9枚の水平型板139aM〜147aMの後端縁にそれぞれ1個ずつ形成した切欠溝を噛み合わせると共に、縦型板136cMの前端縁に形成した9個の切欠溝に、前記水平型板139aM〜147aMと同一形状の9枚の水平型板148aM〜156aMの後端縁にそれぞれ1個ずつ形成した切欠溝を噛み合わせて、両縦型板135cM,136cMにそれぞれ9枚の水平型板を組み合わせるのである。
同様にして、犬の後肢の形状に形成した同一形状の2枚の縦型板137cM,138cMをそれぞれ起立させて、各縦型板に略円形状に形成した水平型板をそれぞれ11枚ずつ組み合わせる。
すなわち、縦型板137cMの前端縁に形成した11個の切欠溝に、11枚の水平型板157aM〜167aMの後端縁にそれぞれ1個ずつ形成した切欠溝を噛み合わせると共に、縦型板138cMの前端縁に形成した11個の切欠溝に、前記水平型板157aM〜167aMと同一形状の11枚の水平型板168aM〜178aMの後端縁にそれぞれ1個ずつ形成した切欠溝を噛み合わせて、両縦型板137cM,138cMにそれぞれ11枚の水平型板を組み合わせるのである。このようにして、四肢部Mを形成することができる。
なお、上述した前肢及び後肢を形作る4枚の縦型板135cM〜138cMのうち、前肢を形作る2枚の縦型板135cM,136cMの上端縁にはそれぞれ5個の切欠溝を、後肢を形作る2枚の縦型板137cM,138cMの上端縁にはそれぞれ4個の切欠溝を形成しており、かかる切欠溝には、後述するように四肢部Mと胴体部Lとを連結する垂直型板がはめ込まれる。
(2)胴体部Lの形成、及び胴体部Lと四肢部Mとの連結
胴体部Lは、垂直型板25枚(101eL〜125eL)、横型板2枚(132fL,133fL)の合計27枚からなり、図38〜図40に示すように、犬の頭部から臀部に至る胴体の形状に形成した同一形状の2枚の横型板132fL,133fLを左右に並列状態に起立させて、両横型板132fL,133fLに、略円形状に形成した25枚の垂直型板101eL〜125eLを組み合わせる。
すなわち、両横型板132fL,133fLの上端縁にはそれぞれ25個ずつ切欠溝を形成しており、同切欠溝に前記25枚の垂直型板101eL〜125eLの下端縁にそれぞれ形成した左右2個の切欠溝を順次噛み合わせて、両横型板132fL,133fLと垂直型板101eL〜125eLとを組み合わせるのである。
そして、このとき同時に、既に組み立てた四肢部Mを胴体部Lに組み合わせる。
すなわち、上述した25枚の垂直型板101eL〜125eLのうち、垂直型板109eL〜113eLと垂直型板121eL〜124eLとの合計9枚の垂直型板の下端縁には、前述した横型板132fL,133fLを組み合わせるための左右2個の切欠溝とは別に、同切欠溝の外側にそれぞれ1個ずつ左右合わせて2個の切欠溝を形成しており、かかる9枚の垂直型板を横型板132fL,133fLに組み合わせる際には、各垂直型板において、左右に1個ずつ未だ型板が組み合わされていない切欠溝が残るようにしている。
そして、上記9枚の垂直型板のうち、前側の5枚の垂直型板109eL〜113eLを横型板132fL,133fLに組み合わせる際には、各垂直型板の左右側にそれぞれ残った切欠溝に、前記四肢部Mにおいて前肢を形作っていた縦型板135cMと縦型板136cMとをそれぞれ組み合わせて、胴体部Lに四肢部Mの前肢2本を連結するようにしている。
同様にして、上記9枚の垂直型板のうち、後側の4枚の垂直型板121eL〜124eLを横型板132fL,133fLに組み合わせる際には、各垂直型板の左右側にそれぞれ残った切欠溝に、上記四肢部Mにおいて後肢を形作っていた縦型板137cMと縦型板138cMとをそれぞれ組み合わせて、胴体部Lに四肢部Mの後肢2本を連結するようにしている。このようにして、胴体部Lを組み立てると共に、同胴体部Lに前記四肢部Mを連結することができる。
なお、胴体部Lを構成する25枚の垂直型板101eL〜125eLのうち、後側2枚の垂直型板124eL,125eLには、上端縁にも1個ずつ切欠溝を形成しており、同切欠溝には、後述するように、尾部Nを胴体部Lに連結する際に尾部Nの横型板が組み合わされる。
(3)尾部Nの形成、及び胴体部Lと四肢部Mとの連結体と尾部Nとの連結
尾部Nは、横型板1枚(134fN)、垂直型板6枚(126eN〜131eN)の合計7枚からなり、図38〜図40に示すように、犬の尾の形状に形成した横型板134fNを起立させて、同横型板134fNに略円形状に形成した6枚の垂直型板126eN〜131eNを組み合わせる。
すなわち、横型板134fNの後部上端縁には、6個の切欠溝を形成しており、同切欠溝に、前記6枚の垂直型板126eN〜131eNの下端縁にそれぞれ1個ずつ形成した切欠溝を噛み合わせて、横型板134fNと6枚の垂直型板126eN〜131eNとを組み合わせるのである。このようにして、尾部Nを形成することができる。
さらに、横型板134fNの前部下端縁には、2個の切欠溝を形成しており、同切欠溝を、前記胴体部Lを構成する垂直型板124eL,125eLの上端縁に設けた切欠溝にそれぞれ噛み合わせて、尾部Nを胴体部Lに連結する。このようにして、胴体部Lと四肢部Mとの連結体に尾部Nを連結し、犬の模型T全体を構築することができる。
このように、本実施例では、型板組合せの造形構造を用いて動物の模型Tを形成するので、組立て作業時にはゲーム感覚で楽しく型板を組み立てることができ、おもちゃとして使用することができる。また、形成された模型Tは芸術的な構造を有するので、装飾品としての利用価値も高い。
しかも、各型板を強化段ボール紙で形成しているので、不要になった模型Tは、古紙としてリサイクルしたり、焼却処分したりして、簡単に処分することができる。
なお、本型板組合せの造形構造を用いて形成可能な模型Tとしては、上述した動物の他にも、植物、静物、地形、建造物、町並みなど、様々なものが考えられる。
【産業上の利用可能性】
本発明は、端縁に切欠溝を形成した水平型板と、多段に配した水平型板を一定間隔を保持して上下に保形するために、端縁に切欠溝を形成した連結型板と、多段に配した水平型板を一定間隔を保持して上下に保形するために、端縁に切欠溝を形成すると共に、水平型板の上下方向に突出片を形成した縦型板と、連結型板や縦型板を保形するために、端縁に切欠溝を形成した連結補助型板とからなるので、接合剤等を用いなくても各型板を組み合わせるだけで容易に立体的な造形構造を構築することができ、逆に、一旦構築した造形構造も簡単に各型板に分解することができる。そのため、本型板組合せの造形構造を用いれば、立体的な構造物を簡単に構築することができると共に、同構造物が不要になったり、或いは同構造物を搬送する必要が生じたりしたとしても、構造物を各型板に分解してコンパクトに集約し、処理や作業が行いやすいようにすることができる。
また、本型板組合せの造形構造は、水平方向の面と垂直方向の面とが組み合わされた見た目に美しく且つ丈夫な構造なので、同造形構造を用いて構築したマネキンや模型等の構造物に対して、これまでにない新たな造形美を付加することができ、装飾品としても観賞に堪えうる構造物とすることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】

【図33】

【図34】

【図35】

【図36】

【図37】

【図38】

【図39】

【図40】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
端縁に切欠溝を形成した水平型板と、
多段に配した水平型板を一定間隔を保持して上下に保形するために、端縁に切欠溝を形成した連結型板と、
多段に配した水平型板を一定間隔を保持して上下に保形するために、端縁に切欠溝を形成すると共に、水平型板の上下方向に突出片を形成した縦型板と、
連結型板や縦型板を保形するために、端縁に切欠溝を形成した連結補助型板とよりなることを特徴とする型板組合せの造形構造。

【国際公開番号】WO2004/064577
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567122(P2004−567122)
【国際出願番号】PCT/JP2003/000444
【国際出願日】平成15年1月20日(2003.1.20)
【出願人】(505272722)有限会社アキ工作社 (1)
【Fターム(参考)】