説明

型枠もしくは建材用パネルおよびその製造方法

【課題】 安価で加工し易く、また、防水性等耐久性があり、破損が少なく、変形しにくいものであり、しかも、反覆転用がきくとともに、材料は廃材利用ということでリサイクル性をもたせ、環境負荷低減ができ、しかも一体成形なので層間剥離を起こすおそれもなく、コンクリート型枠として使用する場合などアルカリ性であるコンクリート製品に悪影響を与えるおそれもない。
【解決手段】 粉砕した使用済みの古紙に、使用済みの合成樹脂製シートあるいは他の製品作製の際に発生する裁断屑等の合成樹脂製シート廃材を混合してパネルとして加熱成形した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート用の型枠や床その他の建材としてのパネルやパネル芯材に利用することができる型枠もしくは建材用パネルおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄筋コンクリート造の建物のできばえは躯体コンクリートの精度によって大きく左右され、さらに、この躯体は型枠工事に優劣によって決まるといっても過言ではない。このように型枠工事はすべての工事の基本となるので、厳密な計画と施工が肝要である。
【0003】コンクリート打設用の型枠、いわゆるコンパネの材料は、安価で加工し易く、反覆転用がきく材料であり、また、耐久性があり、破損が少なく、変形しない材料を選定する。
【0004】せき板としては、現在ほとんどが合板を使用しているが、スチール、アルミ合金等の金属製、繊維補強プラスチック(F.R.P.)等の合成樹脂製のものも使用されることもある。
【0005】合成樹脂製の型枠のうち、型枠自体に断熱性を持たせるようにしたものもある。これは埋め込み型枠とすれば、そのままコンクリート壁等に断熱層を形成できるという利点があり、一例として、型枠兼用断熱ボードも特開平4-128447号公報に提示されている型枠兼用断熱ボードは、硬質合成樹脂フォームからなる断熱層の表裏面に、フォーム面より順次接着材を介在して貼合わせた補強層および接着表面層からなる少なくとも2層構造を有した軟質面材を積層させたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】合板は木製であるため、森林伐採等環境保全の面で問題がある。また、スチール、アルミ合金等の金属製のものは価格の点および加工性の点で難がある。
【0007】合成樹脂製の型枠は成形で比較的簡単に作製できるが、原材料の点で安価なものとは言えない場合が多い。また、繊維補強プラスチック(F.R.P.)では中空なもの、もしくは金属製と同様なリブ付きの型枠となることが多いが、強度の点で脆弱な部分が残る。
【0008】さらに、特開平4-128447号公報の型枠兼用断熱ボードのように積層させた構造のものでは、硬質合成樹脂フォームを用いることからコストが高く、多層構造のために製造が困難であり、また、層間剥離を起こすおそれがあり、強度的に安定していない。
【0009】本発明はこのような事情を鑑みて、安価で加工し易く、また、防水性等耐久性があり、破損が少なく、変形しにくいものであり、しかも、反覆転用がきくとともに、材料は廃材利用ということでリサイクル性をもたせ、環境負荷低減ができ、しかも一体成形なので層間剥離を起こすおそれもなく、コンクリート型枠として使用する場合などアルカリ性であるコンクリート製品に悪影響を与えるおそれもない型枠もしくは建材用パネルおよびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するため、型枠もしくは建材用パネルとしては、粉砕した使用済みの古紙に、使用済みの合成樹脂製シートあるいは他の製品作製の際に発生する裁断屑等の合成樹脂製シート廃材を混合してパネルとして加熱成形したこと、および、合成樹脂製シート廃材は、古紙と同じく粉砕したものであること、さらに、合成樹脂製シート廃材の混合割合は、20%以上とすることを要旨とするものである。
【0011】型枠もしくは建材用パネルの製造方法としては、粉砕した使用済みの古紙と使用済みの合成樹脂製シートあるいは他の製品作製の際に発生する裁断屑等の合成樹脂製シート廃材を混合し、これを所望の形状に成形後あるいは所望の形状で加熱しながら加圧してパネルに成形すること、および、使用済みの合成樹脂製シートあるいは他の製品作製の際に発生する裁断屑等の合成樹脂製シート廃材は、古紙と同時に粉砕することを要旨とするものである。
【0012】請求項1および請求項4記載の本発明によれば、原料は通常大部分が廃棄や焼却される使用済みの古紙と使用済みの合成樹脂製シートあるいは他の製品作製の際に発生する裁断屑等の合成樹脂製シート廃材であり、コストが安く、合成樹脂製シート廃材が溶融して加圧成形する古紙の結合材となり、冷却後合成樹脂製シート廃材間結合が強固となるので、強度のあるパネルが得られ、防水性が向上する。しかも、古紙の有するセルロース繊維で衝撃性が得られる。特に、防水性と強度に関しては、使用済みの古紙のみを粉砕してこれをゲル状にしてから脱水し、糊粉(植物性接着剤粉)を加えて成形したものと比べて吸水性が低く、吸水により強度の低下を起こすおそれもない。
【0013】さらに、使用済みの古紙と使用済みの合成樹脂製シートあるいは他の製品作製の際に発生する裁断屑等の合成樹脂製シート廃材の組み合わせのために、主成分がアルカリ可溶性樹脂を使用する場合のようなコンクリートに対する悪影響を及ぼすおそれはない。
【0014】請求項2記載の本発明によれば、前記作用に加えて、合成樹脂製シート廃材も、古紙と同じく粉砕したものとすることで、古紙との分散性を向上させることができ、型枠内で均一分散し、性能のバラツキがなくなる。
【0015】請求項3記載の本発明によれば、合成樹脂製シート廃材の混合割合は、20%以上とする、すなわち古紙に対して1/4以上とすることで十分な強度補強を得ることができる。
【0016】請求項5記載の本発明によれば、合成樹脂製シート廃材と古紙とを同時に粉砕したものとすることで、個別に粉砕した場合よりも古紙との分散性をより、向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。書類用の紙や新聞紙、雑誌などの使用済みの古紙を粉砕機としてのシュレッダーにかけ、幅2mm低程度の短冊に粉砕する。この裁断幅はより小さいものとすることができ、コンクリート型枠として好適なパネルを得ようとする場合は、シュレッダー後の古紙嵩密度0.02〜0.03 g /cm3 が好ましい。
【0018】また、使用済みの合成樹脂製シートあるいは他の製品作製の際に発生する裁断屑(トリムロス、包装材)等の合成樹脂製シート廃材を粉砕機としてのシュレッダーにかけ、幅2mm程度の短冊に粉砕する。この合成樹脂製シート廃材はポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の熱融着性樹脂を含む材質とする。シートとしては、フィルム・不織布等が挙げられる。
【0019】これら使用済みの古紙と合成樹脂製シート廃材とは個別にシュレッダーにかけてもよいが、同時にかけて裁断と同時に混合するようにしてもよい。
【0020】粉砕機としてはシュレッダーの他にガーネット、ハンマーミル、その他の利用も考えられる。
【0021】これら粉砕した使用済みの古紙と合成樹脂製シート廃材とは所定量割合を混合し、これを所望の形状に成形後あるいは所望の形状で加熱しながら加圧してパネルに成形する。混合はエアレイド、多重積層、水中で漉くなどの手段で行う。加熱温度は合成樹脂製シート廃材の融点以上にすることで、この合成樹脂製シート廃材が溶融し、冷却後は合成樹脂製シート廃材間の結合が強固になりパネル強度が向上する。
【0022】このようにして成形された本発明の型枠パネルは、粉砕した使用済みの古紙に、使用済みの合成樹脂製シートあるいは他の製品作製の際に発生する裁断屑等の合成樹脂製シート廃材を混合してパネルとして加熱成形したもので、加熱成形の際に、合成樹脂製シート廃材が溶融して古紙の結合材となり、冷却後に合成樹脂製シート廃材間結合が強固なパネルとなる。
【0023】また、型枠パネル全体に対する合成樹脂製シート廃材の混合割合を20%以上とすることで、古紙のもつ脆弱性を合成樹脂製シート廃材が補強し、必要とする強度のある型枠パネルとなる。
【0024】本発明の効果を試すため、使用済みの古紙と合成樹脂製シート廃材とは所定量割合を混合した粉砕後にサンプルを加熱加圧成形(20kgf /cm2 ×160 ℃×10min )し、成形後サンプルをJIS A5908(パーティクルボード)に準じて物性評価した結果を次頁表1に示す。
【0025】
【表1】


サンプル厚さ:15mm耐アルカリは、5%NaOH水溶液中に1時間浸漬後状態を目視確認する。
【0026】前記表1からも知見できるように、合成樹脂製シート廃材の混合割合を20%以上とすることで、200 以上の曲げ強さ (kgf/cm2)、95以上の湿潤曲げ強さ(kgf/cm2)を得ることができる。
【0027】なお、実際の製品としてのコンクリート型枠は、例えば、一般の合板のコンパネ用型枠サイズ、12×900 ×1800mmの大きさに成形する。
【0028】また、加工は一般の合板のコンパネ用型枠と同様に鋸等での切断、釘打ちが可能である。
【0029】さらに、着色に関しては古紙または合成樹脂製シート廃材が有する色を有効に生かすことができ、例えば合成樹脂製シート廃材が単一色のものであると、これが溶融して成形された本発明のパネルはマーブル状の色合いを有する斬新なものとなる。
【0030】なお、本発明のパネルは前記のごときコンクリート型枠としての使用の他に、洗面所・台所等の水回り用パネル、床パネル、外壁材用パネル等のパネル芯材として建材としての利用も可能である。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように本発明の型枠もしくは建材用パネルおよびその製造方法は、使用済みの古紙を主材とするが合成樹脂製シート廃材を混合することで防水性が向上するものであり、粉砕された古紙と合成樹脂製シート廃材を一体成形できるための層間剥離などの問題が生じないものである。
【0032】原料は、使用済みの古紙と合成樹脂製シート廃材を使用するためコストが安く、環境負荷低減ができ、強アルカリ性雰囲気下でも問題なく使用でき、合成樹脂製シート廃材の熱融着によリパネルの強度を向上できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 粉砕した使用済みの古紙に、使用済みの合成樹脂製シートあるいは他の製品作製の際に発生する裁断屑等の合成樹脂製シート廃材を混合してパネルとして加熱成形したことを特徴とする型枠もしくは建材用パネル。
【請求項2】 合成樹脂製シート廃材は、古紙と同じく粉砕したものである請求項1記載の型枠もしくは建材用パネル。
【請求項3】 合成樹脂製シート廃材の混合割合は、20%以上とする請求項1または請求項2記載の型枠もしくは建材用パネル。
【請求項4】 粉砕した使用済みの古紙と使用済みの合成樹脂製シートあるいは他の製品作製の際に発生する裁断屑等の合成樹脂製シート廃材を混合し、これを所望の形状に成形後あるいは所望の形状で加熱しながら加圧してパネルに成形することを特徴とする型枠もしくは建材用パネルの製造方法。
【請求項5】 使用済みの合成樹脂製シートあるいは他の製品作製の際に発生する裁断屑等の合成樹脂製シート廃材は、古紙と同時に粉砕する請求項4記載の型枠もしくは建材用パネルの製造方法。

【公開番号】特開2000−45451(P2000−45451A)
【公開日】平成12年2月15日(2000.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−214146
【出願日】平成10年7月29日(1998.7.29)
【出願人】(393000283)ユニ・ハートス株式会社 (27)
【Fターム(参考)】