説明

型枠換え装置

【課題】成型機によるコンクリートブロックの製造工程において、成型機において型枠を変更する際の作業効率を向上すると共に、成型機と型枠の取り付け位置の位置決めを簡略化すると共に、成型機周辺の作業スペースを最小限に縮小することを目的とする。
【解決手段】コンクリートブロック成型機に取付けられる型枠を取り換える装置であって、前記成型機より延出したコンベアに沿った型交換レールと、該型交換レール上を移動する型枠台車とを有し、該型枠台車が両側面底部に少なくとも4体の車輪が付設され、少なくとも側面上部に型枠を載置するためのフレームを有し、該型枠台車の中央が四角形状に貫通していることを特徴とする型枠換え装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートブロック成型機に取付けられる型枠を取り換えるための装置に関し、成型機まで人力によって型枠を運搬せず、かつ取り付けの際の位置決め
を容易に行うことができる型枠換え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、コンクリートブロックの成型において、脱型式の成型機が汎用されている。例えば、特許文献1〜3に開示されたコンクリートブロック成型機やブロック成型方法が知られている。
このようなコンクリートブロック成型機においては、鉄板底板と型枠を位置決めした後、型枠等に穿設されたボルト固定孔を通して成型機に型枠を固定されている。
【0003】
従って、製造するコンクリートブロックの形状等を変更する際には、取付けられていた型枠を外した後、所望の型枠をコンクリートブロック成型機の側にフォークリフト又は人力によって運搬した後、成型機と型枠の取り付け位置を位置決めした後、ボルト固定を行っていた。
そして、今日のコンクリートブロック成型方法においては、オートメーション化が進展し、成型されたコンクリートブロックを成型パレット上に載置、段組、運搬、搬出等の工程をライン上で行うことが可能となった。
【0004】
例えば、図6に示す如く、複数のパレット62,62・・をパレットプール61に積み重ね、矢印Aによって順にコンベア63上を移送する。次に成型機テーブルTにおいて、移送されたパレット62を停止し、パレット62上にコンクリートブロック成型機64によって製造されたコンクリートブロック65を載置する。
そして複数のコンクリートブロック65を組積した後、矢印Bによってコンベア63の終端テーブルEまで移送する。かかる終端テーブルEにおいて、図示しないフォークリフト等を用いて製造されたコンクリートブロック65を搬出する。
【0005】
このような製造装置において、前述した型枠の変更を行う際には、コンクリートブロック成型機64の周辺において、フォークリフトや複数の人力によって型枠を運搬するための作業スペースを確保する必要があった。更に成型機と型枠の取り付け位置の位置決めは困難であり、技能や経験に依拠しなければならず、経験のある人材確保等の点から問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許文献1:特開平11−156830号公報
特許文献2:特開2005−35171号公報
特許文献3:特開平110138519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
成型機によるコンクリートブロックの製造工程において、成型機において型枠を変更する際の作業効率を向上すると共に、成型機と型枠の取り付け位置の位置決めを簡略化すると共に、成型機周辺の作業スペースを最小限に縮小することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用した。
(1)コンクリートブロック成型機に取付けられる型枠を取り換える装置であって、前記成型機より延出したコンベアに沿った型交換レールと、該型交換レール上を移動する型枠台車とを有し、該型枠台車が両側面底部に少なくとも4体の車輪が付設され、少なくとも側面上部に型枠を載置するためのフレームを有し、該型枠台車の中央が四角形状に貫通していることを特徴とする型枠換え装置である。
(2)前記型枠台車における型枠を載置するためのフレームに型枠に穿設されたボルト固定孔に嵌通する位置決め突起が垂直に立設していることを特徴とする上記(1)記載の型枠換え装置である。
(3)前記型枠台車における型枠を載置するためのフレームが、前面上部にのみ設けられたフレームによって連接することによって後面が開口した平面視略コの字型となっていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載された型枠換え装置である。
【0009】
(4)前記型枠台車における両側面に開口部を有し、該開口部の垂直方向に4体のシャフトを配置し、該シャフト毎に4体の搬送用支持部材の一端が軸支され、該搬送用支持部材が前記シャフトを軸中心として前記型枠台車の側面から内側に略90度回動して突出すると共に前記搬送用支持部材の開口部において両側面と面一に収納可能となっており、前記搬送用支持部材を内側に突出させた際にはフォークリフトのアームに載上することができることを特徴とする上記(3)記載の型枠換え装置である。
(5)前記成型機が配置されたコンベアにおいて、コンベアから垂直に立設した支持台に螺着穴と、該螺着穴に螺着されたボルトと、該ボルトの上流側端部に形成された当接部材によって、前記型枠台車の車輪を停止させることによって、成型機テーブルの中心に型枠台車の停止位置を設定することを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載された型枠換え装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる型枠換え装置を使用することによって、成型機において型枠を変更する際の作業効率を向上する効果を奏する。
また、成型機と型枠の取り付け位置の位置決めを簡略化すると共に、成型機周辺の作業スペースを最小限に縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る型枠換え装置を用いたコンクリートブロック成型方法の一例を説明するための概念図である。
【図2】型枠換え装置に用いられる型枠台車を説明するための正面図である。
【図3】型枠換え装置に用いられる型枠台車を説明するための平面図である。
【図4】本実施形態に係る型枠台車に型枠を載置した状態を示す側面図である。
【図5】本実施形態に係る型枠換え装置を用いたコンクリートブロック成型方法の一例を説明するための平面概念図である。
【図6】従来のコンクリートブロック成型方法を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る型枠換え装置についての実施形態の一例を図面に則して以下に説明する。以下に説明する型枠換え装置は、本発明に係る型枠換え装置の一例であって本発明を限定するものではない。
図1は、本実施形態に係る型枠換え装置を用いたコンクリートブロック成型方法の一例を説明するための概念図である。
図1に示す如く、本実施形態に係る型枠換え装置10は、コンクリートブロック成型機1に取付けられる型枠を取り換えるための装置である。コンクリート成型機1より延出したコンベア2に沿って型交換レール3が配置されている。型交換レール3とコンベア2と
の配置については図5の説明において詳述する。
【0013】
図示しないフォークリフトにより、終端テーブルEの位置において、型枠台車4を型交換レール3の機動に載せる。この際、型枠7は載置されていない。
型枠台車4は、型交換レール3を移動し、成型機テーブルTで停止する。説明の都合上、型枠台車4は終端テーブルE及び成型機テーブルTの二箇所に記載されているが、実際には一台の型枠台車4が載置される。成型機テーブルTにおいて、コンベア3から垂直に立設した支持台12に設けられた螺着穴に螺着されたボルト14と、ボルト14の上流側端部に形成された当接部材15を、型枠台車4の車輪に当接させることによって、型枠台車4を停止させると共に、成型機テーブルTの中心に型枠台車の停止位置を設定することができる。型枠台車の停止位置については、ボルト14を調整することによって変更することができる。
【0014】
成型機テーブルTで停止している型枠台車4は、昇降装置16によって成型機に取り付けられている型枠の直下まで上昇する。その後、型枠を成型機から取り外して、型枠台車4に載置する。交換される型枠を載置した型枠台車は、昇降装置16によってコンベア上に下降する。その後、型枠を載せた型枠台車は、コンベア3上を終端テーブルEへ移動する。
終端テーブルEにおいて、交換される型枠を図示しないフォークリフト等で型枠台車4より降し、その後、交換するための新しい型枠7を型枠台車4に載置する。交換する型枠7を載せた型枠台車4は、型交換レール3を移動し、成型機テーブルTで停止する。成型機テーブルTにおいて、コンベア3から垂直に立設した支持台12に設けられた螺着穴に螺着されたボルト14と、ボルト14の上流側端部に形成された当接部材15を、型枠台車4の車輪に当接させることによって、型枠台車4を停止させると共に、成型機テーブルTの中心に型枠台車の停止位置を設定することができる。
【0015】
成型機テーブルTで停止している型枠台車4は、昇降装置16によって上昇する。その後、型枠7を成型機に取り付ける。この際、後述する方法によって型枠7と成型機との取り付け位置は固定されており、取り付け時に型枠を移動させることなくボルト固定することが可能である。新しい型枠7を取り付けた後、型枠台車4は昇降装置16によってコンベア上に下降し、コンベア3上を終端テーブルEまで移動する。その後、フォークリフト等によってコンベア3から降ろされ、コンクリートブロックの成型工程に移行する。
【0016】
図2は、本実施形態に用いられる型枠台車4を説明するための正面図である。図2に示す如く、本実施形態に用いられる型枠台車4は、両側面のフレーム33,33の底部に4体の車輪34,34が付設されている。型枠台車4における型枠を載置するためのフレームは、前面上部にのみ設けられたフレーム32によって連接されている。そのため後面は開口した状態となっている。
【0017】
図3は、本実施形態に用いられる型枠台車4を説明するための平面図である。図3に示す如く、本実施形態に用いられる型枠台車4は、両側面のフレーム33,33における側面上部は型枠を載置するためのフレームとなっている。かかるフレームには、型枠に穿設されたボルト固定孔に嵌通する位置決め突起35,35が垂直に立設している。
また型枠台車4の中央は四角形状に貫通しており、両側面のフレーム33,33は、前面上部にのみ設けられたフレーム32によって連接しており、後面が開口した平面視略コの字型となっていることが分かる。
【0018】
型枠台車4における両側面は開口部となっており、開口部より垂直方向に4体のシャフト37が配置されている。かかるシャフト37は、実際にはフレーム33によって視認することができないが、説明の都合上描写した。かかるシャフト37毎には、それぞれに4
体の搬送用支持部材36の一端が軸支されている。かかる搬送用支持部材36は、前記シャフト36を軸中心として、前記型枠台車4の側面から矢印方向へ略90度回動して突出する構造となっている。図に示す如く、かかる搬送用支持部材36を内側に突出させた状態では、フォークリフト38のアーム39,39に載上し、コンベア上に型枠台車4を載置することができる。コンベア上に型枠台車4を載置した後に、前記搬送用支持部材36を回転させて、開口部において両側面と面一に収納することができる。
【0019】
図4は、本実施形態に係る型枠台車4に型枠7を載置した状態を示す側面図である。図4に示す如く、型枠台車4の両側面底部には車輪34,34が付設されている。そして側面上部には型枠7を載置するためのフレームを有し、型枠台車4の中央は四角形状に貫通している。
型枠台車4における型枠7を載置するためのフレームには、型枠7に穿設されたボルト固定孔に嵌通する位置決め突起35が垂直に立設している。かかる位置決め突起35は、実際には、型枠7とフレーム33によって視認することができないが、図4においては説明の都合上描写した。図4においては、搬送用支持部材36がシャフトを中心に回転させて開口部40に面一に収納された状態である。
【0020】
図5は、本実施形態に係る型枠換え装置を用いたコンクリートブロック成型方法を説明する平面図である。
図5に示す如く、コンクリート成型機より延出したコンベア2に沿って型交換レール3が配置されている。型交換レール3はコンベア2に沿って図に示す如く配置されている。また型交換レール3は、自立又はコンベア2に取り付けて形成することができる。
終端テーブルEの位置において、型枠7を型枠台車4に載置する。交換する型枠7を載せた型枠台車4は、型交換レール3を移動し、成型機テーブルTで停止する。成型機テーブルTにおいて、成型機テーブルTにおける成型テーブル中心Cに型枠7の中心がくるようにコンベア3に設置された前述の当接部材15によって型枠台車4を停止させる。
【0021】
成型機テーブルTで停止している型枠台車4は、昇降装置によって上昇する。その後、型枠7を成型機に取り付ける。この際、前記の方法によって型枠7と成型機テーブルの中心Cとは位置決めされており、取り付け時に型枠を移動させることなくボルト固定することが可能である。新しい型枠7を取り付けた後、型枠台車4は昇降装置によってコンベア上に下降し、コンベア3上を終端テーブルEまで移動する。その後、フォークリフト等によってコンベア3から降ろされ、コンクリートブロックの成型工程に移行する。
【符号の説明】
【0022】
1 コンクリートブロック成型機
2 コンベア
3 型交換レール
4 型枠台車
7 型枠
10 型枠換え装置
12 支持台
14 ボルト
15 当接部材
32 前面上部にのみ設けられたフレーム
33 両側面のフレーム
34 車輪
35 位置決め突起
36 搬送用支持部材
37 シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートブロック成型機に取付けられる型枠を取り換える装置であって、前記成型機より延出したコンベアに沿った型交換レールと、該型交換レール上を移動する型枠台車とを有し、該型枠台車が両側面底部に少なくとも4体の車輪が付設され、少なくとも側面上部に型枠を載置するためのフレームを有し、該型枠台車の中央が四角形状に貫通していることを特徴とする型枠換え装置。
【請求項2】
前記型枠台車における型枠を載置するためのフレームに型枠に穿設されたボルト固定孔に嵌通する位置決め突起が垂直に立設していることを特徴とする請求項1記載の型枠換え装置。
【請求項3】
前記型枠台車における型枠を載置するためのフレームが、前面上部にのみ設けられたフレームによって連接することによって後面が開口した平面視略コの字型となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載された型枠換え装置。
【請求項4】
前記型枠台車における両側面に開口部を有し、該開口部の垂直方向に4体のシャフトを配置し、該シャフト毎に4体の搬送用支持部材の一端が軸支され、該搬送用支持部材が前記シャフトを軸中心として前記型枠台車の側面から内側に略90度回動して突出すると共に前記搬送用支持部材の開口部において両側面と面一に収納可能となっており、前記搬送用支持部材を内側に突出させた際にはフォークリフトのアームに載上することができることを特徴とする請求項3記載の型枠換え装置。
【請求項5】
前記成型機が配置されたコンベアにおいて、コンベアから垂直に立設した支持台に螺着穴と、該螺着穴に螺着されたボルトと、該ボルトの上流側端部に形成された当接部材によって、前記型枠台車の車輪を停止させることによって、成型機テーブルの中心に型枠台車の停止位置を設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載された型枠換え装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−173239(P2010−173239A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20109(P2009−20109)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000132806)株式会社タイガーマシン製作所 (8)
【Fターム(参考)】