説明

型紙及び便器施工方法

【課題】洋風便器の機種によらず、汎用品のアジャスタ管を用いることができ、且つ容易にアジャスタ管の寸法出しを行うことができる型紙と、この型紙を用いた便器施工方法とを提供する。
【解決手段】洋風便器10の施工に用いられる型紙40は、アジャスタ管23の寸法出しを行うためのアジャスタ管寸法出し部41と、便器固定部材70の位置決め行うための便器固定部材位置決め部50とを有している。アジャスタ管寸法出し部41は、細長い帯状となっており、その後端41aが、アジャスタ管23の後端を揃えるための基準部となっている。アジャスタ管寸法出し部41の両長側辺に沿って、洋風便器10の後方のトイレルーム壁面Wから既設排水管1の軸心までの距離Dに対応したアジャスタ管切断位置を示す目盛り42が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレルーム床面の既設排水管と、据え付けようとする洋風便器の排水口の位置とがずれる場合に、該排水管と排水口とを排水器具で接続するようにした便器施工方法と、そのための型紙に関する。詳しくは、この排水器具の横引きアジャスタ管の長さ調節のための寸法出しを行うための型紙と、この型紙を用いた便器施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレのリフォームを行うに際し、古い便器を新しい洋風便器に付け替える場合、既設の排水管と新しい洋風便器の排水口とがずれることが多い。この場合、横引きアジャスタ管を有した排水器具をトイレルーム床面に設置して洋風便器の排水口と排水管とを導通する。このアジャスタ管の軸心線方向の一端側には、洋風便器の排水口が上方から接続される便器排水口接続口を有した排水ソケットが設けられ、他端側には、既設排水管に上方から接続される排水管接続口を有したエルボ体が設けられている。
【0003】
この工法においては、現場ごとに既設排水管の位置が異なることから、新たに据え付けられる洋風便器の排水口から既設排水管までの距離に合わせてアジャスタ管の長さを調節する必要がある。アジャスタ管は、種々の現場に対応できるように十分に長いものとなっており、現場寸法に合わせて丁度良い長さに切断される。
【0004】
一般的に、洋風便器の後方のトイレルーム壁面と該洋風便器の後面との間にどの程度の隙間を空けるかは、洋風便器の機種(例えば壁給水式であるか床給水式であるかなど)によって予め決まっている。従って、既設排水管と洋風便器の排水口とを導通するように排水器具をトイレルーム床面に設置した状態における該トイレルーム壁面から排水ソケットの便器排水口接続口の軸心までの距離Aは、洋風便器の機種と各部の設計値(洋風便器の後面から便器排水口の軸心までの距離や、この便器排水口と排水ソケットとを接続したジョイント部の形状及び寸法等)を基に求めることができる。また、排水ソケットの便器排水口接続口の軸心から、この排水ソケットに接続されたアジャスタ管の前記一端までの距離Aは、排水器具の設計値から求めることができる。これらの距離A,Aの和Aが、既設排水管と洋風便器の排水口とを導通するように排水器具をトイレルーム床面に設置した状態における該トイレルーム壁面からアジャスタ管の前記一端までの距離となる。さらに、エルボ体の排水管接続口の軸心から、このエルボ体に接続されたアジャスタ管の前記他端までの距離Bも、排水器具の設計値から求めることができる。通常、エルボ体の排水管接続口は、既設排水管に対し同軸状に接続される。
【0005】
よって、排水器具が洋風便器の排水口と既設排水管とを導通した状態におけるアジャスタ管の長さLは、洋風便器の後方のトイレルーム壁面から既設排水管の軸心までの距離Dから、該トイレルーム壁面から該アジャスタ管の前記一端までの距離Aと、アジャスタ管の前記他端からエルボ体の排水管接続口の軸心までの距離Bとの合計を引いた値(L=D−(A+B))となる。即ち、アジャスタ管の長さLは、洋風便器の後方のトイレルーム壁面から既設排水管の軸心までの距離Dに応じて一次関数的に変化する。
【0006】
WO95/27833には、アジャスタ管の表面に、この洋風便器の後方のトイレルーム壁面から既設排水管の軸心までの距離Dに対応した切断位置を示す目盛りを設けておくことが記載されている。同号公報では、アジャスタ管の長さ調節を行う場合、現場でトイレルームの壁面から既設排水管の軸心までの距離Dを測定し、この測定値に対応する目盛りの位置でアジャスタ管を切断する。これにより、アジャスタ管を容易に、現場寸法に合わせて丁度良い長さに切断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO95/27833
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の通り、洋風便器の後方のトイレルーム壁面と該洋風便器の後面との間にどの程度の隙間を空けるかは、洋風便器の機種によって異なる。従って、仮にトイレルームの壁面から既設排水管の軸心までの距離Dの測定値が同一であっても、洋風便器の機種によってアジャスタ管の丁度良い長さが異なる。そのため、上記WO95/27833にあっては、洋風便器の機種に応じて、専用の目盛りが設けられたアジャスタ管を用意する必要があり、資材コストが嵩む。
【0009】
本発明は、洋風便器の機種によらず、汎用品のアジャスタ管を用いることができ、且つ容易にアジャスタ管の寸法出しを行うことができる型紙と、この型紙を用いた便器施工方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明(請求項1)の型紙は、トイレルームの床面の排水管と洋風便器の排水口との位置がずれる場合に、該排水口が接続される便器排水口接続口を有した排水ソケットと、該排水管に接続される排水管接続口を有したエルボ体と、該排水ソケットとエルボ体とを接続する横引きのアジャスタ管とを有する排水器具によって該排水管と排水口とを接続する便器施工に用いられる型紙であって、該アジャスタ管の長さ調節のための寸法出しを行うためのアジャスタ管寸法出し部を備えた型紙において、該アジャスタ管寸法出し部は、該アジャスタ管の一端に揃えられる基準部と、該アジャスタ管寸法出し部が該アジャスタ管の該一端に該基準部を揃えて配置された状態において、トイレルームの壁面から前記排水管の軸心までの距離Dに対応した該アジャスタ管の他端側の切断位置を示す目盛りとを有していることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の型紙は、請求項1において、前記排水管と洋風便器の排水口とを接続するように、前記アジャスタ管の長さ調節をした後、該アジャスタ管によって前記排水ソケットとエルボ体とを接続し、前記排水管接続口を該排水管に接続してトイレルームの床面に前記排水器具を据え付けた状態において、洋風便器の後方のトイレルームの壁面から該アジャスタ管の該排水ソケット側の端部までの距離をAとし、該アジャスタ管の該エルボ体側の端部から該排水管接続口の軸心までの距離をBとした場合に、前記距離Dに対応する前記目盛りは、前記アジャスタ管寸法出し部が該アジャスタ管の前記一端に前記基準部を揃えて配置された状態において、該基準部から該アジャスタ管の前記他端側へ距離D−(A+B)だけ離隔した位置に配置されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の型紙は、請求項1又は2において、前記目盛りは、前記アジャスタ管寸法出し部が前記アジャスタ管の一端に前記基準部を揃えて配置された状態において、該アジャスタ管の延在方向に間隔を空けて複数個設けられており、該アジャスタ管寸法出し部の外面には、少なくとも一部の目盛りに隣接して、当該目盛りが対応する距離Dを示す文字が記載されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4の型紙は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記アジャスタ管寸法出し部は帯状のものであり、その長手方向の一端が前記基準部となっており、該一端を前記アジャスタ管の前記一端に揃えて配置されるものであり、該アジャスタ管寸法出し部の長側辺に沿って前記目盛りが設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5の型紙は、請求項4において、該型紙は、洋風便器の機種に応じて複数個の前記アジャスタ管寸法出し部を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6の型紙は、請求項4において、前記アジャスタ管寸法出し部の前記一端側に、洋風便器の機種に応じて該アジャスタ管寸法出し部の長さを調節するための目印線が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項7の型紙は、請求項1ないし6のいずれか1項において、該型紙は、さらに、洋風便器をトイレルームの床面に固定するための便器固定部材の位置決めを行うための便器固定部材位置決め部を備えていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項8の型紙は、請求項7において、前記便器固定部材位置決め部は、トイレルームの床面の洋風便器設置予定位置に展延されるものであり、該便器固定部材位置決め部は、トイレルームの床面に据え付けられた前記排水器具を受け入れ可能な透孔を有しており、便器固定部材位置決め部は、該透孔の後縁を該排水器具の前記排水ソケットの後縁に揃えて配置されるように構成されており、該便器固定部材位置決め部の前端部に、前記便器固定部材をトイレルームの床面に固定するためのビス位置を示す罫書き孔が設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項9の型紙は、請求項7又は8において、前記アジャスタ管寸法出し部と前記便器固定部材位置決め部とは、分離可能に連結されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項10の型紙は、請求項9において、前記アジャスタ管寸法出し部と前記便器固定部材位置決め部との間には、両者を分離させるための切り取り線が設けられていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明(請求項11)の便器施工方法は、トイレルームの床面の排水管と洋風便器の排水口の位置がずれる場合に、該排水口が接続される便器排水口接続口を有した排水ソケットと、該排水管に接続される排水管接続口を有したエルボ体と、該排水ソケットとエルボ体とを接続する横引きのアジャスタ管とを有する排水器具によって該排水管と排水口とを接続した後、該洋風便器の据え付けを行うようにした便器施工方法において、トイレルームの壁面から前記排水管の軸心までの距離Dを測定する工程と、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の型紙の前記アジャスタ管寸法出し部を、前記基準部を該アジャスタ管の一端に揃えて配置し、該距離Dに対応した前記目盛りの位置において該アジャスタ管の他端側を切断する工程と、該アジャスタ管により前記排水ソケットとエルボ体とを接続して前記排水器具を組み立てる工程と、該エルボ体の前記排水管接続口を前記排水管に接続して該排水器具をトイレルームの床面上に設置する工程と、洋風便器を、その排水口を該排水ソケットの前記便器排水口接続口に接続させつつトイレルームの床面上に据え付ける工程とを行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の型紙及び便器施工方法にあっては、施工現場でトイレルームの壁面からトイレルームの床面の排水管の軸心までの距離Dを測定する。そして、型紙のアジャスタ管寸法出し部を、その基準部をアジャスタ管の一端に揃えて配置し、この距離Dの測定値に対応した目盛りの位置においてアジャスタ管の他端側を切断する。これにより、アジャスタ管を容易に、現場寸法に合わせて丁度良い長さとすることができる。本発明においては、型紙のアジャスタ管寸法出し部に、この距離Dに対応したアジャスタ管の切断位置を示す目盛りが設けられているので、アジャスタ管の表面にこのような目盛りを設けることは不要である。これにより、洋風便器の機種によらず、アジャスタ管として汎用品を用いることが可能であり、洋風便器の機種に対応した専用のアジャスタ管を用意することが不要となるため、資材コストを低く抑えることができる。
【0022】
請求項2の通り、トイレルームの床面の排水管と洋風便器の排水口とを接続するように、アジャスタ管の長さ調節をした後、該アジャスタ管によって排水ソケットとエルボ体とを接続し、該エルボ体の排水管接続口を排水管に接続してトイレルームの床面に排水器具を据え付けた状態において、洋風便器の後方のトイレルームの壁面からアジャスタ管の排水ソケット側の端部までの距離をAとし、アジャスタ管のエルボ体側の端部から排水管接続口の軸心までの距離をBとした場合に、前記距離Dに対応する目盛りは、アジャスタ管寸法出し部がアジャスタ管の一端に基準部を揃えて配置された状態において、該基準部からアジャスタ管の他端側へ距離D−(A+B)だけ離隔した位置に配置されている。前述の通り、距離A,Bは、それぞれ洋風便器及び排水器具の設計値より求められる値であり、変数は距離Dのみである。よって、上記の通り、現場でトイレルームの壁面からトイレルームの床面の排水管の軸心までの距離Dを測定し、この距離Dの測定値に対応した目盛りの位置でアジャスタ管を切断することにより、アジャスタ管を現場寸法に合わせて丁度良い長さとすることができる。
【0023】
請求項3の型紙にあっては、アジャスタ管寸法出し部の外面には、少なくとも一部の目盛りに隣接して、当該目盛りが対応する距離Dを示す文字が記載されている。この数字から、現場で測定した距離Dに対応する目盛りを容易に読み取ることが可能である。
【0024】
請求項4の型紙にあっては、アジャスタ管寸法出し部は帯状のものであり、このアジャスタ管寸法出し部の長手方向の一端をアジャスタ管の一端に揃えて配置し、その長側辺に沿って設けられた目盛りを読んでアジャスタ管の寸法出しを行う。このように、アジャスタ管寸法出し部を物差しのように用いてアジャスタ管の寸法出しを行うことができるため、アジャスタ管寸法出し部の取り扱いが容易であり、アジャスタ管の寸法出しを容易に行うことができる。
【0025】
請求項5の型紙にあっては、型紙は、洋風便器の機種に応じて複数個のアジャスタ管寸法出し部を備えているので、適宜、新たに設置される洋風便器の機種に対応したアジャスタ管寸法出し部を用いることにより、1個の型紙で複数の機種の洋風便器に対応したアジャスタ管の寸法出しを行うことが可能である。
【0026】
請求項6の型紙にあっては、アジャスタ管寸法出し部の一端側に、洋風便器の機種に応じて該アジャスタ管寸法出し部の長さを調節するための目印線が設けられている。このアジャスタ管寸法出し部を用いてアジャスタ管の寸法出しを行う場合、洋風便器の機種に応じて、アジャスタ管寸法出し部の長さを変更せずに該アジャスタ管寸法出し部の一端をアジャスタ管の一端に揃えるか、あるいは、アジャスタ管寸法出し部の一端側を目印線に沿って切断したり折り曲げたりして該アジャスタ管寸法出し部の長さを変更してからアジャスタ管の一端に揃え、寸法出しを行う。このようにして適宜、新たに設置される洋風便器の機種に対応するようにアジャスタ管寸法出し部の長さを調節することにより、1個の型紙で複数の機種の洋風便器に対応したアジャスタ管の寸法出しを行うことが可能である。
【0027】
この場合、アジャスタ管寸法出し部の一端側に、洋風便器の機種に応じて複数個の目印線を設けることにより、1個の型紙により対応可能な洋風便器の機種を増やすことが可能である。
【0028】
請求項7の型紙にあっては、アジャスタ管寸法出し部によってアジャスタ管の寸法出しを行うだけでなく、便器固定部材位置決め部により、洋風便器をトイレルームの床面に固定するための便器固定部材の位置決めを行うことも可能である。
【0029】
請求項8の型紙にあっては、この便器固定部材位置決め部をトイレルームの床面に展延させる場合には、トイレルームの床面に据え付けられた排水器具をこの便器固定部材位置決め部の透孔に入り込ませ、この透孔の後縁を該排水器具の排水ソケットの後縁に揃えて配置する。これにより、便器固定部材位置決め部の位置決めが行われる。その後、この便器固定部材位置決め部の前端部の罫書き孔を介して、便器固定部材を固定するためのビス位置をトイレルームの床面に罫書き、この位置にビス打ちして便器固定部材をトイレルームの床面に固定する。この便器固定部材位置決め部は、トイレルームの床面に据え付けられた排水器具を用いて位置決めが行われているため、この便器固定部材位置決め部による便器固定部材の位置決めも精度良く行うことができる。
【0030】
請求項9の型紙にあっては、アジャスタ管寸法出し部と便器固定部材位置決め部とが分離可能となっているので、アジャスタ管の寸法出し作業時に便器固定部材位置決め部が邪魔になることがなく、また便器固定部材の位置決め作業時にアジャスタ管寸法出し部が邪魔になることもないので、アジャスタ管の寸法出し作業と便器固定部材の位置決め作業とを効率良く行うことができる。
【0031】
請求項10の型紙にあっては、アジャスタ管寸法出し部と前記便器固定部材位置決め部との間には、両者を分離させるための切り取り線が設けられているので、アジャスタ管寸法出し部と便器固定部材位置決め部とを容易に分離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施の形態に係る型紙の平面図である。
【図2】図1の型紙の分解斜視図である。
【図3】図1の型紙を用いて組み立てられてトイレルーム床面に設置された排水器具の縦断面図である。
【図4】便器施工方法の説明図である。
【図5】便器施工方法の説明図である。
【図6】便器施工方法の説明図である。
【図7】便器施工方法の説明図である。
【図8】便器施工方法の説明図である。
【図9】便器施工方法の説明図である。
【図10】別の実施の形態に係る型紙のアジャスタ管寸法出し部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0034】
第1図は実施の形態に係る型紙の平面図である。第2図は、この型紙のアジャスタ管寸法出し部と便器固定部材位置決め部との分解斜視図である。第3図は、この型紙を用いて組み立てられてトイレルーム床面に設置された排水器具の縦断面図であり、第5図(b)と同様の断面を示している。なお、第3図においては、排水ソケットの便器排水口接続口に取り付けられるゴムジョイントの図示が省略されている。第4図〜第9図は便器施工方法の説明図である。第4図は、洋風便器の後方のトイレルーム壁面から既設排水管の軸心までの距離を測定する工程を示す斜視図である。第5図は、アジャスタ管の寸法出しを行う工程を示しており、第5図(a)はアジャスタ管と型紙のアジャスタ管寸法出し部との斜視図であり、第5図(b)はアジャスタ管の上面にアジャスタ管寸法出し部を重ねた状態における該アジャスタ管の縦断面図(第5図(c)のB−B線断面図)であり、第5図(c)は、第5図(b)と同様状態における平面図である。第6図はアジャスタ管をエルボ体に接続する工程を示す斜視図である。第7図は、組み上がった排水器具をトイレルーム床面に設置する工程を示す斜視図である。第8図は、便器固定部材をトイレルーム床面に設置する工程を示しており、第8図(a)は排水器具及び便器固定部材の斜視図であり、第8図(b)は第8図(a)のB付近の平面図である。第9図は、洋風便器をトイレルーム床面に設置する工程を示しており、第9図(a)は洋風便器の部分透視斜視図であり、第9図(b)は便器固定部材の分解斜視図である。
【0035】
以下、前後方向、左右方向及び上下方向は、新たに据え付けられた洋風便器に着座した者にとっての前後方向、左右方向及び上下方向と一致する。
【0036】
第4図の通り、トイレルームの床面Fに既設の排水管1が設けられており、該排水管1の上端に既設のフランジ2が固着されている。このフランジ2から排水器具接続用のボルト3が立設されている。
【0037】
第9図(a)の通り、新しく据え付けられる洋風便器10は、台座スカート部11内の後部に下向きに排水口12が設けられている。洋風便器10の前部には便鉢13が設けられており、トラップ(図示略)を介して該排水口12に連通している。洋風便器10の後部上面にはロータンク設置部14が設けられている。
【0038】
この実施の形態では、第9図(a)の通り、洋風便器10は、その後端側がビス33によりトイレルーム床面Fに固定され、前端側が便器固定部材70によってトイレルーム床面Fに固定される。
【0039】
この実施の形態では、該便器固定部材70は、第9図(b)の通り、トイレルーム床面Fに取り付けられる床側部材71と、洋風便器10に取り付けられる便器側部材72と、該床側部材71と便器側部材72とを結合する結合部材73とを備えている。該便器側部材72は、洋風便器10の台座スカート部11の前端部内周面に接着やビス留め等の結合手段により結合されている。床側部材71は、後述の型紙40の便器固定部材位置決め部50により、該便器側部材72の真下に位置するように配置され、ビス74によってトイレルーム床面Fに固定される。なお、床側部材71のトイレルーム床面Fへの固定方法はこれに限定されない。結合部材73は、例えばブチルゴム等の粘着材料又は接着材料により構成されており、トイレルーム床面71に取り付けられた床側部材71の上面と、洋風便器10に取り付けられた便器側部材72の下面との間に配置され、これらを結合する。
【0040】
なお、洋風便器10をトイレルーム床面Fに固定するための便器固定部材70の構成はこれに限定されない。
【0041】
第3図の通り、この既設排水管1と便器排水口12とを導通するための排水器具20は、便器排水口12が上方から接続される排水ソケット21と、既設排水管1に上方から接続されるエルボ体22と、該排水ソケット21とエルボ体22とを接続する横引きのアジャスタ管23とを有している。
【0042】
排水ソケット21は、トイレルーム床面F上に重なるベースプレート24と、該ベースプレート24から立ち上がる筒部25と、該筒部25の上端に形成された便器排水口接続口26とを備えている。便器排水口接続口26には、この便器排水口接続口26と便器排水口12とを水密に接続するためのゴムジョイント27が取り付けられている。筒部25の上端部には、このゴムジョイント27の下端が係合するフランジ部25aが設けられている。このフランジ部25aは、便器排水口接続口26の周縁部を拡径させるようにして形成されている。ベースプレート24の上面には、該ベースプレート24の左右方向の中間位置を示す中間表示部24a(第8図(b))が設けられている。ベースプレート24の左右両端側には、前記ビス33が挿通されるビス挿通孔24bが設けられている。
【0043】
筒部25の下端側の前面に、アジャスタ管23の軸心線方向の一端(後端)が連なっている。この実施の形態では、第3図の通り、アジャスタ管23は、排水ソケット21と一体に構成されている。なお、アジャスタ管23を排水ソケット21と別体に構成してもよい。この場合、排水ソケット21の下端側の前面にアジャスタ管接続口を設け、このアジャスタ管接続口にアジャスタ管23の後端を差し込むようにしてアジャスタ管23を排水ソケット21に接続するようにしてもよい。なお、この場合、後述の型紙40のアジャスタ管寸法出し部41を用いてアジャスタ管23の寸法出しを行う場合には、単品状態(両端に排水ソケット21及びエルボ体22が接続されていない状態)のアジャスタ管23の一端(好ましくは排水ソケット21側の端部)にアジャスタ管寸法出し部41の後端41aを揃えて寸法出しを行う。
【0044】
この実施の形態では、アジャスタ管23は、排水ソケット21から前方へ向かって略水平に一直線状に延在している。切断前のアジャスタ管23の軸心線方向の全長は、種々の現場に対応できるように十分に長いものとなっている。
【0045】
この実施の形態では、アジャスタ管23は、その軸心線方向と直交方向の断面形状が横長の略楕円形状となっている。なお、アジャスタ管23の断面形状はこれに限定されない。第5図(b)の通り、アジャスタ管23は、前記フランジ部25aから下方に離隔して配置されており、このアジャスタ管23の上面とフランジ部25aの下面との間には、後述の型紙40のアジャスタ管寸法出し部41を差し込むのに十分な間隔が空いている。このアジャスタ管23とフランジ部25aとの間の筒部25の前面は、該アジャスタ管23の軸心線方向と略直交方向に延在した平坦面となっている。この実施の形態では、便器排水口接続口26からこの筒部25のアジャスタ管23よりも上側の前面(平坦面)までの距離と、該便器排水口接続口26からアジャスタ管23の後端までの距離とが等距離となっている。
【0046】
エルボ体22は、既設フランジ部2に上方から係合する取付プレート28と、該取付プレート28を上下方向に貫通した筒部29とを備えている。筒部29の取付プレート28よりも上側の部分は後方へ向かって曲成されており、その後端に、アジャスタ管23の軸心線方向の他端(前端)が差し込まれるアジャスタ管接続口30が形成されている。第3図の通り、筒部29の後端側の内周面には、該アジャスタ管接続口30に差し込まれたアジャスタ管23の前端が当接する段部29aが形成されている。
【0047】
筒部29の下端側は、取付プレート28の下面から下方に延出しており、この筒部29の下端に排水管接続口31(第3図)が形成されている。この排水管接続口31が既設フランジ2の内孔(即ち排水管1の上端側)に同軸状に係合する。取付プレート28には、既設フランジ2のボルト3が挿通されるボルト挿通孔28aが設けられている。このボルト挿通孔28aは、排水管接続口31の軸心を曲率中心として円弧状に湾曲した長孔状となっており、エルボ体22は、このボルト挿通孔28aに沿って回動可能に既設フランジ2に係合する。
【0048】
この実施の形態では、洋風便器10の施工に用いられる型紙40は、アジャスタ管23の寸法出しを行うためのアジャスタ管寸法出し部41(41A,41B,41C)と、便器固定部材70の位置決め行うための便器固定部材位置決め部50とを有している。この型紙40は、薄いシート状のものである。この型紙40を構成するシート状材料としては、例えば紙、合成樹脂などが挙げられるが、これに限定されない。この型紙40は、後述のようにアジャスタ管23の寸法出しに際して排水ソケット21の筒部25の前面に突き当てられたときに、容易には折れ曲がらない程度の剛性を有していることが好ましい。この型紙40の厚さは0.2〜0.8mmであることが好ましい。実施に際しては、例えば0.3mmの厚紙を使用して型紙40を構成する(ただし、型紙40の厚さ及び材料はこれに限定されない。)。この型紙40は、アジャスタ管23とは別体に構成されている。
【0049】
この実施の形態では、型紙40は、3種類の機種の洋風便器10にそれぞれ対応する3種類のアジャスタ管寸法出し部41A,41B,41Cを備えている。なお、型紙40に設けられるアジャスタ管寸法出し部41の種類は3種類に限定されるものではなく、1種類、2種類又は4種類以上のアジャスタ管寸法出し部41が設けられてもよい。
【0050】
前述の通り、一般的に、洋風便器10の後方のトイレルーム壁面Wと該洋風便器10の後面との間にどの程度の隙間を空けるかは、洋風便器10の機種によって予め決まっている。従って、既設排水管1と洋風便器10の排水口12とを導通するように排水器具20をトイレルーム床面Fに設置した状態における該トイレルーム壁面Wから排水ソケット21の便器排水口接続口26の軸心までの距離A(第3図)は、洋風便器10の機種と各部の設計値(洋風便器10の後面から便器排水口12の軸心までの距離や、この便器排水口12と便器排水口接続口26とを接続するゴムジョイント27の形状及び寸法等)を基に求めることができる。また、排水ソケット21の便器排水口接続口26の軸心から、この排水ソケット21に連なるアジャスタ管23の後端までの距離A(第3図)は、排水器具20の設計値から求めることができる。これらの距離A,Aの和A(第3図)が、既設排水管1と洋風便器10の排水口12とを導通するように排水器具20をトイレルーム床面Fに設置した状態におけるトイレルーム壁面Wからアジャスタ管23の後端までの距離となる。さらに、エルボ体22の排水管接続口31の軸心から、このエルボ体22に接続されたアジャスタ管23の前端(段部29a)までの距離B(第3図)も、排水器具20の設計値から求めることができる。
【0051】
よって、第3図の通り、排水器具20が洋風便器10の排水口12と既設排水管1とを導通した状態におけるアジャスタ管23の長さLは、洋風便器10の後方のトイレルーム壁面Wからアジャスタ管23の後端までの距離Aと、アジャスタ管23の前端からエルボ体22の排水管接続口31の軸心までの距離Bとの合計を引いた値(L=D−(A+B))となる。即ち、アジャスタ管23の長さLは、洋風便器10の後方のトイレルーム壁面Wから既設排水管1の軸心までの距離Dに応じて一次関数的に変化する。
【0052】
第2図及び第5図(a)〜(c)の通り、各アジャスタ管寸法出し部41は、細長い帯状となっている。この実施の形態では、各アジャスタ管寸法出し部41の長手方向の一端(後端)41aが、アジャスタ管23の後端を揃えるための基準部となっている。第1図及び第2図の通り、各アジャスタ管寸法出し部41の上面には、各々の両長側辺に沿って、洋風便器10の後方のトイレルーム壁面Wから既設排水管1の軸心までの距離Dに対応したアジャスタ管切断位置を示す目盛り42が設けられている。この実施の形態では、例えば、洋風便器10の後方のトイレルーム壁面Wから既設排水管1の軸心までの距離Dが450mmである場合には、各アジャスタ管寸法出し部41の後端41aから450−(A+B)mmに位置する目盛り42が、アジャスタ管23が丁度良い長さとなる切断位置を示している。第1図及び第2図の矢印43は、各アジャスタ管寸法出し部41の後端41a即ち基準部を示している。この実施の形態では、代表的な目盛り42には、それらが対応する距離Dを示す数字が記載されており、これらの数字から、現場で測定した距離Dに対応する目盛り42を読み取る。
【0053】
詳しくは、この実施の形態では、各アジャスタ管寸法出し部41には、各々の両長側辺に沿って1mmおきに目盛り42が設けられている。各アジャスタ管寸法出し部41の最後端の目盛り42は、各機種の洋風便器10における距離Dの下限値に対応しており、この目盛り42には、距離Dの下限値を示す数字(この実施の形態では、アジャスタ管寸法出し部41Aにおいては「200」、アジャスタ管寸法出し部41Bにおいては「235」、アジャスタ管寸法出し部41Cにおいては「210」との数字)が記載されている。また、各アジャスタ管寸法出し部41には、距離Dが300mmである場合、400mmである場合、500mmである場合に対応する各目盛り42に、それぞれ、これらが対応する距離Dを示す数字が記載されている。この実施の形態では、距離A+B+Lの上限値は、洋風便器10の機種によらず一定となっており、各アジャスタ管寸法出し部41の最前端の目盛り42は、この距離A+B+Lが上限値となるときの長さLに対応するものとなっている。なお、目盛り42の記載方法や、各目盛り42が対応する距離Dを示す数字の記載方法などは、これに限定されない。この実施の形態では、第1図の通り、アジャスタ管寸法出し部41A,41B,41Cは、全て同一長さとなっているが、それぞれ長さが異なっていてもよい。
【0054】
このアジャスタ管寸法出し部41を用いてアジャスタ管23の寸法出しを行う場合には、このアジャスタ管寸法出し部41の長手方向をアジャスタ管23の軸心線方向と平行方向とし、且つアジャスタ管寸法出し部41の後端41aをアジャスタ管23の後端に揃えて、アジャスタ管寸法出し部41をアジャスタ管23の外面に重ねる。この実施の形態では、排水ソケット21の便器排水口接続口26から筒部25のアジャスタ管23よりも上側の前面(平坦面)までの距離と、該便器排水口接続口26からアジャスタ管23の後端までの距離とが等距離となっているので、第5図(b)の通り、このアジャスタ管寸法出し部41をアジャスタ管23の上面に重ねて該アジャスタ管寸法出し部41の後端41aを排水ソケット21の筒部25の前面に突き当てることにより、このアジャスタ管寸法出し部41の後端41aを容易にアジャスタ管23の後端に揃えることができる。次に、第5図(c)の通り、現場で測定したトイレルーム壁面Wから既設排水管1の軸心までの距離Dに対応する目盛り42を読み取り、この目盛り42に合わせて切断予定線44をアジャスタ管23に罫書く。その後、この切断予定線44に沿ってアジャスタ管23を切断することにより、アジャスタ管23を現場寸法に合わせて丁度良い長さLとすることができる。
【0055】
この実施の形態では、第1図の通り、前記便器固定部材位置決め部50は、前後方向に長い略長方形の平面視形状となっている。この便器固定部材位置決め部50の中央には、前後方向に延在した切り抜き部(透孔)51が設けられている。この切り抜き部51は、第8図(a)の通り、アジャスタ管寸法出し部41によりアジャスタ管23を寸法出しして切断した後、このアジャスタ管23の前端側にエルボ体22を接続して該エルボ体22を既設フランジ2に装着した状態の排水器具20(以下、この状態の排水器具20を組み上がった状態の排水器具20と呼ぶ。)の全体を入り込ませることが可能な大きさとなっている。便器固定部材70の位置決め行う場合には、この切り抜き部51の内側に、組み上がった状態の排水器具20を入り込ませて便器固定部材位置決め部50をトイレルーム床面F上に展延させる。
【0056】
この実施の形態では、第8図(b)の通り、切り抜き部51の内側に入り込んだ排水ソケット21のベースプレート24の後縁に該切り抜き部51の後縁51aを当接させるようにして便器固定部材位置決め部50をトイレルーム床面F上に展延させる。これにより、便器固定部材位置決め部50の前後方向の位置決めが行われる。便器固定部材位置決め部50の後部上面には、この切り抜き部51の後縁51aを排水ソケット21のベースプレート24の後縁に揃えるための指示線52が設けられている。この指示線52は、切り抜き部51の後縁51aに沿って便器固定部材位置決め部50の上面の左端及び右端から左右方向中間付近まで一直線状に延在している。便器固定部材位置決め部50の後端部及び前端部の上面には、それぞれ、切り抜き部51の左右方向の中間を示す中間表示線53,54が設けられている。この中間表示線53を排水ソケット21のベースプレート24の中間表示部24aに揃えることにより、便器固定部材位置決め部50の左右方向の位置決めが行われる。
【0057】
第1図の通り、この便器固定部材位置決め部50の前端部上面の左右方向の中間付近には、便器固定部材70の床側部材71の設置位置を示す固定部材設置位置表示部55と、この固定部材設置位置において床側部材71をトイレルーム床面Fに固定するためのビス74の打ち込み位置を示す罫書き孔56とが記載されている。
【0058】
この実施の形態では、固定部材設置位置表示部55の左右両側に、それぞれ、前後方向に延在する切り取り線57が設けられている。固定部材設置位置表示部55の左側の切り取り線57の後端は、切り抜き部51の前縁51bと切り抜き部51の左辺とが交わるコーナー部に連なっており、固定部材設置位置表示部55の右側の切り取り線57の後端は、切り抜き部51の前縁51bと切り抜き部51の右辺とが交わるコーナー部に連なっている。即ち、各切り取り線57は、切り抜き部51の左右の側辺を前方に延長した延長線上に延設されている。各切り取り線57の前端は、便器固定部材位置決め部50の前端縁よりも後方に位置している。各切り取り線57に沿って便器固定部材位置決め部50を切断することにより、第8図(a)の通り、切り抜き部51の前縁51b側をフラップ状に前方へ捲り返すことができるようになっている。
【0059】
各切り取り線57は、例えば作業者が手で各切り取り線57に沿って便器固定部材位置決め部50を切断することができるように、ミシン目等により容易に切断可能に構成されていてもよい。なお、各切り取り線57の構成はこれに限定されるものではない。例えば、各切り取り線57は、単に便器固定部材位置決め部50の上面に線が引いてあるだけのものであってもよい。
【0060】
この実施の形態では、切り抜き部51の前縁51bと便器固定部材位置決め部50の前端縁との間に、左右方向に延在する折り線58,59が設けられている。この実施の形態では、前後方向に間隔を空けて2条の折り線58,59が設けられている。後側の折り線58は、切り抜き部51の前縁51bと罫書き孔56との間に設けられており、前側の折り線59は、該罫書き孔56と便器固定部材位置決め部50の前端縁との間に設けられている。後側の折り線58の左右両端は、それぞれ、各切り取り線57の前後方向の途中部に連なっており、前側の折り線59の左右両端は、各切り取り線57の前端に連なっている。
【0061】
各折り線58,59は、切り抜き部51の前縁51b側をこれらに沿って容易に折り返すことができるように、各切り取り線57よりも破断強度が大きい(切り込み長さや深さが小さい)ミシン目や、便器固定部材位置決め部50の上面又は下面あるいは上下両面に設けられた浅溝等により構成されていてもよい。なお、各折り線58,59の構成はこれに限定されるものではない。例えば、各折り線58,59は、単に、便器固定部材位置決め部50の上面に線が引いてあるだけのものであってもよい。
【0062】
この実施の形態では、各アジャスタ管寸法出し部41(41A,41B,41C)と、便器固定部材位置決め部50とは、1枚のシートにより一体に形成されている。
【0063】
この実施の形態では、第1図の通り、便器固定部材位置決め部50の切り抜き部51の内側に各アジャスタ管寸法出し部41が配置されている。各アジャスタ管寸法出し部41は、それぞれ、長手方向を前後方向とし、且つ各々の長手方向の両端同士を揃えて配置されている。切り抜き部51内において、アジャスタ管寸法出し部41Aが該切り抜き部51の左辺に沿って配置され、アジャスタ管寸法出し部41Bがその右側に配置され、アジャスタ管寸法出し部41Cがさらにその右側に配置されている。左側のアジャスタ管寸法出し部41Aの左側の長側辺が切り抜き部51の左辺に連なり、このアジャスタ管寸法出し部41Aの右側の長側辺に中央のアジャスタ管寸法出し部41Bの左側の長側辺が連なり、このアジャスタ管寸法出し部41Bの右側の長側辺に右側のアジャスタ管寸法出し部41Cの左側の長側辺が連なっている。この実施の形態では、右側のアジャスタ管寸法出し部41Cと切り抜き部51の右辺との間には余白部45が設けられており、このアジャスタ管寸法出し部41Cの右側の長側辺に余白部45の左端が連なり、この余白部45の右端が切り抜き部51の右辺に連なっている。各アジャスタ管寸法出し部41及び余白部45の前後両端は、それぞれ、切り抜き部51の後縁51a及び前縁51bから離隔している。なお、各アジャスタ管寸法出し部41の配置はこれに限定されない。
【0064】
切り抜き部51の左辺とアジャスタ管寸法出し部41Aとの間、アジャスタ管寸法出し部41A,41B同士の間、アジャスタ管寸法出し部41B,41C同士の間、アジャスタ管寸法出し部41Cと余白部45との間、並びに余白部45と切り抜き部51の右辺との間には、それぞれ、これらを第2図のように分離させるための切り取り線60,61,62,63,64(第1図)が設けられている。各切り取り線60〜64は、例えば作業者が手で各切り取り線60〜64に沿って便器固定部材位置決め部50と各アジャスタ管寸法出し部41A,41B,41Cと余白部45とを切り離すことができるように、ミシン目等により容易に切断可能に構成されていてもよい。なお、切り取り線60〜64の構成はこれに限定されるものではない。例えば、各切り取り線60〜64は、単に型紙40の上面に線が引いてあるだけのものであってもよい。
【0065】
このように構成された型紙40を用いた洋風便器10の設置施工手順について次に説明する。
【0066】
まず、第2図のように、便器固定部材位置決め部50から各アジャスタ管寸法出し部41A,41B,41C及び余白部45を各切り取り線60,64に沿って切り離すと共に、これらのアジャスタ管寸法出し部41A,41B,41C同士と余白部45とを各切り取り線61〜63に沿って切り離す。
【0067】
次に、第4図の通り、施工現場の洋風便器10の後方のトイレルーム壁面Wから既設排水管1の軸心までの距離Dを測定する。そして、この距離Dの測定値に基き、アジャスタ管寸法出し部41A,41B,41Cのうち、これから設置される洋風便器10の機種に対応したアジャスタ管寸法出し部41を用いてアジャスタ管23の寸法出しを行う。即ち、この実施の形態では、前述の通り、このアジャスタ管寸法出し部41の長手方向をアジャスタ管23の軸心線方向と平行方向として該アジャスタ管寸法出し部41をアジャスタ管23の上面に重ね合わせ、このアジャスタ管寸法出し部41の後端41aを排水ソケット21の筒部25の前面に突き当てる(第5図(b))。そして、距離Dの測定値に対応する目盛り42を読み取り、この目盛り42に合わせて切断予定線44をアジャスタ管23に罫書く(第5図(c))。その後、この切断予定線44に沿ってアジャスタ管23を切断する。これにより、アジャスタ管23の長さLは、この現場において丁度良い寸法となる。
【0068】
次に、6図の通り、このアジャスタ管23の前端側に接着剤32を塗り、このアジャスタ管23の前端側をエルボ体22のアジャスタ管接続口30に差し込む。これにより、排水ソケット21、アジャスタ管23及びエルボ体22が一体となった排水器具20が組み上がる。
【0069】
次に、エルボ体22の筒部29の下端にガスケット29b(第3,7図)を装着し、このエルボ体22を既設フランジ2に被装して排水器具20をトイレルーム床面F上に仮置きし、排水ソケット21のベースプレート24の各ビス挿通孔24bの位置をトイレルーム床面Fに罫書き、この位置にビス33を打ち込むための下穴を開ける。その後、第7図の通り、ワッシャ34及び各ビス挿通孔24bを介してこの下穴にビス33を打ち込み、排水ソケット21のベースプレート24をトイレルーム床面Fに固定する。また、エルボ体22のボルト挿通孔28aに挿通された既設フランジ2のボルト3にワッシャ36を介してナット36を締め付け、エルボ体22を既設フランジ2に固定する。
【0070】
次に、第8図(a)の通り、便器固定部材位置決め部50を、切り抜き部51の内側に排水器具20を入り込ませてトイレルーム床面F上に平たく広げる。そして、第8図(b)の通り、便器固定部材位置決め部50の後部の中間表示線53を排水ソケット21のベースプレート24の中間表示部24aに揃え、切り抜き部51の後縁51aを該ベースプレート24の後縁に当接させる。この際、切り抜き部51の前縁51bがエルボ体22の取付プレート28に重なる場合には、第8図(a)の通り、各切り取り線57に沿ってこの切り抜き部51の前縁51bの左右両側を切断し、折り線58に沿って該前縁51bを前方へ折り返す。これにより、排水器具20の全体が切り抜き部51の内側に納まるようになる。
【0071】
次に、この便器固定部材位置決め部50の前端側の罫書き孔56を介して、便器固定部材70の床側部材71を固定するためのビス74の打ち込み位置をトイレルーム床面Fに罫書く。その後、便器固定部材位置決め部50を撤去し、ワッシャ75を介してビス74により便器固定部材70の床側部材71をトイレルーム床面Fに固定する。この床側部材71の上面に結合部材73を取り付けておく。
【0072】
その後、第9図(a)の通り、洋風便器10を排水器具20の上方に配置し、この洋風便器10の排水口12を排水ソケット21のゴムジョイント27に差し込みつつ、洋風便器10をトイレルーム床面Fに降下させる。この際、該洋風便器10の後部のビス挿通孔10aにビス33の上端側を挿通すると共に、洋風便器10の台座スカート部11の前端部の内側に取り付けられた便器固定部材70の便器側部材72を結合部材73の上に重ねて下方に押し付ける。これにより、結合部材73を介して便器側部材72が床側部材71に結合され、洋風便器10の前部側がトイレルーム床面Fに固定される。洋風便器10の後部にあっては、ビス33が洋風便器10の後部を貫通して上方に突出している。このビス33にワッシャ(図示略)を介してナット(図示略)を締め込むことにより、洋風便器10の後部が固定される。このビス33には化粧キャップ(図示略)が被着される。
【0073】
これにより、洋風便器10の設置が完了する。
【0074】
この洋風便器10の施工方法に用いられる型紙40は、トイレルーム壁面Wから既設排水管1の軸心までの距離Dに対応したアジャスタ管23の切断位置を示す目盛り42が設けられたアジャスタ管寸法出し部41を備えている。従って、このアジャスタ管寸法出し部41を用いてアジャスタ管23の寸法出しを行うことにより、アジャスタ管23自体に目盛りが設けられていなくても、トイレルーム壁面Wから既設排水管1の軸心までの距離Dに応じて容易にアジャスタ管23を丁度よい長さLに寸法出しすることができる。よって、この型紙40を用いることにより、洋風便器10の機種によらず、アジャスタ管23として汎用品を用いることが可能であり、洋風便器10の機種に対応した専用のアジャスタ管23を用意することが不要となるため、資材コストを低く抑えることができる。
【0075】
この実施の形態では、各アジャスタ管寸法出し部41は帯状のものであり、上記の通り、このアジャスタ管寸法出し部41の後端41aをアジャスタ管23の後端に揃えて配置し、その長側辺に沿って設けられた目盛り42を読んでアジャスタ管23の寸法出しを行う。このように、アジャスタ管寸法出し部41を物差しのように用いてアジャスタ管23の寸法出しを行うことができるため、アジャスタ管寸法出し部41の取り扱いが容易であり、アジャスタ管23の寸法出しを容易に行うことができる。
【0076】
この実施の形態では、型紙40は、洋風便器10の機種に応じて複数個(この実施の形態では3個)のアジャスタ管寸法出し部41A,41B,41Cを備えているので、適宜、新たに設置される洋風便器10の機種に対応したアジャスタ管寸法出し部41A,41B又は41Cを用いることにより、1個の型紙40で複数の機種(この実施の形態では3種)の洋風便器10に対応したアジャスタ管23の寸法出しを行うことが可能である。
【0077】
この実施の形態では、型紙40は、アジャスタ管寸法出し部41だけでなく便器固定部材位置決め部50も備えているため、1個の型紙40により、アジャスタ管23の寸法出しと、便器固定部材70の位置決めの双方を行うことが可能である。
【0078】
この実施の形態では、この便器固定部材位置決め部50をトイレルーム床面Fに展延させる場合には、トイレルーム床面Fに据え付けられた排水器具20をこの便器固定部材位置決め部50の切り抜き部51に入り込ませ、この切り抜き部51の後縁51aを排水ソケット21のベースプレート24の後縁に揃えて配置する。これにより、便器固定部材位置決め部50の位置決めが行われる。その後、この便器固定部材位置決め部50の前端部の罫書き孔56を介して、便器固定部材70の床側部材71を固定するためのビス位置をトイレルーム床面Fに罫書き、この位置にビス74を打ち込んで床側部材71をトイレルーム床面Fに固定する。この便器固定部材位置決め部50は、トイレルーム床面Fに据え付けられた排水器具20の排水ソケット21を用いて位置決めが行われているため、この便器固定部材位置決め部50による便器固定部材70の位置決めも精度良く行うことができる。
【0079】
この実施の形態では、各アジャスタ管寸法出し部41と便器固定部材位置決め部50とが分離可能となっているので、アジャスタ管23の寸法出し作業時に便器固定部材位置決め部50が邪魔になることがなく、また便器固定部材70の位置決め作業時に各アジャスタ管寸法出し部41が邪魔になることがないので、アジャスタ管23の寸法出し作業と便器固定部材70の位置決め作業とを効率良く行うことができる。
【0080】
この実施の形態では、アジャスタ管寸法出し部41Aと便器固定部材位置決め部50との間、アジャスタ管寸法出し部41A,41B同士の間、アジャスタ管寸法出し部41B,41C同士の間、アジャスタ管寸法出し部41Cと余白部45との間、並びに余白部45と便器固定部材位置決め部50との間にそれぞれ切り取り線60〜64が設けられているので、これらを容易に分離させることができる。
【0081】
この実施の形態では、各切り取り線60〜64はミシン目よりなるため、各アジャスタ管寸法出し部41A,41B,41C,余白部45及び便器固定部材位置決め部50をこのミシン目に沿って手などで簡単に切り離すことができる。
【0082】
第10図は、別の実施の形態に係る型紙のアジャスタ管寸法出し部の平面図である。
【0083】
この実施の形態では、アジャスタ管寸法出し部41Dは、1個で3種類の機種の洋風便器10に対応することができるように構成されている。この実施の形態では、アジャスタ管寸法出し部41Dの後端側の上面に、このアジャスタ管寸法出し部41Dの後端41a(基準部)から目盛り42までの長さを調節するための目印線46(46a,46b)が設けられている。この実施の形態では、アジャスタ管寸法出し部41Dの長手方向に所定の間隔をおいて2個の目印線46a,46bが設けられている。各目印線46a,46bは、それぞれアジャスタ管寸法出し部41Dの長手方向と直交方向に延在している。アジャスタ管寸法出し部41Dの後端41a(以下、アジャスタ管寸法出し部41Dの最後端41aという。)及び各目印線46a,46bから共通の目盛り42までの距離は、それぞれ、対応する洋風便器10の機種に応じて設定されている。なお、目印線46の個数は2個に限定されるものではなく、1個又は3個以上設けられてもよい。目印線46の個数が増えるほど、1個のアジャスタ管寸法出し部41Dによって対応しうる洋風便器10の機種も増える。
【0084】
このアジャスタ管寸法出し部41Dは、洋風便器10の機種に応じて、その最後端41aをアジャスタ管23の後端に揃えて該アジャスタ管23の寸法出しを行うか、該アジャスタ管寸法出し部41Dの後端側を目印線46a又は46bに沿って切断又は折り曲げしてからアジャスタ管23の後端に揃えて該アジャスタ管23の寸法出しを行う。これにより、洋風便器10の機種に応じてアジャスタ管23の後端に揃える基準部の位置が変わるため、洋風便器10の機種が異なっても、共通の目盛り42によってアジャスタ管23の寸法出しを行うことが可能である。
【0085】
なお、第10図の符号47aは、アジャスタ管寸法出し部41Dの後端側を目印線46aに沿って切断又は折り曲げしてからアジャスタ管23の後端に揃えて該アジャスタ管23の寸法出しを行う場合のアジャスタ管23の長さLの上限値を示す線であり、符号47bは、アジャスタ管寸法出し部41Dの後端側を目印線46bに沿って切断又は折り曲げしてからアジャスタ管23の後端に揃えて該アジャスタ管23の寸法出しを行う場合のアジャスタ管23の長さLの上限値を示す線であり、符号47cは、アジャスタ管寸法出し部41Dの最後端41aをアジャスタ管23の後端に揃えて該アジャスタ管23の寸法出しを行う場合のアジャスタ管23の長さLの上限値を示す線である。
【0086】
このアジャスタ管寸法出し部41Dのその他の構成は、前述の実施の形態のアジャスタ管寸法出し部41A〜41Cと同様である。前述の実施の形態の型紙40において、アジャスタ管寸法出し部41A,41B,41Cの代わりに、このアジャスタ管寸法出し部41Dを設ける場合には、例えば、アジャスタ管寸法出し部41Aの位置にこのアジャスタ管寸法出し部41Dに配置し、アジャスタ管寸法出し部41B,41Cを省略して余白部45とするように構成してもよい。なお、アジャスタ管寸法出し部41Dを備えた型紙40の構成はこれに限定されない。
【0087】
以上の通り、このアジャスタ管寸法出し部41Dにあっては、適宜、新たに設置される洋風便器10の機種に応じて、その最後端41aをアジャスタ管23の後端に揃えるか、あるいはその後端側を各目印線46a,46bに沿って切断又は折り曲げしてからアジャスタ管23の後端に揃えることにより、1個の該アジャスタ管寸法出し部41Dによって複数の機種(この実施の形態では3種)の洋風便器10に対応したアジャスタ管23の寸法出しを行うことが可能である。
【0088】
このアジャスタ管寸法出し部41Dのその他の作用効果は、前述の実施の形態における各アジャスタ管寸法出し部41A,41B,41Cと同様である。
【0089】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の態様とされてもよい。
【0090】
例えば、上記の実施の形態では、型紙40は、アジャスタ管23の寸法出しを行うためのアジャスタ管寸法出し部41と、便器固定部材70の位置決めを行うための便器固定部材位置決め部50とを備えているが、アジャスタ管寸法出し部41のみを備えたものであってもよい。
【0091】
第10図のアジャスタ管寸法出し部41Dは、洋風便器10の機種に応じて基準部(後端)の位置を調節することにより、洋風便器10の機種が異なっても共通の目盛り42によってアジャスタ管23の寸法出しを行うように構成しているが、これとは逆に、洋風便器10の機種に応じてアジャスタ管寸法出し部41Dの後端41aからの距離が異なる複数の目盛り42を並列に設け、洋風便器10の機種が異なっても共通の基準部にアジャスタ管23の後端を揃えてアジャスタ管23の寸法出しを行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 既設排水管
2 既設フランジ
3 ボルト
10 洋風便器
12 排水口
20 排水器具
21 排水ソケット
22 エルボ体
23 アジャスタ管
24 ベースプレート
25 筒部
26 便器排水口接続口
27 ゴムジョイント
28 取付プレート
29 筒部
30 アジャスタ管接続口
31 排水管接続口
40 型紙
41(41A,41B,41C),41D アジャスタ管寸法出し部
42 目盛り
44 切断予定線
46 目印線
50 便器固定部材位置決め部
51 切り抜き部
55 固定部材設置位置表示部
56 罫書き孔
60,61,62,63,64 切り取り線
70 便器固定部材
71 床側部材
72 便器側部材
73 結合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレルームの床面の排水管と洋風便器の排水口との位置がずれる場合に、
該排水口が接続される便器排水口接続口を有した排水ソケットと、
該排水管に接続される排水管接続口を有したエルボ体と、
該排水ソケットとエルボ体とを接続する横引きのアジャスタ管と
を有する排水器具によって該排水管と排水口とを接続する便器施工に用いられる型紙であって、
該アジャスタ管の長さ調節のための寸法出しを行うためのアジャスタ管寸法出し部を備えた型紙において、
該アジャスタ管寸法出し部は、
該アジャスタ管の一端に揃えられる基準部と、
該アジャスタ管寸法出し部が該アジャスタ管の該一端に該基準部を揃えて配置された状態において、トイレルームの壁面から前記排水管の軸心までの距離Dに対応した該アジャスタ管の他端側の切断位置を示す目盛りと
を有していることを特徴とする型紙。
【請求項2】
請求項1において、前記排水管と洋風便器の排水口とを接続するように、前記アジャスタ管の長さ調節をした後、該アジャスタ管によって前記排水ソケットとエルボ体とを接続し、前記排水管接続口を該排水管に接続してトイレルームの床面に前記排水器具を据え付けた状態において、
洋風便器の後方のトイレルームの壁面から該アジャスタ管の該排水ソケット側の端部までの距離をAとし、
該アジャスタ管の該エルボ体側の端部から該排水管接続口の軸心までの距離をBとした場合に、
前記距離Dに対応する前記目盛りは、前記アジャスタ管寸法出し部が該アジャスタ管の前記一端に前記基準部を揃えて配置された状態において、該基準部から該アジャスタ管の前記他端側へ距離D−(A+B)だけ離隔した位置に配置されていることを特徴とする型紙。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記目盛りは、前記アジャスタ管寸法出し部が前記アジャスタ管の一端に前記基準部を揃えて配置された状態において、該アジャスタ管の延在方向に間隔を空けて複数個設けられており、
該アジャスタ管寸法出し部の外面には、少なくとも一部の目盛りに隣接して、当該目盛りが対応する距離Dを示す文字が記載されていることを特徴とする型紙。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記アジャスタ管寸法出し部は帯状のものであり、その長手方向の一端が前記基準部となっており、該一端を前記アジャスタ管の前記一端に揃えて配置されるものであり、
該アジャスタ管寸法出し部の長側辺に沿って前記目盛りが設けられていることを特徴とする型紙。
【請求項5】
請求項4において、該型紙は、洋風便器の機種に応じて複数個の前記アジャスタ管寸法出し部を備えていることを特徴とする型紙。
【請求項6】
請求項4において、前記アジャスタ管寸法出し部の前記一端側に、洋風便器の機種に応じて該アジャスタ管寸法出し部の長さを調節するための目印線が設けられていることを特徴とする型紙。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、該型紙は、さらに、洋風便器をトイレルームの床面に固定するための便器固定部材の位置決めを行うための便器固定部材位置決め部を備えていることを特徴とする型紙。
【請求項8】
請求項7において、前記便器固定部材位置決め部は、トイレルームの床面の洋風便器設置予定位置に展延されるものであり、
該便器固定部材位置決め部は、トイレルームの床面に据え付けられた前記排水器具を受け入れ可能な透孔を有しており、
便器固定部材位置決め部は、該透孔の後縁を該排水器具の前記排水ソケットの後縁に揃えて配置されるように構成されており、
該便器固定部材位置決め部の前端部に、前記便器固定部材をトイレルームの床面に固定するためのビス位置を示す罫書き孔が設けられていることを特徴とする型紙。
【請求項9】
請求項7又は8において、前記アジャスタ管寸法出し部と前記便器固定部材位置決め部とは、分離可能に連結されていることを特徴とする型紙。
【請求項10】
請求項9において、前記アジャスタ管寸法出し部と前記便器固定部材位置決め部との間には、両者を分離させるための切り取り線が設けられていることを特徴とする型紙。
【請求項11】
トイレルームの床面の排水管と洋風便器の排水口の位置がずれる場合に、
該排水口が接続される便器排水口接続口を有した排水ソケットと、
該排水管に接続される排水管接続口を有したエルボ体と、
該排水ソケットとエルボ体とを接続する横引きのアジャスタ管と
を有する排水器具によって該排水管と排水口とを接続した後、該洋風便器の据え付けを行うようにした便器施工方法において、
トイレルームの壁面から前記排水管の軸心までの距離Dを測定する工程と、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の型紙の前記アジャスタ管寸法出し部を、前記基準部を該アジャスタ管の一端に揃えて配置し、該距離Dに対応した前記目盛りの位置において該アジャスタ管の他端側を切断する工程と、
該アジャスタ管により前記排水ソケットとエルボ体とを接続して前記排水器具を組み立てる工程と、
該エルボ体の前記排水管接続口を前記排水管に接続して該排水器具をトイレルームの床面上に設置する工程と、
洋風便器を、その排水口を該排水ソケットの前記便器排水口接続口に接続させつつトイレルームの床面上に据え付ける工程と
を行うことを特徴とする便器施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−190609(P2011−190609A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57603(P2010−57603)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】