説明

埋め込み可能なMRI適合刺激リード及びアンテナ並びに関連するシステム及び方法

【課題】MRI適合性の埋め込み可能な脳深部電気刺激及び/又は埋め込み可能な交感神経鎖刺激リードを提供する。
【解決手段】体内医用刺激プローブ20は、少なくとも1つの刺激電極25がその先端部に配置されてなる細長いリード41を含む。プローブは、少なくとも1つの電極よりも前側でリードの軸方向に延びるシールド層上及び/又はシールド層内に配置されて誘導RF電流がシールド層に沿って生成する及び/又は移動することを抑制する複数の軸方向に離間するRFチョークを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府資金
本発明の一部は、国立健康機関による認可番号HL57483の下で米国政府の支援によって行なわれた。米国政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【0002】
関連出願
本出願は、2004年8月9日に提出された米国仮特許出願第60/600,020号及び2004年9月9日に提出された米国仮特許出願第60/608,195号に対する優先権の利益を主張しており、これらの仮特許出願の内容は、参照することによりあたかもここに十分に記載されているように本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の分野
本発明は、介入医療用リードに関し、MRI適合性の埋め込み可能な脳深部電気刺激(「DBS」)及び/又は埋め込み可能な交感神経鎖刺激リードにおいて特に適している。
【背景技術】
【0004】
脳深部電気刺激法(DBS)は、例えば、慢性疼痛、パーキンソン病又は発作及び他の医学的状態を患う患者の脳神経外科処置において許容できる治療モダリティになってきている。交感神経鎖及び/又は脊髄等の内部刺激を使用する他の電気刺激治療も実行され或いは提案されてきた。
【0005】
従来技術のDBSシステムの1つの例は、Medtronic社のActiva(登録商標)システムである。Activa(登録商標)システムは、患者の胸腔内に位置される埋め込み可能なパルス発生刺激装置と、神経組織中に配置される電極と共に埋め込まれる軸方向に離間された電極を有するリードとを含む。リードは、電極とパルス発生器とを接続する脳から胸腔までのトンネル表層である。これらのリードは、リードの全長にわたって延び且つ胸腔内に配置されたパルス発生器に接続する導体に対して接続される複数の露出電極を先端部に有することができる。
【0006】
機能MRIは、心疾患、神経疾患及び/又は他の疾患を評価するために使用できるイメージングモダリティである。刺激デバイス及びリードが埋め込まれた患者においては、MRIを使用することが望ましい場合がある。しかしながら、現在利用可能なリードシステムは、磁気共鳴イメージング(MRI)環境下での使用に適さない場合がある。例えば、装置がMRIに適合していない、すなわち、装置がMRI画像を歪めるおそれがある強磁性材料を含む場合がある。また、現在利用可能なリード/プローブ/ケーブルシステムは、望ましくない誘導RF及び/又はAC電流及び/又は組織の局部加熱の影響を受けやすいかもしれない。例えば、Medtronic社のActiva(登録商標)装置は、MRIイメージングが、ボディコイルを使用することなく、すなわち、RF励起パルスを伝えるための加熱コイルのみを使用して、1.5Tマグネット内で実行されることを推奨している。また、3Tシステム等の更に高い磁場がMRIインメージングにおいて更に一般的となるにつれて、望ましくないRF蓄積の問題が増大する場合がある(RFパルスはより短い波長を有する)。
【0007】
特定の医療処置の臨床結果、特に、DBSを使用した臨床結果は、標的組織と接触する電極の正確な位置選定に依存していると考えられている。例えば、現在、パーキンソンの震えを治療するため、脳の視床部位へ信号を伝える電極と共にDBSプローブが神経組織内に配置される。しかしながら、これらの装置が埋め込まれた患者の約30%において、装置/処置の臨床効果が最適な状態を下回ることが報告された。これは、頭蓋組織又は神経組織に対するリード/プローブ/電極の不正確な/不明確な配置に起因している場合がある。
【0008】
RF/マイクロ波ジアテルミー処置等の他の非MRI用途は、組織を焼灼するために交流を用いるリードを使用する可能性がある。治療中に供給されるジアテルミー交流は約1KHz−350MHzの範囲となりえる。特定の状況において、リードシステムは、リードが露出される局部組織中で電流を拾い上げて蓄積するアンテナとしての機能を果たす場合があり、それにより、SARすなわち特異吸着率(身体により吸収される高周波(RF)エネルギの量を測定する方法)を高める可能性があり好ましくない。
【0009】
以上にもかかわらず、依然として、代わりの医用リード構造が必要である。
【発明の概要】
【0010】
本発明の幾つかの実施形態は治療リードシステムを提供する。リードシステムは、RFチョーク及び/又は誘導電流耐性リードを含んでもよい。リードシステムは、内部MRI受信アンテナ及び少なくとも1つの刺激電極を設けるように構成された埋め込み可能なMRI適合汎用リードシステムであってもよい。
【0011】
リードは、本体の長さが10cmを超える比較的長い埋め込み可能なリードであってもよい。少なくとも1つの電極が複数の電極であってもよく、その場合、少なくとも1つの電極は、記録電極及び/又は記録・刺激電極及び/又は切除電極である。
【0012】
デバイスは、集積MRI受信アンテナを使用する高精度な配置及び電極を使用する刺激を行なうことができる汎用リードシステムであってもよい。リードシステムは、対向する先端部及び基端部を有することができ、基端部は、リード配置中に被検体の外側に位置するように構成することができる。幾つかの実施形態において、基端部は、MRIインタフェース又は埋め込み可能なパルス発生器のいずれかに対して取り外し可能に取り付けることができる。基端部はコネクタに統合することができる。先端部は、複数の刺激電極及びMRIアンテナを備える。
【0013】
特定の実施形態は、(a)その先端上に配置された少なくとも1つの刺激電極を有する細長いリードと、(b)少なくとも1つの電極よりも前側でリードの軸方向に延びるシールド層上及び/又はシールド層内に配置されて、誘導RF電流がシールド層に沿って生成する及び/又は移動することを抑制する複数の軸方向に離間するRFチョークとを含む、生体内医用刺激プローブに関する。
【0014】
リードは柔軟なリードであってもよく、少なくとも1つの電極が複数の離間した電極であってもよい。リードは、リードのコア内に保持された複数の導体を各電極にそれぞれ1つずつ含むことができる。シールド層は、不連続であってもよく、また、リードの少なくとも主要な長さにわたって導体を取り囲み且つ電極よりも前側のリード位置で終端するように構成することができる。プローブは、複数の電極を有するコアを取り囲む軸方向に延びる一次内側シールドを含むことができる。不連続なシールド層は、内側一次シールド層上にわたって配置された略円筒状の二次シールド層であってもよい。一次及び二次シールド層の両方が電極よりも前側のリードの位置において終端している。
【0015】
他の実施形態は、継続的に埋め込み可能な脳深部刺激・MRIイメージングプローブシステムに関する。システムは、(a)局部生体内MRI信号を内部で受けるために軸方向に延びる径方向に離間した第1及び第2のシールド層を有するMRIアンテナを備えるMRI適合長尺リードと、(b)動作時に脳深部神経組織に対する刺激パルスを生成するように構成されたリードの先端部に保持された少なくとも1つの電極と、(c)少なくとも1つの電極と通信する刺激回路と、(d)MRIアンテナと通信するMRI信号受信回路と、(e)刺激回路及び受信回路と通信し、MRI受信回路又は刺激回路のいずれかを電気的に接続するためのスプリッタ回路と、(f)リードの第2のシールド層上のRF誘導電流を抑制するための手段とを含む。
【0016】
更なる他の実施形態はMRI適合脳深部刺激・イメージングプローブシステムに関する。システムは、(a)対向する基端部及び先端部を有し、先端部に配置される複数の電極を備える柔軟な細長いプローブ本体と、(b)プローブ本体のコア内に配置され、各電極に対して1つずつ関連付けられた複数の軸方向に延びる導体と、(c)導体の少なくとも主要な長さ部分にわたって複数の導体を取り囲む軸方向に延びる内側シールドと、(d)内側シールドから径方向に離間した軸方向に延びる第2のシールドと、(e)内側シールドと第2のシールドとの中間に配置された軸方向に延びる第1の絶縁/誘電体層と、(f)その先端部でプローブ本体により保持されたMRIアンテナと、(g)MRIアンテナと通信するRF送信デカップリング回路と、(h)プローブ本体の基端部に取り付けられ、各電極のための導体送信ラインを保持するように構成された少なくとも1つのコネクタとを含む。
【0017】
更に他の実施形態は医療用キットに関する。キットは、対向する先端部及び基端部を有する細長い殺菌された生体適合性のあるMRI適合リードを含む。リードは、MRIアンテナと、先端部上の複数の刺激電極と、リードのシールド層中に配置された複数の軸方向に離間するRFチョークとを含む。リードは、第1及び第2の動作モードに関連する選択的に有効な第1及び第2の電気送信経路を有するように構成されている。第1の送信経路は、MRI動作中にMRIアンテナをMRIスキャナに接続して電極を切り離し、第2の送信経路は、電気刺激又は記録中に電極を刺激源又は記録源に接続する。
【0018】
更なる実施形態は、脳深部刺激プローブを配置して動作させる方法に関する。方法は、(a)MRIアンテナ及びその先端部上の少なくとも1つの刺激電極を備える柔軟な細長いリードを被検体の脳内に挿入するステップと、(b)少なくとも2つの異なる電気送信経路、すなわち、MRI動作のための第1の電気送信経路と刺激動作のための第2の電気送信経路とを有するスプリッタ回路と通信するMRIスキャナインタフェースに対してリードを接続するステップと、(c)MRIアンテナに近い局部神経組織に関連するMRI信号をMRIアンテナから第1の送信経路を使用して取得するステップと、(d)前記取得ステップからのデータに基づいて脳内の所望の位置にリード上の電極を配置するステップと、(e)第2の送信経路を使用して電極により神経組織を刺激するステップと、(f)RF誘導電流の生成及び/又は送信を抑制するようにリードを構成するステップとを含む。前記刺激するステップ及び前記取得するステップは、同じリードを使用して実行される。
【0019】
他の実施形態は、MRIアンテナを有する汎用MRI適合刺激プローブを動作させるためのコンピュータプログラムプロダクトに関する。コンピュータプログラムプロダクトは、内部にコンピュータ可読プログラムコードが具現化されたコンピュータ可読記憶媒体を含む。コンピュータ可読プログラムコードは、少なくとも1つの電極及びMRIアンテナを有するMRI適合刺激プローブにおける第1又は第2の動作モードを含む複数の動作モードのうちの1つに制御可能に関わるコンピュータ可読プログラムコードを含む。第1の動作モードは、MRI動作中にMRIアンテナをMRIスキャナに接続して電極を切り離す第1の送信経路を有する。第2の動作モードは、電気刺激又は記録中に電極を刺激源又は記録源に接続する第2の送信経路を有する。
【0020】
コンピュータ可読プログラムコードは、ほぼ適時であるが第1の動作モードにおけるMRIアンテナによるMRI信号取得後に起こるように第2の動作モードの選択の時期を決めるべく構成されてもよい。コンピュータ可読プログラムコードは、第1の動作モードでのMRIアンテナによるMRI信号取得にほぼ合わせて略リアルタイムに局部組織のマイクロ記録を得るように構成されてもよい。コンピュータ可読プログラムコードは、MRIアンテナ近傍の局部神経組織の複数のMRI信号を略リアルタイムで得ると共に、その後、臨床医がMRIデータ及び音声データの両方を使用してプローブの配置を追跡できるように局部神経組織の複数のマイクロ記録をえるべく構成されてもよい。
【0021】
更に他の実施形態は、(a)軸方向に延びる内部キャビティが内部に配置された細長い柔軟なプローブ本体と、(b)プローブ本体の先端部によって保持された少なくとも1つの電極と、(c)プローブ本体のキャビティ内へスライド可能に延びるように構成され、プローブ本体に対して高い剛性を有する少なくとも1つの軸方向に延びる導体とを含むMRI適合治療刺激プローブに関する。体内での位置決め中に、少なくとも1つの導体は、プローブ本体と協働して、MRI位置決め案内用のMRI信号を得るために使用される体内MRIアンテナを形成する。配置後、少なくとも1つの導体をプローブ本体から取り除いて、プローブ本体及び電極を体内の所定の位置に残すことができる。
【0022】
カニューレは、患者の頭蓋骨内に配置されたバーホール内へ挿入されるように構成されてもよく、また、刺激プローブ及びMRIアンテナプローブは、カニューレを通じて案内される脳深部配置用に構成されてもよい。
【0023】
幾つかの実施形態において、カニューレは、MRIアンテナプローブがカニューレの内側に保持されるときにMRIアンテナプローブと協働してMRI受信アンテナを形成するように構成されている。特定に実施形態において、カニューレは、同じプローブ上の刺激電極のMRI位置決め案内用のMRI信号を得るために使用される、体内での位置決め中にMRIアンテナプローブと協働してMRI受信アンテナを形成する導電シールド層を備える。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る埋め込み可能な刺激リードを有する医療用キットの概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係るMRI適合性の脳深部刺激リードが埋め込まれた被検体の画像である。
【図3A】本発明の実施形態に係る刺激リードの側面図である。
【図3B】図3Aに示されるデバイスの3B−3B線に沿う断面図である。
【図3C】本発明の実施形態に係る直線状の及び/又は伸縮可能な電極を有するプローブの概略側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る図3Aに示されるデバイスの電気的な概略図である。
【図5】(A)本発明の実施形態に係る汎用プローブの部分分解概略図である。(B)中心導体が無いプローブキャビティを示す図5Aに示されたプローブの断面図である。(C)中心導体を保持するプローブキャビティを示す図5Aに示されたプローブの断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る2モードリード作動回路のブロック図である。
【図7A】本発明の実施形態に係る他の作動回路のブロック図である。
【図7B】本発明の実施形態に係る作動回路の更に他のブロック図である。
【図8】(A)本発明の実施形態に係るスプリッタ回路の概略図である。(B)図8Aに示される回路の端面図である。
【図9】MRI適合刺激プローブを所定位置へ挿入するように構成された本発明の実施形態に係るMRI案内固定システムの概略図である。
【図10】(A)本発明の他の実施形態に係るデュアルプローブシステムの概略斜視図である。(B)本発明の実施形態に係るデュアルプローブキットの概略図である。
【図11】本発明の実施形態に係るデータ処理システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、これらの実施形態及び他の実施形態について更に説明する。
【0026】
ここで、以下では、本発明の実施形態が示された添付図面を参照しながら、本発明について更に十分に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、また、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示内容が十分で且つ完全であると共に本発明の範囲を当業者に十分に伝えることができるように与えられている。全体にわたって同様の符号は同様の要素を示している。特定のアンテナ実施形態に関して説明されているが、1つのリードシステム実施形態の特徴又は動作が他のリードシステムに適用できることは言うまでもない。
【0027】
図面においては、明確にするために、線、層、特徴、構成要素及び/又は部位の厚さが誇張されている場合があり、また、破線は、他に指定されていない場合には、任意の特徴又は動作を示している。また、動作(又はステップ)の順序は、他に具体的に示されていない場合には、請求項に示された順序に限定されない。層、部位、又は、基質等の特徴が他の特徴又は要素「の上にある」として言及される場合には、その特徴が他の要素の上に直接にある可能性があり、あるいは、介入要素が存在する場合もあることは言うまでもない。一方、要素が他の特徴又は要素「の上に直接にある」として言及されている場合には、介入要素が存在しない。また、特徴又は要素が他の特徴又は要素に対して「接続される」あるいは「結合される」として言及される場合には、そのような特徴又は要素が他の要素に対して直接に接続されている可能性があり、あるいは、介入要素が存在する場合があることは言うまでもない。一方、特徴又は要素が他の要素に対して「直接に接続される」あるいは「直接に結合される」として言及される場合には、介入要素が存在しない。1つの実施形態に関して説明され或いは図示されているが、そのように記載され或いは図示された特徴は他の実施形態に対して適用できる。
【0028】
他に規定されていなければ、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者により共通に理解される意味と同じ意味を有する。また、一般に使用される辞書に定められているような用語は、関連技術及び本明細書との関連におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、また、理想的な或いは非常に形式的な意味で本明細書で明白に規定されていなければ、理想的な或いは非常に形式的な意味で解釈されるべきではないことは言うまでもない。
【0029】
本発明のプローブ実施形態は、身体又は物体の任意の所望の内部領域を刺激するように構成することができる。物体は、任意の物体であってもよく、また、動物及び/又は人間の被検体にとって特に適してもよい。幾つかのプローブ実施形態は、脳刺激用、一般的には脳深部電気刺激用に寸法付けて構成することができる。幾つかのプローブ実施形態は、交感神経鎖の所望の部位を刺激するように構成することができる。他の実施形態は、深部組織やルーメン等を含む他の解剖学的構造、臓器又は特徴を対象にしてもよい。例えば、本発明のプローブシステムは、心臓、胃腸、泌尿器又は他の身体部位の処置のために構成されてもよい。
【0030】
周知の刺激処置及び/又は対象身体部位の例は、参照することによりあたかもここに十分に記載されているようにその内容が本明細書に組み込まれる米国特許第6,708,064号、第6,438,423号、第6,356,786号、第6,526,318号、第6,405,079号、第6,167,311号、第6,539,263号、第6,609,030号、及び第6,050,992号に記載されている。
【0031】
ここで、図面を参照しながら、以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、少なくとも1つの刺激及び/又は切除電極25を有する少なくとも1つの刺激リード又はプローブ20を含む医療用キット10を示している。少なくとも1つの電極25は、図1では、3つの略円筒状の軸方向に離間する電極として示されている。用語「リード」及び「プローブ」は、刺激電極25を支持するために使用される本体を示すために置き換え可能に使用できる。他の数の電極及び他の電極構造も使用できる。図3Aは4つの電極25を示しており、図3Cは、電極25が、プローブの本体に対して並進してプローブ本体の端部及び/又は側壁部から延出することにより更なる(一般的には、個別に選択可能な)刺激及び/又は検出のオプションを与えることができる略直線状の電極25であってもよいことを示している。例えば約1〜3mm未満の比較的小さい部位であってもよい所望の内部ターゲットに「適合する」ように電極を寸法付けて構成できると考えられる。一般に、図1に示されるように、電極25は、プローブ本体の先端部に保持させることができる。プローブ本体の基端部のコネクタ30は、リード配置中に本体の外側に位置するように構成することができる。プローブ本体の基端部は、MRIスキャナインタフェース40又は埋め込み可能なパルス発生器50のいずれかと対応するコネクタ40c、50cを介して係脱可能に係合するように構成することができる。
【0032】
破線で示されるように、キット10は、随意的には、埋め込み可能なリード51及びコネクタ50cを有する少なくとも1つの埋め込み可能なパルス発生器50を含んでもよい。発生器及びリード50、51は、MRI適合材料及び/又は構成要素を備えることもできる。また、随意的に、キット10は、MRIインタフェースリード41及び/又はMRIスキャナインタフェース40を含むことができる。MRIインタフェース40及び/又はリード41は、異なるプローブ20と共に多くの処置にわたって使用できる標準的な機器であってもよい。リード41、コネクタ40c及び/又はMRIインタフェース40は、1度使ったら使い捨てできる殺菌部品としてキット10内に設けられてもよく、あるいは、使用毎に診療所で殺菌されてもよい。プローブ20は、一般に、組織と接触するように構成された電極25を体内の所定の位置に残しつつ、プローブ本体の外面にわたって延びる高分子等のエラストマー材料からなる外層を備える細長い柔軟なプローブである。プローブ20は、MRIスキャナインタフェース40又は埋め込み可能なパルス発生器50等の遠隔の入力源又は出力源に対して電極25を電気的に接続する少なくとも1つの導体リード26(図3B)を含む。リード26は、任意の適した材料を備えることができ、また、幾つかの実施形態では、ニチノール等の形状記憶合金を備えてもよい。埋め込み可能なパルス発生器50のためのコネクタ50cは、慢性刺激のために被検者の皮下に埋め込まれるように構成されてもよいため、MRIリードコネクタ40cの外形よりも小さい外形をもって構成されてもよい。
【0033】
図1に示されるように、幾つかの実施形態において、キット10は、プローブ本体の少なくとも先端及び中間位置をスライド可能に受けてプローブ20を所定の位置へ案内するように構成された、MRI適合性の略硬質のカニューレ75及び/又はプローブに比べて高い剛性を有するカニューレ75を含んでもよい。インタフェースリード41と同様に、カニューレ75は、1度使ったら使い捨てすることができると共に、殺菌された部品としてキット10内に設けることができ、あるいは、標準的な部品として再利用されてユーザ/診療所により殺菌されてもよい。カニューレ75は、例えば、口腔入口等の所望の身体出入口場所に準じて構成することができると共に、咬合阻止器、鼻腔、又は耳栓部材に形成することができ、また、脊柱内での配置等の非神経用途においては、カニューレが必要とされなくてもよい。
【0034】
MRI適合用途において、カニューレ75、プローブ20、MRIインタフェースケーブル41及びコネクタ40cは、非磁性MRI適合材料を備えることができると共に、高磁場環境内で動作するように構成することができる。前述したように、幾つかの実施形態において、埋め込み可能なパルス発生器50及び埋め込み可能なリード51並びにコネクタ50cも、被検者の後配置MRI検査(post−placement MRI interrogation)を可能にするため、MRI適合材料を備えてもよい。
【0035】
幾つかの実施形態において、プローブ20は、MRI処置中に局部組織中でMRI信号を拾い上げるように構成されたMRIアンテナ35を備える。MRIアンテナ35は、プローブ20の先端部に位置するように構成することができる。幾つかの実施形態において、アンテナ35は、約1〜5cmの焦点距離又は信号受信長さ(signal receiving length)を有し、一般的には、約1〜2.5cmの局部組織からMRI信号を受けるための観察長さを有するように構成される。MRIアンテナ35は、図3B及び図4では、同軸アンテナを備えるように示されている。しかしながら、例えばホイップアンテナ、コイルアンテナ、ループレスアンテナ及び/又はループアンテナ等の他のアンテナ構造を使用することができる。これについては、例えば参照することによりあたかもここに十分に記載されているようにその内容が本明細書に組み込まれる米国特許第5,699,801号、第5,928,145号、第6,263,229号、第6,606,513号、第6,628,980号、第6,284,971号、第6,675,033号、及び第6,701,176号を参照されたい。また、参照することによりあたかもここに十分に記載されているようにその内容が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2003/0050557号、第2004/0046557号、第2003/0028095号も参照されたい。
【0036】
図3A〜3Bは、複数の電極25を有するプローブ20の1つの実施形態を示している。電極25のうちの少なくとも1つは検出電極(すなわち、マイクロ電気記録)であってもよい。一般に、1つ以上の電極25は検出及び刺激(又は切除)の両方を行なうことができてもよい。神経用途の場合、脳の異なる部位は、識別できる異なる検出強度、周波数及び/又はピッチ(一般に、約1〜4マイクロボルトの読み出し値)を与える。
【0037】
図3Bは、複数の軸方向に延びる導体26を保持するように、一般的には各電極25毎にそれぞれ1つずつの導体を保持するようにプローブ20のコアを構成できることを示している。他の実施形態においては、電極よりも多い又は少ない数の導体が使用されてもよい。導体26は、固定されてもよく、また、第1の絶縁誘電体層61中にほぼ封入されて保持されてもよい。他の実施形態において、導体26は、図3Cに示されるように軸方向に及び/又は略外側に或いは横方向に並進できるように第1の誘電体61中に保持されてもよい。再び図3Bを参照すると、軸方向に延びる第1のシールド層62が第1の誘電体層61を取り囲むことができる。第2の軸方向に延びる絶縁誘電体層63が第1のシールド層62を取り囲むことができる。第2の軸方向に延びるシールド層64をその基端部で第1のシールド層62(一次シールド層と呼ばれてもよい)に電気的に接続することができる。外側高分子絶縁層65は、電極25をほぼ露出させて動作中に強い刺激接触を行なえるように終端しつつ、内側層61〜64を取り囲むことができる。導体26は、コネクタ30からそれぞれの電極25へと延びている。プローブ20は電気的なグランド68を含み、また、コネクタ30はグランド68と各電極25とを接続する。
【0038】
図4は、図3A及び図3Bに示されたプローブ20の電気的な概略図を示している。図示のように、一次又は第1のシールド層62は、プローブの先端部において第1の電極251よりも前側で軸方向に終端している。一次シールド62は、プローブ20の先端部でコイル62cに形成されてもよい。他の実施形態において、一次シールド62はコイル巻きにせずに終端することができる(図示せず)。更に他の実施形態において、シールド62は、先端部までの更に前方の距離を含む、1つ以上の電極25を通り過ぎた距離でコイル巻きにされてもよい(図示せず)。幾つかの実施形態において、それぞれの1つの導体26は対応する電極25まで延びることができる。この場合、最も長い導体26は更に先端の電極25に対応している。導体26は、図示のようにプローブ本体の長さに沿って略直線状を成してもよく、あるいは、コイル巻きされてもよい。コイル巻きされる場合、導体26におけるコイルは対応する電極25の直前の先端部にあってもよく、これにより、信号を高めることができる(図示せず)。
【0039】
各電極25は、一般に、絶縁導体26のうちの少なくとも1つと通信する。プローブ20の基端部において、導体26は、MRI誘導プローブ/リード/ケーブル配置中に埋め込み可能な信号発生器50又はインタフェース回路40に対して接続されるようにコネクタ30に接続されている。これらの絶縁導体26は一般に高分子絶縁スリーブ61で覆われており、また、絶縁体上にわたって第1のシールド層62を形成するために導電性材料が円筒状に層状形成される。このシールド62は、電極の近傍で終端されており、導体又は電極と電気的に接触していない。第2の絶縁体/高分子/誘電体層63は、一般に約10〜100オームのインピーダンスを有するマルチコア同軸タイプのケーブルシステムを形成するためにこのシールドを更に絶縁する。連続的ではなくそれぞれが・^4以下の長さを有する複数の区分を有するRFチョーク64rfを、第2のシールドの形態を成すシールド64と一体化させ或いは当該シールド中に組み込むことができる。図4に示されるように、各区分又はセグメント64sは基端部で一次シールド62に対して接続され、また、先端部は、一次シールド62に対して電気的に接続されていなくてもよく、あるいは、一次シールド及び二次シールド62、64のそれぞれの間でキャパシタンス164と接続される。電極25を除いてプローブ本体20bを絶縁するために最上絶縁/高分子層65を使用することができる。
【0040】
図4に軸方向の矢印で示されるように、アンテナ35のMRI活性部は、一次シールド62が終端する場所と第1の電極251との間で延びてもよい。しかしながら、前述したように、他のアンテナ35構造が使用されてもよい。図示のように、第2のシールド層64は、複数の軸方向に離間するRFチョーク64rfを備える。用語「RFチョーク」とは、AC(交流、例えばジアテルミー用途)又はRFに晒される環境下でのRF誘導電流又は定在波の形成及び/又は伝搬を妨げるために(外部電磁波の観点から)・^4以下の電気的長さを与えるシールド層構造のことである。電気的な波長を与える物理的な長さは、プローブを製造する際に使用される材料(例えば、誘電定数)及びプローブを使用する磁場に応じて変化してもよい。幾つかの実施形態において、プローブ20は、10cmを越える物理的長さ、一般的には約20cm〜約150cmの物理的長さを有する。幾つかの実施形態において、埋め込み可能なリードセグメント50は、対象部位に沿って或いは埋め込み可能な長さのほぼ全体に沿って形成されるRFチョーク64rfを含むこともできる。図4に示される実施形態において、RFチョーク64rfは、シールド64の複数の断絶部及び/又は別個の電気的に絶縁された第2のシールドセグメントを備える。他の実施形態において、RFチョーク64rfは、一連の軸方向に離間したバラン回路又は他の適した回路構成を含むことができる。RF誘導電流を妨げることができるRF抑制同軸ケーブルの更なる説明に関しては、参照することによりあたかもここに十分に記載されているようにその内容が本明細書に組み込まれる米国特許第6,284,971号を参照されたい。
【0041】
図4に示されるように、第2のシールド層64は、セグメント64sの両端部で第1のシールド層62に結合されてもよい。図示のように、断絶されたセグメント64sの一端(一般的には基端部)はシールド層62に対して直接に結合され、他端(一般的には先端部)は第1のシールド層62に対して容量結合されている。各セグメント64sは、同じ態様で或いは反対の異なる電気的態様で(図示せず)第1のシールド層62と係合するように構成されてもよい。
【0042】
図5A〜5Cはプローブ20の他の実施形態を示している。本実施形態において、プローブ本体20bは、内部に少なくとも1つの導体26を収容するように寸法付けられて構造される軸方向に延びるキャビティ27(図5B)を画定するように構成されている。図5Bは、導体26が存在することなくキャビティ27が開放された状態のプローブ本体20bを示しており、また、図5Cは、所定の位置にある導体26を示している。導体26は、図示のように単一の導体26であってもよく、あるいは、複数の(一般的には、構造的に結合された或いは結束された)導体であってもよい。導体26は、プローブ本体が所定の位置にあるときにプローブ本体20から解放することができ及び/又は配置中に構造的な剛性をプローブに対して与えることができるガイドワイヤと同様に構成することができる。図5Cに示されるように、所定位置において、導体26は、プローブ20上/内に保持された他の部品と協働してMRIアンテナ35を形成してMRI案内を行なえるように構成することができる。プローブ20はグランドを形成することができ、一方、導体26は(+)電気経路を形成することができる。導体26は、挿入中にプローブ本体内に位置することができ、あるいは、プローブ本体の先端部を貫通して延びることができる。導体26は、プローブ20内の所定位置で封入することができ、あるいは、現場で組み立てられてもよい。電極を接続するために内部導体を使用する代わりに、プローブ本体20bは、電極25を入力/出力源に接続する導電トレース又はワイヤ25t(一般的には、表層又は絶縁層65の下側)を含むことができる。図5B及び図5Cでは幾つかの誘電シールド層及び導電シールド層を有するように図示されているが、所望の電極及び/又はMRIアンテナを設けるために他のプローブ本体構造を使用することができる。
【0043】
プローブ本体のキャビティ27及び/又は導体26は、キャビティ内で角度調整できるように嵌め合い可能な構造をもって構成することができる。例えば、導体26の1つの外周部を平坦化して平らにし、あるいは、粗くしてもよい。
【0044】
図示しないが、幾つかの実施形態において、プローブ20は、脳等の対象領域に対して所望の細胞治療材、生物学的治療材、及び/又は、薬物治療材を供給する1つ以上のルーメン及び出口ポートを有して構成することができる。また、プローブ20は、生検針及び/又は注射針及び/又は切除手段を組み込んでもよい。
【0045】
本発明の実施形態は、少なくとも2つのモードで動作できる、すなわち、MRI処置中に体内の局部組織からMRI信号を得るためのモードと、MRI処置中及び/又はMRI処置後に標的組織を刺激し及び/又は切除するためのモードとで動作できる多機能MRIセーフリード又はプローブ20を提供する。幾つかの実施形態において、プローブ20は、継続的に埋め込み可能であり、少なくとも3つのモード、すなわち、(1)局部組織のマイクロ電気的な動作を選択的に検出するモードと、(2)局部組織を刺激するモードと、(3)局部組織のMRI信号を得るモードとで動作することができる。各動作は、一般に、連続的に或いは他とは無関係に行なわれる。プローブ20は、低磁場マグネット(一般に約0.5〜1.0T磁場)等、又は従来の1.5Tマグネットもしくは、それ以上、例えば2T、3T又は、さらにそれ以上の任意の適したMRIスキャナにおいて使用できるように構成することが可能である。MRIスキャナは、当業者に周知であり、SIEMENSシステム及びGE MRIシステムを含むがこれらに限定されない。
【0046】
MRIアンテナ35及び刺激プローブの両方の機能を果たすようにプローブ20を構成すると、電極を所望の位置に配置するために必要な時間を減らすことができると共に、位置決め精度を高めることができ及び/又は脳又は他の対象部位へデバイスを挿入する回数を減らすことができる。
【0047】
図6は、プローブ20の2モード動作を行なうことができる回路100を示している。図示のように、回路100は、電極25に対して刺激を与える電極刺激回路110と通信するスプリッタ回路102を含む。また、スプリッタ回路102は、MRIアンテナRF受信回路120及びアンテナ35と通信するRF送信デカップリング回路115とも通信を行なう。特定の部品又は全ての部品をMRIスキャナインタフェース40内に保持することができる。他の実施形態においては、回路100の特定の或いは全ての部品をコネクタ30内に保持することができる。
【0048】
一般的に言うと、介入プローブシステムは、プローブが2つ以上の動作伝達経路に関連付けられるように複数の異なる動作モードを有することができる。幾つかの実施形態において、プローブは、スプリッタ回路102を使用して電気的に方向付けられる異なる電気的な伝達経路を伴う2つの主要な動作モードを有することができる。動作時、MRI処置中において、RF励起パルスが被検体に対して伝えられる。MRIアンテナは、RF送信中に切り離された後、受信サイクル中に作動して局部組織から信号を受ける。刺激電極25は、一般に、MRIアンテナ35だけが作動するようにスプリッタ回路102を介して絶縁される。MRIインタフェース40(図1)は、MRIスキャナと通信すると共に、埋め込み可能なパルス発生器を接続できるようにするための補助ポートを有して構成されてもよく、これにより、IPGは、配置処置中にインタフェースを切り離す(適切な配置を確認する)ことなく電極を刺激することができる。幾つかの実施形態において、MRIインタフェース40は、IPGとは無関係に電極を作動させる刺激及び/又は検出モードを含むことができる。他の実施形態において、コネクタ30は、最初の配置後にMRIインタフェースから切り離してIPGに接続することができ、また、更なるMRIデータ及び/又は画像のために必要に応じてMRIインタフェース40に再接続することができる。
【0049】
プローブ20のMRI案内臨床埋め込み中に、プローブ20をMRIアンテナ35として使用して、MRIデータ又はNMRデータを収集することができる。随意的に、プローブ20は、MRI信号及び(局部信号であろうと画像であろうと)を得ることにより標的の内部組織(例えば神経組織)の高分解能画像を生成するため及び/又は生体内における電極25の位置を突き止めるために使用されてもよい。MRI信号は、外部コイル及び/又は内部MRIアンテナ35により取得できる。また、電極25は、標的の(神経)組織から電気信号を取得することにより位置を評価するために使用することもできる。
【0050】
図7A及び図7Bは、プローブ20の異なる動作モードを与えるために使用されてもよい異なる回路100を示している。図7Aは、局部組織からMRI応答信号を受けるMRIアンテナ受信回路135と、RF送信中にアンテナ35及び電極を切り離すことができるRF送信デカップリング回路135Dとを示している。また、回路100は、電極25に対して刺激パルスを供給する電極刺激回路125も含み、また、電極パルスフィルタリング回路225及び局部のマイクロ電気信号を集めるために使用される記録電極回路226を含むことができる。図7Bは、スプリッタ回路102(図6)の一部を形成してMRIアンテナモード又は電極モードの動作を方向付けることができるデジタル信号プロセッサ等のコントローラ200を回路100が含むことができることを示している。
【0051】
図8Aは、本発明の幾つかの実施形態にしたがってイメージング(MR信号)モード及び検出マイクロ電気モードで動作する、信号のための異なる送信経路を与える典型的なスプリッタ回路102の概略図である。図8Aは、回路102が、図8Bに示されるようにグランド面を間に挟んだ状態で互いにほぼ上下に位置する2つの側(サイド)102A、102Bをそれぞれ有することができることを示している。サイドA102Aは、デカップリングコンデンサ127と、(それぞれの導体26に対する)導体接続部126と、MRIスキャナへの入力(BNC入力として示されている)131と、電極パルス信号(EP信号)のためのマルチピンコネクタへの入力132と、PINダイオード128と、マッチングチューニングインダクタ129と、マッチング/チューニング回路コンデンサ130とを含むマッチング・チューニング要素を有するMRIアンテナ35の作動経路である。サイドBは、ハイパスフィルタとして機能するように構成された電極動作回路である。図示のように、導体26へのそれぞれの電気送信経路は、コンデンサ138(1000pFコンデンサとして示されている)及び64MHzRFブロッキングインダクタ139を含む。ブロッキングインダクタ139は、使用時のMRIシステムの周波数(高磁場マグネット、すなわちプロトンイメージングにおける高い周波数;2Tに関しては96MHz、3Tに関しては128MHz)を遮るように変えることができる。なお、説明を簡単にするため、典型的な回路の構成要素がサイドA又はサイドBに関して示されているが、幾つかの回路(又は回路全体)が図示のサイドと異なるサイドに位置してもよい(一方のサイドにある必要はない)。
【0052】
幾つかの実施形態において、プローブ20は、頭蓋骨に形成されたバーホールを介して視床下核又は他の脳深部対象部位内等の脳内に配置することができる。プローブ20を使用するMRイメージングは、視床又は他の所望の解剖学的構造内の高精度配置を案内することができる。また、局部組織からの電気信号を解析して評価することにより、電極25の最終的な位置を決定することができる。この時間中、プローブは、マッチング・チューニングデカップリング回路と局部標的組織により生成される電気信号からMR信号を分離するためのスプリッタ回路とを含むことができるMRIスキャナインタフェース40に対して接続できる。プローブシステムが所望の解剖学的構造内に適切に位置されると、機能の生理的な確認のために刺激装置を接続することができる。満足できる場合には、プローブの基端領域を、皮下で方向付けることができると共に、胸腔内に埋め込まれた信号発生器50に対して接続することができる。リードを伸縮させるためのテレスコープシステムがプローブの基端領域に設けられてもよい。なぜなら、この部位では直径/外形が重大な問題にならない場合があるからである。
【0053】
図9は、プローブ20を埋め込むために使用できる定位固定案内システム400を概略的に示している。当業者に知られているように、他の案内システム又は埋め込みシステムも使用することができる。図示の実施形態において、システム400は、患者の頭部に固定される略円形のリング401を備える。このリング401は、ほぼ真直ぐな軌道でプローブ20を前進させるように構成された1つ以上の回転半円リング402を有する。リング401は、プローブ20が脳内へと前進される長軸面を特定するためのMRI規準マーカー404を有するロケータアーム403を有する。MRイメージングは、プローブ20の先端の位置を特定するために行なわれる。これが行なわれると、適切な長軸面が特定され、ロケータ/配向アーム403がこの面内で固定される。プローブ20は、MRIアンテナとして使用されると共に、所望の解剖学的構造内への前進中に監視され、それにより、頭蓋構造によって略リアルタイムで生成される電気信号が収集される。先端電極が適切な解剖学的構造中に位置されると、定位固定案内システム400が取り除かれ、プローブ20は埋め込まれたDBSリードとして所定位置に残る。
【0054】
プローブ20は、所望の神経組織に対して細胞治療材及び/又は生物学的治療材を供給するように構成された1つ以上のルーメンを有してもよい。ルーメンは伸縮針を受けてもよく、この伸縮針は、所望の組織対象部位へ細胞/生物学的治療材を正確に供給するためにプローブの先端から或いは側方から、基端から、又は、電極を介してプローブから抜け出てもよい。この供給構造は、細胞/生物学的治療材が所望の解剖学的構造内へ供給され且つ神経伝達物質/信号発生器が細胞のペースを調整して細胞の機能を変えるような、患者を処置できる形態であってもよい。このようにすれば、信号発生器が故障した場合であっても、細胞(幹細胞)が機能を識別して引き継ぐことができる。MRIは、脳内の治療の効き目を監視するために効果的に使用できる。
【0055】
図10A及び図10Bは本発明の他の実施形態に係るデュアルプローブシステムを示している。本実施形態において、MRIアンテナプローブ120a及び刺激プローブ120bは、共通のカニューレ75に連続的に入るように寸法付けて構成することができる。アンテナプローブ120a及び/又は刺激プローブ120bはそれぞれ少なくとも1つの検出電極を含むことができる。各プローブ120a、120bは、体内の標的位置を見つけるために使用されるMRIイメージングデータを得るためにアンテナプローブ120aを使用できるようにする目盛り付きスケール又は座標系を有することができる。カニューレ75はMRI規準マーカー(図示せず)を含むことができる。その結果、アンテナプローブ120aを取り除いて刺激プローブ120bと交換でき、刺激プローブ120bを、アンテナプローブ120aにより供給されるデータに基づき、また、一般的には高い精度でアンテナプローブ120aにより画定される場所へ挿入制御することにより、同じ軌道で同じ位置まで自動的に前進させることができる。2つのプローブ120a、120bは、ほぼ同じ断面積を有するように寸法付けて構成することができる。幾つかの実施形態では、望み通りにカニューレ75にぴったりと嵌まり合うようにプローブ120a、120bを寸法付けるため、非導電エラストマースリーブ(図示せず)、コーティング又は他の形態を使用することができる。他の実施形態では、使用中のプローブ(図示せず)のサイズに対応するようにカニューレ75のサイズを調整するために、挿入体を使用することができる。カニューレ75及び両方のプローブ120a、120bはMRI適合性があり、また、少なくともプローブ120a、120bはRFチョーク64rf(図4)を含んでもよい。
【0056】
幾つかの実施形態において、アンテナプローブ35は、例えば、約5cm未満、一般的には前述したように約1〜2.5cmの比較的小さいMRI受信長さ「L」を規定することができる。前述したように、アンテナ35は、任意の適当なタイプであってもよく、同軸ケーブルタイプ(例えば、前述したようなダイポールアンテナ又はループレスアンテナを含む)に限定されない。カニューレ75はシールド層を形成することができる。幾つかの実施形態において、カニューレ75は、高分子を備えてもよく、また、ニチノール等のMRI適合導電性材料を含んでもよい。
【0057】
幾つかの実施形態において、カニューレ75は、アンテナプローブ120aと協働してアンテナ35を形成するように構成することができる。カニューレ75は、グランド及びプラス信号経路を形成することができる。図4を再び参照すると、カニューレ75は、少なくとも1つの導体26及び場合によっては絶縁層61又はシールド層62、64のうちの1つ以上を与えるアンテナプローブ120aと共に1つ以上の絶縁層61、63又はシールド層62、64に形成することができる。特定の実施形態において、カニューレ75は、二次シールド層64を形成すると共に、RFチョーク64rfを含んでもよい。
【0058】
図10Bは、キット10’が2つのプローブ120a、120b及び随意的にカニューレ75を備えることができることを示している。アンテナプローブ120aはMRIインタフェース40(図1)と接続するように構成することができ、一方、刺激プローブ120bは埋め込み可能なパルス発生器50に接続するように構成することができ、各プローブ(それぞれのリード41、51と共に)が医療用キット10’の一部を形成してもよい。
【0059】
図11は、本発明の実施形態に係るシステム、方法、コンピュータプログラムプロダクトを示すデータ処理システムの典型的な実施形態のブロック図である。データ処理システムは、埋め込み可能なパルス発生器50及び/又はMRIスキャナインタフェース40のいずれかのデジタル信号プロセッサ内に組み込まれてもよく、及び/又は、これらと通信してもよい。プロセッサ410はアドレス/データバス448を介してメモリ414と通信する。プロセッサ410は、任意の市販のマイクロプロセッサ或いはカスタムマイクロプロセッサであってもよい。メモリ414は、データ処理システムの機能を実行するために使用されるソフトウェア及びデータを含むメモリデバイスの全体の階層を表わしている。メモリ414としては、以下のタイプのデバイス、すなわち、キャッシュ、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、SRAM、及びDRAMを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0060】
図11に示されるように、メモリ414は、データ処理システムで使用される幾つかのカテゴリーのソフトウェア及びデータ、すなわち、オペレーティングシステム452、アプリケーションプログラム454、入力/出力(I/O)デバイスドライバ458、MRIアンテナオペレーション又は電極オペレーションモジュール450、及び、データ456を含んでもよい。
【0061】
当業者であれば分かるように、オペレーティングシステム452は、
データ処理システムと共に使用するのに適した任意のオペレーティングシステム、例えば、IBM社(ニューヨーク州、アーモンク市)からのOS/2、AIX、DOS、OS/390又はSystem390、マイクロソフト社(ワシントン州のレッドモンド)からのWindows(登録商標) CE、Windows(登録商標) NT、Windows(登録商標)95、Windows(登録商標)98、Windows(登録商標)2000又は他のWindows(登録商標)バージョン、パーム社からのUnix(登録商標)又はLinux(登録商標)又はFreeBSD、Palm OS、アップルコンピュータからのMac OS、Lab View、あるいは、専用のオペレーティングシステムであってもよい。I/Oデバイスドライバ458は、一般に、I/Oデータポート、データ記憶装置456及び特定のメモリ414のコンポーネントと通信するためにアプリケーションプログラム454によりオペレーティングシステム452を介してアクセスされるソフトウェアルーチンを含む。アプリケーションプログラム454は、データ処理システムの様々な特徴を実施し且つ本発明の実施形態に係る動作をサポートする少なくとも1つのアプリケーションを含むことができるプログラムの例示である。最後に、データ456は、アプリケーションプログラム454、オペレーティングシステム452、I/Oデバイスドライバ458及びメモリ414内に存在してもよい他のソフトウェアプログラムによって使用される静的及び動的なデータを表わしている。
【0062】
例えば、図11ではアプリケーションプログラムであるモジュール450に関して本発明が示されているが、当業者であれば分かるように、本発明の教示内容から利益を得つつ他の構造が利用されてもよい。例えば、モジュール450は、オペレーティングシステム452、I/Oデバイスドライバ458又はデータ処理システムの他のそのような論理部分内に組み込まれてもよい。したがって、本発明は、本明細書で説明した動作を実行することができる任意の構造を包含するように意図された図11の構造に限定して解釈されるべきではない。また、モジュール450は、他の構成要素、例えば、MRIスキャナと通信することができる。
【0063】
I/Oデータポートは、データ処理システム、プロダクトプッシャー、クリッパーメカニズム又は他のコンピュータシステム又はネットワーク(例えばインターネット)間で、あるいは、プロセッサにより制御される他のデバイスへ情報を送るために使用することができる。これらの構成要素は、本明細書で説明したように動作するべく本発明にしたがって構成されてもよい、従来の構成要素、例えば多くの従来のデータ処理システムで使用される構成要素であってもよい。
【0064】
コンピュータ可読プログラムコードは、少なくとも1つの電極及びMRIアンテナを有するMRI適合刺激プローブにおける第1又は第2の動作モードに制御可能に関わるコンピュータ可読プログラムコードを含むことができる。第1の動作モードは、MRI動作中にMRIアンテナとMRIスキャナとを接続し且つ電極を切り離す第1の送信経路を有し、また、第2の動作モードは、電気的な刺激又は記録中に電極と刺激源又は記録源とを接続する第2の送信経路を有する。
【0065】
コンピュータ可読プログラムコードは、ほぼ適時であるが第1の動作モードにおけるMRIアンテナによるMRI信号取得後に起こるように第2の動作モードの選択の時期を決めるべく構成されてもよい。コンピュータ可読プログラムコードは、第1の動作モードでのMRIアンテナによるMRI信号取得にほぼ合わせて略リアルタイムに局部組織のマイクロ記録を得るように構成されてもよい。コンピュータ可読プログラムコードは、MRIアンテナ近傍の局部神経組織の複数のMRI信号を略リアルタイムで得ると共に、その後、臨床医がMRIデータ及び音声データの両方を使用してプローブの配置を追跡できるように局部神経組織の複数のマイクロ記録を得るべく構成されてもよい。
【0066】
本明細書での幾つかの図面のフローチャート及びブロック図は、本発明のアーキテクチャ、機能性、可能な実施の動作を示している。この場合、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、又は、指定の論理機能を実施するための1つ以上の実行可能な命令を含むコードの一部を表わしている。なお、幾つかの他の実施において、ブロックに記された機能は、図面に記された順序以外の順序で生じてもよい。例えば、連続的に示された2つのブロックが実際にはほぼ同時に実行されてもよく、あるいは、関与する機能性に応じて、時として逆の順序でブロックが実行されてもよい。
【0067】
図面及び明細書には、本発明の実施形態が開示されており、特定の用語が使用されているが、これらの用語は、一般的で且つ記述的な意味でのみ使用されており、限定を目的としておらず、本発明の範囲は請求項に記載されている。したがって、以上の説明は、本発明の例示であり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本発明の幾つかの典型的な実施形態が記載されているが、当業者であれば分かるように、典型的な実施形態においては、本発明の新規な教示内容及び利点から大きく逸脱することなく、多くの変更が可能である。したがって、そのような全ての変更は、請求項に規定された本発明の範囲内に含まれるものである。請求項において、ミーンズ・プラス・ファンクション節は、それが使用されている場合には、列挙された機能を果たすように本明細書で説明された構造及び構造等価物だけではなく等価な構造も網羅しようとするものである。したがって、以上が本発明の例示であり開示された特定の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではないことは言うまでもなく、また、開示された実施形態及び他の実施形態に対する変更が添付の請求項の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。本発明は請求項によって規定され、請求項の等価物は本発明に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端上に配置された少なくとも1つの刺激電極、及び軸方向に延びるシールド層を有する細長いリードと、
誘導RF電流がシールド層に沿って生成すること及び/又は移動することを抑制するため、少なくとも1つの電極よりも前側にシールド層上及び/又はシールド層内に配置された複数の軸方向に離間するRFチョークと
を備える、生体内医用刺激プローブ。
【請求項2】
リードが先端部に配置された記録/検出電極を更に備える請求項1に記載の医用刺激プローブ。
【請求項3】
リードが柔軟なリードであり、少なくとも1つの電極が複数の離間した電極であり、リードは、リードのコア内に保持された複数の導体を各電極にそれぞれ1つずつ更に備え、シールド層は、不連続であると共に、リードの少なくとも主要な長さにわたって導体を取り囲み、且つ電極よりも前側のリード位置で終端するように構成されている請求項1に記載の医用刺激プローブ。
【請求項4】
複数の電極を有するコアを取り囲む軸方向に延びる一次内側シールドを更に備え、不連続なシールド層は、内側シールド層上にわたって配置された略円筒状の二次シールド層であり、一次及び二次シールド層の両方が電極よりも前側のリードの先端位置において終端している請求項3に記載の医用刺激プローブ。
【請求項5】
導体及び一次内側シールドの間に配置された第1の絶縁誘電体層と、一次内側シールド及び二次シールドの間に配置された第2の絶縁誘電体層とを更に備え、導体、第1及び第2の絶縁層、及び一次内側シールド層及び二次シールド層がMRI適合材料を備え、RFチョークは、約・^4以下の電気的長さを与えるために二次シールド内に形成されている請求項3に記載の医用刺激プローブ。
【請求項6】
リードが生体適合性で且つMRI適合性の外側高分子層を更に備える請求項5に記載の医用刺激プローブ。
【請求項7】
リードはMRI適合性があり、MRIスキャナシステムにおいて印加されるRF励起パルスに応じて信号データを収集して送信するように構成されたMRIアンテナを更に備える請求項1に記載の医用刺激プローブ。
【請求項8】
MRIアンテナが約1〜4cmの信号受信長さを有する同軸アンテナである請求項7に記載の医用刺激プローブ。
【請求項9】
リードが継続的に埋め込み可能であり、少なくとも1つの電極は、脳深部刺激を印加するように寸法付けられて構成された複数の電極である請求項1に記載の医用刺激プローブ。
【請求項10】
基端部に配置されたコネクタを更に備え、コネクタは、埋め込み可能なパルス発生器及びMRIスキャナインタフェースの両方に対して取り外し可能にシリアルに取り付くように構成され、それにより、リードの2モード動作が可能になる請求項7に記載の医用刺激プローブ。
【請求項11】
リードは、リードがMRIアンテナからMRI信号を受ける第1のMRI動作モードと、リードが少なくとも1つの電極に対して刺激パルスを供給する第2の治療動作モードとを含む少なくとも2つの動作モードを有するように構成されている請求項7に記載の医用刺激プローブ。
【請求項12】
少なくとも1つの電極が複数の電極であり、電極のうちの少なくとも1つが記録電極として構成され、リードは、第3の動作モードを有する3モード動作を行なうように構成されると共に、記録/検出電極から局部組織からのマイクロ電気信号を受ける請求項11に記載の医用刺激プローブ。
【請求項13】
MRIアンテナは、約2.5cm以下の距離にわたって局部組織から信号を受信するように構成されている請求項11に記載の医用刺激プローブ。
【請求項14】
MRIアンテナは、最も近い電極から約1〜4cmの距離だけ軸方向に離間している請求項13に記載の医用刺激プローブ。
【請求項15】
リードが10cmを超える長さを有する請求項9に記載の医用刺激プローブ。
【請求項16】
局部生体内MRI信号を内部で受けるために軸方向に延びる径方向に離間した第1及び第2のシールド層、及び少なくとも1つのコア導体を有するMRIアンテナを備える内部MRI適合長尺リードと、
動作時に脳深部組織に対する刺激パルスを生成するように構成されたリードの先端部に保持された少なくとも1つの電極と、
少なくとも1つの電極と通信する刺激回路と、
MRIアンテナと通信するMRI信号受信回路と、
刺激回路及び受信回路と通信し、MRI受信回路又は刺激回路のいずれかを電気的に接続するためのスプリッタ回路と、
リードの第2のシールド層上のRF誘導電流を抑制するための手段と
を備える継続的に埋め込み可能な脳深部刺激・MRIイメージングプローブシステム。
【請求項17】
MRI RF送信動作中にMRIアンテナを電気的に切り離すためのデカップリング回路を更に備える請求項16に記載の脳深部刺激・MRIイメージングプローブ。
【請求項18】
抑制するための前記手段は、複数の軸方向に離間した第2のシールド層の不連続部を備える請求項16に記載の脳深部刺激・MRIイメージングプローブ。
【請求項19】
抑制するための前記手段は、第2のシールド層と通信する軸方向に離間したRFチョーク回路を備える請求項16に記載の脳深部刺激・MRIイメージングプローブ。
【請求項20】
RFチョーク回路がバラン回路を備える請求項19に記載の脳深部刺激・MRIイメージングプローブ。
【請求項21】
神経組織に関連するマイクロ電気信号を受けるためのマイクロ記録電極を更に備える請求項17に記載の脳深部刺激・イメージングプローブ。
【請求項22】
リードはその基端部で1つのコネクタに統合し、コネクタは、MRIスキャナインタフェース及び埋め込み可能なパルス発生器とシリアルに交換可能に係合するように構成されている請求項17に記載の脳深部刺激・イメージングプローブ。
【請求項23】
対向する基端部及び先端部を有し、先端部に配置される複数の電極を備える柔軟な細長いプローブ本体と、
プローブ本体のコア内に配置され、各電極に対して1つずつ関連付けられた複数の軸方向に延びる導体と、
導体の少なくとも主要な長さ部分にわたって複数の導体を取り囲む軸方向に延びる内側シールドと、
内側シールドの上側で径方向に離間した軸方向に延びる第2のシールドと、
内側シールド及び第2のシールドの中間に配置された軸方向に延びる第1の絶縁/誘電体層と、
プローブ本体上及び/又はプローブ本体内に少なくとも部分的に配置され、その先端部でMRI信号を収集できるMRIアンテナ部材と、
MRIアンテナ部材と通信するRF送信デカップリング回路と、
プローブ本体の基端部に取り付けられ、各電極のための導体送信ラインを保持するように構成された少なくとも1つのコネクタと
を備えるMRI適合脳深部刺激・MRI信号取得プローブシステム。
【請求項24】
コネクタが、電極又はMRIアンテナ部材を選択的に動作させるため、スプリッタ回路を有するMRIスキャナに取り付くように構成されている請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
RF送信デカップリング回路を保持するMRIインタフェースを更に備え、MRIインタフェースは、MRI RF励起送信中にMRIアンテナ部材を切り離すデカップリング回路を用いてMRIスキャナに対してリードを接続するように構成されている請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
RF送信デカップリング回路がコネクタ内に保持されている請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
デカップリング回路は、MRIスキャナと係合し且つ電極を切り離すマッチング・チューニングデカップリング回路を備える請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
RF送信デカップリング回路及び刺激回路と通信するスプリッタ回路を更に備える請求項23に記載のシステム。
【請求項29】
刺激回路は、刺激源及び電極の中間の送信経路中に配置されたハイパスフィルタを備える請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
刺激回路は、アンテナ部材及び/又はプローブにより少なくとも部分的に画定されるMRIアンテナを作動させるために使用されるMRIシステムの磁場強度に関連する共振周波数のRF信号を遮断するように構成されている請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
第1及び第2の動作モードに関連する選択的に有効な第1及び第2の電気送信経路を有するスプリッタ回路を更に備え、第1の送信経路は、MRI動作中にMRIアンテナ部材をMRIスキャナに接続して電極を切り離し、第2の送信経路は、電気刺激又は記録中にそれぞれ電極を刺激源又は記録源に接続する請求項23に記載のシステム。
【請求項32】
スプリッタ回路は、第2の送信経路を第1の送信経路から電気的に絶縁するためにMRI動作中にハイパスフィルタとしての機能を果たすように構成されている請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
スプリッタ回路は、コネクタに対して取り外し可能に取り付くことができるMRIインタフェース内に保持されている請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
スプリッタ回路がコネクタ内に保持されている請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
リードは、MRIスキャナ及び埋め込み可能なパルス発生器とシリアルに係合するように構成されている請求項27に記載のシステム。
【請求項36】
埋め込み可能なパルス発生器はMR適合性がある請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
リードは、神経組織に対して治療流体を放出するように構成された少なくとも1つのルーメン及び関連するポートを備える請求項27に記載のシステム。
【請求項38】
リードは、脳深部配置中にカニューレの外側に保持されたコネクタを用いてカニューレ内にスライド可能に入るように構成されている請求項27に記載のシステム。
【請求項39】
カニューレはMRI適合性がある請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
脳深部配置中にMRI適合定位固定案内システムと共に動作するように構成されている請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
対向する先端部及び基端部を有する細長い殺菌された生体適合性のあるMRI適合リードを備え、リードは、MRIアンテナと、先端部上の複数の刺激電極と、リードのシールド層中に配置された複数の軸方向に離間するRFチョークとを備え、リードは、少なくとも第1及び第2の動作モードに関連する選択的に有効な第1及び第2の電気送信経路を有するように構成され、第1の送信経路は、MRI動作中にMRIアンテナをMRIスキャナに接続して電極を切り離し、第2の送信経路は、電気刺激、切除又は記録中にそれぞれ電極を刺激源、切除源又は記録源に接続する医療用キット。
【請求項42】
リードは、脳深部刺激のために継続的に埋め込み可能となるように構成されて寸法付けられている請求項41に記載の医療用キット。
【請求項43】
リードはその基端部にコネクタを備え、コネクタは、第2の動作モードで継続的に埋め込み可能なパルス発生器と係合するように構成されている請求項41に記載の医療用キット。
【請求項44】
コネクタは、第1の動作モードにおいてMRIスキャナと通信するように構成されている請求項41に記載の医療用キット。
【請求項45】
コネクタは、スプリッタ回路及びRF送信デカップリング回路を有するMRIインタフェースに接続するように構成され、MRIインタフェースがMRIスキャナに接続する請求項44に記載の医療用キット。
【請求項46】
MRIアンテナ及びその先端部上の少なくとも1つの刺激電極を備える柔軟な細長いリードを被検体の脳内に挿入するステップと、
MRI動作のための第1の電気送信経路、及び刺激動作のための第2の電気送信経路とを有するスプリッタ回路と通信するMRIスキャナインタフェースに対してリードを接続するステップと、
MRIアンテナに近い局部神経組織に関連するMRI信号をMRIアンテナから第1の送信経路を使用して取得するステップと、
前記取得ステップに基づいて脳内の所望の位置にリード上の電極を配置するステップと、
第2の送信経路を使用して電極により神経組織を刺激するステップと、
RF誘導電流の生成及び/又は送信を抑制するようにリードを構成するステップと
を含む、脳深部刺激プローブを配置して動作させる方法であって、前記刺激するステップ及び前記取得するステップが同じリードを使用して実行される、方法。
【請求項47】
脳内にリードを埋め込んで、脳内の所望の位置に電極を保持させるステップと、
埋め込み可能なパルス発生器に対してリードを接続するステップと、
埋め込み可能なパルス発生器から送信される刺激信号に基づいて少なくとも1つの電極により神経組織を刺激して治療処置を行なうステップと
を更に含む請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記配置するステップは、リードに比べて高い剛性を有するMRI適合カニューレ本体の孔を通じてリードを挿入するステップを含み、カニューレ本体が頭蓋骨を貫通して神経組織中へと延びる請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記配置するステップは、MRI規準マーカーを有する定位固定案内システムを使用して実行される請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記取得するステップは、脳内でのリードの位置を追跡するために繰り返されて略リアルタイムで実行される請求項46に記載の方法。
【請求項51】
リードは、少なくとも1つの出口ポートを有する軸方向に延びるルーメンを備え、方法は、治療流体を脳内に解放するステップを更に含む請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記取得するステップは、前記配置するステップの前に複数回繰り返され、方法は、少なくとも1つの電極から検出されるマイクロ電気音声信号を記録するステップと、取得する前記ステップのうちの少なくとも幾つかの中間で外部オーディオ装置へ前記音声信号を送信するステップとを更に備える請求項46に記載の方法。
【請求項53】
MRIアンテナと少なくとも1つの電極とがMRIイメージングセッション時のRF送信中に切り離される請求項52に記載の方法。
【請求項54】
少なくとも1つの電極が複数の電極であり、これらの電極のうちの少なくとも1つが記録及び刺激の両方の電極であり、MRIアンテナは約1〜4cmの観察長さを有する請求項46に記載の方法。
【請求項55】
リードの動作をMRI動作と刺激動作とに分けるステップを更に含み、電極は、刺激動作及びMRI動作中において異なる電気回路送信経路を有する請求項46に記載の方法。
【請求項56】
少なくとも1つの電極が複数の電極であり、リードは、各電極のためにコア内に保持された軸方向に延びる導電体を有し、各導電体は対応する電極から共通のコネクタへと概ね延びており、方法は、所望の動作モードに応じてコネクタをMRIシステム又は埋め込み可能なパルス発生器に対して選択的に取り付けるステップを更に含む請求項46に記載の方法。
【請求項57】
汎用MRI適合刺激プローブ及びMRIアンテナを動作させるためのコンピュータプログラムプロダクトであって、前記コンピュータプログラムプロダクトは、
内部にコンピュータ可読プログラムコードが具現化されたコンピュータ可読記憶媒体を備え、前記コンピュータ可読プログラムコードは、
少なくとも1つの電極及びMRIアンテナを有するMRI適合刺激プローブにおける第1又は第2の動作モードを含む複数の動作モードのうちの1つに制御可能に関わるコンピュータ可読プログラムコードを備え、第1の動作モードは、MRI動作中にMRIアンテナをMRIスキャナに接続して電極を切り離す第1の送信経路を有し、第2の動作モードは、電気刺激又は記録中に電極を刺激源又は記録源に接続する第2の送信経路を有する、コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項58】
コンピュータ可読プログラムコードは、ほぼ適時であるが第1の動作モードにおけるMRIアンテナによるMRI信号取得後に起こるように第2の動作モードの選択の時期を決めるべく構成されている請求項57に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
【請求項59】
第1の動作モードでのMRIアンテナによるMRI信号取得にほぼ合わせて略リアルタイムに局部組織のマイクロ記録を得るように構成されたコンピュータ可読プログラムコードを更に備える請求項57に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
【請求項60】
MRIアンテナ近傍の局部神経組織の複数のMRI信号を略リアルタイムで取得すると共に、その後、臨床医がプローブの配置を追跡及び/又は案内できるように局部神経組織の複数のマイクロ記録を取得するように構成されたコンピュータ可読プログラムコードを更に備える請求項57に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
【請求項61】
軸方向に延びる内部キャビティが内部に配置された細長い柔軟なプローブ本体と、
プローブ本体の先端部によって保持された少なくとも1つの電極と、
プローブ本体のキャビティ内へスライド可能に延びるように構成され、プローブ本体に対して高い剛性を有する少なくとも1つの軸方向に延びる導体と
を備える、MRI適合治療刺激プローブであって、
体内での位置決め中に、少なくとも1つの導体は、プローブ本体と協働し、MRI位置決め案内用のMRI信号を取得するために使用される体内MRIアンテナを形成し、配置後、少なくとも1つの導体をプローブ本体から取り除いて、プローブ本体及び電極を体内の所定の位置に残すことができる、MRI適合治療刺激プローブ。
【請求項62】
少なくとも1つの電極が複数の電極であり、これらの電極のうちの少なくとも1つが検出・刺激電極として構成されている請求項61に記載のMRIプローブ。
【請求項63】
少なくとも1つの導体が複数の取り付けられた絶縁された導体である請求項62に記載のMRIプローブ。
【請求項64】
プローブ本体が複数の軸方向に離間するRFチョークを有するシールド層を備える請求項61に記載のMRIプローブ。
【請求項65】
プローブ本体は、第1の絶縁層と、第1のシールド層と、第2の絶縁層と、第2のシールド層とを備え、第2のシールド層中にRFチョークが配置されている請求項64に記載のMRIプローブ。
【請求項66】
軸方向に延びる孔を有するMRI適合カニューレと、
プローブの先端部により保持された少なくとも1つの電極を有する細長い柔軟な刺激・内部MRI信号取得プローブと
を備える、MRIアンテナ刺激プローブシステムであって、
刺激・アンテナプローブは、カニューレの孔を通じてスライド可能に延びるように構成され、動作時、カニューレ及びアンテナプローブが協働して少なくとも1つの脳深部MRI信号受信アンテナの構成要素を形成する、MRIアンテナ刺激プローブシステム。
【請求項67】
カニューレは、患者の頭蓋骨内に配置されたバーホール内へ挿入されるように構成され、刺激・MRIアンテナプローブは脳深部配置用に構成されている請求項66に記載のMRIアンテナプローブ・刺激プローブシステム。
【請求項68】
カニューレは、内側導電コア上にわたって配置される軸方向に延びるシールドを形成するように構成された複数の略同心の管状部材を備え、シールドとコアとが互いに絶縁されている請求項66に記載のMRIアンテナプローブ・刺激プローブシステム。
【請求項69】
カニューレは、位置決め中に刺激・MRIアンテナプローブと協働してMRI受信アンテナを形成してMRI位置決め案内用のMRI信号を取得する導電シールド層を備える請求項66に記載のMRIアンテナプローブ・刺激プローブシステム。
【請求項70】
刺激プローブが体内に埋め込まれたままとなるように構成される請求項69に記載のMRIアンテナプローブ・刺激プローブシステム。
【請求項71】
刺激・MRIアンテナプローブが複数の軸方向に離間するRFチョークを備える請求項66に記載のMRIアンテナプローブ・刺激プローブシステム。
【請求項72】
刺激・アンテナプローブの位置決め場所を脳内の対象部位で保持される際に決定するように構成された制御された配置システムを更に備える請求項66に記載のMRIアンテナプローブ・刺激プローブシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−101085(P2012−101085A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266772(P2011−266772)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【分割の表示】特願2007−525702(P2007−525702)の分割
【原出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(501335771)ザ ジョンズ ホプキンス ユニヴァーシティ (5)
【Fターム(参考)】