説明

埋め込み型システムのための高速データ処理・通信方法及び装置

【課題】本発明は、埋め込み型システムのため、及びその装置のための高速データ処理機能を有する通信装置に関するものである。
【解決手段】MAC処理通信装置はハードウェアTCP/IP処理手段とソケット決定手段を含む。データ送信時に、送信しようとするデータが予め設定されたハードウェア処理データである場合、アプリケーションインターフェースユニットはそのデータを前記OSを介することなしに前記ハードウェアTCP/IP処理手段に直接転送し、前記ハードウェアTCP/IP処理手段は前記送信データのTCP/IPプロトコルを処理し、送信しようとするデータが前記ハードウェア処理データではないが一般データである場合、前記OSは前記TCP/IPプロトコルをソフトウェア方式で処理する。データ受信時に、前記ソケット決定手段が受信済みデータを予め設定されたハードウェア処理データであると判定する場合、前記ハードウェアTCP/IP処理手段はその受信済みデータのTCP/IPプロトコルを直接に処理し、その受信データをアプリケーションに直接インターフェースし、前記ソケット決定手段がその受信済みデータをハードウェア処理ポート番号のデータでないと判定する場合、前記OSはインターフェースされて、ソフトウェアTCP/IPプロトコルを処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には埋め込み型システムのための高速データ処理機能を有する通信装置に関するものであり、特に、埋め込み型システムを介してインターネット通信が行われる既存の通信装置とは異なり、ハードウェア方式で通信プロトコルを処理する高速ハードウェアソケットを用いた高速通信機能を有する通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、インターネット通信のための通信装置は、OSにインストールされている通常のMACチップやソフトウェアTCP/IPを用いて通信を行う。
図1は、従来技術でソフトウェアTCP/IP方法を用いるネットワーク通信装置を図解する説明図である。
【0003】
図1に示すように、前記通信装置には、MIIインターフェースを介して物理層10に接続された通信装置20と、ホストインターフェースを介して前記通信装置20に接続されたOS層30と、が含まれる。また、前記通信装置20は「MACチップ」とも呼ばれる。システムの通信制御ソフトウェアTCP/IPは前記OS層30に実装される。前記OS層30は、ソケットインターフェースを介してアプリケーション層に接続され、通信を行う。
【0004】
図1はデータ送信を説明するものである。アプリケーションがデータ送信用ソケットインターフェースを介して「データ」を前記OS層30に送信する場合、前記OS層30のソフトウェアTCP/IPは、IPプロトコルとTCPプロトコルに基づいて「IPヘッダ」と「TCPヘッダ」を生成し、その生成された「IPヘッダ」と「TCPヘッダ」を「データ」に付与し、かつ前記ホストインターフェースを介してそのデータパケットを前記通信装置20に送信する。
【0005】
さらに前記通信装置20は、物理ヘッダをそのデータパケットに付与し、「物理ヘッダ+IPヘッダ+TCPヘッダ+データ」として付与される送信データパケットを生成し、かつ前記MIIインターフェースを介してその生成された送信データパケットを前記物理層10に送信する。前記物理層10はそのデータパケットをインターネット上に送信する。
【0006】
逆に、データ受信時に、前記通信装置20は、前記物理層10から「物理ヘッダ+IPヘッダ+TCPヘッダ+データ」から成るネットワークデータパケットを受信し、前記「物理ヘッダ」を分離する。前記OS層30のソフトウェアTCP/IPは、IPプロトコルとTCPプロトコルに基づいて前記「IPヘッダ」と前記「TCPヘッダ」を分離し、ソケットインターフェースを介してその「データ」のみをそのアプリケーションに送信する。
【0007】
しかしながら、従来技術でソフトウェアTCP/IP方法を用いる前記ネットワーク通信装置では、前記通信装置20(すなわち前記MACチップ)は、単に前記物理ヘッダをその入力ネットワークパケットデータに付与するかまたは前記ヘッダをそのデータから分離し、残りのデータパケットを送信する機能しか持たない。したがって、ネットワーク経由の通信には不可避である通信プロトコルの処理は、そのホストシステム(すなわち前記OS層30)によって取り扱われる。
【0008】
前記埋め込み型システムでは、前記ホストシステムのリソースは既存のPCシステムとは異なり非常に限られている。よって、前記通信プロトコルの処理は前記システムに大きな負担をかけるため、他のアプリケーションを実行する上で問題があり、さらに通信速度も大幅に低下してしまう。
【0009】
よって、マルチメディア・アプリケーションの増大に起因する前記システム負荷問題や前記通信速度問題を解決することができ、高速データ処理を可能とする埋め込み型システムのための通信装置の必要性がある。
【0010】
前記MACチップが用いられ、図1に示すように前記OSのソフトウェアTCP/IPが前記通信プロトコルを処理するケースでは、前記ソフトウェアTCP/IPが前記OSに含まれていること、そのプロトコルが容易に修正可能であること、及びハードウェアの追加が不要であること、という点で利点があるが、ソフトウェアTCP/IPを含むOSが必要不可欠であること、OSとアプリケーションのプロセッサの処理能力が必要とされること、及び前記プロトコルの処理速度が制限され得ること、という点で欠点がある。
【0011】
なお、TCP/IPがハードウェアに実装され、かつ前記MACチップに統合されているハードウェアTCP/IPが、前記ソフトウェアTCP/IPの欠点を克服するために提案されている。例えば、本発明は、「ハードウェアプロトコルプロセシングロジックで実現されたインターネット通信プロトコル装置及びその通信装置を用いるデータ並列処理方法」と題する韓国特許出願番号第2002−19062号を提案した。
【0012】
図2は、従来技術でハードウェアTCP/IP方法を用いるネットワーク通信装置を図解する説明図である。
【0013】
図2に示すように、前記ハードウェアTCP/IP通信装置40は、MACチップとハードウェアで実装されたTCP/IP処理ユニットを有し、MIIインターフェースを介して物理層10に接続され、かつ前記ハードウェアTCP/IP通信装置40はホストインターフェースに接続される。さらに、前記ハードウェアTCP/IP通信装置40は前記システムのアプリケーション層にも直結される。前記ハードウェアTCP/IP通信装置40は、そのアプリケーションと直接データを交換しながら通信処理を行う。
【0014】
図2はデータ送信を説明するものである。そのデータを送信するためにそのアプリケーションが「データ」を直接に前記ハードウェアTCP/IP通信装置40に送信する場合、前記ハードウェアTCP/IP通信装置40は、前記MAC処理を介してリアルタイムで「物理ヘッダ」、「IPヘッダ」、及び「TCPヘッダ」を生成し、前記IPプロトコルと前記TCPプロトコルとを生成し、かつそれらの生成物を前記「データ」に付与する。前記MIIインターフェースを介して「物理ヘッダ+IPヘッダ+TCPヘッダ+データ」が前記物理層10に付与される前記ハードウェアTCP/IP通信装置40では、そのデータパケットを送信する場合、前記物理層10がそのデータパケットをインターネット上に送信する。
【0015】
逆に、そのデータの受信時には、前記物理層10が、「物理ヘッダ+IPヘッダ+TCPヘッダ+データ」から成るネットワークデータパケットを前記ハードウェアTCP/IP通信装置40に送信する場合、前記MAC処理ユニットは前記「物理ヘッダ」を分離する。前記ハードウェアTCP/IP通信装置40は、IPプロトコルとTCPプロトコルに基づいて前記「IPヘッダ」と前記「TCPヘッダ」をリアルタイムで分離し、「データ」のみをそのアプリケーションに直接送信する。
【0016】
したがって、前記ハードウェアTCP/IP通信装置は前記TCP/IPプロトコルをハードウェアで処理するので、前記OSの通信プロトコル処理を必要としない。よって、強力な処理能力または多くのシステムリソースを持つCPUを必要としない。
【0017】
また、前記ハードウェアTCP/IP通信装置は、既存の各種装置に容易に適用可能であること、リアルタイムのプロトコル処理によって限られたリソースでシステム最高の性能を発揮することが可能であること、及び比較的にシンプルな埋め込み型システムに容易に適用可能であること、という点でも利点があるが、前記ハードウェアTCP/IP通信装置には、前記プロトコルの変化と同時に修正できないこと、及び新しい要求に対処することが難しい、という点に欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
よって、本発明は、従来技術のネットワーク通信装置おいて発生する上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、埋め込み型システムのための高速データ処理機能を有する通信方法及びその装置であって、前記埋め込み型システムが、限られたリソースで高速データ処理機能を持つことができ、新しい要求に直ちに対処することが可能であり、かつホストシステムで処理されなければならないプロトコルがハードウェアで処理可能となっていることを特徴とする通信方法及びその装置を提供することである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、マルチメディアなどの高速・大量データは専用ハードウェアソケットを介して通信され、一般データはホストシステムのソフトウェアTCP/IPプロトコルを介して通信される。
【0020】
さらに、本発明によれば、プロトコルはハードウェアを介してリアルタイムで処理され、実際のデータのみがそのホストシステムに送信される。よって、前記埋め込み型システムは、前記物理層の最大帯域幅に近い性能を持つことができ、かつ高速データ送信/受信機能を持つこともできる。
【0021】
さらに、本発明は、ハードウェアTCP/IPを用いるハードウェアソケットとOSのソフトウェアTCP/IPを用いるソフトウェアソケットとの両方を使用することが可能なデュアルパスを介して、そのプロトコルの新しい要求または変化に直ちに対処できるスケーラビリティと柔軟性を提供することもできる。
【0022】
本発明によれば、MAC通信装置にはハードウェアTCP/IP処理ユニットとソケット決定ユニットとが含まれる。そのデータ通信経路は二重になっており、高容量と高速処理を必要とするデータは前記ハードウェアTCP/IP処理ユニットを介して直接に処理され、一般データは前記OSのソフトウェアTCP/IPで処理可能となっている。
【0023】
本発明によれば、データがハードウェアTCP/IPを介して処理されるべきデータか、またはTCPプロトコルヘッダのポート番号を用いてソフトウェアTCP/IPを介して処理されるべきデータかどうかは自動的に判定され、それはアプリケーションに関連してデータを同定するための識別子として用いられる。
【0024】
本発明によれば、ソフトウェアTCP/IPがホストインターフェースを介して実装されるOSに接続されたMAC処理通信装置を用いる通信方法であって、前記MAC処理通信装置が通信処理を行い、ハードウェアTCP/IP処理手段とソケット決定手段を含み、かつ以下のステップが含まれる通信方法が提供される。
【0025】
データ送信時に、送信しようとするデータが予め設定されたハードウェア処理データである場合、アプリケーションインターフェースユニットがその送信データを前記OSを介することなしに前記ハードウェアTCP/IP処理手段に直接転送することを可能にするステップと、前記ハードウェアTCP/IP処理手段が前記送信データのTCP/IPプロトコルを処理することを可能にするステップと、送信しようとするデータが前記ハードウェア処理データではないが一般データである場合、前記OSが前記送信データのTCP/IPプロトコルをソフトウェア方式で処理することを可能にするステップと、データ受信時に、前記ソケット決定手段が受信済みデータを予め設定されたハードウェア処理データであると判定する場合、前記ハードウェアTCP/IP処理手段がその受信済みデータのTCP/IPプロトコルを直接に処理し、その受信データをアプリケーションに直接インターフェースすることを可能にするステップと、前記ソケット決定手段がその受信済みデータをハードウェア処理ポート番号のデータでないと判定する場合、前記OSがその受信済みデータのTCP/IPプロトコルをソフトウェア方式で処理することを可能にするステップ。
【0026】
そのデータがハードウェア処理データであるか、またはソフトウェア処理データであるかの判定は、TCPヘッダの既定のポート番号でハードウェア処理を用いて行われる。そのデータが前記ハードウェア処理データのポート番号でない場合、そのデータは一般データと判定され、データ通信経路はソフトウェア処理によって設定される。
【0027】
本発明に係る埋め込み型システムのための高速データ処理機能を有する通信装置には以下が含まれる。
【0028】
データを物理層とインターフェースする物理的媒体インターフェース処理ユニットと、送信しようとするデータをリンク層から前記物理的媒体インターフェース処理ユニットに転送する送信データ処理ユニットと、受信済みデータを前記物理的媒体インターフェース処理ユニットから受信し、さらにその受信済みデータを上部層に転送する受信データ処理ユニットと、前記受信データ処理モジュールから受信されたその受信済みデータを格納し、ハードウェアソケット処理ユニット及びレジスタコントローラの指示にしたがってその格納されたデータを上部インターフェースに転送する受信メモリと、前記上部インターフェースから受信されるその送信しようとするデータを格納し、前記レジスタコントローラの指示にしたがって、その格納されたデータを前記ハードウェアソケット処理ユニット及び前記送信データ処理ユニットに送信する送信メモリと、その送信済みデータ及びその受信済みデータが、高速ハードウェアソケットを介した高速通信を必要とするパケットデータであるかどうかを判定し、その判定結果にしたがってTCPプロトコル及びIPプロトコルを処理するハードウェアソケット処理ユニットと、前記通信装置の動作及び前記通信装置に関する情報を管理するレジスタ全体の動作を制御するレジスタコントローラと、ホストシステムとのデータの送受信を行う上部インターフェース処理ユニット。
【0029】
前記ハードウェアソケット処理ユニットには以下が含まれる。
【0030】
IP層に対応するプロトコルをハードウェア方式で処理し、高速通信を可能としているIPプロトコル処理ユニットと、TCP層に対応するプロトコルをハードウェア方式で処理し、高速通信を可能としているTCPプロトコル処理ユニットと、送信または受信されるデータのTCPヘッダからポート番号を同定し、対応するデータソケットがハードウェアソケットを介した高速データのためのデータパケットであるか、または一般通信のためのデータパケットであるどうかを判定し、前記ハードウェアTCP/IP処理ユニットをその判定結果に応じて制御可能としているソケット決定ユニット。
【0031】
前記通信装置には、データ送信時に、そのポート番号がそのアプリケーションに指定されている高速・大量データを直接に前記上部インターフェース処理ユニットにインターフェースさせ、前記指定ポート番号以外の一般データを前記OS層にインターフェースさせるアプリケーションインターフェースユニットもさらに含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
ここで、本発明を添付図面を参照して特定の実施形態に関して詳細に説明する。
図3は、本発明に係る埋め込み型システムのための高速データ処理機能を有する通信方法を図解する通信装置の概念図である。
【0033】
図3に示すように、前記通信装置には、インターネットに接続された物理層10と、MIIインターフェースを介して前記物理層10に接続されたハードウェアTCP/IP通信装置100と、ホストインターフェースを介して前記ハードウェアTCP/IP通信装置100に接続されたOS層30と、ソケットインターフェースを介して前記OS層30に接続されたアプリケーション層と、が含まれる。前記ハードウェアTCP/IP通信装置100には、MAC処理ユニットと、LLCと、ハードウェアTCP/IP処理手段と、ソケット決定手段と、が含まれる。前記OS層30は、その中に実装されたソフトウェアTCP/IPを有する。前記アプリケーション層にはアプリケーションインターフェースユニット101が含まれる。
【0034】
本発明の通信方法では、高速・大量データは、ハードウェアTCP/IPプロトコル処理にしたがって前記アプリケーション層と前記ハードウェアTCP/IP通信装置との間で直接に通信される。一般データは、前記OS層のソフトウェアTCP/IPプロトコル処理にしたがって通信される。
【0035】
そのために、前記アプリケーションインターフェースユニット101はそのデータの送信時に、送信しようとするデータのポート番号を判定する。前記判定の結果として、そのデータが予め設定されたハードウェア処理データである場合、前記アプリケーションインターフェースユニット101は、前記OS層30を介することなしに前記送信データを前記ハードウェアTCP/IP通信装置100に直接送信する。
【0036】
その送信しようとするデータのポート番号が一般データであり、前記ハードウェア処理データのポート番号でないと判定される場合は、前記アプリケーションインターフェースユニット101は、それを介して前記送信データが前記OS層30に送信されるインターフェースをユーザーアプリケーションに提供し、ソフトウェア方法にしたがって前記OS層30がTCP/IPプロトコルを処理できるようにしている。
【0037】
さらに、前記ハードウェアTCP/IP通信装置100のソケット決定ユニットは、前記物理層10から受信されたデータのポート番号を判定する。その受信済みデータが、予め設定されたポート番号のハードウェア処理データであることが判定される場合、前記ハードウェアTCP/IP処理手段はTCP/IPプロトコルを直接に処理し、その受信済みデータをそのアプリケーションに直接インターフェースする。
【0038】
その受信済みデータが予め設定されたポート番号のハードウェア処理データでないことが判定される場合、前記ソケット決定ユニットが構築され、前記OSが前記ソフトウェアTCP/IPプロトコルを処理できるようにしている。
【0039】
上記のように、本発明によれば、図3に示すように、高速ハードウェアソケット(すなわち、動画やグラフィックなどの高速・大量データ)は、前記ハードウェアTCP/IP処理及び前記MAC処理を受ける。一般ソフトウェアソケットは、前記OS層で前記ソフトウェアTCP/IP処理を受けてから、前記MAC処理を受ける。よって、そのデータ通信経路はデュアルパスとなる。
【0040】
図4は、本発明に係る埋め込み型システムのための前記高速データ処理機能を有する通信装置のブロック図である。
【0041】
図4に示すように、前記通信装置には以下が含まれる。
【0042】
データを物理層10とインターフェースする物理的媒体インターフェース処理ユニット110と、送信しようとするデータをリンク層から前記物理的媒体インターフェース処理ユニット110に転送する送信データ処理ユニット160と、前記物理的媒体インターフェース処理ユニット110から受信されるデータを上部層に転送する受信データ処理ユニット120と、受信データ処理ユニットからのデータを格納し、ハードウェアソケット処理ユニット170及びレジスタコントローラ180からの指示にしたがってその受信済みデータを上部インターフェースに転送する受信メモリ130と、前記上部インターフェースから受信される送信しようとするデータを格納し、前記レジスタコントローラ180の指示にしたがって、そのデータを前記ハードウェアソケット処理ユニット170及び前記送信データ処理ユニット160に送信する送信メモリと、その送信済みかつ受信済みデータが前記高速ハードウェアソケットを介した高速通信を必要とするパケットデータであるかどうかを判定し、その判定結果にしたがってTCPプロトコル及びIPプロトコルを処理する前記ハードウェアソケット処理ユニット170と、前記通信装置の動作及び前記通信装置に関する情報を管理するレジスタ全体の動作を制御するレジスタコントローラと、ホストシステムとのデータの送受信を行う上部インターフェース処理ユニット140。
【0043】
前記通信装置には、OS層30と、前記アプリケーション層のアプリケーションインターフェースユニット101とがさらに含まれる。前記OS層30は、ホストインターフェースを介して前記上部インターフェース処理ユニット140に接続され、その中に実装されたソフトウェアTCP/IP処理プログラムを有する。前記アプリケーションインターフェースユニット101は、前記ソフトウェアTCP/IP処理を受ける一般データを前記OS層30にインターフェースし、前記ハードウェアTCP/IPプロトコル処理を受けるデータを前記上部インターフェース処理ユニット140にインターフェースする。
【0044】
図5は、本発明に係るハードウェアソケット処理ユニットのブロック図である。
【0045】
図5に示すように、前記ハードウェアソケット処理ユニット170には、IPプロトコル処理ユニット173と、TCPプロトコル処理ユニット172と、ソケット決定ユニット171とが含まれる。IPプロトコル処理ユニット173は、IP層に対応するプロトコルをハードウェア方式で処理し、高速通信を可能としている。TCPプロトコル処理ユニット172は、前記TCP層に対応するプロトコルをハードウェア方式で処理し、高速通信を可能としている。
【0046】
前記ソケット決定ユニット171は、送受信されるデータのTCPヘッダからポート番号を同定し、対応するデータソケットが、前記ハードウェアソケットを介して高速データを処理するためのデータパケットであるか、または一般通信のためのデータパケットであるかどうかを判定し、その判定結果にしたがって前記ハードウェアTCP/IP処理ユニットを制御する。
【0047】
本発明にしたがって構築された上記通信装置では、前記ハードウェアTCP/IP処理ユニットと前記ソケット決定ユニットは、既存のMACチップと前記OSのソフトウェアTCP/IPプログラムが実装されるインターネット通信方法で前記MACチップと一体的に形成される。よって、データ通信は、前記ハードウェアTCP/IPプロトコル処理が動画などの高速・大量データに対して行われ、かつ前記ソフトウェアTCP/IPプロトコル処理が一般データに対して行われるようなデュアルパスを介して行うことができる。
【0048】
データが、前記ハードウェアTCP/IP処理が行われるデータであるか、または前記ソフトウェアTCP/IP処理が行われるデータであるかの判定はポート番号に基づいて行われ、データ通信経路はその判定結果に応じて制御される。
【0049】
図6は、一般データパケットのTCPパケットヘッダの構成を図解する説明図である。
【0050】
前記TCPパケットヘッダのソースポートはデータを送信するアプリケーションの16ビットポート番号を示し、前記TCPパケットヘッダの宛先ポートはデータを受信するアプリケーションの16ビットポート番号を示す。したがって、本発明では、前記ソースポート番号と前記宛先ポート番号は、それが前記ハードウェアTCP/IP処理であるか、または前記ソフトウェアTCP/IP処理であるかを判定するために使用される。
【0051】
図7a及び図7bは、本発明を説明するための、サーバとPC間の通信アプリケーションを図解する説明図である。
【0052】
前記サーバと前記PCがインターネット経由で通信を行う場合、インターネット上の数千のサーバとPCはそれらのIPアドレスにより同定される。単一システム(例えばPCまたはサーバ)では、いくつかのアプリケーションがインターネット経由で接続される。この時点では、ポート番号はそれらの接続をアプリケーションベースで指定するために使用される。
【0053】
図7aに示すような状況では、2種類のアプリケーションが、そのサーバとそのPCにて同時にインターネットを用いて通信を行う。よって、各アプリケーションに関連するデータを同定するための識別子の必要性がある。TCPプロトコルヘッダのポート番号はこの時点で使用される。
【0054】
したがって、本発明では、すべてのデータは、図7bに示すようにリアルタイムで前記TCPポート番号まで分析される。前記ソケット決定ユニットは、データが、ハードウェアTCP/IPを介して前記高速データ処理が行われるデータであるか、またはリアルタイムでの分析データに基づいた一般ソフトウェアTCP/IPを用いるソケットデータであるかどうかを判定する。
【0055】
以下に本発明のデータ送信処理を説明する。
【0056】
送信システムのアプリケーションは、送信指示をデータとともに前記アプリケーションインターフェース101に送信する。前記送信データが、ユーザーのリクエストで前記ハードウェアTCP/IPを使用するデータである場合、前記アプリケーションインターフェース101は、前記送信データをその送信指示とともに本発明の通信装置の上部インターフェース処理ユニット140に転送する。
【0057】
その送信指示は、その送信操作が開始できるように、前記レジスタコントローラ180における通信装置の各モジュールを制御するために使用される。必要データはそのコントロールレジスタに格納される。主なデータは、前記上部インターフェース140を介して前記送信メモリ150に格納される。前記ハードウェアソケット処理ユニット170は、リアルタイムでヘッダを生成し、前記送信データ処理ユニット160経由で前記ヘッダの送信を開始する。
【0058】
前記ヘッダが送信される場合、前記コントローラの指示にしたがって前記送信メモリ150の対応するデータまでが前記送信データ処理ユニット170に送信される。前記パケットは、前記物理的媒体インターフェース処理ユニット110経由でインターネットに転送される。全操作完了後には、前記ハードウェアソケット処理ユニット170は、そのことを前記レジスタコントローラ150に知らせる。CPUは、そのことを前記上部インターフェース140に知らせる。
【0059】
前記ソフトウェアTCP/IPを使用するデータの場合、送信しようとするデータは、パケットヘッダを生成するために前記OS層30のソフトウェアTCP/IPを用いて分析される。その処理が完了されると、そのデータは前記上部インターフェース処理ユニット140経由で前記送信メモリ150に送信される。前記送信に関する情報を含む送信指示は、前記上部インターフェース処理ユニット140経由で前記レジスタコントローラ180に送信される。
【0060】
前記レジスタコントローラ180は、前記送信メモリ150に送信されるデータを、前記指示にしたがって前記送信データ処理ユニット160経由で前記物理的媒体インターフェース処理ユニット110に送信する。前記物理的媒体インターフェース110はそのデータを前記物理層に送信する。
【0061】
以下にデータ受信処理を説明する。
【0062】
データは前記物理的媒体インターフェース処理ユニット110経由で受信される。そのデータは、前記受信データ処理ユニット120経由で前記受信メモリ130に格納され、また、プロトコルヘッダ情報も、その受信済みパケットデータを分析するために前記ハードウェアソケット処理ユニット170に送信される。
【0063】
ポート番号は、前記TCP/IPプロトコルに関連してリアルタイム処理を介して判定される。前記分析情報は前記レジスタコントローラ180のレジスタに格納された情報値と比較されて、前記パケットが前記ハードウェアTCP/IPを用いて行われるか。または前記ソフトウェアTCP/IPを用いて行われるかどうかが決められる。
【0064】
前記パケットが前記ハードウェアTCP/IPを用いて行われることが判定される場合、その残りのTCP/IPヘッダはすべて分析される。前記分析結果は、前記レジスタコントローラ180経由で前記上部インターフェース処理ユニット140に送信される。前記結果は、受信済みデータが存在することを知らせるために前記CPUに再度送信される。純データは、前記受信メモリ130から前記上部インターフェース処理ユニット140を介して前記アプリケーションインターフェースユニット101に送信される。
【0065】
前記パケットが前記ソフトウェアTCP/IPを用いて行われることが判定される場合、前記受信メモリ130へのパケット情報入力は、前記レジスタコントローラ180の指示にしたがって、前記上部インターフェース処理ユニット140を介し、前記OS層30のソフトウェアTCP/IPを通して転送される。前記ソフトウェアTCP/IPを介して転送されたデータはOSのTCP/IPのための処理を受け、次いで前記アプリケーションインターフェースユニット101に転送される。
【0066】
したがって、本発明によれば、高速・高容量処理を必要とするデータは前記ハードウェアTCP/IP処理を介して処理され、一般データは前記ソフトウェアTCP/IP処理を介して処理され、それによって効率の良いデータ通信が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
上記のように、本発明に係る埋め込み型システムのための高速データ処理機能を有する通信装置によれば、その埋め込み型システムは高速データ処理機能を選択的に使用し、そのCPUに負荷をかけることなしに高速通信実行することが可能である。したがって、前記埋め込み型システムでマルチメディアサービスなどのさまざまな高速ネットワークベースのサービスを提供することが可能である。
【0068】
さらに、通信プロトコルを処理するための前記埋め込み型システムのCPUの負担も軽減され、前記埋め込み型システムの限られたリソースでより多くのサービスを提供することが可能である。
【0069】
さらに、本発明は、ハードウェアTCP/IPを用いる前記ハードウェアソケットとOSのソフトウェアTCP/IPを用いる前記ソフトウェアソケットとの両方が使用可能なデュアルパスを介して、そのプロトコルの新しい要求または変化に直ちに対処できるスケーラビリティと柔軟性を提供することもできるという点でも利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】従来技術でソフトウェアTCP/IP方法を用いるネットワーク通信装置を図解する説明図である。
【図2】従来技術でハードウェアTCP/IP方法を用いるネットワーク通信装置を図解する説明図である。
【図3】本発明に係る埋め込み型システムのための高速データ処理機能を有する通信方法を図解する通信装置の概念図である。
【図4】本発明に係る埋め込み型システムのための高速データ処理機能を有する通信装置のブロック図である。
【図5】本発明に係るハードウェアソケット処理ユニットのブロック図である。
【図6】一般データパケットのTCPパケットヘッダの構成を図解する説明図である。
【図7】本発明を説明するための、そのサーバとそのPC間の通信アプリケーションを図解する説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアTCP/IPがホストインターフェースを介して実装されるOSに接続されたMAC処理通信装置を用いる通信方法であって、前記MAC処理通信装置が通信処理を行い、ハードウェアTCP/IP処理手段とソケット決定手段を含み、かつ、
データ送信時に、送信しようとするデータが予め設定されたハードウェア処理データである場合、アプリケーションインターフェースユニットがその送信データを前記OSを介することなしに前記ハードウェアTCP/IP処理手段に直接転送することを可能にするステップと、
前記ハードウェアTCP/IP処理手段が前記送信データのTCP/IPプロトコルを処理することを可能にするステップと、
送信しようとするデータが前記ハードウェア処理データではないが一般データである場合、前記OSが前記送信データのTCP/IPプロトコルをソフトウェア方式で処理することを可能にするステップと、
データ受信時に、前記ソケット決定手段が受信済みデータを予め設定されたハードウェア処理データであると判定する場合、前記ハードウェアTCP/IP処理手段がその受信済みデータのTCP/IPプロトコルを直接に処理し、その受信データをアプリケーションに直接インターフェースすることを可能にするステップと、
前記ソケット決定手段がその受信済みデータをハードウェア処理ポート番号のデータでないと判定する場合、前記OSがその受信済みデータのTCP/IPプロトコルをソフトウェア方式で処理することを可能にするステップと、
を含む通信方法。
【請求項2】
送受信済みデータが前記ハードウェア処理データであるか、またはソフトウェア処理データであるかが、TCP層プロトコルパケットヘッダのソースポート番号と宛先ポート番号に基づいた送受信済みデータがハードウェアTCP/IP処理であるか、またはソフトウェアTCP/IP処理であるかに応じて判定されることを特徴とする請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
埋め込み型システムのための高速データ処理機能を有する通信装置であって、
データを物理層とインターフェースする物理的媒体インターフェース処理ユニットと、
送信しようとするデータをリンク層から前記物理的媒体インターフェース処理ユニットに転送する送信データ処理ユニットと、
受信済みデータを前記物理的媒体インターフェース処理ユニットから受信し、さらにその受信済みデータを上部層に転送する受信データ処理ユニットと、
受信データ処理モジュールから受信されたその受信済みデータを格納し、ハードウェアソケット処理ユニット及びレジスタコントローラの指示にしたがってその格納されたデータを上部インターフェースに転送する受信メモリと、
前記上部インターフェースから受信されるその送信しようとするデータを格納し、前記レジスタコントローラの指示にしたがって、その格納されたデータを前記ハードウェアソケット処理ユニット及び前記送信データ処理ユニットに送信する送信メモリと、
その送信済みデータ及びその受信済みデータが、高速ハードウェアソケットを介した高速通信を必要とするパケットデータであるかどうかを判定し、その判定結果にしたがってTCP層プロトコル及びIP層プロトコルを処理するハードウェアソケット処理ユニットと、
前記通信装置の動作及び前記通信装置に関する情報を管理するレジスタ全体の動作を制御するレジスタコントローラと、さらに、
ホストシステムとのデータの送受信を行う上部インターフェース処理ユニットと、
を含む通信装置。
【請求項4】
前記ハードウェアソケット処理ユニットが、
IP層に対応するプロトコルをハードウェア方式で処理し、高速通信を可能としているIPプロトコル処理ユニットと、
TCP層に対応するプロトコルをハードウェア方式で処理し、高速通信を可能としているTCPプロトコル処理ユニットと、さらに、
送信かつ受信されるデータのTCPヘッダからポート番号を同定し、対応するデータソケットがハードウェアソケットを介した高速データのためのデータパケットであるか、または一般通信のためのデータパケットであるどうかを判定し、前記ハードウェアTCP/IP処理ユニットをその判定結果に応じて制御可能としているソケット決定ユニットと、
を含むことを特徴とする請求項3で特許請求の通信装置。
【請求項5】
請求項3で特許請求の通信装置であって、データ送信時に、そのポート番号がそのアプリケーションに指定されている高速・大容量データを直接に前記上部インターフェース処理ユニットにインターフェースさせ、指定ポート番号以外の一般データを前記OS層にインターフェースさせるアプリケーションインターフェースユニットもさらに含む通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−541605(P2008−541605A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511044(P2008−511044)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/KR2006/001552
【国際公開番号】WO2006/121247
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507368858)ウィズネット インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】