説明

埋め込み型デバイス間で情報を通信するシステム及び方法

通信の手段として電気信号のボリューム導通を用いて被験者の体に埋め込まれる少なくとも2つの医療デバイス間で情報を通信するシステムであって、この埋め込まれた医療デバイスのいずれかが、組織に対する電気刺激を与えるよう構成されるシステムが開示される。このシステムは、電気刺激パルスを送信するよう構成される少なくとも2つの送信電極を持つ第1のインプラントデバイスであって、この電極の1つは、共通リターン電極とすることができる、第1のインプラントデバイスと、刺激パルスに関する送信媒体としてチャネルを使用するよう構成され、情報を刺激パルスへとエンコードするエンコード手段と、エンコードされた情報を持つ送信された刺激パルスを受信するよう構成される少なくとも2つの受信電極を持つ第2のインプラントデバイスと、刺激パルスへとエンコードされた情報をデコードするよう構成されるデコード手段とを有する。開示されたシステムは、埋め込み型デバイス間で信頼性が高く効率的な通信を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の主題は、埋め込み型デバイス間で情報を通信するシステムに関し、より詳細には、電気信号のボリューム導通を用いて埋め込み型デバイス間で情報を通信するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献第WO2007/028035号は、動物の体内で情報を通信するシステムを開示する。このシステムは、患者の体への擬似静電結合を介して信号を送信するよう構成される送信機を有する第1のデバイスと、患者の体への擬似静電結合を介して、送信された信号を受信するよう構成される受信機を有する第2のデバイスとを有する。データは、通常は約10〜100KHzの範囲の搬送波周波数を持つ搬送波信号を用いて送信される。データは、例えば搬送波信号の振幅変調、周波数変調又は位相変調といった既知の変調技術を用いてエンコードされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
第WO2007/028035号において開示されるソリューションは、電子刺激デバイスにはあまり適していない場合がある。なぜなら、刺激が、データ信号を汚染する可能性があるからである。これは、信頼性の低いデータ転送を生じさせる可能性がある。更に、データ信号生成は、追加的な電子機器を必要とする場合がある。データ搬送信号を生成するために、専用の信号生成回路が必要とされる場合があり、このデータ信号を送信及び受信するために、専用の送信/受信電極ペアが必要とされる場合がある。
【0004】
従って、被験者の体に含まれる埋め込まれる2つの医療デバイス間で情報を確実に通信することができる改良されたシステムを持つことは、有利である。
【0005】
従って、本願の主題は好ましくは、単独で又は組み合わせで、上述した不利な点の1つ又は複数を緩和、軽減又は除去しようとする。特に、本願の主題の目的は、被験者の体に含まれる埋め込まれる2つ又はこれ以上の医療デバイス間で情報を通信する改良されたシステムを提供することと見ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的及び他の複数の目的は、通信の手段として電気信号のボリューム導通を用いて、被験者の体に埋め込まれる少なくとも2つの医療デバイス間で情報を通信するシステムを提供することにより、本願の主題の第1の側面において達成される。このシステムは、
刺激パルスを送信するよう構成される少なくとも2つの送信電極を持ち、上記電極の1つが共通のリターン電極とすることができる、第1のインプラントデバイスと、
刺激パルスに関する送信媒体としてチャネルを使用し、上記情報を上記刺激パルスへとエンコードするよう構成されるエンコード手段と、
エンコードされた情報を持つ上記送信された刺激パルスを受信するよう構成される少なくとも2つの受信電極を持つ第2のインプラントデバイスと、
上記刺激パルスへとエンコードされた上記情報をデコードするよう構成されるデコード手段とを有する。
【0007】
開示されたソリューションは、被験者の体に対する刺激の供給に使用されるチャネルが、インプラント間で情報を送信するためにも同様に使用されることができるという洞察に基づかれる。開示されたシステムは、データ汚染の問題を解決することができる。開示されたシステムは、情報をエンコードするための複数の手段を提供する。この情報は、刺激パルス自体のタイミング又は形状により搬送されることができるか、又は刺激パルス間に織りまぜられることができる。例えば、この情報は刺激パルスのタイミングにおいてエンコードされることができるか、又は、この情報は後続の電気刺激パルスの間の他の静かな期間において送信される電気信号(即ちパルス又は振動波形)においてエンコードされることができる。こうして、電気刺激の存在により汚染されるデータ信号の問題が回避されることができる。
【0008】
更に、刺激パルス信号を利用することにより、治療使用のため第1のインプラントデバイスに存在する同じ回路及び電極が、情報を送信するのに再利用されることができる。
【0009】
エンコードされる情報は、例えばインプラントデバイス設定、インプラントデバイス状態及び記録された生理的信号といったデータの範囲とすることができる。ここでエンコードするという用語は、送信に適した(例えばビットストリーム)データの表現(例えば番号のリスト)を得ることを指す。
【0010】
ある実施形態において、エンコード手段は、情報をエンコードする手段として、治療刺激パルスのタイミング及び/又は形状を用いるよう構成される。この実施形態は、すでに生成された治療パルスを効果的に利用することができる。
【0011】
説明的な例として、疾患又は外傷の結果として部分的にそれらの機能を失っている神経が、電気刺激パルスを用いて一般に刺激される。神経刺激器インプラントが、斯かる目的のために用いられることができる。この情報は、斯かる電気刺激パルスを用いてエンコードされることができる。
【0012】
更なる実施形態において、エンコード手段は、情報をエンコードする手段として非治療電気信号(即ちパルス)を用いるように構成される。電気刺激を提供するようには構成されていないインプラントデバイスが、情報をエンコードするために、非治療信号を用いることができる。また、治療刺激を提供するよう構成されるデバイスの場合、非治療刺激が、治療刺激の間に織りまぜられることができる。後者の手法は、より高い帯域幅を実現する可能性があるという利点を持つ。非治療信号は、生理的反応を引き起こす可能性がない十分に低い振幅を持つ信号を指す。更に、非治療信号は、パルスに限定される必要はない。
【0013】
説明的な例として、薬物が適切な救済を与えることに失敗する(又は耐えられない効果を引き起こす)とき、神経刺激療法は、神経関連の痛みを軽減するために脊髄又は末梢神経に対して穏やかな電流のパルスを供給する。穏やかな電流の斯かるパルスを用いて、情報がエンコードされることができる。
【0014】
なお更なる実施形態において、エンコード手段及びデコード手段は、パルス幅符号化スキーム又はパルス時間符号化スキームの1つを用いるように構成される。これらの符号化スキームは、情報を刺激パルスへと適切にエンコードすることを可能にする。他の符号化スキームが、同じ目的で印加されることができる。
【0015】
なお更なる実施形態において、第1のインプラントデバイス及び第2のインプラントデバイスは、電気刺激器デバイスであり、エンコード手段及びデコード手段は、パルス時間符号化スキームを用いるよう構成される。電気刺激パルスのタイミングは、情報を表すために変調されることができる。パルス時間符号化スキームは、それが第1のインプラントデバイス及び第2のインプラントデバイスの治療的動作に影響を及ぼさない(即ち限界内である)という利点を持つ。
【0016】
更なる説明的な例として、2つの脳深部刺激デバイスA及びBが、被験者の体に埋め込まれる。インプラントAは、インプラントAにより処理される異なる電極での電気的生理活動の測定を実行する必要がある場合がある。これは、電気刺激を提供する最適位置を検出するために実行されなければならない場合がある。適切な測定を実行するために、インプラントBからの電気刺激による干渉は、回避されなければならない。その理由は、インプラントAが受信しようとする小さい電気的生理信号をインプラントBからの電気刺激が汚染する場合があるからである。斯かるシナリオにおいて、インプラントAは、治療刺激のパルス−タイミングエンコードを用いてインプラントBに情報を送信することができる。この情報は、インプラントBにより刺激における「休止」リクエストを含むことができる。インプラントBは、確認を用いて反応する。この確認情報は、インプラントBにより送信される刺激のパルス−タイミングにおいて再びエンコードされることができ、インプラントBは、刺激を保留状態にすることができる。確認情報を受信した後、インプラントAは、信号の測定を始めることができる(即ち信号は、インプラントAにより処理される異なる電極での電気的生理活動に関連付けられる)。要求された情報を記録した後、インプラントAは、刺激が再開されることができることをインプラントBに送信することができる。
【0017】
更なる説明的な例として、2つの皮質デバイス、即ちインプラントA及びインプラントBが、被験者の体に埋め込まれる。インプラントAは、刺激器であり、インプラントBにより測定されるその刺激に対して引き起こされた反応(例えば反応振幅及び反応遅延)の情報を受信する必要がある。このインプラントBは、センサである。斯かるシナリオにおいて、インプラントAは、引き起こされた反応の測定に関して、インプラントBに対してリクエストを送信することができる。このリクエストは、その治療パルスのパルス−タイミングにおいてエンコードされることができる。インプラントBは、治療量以下のパルス(即ち低振幅)を用いて、確認を返信することができる。測定を同調させるため、タイミング情報が、インプラントAによりインプラントBに提供されることができる。引き起こされた反応の測定後、特定のパラメータ及び/又は測定された信号特性が、例えば、パルス時変調を用いて、インプラントBによりインプラントAに送信されることができる。
【0018】
なお更なる説明的な例として、2つの刺激器デバイス、即ち、インプラントA及びインプラントBが、被験者の体に埋め込まれる。インプラントAは、連続的な刺激を提供することができ、インプラントBは、オンデマンドで刺激を提供することができる。インプラントAは、適切な命令信号を送信することによりインプラントBにより提供される刺激のタイミングを制御することができる。命令信号及び刺激パラメータは、治療刺激パルスにおいてエンコードされることができる。インプラントBは、これらの信号を受信することができ、それらをデコードすることができ、適切なオンデマンドの刺激を手配することができる。インプラントBは、この情報を搬送する治療量以下の振幅信号を送信することにより、インプラントAによるリクエストの受信を確認することができる。
【0019】
更なる説明的な例として、脳深部シミュレータデバイスが、例えば130Hzの公称周波数、即ち8msのインターパルス持続期間を用いて、体組織を刺激することができる。情報は、パルス時間符号化によりエンコードされることができる。公称タイミングから−0.5ms又は+0.5msでのパルスを検出することにより、1ビットがエンコードされることができる。このスキームは、より多くのビットをエンコードするために容易に拡張されることができる。
【0020】
更なる実施形態として、電気刺激デバイスは、刺激電極のアレイを処理する。刺激電極の第1のグループは、130Hzの反復周波数での治療電気パルスの供給のために用いられる。情報は、例えば2kHzといった比較的高い周波数で供給される治療量以下の振幅パルスのストリームの形で、治療パルスの間に信号を織りまぜることによりエンコードされることができる。ある実施形態において、刺激電極の第1のグループは、織りまぜられた情報を送信するために用いられる。別の実施形態では、電極の第2のグループは、織りまぜられた情報を送信するために用いられる。第1及び第2のグループは、共通のリターン電極を共有することができる。
【0021】
なお更なる実施形態において、第1のインプラントデバイス及び第2のインプラントデバイスは、頭蓋骨に埋め込まれる電気刺激器デバイスであり、エンコード手段は、刺激パルスに関するチャネルを使用し、情報を刺激パルスへとエンコードするよう構成される。頭蓋骨の伝導性は、頭皮の伝導性及び脳組織の伝導性よりずっと低く、例えば、係数25である。各刺激器が頭皮と良好に接触する電極を持つ場合、これは、頭蓋骨に埋め込まれる2つ又はこれ以上の脳深部刺激器間の通信チャネルを形成するために有利に用いられることができる。頭蓋骨は、双方向通信チャネルにおける隔離層として機能することができる。また、非治療刺激は、治療刺激を提供するよう構成されるデバイスの場合、治療刺激の間に織りまぜられることができる。後者の手法は、より高い帯域幅を実現する可能性があるという利点を持つ。非治療信号は、生理的反応を引き起こす可能性がない十分に低い振幅を持つ信号を指す。更に、非治療信号は、パルスに限定される必要はない。
【0022】
なお更なる実施形態において、第1のインプラントデバイスは少なくとも3つの電極を有する。第1の送信電極は、刺激パルスを送信するよう構成され、第2の電極及び第3の電極は、リターン電極として構成される。第2の電極及び第3の電極の位置は、1つ又は複数の電場分布を生み出すよう切り替えられることができる。第2のインプラントデバイスは、送信された刺激パルスを検出するよう構成されることができる。
【0023】
この実施形態の利点は、第1のインプラントデバイスに提供されるリターン電極(第2の電極単独、第3の電極単独、又は第2及び第3の電極を共に)を切り替えることにより、異なる電場分布が作成され、情報をエンコードするのに使用されることができるということである。
【0024】
なお更なる実施形態において、第1のインプラントデバイスは、通信の手段として電気信号のボリューム導通を用いて外部デバイスと通信するよう構成される。これは、例えばコントローラユニットとすることができる。
【0025】
本願主題の第2の側面において、通信の手段として電気信号のボリューム導通を用いて、被験者の体に埋め込まれる少なくとも2つの医療デバイス間で情報を通信する方法が開示される。この方法は、
刺激パルスに関する送信媒体としてチャネルを使用し、上記情報を上記刺激パルスへとエンコードするステップと、
第1のインプラントデバイスに提供される少なくとも2つの送信電極を用いて、上記エンコード済み刺激パルスを送信するステップと、
第2のインプラントデバイスに提供される少なくとも2つの受信電極を用いて、上記送信されたエンコード済み刺激パルスを受信するステップと、
上記刺激パルスへとエンコードされた上記情報をデコードするステップとを有する。
【0026】
少なくとも2つの受信電極は、送信及び受信にも使用されることができ、送信又は受信だけに使用されるのではない(しかしながら同時にではない)。このチャネルは、第1のインプラントデバイスから第2のインプラントデバイスへと信号を搬送する搬送波として機能する。チャネルは、エンコードされた信号を伝搬させる媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】彼又は彼女の体における様々な位置に埋め込まれる複数のインプラントデバイスを持つ被験者を概略的に示す図である。
【図1b】例示的な振幅変調搬送波信号を概略的に示す図である。
【図1c】治療刺激がある場合における例示的な振幅変調搬送波信号を概略的に示す図である。
【図2a】本願主題の実施形態による、被験者の体に含まれる埋め込まれる2つの医療デバイス間で情報を通信する例示的なシステムを概略的に示す図である。
【図2b】織りまぜられた治療量以下のパルスを示す例示的な波形を概略的に示す図である。
【図3a】本願主題の実施形態による、脳深部刺激システムを概略的に示す図である。
【図3b】例示的な脳深部刺激デバイスに関するパルスタイミング位置を概略的に示す図である。
【図4a】本願主題によるシステムの追加的な実施形態を概略的に示す図である。
【図4b】本願主題によるシステムの追加的な実施形態を概略的に示す図である。
【図4c】本願主題によるシステムの追加的な実施形態を概略的に示す図である。
【図5】電気刺激器デバイスが頭蓋骨に埋め込まれる、本願主題によるシステム更なる追加的な実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
これら及び他の側面、特徴及び利点が、添付の図面を参照して、例示に過ぎないものを用いて、以下の記載により更に説明されることになる。ここで、同じ参照番号は、同じ又は類似する部分を示す。
【0029】
図1aを参照すると、彼(又は彼女)の体における様々な位置に埋め込まれる複数の埋め込み型デバイス102、104、106を持つ被験者100が示される。ここで、被験者という用語は、人間を含む動物界のメンバーを意味する。
【0030】
埋め込まれたデバイス102、104、及び106は、同じデバイスの複数のインスタンスとすることができる。これは、パラメータにおける局所変動が測定されることを可能にし、及び/又は様々な動作が局所的に実行されることを可能にする。代替的に、埋め込まれたデバイス102、104、106は、異なるデバイスであってもよい。
【0031】
特許文献第WO2007/028035号は、受信及び送信ユニット間での擬似静電結合を用いる、埋め込み型デバイス間のデータ通信に関するソリューションを開示する。データは、通常は10〜100KHzの範囲の搬送波周波数を持つ搬送波信号を用いて送信される。データは、例えば搬送波信号の振幅変調、周波数変調又は位相変調といった既知の変調技術を用いてエンコードされる。図1bは、例示的な振幅変調搬送波信号を概略的に示す。治療電気刺激パルスがある場合、高い振幅の治療刺激がデータ信号(参照図1c)を汚染する場合がある。より高い振幅のデータ信号は、これを補償することができるが、神経又は筋肉組織の不必要な及び無制御の励起をもたらす場合がある。更に、治療電気刺激パルスがある場合、データの復調は、より複雑な電子機器を必要とし、ビット誤り率(BER)を上昇させ、エンコード後の誤り訂正を可能にするために、冗長なデータ通信を必要とする場合がある。
【0032】
第WO2007/028035号に開示されるソリューションは、電子刺激デバイスにはあまりうまく適さない。なぜなら、この刺激がデータ信号を汚染する可能性があるからである。これは、信頼性の低いデータ通信を生じさせる可能性がある。更に、データ信号生成は、追加的な電子機器を必要とする場合がある。データ搬送信号を生成するために、専用の信号生成回路が必要とされる場合があり、このデータ信号を送信及び受信するために、専用の送信/受信電極ペアが必要とされることができる。
【0033】
次に図2を参照すると、被験者100の体に埋め込まれるデバイス間で情報を通信する開示されたシステム2000は、
1.送信電極204及び206を持つ第1のインプラントデバイス202と、
2.受信電極254及び256を持つ第2のインプラントデバイス252(又は、体と物理的に接触する外部デバイス)と、
3.エンコード手段240と、
4.デコード手段260とを有する。
【0034】
適切な大きさ及び形状であり、所望の生理的機能を損なうことなく作動するよう構成されているならば、第1のインプラントデバイス202及び第2のインプラントデバイス252は、被験者の体のどこにでも配置されることができる。
【0035】
第1のインプラントデバイス202及び第2のインプラントデバイス252は、移植又は摂取を介して被験者100の体に入ることができ、体内にある間診断及び/又は治療的に重要な何らかの活動を実行することができる、任意の電子、電気機械又は機械的なデバイスを含むことができる。更に、第1のインプラントデバイス202及び第2のインプラントデバイス252は、物理的に接続されていない(即ち、それらは有線接続されていない)。
【0036】
説明的な例として、第1のインプラントデバイス202及び第2のインプラントデバイス252は、例えば心臓、脳、胃といった生命器官の内部若しくは外部に、又は手術部位若しくは損傷位置の近くに、又は腫瘍部位の近くに、又は腹腔内に、又は関節の近くに配置されることができる。第1のインプラントデバイス202及び第2のインプラントデバイス252は、例えばペーシング用途、心臓再同期法治療用途といった心血管用途に関して使用されることができる。
【0037】
第1のインプラントデバイス202は、刺激パルスを送信する2つの送信電極204及び206を具備する。2つの送信電極204及び206において、これらの1つ(204又は206のいずれか)は、共通電極とすることができる。電圧差が、送信電極204及び206の間に印加される。電場が、被験者の体に生成される。刺激パルス(即ち電気)は、(例えば人間、動物の)体を通るボリューム導通を用いて、生成された電場を介して送信される。
【0038】
ボリューム導通という用語は、例えば生きている生物組織といった導電性媒体を通る電流の無線的通過による、(例えばデータ通信に関する)電気信号の送信を意味する。
【0039】
送信電極204及び206は、刺激パルスを送信する。エンコード手段140は、入力としてi)刺激パルス、ii)第2のインプラントデバイス252に通信される情報(又はデータ)を受信する。
【0040】
エンコード手段240は、刺激パルスを送信するのに使用されるチャネルを用いて、この情報を刺激パルスへとエンコードするよう構成される。この情報を刺激パルスへとエンコードするために、エンコード手段は、任意の情報符号化スキームを利用することができる。このチャネルは、1つのインプラントから他のインプラントへと信号を搬送するための搬送波として機能する。このチャネルは、エンコードされた信号を伝搬させる媒体である。
【0041】
開示されたソリューションは、体に対する電気刺激の供給に使用されるチャネルが、情報を送信するためにも同様に使用されることができるという洞察に基づかれる。いくつかのオプションは、i)情報を表すために電子刺激パルスのタイミングを変調すること、ii)(治療量以下の振幅の)刺激パルスの間に情報を含む信号(図2参照)を加えることである。
【0042】
更に、刺激パルス信号を利用することにより、治療に使用されるため第1のインプラントデバイス及び第2のインプラントデバイスに存在する同じ回路及び電極が、情報を送信するために再利用されることができる。こうして、データ搬送波信号の生成のための任意の追加的な電子機器/回路が必要とされることはない。
【0043】
エンコード手段240の出力は、通信の手段として被験者の体を通るボリューム導通の原理を用いて第2のインプラントデバイス252に送信されるエンコード済み刺激パルスである。
【0044】
第2のインプラントデバイス252は、送信された刺激パルスを受信するよう構成される2つの受信電極254及び256を具備する(受信電極は、同様に送信に使用されることができる)。受信電極254及び256は、第1のインプラントデバイス202により(即ち送信電極204及び206により)生成される電場を特異的に検出することにより、この送信された刺激パルスを受信するのに使用される。受信されるエンコード済み刺激パルスは、デコード手段260に入力される。デコード手段260は、適切なデコードスキームを用いて刺激パルスへとエンコードされた情報をデコードする。第2のインプラントデバイス252は、体に物理的に接続される外部デバイスとすることもできる。
【0045】
双方向通信を可能にするため、送信電極は受信電極として作動されることができ、及びその逆も可能であるか、又は送信及び受信用の専用電極が存在することができる。言い換えると、第1のインプラントデバイス及び第2のインプラントデバイスは、電気刺激及び検出機能を具備し、送受信機(即ち送信及び受信及びその逆)として作動することができる。例えばデータ搬送波の生成のために、刺激電子機器が再利用されるだけでなく、検出電子機器が、例えば、受信されるデータ信号を増幅するため、受信連鎖の一部として適用されることもできる。
【0046】
ある実施形態では、エンコード手段は、情報をエンコードする手段として、治療刺激パルスのタイミング及び/又は形状を使用するよう構成されることができる。この実施形態は、既に生成された治療パルスを効果的に利用することができる。
【0047】
説明的な例として、疾患又は外傷の結果としてそれらの機能を部分的に失っている神経が、電気刺激パルスを用いて一般に刺激される。神経刺激器インプラントが、斯かる目的に使用されることができる。斯かる電気刺激パルスを用いて、情報がエンコードされることができる。
【0048】
更なる実施形態において、エンコード手段は、情報をエンコードする手段として非治療電気信号(即ちパルス)を使用するよう構成される。電気刺激を提供するようには構成されていないインプラントデバイスは、情報をエンコードするために、非治療信号を使用することができる。また、治療刺激を提供するよう構成されるデバイスの場合、非治療刺激が治療刺激の間に織りまぜられることができる。後者の手法は、より高い帯域幅を実現する可能性があるという利点を持つ。非治療信号は、生理的反応を引き起こす可能性がない十分に低い振幅を持つ信号を指す。更に、非治療信号は、パルスに限定される必要はない。
【0049】
説明的な例として、薬物が適切な救済を与えることに失敗する(又は耐えられない効果を引き起こす)とき、神経刺激療法は、神経関連の痛みを軽減するために脊髄又は末梢神経に対して穏やかな電流のパルスを供給する。この情報は、穏やかな電流の斯かるパルスを用いてエンコードされることができる。
【0050】
エンコード手段240は、この情報を電気刺激パルスへとエンコードするため、パルス幅符号化スキーム又はパルス時間符号化スキームを使用することができる。デコード手段260は、刺激パルスへとエンコードされた情報をデコードするため、適切なデコードスキームを使用する。
【0051】
一般に、この情報を刺激パルスへとエンコード及びデコードするため、従来技術において一般に知られる信号変調スキームと同様にデータエンコード及びデコードスキームが利用されることができる。
【0052】
次に図3aを参照すると、脳深部刺激システムが、
i)鎖骨の下に外科的に埋め込まれる埋め込み型パルスジェネレータ320(IPG)と、
ii)埋め込み型パルスジェネレータに接続され、コネクタにおける終端である頭蓋骨へと首を通り延びる拡張ワイヤ324と、
iii)頭蓋骨において穿頭孔を通り脳組織に埋め込まれる脳深部刺激器プローブ326とを有する。
【0053】
説明的な例として、2つの脳深部刺激デバイスA及びBが、被験者の体に埋め込まれる。インプラントAは、インプラントAにより処理される異なる電極での電気的生理活動の測定を実行する必要がある場合がある。これは、電気刺激を提供するための最適位置を検出するのに実行されなければならない場合がある。適切な測定を実行するために、インプラントBからの電気刺激による干渉は、回避されなければならない。この理由は、インプラントBからの電気刺激が、インプラントAが受信しようとする小さな電気的生理信号を汚染する場合があるためである。斯かるシナリオにおいて、インプラントAは、治療刺激のパルスタイミングエンコードを用いて、インプラントBに情報を送信することができる。この情報は、インプラントBによる刺激における「休止」リクエストを含むことができる。インプラントBは、確認を用いて反応する。この確認情報は、インプラントBにより送信される刺激のパルスタイミングにおいて再びエンコードされることができ、インプラントBは、刺激を保留状態にすることができる。確認情報を受信した後、インプラントAは、信号の測定を始めることができる(即ち、この信号は、インプラントAにより処理される異なる電極での電気的生理活動に関連付けられる)。要求された情報を記録した後、インプラントAは、刺激が再開されることができる旨をインプラントBに送信することができる。
【0054】
更なる説明的な例として、2つの皮質デバイス、インプラントA及びインプラントBが、被験者の体に埋め込まれる。インプラントAは、刺激器であり、インプラントBにより測定されるその刺激に対して引き起こされた反応(例えば反応振幅及び反応遅延)の情報を受信する必要がある。このインプラントBは、センサである。斯かるシナリオにおいて、インプラントAは、引き起こされた反応の測定のため、インプラントBにリクエストを送信することができる。このリクエストは、その治療パルスのパルス−タイミングにおいてエンコードされることができる。インプラントBは、治療量以下のパルス(即ち低振幅)を用いて、確認を返信することができる。測定を同調させるため、タイミング情報が、インプラントAによりインプラントBに提供されることができる。引き起こされた反応の測定後、特定のパラメータ及び/又は測定された信号特性が、例えば、パルス時間変調を用いて、インプラントBによりインプラントAに送信されることができる。
【0055】
なお更なる説明的な例として、2つの刺激器デバイス、即ち、インプラントA及びインプラントBが、被験者の体に埋め込まれる。インプラントAは、連続的な刺激を提供することができ、インプラントBは、オンデマンドで刺激を提供することができる。インプラントAは、適切な命令信号を送信することによりインプラントBにより提供される刺激のタイミングを制御することができる。命令信号及び刺激パラメータは、治療刺激パルスにおいてエンコードされることができる。インプラントBは、これらの信号を受信することができ、それらをデコードすることができ、適切なオンデマンドの刺激を手配することができる。インプラントBは、この情報を搬送する治療量以下の振幅信号を送信することにより、インプラントAによるリクエストの受信を確認することができる。
【0056】
更なる説明的な例として、脳深部シミュレータデバイス(即ち第1のインプラントデバイス202及び第2のインプラントデバイス252)が、例えば130Hzの公称周波数を用いて、即ち8msのインターパルス持続期間を用いて、体組織を刺激することができる。情報は、パルス時間変調スキームによりエンコードされることができる。公称タイミングから−0.5ms又は+0.5msでのパルスを検出することにより、1ビットがエンコードされることができる。このスキームは、より多くのビットをエンコードするために拡張されることができる。パルス時間変調符号化スキームが、図3bにおいて説明される。
【0057】
次に図3bを参照すると、上部トレース302は、脳深部シミュレータデバイスに関する公称パルスタイミング位置を示す。中央のトレースは、エンコードされる情報(又はデータ)を示す(ロー=0;ハイ=1)。下部トレース306は、データ信号をエンコードするためのパルスタイミング変調を示す。
【0058】
情報280を刺激パルスへとエンコードするため、従来技術において知られる信号変調スキームだけでなく、種々のデータエンコード及びデコードスキームを使用することが可能である。
【0059】
この例は、電気刺激デバイス間の通信を説明する。斯かる通信は、治療目的のために使用されるパルス列における情報をエンコードすることにより実行されることができる。この情報は、治療パルス信号のタイミングにおいてエンコードされることができる。この情報を治療パルス列へとエンコードするための他の手段が、利用可能であり、適切に利用されることができる(例えば、パルス間の静かな位相において信号を加えること)。
【0060】
次に図4aを参照すると、第1のインプラントデバイス202は、少なくとも3つの電極を有し、それは、
1.第1の送信電極402と、
2.リターン電極404及び406とである。
【0061】
第2のインプラントデバイス252は、2つの受信電極254及び256を有する。第1の送信電極402は、刺激パルスを送信するよう構成される。(即ち第1のインプラントデバイス202における)リターン電極404及び406のどちらか又は両方を介して延びるリターン電流経路が、切り替えられることができ、こうして、1つ又は複数の電場分布が生み出される。
【0062】
(それぞれ正方形及び三角形により示される)リターン電極404及び406の異なる位置の間での切り替えにより、図4a、4b及び4cに示されるように、異なる電気分布が、(円により示される)所与の送信電極位置402に対して体組織においてセットアップされることができる。生成された電場分布は、第2のインプラントデバイス202において、受信電極254及び256により検出されることができる。送信電極402の位置を切り替えることにより、同等の効果が実現されることができる。
【0063】
利点は、リターン電極を(即ち、電極404単独で、リターン電極406単独で、又はリターン電極404とリターン電極406を一緒に)切り替えることにより、図4a、4b及び4cに示されるように異なる電場分布が作成されることができ、情報をエンコードするのに使用されることができることにある。
【0064】
いくつかの実施形態において、第1のインプラントデバイスは、通信の手段として電気信号のボリューム導通を用いて外部デバイスと通信するよう構成されることができる。この外部デバイスは、人体と物理的に接触するものである。
【0065】
次に図5を参照すると、第1のインプラントデバイス202及び第2のインプラントデバイス252が、頭蓋骨に埋め込まれる。第1のインプラントデバイス202は、
i)頭皮と接触する頭皮電極504と、
ii)プローブ508上の電極506とを有し、ここで、プローブ508は、第1のインプラントデバイス202に接続される(ここで、接続とは、電極506が、デバイス202及び252の電子機器に電気的に接続されることを意味する)。
【0066】
第2のインプラントデバイス252は、
i)頭皮と接触する頭皮電極554と、
ii)プローブ558上の電極556とを有し、ここで、プローブ558は、第2のインプラントデバイス252に接続される(ここで、接続とは、電極556が、デバイス202及び252の電子機器に電気的に接続されることを意味する)。
【0067】
第1のインプラントデバイス202及び第2のインプラントデバイス252間で情報を通信するためのチャネルは、頭皮、頭蓋骨及び脳組織を用いて形成される。通信チャネルは、頭皮と接触するインプラント上の各電極(即ち頭皮電極504又は頭皮電極554)、プローブ上のいずれかの(大きな)リターン電極、及び/又は刺激電極のいずれかにより形成される。ここで、脳組織に接触するよう、リターン電極(即ちリターン電極506又はリターン電極556)が印加される。
【0068】
形成されることができる電流ループは、破線の円により示され、頭皮電極504→プローブ508上の電極506→脳組織→プローブ558上の電極556→頭皮電極554→頭皮→頭皮電極504のようになる。
【0069】
電流は、頭皮及びプローブ上のいくつかの電極、例えば電極506、556を介して、第1のインプラントデバイス及び第2のインプラントデバイスを通り流れることもできる。
【0070】
プローブは、リターン電極と一般に呼ばれる大きな電極を含むことができる。リターン電極という理由は、それが通常接地に接続され、通常遠位端部において、プローブ上の他のいくつかの電極を介して脳に流入するすべての電流を集めるからである。しかしながら、この接地電極は、単に、どの電極が接地に接続されるかに基づき、プローブ上の他の任意の電極(又は電極のグループ)とすることもできる。
【0071】
図5を参照すると、情報を搬送するのに使用されることができる電流ループが形成される。一方、他の実施形態では、電場、即ち電位差が測定される。後者は、脳組織における電場を検出するのに、少なくとも2つの電極が必要とされることを意味する。一方、電流ループ手法を用いると、脳組織と接触する1つの電極で充分である(その他は、頭皮との接続をなす)。プローブの遠位端部における(通常より小さな)刺激電極は、図5では示されていない。しかし、これらが、2つ(又はこれ以上の)インプラント間の電流ループを形成するためにプローブ上の(通常より大きな)リターン電極の代わりに用いられることもできる。
【0072】
治療量以下の振幅を持つ電流は、第1のインプラントデバイスから第2のインプラントデバイスへと、及びその逆へとデータを搬送するため、従来技術において知られる任意の変調スキームを用いて変調されることができる。送信機は、頭皮電極504とプローブ508上のリターン電極506(又はプローブ上の他の任意の電極)との間に配置されることができる。受信機は、頭皮電極554とプローブ558上のリターン電極556(又はプローブ上の他の任意の電極)との間に配置されることができる。両方とも、インプラント間の双方向性通信(同時にでなく)を可能にする送受信機とすることができる。
【0073】
更に、プローブ及び電子機器は、1つの穿頭孔に含まれることができるか、又は頭蓋骨上の異なる位置を占有することができる。
【0074】
更に、非治療パルスは、刺激パルス間で織りまぜられることができる。これは、非治療パルスが与えられる毎に、電極が第1のインプラントデバイスから非接続状態にされることができることを意味する。頭皮と接触する第1のインプラントデバイスの電極は、接地に接続されることができる。これは、第1のインプラントデバイスの電極に戻る、皮膚を介して頭皮に接続される電極を備える第2のインプラントデバイスを介して、非治療電流が脳組織を介して流れることを強制する。
【0075】
要約すると、情報は、刺激パルス自体に含まれることができ、及び/又は非治療パルスに織りまぜられることができる。
【0076】
電気信号のボリューム導通を用いて被験者の体に埋め込まれる少なくとも2つの医療デバイス間で情報を通信する方法が、
刺激パルスに対する送信媒体としてチャネルを使用し、この情報を刺激パルスへとエンコードするステップと、
第1のインプラントデバイスに提供される少なくとも2つの送信電極を用いて、エンコード済み刺激パルスを送信するステップと、
第2のインプラントデバイスに提供される少なくとも2つの受信電極を用いて、送信されたエンコード済み刺激パルスを受信するステップと、
上記刺激パルスへとエンコードされた情報をデコードするステップとを有する。
【0077】
少なくとも2つの送信電極及び少なくとも2つの受信電極は、それぞれ受信及び送信に関して用いられることもできる。しかしながら、同時にではない。更に、このチャネルは、1つのインプラントから他のインプラントへと信号を搬送するための搬送波として機能する。このチャネルは、エンコードされた信号を伝搬させる媒体である。
【0078】
一般に、埋め込み型デバイス、電気ボリューム導通原理、符号化スキーム、変調スキームを構成する従来技術は、それらを開示されたシステムに組み込む方法の例を提供するために参照されることができる。斯かる情報は、従来技術において知られており、ここで詳細に説明されることはない。
【0079】
要約すると、通信の手段として電気信号のボリューム導通を用いて、被験者の体に埋め込まれる少なくとも2つの医療デバイス間で情報を通信するシステムであって、この埋め込まれた医療デバイスのいずれかが、組織に対する電気刺激を与えるよう構成されるシステムが開示される。このシステムは、刺激パルスを送信するよう構成される少なくとも2つの送信電極を持つ第1のインプラントデバイスと、刺激パルスに関する送信媒体としてチャネルを使用するよう構成され、情報を刺激パルスへとエンコードするエンコード手段と、エンコードされた情報を持つ送信された刺激パルスを受信するよう構成される少なくとも2つの受信電極を持つ第2のインプラントデバイスと、刺激パルスへとエンコードされた情報をデコードするよう構成されるデコード手段とを有する。開示されたシステムは、インプラント間で信頼性が高く効率的な通信を提供する。開示されるシステムは、人間に関連した、診断的、治療的及び一般的な監視活動において使用されることができる。
【0080】
本願において、請求項は特徴の特定の組み合わせに関して形成されるが、本主題の開示の範囲は、いずれかの請求項に現在記載されるのと同じ主題に関するかどうか、及び本主題と同じ技術的課題のいずれか又はすべてを軽減するかどうかに関係なく、明示的又は黙示的に本書に開示される任意の新規な特徴又は新規な特徴の任意の組み合わせ又はそれらの一般化をも含むものと理解されたい。
【0081】
本主題が図面及び前述の説明において詳細に図示され及び説明されたが、斯かる図示及び説明は、説明的又は例示的であると考えられ、限定するものではない。主題は、開示された実施形態に限定されるものではない。図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示された実施形態に対する他の変形が、請求項に記載された主題を実施する当業者により理解され及び遂行されることができる。動詞「有する」及びその活用形の使用は、請求項又は明細書に記載される要素以外の要素の存在を排除するものではない。構成要素又はステップに先行する不定冠詞「a」又は「an」は、斯かる構成要素又はステップの存在が複数であることを排除するものではない。図面及び明細書は、説明的なものとしてのみ認識されるべきであり、主題を限定するものではない。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するものとみなされるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信の手段として電気信号のボリューム導通を用いて、被験者の体に埋め込まれる少なくとも2つの医療デバイス間で情報を通信するシステムであって、
刺激パルスを送信するよう構成される少なくとも2つの送信電極を持ち、前記電極の1つが共通のリターン電極とすることができる、第1のインプラントデバイスと、
刺激パルスに関する送信媒体としてチャネルを使用し、前記情報を前記刺激パルスへとエンコードするよう構成されるエンコード手段と、
エンコードされた情報を持つ前記送信された刺激パルスを受信するよう構成される少なくとも2つの受信電極を持つ第2のインプラントデバイスと、
前記刺激パルスへとエンコードされた前記情報をデコードするよう構成されるデコード手段とを有する、システム。
【請求項2】
前記エンコード手段が、前記情報をエンコードする手段として治療刺激パルスのタイミング及び/又は形状を用いるよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エンコード手段が、前記情報をエンコードする手段として前記刺激パルスの間にデータ信号を織りまぜるよう構成され、前記織りまぜられたデータ信号は、振幅において前記刺激パルスより小さい、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のインプラントデバイス及び前記第2のインプラントデバイスが、電気刺激器デバイスであり、前記エンコード手段及び前記デコード手段は、パルス時間符号化スキームを用いるよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のインプラントデバイス及び前記第2のインプラントデバイスが、頭蓋骨に埋め込まれた電気刺激器デバイスであり、前記エンコード手段は、刺激パルスに関するチャネルを使用し、前記情報を前記刺激パルスへとエンコードするよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のインプラントデバイスが、少なくとも3つの電極を有し、第1の送信電極は、刺激パルスを送信するよう構成され、第2の電極及び第3の電極が、1つ又は複数の電場分布を生み出すよう切り替えられることができるリターン電極として構成され、前記第2のインプラントデバイスは、これらの異なる電場分布を検出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のインプラントデバイスが、通信の手段として電気信号のボリューム導通を用いて外部デバイスと通信するよう更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
通信の手段として電気信号のボリューム導通を用いて、被験者の体に埋め込まれる少なくとも2つの医療デバイス間で情報を通信する方法において、
刺激パルスに関する送信媒体としてチャネルを使用し、前記情報を前記刺激パルスへとエンコードするステップと、
第1のインプラントデバイスに提供される少なくとも2つの送信電極を用いて、前記エンコード済み刺激パルスを送信するステップと、
第2のインプラントデバイスに提供される少なくとも2つの受信電極を用いて、前記送信されたエンコード済み刺激パルスを受信するステップと、
前記刺激パルスへとエンコードされた前記情報をデコードするステップとを有する、方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−529366(P2011−529366A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520628(P2011−520628)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053165
【国際公開番号】WO2010/013170
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】