説明

埋め込み型光受信機

【課題】屋内空間への露出部分を低減することができる埋め込み型光受信機を提供する。
【解決手段】光ケーブルを接続するための光コネクタ40と、同軸ケーブルを接続するための同軸端子20と、光コネクタ40を介して入力された光信号を電気信号に変換して同軸端子20に出力する光電変換回路とを、筐体に収容して構成された光受信機1であって、同軸端子を、筐体の露出面側に設け、光コネクタを、筐体の非露出面側であって当該筐体における最も後方の点よりも前方に設けると共に、光受信機を取り付け器具を介して壁面Wの設置面に埋め込み固定した状態において、光コネクタに対する光ケーブルの接続方向が設置面と略平行になるように配置し、筐体の非露出面側の面を、筐体における後方から前方に近づく傾斜面として形成すると共に、筐体の非露出面側の面に形成した孔部に光コネクタを挿通することで、光コネクタを筐体の外側に露出させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を受信して電気信号に変換する光受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインターネットの拡大による情報流通量の急速な増加に対応して、光ファイバを使った家庭向けのデータ通信サービスであるFTTH(Fiber To The Home)が一般家庭に急速に普及しつつある。このFTTHにおいては、光ファイバを包含した光ケーブルが、屋外用光受信機を介して一般家屋等の屋内に引き込まれ、この屋内に設置された屋内用光受信機(ONU:Optical Network Unit)に接続される。そして、この屋内用光受信機を介して中継された通信データが、家庭内のパソコンやTV等の各機器に伝送される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような光受信機としては、一般家庭等の屋外壁面に取付けられる屋外用光受信機と、一般家庭等の屋内の床面や壁面に設置される屋内用光受信機とがある。このうち、従来の屋内用光受信機は、TV受像用のセットトップボックス等と同様に、屋内空間に露出して配置されることを前提に設計されており、単に箱状の筐体の内部に電気素子を収容することによって構成されていた。そして、従来は、この筐体を、屋内の壁面に室内側からネジ止め等にて取付けたり、屋内の床面上に載置していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−025094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の屋内用光受信機は、屋内空間に完全に露出する状態で配置されていたので、屋内用光受信機の設置スペースを室内に確保する必要があったり、この屋内用光受信機が、利用者の邪魔になったり、子供等のいたずらの対象になったり、あるいは、室内の美観を損ねるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、屋内空間への露出部分を低減することができる埋め込み型光受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、光ケーブルを接続するための光ケーブル接続手段と、同軸ケーブルを接続するための同軸端子と、前記光ケーブル接続手段を介して入力された光信号を電気信号に変換して前記同軸端子に出力する光電変換手段とを、筐体に収容して構成された光受信機であって、前記筐体の少なくとも一部を、当該光受信機を設置するための設置面に埋め込み固定するための固定手段を備え、前記同軸端子を、前記筐体の露出面側に設け、前記光ケーブル接続手段を、前記筐体の非露出面側であって当該筐体における最も後方の点よりも前方に設けると共に、当該光受信機を前記固定手段を介して前記設置面に固定した状態において、当該光ケーブル接続手段に対する前記光ケーブルの接続方向が当該設置面と略平行になるように配置し、前記筐体の非露出面側の面を、当該筐体における後方から前方に近づく傾斜面として形成すると共に、当該筐体の非露出面側の面に形成した孔部に前記光ケーブル接続手段を挿通することで、当該光ケーブル接続手段を当該筐体の外側に露出させた。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において、前記筐体には、第1の回路基板と第2の回路基板とを収容し、前記光ケーブル接続手段は、前記光ケーブルから出力された光信号を受信する光信号受信素子を有し、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを相互に略直交状に配置することによってこれらの近接面間に形成される対向スペースに、前記光信号受信素子を配置した。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の本発明において、当該光受信機に対する前記光信号の入力状態に関する表示を行う光信号入力表示手段を、前記筐体の露出面側に設けた。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の本発明によれば、光受信機を壁面等の各種の設置面に埋め込み固定することができ、光受信機のうち、ユーザのアクセスが不要な部分を設置面の奥に収容できるので、光受信機を屋内に設置した場合においても、この光受信機の設置スペースを室内に確保する必要がなくなり、さらには、光受信機が、利用者の邪魔になったり、子供等のいたずらの対象になったり、あるいは、室内の美観を損ねることを防止できる。
また、この発明によれば、筐体の非露出面側の面を、当該筐体における後方から前方に近づく傾斜面として形成し、このことによって光ケーブル接続手段は筐体の非露出面側の面から下方を臨む向きに配置されているので、壁内空間の埃等が光ケーブル接続手段に堆積することが防止される。
【0011】
請求項2に記載の本発明によれば、光信号受信素子を第1の回路基板や第2の回路基板に直接的に差し込むことでノイズを低減できると共に、その対向スペースに光信号受信素子を収容することで筐体を小型化することができる。
【0012】
請求項3に記載の本発明によれば、光受信機の筐体の露出面に光信号入力表示手段を設けたので、ユーザは、光受信機に対する光信号の入力状態を容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光受信機の全体斜視図である。
【図2】図2は光受信機を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は底面図、(e)は(a)のA−A矢視断面図である。
【図3】光受信機の背面図である。
【図4】光受信機の分解斜視図である。
【図5】光受信機に対する各種ケーブルの接続状態を示す斜視図である。
【図6】光受信機をその取付け器具と共に壁面に取付けた状態の側面図である。
【図7】光受信機とその取付け器具の分解斜視図である。
【図8】実施の形態2に係る光受信機の前面側から見た全体斜視図である。
【図9】光受信機の後面側から見た全体斜視図である。
【図10】光受信機を示す図であって、(a)は後面図、(b)は底面図、(c)は側面図である。
【図11】光受信機から余長処理部を取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図12】余長処理部を示す図であって、(a)は後面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は前面図である。
【図13】余長処理部を前面側から見た斜視図である。
【図14】実施の形態3に係る光受信ユニットを取り付け器具と共に示す全体斜視図である。
【図15】光受信ユニットを取り付け器具と共に示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
【図16】光受信ユニットを取り付け器具と共に示す背面図である。
【図17】電源アダプタを示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は背面図である。
【図18】光受信ユニットとその取付け器具の分解斜視図である。
【図19】実施の形態4に係る光受信ユニットを取り付け器具と共に示す正面図である。
【図20】電源アダプタを示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る埋め込み型光受信機(以下、単に光受信機)及び埋め込み型光受信ユニットの各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、これら各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態は、概略的に光受信機及び光受信ユニットに関するものである。光受信機は、従来の屋内用光受信機と同様に、屋外から引き込まれた光ケーブル及び屋内に引き出される信号線に接続され、光ケーブルから伝送された光信号を電気信号に変換して信号線に出力する。信号線の具体的種類は任意であるが、以下では、代表的な信号線である同軸ケーブルを例とって説明する。
【0016】
ここで、光受信機の特徴の一つは、この光受信機を構成する筐体の少なくとも一部を、壁面(主として屋内壁面)に埋め込み固定するための固定手段を備えた埋め込み型光受信機として構成されていることにある。すなわち、埋め込み型の固定構造を光受信機に採用することで、光受信機のうち屋内空間に露出する部分が著しく低減し、光受信機が利用者の邪魔になることがなく、また光受信機が子供等のいたずらの対象になることもなく、さらには、光受信機によって室内の美観が損なわれることもない。このように光受信機を埋め込み構造とすること自体が従来技術には見られない新規なものであるが、各実施の形態ではさらに、このような埋め込み構造を採用するに際して発生し得る様々な新規な課題を解消することで、光受信機の利便性や信頼性を向上する等のさらなる効果を得ることができる。
【0017】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
以下に添付図面を参照して、実施の形態1〜4の具体的内容について順次詳細に説明する。
【0018】
〔実施の形態1〕
まず、本発明に係る実施の形態1の具体的内容について詳細に説明する。この実施の形態1は、露出面に信号線接続手段と電源線接続手段とを設け、非露出面に光ケーブル接続手段を設けた形態である。
【0019】
(光受信機の構成)
最初に、光受信機の構成を説明する。図1は本実施の形態1に係る光受信機の全体斜視図、図2は光受信機を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は底面図、(e)は(a)のA−A矢視断面図、図3は光受信機の背面図、図4は光受信機の分解斜視図である。なお、以下の説明では、図1のX方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向とする。この光受信機1は、筐体10の前面(正面)に同軸端子20及び電源端子30を有し、筐体10の後面(背面)に光コネクタ40を有し、さらに筐体10の内部に光電変換回路50及び回路基板60を収容して構成されている。
【0020】
筐体10は、図4に示すように、筐体本体11と、この筐体本体11の後面に取り付けられた後面プレート12とを備えて構成されている。筐体本体11は、後面を開放状とした中空箱状に形成され、この筐体本体11の内部空間に、回路基板60及び光電変換回路50を収容することができる。この筐体本体11の前面は、略平面状に形成されており、その上部には同軸端子20、下部には電源端子30がそれぞれ配置されている。この筐体本体11の前面にはフロントカバー13が配置されており、このフロントカバー13は、その左右に形成された係止爪13aを筐体本体11に係脱自在に係止させることで、この筐体本体11に着脱自在に取り付けられている。このフロントカバー13には、孔部13b〜13eが形成されており、これら孔部13b〜13eを介して同軸端子20、電源端子30、及び、後述する電源灯14と光入力灯15が室内空間に露出する。また、筐体本体11の両側面の上下には、後述する取り付けアダプタを着脱自在に係止させるためのもので、上下方向に沿って延びる直線状の取り付け溝11aが一体形成されている。
【0021】
また、図1、2、4に示すように、光受信機1の筐体10の前面には、電源灯14が設けられている。この電源灯14は、光受信機1に対する電力の供給状態に関する表示を行うもので、特許請求の範囲における電源表示手段に対応する。この電源灯14は、具体的にはLED(Light Emitting Diode)にて構成されており、光受信機1の電力供給系統から分圧された図示しない分圧回路に接続され、光受信機1に所定電圧以上の電力が供給されている場合に点灯する。従って、ユーザは、この電源灯14を目視することで、光受信機1に対する電力の供給状態を容易に確認できる。
【0022】
また、光受信機1の筐体10の前面における電源灯14の側方には、光入力灯15が設けられている。この光入力灯15は、光受信機1に対する光信号の入力状態に関する表示を行うもので、特許請求の範囲における光信号入力表示手段に対応する。この光入力灯15は、具体的にはLEDにて構成されており、光電変換回路50に対する電気信号の入力系統から分圧された図示しない分圧回路に接続され、光電変換回路50に所定電圧以上の信号が入力されている場合に点灯する。従って、ユーザは、この光入力灯15を目視することで、光受信機1に対する光信号の入力状態を容易に確認できる。
【0023】
図5には光受信機1に対する各種ケーブルの接続状態を示す。光受信機1の筐体10の前面には、コネクタフック16が設けられている。このコネクタフック16は、筐体10の前面の電源端子30に接続された電源線としての電源ケーブルC1を固定する固定手段である。具体的には、コネクタフック16は、フロントカバー13に一体に形成されたもので、このフロントカバー13から前方に向けて平面略J字形状に突出する。この図5に示すように、電源ケーブルC1の電源コネクタC1aを、コネクタフック16の内部に係止固定できる。従って、電源ケーブルC1の取り付け状態を外観上にすっきりまとめることができると共に、この電源ケーブルC1が光受信機1から不用意に取り外されたり脱落したりすることを防止できる。なお具体的な係止手順としては、まず電源コネクタC1aを左右方向に略沿った方向で電源端子30に接続し、この電源コネクタC1aを電源端子30を回動軸として垂直面内で回転させることで、図5に示す係止状態にすることができる。
【0024】
また、図3、4に示すように、後面プレート12は、筐体本体11に対して取り付けネジ81aにて着脱自在にネジ止めされるもので、この筐体本体11の後面を閉鎖することで、筐体本体11の内部空間を密閉して、この内部空間を電磁干渉(EMI)を防止するための密閉空間とする。この後面プレート12の中央近傍位置には12b孔部が形成されており、この孔部12bに光コネクタ40が挿通されることで、この光コネクタ40が後面プレート12から壁内空間に露出する。特に、後面プレート12は、下方に至るにつれて前面側に近づく傾斜面として形成されており、このことによって光コネクタ40は後面プレート12から下方を臨む向きに配置されているので、壁内空間の埃等が光コネクタ40に堆積することが防止されている。このように構成される筐体10の具体的材質や製造方法は任意であるが、電磁干渉防止の観点からは電磁シールド性の高い金属にて形成されることが好ましく、例えばアルミダイキャストにて製造される。
【0025】
この筐体10には、図1〜4に示すように、取り付けアダプタ17が着脱自在に取り付けられている。この取り付けアダプタ17は、筐体10を壁面に埋め込み固定するためのもので、特許請求の範囲における固定手段に対応する。この取り付けアダプタ17は、筐体本体11に係脱自在に係止する係止ステー17aと、壁面の屋外側に当接される固定板17bとを一体に備える。係止ステー17aは、筐体本体11の取り付け溝11aに対応する長さ及び幅にて形成されており、この取り付け溝11aに対して係止ステー17aを上方又は下方から挿通させることができる。この係止ステー17aの先端には係止爪17cが形成されており、この係止爪17cを、取り付け溝11aに形成された凹部11bに係脱自在に係止させることで、取り付けアダプタ17を筐体10に固定できる。また、固定板17bは、平板状に形成されると共に、複数のネジ孔17d、17eを備えており、これらネジ孔17d、17eを介したネジ固定により、光受信機1を後述するスイッチボックスカバーに固定できると共に、光受信機1に後述する化粧プレートベースを固定できる。
【0026】
光コネクタ40は、図5に示す光ケーブルC2を着脱自在に接続するためのもので、特許請求の範囲における光ケーブル接続手段に対応する。この光コネクタ40の具体的構造は任意であり、例えば、JIS5973にて規格化されているF04形単心光ファイバC1コネクタ(SC型コネクタ)として構成され、いわゆるスライドロック構造によるプッシュオン形締結構造を有する。この光コネクタ40の内部には円筒状のフォトダイオード41が収容されている。このフォトダイオード41は、光コネクタ40に接続された光ケーブルC2から出力された光信号を受信するもので、特許請求の範囲における光信号受信素子に対応する。具体的には、この光コネクタ40に接続された光ケーブルC2の芯線である図示しない光ファイバから出力される光信号が、この光コネクタ40のフォトダイオード41にて入射して電気信号として光電変換回路50に入力される。
【0027】
同軸端子20は、同軸ケーブルC3を着脱自在に接続するためのもので、特許請求の範囲における信号線接続手段に対応する。この同軸端子20の具体的構造は任意であり、例えば、同軸ケーブルC3の先端に取付けられたF雄型の同軸コネクタC3aを接続するためのF型雌コネクタとして構成される。
【0028】
電源端子30は、電源ケーブルC1を着脱自在に接続するためのもので、特許請求の範囲における電源線接続手段に対応する。この電源端子30の具体的構造は任意であり、例えば、電源ケーブルC1の先端に取付けられたL雄型の電源コネクタC1aを接続するための雌コネクタとして構成される。
【0029】
図2(e)において、光電変換回路50は、フォトダイオード41から出力された電気信号をRF信号に変換して同軸端子20に出力するもので、特許請求の範囲における光電変換手段に対応する。この光電変換回路50の具体的構成は任意であり、例えば、各種のフィルタ、変調器、及び、増幅器を用いて構成される(なお、図2(e)においては便宜上、光電変換回路50を簡略化して示す)。
【0030】
また、回路基板60は、光電変換回路50を含む光受信機1の電気素子を実装するための実装基板であり、図2(e)及び図4に示すように、第1の回路基板61と第2の回路基板62とに分割構成されている。第1の回路基板61は、上下方向に沿って配置されている。また、第2の回路基板62は、前後方向に沿って配置されている。すなわち、これら第1の回路基板61と第2の回路基板62は相互に略直交するように組み合わされており、このように組合せることによって、これら第1の回路基板61と第2の回路基板62との相互間には、これらが相互に近接する側に、対向スペース63が形成される。そして、この対向スペース63の内部に、フォトダイオード41が上下方向に沿って配置されている。このフォトダイオード41は、その上端の接続配線が第2の回路基板62に挿入固定されると共に、その下端が光コネクタ40の内部に延在して光信号を受光する。
【0031】
このように回路基板60を第1の回路基板61と第2の回路基板62とから分割構成し、これら第1の回路基板61と第2の回路基板62との相互間の対向スペース63にフォトダイオード41を配置したのは、以下の理由による。すなわち、ノイズ低減のためには、フォトダイオード41の接続配線を極力短くし、この接続配線を回路基板60に直接的に差し込むことが好ましい。しかしながら、この場合には回路基板60に対してフォトダイオード41が直交するように固定されるので、回路基板60を単に1枚の平板として構成したのでは、これら回路基板60及びフォトダイオード41を収容する筐体10が大型化してしまう。そこで、本実施の形態1では、回路基板60を第1の回路基板61と第2の回路基板62とから分割構成し、これらの相互間に形成される対向スペース63にフォトダイオード41を配置することで、筐体10を小型化することに成功している。ただし、このように対向スペース63を設ける必要がない場合には、回路基板60を1枚で構成してもよい。また対向スペース63を設ける必要がある場合であっても、回路基板60をフレキシブル基板から構成して略L字状に湾曲させることで、対向スペース63を形成してフォトダイオード41を配置でき、回路基板60の構成を一層簡素化することができる。
【0032】
(光受信機1の取り付け構造)
次に、このように構成された光受信機1を壁面に取り付けるための構造について説明する。図6は光受信機をその取付け器具と共に壁面に取付けた状態の側面図、図7は光受信機とその取付け器具の分解斜視図である。光受信機1を壁面Wに取り付けるための取り付け器具として、ここでは、スイッチボックス70、スイッチボックスカバー71、化粧プレートベース72、及び、化粧プレート73を用いている。概略的には、図6に示すように、室内空間に露出しない側(以下、非露出側)に、スイッチボックス70及びスイッチボックスカバー71が固定されており、このスイッチボックス70に光受信機1の後部が収容されている。また、この壁面Wの両側方のうち、室内空間に露出する側(以下、露出側)に、光受信機1の前面が露出すると共に、この光受信機1の前面に化粧プレートベース72及び化粧プレート73が固定されている。
【0033】
図7に示すように、スイッチボックス70は、正面を開放状とした中空方形状に形成され、その内部に光受信機1の後部を受容可能な収容空間部を有する。このスイッチボックス70の上側面には図示しない配線パイプが接続され、この配線パイプを介してスイッチボックス70に光ケーブルC2を引き込むことができる。また、スイッチボックスカバー71は、壁面Wの非露出面に当接する方形枠状部材であり、その中央の開口部71aを介して光受信機1をスイッチボックス70に出し入れすることができる。このスイッチボックスカバー71の上下の側片にはネジ孔71bが設けられており(図7には上方のネジ孔71bのみを示す)、このネジ孔71bに挿通させた取り付けネジ71cをスイッチボックス70のネジ孔70aにネジ込むことにより、スイッチボックスカバー71をスイッチボックス70にネジ固定できる。また、スイッチボックスカバー71の開口部71aの上下には、ネジ孔71dが設けられており、光受信機1の取り付けアダプタ17のネジ孔17dに挿通させた取り付けネジ17fを、スイッチボックスカバー71のネジ孔71dにネジ込むことによって、光受信機1をスイッチボックスカバー71に固定できる。このように光受信機1をスイッチボックスカバー71に固定することで、これら光受信機1の取り付けアダプタ17とスイッチボックスカバー71の上下左右の側片との間に壁面Wが挟持され、光受信機1を壁面Wに固定できる。
【0034】
また、化粧プレートベース72は、壁面Wの露出面に当接する方形枠状部材であり、その中央には光受信機1の筐体本体11の正面に略対応する高さ及び幅の開口部72aが形成されている。この化粧プレートベース72の上下の側片にはネジ孔72bが形成されており、このネジ孔72bにネジ込んだ取り付けネジ72cを光受信機1の取り付けアダプタ17のネジ孔17eにネジ込むことで、化粧プレートベース72を光受信機1に固定できる。また、化粧プレート73は、化粧プレートベース72に着脱自在に取り付けられる方形枠状部材であり、その中央には光受信機1の筐体本体11の正面に略対応する高さ及び幅の開口部73aが形成されている。この化粧プレート73の化粧プレートベース72に対向する面には、図示しない係止爪が形成されており、この係止爪を化粧プレートベース72に係脱自在に係止させることによって、化粧プレート73を化粧プレートベース72に着脱自在に取り付けることができる。このように化粧プレートベース72及び化粧プレート73を取り付けた状態において、これら化粧プレートベース72の開口部72a及び化粧プレート73の開口部73aを介して、光受信機1の同軸端子20及び電源端子30が室内空間に露出する。これにて光受信機1の取り付けが終了する。
【0035】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、光受信機1を壁面Wに埋め込み固定でき、光受信機1のうち、ユーザのアクセスが不要な部分を壁面奥に収容できるので、光受信機1を屋内に設置した場合においても、この光受信機1の設置スペースを室内に確保する必要がなくなり、さらには、光受信機1が、利用者の邪魔になったり、子供等のいたずらの対象になったり、あるいは、室内の美観を損ねることを防止できる。また、光受信機1の筐体10の前面に電源灯14を設けたので、ユーザは、光受信機1に対する電力の供給状態を容易に確認できる。また、受信機の筐体10の前面に光入力灯15を設けたので、ユーザは、光受信機1に対する光信号の入力状態を容易に確認できる。また、光受信機1の筐体10の前面にコネクタフック16を設けたので、電源コネクタの取り付け状態を外観上にすっきりまとめることができると共に、この電源コネクタが光受信機1から不用意に取り外されたり脱落したりすることを防止できる。また、光コネクタ40を下方向きに配置したので、壁内空間の埃等が光コネクタ40に堆積することを防止できる。また、回路基板60を第1の回路基板61と第2の回路基板62とから分割構成し、これら第1の回路基板61と第2の回路基板62との相互間の対向スペース63にフォトダイオード41を配置したので、フォトダイオード41を回路基板60に直接的に差し込むことでノイズを低減できると共に、筐体10を小型化することができる。
【0036】
〔実施の形態2〕
次に、本発明に係る実施の形態2の具体的内容について詳細に説明する。この実施の形態2は、光受信機に、光ケーブルの余長部分を処理するための余長処理部等を設けた形態である。ただし、特に説明なき構成においては実施の形態1と同様であるものとし、実施の形態1と同様の構成要素には、必要に応じて、実施の形態1で使用したものと同一の符号を付する。
【0037】
図8は実施の形態2に係る光受信機の前面側から見た全体斜視図、図9は光受信機の後面側から見た全体斜視図、図10は光受信機を示す図であって、(a)は後面図、(b)は底面図、(c)は側面図である。光受信機2の筐体80の後面プレート81は、実施の形態1とは異なり上下方向に沿って(非傾斜状に)形成されており、この後面プレート81に余長処理部90が取り付けられている。この余長処理部90は、光受信機2に接続される光ケーブルC2の余長部分を巻き取り収容するもので、特許請求の範囲における余長処理手段に対応する。
【0038】
図11は光受信機から余長処理部を取り外した状態を示す分解斜視図、図12は余長処理部を示す図であって、(a)は後面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は前面図、図13は余長処理部を前面側から見た斜視図である。この余長処理部90は、円盤状のベース板91と、巻き取り部92とを一体に備えて構成されている。
【0039】
ベース板91は、光受信機2の後面プレート81よりも小さな外径をなすように構成されており、この後面プレート81に取り付けられた状態においては、この後面プレート81の後方投影空間に余長処理部90が略収まり、余長処理部90が上下左右に不用意に突出するようなことがない。
【0040】
巻き取り部92は、ベース板91の後面に一体に形成されたもので、円環状をなし、ベース板91の周縁よりやや内側寄りの位置から、後方に向けて立ち上がるように形成されている。そして、この巻き取り部92の外周に光ケーブルC2の余長部分を任意の回数だけ巻き付けることによって、この余長部分を収容することができる。
【0041】
この巻き取り部92には、4つの押さえ突起92a及び一対のケーブル押さえ93が設けられている。これら押さえ突起92a及びケーブル押さえ93は、巻き取り部92に対する光ケーブルC2の挿通経路(巻き取り部92に光ケーブルC2を巻き付ける際に当該光ケーブルC2が通過する経路)の少なくとも一部を遮るものであって、特許請求の範囲におけるケーブル押さえに対応する。
【0042】
押さえ突起92aは、巻き取り部92の周面において、上下左右に向けて突出するように形成されている。そして、この押さえ突起92aによって、巻き取り部92に巻き付けられた光ケーブルC2が後方に向けて脱落することが防止されている。また、各ケーブル押さえ93は、上向きU字形状又は下向きU字形状をなし、ベース板91の周縁近傍から、巻き取り部92の後方に至るように立ち上げられ、さらに巻き取り部92の上下左右の略中央位置寄りに延出されている。そして、これら一対のケーブル押さえ93によって、巻き取り部92に巻き付けられた光ケーブルC2が自己反発力で上下左右に広がることが防止され、この光ケーブルC2が巻き取り部92から脱落することが防止されている。
【0043】
ここで、ケーブル押さえ93は、弾性変形可能な材質、例えばエラストマーやポリプロピレンの如き合成樹脂にて形成されており、これらケーブル押さえ93をその弾性力に抗して上下に押し広げることで、巻き取り部92に光ケーブルC2の余長部分を巻き付けることができる。また、この巻き付け作業の終了後に、ケーブル押さえ93を開放することで、ケーブル押さえ93が弾性力にて自己復元して図示の位置に戻り、光ケーブルC2の脱落を防止する。このケーブル押さえ93の具体的形成方法は任意であるが、特に本実施の形態2においては、ベース板91の一部を打ち抜いて後方側に立ち上げることによってケーブル押さえ93を形成しているので、ケーブル押さえ93を容易に作成できる。なお、このような押さえ突起92aやケーブル押さえ93の具体的構造としては、この他にも種々の構造を採用することができ、例えば公知の屋外用光受信機における余長処理部90に用いられている構造を採用できる。
【0044】
このように構成された余長処理部90は、筐体80に対して任意の構造にて取り付けることができ、例えば、ネジ止め固定や係止固定することができる。ここでは、図11、13に示すように、余長処理部90のベース板91の前面には、左右一対の円柱状の固定脚94(特許請求の範囲における突出部に対応する)が一体形成されており、この固定脚94を、筐体80の後面プレート81に設けた左右一対の固定穴81a(特許請求の範囲における凹部に対応する)に挿脱自在に挿入することで、余長処理部90を筐体80に対して着脱自在に取り付けることができる。このように、余長処理部90を筐体80に対して着脱自在とすることで、光ケーブルC2の余長部分の巻き取り時にはこの余長処理部90を取り外し、作業者の手元近くで巻き取り作業を行うことを可能としている。また、固定脚94を固定穴81aに挿入するだけで余長処理部90の取り付けを行なうことができるので、光ケーブルC2の巻き付け作業の終了後には、この余長処理部90を工具等を使用することなく筐体80に容易に固定できる。
【0045】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、余長処理部90を設けたので、光ケーブルC2の余長部分を収容することができる。また、押さえ突起92aやケーブル押さえ93により、光ケーブルC2が巻き取り部92から脱落することを防止できる。さらに、余長処理部90を筐体80に対して着脱自在としているので、光ケーブルC2の余長部分の巻き取り時にはこの余長処理部90を取り外し、作業者の手元近くで巻き取り作業を行うことを可能としている。また、固定脚94を固定穴81aに挿入するだけで余長処理部90の取り付けを行なうことができるので、光ケーブルC2の巻き付け作業の終了後には、この余長処理部90を工具等を使用することなく筐体80に容易に固定できる。
【0046】
〔実施の形態3〕
次に、本発明に係る実施の形態3の具体的内容について詳細に説明する。この実施の形態3は、光受信機と電源アダプタとを一体に埋め込み固定可能なようにユニット化した形態である。ただし、特に説明なき構成においては実施の形態2と同様であるものとし、実施の形態2と同様の構成要素には、必要に応じて、実施の形態2で使用したものと同一の符号を付する。
【0047】
図14は光受信ユニットを取り付け器具と共に示す全体斜視図、図15は光受信ユニットを取り付け器具と共に示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図、図16は光受信ユニットを取り付け器具と共に示す背面図である。この光受信ユニット3は、光受信機3Aと、電源アダプタ3Bとを備えて構成されている。
【0048】
このうち、光受信機3Aは、基本的には実施の形態2の光受信機2と同様に構成されるが、電源端子30が後面に配置されている点において実施の形態2とは異なる。具体的には、電源端子30の筐体100の底面のうち、壁面の非露出側に収容される位置に、電源端子30が下方に向けて設けられている。このように電源端子30を光受信機3Aの後面に設けることで、壁面の非露出側において電源ケーブルC1の接続を行なうことができ、光受信ユニット3の室内側の外観を向上させることができる。
【0049】
また、電源アダプタ3Bは、光受信機3Aに対して電力を供給するためのもので、特許請求の範囲における電源手段に対応する。図17は電源アダプタを示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は背面図である。電源アダプタ3Bは、筐体110の内部に図示しない変圧部を収容すると共に、この筐体110の後面に電源ケーブルC1を一体に設け、さらにこの後面に2組の電源端子111、112を設けて構成されている。変圧部は、電源端子111を介して供給された電力を、光受信機3Aの仕様に適合した電圧に変換するもので、例えばトランスを備えて構成されている。
【0050】
電源ケーブルC1は、電力線であり、光受信機3Aの電源端子30に接続可能な長さに形成され、この光受信機3Aに着脱自在に接続される。電源端子111、112は、図示しない電源ケーブルを電源アダプタ3Bに接続するための接続端子であり、この電源ケーブルの芯線をネジ止め固定するためのネジ止め端子として構成されている。具体的には、電源端子111には、図示しない電力配線盤等から引き込まれた電源ケーブルを接続し、電源端子112には、任意の外部機器に至る電源ケーブルを接続する。
【0051】
このように構成された電源アダプタ3Bは以下のように利用される。すなわち、図示しない電力配線盤等から引き込まれた電源ケーブルからの電力が、電源端子111を介して電源アダプタ3Bに供給される。この電力は、図示しない変圧部を介して所定電圧に変換された後、電源ケーブルC1及び電源端子111に供給される。そして、この電力を電源ケーブルC1を介して光受信機3Aに供給することで、この光受信機3Aを駆動することできる。また、この電力を電源端子112を介して外部機器に供給することで、この電源アダプタ3Bを外部機器に対する電力中継手段として利用することができる。特に、本実施の形態3においては、これら電源ケーブルC1や電源端子111、112を電源アダプタ3Bの後面に設けているので、これら電源ケーブルC1や電源端子111、112が室内空間に露出せず、ユーザの安全性を高めることができると共に、光受信ユニット3の室内側の外観を向上させることができる。
【0052】
(光受信ユニット3の取り付け構造)
次に、このように構成された光受信ユニット3の壁面に対する取り付け構造について説明する。図18は光受信ユニットとその取付け器具の分解斜視図である。概略的には、壁面の非露出側には、スイッチボックス120及びスイッチボックスカバー121が固定されており、このスイッチボックス120に光受信機3A及び電源アダプタ3Bの後部が収容される。また、壁面の露出側には、光受信機3Aの一部が露出すると共に、この光受信機3Aの正面には化粧プレートベース122及び化粧プレート123が固定される。
【0053】
スイッチボックス120は、正面を開放状とした中空方形状に形成され、その内部に光受信機3A及び電源アダプタ3Bの後部を受容可能な収容空間部を有する。このスイッチボックス120の上側面には図示しない配線パイプが接続され、この配線パイプを介してスイッチボックス120に光ケーブルC2や電源ケーブルを引き込むことができる。また、スイッチボックスカバー121は、壁面の非露出面に当接する方形枠状部材であり、その中央の開口部121aを介して光受信機3A及び電源アダプタ3Bをスイッチボックス120に出し入れすることができる。このスイッチボックスカバー121の上下の側片にはネジ孔121bが設けられており(図18では上方のネジ孔121bのみを図示する)、このネジ孔121bに挿通させた取り付けネジ121cをスイッチボックス120のネジ孔120aにネジ込むことにより、スイッチボックスカバー121をスイッチボックス120にネジ固定できる。また、スイッチボックスカバー121の開口部121aの上下には、ネジ孔121dが設けられており、光受信機3Aのネジ孔17d及び電源アダプタ3Bのネジ孔110aに挿通させた取り付けネジ17fを、スイッチボックスカバー121のネジ孔121dにネジ込むことによって、光受信機3A及び電源アダプタ3Bをスイッチボックスカバー121に固定できる。このように光受信機3A及び電源アダプタ3Bをスイッチボックスカバー121に固定することで、これら光受信機3A及び電源アダプタ3Bとスイッチボックスカバー121の上下左右の側片との間に壁面が挟持され、光受信機3A及び電源アダプタ3Bを壁面に固定できる。
【0054】
また、化粧プレートベース122は、壁面の露出面に当接する方形枠状部材であり、その中央には光受信機3A及び電源アダプタ3Bの正面に略対応する高さ及び幅の開口部122aが形成されている。この化粧プレートベース122の上下の側片にはネジ孔122bが形成されており、このネジ孔122bにネジ込んだ取り付けネジ122cを光受信機3Aのネジ孔17eにネジ込むことで、化粧プレートベース122を光受信機3Aに固定できる。また、化粧プレート123は、化粧プレートベース122に着脱自在に取り付けられる方形枠状部材であり、その中央には、光受信機3Aの正面に略対応する高さ及び幅の開口部123aと、電源アダプタ3Bの正面に略対応する高さ及び幅の開口部123bが形成されている。この化粧プレート123の化粧プレートベース122に対向する面には、図示しない係止爪が形成されており、この係止爪を化粧プレートベース122に係脱自在に係止させることによって、化粧プレート123を化粧プレートベース122に着脱自在に取り付けることができる。このように化粧プレートベース122及び化粧プレート123を取り付けた状態において、これら化粧プレートベース122の開口部122a及び化粧プレート123の開口部123a、123bを介して、光受信機3Aの同軸端子20が室内空間に露出する。これにて光受信ユニット3の取り付けが終了する。
【0055】
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、実施の形態1、2と同様の効果に加えて、光受信機3Aを電源アダプタ3Bと共に光受信ユニット3として並設することで、光受信機3Aに対する電力供給を簡易な構成で容易に行なうことができる。特に、電源端子や電源ケーブルC1を壁面奥に収容しているので、ユーザの安全性を高めることができると共に、光受信機3Aの室内側の外観を維持することができる。また、電源端子を設けて外部機器への電力供給を可能としているので、電源アダプタ3Bを外部機器に対する電力中継手段として利用することができる。
【0056】
〔実施の形態4〕
次に、本発明に係る実施の形態4の具体的内容について詳細に説明する。この実施の形態4は、実施の形態3とは異なる構造の電源アダプタを光受信機と一体に埋め込み固定した形態である。ただし、特に説明なき構成においては実施の形態1、3と同様であるものとし、実施の形態1、3と同様の構成要素には、必要に応じて、実施の形態1、3で使用したものと同一の符号を付する。
【0057】
図19は光受信ユニットを取り付け器具と共に示す正面図である。この光受信ユニット4は、光受信機4Aと、電源アダプタ4Bとを備えて構成されている。光受信機4Aは、実施の形態1の光受信機1と同様に構成されており、その前面に同軸端子20及び電源端子30を備える。
【0058】
電源アダプタ4Bは、光受信機4Aに対して電力を供給するためのもので、特許請求の範囲における電源手段に対応する。図20は電源アダプタを示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は背面図である。電源アダプタ4Bは、筐体130の内部に図示しない変圧部及び分配部を収容すると共に、この筐体130の前面に2組の電源コネクタ131、132を設けると共に、この筐体130の後面に実施の形態3と同様の2組の電源端子111、112を設けて構成されている。分配部は、変圧部にて変圧された電力を2組の電源コネクタ131、132に分配供給する。
【0059】
このように構成された電源アダプタ4Bは以下のように利用される。すなわち、図示しない電力配線盤等から引き込まれた電源ケーブルからの電力が、電源端子111を介して電源アダプタ4Bに供給される。この電力は、図示しない変圧部を介して所定電圧に変換された後、図示しない分配部を経て、2組の電源コネクタ131、132及び電源端子112に供給される。そして、2組の電源コネクタ131、132のいずれか一方と光受信機4Aの前面の電源端子30とを図示しない電源ケーブルにて接続することで、光受信機4Aに電力を供給することができる。また、電源コネクタ132のいずれか他方には、TV受像器等の任意の外部機器を接続することで、光受信ユニット4を通常の商用電源コンセントと同様に利用できる。あるいは、変圧部にて変圧された電力を電源端子112を介して外部機器に供給することで、この電源アダプタ4Bを外部機器に対する電力中継手段として利用することができる。
【0060】
(実施の形態4の効果)
このように実施の形態4によれば、実施の形態1、3と同様の効果に加えて、光受信機4Aを電源アダプタ4Bと共に並設することで、光受信機4Aに対する電力供給を簡易な構成で容易に行なうことができる。特に、電源コネクタ131、132の一方にTV受像器等の任意の外部機器を接続できるので、光受信ユニット4を通常の商用電源コンセントと同様に利用でき、ユーザの利便性を高めることができる。
【0061】
〔III〕各実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0062】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0063】
(各実施の形態の関係について)
各実施の形態に示した構成は、相互に他の実施の形態に適用することができる。例えば、実施の形態3の光受信機3Aに代えて、実施の形態1の光受信機1を用いてもよい。あるいは、実施の形態3の電源アダプタ3Bに代えて、実施の形態1の光受信機1を用いることで、複数の光受信機を共通の固定手段にて設置面に埋め込み可能としてもよい。
【0064】
(各端子について)
同軸端子、電源端子、あるいは、光コネクタは、特記する場合を除いて、各実施の形態に示した位置以外の任意の位置に設けることができ、例えば、これら端子の全てを筐体の露出面側に並設してもよい。また、各端子は、各実施の形態に示した数以外の数を設けてもよく、例えば、同軸端子や光コネクタをそれぞれ複数も受けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明は、光信号を受信して電気信号に変換する光受信機に適用でき、壁面等に光受信機を埋め込み固定することでその設置スペースを有効活用すること等に有用である。
【0066】
(付記)
付記1に記載の本発明は、光ケーブルを接続するための光ケーブル接続手段と、信号線を接続するための信号線接続手段と、前記光ケーブル接続手段を介して入力された光信号を電気信号に変換して前記信号線接続手段に出力する光電変換手段とを、筐体に収容して構成された光受信機であって、前記筐体の少なくとも一部を、当該光受信機を設置するための設置面に埋め込み固定するための固定手段を備えること、を特徴とする。
【0067】
付記2に記載の本発明は、付記1に記載の本発明において、前記信号線接続手段を、前記筐体の露出面側に設け、前記光ケーブル接続手段を、前記筐体の非露出面側に設けたこと、を特徴とする。
【0068】
付記3に記載の本発明は、付記1又は2に記載の本発明において、当該光受信機を前記固定手段を介して前記設置面に固定した状態において、前記光ケーブル接続手段を、略下向きに配置すること、を特徴とする。
【0069】
付記4に記載の本発明は、付記1から3のいずれか一項に記載の本発明において、前記筐体には、第1の回路基板と第2の回路基板とを収容し、前記光ケーブル接続手段は、前記光ケーブルから出力された光信号を受信する光信号受信素子を有し、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを相互に略直交状に配置することによってこれらの近接面間に形成される対向スペースに、前記光信号受信素子を配置したこと、を特徴とする。
【0070】
付記5に記載の本発明は、付記1又は2に記載の本発明において、前記光電変換手段に対して電力を供給するための電力線を接続する電力線接続手段、を備えることを特徴とする。
【0071】
付記6に記載の本発明は、付記5に記載の本発明において、前記電力線接続手段を、前記筐体の非露出面側に設けたこと、を備えることを特徴とする。
【0072】
付記7に記載の本発明は、付記1から6のいずれか一項に記載の本発明において、前記光ケーブルの余長部分を巻き取るための余長処理手段、を備えたことを特徴とする。
【0073】
付記8に記載の本発明は、付記7に記載の本発明において、前記余長処理手段を、前記設置面における露出面側に設けたこと、を特徴とする。
【0074】
付記9に記載の本発明は、付記8に記載の本発明において、前記余長処理手段は、前記光ケーブルの余長部分を巻き付け可能な巻き取り部と、前記巻取り部に対する前記光ケーブルの挿通経路の少なくとも一部を遮るものであって、弾性変形可能なケーブル押さえと、を備えることを特徴とする。
【0075】
付記10に記載の本発明は、付記8又は9に記載の本発明において、前記余長処理手段の前記筐体に対向する面には、当該筐体に向けて突出する突出部を設け、前記筐体には、前記突出部を着脱自在に挿通するための凹部を設けたこと、を特徴とする。
【0076】
付記11に記載の本発明は、付記1から10のいずれか一項に記載の本発明において、前記筐体の露出面に、当該光受信機に対する電力の供給状態に関する表示を行う電源表示手段を設けたこと、を特徴とする。
【0077】
付記12に記載の本発明は、付記1から11のいずれか一項に記載の本発明において、前記筐体の露出面に、当該光受信機に対する前記光信号の入力状態に関する表示を行う光信号入力表示手段を設けたこと、を特徴とする。
【0078】
付記13に記載の本発明は、光ケーブルを接続するための光ケーブル接続手段と、信号線を接続するための信号線接続手段と、前記光ケーブル接続手段を介して入力された光信号を電気信号に変換して前記信号線接続手段に出力する光電変換手段とを、筐体に収容して構成された光受信機と、前記光電変換手段に対して電力を供給可能な電源手段と、前記光受信機の少なくとも一部と、前記電源手段の少なくとも一部とを、当該光受信機及び当該電源手段を設置するための設置面に埋め込み固定するための固定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0079】
付記14に記載の本発明は、付記13に記載の本発明において、前記光受信機の筐体の非露出面側に、前記光電変換手段に対して電力を供給するための電力線を接続する電力線接続手段を設け、前記電源手段の筐体の非露出面側に、前記光受信機の前記電力線接続手段に対して電源線を介して前記電力を供給するための第2の電力線接続手段を設けたこと、を特徴とする。
【0080】
付記15に記載の本発明は、付記13に記載の本発明において、前記光受信機の筐体の露出面側に、前記光電変換手段に対して電力を供給するための電力線を接続する電力線接続手段を設け、前記電源手段の筐体の露出面側に、前記光受信機の前記電力線接続手段に対して電源線を介して前記電力を供給するための第2の電力線接続手段を設けたこと、を特徴とする。
【0081】
付記16に記載の本発明は、付記15に記載の本発明において、前記第2の電力線接続手段を、商用電源コンセントとして構成したこと、を特徴とする。
【0082】
付記に係る発明によれば、光受信機を壁面等の各種の設置面に埋め込み固定することができ、光受信機のうち、ユーザのアクセスが不要な部分を設置面の奥に収容できるので、光受信機を屋内に設置した場合においても、この光受信機の設置スペースを室内に確保する必要がなくなり、さらには、光受信機が、利用者の邪魔になったり、子供等のいたずらの対象になったり、あるいは、室内の美観を損ねることを防止できる。
【0083】
また、付記に係る発明によれば、信号線接続手段を筐体の露出面側に設けると共に、光ケーブル接続手段を筐体の非露出面側に設けたので、接続後に着脱する必要性が低い光ケーブルについては、ユーザの目に触れない位置で接続でき、ユーザが自ら着脱する必要性が高い信号線については、ユーザがアクセス容易な位置で接続できる。
【0084】
また、付記に係る発明によれば、光ケーブル接続手段を略下向きに配置しているので、埃等が光ケーブル接続手段に堆積することを防止できる。
【0085】
また、付記に係る発明によれば、光信号受信素子を第1の回路基板や第2の回路基板に直接的に差し込むことでノイズを低減できると共に、その対向スペースに光信号受信素子を収容することで筐体を小型化することができる。
【0086】
また、付記に係る発明によれば、電力線接続手段に電力線を接続することで、光受信機に電力を容易に供給できる。
【0087】
また、付記に係る発明によれば、電力線接続手段を筐体の非露出面側に設けたので、電力線接続手段が、子供等のいたずらの対象になったり、あるいは、室内の美観を損ねることを防止できる。
【0088】
また、付記に係る発明によれば、余長処理手段に光ケーブルの余長部分を収容することができるので、設置面の内部において、光ケーブルを簡潔にまとめることができる。
【0089】
また、付記に係る発明によれば、余長処理手段を設置面における露出面側に設けたので、余長処理手段やそこに巻き付けられた光ケーブルが、子供等のいたずらの対象になったり、あるいは、室内の美観を損ねることを防止できる。
【0090】
また、付記に係る発明によれば、ケーブル押さえによって光ケーブルの挿通経路の少なくとも一部を遮ることで、光ケーブルが巻き取り部から脱落することを防止できる。
【0091】
また、付記に係る発明によれば、余長処理手段を筐体に対して着脱自在としているので、光ケーブルの余長部分の巻き取り時にはこの余長処理手段を取り外し、作業者の手元近くで巻き取り作業を行うことができる。
【0092】
また、付記に係る発明によれば、光受信機の筐体の露出面に電源表示手段を設けたので、ユーザは、光受信機に対する電力の供給状態を容易に確認できる。
【0093】
また、付記に係る発明によれば、光受信機の筐体の露出面に光入力表示灯を設けたので、ユーザは、光受信機に対する光信号の入力状態を容易に確認できる。
【0094】
また、付記に係る発明によれば、光受信機を電源手段と共に光受信ユニットとして並設することで、光受信機に対する電力供給を簡易な構成で容易に行なうことができる。
【0095】
また、付記に係る発明によれば、非露出面側において、光受信機と電源手段との電源接続をできるので、この接続部が、子供等のいたずらの対象になったり、あるいは、室内の美観を損ねることを防止できる。
【0096】
また、付記に係る発明によれば、露出面側において、光受信機と電源手段との電源接続をできるので、ユーザが光受信機に電力を容易に供給できる。
【0097】
また、付記に係る発明によれば、第2の電力線接続手段を商用電源コンセントとして構成したので、光受信ユニットを通常の商用電源コンセントと同様に利用でき、ユーザの利便性を高めることができる。
【符号の説明】
【0098】
1、2、3A、4A 光受信機
3、4 光受信ユニット
3B、4B 電源アダプタ
10、80、100、110、130 筐体
11 筐体本体
11a 取り付け溝
11b 凹部
12、81 後面プレート
13 フロントカバー
13b〜13e 孔部
13a 係止爪
14 電源灯
15 光入力灯
16 コネクタフック
17 取り付けアダプタ
17a 係止ステー
17b 固定板
17c 係止爪
17d、17e、121b、71d、72b、120a、121b、121d、122b ネジ孔
17f、71c、121c、122c 取り付けネジ
20 同軸端子
30、111、112 電源端子
40 光コネクタ
41 フォトダイオード
50 光電変換回路
60 回路基板
61 第1の回路基板
62 第2の回路基板
63 対向スペース
70、120 スイッチボックス
71、121 スイッチボックスカバー
71a、72a、73a、121a、123a、123b 開口部
72、122 化粧プレートベース
73、123 化粧プレート
81a 固定穴
90 余長処理部
91 ベース板
92 巻き取り部
92a 押さえ突起
93 ケーブル押さえ
94 固定脚
C1 電源ケーブル
C1a 電源コネクタ
C2 光ケーブル
C3 同軸ケーブル
C3a 同軸コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ケーブルを接続するための光ケーブル接続手段と、同軸ケーブルを接続するための同軸端子と、前記光ケーブル接続手段を介して入力された光信号を電気信号に変換して前記同軸端子に出力する光電変換手段とを、筐体に収容して構成された光受信機であって、
前記筐体の少なくとも一部を、当該光受信機を設置するための設置面に埋め込み固定するための固定手段を備え、
前記同軸端子を、前記筐体の露出面側に設け、
前記光ケーブル接続手段を、前記筐体の非露出面側であって当該筐体における最も後方の点よりも前方に設けると共に、当該光受信機を前記固定手段を介して前記設置面に固定した状態において、当該光ケーブル接続手段に対する前記光ケーブルの接続方向が当該設置面と略平行になるように配置し、
前記筐体の非露出面側の面を、当該筐体における後方から前方に近づく傾斜面として形成すると共に、当該筐体の非露出面側の面に形成した孔部に前記光ケーブル接続手段を挿通することで、当該光ケーブル接続手段を当該筐体の外側に露出させた、
埋め込み型光受信機。
【請求項2】
前記筐体には、第1の回路基板と第2の回路基板とを収容し、
前記光ケーブル接続手段は、前記光ケーブルから出力された光信号を受信する光信号受信素子を有し、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを相互に略直交状に配置することによってこれらの近接面間に形成される対向スペースに、前記光信号受信素子を配置した、
請求項1に記載の埋め込み型光受信機。
【請求項3】
当該光受信機に対する前記光信号の入力状態に関する表示を行う光信号入力表示手段を、前記筐体の露出面側に設けた、
請求項1又は2に記載の埋め込み型光受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−73626(P2012−73626A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242076(P2011−242076)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【分割の表示】特願2006−16994(P2006−16994)の分割
【原出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】