説明

埋蔵資源を利用した肥料及び肥料の製造方法

【課題】栄養素を豊富に含んだ栄養価の高い肥料を製造するとともに、食品残渣物を肥料の原料として有効に利用することで食品残渣物の処理に要する費用を低減し、しかも、燃焼装置を用いる必要がなく、食品残渣物の処理によって発生する二酸化炭素の排出量を低減させること。
【解決手段】本発明では、肥料の製造方法において、地中に埋蔵され熟成した魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物からなる埋蔵資源を掘り出して肥料の原料とすることにした。また、本発明では、肥料として、地中に埋蔵され熟成した魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物からなる埋蔵資源を掘り出し、その掘り出した埋蔵資源を原料として製造することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥料及び肥料の製造方法に関するものであり、特に、地中に大量に埋め立て処分された魚類・鳥類・哺乳類等の埋蔵資源を有効利用した肥料及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、魚類・鳥類・哺乳類などの動物性タンパク質を含有する動物は、栄養源として大量に捕獲や養殖などされ食用に供されているが、その一方で、余剰分が残渣物として廃棄されている。
【0003】
この廃棄された食品残渣物は、焼却炉で焼却処分されるものもあるが、過去においては地中に大量に埋め立てて処分している(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−28672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、今までに地中に埋め立てられた大量の食品残渣物は、地中でそのまま20年以上も放置されており、有効に活用されておらず、また、悪臭等の原因となるおそれがあった。
【0006】
また、食品残渣物を焼却処分した場合には、焼却によって大量の二酸化炭素が排出されており、地球温暖化といった社会問題ともなっていた。
【0007】
また、上記従来の食品残渣物の焼却処分では、焼却に大量の燃料を使用するばかりでなく、焼却炉のメンテナンスに多大な労力や費用を要しており、食品残渣物の処理コストを増大させていた。
【0008】
そこで、本発明者は、食品残渣物の処理について鋭意研究を重ね、食品残渣物を肥料として有効利用することで処理に要する費用を低減するとともに、二酸化炭素の排出量を低減させることができる方法を見出し、本発明を成すに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、請求項1に係る本発明では、肥料の製造方法において、地中に埋蔵され熟成した魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物からなる埋蔵資源を掘り出して肥料の原料とすることにした。
【0010】
また、請求項2に係る本発明では、肥料において、地中に埋蔵され熟成した魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物からなる埋蔵資源を掘り出し、その掘り出した埋蔵資源を原料として製造することにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、地中に埋蔵され熟成した魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物からなる埋蔵資源を掘り出して肥料の原料としているために、栄養素を豊富に含んだ栄養価の高い肥料を製造することができるとともに、食品残渣物を肥料の原料として有効に利用することで食品残渣物の処理に要する費用を低減することができ、しかも、燃焼装置を用いる必要がなく、食品残渣物の処理によって発生する二酸化炭素の排出量を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る埋蔵資源を利用した肥料及びその製造方法の具体的な構成について説明する。
【0014】
余剰の魚類・鳥類・哺乳類は、地中に大量に埋め立て処分されている。本発明は、この大量に埋め立て処分された魚類・鳥類・哺乳類を埋蔵資源として有効に活用するものである。
【0015】
埋め立て処分では、地面を掘って処理量に応じた容積の掘削溝を形成している。掘削溝の内側面は土を露出させたままの状態としている。
【0016】
そして、この掘削溝の内部に、処理する動物を生のまま投入している。動物としては、食品として提供するために捕獲や養殖などされた魚類や鳥類や哺乳類の余剰分が用いられ、加工途中で排出される残渣物であってもよい。また、単一の魚類や鳥類や哺乳類だけを投入してもよく、複数種類の魚類や鳥類や哺乳類を投入してもよく、さらには、こられの魚類や鳥類や哺乳類を混合させて投入してもよい。
【0017】
その後、処理する動物を投入した掘削溝の開口部分を土で被覆している。このときに、所定量の土を所定厚さ(たとえば、2m。)となるよう押圧して外気との遮断を行っている。
【0018】
その後、所定期間(たとえば、10〜20年間。)放置されると、地中に形成した貯蔵空間に魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物が埋蔵され、この埋蔵によって、地中の貯蔵空間の内部で投入物が土中の微生物や菌類によって分解されて熟成される。
【0019】
この埋蔵空間に埋蔵された埋蔵物は、地中において地下水の汚染を防止するためにも役立っている。
【0020】
そこで、本発明では、地中に大量に埋め立て処分された動物を埋蔵資源として有効に活用するため、著中から熟成後に埋蔵物を掘り出し、掘り出した埋蔵物を原料として肥料を製造する。埋蔵物はそのまま肥料としてもよく、粉砕し他の栄養素と混合して肥料としてもよく、液化処理して液体肥料としてもよい。
【0021】
このように、本発明では、地中に形成した貯蔵空間で熟成した魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物からなる埋蔵資源を掘り出して肥料の原料としている。
【0022】
この原料(埋蔵資源)には、燐酸カルシウムやタンパク質やアミノ酸などが豊富に含まれているために、これを用いて肥料を製造することで栄養素を豊富に含んだ栄養価の高い肥料を製造することができる。
【0023】
また、食品残渣物を肥料の原料として有効に利用することになるために、食品残渣物の処理に要する費用を低減することができる。
【0024】
しかも、本発明では燃焼装置を用いる必要がないために、食品残渣物の処理によって発生する二酸化炭素の排出量を低減させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋蔵され熟成した魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物からなる埋蔵資源を掘り出して肥料の原料とすることを特徴とする肥料の製造方法。
【請求項2】
地中に埋蔵され熟成した魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物からなる埋蔵資源を掘り出し、その掘り出した埋蔵資源を原料として製造したことを特徴とする肥料。

【公開番号】特開2011−256076(P2011−256076A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132280(P2010−132280)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(391051197)
【出願人】(510161277)
【出願人】(510296982)
【出願人】(507333993)
【出願人】(510297060)
【Fターム(参考)】