説明

埋設された傾斜コイルバネを備えた電気コネクタ

【課題】コンパクトで極めて高い接触地点密度を有するコネクタを提供する。
【解決手段】雌型電気コネクタ10及びこれを使用する方法は電気プラグ12を受け入れるための貫通ボア18及びボア18内に形成された螺旋状の溝26を備えた本体20を有する。傾斜したコイルバネ34は螺旋状の溝26内に位置し、プラグ12への電気的接続及びボア18内でのプラグ12の保持の双方を提供するために螺旋状の溝26から突出し、本体20内に埋設され、ボア18を取り囲み、バネ34と相互接続する接続ラグ42は本体20の外部へ延びるワイヤセグメント56を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタは2つの番い合う部品間の機械的及び電気的なインターフェースを提供する。一般に、すべての電気コネクタは同じ要求即ち低抵抗性及び環境に耐えるための強靭な機械的接続特性を有する。抵抗は接触地点の数、表面状態及び接触地点での垂直力の関数である。垂直力はいかなる表面フィルムをも破断するのに十分なほど大きくなければならないが、接続を阻害するほど大きくてはならない。酸化物又は表面フィルムを除去する補助として、スクレーパ又はクリーニング作用も望ましい。
【0003】
電気的な性能を悪化させることなく、公差及び表面偏心性の広い範囲にわたって作動する接続装置を提供することも極めて望ましい。そして、もちろん、コストや寸法は普通、同様に、高振動環境における高導電性の維持に加えて、重要な考察事項である。
【0004】
導体のために多数の技術が開発されてきた。一般に、このような技術は十分な垂直力レベルでの複数の接触地点を提供するために種々の形式のルーバー又はバスケットを使用する。米国特許第3,107,966号明細書はワイヤバスケットを教示している。米国特許第4,720,157号明細書はストリップバネの使用を教示している。米国特許第3,980,387号明細書はルーバー付きシートメタルの使用を教示している。これら3つのすべてにおいて、垂直力はバスケット、ストリップ又はルーバーのバネ作用により供給される。装置により適用される垂直力は個々の素子の偏向量の関数である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,107,966号明細書
【特許文献2】米国特許第4,720,157号明細書
【特許文献3】米国特許第3,980,387号明細書
【特許文献4】米国特許第4,893,795号明細書
【特許文献5】米国特許第4,876,781号明細書
【特許文献6】米国特許第4,974,821号明細書
【特許文献7】米国特許第5,108,078号明細書
【特許文献8】米国特許第5,139,243号明細書
【特許文献9】米国特許第5,139,276号明細書
【特許文献10】米国特許第5,082,390号明細書
【特許文献11】米国特許第5,091,606号明細書
【特許文献12】米国特許第5,411,348号明細書
【特許文献13】米国特許第5,545,842号明細書
【特許文献14】米国特許第5,615,870号明細書
【特許文献15】米国特許第5,709,371号明細書
【特許文献16】米国特許第5,791,638号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、ルーバー、ワイヤバスケット及びストリップバネの代わりに、コネクタハウジングの螺旋状の溝内に装着された傾斜したコイルバネを使用する。傾斜したコイルバネはコネクタの雄型部分に対する複数の接触地点を提供する。ハウジングは、コネクタの末端使用に応じて、絶縁材料からモールド成形することができるか又は導電性材料から製造することができる。バネはプラチナイリジウムのような種々の金属合金から製造することができる。バネは導電性を向上させるためにメッキすることができる。傾斜したコイルバネは幅広い偏向範囲にわたってほぼ一定の力を提供するという利点を有し、そのため、コネクタは幅広い公差範囲及び表面偏心性に適応することができる。軸方向のバネは、特にバネデザインにより、卓越した表面フィルム除去特性を有する。傾斜したコイルバネを使用する能力は、他の技術に比べて一層コンパクトなコネクタを許容する極めて高い接触地点密度を許容する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る雌型電気コネクタは一般に、ボア内に形成された螺旋状の溝を備えた、電気プラグを収容するための貫通ボアを有する本体を含む。
【0008】
傾斜したコイルバネは螺旋状の溝内に位置し、プラグに対する電気的接続を提供すると共に、ボア内でプラグを保持するために、螺旋状の溝から突出する。
【0009】
接続ラグは本体内に埋設され、ボアを取り囲み、バネと相互接続し、更に、ラグコイルバネ及びプラグを通しての外部の源からの電気的な連通を提供するために本体の外部へ延びるワイヤセグメントを有する。
【0010】
本体は非導電性材料から形成することができ、溝は平坦な底部、V字状の底部又はテーパ状の底部を有することができる。このような種々の溝形状は、ボア内でプラグを保持するための及び電気的な継続性を確立し維持するための所望の力特性に応じて、半径方向の傾斜したコイルバネ又は軸方向の傾斜したコイルバネのいずれかと一緒に使用することができる。
【0011】
本発明の構造を利用した、本発明に係る電気プラグに対する電気的接続を提供する方法は、ボア内に形成された螺旋状の溝を備えた、電気プラグを収容するための貫通ボアを有する本体を含む雌型電気コネクタを提供する工程を有する。
【0012】
傾斜したコイルバネが設けられ、このコイルバネは螺旋状の溝内に位置し、プラグへの電気的接続及びボア内でのプラグの保持を提供するために螺旋状の溝から突出し、接続ラグは本体内に埋設され、ボアを取り囲み、バネと相互接続し、更に本体の外部へ延びるワイヤセグメントを有する。
【0013】
本発明に係る方法は、プラグをボア内に挿入して、バネによりプラグ及びボアを保持させ、これらの間の電気的接続を提供することにより、完了する。
【0014】
本発明の利点及び特徴は、添付図面に関連して考察した場合に、以下の説明により良好に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ボア内に形成された螺旋状の溝を備えた、電気プラグを収容するための貫通ボアを有する本体、螺旋状の溝内に位置する傾斜したコイルバネ及び埋設された接続ラグを一般的に示す、本発明に係る雌型コネクタの断面図である。
【図2】本体の外部へ延びるワイヤセグメントを備えた、埋設された導電性ラグに溶接されたバネ長さを一層明確に示す、図1に示すコネクタの端面図である。
【図3】平坦な底部を備えた溝を有する、本発明の代わりの実施の形態を示す図である。
【図4】平坦な底部を備えた溝を有する、本発明の代わりの実施の形態を示す図である。
【図5】テーパ状の底部を備えた螺旋状の溝を有する、本発明の更に別の実施の形態を示す図である。
【図6】テーパ状の底部を備えた螺旋状の溝を有する、本発明の更に別の実施の形態を示す図である。
【図7】本発明に適した軸方向のバネ長さの平面図である。
【図8】本発明に使用するのに適した半径方向のバネ長さの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1、2を参照すると、本発明に係る雌型電気コネクタ10を示し、それと共に、コネクタ10の本体20のボア18を通して挿入された雄型コネクタ即ちプラグ12を鎖線で示し、ボア18はプラグ12のプラグヘッド22を受け入れるように寸法決めされる。
【0017】
本体20は好ましくは絶縁材料から形成され、螺旋状の溝26がボア18内に形成される。実施の形態10においては、溝はV字状の底部30を有し、傾斜したコイルバネが溝26内に位置し、露出した部分38はプラグヘッド22に接触し、ボア18内でプラグヘッド22を保持するのに十分な接触力を提供する。
【0018】
接続ラグ42が設けられ、このラグは好ましくは本体20の端部44上に位置し、好ましくは本体20内に埋設されたラグ端部48により本体に固定される。
【0019】
図2に一層明瞭に示すように、バネ34はボア18を取り囲む接続ラグに溶接された長さ52を有し、ラグは本体20の外部へ延びるワイヤセグメント56を有する。
【0020】
図3、4は平坦な底部66を備えた螺旋状の溝64を有する本体62を含む、本発明に係る別の実施の形態60を示す。
【0021】
代わりに、図5、6に示すように、本発明に係る実施の形態70はテーパ状の底部76を備えた螺旋状の溝74を有する本体72を含むことができる。
【0022】
図7に示すような軸方向のバネ80又は図8に示すような半径方向のバネ82は種々の溝26、64、74の形状を持つ溝26、64、74内に位置することができ、電気的な特性と組み合わされた挿入及び保持力要求は半径方向又は軸方向を問わずバネの特定のデザイン、バネ長さ及び材料を決定する。
【0023】
更に、挿入及び保持力はバネのデザイン及び材料により決定される。本発明に使用するのに適した半径方向及び軸方向のバネの完全な記述及び挿入及び保持力を決定するための溝形状は米国特許第4,893,795号、同第4,876,781号、同第4,974,821号、同第5,108,078号、同第5,139,243号、同第5,139,276号、同第5,082,390号、同第5,091,606号、同第5,411,348号、同第5,545,842号、同第5,615,870号、同第5,709,371号及び同第5,791,638号各明細書に記載されている。これらすべての特許は、半径方向及び傾斜したコイル軸方向バネ、溝及び力の考察を述べる目的で明細書及び図面をすべて含むその全体をここに組み込む。
【0024】
本発明を有利に使用できるような方法を示す目的で、本発明に係る埋設された傾斜したコイルバネを備えた特定の電気コネクタを以上で説明したが、本発明はこれに限定されないことを認識すべきである。すなわち、本発明は列挙した素子から適当に構成され、それのみからなり又はそれから本質的になることができる。更に、ここで述べる本発明はここで特別に開示されない任意の素子を含まない状態で適当に実施できる。従って、当業者が行える任意の及びすべての修正、変更又は等価物は特許請求の範囲で規定されるような本発明の要旨内に入るものと考えるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌型電気コネクタにおいて、
電気プラグを受け入れるための貫通ボアを備えた本体と、
上記ボア内に形成された螺旋状の溝と、
上記螺旋状の溝内に位置し、上記プラグへの電気的接続及び上記ボア内での当該プラグの保持の双方を提供するように当該螺旋状の溝から突出する傾斜したコイルバネと、
上記本体内に埋設され、上記ボアを取り囲み、上記バネと相互接続し、当該本体の外部へ延びるワイヤセグメントを有する接続ラグと、
を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
上記本体が非導電性材料から形成されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
上記溝が平坦な底部を備えた溝であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
上記傾斜したコイルバネが軸方向の傾斜したコイルバネであることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
上記傾斜したコイルバネが半径方向の傾斜したコイルバネであることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項6】
上記溝がV字状の底部を備えた溝であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
上記バネが軸方向の傾斜したコイルバネであることを特徴とする請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
上記バネが半径方向の傾斜したコイルバネであることを特徴とする請求項6に記載のコネクタ。
【請求項9】
上記溝がテーパ状の底部を有することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項10】
上記バネが軸方向の傾斜したコイルバネであることを特徴とする請求項9に記載のコネクタ。
【請求項11】
上記バネが半径方向の傾斜したコイルバネであることを特徴とする請求項9に記載のコネクタ。
【請求項12】
雌型電気コネクタにおいて、
電気プラグを受け入れるための貫通ボアを備えた本体と、
上記ボア内に形成された螺旋状の溝と、
上記螺旋状の溝内に位置し、上記プラグへの電気的接続及び上記ボア内での当該プラグの保持の双方を提供するように当該螺旋状の溝から突出する傾斜したコイルバネと、
上記本体上に位置し、上記ボアを取り囲み、上記バネと相互接続し、当該本体の外部へ延びるワイヤセグメントを有する接続ラグと、
を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項13】
上記接続ラグが上記本体の端部上に位置することを特徴とする請求項12に記載のコネクタ。
【請求項14】
上記接続ラグが当該ラグを上記本体に取り付けるように当該本体内に埋設された端部を有することを特徴とする請求項13に記載のコネクタ。
【請求項15】
上記バネと上記ラグとの間の相互接続が上記本体内及び当該ラグの内側表面上で行われることを特徴とする請求項14に記載のコネクタ。
【請求項16】
上記ボアが円形の横断面を有することを特徴とする請求項12に記載のコネクタ。
【請求項17】
上記バネと上記ラグとの間の相互接続が溶接により行われることを特徴とする請求項12に記載のコネクタ。
【請求項18】
電気プラグへの電気的接続を提供する方法において、
電気プラグを受け入れるための貫通ボアを備えた本体と、上記ボア内に形成された螺旋状の溝と、上記螺旋状の溝内に位置し、上記プラグへの電気的接続及び上記ボア内での当該プラグの保持の双方を提供するように当該螺旋状の溝から突出する傾斜したコイルバネと、上記本体内に埋設され、上記ボアを取り囲み、上記バネと相互接続し、当該本体の外部へ延びるワイヤセグメントを有する接続ラグと、を有する雌型電気コネクタを提供する工程と、
上記プラグを上記ボア内に挿入する工程と、
を有し、上記バネが上記プラグを上記ボア内に保持し、当該プラグとの電気的接続を提供することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−101970(P2013−101970A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−13275(P2013−13275)
【出願日】平成25年1月28日(2013.1.28)
【分割の表示】特願2008−512462(P2008−512462)の分割
【原出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(594098465)バル・シール・エンジニアリング・カンパニー・インコーポレーテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】Bal Seal Engineering Company,Inc.
【Fターム(参考)】