説明

埋設杭の抜去方法及び抜去装置

【課題】埋設杭の抜去を簡易に且つ低作業コストで行うことのできる埋設杭の抜去方法及び抜去装置を提案する。
【解決手段】オーガ1によってケーシング2を回転させながら、該ケーシング2を伸縮ブーム23の倒伏動作力によって地盤側へ押圧し、ケーシング2の先端に設けられた掘削爪3によって埋設杭10の周囲の地盤を環状に掘削して地盤と埋設杭10との縁切りをしたのち、埋設杭10に作業用ワイヤロープ28を掛けるとともに、該作業用ワイヤロープ28をクレーン装置Xの吊上ワイヤロープ27によって引上げて埋設杭10を地盤から抜去するように構成する。係る構成によれば、埋設杭10の抜去を簡易に且つ低作業コストで行うことができ、特に、比較的短い埋設杭10の抜去作業に用いるに好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、地中に埋設された埋設杭の抜去方法、及び該抜去方法の実施に供される抜去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地盤中に埋設された埋設杭を抜去するための作業方法あるいは作業装置として、従来から種々の提案がなされており、本件出願人においてもその一つを提案している(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に示された本件出願人の先出願に係るものは、クレーン装置の先端に、オーガと、先端に掘削爪を備え且つ上記オーガの下端に連結されるケーシングとからなる掘削ユニットを吊下支持するとともに、上記ケーシングに、該回転支持部内に嵌挿された埋設杭をその外周側から挟圧支持する挟圧ユニットを備え、上記ケーシングの上記掘削爪によって埋設杭の外周側の地盤を環状に掘削して該地盤と上記埋設杭とを分離させた後、上記挟圧ユニットによって上記埋設杭を挟圧支持するとともに、上記掘削ユニットを引上げることで上記埋設杭を地盤から抜去するようにしたものである。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献】
【特許文献1】 特開2009−127306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に示されるものでは、上記ケーシングに挟圧ユニットを備え且つこの挟圧ユニットを油圧により駆動させる構成であって、比較的長尺な埋設杭の抜去作業に用いるには好適であるが、比較的短い埋設杭の抜去を簡易に且つ低作業コストで行うという点においては、改善の余地があった。
【0006】
そこで本願発明は、埋設杭の抜去を簡易に且つ低作業コストで行うことのできる埋設杭の抜去方法及び抜去装置を提案することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1の発明に係る埋設杭の抜去方法は、伸縮ブーム23を起伏動可能に取付けるとともに吊上ワイヤロープ27を備えたクレーン装置Xと、回転駆動力を発生するオーガ1の回転部11に、その先端に掘削爪3を備えた直筒状のケーシング2を連結してなる掘削ユニットZとを用い、上記クレーン装置Xの上記伸縮ブーム23の先端に上記掘削ユニットZを、該伸縮ブーム23の起伏面に直交する方向に設けられた連結軸13によって該起伏面に平行な方向へ回動可能に吊下支持した状態で、地盤中に埋設された埋設杭10を抜去するに際して、上記伸縮ブーム23の伸縮動及び起伏動によって上記ケーシング2を上記埋設杭10の上端側の露出部に外嵌状態でセットする第1工程と、上記ケーシング2のセット完了後、上記伸縮ブーム23の倒伏動作力によって上記ケーシング2を下方へ押圧するともに該伸縮ブーム23の伸縮動によって上記ケーシング2と上記埋設杭10との同心性を保持しながら上記ケーシング2の上記掘削爪3によって上記埋設杭10の周囲の地盤を環状に掘削して該地盤と上記埋設杭10との縁切り掘削を行う第2工程と、縁切り掘削の完了後に、上記伸縮ブーム23の起仰動及び伸縮動によって上記掘削ユニットZを引上げて上記埋設杭10から離間退去させる第3工程と、上記掘削ユニットZの上記埋設杭10からの離間退去時に、又は離間退去後に、上記埋設杭10に作業用ワイヤロープ28を掛ける第4工程と、上記作業用ワイヤロープ28を上記クレーン装置Xの上記吊上ワイヤロープ27によって引上げて上記埋設杭10を地盤から抜去する第5工程とを順次実行することを特徴としている。
【0008】
本願の第2の発明に係る埋設杭の抜去装置は、油圧機構によって伸縮及び起伏駆動される伸縮ブーム23を備えるとともに該伸縮ブーム23の先端部から吊下される吊上ワイヤロープ27を備えたクレーン装置Xと、該クレーン装置Xの上記伸縮ブーム23の先端に該伸縮ブーム23の起伏面に直交する方向に設けられた連結軸13によって該起伏面に平行な方向へ回動可能に吊下支持される掘削ユニットZを備えるとともに、上記掘削ユニットZが、回転駆動力を発生するオーガ1と、先端に掘削爪3を備えた直筒状形体を有し且つ上記オーガ1の回転部11に連結されて該オーガ1により回転駆動されるケーシング2を備えた構成であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
従って、本願発明に係る埋設杭の抜去方法及び抜去装置によれば、以下のような効果が得られる。
【0010】
上記オーガ1によって上記ケーシング2を回転させながら、該ケーシング2を上記伸縮ブーム23の倒伏動作力によって地盤側へ押圧し、上記ケーシング2の先端に設けられた上記掘削爪3によって上記埋設杭10の周囲の地盤を環状に掘削して地盤と上記埋設杭10との縁切りをしたのち、上記埋設杭10に作業用ワイヤロープ28を掛けるとともに、該作業用ワイヤロープ28を上記クレーン装置Xの上記吊上ワイヤロープ27によって引上げて上記埋設杭10を地盤から抜去するものであることから、例えば、上記ケーシング2に油圧駆動の挟圧ユニットを備え、該挟圧ユニットにより上記埋設杭10を挟持して抜去する構成の場合に比して、埋設杭10の抜去を簡易に且つ低作業コストで行うことができ、特に、比較的短い埋設杭10の抜去作業に用いるに好適である。
【0011】
また、上記ケーシング2を上記伸縮ブーム23の倒伏動作力によって地盤側へ押圧する構成であることから、例えば、単に上記オーガ1とかケーシング2の自重によって該ケーシング2を地盤側へ押圧し、該ケーシング2の先端に備えた掘削爪3の掘削に伴って自然降下する該ケーシング2の移動に追随して上記伸縮ブーム23を倒伏させる構成の場合に比して、上記掘削爪3による地盤の掘削作用を促進して作業の効率化を図ることができる。
【0012】
さらに、上記掘削爪3による掘削作用を上記伸縮ブーム23の倒伏速度の調整によって容易に変更調整できることから、掘削対象の地盤硬度の変化にも容易且つ迅速に対応することができ、掘削作業のさらなる効率化が図れることになる。
【0013】
また、上記伸縮ブーム23の伸縮動と起伏動の調整によって、掘削の進行に伴って降下する上記ケーシング2とその内側に位置する上記埋設杭10との同心性を保持する構成であることから、地盤と上記埋設杭10との縁切り掘削が的確に行われ、掘削作業、延いては埋設杭10の抜去作業における信頼性が向上する。
【0014】
一方、上記掘削ユニットZが上記オーガ1と上記ケーシング2を備えて構成された簡易な構造であることから、例えば、上記ケーシング2に油圧駆動の挟圧ユニットを備えるような場合に比して、抜去装置をより安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本願発明の実施形態に係る埋設杭の抜去方法の実施に供せられる掘削ユニットの正面図である。
【図2】 上記掘削ユニットの側面図である。
【図3】 図1のIII−III拡大断面図である。
【図4】 図2のIV部の拡大図である。
【図5】 埋設杭の抜去作業における第1工程の説明図である。
【図6】 埋設杭の抜去作業における第2工程の作業中期の説明図である。
【図7】 埋設杭の抜去作業における第2工程の作業終期の説明図である。
【図8】 埋設杭の抜去作業における第3工程の説明図である。
【図9】 埋設杭の抜去作業における第4及び第5工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0017】
図1〜図4には、本願発明の埋設杭の抜去方法の実施に供される掘削ユニットZを示している。
【0018】
「構成」
上記掘削ユニットZは、クレーン装置X(後述する)の伸縮ブーム23の先端に備えられたブームヘッド24に、該伸縮ブーム23の起伏面に直交する方向に設けられた連結軸13によって該起伏面に平行な方向(上記伸縮ブーム23から見て、該伸縮ブーム23の前方側及び手前側)へ回動可能に吊下支持されて使用されるものであって、次述するオーガ1とケーシング2を備えて構成される。
【0019】
上記オーガ1は、周知の構造をもち、その上端に設けた吊下ブラケット12を上記連結軸13によって上記ブームヘッド24に連結することで上記伸縮ブーム23側に吊下支持されるものであって、その下端には回転部11を備えている。
【0020】
上記ケーシング2は、抜去対象の埋設杭10をその外周面との間に所定の隙間(図3参照)をもって嵌挿させ得る内径寸法を有する直筒体であって、その上端2aが上記オーガ1の上記回転部11に連結され、該回転部11の回転によってこれと一体的に回転駆動される。また、上記ケーシング2の下端には、周方向に所定間隔をもって複数個の掘削爪3が設けられており、該ケーシング2が回転駆動されることで上記埋設杭10の周囲の地盤を環状に掘削するようになっている。
【0021】
また、上記オーガ1には、別設置の高圧水発生装置(図示省略)から延びるジエットホース4が接続されるとともに、該ジエットホース4は、上記オーガ1内から上記ケーシング2内を通って該ケーシング2の下端近傍において下方へ向けて開口するジエット管5に接続されており、上記高圧水発生装置から上記ジエットホース4を通して上記ジエット管5に供給される高圧水は該ジエット管5の先端から下方へ向けて噴流Wとして噴出される。
【0022】
上記クレーン装置Xは、図5に示すように、車輪を備え且つアウトリガによって浮上設置される移動基台21上に搭載された旋回台22に、伸縮ブーム23を起伏可能に取付けてなるホイールクレーンで構成されている。
【0023】
上記伸縮ブーム23は、上記旋回台22側にその基端部が上下方向に回動可能に連結された基端ブーム23Aと、該基端ブーム23A内に相対移動可能に内挿された中間ブーム23Bと、該中間ブーム23B内に相対移動可能に内挿されるとともにその先端にはブームヘッド24が設けられた先端ブーム23Cからなる多段伸縮式のブームであって、内蔵の伸縮用油圧シリンダ31によって伸縮駆動されるとともに、上記旋回台22と上記基端ブーム23Aとの間に配置された起伏用油圧シリンダ29の伸縮によって起伏駆動されるようになっている。なお、上記起伏用油圧シリンダ29及び伸縮用油圧シリンダ31が特許請求の範囲中の「油圧機構」に該当する。
【0024】
また、上記伸縮ブーム23の上記ブームヘッド24には、その前方へ延出状態でシングルトップ25が設けられており、該シングルトップ25には、上記伸縮ブーム23の基端側に配置したウィンチ30から延びる吊上ワイヤロープ27が巻き掛けられるとともに、該吊上ワイヤロープ27の上記シングルトップ25から下方へ垂下した先端にはフック26が取付けられている。
【0025】
尚、この実施形態では、上記クレーン装置Xと上記掘削ユニットZとによって特許請求の範囲中の「抜去装置」が構成されている。また、この実施形態では、上述のように、上記クレーン装置Xをホイールクレーンで構成したが、本願発明におけるクレーン装置Xは、係る構成のものに限定されるものではなく、移動可能な基台に伸縮ブームを起伏可能に取付けるとともに、該伸縮ブーム23の先端から垂下される吊上ワイヤロープ27を備えた構成のクレーン装置であれば広く適用できるものであって、例えば、トラックに旋回台を介して伸縮ブームを取付けたトラッククレーンとか、無限軌道を備えたクローラに旋回台を介して伸縮ブームを取付けたクローラクレーン等が適用可能なことは言うまでもない。
【0026】
「埋設杭10の抜去作業」
続いて、図5〜図8を参照して、上記掘削ユニットZを使用して地盤中に埋設された埋設杭10の抜去作業を説明する。
【0027】
I:第1工程(図5参照)
地盤中に埋設されている埋設杭10の抜去作業に際しては、先ず、図5に示すように、地面Gの杭埋設部を掘削機(図示省略)によって先行掘削してこの先行掘削部Ga内に上記既設杭9の頭部10aを露出させる。
【0028】
一方、上記先行掘削部Gaから適宜離間した位置に上記クレーン装置Xを浮上設置するとともに、上記伸縮ブーム23の先端に上記連結軸13によって上記掘削ユニットZを垂下状態に吊下支持させる。そして、上記伸縮ブーム23を適宜に伸縮及び起伏動させて、上記掘削ユニットZの上記ケーシング2を、上記先行掘削部Ga内において露出している上記埋設杭10の頭部10aの直上においてこれと同心上に位置させる。この状態では、上記伸縮ブーム23は、上昇傾斜状態で上記掘削ユニットZを吊下支持している。
【0029】
また、上記ジエットホース4を通して上記ジエット管5に加圧水を供給可能とする。以上で、第1工程が終了し、上記埋設杭10の抜去作業の準備が整う。
【0030】
II:第2工程(図6、図7参照)
抜去作業の準備が整った後、第2工程に移行し、上記埋設杭10の周囲を環状に掘削降下して該埋設杭10の外周面とその周囲の地盤との縁切りを行う(縁切り掘削)。
【0031】
即ち、先ず、上記オーガ1を駆動し上記ケーシング2を回転させるとともに、上記ジエット管5から高圧水を噴出させながら、上記クレーン装置Xを操作して上記伸縮ブーム23を適宜速度で倒伏させると同時に適宜量ずつ縮小させることで、上記ケーシング2を上記埋設杭10との同心性を維持したまま降下させてその先端内に上記埋設杭10を進入させる。
【0032】
上記ケーシング2の降下に伴って上記掘削爪3が上記先行掘削部Gaの表面部分に到達した時点から、上記ケーシング2の回転によって上記掘削爪3による上記埋設杭10の頭部10aの周囲の地盤に対する掘削作用が、上記ジエット管5からの噴流Wによる地盤の崩壊作用を受けながら開始される。
【0033】
この場合、上記伸縮ブーム23の所定速度での倒伏動が継続的に行われることで、該伸縮ブーム23の倒伏動作力、即ち、上記起伏用油圧シリンダ29の縮小駆動力が上記伸縮ブーム23及び上記オーガ1を介して上記ケーシング2に常時掛けられ、該ケーシング2の先端の掘削爪3による地盤の掘削作業が所定速度で連続的に行われ、安定した縁切り掘削が行われる。なお、この場合、上記掘削爪3による掘削作用を上記伸縮ブーム23の倒伏速度の調整によって容易に変更調整できることから、掘削対象の地盤硬度の変化にも容易且つ迅速に対応することができ、掘削作業のさらなる効率化が図れることになる。
【0034】
また、上記伸縮ブーム23の倒伏動が実行されるとき、これに対応して上記伸縮ブーム23の縮小動が実行されることで、縁切り掘削の進行に拘わらず、上記ケーシング2と上記埋設杭10の同心性が常に維持されることになる。
【0035】
尚、上記掘削爪3によって掘削された掘削土は、掘削された地盤壁と上記ケーシング2の外周面との間の環状の掘削穴H内に残留するが、この掘削土は上記ケーシング2の掘削爪3による破砕作用と噴流Wによる崩壊及び混練作用を受けてスラリー状とされるため、該掘削穴H部分に残留したとしても、上記ケーシング2の回転及び上記掘削爪3による掘削作用には殆ど影響しない。
【0036】
上記縁切り掘削は、図7に示すように、上記ケーシング2の上記掘削爪3が上記埋設杭10の先端部10bの近くに達するまで継続され、ここに達した時点で、上記伸縮ブーム23の倒伏動を停止させるとともに、上記オーガ1の回転動作及び上記ジエット管5からの噴流Wの噴出を停止させることで終了する。
【0037】
この縁切り掘削の完了時点では、上記埋設杭10の先端部10bのみが僅かに地盤に埋設され、それ以外の部分は周囲の地盤から切り離された状態とされ、上記埋設杭10はその先端部10bの埋設部分の保持作用によって立設状態を維持している。尚、この場合、上記埋設杭10の周囲には、上記掘削穴Hに残留しているスラリー状の掘削土が残留しているため、上記埋設杭10の先端部10bを地盤に埋設させておく必要は必ずしもなく、例えば、上記縁切り掘削を上記埋設杭10の先端部10bまで行って該埋設杭10を完全に地盤から離脱させることも可能である。従って、上記埋設杭10のどの位置まで縁切り掘削を行うかは、地盤の硬軟状態とか、スラリー状の掘削土の保持力等を見て、現場において決定すれば良い。
【0038】
III:第3工程(図8参照)
縁切り掘削が完了すると、次に、第3工程に移行し、上記ケーシング2を引上げて上記埋設杭10から離間させる。即ち、上記ケーシング2を上記掘削時とは逆方向に回転させるとともに、上記伸縮ブーム23を起仰及び伸長させながら上記ケーシング2を上記掘削穴H内から上方へ引上げて、これを上記埋設杭10から離間させる。この場合、上記ケーシング2の引き上げ作用は、上記掘削土がスラリー状であって上記ケーシング2の表面への固着力が低く、しかも上記ケーシング2及びその先端の上記掘削爪3が回転して該掘削土の固着作用そのものが減殺されていることから、上記掘削穴H内に掘削土が残存していても、殆どこれに影響されること無く上記ケーシング2を容易に引上げることができる。
【0039】
なお、ここでは、上記ケーシング2の回転方向を、掘削時とは逆方向に設定するとしたが、上記掘削爪3の形状によっては掘削時と同方向へ回転させることも可能であって、係る場合には、縁切り掘削の完了時点で上記ケーシング2の回転を一旦停止させる必要はなく、その回転動を継続させたまま、上記ケーシング2の引き上げ作業(第3工程)に移行することができる。
【0040】
IV:第4工程及び第5工程(図9参照)
次に、図8に示す上記ケーシング2の引上げ状態から、上記伸縮ブーム23を適宜量だけ縮小させて、図9に示すように、上記ケーシング2を上記埋設杭10の直上位置から側方へ退避させる。そして、上記埋設杭10の頭部10aの近傍に手作業によって作業用ワイヤロープ28を掛け、その一端を上記吊上ワイヤロープ27のフック26の掛止する(第4工程)。
【0041】
しかる後、上記吊上ワイヤロープ27を巻き上げ、上記作業用ワイヤロープ28によって上記埋設杭10を上記掘削穴Hから上方へ引き抜き(図9に鎖線図示する状態)、これを適宜位置へ載置する(第5工程)。以上で、上記埋設杭10の引き抜き作業が完了する。
【0042】
なお、この実施形態では、上記ケーシング2を引上げて上記埋設杭10から離間させた後に、手作業によって上記埋設杭10の頭部10aに上記作業用ワイヤロープ28を掛止するようにしているが、係る構成に限定されるものではなく、例えば、予め上記ケーシング2の先端側に上記作業用ワイヤロープ28の一端側を仕込んでおき、上記縁切り掘削が完了した後に、上記ケーシング2を逆回転させることで自動的に上記埋設杭10の先端10b近傍に上記作業用ワイヤロープ28を掛止するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0043】
1 ・・オーガ
2 ・・ケーシング
3 ・・掘削爪
4 ・・ジエットホース
5 ・・ジエット管
10 ・・埋設杭
11 ・・回転部
12 ・・吊下ブラケット
13 ・・連結軸
21 ・・移動基台
22 ・・旋回台
23 ・・伸縮ブーム
24 ・・ブームヘッド
25 ・・シングルトップ
26 ・・フック
27 ・・吊上ワイヤロープ
28 ・・作業用ワイヤロープ
29 ・・起伏用油圧シリンダ
30 ・・ウィンチ
31 ・・伸縮用油圧シリンダ
G ・・地面
X ・・クレーン装置
Z ・・掘削ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧機構によって伸縮及び起伏駆動される伸縮ブーム(23)を備えるとともに該伸縮ブーム(23)の先端部から吊下される吊上ワイヤロープ(27)を備えたクレーン装置(X)と、回転駆動力を発生するオーガ(1)の回転部(11)に、その先端に掘削爪(3)を備えた直筒状のケーシング(2)を連結してなる掘削ユニット(Z)とを用い、上記クレーン装置(X)の上記伸縮ブーム(23)の先端に上記掘削ユニット(Z)を、該伸縮ブーム(23)の起伏面に直交する方向に設けられた連結軸(13)によって該起伏面に平行な方向へ回動可能に吊下支持した状態で、地盤中に埋設された埋設杭(10)を抜去する埋設杭の抜去方法であって、
上記伸縮ブーム(23)の伸縮動及び起伏動によって上記ケーシング(2)を上記埋設杭(10)の上端側の露出部に外嵌状態でセットする第1工程と、
上記ケーシング(2)のセット完了後、上記伸縮ブーム(23)の倒伏動作力によって上記ケーシング(2)を下方へ押圧するともに該伸縮ブーム(23)の伸縮動によって上記ケーシング(2)と上記埋設杭(10)との同心性を保持しながら上記ケーシング(2)の上記掘削爪(3)によって上記埋設杭(10)の周囲の地盤を環状に掘削して該地盤と上記埋設杭(10)との縁切り掘削を行う第2工程と、
縁切り掘削の完了後に、上記伸縮ブーム(23)の起仰動及び伸縮動によって上記掘削ユニット(Z)を引上げて上記埋設杭(10)から離間退去させる第3工程と、
上記掘削ユニット(Z)の上記埋設杭(10)からの離間退去時に、又は離間退去後に、上記埋設杭(10)に作業用ワイヤロープ(28)を掛ける第4工程と、
上記作業用ワイヤロープ(28)を上記クレーン装置(X)の上記吊上ワイヤロープ(27)によって引上げて上記埋設杭(10)を地盤から抜去する第5工程と、
を順次実行することを特徴とする埋設杭の抜去方法。
【請求項2】
油圧機構によって伸縮及び起伏駆動される伸縮ブーム(23)を備えるとともに該伸縮ブーム(23)の先端部から吊下される吊上ワイヤロープ(27)を備えたクレーン装置(X)と、
該クレーン装置(X)の上記伸縮ブーム(23)の先端に該伸縮ブーム(23)の起伏面に直交する方向に設けられた連結軸(13)によって該起伏面に平行な方向へ回動可能に吊下支持される掘削ユニット(Z)を備えるとともに、
上記掘削ユニット(Z)が、回転駆動力を発生するオーガ(1)と、先端に掘削爪(3)を備えた直筒状形体を有し且つ上記オーガ(1)の回転部(11)に連結されて該オーガ(1)により回転駆動されるケーシング(2)を備えた構成であることを特徴とする埋設杭の抜去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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