説明

埋設管の新旧管入れ取り替え用連結管及び埋設管の新旧管入れ取り替え工法

【課題】現場毎に異なる新管と旧管の高低差や平面位置に対応して、簡易に新管と旧管を連結することができ、繰り返し使用することができる連結管を提供する。
【解決手段】第1継手11を介して新管P2の端部に接続される第1連結管12と、旧管P1の端部に接続される第2継手13と、第2継手を介して旧管P1に接続される第2連結管14と、第1連結管の端部と第2連結管の端部を接続する第3継手15を備えている。第1連結管及び第2連結管は、新管又は旧管に沿った一対の横管部12a,12b,14a,14bとこの横管部間に設けられる縦管部12c,14cと横管部のそれぞれを縦管部の両端に連結する屈曲部12d,12e,14d,14eを備えている。第3継手は、第1連結管の縦管部12cと第2連結管の縦管部14cの交差角度を任意に調整した状態で、第1連結管の端部と第2連結管の端部を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されている旧管と新管を入れ取り替えする工法において、旧管の端部と新管の端部を連結する連結管、及びこの連結管を用いる新旧管入れ取り替え工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国の埋設ガス導管には古くからねずみ鋳鉄管が用いられてきた。このねずみ鋳鉄管は、塗覆装や被覆の無い裸管の状態で比較的腐食に強い性質があるが、一方で衝撃に弱い性質があるので、高い輪荷重を受ける箇所や地震の可能性がある箇所などでは、ねずみ鋳鉄管の旧管をポリエチレン(PE)管の新管に入れ取り替えする工事が行われている。
【0003】
このような旧管と新管の入れ取り替え工事は、長距離に亘って埋設されている旧管を一度に新管に入れ替えることができないため、一回の工事で十数メートルの単位で入れ取り替えを行い、一回の工事が終わる毎に新たに延長された新管の端部と未工事の旧管の端部を連結して、新旧両管のガス流通を確保している。これにより、工事休止時には、埋設された新管から分岐した供給先と既設の旧管から分岐した供給先の両方に対してガスの供給が可能になる。
【0004】
この際、旧管は地下1.2m程度の深い位置に埋設されているのに対して、新管は地下の比較的浅い位置(地下0.6m程度)に埋設されるため、新管の端部と未工事の旧管の端部を連結するには、両管の敷設位置の差(高低差)を吸収するための連結管が必要になる。
【0005】
下記特許文献1に記載された従来技術の連結管(仮連結管)は、できる限り数少なく細分化した仮連結管部材を揃えておくことで、前述したような高低差のある旧管と新管を仮連結するものであって、旧管の端部及び新管の端部にそれぞれ第1,第2管継手を介して取り外し可能に連結される2個のエルボを備え、この2個のエルボ間に一つ又は複数のストレート短管を連結するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−141111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既設の旧管の敷設位置に対して、新管はその敷設位置に沿って敷設されることにはなるが、新管を埋設する際には様々な地中構造物との干渉を避ける必要があるため、新管と旧管の高低差は必ずしても一定にはならない。また、新管と旧管の敷設位置を平面的に見ると、新管は旧管の直上に敷設されるとは限らない。特に、新旧管入れ取り替え工事で旧管を撤去する場合には、新管は旧管の敷設位置から平面的にずれた位置に配置することが好ましい。このように、旧管と新管の敷設位置の関係は現場毎に異なることが一般であり、新管の端部と旧管の端部を連結する仮連結管は、現場毎に個別の対応にならざるを得ず、一つの現場で使用した仮連結管を他の現場で使用できない問題があった。
【0008】
これに対して、前述した従来技術のように、規定の長さを有するストレート短管を複数連ねて新管と旧管の高低差を吸収するものでは、短管の長さを細かく分割しなければ様々な高低差に対応することができず、これによると仮連結管の接続に多大の労力を要する問題が生じる。また、短管の長さが予め設定している場合には、現場毎に異なる新管と旧管の高低差に精度良く対応することができない問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、地中に埋設されている旧管と新管を入れ取り替えする際に、旧管の端部と新管の端部を連結する連結管において、現場毎に異なる新管と旧管の高低差や平面位置に対応して、簡易に新管と旧管を連結することができること、新管と旧管の敷設位置が様々な現場において繰り返し使用することができること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0011】
地中に埋設されている旧管と新管を入れ取り替えする工事に用いられ、既設の旧管の端部と新たに埋設する新管の端部を連結する連結管であって、前記新管の端部に接続される第1継手と、該第1継手を介して前記新管の端部に接続される第1連結管と、前記旧管の端部に接続される第2継手と、該第2継手を介して前記旧管に接続される第2連結管と、前記第1連結管の端部と前記第2連結管の端部を接続する第3継手を備え、前記第1連結管及び前記第2連結管のそれぞれは、前記新管又は前記旧管に沿った一対の横管部とこの一対の横管部間に設けられる縦管部と前記一対の横管部のそれぞれを前記縦管部の両端に連結する一対の屈曲部を備え、前記第3継手は、前記第1連結管の縦管部と前記第2連結管の縦管部の交差角度を任意に調整した状態で、前記第1連結管の端部と前記第2連結管の端部を接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このような特徴を有する埋設管の新旧管入れ取り替え用連結管によると、一端部が新管に第1継手を介して接続される第1連結管の他端部と一端部が旧管に第2継手を介して接続される第2連結管の他端部とを第3継手を介して接続し、第1連結管の縦管部と第2連結管の縦管部の交差角度を任意に調整した状態で、第1連結管の端部と第2連結管の端部を第3継手によって接続するので、新管と旧管の敷設位置の違いを第1連結管の縦管部と第2連結管の縦管部の交差角度の調整で吸収することができる。
【0013】
これによって、地中に埋設されている旧管と新管を入れ取り替えする際に、旧管の端部と新管の端部を連結する連結管において、現場毎に異なる新管と旧管の高低差や平面位置に対応して、簡易に新管と旧管を連結することができる。また、新管と旧管の敷設位置が様々な現場において連結管を繰り返し使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る埋設管の新旧管入れ取り替え用連結管を示した説明図(側面図)。
【図2】本発明の一実施形態に係る埋設管の新旧管入れ取り替え用連結管を示した説明図(正面図)。
【図3】本発明の実施形態に係る連結管の変形例を示した説明図(側面図)。
【図4】本発明の実施形態における第1〜第3継手の構成例を示した断面図。
【図5】本発明の実施形態に係る連結管を用いた埋設管の新旧管入れ取り替え工法を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1及び図2は本発明の一実施形態に係る埋設管の新旧管入れ取り替え用連結管を示した説明図(図1は側面図であり、図2(a)〜(c)は正面図を示している。)である。
【0016】
新旧管入れ取り替え用連結管(以下、単に連結管という)1は、地中に埋設されている旧管P1と新管P2を入れ取り替えする工事に用いられ、既設の旧管P1の端部と新たに埋設する新管P2の端部を連結するものである。ここでの旧管P1は、一例としては既設のねずみ鋳鉄管であり、新管P2はこのねずみ鋳鉄管に対して入れ取り替えを行うポリエチレン(PE)管である。
【0017】
この連結管1は、新管P2の端部に接続される第1継手11と、第1継手11を介して新管P2の端部に接続される第1連結管12と、旧管P1の端部に接続される第2継手13と、第2継手13を介して旧管P1に接続される第2連結管14と、第1連結管12の端部と第2連結管14の端部を接続する第3継手15を備えている。
【0018】
第1連結管12は、旧管P1又は新管P2に沿った一対の横管部12a,12bとこの一対の横管部12a,12b間に設けられる縦管部12cと一対の横管部12a,12bのそれぞれを縦管部12cの両端に連結する一対の屈曲部12d,12eを備えている。また、第2連結管14も同様に、旧管P1又は新管P2に沿った一対の横管部14a,14bとこの一対の横管部14a,14b間に設けられる縦管部14cと一対の横管部14a,14bのそれぞれを縦管部14cの両端に連結する一対の屈曲部14d,14eを備えている。第1連結管12と第2連結管14は共にポリエチレン管などのプラスチック管で形成することができる。
【0019】
このような構成を備えた連結管1において、第3継手15は、第1連結管12の縦管部12cと第2連結管14の縦管部14cの交差角度を任意に調整した状態で、第1連結管12の端部と第2連結管14の端部を接続する。これにより、旧管P1と新管P2の敷設位置に高低差Hがある場合に、この高低差Hを第1連結管12の縦管部12cと第2連結管14の縦管部14cの屈折状態の調整で吸収することが可能になる。
【0020】
図2(a)に示すように、旧管P1と新管P2の高低差H1が比較的大きい場合には、第1連結管12の縦管部12cと第2連結管14の縦管部14cの交差角度θ1を比較的大きくすることで対応することができ、図2(b)に示すように、旧管P1と新管P2の高低差H2が比較的小さい場合には、第1連結管12の縦管部12cと第2連結管14の縦管部14cの交差角度θ2を比較的小さくすることで対応することができる。また、旧管P1と新管P2の敷設位置に平面的な間隔V1が存在する場合にも、この間隔V1に応じて第1連結管12の縦管部12cと第2連結管14の縦管部14cの交差角度θ3を調整することで対応が可能になる。すなわち、旧管P1と新管P2の敷設位置の関係が現場毎に異なる場合であっても、一つの連結管1で旧管1と新管2を連結することが可能になる。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係る連結管1の変形例を示している。連結管1は、第1連結管12における屈曲部12dと屈曲部12eの向きが図示のように逆向きであってもよい。この場合は、第2連結管14における屈曲部14dと屈曲部14eの向きも図示のように逆向きになる。また、第1連結管12の縦管部12cと第2連結管14の縦管部14cの長さは、図1及び図3に示す例のように同じ長さにしてもよいし、一方の縦管部12cを他方の縦管部14cより長く(又は短く)してもよい。
【0022】
図4は、第1〜第3継手の構成例を示した断面図である。第1継手11,第2継手13,第3継手15は、旧管P1又は新管P2に対して着脱自在なメカニカル継手によって構成することができ、ガス流通の気密性を確保することができ、且つ接続前に接続対象の管を管軸中心に回動できるものであればどのような形態のメカニカル継手であってもよい。一般的なガス管接続用のメカニカル継手はこのような要件を備えている。
【0023】
ここでは、ポリエチレン管によって形成される第1連結管12と第2連結管14を接続する第3継手15を例にして説明するが、第1継手11,第2継手13も同様の継手で構成することができる。第2継手13は旧管P1がねずみ鋳鉄管であり、第2連結管14がポリエチレン管の場合には、ねずみ鋳鉄管とポリエチレン管を接続する継手構成になる。
【0024】
第3継手15は、継手管15Aの一端側に第1連結管12の端部を挿入し、他端側に第2連結管14の端部を挿入して、継手管15Aと第1連結管12,第2連結管14の外周との間にシール部材15B(バックアップリング),15C(丸ゴム輪),15D(角ゴム輪)を入れ、これを押輪15Eで押し込んで気密性を確保するように、継手管15Aのフランジ部15A1と押輪15Eのフランジ部15E1とがボルトナット15Fで締結されている。この際、接続される第1連結管12と第2連結管14の端部の内側には、補強用内管12X,14Xが挿入されており、その外周にはロックリング12Y,14Yが装着され、さらにカラーリング12Z,14Zが装着されている。
【0025】
以下、図5に基づいて、本発明の実施形態に係る連結管1を用いた埋設管の新旧管入れ取り替え工法について説明する。ここでは、数回に分けて行われる新旧管入れ取り替え工事における1回分の工事に係る工法について説明する。この1回分の工事の前段では、既設の旧管の一部が新管によって入れ取り替えされており、新管の端部と未工事の旧管の端部が連結管1によって連結されている。
【0026】
先ず、工事の開始に伴って、1回分の工事区間の設定がなされ、その工事区間で埋設されている旧管の開削がなされる(S1)。その後、工事区間の外側において旧管内にガスバッグを挿入して工事区間内のガス流通を遮断し(S2)、工事区間のガス供給下流側で旧管を切断する(S3)。
【0027】
次に、新管を工事区間内に延長する(S4)。すなわち、既に埋設されている新管の端部を閉塞して連結管1を取り外し、この新管の端部に新たに延長する新管の端部を接続する。そして、新たに工事区間に延長された新管に、工事区間におけるガス供給先への分岐管を接続する(S5)。
【0028】
次に、工事区間のガス供給下流側で、切断された旧管の端部と新管の延長側の端部を連結管1で連結する(S6)。この際の連結管1は、前回の工事で使用した連結管1を繰り返し使用することができ、第1連結管12の縦管部12cと第2連結管14の縦管部14cの交差角度を調整しながら、旧管の端部と新管の端部に連結管1の両端がそれぞれ接続される。その後、旧管に挿入したガスバッグを取り外し、工事区間の外側における旧管と延長された新管とのガス流通を確保する(S7)。その後は、工事区間の埋め戻しを行い(S8)、今回の工事を終了する。
【0029】
本発明の実施形態に係る連結管1を用いた新旧管入れ取り替え工法によると、1回の工事毎に旧管と新管の敷設位置の関係が異なる場合であっても、第1連結管12の縦管部12cと第2連結管14の縦管部14cの交差角度を調整することで、一つの連結管1での対応が可能になる。これによって、一つの連結管1を繰り返し使用することができ、1回の工事毎に現場に対応した連結管を作り替える労力と経費、更には資源の無駄遣いを削減することができる。
【0030】
また、現場における連結管1の接続は、第3継手15を緩めた状態で、第1継手11と第2継手を新管P2と旧管P1にそれぞれ接続し、その後第3継手15を締め付けるだけで良いので、複数の短管を繋ぎ合わせるような煩雑な作業は不要であり、極めて簡易に連結管1の接続作業を行うことができる。
【0031】
更に、本発明の実施形態に係る連結管1は、第1連結管12の縦管部12cと第2連結管14の縦管部14cの交差角度がゼロに近い状態から180°になるまで無段階での調整が可能である。これによって、伸縮管や短管の繋ぎ合わせを行う場合と比べて、調整範囲を広く取ることができると共に、精度の高い調整が可能になる。
【0032】
なお、以上の説明ではガス導管の新旧管入れ取り替え工事に関して説明しているが、水道管やその他の流体輸送導管についても同様であって、本発明は、特にガス導管に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0033】
1:連結管(新旧管入れ取り替え用連結管),
11:第1継手,12:第1連結管,13:第2継手,14:第2連結管,
15:第3連結管,
12a,12b,14a,14b:横管部,
12c,14c:縦管部,
12d,12e,14d,14e:屈曲部,
P1:旧管,P2:新管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設されている旧管と新管を入れ取り替えする工事に用いられ、既設の旧管の端部と新たに埋設する新管の端部を連結する連結管であって、
前記新管の端部に接続される第1継手と、
該第1継手を介して前記新管の端部に接続される第1連結管と、
前記旧管の端部に接続される第2継手と、
該第2継手を介して前記旧管に接続される第2連結管と、
前記第1連結管の端部と前記第2連結管の端部を接続する第3継手を備え、
前記第1連結管及び前記第2連結管のそれぞれは、前記新管又は前記旧管に沿った一対の横管部とこの一対の横管部間に設けられる縦管部と前記一対の横管部のそれぞれを前記縦管部の両端に連結する一対の屈曲部を備え、
前記第3継手は、前記第1連結管の縦管部と前記第2連結管の縦管部の交差角度を任意に調整した状態で、前記第1連結管の端部と前記第2連結管の端部を接続することを特徴とする埋設管の新旧管入れ取り替え用連結管。
【請求項2】
前記第1連結管及び前記第2連結管は、ポリエチレン管によって形成されることを特徴とする請求項1に記載された埋設管の新旧管入れ取り替え用連結管。
【請求項3】
前記第1継手,前記第2継手,前記第3継手は、メカニカル継手によって構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載された埋設管の新旧管入れ取り替え用連結管。
【請求項4】
請求項1に記載された埋設管の新旧管入れ取り替え用連結管を用いた新旧管入れ取り替え工法であって、
設定された工事区間の外側において前記旧管内にガスバッグを挿入して前記工事区間内のガス流通を遮断し、前記工事区間のガス供給下流側で前記旧管を切断する工程と、
前記工事区間に延長された新管に、前記工事区間におけるガス供給先への分岐管を接続する工程と、
前記工事区間のガス供給下流側で、切断された前記旧管の端部と前記新管の延長側の端部を前記新旧管入れ取り替え用連結管で連結する工程と、
前記旧管に挿入したガスバッグを取り外し、前記工事区間の外側における前記旧管と前記新管とのガス流通を確保する工程とを有し、
前記新旧管入れ取り替え用連結管は、前記第1連結管の縦管部と前記第2連結管の縦管部の交差角度を調整しながら、前記旧管の端部と前記新管の端部に接続されることを特徴とする埋設管の新旧管入れ取り替え工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−64485(P2013−64485A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204893(P2011−204893)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)