説明

埋設管の管路線形計測装置及びこれを用いた管路線形計測方法

【課題】 簡単な構造で、確実に継手における埋設管の曲がり方向及び曲がり角度を測定することができ、埋設管全体の管路の線形を適確に把握することができる埋設管の管路線形計測装置及びこれを用いた管路線形計測方法を提供する。
【解決手段】 継手8を介して連結された埋設管9の管路を通過する円筒形状の、自在型ジョイント部材15で連結された前パイプ6と後パイプ7で構成されたセンサパイプ3と、センサパイプ3に接続された継手8の位置を検出するための継手検出手段4とを有し、前パイプ6と後パイプ7は隣接する埋設管9の各々に沿って屈曲可能であり、上記センサパイプ3に、隣接埋設管9の曲がり方向及び曲がり角度を計測するための曲がり検出手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力ケーブルや上下水道、ガス、通信等に使用する土中に布設された埋設管の管路の線形を計測するための埋設管の管路線形計測装置及びこれを用いた管路線形計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、土中には、多くの埋設管が布設されているが、これらは、昔、布設されたものであるため、口径が小さく、中に設置されている電力ケーブルや、通信線の径も小さく、容量も小さい。しかし、最近は、電力量や通信量が多くなったため、これら埋設管の中に容量の大きなケーブルや、通信線を設置したいが、口径が小さすぎて使用できない。
このため、開溝して埋設管を取り出し、新たに太い管を埋設する必要があるが、これでは、費用がかかりすぎる。
本出願人は、このような場合、古い埋設管を取り出さず、これを土中で破壊しながら太い管を押し込む技術を開発してきた(特願2005−212929)が、この工法を効率よく使用するには、細い埋設管の線形、つまり、埋設管の曲がり角度を予め測定しておかないと、曲がり角度が大きすぎる場合は、細い埋設管の埋設位置に合わせて、太い管を押し込むことが困難であることが判明した。
【0003】
これらの埋設管の線形を把握する方法が、特許文献1に記載されている。特許文献1はパイプラインの形状計測評価方法であり、ピグ本体の外周に設置された距離計測手段の出力から、ピグ本体の中心軸とパイプライン中心軸とのずれを計算して、ピグ本体の姿勢に起因する誤差を補正するとともに、パイプラインを構成する配管同士の接合部を検出して、配管ごとについて線形状を計測し、その計測結果に基づいて、パイプラインの配管同士の接合部における不整合についても考慮して、敷設状態を評価するものである。
【0004】
しかし、特許文献1の方法は、構造が複雑であり、管路の途中で管路内の異物等に引っかかって止まってしまった場合、これを取り出すことは困難である。また、この方法における接合部の検出は、配管の溶接部における内面の凸部を通過したときの、距離測定手段における測定値の変化をもとに行われる。すなわち、配管の溶接部に凸部があることを前提とし、さらに、管路内に異物がないことを前提として行うものである。土中に布設された埋設管は、土が管路に混入されている場合があるため、特許文献1の方法では、このような異物が管路に混入している場合には適切に管路の線形を測定することは困難である。
【0005】
【特許文献1】特開平2004−333149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は上記従来技術を考慮したものであって、簡単な構造で、確実に継手における埋設管の曲がり方向及び曲がり角度を測定することができ、埋設管全体の管路の線形を適確に把握することができる埋設管の管路線形計測装置及びこれを用いた管路線形計測方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、継手を介して連結された埋設管の管路を通過する円筒形状のセンサパイプと、当該センサパイプに接続又は設置された上記継手の位置を検出するための継手検出手段とを有する埋設管の管路線形計測装置であって、上記センサパイプは自在型ジョイント部材で連結された前パイプと後パイプで構成され、当該前パイプと後パイプは上記継手を介した隣接埋設管の各々に沿って屈曲可能であり、上記センサパイプには、上記前パイプと後パイプの曲がり方向及び曲がり角度によって、上記継手を介した隣接埋設管の曲がり方向及び曲がり角度を計測するための曲がり検出手段が備わることを特徴とする、埋設管の管路線形計測装置を提供する。
【0008】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記曲がり検出手段は、複数個のカンチレバ型の変位計で構成され、当該カンチレバ型の変位計は、曲げ変形可能な板状のひずみプレートと、当該ひずみプレートの曲げ角度を測定するためのひずみゲージからなり、上記ひずみプレートの一方の端部は、上記前パイプ又は後パイプに固定され、上記ひずみプレートの他方の端部は、上記前パイプ又は後パイプに当接して形成されることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3の発明では、請求項2の発明において、上記前パイプ及び後パイプは、二重管構造となるようにそれぞれ円筒形状の外パイプで覆われ、上記前パイプ及び後パイプと上記外パイプは互いに回転自在に接続され、上記前パイプ及び後パイプには、当該前パイプ及び後パイプの回転を抑制するための錘部材が備わることを特徴としている。
【0010】
また、請求項4の発明では、請求項1〜3の発明において、上記継手検出手段は、上記管路の上側を撮影する動画撮影機を備えたことを特徴としている。
【0011】
また、請求項5の発明では、上記センサパイプは上記管路を挿通する牽引ワイヤに取付けられることを特徴としている。
【0012】
さらに、請求項6の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の埋設管の管路線形計測装置を用いた埋設間の管路線形計測方法であって、上記継手検出手段により上記継手の位置を確認し、当該継手の位置に上記自在型ジョイント部材を合わせて、上記前パイプと後パイプを上記継手を介した隣接埋設管の各々に沿わせて、上記曲がり検出手段により上記前パイプと後パイプの曲がり方向及び曲がり角度を計測し、当該前パイプと後パイプの曲がり方向及び曲がり角度から上記継手を介した埋設管同士の曲がり方向及び曲がり角度を求め、当該埋設管の曲がり方向及び曲がり角度を上記継手ごとに順次求めて埋設管全体の線形を把握することを特徴とする、埋設管の管路線形計測方法を提供する。
【0013】
また、請求項7の発明では、既設の小口径の埋設管を破壊しながら、新設の大径の管を押込み挿入する工法において、予め、当該小口径の管路線形を請求項6の埋設管の管路線形計測方法により把握することにより、大径の管を押込み挿入の可能性を判断することを特徴とする、大径管の押込み挿入工法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、継手検出手段により埋設管の継手を検出し、継手において前パイプと後パイプを隣接埋設管の各々に沿って屈曲させて、前パイプと後パイプの曲がり方向及び角度を曲がり検出手段により測定し、測定結果から埋設管の曲がり方向及び曲がり角度を求めることができるので、確実に埋設管の線形を把握することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、曲がり検出手段は、複数個のカンチレバ型の変位計で構成されるため、簡単な構造で、前パイプと後パイプの曲がり方向を計測できるとともに、曲がり角度も計測できる。これらの計測結果から、確実に埋設管の線形を測定することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、前パイプ及び後パイプと、これを覆う外パイプは互いに回転自在に接続され、前パイプ及び後パイプには、これらのパイプの回転を抑制するための錘部材が備わる。このため、円筒状の埋設管の管路を推進する前パイプ及び後パイプは、常に同じ姿勢を保つことができる。したがって、確実に埋設管の曲がり方向の測定を行うことができ、埋設管全体の線形を適確に把握できる。
【0017】
請求項4の発明によれば、継手検出手段は、管路の上側を撮影する動画撮影機であるため、管路中に土等の異物が混入されていても、これらの異物は管路内の下部に堆積されるため、確実に継手の位置を検出できる。したがって、曲がり検出手段によって確実に埋設管の曲がり方向及び曲がり角度の測定を行うことができ、埋設管全体の線形を適確に把握できる。
【0018】
請求項5の発明によれば、センサパイプが、管路を挿通する牽引ワイヤに取付けられるため、これを牽引ワイヤで引っ張りながら管路を推進させて埋設管の線形を測定することができる。したがって、管路途中でセンサパイプが異物等によって進路を妨げられても、これを牽引ワイヤで引っ張って推進できるので、確実に埋設管の線形を測定することができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、継手検出手段により確実に継手の位置を検出できる。また、継手において前パイプと後パイプを隣接埋設管の各々に沿わせることにより、隣接埋設管の曲がり方向及び曲がり角度を導出するための、前後のパイプの曲がり方向及び曲がり角度を、確実に曲がり検出手段で測定できる。この動作を順次行うことにより、測定結果をもとに埋設管同士の曲がり角度曲がり方向を求めてセンサパイプの牽引距離を勘案して埋設管全体の線形を適確に把握することができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、請求項6の埋設管の管路線形計測法を、小口径の埋設管を破壊しながら大径の管を押込み挿入する工法に適用すれば、予め、当該小口径の埋設管の線形を把握することにより、大径の管の押込み挿入、ないし、推進の可能性を、施工以前に確認することができる。このため、大径管の押込み挿入・推進工法が使用出来るか否か、使用出来ない場合はどの箇所なのか等の判断により、使用出来ない箇所には、他の工法の適用、ないし、開溝を設ける等の手段を講じることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明は、継手を介して連結された埋設管の管路を通過する円筒形状のセンサパイプを有し、当該センサパイプには、上記継手を介した埋設管同士の曲がり方向及び曲がり角度を計測するための曲がり検出手段が備わり、上記センサパイプには、上記継手の位置を検出するための継手検出手段が接続され、上記センサパイプは上記管路を挿通する牽引ワイヤに取付けられることを特徴とする埋設管の管路線形計測装置及びこれを用いた管路線形計測方法である。
【実施例1】
【0022】
図1はこの発明に係る埋設管の管路線形計測装置の全体構成図である。
図示したように、この発明に係る埋設管の管路線形計測装置1は、牽引ワイヤ2で連結されたセンサパイプ3及び継手検出手段4で構成される。センサパイプ3は、ユニバーサルジョイント(自在型ジョイント)15を介して連結された前パイプ6及び後パイプ7で構成される。このようにして構成された管路線形計測装置1は、矢印F方向に埋設管内を推進する(図4参照)。
【0023】
図2はセンサパイプの概略構成図であり、(A)は断面図、(B)、(C)はそれぞれ(A)のB−B、C−C断面図である。
前パイプ6と後パイプ7は、ユニバーサルジョイント15で連結されたロッド14により連結される。したがって、前パイプ6と後パイプ7は、ユニバーサルジョイント15を介して自在に屈曲可能である。したがって、埋設管の継手部分において管路が曲がっていても、これに追従して屈曲し、管路内を推進可能である。ロッド14は、前パイプ6及び後パイプ7内に配設されたロッド支持部13で確実に固定される。ロッド支持部13には、貫通孔12が備わり、この貫通孔12に、計測に必要な配線等が通される。
【0024】
前パイプ6及び後パイプ7間には曲がり検出手段となるカンチレバ型の変位計5が配設される。カンチレバ型変位計5は、曲げ変形可能な板状のひずみプレート10と、このひずみプレート10の曲げ角度を測定するためのひずみゲージ11からなり、ひずみゲージ11は、ひずみプレート10に取付けられる。ひずみプレート10の一方の端部は、後パイプ7の内周面に備わるマウント部16に対し、ビス17等により固定される。ひずみプレート10の他方の端部には、突起19が形成され、この突起19は、前パイプ6の内周面に備わるマウント部18に当接する。これにより、前パイプ6と後パイプ7がユニバーサルジョイント15部分で屈曲しても、ひずみプレート10がこれに応じて曲がり、この曲げ変位及び変位量をひずみゲージ11で検出できる。このため、ひずみゲージ11は、ひずみプレート10の曲げ変形が大きな箇所を測定することが好ましい。
【0025】
このようなカンチレバ型の変位計5は、前パイプ6及び後パイプ7間に複数個(図では前パイプ6又は後パイプ7の内周の上下左右の4箇所に4個)配設される。これにより、前パイプ6と後パイプ7がどのような方向に曲がっても、各々の変位計5の計測結果をもとにしてその曲がり方向を計測するとともに各変位計の変位量により曲がり角度を計測することができる。このため、変位計5は、前パイプ6及び後パイプ7の内周面に等間隔に3個以上配設することが好ましい。
【0026】
前パイプ6及び後パイプ7は、ベアリング21を介してそれぞれ外パイプ20で覆われる。したがって、前パイプ6及び後パイプ7と、各外パイプ20は互いに回転可能である。前パイプ6及び後パイプ7には、その外周面下側に錘部材22が取付けられる。一般に、埋設管に進入する円筒部材は、回転しながら管路を推進する。したがって、円筒形状の外パイプ20も埋設管内を回転しながら推進する。しかし、その内側に備わる前パイプ6及び後パイプ7は、錘部材22により同じ姿勢を保ったまま推進する。すなわち、センサパイプ3が管路内を推進しても、外パイプ20が回転するだけで前パイプ6及び後パイプ7は回転しない。したがって、進行方向に対し、複数個の変位計5を常に所定の位置に固定しながら管路内を推進させることができるので、確実に埋設管の曲がり方向及び曲がり角度の測定を行うことができる。
【0027】
なお、図示した例では、後パイプ7にひずみプレート10を固定したものを示したが、前パイプ6にひずみプレート10を固定したカンチレバ型の変位計5としても適用可能である。
【0028】
図3は上記継手検出手段4の断面図である。
図示したように、継手検出手段4は、内パイプ24内にビデオカメラ等の動画撮影機25を備えている。内パイプ24は外パイプ26で覆われ、上述した前パイプ6及び後パイプ7と、外パイプ20と同様の構造により、同じ姿勢を保つように形成されている。すなわち、内パイプ24は、外パイプ26とベアリング21を介して取付けられるので、互いに回転可能であり、外周面下側に錘部材22を備えるので管路内推進中は常に同じ姿勢を保つことができる。したがって、動画撮影機25に備わるカメラレンズ等の撮影部27を上向きに取付けることにより、管路内推進中は常時撮影部27により管路の上側を撮影することができる。したがって、管路中に土等の異物が堆積していても、これらの異物の影響を受けない埋設管の上部を撮影でき、確実に埋設管の継手の位置を検出できる。また、この継手検出手段4は、上記実施例では、図1に示すように牽引ワイヤ2でセンサパイプ3と接続されているが、センサパイプ3と一体なもの、或いはセンサパイプ3に取り付けられてもよい。
【0029】
図4はこの発明に係る埋設管の管路線形計測装置を用いた埋設管の線形の計測作業を順番に示す概略構成図である。
(A)に示すように、継手8で連結された埋設管9の管路内を、管路線形計測装置1を推進させる。この推進は埋設管9を挿通する牽引ワイヤ2を引くことにより行われる。このように、牽引ワイヤ2を用いることにより、管路途中でセンサパイプ3が土等の異物によって進路を妨げられても、これを引っ張って推進できる。なお、当該管路線形計測装置1の後方にバックテンションワイヤを設ける場合もある。
【0030】
(B)に示すように、継手検出手段4が継手8まで推進すると、動画撮影機25(図3参照)により継手8の位置を検出する。継手検出手段4とセンサパイプ3との距離を予め設定することにより、牽引ワイヤ2を当該所定距離引けば、(C)に示すように、継手8を検出した位置に、前パイプ6と後パイプ7間に備わるユニバーサルジョイント15を合わせることができる。これにより、牽引ワイヤ2のバックテンションワイヤを緩め、継手8を介した隣接する埋設管9,9のそれぞれの内周面に平行となるように前パイプ6と後パイプ7を沿わせることができる。この状態で、確実に曲がり検出手段であるカンチレバ型の変位計を用いて継手8部分における前パイプ6と後パイプ7の曲がり方向及び曲がり角度を計測することができる。この作業を順次継手8ごとに繰り返すことにより、測定結果をもとに埋設管同士の曲がり角度曲がり方向を求めて埋設管9全体の線形を適確に把握することができる。
【0031】
継手8において前パイプ6と後パイプ7を確実に埋設管の内周面に平行に沿わせることができるよう、前パイプ6と後パイプ7の外側の外パイプ20の外径、及び前パイプ6と後パイプ7との距離を予め適切に設定しておくことが好ましい。
【0032】
また、前パイプ6及び後パイプ7の曲がり方向及び角度は、埋設管9の内径に対するセンサパイプ3(前パイプ6と後パイプ7の外側の外パイプ20)の外径、及び、前パイプ6と後パイプ7との距離によって変動する。このセンサパイプ3の外径、及び、前パイプ6と後パイプ7との距離を予め定めておくことにより、前パイプ6と後パイプ7の曲がり角度から、埋設管7の継手8における曲がり方向及び角度を演算により求めることができる。予め定めるセンサパイプ3の外径、及び、前パイプ6と後パイプ7との距離は、計測する埋設管9の曲がり角度に追従でき、継手8において確実に曲がり方向及び角度を計測できる程度に形成することが好ましい。すなわち、前パイプ6と後パイプ7は、継手8において埋設管9が曲がって連結されていたとしても、前パイプ6と後パイプ7が管路を推進できる程度の距離とする必要がある。また、センサパイプ3は、継手8において埋設管9が曲がって連結されていたとしても、これに追従して前パイプ6と後パイプ7が曲がる程度の径とする必要がある。
【0033】
図5はこの発明に係る管路線形計測方法のフローチャート図である。
ステップS1:
管路線形計測装置を埋設管の管路内に推進させる。
ステップS2:
継手検出手段により埋設管を連結する継手の位置を検出する。
【0034】
ステップS3:
検出した継手の位置に前パイプと後パイプを連結する自在型ジョイント部材を合わせて、前パイプと後パイプを継手を介した隣接埋設管の各々に沿わせ、曲がり検出手段により前パイプと後パイプの曲がり方向及び曲がり角度を計測する。
ステップS4:
ステップS3で計測された前パイプと後パイプの曲がり方向及び曲がり角度から、演算により埋設管の曲がり方向及び曲がり角度を求める。
【0035】
ステップS5:
ステップS4での演算結果をもとに、埋設管の管路線形をモニター等に表示する。このステップS1〜ステップS5を継手ごとに繰り返し、さらにセンサパイプの推進距離のデータを用いることにより、埋設管全体の線形を適確に把握することができる。
【0036】
以上、埋設管の管路線形計測装置、及び計測方法について述べてきたが、これら計測装置、及び、計測方法を、先に述べた小口径の埋設管を破壊しながら大径の管を押込み挿入する工法に適用するには、次のようにして行う。
まず、予め、小口径の埋設管内の継手位置をこの発明の計測装置により確認する等して埋設管全体の線形を把握した後、太い管の押込み工法が可能な線形、つまり、細い管の線形どおりに太い管を推進させても推進可能であるか否かの判断を行う。
可能と判断できれば、細い管を破壊しながら太い管を推進する技術を適用するが、困難と判断された場合には、別の工法の適用を考慮したり、その困難な箇所に対して、開溝、縦抗等の措置を適用して、その箇所までは適用する等の対応策を講じる。
いずれにせよ、本計測装置、及び、計測方法を適用すれば、細い管を破壊しながら太い管を押込む工法が、採用可能か否かを工事の施工前に判断することができるので、工事計画を容易に構築することができ、工事費用の低減を遂行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明は、種々の既設管の管路線形の測定に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明に係る埋設管の管路線形計測装置の全体構成図である。
【図2】センサパイプの概略構成図であり、(A)は断面図、(B)、(C)はそれぞれ(A)のB−B、C−C断面図である。
【図3】継手検出手段の断面図である。
【図4】図3のB−B視図である。
【図5】この発明に係る管路線形計測方法のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0039】
1:管路線形計測装置、2:牽引ワイヤ、3:センサパイプ、4:継手検出手段、5:カンチレバ型変位計、6:前パイプ、7:後パイプ、8:継手、9:埋設管、10:ひずみプレート、11:ひずみゲージ、12:貫通孔、13:ロッド支持部、14:ロッド、15:ユニバーサルジョイント、16:マウント部、17:ビス、18:マウント部、19:突起、20:外パイプ、21:ベアリング、22:錘部材、23:継手検出手段、24:内パイプ、25:動画撮影機、26:外パイプ、27:撮影部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手を介して連結された埋設管の管路を通過する円筒形状のセンサパイプと、
当該センサパイプに接続又は設置された上記継手の位置を検出するための継手検出手段とを有する埋設管の管路線形計測装置であって、
上記センサパイプは自在型ジョイント部材で連結された前パイプと後パイプで構成され、
当該前パイプと後パイプは上記継手を介した隣接埋設管の各々に沿って屈曲可能であり、
上記センサパイプには、上記前パイプと後パイプの曲がり方向及び曲がり角度によって、上記継手を介した隣接埋設管の曲がり方向及び曲がり角度を計測するための曲がり検出手段が備わることを特徴とする、埋設管の管路線形計測装置。
【請求項2】
上記曲がり検出手段は、複数個のカンチレバ型の変位計で構成され、当該カンチレバ型の変位計は、曲げ変形可能な板状のひずみプレートと、当該ひずみプレートの曲げ角度を測定するためのひずみゲージからなり、上記ひずみプレートの一方の端部は、上記前パイプ又は後パイプに固定され、上記ひずみプレートの他方の端部は、上記前パイプ又は後パイプに当接して形成されることを特徴とする、請求項1に記載の埋設管の管路線形計測装置。
【請求項3】
上記前パイプ及び後パイプは、二重管構造となるようにそれぞれ円筒形状の外パイプで覆われ、上記前パイプ及び後パイプと上記外パイプは互いに回転自在に接続され、上記前パイプ及び後パイプには、当該前パイプ及び後パイプの回転を抑制するための錘部材が備わることを特徴とする、請求項1又は2に記載の埋設管の管路線形計測装置。
【請求項4】

上記継手検出手段は、上記管路の上側を撮影する動画撮影機であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の埋設管の管路線形計測装置。
【請求項5】
上記センサパイプは上記管路を挿通する牽引ワイヤに取付けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の埋設管の管路線形計測装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の埋設管の管路線形計測装置を用いた埋設間の管路線形計測方法であって、
上記継手検出手段により上記継手の位置を確認し、
当該継手の位置に上記自在型ジョイント部材を合わせて、上記前パイプと後パイプを上記継手を介した隣接埋設管の各々に沿わせて、
上記曲がり検出手段により上記前パイプと後パイプの曲がり方向及び曲がり角度を計測し、
当該前パイプと後パイプの曲がり方向及び曲がり角度から上記継手を介した埋設管同士の曲がり方向及び曲がり角度を求め、
当該埋設管の曲がり方向及び曲がり角度を上記継手ごとに順次求めて埋設管全体の線形を把握することを特徴とする、埋設管の管路線形計測方法。
【請求項7】
既設の小口径の埋設管を破壊しながら、新設の大径の管を押込み挿入する工法において、予め、当該小口径の管路線形を請求項6の埋設管の管路線形計測方法により把握することにより、大径の管を押込み挿入の可能性を判断することを特徴とする、大径管の押込み挿入工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−309723(P2007−309723A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137446(P2006−137446)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【出願人】(506168071)株式会社計測テクノ東京 (1)
【Fターム(参考)】