説明

埋設管補修装置、埋設管補修方法

【課題】算出された埋設管の変形、湾曲、屈曲などに対応して、埋設管を掘り起こしたり埋設管内部に作業者が入ったりすることなく、埋設管の変形を補修できる埋設管補修装置および埋設管補修方法を提供する。
【解決手段】本発明の埋設管補修装置1は、地中に埋設されている埋設管2内部を移動可能な本体部3と、埋設管2の補修領域における所定位置での第1貫通孔7および第1貫通孔7と異なる位置での第2貫通孔8を穿孔する穿孔ユニット4と、第1貫通孔7を通じて、埋設管2の外部であって第1貫通孔7周辺の土砂を除去する除去ユニット5と、第2貫通孔8を通じて、埋設管2の外部であって第2貫通孔8周辺に膨張剤を注入する注入ユニット6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地中に埋設された埋設管の形状を算出し、変形や湾曲を起こしている埋設管を掘り起こすことなく自動で補修できる埋設管補修装置および埋設管補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
わが国をはじめ、各国において水道管、下水管などの多数の埋設管が、地中に埋設されている。これらの埋設管は、老朽化、地震などの天災、工事振動による人災などの影響を受け、埋設時とその形状を変化させることが多い。例えば、埋設管が湾曲したり、折れ曲がったり、変形したりするなどである。このように、埋設管の形状が変化してしまうと、上水や下水の流れに悪影響が生じたり、水漏れによる故障が生じたりする。
【0003】
一方で、埋設管は地中に埋設されているので、その状態を地上から確認することはきわめて難しい。勿論、埋設管を掘り出して確認することは、多大な労力を要し、現実的な手法とは言いがたい。
【0004】
このため、埋設管を掘り出すことなしに、埋設された埋設管の形状を正確に算出することが求められていた。埋設管の形状を算出できることで、埋設管における問題を早期に確認でき、必要な修理や交換を行うことができる。結果として、埋設管の故障によって生じる災害などを防止できる。
【0005】
このような、埋設管の形状を算出するために、種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6参照)。
【0006】
一方、埋設管の形状が算出されることで、埋設管の変形や湾曲が検出される。このような埋設管の変形や湾曲がある場合には、補修や修繕が必要である。変形していることで、埋設管内部の流動性や移動性が悪くなったり、埋設管を通る油分が地中に漏れ出してしまったりするなどの問題が生じうるからである。
【0007】
しかしながら、地中に埋設されている埋設管内部に作業者が入って補修や修繕の作業を行うことは困難である。このため、地中に埋設された埋設管内部に特殊な機器を挿入して埋設管の修理を行う技術も提案されている(例えば、特許文献7、特許文献8、特許文献9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−234124号公報
【特許文献2】特開平7−311022号公報
【特許文献3】特開平8−219782号公報
【特許文献4】特開平9−14932号公報
【特許文献5】特開2001−141431号公報
【特許文献6】特開2005−345118号公報
【特許文献7】特開2007−169987号公報
【特許文献8】特開2003−119836号公報
【特許文献9】特開平11−13985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1〜6は、埋設管内部の形状を算出する技術を開示する。種々の技術によって、埋設管内部の形状を算出する方式の提案がなされている。
【0010】
特許文献1は、管路内部を走行する装置が、管路内部に光を照射し、この照射光の反射波を用いて、管路内部の形状を算出する技術を開示する。
【0011】
しかしながら、特許文献1の技術では、光の反射を利用するため、装置が大掛かりになると共に受光精度の劣化によって算出精度も劣化する問題がある。また、管路内部の形状を算出することはできるが、2次元あるいは3次元での、管路の湾曲、曲がり、管径変化、内部障害物のそれぞれを算出することができない問題がある。
【0012】
また、特許文献2は、管路内部を走行する装置が、管路の曲率を算出する技術を開示する。
【0013】
しかしながら、特許文献2の技術では、管路の曲率を算出できるだけで、管径変化や内部障害物を算出できない。また、各位置における所定の基準線に対する曲率を測定できるだけであるので、左右方向、上下方向といった3次元的な管路の湾曲を算出することが困難である問題を有する。
【0014】
特許文献3は、管路を走行する2台の装置同士でレーザー光をやり取りし、このレーザー光の揺動によって管路の屈曲を算出する技術を開示する。
【0015】
しかしながら、特許文献3の技術では、レーザー光のやり取りが可能な範囲での屈曲しか算出できず、屈曲以外の管路の形状を算出することが困難である。加えて、レーザー光のやり取りを基本とするため、装置が大掛かりになると共にレーザー光のやり取りエラーなどの問題も生じさせる。
【0016】
特許文献4は、特許文献1、3と同様に、照射光を利用して管路内部の形状を算出する技術を開示する。
【0017】
しかしながら、装置が大掛かりとなったり、管路の湾曲、曲がり、管径変化、内部障害物などの全てを算出できなかったりする問題がある。また、光学系を用いることでの算出精度の劣化も懸念される。
【0018】
特許文献5は、特許文献4と同様の技術であり、同様の問題を有する。
【0019】
特許文献6は、管路に配置された装置が電磁波パルスを管路に照射して、管路に含まれる空洞を算出する技術を開示する。
【0020】
しかしながら、特許文献6の技術では、装置が大掛かりになると共に、ある所定位置での空洞を算出できるが、管路全体に渡って、管路の湾曲、曲がり、管径変化、内部障害物のそれぞれを測定するのには不適である。また、小径の管路以外には適さない問題もある。
【0021】
また、特許文献7〜9は、埋設管の補修や修繕方法に関する技術を提案している。特許文献7〜9のそれぞれは、埋設管内部に機器を挿入して埋設管内部の補修を行う技術を提案している。
【0022】
しかしながら、特許文献7〜9のいずれの技術でも、埋設管内部の傷などの修復は可能であるが、屈曲したり変形したりしている埋設管を元のようにまっすぐにすることはできない。また、埋設管の状況を把握するのにあわせた補修を行う事もできない。
【0023】
以上のように、従来技術は、(1)埋設管の屈曲、湾曲、変形を検出した上で補修すること、(2)変形や湾曲している埋設管を、埋設されている周囲の状況に合わせて元のようにまっすぐに戻す補修を行うこと、(3)補修の状態を視認しながら補修を行うこと、などが困難である問題を有していた。
【0024】
本発明は、上記課題に鑑み、算出された埋設管の変形、湾曲、屈曲などに対応して、埋設管を掘り起こしたり埋設管内部に作業者が入ったりすることなく、埋設管の変形を補修できる埋設管補修装置および埋設管補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題に鑑み、本発明の埋設管補修装置は、地中に埋設されている埋設管内部を移動可能な本体部と、埋設管の補修領域における所定位置での第1貫通孔および第1貫通孔と異なる位置での第2貫通孔を穿孔する穿孔ユニットと、第1貫通孔を通じて、埋設管の外部であって第1貫通孔周辺の土砂を除去する除去ユニットと、第2貫通孔を通じて、埋設管の外部であって第2貫通孔周辺に膨張剤を注入する注入ユニットと、を備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明の埋設管補修装置は、作業者が入り込むことのできないような狭い埋設管であっても、埋設管を掘り起こすことなく自動で補修や修繕を行える。
特に、埋設管の周囲を調整することで、埋設管の屈曲や変形を修正できるので、埋設管を取り替えることなく、埋設管の使用寿命を延ばすことができる。特に、埋設管の変形や屈曲を元に戻してまっすぐの状態にできるので、埋設管がその役割を果たせる状態に戻すことができる。
【0027】
また、埋設管の形状を算出することを基礎として埋設管を自動で補修できるので、埋設管の実際の状況に合わせた補修が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1における埋設管補修装置の概要図である。
【図2】本発明の実施の形態1における埋設管補修装置の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における正常状態の埋設管の側面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における屈曲状態の埋設管の側面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における第1貫通孔の穿孔を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1における土砂の除去を示す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態1における第2貫通孔を穿孔する状態を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1における膨張材の注入を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1における埋設管の補修状態を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態1における充填材の注入を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態2における埋設管補修装置のブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態2における補修領域を検出する状態を説明する説明図である。
【図13】本発明の実施の形態2における埋設管補修の状態を示す説明図である。
【図14】本発明の実施の形態2における埋設管補修方法の実施を示す説明図である。
【図15】本発明の実施の形態3における埋設管補修装置の斜視図である。
【図16】本発明の実施の形態3における埋設管の形状算出の模式図である。
【図17】本発明の実施の形態3における埋設管の内径変化算出を説明する模式図である。
【図18】本発明の実施の形態3における埋設管の湾曲および屈曲の算出を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第1の発明に係る埋設管補修装置は、地中に埋設されている埋設管内部を移動可能な本体部と、埋設管の補修領域における所定位置での第1貫通孔および第1貫通孔と異なる位置での第2貫通孔を穿孔する穿孔ユニットと、第1貫通孔を通じて、埋設管の外部であって第1貫通孔周辺の土砂を除去する除去ユニットと、第2貫通孔を通じて、埋設管の外部であって第2貫通孔周辺に膨張剤を注入する注入ユニットと、を備える。
【0030】
この構成により、埋設管内部に作業者が入ったり埋設管を掘り起こしたりすること無く埋設管の変形を補修できる。加えて、補修された埋設管の状態を維持することもできる。
【0031】
本発明の第2の発明に係る埋設管補修装置では、第1の発明に加えて、第1貫通孔および第2貫通孔のそれぞれは、埋設管において相互に対向する位置にある。
【0032】
この構成により、第1貫通孔は、余分な土砂を除去するために用いられ、第2貫通孔は、空隙を充填するために用いられる。結果として、埋設管補修装置は、埋設管の変形を補修しやすくなる。
本発明の第3の発明に係る埋設管補修装置では、第1または第2の発明に加えて、埋設管の補修領域が屈曲している場合には、第1貫通孔は、埋設管の屈曲内側に位置し、第2貫通孔は、埋設管の屈曲外側に位置する。
【0033】
この構成により、余分な土砂を除去するための第1貫通孔と空隙を充填するための第2貫通孔とが、埋設管の補修において最適に設けられる。この結果、埋設管補修装置は、埋設管の変形を容易に補修できる。
【0034】
本発明の第4の発明に係る埋設管補修装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、第1貫通孔は、除去ユニットによって土砂が除去される除去領域に接続し、第2貫通孔は、注入ユニットによって膨張材が注入される注入領域に接続する。
【0035】
この構成により、埋設管補修装置は、第1貫通孔から除去領域における土砂を除去し、第2貫通孔から空隙を充填できる。
【0036】
本発明の第5の発明に係る埋設管補修装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、本体部は、埋設管内部を移動可能な車輪を備えている。
【0037】
この構成により、埋設管補修装置は、埋設管内部を自由に移動できる。
【0038】
本発明の第6の発明に係る埋設管補修装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、本体部は、埋設管における補修領域を決める位置決め制御部を備える。
【0039】
この構成により、埋設管補修装置は、埋設管の変形位置で確実に補修作業を行える。
【0040】
本発明の第7の発明に係る埋設管補修装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、穿孔ユニットは、コアドリル、ドリルおよびホールソーの少なくとも一つを備え、埋設管における補修領域における第1貫通孔と第2貫通孔を穿孔する。
【0041】
この構成により、埋設管補修装置は、容易に第1貫通孔と第2貫通孔を穿孔できる。加えて、所定の直径にあわせた貫通孔を穿孔できる。
【0042】
本発明の第8の発明に係る埋設管補修装置では、第4から第7のいずれかの発明に加えて、除去ユニットはノズルを備え、除去ユニットは第1貫通孔からノズルを突出させて空気圧および水圧の少なくとも一方によって、除去領域の土砂を除去する。
【0043】
この構成により、除去ユニットは、土砂を確実かつ容易に除去できる。
【0044】
本発明の第9の発明に係る埋設管補修装置では、第4から第8のいずれかの発明に加えて、注入ユニットは、除去領域における土砂の除去が行われた後で、第2貫通孔を通じて注入領域に膨張材を注入する。
【0045】
この構成により、埋設管補修装置は、空隙によって生じている埋設管の屈曲を修正できる。特に、屈曲外側から膨張材による圧力を掛けることで、埋設管の屈曲を元に戻すことができる。
【0046】
本発明の第10の発明に係る埋設管補修装置では、第4から第9のいずれかの発明に加えて、注入ユニットは、膨張材の注入が行われた後で、第1貫通孔を通じて、除去領域に充填材を注入する。
【0047】
この構成により、埋設管の補修が完了し、補修された埋設管の状態が、その後に渡って維持されるようになる。
【0048】
本発明の第11の発明に係る埋設管補修装置では、第10の発明に加えて、膨張材および充填材の少なくとも一方は、本体部に収容されるもしくは本体部に対して供給される。
【0049】
この構成により、埋設管補修装置は、埋設管の補修に必要となる膨張材や充填材を不足なく使用することができる。結果として、埋設管の補修作業の効率が向上する。
【0050】
本発明の第12の発明に係る埋設管補修装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、補修領域を撮像可能な撮像部と、補修領域の撮像画像を送信する送信部と、を備える監視ユニットを更に備える。
【0051】
この構成により、埋設管補修装置による埋設管の補修状態を確認しながら、埋設管補修装置による補修作業が行える。結果として、埋設管の補修作業の効率が向上する。
【0052】
本発明の第13の発明に係る埋設管補修装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、本体部から延伸して、埋設管の内部形状に合わせて可動する第1アームと、本体部から、第1アームと異なる方向に延伸して、埋設管の内部形状に合わせて可動する第2アームと、第1アームに接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第1接触部と、第2アームに接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第2接触部と、第1接触部の基準面からの移動距離を第1距離として算出し、第2接触部の基準面からの移動距離を第2距離として算出し、第1接触部と第2接触部との直線距離を第3距離として算出する、距離算出部と、第1接触部が接触する内壁の接線に対して、第1アームが形成する角度を、第1角度として算出し、第2接触部が接触する内壁の接線に対して、第2アームが形成する角度を第2角度として算出する、角度算出部と、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度および第2角度の少なくとも1つ以上に基づいて、埋設管の内部形状を算出する形状算出部と、を更に備える。
【0053】
この構成により、埋設管補修装置は、埋設管内部の変形を確実に把握できる。この把握に基づいて、埋設管補修装置は、埋設管の変形を補修できるようになるので、埋設管の補修が確実に行われる。
【0054】
本発明の第14の発明に係る埋設管補修装置では、第13の発明に加えて、形状算出部は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度および第2角度に基づいて、埋設管の所定位置における微小幅の立体形状を算出し、形状算出部は、連続する複数の立体形状に基づいて、埋設管の3次元形状を算出する。
【0055】
この構成により、埋設管補修装置は、高い精度で、埋設管の変形を検出できる。
【0056】
本発明の第15の発明に係る埋設管補修装置では、第14の発明に加えて、形状算出部は、3次元形状に含まれる第1距離と第2距離との差分および第3距離の変化の少なくとも一方に基づいて、埋設管の湾曲、屈曲、内径変化および変形の少なくとも一つを算出する。
【0057】
この構成により、埋設管補修装置は、内径変化などの様々な埋設管の変形を検出できる。
【0058】
本発明の第16の発明に係る埋設管補修装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、本体部は、ジャイロ機構を用いて、埋設管の湾曲、屈曲、内径変化および変形の少なくとも一つを算出する。
【0059】
この構成により、埋設管補修装置は、簡便な仕組みで、埋設管の変形や変形している位置を検出できる。
【0060】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0061】
(実施の形態1)
【0062】
実施の形態1について説明する。
【0063】
(全体概要)
まず、図1を用いて埋設管補修装置の全体概要について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における埋設管補修装置の概要図である。図1は、埋設管2内部に挿入された埋設管補修装置1を示している。なお、本明細書において、埋設管2は、埋設管2を形成する管路の部分および管路同士の継ぎ手の部分の全てを含む概念である。つまり、補修する埋設管2における補修の対象位置は、管路の部分であったり、継ぎ手の部分であったりする。
【0064】
埋設管補修装置1は、埋設管2内部に投入されて用いられる。埋設管補修装置1は、本体部3、穿孔ユニット4、除去ユニット5、注入ユニット6と、を備える。
【0065】
本体部3は、埋設管2内部を移動可能とし、埋設管補修装置1の全体的な外形を形作る。本体部3は、穿孔ユニット4、除去ユニット5、注入ユニット6とを格納可能であってもよい。図1では、穿孔ユニット4、除去ユニット5および注入ユニット6が本体部3の外部に出ているが、埋設管2内部を移動する際には、本体部3は、これら穿孔ユニット4、除去ユニット5および注入ユニット6を格納しておいてもよい。
【0066】
図2は、本体部3にこれらのユニットが格納されている状態を示している。図2は、本発明の実施の形態1における埋設管補修装置の側面図である。
【0067】
穿孔ユニット4は、埋設管2において補修の対象となる補修領域におけるある位置に第1貫通孔7を穿孔する。更に、穿孔ユニット4は、第1貫通孔7と別の位置に第2貫通孔8を穿孔する。穿孔ユニット4は、単一の部材であって、単一の部材が第1貫通孔7と第2貫通孔8とを穿孔しても良いが、穿孔ユニット4は、複数の部材を備えて、複数の部材の一方が第1貫通孔7を穿孔し、他方が第2貫通孔を穿孔しても良い。
【0068】
第1貫通孔7は、埋設管2を屈曲させたり湾曲させたりする原因となる土砂が堆積している領域に接続する。一方、第2貫通孔8は、埋設管2を屈曲させたり湾曲させたりする原因となる空隙に接続する。穿孔ユニット4は、埋設管2を屈曲させたり湾曲させたりする原因を作っている埋設管2の外部に接続する貫通孔を穿孔する。
【0069】
除去ユニット5は、第1貫通孔7を通じて、第1貫通孔7周辺(埋設管2の外部における第1貫通孔7周辺)の土砂を除去する。第1貫通孔7の周辺の土砂を除去することで、埋設管2の屈曲や湾曲を補修する余地が生じる。
【0070】
注入ユニット6は、第2貫通孔8を通じて、第2貫通孔8周辺(埋設管2の外部における第2貫通孔8周辺)に膨張材を注入する。この膨張材によって、埋設管2を屈曲させたり湾曲させたりしていた原因となる空隙が消滅する。
【0071】
埋設管補修装置1は、以上の要素を備え、これらの要素を活用することで、埋設管2の屈曲や湾曲を補修できる。
【0072】
(補修方法)
次に、埋設管補修装置1による埋設管2の補修方法について説明する。
【0073】
図3は、本発明の実施の形態1における正常状態の埋設管の側面図である。図3における埋設管2は、地中20においてまっすぐな状態であり、屈曲や湾曲といった問題を生じさせていない。
【0074】
埋設管2は、複数の管路21がつなぎ合わされて形成される。このため、複数の管路21が、継ぎ手22において接続される。このように、埋設管2は、複数の管路21が継ぎ手22によって接続されることで形成される。このため、管路21そのものに屈曲や破壊が生じなくても、継ぎ手22において屈曲や湾曲が生じうる。
【0075】
例えば、地中20において、継ぎ手22の周辺に圧力が生じたり空隙が生じたりすることで、継ぎ手22が折れ曲がってしまうことがある。この継ぎ手22の折れ曲がりによって、埋設管2が屈曲したり湾曲したりする。
【0076】
図4は、本発明の実施の形態1における屈曲状態の埋設管の側面図である。図4に示されるとおり、複数の管路21を接続する継ぎ手22のある場所が屈曲する。継ぎ手22の下側において、空隙201が生じている。例えば、地震や豪雨などによって生じる圧力によって、継ぎ手22の下側の土砂が減少することで、空隙201が生じる。あるいは、継ぎ手22の上側から圧力がかかることで、継ぎ手22が折れ曲がり、この折れ曲がりによって空隙201が生じる。
【0077】
このように、空隙201が生じていると継ぎ手22が折れ曲がり、埋設管2が屈曲した状態となる。埋設管2が屈曲していると埋設管2内部を、下水や上水が通りにくくなる。このため、この屈曲を元に戻す必要がある。
【0078】
図4に示されるように、屈曲している継ぎ手22の下側に、空隙201が存在すると、屈曲が生じる上に屈曲を元通りにできない。このため、屈曲を補修するには、この空隙201を消失させる必要がある。消失とは、空隙201が充填されることである。但し、空隙201に何らかの素材が充填されるだけでは、屈曲状態は戻らない。屈曲状態が維持されるだけだからである。
【0079】
このため、屈曲を元に戻して埋設管2をまっすぐな状態に戻し、更に埋設管2の状態を維持するためには、
【0080】
(1)空隙201と反対側の位置における土砂を除去する。
(2)除去された領域が、屈曲した管路21や継ぎ手22が戻る領域となる
(3)空隙201を埋める。
との手順が施される必要がある。
【0081】
このような手順によって、管路21や継ぎ手22の屈曲が補正されて、埋設管2が補修される。
【0082】
(第1貫通孔の穿孔)
図5は、本発明の実施の形態1における第1貫通孔の穿孔を示す模式図である。まず、埋設管補修装置1は、埋設管2内部を移動する。このとき、本体部3が備える車輪によって、埋設管2内部を移動できる。埋設管補修装置1は、埋設管2において管路2や継ぎ手22が屈曲している補修領域に到達すると、その場所に停止する。図5に示される埋設管2の屈曲している位置が、補修領域である。この補修領域に、埋設管補修装置1が停止している。車輪は、埋設管2内部において、本体部3を移動可能にする構造であればなんでもよく、埋設管2の底面に接触して走行する構造でも良いし、埋設管2の全面に車輪を押し付けて走行する構造でも良い。
【0083】
本体部3は、車輪を備える以外にも、埋設管2内部の位置を操作者に通知する通信手段や位置を把握する位置測位手段を有している。更には、本体部3は、後述の水、膨張材、充填材を収容している。収容している水は除去ユニット5によって土砂の除去に用いられ、収容している膨張材や充填材は、注入ユニット6によって用いられる。
【0084】
また、本体部3は、埋設管2の内部を移動しながら埋設管2の異常を補修するので、埋設管2の内径にあわせた大きさを有していることが好ましい。埋設管2は、その種類に応じて内径が様々である。小さい内径の埋設管2も大きい内径の埋設管2も存在しうる。このため、本体部3は、埋設管2の内径に応じた複数の種類を有していてもよい。
【0085】
図5においては、屈曲している継ぎ手22の下側に空隙201が生じている。この空隙201によって、継ぎ手22は、下側に出っ張るように屈曲している。更に、この屈曲に合わせて、屈曲している継ぎ手22の上側に土砂が溜まっている。この溜まっている土砂によって、継ぎ手22が下側の空隙201に押し付けられることで、埋設管2が屈曲してしまう。
【0086】
埋設管補修装置1は、まず補修領域におけるある位置に第1貫通孔7を穿孔する。このとき、埋設管補修装置1から突出する穿孔ユニット4が、第1貫通孔7を穿孔する。
【0087】
第1貫通孔7は、屈曲している埋設管2の屈曲内側(屈曲の折れ曲がっている内側)に位置する。第1貫通孔7は、屈曲している埋設管2の上側に溜まっている土砂を除去するために穿孔される孔である。屈曲を補修するには、屈曲によって折れ曲がっている内側に向けて、埋設管2を押し戻す必要がある。このため、第1貫通孔7は、土砂を除去する必要のある除去領域に接続できるように、屈曲している埋設管2の屈曲内側に穿孔される。
【0088】
穿孔ユニット4は、本体部3から突出して、埋設管2の内側から埋設管2の壁面に第1貫通孔7を穿つ。ここで、穿孔ユニット4は、コアドリル、ドリルおよびホールソーの少なくとも一つを備え、これらによって埋設管2の壁面に孔を空けることができる。特に、コアドリルを用いることで、埋設管2の壁面に所定の直径を有する孔を空けることができるようになる。
【0089】
穿孔ユニット4は、通常は本体部3内部に格納されており、埋設管2に孔を穿つ場合に本体部3から突出すればよい。もちろん、最初から穿孔ユニット4が突出しており、補修領域に到達したところで、穿孔ユニット4が第1貫通孔7を穿孔しても良い。あるいは、穿孔ユニット4の基礎部分が本体部3から突出しており、補修領域に到達したところで、基礎部分からドリルが突出して第1貫通孔7を穿孔してもよい。
【0090】
第1貫通孔7が穿孔されることで、埋設管2内部と余分な土砂を除去したい除去領域とが接続されることになる。この第1貫通孔7を通じて、除去領域に存在する土砂を除去することができるようになる。
【0091】
(土砂の除去)
次に、第1貫通孔7を通じて、埋設管2が屈曲している屈曲内側に圧力を掛けている余分な土砂が除去される。この余分な土砂が溜まっている領域は、除去領域として定義される。
【0092】
図6は、本発明の実施の形態1における土砂の除去を示す模式図である。図6に示されるように、埋設管補修装置1は、第1貫通孔7を通じて除去ユニット5を埋設管2の外側に突出させる。埋設管2において、屈曲している屈曲内側の領域に溜まっている土砂は、埋設管2を下側に押し付ける。この押し付けによって埋設管2が屈曲することになる。この土砂を除去することが必要である。このため、土砂が除去されるべきこの領域を除去領域202として定義する。図6に示されるように、除去領域202は、埋設管2の屈曲内側の領域である。
【0093】
除去ユニット5は、本体部3に格納されているが、第1貫通孔7が穿たれた後で、穿孔ユニット4を通じて埋設管2の外部に突出する。この突出によって、除去ユニット5は、除去領域202に到達する。除去ユニット5は、除去領域202の土砂を除去する。
【0094】
除去ユニット5は、水や溶解液を除去領域202に噴射することで、除去領域202の土砂を除去する。水や溶解液が噴射されると、除去領域202の土砂が吹き飛ばされる。この吹き飛ばされた土砂は、除去領域202から他の場所に移動することになるので、除去領域202には空隙が生じることになる。この空隙が生じることによって、埋設管2に対して上側からかかっていた圧力が減少する。圧力が減少することで、埋設管2の屈曲を元に戻す余地ができることになる。
【0095】
なお、除去ユニット5によって除去された土砂は、除去領域202以外の場所に移動されれば良いが、第1貫通孔7を通じて埋設管2内部に取り込まれても良い。除去された土砂が埋設管2内部に取り込まれても、埋設管2内部を上水や下水で洗浄することで、これらの土砂は流れ出すからである。例えば、除去領域202の周辺に土砂を移動させる余裕がない場合には、除去ユニット5は、第1貫通孔7を通じて除去した土砂を埋設管2内部に取り込む。
【0096】
また、除去領域202の土砂が、水やお湯の噴射では十分に除去できない場合(例えば、非常に硬い岩石質がある場合)には、除去ユニット5は、化学的な溶解液を噴出して、溶融させて除去すればよい。また、水や溶解液だけでなく、除去ユニット5は、空気を噴射することで、除去領域202の土砂を除去しても良い。空気圧による除去により、余分な汚泥を生じさせないで済むからである。
【0097】
また、除去ユニット5は、ノズルを備えており、このノズルから水や溶解液を噴射する。ノズルは、通常は本体部3や除去ユニット5内部に格納されており、除去作業の際に突出することで水、溶解液、空気などを噴射できる。除去ユニット5がノズルを備えることで、水や空気の噴射を細かに制御できるメリットがある。
【0098】
このように、第1貫通孔7が穿孔された後で、除去ユニット5は、第1貫通孔7を通じて除去領域202の土砂を除去できるようになる。除去されることで、埋設管2の屈曲部分に付与されている圧力が減少し、屈曲している埋設管2を元に戻す余地(元に戻すために必要となる空間)が形成できる。
【0099】
(第2貫通孔の穿孔)
次に、埋設管補修装置1は、第1貫通孔7と別の位置に第2貫通孔8を穿孔する。図7は、本発明の実施の形態1における第2貫通孔を穿孔する状態を示す説明図である。
【0100】
埋設管補修装置1は、除去領域202における土砂の除去が終了すると、屈曲している埋設管2の下側の空隙201を埋める作業を行う。この空隙201を埋める作業のために、埋設管補修装置1は、第2貫通孔8を埋設管2の壁面に穿孔する。すなわち、第2貫通孔8は、空隙201に接続する孔となる(第2貫通孔8は、埋設管2の屈曲外側に位置する)。このように、第2貫通孔8は、空隙201に接続する必要があるので、第1貫通孔7と対向する位置に設けられることが多い。空隙201は、除去領域202と逆側の位置に生じることが多いからである。
【0101】
埋設管補修装置1は、第2貫通孔8を穿孔する位置に対して穿孔ユニット4を突出させて第2貫通孔8を穿孔する。穿孔ユニット4は、コアドリル、ドリルおよびホールソーの少なくとも一つを備えており、第1貫通孔7の穿孔と同様にこれらを用いて第2貫通孔8を穿孔する。第2貫通孔8が空けられると、埋設管2内部と空隙201とが接続可能となる。この接続によって、埋設管補修装置1は、空隙201に対する作業が可能となる。
【0102】
なお、第2貫通孔8は、除去ユニット5による土砂の除去が終了した後で穿孔されても良いし、第1貫通孔7が穿孔された後で穿孔されても良い。あるいは、穿孔ユニット4が複数の穿孔部材を備える場合には、穿孔ユニット4は、第1貫通孔7と第2貫通孔8とを、同時に穿孔しても良い。
【0103】
(空隙の充填)
第2貫通孔8が穿孔されることで、埋設管補修装置1は、空隙201にアクセスできるようになる。空隙201が残っていると、埋設管2の屈曲は補修できない。このため、空隙201が埋められる必要がある。更に、空隙201が埋められる過程で、下側に屈曲している埋設管2を上側に押し戻す必要がある。以上のことから、空隙201に膨張材が注入されればよい。空隙201に膨張材が注入されることで、空隙201が埋められつつ、膨張材の膨張に伴って屈曲している埋設管2が上側に押し戻されるからである。
【0104】
埋設管補修装置1は、注入ユニット6を備える。注入ユニット6は、穿たれた第2貫通孔8を通じて、膨張材を空隙201に注入する。図8は、本発明の実施の形態1における膨張材の注入を示す説明図である。図8では、注入ユニット6が、空隙201に膨張材を注入している。膨張材は、樹脂、合成樹脂などの種々の素材を用いる。
【0105】
注入ユニット6は、本体部3に収容されている膨張材61を空隙201に向けて注入する。このとき、注入ユニット6がノズルを備えており、このノズルが第2貫通孔8を通じて埋設管2内部から空隙201に到達する。空隙201に到達したノズルの先端から膨張材61が吐出されることで、空隙201に膨張材61が注入される。膨張材61は、空隙201に注入された後で、空隙201内部で膨張し、この膨張によって埋設管2を上側に押し上げる。
【0106】
図9は、空隙201に膨張材61が充填されて、埋設管2が上側に押し戻された状態を示している。図9は、本発明の実施の形態1における埋設管の補修状態を示す説明図である。
【0107】
空隙201に注入された膨張材61は、その性質に応じて空隙201内部において膨張を開始する。膨張が進むにつれて、空隙201内部で埋設管2を上側に押し上げる。この押し上げによって、埋設管2の屈曲が補修されていく。さらに、埋設管2の屈曲部の上側は、除去ユニット5によって土砂が除去されて空隙が形成されている。このため、埋設管2は、膨張材61の膨張圧力によって容易に上側に押しあがる。
膨張材61の膨張が終了すると、埋設管2は屈曲がなくなりまっすぐな状態に補修される。結果として、図9に示されるように、埋設管2は、まっすぐな状態となり、下側の空隙201が消失することで、埋設管2が再び下側に屈曲してしまうことを防止できるようになる。このとき、本体部3は、角度検出機能を備えておくことで、埋設管2の屈曲が無くなったことを確認できる。
【0108】
注入ユニット6は、膨張材61の注入が終了すると第2貫通孔8から戻って、本体部3に格納される。
【0109】
(充填材の注入)
埋設管2がまっすぐに戻ると、埋設管2の周囲は、埋設管2の屈曲部分の空隙(土砂が除去された領域)のみが残ることになる。この空隙が残ったままであると、まっすぐになった埋設管2が次は、上向きに屈曲することも生じうる。このため、上向きに屈曲することを防止するために、土砂が除去されて生じた空隙を充填する必要がある。
【0110】
図10は、本発明の実施の形態1における充填材の注入を示す説明図である。図10は、除去された除去領域に充填材62が注入される様子を示している。
【0111】
埋設管補修装置1は、空隙201に膨張材61が注入されて埋設管2がまっすぐになったところで、注入ユニット6を介して除去された領域に充填材62を注入する。このとき、注入ユニット6は、第1貫通孔7を通じて充填材62を注入する。充填材62は、既にその体積が確定している空隙である除去領域に注入されるので、膨張材61と異なり膨張する素材でなくともよい。空隙201に充填する素材は、埋設管2を上側に押し上げる必要があるので、空隙201を埋めるだけでなく、空隙201から埋設管2を押し上げるために、空隙201に注入される素材は、膨張するものが適当である。一方、除去領域202に充填される素材は、除去領域202に生じている空隙を埋めるだけでよいので、膨張することは必須ではない。このため、充填材62は、膨張する素材であってもなくてもよい。もちろん、膨張材61と充填材62とが同じ素材であってもよい。
【0112】
注入ユニット6が、除去領域202に生じた空隙に充填材を注入することで、埋設管2の屈曲部分の周辺は、空隙がなくなって、まっすぐに補修された埋設管2の以降の変形や屈曲が防止できる。また、充填材62は、第2貫通孔8を通じて膨張材61が空隙201に充填された後で、第1貫通孔7を通じて注入される。また、膨張材61と同様に、充填材62は、本体部3に収容されておけばよい。あるいは、本体部3に接続される運搬管路によって、外部から膨張材61と充填材62とが補給されれば良い。
【0113】
以上の手順によって、実施の形態1の埋設管補修装置1は、埋設管2の屈曲や湾曲などの変形を補修できる。
【0114】
すなわち、下記の手順を含む埋設管補修方法によって、屈曲や湾曲などの変形した埋設管2を、人力によらず補修できる。
【0115】
(1)埋設管2において屈曲や湾曲している補修領域を設定する。
(2)補修領域において屈曲内側に対して第1貫通孔7を穿孔する(なお、屈曲内側は、地中20における上側であるか下側であるか左右いずれかであるかは、状況次第である)。
(3)第1貫通孔7を通じて、第1貫通孔7周辺(除去領域)の土砂を除去する。
(4)第1貫通孔7と別の位置であって、屈曲外側に対応する位置に第2貫通孔8を穿孔する。
(5)第2貫通孔8を通じて、第2貫通孔8の外部に存在する空隙201に膨張材61を注入する。
(6)膨張材61の注入によって、埋設管2の屈曲を戻してまっすぐにする。
(7)第1貫通孔7を通じて、土砂が除去されて生じた空隙に充填材を注入する。
(8)充填材62の注入によって、埋設管2の周囲は埋められて、埋設管2の状態が維持される。
このように、実施の形態1で説明した埋設管補修装置1による埋設管2の補修は、埋設管補修方法として捉えることができる。
【0116】
なお、注入ユニット6は、第2貫通孔8を通じて膨張材61を注入する機能を有していればよいので、穿孔ユニット4と共通の部材であってもよい。穿孔ユニット4がドリルなどの埋設管2を穿孔する部材に加えて、液体や固体を噴出させるノズルを備えておくことで、穿孔ユニット4が第2貫通孔8を穿孔した後で、このノズルを通じて空隙201に膨張材61を注入する。注入ユニット6が穿孔ユニット4と同一部材であることで、第2貫通孔8が穿孔されると即座に膨張材61が注入できる。
【0117】
加えて、穿孔ユニット4は、除去ユニット5と共通の部材であってもよい。除去ユニット5は、第1貫通孔7を通じて、除去領域202の土砂を除去する。このとき、除去ユニット5は、空気、水、溶解液などを噴射する機能を発揮するが、穿孔ユニット4によって第1貫通孔7が穿孔されたのに続いて、除去領域202の土砂が除去されれば良い。このことから、穿孔ユニット4がノズルを備えており、このノズルが除去ユニット5の機能である空気や水などの噴射を行えばよい。
【0118】
更には、穿孔ユニット4、除去ユニット5および注入ユニット6は、共通の部材であってもよい。例えば、穿孔ユニット4が貫通孔を穿つドリルとノズルとを備えておけば、穿孔ユニット4は、第1貫通孔7を穿孔した後で、第1貫通孔7よりノズルを除去領域202に挿入して土砂を除去できる。
【0119】
また、穿孔ユニット4は、第2貫通孔8を穿孔した後で、第2貫通孔8よりノズルを空隙201に挿入して膨張材61を注入できる。合わせて、穿孔ユニット4は、第1貫通孔7よりノズルを挿入して充填材62を注入できる。
【0120】
このように、穿孔ユニット4がドリルなどの掘削機構とノズルとを備えておくことで、穿孔ユニット4は、貫通孔の形成、土砂の除去および膨張材や充填材の注入を行うことができる。
【0121】
以上のように、実施の形態1における埋設管補修装置1および埋設管補修方法は、埋設管2内部に作業者が入り込んだり、埋設管2を掘り起こしたりすること無く、埋設管2の屈曲や湾曲などの変形を補修できる。
【0122】
(実施の形態2)
【0123】
次に、実施の形態2について説明する。
【0124】
実施の形態2では、埋設管補修装置や埋設管補修方法の各部の詳細や変形例などについて説明する。
【0125】
(本体部)
本体部3は、埋設管2内部を移動可能である。更に、埋設管2の補修に必要となる穿孔ユニット4、除去ユニット5、注入ユニット6を備える。本体部3は、これらのユニットのそれぞれを格納したり外部に出したりする。このため、本体部3は、格納する機構や空間を備えている。あるいは、本体部3は、これらの各ユニットをその外部表面に取り付けておいてもよい。外部表面に取り付けておいて、各ユニットのそれぞれは、必要な作業時に突出する。また、各ユニットが本体部3によって牽引されて、補修領域において各ユニットが動作しても良い。要するに各ユニットは、本体部3によって補修領域に運搬されて、補修領域において作業のための動作を行えればよい。
【0126】
本体部3は、注入ユニット6を通じて注入する膨張材61や充填材62を収容する。例えば、本体部3はその内部に収容タンクを設けており、この収容タンクが必要となる膨張材61や充填材62を収容する。このとき、膨張材61と充填材62とが異なるタンク層に収容されることも好適である。また、本体部3は、埋設管2外部と接続可能な管路を備えており、この管路を通じて膨張材61や充填材62の供給を受けても良い。
【0127】
本体部3は、移動可能とするために車輪を備える。もちろん車輪だけでなく、クローラやタイヤなどを備えても良い。特に、埋設管2内部は変形している可能性もあるので、クローラなどの走行能力の高い部材が用いられることが好適である。
【0128】
また、本体部3は、埋設管2における補修領域において停止できる位置決め制御部を備えておくことが好適である。位置決め制御部は、ジャイロやGPS機能を備えることで、本体部3(すなわち埋設管補修装置1)を、所定の補修領域で停止させることができる。ジャイロやGPS機能は、一般的に知られる公知技術が用いられれば実現可能である。あるいは、予め補修領域が検出されている状態であって、補修領域は、埋設管2の入り口(埋設管補修装置1の入り口)より所定の距離に位置することが分かっている場合には、位置決め制御部は、走行距離を測定できる機能を備えておけばよい。この走行距離から、位置決め制御部は、埋設管補修装置1を停止させるべき位置を把握できる。
【0129】
あるいは、位置決め制御部は、本体部3の姿勢を検出する姿勢検出部を更に備えていることもよい。埋設管2は、上下方向における勾配や左右方向における進行方向は一定であり、勾配や進行方向に急変が生じる場所は、埋設管2に屈曲や湾曲などの変形が生じていることを示す。位置決め制御部は、この姿勢検出部によって、姿勢の急変する位置を把握し、この位置が埋設管補修装置1の停止位置であると把握する。
【0130】
もちろん、本体部3が監視カメラを備えておき、監視カメラの画像に基づいて埋設管補修装置1の停止位置が決定されても良い。監視カメラからの画像が送信されて、作業者がこの画像を監視することで埋設管補修装置1の停止位置を制御してもよい。あるいは、監視カメラからの画像を受け取った位置決め制御部が、画像を判断して、埋設管補修装置1の停止位置を決定しても良い。例えば、画像処理によって、位置決め制御部は、本体部3の動作ベクトルの急激な変化を算出し、この急激な変化を生じさせた位置が停止位置であると判断する。
【0131】
また、位置決め制御部は、埋設管補修装置1が埋設管2内部を走行しながら、埋設管2の変形位置(補修領域)を検出することで停止位置を決定しても良い。あるいは、予め埋設管2の変形位置(補修領域)が特定されている場合には、この位置を特定する情報に基づいて停止位置を決定しても良い。
【0132】
(補修領域の決定)
図11は、本発明の実施の形態2における埋設管補修装置のブロック図である。埋設管補修装置1は、位置決め制御部9および姿勢検出部91を備えている。位置決め制御部9は、上述の通り、埋設管補修装置1の埋設管2内部での停止位置を決定する。
【0133】
また、位置決め制御部9は、姿勢検出部91を備えている。姿勢検出部91は、本体部3の姿勢を検出する。埋設管2は、複数の管路21(コンクリート、金属、樹脂などで形成されている)が継ぎ手22によって接続されているので、特殊な継ぎ手による分岐やカーブなどを除けば、まっすぐに延伸する。このため、埋設管2は、上下方向に生じる勾配、左右方向に生じる進行方向以外の方向性を有さないのが一般的であり、埋設管2内部そのものはまっすぐの状態である。
【0134】
姿勢検出部91は、埋設管2内部を移動する本体部3の姿勢を検出する。例えば、姿勢検出部91は、本体部3の上下方向の勾配や左右の進行方向のベクトルを検出する。埋設管2に変形が無ければ、姿勢検出部91は、ベクトルの変化を検出しない。一方、埋設管2に屈曲や湾曲などの変形が生じていれば、勾配や進行方向のベクトルに変化が発生する。姿勢検出部91は、このベクトルの変化を検出する場合に、この変化を生じさせた位置が変形している位置(すなわち補修の対象となる補修領域)であると判断する。
【0135】
図12は、姿勢検出部91によって本体部3の姿勢を検出することで、補修領域を検出する様子を示している。図12は、本発明の実施の形態2における補修領域を検出する状態を説明する説明図である。図12は、屈曲している埋設管2内部を移動する埋設管補修装置1の移動経路を示している。
【0136】
姿勢検出部91は、本体部3の移動経路における本体部3の姿勢を検出する。姿勢は、動きベクトルや測位などによって検出される。図12においては、埋設管2は、あるところまではまっすぐの状態を維持しているが、継ぎ手22において屈曲している。これは、継ぎ手22の下側に空隙201が生じているからである。この空隙201によって、継ぎ手22の上下の圧力バランスが悪くなって屈曲している。
【0137】
埋設管2がまっすぐな状態においては、本体部3の移動経路は、破線Bのようにまっすぐになるはずである。しかしながら、継ぎ手22が屈曲しているために、継ぎ手22の部分で本体部3の移動経路は、実線Aのように屈曲する。この破線Bおよび実線Aのそれぞれは、本体部3の移動方向のベクトルを示す。姿勢検出部91は、この移動方向のベクトルから、本体部3の姿勢が急激に変化する位置を検出できる。図12では、継ぎ手22の部分で、移動方向のベクトルが急激に変化している(本来あるべき破線Bから実線Aに変化している)ので、この位置において姿勢が急変している。この結果、姿勢検出部91は、継ぎ手22の部分が、屈曲や湾曲などの変形位置であることを判断できる。
【0138】
姿勢検出部91がこの移動方向ベクトルの変化を算出することで、埋設管補修装置1は、埋設管2において補修すべき補修領域を検出できる。
【0139】
姿勢検出部91は、検出した補修領域の位置情報を位置決め制御部9に出力する。位置決め制御部9は、受け取った位置情報に基づいて、本体部3の移動を停止させ、補修作業を行える位置に埋設管補修装置1を停止させる。また、姿勢検出部91は、検出した補修領域の位置情報を、通信手段(無線通信あるいは有線通信であって、公知技術として知られている通信手段)によって埋設管2外部で作業する作業者(作業者が使用する端末)に通知する。この通知に基づいて、作業者が位置決め制御部9の遠隔操作を介して、埋設管補修装置1の作業位置を決定して停止させる。
【0140】
姿勢検出部91は、検出した補修領域の位置情報を制御部10に出力する。制御部10は、穿孔ユニット4、除去ユニット5および注入ユニット6の動作を制御する。制御部10は、姿勢検出部91から受け取った補修領域の位置を確認し、穿孔ユニット4などを動作させて、実施の形態1で説明したように埋設管2の補修を行う。
【0141】
また、姿勢検出部91は、位置情報を埋設管2外部の作業者(あるいは作業者の端末)に出力する。作業者は、この位置情報に基づいて、位置決め制御部9を遠隔制御して埋設管補修装置1を停止させる。更に、作業者は制御部10を制御することで、穿孔ユニット4などを動作させて埋設管2の補修を行う。
【0142】
以上のように、姿勢検出部91によって、埋設管補修装置1が補修のために停止すべき位置が検出され、位置決め制御部9による停止制御によって、埋設管補修装置1による埋設管2の補修が実行される。
【0143】
(監視ユニット)
埋設管補修装置1を用いた埋設管2の補修においては、作業者の便宜のために、埋設管補修装置1とセットとなる監視ユニットが備えられても良い。
【0144】
図13は、本発明の実施の形態2における埋設管補修の状態を示す説明図である。図13は、埋設管補修装置1とセットとなり、補修領域や補修領域での補修の状況の画像を撮像して、撮像画像を送信する監視ユニット30を示している。監視ユニット30は、埋設管補修装置1および補修領域を撮像できる撮像部31、撮像した画像を送信する送信部32と、を備えている。送信部32は、無線通信および有線通信のいずれかによって撮像した画像を、作業者に送信する。図13では、有線通信に用いられる信号ケーブル33が示されている。信号ケーブル33は、外部の表示手段などと接続しており、撮像画像を送信する。
【0145】
作業者は、埋設管2の外部において、送られてくる撮像画像を確認しながら、監視ユニットや埋設管補修装置1を操作する。操作に当たっては、操作端末が用いられる。作業者が遠隔的に操作している状況を図14に示す。図14は、本発明の実施の形態2における埋設管補修方法の実施を示す説明図である。
【0146】
作業者50は、埋設管2の外部において操作端末40を操作することで、埋設管2内部を移動する埋設管補修装置1の動作を制御する。操作端末40は、表示装置41を備えており、表示装置41は、監視ユニット30から送信されてくる撮像画像を表示する。作業者50は、表示手段41に表示される撮像画像を見ながら埋設管補修装置1を制御する。このとき、操作端末40は、無線通信もしくは有線通信によって、操作端末40に入力された命令を埋設管補修装置1に出力する。埋設管補修装置1は、自律して動作する以外の動作においては、この操作端末40から送信される命令に従った動作を行う。
【0147】
例えば、操作端末40は、埋設管補修装置1の制御部10に命令を信号として出力する。この信号を受けた制御部10は、埋設管補修装置1を所定位置で停止させたり、穿孔ユニット4などの動作を制御したりする。
【0148】
これらの作業においては、実際の補修領域での作業状態が見える状態であることが、適切な補修作業においては好ましい。表示装置41に監視ユニット40からの撮像画像が表示されるので、作業者50は、この画像を確認しながら、適切な命令を埋設管補修装置1に出力できる。例えば、補修領域での作業であるかを確認できるし、補修の進行状態を確認することもできる。監視ユニット30によって、作業者50が、補修の状態を確認しながら補修を実施できるようになる。
【0149】
作業者50は、次の手順で埋設管2の変形を補修する。
(1)埋設管補修装置1と監視ユニット30を、対象となる埋設管2に投入する。作業者50は、埋設管補修装置1と監視ユニット30とを、操作端末40からの命令によって埋設管2内部を移動させる。
(2)埋設管補修装置1は、姿勢検出部91の動作によって、埋設管2の変形部分を特定する。特定すると、特定できた補修領域の位置情報を、姿勢検出部91は、操作端末40に送信する。
(3)作業者50は、特定された補修領域の位置情報に基づいて、補修領域の撮像画像(監視ユニット30が撮像する)を、表示手段41によって確認する。
(4)作業者50は、確認した画像によっては、埋設管補修装置1の停止位置を制御する。このとき、操作端末40からの命令信号によって制御する。
(5)作業者50は、操作端末40を通じて、埋設管補修装置1に、穿孔ユニット4によって第1貫通孔7を穿孔することを命じる。命令を受けた穿孔ユニット4は、埋設管2の屈曲内側の位置に、第1貫通孔7を穿孔する。
(6)作業者50は、操作端末40を通じて、埋設管補修装置1に、除去ユニット5によって除去領域の土砂を除去することを命じる。この命令を受けた除去ユニット5は、第1貫通孔7を通じて空気圧や水圧を掛けることで、除去領域の土砂を除去する。なお、除去の工程を、監視ユニット30から送信される撮像画像によって、作業者50は確認できる。
(7)次に、作業者50は、操作端末40を通じて、埋設管補修装置1に、穿孔ユニット4によって第1貫通孔7と対向する位置(異なる位置であって、空隙201に接続される位置であればよい)に第2貫通孔8を穿孔することを命じる。この命令を受けた穿孔ユニット4は、第2貫通孔8を穿孔する。なお、この穿孔においては、監視ユニット30から送信される画像を確認しながら、作業者50は、正確な位置に第2貫通孔8を穿孔できる。
(8)次に、作業者50は、操作端末40を通じて埋設管補修装置1に対して、注入ユニット6によって空隙201に膨張材61を注入することを命じる。膨張材61は、本体部3に収容されていても良いし、供給管路を通じて供給されても良い。この命令を受けた注入ユニット6は、第2貫通孔8を通じて膨張材61を空隙201に注入する。このとき、作業者50は、監視ユニット30から送信される撮像画像を確認しながら膨張材61の膨張に伴う埋設管2の上昇を確認できる。屈曲している埋設管2がまっすぐになったことを確認して(作業者50が、監視ユニット30からの画像で確認しても良いし、姿勢検出部91から送信される本体部3の姿勢の値によって確認しても良い)、膨張材61の注入が終了する。
(9)次いで、作業者50は、操作端末40を通じて埋設管補修装置1に対して、注入ユニット6によって除去領域に充填材62を注入することを命じる。この命令によって、注入ユニット6は、第1貫通孔7を通じて除去領域に生じた空隙に、充填材を注入する。この充填材62の注入によって、まっすぐに戻された埋設管2の周囲は、十分に固められることになる。
【0150】
以上のように、作業者50が操作端末40を通じて、埋設管補修装置1を操作しながら埋設管2の変形を補修できる。もちろん、上述の(1)〜(9)の手順の一部もしくは全部が、埋設管補修装置1によって自動で行われても良い。このように、監視ユニット30や操作端末40が備わることで、埋設管2の補修がより容易となる。
【0151】
なお、監視ユニット30は、図13では、埋設管補修装置1と別の装置となっているが、一体の装置であってもよい。
【0152】
以上のように、実施の形態2における埋設管補修装置および埋設管補修方法は、埋設管内部に作業者が入ったり、埋設管を掘り起こしたりすること無く、容易かつ確実に埋設管2の変形を補修できる。
【0153】
(実施の形態3)
【0154】
次に、実施の形態3について説明する。
【0155】
実施の形態3では、埋設管補修装置1が、ジャイロ機構、移動ベクトル、GPS機構ではなく、本体部3から延伸するアームによって、埋設管2の変形を検出する機能について説明する。埋設管補修装置1は、埋設管2の変形を補修する以外に、埋設管2の変形を正確に検出できることが好ましい。変形が正確に検出できることで、埋設管2の補修にもメリットを生じる。
【0156】
(全体概要)
図15は、本発明の実施の形態3における埋設管補修装置の斜視図である。
【0157】
埋設管補修装置1は、埋設管内部を移動可能な本体部3と、本体部3から延伸するアーム部104とを備える。アーム部104は、複数のアームを備えており、複数のアームのそれぞれは、埋設管の内壁に接触して移動可能な接触部を備えている。図15では、アーム部104は、第1アーム105と第2アーム106とを備えている。もちろん、第3アームとなる3つ以上のアームを有していてもよい。アーム部104が3以上のアームを備えることで、埋設管補修装置1は、埋設管形状を3次元的に算出しやすくなる。
【0158】
アーム部の備える各アームは、本体部3を基準に、傘のように開閉したり伸縮したりして、アームの備える接触部を常に埋設管の内壁に接触させることができる。
【0159】
埋設管補修装置1は、距離算出部120と角度算出部121を更に備える。加えて、埋設管補修装置1は、埋設管の内部形状を算出する形状算出部122を備える。なお、距離算出部120、角度算出部121のそれぞれは、本体部3の内部に備えられてもよいし、アーム部104に備えられても良い。また、形状算出部122は、本体部3あるいはアーム部104の内部に備えられてもよいし、埋設管補修装置1の外部に設けられても良い。
【0160】
埋設管補修装置1は、埋設管内部を移動する。この移動の際において、本体部3からアーム部104が開閉あるいは伸縮して、複数のアームのそれぞれが有する接触部が、埋設管内壁に接触する。複数のアームのそれぞれは、それぞれが有する接触部が常に埋設管の内壁に接触(物理的に厳密な接触を必要とせず、埋設管の内壁から一定距離を保つ状態でもよい)させるように、開閉あるいは伸縮する。埋設管補修装置1は、複数のアームのそれぞれの開閉や伸縮を利用して、複数の接触部のそれぞれを埋設管の内壁に接触させながら埋設管内部を移動する。
【0161】
図15に示されるように、アーム部104から複数のアームが傘のように開閉し、各アームに接続されている接触部は、埋設管2の内壁23に接触している。このように、埋設管補修装置1は、複数のアームを動作させて複数の接触部のそれぞれを内壁23に接触させながら、埋設管2内部を移動する。この際に、距離算出部120が、接触部の移動距離や接触部同士の距離を算出し、角度算出部121が、接触部と内壁23との角度を算出する。さらに、距離算出部120と角度算出部121の算出結果に基づいて、形状算出部122が埋設管2の形状を算出する。
【0162】
埋設管補修装置1は、複数のアームの開閉や伸縮を動作させながら、接触部を内壁31に常に接触させることで、埋設管2の形状を算出する。
【0163】
埋設管補修装置1は、埋設管2内部を移動する。このとき、アーム部104から複数のアーム(図15では、第1アーム105と第2アーム106も含まれている)が開閉する。複数のアームのそれぞれは、接触部(図15では、第1接触部107と第2接触部108が含まれている)を備えており、接触部のそれぞれは、内壁31に接触している。この接触部の接触状態を保ったまま、埋設管補修装置1は、埋設管2の内部を移動する。
【0164】
図15に示されるように、埋設管補修装置1は、複数のアームを用いて、複数の接触部のそれぞれを常に埋設管2の内壁31に接触させながら、埋設管2内部を移動する。この移動の際に、距離算出部120および角度算出部121が、埋設管2の形状を算出するのに必要なデータを収集する。この収集されたデータを元に、形状算出部122が、埋設管2の形状を算出する。
【0165】
すなわち、埋設管補修装置1は、これらのアーム、アームに取り付けられた接触部、距離算出部120、角度算出部121、形状算出部122を用いることで、移動する埋設管2内部の形状を検出できる。この検出によって、埋設管補修装置1は、埋設管2において変形している位置を特定できるので、補修すべき補修領域を検出できる。検出の結果、埋設管補修装置1は、埋設管2の変形を補修できる。
【0166】
(埋設管補修装置による埋設管の形状検出)
【0167】
埋設管補修装置1の動作を、第1アーム105と第2アーム106を例として説明する。図15は、第1アーム105と第2アーム106とを示している。
【0168】
なお、内壁23と内壁24とは、同じ埋設管2の内壁であるが、図を用いた説明を分かりやすくするために、同じ内壁であっても、第1接触部107が接触する内壁部分を内壁23とし、第2接触部108が接触する内壁部分を内壁24として説明する。以降も同様である。
【0169】
埋設管補修装置1は、本体部3を備え、本体部3は、埋設管2内部を移動する。この移動に際しては、第1アーム105と第2アーム106とが、本体部3を基準として傘のように開閉する。第1アーム105は第1接触部107を備え、第2アーム106は、第2接触部108を備える。第1アーム105は、第1接触部107を、内壁31に接触させるように開閉し、第2アーム106は、第2接触部108を内壁32に接触させるように開閉する。なお、第1アーム105および第2アーム106は、本体部3を基準に開閉するだけでなく、伸縮することによって、第1接触部107と第2接触部108とを内壁23、24に接触させるようにしてもよい。
【0170】
距離算出部120と角度算出部121は、埋設管の形状を算出するのに必要なデータを収集する。このとき、埋設管補修装置1は、第1接触部107および第2接触部108を、内壁23、24に接触させながら移動する。このため、埋設管補修装置1は、埋設管2の内壁23、24に沿った接触部からのデータを、常に得ることができる。なお、開閉や伸縮は、第1接触部107および第2接触部108が備える接触センサーや距離センサーなどによって実現される。また、全ての接触部が常に内壁23、24に接触している必要はなく、埋設管補修装置1が、埋設管の形状を算出するに足りるデータを集めることができればよい。
【0171】
図15において、埋設管2のある断面位置を基準面140とする。基準面140は、任意に定められればよく、例えば埋設管補修装置1が移動を開始した位置を基準面140としてもよい。
【0172】
距離算出部120は、基準面140からの第1接触部107の移動距離を、第1距離aとして算出する。更に、距離算出部120は、基準面140からの第2接触部108の移動距離を、第2距離bとして算出する。加えて、距離算出部120は、第1接触部107と第2接触部108との間の直線距離を、第3距離Lとして算出する。
【0173】
角度算出部121は、第1接触部107が接触する内壁23の接線に対して、第1アーム105が形成する角度を、第1角度αとして算出する。更に、角度算出部121は、第2接触部108が接触する内壁24の接線に対して、第2アーム106が形成する角度を、第2角度βとして算出する。
【0174】
埋設管補修装置1は、第1接触部107および第2接触部108を常に内壁23、24に接触させながら埋設管2内部を移動するので、埋設管補修装置1が、埋設管2内部を移動している間は、距離算出部120は、第1距離a、第2距離bおよび第3距離Lを正確に算出できる。同様に、角度算出部121も、埋設管補修装置1が埋設管2内部を移動している間は、第1角度αおよび第2角度βを正確に算出できる。
【0175】
形状算出部122は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βの少なくとも一つに基づいて、埋設管2の内部形状を算出する。埋設管2の内部形状とは、(1)埋設管の湾曲や屈曲、(2)埋設管の内径変化、(3)埋設管内部の障害物、(4)埋設管の傾斜、などを含む。第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βは、埋設管2の(1)〜(4)に係る内部形状を示すデータである。
【0176】
形状算出部122は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βの少なくとも一つに基づいて、埋設管2の内部形状を算出できるので、埋設管補修装置1は、埋設管2の内部を移動することで、埋設管2の3次元形状を算出できる。このとき、埋設管補修装置1は、埋設管2の入り口から投入されて移動するので、埋設管2の形状算出のために、埋設管2を掘り起こす必要はない。
【0177】
(形状算出の詳細)
次に、形状算出部による、埋設管の形状算出の詳細について説明する。
【0178】
図16は、本発明の実施の形態3における埋設管の形状算出の模式図である。
【0179】
形状算出部122は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βに基づいて、埋設管2の所定位置における微小幅の立体形状150を算出する。
【0180】
なお、図16では、複数の立体形状150が示されているが、図の見易さのために、立体形状の一つに符号「150」を付与している。しかしながら、埋設管補修装置1の移動に従って立体形状150は、次々と連続的に得られる。この結果、図16に示されるように、形状算出部122は、複数の立体形状150を算出できる。
【0181】
図16に示される立体形状150は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βによって算出される。なお、実際には、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βで算出される立体形状であるが、ここでは、説明の簡便のために、図16に示される立体形状150は、平面形状として示している。実際には、第3アームによって、第1アームと第2アームによって算出される第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、第2アームと第3アームとによって算出される第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、第3アームと第1アームとによって算出される第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、から、3次元の微小な立体形状150が算出される。
【0182】
立体形状150は、図16に示されるとおり、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βによって、その形状が定まる。
【0183】
複数の立体形状150の一つである立体形状150aを基に説明する。
【0184】
立体形状150aでは、第1距離aと第2距離bとで、立体形状150aの幅が示される。また、立体形状150aでは、第3距離L1と第3距離L2とで、埋設管2の内径変化が示される。更に、第1角度αと第2角度βとで、立体形状150aの径変化が示される。
【0185】
このように、立体形状150aは、第1距離a、第2距離b、第3距離L1、L2、第1角度α、第2角度βによって、その形状および体積が算出される。形状算出部122は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βを用いて、微小幅の立体形状150を連続的に算出する。この連続する複数の微小幅の立体形状150は、埋設管2の形状を近似できる。図16に示される近似形状160は、連続する複数の立体形状150によって、埋設管2の形状を近似したものである。但し、図面の都合上、図16においては、二次元で示している。
【0186】
この近似形状160の算出により、埋設管補修装置1は、埋設管2の形状を把握できる。
【0187】
近似形状160は、埋設管2の形状の内、(1)埋設管の湾曲や屈曲、(2)埋設管の内径変化、(3)埋設管内部の障害物、(4)埋設管の傾斜、を含んでいる。このため、近似形状160によって、埋設管2の形状に含まれる、種々の要素が取得できる。
【0188】
形状算出部122は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βに基づいて、近似形状160を算出できるが、この近似形状160によって、埋設管2の3次元形状を一度に算出してもよいし、近似形状160の算出の過程で、埋設管2の形状に含まれる(1)〜(4)の要素のいずれかのみを算出しても良い。
【0189】
(内径変化の算出)
【0190】
形状算出部122は、第3距離Lの変化に基づいて、埋設管2の内径変化を算出する。ここで、形状算出部122は、「埋設管2の内径が変化した、という現象を把握する」こともできるし、「埋設管2の内径の変化数値を算出する」こともできる。埋設管補修装置1を使用する使用者は、必要に応じて、「変化を把握」したり「変化量を算出」したりすればよい。
【0191】
埋設管補修装置1は、埋設管2の内部を移動する。移動に際して、第1アーム105は、第1接触部107を内壁31に接触させ、第2アーム106は、第2接触部108を内壁32に接触させる。このため、第1接触部107と第2接触部108とは、埋設管2の内壁に沿って移動することになる。
【0192】
距離算出部(図示せず)は、第1接触部107と第2接触部108との直線距離を、第3距離として算出する。このとき、本体部3の移動に合わせて、距離算出部は、第3距離を算出する。形状算出部(図示せず)は、本体部3の移動によっても、第3距離の値に変化が無ければ、埋設管2の内径に変化はないと判断する。一方、埋設管2の内径に変化がある場合には、本体部3の位置によって、第3距離に相違が生じる。
【0193】
例えば、右から左にかけて埋設管2の内径が拡大している場合には、本体部3が右から左に移動するにつれて、算出される第3距離L1、L2、L3は、次第に大きくなっている。すなわち、
【0194】
L1 < L2 < L3
【0195】
の関係を、第3距離L1,L2,L3は有している。
【0196】
この第3距離の変化は、埋設管2の内径が、右から左にかけて拡大していることによる。逆に言えば、算出される第3距離L1,L2、L3が、
【0197】
L1 < L2 < L3
【0198】
の関係を有する場合には、埋設管2の内径が拡大していることが算出される。また、第3距離L1,L2、L3の値から、埋設管2の内径の拡大数値も算出される。
【0199】
逆に、本体部3の移動方向に沿って、第3距離が減少していけば、埋設管2の内径が、次第に縮小していることが算出される。あるいは、第3距離が増加と減少を繰り返せば、埋設管2の内径が、増減していることが算出される。
【0200】
このように、形状算出部は、第3距離の変化に基づいて、埋設管2の内径変化を算出できる。
【0201】
また、形状算出部は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度の全てを用いて、埋設管2の内径変化を算出しても良い。図17を用いて、形状算出部が、埋設管2の内径変化を算出する処理を説明する。図17は、本発明の実施の形態3における埋設管の内径変化算出を説明する模式図である。
【0202】
図17は、埋設管2内部の3箇所において算出された、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度を示している。
【0203】
形状算出部は、An−1のベクトルとan−1のベクトルから、次の位置のAnのベクトルを算出する。これは、(数1)に示されるとおりである。同様に、形状算出部は、Bn−1のベクトルとbn−1のベクトルから、次の位置のBnのベクトルを算出する。これは(数2)に示されるとおりである。
【0204】
【数1】

【0205】
【数2】

【0206】
このようにして、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度で得られるベクトルによって、第1接触部107と第2接触部108との次の位置を算出できる。この算出される次の位置の座標から、埋設管2の内径変化が算出できる。
【0207】
このように、形状算出部は、第3距離、あるいは第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度の全てによって、埋設管2の内径変化を算出できる。
【0208】
(埋設管の湾曲、屈曲の算出)
【0209】
次に、埋設管の湾曲および屈曲の算出について説明する。
形状算出部は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度に基づいて、埋設管2の湾曲や屈曲を算出する。ここで、形状算出部は、図16に示されるように、連続する微小幅の立体形状に基づいて埋設管2の3次元形状を得ることで、結果的に、埋設管2の湾曲および屈曲を算出しても良い。
【0210】
また、形状算出部は、第1距離と第2距離との差分に基づいて、埋設管2の湾曲および屈曲を算出しても良い。図18は、本発明の実施の形態3における埋設管の湾曲および屈曲の算出を示す模式図である。
【0211】
埋設管補修装置1は、埋設管2の内部を移動する。この移動に際して、本体部3から第1アーム105と第2アーム106とが延伸する。第1アーム105は、第1接触部107を、埋設管2の内壁23に常に接触させ、第2アーム106は、第2接触部108を、埋設管2の内壁24に常に接触させる。基準面を基準に、第1接触部107の移動距離を第1距離aとし、第2接触部108の移動距離を第2距離bとする。
【0212】
埋設管2が湾曲や屈曲をしていなければ、第1距離aと第2距離bとは、等しくなるはずである。これに対して、図18に示されるように、埋設管2が湾曲している場合には、第1距離aと第2距離bとの差分が生じる。図18においては、第1アーム105側から第2アーム106側に向かって埋設管2が湾曲しているので、湾曲部分では、第1距離aは、第2距離bよりも大きくなる。このため、第1距離aと第2距離bとは、差分を有する。
【0213】
形状算出部は、この差分を算出して、埋設管2の湾曲や屈曲を算出する。
【0214】
なお、図18で示される埋設管2の湾曲は、平面方向でも垂直方向でもいずれでもよく、埋設管補修装置1は、いずれの方向への湾曲や屈曲でも算出できる。特に、説明の便宜のために、図18においては、第1アーム105と第2アーム106の、2つのアームでの算出の様子を示しているが、第3アームを用いることで、平面方向および垂直方向のいずれにおける湾曲や屈曲でも、埋設管補修装置1は、同時に算出できる。
【0215】
また、形状算出部は、第1距離aと第2距離bとに差分が生じていれば、(1)埋設管2が湾曲ないしは屈曲している、との事実を把握できる。更に、第1距離aと第2距離bとの差分量に基づいて、形状算出部は、(2)埋設管2の湾曲ないしは屈曲の量、を算出できる。
【0216】
ここで、形状算出部は、第1距離aと第2距離bの差分のみで、(1)埋設管2が湾曲ないしは屈曲している、との事実を把握できる。すなわち、埋設管形状算出部1を用いるシステムが、埋設管2の湾曲ないしは屈曲の事実のみを必要とする場合には、形状算出部は、第1距離aと第2距離bの差分を検出するだけでよい。
【0217】
一方、形状算出部は、第1距離aおよび第2距離bの差分量から、(2)埋設管2の湾曲ないしは屈曲の量を算出することもできるし、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度に基づいて(言い換えると、微小幅の立体形状に基づいて)、(2)埋設管2の湾曲ないしは屈曲の量を算出することもできる。
【0218】
前者の場合には、埋設管補修装置1は、第1距離aと第2距離bとの差分量に基づいて、(2)埋設管2の湾曲ないしは屈曲の量、を算出できる。例えば、形状算出部は、埋設管2の本来形状(直径や長さなど)と、第1距離aおよび第2距離bの差分量との関係テーブルを予め備えておく。形状算出部は、この関係テーブルに基づいて、(2)埋設管2の湾曲ないしは屈曲の量を、算出できる。
【0219】
後者の場合には、埋設管補修装置1は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度に基づいて、埋設管2の3次元形状を算出する過程で、(2)埋設管2の湾曲ないしは屈曲の量を算出できる。この場合には、埋設管2の3次元形状を算出した上で、(2)埋設管2の湾曲ないしは屈曲の量を算出できるので、より高い精度で、算出できる。
【0220】
このように、埋設管補修装置1は、仕様や要求に応じて、(1)埋設管2が湾曲ないしは屈曲しているとの事象、(2)埋設管2の湾曲ないしは屈曲の量のいずれか(あるいは両方)を選択的に算出できる。
【0221】
以上のように、埋設管補修装置1は、本体部3から延伸するとともに埋設管2の内壁に接触可能なアームを有することで、埋設管2の形状を検出できる。この検出によって、埋設管補修装置1は、埋設管2の変形部分を特定して埋設管2の変形を補修できる。
【0222】
なお、埋設管補修装置1は、検出した埋設管2の変形を、実施の形態2で説明した作業者50が使用する操作端末40に送信しても良い。
【0223】
また、実施の形態1〜3で説明した埋設管補修装置を用いた補修方法や埋設管補修方法は、所定のコンピュータプログラムによって実現されても良い。予めプログラミングされたコンピュータプログラムによって、形成されたプログラムに基づいて、CPUによってコンピュータが動作することで、実施の形態1〜3で説明した埋設管の補修が実行される。
【0224】
以上、実施の形態1〜3で説明された埋設管補修装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0225】
1 埋設管補修装置
2 埋設管
21 管路
22 継ぎ手
23、24 内壁
201 空隙
202 除去領域
3 本体部
4 穿孔ユニット
5 除去ユニット
6 注入ユニット
61 膨張材
62 充填材
7 第1貫通孔
8 第2貫通孔
9 位置決め制御部
91 姿勢検出部
10 制御部
30 監視ユニット
40 操作端末
41 表示装置
50 作業者
105 第1アーム
106 第2アーム
107 第1接触部
108 第2接触部
120 距離算出部
121 角度算出部
122 形状算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設されている埋設管内部を移動可能な本体部と、
前記埋設管の補修領域における所定位置での第1貫通孔および前記第1貫通孔と異なる位置での第2貫通孔を穿孔する穿孔ユニットと、
前記第1貫通孔を通じて、前記埋設管の外部であって前記第1貫通孔周辺の土砂を除去する除去ユニットと、
前記第2貫通孔を通じて、前記埋設管の外部であって前記第2貫通孔周辺に膨張剤を注入する注入ユニットと、を備える埋設管補修装置。
【請求項2】
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔のそれぞれは、前記埋設管において相互に対向する位置にある、請求項1記載の埋設管補修装置。
【請求項3】
前記埋設管の前記補修領域が屈曲している場合には、前記第1貫通孔は、前記埋設管の屈曲内側に位置し、前記第2貫通孔は、前記埋設管の屈曲外側に位置する、請求項1又は2記載の埋設管補修装置。
【請求項4】
前記第1貫通孔は、前記除去ユニットによって土砂が除去される除去領域に接続し、前記第2貫通孔は、前記注入ユニットによって膨張材が注入される注入領域に接続する、請求項1から3のいずれか記載の埋設管補修装置。
【請求項5】
前記本体部は、前記埋設管内部を移動可能な車輪を備えている、請求項1から4のいずれか記載の埋設管補修装置。
【請求項6】
前記本体部は、前記埋設管における前記補修領域を決める位置決め制御部を備える、請求項1から5のいずれか記載の埋設管補修装置。
【請求項7】
前記穿孔ユニットは、コアドリル、ドリルおよびホールソーの少なくとも一つを備え、前記埋設管における前記補修領域における前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を穿孔する、請求項1から6のいずれか記載の埋設管補修装置。
【請求項8】
前記除去ユニットはノズルを備え、前記除去ユニットは前記第1貫通孔から前記ノズルを突出させて空気圧および水圧の少なくとも一方によって、前記除去領域の土砂を除去する、請求項4から7のいずれか記載の埋設管補修装置。
【請求項9】
前記注入ユニットは、前記除去領域における土砂の除去が行われた後で、前記第2貫通孔を通じて前記注入領域に膨張材を注入する、請求項4から8のいずれか記載の埋設管補修装置。
【請求項10】
前記注入ユニットは、前記膨張材の注入が行われた後で、前記第1貫通孔を通じて、前記除去領域に充填材を注入する、請求項4から9のいずれか記載の埋設管補修装置。
【請求項11】
前記膨張材および前記充填材の少なくとも一方は、前記本体部に収容されるもしくは前記本体部に対して供給される、請求項10記載の埋設管補修装置。
【請求項12】
前記補修領域を撮像可能な撮像部と、前記補修領域の撮像画像を送信する送信部と、を備える監視ユニットを更に備える、請求項1から11のいずれか記載の埋設管補修装置。
【請求項13】
前記本体部から延伸して、前記埋設管の内部形状に合わせて可動する第1アームと、
前記本体部から、前記第1アームと異なる方向に延伸して、前記埋設管の内部形状に合わせて可動する第2アームと、
前記第1アームに接続して、前記埋設管の内壁に接触して移動可能な第1接触部と、
前記第2アームに接続して、前記埋設管の内壁に接触して移動可能な第2接触部と、
前記第1接触部の基準面からの移動距離を第1距離として算出し、前記第2接触部の基準面からの移動距離を第2距離として算出し、前記第1接触部と前記第2接触部との直線距離を第3距離として算出する、距離算出部と、
前記第1接触部が接触する内壁の接線に対して、前記第1アームが形成する角度を、第1角度として算出し、前記第2接触部が接触する内壁の接線に対して、前記第2アームが形成する角度を第2角度として算出する、角度算出部と、
前記第1距離、前記第2距離、前記第3距離、前記第1角度および前記第2角度の少なくとも1つ以上に基づいて、前記埋設管の内部形状を算出する形状算出部と、を更に備える、請求項1から12のいずれか記載の埋設管補修装置。
【請求項14】
前記形状算出部は、前記第1距離、前記第2距離、前記第3距離、前記第1角度および前記第2角度に基づいて、前記埋設管の所定位置における微小幅の立体形状を算出し、
前記形状算出部は、連続する複数の前記立体形状に基づいて、前記埋設管の3次元形状を算出する、請求項13記載の埋設管補修装置。
【請求項15】
前記形状算出部は、前記3次元形状に含まれる前記第1距離と前記第2距離との差分および第3距離の変化の少なくとも一方に基づいて、前記埋設管の湾曲、屈曲、内径変化および変形の少なくとも一つを算出する、請求項14記載の埋設管補修装置。
【請求項16】
前記本体部は、ジャイロ機構を用いて、前記埋設管の湾曲、屈曲、内径変化および変形の少なくとも一つを算出する、請求項1から12のいずれか記載の埋設管補修装置。
【請求項17】
地中に埋設されている埋設管内部において前記埋設管を補修する埋設管補修法であって、
前記埋設管の補修領域における所定位置での第1貫通孔および前記第1貫通孔と異なる位置での第2貫通孔を穿孔する穿孔ステップと、
前記第1貫通孔を通じて、前記埋設管の外部であって前記第1貫通孔周辺の土砂を除去する除去ステップと、
前記第2貫通孔を通じて、前記埋設管の外部であって前記第2貫通孔周辺に膨張剤を注入する注入ステップと、を備える埋設管補修方法。
【請求項18】
前記注入ステップの後で、前記第1貫通孔を通じて、充填材を注入する充填ステップを更に備える、請求項17記載の埋設管補修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−36921(P2012−36921A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174963(P2010−174963)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(509121019)株式会社春田建設 (7)
【出願人】(591065549)福岡県 (121)
【Fターム(参考)】