説明

埋設管路防護板

【構成】 埋設管路防護板10は、金属板12と樹脂層14とを備えており、既設の埋設管路100の上方の地中に埋設される。金属板は、一定以上の剛性を有する金属からなり、矩形の板状に形成される。樹脂層14は、ポリエチレン、ポリプロピレンを主体とする廃プラスチック樹脂に5〜20重量%のガラス繊維を混入した混合材料からなり、金属板12の全体を封止する。
【効果】 金属板が地中成分によって腐食することがないため、埋設管路防護板の機能を長期的に保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、埋設管路防護板に関し、特にたとえば、地中に埋設されている既設の埋設管路を防護するために当該埋設管路の上方に埋設される、埋設管路防護板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、新たな地中埋設物を埋設するための掘削作業によって既設の埋設管路が破損してしまうことがないように、埋設管路の上方に埋設管路防護板を設置する技術が公知である。
【0003】
たとえば、特許文献1のケーブル用保護板は、ポリプロピレンとポリエチレンとを混合した再生合成樹脂によって形成される。
【0004】
また、特許文献2の標識付地中埋設物保護板は、ポリエチレンからなる樹脂板を備えており、この樹脂板の地表側の面に埋設物に関する表示を印刷したポリエチレンシートが貼り付けられ、樹脂板の埋設物側の面に鉄板が内蔵される。
【特許文献1】実用登録3012675号[H02G 9/02]
【特許文献2】実開平7−41581号[G09F 19/22]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、ケーブル用保護板の剛性が不十分であるため、たとえばアースオーガー式の建柱機を使用して掘削作業が行われる場合に、オーガーヘッド(穿孔用のドリル)がケーブル用保護板に接触すると、簡単にケーブル用保護板が穿孔されてしまう。
【0006】
これに対し、特許文献2の技術では、同じようにオーガーヘッドが標識付地中埋設物保護板に接触しても、樹脂板の埋設物側の面に内蔵される鉄板がオーガーヘッドを食い止めるため、鉄板よりも下方へ穿孔することができない。しかしながら、特許文献2の技術では、鉄板が地中成分によって腐食するとその機能が十分に発揮されない場合があり、長期にわたる機能保持に不安がある。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、埋設管路防護板を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、長期的に機能を保持することができる、埋設管路防護板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0010】
第1の発明は、地中に埋設されている既設の埋設管路を防護するために当該埋設管路の上方に埋設される埋設管路防護板において、廃プラスチック樹脂からなる樹脂層によって金属板の全体を封止したことを特徴とする、埋設管路防護板である。
【0011】
第1の発明では、埋設管路防護板(10)は、地中に埋設されている既設の埋設管路(100)を防護するためのものであり、たとえば埋設管路の上方の地中に埋設される。埋設管路防護板は、金属板(12)と樹脂層(14)とを備えている。金属板は、一定以上の剛性を有する金属からなり、矩形の板状に形成される。また、樹脂層は、廃プラスチック樹脂からなり、金属板の全体を封止する。このように、金属板の全体を樹脂層によって封止することで、金属板が外側に露出しないため、金属板が地中成分によって腐食することがない。
【0012】
第1の発明によれば、埋設管路防護板の機能を長期的に保持することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明に従属し、樹脂層は、廃ポリオレフィン樹脂からなり、掘削作業を行うボーリングマシンのロッドが接触したときに当該ロッドの先端を閉塞可能な所定の厚みに形成される。
【0014】
第2の発明では、樹脂層(14)は、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンを主体とする廃棄プラスチックを使用して形成した廃ポリオレフィン樹脂からなり、樹脂層にボーリングマシンのロッドが接触したときに、そのロッドの先端を閉塞させることができるように、所定の厚みに形成される。
【0015】
第2の発明によれば、掘削作業を行うボーリングマシンによって埋設管路が損傷を受ける事態を防止することができる。
【0016】
また、廃ポリオレフィン樹脂を使用して樹脂層を形成することによって、樹脂層の柔軟性が増すため、ボーリングマシンのロッドの先端をより閉塞させ易くなる。
【0017】
第3の発明は、第1または2の発明に従属し、樹脂層には、所定重量%の繊維体が混入される。
【0018】
第3の発明では、樹脂層(14)は、たとえば廃プラスチック樹脂に5〜20重量%の繊維体を混入した混合材料(16)によって形成される。たとえば、樹脂層は温度変化により金属板に比べて大きく伸縮するため、埋設管路防護板(10)の成形時や時間経過後に樹脂層にひび割れや変形が発生してしまうことがあるが、樹脂層に繊維体を混入して、樹脂層の伸縮量を小さくすることで、樹脂層にひび割れや変形が発生するのを防止することができる。
【0019】
第4の発明は、第1ないし3のいずれかの発明に従属し、樹脂層が金属板を中心点として左右ならびに上下対称となる。
【0020】
第4の発明では、樹脂層(14)は、金属板(12)の上下方向の一方側と他方側とで均等な厚みに形成されるとともに、金属板の左右方向の一方側と他方側とで均等な厚みに形成される。このため、埋設管路防護板(10)の成形時に樹脂層の内部に生じるひずみを、金属板の上下ならびに左右方向の一方側と他方側とで均等に負担することができる。
【0021】
第4の発明によれば、ひずみによる埋設管路防護板の変形を防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、樹脂層によって金属板の全体を封止するため、埋設管路防護板の機能を長期的に保持することができる。
【0023】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施例の埋設管路防護板を埋設管路の上方に埋設した様子を示す図解図である。
【図2】(a)は、図1の埋設管路防護板を示す側面図であり、(b)は、図1の埋設管路防護板を示す上面図である。
【図3】図1の埋設管路防護板を示す断面図である。
【図4】埋設管路防護板を成形する様子を示す図解図である。
【図5】図5の続きを示す図解図である。
【図6】図6の続きを示す図解図である。
【図7】図7の続きを示す図解図である。
【図8】埋設管路防護板を埋設管路に沿って並べて配置した様子を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照して、この発明の一実施例である埋設管路防護板10は、地中に埋設されている既設の埋設管路100を防護するためのものであり、埋設管路100の上方の地中に埋設される。
【0026】
図2に示すように、埋設管路防護板10は、金属板12と樹脂層14とを備えており、矩形の板状に形成される。埋設管路防護板10の大きさは、埋設管路100の管径などに応じて適宜設定され、一例を挙げると、埋設管路100の管径が75〜200mmの場合には、埋設管路防護板10の長辺の長さは、800mmであり、その短辺の長さは、500mmであり、その厚みは、40mmである。
【0027】
金属板12は、比較的軽量でかつ一定以上の剛性を有する金属からなり、矩形の板状に形成される。この実施例では、金属板12は、JIS−G3101に準拠する一般構造用圧延鋼材(SS400)であり、その長辺の長さは、740mmであり、その短辺の長さは、440mmである。また、金属板12の厚みは、少なくともアースオーガー式の建柱機による穿孔を防ぐことができるように、金属板12の素材等を勘案することによって適宜設定され、たとえば2.3mmである。
【0028】
樹脂層14は、廃棄プラスチックを使用して形成した廃プラスチック樹脂に5〜20重量%の繊維体を混入した混合材料からなり、金属板12の全体を封止する。なお、この明細書における、「5〜20重量%の繊維体」とは、樹脂層14中の繊維体の含有量が、樹脂層14の全量に対して5〜20重量%であることを意味する。
【0029】
この実施例では、廃プラスチック樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレンを主体とする廃棄プラスチックを使用して形成した廃ポリオレフィン樹脂が用いられ、樹脂層14は、廃プラスチック樹脂に10重量%のガラス繊維(グラスファイバー)を混入した混合材料によって形成される。
【0030】
ただし、これに限定される必要はなく、塩化ビニルやポリエチレンテレフタレート(PET)などの廃棄プラスチックを使用して廃プラスチック樹脂を形成してもよい。
【0031】
また、繊維体として、ガラス繊維以外にも、炭素繊維(カーボンファイバー)などの従来公知の繊維を用いることもできる。
【0032】
樹脂層14は、図3に示すように、金属板12の上下方向の一方側と他方側とで均等な厚みに形成されるとともに、金属板12の左右方向(水平方向)の一方側と他方側とで均等な厚みに形成される。換言すると、樹脂層14は、金属板12を中心点として左右ならびに上下対称となるように形成されている。
【0033】
たとえば、樹脂層14の上下方向の厚みd1は、後に詳細を説明するように、掘削作業を行うボーリングマシンのロッドが樹脂層14に接触したときに、このロッドの先端を樹脂層14によって閉塞させることができる厚みに設定される。
【0034】
本願発明者等の実験では、呼び径が40.5mmのロッドを42rpmで回転させて樹脂層14の削孔を行った場合、削孔深さが17mmのときにボーリングマシンの送水圧が3Mpaまで上昇した。これは、粘性地盤の地盤面〜−10mにおける水圧の約10倍の数値であり、通常、ボーリングマシンの操作者は、このようにボーリングマシンの送水圧が3Mpaまで上昇すると、送水圧の上昇に異常を感じて掘削作業を中断する。
【0035】
よって、樹脂層14の上下方向の厚みd1は、掘削作業を行うボーリングマシンのロッドが樹脂層14に接触したときに、このロッドの先端を樹脂層14によって閉塞させることができるように、17mm以上に設定され、埋設管路防護板10の成形時に樹脂層14の厚みに多少のずれが生じてしまう可能性を考慮し、好ましくは20mm程度に設定される。
【0036】
また、樹脂層14の左右方向の厚みd2は、樹脂層14が剥離してしまうことがなく、さらに、埋設管路防護板10を配置したときに互いに隣接する埋設管路防護板10の金属板12どうしの間隔があまり大きくならないように、30mm程度に設定される。
【0037】
ところで、この実施例では、廃プラスチック樹脂に5〜20重量%の繊維体を混入した混合材料によって樹脂層14を形成しているが、これは、一般的に、合成樹脂が温度変化により金属に比べて大きく伸縮するため、金属板12の全体を樹脂層14によって封止した場合には、埋設管路防護板10の成形時や時間経過後(冷却後)に樹脂層14にひび割れ(クラック)や変形が発生してしまうことがあるからである。
【0038】
本願発明者等は、廃プラスチック樹脂に繊維体を混入した混合材料を評価するために、廃プラスチック樹脂からなる樹脂板(以下、0%混合品)、廃プラスチック樹脂に5重量%のガラス繊維を混入した混合材料からなる樹脂板(以下、5%混合品)、廃プラスチック樹脂に10重量%のガラス繊維を混入した混合材料からなる樹脂板(以下、10%混合品)、廃プラスチック樹脂に20重量%のガラス繊維を混入した混合材料からなる樹脂板(以下、20%混合品)、ならびに金属板12のそれぞれについて、成形後24時間経過後(25℃)の製品の長さと幅とを測定して伸縮量を確認した。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
さらに、本願発明者等は、0%混合品、5%混合品、10%混合品、20%混合品のそれぞれを、製品保管時の使用環境温度を想定した温度条件下(−10℃,40℃)で放置する繰り返し温度試験を行った。なお、実験条件は以下の通りである。各混合品を、−10℃で15時間、40℃で9時間、−10℃で15時間、40℃で9時間、−10℃で15時間、そして40℃で9時間放置し、各温度での状態処理後における製品の長さと幅を測定して伸縮量を確認した。その結果を表2に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
なお、いずれの実験においても、廃プラスチック樹脂に20重量%以上の繊維体を混入した混合材料については評価していないが、これは、繊維体の含有量が20重量%を超えると、樹脂層14の柔軟性が損なわれることで、掘削作業を行うボーリングマシンのロッドが樹脂板に接触しても、そのロッドの先端を樹脂板によって閉塞させ難くなるからである。
【0043】
これらの測定結果により、いずれの樹脂板(0%混合品、5%混合品、10%混合品、20%混合品)も、成形後24時間経過後には、金属板よりも縮んでいる(つまり、伸縮量が大きい)ことが分かる。
【0044】
また、0%混合品よりも5%混合品の方が伸縮量が小さく、5%混合品よりも10%混合品の方が伸縮量が小さく、10%混合品よりも20%混合品の方が伸縮量が小さいことが分かる。つまり、樹脂板中の繊維体の含有量が大きくなれば、樹脂板の伸縮量が低減されることが分かる。
【0045】
したがって、廃プラスチック樹脂に混入する「所定重量%の繊維体」は、樹脂層14の伸縮量を低減させるためにできるだけ多くすることと、掘削作業を行うボーリングマシンのロッドの先端を閉塞させるのに必要な柔軟性を保持するとともに、製造コストを削減するためにできるだけ少なくすることとの、いわば二律背反的な条件を勘案することによって設定されることが望ましい。
【0046】
図4−図7を参照して、このような埋設管路防護板10を成形する方法を以下に示す。
【0047】
先ず、廃棄プラスチックを粉砕して作成されたペレット状のリサイクル材料に10重量%ガラス繊維を混ぜ合わせたものを押出成形機のホッパーに供給し、押出成形機によって約180〜200℃の温度下で加熱溶融して、たとえば棒状の混合材料として押し出す。
【0048】
そして、図4に示すように、所定の分量の混合材料16をプレス成形機の下金型18の上に載置し、上金型20を降下させて下金型18内の隅々まで均一に混合材料16が充填されるように所定の時間プレス保持した後、上金型20を上昇させる。これによって、金属板12の下面を被覆する樹脂層14aが形成される。
【0049】
次に、上金型20を上昇させた後、図5に示すように、樹脂層14aの上の所定の位置に金属板12を配置し、再び上金型20を降下させて樹脂層14aの上面と金属板12の上面とが面一になるように所定の時間プレス保持した後、上金型20を上昇させる。
【0050】
続いて、図6に示すように、所定の分量の混合材料16を金属板12や樹脂層14aの上に載置し、上金型20を降下させて下金型18内の上部に隅々まで均一に混合材料16が充填されるように所定の時間プレス保持した後、上金型20を上昇させる。これによって、図7に示すように、金属板12の上面を被覆する樹脂層14bが形成されるとともに、樹脂層14aと樹脂層14bとが一体化されて、金属板12の全体を封止した樹脂層14が形成されることとなる。
【0051】
そして、発生しているバリをカッターなどによって除去した後、その埋設管路防護板10を水槽の中で所定の時間冷却して、作業を終了する。
【0052】
図8を参照して、このような埋設管路防護板10を埋設管路100の上方の地中に埋設するときには、埋設管路防護板10の短辺を埋設管路100の軸方向にして、互いに隣接する埋設管路防護板10の長辺側の端どうしをくっつけた状態で、埋設管路100の軸方向に沿ってその上方の地中に埋設管路防護板10を連設する。
【0053】
こうすることにより、たとえばアースオーガー式の建柱機を使用して掘削作業が行われる場合に、オーガーヘッド(穿孔用のドリル)が埋設管路防護板10に接触しても、金属板12がオーガーヘッドを食い止めるため、金属板12よりも下方へ穿孔することができない。そして、建柱機の操作者がたとえば建柱機が浮き上がるなどの異常を感じることで、掘削作業が中断されることとなる。
【0054】
さらに、たとえばボーリングマシンを使用して掘削作業が行われる場合に、ロッドの先端が埋設管路防護板10に接触しても、ロッドの先端が樹脂層14によって閉塞されて削孔が困難になることで、ボーリングマシンの送水圧が上昇する。そして、ボーリングマシンの操作者がたとえばその送水圧の上昇に異常を感じることで、掘削作業が中断されることとなる。
【0055】
つまり、埋設管路防護板10を埋設管路100の上方の地中に埋設することによって、埋設配管100が損傷を受ける事態を未然に防止することができる。
【0056】
この実施例では、廃プラスチック樹脂からなる樹脂層14によって金属板12の全体が封止される。このため、金属板12が外側に露出せず、埋設管路防護板10を地中に埋設したときにも、金属板12が地中成分によって腐食してしまうことがない。したがって、埋設管路防護板10の機能を長期的に保持することができる。
【0057】
さらに、この実施例によれば、掘削作業を行うボーリングマシンのロッドが樹脂層14に接触したときに、このロッドの先端を樹脂層14によって閉塞させることができる。樹脂層14の削孔が困難になることで、ボーリングマシンの送水圧が上昇するため、作業者は、その水圧の上昇に異常を感じて掘削作業を中断することができる。ここで、埋設管路防護板10が金属板12のみで形成されている場合や、埋設管路防護板10の樹脂層14がボーリングマシンのロッドの先端を閉塞可能な所定の厚みに形成されていない場合には、ボーリングマシンの送水圧が上昇しないため、作業者が埋設管路防護板10の存在に気が付かずに、ボーリングマシンによって埋設配管100が損傷を受けてしまうが、この実施例によれば、樹脂層14がボーリングマシンのロッドの先端を閉塞させるため、ボーリングマシンによって埋設管路100が損傷を受ける事態を防止することができる。
【0058】
また、廃ポリオレフィン樹脂を使用して樹脂層14を形成することによって、塩化ビニルやポリエチレンテレフタレート(PET)からなる廃プラスチック樹脂を使用して樹脂層14を形成した場合と比較して、樹脂層14の柔軟性が増すので、ボーリングマシンのロッドの先端をより閉塞し易くなる。
【0059】
また、この実施例では、廃プラスチック樹脂に5〜20重量%の繊維体を混入した混合材料によって樹脂層14が形成される。このため、金属板12の伸縮量と樹脂層14の伸縮量との差を小さくすることができる。上述したように、金属板12の全体を樹脂層14によって封止すると、金属板12の伸縮量と樹脂層14の伸縮量との違いによって、埋設管路防護板10の成形後(冷却後)、樹脂層14にひび割れ(クラック)や変形が発生してしまうことがある。これに対し、この実施例によれば、金属板12の伸縮量と樹脂層14の伸縮量との差を小さくすることで、樹脂層14にひび割れや変形が発生するのを防止することができる。
【0060】
さらにまた、この実施例では、樹脂層14が金属板12を中心点として左右ならびに上下対称となるように形成される。このため、埋設管路防護板10の成形後(冷却後)に樹脂層14の内部に生じるひずみを、金属板12の上下ならびに左右方向の一方側と他方側とで均等に負担することができる。したがって、ひずみによる埋設管路防護板10の変形を防止することができる。
【0061】
なお、上述の実施例では、金属板12は、JIS−G3101に準拠する一般構造用圧延鋼材(SS400)であり、長方形の板状に形成されたが、これに限定される必要はなく、その鋼材と同程度の剛性を有する金属の板であればよい。たとえば、図示は省略するが、金属板12として、パンチングメタルやエキスパンドメタルなどの間隙を有するものを用いた場合には、埋設管路防護板10を成形するときに、この間隙を通じて樹脂層14aと樹脂層14bとが一体化するため、埋設管路防護板10をより強固に成形することができる。
【0062】
また、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 …埋設管路防護板
12 …金属板
14,14a,14b …樹脂層
16 …混合材料
18 …下部金型
20 …上部金型
100 …埋設管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設されている既設の埋設管路を防護するために当該埋設管路の上方の地中に埋設される埋設管路防護板において、
廃プラスチック樹脂からなる樹脂層によって金属板の全体を封止したことを特徴とする、埋設管路防護板。
【請求項2】
前記樹脂層は、廃ポリオレフィン樹脂からなり、掘削作業を行うボーリングマシンのロッドが接触したときに当該ロッドの先端を閉塞可能な所定の厚みに形成される、請求項1記載の埋設管路防護板。
【請求項3】
前記樹脂層には、所定重量%の繊維体が混入される、請求項1または2記載の埋設管路防護板。
【請求項4】
前記樹脂層が前記金属板を中心点として左右ならびに上下対称となる、請求項1ないし3のいずれかに記載の埋設管路防護板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−114940(P2011−114940A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268926(P2009−268926)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【Fターム(参考)】