埋込み電荷注入電極を有する発光デバイス
本発明は、(a)外側負バイアスリード用のカソードと;(b)外側正バイアスリード用のアノードと;(c)前述のカソードとアノードとの間の埋込み電荷注入電極(ECIE)と;(d)カソードとアノードとの間で光を放出する能動領域と;で構成された有機発光デバイス(OLED)を提供する。ECIEは、Ca、Mg、Al、Ag、Au、Ni、Fe、Ni、およびCoを含む低仕事関数元素、フッ化物/Al、Mg/Ag、Ca/Alを含む二層、およびフッ化物/Al/フッ化物、フッ化物/Al/(Ca、Mg)の三層から選択される。発光層は、共役型の小有機分子およびポリマーから選ばれる。アノードは、ITO、SnO2、Ni、Pt、Au、p++半導体(c-Si、a-Si、a-Si:H、ポリシリコン)を含む既知の高仕事関数材料をベースにして選択される。カソードは、ITO、Al、Cr、Cu、Ag、Au、Ni、Fe、Ni、W、Mo、およびCoのような高電気伝導性の金属および合金の1層以上の層から選択される。埋込み電荷注入電極を光干渉層として、そしてICIEの位置に応じて、電子輸送層、正孔輸送、または発光層をスペーサーとして使用しうる。埋込み電荷注入電極および反射性のカソードまたはアノードによる相殺的光干渉により、周囲光の反射を減少させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、有機系発光デバイス(OLED)に関し、より特定的には、本発明は、埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
典型的な有機発光デバイス(OLED)は、アノードと、1種以上のエレクトロルミネセンス有機材料を含む能動発光ゾーンと、カソードと、を含む。デバイスの目視側にある一方の電極は光透過性であり、他方の電極は光反射性である。アノードの機能は、正孔と呼ばれる正荷電粒子を発光ゾーンに注入することであり、カソードの機能は、電子を発光ゾーンに注入することである。電子と正孔との再結合に関与する過程は、再結合ゾーンから放出される光の生成である。光波は、前述の光透過性電極を通って放出される。
【0003】
CW Tangに付与された米国特許第4,356,429号には、アノードと発光ゾーンとの間に正孔輸送層を挿入し、カソードと発光ゾーンとの間に電子輸送層を挿入することが開示されている。特定の有機分子は正孔を輸送する点では優れているが、電子を輸送する点では非常に劣っていることが十分に裏付けられている。最適のデバイス性能を得るためには発光ゾーンにおいて電子密度と正孔密度とのバランスをとることが決定的に重要である(たとえば、Aziz et al, "小分子系有機発光デバイスの劣化機構(Degradation Mechanism of Small Molecule-Based Organic Light-Emitting Devices)" Science, 283, 1900 (1999)を参照されたい)。電子注入を増強するために、最低空分子軌道(LUMO)に対する優れたエネルギーバンド整合を提供するCaやMgのような低仕事関数金属がカソード材料として選択されてきた。しかしながら、低仕事関数金属は、反応性が高いので、気相金属原子が有機膜表面に当たったときに有機分子のフラグメンテーションを引き起こす(A. Turak et al "金属/AlQ3界面構造(Metal/AlQ3 interface structures)", Appl. Phys. Lett. V81 (n4), 766 (2002)を参照されたい)。これにより、カソード材料としての低仕事関数金属の利用能は制限される。
【0004】
カソードの他の問題は、低い基板温度(<100℃)で熱蒸発により形成される金属膜の劣悪な粒状構造に関連する(M. Wu, "有機表面上における金属薄膜成長(Metallic Thin Film Growth on Organic Surface)", B.Sc. Thesis, University of Toronto, April 2003)。発光デバイスの安定性は、カソードと有機層との間の界面酸化物形成の問題を抱えている。酸化物形成は、カソード金属原子と、ピンホールや粒界を介してカソード中を拡散する酸素分子や水分子のような周囲酸化剤ガスと、の反応により引き起こされる(X. D. Feng, et al , "XPSによる有機発光ダイオード中のAlq/Mg:Ag界面の研究(Studies of Alq/Mg: Ag Interface in Organic Light-Emitting Diodes by XPS)", MRS Proceedings V 725, 31 (2002)を参照されたい)。酸化された領域は、カソードからの電子注入経路を遮断する。これは、有機材料の低側方電子伝導性と相まって、デッド発光ゾーンの形成をもたらす(たとえば、H. Aziz et al "有機発光デバイス中のトリスN8-ヒドロキシキノリンアルミニウム層の湿度誘発結晶化(Humidity-induced crystallization of tris N8-hydroxyquinoline aluminum layers in organic light-emitting devices)", Appl. Phys. Lett. 72 (n7), 756 (1998)を参照されたい)。
【0005】
純粋な物質または酸化物、硫化物などのスパッター堆積は、均一な膜を生成することが知られている。しかしながら、スパッタリングプロセス時にプラズマ中に生成される高エネルギー種は、金属または導電性透明金属酸化物(たとえばインジウムスズ酸化物(ITO))のような導電層をスパッター堆積させる際にカソード/有機物界面に損傷を引き起こすことがよく知られている。これは、前述のデッド発光ゾーンの形成をもたらし、さらにデバイスの完全故障を招くおそれもある(たとえば、S. Han et al, "上面発光型有機発光ダイオード用の透明カソード(Transparent-cathode for top-emission organic light-emitting diodes)", Appl. Phys. Lett. V82 (n16), 2715 (2003)を参照されたい)。
【0006】
周囲照明が非常に強い場合、実質量の周囲光が反射性電極により反射されるので、透明電極を通って放出される光の視覚的知覚コントラストが劣化する。あらゆる周囲照明条件(たとえば完全太陽光)の下でOLEDデバイスを容易に目視しうることがきわめて重要である。
【0007】
上面発光型有機発光ダイオードは、OLEDデバイスを電気駆動器と一体化させるうえで非常に重要である。それは、配線やトランジスターのような要素からの妨害をなんら受けることなくすべての回路を底部に配置できるという理由で、アクティブマトリックスOLEDディスプレイ用として望ましいものである。しかしながら、上面発光型OLEDデバイスの製造効率(時間および歩留り)ならびにデバイス性能はいずれも、ITOスパッタリングにより悪影響を受ける。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明の目的は、(a)熱蒸発、スパッタリング、およびPECVD(プラズマ増強化学気相堆積)をはじめとする有効な薄膜堆積法を用いて多種多様な材料からロバストなカソードを製造すること;(b)埋込み電極を介して発光性有機物質のLUMOに対するより良好なエネルギーバンド整合を有するロバストな電子伝導性分子をより広範に選択すること;を可能にすべくデバイス内に埋め込まれた浮動電荷注入電極を有するロバストな発光デバイスを設計することである。
【0009】
本発明の他の目的は、埋込み電荷注入電極を光干渉層として使用し、かつ電子輸送層、正孔輸送層、または発光層をスペーサーとして使用することである。埋込み電荷注入電極および反射性のカソードまたはアノードによる相殺的光干渉により、周囲光の反射を減少させる。
【0010】
本発明の一態様では、埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)光透過性基板;
b)基板上の光透過性の第1の電極層;
c)第1の電極層から第1の電荷輸送層に注入された電荷を輸送するための第1の電極層上の第1の電荷輸送層;
d)第1の電荷輸送層上の発光層;
e)発光層上の第1の電荷注入電極層(電荷注入電極層は電気的浮動状態にある);
f)第1の電荷注入電極層上の第2の電荷輸送層;および
g)第2の電荷輸送層上の第2の電極層;
を含み、
第2の電荷輸送層が、第2の電極層から注入された電荷を輸送するためにある、上記発光デバイスが提供される。
【0011】
本発明のこの態様では、第1の電極層はアノード電極層であり、第2の電極層はカソード電極層であり、第1の電荷輸送層は正孔輸送層であり、第2の電荷輸送層は有機系電子輸送層であり、そして第1の埋込み電荷注入電極層は低仕事関数の金属または金属合金で形成される。
【0012】
本発明の他の態様で、埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)基板;
b)基板上の光反射性アノード電極層;
c)光反射性アノード電極層上の正孔輸送層;
d)正孔輸送層上の発光層;
e)発光層上の第1の電荷注入電極層(電荷注入電極層は電気的浮動状態にある);
f)電荷注入電極層上の有機電子輸送層;および
e)有機電子輸送層上の光透過性カソード電極層;
を含む、上記発光デバイスが提供される。
【0013】
本発明はまた、埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)光透過性基板;
b)基板上の光透過性アノード電極層;
c)アノード上の正孔輸送層;
d)正孔輸送層上の第1の電荷注入電極層(電荷注入電極層は電気的浮動状態にある);
e)電荷注入電極層上の発光層;
f)発光層上の有機電子輸送層;および
g)有機電子輸送層上のカソード電極層;
を含む、上記発光デバイスを提供する。
【0014】
本発明はまた、埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)基板;
b)基板上のアノード電極層;
c)アノード上の正孔輸送層;
d)正孔輸送層上の第1の電荷注入電極層(電荷注入電極は電気的浮動状態にある);
e)電荷注入電極層上の発光層;
f)発光層上の有機電子輸送層;および
g)有機電子輸送層上の透過性カソード電極層;
を含む、上記発光デバイスを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面の簡単な説明
本発明に従って作製される発光デバイスについて、添付の図面を参照しながら説明するが、ただし、これは単なる例にすぎない。
【0016】
実施形態の詳細な説明
本発明は、実施形態として、有機電荷輸送領域に埋め込まれた埋込み電荷注入電極(ECIE)を含むOLEDデバイスを提供する。本発明はまた、実施形態として、このOLEDデバイスを形成するための方法を提供する。代表的実施形態を含むOLEDデバイス10を図1に示す。OLEDデバイス10は、基板20上に形成される。この基板20は、単に説明だけのために底部に示されているにすぎない。OLEDデバイス10は、アノード30と、正孔輸送層40と、能動発光層60と、発光層60の上の埋込み電荷注入電極(ECIE)70と、ECIE層70上の有機電子輸送層80と、層80上のカソード90と、を含む。アノード30は、インジウムスズ酸化物(ITO)、SnO2、Ni、Pt、Au、p++半導体(c-Si、a-Si、a-Si:H、ポリシリコン)を含む高仕事関数導電性材料から選択される。さらなるアノード形態については、米国特許第4,885,211号(その全体が本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている。
【0017】
正孔輸送層40は、2002年12月5日に公開された出願第10/117,812号の米国特許出願20020180349(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている材料で構成しうる。該出願には、さまざまな正孔輸送層材料、電子輸送層材料、アノード材料、およびカソード材料が開示されている。また該出願では、米国特許第4,539,507号、同第5,942,340号、および同第5,952,115号(いずれも参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられるものとする)が参照されている。
【0018】
能動発光層60の領域は、小分子およびポリマーを含む蛍光性および燐光性の材料のいずれか1種または2種以上の混合物を含みうる。たとえば、能動発光層60は、2002年12月5日に公開された出願第10/117,812号の米国特許出願20020180349(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている材料で構成しうる。該出願では、米国特許第4,539,507号;同第5,151,629号;同第5,150,006号;同第5,141,671号、および同第5,846,666号(いずれも参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられるものとする)が参照されている。米国特許出願第08/829,398号;同第09/489,144号、および米国特許第6,057,048号にも、有用な材料が開示されている。
【0019】
カソード90は、高電気伝導性の金属および合金(たとえば、ITO、Al、Cr、Cu、Ag、Au、Ni、Fe、Ni、W、Mo、およびCo)よりなる1層以上の層から選択される。Si酸化物および窒化物のような誘電体で作製される任意のカソードキャッピング層100をカソード上にスパッタリングにより堆積させてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、埋込み電荷注入電極70は、米国特許第5,776,622号にHungらにより記載されたような効率的な電子注入用のLiF/Al二層よりなるものであってもよい。埋込み電荷注入電極70に使用しうる他の好適な金属としては、Al、Mg、Ag、Ca、およびそれらの混合物を挙げうるが、これらに限定されるものではない。埋込み電荷注入電極の厚さは、2nm〜30nmの範囲内でありうる。
【0021】
OLED中に埋込み電荷注入電極(ECIE)を挿入すると、図2Aおよび2Bの結果により示されるように、電流密度-電圧(I-V)特性および輝度-電圧(L-V)特性が大幅に改善される。図2Aは、ECIEを有していない発光デバイス(黒丸で示されている)および本発明に係る図1に示されるECIEを有する発光デバイス(黒四角で示されている)の電流-電圧特性を示している。図2Bは、ECIEを有していない発光デバイス(黒丸で示されている)および図1に示されるECIEを有する発光デバイス(黒四角で示されている)の輝度-電圧特性を示している。
【0022】
両試験デバイスとも、電子輸送層(ETL)はAlqであり、80nmの厚さを有していた。ECIEは、OLEDの製造技術能力の向上を提供しうる。図3Aは、カソードとしてLiF/Al二層およびカソードとしてAg層を使用するECIEを有する発光デバイスの電流-電圧特性を示している。図3Bは、カソードとしてLiF/Al二層およびカソードとしてAg層を使用するECIEを有する発光デバイスの輝度-電圧特性を示している。従来のOLEDのデバイス性能は、カソード材料の仕事関数の影響を受けやすい。(たとえば、"8-ヒドロキシキノリンアルミニウムにおける電子の注入および輸送(Electron injection and transport in 8-hydroxyquinoline aluminum)" Stoessel et. al. Synthetic Metals Volume 111-112, p. 19を参照されたい)。電子の注入はECIEインターフェースにより決定されるので、デバイス10の性能は、カソード材料による影響を受けない。OLEDデバイスのルミネセンス-電流-電圧(L-I-V)特性を犠牲にすることなくより良好なデバイス保護を行うために種々の安定な導電性材料をカソードとして使用することは、とりわけ大きな技術的利点を有する。
【0023】
本発明を用いれば、電子輸送層80を広範に選択することもできる。図4Aは、ETLとしてAlq、C60、およびCuPcならびにカソードとしてLi/Alを使用するECIEを有する発光デバイスの電流-電圧特性を示しており、図4Bは、ETLとしてAlq、C60、およびCuPcならびにカソードとしてLi/Alを使用するECIEを有する発光デバイスの輝度-電圧特性を示している。好適な電子伝導性有機材料としては、トリス-(8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq)、CuPc、C60、C70、およびBCPが挙げられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、電子輸送層80は、2002年12月5日に公開された出願第10/117,812号の米国特許出願20020180349(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている材料で構成しうる。ルミネセンス領域もまた、電子輸送特性を有する1種以上の材料を含みうる。ルミネセンス領域に使用しうる電子輸送材料の具体例は、ポリ(9,9-ジ-n-オクチルフルオレン-2,7-ジイル)、ポリ(2,8-(6,7,12,12-テトラアルキルインデノフルオレン)のようなポリフルオレン、およびBernius et al., Proceedings of SPIE Conference on Organic Light Emitting materials and Devices III, Denver, Colo., July 1999, Volume 3797, p. 129に開示されているようなフルオレン-アミンコポリマーのようなフルオレン含有コポリマーである。使用しうる電子輸送材料の他の例は、金属オキシノイド化合物、オキサジアゾール金属キレート化合物、トリアジン化合物、およびスチルベン化合物である。
【0024】
製造の柔軟性に関するECIEの技術的利点をさらに示すために、図5Aは、ETLとしてCuPcおよびカソードとしてAgを使用するECIEを有する発光デバイスの電流-電圧特性を示しており、図5Bは、同一の発光デバイスの輝度-電圧特性を示している。図4A〜5Bは、ETL有機物質およびカソード材料の広範な選択が可能であることを明確に示している。
【0025】
ECIEおよび電子輸送層80の厚さの適正な選択を行えば、環境光の相殺的干渉が提供されるので、高コントラストのOLEDデバイスを得ることができる。光干渉の原理は、Hungらに付与された米国特許第6,429,451号およびHofstraらに付与された米国特許第6,411,019号に開示されているのと同一である。デバイス10(本発明に係る)および従来のOLEDの反射率を、法線方向に対して7°の角度で測定した。OLEDから反射されて観測者に戻ってきた入射周囲光のパーセントの形で表された結果(全可視光領域にわたる)は、図6Aに示されるとおりある。前述の2つのデバイスの視覚画像は、図6Bに示されるとおりある。(デバイスの暗色部分は、ECIEを有するOLEDである)。したがって、本発明に係るECIEを含むOLEDデバイスは、テレビ用、コンピューター用、携帯電話用、および装置用のディスプレイのような広範にわたるOLED用途で使用することができる。
【0026】
本発明の他の実施形態では、アノード電極は反射性でありうる。そしてカソードは光透過性でありうる。したがって、構造体は、基板と、基板上の光反射性アノード電極層と、光反射性アノード電極層上の正孔輸送層と、正孔輸送層上の発光層と、発光層上の第1の電荷注入電極層(電荷注入電極層は電気的浮動状態にある)と、電荷注入電極層上の有機電子輸送層と、有機電子輸送層上の光透過性カソード電極層と、を含むであろう。
【0027】
この構成では、埋込み電荷注入電極の厚さ、正孔輸送層の厚さ、および発光層の厚さは、あらかじめ選択された波長の光の相殺的干渉を起こすように選択される。
【0028】
デバイス10の大量生産が容易である理由は、ECIE層70が、先行技術のOLEDデバイスと比較してカソード層からかなり離間して配置されているという事実にある。通常のOLED上にスパッタリングにより堆積させることは不可能である。なぜなら、高エネルギープラズマ種によりカソード界面に損傷を生じるからである(S. Han et al, "上面発光型有機発光ダイオード用の透明カソード(Transparent-cathode for top-emission organic light-emitting diodes)", Appl. Phys. Lett. V82 (n16), 2715 (2003)を参照されたい)。OLEDデバイス10の利点は、カソード90が電気接点としてのみ機能し、一方、電荷注入がECIE層70を介して行われ、ECIE層70の側方電気伝導性が高いので、層80と層90との界面になんらかの局所的「デッド」電気スポットが生じたとしても、電荷が再分配されることである。図7Aに示されるルミネセンスvs電圧データは、厚さ20nmのAlまたはAgのカソードを熱蒸発により堆積させた後で100nmのITOをスパッター堆積させたOLEDデバイスで得たものである。図7Aは、Agのような高原子番号金属を使用すれば、スパッター損傷がECIEを越えることがないように制限するのに十分であることを示している。ここでは、ECIEは、わずか3nmの厚さにすぎない。
【0029】
デバイス10のさらなる機能は、EL層60からの光が基板20およびカソード90を通って逃散して両面発光型ELデバイスが形成されうるように、ECIE 70およびカソード90の両方を光透過性の薄い金属膜で作製できることである。図7Aについて説明する。この輝度-電圧は、層20を通った光出力を記録したものである。図7Bは、図7Aに示されるのと同一の試験デバイスの同一のECIE/ETL/カソード層のスタックしたAg/Alq/Al層およびAl/Alq/Al層の光透過率スペクトルを示している。
【0030】
デバイス10のアノード30は、光反射性材料で作製可能であり、ECIE 70およびカソード90は、薄い光透過性金属で作製可能である。このタイプのデバイスは、一般に、上面発光型有機光デバイス(TOLED)と呼ばれる。
【0031】
図8は、構造:基板/Al(50nm)/Alq(80nm)/LiF(0.5nm)/[埋込みAl層](x nm)/Alq(80nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)を有するデバイスの電流-電圧特性を示している。デバイス性能を試験するために、埋込みAl厚さ(x)を変化させた。データは、埋込み浮動電極が動作電圧を低下させることを明確に示している。これは、非常に重要なことであり、かつ予想外の結果である。
【0032】
本発明の他の実施形態では、埋込み電荷注入電極層は、正孔輸送層40とエレクトロルミネセンス層60との間に挿入可能である。図9について説明する。この図には、埋込み電荷注入電極層71が正孔輸送層40とEL層60との間に位置するディスプレイデバイス50が示されている。この埋込み電荷注入電極は、高仕事関数の金属または金属酸化物で形成される。たとえば、層71は、金属酸化物の酸化スズインジウム(ITO)または正孔を注入しうる金属から作製可能である。たとえば、金、Ni、白金、および銀のような金属が好ましい。
【0033】
このほか、ディスプレイデバイスは、図1に示される電子輸送層80とEL層60との間の埋込み電荷注入電極層70と、図9に示される正孔輸送層40とEL層60との間の埋込み電荷注入電極層71と、の両方を含みうる。
【0034】
望ましくない波長の相殺的干渉を得るために、図9に示されるように埋込み電荷注入電極71を正孔輸送層40とEL層60との間に配置する場合、第1の埋込み電荷注入電極の厚さ、発光層の厚さ、および電子輸送層の厚さは、あらかじめ選択された波長の光の相殺的干渉を起こすように選択される。
【0035】
次に、カソード90/電子輸送層80/埋込み荷電電極70の各要素の機能について論じる。前部の薄い金属ミラーがデバイス動作になんらかの役割を果たすかを調べるために、異なるECIE-ETL-カソード構造(金属-有機-金属(MOM)構造とも呼ばれる)を有するOLEDおよび2つの「対照」デバイスを作製した。「対照1」は、ITO/TPD(60nm)/Alq(68nm)/LiF/Al(100nm)構造を有し、「対照2」は、単純にECIE-ETL-カソードOLEDからECIEを除いたITO/TPD(60nm)/Alq(148nm)/LiF/Al(100nm)構造を有する。図10に示されるように、MOMカソードを有するデバイスのJ-V特性は、通常のLiF/Alカソード(「対照1」)を有するデバイスに匹敵するが、ECIEを除去した場合(「対照2」)、電流密度は劇的に減少することがわかる。このことから、ECIEが電荷注入過程に重要な役割を果たすことが示唆される。
【0036】
これについてさらに試験するために、ECIE-有機-ETL-カソードの後部LiF/Al二層カソードをAg層カソードで置き換えたが、図10に示されるようにI-V特性の変化をほとんど生じない。有機スペース層を貫通して進入した金属アイランドによるECIEとカソード層との間の電気的短絡のような他の物理的原因を取り除くために、ECIEとカソードとの間で有機スペーサーとして正孔輸送性TPDを用いてデバイスを作製した。その結果、電流密度は、電子輸送スペーサーを有する他のデバイスの電流密度より4〜5オーダー低く、そのようなダイオードからは観測可能な光出力は得られないことがわかる。ECIEの正確なデバイス物理学について知るには、さらなる理論的検討が必要であるが、ECIEが埋込み浮動電子注入電極として機能し、一方、後部金属電極が外部回路への電気接点として機能することはかなり明らかである。デバイス物理学の観点から見て、本発明のデバイス構造体は、事実上、電子の貯蔵および注入の役割を果たす浮動電極を有する三電極デバイスであり、いくらかフラッシュメモリーデバイスに類似している。ここ見られる差異は、有機スペーサーが半導電性であるのに対して、フラッシュメモリーデバイス中では浮動電極70が絶縁性層により分離されていることである。なんら理論により制限されるものではないが、前部浮動電極および後部電極の両方からの電子の注入は、順方向バイアス下で同時に起こる。しかしながら、これらの2つのインターフェースにおける初期の注入速度は、異なりうる。このため、有機スペーサーを横切ってビルトインポテンシャルを生じるであろう。ビルトインポテンシャルは、最終的には、ECIEとカソードとの間の平衡電子流を確立するのに役立つであろう。
【0037】
本明細書中で使用する場合、「含む」(comprises、comprising、including、およびincludes)という用語は、包括的、拡張的、かつ非排他的なものであるとみなされる。とくに、特許請求の範囲を含めて本明細書中で使用する場合、「含む」(comprises、comprising、including、およびincludes)という用語ならびにそれらの変化形は、指定された特徴、工程、または要素が包含されることを意味する。これらの用語は、他の特徴、工程、または要素の存在を除外するように解釈すべきものではない。
【0038】
本発明の好ましい実施形態についての以上の説明は、本発明の原理を例示すべく提示されたものであり、例示された特定の実施形態に本発明を制限しようとするものではない。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内に包含されるすべての実施形態により規定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明に従って構成された埋込み電荷注入電極(ECIE)を有する発光デバイスの概略断面図である。
【図2A】図2Aは、ECIEを有していない発光デバイス(黒丸で示されている)および図1に示されるECIEを有する発光デバイス(黒四角で示されている)の電流-電圧特性を示している。
【図2B】図2Bは、ECIEを有していない発光デバイス(黒丸で示されている)および図1に示されるECIEを有する発光デバイス(黒四角で示されている)の輝度-電圧特性を示している。
【図3A】図3Aは、カソードとしてLiF/Al二層(黒四角で示されている)およびカソードとしてAg層(黒丸で示されている)を使用するECIEを有する発光デバイスの電流-電圧特性を示している。
【図3B】図3Bは、カソードとしてLiF/Al二層(黒四角で示されている)およびカソードとしてAg層(黒丸で示されている)を使用するECIEを有する発光デバイスの輝度-電圧特性を示している。
【図4A】図4Aは、電子輸送層(ETL)としてAlq、C60、およびCuPcならびにカソードとしてLi/Alを使用するECIEを有する発光デバイスの電流-電圧特性を示している。
【図4B】図4Bは、ETLとしてAlq、C60、およびCuPcならびにカソードとしてLi/Alを使用するECIEを有する発光デバイスの輝度-電圧特性を示している。
【図5A】図5Aは、ETLとしてCuPcおよびカソード材料としてAgを使用するECIEを有する発光デバイスの電流-電圧特性を示している。
【図5B】図5Bは、ETLとしてCuPcおよびカソード材料としてAgを使用する埋込み電荷注入電極(ECIE)を有する発光デバイスの輝度-電圧特性を示している。
【図6A】図6Aは、ECILを有する有機ELデバイスおよび通常の有機エレクトロルミネセンス(EL)デバイスから得られた光反射率-波長特性をグラフで示している。
【図6B】図6Bは、ECIEを有するELデバイス(左上の暗色部分)および通常のELデバイス(右下の光輝部分)の写真を示している。
【図7A】図7Aは、スパッタリングにより堆積された薄い金属カソードおよび100nm ITO層を含むECILを有する有機ELデバイスの電流-電圧特性の形状をグラフで示したものであり、金属カソードは、それぞれ、厚さ20nmのAlおよびAgである。
【図7B】図7Bは、ECIE/Alq/カソードのスタックから得られた光透過率スペクトルを示している。
【図8】図8は、構造:基板/Al(50nm)/Alq(80nm)/LiF(0.5nm)/[埋込みAl層(x nm)]/Alq(80nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)を有するデバイスの電流-電圧特性を示している。デバイス性能を試験するために埋込みAl厚さxを変化させた。埋込み浮動電極が動作電圧を低下させることはデータから明らかである。
【図9】図9は、正孔輸送層とEL層との間に位置する埋込み電荷注入電極(ECIE)を有する発光デバイスの他の実施形態の概略断面図を示している。
【図10】図10は、表記されているとおりの種々のECIL-有機ETL-カソード構造を有する1×2mm2 OLEDデバイスのL-J-V特性を示している。従来の一層カソードを有する参照OLEDは、従来のOLED構造:ITO/TPD(60nm)/Alq(68nm)/LiF/Al(100nm)を有する「対照1」として、および従来の構造:ITO/TPD(60nm)/Alq(148nm)/LiF/Al(100nm)を有する「対照2」として、表記されている。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、有機系発光デバイス(OLED)に関し、より特定的には、本発明は、埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
典型的な有機発光デバイス(OLED)は、アノードと、1種以上のエレクトロルミネセンス有機材料を含む能動発光ゾーンと、カソードと、を含む。デバイスの目視側にある一方の電極は光透過性であり、他方の電極は光反射性である。アノードの機能は、正孔と呼ばれる正荷電粒子を発光ゾーンに注入することであり、カソードの機能は、電子を発光ゾーンに注入することである。電子と正孔との再結合に関与する過程は、再結合ゾーンから放出される光の生成である。光波は、前述の光透過性電極を通って放出される。
【0003】
CW Tangに付与された米国特許第4,356,429号には、アノードと発光ゾーンとの間に正孔輸送層を挿入し、カソードと発光ゾーンとの間に電子輸送層を挿入することが開示されている。特定の有機分子は正孔を輸送する点では優れているが、電子を輸送する点では非常に劣っていることが十分に裏付けられている。最適のデバイス性能を得るためには発光ゾーンにおいて電子密度と正孔密度とのバランスをとることが決定的に重要である(たとえば、Aziz et al, "小分子系有機発光デバイスの劣化機構(Degradation Mechanism of Small Molecule-Based Organic Light-Emitting Devices)" Science, 283, 1900 (1999)を参照されたい)。電子注入を増強するために、最低空分子軌道(LUMO)に対する優れたエネルギーバンド整合を提供するCaやMgのような低仕事関数金属がカソード材料として選択されてきた。しかしながら、低仕事関数金属は、反応性が高いので、気相金属原子が有機膜表面に当たったときに有機分子のフラグメンテーションを引き起こす(A. Turak et al "金属/AlQ3界面構造(Metal/AlQ3 interface structures)", Appl. Phys. Lett. V81 (n4), 766 (2002)を参照されたい)。これにより、カソード材料としての低仕事関数金属の利用能は制限される。
【0004】
カソードの他の問題は、低い基板温度(<100℃)で熱蒸発により形成される金属膜の劣悪な粒状構造に関連する(M. Wu, "有機表面上における金属薄膜成長(Metallic Thin Film Growth on Organic Surface)", B.Sc. Thesis, University of Toronto, April 2003)。発光デバイスの安定性は、カソードと有機層との間の界面酸化物形成の問題を抱えている。酸化物形成は、カソード金属原子と、ピンホールや粒界を介してカソード中を拡散する酸素分子や水分子のような周囲酸化剤ガスと、の反応により引き起こされる(X. D. Feng, et al , "XPSによる有機発光ダイオード中のAlq/Mg:Ag界面の研究(Studies of Alq/Mg: Ag Interface in Organic Light-Emitting Diodes by XPS)", MRS Proceedings V 725, 31 (2002)を参照されたい)。酸化された領域は、カソードからの電子注入経路を遮断する。これは、有機材料の低側方電子伝導性と相まって、デッド発光ゾーンの形成をもたらす(たとえば、H. Aziz et al "有機発光デバイス中のトリスN8-ヒドロキシキノリンアルミニウム層の湿度誘発結晶化(Humidity-induced crystallization of tris N8-hydroxyquinoline aluminum layers in organic light-emitting devices)", Appl. Phys. Lett. 72 (n7), 756 (1998)を参照されたい)。
【0005】
純粋な物質または酸化物、硫化物などのスパッター堆積は、均一な膜を生成することが知られている。しかしながら、スパッタリングプロセス時にプラズマ中に生成される高エネルギー種は、金属または導電性透明金属酸化物(たとえばインジウムスズ酸化物(ITO))のような導電層をスパッター堆積させる際にカソード/有機物界面に損傷を引き起こすことがよく知られている。これは、前述のデッド発光ゾーンの形成をもたらし、さらにデバイスの完全故障を招くおそれもある(たとえば、S. Han et al, "上面発光型有機発光ダイオード用の透明カソード(Transparent-cathode for top-emission organic light-emitting diodes)", Appl. Phys. Lett. V82 (n16), 2715 (2003)を参照されたい)。
【0006】
周囲照明が非常に強い場合、実質量の周囲光が反射性電極により反射されるので、透明電極を通って放出される光の視覚的知覚コントラストが劣化する。あらゆる周囲照明条件(たとえば完全太陽光)の下でOLEDデバイスを容易に目視しうることがきわめて重要である。
【0007】
上面発光型有機発光ダイオードは、OLEDデバイスを電気駆動器と一体化させるうえで非常に重要である。それは、配線やトランジスターのような要素からの妨害をなんら受けることなくすべての回路を底部に配置できるという理由で、アクティブマトリックスOLEDディスプレイ用として望ましいものである。しかしながら、上面発光型OLEDデバイスの製造効率(時間および歩留り)ならびにデバイス性能はいずれも、ITOスパッタリングにより悪影響を受ける。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明の目的は、(a)熱蒸発、スパッタリング、およびPECVD(プラズマ増強化学気相堆積)をはじめとする有効な薄膜堆積法を用いて多種多様な材料からロバストなカソードを製造すること;(b)埋込み電極を介して発光性有機物質のLUMOに対するより良好なエネルギーバンド整合を有するロバストな電子伝導性分子をより広範に選択すること;を可能にすべくデバイス内に埋め込まれた浮動電荷注入電極を有するロバストな発光デバイスを設計することである。
【0009】
本発明の他の目的は、埋込み電荷注入電極を光干渉層として使用し、かつ電子輸送層、正孔輸送層、または発光層をスペーサーとして使用することである。埋込み電荷注入電極および反射性のカソードまたはアノードによる相殺的光干渉により、周囲光の反射を減少させる。
【0010】
本発明の一態様では、埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)光透過性基板;
b)基板上の光透過性の第1の電極層;
c)第1の電極層から第1の電荷輸送層に注入された電荷を輸送するための第1の電極層上の第1の電荷輸送層;
d)第1の電荷輸送層上の発光層;
e)発光層上の第1の電荷注入電極層(電荷注入電極層は電気的浮動状態にある);
f)第1の電荷注入電極層上の第2の電荷輸送層;および
g)第2の電荷輸送層上の第2の電極層;
を含み、
第2の電荷輸送層が、第2の電極層から注入された電荷を輸送するためにある、上記発光デバイスが提供される。
【0011】
本発明のこの態様では、第1の電極層はアノード電極層であり、第2の電極層はカソード電極層であり、第1の電荷輸送層は正孔輸送層であり、第2の電荷輸送層は有機系電子輸送層であり、そして第1の埋込み電荷注入電極層は低仕事関数の金属または金属合金で形成される。
【0012】
本発明の他の態様で、埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)基板;
b)基板上の光反射性アノード電極層;
c)光反射性アノード電極層上の正孔輸送層;
d)正孔輸送層上の発光層;
e)発光層上の第1の電荷注入電極層(電荷注入電極層は電気的浮動状態にある);
f)電荷注入電極層上の有機電子輸送層;および
e)有機電子輸送層上の光透過性カソード電極層;
を含む、上記発光デバイスが提供される。
【0013】
本発明はまた、埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)光透過性基板;
b)基板上の光透過性アノード電極層;
c)アノード上の正孔輸送層;
d)正孔輸送層上の第1の電荷注入電極層(電荷注入電極層は電気的浮動状態にある);
e)電荷注入電極層上の発光層;
f)発光層上の有機電子輸送層;および
g)有機電子輸送層上のカソード電極層;
を含む、上記発光デバイスを提供する。
【0014】
本発明はまた、埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)基板;
b)基板上のアノード電極層;
c)アノード上の正孔輸送層;
d)正孔輸送層上の第1の電荷注入電極層(電荷注入電極は電気的浮動状態にある);
e)電荷注入電極層上の発光層;
f)発光層上の有機電子輸送層;および
g)有機電子輸送層上の透過性カソード電極層;
を含む、上記発光デバイスを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面の簡単な説明
本発明に従って作製される発光デバイスについて、添付の図面を参照しながら説明するが、ただし、これは単なる例にすぎない。
【0016】
実施形態の詳細な説明
本発明は、実施形態として、有機電荷輸送領域に埋め込まれた埋込み電荷注入電極(ECIE)を含むOLEDデバイスを提供する。本発明はまた、実施形態として、このOLEDデバイスを形成するための方法を提供する。代表的実施形態を含むOLEDデバイス10を図1に示す。OLEDデバイス10は、基板20上に形成される。この基板20は、単に説明だけのために底部に示されているにすぎない。OLEDデバイス10は、アノード30と、正孔輸送層40と、能動発光層60と、発光層60の上の埋込み電荷注入電極(ECIE)70と、ECIE層70上の有機電子輸送層80と、層80上のカソード90と、を含む。アノード30は、インジウムスズ酸化物(ITO)、SnO2、Ni、Pt、Au、p++半導体(c-Si、a-Si、a-Si:H、ポリシリコン)を含む高仕事関数導電性材料から選択される。さらなるアノード形態については、米国特許第4,885,211号(その全体が本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている。
【0017】
正孔輸送層40は、2002年12月5日に公開された出願第10/117,812号の米国特許出願20020180349(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている材料で構成しうる。該出願には、さまざまな正孔輸送層材料、電子輸送層材料、アノード材料、およびカソード材料が開示されている。また該出願では、米国特許第4,539,507号、同第5,942,340号、および同第5,952,115号(いずれも参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられるものとする)が参照されている。
【0018】
能動発光層60の領域は、小分子およびポリマーを含む蛍光性および燐光性の材料のいずれか1種または2種以上の混合物を含みうる。たとえば、能動発光層60は、2002年12月5日に公開された出願第10/117,812号の米国特許出願20020180349(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている材料で構成しうる。該出願では、米国特許第4,539,507号;同第5,151,629号;同第5,150,006号;同第5,141,671号、および同第5,846,666号(いずれも参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられるものとする)が参照されている。米国特許出願第08/829,398号;同第09/489,144号、および米国特許第6,057,048号にも、有用な材料が開示されている。
【0019】
カソード90は、高電気伝導性の金属および合金(たとえば、ITO、Al、Cr、Cu、Ag、Au、Ni、Fe、Ni、W、Mo、およびCo)よりなる1層以上の層から選択される。Si酸化物および窒化物のような誘電体で作製される任意のカソードキャッピング層100をカソード上にスパッタリングにより堆積させてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、埋込み電荷注入電極70は、米国特許第5,776,622号にHungらにより記載されたような効率的な電子注入用のLiF/Al二層よりなるものであってもよい。埋込み電荷注入電極70に使用しうる他の好適な金属としては、Al、Mg、Ag、Ca、およびそれらの混合物を挙げうるが、これらに限定されるものではない。埋込み電荷注入電極の厚さは、2nm〜30nmの範囲内でありうる。
【0021】
OLED中に埋込み電荷注入電極(ECIE)を挿入すると、図2Aおよび2Bの結果により示されるように、電流密度-電圧(I-V)特性および輝度-電圧(L-V)特性が大幅に改善される。図2Aは、ECIEを有していない発光デバイス(黒丸で示されている)および本発明に係る図1に示されるECIEを有する発光デバイス(黒四角で示されている)の電流-電圧特性を示している。図2Bは、ECIEを有していない発光デバイス(黒丸で示されている)および図1に示されるECIEを有する発光デバイス(黒四角で示されている)の輝度-電圧特性を示している。
【0022】
両試験デバイスとも、電子輸送層(ETL)はAlqであり、80nmの厚さを有していた。ECIEは、OLEDの製造技術能力の向上を提供しうる。図3Aは、カソードとしてLiF/Al二層およびカソードとしてAg層を使用するECIEを有する発光デバイスの電流-電圧特性を示している。図3Bは、カソードとしてLiF/Al二層およびカソードとしてAg層を使用するECIEを有する発光デバイスの輝度-電圧特性を示している。従来のOLEDのデバイス性能は、カソード材料の仕事関数の影響を受けやすい。(たとえば、"8-ヒドロキシキノリンアルミニウムにおける電子の注入および輸送(Electron injection and transport in 8-hydroxyquinoline aluminum)" Stoessel et. al. Synthetic Metals Volume 111-112, p. 19を参照されたい)。電子の注入はECIEインターフェースにより決定されるので、デバイス10の性能は、カソード材料による影響を受けない。OLEDデバイスのルミネセンス-電流-電圧(L-I-V)特性を犠牲にすることなくより良好なデバイス保護を行うために種々の安定な導電性材料をカソードとして使用することは、とりわけ大きな技術的利点を有する。
【0023】
本発明を用いれば、電子輸送層80を広範に選択することもできる。図4Aは、ETLとしてAlq、C60、およびCuPcならびにカソードとしてLi/Alを使用するECIEを有する発光デバイスの電流-電圧特性を示しており、図4Bは、ETLとしてAlq、C60、およびCuPcならびにカソードとしてLi/Alを使用するECIEを有する発光デバイスの輝度-電圧特性を示している。好適な電子伝導性有機材料としては、トリス-(8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq)、CuPc、C60、C70、およびBCPが挙げられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、電子輸送層80は、2002年12月5日に公開された出願第10/117,812号の米国特許出願20020180349(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている材料で構成しうる。ルミネセンス領域もまた、電子輸送特性を有する1種以上の材料を含みうる。ルミネセンス領域に使用しうる電子輸送材料の具体例は、ポリ(9,9-ジ-n-オクチルフルオレン-2,7-ジイル)、ポリ(2,8-(6,7,12,12-テトラアルキルインデノフルオレン)のようなポリフルオレン、およびBernius et al., Proceedings of SPIE Conference on Organic Light Emitting materials and Devices III, Denver, Colo., July 1999, Volume 3797, p. 129に開示されているようなフルオレン-アミンコポリマーのようなフルオレン含有コポリマーである。使用しうる電子輸送材料の他の例は、金属オキシノイド化合物、オキサジアゾール金属キレート化合物、トリアジン化合物、およびスチルベン化合物である。
【0024】
製造の柔軟性に関するECIEの技術的利点をさらに示すために、図5Aは、ETLとしてCuPcおよびカソードとしてAgを使用するECIEを有する発光デバイスの電流-電圧特性を示しており、図5Bは、同一の発光デバイスの輝度-電圧特性を示している。図4A〜5Bは、ETL有機物質およびカソード材料の広範な選択が可能であることを明確に示している。
【0025】
ECIEおよび電子輸送層80の厚さの適正な選択を行えば、環境光の相殺的干渉が提供されるので、高コントラストのOLEDデバイスを得ることができる。光干渉の原理は、Hungらに付与された米国特許第6,429,451号およびHofstraらに付与された米国特許第6,411,019号に開示されているのと同一である。デバイス10(本発明に係る)および従来のOLEDの反射率を、法線方向に対して7°の角度で測定した。OLEDから反射されて観測者に戻ってきた入射周囲光のパーセントの形で表された結果(全可視光領域にわたる)は、図6Aに示されるとおりある。前述の2つのデバイスの視覚画像は、図6Bに示されるとおりある。(デバイスの暗色部分は、ECIEを有するOLEDである)。したがって、本発明に係るECIEを含むOLEDデバイスは、テレビ用、コンピューター用、携帯電話用、および装置用のディスプレイのような広範にわたるOLED用途で使用することができる。
【0026】
本発明の他の実施形態では、アノード電極は反射性でありうる。そしてカソードは光透過性でありうる。したがって、構造体は、基板と、基板上の光反射性アノード電極層と、光反射性アノード電極層上の正孔輸送層と、正孔輸送層上の発光層と、発光層上の第1の電荷注入電極層(電荷注入電極層は電気的浮動状態にある)と、電荷注入電極層上の有機電子輸送層と、有機電子輸送層上の光透過性カソード電極層と、を含むであろう。
【0027】
この構成では、埋込み電荷注入電極の厚さ、正孔輸送層の厚さ、および発光層の厚さは、あらかじめ選択された波長の光の相殺的干渉を起こすように選択される。
【0028】
デバイス10の大量生産が容易である理由は、ECIE層70が、先行技術のOLEDデバイスと比較してカソード層からかなり離間して配置されているという事実にある。通常のOLED上にスパッタリングにより堆積させることは不可能である。なぜなら、高エネルギープラズマ種によりカソード界面に損傷を生じるからである(S. Han et al, "上面発光型有機発光ダイオード用の透明カソード(Transparent-cathode for top-emission organic light-emitting diodes)", Appl. Phys. Lett. V82 (n16), 2715 (2003)を参照されたい)。OLEDデバイス10の利点は、カソード90が電気接点としてのみ機能し、一方、電荷注入がECIE層70を介して行われ、ECIE層70の側方電気伝導性が高いので、層80と層90との界面になんらかの局所的「デッド」電気スポットが生じたとしても、電荷が再分配されることである。図7Aに示されるルミネセンスvs電圧データは、厚さ20nmのAlまたはAgのカソードを熱蒸発により堆積させた後で100nmのITOをスパッター堆積させたOLEDデバイスで得たものである。図7Aは、Agのような高原子番号金属を使用すれば、スパッター損傷がECIEを越えることがないように制限するのに十分であることを示している。ここでは、ECIEは、わずか3nmの厚さにすぎない。
【0029】
デバイス10のさらなる機能は、EL層60からの光が基板20およびカソード90を通って逃散して両面発光型ELデバイスが形成されうるように、ECIE 70およびカソード90の両方を光透過性の薄い金属膜で作製できることである。図7Aについて説明する。この輝度-電圧は、層20を通った光出力を記録したものである。図7Bは、図7Aに示されるのと同一の試験デバイスの同一のECIE/ETL/カソード層のスタックしたAg/Alq/Al層およびAl/Alq/Al層の光透過率スペクトルを示している。
【0030】
デバイス10のアノード30は、光反射性材料で作製可能であり、ECIE 70およびカソード90は、薄い光透過性金属で作製可能である。このタイプのデバイスは、一般に、上面発光型有機光デバイス(TOLED)と呼ばれる。
【0031】
図8は、構造:基板/Al(50nm)/Alq(80nm)/LiF(0.5nm)/[埋込みAl層](x nm)/Alq(80nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)を有するデバイスの電流-電圧特性を示している。デバイス性能を試験するために、埋込みAl厚さ(x)を変化させた。データは、埋込み浮動電極が動作電圧を低下させることを明確に示している。これは、非常に重要なことであり、かつ予想外の結果である。
【0032】
本発明の他の実施形態では、埋込み電荷注入電極層は、正孔輸送層40とエレクトロルミネセンス層60との間に挿入可能である。図9について説明する。この図には、埋込み電荷注入電極層71が正孔輸送層40とEL層60との間に位置するディスプレイデバイス50が示されている。この埋込み電荷注入電極は、高仕事関数の金属または金属酸化物で形成される。たとえば、層71は、金属酸化物の酸化スズインジウム(ITO)または正孔を注入しうる金属から作製可能である。たとえば、金、Ni、白金、および銀のような金属が好ましい。
【0033】
このほか、ディスプレイデバイスは、図1に示される電子輸送層80とEL層60との間の埋込み電荷注入電極層70と、図9に示される正孔輸送層40とEL層60との間の埋込み電荷注入電極層71と、の両方を含みうる。
【0034】
望ましくない波長の相殺的干渉を得るために、図9に示されるように埋込み電荷注入電極71を正孔輸送層40とEL層60との間に配置する場合、第1の埋込み電荷注入電極の厚さ、発光層の厚さ、および電子輸送層の厚さは、あらかじめ選択された波長の光の相殺的干渉を起こすように選択される。
【0035】
次に、カソード90/電子輸送層80/埋込み荷電電極70の各要素の機能について論じる。前部の薄い金属ミラーがデバイス動作になんらかの役割を果たすかを調べるために、異なるECIE-ETL-カソード構造(金属-有機-金属(MOM)構造とも呼ばれる)を有するOLEDおよび2つの「対照」デバイスを作製した。「対照1」は、ITO/TPD(60nm)/Alq(68nm)/LiF/Al(100nm)構造を有し、「対照2」は、単純にECIE-ETL-カソードOLEDからECIEを除いたITO/TPD(60nm)/Alq(148nm)/LiF/Al(100nm)構造を有する。図10に示されるように、MOMカソードを有するデバイスのJ-V特性は、通常のLiF/Alカソード(「対照1」)を有するデバイスに匹敵するが、ECIEを除去した場合(「対照2」)、電流密度は劇的に減少することがわかる。このことから、ECIEが電荷注入過程に重要な役割を果たすことが示唆される。
【0036】
これについてさらに試験するために、ECIE-有機-ETL-カソードの後部LiF/Al二層カソードをAg層カソードで置き換えたが、図10に示されるようにI-V特性の変化をほとんど生じない。有機スペース層を貫通して進入した金属アイランドによるECIEとカソード層との間の電気的短絡のような他の物理的原因を取り除くために、ECIEとカソードとの間で有機スペーサーとして正孔輸送性TPDを用いてデバイスを作製した。その結果、電流密度は、電子輸送スペーサーを有する他のデバイスの電流密度より4〜5オーダー低く、そのようなダイオードからは観測可能な光出力は得られないことがわかる。ECIEの正確なデバイス物理学について知るには、さらなる理論的検討が必要であるが、ECIEが埋込み浮動電子注入電極として機能し、一方、後部金属電極が外部回路への電気接点として機能することはかなり明らかである。デバイス物理学の観点から見て、本発明のデバイス構造体は、事実上、電子の貯蔵および注入の役割を果たす浮動電極を有する三電極デバイスであり、いくらかフラッシュメモリーデバイスに類似している。ここ見られる差異は、有機スペーサーが半導電性であるのに対して、フラッシュメモリーデバイス中では浮動電極70が絶縁性層により分離されていることである。なんら理論により制限されるものではないが、前部浮動電極および後部電極の両方からの電子の注入は、順方向バイアス下で同時に起こる。しかしながら、これらの2つのインターフェースにおける初期の注入速度は、異なりうる。このため、有機スペーサーを横切ってビルトインポテンシャルを生じるであろう。ビルトインポテンシャルは、最終的には、ECIEとカソードとの間の平衡電子流を確立するのに役立つであろう。
【0037】
本明細書中で使用する場合、「含む」(comprises、comprising、including、およびincludes)という用語は、包括的、拡張的、かつ非排他的なものであるとみなされる。とくに、特許請求の範囲を含めて本明細書中で使用する場合、「含む」(comprises、comprising、including、およびincludes)という用語ならびにそれらの変化形は、指定された特徴、工程、または要素が包含されることを意味する。これらの用語は、他の特徴、工程、または要素の存在を除外するように解釈すべきものではない。
【0038】
本発明の好ましい実施形態についての以上の説明は、本発明の原理を例示すべく提示されたものであり、例示された特定の実施形態に本発明を制限しようとするものではない。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内に包含されるすべての実施形態により規定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明に従って構成された埋込み電荷注入電極(ECIE)を有する発光デバイスの概略断面図である。
【図2A】図2Aは、ECIEを有していない発光デバイス(黒丸で示されている)および図1に示されるECIEを有する発光デバイス(黒四角で示されている)の電流-電圧特性を示している。
【図2B】図2Bは、ECIEを有していない発光デバイス(黒丸で示されている)および図1に示されるECIEを有する発光デバイス(黒四角で示されている)の輝度-電圧特性を示している。
【図3A】図3Aは、カソードとしてLiF/Al二層(黒四角で示されている)およびカソードとしてAg層(黒丸で示されている)を使用するECIEを有する発光デバイスの電流-電圧特性を示している。
【図3B】図3Bは、カソードとしてLiF/Al二層(黒四角で示されている)およびカソードとしてAg層(黒丸で示されている)を使用するECIEを有する発光デバイスの輝度-電圧特性を示している。
【図4A】図4Aは、電子輸送層(ETL)としてAlq、C60、およびCuPcならびにカソードとしてLi/Alを使用するECIEを有する発光デバイスの電流-電圧特性を示している。
【図4B】図4Bは、ETLとしてAlq、C60、およびCuPcならびにカソードとしてLi/Alを使用するECIEを有する発光デバイスの輝度-電圧特性を示している。
【図5A】図5Aは、ETLとしてCuPcおよびカソード材料としてAgを使用するECIEを有する発光デバイスの電流-電圧特性を示している。
【図5B】図5Bは、ETLとしてCuPcおよびカソード材料としてAgを使用する埋込み電荷注入電極(ECIE)を有する発光デバイスの輝度-電圧特性を示している。
【図6A】図6Aは、ECILを有する有機ELデバイスおよび通常の有機エレクトロルミネセンス(EL)デバイスから得られた光反射率-波長特性をグラフで示している。
【図6B】図6Bは、ECIEを有するELデバイス(左上の暗色部分)および通常のELデバイス(右下の光輝部分)の写真を示している。
【図7A】図7Aは、スパッタリングにより堆積された薄い金属カソードおよび100nm ITO層を含むECILを有する有機ELデバイスの電流-電圧特性の形状をグラフで示したものであり、金属カソードは、それぞれ、厚さ20nmのAlおよびAgである。
【図7B】図7Bは、ECIE/Alq/カソードのスタックから得られた光透過率スペクトルを示している。
【図8】図8は、構造:基板/Al(50nm)/Alq(80nm)/LiF(0.5nm)/[埋込みAl層(x nm)]/Alq(80nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)を有するデバイスの電流-電圧特性を示している。デバイス性能を試験するために埋込みAl厚さxを変化させた。埋込み浮動電極が動作電圧を低下させることはデータから明らかである。
【図9】図9は、正孔輸送層とEL層との間に位置する埋込み電荷注入電極(ECIE)を有する発光デバイスの他の実施形態の概略断面図を示している。
【図10】図10は、表記されているとおりの種々のECIL-有機ETL-カソード構造を有する1×2mm2 OLEDデバイスのL-J-V特性を示している。従来の一層カソードを有する参照OLEDは、従来のOLED構造:ITO/TPD(60nm)/Alq(68nm)/LiF/Al(100nm)を有する「対照1」として、および従来の構造:ITO/TPD(60nm)/Alq(148nm)/LiF/Al(100nm)を有する「対照2」として、表記されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)光透過性基板;
b)該基板上の光透過性の第1の電極層;
c)該第1の電極層から第1の電荷輸送層に注入された電荷を輸送するための該第1の電極層上の第1の電荷輸送層;
d)該第1の電荷輸送層上の発光層;
e)該発光層上の第1の電荷注入電極層(該電荷注入電極層は電気的浮動状態にある);
f)該第1の電荷注入電極層上の第2の電荷輸送層;および
g)該第2の電荷輸送層上の第2の電極層;
を含み、
該第2の電荷輸送層が、該第2の電極層から注入された電荷を輸送するためにある、上記発光デバイス。
【請求項2】
前記第1の電極層がアノード電極層であり、前記第2の電極層がカソード電極層であり、前記第1の電荷輸送層が正孔輸送層であり、前記第2の電荷輸送層が有機系電子輸送層であり、かつ前記第1の埋込み電荷注入電極層が低仕事関数の金属または金属合金で形成される、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、Ag、Al、Ca、MgおよびMg:Agの合金よりなる群から選択される材料で形成される、請求項1または2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、アルカリフッ化物/金属の二層および金属/金属の二層のうちの1つで形成される、請求項1または2に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記アルカリフッ化物/金属の二層がLiF/Alである、請求項4に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記第1の埋込み電荷注入電極が、アルカリフッ化物/金属/アルカリフッ化物またはアルカリフッ化物/金属/金属のうちの1つの三層で形成される、請求項1または2に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記アルカリフッ化物/金属/アルカリフッ化物の三層がLiF/Al/LiFであり、かつ前記フッ化物/金属/金属の三層がLiF/Al/Mgである、請求項6に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記二層中および前記三層中の金属層が2nm〜30nmの範囲内の厚さを有する、請求項4、5、6、または7に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記アルカリフッ化物層の厚さが約0.2〜1.0nmの範囲内である、請求項4、5、6、7、または8に記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記有機電子輸送層が電子伝導性有機分子で形成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項11】
前記有機電子輸送層が約30〜約300nmの範囲内の厚さを有する、請求項10に記載の発光デバイス。
【請求項12】
前記カソード電極層が、ITO、Al、Cr、Cu、Ag、Au、Ni、Fe、Ni、W、Mo、およびCoよりなる群から選択される材料で作製される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項13】
前記アノード電極層が、ITO、SnO2、Ni、Pt、Au、p++半導体(c-Si、a-Si、a-Si:H、ポリシリコン)よりなる群から選択される材料で作製される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項14】
Si酸化物および窒化物のうちの1種で構成された誘電体で前記カソード上に作製されたカソードキャッピング層を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項15】
前記発光層と前記正孔輸送層との間に第2の電荷注入電極層(該第2の電荷注入電極層は電気的浮動状態にある)を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項16】
前記第2の埋込み電荷注入電極層が、高仕事関数の金属および金属酸化物よりなる群から選択される材料で形成される、請求項15に記載の発光デバイス。
【請求項17】
前記第2の埋込み電荷注入電極層が、高仕事のインジウムスズ酸化物(ITO)、金、ニッケル、白金、および銀よりなる群から選択される材料で形成される、請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項18】
前記有機電子輸送層が、Alq、フラーレンC60およびC70、CuPc、ならびに導電性芳香族化合物よりなる群から選択される電子伝導性有機分子で形成される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項19】
前記第1の埋込み電荷注入電極の厚さおよび前記電子輸送層の厚さが、あらかじめ選択された波長の光の相殺的干渉を起こすように選択される、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項20】
埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)基板;
b)該基板上の光反射性アノード電極層;
c)該光反射性アノード電極層上の正孔輸送層;
d)該正孔輸送層上の発光層;
e)該発光層上の第1の電荷注入電極層(該電荷注入電極層は電気的浮動状態にある);
f)該電荷注入電極層上の有機電子輸送層;および
e)該有機電子輸送層上の光透過性カソード電極層;
を含む、上記発光デバイス。
【請求項21】
前記有機電子輸送層が電子伝導性分子で形成される、請求項22に記載の発光デバイス。
【請求項22】
前記有機電子輸送層が、Alq、CuPc、フラーレンC60およびC70、ならびに導電性芳香族化合物よりなる群から選択される、請求項21に記載の発光デバイス。
【請求項23】
前記有機電子輸送層が約30〜約300nmの範囲内の厚さを有する、請求項22に記載の発光デバイス。
【請求項24】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が低仕事関数の金属または金属合金で作製される、請求項20に記載の発光デバイス。
【請求項25】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、Ag、Al、Ca、MgおよびMg:Agの合金よりなる群から選択される材料で形成される、請求項24に記載の発光デバイス。
【請求項26】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、アルカリフッ化物/金属の二層および金属/金属の二層のうちの1つで形成される、請求項20、21、22、または23に記載の発光デバイス。
【請求項27】
前記アルカリフッ化物/金属の二層がLiF/Alである、請求項26に記載の発光デバイス。
【請求項28】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、アルカリフッ化物/金属/アルカリフッ化物およびアルカリフッ化物/金属/金属のうちの1つの三層で形成される、請求項20、21、22、または23に記載の発光デバイス。
【請求項29】
前記アルカリフッ化物/金属/アルカリフッ化物の三層がLiF/Al/LiFであり、かつ前記フッ化物/金属/金属の三層がLiF/Al/Mgである、請求項28に記載の発光デバイス。
【請求項30】
前記二層中および前記三層中の金属層が約2nm〜約30nmの範囲内の厚さを有する、請求項26、27、28、または29に記載の発光デバイス。
【請求項31】
前記アルカリフッ化物層の厚さが約0.2〜約1.0nmの範囲内である、請求項26、27、28、29、または30に記載の発光デバイス。
【請求項32】
前記カソード電極層が、Al、Cu、Ag、Mg:Ag、Au、およびITOよりなる群から選択される金属層、金属酸化物層、または金属層である、請求項20〜31のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項33】
前記合金層または前記金属層が15nm〜300nmの範囲内の厚さを有する、請求項32に記載の発光デバイス。
【請求項34】
Si酸化物および窒化物のうちの1種で構成された誘電体をスパッタリングにより前記カソード上に堆積させて作製されたカソードキャッピング層を含む、請求項20〜33のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項35】
前記第1の埋込み電荷注入電極の厚さおよび前記正孔輸送層の厚さおよび前記発光層の厚さが、あらかじめ選択された波長の光の相殺的干渉を起こすように選択される、請求項20に記載の発光デバイス。
【請求項36】
埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)光透過性基板;
b)該基板上の光透過性アノード電極層;
c)該アノード上の正孔輸送層;
d)該正孔輸送層上の第1の電荷注入電極層(該電荷注入電極は電気的浮動状態にある);
e)該電荷注入電極層上の発光層;
f)該発光層上の有機電子輸送層;および
g)該有機電子輸送層上のカソード電極層;
を含む、上記発光デバイス。
【請求項37】
前記発光層と前記電子輸送層との間に第2の電荷注入電極層(該第2の電荷注入電極は電気的浮動状態にある)を含む、請求項36に記載の発光デバイス。
【請求項38】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、高仕事関数の金属および金属酸化物よりなる群から選択される材料で形成される、請求項36または37に記載の発光デバイス。
【請求項39】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、高仕事のインジウムスズ酸化物(ITO)、金、ニッケル、白金、および銀よりなる群から選択される材料で形成される、請求項36、37、または38に記載の発光デバイス。
【請求項40】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、黒鉛状炭素ならびにナノ構造化炭素フラーレンC60およびC70よりなる群から選択される材料で形成される、請求項39に記載の発光デバイス。
【請求項41】
前記第2の埋込み電荷注入電極層が、低仕事関数の金属または金属合金で形成される、請求項37に記載の発光デバイス。
【請求項42】
前記第2の埋込み電荷注入電極が、Ag、Al、Ca、MgおよびMg:Agの合金よりなる群から選択される材料で形成される、請求項41に記載の発光デバイス。
【請求項43】
前記第1の埋込み電荷注入電極が、アルカリフッ化物/金属の二層および金属/金属の二層のうちの1つで形成される、請求項36に記載の発光デバイス。
【請求項44】
前記アルカリフッ化物/金属の二層がLiF/Alである、請求項43に記載の発光デバイス。
【請求項45】
前記第1の埋込み電荷注入電極の厚さおよび前記発光層の厚さおよび前記電子輸送層が、あらかじめ選択された波長の光の相殺的干渉を起こすように選択される、請求項36に記載の発光デバイス。
【請求項46】
埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)基板;
b)該基板上のアノード電極層;
c)該アノード上の正孔輸送層;
d)該正孔輸送層上の第1の電荷注入電極層(該電荷注入電極は電気的浮動状態にある);
e)該電荷注入電極層上の発光層;
f)該発光層上の有機電子輸送層;および
g)有機電子輸送層上の透過性カソード電極層;
を含む、上記発光デバイス。
【請求項47】
前記発光層と前記電子輸送層との間に第2の電荷注入電極層(該第2の電荷注入電極は電気的浮動状態にある)を含む、請求項46に記載の発光デバイス。
【請求項48】
前記第1の埋込み電荷注入電極が、高反射性金属よりなる群から選択される材料で形成される、請求項46または47に記載の発光デバイス。
【請求項49】
前記高反射性金属が、AlおよびCrよりなる群から選択される、請求項48に記載の発光デバイス。
【請求項50】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、高仕事関数の金属および金属酸化物よりなる群から選択される材料で形成される、請求項48に記載の発光デバイス。
【請求項51】
前記第1の埋込み電荷注入電極が、高仕事のインジウムスズ酸化物(ITO)、金、ニッケル、白金、および銀よりなる群から選択される材料で形成される、請求項50に記載の発光デバイス。
【請求項52】
前記第1の埋込み電荷注入電極が、黒鉛状炭素ならびにナノ構造化炭素フラーレンC60およびC70よりなる群から選択される材料で形成される、請求項50に記載の発光デバイス。
【請求項53】
前記第2の埋込み電荷注入電極層が、低仕事関数の金属または金属合金で形成される、請求項47に記載の発光デバイス。
【請求項54】
前記第2の埋込み電荷注入電極層が、Ag、Al、Ca、MgおよびMg:Agの合金よりなる群から選択される材料で形成される、請求項53に記載の発光デバイス。
【請求項55】
前記第2の埋込み電荷注入電極が、アルカリフッ化物/金属の二層および金属/金属の二層のうちの1つで形成される、請求項46に記載の発光デバイス。
【請求項56】
前記アルカリフッ化物/金属の二層がLiF/Alである、請求項55に記載の発光デバイス。
【請求項57】
前記第1の埋込み電荷注入電極が、アルカリフッ化物/金属/アルカリフッ化物およびフッ化物/金属/金属の三層のうちの1つで形成される、請求項46に記載の発光デバイス。
【請求項58】
前記アルカリフッ化物/金属/アルカリフッ化物の三層がLiF/Al/LiFであり、かつ前記フッ化物/金属/金属の三層がLiF/Al/Mgである、請求項57に記載の発光デバイス。
【請求項59】
前記第1の埋込み電荷注入電極の厚さおよび前記正孔輸送層の厚さが、あらかじめ選択された波長の光の相殺的干渉を起こすように選択される、請求項46〜58のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項60】
前記アノード電極層および前記カソード電極層ならびにそれらの間のすべての層を横切ってあらかじめ選択された電圧を印加するために前記アノード電極層と前記カソード電極層との間に接続された電力供給手段を含む、請求項1〜59のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項61】
前記発光層が、有機系の蛍光性および燐光性の分子またはポリマーおよびそれらの組合せのうちのいずれか1つを用いて作製される、請求項1〜60のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項1】
埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)光透過性基板;
b)該基板上の光透過性の第1の電極層;
c)該第1の電極層から第1の電荷輸送層に注入された電荷を輸送するための該第1の電極層上の第1の電荷輸送層;
d)該第1の電荷輸送層上の発光層;
e)該発光層上の第1の電荷注入電極層(該電荷注入電極層は電気的浮動状態にある);
f)該第1の電荷注入電極層上の第2の電荷輸送層;および
g)該第2の電荷輸送層上の第2の電極層;
を含み、
該第2の電荷輸送層が、該第2の電極層から注入された電荷を輸送するためにある、上記発光デバイス。
【請求項2】
前記第1の電極層がアノード電極層であり、前記第2の電極層がカソード電極層であり、前記第1の電荷輸送層が正孔輸送層であり、前記第2の電荷輸送層が有機系電子輸送層であり、かつ前記第1の埋込み電荷注入電極層が低仕事関数の金属または金属合金で形成される、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、Ag、Al、Ca、MgおよびMg:Agの合金よりなる群から選択される材料で形成される、請求項1または2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、アルカリフッ化物/金属の二層および金属/金属の二層のうちの1つで形成される、請求項1または2に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記アルカリフッ化物/金属の二層がLiF/Alである、請求項4に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記第1の埋込み電荷注入電極が、アルカリフッ化物/金属/アルカリフッ化物またはアルカリフッ化物/金属/金属のうちの1つの三層で形成される、請求項1または2に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記アルカリフッ化物/金属/アルカリフッ化物の三層がLiF/Al/LiFであり、かつ前記フッ化物/金属/金属の三層がLiF/Al/Mgである、請求項6に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記二層中および前記三層中の金属層が2nm〜30nmの範囲内の厚さを有する、請求項4、5、6、または7に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記アルカリフッ化物層の厚さが約0.2〜1.0nmの範囲内である、請求項4、5、6、7、または8に記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記有機電子輸送層が電子伝導性有機分子で形成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項11】
前記有機電子輸送層が約30〜約300nmの範囲内の厚さを有する、請求項10に記載の発光デバイス。
【請求項12】
前記カソード電極層が、ITO、Al、Cr、Cu、Ag、Au、Ni、Fe、Ni、W、Mo、およびCoよりなる群から選択される材料で作製される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項13】
前記アノード電極層が、ITO、SnO2、Ni、Pt、Au、p++半導体(c-Si、a-Si、a-Si:H、ポリシリコン)よりなる群から選択される材料で作製される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項14】
Si酸化物および窒化物のうちの1種で構成された誘電体で前記カソード上に作製されたカソードキャッピング層を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項15】
前記発光層と前記正孔輸送層との間に第2の電荷注入電極層(該第2の電荷注入電極層は電気的浮動状態にある)を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項16】
前記第2の埋込み電荷注入電極層が、高仕事関数の金属および金属酸化物よりなる群から選択される材料で形成される、請求項15に記載の発光デバイス。
【請求項17】
前記第2の埋込み電荷注入電極層が、高仕事のインジウムスズ酸化物(ITO)、金、ニッケル、白金、および銀よりなる群から選択される材料で形成される、請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項18】
前記有機電子輸送層が、Alq、フラーレンC60およびC70、CuPc、ならびに導電性芳香族化合物よりなる群から選択される電子伝導性有機分子で形成される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項19】
前記第1の埋込み電荷注入電極の厚さおよび前記電子輸送層の厚さが、あらかじめ選択された波長の光の相殺的干渉を起こすように選択される、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項20】
埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)基板;
b)該基板上の光反射性アノード電極層;
c)該光反射性アノード電極層上の正孔輸送層;
d)該正孔輸送層上の発光層;
e)該発光層上の第1の電荷注入電極層(該電荷注入電極層は電気的浮動状態にある);
f)該電荷注入電極層上の有機電子輸送層;および
e)該有機電子輸送層上の光透過性カソード電極層;
を含む、上記発光デバイス。
【請求項21】
前記有機電子輸送層が電子伝導性分子で形成される、請求項22に記載の発光デバイス。
【請求項22】
前記有機電子輸送層が、Alq、CuPc、フラーレンC60およびC70、ならびに導電性芳香族化合物よりなる群から選択される、請求項21に記載の発光デバイス。
【請求項23】
前記有機電子輸送層が約30〜約300nmの範囲内の厚さを有する、請求項22に記載の発光デバイス。
【請求項24】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が低仕事関数の金属または金属合金で作製される、請求項20に記載の発光デバイス。
【請求項25】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、Ag、Al、Ca、MgおよびMg:Agの合金よりなる群から選択される材料で形成される、請求項24に記載の発光デバイス。
【請求項26】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、アルカリフッ化物/金属の二層および金属/金属の二層のうちの1つで形成される、請求項20、21、22、または23に記載の発光デバイス。
【請求項27】
前記アルカリフッ化物/金属の二層がLiF/Alである、請求項26に記載の発光デバイス。
【請求項28】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、アルカリフッ化物/金属/アルカリフッ化物およびアルカリフッ化物/金属/金属のうちの1つの三層で形成される、請求項20、21、22、または23に記載の発光デバイス。
【請求項29】
前記アルカリフッ化物/金属/アルカリフッ化物の三層がLiF/Al/LiFであり、かつ前記フッ化物/金属/金属の三層がLiF/Al/Mgである、請求項28に記載の発光デバイス。
【請求項30】
前記二層中および前記三層中の金属層が約2nm〜約30nmの範囲内の厚さを有する、請求項26、27、28、または29に記載の発光デバイス。
【請求項31】
前記アルカリフッ化物層の厚さが約0.2〜約1.0nmの範囲内である、請求項26、27、28、29、または30に記載の発光デバイス。
【請求項32】
前記カソード電極層が、Al、Cu、Ag、Mg:Ag、Au、およびITOよりなる群から選択される金属層、金属酸化物層、または金属層である、請求項20〜31のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項33】
前記合金層または前記金属層が15nm〜300nmの範囲内の厚さを有する、請求項32に記載の発光デバイス。
【請求項34】
Si酸化物および窒化物のうちの1種で構成された誘電体をスパッタリングにより前記カソード上に堆積させて作製されたカソードキャッピング層を含む、請求項20〜33のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項35】
前記第1の埋込み電荷注入電極の厚さおよび前記正孔輸送層の厚さおよび前記発光層の厚さが、あらかじめ選択された波長の光の相殺的干渉を起こすように選択される、請求項20に記載の発光デバイス。
【請求項36】
埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)光透過性基板;
b)該基板上の光透過性アノード電極層;
c)該アノード上の正孔輸送層;
d)該正孔輸送層上の第1の電荷注入電極層(該電荷注入電極は電気的浮動状態にある);
e)該電荷注入電極層上の発光層;
f)該発光層上の有機電子輸送層;および
g)該有機電子輸送層上のカソード電極層;
を含む、上記発光デバイス。
【請求項37】
前記発光層と前記電子輸送層との間に第2の電荷注入電極層(該第2の電荷注入電極は電気的浮動状態にある)を含む、請求項36に記載の発光デバイス。
【請求項38】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、高仕事関数の金属および金属酸化物よりなる群から選択される材料で形成される、請求項36または37に記載の発光デバイス。
【請求項39】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、高仕事のインジウムスズ酸化物(ITO)、金、ニッケル、白金、および銀よりなる群から選択される材料で形成される、請求項36、37、または38に記載の発光デバイス。
【請求項40】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、黒鉛状炭素ならびにナノ構造化炭素フラーレンC60およびC70よりなる群から選択される材料で形成される、請求項39に記載の発光デバイス。
【請求項41】
前記第2の埋込み電荷注入電極層が、低仕事関数の金属または金属合金で形成される、請求項37に記載の発光デバイス。
【請求項42】
前記第2の埋込み電荷注入電極が、Ag、Al、Ca、MgおよびMg:Agの合金よりなる群から選択される材料で形成される、請求項41に記載の発光デバイス。
【請求項43】
前記第1の埋込み電荷注入電極が、アルカリフッ化物/金属の二層および金属/金属の二層のうちの1つで形成される、請求項36に記載の発光デバイス。
【請求項44】
前記アルカリフッ化物/金属の二層がLiF/Alである、請求項43に記載の発光デバイス。
【請求項45】
前記第1の埋込み電荷注入電極の厚さおよび前記発光層の厚さおよび前記電子輸送層が、あらかじめ選択された波長の光の相殺的干渉を起こすように選択される、請求項36に記載の発光デバイス。
【請求項46】
埋込み電荷注入電極を有する発光デバイスであって、
a)基板;
b)該基板上のアノード電極層;
c)該アノード上の正孔輸送層;
d)該正孔輸送層上の第1の電荷注入電極層(該電荷注入電極は電気的浮動状態にある);
e)該電荷注入電極層上の発光層;
f)該発光層上の有機電子輸送層;および
g)有機電子輸送層上の透過性カソード電極層;
を含む、上記発光デバイス。
【請求項47】
前記発光層と前記電子輸送層との間に第2の電荷注入電極層(該第2の電荷注入電極は電気的浮動状態にある)を含む、請求項46に記載の発光デバイス。
【請求項48】
前記第1の埋込み電荷注入電極が、高反射性金属よりなる群から選択される材料で形成される、請求項46または47に記載の発光デバイス。
【請求項49】
前記高反射性金属が、AlおよびCrよりなる群から選択される、請求項48に記載の発光デバイス。
【請求項50】
前記第1の埋込み電荷注入電極層が、高仕事関数の金属および金属酸化物よりなる群から選択される材料で形成される、請求項48に記載の発光デバイス。
【請求項51】
前記第1の埋込み電荷注入電極が、高仕事のインジウムスズ酸化物(ITO)、金、ニッケル、白金、および銀よりなる群から選択される材料で形成される、請求項50に記載の発光デバイス。
【請求項52】
前記第1の埋込み電荷注入電極が、黒鉛状炭素ならびにナノ構造化炭素フラーレンC60およびC70よりなる群から選択される材料で形成される、請求項50に記載の発光デバイス。
【請求項53】
前記第2の埋込み電荷注入電極層が、低仕事関数の金属または金属合金で形成される、請求項47に記載の発光デバイス。
【請求項54】
前記第2の埋込み電荷注入電極層が、Ag、Al、Ca、MgおよびMg:Agの合金よりなる群から選択される材料で形成される、請求項53に記載の発光デバイス。
【請求項55】
前記第2の埋込み電荷注入電極が、アルカリフッ化物/金属の二層および金属/金属の二層のうちの1つで形成される、請求項46に記載の発光デバイス。
【請求項56】
前記アルカリフッ化物/金属の二層がLiF/Alである、請求項55に記載の発光デバイス。
【請求項57】
前記第1の埋込み電荷注入電極が、アルカリフッ化物/金属/アルカリフッ化物およびフッ化物/金属/金属の三層のうちの1つで形成される、請求項46に記載の発光デバイス。
【請求項58】
前記アルカリフッ化物/金属/アルカリフッ化物の三層がLiF/Al/LiFであり、かつ前記フッ化物/金属/金属の三層がLiF/Al/Mgである、請求項57に記載の発光デバイス。
【請求項59】
前記第1の埋込み電荷注入電極の厚さおよび前記正孔輸送層の厚さが、あらかじめ選択された波長の光の相殺的干渉を起こすように選択される、請求項46〜58のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項60】
前記アノード電極層および前記カソード電極層ならびにそれらの間のすべての層を横切ってあらかじめ選択された電圧を印加するために前記アノード電極層と前記カソード電極層との間に接続された電力供給手段を含む、請求項1〜59のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【請求項61】
前記発光層が、有機系の蛍光性および燐光性の分子またはポリマーおよびそれらの組合せのうちのいずれか1つを用いて作製される、請求項1〜60のいずれか1項に記載の発光デバイス。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2006−526274(P2006−526274A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504117(P2006−504117)
【出願日】平成16年4月20日(2004.4.20)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000594
【国際公開番号】WO2004/095507
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(504150128)
【出願人】(504150139)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月20日(2004.4.20)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000594
【国際公開番号】WO2004/095507
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(504150128)
【出願人】(504150139)
【Fターム(参考)】
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