説明

培地

【課題】水分保持性及び空気透過性が向上し、培地中の水分に溶存の養分陽イオンの根による吸収を容易にし、柔軟性の制御が容易になる等の特徴を備える培地を提供すること、を目的とする。
【解決手段】細短糸集合体と土壌との混合系が培地基材となる培地であって、
(1)該培地基材の混合系が、該細短糸集合体10〜45重量部に対して該土壌90〜55重量部の比率にされ、
(2)マイナス電荷を有する土壌粒子の土が培地に含まれること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物に対する空気(酸素)、水分及び養分の高効率の供給が可能になり、植物栽培に有効な土壌機能も活用できる等の植物栽培に際しての新たな機能が付与されている培地に関する。
本発明は、更には、培地材料の運搬・保存及び培地の生成等が容易で、かつ、培地自体の廃棄処分が環境と調和して行える培地に関する。
【背景技術】
【0002】
<土壌が備えるべき基本的機能>
(1) 土壌は、植物に対して、空気(酸素)及び水分を供給し、かつ、土壌中
の水分中の養分陽イオン(例えば、カルシウム(Ca2+)、カリウム(K+)、アンモニウム(NH4+)及びマグネシウム(Mg2+等)を植物の根に供給する(例えば、非特許文献1等を参照)。
なお、「培地」は生物組織の培養対象に生育環境を提供するものを示す用語で、厳密には、固体培地と液体培地が含まれる。しかし、「培地」は、一般的には「固体培地」の語義で通用していて、本明細書及び本特許請求の範囲でも、「培地」を「固体培地」の語義で使用する。
【0003】
(2)土壌が酸素不足(例えば、水分過剰状態)になると土壌内が還元状態になって根の成長が抑制されるので、土壌には、常時の空気透過性が求められる(例えば、非特許文献2等を参照)。
(3)土壌は、根の成長時に土壌からの抵抗が大きいと成長が抑制されるので、土根が自由に成長できる柔軟性が必要になる(例えば、非特許文献2等を参照)。
【0004】
(4)根近傍の土壌温度は、植物の光合成速度維持のために約20〜28℃付近に維持されることが望まれる(例えば、非特許文献2等を参照)。
【0005】
<土壌の問題点>
(1)土壌は、土壌粒子集団の粒径組成に保水性及び空気透過性が依存し、粒径組成を変えて保水性及び空気透過性を大きくするのは実質的に不可能である。 そのために、保水性高分子(例えば、親水分基導入の合成高分子)及び吸水性無機物(例えば、バーミキュライト、シリカ粉、クレー及びタルク等)の混入により土壌の保水性の増大が図られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
しかし、本発明者による実験主体の検討によって、水分性高分子及び吸水分性無機物の水分保持力が大きく、植物の根が吸収する水分の割合は低いことが見出されている。
【0007】
(2)土壌水分の有無、栽培者が経験側的な判断により土壌に水分を供給するので、必ずしも、植物が必要とする時に水分が供給されない。
(3)根の成長時に分泌排出される有機物は、土壌による捕捉能力が低いので土壌中に留まる確率が高くなる。
(4)土壌は、土壌粒子(固体粒子)の集団で土壌粒子の粒径分布により柔軟性が決まる。しかし、土壌粒子集団の粒径分布を制御して所望の柔軟性にするのは実質的に不可能である。
(5)土壌の温度維持は、発熱物質(化学反応による)の培地基材への混入が提案されているが(例えば、特許文献3等を参照)、土壌の温度制御は困難である。
【0008】
一方、現在での多様な植物栽培は、耕作地及び各種栽培容器(大型プランターによる栽培も一般的)であっても、土壌を利用する培地では、前述の植物栽培での土壌の問題点が生じている。
【0009】
【特許文献1】特許第3240028号
【特許文献2】特開2003−第23854号
【特許文献3】特許第第3240028号
【特許文献4】特開2007−176711
【0010】
【非特許文献1】堀江武他7著「作物学総論」株式会社朝倉書店1999年発行
【非特許文献2】根の辞典委員会編「根の辞典」株式会社朝倉書店1998年発行
【非特許文献3】足立泰久他一名の編集「土のコロイド現象」学会出版センター 2003年発行
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の培地は、以下の(イ)〜(へ)を目的とする。
(イ)本発明は、水分保持性及び空気透過性が向上する培地を提供すること、を目的とする。
(ロ)本発明は、培地中の水分に溶存の養分陽イオンの根による吸収が容易かつ効率的になる培地を提供すること、をも目的とする。
(ハ)本発明は、培地の柔軟性の制御が容易な培地を提供すること、をも目的とする。
(ニ)本発明は、生長時の根由来の有機物が培地中に分泌排出されても、植物に害を及ぼさない培地を提供すること、をも目的とする。
(ホ)本発明は、培地の温度(特に、根周辺の温度)の制御が容易になる培地を提供すること、をも目的とする。
(ホ)本発明は、運搬及び生成が容易で、培地を収納する容器の大きさ及び形状に制約を受けない培地を提供すること、をも目的とする。
(ヘ)本発明は、使用済後に環境に調和した方法で廃棄することが可能な培地を提供すること、をも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明(請求項1に記載の本発明)による培地は、細短糸集合体と土壌との混合系が培地基材となる培地であって、
(1)培地基材の混合系が、細短糸集合体10〜45重量部に対して土壌90〜55重量部の比率にされ、
(2)マイナス電荷を有する土壌粒子の土が、培地に含まれること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の培地によれば、例えば、下記(i)〜(iiv )等の効果が享受される。
(i)培地の水分保持性及び空気透過性が飛躍的に向上し、培地が含水状態であっても空気透過性が確保される(後記の実施例を参照)。
(ii)培地中の水分に溶存の養分陽イオンの移動方向の制御が容易になり、植物栽培効果が増進する。
(iii)植物が必要とする時に水分及び養分を吸収する機会が著しく増大する。
【0015】
(vi)植物の根に応じた柔軟性を有する培地にすることができる。
(v)培地の不規則で多様な形態及び大きさの多量の間隙の空気及び細短糸集合体により培地の温度変化が小さくなる。
(v)植物成長の際に根から分泌排出される有機物は、不規則で多様な形態及び大きさの多量の間隙により捕捉されるので、容易に無害化される。
(iv)古着繊維の解し等から細短糸集合体を生成させて培地にすることができる。
(iiv)培地材料の運搬・保存及び培地の生成等が容易である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明による実施の形態を具体的に説明する。
<本発明の培地の概要>:
【0017】
本発明の培地は、培地基材が乾燥時の細短糸集合体及び土壌の合計重量基準で、細短糸集合体10〜45重量部に対して土壌90〜55重量部の混合系にされ、マイナス電荷を有する土壌粒子を有してなる土が、培地基材に混入されて培地にされる。
培地は、培地基材を土壌と細短糸集合体との混合系から多様な形態の多量の間隙と根に対応する柔軟性を有する構造にされ、それによって、優れた水分保持性と培地含水時での空気透過性を有している。
培地の多様な形態の多量の間隙は、培地の水分に溶存の養分陽イオンを植物の根に供給する有利な手段となる。
また、培地は、培地基材の条件が具備される限りにおいて、肥料その他を補助基材として含んでも、培地の性能が低下しない。
<培地基材の重量比率>:
【0018】
(1) 細短糸集合体が10重量部未満で、土壌が90重量部を超えると、培地中の間隙量が不足し、培地の水分保持性と空気透過性が不足して根の成長に必要な培地の柔軟性も低下する。
(2)
細短糸集合体が45重量部より大きく、土壌が55重量部より少ないと、根の生長速度が栽培する植物の種類に応じて変動する。
(3) 細短糸集合体と土壌の比率が、乾燥時重量を基準として、細短糸集合体10〜45重量部対土壌90〜55重量部であると、培地の水分保持性と空気透過性と柔軟性とがバランスして、各種の栽培植物の根の生長速度が上昇する。
<培地の細短糸集合体の役割>:
【0019】
(1) 細短糸集合体は、一般的には、おおよそ2〜70mm程度の長さの細短糸のおおよそ数十本〜数百本が絡まった小塊(すなわち、集団)及び小塊が集った塊(すなわち、集団)になっている。塊は、任意の大きさにし得る。
細短糸集合体は、新しい細短糸が絡まった塊にしてもよく、古着等の解体(公知の機械的手段によることが可能)による使用済繊維の解しによる糸によることが可能である。細短糸は、デニールにおいて制約がなく、極細短糸(例えば、1dtex)の糸を含んでいてもよく、多様なデニールの糸を含んでいてもよい。細短糸は、おおよそ、1.1〜1.6程度の比重のものが主体になる場合には、培地の生成が容易である。
集合体の細短糸のデニールの多様ある場合でも、培地における保水性、柔軟性、空気透過性、温度保持性、根の生長性等において、変化が見られない。
(2)細短糸集合体は、繊維の疲労、摩耗、破断、繰り返しの変形が進んだ繊維(例えば、古着の繊維)を解いた(ほどいた)糸の集合体であれば,培地の、保水性、柔軟性、空気透過性及び根の生長に有利に働く。
(3)細短糸集合体は、天然繊維の古着を解した糸の集合体であれば,培地自体を地中に廃棄しても土に帰るので使用済の培地を環境に調和した方法で廃棄することが可能になる。
<培地基材の土壌>:
【0020】
培地基材の土壌は、例えば、園芸用(例えば、室内園芸)、菜園用(例えば、家庭菜園)及び農業用の土壌等の植物栽培可能な土壌であれば、本発明の培地基材に使用可能である。土壌は、土壌粒子の集団であって、土壌粒子の粒径に制約がないが、一般的な土壌粒子(例えば、粒径2mm以下の土壌粒子)であれば植物栽培が容易である。土壌は、栽培目的の植物(例えば、花き類、果菜類、葉菜類、ハーブ類)に最適な土壌が選択される。
【0021】
マイナス電荷を有する土壌粒子の土の含有状態(例えば、分散状態)の制御によって培地中の養分を植物成長に適する分布にすることができる。
マイナス電荷を有する土壌粒子(例えば、粘土鉱物粒子)の土 (土壌)は、例えば、火成岩起源の鉱物二次粒子を含む土が代表的で、例えば、火山灰土等である。火成岩起源の鉱物二次粒子は、基本的な結晶構造にSiO44−を含んで、それが故に、マイナス電荷を有している。なお、「土」は、「土壌」と同義語ではある。しかし、マイナス電荷を有する土壌粒子(例えば、粘土鉱物粒子)の土壌には、植物栽培に適さない土壌が含まれるところから、「培地基材の土壌」との相違を明確にするために、本明細書及び本特許請求の範囲では、「マイナス電荷を有する土壌粒子の土」の用語を使用している。
火成岩(母岩)の造岩鉱物は、主たる化学組成がSiO2であるので、火成岩系の土(土壌)の多くは、基本的な結晶構造にSiO44−を含んで破砕の土壌粒子がマイナス電荷を有している。なお、本発明の「マイナス電荷を有する土壌粒子の土」は、マイナス電荷を有する土壌粒子が含まれている土であれば、本発明の効果が享受可能である。
<培地へのマイナス電荷付与>:
【0022】
(1)培地へのマイナス電荷付与は、マイナス電荷を有する土壌粒子(例えば、火成岩起源の粘土鉱物粒子)の土(例えば、火山灰土等)の培地基材への含有による。
(2)マイナス電荷を有する土壌粒子は、粒子状、微細粒子状若しくは粉末状のいずれであって培地中において、養分である水分に溶存の陽イオンを引き付けることができる。
(3)マイナス電荷を有する土壌粒子を含む土は、植物栽培に適さない土であっもよい。培地に対してマイナス電荷を供給するために、少量の植物栽培に適さない土を供給する場合があるからである。
(4)プランター等では、例えば、根が成長する領域に火山灰土等のマイナス電荷を有する土壌粒子の土壌を混ぜる等して、根の成長が促進させることができる。
(5)マイナス電荷を有する土壌粒子の土の粒子は、細短糸集合体に接触して所定の配置に保持されるので、根の成長に利用することができる。
<培地補助材>:
【0023】
培地補助材は、培地基材の機能を補助するため培地に加えられる材で、肥料とその他の成分(例えば、吸着材及び清除材等がある。)がある。
本発明の培地は、例えば、培地100重量部に対して28重量部以下の比率であれば、培地基材の機能を損なうことなく、培地補助材の機能を培地に付与可能である。
<培地補助材としての肥料>:
【0024】
肥料は、天然及び合成のいずれの肥料でもよく、栽培対象の植物用の肥料として市販されているものでもよい。天然素材であると培地の廃棄に際して公害が発生しない。天然素材の肥料には、例えば、貝殻粉等がある(例えば、特許文献4等を参照)。
貝殻粉は、カキ・ハマグリ・ホタテ・アサリ・シジミ貝等で、カキ貝殻粉には、カルシウム、鉄、亜鉛、マンガン、カリウム及びマグネシウムの植物生育に必要な基本養分と微量養分が多量に含まれて、それらが経時的に水分中に溶出して植物用の肥料に供せられる。
<培地補助材としての吸着材>:
【0025】
吸着材は、微生物の死骸及び植物分泌の生育阻害物質等の微細成分の吸着が可能であれば本発明で使用可能である。吸着材としては、天然素材の炭化材(例えば、炭(木炭、竹炭、活を有する炭等)が好適で、破砕物若しくは粉体として使用される。
<培地の生成>:
【0026】
(1)細短糸集合体と土壌の培地基材とマイナス電荷を有する土壌粒子の土の混合系、若しくはそれら混合系と培地補助材との混合系をプランターに入れて水分を加えて湿った状態の培地にすることが可能である。
(2)細短糸集合体と土壌の培地基材の混合系をプランターに充填し、混合系の根が生長する領域にマイナス電荷を有する土壌粒子の土を分布させて、養分の根への吸収を容易にする。
<栽培対象>:
【0027】
本発明の培地によれば、栽培対象に制約が無く、広い範囲の植物を栽培するこが可能である。栽培対象としては、例えば、花き類、果菜類、葉菜類、ハーブ類等がある。花き類には、例えば、バラ、ベゴニア、ガーベラ、スイートピー、カーネーション、菊等がある。果菜類には、例えば、トマト、キウリ、ピーマン、ピーマン、イチゴ、エダマメ、インゲン等がある。葉菜類には、例えば、カイワレ大根、ミツバ、レタス、小松菜、葱、パセリ、アシタバ等がある。ハーブ類には、例えば、ミント、バジル、コリアンダー、カモミール等がある。
培地を設ける場所は、農地(建物の屋上であってもよい)よく、プランター等の栽培容器あってもよい。
【0028】
なお、本発明においては、本発明に合目的であって、本発明の効果を特に害さない限りにおいて、改変若しくは部分的な変更及び付加は任意であって、いずれも本発明の範囲である。
次に、本発明を実施例に基いて説明するが、実施例は例示であって本発明を拘束するものではない。
【実施例1】
【0029】
<栽培容器の選定>:
A及びBの2種類の形態の栽培容器を用意した。Aは、上方開口から下方開口に向けて口径が約15〜20%程度小さくなるガラス製胴状部(内容積が約350〜40ミリリットル)の下方開口に金属網を設けて栽培部とし、その金属網上の空間には栽培部の上方開口近傍まで培地を充填した。ガラス製胴状部は、下部を口径が少し大きく深さが浅い透明ガラス製の容器状起立部内に起立させた。
Bの栽培容器は、平面が略矩形状で、平面長手方向の長さが45cm、平面の幅方向の長さが20cmで、深さ30cmの箱型プランターである。
【実施例2】
【0030】
<培地の空気透過性に関する実験>:
含水状態の培地の空気透過性を観測した。実施例1のAの栽培容器(X容器と称する)のガラス製胴状部には、細短糸集合体50重量部に対して土壌50重量部の比率で含み、それに、粘土鉱物微細粒子の土を10重量部程度含む培地を上方開口近傍まで充填した。ガラス製胴状部は、実施例1と同様に容器状起立部内に起立させた。
実施例1のAの別の栽培容器(Yの容器と称する)のガラス製胴状部には、土壌のみを上方開口近傍まで充填し、Xの容器と同様に、容器状起立部内に起立させた。
X及びYの実験用栽培容器の培地には、上から水を注いでガラス製胴状部の下方開口から水が排出されるまで水で培地を満たした。次に水で培地を満たしたX及びYの容器のガラス製胴状部の下方開口の金属網の下方から軟質プラスチック細管から空気を注入して上方開口から排出の空気を観測した。その結果、すぐに、Yの容器に注入する空気圧が急上昇したので空気の注入を中止した。
しかし、Xの容器に注入した空気は、直ちに、ガラス製胴状部の上方開口から流出した。なお、空気流出の有無は、ガラス製胴状部の上方開口に置いたティッシュ等により僅かの風で動くものを載せることで確認できた。
【実施例3】
【0031】
<培地の水分保持性及び温度維持に関する実験>:
実施例1のAの栽培容器を5個用意し、それに本発明の培地を充填した。培地は、細短糸集合体50重量部に対して土壌50重量部の比率の培地基材に粘土鉱物微細粒子の土10重量部程度含まれる混合系にした。
次に、実施例1のAの別の栽培容器を5個用意し、それには、土壌のみを充填した。土壌は、全て同じものを使用した。充填した培地には、充填量の1/5量に相当する水分を添加した。
そして、本発明の培地と土壌のみの培地の温度変化を約1週間観測した。外気の温度は、17〜19℃であった。本発明の培地は、外気よりも1〜2℃低い温度を維持した。土壌のみを培地は、外気温度よりも0.5℃程度低くなることもあったが数日で乾燥した。本発明の培地は、土壌のみの培地が乾燥後も濡れた状態を維持していた。
【実施例4】
【0032】
<ワケギの栽培実験>:
実施例1のAの栽培容器を5個用意し、それらには、細短糸集合体50重量部に対して土壌50重量部の比率の培地基材に粘土鉱物微細粒子の土10重量部程度含まれる混合系の本発明の培地をガラス製胴状部の上方開口近傍まで充填した。
次に、実施例1のAの別の栽培容器を2個用意し、それには、土壌のみを同様に充填した。なお、全ての栽培容器には、それぞれ同量の元肥(市販のワケギ用元肥)を1袋ずつ施肥した。
なお、細短糸集合体及び土壌は、実施例2と同じものを使用した。ワケギ畑での栽培期間は約6カ月であるが、本実験では球根を植えた日から4カ月で終了してワケギの根及び葉の状態を観察した。
ワケギの球根は、全ての栽培容器の培地には、一か所に2球ずつ3ケ所に指で球根が隠れる程度押しこんで植えた。
本発明の培地で栽培の球根は、土壌のみの培地よりも3〜5日程度早く発芽した。球根の発芽後10日後の葉の状態を比較すると、本発明の培地で栽培の球根で一番伸びた葉は、土壌のみの培地で栽培の球根から伸びた葉よりも約35%(Aの球根の葉び高さを基準とする)程度で長く伸びていた。
その後で、球根を植えた日から4ケ月後に収穫し、本発明の培地及び土壌のみの培地で栽培したワケギの根を観測した。
本発明の培地で栽培のワケギの根は、下方及び横方向の両方向において土壌のみの培地で栽培したワケギよりも長く延びて、かつ、根の本数が多かった。
【産業上の利用可能を有する】
【0033】
本発明よる培地は、室内外(特に、室内)において、多種植物の栽培を多様な栽培装置により栽培することが可能になる。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
細短糸集合体と土壌との混合系が培地基材となる培地であって、
(1)該培地基材の混合系が、該細短糸集合体10〜45重量部に対して該土壌90〜55重量部の比率にされ、
(2)マイナス電荷を有する土壌粒子の土が、培地に含まれること、を特徴とする培地。
【請求項2】
下記(1)〜(3)の少なくとも一つ以上の特徴を備える請求項1に記載の培地。
(1)前記細短糸集合体が、古着布の紡績繊維の解しによる細短糸の集合体からなる。
(2)前記マイナス電荷を有する土壌粒子の土が、培地の栽培植物の根の生長領域に配置されている。
(3)前記マイナス電荷を有する土壌粒子の土が、火山灰土からなる。
【請求項3】
下記(1)及び(2)の少なくとも一つの特徴を備える請求項1に記載の培地。
(1)前記培地が、吸着材を培地補助材として含有する。
(2)前記肥料が、天然素材の肥料を培地補助材として含有する。

【公開番号】特開2013−70666(P2013−70666A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212146(P2011−212146)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(501248921)株式会社黒沢総研 (2)
【Fターム(参考)】