培養されたCD14+抗原提示細胞
本発明は、単離されたCD14+抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)ならびにその単離および濃縮された集団を提供する。本発明はまた、単離および濃縮のための方法を提供する。また、T細胞応答をインビボ、インビトロ、およびエキソビボで調節するためにこのCD14+抗原提示細胞を使用するための方法が、本発明により提供される。さらに、本発明は、CD11c+,CD14+を発現する、抗原提示細胞の単離された集団を開示する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
樹状細胞(DC)は、未成熟系調節において中心的役割を果たす。先天性マン駅における重要な役割に加えて、DCは、T細胞媒介性適応性免疫応答のための定量的かつ定性的な枠組みを提供する(例えば、MellmanおよびSteinman,Cell 106:255〜58(2001);LanzavecchiaおよびSallustro,Cell 106:263〜266(2001)参照)。DCは、抗原のプロセシングおよび提示において非常に有効であり、多様な抗原群を取り込んでそれをMHCクラスI分子およびMHCクラスII分子の両方に結合されたペプチドとして提示することが可能である。さらに、DCは、有効な細胞媒介性免疫応答のために必要とされるT細胞の状態の誘導および調節のために必要な他のシグナル(一般的には、例えば、細胞表面分子およびサイトカインに関与する)を提供する。他の抗原提示細胞(APC)と比較して、DCは、未刺激T細胞および記憶T細胞を刺激することに、より巧みである。また、SCは、未刺激T細胞から種々の種類のエフェクター(例えば、TH1分化細胞およびTH2文化細胞)への分化を駆動することによって、T細胞応答の質を制御する。従って、DCは、免疫応答を促進するT細胞を生成するだけではなく、活性化T細胞を抑制する調節T細胞も生成する。(MellmanおよびSteinman(前出))。最後に、特定のDCは、自己抗原に対するT細胞寛容を誘導可能であると考えられる(Liu,Cell 106:259〜62(2001))。結果的に、DCの細胞機能は、感染および腫瘍に対する抵抗性のために重要であるだけではなく、自己免疫および移植片拒絶においても同様に重要である。
【0002】
免疫調節におけるDCの多様な機能は、部分的には、そのDCサブクラスおよびDC系統の多様性に依存する。複数のDCサブクラスが、存在する(Liu(前出)参照)。第一に、DCは、未成熟または成熟(2種類の機能的かつ表現型的に異なる状態)のいずれかとして分類され得る。未成熟DC(imDC)は、エンドサイトーシスが巧みであり、比較的低いレベルの表面MHCクラスI分子および表面MHCクラスII分子および副刺激分子(例えば、CD80およびCD86)を発現する。従って、imDCは、自己抗原をT細胞に対して提示することによって、その免疫系において寛容生成機能を果たす。(Liu(前出);Steinman,J.Exp.Med.191:411〜416(2000))。これに関して、imDCは、未刺激CD4+T細胞および未刺激CD8+T細胞が、IL−10生成T調節/サプレッサー細胞へと分化するのを促進し得ることが、考えられる。(Jonuleitら、J.Exp.Med.192:1213〜1222(2000);Dhopadkarら、J.Exp.Med.193:233〜238(2001))。
【0003】
imDCは、骨髄において造血幹細胞から継続的に生成されると考えられる。CD34+幹細胞に由来するCD34+骨髄系共通前駆細胞(CMP)は、CD34+CLA+集団とCD34+CLA−集団へと分化し、これらは、それぞれ、その後、CD11c+CD1a+ imDCおよびCD11c+CD1a− imDCに分化すると考えられる。(Liu(前出);Strunkら、J.Exp.Med.185:1131〜1136(1997))。CD11c+CD1a+ imDCは、皮膚表皮へと移動してランゲルハンス細胞になり、一方、CD11c+CD1a− imDCは、皮膚真皮および他の組織へと移動して、間質性imDCになる(Liu(前出);Itoら、J.Immunol.166:2961〜2969(2001))。上記ランゲルハンス細胞および間質性imDCはまた、種々の機能的特性を示す。例えば、間質性imDCは、マンノースレセプターにより大量の抗原を取り込んでIL−10を生成可能であり、CD40およびIL−2の存在かでのみ刺激B細胞活性化およびIgM生成に寄与するが、ランゲルハンス細胞はそうではない。(Liu(前出))。
【0004】
(例えば、微生物感染または移植による)インビボでの免疫原性チャレンジの後、imDCは、免疫原性形態への迅速な抗原依存性成熟を行う。成熟しているDCは、エンドサイトーシス活性を迅速に失い、MHCクラスIペプチド複合体およびMHCクラスIIペプチド複合体の表面発現および安定性を増加し、炎症性サイトカイン(例えば、IL−1、IL−6、IL−12、IL−18およびIL−23)を分泌し、接着表面分子および副刺激表面分子(例えば、CD40、CD54、CD80、およびCD86)の発現をアップレギュレートする。成熟DC(mDC)は、imDCと比較して抗原を取り込むことがそれほどできないが、これらの細胞は、抗原と提示すること、およびT細胞を刺激することにおいて非常に有効である(MellmanおよびSteinman(前出))。さらに、mDC細胞は、成熟シグナルの型に依存して、異なる型のT細胞免疫応答(例えば、TH1対TH2)を誘導し得る(Liu(前出))。
【0005】
種々のDCサブクラスの機能的多様性は、その単離、特徴付け、および免疫調節における使用(インビボおよびエキソビボの両方)において、かなりの関心を生じた(例えば、米国特許第5,994,126号;同第6,274,378号;Shurin,Cancer Immunol.Immunother.43:158〜64(1996)参照)。樹状細胞集団は、例えば、末梢血から得られる樹状細胞前駆体を、種々の分化因子および成熟因子とともに培養することによって、単離された(一般的には、例えば、米国特許第6,274,378号参照)。代表的には、imDCは、例えば、GM−CSFおよびIL−4の存在下で、樹状細胞前駆体を培養することによって、得られ得る。(例えば、MellmanおよびSteinman,Cell 106:255〜58(2001))LanzavecchiaおよびSallustro,Cell 106:263〜266(2001)参照)。また、imDCからmDCへの成熟は、微生物病原体もしくはウイルス病原体の生成物(例えば、LPS)によって、または炎症性サイトカイン(例えば、TNF−α)によって、誘発され得る。(MellmanおよびSteinman(前出))。
【0006】
これらの単離されたDC集団は、例えば、細胞表面分子の発現、およびそれが抗原を取り込んで提示する能力に基づいて、特徴付けられた。これに関して、CD14(LPSレセプター)は、末梢血単球の大集団において豊富に発現され、一方、単球性DC前駆体から生成されるimDCおよびmDCの両方は、代表的には、高CD14発現を欠くと特徴付けられる。(例えば、米国特許第5,994,126号;Czemiexkiら、J.Immunol.159:3823〜37(1997);SallustoおよびLanzavecchia、J.Exp.Med.179:1109〜1118(1994);Thomasら、J.Immunol.151:6840〜6852(1993a);Thomasら、J.Immunol.150:821〜834(1993b)参照)。従って、表面CD14を欠くことは、DC表現型についてのマーカーとして見なされている。(例えば、Steinman,Ann.Rev.Immunol.9:271〜296(1991);米国特許第5,994,126号;Czerniecjiら(前出);SallustoおよびLanzavecchia(前出);Thomas(前出)(1993a);Thomas(前出)(1993b)参照)。結果として、抗原提示細胞(すなわち、DC)の特徴を示すCD14発現細胞集団は、認識されることはなく、免疫調節においてそれを使用するための方法も開発されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
DCの多様な機能は、樹状細胞サブクラスおよび樹状細胞系統の多様性に依存するので、特定のDCサブセットの同定および単離は、免疫応答を調節するための特定の細胞組成物を提供し得る。従って、インビボおよびエキソビボでの免疫調節能力を示すさらなる単離されたDCサブセット集団について、当該分野において必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の簡潔な要旨)
本発明は、抗原提示細胞の実質的に単離された集団を提供し、この集団は、その集団の成分として、細胞表面マーカーであるCD11c+およびCD14+を発現する一群の抗原提示細胞を含む。このCD11c+,CD14+樹状細胞は、実質的に濃縮され得る。
【0009】
本発明の一実施形態において、上記CD11c+,CD14+樹状細胞集団は、未成熟樹状細胞または樹状細胞のいずれかについて実施的に濃縮されている細胞集団を含む。上記実施的に濃縮されている未成熟樹状細胞または成熟樹状細胞の集団は、所定の抗原をさらに含み得る。本発明の文脈において、上記所定の抗原は、樹状細胞により提示され得るエピトープを含む任意の型であり得る。これらの抗原としては、腫瘍特異的抗原、腫瘍関連抗原、細菌抗原、またはウイルス抗原などが挙げられ得るが、これらに限定されない。上記抗原は、上記樹状細胞集団に対して、細胞全体として、溶解物として、膜調製物として、部分精製調製物として、実質的に精製された調製物として、組換え発現タンパク質もしくはその一部として、ペプチドとして、提供され得るか、または組換え細胞、リポソーム、もしくは他の任意の手段の表面上に発現され得る。
【0010】
特定の実施形態において、上記実質的に単離されたCD11c+,CD14+樹状細胞集団は、前立腺癌に関連する腫瘍抗原をさらに含む。具体的には、上記腫瘍関連抗原は、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、または前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)などである。
【0011】
本発明のなお別の実施形態において、上記単離されたCD11c+,CD14+樹状細胞集団は、少なくとも1種のサイトカインをさらに含む。特に、上記サイトカインは、炎症性サイトカインまたは抗炎症性サイトカインである。具体的には、上記炎症性サイトカインは、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン1β(IL−1β)、またはCD40リガンド(CD40L(gp39とも呼ばれる))であり得る。上記抗炎症性サイトカインは、インターロイキン10(IL−10)、腫瘍壊死因子β(TGF−β)、またはプロスタグランジンE2(PGE2)であり得る。
【0012】
本発明の別の実施形態は、CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団を含み、T細胞の集団をさらに含む。代表的には、上記T細胞の集団は、T細胞を含む任意の細胞集団(例えば、PBMC、T細胞について濃縮されている細胞集団、または実質的に単離されたT細胞の集団)であり得る。上記細胞は、上記樹状細胞に対して、自己由来、同系、または同種異系のいずれかであり得る。本発明の特定の実施形態において、上記T細胞集団は、CD4+T細胞について実質的に濃縮されており得るか、またはCD8+T細胞について実質的に濃縮されており得る。
【0013】
本発明のなお別の実施形態において、CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団を含む組成物が提供される。この組成物は、ナチュラルキラー(NK)細胞の集団をさらに含む。代表的には、上記NK細胞の集団は、NK細胞を含む任意の細胞集団(例えば、PBMC、NK細胞について濃縮されている細胞集団、または実質的に単離されたNK細胞の集団であるが、これらに限定されない)であり得る。上記NK細胞は、上記樹状細胞に対して、自己由来、同系、または同種異系のいずれかであり得る。
【0014】
本発明の一実施形態において、CD11c+,CD14+樹状細胞の集団を単離するための方法が提供される。この方法は、樹状細胞前駆体の集団を得る工程;上記前駆体を、未成熟樹状細胞または成熟樹状細胞へと分化させる工程;およびCD11c+,CD14+樹状細胞の集団を選択する工程;を包含する。上記樹状細胞前駆体の集団は、単球樹状細胞前駆体接着基材を白血球の集団と接触させることによって得られ得る。本発明において有用な基材としては、ガラスおよびガラスでカバーしたプラスチック、スチレン、またはポリスチレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。特に、上記基材は、ガラスでカバーされたポリスチレンまたはスチレンマイクロキャリアビーズを包含する。
【0015】
上記樹状細胞の分化は、上記細胞を少なくとも1種のサイトカインと接触させることによって達成され得る。上記サイトカインは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン4(IL−4)、GM−CSFおよびIL−4、インターロイキン13(IL−13)、またはインターロイキン15(IL−15)などであり得る。上記樹状細胞前駆細胞をサイトカインと接触させることに加えて、血漿もまた、上記CD14+樹状細胞の分化を促進するために含められ得る。
【0016】
本発明のなお別の実施形態において、上記CD11c+,CD14+樹状細胞の集団を単離するための方法は、上記樹状細胞前駆細胞または未成熟樹状細胞を、所定の抗原を用いて分化させる工程を包含する。上記所定の抗原は、抗原提示細胞により提示され得る任意の抗原であり得る。本発明の特定の実施形態において、上記抗原は、前立腺癌に関連し、その抗原としては、PSMA、PSA、またはPAPなどが挙げられ得る。
【0017】
本発明のCD11c+,CD14+樹状細胞は、未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞を含む細胞集団から選択され得る。一実施形態において、上記CD14+樹状細胞は、上記樹状細胞前駆体の集団を、CD14発現樹状細胞との複合体の形成をもたらす条件下でCD14特異的プローブと混合する工程;上記CD14特異的プローブと複合体形成したCD14発現細胞を検出する工程;および上記CD11c+,CD14+樹状細胞を選択する工程によって、選択される。上記CD14特異的プローブは、CD14特異的抗体(特に、モノクローナル抗体)であり得る。上記CD14に特異的な抗体は、固体基材(例えば、マイクロタイタープレート、カラムクロマトグラフィーの媒体、または磁気ビーズなど)に結合され得る。CD11c+,CD14+樹状細胞前駆体を選択した後、上記細胞は、上記樹状細胞前駆体の成熟をもたらす条件下で培養され得る。
【0018】
本発明のなお別の実施形態において、所定の抗原に対するT細胞応答を調節するための方法が、提供される。この方法は、CD11c+,CD14+樹状細胞(代表的には、未成熟樹状細胞または樹状細胞前駆体)の単離された集団を得る工程;上記CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団を、所定の抗原と、その樹状細胞がその抗原をプロセシングするために充分な時間接触させる工程;およびプロセシングされた抗原を提示する上記CD11c+,CD14+樹状細胞を含む単離された細胞集団を、T細胞集団と接触させて、その所定の抗原に対するT細胞応答を調節する工程;を包含する。上記CD11c+,CD14+樹状細胞は、皮膚、脾臓、骨髄、胸腺、リンパ節、末梢血、または臍帯血から得られ得る。上記T細胞は、上記樹状細胞に対して自己由来、同系、または同種異系であり得、そしてインビトロまたはエキソビボで接触され得る。
【0019】
本発明の特定の実施形態において、上記所定の抗原は、腫瘍特異的抗原、腫瘍関連抗原、自己抗原、またはウイルス抗原である。より具体的には、上記腫瘍関連抗原は、前立腺癌に関連し得、本発明の特定の実施形態において、上記前立腺抗原は、PSA、PSMA、またはPAPなどであり得る。
【0020】
本発明のT細胞は、代表的には、白血球の混合集団(例えば、PBMC)にて提供される。しかし、本発明の特定の実施形態において、上記T細胞は、CD4+T細胞について実質的に濃縮されているT細胞の単離された集団、またはCD8+T細胞について実質的に濃縮されているT細胞の単離された集団であるか、あるいはCD4+T細胞とCD8+T細胞との混合集団を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
(単離されたCD14+樹状細胞)
本発明は、CD14+である細胞について濃縮されている単離された抗原提示細胞(例えば、樹状細胞(DC))、ならびにCD14+抗原提示細胞の単離された集団を提供する。本明細書中で使用される場合、用語「単離された集団」とは、その天然環境から取り出された細胞集団を意味する。「CD14+」とは、表面CD14の発現レベルが、PBMC由来単球上での表面CD14の発現レベルと実質的に等しいことを意味する。そのような決定は、例えば、蛍光結合体化抗CD14抗体を使用するFACS分析によってなされ得、そこでは、「高」染色についてゲートは、PBMC由来単球における抗CD14染色に対する参照によって決定される。さらに、CD14+/highDCは、CD14lowまたはCD14dimであるDC集団と区別可能であり、ここで、「CD14low」または「CD14dim」とは、無関係の抗体で見出されるものと比較してわずかに陽性であるがPBMC由来単球において見出されるものよりは有意に低い、蛍光結合体化抗CD14抗体による低レベルのCD14染色を指す。
【0022】
用語「樹状細胞」または「DC」とは、抗原を取り込んでMHC結合ペプチドとして提示することが可能である、種々のリンパ系組織および非リンパ系組織において見出される当該分野で特徴付けられた多様な種類の形態学的には類似する細胞型を指す。(例えば、Steinman,Ann.Rev.Immunol.9:271〜296(1991)参照)。従って、樹状細胞は、HLA−DR+である。さらに、DCは、一般的には、他の白血球表面マーカー(例えば、CD3(T細胞)、CD19(B細胞)、およびCD56/57(NK細胞))が存在しないことに基づいて、当該分野で分類される。(同書参照)。樹状細胞サブタイプまたは樹状細胞の成熟状態に依存して、DCはまた、そのDC表現型に特徴的であると認識される他の表面マーカーを発現する。(例えば、Steinman,Ann.Rev.Immunol.9:271〜296(1991);Liu、Cell 106:259〜62(2001);Thomasら、J.Immunol.151:6840〜6852(1993a);Thomasら、J.Immunol.150:821〜834(1993b)参照)。従って、用語「樹状細胞」または「DC」は、当該分野におけるこの用語の使用と一致するが、但し、本明細書中で使用される場合、「樹状細胞」は、上記のようにCD14もまた発現する。このような細胞としては、例えば、単球樹状細胞前駆体の培養物に由来するDC、ならびに組織(例えば、末梢血、臍帯血、皮膚、脾臓、骨髄、胸腺、およびリンパ節)中に存在する内因性DCが挙げられ得る。
【0023】
代表的な実施形態において、CD14+樹状細胞の単離された集団が、濃縮または実質的に濃縮され得る。本明細書中で使用される場合、用語「濃縮されている」とは、その単離された細胞集団が、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも90%均質であることを意味する。用語「実質的に濃縮されている」とは、その細胞集団が、少なくとも60%、少なくとも75%、または少なくとも90%均質であることを意味する。
【0024】
上記CD14+DCは、未成熟であっても、成熟であってもよい。成熟樹状細胞と未成熟樹状細胞とを区別する特徴は、当該分野において記載されている。(例えば、Liu(前出);MellmanおよびSteinman(前出)参照)。一般的には、例えば、「未成熟樹状細胞」または「imDC」は、中程度のCD80発現、CD86発現、およびMHC発現を有し、CD83の低発現を有するかまたはCD83の発現がなく、抗原の効率的な取込みが可能であり、そして抗原提示について低い能力〜中程度の能力を示す。比較すると、「成熟樹状細胞」または「mDC」は、アップレギュレートされたCD80発現、CD86発現、MHC発現、およびCD83発現を有し、抗原取込みについて実質的に減少した能力を示し、そして抗原提示について高い能力を示す。特定の実施形態において、上記CD14+DCの単離された集団は、mDCまたはimDCのいずれかについて実質的に濃縮されたものであり得る。
【0025】
(CD14+樹状細胞の単離および免疫調節のための方法)
CD14+DCおよびCD14+DCが実質的に濃縮された細胞集団は、本発明によってまた提供される方法により単離され得る。これらの方法としては、概して、DC前駆体を含む細胞の集団の取得、DC前駆体の未熟DCまたは成熟DCへの分化が挙げられ、分化した、未熟DCまたは成熟DCの集団からCD14+DCを単離することもまた挙げられる。
【0026】
DC前駆細胞は、当該分野で公知の方法によって取得され得る。樹状細胞の前駆体は、例えば、密度勾配分離法、蛍光標示式細胞分取法(FACS)、免疫細胞分離技術(例えば、パニング法)、補体溶解法(complement lysis)、ロゼット法(rosetting)、磁気細胞分離技術、ナイロンウール分離法、およびこのような方法の組合せによって単離され得る(例えば、O’Dohertyら,J.Exp.Med.178:1067−76(1993);YoungおよびSteinman,J.Exp.Med.171:1315−32(1990);Freudenthal and Steinman,Proe.Natl.Acad.Sci.USA 87:7698−702(1990);Macatoniaら,Immunol.67:285−89(1989);MarkowiczおよびEngleman,J Clin.Invest.85:955−61(1990)(これらの各々は、本明細書中で参考として援用される))。樹状細胞を免疫的選択するための方法としては、例えば、樹状細胞前駆体に関連する細胞表面マーカー(例えば、基材に結合した、抗CD34抗体および/または抗CD14抗体)を使用することが挙げられる(例えば、Bernhardら,Cancer Res.55:1099−1104,1995 ; Cauxら,Nature 360:258−61,1992(これらの各々は、本明細書中で参考として援用され得る)。
【0027】
DC前駆体の濃縮された集団もまた、取得され得る。このような濃縮された集団を取得する方法は、当該分野で公知である。例えば、DC前駆体の濃縮された集団は、基材に対して接着する細胞を選択的に取り出すことによって、組織供給源から単離され得る(例えば、米国特許番号5,994,126(これは、本明細書中で参考として援用される)。組織供給源(例えば、骨髄または末梢血)を使用して、接着性単球が、市販のプラスチック基材(例えば、ビーズまたは磁気ビーズ)を使用して細胞集団から取り出されて、非接着性DC前駆体について濃縮された集団が取得され得る(前掲を参照のこと)。
【0028】
単球DC前駆体はまた、DC前駆対接着基材を使用することによって、組織供給源から取得され得る。例えば、白血球フェレーシスによって単離された末梢血の白血球は、高い表面積体積比を有する接着性単球性DC前駆体接着基材と接触して、その接着性単球性DC前駆体は分離される。さらなる実施形態において、結合した基材は、高い表面積体積比(例えば、20M2/L〜約80/L)を有する球状または繊維状の基材(例えば、マイクロビーズ、マイクロキャリアビーズ、ペレット、顆粒、粉末、キャピラリーチューブ、微小絨毛膜(microvillous membrane)、など)であり得る。さらに、球状または繊維状の基材は、ガラス、ポリスチレン、プラスチック、ガラス被覆ポリスチレンマイクロビーズなどであり得る。
【0029】
これらのDC前駆体もまた、分化および/または増殖のために、インビトロで培養され得る。DC前駆体の分化/増殖のための方法は、当該分野で公知である(例えば、米国特許番号5,994,126)。概して、増殖は、DCの分化/増殖を誘導する少なくとも1つのサイトカインの存在下でそれらの前駆体を培養することによって達成され得る。代表的には、これらのサイトカインは、顆粒球刺激因子(G−CSF)または顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)である。さらに、他の因子が、その培養物中における非DC細胞型の増殖および/または成熟を阻害するために使用され得る。それによって、DC前駆体の集団をさらに濃縮する。代表的には、このような因子は、サイトカイン(例えば、IL−3、IL−4またはIL−5など)が挙げられる(例えば、前掲を参照のこと)。
【0030】
(樹状細胞前駆細胞の分化およびCD14+表現型の促進)
単離されたDC前駆細胞の集団を培養し、そして分化させて、未熟DCまたは成熟DCを得る。適切な組織培養培地としては、例えば、AIM−V(登録商標)、RPMI 1640、DMEM、X−VIVO 15(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの組織培養培地は、代表的に、アミノ酸、ビタミン、二価の陽イオン、およびサイトカインを補充されて、これらの前駆細胞の、DC表現型への分化を促進する。代表的に、分化を促進するサイトカインは、GM−CSFおよび/またはIL−4である。代表的なサイトカインの組み合わせは、約1,000〜約500U/mlのGM−SCFおよびIL−4である。
【0031】
さらに、DC表現型への増殖、分化、および成熟の間の、DC前駆細胞の培養物は、CD14+ DCの発生を促進するために、血漿を含有し得る。代表的な血漿濃度は、約5%である。さらに、例えば、DC前駆細胞が基材への接着によって単離される場合、血漿は、この培養倍地中に、接着工程の間に含められて、培養の初期のCD14+表現型を促進し得る。接着の間の代表的な血漿濃度は、約1%以上である。
【0032】
単球樹状細胞前駆細胞は、任意の適切な時間にわたって培養され得る。特定の実施形態において、前駆細胞の、未熟樹状細胞への分化のために適切な培養時間は、約4日〜約7日間であり得る。ただし、CD14は、DC表現型の欠損を示さない。これらの前駆細胞からの未熟樹状細胞の分化は、当業者に公知である方法によって(例えば、細胞表面マーカー(例えば、CD11c+、CD83low、CD86−/low、HLA−DR+)の存在または非存在によって)モニタリングされ得る。未熟樹状細胞はまた、適切な組織培養倍地中で培養されて、これらの未熟樹状細胞を、さらなる分化または抗原の取り込み、プロセシングおよび提示のための状態に維持し得る。例えば、未熟樹状細胞は、GM−CSFおよびIL−4の存在下に維持され得る。
【0033】
(分化した樹状細胞前駆細胞からのCD14+樹状細胞の単離)
DC前駆細胞からの分化に続いて、CD14+細胞は、単離されて、CD14+ DCの単離された集団を与え得る。代表的に、CD14+ DCが、濃縮されたかまたは実質的に濃縮されたDC(上記のような分化をモニタリングすることによって決定される)から成熟する前に単離される場合、この単離された集団は、未熟CD14+ DCについて濃縮されるか、またな実質的に濃縮される。一般に、CD14+ DCの単離は、CD14+細胞が単離される細胞集団を、CD14特異的プローブと接触させる工程を包含する。1つの例示的な実施形態において、CD14発現細胞は、FACSによって、蛍光性分子(例えば、FITCもしくはPE)と直接結合体化されているか、またはCD14に特異的な非標識の抗体およびこの第一の抗体に特異的な標識された第二の抗体と結合体化されているかのいずれかの、CD14特異的プローブを使用して、検出される。CD14+細胞はまた、CD14lowおよびCD14−細胞から、FACS選別によって分離され得る。CD14highを正にゲーティングすることは、例えば、PBMC由来の単球に対するCD14染色を参照して決定され得る。代表的に、CD14特異的結合因子は、例えば、抗CD14抗体(例えば、モノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメント)である。本発明において使用するために適切な、多数の抗CD14抗体が、当業者に周知であり、そして多くが、市場で購入され得る。
【0034】
別の実施形態において、CD14特異的プローブは、基材に結合され、そしてCD14+細胞は、アフィニティー選択によって単離される。CD14+細胞を含む細胞の集団は、この結合された基材に曝露され、そしてCD14+細胞は、特異的に接着される。次いで、接着していないCD14−細胞が、この基材から洗い流され、次いで、接着細胞が溶出されて、CD14+ DCがかなり濃縮された、単離された細胞集団が得られる。このCD14特異的プローブは、例えば、抗CD14抗体であり得る。この基材は、例えば、市販の組織培養プレートまたはビーズ(例えば、ガラスまたは磁気ビーズ)であり得る。基材に結合した表面マーカー特異抗体を使用する、細胞集団の親和性単離のための方法は、一般に公知である(例えば、Berngardら、前出;Cauxら、前出を参照のこと)。
【0035】
(未熟樹状細胞の抗原との接触および樹状細胞の成熟)
培養の間、未熟樹状細胞(CD14+ imCDの単離された集団、または単離前の全imDCのいずれか)は、必要に応じて、所定の抗原に曝露され得る。適切な所定の抗原としては、T細胞調節が望ましい任意の抗原が挙げられ得る。1つの実施形態において、未熟樹状細胞は、癌の免疫療法および/または腫瘍増殖阻害のために、前立腺特異的膜抗原(PSMA)の存在下で培養される。他の抗原としては、例えば、細菌細胞、ウイルス、部分的に精製されたかまたは精製された細菌抗原またはウイルス抗原、腫瘍細胞、腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原(例えば、腫瘍細胞溶解物、腫瘍細胞膜調製物、腫瘍から単離された抗原、融合タンパク質、リポソームなど)、表面で抗原を発現する組換え細胞、自己抗原、および他の任意の抗原が挙げられる。これらの抗原のいずれかはまた、ペプチドまたはその組換え産生タンパク質もしくはその一部として提示され得る。抗原との接触の後に、これらの細胞は、抗原の取り込みおよびプロセシングを可能にするために適切な任意の時間にわたって培養され、抗原特異的樹状細胞などの集団を増殖させ得る(以下を参照のこと)。
【0036】
例えば、1つの実施形態において、未熟DCは、抗原取り込みの後に培養されて、imDCの、MHC分子に関する抗原を提示する成熟DCへの変異を促進し得る。DCの成熟のための方法は、公知である(例えば、米国特許第6,274,378号を参照のこと、本明細書中に参考として援用される)。このような成熟は、例えば、既知の成熟因子(例えば、サイトカイン(例えば、TNF−α、IL−1β、またはCD40リガンド)、細菌産物(例えば、LPSまたはBCG)など)の存在下で培養することによって、実施され得る。imDCからmDCへの成熟は、当該分野において公知の方法によって(例えば、細胞表面マーカー(例えば、CD83分子、CD86分子、およびMHC分子のアップレギュレーション)の存在または非存在を測定すること、あるいは成熟樹状細胞特異的mRNAまたはタンパク質の発現を、例えば、オリゴヌクレオチドアレイを使用して試験することによって)モニタリングされ得る。
【0037】
必要に応じて、imDCは、細胞集団を増殖するため、および/またはimDCをさらなる分化もしくは抗原取り込みのための状態に維持するために適切な組織培養培地中で培養され得る。例えば、imDCは、GM−CSFおよびIL−4の存在下で、維持および/または増殖され得る。また、imDCは、抗炎症性分子(例えば、抗炎症性サイトカイン(例えば、IL−10およびTGF−β))の存在下で培養されて、imDCの成熟を阻害し得る。
【0038】
別の局面において、CD14+ DCの単離された集団は、成熟DCを濃縮される。この単離されたCD14+ mDCの集団は、単離されたCD14+ imDCの集団を、上記のような成熟因子(例えば、細菌産物、および/または炎症誘発性サイトカイン)の存在下で培養し、これによって変異を誘導することによって、得られ得る。必要に応じて、CD14+ imDCとCD14− imDC(DC前駆細胞から分化された)との混合された集団が培養されて、変異を誘導し得、この変異段階は、上記のようにモニタリングされ、そしてmDC濃縮の適切な段階において、CD14+細胞が、上記のように分離され、CD14+ mDCを濃縮されたかまたはかなり濃縮された、単離された集団を与える。
【0039】
本発明のなお別の局面によれば、DCは、例えば、前立腺癌抗原への曝露前、または前立腺癌抗原への曝露後のいずれかに、例えば、凍結保存によって保存され得る。使用され得る凍結保存剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、ポリビニルピロリドンポリエチレングリコール、アルブミン、デキストラン、スクロース、エチレングリコール、i−エリトリトール、D−リビトール、D−マンニトール、D−ソルビトール、i−イノシトール、D−ラクトース、塩化コリン、アミノ酸、メタノール、アセトアミド、モノ酢酸グリセロール、および無機塩が挙げられるが、これらに限定されない。制御されたゆっくりとした冷却速度が、重要であり得る。異なる凍結保護物質および異なる細胞型は、代表的に、異なる最適冷却速度を有する。水が氷に変わる溶解相の熱は、代表的に、最小であるべきである。この冷却手順は、例えば、プログラム可能な冷凍デバイスまたはメタノール浴手順の使用によって、実施され得る。プログラムされた冷凍装置は、最適冷却速度の決定を可能にし、そして標準的な再現可能な冷却を容易にする。プログラム可能な制御された速度のフリーザー(例えば、CryomedまたはPlanar)は、所望の冷却速度曲線への冷凍レジメンの調整を可能にする。
【0040】
完全に凍結させた後に、DCを、長期間の低温保存容器に迅速に移し得る。代表的な実施形態において、サンプルは、液体窒素(−196℃)またはその蒸気(−165℃)中で、低温保存され得る。造血幹細胞(特に、骨髄または末梢血由来のもの)の操作、凍結保存、および長期保存のための問題および手順は、本発明のDCに大いに適用可能である。このような議論は、例えば、以下の参考文献に見出され得、これらの文献は、本明細書中に参考として援用される:Taylorら、Cryobiology 27:269−78(1990);Gorin,Clinics in Haematology 15:19−48(1986);Bone−Marrow Conservation,Culture and Transplantation,Proceedings of a Pane. Moscow,Jul.22−26,1986,International Atomic Energy Agency,Vienna,pp.107−186。
【0041】
冷凍された細胞は、好ましくは、迅速に(例えば、37℃〜41℃に維持された水浴中で)解凍され、そして解凍したらすぐに冷却される。これらの細胞を、解凍の際の細胞の凝集を防止するために処理することが、望ましくあり得る。凝集を防止するために、種々の手順が使用され得、これらの手順としては、凍結の前および/または後のDnaseの添加(Spitzerら、Cancer 45:3075−85)、低分子量のデキストランおよびクエン酸塩の添加、ヒドロキシエチルデンプンの添加(Stiffら、Cryobiology 20:17−24(1983))などが挙げられるが、これらに限定されない。この凍結保護物質は、ヒトにおいて毒性である場合、解凍されたDCの治療的使用の前に除去されるべきである。この凍結保護物質を除去するための1つの様式は、有意でない濃度への希釈による。一旦、冷凍されたDCが解凍および回収されると、これらのDCは、冷凍されていないDCに関して本明細書中で記載されるように、T細胞を活性化させるために使用され得る。
【0042】
(CD14+樹状細胞を使用するT細胞応答の調節)
別の局面によれば、CD14+ DCは、T細胞応答を調節するために使用され得る。T細胞またはT細胞のサブセットは、反応者細胞として使用するために、種々のリンパ系組織から得られ得る。このような組織としては、脾臓、リンパ節、および末梢血が挙げられるが、これらに限定されない。CD14+ DCは、T細胞に対して自己由来、同系、または同種であり得る。
【0043】
例えば、CD14+ DCは、インビトロでの抗原非依存性T細胞共刺激のために使用され得る(図4を参照のこと、DC効力/共刺激アッセイにおける、CD14+ DCでのT細胞の刺激を示す)。刺激されるT細胞は、CD14+ DCの単離された集団と一緒に共生培養される。細胞の活性化は、T細胞レセプター(TcR)の係合によって(例えば、抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントの接触によって)か、または最適より低濃度で、T細胞を活性化させるために充分な刺激シグナルを、CD14+ DCによって提供される共刺激シグナルと組み合わせて提供する他の任意の抗原(例えば、フィトヘマグルチニン(PHA)などのような植物レクチン、もしくはホルボールミリステート酢酸(PMA)などのような非植物起源のマイトジェン)によって、誘導される。T細胞活性化のレベルは、公知の方法によってモニタリングされ得る。例えば、活性化は、T細胞増殖の増加(例えば、3H−チミジン取り込みによって);T細胞活性化マーカーの変化(例えば、FACSによって);またはサイトカイン産生の変化(例えば、ELISAもしくはアレイによって)によって、モニタリングされ得る。
【0044】
また、別の実施形態において、所定の抗原に曝露されたCD14+ DCは、インビトロまたはエキソビボで、抗原に対してT細胞を活性化させるために使用され得る。CD14+は、T細胞を刺激するために、抗原への曝露の直後に使用され得る。あるいは、DCは、抗原およびT細胞への曝露の前に、サイトカインの組み合わせ(例えば、GM−CSFおよびIL−4)の存在下で維持され得る。特定の実施形態において、ヒトCD14+ DCが、ヒトT細胞を刺激するために使用される。
【0045】
T細胞はまた、所定の抗原に曝露されたCD14+ DCと一緒に、混合されたT細胞集団としてか、または精製されたT細胞サブセットとして、共生培養され得る。例えば、精製されたCD8+ T細胞は、抗原に曝露されたCD14+ DCと一緒に共生培養されて、抗原特異的CTLを惹起し得る。さらに、CD4+ T細胞を初期に排除することによって、CD8+ T細胞とCD4+ T細胞との両方の混合された培養物における、CD4+細胞の過剰増殖を防止し得る。T細胞の精製は、ポジティブ選択および/またはネガティブ選択によって達成され得、この選択としては、CD2に対する抗体、CD3に対する抗体、CD4に対する抗体、および/またはCD8に対する抗体の使用が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、CD4+ T細胞とCD8+ T細胞との混合された集団は、CD14+ DCと共生培養されて、細胞傷害性応答とTヘルパー(TH)免疫応答との両方を含む抗原に特異的な応答を誘発し得る。
【0046】
さらに、インビトロまたはエキソビボで所定の抗原と接触されたCD14+樹状細胞は、インビボでの抗原に対する免疫応答を調節するために使用され得る。例えば、上記のような抗原との接触および成熟に引き続いて、成熟した抗原提示CD14+ DCは、ヒト被験体に投与されて、抗原特異的T細胞媒介性免疫応答を刺激し得る。さらに、所定の抗原と接触されたCD14+ DCへの曝露による、インビトロまたはエキソビボでのT細胞の活性化の後に、活性化されたT細胞はまた、ヒト被験体に投与されて、この抗原に対する免疫応答を刺激し得る。
【0047】
以下の実施例は、本発明の種々の局面の例示として単に提供され、そして本発明をいかなる様式でも限定するとは解釈されるべきではない。
【実施例】
【0048】
(実施例1:血漿を用いるCD14+樹状細胞表現型の促進)
本実施例において、血漿(樹状細胞(DC)上でのCD1a発現を阻害することが公知である)を、未熟DCを培養するために使用される培養培地を補充するために使用される場合に血漿がCD14+表現型の発生を促進する能力について試験した。
【0049】
手短に言えば、予め冷凍されたPBMCおよび正常な健常なドナー由来の自己由来血漿を利用した。白血球フェレーシス材料を、2つの異なる時点(本明細書中で、「T1」および「T2」であり、約1年離れている)でヒトドナー(ドナー016)から得られた血液から調製した。T2白血球フェレーシスは、大きいCD14+ DC集団を生じ、一方で、より早期のT1白血球フェレーシスは、「正常な」(または低い)百分率の集団を生じた。各時点からのPBMCを、Opti−MEM(登録商標)において、5%血漿と一緒に培養し、そして各細胞集団におけるCD14+の百分率に対する効果を分析した。その結果を、表1に示す。
【0050】
【表1】
これらの結果は、血漿が、CD14+集団の発生を促進する因子を含有することを示唆した;さらに、同様に関与した細胞成分(例えば、おそらく血漿由来の因子に対するレセプター)が存在した。従って、培養物からの血漿の省略が、(「良好な」(抗原提示)DCの発生をなお支持しながら)より低い百分率のCD14+細胞をもたらし得るか否かを試験した。
【0051】
標準的なDC培養手順後のCD14+細胞の発生は、血漿成分および細胞成分に起因して明らかであるので、5%血漿ありまたはなしでの他の2つの培地(AIM−V(登録商標)およびLGM3(XVIVO−15(登録商標)としてもまた公知))の、DC培養に対する効果を試験した。培養培地を、ドナー016のT1 PBMCおよびT2 PBMC(上記を参照のこと)、ならびにT2血漿(すなわち、高い百分率のCD14+細胞を以前に生じた白血球フェレーシス由来の血漿)を用いた6日間のCD培養について、比較した。DC表面表現型を、FACSによって分析した。その結果を、以下の表2に示す。
【0052】
【表2】
これらのデータは、CD14+の誘導が、培養培地中の血漿の存在に関連したことを確信させる。さらに、HLA−DR発現細胞およびCD83発現細胞の百分率は、血漿の非存在下で速く50%低下し、一方で、CD1a+細胞の百分率は、増強された。引き続く試験は、LGM−3(X−VIVO−15(登録商標))のみを標準培地(OptiMem(登録商標)+5%自己由来血漿)と比較した。なぜなら、HLA−DR発現は、AIM−V(登録商標)単独において培養されたDCに対してさらに不十分であるからであり、そしてまた、LGM−3は、DC培養のために良好な培地であることが公知であったからである。
【0053】
細胞培養に対する血漿の初期の効果:
PBMCによるCD14+細胞の接着に対する血漿の効果をまた試験した。1時間の接着工程により、細胞は、固相に強く接着したままであった(細胞は、冷PBS採取によって外れなかった)ので、患者118から単離したDCを、接着の24時間後に採取し、そして細胞表面マーカーの存在についてアッセイした。培養培地は、自己由来の血漿を含有した。PBMCの接着を、1%の血漿中で実施し、引き続いて、解放されたDCを、5%結晶中で培養した。その結果を、以下の表3に示す。
【0054】
【表3】
これらのデータは、CD14+集団の調節における血漿の効果が、培養の間の初期に起こることを示した。血漿によるCD14の調節を実証するこのような結果は、共通であったが、絶対的ではなかった。
【0055】
(実施例2:CD14+細胞、CD14−細胞、ならびに選別されていない樹状細胞およびPBMC由来の単球の免疫表現型決定)
成熟DCから単離されたCD14+細胞集団およびCD14−細胞集団(実施例1において上で記載されたように得られた)を、種々の細胞表面分子の発現について試験した。実施例1において上に記載されたように得られたPBMC由来の単球もまた試験した。細胞を、PE結合体化抗体またはFITC結合体化抗体で、種々の細胞表面マーカーについて染色し、そしてFACS分析に供して、表面分子発現を評価した。試験された抗体は、CD54特異的抗体、CD83特異的抗体、CD80特異的抗体、CD86特異的抗体、CD40特異的抗体、CD11c特異的抗体、CD14特異的抗体、CD56特異的抗体、ならびにHLA−DR特異的抗体、DP特異的抗体、およびDQ特異的抗体であった。一致するアイソタイプのコントロール抗体をまた使用して、バックグラウンド染色を得た。
【0056】
選別されていないDCについての免疫表現型分析の、選別されていないPBMC由来単球と比較した結果を、図1に示す。この場合において、2つのロットのDC(DCVax前立腺標準細胞、組換え発現されたヒトPSMA(rPSMA)に曝露されたDC)を分析した。これらの結果は、産生されるDCが、同じ細胞表面分子の発現の相対レベルの観点で、血液単球とは非常に異なることを実証した。血液単球と比較すると、DCは、より高レベルのCD54、CD80、CD83、CD86、CD40ならびにHLA−DR、D、およびDQを発現した。CD11cの発現は、DCと単球との間で有意には異ならなかった。
【0057】
分化したDC前駆細胞から選別され、引き続いてrPSMAおよびBGCと接触されたCD14+細胞集団およびCD14−細胞集団についての免疫表現型分析の結果を、図2Aおよび2Bに示す。CD14+細胞は、試験した全ての表面分子に関して、CD14−細胞と同一の染色パターンを有する。試験した全てのマーカーは、成熟DC上で代表的に発現されるものであった。従って、免疫表現型に基づいて、CD14+とCD14−との両方が、DCである。
【0058】
血液単球から選別されたCD14+細胞およびCD14−細胞の免疫表現型分析の結果をまた、図2Aおよび2Bに示す。図2Aおよび2Bに示される、血液単球上でのマーカー発現の、DCにおける発現との比較は、血液単球が、細胞表面マーカー発現の観点で、CD14+ DCとは有意に異なることを実証し、CD54、CD86、CD80、CD40、ならびにHLA−DR、DP、およびDQのより低いレベルを示す。
【0059】
(実施例3:T細胞の抗原非依存性共刺激)
CD14+ DCを、これらが抗原非依存性共刺激(APC効力)アッセイにおいてT細胞を活性化させる能力を試験した。
【0060】
ヒト被験体由来のPBMCを、FICOLL(登録商標)溶液の上に、緩衝化生理食塩水で希釈した白血球フェレーシスした血液を重ね、2000rpmで20分間スピンし、そして界面の白血球を単離することによって、調製した。
【0061】
樹状細胞調製物を、単離されたPBMCから、以下のように作製した:各被験体由来の単球DC前駆細胞を、上記手順によって単離した。DC前駆細胞を、500U/mlまたは1,000U/mlのGM−CSFおよび500U/mlのIL−4を補充したX−VIVO15(登録商標)中で7日間培養した。次いで、これらのDCを、FITC結合体化抗CD14抗体を使用して、フローサイトメトリーによって、CD14+集団およびCD14−集団に選別し、CD14発現を検出した。
【0062】
T細胞の濃縮された集団を、PBMCから、磁気ビーズと結合体化した抗HLA−DR抗体とのインキュベーションによって調製した。30分間のインキュベーションに続いて、これらのビーズに結合した細胞を、磁石を使用して除去した。HLA−DRが枯渇した細胞は、かなり濃縮されたT細胞集団を含む。
【0063】
増殖アッセイを、以下のような2つの実験で実施した:1×104個のCD14+、CD14−、または選別されていないDCもしくはPBMC由来の単球を、96ウェル培養プレートの各ウェルに添加し、そして0.005ng/mlの抗CD3抗体(BD Pharmingen,San Diego,California)と接触させた。次いで、1×105個の濃縮T細胞を添加し、1ウェルあたり0.2mlの最終体積を得た。このプレートを約26時間インキュベートし、次いで、3H−チミジンでパルスした。このプレートを、約18時間さらにインキュベートし、その後、採取し、そして取り込まれた標識を決定した。
【0064】
細胞増殖(1分間あたりの計数のデルタ(Δcpm))を、抗CD3抗体の存在下でDCのサンプルまたはPBMC由来の単球調製物で刺激されたT細胞による3H−チミジン取り込みから、DC調製物単独のサンプルで刺激されたT細胞による3H−チミジン取り込みを減算した差として測定される。各樹状細胞調製物についての平均Δcpmを、三連のサンプルの平均として計算した。
【0065】
この実施例において、CD14− APC(DC)は、平均60,000のΔcpmの効力を保有することが見出された。PBMC由来のCD14+単球が、APCに漸増割合で添加された場合、効力Δcpm値は、次第に減少した。図3Aに示されるように、単球単独の効力は無視でき、このことは、これらの細胞が、CD14−APC(DC)と比較して、乏しい抗原提示細胞であるという事実の証拠となる。図3Bに例示される実験において、樹状細胞を、CD14− DCおよびCD14LOW/+ DCに分離(選別)した。次いで、DC型を、効力バイオアッセイにおいて試験した。示されるように、これらの2つの群のDCの間には、抗原非依存性効力の観点では、有意な差がなかった。このことは、CD14low/+−DCが、これらが抗原を提示する能力において、CD14− DCと等価であることを示した。図3Cは、CD14− DCおよびCD14low/+ DCが、これらのDCの混合物がまたT細胞の活性化のための抗原提示細胞の良好な集団を構築するか否かを評価するための効力アッセイにおいて、単独でかまたは組み合わせて試験された実験を図示する。試験されたAPCの種々の群の効力は、およそ等しかった。このことは、任意の混合割合のCD14− DCおよびCD14low/+ DCを含有するAPC産物が、CD14− DCと効力が等価であることを示した。
【0066】
上記知見は、図4に図示される結果によって確認された。手短に言えば、18バッチのAPCを、CD14− DCおよびCD14+ DCの集団について試験した。種々のバッチを、サンプル中のCD14+ DCの割合に基づいて、各々9個のサンプルの2つの群にグループ分けした。ある群が0.38%と17.97%との間(平均6.36%)のCD14+ DCを有する場合、この群は、低い割合のCD14+ DCを含有するとみなされ、一方で、ある群が20.71%と51.90%との間(平均30.98%)のCD14+ DCを有する場合、この群は、「高い」割合のCD14+ DCを含有するとみなされた。これらの2つの群におけるAPCの効力は、互いに無関係であった(図4)。このことは、CD14− DCとの混合物としてのCD14low/+ DCの存在が、CD14− DCの効力を低下させないこと、およびCD14+ DCと混合されたCD14low/+ DCの集団が、T細胞を刺激するための等価なAPC調製物として使用され得ることを示した。
【0067】
(実施例4:CD1a発現、CD80発現およびHLA−DR発現の決定)
単球を、GM−CSF単独(500U/ml)単独を補充したか、GM−CSF(500U/ml)およびIL−4(500U/ml)を補充したか、またはIL−15(100ng/mg)単独を補充した、XVIVO−15(登録商標)+2%ヒト血清アルブミン(SHA)中で5日間培養した。得られたDCを、CD14発現(図5Aおよび5B)ならびにHLA−DR発現、CD80発現およびCD1a発現(図5C)について表現型決定した。GM−CSF単独において培養されたDCは、GM−CSFおよびIL−4中で生成されるDCと比較して、低レベルのCD14を発現する、より高い百分率の細胞を有した。しかし、CD14発現のレベルは、GM−CSFを含まない(IL−15のみの)倍地中で同じ時間にわたって培養された単球において見られるよりも、ずっと低かった。CD14が低いDCまたはCD14ネガティブなDCを、CD14high単球集団(GM−CSF培養物なし)と、クラスII(HLA−DR)発現、CD80発現、およびCD1a発現について比較した。GM−CSFの存在下で培養された単球のみが、CD1aおよびCD80(樹状細胞を示す2つのマーカー)を発現することが見出された(図5C)。クラスII発現は、3つ全ての培養条件由来の細胞に存在した。
【0068】
(実施例5:CD14low樹状細胞およびCD14−樹状細胞からの、IL−10およびIL−12の産生)
GM−CSF単独を補充されたか(CD14low)、またはIL−4と組み合わせたGM−CSFを補充された(CD14−)XVIVO−15(登録商標)+2%HSA中で産生されたDCを、不活性化されたBCG(1:400希釈物)およびIFN−γ(500U/ml)と一緒に一晩成熟させた。上清を、各ウェルから収集し、そしてIL−10 ELISAアッセイおよびIL−12p70 ELISAアッセイで泳動した(図6Aおよび6B)。両方のDC集団が、それらの細胞表面上で発現されるCD14のレベルにかかわらず、類似の量のIL−10およびIL−12を産生した。
【0069】
(実施例6:CD8+ T細胞応答の刺激)
この実施例において、BCGおよびIFNγの存在下で成熟されたCD14low DCおよびCD14− DCが、Vβ17+,CD8+ T細胞の発現を刺激する能力。
【0070】
次いで、抗原特異的T細胞を、CD14low DCおよびCD14− DCと共生培養した。手短に言えば、これらのDCを、培養フラスコから採取し、そして遠心分離によって濃縮した。直接の負荷のために、細胞を、等体積のX−VIVO 15(登録商標)倍地およびPBS中のHLAA.A2.1制限エピトープを含むインフルエンザMI−A4 40マーペプチドGlyIleLysGlyPheThrLeu(配列番号1)中に再懸濁させ、そして37℃で1時間インキュベートした。これらの細胞を、37℃で2時間インキュベートして、抗原プロセシングを可能にした。
【0071】
M1−A4 40マーを負荷したDCを成熟させ、そして自己由来のPBMC(1:10 DC:PBMC比)と一緒に、IL−2(20U/ml)およびIL−15(5ng/ml)を補充したAIM−V(登録商標)+5%ヒトAB血清中で8日間共生培養した。得られた細胞株を、各株におけるVβ17+;CD8 T細胞(インフルエンザA特異的細胞)の百分率について、フローサイトメトリーによって分析した(図7A)。絶対的な細胞数を、この百分率に、各株において見出される全細胞および図7Bに示される結果を除算することによって、計算した。これらのデータは、CD14+ CDおよびCD14− DCが、かなりの抗原特異的CD8+ T細胞応答を完全に刺激し得ること、ならびに樹状細胞の表面上におけるCD14抗原の欠乏が、抗原提示と結びつく表現型の特徴ではないことを、実証した。
【0072】
先の実施例は、特許請求される発明の範囲を説明するために提供されるのであり、この範囲を限定するために提供されるのではない。本発明の他の改変物は、当業者に容易に明らかになり、そして添付の特許請求の範囲によって包含される。本明細書中に引用される全ての刊行物、特許、特許出願、および他の参考文献はまた、これらの全体が、本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、未選別のDC由来単球およびPBMC由来単球の集団上で発現される表面分子の代表的提示を示す。新鮮な血液単球を、白血球フェレーシス生成物から単離し、500U/mlのGM−CSFおよび500U/mlのIL−4とともに6日間培養した。その後、細胞を、種々の細胞表面マーカーに対するPE結合体化抗体またはFITC結合体化抗体を用いて染色し、FACS分析に供して、表面分子発現を評価した。この図は、2人の異なるドナー由来するDC(実線および破線)ならびに血液単球(黒塗りのヒストグラム)についての蛍光強度ヒストグラムを示し、CD54に対する抗体、CD83に対する抗体、CD80に対する抗体、CD86に対する抗体、CD40に対する抗体、CD11cに対する抗体、CD14に対する抗体、HLA−DRに対する抗体、HLA−DPに対する抗体およびHLA−DQに対する抗体で染色した。
【図2A】図2Aおよび図2Bは、CD14+DCおよびCD14−DC上での表面分子発現のレベルを、その前駆体であるPBMC由来単球と対照して示す。DCを、500U/mlのGM−CSFおよび500U/mlのIL−4との培養によりこれらのヒト単球性DC前駆体から生成し、CD14に特異的なFITC結合体化抗体と種々の細胞表面マーカーに対するPE結合体化抗体とで二重染色し、FACS分析に供して、表面分子発現を評価した。図2Aは、CD54に対する抗体、CD86に対する抗体、CD11cに対する抗体、およびCD56に対する抗体で染色した(実線)か、またはアイソタイプコントロール抗体(黒塗りヒストグラム)で染色した、CD14+DCおよびCD14−DCの両方についての蛍光強度ヒストグラムを示す。図2Bは、CD83に対する抗体、CD80に対する抗体、CD40に対する抗体、ならびにHLA−DRに対する抗体、HLA−DPに対する抗体、およびHLA−DQに対する抗体で染色した、これらの細胞についての蛍光強度ヒストグラムを示す。
【図2B】図2Aおよび図2Bは、CD14+DCおよびCD14−DC上での表面分子発現のレベルを、その前駆体であるPBMC由来単球と対照して示す。DCを、500U/mlのGM−CSFおよび500U/mlのIL−4との培養によりこれらのヒト単球性DC前駆体から生成し、CD14に特異的なFITC結合体化抗体と種々の細胞表面マーカーに対するPE結合体化抗体とで二重染色し、FACS分析に供して、表面分子発現を評価した。図2Aは、CD54に対する抗体、CD86に対する抗体、CD11cに対する抗体、およびCD56に対する抗体で染色した(実線)か、またはアイソタイプコントロール抗体(黒塗りヒストグラム)で染色した、CD14+DCおよびCD14−DCの両方についての蛍光強度ヒストグラムを示す。図2Bは、CD83に対する抗体、CD80に対する抗体、CD40に対する抗体、ならびにHLA−DRに対する抗体、HLA−DPに対する抗体、およびHLA−DQに対する抗体で染色した、これらの細胞についての蛍光強度ヒストグラムを示す。
【図3A】図3A〜図3Cは、種々の濃度のCD14+DCおよびCD14−DCの抗原非依存性効力の例を示す。図3Aは、CD14+単球を添加した場合のCD14−DCの効力に対する影響を測定するバイオアッセイの結果を示す。簡単に述べると、刺激細胞(DCまたは単球)を、96ウェル培養プレート上にプレーティングし、最適に満たない量の抗CD3抗体(0.005ng/ml)および濃縮されたT細胞を、添加した。細胞を、3H−チミジンでパルスし、さらにインキュベートし、そして収集した。その後、T細胞増殖を、取り込まれた標識(Δcpm)を測定することによって決定した。図3Bは、CD14+DCおよびCD14−DCの抗原非依存性効力を示す。樹状細胞を、CD14−DCとCD14low/+DCとに分離(分別)した。その後、各細胞群を、その抗原非依存性効力のバイオアッセイにおいて試験した。図3Cは、CD14−DCの抗原非依存性効力を、単独でかまたはCD14low/+DCと組み合わせて示し、これらのDCの混合物もまた抗原提示細胞の良好な集団を構成するか否かを評価する。試験した種々のAPC(抗原提示細胞)群の効力は、ほぼ等しかった。このことは、CD14−DCとCD14+DCとの任意の混合集団を含むAPC生成物は、CD14−DCに対する効力が等しかったことを示す。
【図3B】図3A〜図3Cは、種々の濃度のCD14+DCおよびCD14−DCの抗原非依存性効力の例を示す。図3Aは、CD14+単球を添加した場合のCD14−DCの効力に対する影響を測定するバイオアッセイの結果を示す。簡単に述べると、刺激細胞(DCまたは単球)を、96ウェル培養プレート上にプレーティングし、最適に満たない量の抗CD3抗体(0.005ng/ml)および濃縮されたT細胞を、添加した。細胞を、3H−チミジンでパルスし、さらにインキュベートし、そして収集した。その後、T細胞増殖を、取り込まれた標識(Δcpm)を測定することによって決定した。図3Bは、CD14+DCおよびCD14−DCの抗原非依存性効力を示す。樹状細胞を、CD14−DCとCD14low/+DCとに分離(分別)した。その後、各細胞群を、その抗原非依存性効力のバイオアッセイにおいて試験した。図3Cは、CD14−DCの抗原非依存性効力を、単独でかまたはCD14low/+DCと組み合わせて示し、これらのDCの混合物もまた抗原提示細胞の良好な集団を構成するか否かを評価する。試験した種々のAPC(抗原提示細胞)群の効力は、ほぼ等しかった。このことは、CD14−DCとCD14+DCとの任意の混合集団を含むAPC生成物は、CD14−DCに対する効力が等しかったことを示す。
【図3C】図3A〜図3Cは、種々の濃度のCD14+DCおよびCD14−DCの抗原非依存性効力の例を示す。図3Aは、CD14+単球を添加した場合のCD14−DCの効力に対する影響を測定するバイオアッセイの結果を示す。簡単に述べると、刺激細胞(DCまたは単球)を、96ウェル培養プレート上にプレーティングし、最適に満たない量の抗CD3抗体(0.005ng/ml)および濃縮されたT細胞を、添加した。細胞を、3H−チミジンでパルスし、さらにインキュベートし、そして収集した。その後、T細胞増殖を、取り込まれた標識(Δcpm)を測定することによって決定した。図3Bは、CD14+DCおよびCD14−DCの抗原非依存性効力を示す。樹状細胞を、CD14−DCとCD14low/+DCとに分離(分別)した。その後、各細胞群を、その抗原非依存性効力のバイオアッセイにおいて試験した。図3Cは、CD14−DCの抗原非依存性効力を、単独でかまたはCD14low/+DCと組み合わせて示し、これらのDCの混合物もまた抗原提示細胞の良好な集団を構成するか否かを評価する。試験した種々のAPC(抗原提示細胞)群の効力は、ほぼ等しかった。このことは、CD14−DCとCD14+DCとの任意の混合集団を含むAPC生成物は、CD14−DCに対する効力が等しかったことを示す。
【図4】図4は、18個の抗原提示細胞バッチの抗原非依存性効力の比較を示す。これらのバッチを、その細胞集団内のCD14−DCとCD14+DCとの比率について試験した。
【図5A】図5A〜図5Cは、GM−CSF単独、GM−CSF+IL−4、またはIL−5単独の存在下で培養したDCの表現型を示し、この表現型は、CD14、CD80、およびCD1aの細胞表面発現により決定した。図5Aは、GM−CSF単独の存在下で5日間培養した後にCD14を発現する細胞の割合を示す。図5Bは、GM−CSF+IL−4の存在下で5日間培養した後にCD14を発現する細胞の割合を示す。図5Cは、CD14highであることが決定された細胞(単球)と比較した場合の、CD14lowDCまたはCD14−DCにおける、CD80について陽性である細胞、CD1aについて陽性である細胞、およびHLA−DRについて陽性である細胞の割合を示す。
【図5B】図5A〜図5Cは、GM−CSF単独、GM−CSF+IL−4、またはIL−5単独の存在下で培養したDCの表現型を示し、この表現型は、CD14、CD80、およびCD1aの細胞表面発現により決定した。図5Aは、GM−CSF単独の存在下で5日間培養した後にCD14を発現する細胞の割合を示す。図5Bは、GM−CSF+IL−4の存在下で5日間培養した後にCD14を発現する細胞の割合を示す。図5Cは、CD14highであることが決定された細胞(単球)と比較した場合の、CD14lowDCまたはCD14−DCにおける、CD80について陽性である細胞、CD1aについて陽性である細胞、およびHLA−DRについて陽性である細胞の割合を示す。
【図5C】図5A〜図5Cは、GM−CSF単独、GM−CSF+IL−4、またはIL−5単独の存在下で培養したDCの表現型を示し、この表現型は、CD14、CD80、およびCD1aの細胞表面発現により決定した。図5Aは、GM−CSF単独の存在下で5日間培養した後にCD14を発現する細胞の割合を示す。図5Bは、GM−CSF+IL−4の存在下で5日間培養した後にCD14を発現する細胞の割合を示す。図5Cは、CD14highであることが決定された細胞(単球)と比較した場合の、CD14lowDCまたはCD14−DCにおける、CD80について陽性である細胞、CD1aについて陽性である細胞、およびHLA−DRについて陽性である細胞の割合を示す。
【図6A】図6Aおよび図6Bは、CD14+成熟樹状細胞およびCD14−成熟樹状細胞およびCD14+未成熟樹状細胞およびCD14−未成熟樹状細胞によって分離される、IL−12およびIL−10の量を示す。図6Aは、IL−12のp70サブユニットの存在によって測定したIL−12の分泌を示す。図6Bは、IL−10の発現を示す。
【図6B】図6Aおよび図6Bは、CD14+成熟樹状細胞およびCD14−成熟樹状細胞およびCD14+未成熟樹状細胞およびCD14−未成熟樹状細胞によって分離される、IL−12およびIL−10の量を示す。図6Aは、IL−12のp70サブユニットの存在によって測定したIL−12の分泌を示す。図6Bは、IL−10の発現を示す。
【図7A】図7Aおよび図7Bは、CD14+DCおよびCD14−DCと接触したT細胞集団におけるインフルエンザA抗原特異的細胞傷害性T細胞の存在を示すVβ17細胞表面マーカーを発現する、CD8+T細胞の割合(図7A)および総数(図7B)を示す。
【図7B】図7Aおよび図7Bは、CD14+DCおよびCD14−DCと接触したT細胞集団におけるインフルエンザA抗原特異的細胞傷害性T細胞の存在を示すVβ17細胞表面マーカーを発現する、CD8+T細胞の割合(図7A)および総数(図7B)を示す。
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
樹状細胞(DC)は、未成熟系調節において中心的役割を果たす。先天性マン駅における重要な役割に加えて、DCは、T細胞媒介性適応性免疫応答のための定量的かつ定性的な枠組みを提供する(例えば、MellmanおよびSteinman,Cell 106:255〜58(2001);LanzavecchiaおよびSallustro,Cell 106:263〜266(2001)参照)。DCは、抗原のプロセシングおよび提示において非常に有効であり、多様な抗原群を取り込んでそれをMHCクラスI分子およびMHCクラスII分子の両方に結合されたペプチドとして提示することが可能である。さらに、DCは、有効な細胞媒介性免疫応答のために必要とされるT細胞の状態の誘導および調節のために必要な他のシグナル(一般的には、例えば、細胞表面分子およびサイトカインに関与する)を提供する。他の抗原提示細胞(APC)と比較して、DCは、未刺激T細胞および記憶T細胞を刺激することに、より巧みである。また、SCは、未刺激T細胞から種々の種類のエフェクター(例えば、TH1分化細胞およびTH2文化細胞)への分化を駆動することによって、T細胞応答の質を制御する。従って、DCは、免疫応答を促進するT細胞を生成するだけではなく、活性化T細胞を抑制する調節T細胞も生成する。(MellmanおよびSteinman(前出))。最後に、特定のDCは、自己抗原に対するT細胞寛容を誘導可能であると考えられる(Liu,Cell 106:259〜62(2001))。結果的に、DCの細胞機能は、感染および腫瘍に対する抵抗性のために重要であるだけではなく、自己免疫および移植片拒絶においても同様に重要である。
【0002】
免疫調節におけるDCの多様な機能は、部分的には、そのDCサブクラスおよびDC系統の多様性に依存する。複数のDCサブクラスが、存在する(Liu(前出)参照)。第一に、DCは、未成熟または成熟(2種類の機能的かつ表現型的に異なる状態)のいずれかとして分類され得る。未成熟DC(imDC)は、エンドサイトーシスが巧みであり、比較的低いレベルの表面MHCクラスI分子および表面MHCクラスII分子および副刺激分子(例えば、CD80およびCD86)を発現する。従って、imDCは、自己抗原をT細胞に対して提示することによって、その免疫系において寛容生成機能を果たす。(Liu(前出);Steinman,J.Exp.Med.191:411〜416(2000))。これに関して、imDCは、未刺激CD4+T細胞および未刺激CD8+T細胞が、IL−10生成T調節/サプレッサー細胞へと分化するのを促進し得ることが、考えられる。(Jonuleitら、J.Exp.Med.192:1213〜1222(2000);Dhopadkarら、J.Exp.Med.193:233〜238(2001))。
【0003】
imDCは、骨髄において造血幹細胞から継続的に生成されると考えられる。CD34+幹細胞に由来するCD34+骨髄系共通前駆細胞(CMP)は、CD34+CLA+集団とCD34+CLA−集団へと分化し、これらは、それぞれ、その後、CD11c+CD1a+ imDCおよびCD11c+CD1a− imDCに分化すると考えられる。(Liu(前出);Strunkら、J.Exp.Med.185:1131〜1136(1997))。CD11c+CD1a+ imDCは、皮膚表皮へと移動してランゲルハンス細胞になり、一方、CD11c+CD1a− imDCは、皮膚真皮および他の組織へと移動して、間質性imDCになる(Liu(前出);Itoら、J.Immunol.166:2961〜2969(2001))。上記ランゲルハンス細胞および間質性imDCはまた、種々の機能的特性を示す。例えば、間質性imDCは、マンノースレセプターにより大量の抗原を取り込んでIL−10を生成可能であり、CD40およびIL−2の存在かでのみ刺激B細胞活性化およびIgM生成に寄与するが、ランゲルハンス細胞はそうではない。(Liu(前出))。
【0004】
(例えば、微生物感染または移植による)インビボでの免疫原性チャレンジの後、imDCは、免疫原性形態への迅速な抗原依存性成熟を行う。成熟しているDCは、エンドサイトーシス活性を迅速に失い、MHCクラスIペプチド複合体およびMHCクラスIIペプチド複合体の表面発現および安定性を増加し、炎症性サイトカイン(例えば、IL−1、IL−6、IL−12、IL−18およびIL−23)を分泌し、接着表面分子および副刺激表面分子(例えば、CD40、CD54、CD80、およびCD86)の発現をアップレギュレートする。成熟DC(mDC)は、imDCと比較して抗原を取り込むことがそれほどできないが、これらの細胞は、抗原と提示すること、およびT細胞を刺激することにおいて非常に有効である(MellmanおよびSteinman(前出))。さらに、mDC細胞は、成熟シグナルの型に依存して、異なる型のT細胞免疫応答(例えば、TH1対TH2)を誘導し得る(Liu(前出))。
【0005】
種々のDCサブクラスの機能的多様性は、その単離、特徴付け、および免疫調節における使用(インビボおよびエキソビボの両方)において、かなりの関心を生じた(例えば、米国特許第5,994,126号;同第6,274,378号;Shurin,Cancer Immunol.Immunother.43:158〜64(1996)参照)。樹状細胞集団は、例えば、末梢血から得られる樹状細胞前駆体を、種々の分化因子および成熟因子とともに培養することによって、単離された(一般的には、例えば、米国特許第6,274,378号参照)。代表的には、imDCは、例えば、GM−CSFおよびIL−4の存在下で、樹状細胞前駆体を培養することによって、得られ得る。(例えば、MellmanおよびSteinman,Cell 106:255〜58(2001))LanzavecchiaおよびSallustro,Cell 106:263〜266(2001)参照)。また、imDCからmDCへの成熟は、微生物病原体もしくはウイルス病原体の生成物(例えば、LPS)によって、または炎症性サイトカイン(例えば、TNF−α)によって、誘発され得る。(MellmanおよびSteinman(前出))。
【0006】
これらの単離されたDC集団は、例えば、細胞表面分子の発現、およびそれが抗原を取り込んで提示する能力に基づいて、特徴付けられた。これに関して、CD14(LPSレセプター)は、末梢血単球の大集団において豊富に発現され、一方、単球性DC前駆体から生成されるimDCおよびmDCの両方は、代表的には、高CD14発現を欠くと特徴付けられる。(例えば、米国特許第5,994,126号;Czemiexkiら、J.Immunol.159:3823〜37(1997);SallustoおよびLanzavecchia、J.Exp.Med.179:1109〜1118(1994);Thomasら、J.Immunol.151:6840〜6852(1993a);Thomasら、J.Immunol.150:821〜834(1993b)参照)。従って、表面CD14を欠くことは、DC表現型についてのマーカーとして見なされている。(例えば、Steinman,Ann.Rev.Immunol.9:271〜296(1991);米国特許第5,994,126号;Czerniecjiら(前出);SallustoおよびLanzavecchia(前出);Thomas(前出)(1993a);Thomas(前出)(1993b)参照)。結果として、抗原提示細胞(すなわち、DC)の特徴を示すCD14発現細胞集団は、認識されることはなく、免疫調節においてそれを使用するための方法も開発されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
DCの多様な機能は、樹状細胞サブクラスおよび樹状細胞系統の多様性に依存するので、特定のDCサブセットの同定および単離は、免疫応答を調節するための特定の細胞組成物を提供し得る。従って、インビボおよびエキソビボでの免疫調節能力を示すさらなる単離されたDCサブセット集団について、当該分野において必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の簡潔な要旨)
本発明は、抗原提示細胞の実質的に単離された集団を提供し、この集団は、その集団の成分として、細胞表面マーカーであるCD11c+およびCD14+を発現する一群の抗原提示細胞を含む。このCD11c+,CD14+樹状細胞は、実質的に濃縮され得る。
【0009】
本発明の一実施形態において、上記CD11c+,CD14+樹状細胞集団は、未成熟樹状細胞または樹状細胞のいずれかについて実施的に濃縮されている細胞集団を含む。上記実施的に濃縮されている未成熟樹状細胞または成熟樹状細胞の集団は、所定の抗原をさらに含み得る。本発明の文脈において、上記所定の抗原は、樹状細胞により提示され得るエピトープを含む任意の型であり得る。これらの抗原としては、腫瘍特異的抗原、腫瘍関連抗原、細菌抗原、またはウイルス抗原などが挙げられ得るが、これらに限定されない。上記抗原は、上記樹状細胞集団に対して、細胞全体として、溶解物として、膜調製物として、部分精製調製物として、実質的に精製された調製物として、組換え発現タンパク質もしくはその一部として、ペプチドとして、提供され得るか、または組換え細胞、リポソーム、もしくは他の任意の手段の表面上に発現され得る。
【0010】
特定の実施形態において、上記実質的に単離されたCD11c+,CD14+樹状細胞集団は、前立腺癌に関連する腫瘍抗原をさらに含む。具体的には、上記腫瘍関連抗原は、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、または前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)などである。
【0011】
本発明のなお別の実施形態において、上記単離されたCD11c+,CD14+樹状細胞集団は、少なくとも1種のサイトカインをさらに含む。特に、上記サイトカインは、炎症性サイトカインまたは抗炎症性サイトカインである。具体的には、上記炎症性サイトカインは、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン1β(IL−1β)、またはCD40リガンド(CD40L(gp39とも呼ばれる))であり得る。上記抗炎症性サイトカインは、インターロイキン10(IL−10)、腫瘍壊死因子β(TGF−β)、またはプロスタグランジンE2(PGE2)であり得る。
【0012】
本発明の別の実施形態は、CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団を含み、T細胞の集団をさらに含む。代表的には、上記T細胞の集団は、T細胞を含む任意の細胞集団(例えば、PBMC、T細胞について濃縮されている細胞集団、または実質的に単離されたT細胞の集団)であり得る。上記細胞は、上記樹状細胞に対して、自己由来、同系、または同種異系のいずれかであり得る。本発明の特定の実施形態において、上記T細胞集団は、CD4+T細胞について実質的に濃縮されており得るか、またはCD8+T細胞について実質的に濃縮されており得る。
【0013】
本発明のなお別の実施形態において、CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団を含む組成物が提供される。この組成物は、ナチュラルキラー(NK)細胞の集団をさらに含む。代表的には、上記NK細胞の集団は、NK細胞を含む任意の細胞集団(例えば、PBMC、NK細胞について濃縮されている細胞集団、または実質的に単離されたNK細胞の集団であるが、これらに限定されない)であり得る。上記NK細胞は、上記樹状細胞に対して、自己由来、同系、または同種異系のいずれかであり得る。
【0014】
本発明の一実施形態において、CD11c+,CD14+樹状細胞の集団を単離するための方法が提供される。この方法は、樹状細胞前駆体の集団を得る工程;上記前駆体を、未成熟樹状細胞または成熟樹状細胞へと分化させる工程;およびCD11c+,CD14+樹状細胞の集団を選択する工程;を包含する。上記樹状細胞前駆体の集団は、単球樹状細胞前駆体接着基材を白血球の集団と接触させることによって得られ得る。本発明において有用な基材としては、ガラスおよびガラスでカバーしたプラスチック、スチレン、またはポリスチレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。特に、上記基材は、ガラスでカバーされたポリスチレンまたはスチレンマイクロキャリアビーズを包含する。
【0015】
上記樹状細胞の分化は、上記細胞を少なくとも1種のサイトカインと接触させることによって達成され得る。上記サイトカインは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン4(IL−4)、GM−CSFおよびIL−4、インターロイキン13(IL−13)、またはインターロイキン15(IL−15)などであり得る。上記樹状細胞前駆細胞をサイトカインと接触させることに加えて、血漿もまた、上記CD14+樹状細胞の分化を促進するために含められ得る。
【0016】
本発明のなお別の実施形態において、上記CD11c+,CD14+樹状細胞の集団を単離するための方法は、上記樹状細胞前駆細胞または未成熟樹状細胞を、所定の抗原を用いて分化させる工程を包含する。上記所定の抗原は、抗原提示細胞により提示され得る任意の抗原であり得る。本発明の特定の実施形態において、上記抗原は、前立腺癌に関連し、その抗原としては、PSMA、PSA、またはPAPなどが挙げられ得る。
【0017】
本発明のCD11c+,CD14+樹状細胞は、未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞を含む細胞集団から選択され得る。一実施形態において、上記CD14+樹状細胞は、上記樹状細胞前駆体の集団を、CD14発現樹状細胞との複合体の形成をもたらす条件下でCD14特異的プローブと混合する工程;上記CD14特異的プローブと複合体形成したCD14発現細胞を検出する工程;および上記CD11c+,CD14+樹状細胞を選択する工程によって、選択される。上記CD14特異的プローブは、CD14特異的抗体(特に、モノクローナル抗体)であり得る。上記CD14に特異的な抗体は、固体基材(例えば、マイクロタイタープレート、カラムクロマトグラフィーの媒体、または磁気ビーズなど)に結合され得る。CD11c+,CD14+樹状細胞前駆体を選択した後、上記細胞は、上記樹状細胞前駆体の成熟をもたらす条件下で培養され得る。
【0018】
本発明のなお別の実施形態において、所定の抗原に対するT細胞応答を調節するための方法が、提供される。この方法は、CD11c+,CD14+樹状細胞(代表的には、未成熟樹状細胞または樹状細胞前駆体)の単離された集団を得る工程;上記CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団を、所定の抗原と、その樹状細胞がその抗原をプロセシングするために充分な時間接触させる工程;およびプロセシングされた抗原を提示する上記CD11c+,CD14+樹状細胞を含む単離された細胞集団を、T細胞集団と接触させて、その所定の抗原に対するT細胞応答を調節する工程;を包含する。上記CD11c+,CD14+樹状細胞は、皮膚、脾臓、骨髄、胸腺、リンパ節、末梢血、または臍帯血から得られ得る。上記T細胞は、上記樹状細胞に対して自己由来、同系、または同種異系であり得、そしてインビトロまたはエキソビボで接触され得る。
【0019】
本発明の特定の実施形態において、上記所定の抗原は、腫瘍特異的抗原、腫瘍関連抗原、自己抗原、またはウイルス抗原である。より具体的には、上記腫瘍関連抗原は、前立腺癌に関連し得、本発明の特定の実施形態において、上記前立腺抗原は、PSA、PSMA、またはPAPなどであり得る。
【0020】
本発明のT細胞は、代表的には、白血球の混合集団(例えば、PBMC)にて提供される。しかし、本発明の特定の実施形態において、上記T細胞は、CD4+T細胞について実質的に濃縮されているT細胞の単離された集団、またはCD8+T細胞について実質的に濃縮されているT細胞の単離された集団であるか、あるいはCD4+T細胞とCD8+T細胞との混合集団を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
(単離されたCD14+樹状細胞)
本発明は、CD14+である細胞について濃縮されている単離された抗原提示細胞(例えば、樹状細胞(DC))、ならびにCD14+抗原提示細胞の単離された集団を提供する。本明細書中で使用される場合、用語「単離された集団」とは、その天然環境から取り出された細胞集団を意味する。「CD14+」とは、表面CD14の発現レベルが、PBMC由来単球上での表面CD14の発現レベルと実質的に等しいことを意味する。そのような決定は、例えば、蛍光結合体化抗CD14抗体を使用するFACS分析によってなされ得、そこでは、「高」染色についてゲートは、PBMC由来単球における抗CD14染色に対する参照によって決定される。さらに、CD14+/highDCは、CD14lowまたはCD14dimであるDC集団と区別可能であり、ここで、「CD14low」または「CD14dim」とは、無関係の抗体で見出されるものと比較してわずかに陽性であるがPBMC由来単球において見出されるものよりは有意に低い、蛍光結合体化抗CD14抗体による低レベルのCD14染色を指す。
【0022】
用語「樹状細胞」または「DC」とは、抗原を取り込んでMHC結合ペプチドとして提示することが可能である、種々のリンパ系組織および非リンパ系組織において見出される当該分野で特徴付けられた多様な種類の形態学的には類似する細胞型を指す。(例えば、Steinman,Ann.Rev.Immunol.9:271〜296(1991)参照)。従って、樹状細胞は、HLA−DR+である。さらに、DCは、一般的には、他の白血球表面マーカー(例えば、CD3(T細胞)、CD19(B細胞)、およびCD56/57(NK細胞))が存在しないことに基づいて、当該分野で分類される。(同書参照)。樹状細胞サブタイプまたは樹状細胞の成熟状態に依存して、DCはまた、そのDC表現型に特徴的であると認識される他の表面マーカーを発現する。(例えば、Steinman,Ann.Rev.Immunol.9:271〜296(1991);Liu、Cell 106:259〜62(2001);Thomasら、J.Immunol.151:6840〜6852(1993a);Thomasら、J.Immunol.150:821〜834(1993b)参照)。従って、用語「樹状細胞」または「DC」は、当該分野におけるこの用語の使用と一致するが、但し、本明細書中で使用される場合、「樹状細胞」は、上記のようにCD14もまた発現する。このような細胞としては、例えば、単球樹状細胞前駆体の培養物に由来するDC、ならびに組織(例えば、末梢血、臍帯血、皮膚、脾臓、骨髄、胸腺、およびリンパ節)中に存在する内因性DCが挙げられ得る。
【0023】
代表的な実施形態において、CD14+樹状細胞の単離された集団が、濃縮または実質的に濃縮され得る。本明細書中で使用される場合、用語「濃縮されている」とは、その単離された細胞集団が、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも90%均質であることを意味する。用語「実質的に濃縮されている」とは、その細胞集団が、少なくとも60%、少なくとも75%、または少なくとも90%均質であることを意味する。
【0024】
上記CD14+DCは、未成熟であっても、成熟であってもよい。成熟樹状細胞と未成熟樹状細胞とを区別する特徴は、当該分野において記載されている。(例えば、Liu(前出);MellmanおよびSteinman(前出)参照)。一般的には、例えば、「未成熟樹状細胞」または「imDC」は、中程度のCD80発現、CD86発現、およびMHC発現を有し、CD83の低発現を有するかまたはCD83の発現がなく、抗原の効率的な取込みが可能であり、そして抗原提示について低い能力〜中程度の能力を示す。比較すると、「成熟樹状細胞」または「mDC」は、アップレギュレートされたCD80発現、CD86発現、MHC発現、およびCD83発現を有し、抗原取込みについて実質的に減少した能力を示し、そして抗原提示について高い能力を示す。特定の実施形態において、上記CD14+DCの単離された集団は、mDCまたはimDCのいずれかについて実質的に濃縮されたものであり得る。
【0025】
(CD14+樹状細胞の単離および免疫調節のための方法)
CD14+DCおよびCD14+DCが実質的に濃縮された細胞集団は、本発明によってまた提供される方法により単離され得る。これらの方法としては、概して、DC前駆体を含む細胞の集団の取得、DC前駆体の未熟DCまたは成熟DCへの分化が挙げられ、分化した、未熟DCまたは成熟DCの集団からCD14+DCを単離することもまた挙げられる。
【0026】
DC前駆細胞は、当該分野で公知の方法によって取得され得る。樹状細胞の前駆体は、例えば、密度勾配分離法、蛍光標示式細胞分取法(FACS)、免疫細胞分離技術(例えば、パニング法)、補体溶解法(complement lysis)、ロゼット法(rosetting)、磁気細胞分離技術、ナイロンウール分離法、およびこのような方法の組合せによって単離され得る(例えば、O’Dohertyら,J.Exp.Med.178:1067−76(1993);YoungおよびSteinman,J.Exp.Med.171:1315−32(1990);Freudenthal and Steinman,Proe.Natl.Acad.Sci.USA 87:7698−702(1990);Macatoniaら,Immunol.67:285−89(1989);MarkowiczおよびEngleman,J Clin.Invest.85:955−61(1990)(これらの各々は、本明細書中で参考として援用される))。樹状細胞を免疫的選択するための方法としては、例えば、樹状細胞前駆体に関連する細胞表面マーカー(例えば、基材に結合した、抗CD34抗体および/または抗CD14抗体)を使用することが挙げられる(例えば、Bernhardら,Cancer Res.55:1099−1104,1995 ; Cauxら,Nature 360:258−61,1992(これらの各々は、本明細書中で参考として援用され得る)。
【0027】
DC前駆体の濃縮された集団もまた、取得され得る。このような濃縮された集団を取得する方法は、当該分野で公知である。例えば、DC前駆体の濃縮された集団は、基材に対して接着する細胞を選択的に取り出すことによって、組織供給源から単離され得る(例えば、米国特許番号5,994,126(これは、本明細書中で参考として援用される)。組織供給源(例えば、骨髄または末梢血)を使用して、接着性単球が、市販のプラスチック基材(例えば、ビーズまたは磁気ビーズ)を使用して細胞集団から取り出されて、非接着性DC前駆体について濃縮された集団が取得され得る(前掲を参照のこと)。
【0028】
単球DC前駆体はまた、DC前駆対接着基材を使用することによって、組織供給源から取得され得る。例えば、白血球フェレーシスによって単離された末梢血の白血球は、高い表面積体積比を有する接着性単球性DC前駆体接着基材と接触して、その接着性単球性DC前駆体は分離される。さらなる実施形態において、結合した基材は、高い表面積体積比(例えば、20M2/L〜約80/L)を有する球状または繊維状の基材(例えば、マイクロビーズ、マイクロキャリアビーズ、ペレット、顆粒、粉末、キャピラリーチューブ、微小絨毛膜(microvillous membrane)、など)であり得る。さらに、球状または繊維状の基材は、ガラス、ポリスチレン、プラスチック、ガラス被覆ポリスチレンマイクロビーズなどであり得る。
【0029】
これらのDC前駆体もまた、分化および/または増殖のために、インビトロで培養され得る。DC前駆体の分化/増殖のための方法は、当該分野で公知である(例えば、米国特許番号5,994,126)。概して、増殖は、DCの分化/増殖を誘導する少なくとも1つのサイトカインの存在下でそれらの前駆体を培養することによって達成され得る。代表的には、これらのサイトカインは、顆粒球刺激因子(G−CSF)または顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)である。さらに、他の因子が、その培養物中における非DC細胞型の増殖および/または成熟を阻害するために使用され得る。それによって、DC前駆体の集団をさらに濃縮する。代表的には、このような因子は、サイトカイン(例えば、IL−3、IL−4またはIL−5など)が挙げられる(例えば、前掲を参照のこと)。
【0030】
(樹状細胞前駆細胞の分化およびCD14+表現型の促進)
単離されたDC前駆細胞の集団を培養し、そして分化させて、未熟DCまたは成熟DCを得る。適切な組織培養培地としては、例えば、AIM−V(登録商標)、RPMI 1640、DMEM、X−VIVO 15(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの組織培養培地は、代表的に、アミノ酸、ビタミン、二価の陽イオン、およびサイトカインを補充されて、これらの前駆細胞の、DC表現型への分化を促進する。代表的に、分化を促進するサイトカインは、GM−CSFおよび/またはIL−4である。代表的なサイトカインの組み合わせは、約1,000〜約500U/mlのGM−SCFおよびIL−4である。
【0031】
さらに、DC表現型への増殖、分化、および成熟の間の、DC前駆細胞の培養物は、CD14+ DCの発生を促進するために、血漿を含有し得る。代表的な血漿濃度は、約5%である。さらに、例えば、DC前駆細胞が基材への接着によって単離される場合、血漿は、この培養倍地中に、接着工程の間に含められて、培養の初期のCD14+表現型を促進し得る。接着の間の代表的な血漿濃度は、約1%以上である。
【0032】
単球樹状細胞前駆細胞は、任意の適切な時間にわたって培養され得る。特定の実施形態において、前駆細胞の、未熟樹状細胞への分化のために適切な培養時間は、約4日〜約7日間であり得る。ただし、CD14は、DC表現型の欠損を示さない。これらの前駆細胞からの未熟樹状細胞の分化は、当業者に公知である方法によって(例えば、細胞表面マーカー(例えば、CD11c+、CD83low、CD86−/low、HLA−DR+)の存在または非存在によって)モニタリングされ得る。未熟樹状細胞はまた、適切な組織培養倍地中で培養されて、これらの未熟樹状細胞を、さらなる分化または抗原の取り込み、プロセシングおよび提示のための状態に維持し得る。例えば、未熟樹状細胞は、GM−CSFおよびIL−4の存在下に維持され得る。
【0033】
(分化した樹状細胞前駆細胞からのCD14+樹状細胞の単離)
DC前駆細胞からの分化に続いて、CD14+細胞は、単離されて、CD14+ DCの単離された集団を与え得る。代表的に、CD14+ DCが、濃縮されたかまたは実質的に濃縮されたDC(上記のような分化をモニタリングすることによって決定される)から成熟する前に単離される場合、この単離された集団は、未熟CD14+ DCについて濃縮されるか、またな実質的に濃縮される。一般に、CD14+ DCの単離は、CD14+細胞が単離される細胞集団を、CD14特異的プローブと接触させる工程を包含する。1つの例示的な実施形態において、CD14発現細胞は、FACSによって、蛍光性分子(例えば、FITCもしくはPE)と直接結合体化されているか、またはCD14に特異的な非標識の抗体およびこの第一の抗体に特異的な標識された第二の抗体と結合体化されているかのいずれかの、CD14特異的プローブを使用して、検出される。CD14+細胞はまた、CD14lowおよびCD14−細胞から、FACS選別によって分離され得る。CD14highを正にゲーティングすることは、例えば、PBMC由来の単球に対するCD14染色を参照して決定され得る。代表的に、CD14特異的結合因子は、例えば、抗CD14抗体(例えば、モノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメント)である。本発明において使用するために適切な、多数の抗CD14抗体が、当業者に周知であり、そして多くが、市場で購入され得る。
【0034】
別の実施形態において、CD14特異的プローブは、基材に結合され、そしてCD14+細胞は、アフィニティー選択によって単離される。CD14+細胞を含む細胞の集団は、この結合された基材に曝露され、そしてCD14+細胞は、特異的に接着される。次いで、接着していないCD14−細胞が、この基材から洗い流され、次いで、接着細胞が溶出されて、CD14+ DCがかなり濃縮された、単離された細胞集団が得られる。このCD14特異的プローブは、例えば、抗CD14抗体であり得る。この基材は、例えば、市販の組織培養プレートまたはビーズ(例えば、ガラスまたは磁気ビーズ)であり得る。基材に結合した表面マーカー特異抗体を使用する、細胞集団の親和性単離のための方法は、一般に公知である(例えば、Berngardら、前出;Cauxら、前出を参照のこと)。
【0035】
(未熟樹状細胞の抗原との接触および樹状細胞の成熟)
培養の間、未熟樹状細胞(CD14+ imCDの単離された集団、または単離前の全imDCのいずれか)は、必要に応じて、所定の抗原に曝露され得る。適切な所定の抗原としては、T細胞調節が望ましい任意の抗原が挙げられ得る。1つの実施形態において、未熟樹状細胞は、癌の免疫療法および/または腫瘍増殖阻害のために、前立腺特異的膜抗原(PSMA)の存在下で培養される。他の抗原としては、例えば、細菌細胞、ウイルス、部分的に精製されたかまたは精製された細菌抗原またはウイルス抗原、腫瘍細胞、腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原(例えば、腫瘍細胞溶解物、腫瘍細胞膜調製物、腫瘍から単離された抗原、融合タンパク質、リポソームなど)、表面で抗原を発現する組換え細胞、自己抗原、および他の任意の抗原が挙げられる。これらの抗原のいずれかはまた、ペプチドまたはその組換え産生タンパク質もしくはその一部として提示され得る。抗原との接触の後に、これらの細胞は、抗原の取り込みおよびプロセシングを可能にするために適切な任意の時間にわたって培養され、抗原特異的樹状細胞などの集団を増殖させ得る(以下を参照のこと)。
【0036】
例えば、1つの実施形態において、未熟DCは、抗原取り込みの後に培養されて、imDCの、MHC分子に関する抗原を提示する成熟DCへの変異を促進し得る。DCの成熟のための方法は、公知である(例えば、米国特許第6,274,378号を参照のこと、本明細書中に参考として援用される)。このような成熟は、例えば、既知の成熟因子(例えば、サイトカイン(例えば、TNF−α、IL−1β、またはCD40リガンド)、細菌産物(例えば、LPSまたはBCG)など)の存在下で培養することによって、実施され得る。imDCからmDCへの成熟は、当該分野において公知の方法によって(例えば、細胞表面マーカー(例えば、CD83分子、CD86分子、およびMHC分子のアップレギュレーション)の存在または非存在を測定すること、あるいは成熟樹状細胞特異的mRNAまたはタンパク質の発現を、例えば、オリゴヌクレオチドアレイを使用して試験することによって)モニタリングされ得る。
【0037】
必要に応じて、imDCは、細胞集団を増殖するため、および/またはimDCをさらなる分化もしくは抗原取り込みのための状態に維持するために適切な組織培養培地中で培養され得る。例えば、imDCは、GM−CSFおよびIL−4の存在下で、維持および/または増殖され得る。また、imDCは、抗炎症性分子(例えば、抗炎症性サイトカイン(例えば、IL−10およびTGF−β))の存在下で培養されて、imDCの成熟を阻害し得る。
【0038】
別の局面において、CD14+ DCの単離された集団は、成熟DCを濃縮される。この単離されたCD14+ mDCの集団は、単離されたCD14+ imDCの集団を、上記のような成熟因子(例えば、細菌産物、および/または炎症誘発性サイトカイン)の存在下で培養し、これによって変異を誘導することによって、得られ得る。必要に応じて、CD14+ imDCとCD14− imDC(DC前駆細胞から分化された)との混合された集団が培養されて、変異を誘導し得、この変異段階は、上記のようにモニタリングされ、そしてmDC濃縮の適切な段階において、CD14+細胞が、上記のように分離され、CD14+ mDCを濃縮されたかまたはかなり濃縮された、単離された集団を与える。
【0039】
本発明のなお別の局面によれば、DCは、例えば、前立腺癌抗原への曝露前、または前立腺癌抗原への曝露後のいずれかに、例えば、凍結保存によって保存され得る。使用され得る凍結保存剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、ポリビニルピロリドンポリエチレングリコール、アルブミン、デキストラン、スクロース、エチレングリコール、i−エリトリトール、D−リビトール、D−マンニトール、D−ソルビトール、i−イノシトール、D−ラクトース、塩化コリン、アミノ酸、メタノール、アセトアミド、モノ酢酸グリセロール、および無機塩が挙げられるが、これらに限定されない。制御されたゆっくりとした冷却速度が、重要であり得る。異なる凍結保護物質および異なる細胞型は、代表的に、異なる最適冷却速度を有する。水が氷に変わる溶解相の熱は、代表的に、最小であるべきである。この冷却手順は、例えば、プログラム可能な冷凍デバイスまたはメタノール浴手順の使用によって、実施され得る。プログラムされた冷凍装置は、最適冷却速度の決定を可能にし、そして標準的な再現可能な冷却を容易にする。プログラム可能な制御された速度のフリーザー(例えば、CryomedまたはPlanar)は、所望の冷却速度曲線への冷凍レジメンの調整を可能にする。
【0040】
完全に凍結させた後に、DCを、長期間の低温保存容器に迅速に移し得る。代表的な実施形態において、サンプルは、液体窒素(−196℃)またはその蒸気(−165℃)中で、低温保存され得る。造血幹細胞(特に、骨髄または末梢血由来のもの)の操作、凍結保存、および長期保存のための問題および手順は、本発明のDCに大いに適用可能である。このような議論は、例えば、以下の参考文献に見出され得、これらの文献は、本明細書中に参考として援用される:Taylorら、Cryobiology 27:269−78(1990);Gorin,Clinics in Haematology 15:19−48(1986);Bone−Marrow Conservation,Culture and Transplantation,Proceedings of a Pane. Moscow,Jul.22−26,1986,International Atomic Energy Agency,Vienna,pp.107−186。
【0041】
冷凍された細胞は、好ましくは、迅速に(例えば、37℃〜41℃に維持された水浴中で)解凍され、そして解凍したらすぐに冷却される。これらの細胞を、解凍の際の細胞の凝集を防止するために処理することが、望ましくあり得る。凝集を防止するために、種々の手順が使用され得、これらの手順としては、凍結の前および/または後のDnaseの添加(Spitzerら、Cancer 45:3075−85)、低分子量のデキストランおよびクエン酸塩の添加、ヒドロキシエチルデンプンの添加(Stiffら、Cryobiology 20:17−24(1983))などが挙げられるが、これらに限定されない。この凍結保護物質は、ヒトにおいて毒性である場合、解凍されたDCの治療的使用の前に除去されるべきである。この凍結保護物質を除去するための1つの様式は、有意でない濃度への希釈による。一旦、冷凍されたDCが解凍および回収されると、これらのDCは、冷凍されていないDCに関して本明細書中で記載されるように、T細胞を活性化させるために使用され得る。
【0042】
(CD14+樹状細胞を使用するT細胞応答の調節)
別の局面によれば、CD14+ DCは、T細胞応答を調節するために使用され得る。T細胞またはT細胞のサブセットは、反応者細胞として使用するために、種々のリンパ系組織から得られ得る。このような組織としては、脾臓、リンパ節、および末梢血が挙げられるが、これらに限定されない。CD14+ DCは、T細胞に対して自己由来、同系、または同種であり得る。
【0043】
例えば、CD14+ DCは、インビトロでの抗原非依存性T細胞共刺激のために使用され得る(図4を参照のこと、DC効力/共刺激アッセイにおける、CD14+ DCでのT細胞の刺激を示す)。刺激されるT細胞は、CD14+ DCの単離された集団と一緒に共生培養される。細胞の活性化は、T細胞レセプター(TcR)の係合によって(例えば、抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントの接触によって)か、または最適より低濃度で、T細胞を活性化させるために充分な刺激シグナルを、CD14+ DCによって提供される共刺激シグナルと組み合わせて提供する他の任意の抗原(例えば、フィトヘマグルチニン(PHA)などのような植物レクチン、もしくはホルボールミリステート酢酸(PMA)などのような非植物起源のマイトジェン)によって、誘導される。T細胞活性化のレベルは、公知の方法によってモニタリングされ得る。例えば、活性化は、T細胞増殖の増加(例えば、3H−チミジン取り込みによって);T細胞活性化マーカーの変化(例えば、FACSによって);またはサイトカイン産生の変化(例えば、ELISAもしくはアレイによって)によって、モニタリングされ得る。
【0044】
また、別の実施形態において、所定の抗原に曝露されたCD14+ DCは、インビトロまたはエキソビボで、抗原に対してT細胞を活性化させるために使用され得る。CD14+は、T細胞を刺激するために、抗原への曝露の直後に使用され得る。あるいは、DCは、抗原およびT細胞への曝露の前に、サイトカインの組み合わせ(例えば、GM−CSFおよびIL−4)の存在下で維持され得る。特定の実施形態において、ヒトCD14+ DCが、ヒトT細胞を刺激するために使用される。
【0045】
T細胞はまた、所定の抗原に曝露されたCD14+ DCと一緒に、混合されたT細胞集団としてか、または精製されたT細胞サブセットとして、共生培養され得る。例えば、精製されたCD8+ T細胞は、抗原に曝露されたCD14+ DCと一緒に共生培養されて、抗原特異的CTLを惹起し得る。さらに、CD4+ T細胞を初期に排除することによって、CD8+ T細胞とCD4+ T細胞との両方の混合された培養物における、CD4+細胞の過剰増殖を防止し得る。T細胞の精製は、ポジティブ選択および/またはネガティブ選択によって達成され得、この選択としては、CD2に対する抗体、CD3に対する抗体、CD4に対する抗体、および/またはCD8に対する抗体の使用が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、CD4+ T細胞とCD8+ T細胞との混合された集団は、CD14+ DCと共生培養されて、細胞傷害性応答とTヘルパー(TH)免疫応答との両方を含む抗原に特異的な応答を誘発し得る。
【0046】
さらに、インビトロまたはエキソビボで所定の抗原と接触されたCD14+樹状細胞は、インビボでの抗原に対する免疫応答を調節するために使用され得る。例えば、上記のような抗原との接触および成熟に引き続いて、成熟した抗原提示CD14+ DCは、ヒト被験体に投与されて、抗原特異的T細胞媒介性免疫応答を刺激し得る。さらに、所定の抗原と接触されたCD14+ DCへの曝露による、インビトロまたはエキソビボでのT細胞の活性化の後に、活性化されたT細胞はまた、ヒト被験体に投与されて、この抗原に対する免疫応答を刺激し得る。
【0047】
以下の実施例は、本発明の種々の局面の例示として単に提供され、そして本発明をいかなる様式でも限定するとは解釈されるべきではない。
【実施例】
【0048】
(実施例1:血漿を用いるCD14+樹状細胞表現型の促進)
本実施例において、血漿(樹状細胞(DC)上でのCD1a発現を阻害することが公知である)を、未熟DCを培養するために使用される培養培地を補充するために使用される場合に血漿がCD14+表現型の発生を促進する能力について試験した。
【0049】
手短に言えば、予め冷凍されたPBMCおよび正常な健常なドナー由来の自己由来血漿を利用した。白血球フェレーシス材料を、2つの異なる時点(本明細書中で、「T1」および「T2」であり、約1年離れている)でヒトドナー(ドナー016)から得られた血液から調製した。T2白血球フェレーシスは、大きいCD14+ DC集団を生じ、一方で、より早期のT1白血球フェレーシスは、「正常な」(または低い)百分率の集団を生じた。各時点からのPBMCを、Opti−MEM(登録商標)において、5%血漿と一緒に培養し、そして各細胞集団におけるCD14+の百分率に対する効果を分析した。その結果を、表1に示す。
【0050】
【表1】
これらの結果は、血漿が、CD14+集団の発生を促進する因子を含有することを示唆した;さらに、同様に関与した細胞成分(例えば、おそらく血漿由来の因子に対するレセプター)が存在した。従って、培養物からの血漿の省略が、(「良好な」(抗原提示)DCの発生をなお支持しながら)より低い百分率のCD14+細胞をもたらし得るか否かを試験した。
【0051】
標準的なDC培養手順後のCD14+細胞の発生は、血漿成分および細胞成分に起因して明らかであるので、5%血漿ありまたはなしでの他の2つの培地(AIM−V(登録商標)およびLGM3(XVIVO−15(登録商標)としてもまた公知))の、DC培養に対する効果を試験した。培養培地を、ドナー016のT1 PBMCおよびT2 PBMC(上記を参照のこと)、ならびにT2血漿(すなわち、高い百分率のCD14+細胞を以前に生じた白血球フェレーシス由来の血漿)を用いた6日間のCD培養について、比較した。DC表面表現型を、FACSによって分析した。その結果を、以下の表2に示す。
【0052】
【表2】
これらのデータは、CD14+の誘導が、培養培地中の血漿の存在に関連したことを確信させる。さらに、HLA−DR発現細胞およびCD83発現細胞の百分率は、血漿の非存在下で速く50%低下し、一方で、CD1a+細胞の百分率は、増強された。引き続く試験は、LGM−3(X−VIVO−15(登録商標))のみを標準培地(OptiMem(登録商標)+5%自己由来血漿)と比較した。なぜなら、HLA−DR発現は、AIM−V(登録商標)単独において培養されたDCに対してさらに不十分であるからであり、そしてまた、LGM−3は、DC培養のために良好な培地であることが公知であったからである。
【0053】
細胞培養に対する血漿の初期の効果:
PBMCによるCD14+細胞の接着に対する血漿の効果をまた試験した。1時間の接着工程により、細胞は、固相に強く接着したままであった(細胞は、冷PBS採取によって外れなかった)ので、患者118から単離したDCを、接着の24時間後に採取し、そして細胞表面マーカーの存在についてアッセイした。培養培地は、自己由来の血漿を含有した。PBMCの接着を、1%の血漿中で実施し、引き続いて、解放されたDCを、5%結晶中で培養した。その結果を、以下の表3に示す。
【0054】
【表3】
これらのデータは、CD14+集団の調節における血漿の効果が、培養の間の初期に起こることを示した。血漿によるCD14の調節を実証するこのような結果は、共通であったが、絶対的ではなかった。
【0055】
(実施例2:CD14+細胞、CD14−細胞、ならびに選別されていない樹状細胞およびPBMC由来の単球の免疫表現型決定)
成熟DCから単離されたCD14+細胞集団およびCD14−細胞集団(実施例1において上で記載されたように得られた)を、種々の細胞表面分子の発現について試験した。実施例1において上に記載されたように得られたPBMC由来の単球もまた試験した。細胞を、PE結合体化抗体またはFITC結合体化抗体で、種々の細胞表面マーカーについて染色し、そしてFACS分析に供して、表面分子発現を評価した。試験された抗体は、CD54特異的抗体、CD83特異的抗体、CD80特異的抗体、CD86特異的抗体、CD40特異的抗体、CD11c特異的抗体、CD14特異的抗体、CD56特異的抗体、ならびにHLA−DR特異的抗体、DP特異的抗体、およびDQ特異的抗体であった。一致するアイソタイプのコントロール抗体をまた使用して、バックグラウンド染色を得た。
【0056】
選別されていないDCについての免疫表現型分析の、選別されていないPBMC由来単球と比較した結果を、図1に示す。この場合において、2つのロットのDC(DCVax前立腺標準細胞、組換え発現されたヒトPSMA(rPSMA)に曝露されたDC)を分析した。これらの結果は、産生されるDCが、同じ細胞表面分子の発現の相対レベルの観点で、血液単球とは非常に異なることを実証した。血液単球と比較すると、DCは、より高レベルのCD54、CD80、CD83、CD86、CD40ならびにHLA−DR、D、およびDQを発現した。CD11cの発現は、DCと単球との間で有意には異ならなかった。
【0057】
分化したDC前駆細胞から選別され、引き続いてrPSMAおよびBGCと接触されたCD14+細胞集団およびCD14−細胞集団についての免疫表現型分析の結果を、図2Aおよび2Bに示す。CD14+細胞は、試験した全ての表面分子に関して、CD14−細胞と同一の染色パターンを有する。試験した全てのマーカーは、成熟DC上で代表的に発現されるものであった。従って、免疫表現型に基づいて、CD14+とCD14−との両方が、DCである。
【0058】
血液単球から選別されたCD14+細胞およびCD14−細胞の免疫表現型分析の結果をまた、図2Aおよび2Bに示す。図2Aおよび2Bに示される、血液単球上でのマーカー発現の、DCにおける発現との比較は、血液単球が、細胞表面マーカー発現の観点で、CD14+ DCとは有意に異なることを実証し、CD54、CD86、CD80、CD40、ならびにHLA−DR、DP、およびDQのより低いレベルを示す。
【0059】
(実施例3:T細胞の抗原非依存性共刺激)
CD14+ DCを、これらが抗原非依存性共刺激(APC効力)アッセイにおいてT細胞を活性化させる能力を試験した。
【0060】
ヒト被験体由来のPBMCを、FICOLL(登録商標)溶液の上に、緩衝化生理食塩水で希釈した白血球フェレーシスした血液を重ね、2000rpmで20分間スピンし、そして界面の白血球を単離することによって、調製した。
【0061】
樹状細胞調製物を、単離されたPBMCから、以下のように作製した:各被験体由来の単球DC前駆細胞を、上記手順によって単離した。DC前駆細胞を、500U/mlまたは1,000U/mlのGM−CSFおよび500U/mlのIL−4を補充したX−VIVO15(登録商標)中で7日間培養した。次いで、これらのDCを、FITC結合体化抗CD14抗体を使用して、フローサイトメトリーによって、CD14+集団およびCD14−集団に選別し、CD14発現を検出した。
【0062】
T細胞の濃縮された集団を、PBMCから、磁気ビーズと結合体化した抗HLA−DR抗体とのインキュベーションによって調製した。30分間のインキュベーションに続いて、これらのビーズに結合した細胞を、磁石を使用して除去した。HLA−DRが枯渇した細胞は、かなり濃縮されたT細胞集団を含む。
【0063】
増殖アッセイを、以下のような2つの実験で実施した:1×104個のCD14+、CD14−、または選別されていないDCもしくはPBMC由来の単球を、96ウェル培養プレートの各ウェルに添加し、そして0.005ng/mlの抗CD3抗体(BD Pharmingen,San Diego,California)と接触させた。次いで、1×105個の濃縮T細胞を添加し、1ウェルあたり0.2mlの最終体積を得た。このプレートを約26時間インキュベートし、次いで、3H−チミジンでパルスした。このプレートを、約18時間さらにインキュベートし、その後、採取し、そして取り込まれた標識を決定した。
【0064】
細胞増殖(1分間あたりの計数のデルタ(Δcpm))を、抗CD3抗体の存在下でDCのサンプルまたはPBMC由来の単球調製物で刺激されたT細胞による3H−チミジン取り込みから、DC調製物単独のサンプルで刺激されたT細胞による3H−チミジン取り込みを減算した差として測定される。各樹状細胞調製物についての平均Δcpmを、三連のサンプルの平均として計算した。
【0065】
この実施例において、CD14− APC(DC)は、平均60,000のΔcpmの効力を保有することが見出された。PBMC由来のCD14+単球が、APCに漸増割合で添加された場合、効力Δcpm値は、次第に減少した。図3Aに示されるように、単球単独の効力は無視でき、このことは、これらの細胞が、CD14−APC(DC)と比較して、乏しい抗原提示細胞であるという事実の証拠となる。図3Bに例示される実験において、樹状細胞を、CD14− DCおよびCD14LOW/+ DCに分離(選別)した。次いで、DC型を、効力バイオアッセイにおいて試験した。示されるように、これらの2つの群のDCの間には、抗原非依存性効力の観点では、有意な差がなかった。このことは、CD14low/+−DCが、これらが抗原を提示する能力において、CD14− DCと等価であることを示した。図3Cは、CD14− DCおよびCD14low/+ DCが、これらのDCの混合物がまたT細胞の活性化のための抗原提示細胞の良好な集団を構築するか否かを評価するための効力アッセイにおいて、単独でかまたは組み合わせて試験された実験を図示する。試験されたAPCの種々の群の効力は、およそ等しかった。このことは、任意の混合割合のCD14− DCおよびCD14low/+ DCを含有するAPC産物が、CD14− DCと効力が等価であることを示した。
【0066】
上記知見は、図4に図示される結果によって確認された。手短に言えば、18バッチのAPCを、CD14− DCおよびCD14+ DCの集団について試験した。種々のバッチを、サンプル中のCD14+ DCの割合に基づいて、各々9個のサンプルの2つの群にグループ分けした。ある群が0.38%と17.97%との間(平均6.36%)のCD14+ DCを有する場合、この群は、低い割合のCD14+ DCを含有するとみなされ、一方で、ある群が20.71%と51.90%との間(平均30.98%)のCD14+ DCを有する場合、この群は、「高い」割合のCD14+ DCを含有するとみなされた。これらの2つの群におけるAPCの効力は、互いに無関係であった(図4)。このことは、CD14− DCとの混合物としてのCD14low/+ DCの存在が、CD14− DCの効力を低下させないこと、およびCD14+ DCと混合されたCD14low/+ DCの集団が、T細胞を刺激するための等価なAPC調製物として使用され得ることを示した。
【0067】
(実施例4:CD1a発現、CD80発現およびHLA−DR発現の決定)
単球を、GM−CSF単独(500U/ml)単独を補充したか、GM−CSF(500U/ml)およびIL−4(500U/ml)を補充したか、またはIL−15(100ng/mg)単独を補充した、XVIVO−15(登録商標)+2%ヒト血清アルブミン(SHA)中で5日間培養した。得られたDCを、CD14発現(図5Aおよび5B)ならびにHLA−DR発現、CD80発現およびCD1a発現(図5C)について表現型決定した。GM−CSF単独において培養されたDCは、GM−CSFおよびIL−4中で生成されるDCと比較して、低レベルのCD14を発現する、より高い百分率の細胞を有した。しかし、CD14発現のレベルは、GM−CSFを含まない(IL−15のみの)倍地中で同じ時間にわたって培養された単球において見られるよりも、ずっと低かった。CD14が低いDCまたはCD14ネガティブなDCを、CD14high単球集団(GM−CSF培養物なし)と、クラスII(HLA−DR)発現、CD80発現、およびCD1a発現について比較した。GM−CSFの存在下で培養された単球のみが、CD1aおよびCD80(樹状細胞を示す2つのマーカー)を発現することが見出された(図5C)。クラスII発現は、3つ全ての培養条件由来の細胞に存在した。
【0068】
(実施例5:CD14low樹状細胞およびCD14−樹状細胞からの、IL−10およびIL−12の産生)
GM−CSF単独を補充されたか(CD14low)、またはIL−4と組み合わせたGM−CSFを補充された(CD14−)XVIVO−15(登録商標)+2%HSA中で産生されたDCを、不活性化されたBCG(1:400希釈物)およびIFN−γ(500U/ml)と一緒に一晩成熟させた。上清を、各ウェルから収集し、そしてIL−10 ELISAアッセイおよびIL−12p70 ELISAアッセイで泳動した(図6Aおよび6B)。両方のDC集団が、それらの細胞表面上で発現されるCD14のレベルにかかわらず、類似の量のIL−10およびIL−12を産生した。
【0069】
(実施例6:CD8+ T細胞応答の刺激)
この実施例において、BCGおよびIFNγの存在下で成熟されたCD14low DCおよびCD14− DCが、Vβ17+,CD8+ T細胞の発現を刺激する能力。
【0070】
次いで、抗原特異的T細胞を、CD14low DCおよびCD14− DCと共生培養した。手短に言えば、これらのDCを、培養フラスコから採取し、そして遠心分離によって濃縮した。直接の負荷のために、細胞を、等体積のX−VIVO 15(登録商標)倍地およびPBS中のHLAA.A2.1制限エピトープを含むインフルエンザMI−A4 40マーペプチドGlyIleLysGlyPheThrLeu(配列番号1)中に再懸濁させ、そして37℃で1時間インキュベートした。これらの細胞を、37℃で2時間インキュベートして、抗原プロセシングを可能にした。
【0071】
M1−A4 40マーを負荷したDCを成熟させ、そして自己由来のPBMC(1:10 DC:PBMC比)と一緒に、IL−2(20U/ml)およびIL−15(5ng/ml)を補充したAIM−V(登録商標)+5%ヒトAB血清中で8日間共生培養した。得られた細胞株を、各株におけるVβ17+;CD8 T細胞(インフルエンザA特異的細胞)の百分率について、フローサイトメトリーによって分析した(図7A)。絶対的な細胞数を、この百分率に、各株において見出される全細胞および図7Bに示される結果を除算することによって、計算した。これらのデータは、CD14+ CDおよびCD14− DCが、かなりの抗原特異的CD8+ T細胞応答を完全に刺激し得ること、ならびに樹状細胞の表面上におけるCD14抗原の欠乏が、抗原提示と結びつく表現型の特徴ではないことを、実証した。
【0072】
先の実施例は、特許請求される発明の範囲を説明するために提供されるのであり、この範囲を限定するために提供されるのではない。本発明の他の改変物は、当業者に容易に明らかになり、そして添付の特許請求の範囲によって包含される。本明細書中に引用される全ての刊行物、特許、特許出願、および他の参考文献はまた、これらの全体が、本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、未選別のDC由来単球およびPBMC由来単球の集団上で発現される表面分子の代表的提示を示す。新鮮な血液単球を、白血球フェレーシス生成物から単離し、500U/mlのGM−CSFおよび500U/mlのIL−4とともに6日間培養した。その後、細胞を、種々の細胞表面マーカーに対するPE結合体化抗体またはFITC結合体化抗体を用いて染色し、FACS分析に供して、表面分子発現を評価した。この図は、2人の異なるドナー由来するDC(実線および破線)ならびに血液単球(黒塗りのヒストグラム)についての蛍光強度ヒストグラムを示し、CD54に対する抗体、CD83に対する抗体、CD80に対する抗体、CD86に対する抗体、CD40に対する抗体、CD11cに対する抗体、CD14に対する抗体、HLA−DRに対する抗体、HLA−DPに対する抗体およびHLA−DQに対する抗体で染色した。
【図2A】図2Aおよび図2Bは、CD14+DCおよびCD14−DC上での表面分子発現のレベルを、その前駆体であるPBMC由来単球と対照して示す。DCを、500U/mlのGM−CSFおよび500U/mlのIL−4との培養によりこれらのヒト単球性DC前駆体から生成し、CD14に特異的なFITC結合体化抗体と種々の細胞表面マーカーに対するPE結合体化抗体とで二重染色し、FACS分析に供して、表面分子発現を評価した。図2Aは、CD54に対する抗体、CD86に対する抗体、CD11cに対する抗体、およびCD56に対する抗体で染色した(実線)か、またはアイソタイプコントロール抗体(黒塗りヒストグラム)で染色した、CD14+DCおよびCD14−DCの両方についての蛍光強度ヒストグラムを示す。図2Bは、CD83に対する抗体、CD80に対する抗体、CD40に対する抗体、ならびにHLA−DRに対する抗体、HLA−DPに対する抗体、およびHLA−DQに対する抗体で染色した、これらの細胞についての蛍光強度ヒストグラムを示す。
【図2B】図2Aおよび図2Bは、CD14+DCおよびCD14−DC上での表面分子発現のレベルを、その前駆体であるPBMC由来単球と対照して示す。DCを、500U/mlのGM−CSFおよび500U/mlのIL−4との培養によりこれらのヒト単球性DC前駆体から生成し、CD14に特異的なFITC結合体化抗体と種々の細胞表面マーカーに対するPE結合体化抗体とで二重染色し、FACS分析に供して、表面分子発現を評価した。図2Aは、CD54に対する抗体、CD86に対する抗体、CD11cに対する抗体、およびCD56に対する抗体で染色した(実線)か、またはアイソタイプコントロール抗体(黒塗りヒストグラム)で染色した、CD14+DCおよびCD14−DCの両方についての蛍光強度ヒストグラムを示す。図2Bは、CD83に対する抗体、CD80に対する抗体、CD40に対する抗体、ならびにHLA−DRに対する抗体、HLA−DPに対する抗体、およびHLA−DQに対する抗体で染色した、これらの細胞についての蛍光強度ヒストグラムを示す。
【図3A】図3A〜図3Cは、種々の濃度のCD14+DCおよびCD14−DCの抗原非依存性効力の例を示す。図3Aは、CD14+単球を添加した場合のCD14−DCの効力に対する影響を測定するバイオアッセイの結果を示す。簡単に述べると、刺激細胞(DCまたは単球)を、96ウェル培養プレート上にプレーティングし、最適に満たない量の抗CD3抗体(0.005ng/ml)および濃縮されたT細胞を、添加した。細胞を、3H−チミジンでパルスし、さらにインキュベートし、そして収集した。その後、T細胞増殖を、取り込まれた標識(Δcpm)を測定することによって決定した。図3Bは、CD14+DCおよびCD14−DCの抗原非依存性効力を示す。樹状細胞を、CD14−DCとCD14low/+DCとに分離(分別)した。その後、各細胞群を、その抗原非依存性効力のバイオアッセイにおいて試験した。図3Cは、CD14−DCの抗原非依存性効力を、単独でかまたはCD14low/+DCと組み合わせて示し、これらのDCの混合物もまた抗原提示細胞の良好な集団を構成するか否かを評価する。試験した種々のAPC(抗原提示細胞)群の効力は、ほぼ等しかった。このことは、CD14−DCとCD14+DCとの任意の混合集団を含むAPC生成物は、CD14−DCに対する効力が等しかったことを示す。
【図3B】図3A〜図3Cは、種々の濃度のCD14+DCおよびCD14−DCの抗原非依存性効力の例を示す。図3Aは、CD14+単球を添加した場合のCD14−DCの効力に対する影響を測定するバイオアッセイの結果を示す。簡単に述べると、刺激細胞(DCまたは単球)を、96ウェル培養プレート上にプレーティングし、最適に満たない量の抗CD3抗体(0.005ng/ml)および濃縮されたT細胞を、添加した。細胞を、3H−チミジンでパルスし、さらにインキュベートし、そして収集した。その後、T細胞増殖を、取り込まれた標識(Δcpm)を測定することによって決定した。図3Bは、CD14+DCおよびCD14−DCの抗原非依存性効力を示す。樹状細胞を、CD14−DCとCD14low/+DCとに分離(分別)した。その後、各細胞群を、その抗原非依存性効力のバイオアッセイにおいて試験した。図3Cは、CD14−DCの抗原非依存性効力を、単独でかまたはCD14low/+DCと組み合わせて示し、これらのDCの混合物もまた抗原提示細胞の良好な集団を構成するか否かを評価する。試験した種々のAPC(抗原提示細胞)群の効力は、ほぼ等しかった。このことは、CD14−DCとCD14+DCとの任意の混合集団を含むAPC生成物は、CD14−DCに対する効力が等しかったことを示す。
【図3C】図3A〜図3Cは、種々の濃度のCD14+DCおよびCD14−DCの抗原非依存性効力の例を示す。図3Aは、CD14+単球を添加した場合のCD14−DCの効力に対する影響を測定するバイオアッセイの結果を示す。簡単に述べると、刺激細胞(DCまたは単球)を、96ウェル培養プレート上にプレーティングし、最適に満たない量の抗CD3抗体(0.005ng/ml)および濃縮されたT細胞を、添加した。細胞を、3H−チミジンでパルスし、さらにインキュベートし、そして収集した。その後、T細胞増殖を、取り込まれた標識(Δcpm)を測定することによって決定した。図3Bは、CD14+DCおよびCD14−DCの抗原非依存性効力を示す。樹状細胞を、CD14−DCとCD14low/+DCとに分離(分別)した。その後、各細胞群を、その抗原非依存性効力のバイオアッセイにおいて試験した。図3Cは、CD14−DCの抗原非依存性効力を、単独でかまたはCD14low/+DCと組み合わせて示し、これらのDCの混合物もまた抗原提示細胞の良好な集団を構成するか否かを評価する。試験した種々のAPC(抗原提示細胞)群の効力は、ほぼ等しかった。このことは、CD14−DCとCD14+DCとの任意の混合集団を含むAPC生成物は、CD14−DCに対する効力が等しかったことを示す。
【図4】図4は、18個の抗原提示細胞バッチの抗原非依存性効力の比較を示す。これらのバッチを、その細胞集団内のCD14−DCとCD14+DCとの比率について試験した。
【図5A】図5A〜図5Cは、GM−CSF単独、GM−CSF+IL−4、またはIL−5単独の存在下で培養したDCの表現型を示し、この表現型は、CD14、CD80、およびCD1aの細胞表面発現により決定した。図5Aは、GM−CSF単独の存在下で5日間培養した後にCD14を発現する細胞の割合を示す。図5Bは、GM−CSF+IL−4の存在下で5日間培養した後にCD14を発現する細胞の割合を示す。図5Cは、CD14highであることが決定された細胞(単球)と比較した場合の、CD14lowDCまたはCD14−DCにおける、CD80について陽性である細胞、CD1aについて陽性である細胞、およびHLA−DRについて陽性である細胞の割合を示す。
【図5B】図5A〜図5Cは、GM−CSF単独、GM−CSF+IL−4、またはIL−5単独の存在下で培養したDCの表現型を示し、この表現型は、CD14、CD80、およびCD1aの細胞表面発現により決定した。図5Aは、GM−CSF単独の存在下で5日間培養した後にCD14を発現する細胞の割合を示す。図5Bは、GM−CSF+IL−4の存在下で5日間培養した後にCD14を発現する細胞の割合を示す。図5Cは、CD14highであることが決定された細胞(単球)と比較した場合の、CD14lowDCまたはCD14−DCにおける、CD80について陽性である細胞、CD1aについて陽性である細胞、およびHLA−DRについて陽性である細胞の割合を示す。
【図5C】図5A〜図5Cは、GM−CSF単独、GM−CSF+IL−4、またはIL−5単独の存在下で培養したDCの表現型を示し、この表現型は、CD14、CD80、およびCD1aの細胞表面発現により決定した。図5Aは、GM−CSF単独の存在下で5日間培養した後にCD14を発現する細胞の割合を示す。図5Bは、GM−CSF+IL−4の存在下で5日間培養した後にCD14を発現する細胞の割合を示す。図5Cは、CD14highであることが決定された細胞(単球)と比較した場合の、CD14lowDCまたはCD14−DCにおける、CD80について陽性である細胞、CD1aについて陽性である細胞、およびHLA−DRについて陽性である細胞の割合を示す。
【図6A】図6Aおよび図6Bは、CD14+成熟樹状細胞およびCD14−成熟樹状細胞およびCD14+未成熟樹状細胞およびCD14−未成熟樹状細胞によって分離される、IL−12およびIL−10の量を示す。図6Aは、IL−12のp70サブユニットの存在によって測定したIL−12の分泌を示す。図6Bは、IL−10の発現を示す。
【図6B】図6Aおよび図6Bは、CD14+成熟樹状細胞およびCD14−成熟樹状細胞およびCD14+未成熟樹状細胞およびCD14−未成熟樹状細胞によって分離される、IL−12およびIL−10の量を示す。図6Aは、IL−12のp70サブユニットの存在によって測定したIL−12の分泌を示す。図6Bは、IL−10の発現を示す。
【図7A】図7Aおよび図7Bは、CD14+DCおよびCD14−DCと接触したT細胞集団におけるインフルエンザA抗原特異的細胞傷害性T細胞の存在を示すVβ17細胞表面マーカーを発現する、CD8+T細胞の割合(図7A)および総数(図7B)を示す。
【図7B】図7Aおよび図7Bは、CD14+DCおよびCD14−DCと接触したT細胞集団におけるインフルエンザA抗原特異的細胞傷害性T細胞の存在を示すVβ17細胞表面マーカーを発現する、CD8+T細胞の割合(図7A)および総数(図7B)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD11c+,CD14+を発現する、抗原提示細胞の単離された集団。
【請求項2】
請求項1に記載のCD11c+,CD14+抗原提示細胞の単離された集団であって、該抗原提示細胞は、樹状細胞である、集団。
【請求項3】
請求項2に記載の単離された細胞集団であって、該集団は、前記CD11c+,CD14+樹状細胞について濃縮されている、集団。
【請求項4】
請求項2に記載の単離された樹状細胞集団であって、該樹状細胞集団は、成熟樹状細胞について実質的に濃縮されている、集団。
【請求項5】
請求項2に記載の単離された樹状細胞集団であって、該樹状細胞集団は、未成熟樹状細胞について実質的に濃縮されている、集団。
【請求項6】
請求項2に記載の単離された樹状細胞集団であって、所定の抗原をさらに含む、集団。
【請求項7】
請求項6に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記所定の抗原は、腫瘍特異的抗原、腫瘍関連抗原、細菌抗原、またはウイルス抗原である、集団。
【請求項8】
請求項7に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記腫瘍関連抗原は、前立腺関連抗原である、集団。
【請求項9】
請求項8に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記前立腺関連抗原は、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、または前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)である、集団。
【請求項10】
請求項6に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記所定の抗原は、自己抗原である、集団。
【請求項11】
請求項2に記載の単離された樹状細胞集団であって、少なくとも1種のサイトカインをさらに含む、集団。
【請求項12】
請求項11に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記少なくとも1種のサイトカインは、炎症性サイトカインである、集団。
【請求項13】
請求項12に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記炎症性サイトカインは、TNFα、IL−1β、またはCD40リガンドである、集団。
【請求項14】
請求項11に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記少なくとも1種のサイトカインは、抗炎症性サイトカインである、集団。
【請求項15】
請求項14に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記抗炎症性サイトカインは、IL−10、TGF−β、またはPGE2である、集団。
【請求項16】
請求項2に記載の単離された樹状細胞集団であって、T細胞の濃縮された集団またはNK細胞の濃縮された集団をさらに含む、集団。
【請求項17】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記T細胞の濃縮された集団は、単離されたT細胞を含む細胞集団である、集団。
【請求項18】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記T細胞の単離された集団は、T細胞について実質的に濃縮されている、集団。
【請求項19】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記樹状細胞集団および前記T細胞集団は、自己由来であるか、同系であるか、または同種異系である、集団。
【請求項20】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記T細胞集団は、CD4+T細胞について実質的に濃縮されている、集団。
【請求項21】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記T細胞集団は、CD8+T細胞について実質的に濃縮されている、集団。
【請求項22】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記T細胞集団は、CD4+T細胞とCD8+T細胞との混合集団から構成されている、集団。
【請求項23】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記NK細胞の濃縮された集団は、単離されたNK細胞を含む細胞集団である、集団。
【請求項24】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記NK細胞の濃縮された集団は、NK細胞について実質的に濃縮されている細胞集団である、集団。
【請求項25】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記樹状細胞集団および前記NK細胞集団は、自己由来であるか、同系であるか、または同種異系である、集団。
【請求項26】
CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団と、前立腺特異的膜抗原(PSMA)とを含む、組成物。
【請求項27】
請求項26に記載の組成物であって、T細胞の単離された集団またはNK細胞の単離された集団をさらに含む、組成物。
【請求項28】
CD11c+,CD14+樹状細胞の集団を単離するための方法であって、
樹状細胞前駆体の集団を得る工程;
該前駆体を、未成熟樹状細胞または成熟樹状細胞へと分化させる工程;および
該未成熟樹状細胞または成熟樹状細胞から、CD11c+,CD14+樹状細胞の集団を選択する工程;
を包含する、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、前記樹状細胞前駆体の集団は、単球樹状細胞前駆体接着基材を白血球の集団と接触させることによって得られる、方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法であって、前記樹状細胞前駆体から未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞への分化は、該前駆体を少なくとも1種のサイトカインとともに培養する工程を包含する、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記少なくとも1種のサイトカインは、GM−CSF、インターロイキン4、GM−CSFおよびインターロイキン4、インターロイキン13、またはインターロイキン15である、方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法であって、前記樹状細胞前駆体から未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞への分化は、血漿の存在下で該前駆体を培養して前記CD14+樹状細胞の分化を促進する工程を包含する、方法。
【請求項33】
請求項28に記載の方法であって、前記樹状細胞前駆体から未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞への分化は、該前駆体を所定の抗原とともに培養する工程を包含する、方法。
【請求項34】
請求項28に記載の方法であって、前記未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞からのCD11c+,CD14+樹状細胞の単離は、
前記樹状細胞前駆体の集団を、前記CD14発現樹状細胞との複合体の形成をもたらす条件下でCD14特異的プローブと混合する工程;
該CD14特異的プローブと複合体形成したCD14発現細胞を検出する工程;および
該CD11c+,CD14+樹状細胞を選択する工程;
を包含する、方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、前記CD14特異的プローブは、CD14特異的抗体である、方法。
【請求項36】
請求項28に記載の方法であって、前記未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞からのCD11c+,CD14+樹状細胞の選択は、基材に結合しているCD14特異的プローブを用いる前記CD14+樹状細胞の親和性選択を包含する、方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、前記CD14特異的プローブは、抗CD14抗体である、方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法であって、前記CD14特異的プローブに結合している基材は、磁気ビーズである、方法。
【請求項39】
請求項28に記載の方法であって、前記CD11c+,CD14+樹状細胞を培養して、成熟樹状細胞について実質的に濃縮された単離された集団を得る工程をさらに包含する、方法。
【請求項40】
所定の抗原に対するT細胞応答を調節するための方法であって、
CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団を得る工程;
該CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団を、所定の抗原と接触させる工程;および
該CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団を、T細胞と接触させて、該所定の抗原に対するT細胞応答を調節する工程;
を包含する、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、前記CD11c+,CD14+樹状細胞は、皮膚、脾臓、骨髄、胸腺、リンパ節、末梢血、または臍帯血から得られた、方法。
【請求項42】
請求項40に記載の方法であって、前記CD11c+,CD14+樹状細胞および前記T細胞は、自己由来であるか、同系であるか、または同種異系である、方法。
【請求項43】
請求項40に記載の方法であって、前記CD11c+,CD14+樹状細胞が、インビトロまたはエキソビボで前記T細胞と接触される、方法。
【請求項44】
請求項40に記載の方法であって、前記所定の抗原は、腫瘍特異的抗原、腫瘍関連抗原、自己抗原、またはウイルス抗原である、方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法であって、前記腫瘍関連抗原は、前立腺癌関連抗原である、方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、前記前立腺癌関連抗原は、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、または前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)である、方法。
【請求項47】
請求項40に記載の方法であって、前記T細胞は、CD4+T細胞について実質的に濃縮されているT細胞の単離された集団である、方法。
【請求項48】
請求項40に記載の方法であって、前記T細胞は、CD8+T細胞について実質的に濃縮されているT細胞の単離された集団である、方法。
【請求項49】
請求項40に記載の方法であって、前記T細胞は、CD4+T細胞とCD8+T細胞との混合集団を含むT細胞の単離された集団である、方法。
【請求項1】
CD11c+,CD14+を発現する、抗原提示細胞の単離された集団。
【請求項2】
請求項1に記載のCD11c+,CD14+抗原提示細胞の単離された集団であって、該抗原提示細胞は、樹状細胞である、集団。
【請求項3】
請求項2に記載の単離された細胞集団であって、該集団は、前記CD11c+,CD14+樹状細胞について濃縮されている、集団。
【請求項4】
請求項2に記載の単離された樹状細胞集団であって、該樹状細胞集団は、成熟樹状細胞について実質的に濃縮されている、集団。
【請求項5】
請求項2に記載の単離された樹状細胞集団であって、該樹状細胞集団は、未成熟樹状細胞について実質的に濃縮されている、集団。
【請求項6】
請求項2に記載の単離された樹状細胞集団であって、所定の抗原をさらに含む、集団。
【請求項7】
請求項6に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記所定の抗原は、腫瘍特異的抗原、腫瘍関連抗原、細菌抗原、またはウイルス抗原である、集団。
【請求項8】
請求項7に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記腫瘍関連抗原は、前立腺関連抗原である、集団。
【請求項9】
請求項8に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記前立腺関連抗原は、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、または前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)である、集団。
【請求項10】
請求項6に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記所定の抗原は、自己抗原である、集団。
【請求項11】
請求項2に記載の単離された樹状細胞集団であって、少なくとも1種のサイトカインをさらに含む、集団。
【請求項12】
請求項11に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記少なくとも1種のサイトカインは、炎症性サイトカインである、集団。
【請求項13】
請求項12に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記炎症性サイトカインは、TNFα、IL−1β、またはCD40リガンドである、集団。
【請求項14】
請求項11に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記少なくとも1種のサイトカインは、抗炎症性サイトカインである、集団。
【請求項15】
請求項14に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記抗炎症性サイトカインは、IL−10、TGF−β、またはPGE2である、集団。
【請求項16】
請求項2に記載の単離された樹状細胞集団であって、T細胞の濃縮された集団またはNK細胞の濃縮された集団をさらに含む、集団。
【請求項17】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記T細胞の濃縮された集団は、単離されたT細胞を含む細胞集団である、集団。
【請求項18】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記T細胞の単離された集団は、T細胞について実質的に濃縮されている、集団。
【請求項19】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記樹状細胞集団および前記T細胞集団は、自己由来であるか、同系であるか、または同種異系である、集団。
【請求項20】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記T細胞集団は、CD4+T細胞について実質的に濃縮されている、集団。
【請求項21】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記T細胞集団は、CD8+T細胞について実質的に濃縮されている、集団。
【請求項22】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記T細胞集団は、CD4+T細胞とCD8+T細胞との混合集団から構成されている、集団。
【請求項23】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記NK細胞の濃縮された集団は、単離されたNK細胞を含む細胞集団である、集団。
【請求項24】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記NK細胞の濃縮された集団は、NK細胞について実質的に濃縮されている細胞集団である、集団。
【請求項25】
請求項16に記載の単離された樹状細胞集団であって、前記樹状細胞集団および前記NK細胞集団は、自己由来であるか、同系であるか、または同種異系である、集団。
【請求項26】
CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団と、前立腺特異的膜抗原(PSMA)とを含む、組成物。
【請求項27】
請求項26に記載の組成物であって、T細胞の単離された集団またはNK細胞の単離された集団をさらに含む、組成物。
【請求項28】
CD11c+,CD14+樹状細胞の集団を単離するための方法であって、
樹状細胞前駆体の集団を得る工程;
該前駆体を、未成熟樹状細胞または成熟樹状細胞へと分化させる工程;および
該未成熟樹状細胞または成熟樹状細胞から、CD11c+,CD14+樹状細胞の集団を選択する工程;
を包含する、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、前記樹状細胞前駆体の集団は、単球樹状細胞前駆体接着基材を白血球の集団と接触させることによって得られる、方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法であって、前記樹状細胞前駆体から未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞への分化は、該前駆体を少なくとも1種のサイトカインとともに培養する工程を包含する、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記少なくとも1種のサイトカインは、GM−CSF、インターロイキン4、GM−CSFおよびインターロイキン4、インターロイキン13、またはインターロイキン15である、方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法であって、前記樹状細胞前駆体から未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞への分化は、血漿の存在下で該前駆体を培養して前記CD14+樹状細胞の分化を促進する工程を包含する、方法。
【請求項33】
請求項28に記載の方法であって、前記樹状細胞前駆体から未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞への分化は、該前駆体を所定の抗原とともに培養する工程を包含する、方法。
【請求項34】
請求項28に記載の方法であって、前記未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞からのCD11c+,CD14+樹状細胞の単離は、
前記樹状細胞前駆体の集団を、前記CD14発現樹状細胞との複合体の形成をもたらす条件下でCD14特異的プローブと混合する工程;
該CD14特異的プローブと複合体形成したCD14発現細胞を検出する工程;および
該CD11c+,CD14+樹状細胞を選択する工程;
を包含する、方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、前記CD14特異的プローブは、CD14特異的抗体である、方法。
【請求項36】
請求項28に記載の方法であって、前記未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞からのCD11c+,CD14+樹状細胞の選択は、基材に結合しているCD14特異的プローブを用いる前記CD14+樹状細胞の親和性選択を包含する、方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、前記CD14特異的プローブは、抗CD14抗体である、方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法であって、前記CD14特異的プローブに結合している基材は、磁気ビーズである、方法。
【請求項39】
請求項28に記載の方法であって、前記CD11c+,CD14+樹状細胞を培養して、成熟樹状細胞について実質的に濃縮された単離された集団を得る工程をさらに包含する、方法。
【請求項40】
所定の抗原に対するT細胞応答を調節するための方法であって、
CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団を得る工程;
該CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団を、所定の抗原と接触させる工程;および
該CD11c+,CD14+樹状細胞の単離された集団を、T細胞と接触させて、該所定の抗原に対するT細胞応答を調節する工程;
を包含する、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、前記CD11c+,CD14+樹状細胞は、皮膚、脾臓、骨髄、胸腺、リンパ節、末梢血、または臍帯血から得られた、方法。
【請求項42】
請求項40に記載の方法であって、前記CD11c+,CD14+樹状細胞および前記T細胞は、自己由来であるか、同系であるか、または同種異系である、方法。
【請求項43】
請求項40に記載の方法であって、前記CD11c+,CD14+樹状細胞が、インビトロまたはエキソビボで前記T細胞と接触される、方法。
【請求項44】
請求項40に記載の方法であって、前記所定の抗原は、腫瘍特異的抗原、腫瘍関連抗原、自己抗原、またはウイルス抗原である、方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法であって、前記腫瘍関連抗原は、前立腺癌関連抗原である、方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、前記前立腺癌関連抗原は、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、または前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)である、方法。
【請求項47】
請求項40に記載の方法であって、前記T細胞は、CD4+T細胞について実質的に濃縮されているT細胞の単離された集団である、方法。
【請求項48】
請求項40に記載の方法であって、前記T細胞は、CD8+T細胞について実質的に濃縮されているT細胞の単離された集団である、方法。
【請求項49】
請求項40に記載の方法であって、前記T細胞は、CD4+T細胞とCD8+T細胞との混合集団を含むT細胞の単離された集団である、方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【公表番号】特表2006−517108(P2006−517108A)
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503483(P2006−503483)
【出願日】平成16年2月10日(2004.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/003974
【国際公開番号】WO2004/072262
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(500513619)ノースウエスト バイオセラピューティクス,インコーポレイティド (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月10日(2004.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/003974
【国際公開番号】WO2004/072262
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(500513619)ノースウエスト バイオセラピューティクス,インコーポレイティド (9)
【Fターム(参考)】
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