説明

培養培地中の抗生物質の中和方法

本発明は試験試料中の抗菌剤の中和、結合、および/または不活化する方法および手段に関するものである。また、本発明は、一種以上の第1級アミン含有化合物を含む培養培地中で試験試料を培養することで、試験試料中の一種以上の微生物を検出する方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2009年7月1日に出願した米国仮特許出願第61/269,953号「培養培地中の抗生物質の中和方法(Method for Neutralization of Antibiotics in a Culture Medium)」の恩典を主張する。この米国仮特許出願の開示内容を本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、試験試料中または培養培地中の抗生物質の中和および/または不活化を目的とする。さらに本発明は、試験試料中に存在する可能性のある微生物を培養および検出する方法を目的とする。
【背景技術】
【0003】
微生物を培養および検出する分野において、専用の培養瓶および当該培養瓶を保持するための機械を用いて、試験片中の微生物の存在を検出することが一般的である。例えば、本明細書に援用する米国特許第4,945,060号、第5,094,955号、および第5,162,229号に開示されるような瓶の内部に培養培地およびセンサを配置する。瓶内では、微生物の増殖に起因して検出可能な変化が生じる。センサにおける変化は、例えば本明細書に援用する米国特許第5,164,796号および第5,217,876号に開示されるような発光体および検出器によって、培養瓶の透明壁を介して培養瓶の外側からモニタリングする。ほとんどの分析では、最良の結果を得るためには培養瓶を攪拌する必要がある。例えば本明細書に援用する米国特許第5,074,505号に開示されるクリップによって、攪拌中に培養器内で培養瓶を定位置に保持することができる。
【0004】
広範囲にわたる抗生物質を医師が利用可能であるにもかかわらず依然として死亡率が高い敗血症の場合、特に、体液中の病原性微生物を可能な限り迅速に検出する必要がある。患者の生存率を向上するために、往々にして、抗生物質又は抗生物質混合物が医師により患者に投与される。しかし、できるだけ早く適切な抗生物質療法を決定することが重要である。残念なことに、患者の体液試料を培養して存在しうる感染微生物を同定および単離する場合、それまでに患者に投与された抗生物質が培養プロセスを阻害する恐れがある。さらに、医学的試料は、微生物抑制物質を当然に含む可能性がある血清、血漿および溶解赤血球を含む恐れがある。また、医薬および食品のような産業試料は、微生物の成長を阻害する抗菌剤または防腐剤を含む恐れがある。加えて、培養培地を調製する際に、圧力をかけて非常に高い温度で滅菌処理する結果、微生物に対して有毒な副産物が生成される恐れがある。微生物汚染を検出するためには、このような阻害物質および殺菌物質の除去または中和する必要がある。
【0005】
樹脂吸着剤および非樹脂吸着剤の使用は既知であり、医学診断法に関連して既に言及されている。具体的には、これらの樹脂吸着剤および非樹脂吸着剤は、血液試料から抗生物質および他の抗菌物質を除去するために役立つと証明されてきた。医学的試料中の阻害物質を除去することで、微生物を回収して比較的迅速に検出することが可能となり、微生物の同定および正確な感受性試験を実施できるようになる。
【0006】
本明細書に援用する、Melnickその他による米国特許第4,145,304号は、合成陰イオン交換樹脂および非イオン性樹脂を使用して、抗生物質を含む抗菌物質を体液から除去し、標準的な培養技術を用いて病原体を回収できるようにする技術について記載している。記載されている樹脂は、細菌が樹脂に付着しないようにすると共に、荷電した抗生物質を選択的に除去するように、非イオン洗剤でコーティングされている。樹脂で試料を処理した後に、溶出液を増殖培地で培養する。樹脂による抗生物質の結合強度は、樹脂の総交換容量、ポア直径および表面積に依存する。
【0007】
本明細書で援用する、Watersによる米国特許第4,632,902号は、イオン交換樹脂および非機能性吸着性樹脂を増殖培地に直接取り込むことで、Melnickその他による技術を改良したことを開示している。除去された阻害物質には、患者に投与された抗生物質や、血清、血漿、および溶解赤血球に含まれる天然の阻害物質が含まれる。これらの樹脂は、使用前に非イオン洗剤または界面活性剤でコーティングされず、樹脂のポアサイズは重要ではない。
【0008】
本明細書で援用する、ソープその他による米国特許第5,162,229号および第5,314,229号は、生物試料に存在しうる抗菌性物質を中和、結合、又は阻害する樹脂吸着剤又は非樹脂吸着剤の使用について記載している。記載された樹脂吸着剤および非樹脂吸着剤は、酸化アルミニウム、コロイド状天然水和ケイ酸アルミニウム、結晶水和アルカリ性ケイ酸アルミニウム、シリカ、ケイ酸含有フラスチュール(siliceous frustules)、種々の珪藻植物種の断片、非晶質炭素、イオン交換樹脂、非機能性重合樹脂吸着体、ジビニルベンゼンで架橋結合したポリスチレン樹脂、及びそれらの組み合わせを含む。
【0009】
合成樹脂吸着剤および非樹脂吸着剤は体液を含有する培養物中の阻害物質を除去することが知られているが、これらの樹脂吸着剤および非樹脂吸着剤は一部の種類の抗生物質を中和又は除去する効果はない。例えば、いくつかのβ−ラクタムが敗血症の治療に一般的に用いられるが、血液試料中にβ−ラクタムが存在することで、敗血症に関与する微生物の回収、検出および同定が阻害される恐れがある。特に、血液試料から抗菌剤を除去するために、当業界で近年用いられている樹脂および非樹脂の吸着剤は、カルバペネムを中和する際にはほぼ効果がないことが判明した。従って、体液中および体液以外の試料中の抗生物質の中和または阻害する食品および工業製品のような、他の手段を見出すことが必要とされている。
【0010】
本発明は、試験試料中の抗菌剤を中和又は阻害するとともに、微生物を迅速に回収および検出するために必要な倍地成分の保持を支援することができる手段を提供するものである。本発明は、これまで培養培地中で効率的に中和又は不活化することができなかったβ−ラクタム(例えば、カルバペネム)を中和および/または不活化するための手段を見出すことで、当業界に長期間存在したニーズに応えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,945,060号明細書
【特許文献2】米国特許第5,094,955号明細書
【特許文献3】米国特許第5,162,229号明細書
【特許文献4】米国特許第5,164,796号明細書
【特許文献5】米国特許第5,217,876号明細書
【特許文献6】米国特許第5,074,505号明細書
【特許文献7】米国特許第4,145,304号明細書
【特許文献8】米国特許第4,632,902号明細書
【特許文献9】米国特許第5,314,229号明細書
【発明の概要】
【0012】
一つの態様では、本発明は、増殖または培養培地中の抗菌性物質(例えば、一種以上の抗生物質)を中和、結合、または不活化することができる一種以上の第1級アミン含有化合物を用いる手段又は方法に関するものである。一実施形態では、本発明は培養培地(例えば、血液培養物)中の一種以上の第1級アミン含有化合物を用いて一種以上の抗生物質を中和、阻害、または不活化に関するものである。
【0013】
また、本発明は培養培地(例えば、血液培養物)中の抗菌剤を中和および/または不活化する方法であって、微生物の増殖を助けることができる培養培地に対して、一種以上の第1級アミン含有化合物を添加するステップを含み、一種以上の第1級アミン含有化合物を、培養培地中に存在するあらゆるカルバペネムを中和および/または不活化することができる量で添加することを特徴とする。一実施形態では、抗菌剤はカルバペネムである。他の実施形態では、第1級アミンはチオール基非含有第1級アミンである。
【0014】
他の態様においては、本発明は培養物内の微生物の回収および検出を促進するための方法に関するものである。かかる方法は、(a)培養培地を調製するステップ、(b)培養培地内の抗菌性物質を中和、結合、または阻害する効果がある量の、少なくとも一種の第1級アミン含有化合物を培地に添加するステップと、(c)試料を培地に植菌するステップ、(d)培養して結果を測定するステップとを含むものである。一実施形態では、抗菌剤はカルバペネムである。他の実施形態では、第1級アミンはチオール基非含有第1級アミンである。
【0015】
さらに他の態様において、本発明は微生物による感染を診断する方法に関するものである。かかる方法は、(a)微生物の存在の有無の判定対象であり、微生物の増殖および/または検出を阻害する恐れがある一種以上の抗菌剤を含む可能性がある標本(試験)試料を採取するステップと、(b)一種以上の抗菌剤を中和、結合又は阻害する効果がある量の少なくとも一種の第1級アミン含有化合物を含有する培養培地に対して、標本(試験)試料を添加するステップと、(c)微生物の存在の有無を分析して、微生物の存在が検出されたことに基づいて感染について陽性の診断を下すステップとを含むものである。一実施形態において、抗菌剤はカルバペネムである。他の実施形態では、第1級アミンはチオール基非含有第1級アミンである。さらに他の実施形態では、微生物の検出ステップは、培養培地中での微生物の増殖を検出することを含む。
【0016】
さらに他の態様では、本発明は、標本中に存在することが疑われる微生物を検出する装置に関するものである。かかる装置は、標本を培養できる培養培地を含む内側容器を有する、封止可能な標本容器を備える。かかる培養培地は、少なくとも一種の第1級アミン含有化合物を含み、当該第1級アミン含有化合物は標本中に存在しうる抗生物質を中和および/または不活化する。
【0017】
さらに他の態様では、本発明は試験試料中の微生物を検出するためのキットに関するものである。かかるキットは、(1)微生物の存在の有無の判定対象である試験試料を培養できる培養培地を含む内側容器と、(2)1種以上の第1級アミン含有化合物を含む補給剤と、を有する。本態様によれば、補給剤を封止可能な標本容器内の培養培地に対して加えて、培養培地中に存在しうる抗菌剤を中和、結合、又は阻害する効果のある量で、1種以上の第1級アミン含有化合物を提供することができる。補給剤を加えると同時に、または補給剤を加えた後に、試験試料を培養培地に対して加えて、補給剤により、試験試料中に存在しうるあらゆる抗菌剤を中和、結合、又は阻害する効果のある量の一種以上の第1級アミンを培養培地中に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】反応時間0分における、システィン存在下でのイミペネムのサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)のクロマトグラムである。
【図1B】反応時間20分における、システィン存在下でのイミペネムのサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)のクロマトグラムである。
【図1C】反応時間60分における、システィン存在下でのイミペネムのサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)のクロマトグラムである。
【図1D】反応時間90分における、システィン存在下でのイミペネムのサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)のクロマトグラムである。
【図2A】反応時間0分における、システィンが存在しない場合のイミペネムのサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)のクロマトグラムである。
【図2B】反応時間20分における、システィンが存在しない場合のイミペネムのサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)のクロマトグラムである。
【図2C】反応時間60分における、システィンが存在しない場合のイミペネムのサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)のクロマトグラムである。
【図2D】反応時間90分における、システィンが存在しない場合のイミペネムのサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)のクロマトグラムである。
【図3】イミペネム存在下におけるS.aureusの回収に対するシスティンの影響を表す箱ひげ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、微生物を含むことが既知であるまたは微生物を含む可能性がある標本中又は試験試料中に微生物が存在するか否か検出するための方法を提供する。本発明による方法は、増殖培地又は培養培地中の抗菌性物質(例えば、抗生物質)を中和、結合、阻害、または不活化するための第1級アミン含有化合物を使用した化学的中和法を伴うものである。一実施例において、本発明は、血液培養培地中の第1級アミン含有化合物によって一種以上の抗生物質を中和、阻害または不活化することを目的とする。いくつかの実施形態では、第1級アミン含有化合物は、チオール基非含有化合物、および/またはヒドロキシルアミンでありうる。
【0020】
本発明による方法で試験可能な試料には、微生物の存在および/または増殖が既知である、あるいは微生物の存在および/または増殖が疑われる臨床試料および非臨床的試料が含まれ、さらには、日常的又は臨時的に微生物の存在が確認されるような材料の試料が含まれる。一般的に、試験試料は、約0.5ml〜約50ml、約1ml〜約10ml、または約2ml〜約5mlの範囲である。
【0021】
試験可能な臨床試料としては、典型的には臨床検査室または研究所で試験される任意のタイプの試料が含まれ、血液、血清、血漿、血液分画、関節液、尿、精液、唾液、糞便、脳脊髄液、胃内容物、膣分泌物、組織ホモジェネート、骨髄穿刺液、骨ホモジェネート、痰、吸引液、ぬぐい液(swab)およびぬぐい液残滓(swab rinsate)、他の体液等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の一実施形態では、微生物感染が既知である又は感染が疑われる対象(例えば、患者)から試料を取得する。一実施形態では、敗血症(例えば、菌血症または真菌血症)に感染していることが既知である、又は感染の疑いがある対象を扱う。対象から直接採取した血液が試料となりうる。
【0022】
試験可能な非臨床試料としては、食品、飲料、医薬品、化粧品、水(例えば飲料水、非飲料水および廃水)、海水バラスト、空気、土壌、汚水、植物材料(例えば種、葉、茎、根、花、果実)、血液製剤(例えば血小板、血清、血漿、白血球分画等)、ドナー臓器または組織試料、生物戦試料(biowarfare sample)等を含めた物質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本方法は工業環境、商業環境、および/または臨床環境での汚染レベル、工程管理、品質管理等をモニタリングするための実時間試験にも特に適している。
【0023】
本発明の第1の態様は、一種以上の第1級アミン含有化合物を用いた、抗生物質の中和および/または不活化方法に関するものである。この方法は、一種以上の第1級アミン含有化合物を、試験試料中に存在することが既知である又は存在が疑われる一種以上の抗生物質を中和、結合および/または、阻害することができる有効量で、増殖又は培養培地に対して添加することを含む。試験試料を増殖又は培養培地に植菌することに先立って、又は植菌と同時に、一種以上の第1級アミン含有化合物を増殖または培養培地に添加することができる。理論によって拘束されることを望むものではないが、第1級アミン含有化合物を用いることで、第1級アミンが抗生物質のβ−ラクタム環状構造と相互作用または結合するので、抗菌物質の中和のための化学的手法を提供することができる。主要なアミンは、共有結合複合体を形成しているβ−ラクタム環を求核攻撃することで、β−ラクタム抗生物質の不活化および/または中和を誘導する。植菌後、増殖または培養培地および試験試料を十分な時間十分な温度で培養して、試験試料中に存在する可能性があるあらゆる微生物を増殖して検出することができる。従来技術において既知のあらゆる手段によって増殖を検出することができる。例えば、BacT/ALERT(登録商標)又はBacT/ALERT(登録商標)3Dシステム(bioMerieux社)を用いて増殖を検出することができる。微生物の増殖に必要な時間および温度は、主に種特異的であるが、概して約1時間〜約48時間、および、約30℃〜約42℃である。
【0024】
「有効量」とは、試験試料又は培養培地中に存在することが既知である、または存在が疑われる一種以上の抗生物質の活性を中和、結合、および/または、阻害するために十分な量の化合物を使用することを意味する。「有効量」は、試験試料中または培地中に存在する一種以上の抗生物質を測定可能な程度阻害するのに十分な量である。抗生物質の阻害は、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)、または当業者に既知の他の方法によって、生体外(in vitro)で測定することができる。また、「有効量」は、抗生物質(検出可能な微生物の増殖を抑制又は抑止する活性を有する)を含む試験試料又は培養培地中における微生物の増殖が検知可能となるために十分な量でありうる。「有効量」は、増殖または培養培地中に存在することが既知である、または存在が疑われる一種以上の抗生物質の活性を完全に抑制しうる量である必要はない。むしろ、本発明を実施するにあたり、一種以上の第1級アミン含有化合物を「有効量」含有する増殖又は培養培地を用いることで、微生物の増殖又は培養が可能になる。微生物の培養は、本発明による第1級アミン含有化合物によって中和、結合、および/または阻害された一種以上の抗生物質が存在すると、抑制又は抑止されてしまう。概して、一種以上の第1級アミン含有化合物の「有効量」は、培養培地の培養物内での最終濃度を、約0.1g/L〜約20g/L、約0.5g/L〜約10g/L、または約1g/L〜約5g/Lとすることができる量である。
【0025】
一実施形態では、本発明は培養物内の微生物の回収および検出を促進するための方法に関するものである。かかる方法は、(a)培養培地を調製するステップと、(b)培養培地内の抗菌性物質を中和、結合、または阻害する効果がある量の、少なくとも一種の第1級アミン含有化合物を培地に添加するステップと、(c)試験試料を培地に植菌するステップと、(d)培養して結果を測定するステップとを含むものである。他の実施形態では、本発明は、血液培養物内のカルバペネムを中和および/または不活化するための方法は、微生物の増殖を助けることができる血液培養培地に対して第1級アミン含有化合物を添加するステップを含む。第1級アミン含有化合物は、培養培地内に存在するあらゆるカルバペネムを中和および/または不活化する。
【0026】
他の態様では、本発明は微生物による感染症の診断のための方法に関するものである。かかる方法は、(a)微生物の存在の有無の判定対象であり、微生物の増殖および/または検出を阻害する恐れがある一種以上の抗菌剤を含む可能性がある試験試料を採取するステップと、(b)一種以上の抗菌剤を中和、結合又は阻害する効果がある量の少なくとも一種の第1級アミン含有化合物を含有する培養培地に対して、試験試料を添加するステップと、(c)前記微生物の存在の有無を分析して(例えば、微生物を検出又は微生物の増殖を検出する)、前記微生物の存在が検出されたことに基づいて前記感染について陽性の診断を下すステップと、を含むものである。増殖培地又は培養培地に対して試験試料を加えた後に、増殖培地又は培養培地を、当業者に既知の十分な時間および温度で培養して、試験試料中に存在する可能性のあるあらゆる微生物を増殖および検出できるようにする。従来技術において既知のあらゆる方法で、増殖を検出することができる。例えば、BacT/ALERT(登録商標)又はBacT/ALERT(登録商標)3Dシステム(bioMerieux社)を使用して、増殖を検出することができる。継続的に、又は所定時間毎に増殖の測定を実施することができる。
【0027】
概して、本発明による方法を用いてあらゆる既知の抗生物質を中和することができる。一態様では、本発明は、第1級アミン含有化合物を用いてβ−ラクタム系抗生物質を中和および/または不活化することを目的とする。β−ラクタム系抗生物質とは、分子構造中にβ−ラクタム核(β−ラクタム構造)を有するあらゆる抗生剤の大分類である。β−ラクタム抗生物質は、ペニシリン、ペニシリン系抗生物質、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、および、β−ラクタマーゼ阻害剤を含むが、これらに限定されるものではない。
【0028】
一実施形態では、第1級アミン含有化合物を用いて、ペニシリンおよびペニシリン系抗生物質を中和および/または不活化させることができる。ペニシリンは、β−ラクタム抗生物質のペナム(penam)として知られる一分類である。ペナムは、共に類似した中心骨格(R−C11S、Rは可変側鎖)を有している抗生物質のグループである。ペニシリンおよびペニシリン系抗生物質は、例えば、ベンザチンペニシリン、ベンジルペニシリン(ペニシリンG)、フェノキシメチルペニシリン(ペニシリンV)、プロカイン・ペニシリン、オキサシリン、メチシリン、ナフシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、テモシリン、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン(carbenixillin)、メズロシリンおよびピペラシリンを含む。
【0029】
他の実施形態では、第1級アミン含有化合物は、セファロスポリンおよびセファロスポリン誘導体を中和しておよび/または機能させないために用いることができる。セファロスポリンは、7−アミノセファロスポラン酸を有する中心骨格を共に有しているβ−ラクタム抗生物質のグループである。セファロスポリンおよびセファロスポリン誘導剤は、例えば、セファレキシン、セファロチン、セファゾリン、セファクロール、セフロキシム、セファマンドール、セフォテタン、セフォキシチン、セフトリアキソン(ceftrizxone)、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフェ ピムおよびセフピロムを含む。
【0030】
さらに別の実施形態では、第1級アミン含有化合物を用いて、カルバペネムおよびカルバペネム誘導体を中和および/または不活化することができる。カルバペネムは、広範囲の抗菌活性を有し、且つβ−ラクタマーゼ耐性を生じさせる構造を有する、β−ラクタムの一分類である。カルバペネムおよびカルバペネム誘導体は、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、ドリペネム、パニペネム、ベタミプロン、ビアペネム、およびPZ−601を含む。カルバペネムは構造的にペニシリンと多少類似しているが、構造の位置1の硫黄原子が炭素原子と置換されているため、カルバペネムというグループ名称となっている。このような、一見些細な構造上の差異により、科学的活性および生物学的活性における効果が異なってくる。
【0031】
さらに他の実施形態では、第1級アミン含有化合物を用いてβ−ラクタマーゼ阻害剤およびβ−ラクタマーゼ阻害剤派生物を中和および/または不活化することができる。β−ラクタマーゼ阻害剤およびβ−ラクタマーゼ阻害剤派生物には、例えば、クラブラン酸(calvulanic acid)、タゾバクタムおよびスルバクタムが含まれる。
【0032】
前述のように、本発明によれば、第1級アミン含有化合物を、増殖培地または培養培地に加えることができる。培地に対して試験対象の試料を植菌する前に、または植菌と同時に、第1級アミン含有化合物を培地に対して直接添加することができる。他の実施形態では、増殖培地または培養培地に対して試料を加える前に、第1級アミン含有化合物を試験試料に直接加えることができる。
【0033】
増殖培地または培養培地を使用して、微生物を培養することは既知である。適切な増殖培地または培養培地では、微生物の増殖に適した栄養条件および環境条件が整っているが、培養対象の微生物が必要とするすべての栄養素を含む必要がある。例えば、典型的な微生物培養培地は、水、炭素源、窒素源、ビタミン、ならびに、カリウム、マグネシウム、カルシウム、および鉄のような微量元素、ならびに、硫黄や亜リン酸のようなミネラルを含有する必要がある。一般的に、これらの必須成分は、多くの供給源により供給される。適切な増殖条件のための他の因子は、培地のpH、温度、通気、塩濃度および浸透圧を含みうる。
【0034】
加えて、特定の増殖因子が必要とされることが知られている。一つの増殖因子は、微生物が自ら合成することができないが増殖するため必須の有機化合物である。上記で列挙した栄養素を与えられると、多くの微生物は、アミノ酸、ビタミン、プリンおよびピリマジン類(pyrimadines)、脂肪酸および他の化合物を含む、原形質の有機成分の全てを合成することが可能である。概して、これらの必須化合物は、それぞれ別の連鎖的酵素反応によって合成される。各酵素は特定遺伝子の制御により生成される。しかし、様々な理由により、一部の微生物は一種以上の上述の増殖因子を合成することができず、環境中からそのような化合物を獲得する必要がある。必須増殖因子は、アミノ酸、ビタミン、プリンおよびピリマジン類、脂肪酸、ならびに増殖に必要な他の必須化合物を含むが、これらに限定されない。
【0035】
本発明を実施するにあたり、微生物培養用のあらゆる既知の増殖培地または培養培地を使用することができる。概して、本発明の培養培地は、液体栄養培地または普通ブイヨン(nutrient broth)を含む。例えば、本発明の培養培地または普通ブイヨンは、一種以上の既知の栄養素を含むことが一般的である。例えば、培養培地は一種以上の炭素源(例えば、グリセロール)、窒素源(例えば、アンモニア塩類)、糖、塩類(例えば、K、Mg2+、Ca2+、Zn2+)、栄養素、および/または水を含むことができる。一実施形態では、本発明の培養培地は、一種以上のカリウム塩類、ナトリウム塩類、グルタミン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、ピリドキシン、クエン酸鉄アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、ビオチン、塩化カルシウム、またはこれらの組合せかをさらに含むことができる。他の実施形態では、トリプティックソイブロス、ブレインハートインフュージョン培地、コロンビアブロスおよびブルセラブロスを含む汎用培地を使用することができる。
【0036】
一般に、本発明を実施するにあたり、あらゆる既知の第1級アミン含有化合物を使用することができる。既に述べた通り、試験試料を増殖培地又は培養培地に植菌する前に、または植菌すると同時に、一種以上の第1級アミン含有化合物を増殖培地または培養培地に加えることができる。一実施形態において、試験対象の試料を第1級アミン含有培養培地に対して植菌する前に、補給剤として、第1級アミン含有化合物を培養培地に対して添加することができる。代替実施形態では、第1級アミン含有試験試料を培養培地に植菌する前に、第1級アミン含有化合物を試験試料に対して直接添加することができる。有用な第1級アミン含有化合物は、化学式R−NHの第1級アミンを含む。ここで、Rは炭素原子数約1〜約20の直鎖又は分岐アルキル基、アリール基、又はアラルキル基である。R基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ヘキシル類(直鎖または分岐)、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、ベンジル、メチル置換フェニル類、またはこれらの混合物あるいは組み合わせであることが好ましいが、これらに限定されない。一実施形態では、主要なアミンは、ヒドロキシルアミンである。典型的な第1級アミンは、メチルアミン、エタノールアミン、トリスアミン、プロピルアミン、2−アミノヘプタン、2−アミノ−2−メチル−1,3プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、n−アミルアミン、ベンジルアミン、1,4−ブタンジアミン、n−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、α−メチルベンジルアミン、フェネチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、iso−ブチルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含むことができる。
【0037】
一部の実施形態では、有機第1級アミンが好ましい。適切な有機第1級アミンは、脂肪族化合物、シクロ脂肪族化合物、脂肪族/芳香族化合物、芳香族アミン類、ジアミン、および/またはポリアミンである。これらは、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ステアリルアミン、アニリン、ハロゲン置換フェニルアミン(例えば、4−クロロフェニルアミン)、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノ−ヘキサン、1−アミノ3,3,5−トリメチル5−アミノシクロヘキサン、リジンエチルエステル、リジンアミノエチルエステル、1,6,11−トリアミノウンデカン(triaminoundecane)または1,5−ナフチレンジアミン、(1,4-ジアミノベンゼン、p−キシリレンジアミン、ペル水素化2,4−および/または2,6−ジアミノトルエン、2,2’−、2,4’−および/または4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4−、2,6−ジアミノトルエンおよびそれらの混合物、さらに、これらのアミン類より高分子量の異性体誘導体、オリゴマー誘導体、またはポリマー誘導体、ならびにポリアミンでありうる。その他、従来技術で知られたアミンが考えられる。本発明に適したアミン類は、ジフェニルメタン系(MDA、単量体アミン、オリゴマーアミン、およびポリマーアミン)オリゴマーで重合アミン)、2,4−、2,6−ジアミノトルエン(TDA、トルイレンジアミン類(toluoylenediamines)である。例えば、2,4−、2,6−ジアミノトルエン(TDA、トルイレンジアミン 類)を重量比80:20で混合した工業的混合物や、イソホロンジアミンおよびヘキサエチレンジアミンである。相応のイソシアン酸塩ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI、単量体イソシアン酸塩、オリゴマーイソシアン酸塩、ポリマーイソシアン酸塩)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、およびイソホロンジイソシアネート(IPDI)は、ホスゲン化により得られる。
【0038】
他の実施形態では、主要なアミンは、アミノ酸である。典型的なアミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸塩、システィン、グルタミン酸塩、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンを含むが、これに限定されるものではない。
【0039】
一部の実施形態ではヒドロキシルアミンを使用することが好ましい。概して、ヒドロキシルアミンは化学式NHOHで表わされる化合物やそのような化合物の塩を含むことは当業者には明らかでる。ヒドロキシルアミンとして、例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペンタノールアミン、ヘキサノールアミン、ヘプタノールアミン、オクタノールアミン、ノナノールアミンおよびデカノールアミンを使用することができるが、これらに限定されない。
【0040】
チオール基類またはスルフィドリル基類は、酸素を捕捉する傾向があるため、増殖培地又は培養媒地の成分を阻害し、および/または、増殖培地又は培養培地における微生物の増殖を阻害する恐れがある。よって、一部の実施形態では、一種以上のチオール基非含有第1級アミン含有化合物を使用することが好ましい。チオール基非含有第1級アミンは、チオール基を含有しない既知のあらゆる第1級アミン含有化合物を含むことができることは当業者には明らかである。典型的なチオール基非含有第1級アミン類は、メチルアミン、エタノールアミン、トリスアミン、プロピルアミン、2−アミノヘプタン、2−アミノ−2−メチル−1,3プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、n−アミルアミン、ベンジルアミン、1,4−ブタンジアミン、n−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、α−メチルベンジルアミン、フェネチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、iso−ブチルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含むが、これらに限定されない。さらに他の実施形態では、チオール基非含有アミノ酸を使用することが好ましい。チオール基非含有アミノ酸として、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンを使用することができるが、これらに限定されない。
【0041】
他の実施形態では、本明細書で述べたように、第1級アミンを固体担体又はポリマー担体上に結合(固定)して、第1級アミン−担体複合体を培養培地(瓶)に加えることができる。一般に、担体は結合相手を固定することができるあらゆる材料であってよい。例えば、ニトロセルロース、シリカ、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、EVA、ガラス、炭素、ガラス状カーボン、カーボンブラック、カーボンナノチューブもしくはカーボンフィブリル、プラチナ、パラジウム、金、銀、塩化銀、イリジウム、又はロジウムが挙げられる。一実施形態では、固体担体は高分子担体であり、例えば、修飾シリカゲル、ガラス(特に多孔性ガラス(controlled pore glass))、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ・シロキサン、ポリスチレン等である。他の実施形態では、シリカや、スチレン共重合体およびジビニルベンゼンのような中性マクロ孔質樹脂を固体担体として使用することができる。
【0042】
本発明の他の態様では、増殖培地または培養培地に、試験試料中のあらゆる付加的な抗菌性物質を中和、阻害および/又は除去することができる一種以上の吸着剤をさらに含有させることができる。
【0043】
抗菌性物質は、特に、抗生物質、体液試料中の抗生物質、防腐剤、静菌剤、殺菌剤、および培養培地の調製時に生成されたあらゆる有毒副産物を含むことが一般的である。抗菌性物質も、補体および抗体のような血液中に自然に生じる成分を含む。
【0044】
本出願の目的で使用する「吸着剤」という用語は、抗菌性物質を中和、結合、および阻害する全ての吸着剤を含むものである。これらの吸着剤は、樹脂および非樹脂吸着剤を含む(米国特許第4,145,304号、第4,632,902号、第5,162,229号、および第5,314,229号)。
【0045】
本明細書で使用した「樹脂」とは、吸着剤の下位分類であり、天然樹脂および合成樹脂を含むものとして定義され、例えば、イオン交換樹脂、非官能性ポリマー樹脂吸着剤、特に、ジビニルベンゼンで架橋したポリスチレン樹脂を含むものである。米国特許第4,145,304号および第4,632,902号に記載の樹脂が使用可能であるが、これらに限定されるものではない。例えば、ナトリウム、水素およびアンモニウムで荷電させた陽イオン交換樹脂を使用することができる。そのような樹脂には、BIO-RAD Laboratories社製のBIOREX AG 5OW−X, X,X,X,X10,X12,X16、DowChemical社製のDOWEX 5OW−X,X,X,X,X10,X12,X16、およびFisherScientific社製のRexyn 101があり、これらはすべてSO3−を有する強酸性ポリスチレン樹脂である。Rohm&Haas社製のXAD樹脂や、BioRad社製のSM樹脂のような非官能性樹脂を使用することもできる。例えば、塩化物、ギ酸塩、酢酸塩および水酸化物、荷電陰イオン交換樹脂が、一般的に適していることが判明した。具体的には、塩化物で荷電させた陰イオン交換樹脂を、以下の商標のもとで市販されている吸着性樹脂と組み合わせて使用することで、本発明を効果的に実施することができる。Dow Chemical社製のDOWEX 1−X8、DiamondShamrock社製のDUOLITE A−109、およびRohm&Haas社製のAMBERLITE IRA400は、すべて、ポリスチレン第4級アンモニウム官能基を有する強塩基性樹脂である。Diamond Shamrock社製のDUOLITE A−7およびRohm&Haas社製のAMBERLITE IR45は、弱塩基性であり、第三アミン官能基を有する。一部の実施形態では、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂を、Rohm&Haas社製のXAD樹脂やBioRad社製のSM樹脂のような非官能性樹脂と組み合わせて用いることが好ましい。特に、スチレンおよびジビニルベンゼンの非官能性共重合体であるXAD−4と組み合わせて使用することが好ましい。
【0046】
本明細書で使用する「非樹脂吸着剤」という用語は、吸着剤の別の下位分類であり、天然の非樹脂吸着剤および合成の非樹脂吸着剤として、さらに、浄化、脱イオン化、脱色、およびろ過に使用可能な分子篩として定義される。これらの非樹脂吸着剤の一部は、抗生物質の生成中に、抗生物質産生細菌を増殖させる培養培地から抗生物質を取り出すために使用される。米国特許第5,162,229号および第5,314,229号に記載の非樹脂吸着剤を使用することができる。例えば、使用することができる非樹脂吸着剤は、(1)酸化アルミニウム(アルミナ)(2)ベントナイト、カオリン、及び、フラー土のようなコロイド状の天然水和ケイ酸アルミニウム(粘土)、(3)結晶水和アルカリ性ケイ酸アルミニウム(ナトリウムもしくはカルシウムゼオライト)(4))ダビシル(Davisil)のようなシリカ(シリカゲル、シリカビーズ)(5)セライト(Celite:商標)(ManvilleProducts Corporation、米国、コロラド州、デンバー)のような種々の珪藻植物種のケイ酸質珪藻細胞及びの断片、及び、カーボラフィン(Carboraffin)、ノリト(Norit:商標)(AmericanNorit Company Inc.、米国、フロリダ州、ジャクソンビル)、オポセルビル(Opocerbyl)、及び、ウルトラカーボン(Ultracarbon)のような無定形炭素(特に、活性化炭素)の様々な形態を含む。天然吸着剤である活性炭も使用することができるが、これは、移動培地及び増殖培地中での酸化反応による致死作用を防止するために用いられてきた。この培地は、淋菌のような細心の注意を必要とする生物の運搬や、レジオネラ種の培養に用いられてきた。非樹脂性吸着剤を機能させるにあたって、界面活性剤による前処理は不要である。界面活性剤での処理により、これらの材料の吸着性が減少することさえある。
【0047】
培地に対して適切な比率で吸着剤を使用すると、抗菌性物質を中和する能力を維持しながら、オートクレーブ処理した培地中で産生された毒性副産物を除去すると共に、最適栄養の培養培地を提供することができる。樹脂吸着剤および/または非樹脂吸着剤は、一瓶につき、約0.1g〜約10g含有させることができる。
【0048】
本発明における吸着剤は、装置中または培養瓶中に限定して使用することに限られない。これらの吸着剤を、あらゆる標準培養培地に添加して、その培地に試料を植菌し、試験試料の種類に適当な時間、正確な温度で培養する。その際、通常、培地を振盪もしくは振動させて液体に対してより多くの吸着体表面を暴露させ、さらに、存在する任意の生物を栄養素とより良く接触させ、かつ代謝副産物の高濃度領域が生じないようにする。微生物の増殖の測定に必要な温度及び時間は当業者にはよく知られており、異なる種類の生物間で幾分変化する。
【0049】
別の態様においては、本発明は、試験試料(標本)中に存在する可能性がある微生物を検出するための装置であって、試験試料を培養できる増殖培地又は培養培地を含む内側容器を備える封止可能な容器を備え、増殖培地又は培養培地は、少なくとも一種の第1級アミン含有化合物を含み、該第1級アミン含有化合物は、標本中の一種以上の抗生物質(例えば、カルバペネム))を中和、結合、および/又は不活性化することを特徴とする装置に関するものである。一実施形態では、この装置は、例えば、米国特許第5,094,955号および第5,162,229号に記載されているような、血液培養瓶である。本発明の本態様によれば、試験試料を装置に入れ、増殖が検出されるまで、又は、通常5〜7日経過して、増殖が検出されなくなるまで装置で培養する。
【0050】
他の実施形態では、試験対象の試料を培養培地に植菌する前に、又は植菌すると同時に培養培地に加える補給剤に、第1級アミン含有化合物を含有させることができる。代替実施形態では、第1級アミン含有試験試料を瓶又は培養培地に対して植菌する前に、第1級アミン含有補給剤を試験試料に直接加えることもできる。さらに、補給剤に一種以上の、微生物の培養に有効であるとされている当業者に既知の栄養素および/又は成分を含ませることもできる。例えば、本発明による補給剤は、付加的に一種以上の糖、炭素源類、窒素源類、ミネラル類、塩類、アミノ酸類、ビタミン類、プリンおよびピリマジン類、脂肪酸、ならびに他の化合物を含んでも良い。補給剤を加え、試験試料を培養培地に対して植菌した後に、培養培地および試料を十分な時間、十分な温度で培養して、試験試料中に存在する可能性のあるあらゆる微生物を増殖して検出することができる。
【0051】
さらに別の態様において、本発明は試験試料中の微生物を検出するためのキットに関するものである。このようなキットは、(1)微生物の存在の有無を判定すべき試験試料を培養できる培養培地を含む内側容器を備える、封止可能な標本容器と、(2)1種以上の第1級アミン含有化合物を含む補給剤と、を含む。本発明の本態様によれば、封止可能な標本容器内の培養培地に補給剤を加えて、培養培地中に存在する可能性があるあらゆる抗菌剤を中和、結合、又は阻害する効果がある量の、一種以上の第1級アミン含有化合物を供給することができる。補助剤を培養培地に対して加えると同時に、または加えた後に、試験試料を培養培地に対して加えることができる。補助剤は、試験試料中に存在する可能性がある、あらゆる抗菌剤を中和、結合、又は阻害する効果のある量の一種以上の第1級アミン含有化合物を供給する。キットの補給剤は、一種以上の第1級アミン含有化合物入りの第2の容器又バイアルをさらに備えている。一実施形態では、第二容器またはバイアルは、安定化緩衝液で懸濁した一種以上の第1級アミン含有化合物を含んでいる。安定化緩衝液は当業者に既知である。他の実施形態では、容器またはバイアルに含まれる一種以上の第1級アミン含有化合物は、凍結乾燥物であっても良い。この実施例によれば、凍結乾燥の一種以上の第1級アミン含有化合物は、標本容器中の培養培地に加える前に、再懸濁緩衝液又は安定化緩衝液で再懸濁することができる。さらに別の実施形態では、本発明のキットは、上述の再懸濁緩衝液または安定化緩衝液を含む第3の容器をさらに備えることもできる。
【0052】
微生物が存在することは、容器の内側表面に取り付けた使い捨てセンサを使用して、標本のpHの変化や、標本中のCO産生を検出することで判定することができる(例えば、本明細書で援用する米国特許第4,945,060号および第5,164,796号参照)。米国特許第4,945,060号および第5,164,796号によれば、阻害物質(例えば、高濃度の赤血球)の存在下で、放射計分析ではない、非侵襲性の手段で、微生物を測定することができる。標本内のpHレベルおよび/またはCOレベルが変化すると、使い捨てセンサにおける光の反射特性および/又は吸収特性が対応して変化する。センサの反射特性の変化量は、発光−受光機構(emission and receiving mechanism)により検出する。発光−受光機構によって、可視反射/吸収量および変化率をモニタリングする装置に対して信号を供給する。変化率および変化量を分析して標本(試料)中における微生物の増殖の有無を予測および判定する。センサを継続的または頻繁な時間間隔でサンプリングおよび/またはモニタリングして、センサの変化量および変化率の詳細な特徴を収集することができる。従来技術で言及があるように、センサ手段は膜および指示薬培地を含むことができる。指示薬培地は、生物の代謝活性産物に接したときに検出可能な変化を呈する機能に基づいて選択する。当業者に知られているように、容器の透明部分を通じて、センサ手段における見た目上の変化を容器の外側から継続的にモニタリングすることができる。
【0053】
装置または血液培養瓶は、米国特許第4,145,304号および第4,632,902号に記載されたような樹脂材料や、米国特許第5,162,229号および第5,314,229号に記載されたような非樹脂吸着材料、および、これらの組み合わせを備えることができる。これらの材料は、培養培地の試験試料中に存在する可能性のある、あらゆる他の抗菌性物質を中和、結合、又は阻害する。樹脂および/または非樹脂吸着剤は、一瓶につき約0.1g〜約10gが装置内にあってもよい。
【0054】
本発明は、本明細書で記載した実施形態に制限されるものではなく、他の様々な態様で実施することができる。むしろ、上述の実施形態は本発明を完全かつ徹底的に開示することを目的としており、当業者に対して本発明の範囲を完全に伝えるためのものである。例えば、一実施形態について記載した特徴を他の実施形態に組み込むこともでき、特定の実施形態について説明した特徴をその実施形態から省略することもできる。さらに、本発明から乖離しない範囲で、本明細書中の実施形態に対して多くの変形や追加をすることができることは当業者には明らかである。
【0055】
特に定義しない限り、本明細書中のすべての技術用語および科学用語は、本発明の属する技術分野における当業者により一般的に理解されている意味と同様の意味を有する。本願明細書において使用した用語は、本発明の特定の実施形態を記載する目的においてのみ使用したものであり、本発明に対して何ら制約を加えるものではない。
【0056】
以下の実施形態は、本発明の特徴をさらに説明するために示したものであり、本発明の範囲を制限することを目的としたものではない。
【実施例1】
【0057】
システィンによるイミペネムの中和
スクリューキャップチューブ中で、1.8gのUSP等級イミペネムを14mMのKHPO(pH7.0)10mLに対して溶解して、USP等級イミペネムのストック溶液を調製した。2mLのポリプロピレン遠心分離機管中で、システィン31.3mgを14mMのKHPO1.08mLに対して溶解して、システィンのストック溶液を調製した。
【0058】
イミペネムストック溶液2.2mLと14mMのKHPO7.8mLとを混合して、最終濃度40μg/mLとして、システィン無しのイミペネム反応を準備した。全体で10mLを、樹脂吸着剤入りのBacT/Alert培養瓶に加えた。瓶を軽く攪拌して、500μLを分析のために採取した。そして、瓶をBacT/Alert(登録商標)3D装置(米国ミズーリ州、bioMerieux社)に入れ、36℃に保持し、さらに、500μL試料を20、40、60および90分時点で採取した(図2A〜図2D)。
【0059】
イミペネムストック溶液2.2mLと14mMのKHPO7.8mLとを混合して、最終濃度40μg/mLとして、システィン有りのイミペネム反応を準備した。全体で10mLを、樹脂吸着剤入りのBacT/Alert培養瓶に加えた。システインストック溶液の500μL試料を加えて、最終的なシスティン濃度を4mMとした。瓶を軽く攪拌して、500μLを分析のために採取した。そして、瓶をBacT/Alert(登録商標)3D装置(米国ミズーリ州、bioMerieux社)に入れ、36℃に保持し、さらに、500μL試料を20、40、60および90分時点で採取した(図1A〜図1B)。
【0060】
反応試料を、BioSep(商標)−SEC−2000(Phenomenex社製)サイズ排除HPLCカラムを備えるHPLCで、フローレート1mL/分で分析した。このカラムは、移動相が、pH6.5の100mMNaHPOであった。300nmで反応をモニタリングしたが、1試料についてのトータル分析時間は16分であった。
【0061】
イミペネムおよびシスティンを含む瓶は、それぞれ、20、40、60および90分後に、イミペネムが約70%、約85%、約89%および約91%だけ減少したことを示した(表1参照)。しかし、90分後に、イミペネムのみを含む瓶は、イミペネムが全く減少しなかった(表2参照)。
【0062】
表1−イミペネム+システィン反応
【表1】

【0063】
表2−イミペネム+システィン無し(対照)
【表2】

【実施例2】
【0064】
イミペネムを含有し、システィンを含有/非含有である樹脂瓶中における増殖能
イミペネム4.0mgを、pH7.0のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)100mLに溶解して、0.2μ無菌フィルターでろ過して、イミペネム溶液を調製した。システィン300mgをPBS10mLに対して溶解し、0.2μ無菌フィルターでろ過し、500μLの追加を含んだBacT/Alert(登録商標)瓶(米国ミズーリ州、bioMerieux社)中の最終濃度が4mMとした。S.aureusの培養物を一晩培養して生成し、最終濃度を30〜300CFU(コロニー形成単位)/500μLとした。
【0065】
樹脂吸収剤を備えるBacT/Alert(登録商標)培養瓶(米国ミズーリ州、bioMerieux社)を、3重評価のために調製した。調製手順は以下の通りであった。
【0066】
無菌ろ過PBSのみを10mL、または無菌ろ過PBS10mLとシスティン溶液500μLを加えることで、増殖対照を調製した。イミペネム溶液を10mL加えることで、イミペネム活性についての対照を調製した。さらに、イミペネム溶液10mLとシスティン溶液500μLを加えてイミペネム/システィン反応液を調製した。各瓶について、S.aureus培養物を500μL加え、BacT/Alert3D(登録商標)装置(米国ミズーリ州、bioMerieux社)に入れ、36℃に保持し、5日間増殖をモニタリングした。
【0067】
システィンを含まず、イミペネムを含む全ての瓶において、5日後のS.aureusの増殖が陰性であった。しかし、イミペネムおよびシスティンの両方を含む3つの瓶のうちの2つでは、28時間以内でS.aureusの増殖が陽性であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養培地中のカルバペネムの中和および/または不活化のための方法であり、該方法は、微生物の増殖を助けることができる培養培地に対して、一種以上の第1級アミン含有化合物を添加するステップを含み、前記一種以上の第1級アミン含有化合物は、前記培養培地中に存在しうるあらゆるカルバペネムを中和および/または不活化することができる量で添加されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記培養培地は、試験試料中のあらゆる付加的な抗生物質を中和および/又は不活化する効果がある一種以上の吸着剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
微生物を含む可能性がある試験試料を前記培養培地に添加して、前記試験試料中のあらゆる微生物が増殖するのに十分な条件で培養することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記試験試料の前に、又は前記試験試料と同時に、補給剤として、前記第1級アミン含有化合物を前記培養培地に対して添加することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1級アミンは化学式R−NHの第1級アミンを含み、前記Rは炭素原子数約1〜約20の直鎖又は分岐アルキル基、アリール基、又はアラルキル基あることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1級アミンは、メチルアミン、エタノールアミン、トリスアミン、プロピルアミン、2−アミノヘプタン、2−アミノ−2−メチル−1,3プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、n−アミルアミン、ベンジルアミン、1,4−ブタンジアミン、n−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、α−メチルベンジルアミン、フェネチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、iso−ブチルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンからなるグループから選択されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1級アミンはアミノ酸であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1級アミン含有化合物はシスティンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1級アミンは固体担体上に固定されており、前記固体担体は、ニトロセルロース、シリカ、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、EVA、ガラス、炭素、ガラス状カーボン、カーボンブラック、カーボンナノチューブもしくはカーボンフィブリル、プラチナ、パラジウム、金、銀、塩化銀、イリジウム、ロジウム、または高分子担体であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
培養培地中の抗菌剤を中和および/または不活化する方法であり、前記方法は、一種以上のチオール基非含有第1級アミンを、微生物の増殖を助けることができる前記培養培地に対して添加することを含み、前記一種以上のチオール基非含有第1級アミンを、前記培養培地中に存在しうるあらゆる抗菌剤を中和および/または不活化する効果がある量で添加することを特徴とする方法。
【請求項11】
前記培養培地は、試験試料中のあらゆる付加的な抗生物質を中和および/又は不活化する効果がある一種以上の吸着剤をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
微生物を含む可能性がある試験試料を前記培養培地に添加して、前記試験試料中のあらゆる微生物が増殖するのに十分な条件で培養することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記試験試料の前に、又は前記試験試料と同時に、補給剤として、前記チオール基非含有第1級アミンを前記培養培地に対して添加することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記抗生物質は、一種以上のβ−ラクタム抗生物質を含み、該β−ラクタム抗生物質は、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネムおよびこれらの誘導体を含むベータラクタム抗生物質のグループから選択されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記チオール基非含有第1級アミンは、メチルアミン、エタノールアミン、トリスアミン、プロピルアミン、2−アミノヘプタン、2−アミノ−2−メチル−1,3プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、n−アミルアミン、ベンジルアミン、1,4−ブタンジアミン、n−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、α−メチルベンジルアミン、フェネチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、iso−ブチルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンからなるグループから選択されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記第1級アミンはヒドロキシルアミンであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記第1級アミンは、固体担体上に固定されており、前記固体担体は、ニトロセルロース、シリカ、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、EVA、ガラス、炭素、ガラス状カーボン、カーボンブラック、カーボンナノチューブもしくはカーボンフィブリル、プラチナ、パラジウム、金、銀、塩化銀、イリジウム、ロジウム、または高分子担体であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
微生物による感染を診断する方法であり、
(a)前記微生物の存在の有無の判定対象であり、前記微生物の増殖および/または検出を阻害する恐れがある一種以上のカルバペネム抗生物質を含む可能性がある試験試料を採取するステップと、
(b)前記カルバペネムを中和、結合又は阻害する効果がある量の少なくとも一種の第1級アミン含有化合物を含有する培養培地に対して、前記試験試料を添加するステップと、
(c)前記微生物の存在の有無を分析して、前記微生物の存在が検出されたことに基づいて前記感染について陽性の診断を下すステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記ステップ(c)の前に、前記微生物が増殖するのに十分な時間および温度で前記試験試料および培養培地を培養することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記培養培地は、試験試料中のあらゆる付加的な抗生物質を中和および/又は不活化する効果がある一種以上の吸着剤をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記試料は、血液、血清、血漿、血液分画、尿、および唾液試料からなるグループから選択される臨床試料であることを特徴とする。請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記試験試料の前に、又は前記試験試料と同時に、補給剤として、前記第1級アミン含有化合物を前記培養培地に対して添加することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記第1級アミン含有化合物は化学式R−NHの第1級アミンを含み、前記Rは炭素原子数約1〜約20の直鎖又は分岐アルキル基、アリール基、又はアラルキル基あることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記第1級アミン含有化合物は、メチルアミン、エタノールアミン、トリスアミン、プロピルアミン、2−アミノヘプタン、2−アミノ−2−メチル−1,3プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、n−アミルアミン、ベンジルアミン、1,4−ブタンジアミン、n−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、α−メチルベンジルアミン、フェネチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、iso−ブチルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンからなるグループから選択されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
試験試料中の微生物を検出するためのキットであって、
(1)試験試料を培養できる培養培地を含む内側容器 を備える、封止可能な標本容器と、
(2)1種以上の第1級アミン含有化合物を含む補給剤と、
を含む、キット。
【請求項26】
前記補給剤を前記標本容器および前記培養培地に対して加えて、前記培養培地中に存在しうる抗菌剤を中和、結合、又は阻害する効果のある量の前記1種以上の第1級アミン含有化合物を前記培養培地中に含むようにしたことを特徴とする、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記試料を前記標本容器および前記培養培地に対して加えて、前記試験試料中に存在しうるあらゆる抗菌剤を中和、結合、又は阻害する効果のある量の前記第1級アミンを前記培養培地中に含むようにしたことを特徴とする、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
前記封止可能な標本容器および前記培養培地をオートクレーブで殺菌したことを特徴とする、請求項25に記載のキット。
【請求項29】
前記第1級アミン含有化合物は、 化学式R−NHの第1級アミンを含み、前記Rは炭素原子数約1〜約20の直鎖又は分岐アルキル基、アリール基、又はアラルキル基あることを特徴とする、請求項25に記載のキット。
【請求項30】
前記第1級アミン含有化合物は、メチルアミン、エタノールアミン、トリスアミン、プロピルアミン、2−アミノヘプタン、2−アミノ−2−メチル−1,3プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、n−アミルアミン、ベンジルアミン、1,4−ブタンジアミン、n−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、α−メチルベンジルアミン、フェネチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、iso−ブチルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンからなるグループから選択されることを特徴とする、請求項25に記載のキット。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−531899(P2012−531899A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517880(P2012−517880)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/040552
【国際公開番号】WO2011/002856
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(502073946)ビオメリュー・インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】