説明

基地局、ネットワーク装置及び通信制御方法

【課題】災害時など、音声呼が急増するような場合に、3Gのリソースを活用しつつ、処理可能な音声呼の数を増大することができる基地局、ネットワーク装置及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】eNB110は、eNB110を経由して処理される音声呼の状態を示すメトリックを取得するHO起動メトリック取得部111と、音声呼を処理している移動局の状態を取得する移動局状態取得部112と、HO起動メトリック取得部111によって取得されたメトリックの値が所定の閾値を超え、かつ移動局状態取得部112によって取得された移動局の状態が所定の条件を満たす場合、移動局を3Gシステムにハンドオーバーさせるハンドオーバー指示を移動局に向けて送信するHO処理部113とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1無線通信システムと、前記第1無線通信システムと通信方式が異なる第2無線通信システムとに接続可能な移動局を制御する基地局、ネットワーク装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3rd Generation Partnership Project(3GPP)において標準化されているLong Term Evolution(LTE)では、移動局(UE)に割り当てられる無線リソースがサブフレーム(Transmission Time Interval)毎に選択される。具体的には、基地局(eNB)は、スケジューラを用いて移動局に割り当てられる無線リソース、具体的には、下り物理共有チャネル(PDSCH)を選択し、当該移動局に対して無線リソースの割当情報(リソースブロック数や位置など)を下り物理制御チャネル(PDCCH)を用いて通知する。このようなスケジューリング方式は、Dynamic schedulingと呼ばれている。
【0003】
Dynamic schedulingでは、下り物理制御チャネルのオーバーヘッドが増大するため、下り物理制御チャネルに多重可能な割当情報、つまり移動局の数には上限がある。特に、データサイズが小さく伝送遅延に対する要求が厳しい音声呼などの場合、下り物理共有チャネルのリソースに余裕があるにも拘わらず、下り物理制御チャネルのリソースが使い尽くされてしまう場合が発生し得る。
【0004】
そこで、LTEでは、音声呼(Voice over LTE)のようにデータサイズが小さく、伝送遅延に対する要求が厳しいパケットに適したスケジューリング処理として、Semi-persistent scheduling(SPS)と呼ばれるスケジューリング方式が規定されている(例えば、非特許文献1)。図5(a)及び(b)は、Dynamic scheduling及びSPSによるスケジューリングの説明図である。図5に示すように、SPSでは、基地局が、PDCCHを用いて最初に無線リソースの割当情報を通知し、当該通知以降においては、周期的に固定フォーマットで無線リソースを移動局に割り当て続けることによってPDCCHによる割当情報の通知を不要としている。
【0005】
また、W-CDMA方式を採用する第3世代の無線通信システム(以下、3G)と、LTEとが併存する環境では、LTEにおける音声呼を処理する移動局を、3Gの回線交換(CS)ドメインにハンドオーバーさせ、当該音声呼を3G経由で継続させるSingle Radio Voice Call Continuity(SRVCC)が規定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 V10.3.0, 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2 (Release 10)、2011年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したSemi-persistent scheduling(SPS)には、次のような問題があった。すなわち、LTEにおいて、SPSは必須機能として規定されていないため、SPSに対応していない移動局も存在し得る。このような状況を考慮すると、PDCCHを用いて無線リソースの割当情報をサブフレーム毎に移動局に通知する従来のDynamic schedulingを用いざるを得ない。Dynamic schedulingの場合、上述したように、PDSCHのリソースに余裕があるにも拘わらず、PDCCHのリソースが使い尽くされてしまう場合が発生し得るため、Delay packingと呼ばれる仕組みを用いることが考えられている。
【0008】
Delay packingでは、音声呼に関する複数のパケットをまとめて送信することによって、PDCCHのオーバーヘッドを削減する。例えば、2つのパケットをまとめて送信すれば、PDCCHのオーバーヘッドを半分に削減できる。
【0009】
しかしながら、音声呼が急増するような状況、例えば災害時においては、このようなDelay packingを用いた場合でも、充分な数の音声呼を処理できないことが懸念される。一方、3GとLTEとが併存する環境では、3Gのリソースを有効に活用することが好ましい。
【0010】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、災害時など、音声呼が急増するような場合に、3Gのリソースを活用しつつ、処理可能な音声呼の数を増大することができる基地局、ネットワーク装置及び通信制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の特徴は、第1無線通信システム(LTEシステム10)と、前記第1無線通信システムと通信方式が異なる第2無線通信システム(3Gシステム20)とに接続可能な移動局(例えば、UE300A)を制御する前記第1無線通信システムの基地局(eNB110)であって、前記基地局を経由して処理される音声呼の状態を示すメトリックを取得するメトリック取得部(HO起動メトリック取得部111)と、前記音声呼を処理している移動局の状態を取得する移動局状態取得部(移動局状態取得部112)と、前記メトリック取得部によって取得された前記メトリックの値が所定の閾値を超え、かつ前記移動局状態取得部によって取得された前記移動局の状態が所定の条件を満たす場合、前記移動局を前記第2無線通信システムにハンドオーバーさせるハンドオーバー指示を前記移動局に向けて送信するハンドオーバー処理部(HO処理部113)とを備えることを要旨とする。
【0012】
本発明の第2の特徴は、第1無線通信システムと、前記第1無線通信システムと通信方式が異なる第2無線通信システムとに接続可能な移動局を制御するネットワーク装置であって、前記基地局を経由して処理される音声呼の状態を示すメトリックを取得するメトリック取得部と、前記音声呼を処理している移動局の状態を取得する移動局状態取得部と、前記メトリック取得部によって取得された前記メトリックの値が所定の閾値を超え、かつ前記移動局状態取得部によって取得された前記移動局の状態が所定の条件を満たす場合、前記移動局を前記第2無線通信システムにハンドオーバーさせるハンドオーバー指示を前記移動局に向けて送信するハンドオーバー処理部とを備えることを要旨とする。
【0013】
本発明の第3の特徴は、第1無線通信システムと、前記第1無線通信システムと通信方式が異なる第2無線通信システムとに接続可能な移動局を制御する通信制御方法であって、前記基地局を経由して処理される音声呼の状態を示すメトリックを取得するステップと、前記音声呼を処理している移動局の状態を取得するステップと、前記メトリック取得部によって取得された前記メトリックの値が所定の閾値を超え、かつ前記移動局状態取得部によって取得された前記移動局の状態が所定の条件を満たす場合、前記移動局を前記第2無線通信システムにハンドオーバーさせるハンドオーバー指示を前記移動局に向けて送信するステップとを有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の特徴によれば、災害時など、音声呼が急増するような場合に、3Gのリソースを活用しつつ、処理可能な音声呼の数を増大することができる基地局、ネットワーク装置及び通信制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るeNB110の機能ブロック構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係るeNB110におけるUE300Aのハンドオーバー動作フローを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るLTEシステム10及び3Gシステム20への周波数帯域の割当例を示す図である。
【図5】従来のDynamic scheduling及びSPSによるスケジューリングの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0017】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
(1)無線通信システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。図2に示すように、本実施形態に係る無線通信システムは、LTEシステム10と、3Gシステム20とによって構成される。
【0019】
LTEシステム10(第1無線通信システム)は、LTE方式に従った無線通信システムである。3Gシステム20(第2無線通信システム)は、3G方式(W-CDMA)に従った無線通信システムである。すなわち、LTEシステム10と3Gシステム20とでは、使用する無線通信技術(RAT)が異なっている。
【0020】
LTEシステム10には、LTEコアネットワーク11及びeNB110が含まれる。3Gシステム20には、3Gコアネットワーク21、RNC210、BTS220A及びBTS220Bが含まれる。
【0021】
eNB110は、セルC1を形成する。eNB110は、UE300A, 300Bを制御するLTEシステム10の基地局である。また、BTS220AはセルC2Aを形成し、BTS220BはセルC2Bを形成する。BTS220A及びBTS220Bは、UE300A, 300Bを制御する3Gシステム20の基地局である。
【0022】
UE300A及びUE300B(移動局)は、LTEシステム10及び3Gシステム20に無線により接続可能である。具体的には、UE300A(またはUE300B、以下同)は、eNB110と無線通信を実行し、LTEシステム10に接続する。また、UE300Aは、BTS220AまたはBTS220Bと無線通信を実行し、3Gシステム20に接続する。
【0023】
(2)基地局の機能ブロック構成
次に、本実施形態に係る無線通信システムの機能ブロック構成について説明する。具体的には、eNB110の機能ブロック構成について説明する。図2は、eNB110の機能ブロック構成図である。
【0024】
図2に示すように、eNB110は、HO起動メトリック取得部111、移動局状態取得部112、HO処理部113、スケジューリング処理部115、制御チャネル生成部117、RRCメッセージ生成部119、上り信号受信部121及び下り信号送信部123を備える。
【0025】
HO起動メトリック取得部111は、LTEシステム10から3Gシステム20へのハンドオーバー、具体的には、音声呼を処理するUE300AのLTEシステム10でのパケット交換(PS)ドメインでの音声呼通信から、33Gシステム20の回線交換(CS)ドメインへの音声呼通信へのハンドオーバー(HO)の起動の判定に用いられるメトリックを取得する。
【0026】
つまり、HO起動メトリック取得部111は、eNB110を経由して処理される音声呼の状態を示すメトリックを取得する。より具体的には、HO起動メトリック取得部111は、以下に示すメトリックの値を取得することができる。
【0027】
・音声ベアラを保持しているUE数
・RRC Connected UE数(接続移動局数)
・音声ベアラを保持しているUEの平均伝送レート
・下り物理制御チャネル(PDCCH)リソース使用率
・下り物理制御チャネル(PDCCH)の平均多重数
移動局状態取得部112は、音声呼を処理しているUEの状態を取得する。具体的には、移動局状態取得部112は、UEの状態を示す情報として以下の情報を取得することができる。
【0028】
・Channel Quality Indicator(CQI)の値
・UEとeNBとの間における伝搬損失
・音声呼の種別(緊急呼・優先呼・一般呼)
移動局状態取得部112は、UE300AからフィードバックされるCQI(受信品質情報)を取得する。また、移動局状態取得部112は、UE300Aから報告されるPower head room(送信電力の余力)に基づいて、UEとeNBとの間における伝搬損失(Pathloss)を推定する。さらに、移動局状態取得部112は、UE300Aが処理する音声呼の種別をコアネットワークから通知されるARP(Allocation and Retention Priority)と呼ばれる識別子に基づいて取得する。
【0029】
HO処理部113は、UE300AのLTEシステム10から3Gシステム20へのハンドオーバー(HO)処理を実行する。具体的には、HO処理部113は、HO起動メトリック取得部111によって取得されたメトリックの値が所定の閾値を超え、かつ移動局状態取得部112によって取得されたUE300Aの状態が所定の条件を満たす場合、UE300Aを3Gシステム20にハンドオーバーさせるハンドオーバー指示をUE300Aに向けて送信する。
【0030】
ここで、図4は、本実施形態に係るLTEシステム10及び3Gシステム20への周波数帯域の割当例を示す。図4に示すように、LTEシステム10及び3Gシステム20では、2GHzの周波数帯が用いられる。図4に示す割当例では、LTEシステム10に割り当てられる帯域と、3Gシステム20に割り当てられる帯域とは、概ね同様だが、一般的には、次のようなことが言える。すなわち、LTEシステム10の導入期には、既存の3Gシステム20に割り当てられる帯域が広く、LTEシステム10に割り当てられる帯域は狭い。逆に、LTEシステム10の導入が進んだ過渡期には、LTEシステム10に割り当てられる帯域が広くなり、つまり、LTEシステム10の広帯域化が進み、既存の3Gシステム20に割り当てられる帯域が狭くなる。
【0031】
HO処理部113は、CQIの値が所定の閾値以下の場合、ハンドオーバー指示(HANDOVER COMMANDなど)をUE300Aに向けて送信することができる。CQIが小さいUEは、多くのPDCCHリソースを消費するためである。
【0032】
また、HO処理部113は、UE300AとeNB110との間におけるPathlossの値が所定の閾値を超える場合、ハンドオーバー指示をUE300Aに向けて送信することができる。Pathlossが大きいUEは、多くのPDCCHリソースを消費する可能性が高い。また、このようなUEは、UEの送信電力が高くなるため、周辺セルへの干渉が大きくなり、結果として音声呼に用い得る無線リソースが減少する可能性もあるためである。
【0033】
さらに、HO処理部113は、UE300Aが処理する一般呼の場合、つまり、音声呼の種別が緊急呼または優先呼以外の場合、ハンドオーバー指示をUE300Aに向けて送信することができる。緊急呼や優先呼を処理しているUEは、Inter-RAT HOによる瞬断や、ハンドオーバー失敗などのリスクを回避することが望ましいためである。
【0034】
本実施形態では、HO処理部113は、当該音声呼をLTEシステム10から3Gシステム20にハンドオーバーさせるハンドオーバー指示をUE300Aに向けて送信し、UE300Aは、LTEシステム10でのパケット交換(PS)ドメインでの音声呼通信から、3Gシステム20の回線交換(CS)ドメインへの音声呼通信へと遷移することで音声呼を継続することが可能となる。
【0035】
なお、HO処理部113は、セルC1にオーバーレイしている3Gシステム20のセルC2Aにおいて、複数周波数帯域(2GHz, 800MHz)が存在する場合には、当該帯域を均等に選択してもよい。或いは、LTEシステム10(eNB110)と3Gシステム20(RNC210)との間において、各セルの負荷情報を交換し、空いているセルを選択するようにしてもよい。
【0036】
スケジューリング処理部115は、各種チャネルに割り当てられる無線リソースのスケジューリング処理を実行する。特に、スケジューリング処理部115は、下り物理制御チャネル(PDCCH)や、下り物理共有チャネル(PDSCH)、上り物理共有チャネル(PUSCH)をスケジューリングする。
【0037】
制御チャネル生成部117は、スケジューリング処理部115からの指示に基づいて、各種の制御チャネルを生成する、特に、本実施形態では、制御チャネル生成部117は、PDCCHを生成する。
【0038】
RRCメッセージ生成部119は、Radio Resource Controlレイヤにおいて送信される各種メッセージを生成する。特に、本実施形態では、RRCメッセージ生成部119は、3GPP TS 23.216などにおいて規定されるSRVCCを実現するためのハンドオーバーに関するコマンド(HANDOVER COMMANDなど)を含むRRC Connection Reconfiguration messageなどを生成する。
【0039】
上り信号受信部121は、UE300Aから送信された上り無線信号を受信する。下り信号送信部123は、制御チャネル生成部117から出力されたPDCCHや、RRCメッセージ生成部119から出力されたRRC Messageなどを多重した下り無線信号を送信する。
【0040】
(3)基地局の動作
次に、本実施形態に係る無線通信システムの動作について説明する。具体的には、eNB110によるUE300Aのハンドオーバー動作について説明する。図3は、eNB110におけるUE300Aのハンドオーバー動作フローを示す。
【0041】
図3に示すように、eNB110は、セルC1に在圏するUEの音声呼に関連するメトリックの値を取得する(S10)。上述したように、eNB110は、例えば、音声ベアラを保持しているUE数などを取得する。
【0042】
eNB110は、取得したメトリックの値が所定の閾値を超えるか否かを判定する(S20)。当該メトリックの値が所定の閾値を超える場合、eNB110は、当該所定の閾値を超える音声呼を処理しているUE(ここでは、UE300Aとする)が所定の条件を満たすか否かを判定する(S30)。上述したように、eNB110は、例えば、CQIの値が所定の閾値以下か否かを判定する。
【0043】
当該音声呼を処理しているUE300Aが所定の条件を満たす場合、eNB110は、UE300Aの3Gシステム20へのハンドオーバー、具体的には、当該音声呼の3Gシステム20へのハンドオーバーを実行する(S40)。
【0044】
(4)作用・効果
eNB110によれば、HO起動メトリック取得部111によって取得されたメトリック(例えば、音声ベアラを保持しているUE数)の値が所定の閾値を超え、かつ移動局状態取得部112によって取得された移動局の状態が所定の条件(例えば、CQIの値が所定の閾値以下)を満たす場合、UE300Aを3Gシステム20にハンドオーバーさせるハンドオーバー指示がUE300Aに向けて送信される。
【0045】
このため、音声呼が急増するような状況、例えば災害時においても、3Gシステム20のリソースを活用しつつ、処理可能な音声呼の数を増大することができる。特に、LTEの導入が進んだ過渡期では、多くのユーザが3GからLTEにマイグレーションしているため、ローミングバンドや3Gの利用を継続しているユーザのために、一定の周波数帯域が3Gシステム20用として確保されると考えられる。本実施形態で説明したハンドオーバーは、このような状況において、特に有効である。
【0046】
本実施形態では、CQIの値、UEとeNBとの間における伝搬損失、または音声呼の種別に基づいて音声呼を処理するUE300Aをハンドオーバーさせるか否かが判定される。このため、PDCCHなどの無線リソースの消費が多くなる可能性があるUEを積極的に3Gシステム20にハンドオーバーさせることができ、LTEシステム10において処理可能な音声呼の数を増大することができる。
【0047】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0048】
例えば、上述した実施形態では、移動局状態取得部112によって取得されたUE300Aの状態が所定の条件を満たすか否かの判定に用いられる閾値は、予め定められた設定値であるものとして説明したが、eNB110などを監視制御するオペレーションシステムを用いて運用者が特定の閾値に変更できるようにしてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、LTEシステム10から3Gシステム20へのUE300Aのハンドオーバーを例として説明したが、3Gシステム20からLTEシステム10へのUE300Aのハンドオーバーを同様に実行してもよい。
【0050】
上述した実施形態では、W-CDMA方式を採用する3Gシステム20を例として説明したが、3Gシステム20は、CDMA2000方式などを採用するものであっても構わない。さらに、上述した実施形態では、eNB110がハンドオーバー指示を生成してUE300Aに送信する形態であったが、eNB110の当該機能は、他のネットワーク装置(例えば、MME)において実現されてもよい。
【0051】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0052】
10…LTEシステム
11…LTEコアネットワーク
20…3Gシステム
21…3Gコアネットワーク
110…eNB
111…HO起動メトリック取得部
112…移動局状態取得部
113…HO処理部
115…スケジューリング処理部
117…制御チャネル生成部
119…RRCメッセージ生成部
121…上り信号受信部
123…下り信号送信部
210…RNC
220A, 220B…BTS
300A, 300B…UE
C1, C2A, C2B…セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線通信システムと、前記第1無線通信システムと通信方式が異なる第2無線通信システムとに接続可能な移動局を制御する前記第1無線通信システムの基地局であって、
前記基地局を経由して処理される音声呼の状態を示すメトリックを取得するメトリック取得部と、
前記音声呼を処理している移動局の状態を取得する移動局状態取得部と、
前記メトリック取得部によって取得された前記メトリックの値が所定の閾値を超え、かつ前記移動局状態取得部によって取得された前記移動局の状態が所定の条件を満たす場合、前記移動局を前記第2無線通信システムにハンドオーバーさせるハンドオーバー指示を前記移動局に向けて送信するハンドオーバー処理部と
を備える基地局。
【請求項2】
前記移動局状態取得部は、前記移動局の受信品質情報を取得し、
前記ハンドオーバー処理部は、前記受信品質情報の値が所定の閾値以下の場合、前記ハンドオーバー指示を前記移動局に向けて送信する請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記移動局状態取得部は、前記移動局と前記基地局との間における伝搬損失を取得し、
前記ハンドオーバー処理部は、前記伝搬損失の値が所定の閾値を超える場合、前記ハンドオーバー指示を前記移動局に向けて送信する請求項1に記載の基地局。
【請求項4】
前記移動局状態取得部は、前記移動局が処理する音声呼の種別を取得し、
前記ハンドオーバー処理部は、前記音声呼の種別が緊急呼または優先呼以外の場合、前記ハンドオーバー指示を前記移動局に向けて送信する請求項1に記載の基地局。
【請求項5】
前記第1無線通信システムは、Long Term Evolution方式に従った無線通信システムであり、
前記第2無線通信システムは、Code Division Multiple Access方式に従った無線通信システムであり、
前記ハンドオーバー処理部は、前記移動局が処理する音声呼を前記第1無線通信システムから前記第2無線通信システムにハンドオーバーさせるハンドオーバー指示を前記移動局に向けて送信し、Single Radio Voice Call Continuityによって前記音声呼の継続を可能とする請求項1に記載の基地局。
【請求項6】
第1無線通信システムと、前記第1無線通信システムと通信方式が異なる第2無線通信システムとに接続可能な移動局を制御するネットワーク装置であって、
前記基地局を経由して処理される音声呼の状態を示すメトリックを取得するメトリック取得部と、
前記音声呼を処理している移動局の状態を取得する移動局状態取得部と、
前記メトリック取得部によって取得された前記メトリックの値が所定の閾値を超え、かつ前記移動局状態取得部によって取得された前記移動局の状態が所定の条件を満たす場合、前記移動局を前記第2無線通信システムにハンドオーバーさせるハンドオーバー指示を前記移動局に向けて送信するハンドオーバー処理部と
を備えるネットワーク装置。
【請求項7】
第1無線通信システムと、前記第1無線通信システムと通信方式が異なる第2無線通信システムとに接続可能な移動局を制御する通信制御方法であって、
前記基地局を経由して処理される音声呼の状態を示すメトリックを取得するステップと、
前記音声呼を処理している移動局の状態を取得するステップと、
前記メトリック取得部によって取得された前記メトリックの値が所定の閾値を超え、かつ前記移動局状態取得部によって取得された前記移動局の状態が所定の条件を満たす場合、前記移動局を前記第2無線通信システムにハンドオーバーさせるハンドオーバー指示を前記移動局に向けて送信するステップと
を有する通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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