説明

基地局、基地局の診断方法、及び無線通信システム

【課題】トラフィックがない又は少ない場合に発生する可能性が低い又は可能性がない基地局の障害を、簡単に検出する。
【解決手段】診断対象の第1の基地局は、所定の第2の基地局に、送信電力の減衰を指示する。第2の基地局は、第1の基地局からの指示に従って送信電力を減衰することにより、自基地局に呼接続されている端末を第1の基地局に切り替えさせる。第1の基地局は、第2の基地局から自基地局に呼接続を切り替える端末との呼接続処理により自基地局の診断を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局の診断に関し、特に、移動体通信システムにおける基地局の障害診断に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムを運用する上で、システムの安定性は重要な要素の1つである。システムを安定的に動作させるためには、システムの運用が停止する障害を発生させないとともに、障害が発生した場合には迅速にその障害を検出して復旧させることが求められる。従って、無線基地局の障害検出プロセスや障害診断方法は重要である。
【0003】
移動体通信システムは、一例として、ユーザの使用する無線通信端末、当該無線通信端末と無線信号の送受信及び無線リソース管理を行う無線基地局、ネットワーク間のIPルーティング及び媒体変換を行うとともに無線基地局を集約するルーター(ゲートウェイ)、データパケット制御及びセッション管理を行うノード、ネットワークの管理や運用を行う各種サーバ、オペレーション管理を行う障害監視サーバ等の要素で構成される。
【0004】
上記移動体通信システムを構成する要素のうち無線基地局は、インフラ側の末端に位置し、設置数が数千局以上に及ぶことがあり、メンテナンスや障害の調査のために定期的に入局する事は困難である。そのため、障害監視サーバや保守端末からネットワーク経由で無線基地局を監視する手段が一般的である。
【0005】
無線基地局を診断する方法として、例えば特許文献1がある。特許文献1では、無線基地局は診断を行う基地局診断部を内部に備える。そして、障害監視サーバからネットワーク経由で基地局診断部が制御されることにより、呼の発信、呼の着信などの呼接続の試験を行うことができる。この方法は、発信機、受信機、信号の変調復調部などを一通り動作させることができ、無線基地局の診断方法としては有効である。
【0006】
また、無線基地局を診断する他の方法として、呼処理の経過で発生するイベントの結果を集計する方法がある。この方法では、無線基地局は、端末と無線信号の送受信を行い、その際の呼処理の経過で発生したイベントの結果を収集、記録する。これらの記録された情報は、呼処理が正常に行われているか否かを判断するための情報として用いることができる。
【0007】
例えば、端末の電源が投入され基地局により当該端末の認識が完了した場合や、端末認証のために無線リンクを確立した場合、といった正常な呼処理中に発生するイベントの結果の記録は、基地局の呼処理が正常に動作していることの判断基準となる。記録の数量に基づいて基地局の稼働状況を把握する事も可能である。また、例えば、基地局から認証サーバへの端末認証要求に対して応答が無い場合や、端末のハンドオフ時に呼情報の転送に失敗した場合、といった基地局の内部の通信異常や基地局の通信先装置の無応答などの要因で生成される記録は、呼処理が正常に行われていないことの判断基準となり、基地局の故障を発見するための有用な情報となる。
【0008】
この方法は運用中の基地局からイベントの結果を収集すればよいので、例えば数千局以上もの膨大な数の基地局に対して同時に実行することができる。また、過去のイベントの記録を収集すればよいので、実行に時間が掛らないという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−208762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
さて、移動体通信システムでは、例えば、広いサービスエリアはセルと呼ばれる多数の小さなエリアに分割され、各セル内に無線基地局が配置される。各無線基地局は、ネットワークを介して接続される。ユーザ端末は、当該端末が属するセルの無線基地局と無線通信を行い、ネットワークを経由して他の端末やサーバ装置と通信を行うことができる。
【0011】
上述したように、これらの無線基地局で何らかの障害が発生した際には、その障害を的確に検出する必要がある。また、一般的に移動体通信サービスは毎日24時間継続的に行われるため、いかに移動体通信サービスに影響を与えることなく無線基地局の障害を検出するかが重要である。
【0012】
ここで、無線基地局の障害には、無線通信のトラフィックがある程度の量流れないと発生しない障害がある。例えば、複数の端末に対して同時に呼処理が行われないとアクセスされないメモリのアドレスのリードライトに不具合がある場合である。このような不具合による障害は、特に、無線基地局の通信エリア内に端末が存在しない、端末が存在しても呼接続が行われていない、又は呼接続している端末が少ない場合(例えば、夜間のオフィスビル街)に、検出することが難しい。
【0013】
特許文献1の方法では、基地局診断部は1つの呼の接続しかできないため、ある程度の量のトラフィックが流れないと発生しない障害を検出することは困難である。また、1回の診断にある程度の時間を要するため、何千台もの基地局の診断を行いデータ集計するには不向きである。
【0014】
また、呼処理中に発生するイベントの結果の記録より呼処理の正常性を判断する方法では、無線基地局の通信エリア内に端末が存在しない、端末が存在しても呼接続が行われていない、又は呼接続している端末が少ない場合、当該無線基地局のセルには十分なトラフィックが流れず、呼処理中に発生するイベントの結果を十分に収集することができない。そのため、ある程度の量のトラフィックが流れないと発生しない障害を検出することは困難である。
【0015】
このように、無線通信のトラフィックがある程度の量流れないと発生しない障害は、発見することが難しい。このような障害を発見できない場合、未然に障害を防ぐことができず、障害が発生した場合には障害の調査や復旧に時間がかかり、移動体通信サービスに影響を与える可能性がある。
【0016】
そこで、本発明は、トラフィックがない又は少ない場合に発生する可能性が低い又は可能性がない基地局の障害を、簡単に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため本発明の第1の態様は次のとおりである。診断対象の第1の基地局は、所定の第2の基地局に、送信電力の減衰を指示する。第2の基地局は、第1の基地局からの指示に従って送信電力を減衰することにより、自基地局に呼接続されている端末を第1の基地局に切り替えさせる。第1の基地局は、第2の基地局から自基地局に呼接続を切り替える端末との呼接続処理により自基地局の診断を行う。
【0018】
より具体的には、第1の基地局は、自基地局と前記端末との間の呼接続数の低下を検出する呼接続数検出手段と、前記呼接続数の低下が検出された場合に、送信電力の減衰を指示する通知を所定の基地局に送信する減衰指示手段と、前記所定の基地局で行われる送信電力の減衰によって当該所定の基地局から自基地局へハンドオフされる端末と呼接続を行うハンドオフ手段と、前記ハンドオフによる呼接続に関する記録を取得し、当該記録に基づいて自基地局の診断を行う診断手段と、を有する。
【0019】
より具体的には、第2の基地局は、送信電力の減衰を指示する通知を他の基地局から受信する減衰指示受信手段と、前記送信電力の減衰を指示する通知が受信された場合に、自基地局の送信電力の減衰を行う送信電力制御手段と、自基地局と呼接続している端末から、当該端末が測定している複数の基地局の受信電力情報を受信する受信電力情報受信手段と、前記送信電力の減衰の開始後、前記受信電力情報に基づいて、前記他の基地局の受信電力と自基地局の受信電力とを比較することにより、当該受信電力情報を送信した端末を前記他の基地局へハンドオフできるか否かを判定するハンドオフ判定手段と、ハンドオフできると判定された端末を前記他の基地局へハンドオフするハンドオフ手段と、を有する。
【0020】
上記の課題を解決するため本発明の第2の態様は次のとおりである。診断対象の第1の基地局は、所定の第2の基地局に、当該第2の基地局と呼接続中の端末の自基地局への切り替えを指示する。第2の基地局は、第1の基地局からの指示に従って、自基地局と呼接続中の端末に第1の基地局への切り替えを指示する。第1の基地局は、第2の基地局からの指示に従って自基地局に呼接続を切り替える端末との呼接続処理により自基地局の診断を行う。
【0021】
より具体的には、第1の基地局は、自基地局と前記端末との間の呼接続数の低下を検出する呼接続数検出手段と、前記呼接続数の低下が検出された場合に、所定の基地局に対して、当該所定の基地局に呼接続されている端末を自基地局にハンドオフさせる指示を送信するハンドオフ指示手段と、前記ハンドオフの指示を受信した前記所定の基地局からの指示に従って自基地局へハンドオフを要求してきた端末と、呼接続を行うハンドオフ手段と、前記ハンドオフによる呼接続に関する記録を取得し、当該記録に基づいて自基地局の診断を行う診断手段と、を有する。
【0022】
より具体的には、第2の基地局は、他の基地局から、自基地局に呼接続されている端末を当該他の基地局にハンドオフさせる指示を受信するハンドオフ指示受信手段と、自基地局と呼接続している端末から、当該端末が測定している複数の基地局の受信電力情報を受信する受信電力情報受信手段と、前記ハンドオフの指示が受信された場合に、前記受信電力情報に基づいて、前記他の基地局の受信電力と所定の受信電力とを比較することにより、当該受信電力情報を送信した端末を前記他の基地局へハンドオフできるか否かを判定するハンドオフ判定手段と、ハンドオフできると判定された端末に、前記他の基地局へのハンドオフを指示するハンドオフ指示手段と、を有する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、トラフィックがない又は少ない場合に発生する可能性が低い又は可能性がない基地局の障害を、簡単に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第一実施形態の一例に係る無線通信システム1の概略図である。
【図2】本発明の第一実施形態の一例に係る無線基地局100の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第一実施形態の一例に係る保守端末104の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第一実施形態の一例に係る無線基地局診断を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の第一実施形態の一例に係る呼接続数低下検出処理を示すフロー図である。
【図6】本発明の第一実施形態の一例に係るハンドオフ判定処理を示すフロー図である。
【図7】本発明の第二実施形態の一例に係る無線基地局診断を示すシーケンス図である。
【図8】本発明の第二実施形態の一例に係る接続先切替判定処理を示すフロー図である。
【図9】携帯端末における受信電力の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
本実施形態では、呼接続数が0又は所定値以下の第1の無線基地局に対し、当該第1の無線基地局の周辺の所定の第2の無線基地局に呼接続されている携帯端末を、第2の無線基地局の送信電力を減衰させることによりハンドオフ(ハンドオーバー)し、その際に第1の無線基地局において発生する呼処理のイベントの結果を収集することにより、第1の無線基地局に障害があるか否か(正常性)を診断する。以下、詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の第一実施形態の一例に係る無線通信システム1の概略図である。
【0028】
無線通信システム1は、無線基地局100と、携帯端末101と、ゲートウェイ102と、ネットワーク103と、保守端末104とを有する。
【0029】
携帯端末101は、無線基地局100と無線通信を行い、例えば、他の無線基地局100に接続される携帯端末、ネットワーク103上のサーバ装置や端末、保守端末104、ネットワーク103を介して接続される他の無線基地局に接続される携帯端末などと、音声通信やデータ通信を行う。無線通信方式には、例えば、CDMA2000やLTE(Long Term Evolution)等を用いることができる。
【0030】
ゲートウェイ102は、無線基地局100を集約し、無線基地局100とネットワーク103の間、及び無線基地局100間のパケット通信を制御する。また、ゲートウェイ102は、携帯端末101の無線基地局100間のハンドオフを制御する。ゲートウェイ102は、例えば、IPルーティング、プロトコル変換、伝送媒体変換等を行うルーターである。ネットワーク103には、例えば、インターネット、公衆電話網など各種のネットワークが含まれる。ネットワーク103には、交換局、ホーム・ロケーション・レジスタ等が含まれていてもよい。
【0031】
保守端末104は、ネットワーク103を介して、無線基地局100の制御、障害の監視、診断等を行う。保守者(ユーザ)は、保守端末104を使用する事により、遠隔から無線基地局100を監視することができる。
【0032】
もちろん、上記の無線通信システム1の構成は、本願発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記に限られない。また、一般的な無線通信システムが備える他の構成を排除するものではない。例えば、各構成要素の数は、図示されている数に限られない。
【0033】
図2は、本発明の第一実施形態の一例に係る無線基地局100の構成を示すブロック図である。
【0034】
無線基地局100は、無線信号送受信部200、変復調処理部201、回線インタフェース部202、及び基地局制御部203を有する。
【0035】
無線信号送受信部200は、送受信共用の0系アンテナ204と、受信用の1系アンテナ205を有し、送受信信号の増幅、ベースバンド信号変換、パイロット信号の送信、等を行う。変復調処理部201は、データの変調及び復調を行う。回線インタフェース部202は、無線基地局100とゲートウェイ102のインタフェースとして機能する。これらのユニットは、例えば、専用回路により構成することができる。
【0036】
基地局制御部203は、無線基地局100の全体の動作を制御するユニットである。基地局制御部203は、送信電力制御部206、プロトコル処理部207、記憶部208、呼接続数低下検出部209、診断処理部210、及びハンドオフ判定部211を有する。
【0037】
送信電力制御部206は、無線信号送受信部200の送信電力の制御を行う。具体的には、送信電力制御部206は、送信電力の減衰を指示する通知(以下、「送信電力減衰指示通知」と呼ぶ。)を、診断対象の無線基地局100から回線インタフェース部202及びプロトコル処理部207を介して受け付けた場合に、送信電力の減衰を開始する。送信電力制御部206は、所定時間毎に所定の減衰幅(例えば、1dBm)低下するように送信電力を徐々に減衰させる。
【0038】
また、送信電力制御部206は、送信電力の減衰の開始後、ハンドオフ判定部211の指示に応じて、送信電力の減衰を終了(停止)するとともに、その旨の通知(以下、「送信電力減衰終了通知」と呼ぶ。)の送信を、プロトコル処理部207に指示する。また、送信電力制御部206は、送信電力の復旧を指示する通知(以下、「送信電力復旧指示通知」と呼ぶ。)を、診断対象の無線基地局100から回線インタフェース部202及びプロトコル処理部207を介して受け付けた場合に、減衰した送信電力を減衰開始前の通常の電力まで復旧させる。
【0039】
プロトコル処理部207は、プロトコルに従って携帯端末101に対する呼接続処理やハンドオフ処理を行う。また、プロトコル処理部207は、呼接続に関する情報(例えば、接続先や接続元の識別情報、呼接続数等)の管理、呼処理(ハンドオフを含む)イベントの記録等を行う。これらの情報や記録は、例えば、記憶部208に格納することができる。
【0040】
また、プロトコル処理部207は、各種の通知の送受信を行う。具体的には、プロトコル処理部207は、呼接続数低下検出部209の指示に応じて、送信電力減衰指示通知及び送信電力復旧指示通知を、回線インタフェース部202を介して、周辺基地局情報2080により特定される所定の無線基地局100に送信する。また、プロトコル処理部207は、診断処理部210の指示に応じて、診断結果を、回線インタフェース部202を介して保守端末104に送信する。また、プロトコル処理部207は、送信電力減衰終了通知を受信して、診断処理部210に通知する。
【0041】
また、プロトコル処理部207は、送信電力制御部206の指示に応じて、送信電力減衰終了通知を、回線インタフェース部202を介して診断対象の無線基地局100に送信する。また、プロトコル処理部207は、送信電力減衰指示通知及び送信電力復旧指示通知を受信して、送信電力制御部206に通知する。
【0042】
記憶部208は、周辺基地局情報2080を記憶する。周辺基地局情報2080には、自基地局の周辺の無線基地局100(例えば、自基地局のセルに隣接する周辺セルの無線基地局100)を特定する情報が含まれる。プロトコル処理部207は、周辺基地局情報2080を用いることにより、例えば、携帯端末101のハンドオフ先やハンドオフ元の他の無線基地局100と、ゲートウェイ102を介して通信を行うことができる。なお、記憶部208は、呼接続に関する情報や呼処理(ハンドオフを含む)イベントの記録等を格納してもよい。
【0043】
呼接続数低下検出部209は、自基地局と携帯端末101との呼接続状態を監視し、所定時間の間、呼接続数が0又は所定値以下である場合に、呼接続数が低下したと判断し、送信電力減衰指示通知の送信をプロトコル処理部207に指示する。また、呼接続数低下検出部209は、診断処理部210の指示に応じて、送信電力復旧指示通知の送信をプロトコル処理部207に指示する。詳細は図5において説明する。
【0044】
診断処理部210は、診断対象の無線基地局100の診断を行い、その診断結果を出力する。例えば、診断処理部210は、診断対象の無線基地局100の周辺の全ての無線基地局100(送信電力減衰指示通知が送信された無線基地局100)から、送信電力減衰終了通知を、回線インタフェース部202及びプロトコル処理部207を介して受け付けた場合に、診断処理を開始する。
【0045】
なお、診断処理の開始条件は、上記に限られない。例えば、送信電力減衰指示が通知されてから所定時間経過した場合、送信電力減衰指示通知の送信後のハンドオフによる呼接続が所定数に達した場合、所定数の無線基地局100から送信電力減衰終了通知を受信した場合、保守端末104から開始を指示された場合などに、診断処理が開始されるようにしてもよい。
【0046】
診断処理では、診断処理部210は、プロトコル処理部207により実行される携帯端末101のハンドオフの際の呼処理で発生したイベントの記録を、プロトコル処理部207から取得する。そして、イベントの記録を解析して診断結果を生成し、当該診断結果を保守端末104へ送信するように、プロトコル処理部207に指示する。また、診断結果の送信後、診断処理の終了を呼接続数低下検出部209に通知する。なお、保守端末104のアドレス情報(例えば、IPアドレス)は、予め記憶部208に記憶することができる。
【0047】
もちろん、診断処理部210がイベントの記録を保守端末104に単に送信し、保守端末104が受信したイベントの記録を解析して診断結果を生成するようにしてもよい。
【0048】
ハンドオフ判定部211は、携帯端末101から定期的に又は要求に応じて送られる受信電力報告に基づいて、当該携帯端末101を他の無線基地局100から診断対象の自基地局にハンドオフ可能か否かを判定する。受信電力報告とは、携帯端末101が複数の無線基地局100から受信しているパイロット信号の受信電力を測定することにより生成され、無線基地局100ごとの受信電力の値を含む情報である。
【0049】
具体的には、ハンドオフ判定部211は、無線信号送受信部200及び変復調処理部201を介して、自基地局に呼接続されている携帯端末101から受信電力報告を受信する。そして、受信電力報告に含まれる自基地局の受信電力と他の基地局の受信電力とを比較し、自基地局の受信電力が他の基地局の受信電力よりも小さい場合に、当該携帯端末101の他の基地局へのハンドオフが可能であると判定する。ハンドオフが可能な場合、ハンドオフ処理を実行するようにプロトコル処理部207に指示する。ハンドオフが不可能な場合、送信電力の減衰を終了するように、送信電力制御部206に指示する。詳細は図6において説明する。
【0050】
なお、基地局制御部203は、例えば、CPU、RAM、ROM等を有するコンピュータにより実現することができる。そして、送信電力制御部206、プロトコル処理部207、記憶部208、呼接続数低下検出部209、診断処理部210、及びハンドオフ判定部211は、例えば、CPUが所定のプログラムをROMからRAMに読み出して実行することにより実現される。当該プログラムは、例えば、CD−ROMやフラッシュROM等の持ち運び可能な記憶媒体により、又はゲートウェイ102を介してネットワーク103から、基地局制御部203にインストールしたり更新したりすることができる。
【0051】
もちろん、上記の無線基地局100の構成は、本願発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記に限られない。また、一般的な無線基地局が備える他の構成を排除するものではない。また、無線基地局100の各構成要素は、無線基地局100に関する構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。無線基地局100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0052】
図3は、本発明の第一実施形態の一例に係る保守端末104の構成を示すブロック図である。
【0053】
保守端末104は、回線インタフェース部300、基地局情報収集部301、入力部302、出力部303、及び記憶部304を有する。
【0054】
回線インタフェース部300は、ネットワーク103と通信を行うインタフェースとして機能する。入力部302は、ユーザの操作を受け付ける。出力部303は、各種の情報をユーザに対して出力する。
【0055】
基地局情報収集部301は、回線インタフェース部300を介してネットワーク103と接続し、無線基地局100の遠隔監視・制御を行う。基地局情報収集部301は、例えば、無線基地局100から送られる診断結果を受信し、記憶部304の基地局データベース(DB)3040に格納する。また、基地局情報収集部301は、入力部302を介して基地局DB3040の編集等のユーザ操作を受け付けたり、基地局DB3040に含まれる情報を出力部303に視覚的に出力したりする。
【0056】
なお、保守端末104は、例えば、CPU、RAM、ROM、補助記憶装置、キーボードやマウス等の入力装置、ディスプレイ、通信装置等を有する一般的なコンピュータにより実現することができる。基地局情報収集部301は、例えば、CPUが所定のプログラムをROMからRAMに読み出して実行することにより実現される。また、回線インタフェース部300は通信装置により、入力部302は入力装置により、出力部303はディスプレイにより、記憶部304は補助記憶装置により実現される。
【0057】
もちろん、上記の保守端末104の構成は、本願発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記に限られない。また、一般的な保守端末が備える他の構成を排除するものではない。
【0058】
携帯端末101は、データ通信及び/又は音声通信を行う機能を有する一般的な携帯端末である。携帯端末101は、複数の無線基地局100と同時に通信可能であり、複数の無線基地局100から送信されるパイロット信号を監視して、受信電力を測定する機能を有する。また、各無線基地局100の受信電力を、定期的に又は無線基地局100からの指示に応じて、無線基地局100に受信電力報告として通知する機能を有する。また、携帯端末101は、ハンドオフ処理を制御する機能を有する。
【0059】
図4は、本発明の第一実施形態の一例に係る無線基地局診断を示すシーケンス図である。
【0060】
本図では、無線基地局100Aは、診断対象となる無線基地局である。無線基地局100Bは、無線基地局100Aの周辺に位置する無線基地局100のうちの一つであり、少なくとも1以上の携帯端末101(本図では、携帯端末A及び携帯端末Bの二台を図示している。)と呼接続(音声通信やデータ通信)を行っている。無線基地局100A、及び無線基地局100Aの周辺に位置する無線基地局100(無線基地局100Bを含む。)は、同じゲートウェイ102に集約される同一通信エリアに属し、それぞれの無線基地局の周辺基地局情報2080には、自基地局の周辺の無線基地局を特定する情報が含まれている。
【0061】
本図では、説明を分かりやすくするために構成を簡略化している。しかし、もちろん、診断対象の無線基地局100Aが送信電力減衰指示通知を送信する宛先の無線基地局100は、無線基地局100Bの一台に限られない。送信電力減衰指示通知を受信した無線基地局100は、無線基地局100Bと同様に動作する。
【0062】
S10では、携帯端末101A及び携帯端末101Bは、無線基地局100Bと呼接続中であり、無線基地局100B及びゲートウェイ102を介して、ネットワーク103上の端末や、他の無線基地局100に接続されている端末等と、データ通信や音声通信を行っている。
【0063】
S20では、無線基地局100Aの呼接続数低下検出部209は、呼接続数低下検出処理を行う。具体的に、図5を参照して説明する。図5は、本発明の第一実施形態の一例に係る呼接続数低下検出処理を示すフロー図である。なお、本処理は、無線基地局100において常時動いていていてもよいし、ユーザがON又はOFFに切り替えることができてもよい。
【0064】
S21では、呼接続数低下検出部209は、カウンタをスタートし、処理をS22に進める。なお、当該カウンタは、時間を計測するためのカウンタである。
【0065】
S22では、呼接続数低下検出部209は、プロトコル処理部207から無線基地局100Aの現在の呼接続数を取得し、当該呼接続数が所定値より大きいか否かを判定する。所定値は、例えば、0又は1以上の予め定められた値である。ユーザが設定できるようにしてもよい(例えば、保守端末104から設定できるようにすることができる。)。呼接続数が所定値より大きい場合(S22:YES)、呼接続数低下検出部209は、処理をS23に進める。呼接続数が所定値以下である場合(S22:NO)、呼接続数低下検出部209は、処理をS24に進める。
【0066】
S23では、呼接続数低下検出部209は、カウンタをリセット(例えば、0に設定)し、処理をS22に戻す。
【0067】
S24では、呼接続数低下検出部209は、カウンタをカウントアップし、処理をS25に進める。
【0068】
S25では、呼接続数低下検出部209は、カウンタの値が所定時間を経過しているか否かを判定する。所定時間は、例えば、10分などの予め定められた時間である。ユーザが設定できるようにしてもよい(例えば、保守端末104から設定できるようにすることができる。)。所定時間を経過していない場合(S25:NO)、呼接続数低下検出部209は、処理をS22に戻す。所定時間を経過している場合(S25:YES)、呼接続数低下検出部209は、処理をS26に進める。
【0069】
S26では、呼接続数低下検出部209は、呼接続数が低下した状態が継続していると判定し、送信電力減衰指示通知の送信をプロトコル処理部207に指示する。そして、処理をS27に進める。
【0070】
S27では、呼接続数低下検出部209は、カウンタをリセットし、本フローを終了する。
【0071】
図4に戻って、無線基地局100Aの呼接続数が低下した場合について説明を続ける。
【0072】
S30では、無線基地局100Aのプロトコル処理部207は、送信電力減衰指示通知を自基地局の周辺の所定の無線基地局100に送信する。具体的には、呼接続数低下検出部209の指示(図5のS26)に応じて、記憶部208から周辺基地局情報2080を取得し、当該情報により特定される自基地局の周辺の一以上の無線基地局100(本図では、無線基地局100B一台を図示している。)へ、送信電力減衰指示通知を、回線インタフェース部202を介して送信する。なお、当該通知は、ゲートウェイ102を介して各無線基地局100に送信される。
【0073】
S40では、無線基地局100Bの送信電力制御部206は、回線インタフェース部202及びプロトコル処理部207を介して送信電力減衰指示通知を受信し、送信電力の減衰を開始する。送信電力制御部206は、所定時間毎に所定の減衰幅(例えば、1dBm)低下するように送信電力を徐々に減衰させる。
【0074】
S50では、無線基地局100Bのハンドオフ判定部211は、呼接続中の携帯端末101から定期的に送信されるパイロット信号の受信電力報告(S60)に基づいてハンドオフ判定処理を行う。具体的に、図6を参照して説明する。図6は、本発明の第一実施形態の一例に係るハンドオフ判定処理を示すフロー図である。なお、本フローは、呼接続中の携帯端末毎にそれぞれ実行される。
【0075】
S51では、ハンドオフ判定部211は、呼接続中の携帯端末101から受信電力報告を受信したか否かを監視する。受信電力報告を受信した場合(S51:YES)、処理をS52に進める。受信電力報告を受信していない場合(S51:NO)、監視を継続する。
【0076】
S52では、ハンドオフ判定部211は、取得した受信電力報告(S51)を参照し、自基地局(無線基地局100B)の受信電力が最低受信電力よりも大きいか否かを判定する。最低受信電力とは、少なくとも携帯端末101が無線基地局100と呼接続を維持できる受信電力であり、予め定められている値である。もちろん、ユーザにより変更可能であってもよい。自基地局(無線基地局100B)の受信電力が最低受信電力以下である場合(S52:NO)、ハンドオフ判定部211は、処理をS55に進める。自基地局(無線基地局100B)の受信電力が最低受信電力よりも大きい場合(S52:YES)、処理をS53に進める。
【0077】
S53では、ハンドオフ判定部211は、取得した受信電力報告(S51)を参照し、自基地局(無線基地局100B)の受信電力が、他のいずれかの基地局(無線基地局100Aを含む。)の受信電力よりも小さいか否かを判定する。自基地局の受信電力が他のいずれの基地局の受信電力よりも小さくない場合(S53:NO)、処理をS51に戻す。自基地局の受信電力が他のいずれかの基地局の受信電力よりも小さい場合(S53:YES)、処理をS54に進める。
【0078】
なお、携帯端末101は複数の無線基地局100のうち受信電力が最大の無線基地局100Bと呼接続を行っており、また、無線基地局100A以外の無線基地局100の送信電力は並行して減衰が行われるため、上記のS53の比較は結局、無線基地局100Bの受信電力と無線基地局100Aの受信電力とを比較していることとなる。無線基地局100B以外の無線基地局においても同様である。もちろん、単純に無線基地局100Bの受信電力と無線基地局100Aの受信電力とを比較するようにしてもよい。
【0079】
S54では、ハンドオフ判定部211は、携帯端末101を診断対象の無線基地局100Aへハンドオフ可能であると判定し、ハンドオフ処理を実行するようにプロトコル処理部207に指示する。そして、本フローを終了する。
【0080】
S55では、ハンドオフ判定部211は、S53と同様の判定を行う。自基地局の受信電力が他のいずれの基地局の受信電力よりも小さくない場合(S55:NO)、処理をS56に進める。自基地局の受信電力が他のいずれかの基地局の受信電力よりも小さい場合(S55:YES)、処理をS54に進める。
【0081】
S56では、ハンドオフ判定部211は、携帯端末101を診断対象の無線基地局100Aへハンドオフ不可能と判定し、送信電力の減衰を終了するように送信電力制御部206に指示する。そして、本フローを終了する。
【0082】
なお、ハンドオフ不可能な携帯端末101が存在しない場合、ハンドオフ判定部211は、全ての携帯端末101についてハンドオフ可能と判定した後、送信電力の減衰を終了するように送信電力制御部206に指示すればよい。
【0083】
ここで、図9の携帯端末101の受信電力の具体例を参照して、ハンドオフ判定処理を説明する。なお、本図では、無線基地局Aが診断対象であり、携帯端末A〜Cは、それぞれ無線基地局Bと呼接続を行っている。また、最低受信電力は、−90dBmである。無線基地局Bは、無線基地局Aから送信電力減衰指示通知を受信することにより、送信電力を段階的に(例えば、1dBmずつ)減衰を開始する。
【0084】
携帯端末Aでは、無線基地局Bのパイロット信号の受信電力は、当初−69dBmであるが、徐々に小さくなり、−81dBmとなった時点で無線基地局Aのパイロット信号−80dBmよりも小さくなる。この時点で、無線基地局Bは、携帯端末Aを無線基地局Aへハンドオフ可能と判定する。
【0085】
携帯端末Bでは、無線基地局Bのパイロット信号の受信電力は、当初−75dBmであるが、徐々に小さくなり、−90dBmとなった時点で最低受信電力と等しく、かつ、無線基地局Aのパイロット信号−92dBm以上である。この時点で、無線基地局Bは、携帯端末Bの無線基地局Aへのハンドオフを不可能と判定する。
【0086】
携帯端末Cでは、無線基地局Bのパイロット信号の受信電力は、当初−80dBmであるが、徐々に小さくなり、−86dBmとなった時点で無線基地局Aのパイロット信号−85dBmよりも小さくなる。この時点で、無線基地局Bは、携帯端末Cを無線基地局Aへハンドオフ可能と判定する。
【0087】
図4に戻って、携帯端末101Aについてハンドオフ可能と判定された場合について説明を続ける。
【0088】
S70では、無線基地局100Bのプロトコル処理部207は、ゲートウェイ102へハンドオフ可と判定された携帯端末101Aについてのハンドオフ要求を通知し、ゲートウェイ102は、無線基地局100Aへハンドオフ要求を通知する。S80では、無線基地局100Aのプロトコル処理部207は、携帯端末101Aについてのハンドオフ要求を受け付けた旨をゲートウェイ102に通知し、ゲートウェイ102は、無線基地局100Bへハンドオフ要求を受け付けた旨を通知する。ゲートウェイ102は、携帯端末101Aの無線基地局100Bから無線基地局100Aへのハンドオフ処理(例えば、位置情報の登録等)を行うとともに、携帯端末101Aを無線基地局100Bから無線基地局100Aへハンドオフさせる。無線基地局100Aのプロトコル処理部207は、ハンドオフ処理の際に発生するイベントの記録を行う。
【0089】
S90では、ハンドオフの結果、携帯端末101Aは、無線基地局100Aと呼接続中であり、無線基地局100A及びゲートウェイ102を介して、ネットワーク103上の端末や他の無線基地局100に接続されている端末等と、データ通信や音声通信を行っている。一方、携帯端末101Bは、無線基地局100Bと呼接続中である。
【0090】
S100では、無線基地局100Bのハンドオフ判定部211は、呼接続中の携帯端末101から定期的に送信されるパイロット信号の受信電力報告(S110)に基づいてハンドオフ判定処理を行う。ハンドオフ判定処理は、上述した通りである。
【0091】
携帯端末101Bについてハンドオフ不可と判定された場合について説明を続ける。
【0092】
S120では、無線基地局100Bの送信電力制御部206は、ハンドオフ判定部211の指示(図6のS56の指示又は全ての携帯端末101がハンドオフ可と判定された場合の指示)に応じて、送信電力の減衰を終了(停止)するとともに、送信電力減衰終了通知の送信を、プロトコル処理部207に指示する。プロトコル処理部207は、送信電力減衰終了通知を、送信電力減衰指示通知の送信元の無線基地局100Aへ、回線インタフェース部202を介して送信する。なお、当該通知は、ゲートウェイ102を介して各無線基地局100に送信される。
【0093】
S210では、無線基地局100Aの診断処理部210は、診断処理を行う。具体的には、診断処理部210は、回線インタフェース部202及びプロトコル処理部207を介して、無線基地局100Aの周辺の全ての無線基地局100から、送信電力減衰終了通知を受け付けた場合に、診断処理を開始する。診断処理部210は、プロトコル処理部207により実行される携帯端末101のハンドオフの際の呼処理で発生したイベントの記録を、プロトコル処理部207から取得する。そして、イベントの記録を解析して、無線基地局100Aが正常か否かを示す情報を含む診断結果を生成し、当該診断結果を保守端末104へ送信するようにプロトコル処理部207に指示する。イベントの記録も診断結果に含めて保守端末104へ送信するようにしてもよい。
【0094】
ここで、イベントの記録には、例えば、「正常」、「準正常」、「異常」等の属性が含まれている。診断処理部210は、「正常」及び「準正常」属性のみが記録されている場合、無線基地局100Aは正常であると判定する。「異常」属性が記録されている場合、無線基地局100Aに障害が発生したと判定する。
【0095】
例えば、携帯端末101がダイアルアップの切断を行った場合や、携帯端末101の電源投入や新セッションの確立により認証が完了した場合等の記録は、通常の運用時のイベントであるため「正常」属性となる。また、例えば、無線基地局100の呼処理のCPU使用率が過剰なため呼接続が失敗した場合の記録は、無線基地局100の輻輳が原因であり、故障ではないため「準正常」属性となる。また、例えば、無線基地局100からネットワーク103上の上位ノードへの端末認証要求に対して、上位ノードから応答がない場合の記録は、装置の故障が考えられるため「異常」属性となる。
【0096】
もちろん、上記のイベントの記録は、一例であり、無線基地局100の動作が正常か否かを判定可能な情報であれば、他の形式あってもよい。
【0097】
S220では、無線基地局100Aのプロトコル処理部207は、診断処理部210により生成された診断結果を含む診断結果報告(S110)を、回線インタフェース部202を介して保守端末104に送信する。診断処理部210は、診断結果報告の送信後、診断処理の終了を呼接続数低下検出部209に通知する。
【0098】
S230では、保守端末104は、無線基地局100Aから送信された診断結果報告を基地局DB3040に格納する。なお、保守端末104は、診断結果に「異常」を示す情報が含まれる場合、例えば、障害発生を示す警告を、出力部303をに出力したり、回線インタフェース部300を介して所定の保守者の携帯端末に通知したりする。
【0099】
S240では、無線基地局100Aの呼接続数低下検出部209は、診断処理部210の指示に応じて、送信電力復旧指示通知の送信をプロトコル処理部207に指示する。プロトコル処理部207は、呼接続数低下検出部209の指示に応じて、記憶部208から周辺基地局情報2080を取得し、当該情報により特定される無線基地局100(無線基地局100Bを含む。)へ、送信電力復旧指示通知を、回線インタフェース部202を介して送信する。当該通知は、ゲートウェイ102を介して各無線基地局100に送信される。
【0100】
S250では、無線基地局100Bの送信電力制御部206は、回線インタフェース部202及びプロトコル処理部207を介して送信電力復旧指示通知を受信し、送信電力の復旧を行う。送信電力制御部206は、減衰した送信電力を減衰開始(S40)前の通常の電力まで復旧させる。
【0101】
以上のようにして、呼接続数が0又は所定値以下の無線基地局100に対して、ある程度の量のトラフィックを発生させて、診断を行うことができる。
【0102】
以上の図4〜6の各処理単位は、無線基地局100、携帯端末101、ゲートウェイ102、及び保守端末104の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。これらの装置の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
【0103】
以上、本発明の第一実施形態について説明した。本実施形態によれば、トラフィックがない又は少ない場合に発生する可能性が低い又は可能性がない基地局の障害を、簡単に検出することができる。
【0104】
即ち、本実施形態では、呼接続数が0又は所定値以下の第1の無線基地局に対し、当該第1の無線基地局の周辺の所定の第2の無線基地局に呼接続されている携帯端末を、第2の無線基地局の送信電力を減衰させることによりハンドオフし、その際に第1の無線基地局において発生する呼処理のイベントの結果を収集することにより、第1の無線基地局に障害があるか否か(正常性)を診断する。このような構成により、トラフィックがない又は少ない場合に発生する可能性が低い又は可能性がない基地局の障害を、簡単に検出することができる。
【0105】
次に、本発明の第二実施形態について図面を参照して説明する。
【0106】
本実施形態では、呼接続数が0又は所定値以下の第1の無線基地局に対し、当該第1の無線基地局の周辺の所定の第2の無線基地局に呼接続されている携帯端末を、携帯端末の接続先切り替え機能を利用することにより切り替えさせ、その際に第1の無線基地局において発生する呼処理のイベントの結果を収集することにより、第1の無線基地局に障害があるか否か(正常性)を診断する。以下、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0107】
本実施形態では、無線基地局100の基地局制御部203に、ハンドオフ判定部211(図2)の代わりに接続先切替判定部を設ける。送信電力制御部206は設けられていなくてもよい。携帯端末101は、呼接続中の無線基地局100からの指示に応じて、指定された他の無線基地局100に呼接続を切り替える機能を有する。指定される無線基地局100は、受信電力が最大である必要はない。なお、本実施形態でいう接続先切り替えは、ハンドオフと呼んでもよい。
【0108】
図7は、本発明の第二実施形態の一例に係る無線基地局診断を示すシーケンス図である。
【0109】
S510では、携帯端末101は、無線基地局100Bと呼接続中であり、無線基地局100B及びゲートウェイ102を介して、ネットワーク103上の端末や、他の無線基地局100に接続されている端末等と、データ通信や音声通信を行っている。
【0110】
S520は、図4のS20とほぼ同様である。ただし、無線基地局100Aの呼接続数低下検出部209は、呼接続数が低下した状態が継続していると判定した場合、所定の周辺の無線基地局100(無線基地局100Bを含む。)に呼接続されている携帯端末101の接続先を、無線基地局100Aに切り替えるための接続先切替指示通知の送信を、プロトコル処理部207に指示する。
【0111】
S530では、無線基地局100Aのプロトコル処理部207は、接続先切替指示通知を自基地局の周辺の所定の無線基地局100に送信する。なお、当該通知は、ゲートウェイ102を介して各無線基地局100に送信される。
【0112】
S540では、無線基地局100Bの接続先切替判定部は、回線インタフェース部202及びプロトコル処理部207を介して接続先切替指示通知を受信し、呼接続中の携帯端末101から定期的に送信されるパイロット信号の受信電力報告(S550)に基づいて接続先切替判定処理を行う。具体的に、図8を参照して説明する。図8は、本発明の第二実施形態の一例に係る接続先切替判定処理を示すフロー図である。なお、本フローは、呼接続中の携帯端末毎にそれぞれ実行される。
【0113】
S541では、接続先切替判定部は、携帯端末101から受信電力報告を受信したか否かを監視する。受信電力報告を受信した場合(S541:YES)、処理をS542に進める。受信電力報告を受信していない場合(S541:NO)、監視を継続する。
【0114】
S542では、接続先切替判定部は、取得した受信電力報告(S541)を参照し、接続先切替指示通知の送信元の診断対象の無線基地局の受信電力が最低受信電力よりも大きいか否かを判定する。診断対象基地局(無線基地局100A)の受信電力が最低受信電力以下である場合(S542:NO)、接続先切替判定部は、処理をS544に進める。診断対象基地局(無線基地局100A)の受信電力が最低受信電力よりも大きい場合(S542:YES)、処理をS543に進める。
【0115】
S543では、接続先切替判定部は、携帯端末101を診断対象の無線基地局100Aへ接続切り替え可能であると判定し、接続先切替要求を送信するようにプロトコル処理部207に指示する。そして、本フローを終了する。
【0116】
S544では、接続先切替判定部は、携帯端末101を診断対象の無線基地局100Aへ接続切り替え不可能と判定する。そして、本フローを終了する。
【0117】
なお、接続先切替判定部は、現在呼接続中の全ての携帯端末101について接続先切替判定処理を行った場合、処理を終了する。
【0118】
ここで、図9の携帯端末101の受信電力の具体例を参照して、接続先切替判定処理を説明する。なお、本図では、無線基地局Aが診断対象であり、携帯端末A〜Cは、それぞれ無線基地局Bと呼接続を行っている。また、最低受信電力は、−90dBmである。無線基地局Bは、無線基地局Aから接続先切替指示を受信することにより、接続先切替判定処理を開始する。
【0119】
携帯端末Aでは、無線基地局Aのパイロット信号の受信電力−80dBmは、最低受信電力−90dBmよりも大きい。従って、無線基地局Bは、携帯端末Aを無線基地局Aへ接続切り替え可能と判定する。
【0120】
携帯端末Bでは、無線基地局Aのパイロット信号の受信電力−92dBmは、最低受信電力−90dBmよりも小さい。従って、無線基地局Bは、携帯端末Bを無線基地局Aへ接続切り替え不可能と判定する。
【0121】
携帯端末Cでは、無線基地局Aのパイロット信号の受信電力−85dBmは、最低受信電力−90dBmよりも大きい。従って、無線基地局Bは、携帯端末Cを無線基地局Aへ接続切り替え可能と判定する。
【0122】
図7に戻って、携帯端末101について接続切り替え可能と判定された場合について説明を続ける。
【0123】
S560では、無線基地局100Bのプロトコル処理部207は、無線基地局100Aへの接続先切替要求を、接続切り替え可能と判定された携帯端末101に対して通知する。
【0124】
S570では、携帯端末101は、無線基地局100Bから通知された接続先切替要求で指定された接続切替先である無線基地局Aに対して呼接続を要求し、接続先を無線基地局Bから無線基地局Aへ切り替える。なお、無線基地局100Aのプロトコル処理部207は、携帯端末101の呼接続処理の際に発生するイベントの記録を行う。
【0125】
S580では、接続先切り替えの結果、携帯端末101は、無線基地局100Aと呼接続中であり、無線基地局100A及びゲートウェイ102を介して、ネットワーク103上の端末や他の無線基地局100に接続されている端末等と、データ通信や音声通信を行っている。
【0126】
S590では、無線基地局100Bのプロトコル処理部207は、接続先切替判定処理により切り替え可能と判定された全ての携帯端末101の接続先切替が終了した場合に、接続先切替終了通知を、接続先切替指示通知の送信元の無線基地局Aに送信する。
【0127】
S610では、無線基地局100Aの診断処理部210は、回線インタフェース部202及びプロトコル処理部207を介して、無線基地局100Aの周辺の全ての又は所定数の無線基地局100から、接続先切替終了通知を受け付けた場合に、診断処理を行う。診断処理の内容は、上述した通りである。
【0128】
S620では、無線基地局100Aのプロトコル処理部207は、診断処理部210により生成された診断結果を含む診断結果報告(S610)を、回線インタフェース部202を介して保守端末104に送信する。
【0129】
S620は、図4のS230と同様である。
【0130】
以上のようにして、呼接続数が0又は所定値以下の無線基地局100に対して、ある程度の量のトラフィックを発生させて、診断を行うことができる。
【0131】
以上の図7〜図8の各処理単位は、無線基地局100、携帯端末101、ゲートウェイ102、及び保守端末104の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。これらの装置の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
【0132】
以上、本発明の第二実施形態について説明した。本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、トラフィックがない又は少ない場合に発生する可能性が低い又は可能性がない基地局の障害を、簡単に検出することができる。
【0133】
即ち、本実施形態では、呼接続数が0又は所定値以下の第1の無線基地局に対し、当該第1の無線基地局の周辺の所定の第2の無線基地局に呼接続されている携帯端末を、携帯端末の接続先切り替え機能を利用することにより切り替えさせ、その際に第1の無線基地局において発生する呼処理のイベントの結果を収集することにより、第1の無線基地局に障害があるか否か(正常性)を診断する。このような構成により、トラフィックがない又は少ない場合に発生する可能性が低い又は可能性がない基地局の障害を、簡単に検出することができる。
【0134】
以上の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0135】
1:無線通信システム、100(100A、100B):無線基地局、101(101A、101B):携帯端末、102:ゲートウェイ、103:ネットワーク、104:保守端末、200:無線信号送受信部、201:変復調処理部、202:回線インタフェース部、203:基地局制御部、204:0系アンテナ、205:1系アンテナ、206:送信電力制御部、207:プロトコル処理部、208:記憶部、2080:周辺基地局情報、209:呼接続数低下検出部、210:診断処理部、211:ハンドオフ判定部、300:回線インタフェース部、301:基地局情報収集部、302:入力部、303:出力部、304:記憶部、3040:基地局DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末をハンドオフする機能を有する基地局であって、
自基地局と前記端末との間の呼接続数の低下を検出する呼接続数検出手段と、
前記呼接続数の低下が検出された場合に、送信電力の減衰を指示する通知を所定の基地局に送信する減衰指示手段と、
前記所定の基地局で行われる送信電力の減衰によって当該所定の基地局から自基地局へハンドオフされる端末と呼接続を行うハンドオフ手段と、
前記ハンドオフによる呼接続に関する記録を取得し、当該記録に基づいて自基地局の診断を行う診断手段と、を有する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項2】
請求項1に記載の基地局であって、
前記呼接続数検出手段は、前記呼接続数と0又は0より大きい値である所定数とを比較し、前記呼接続数が前記所定数以下である場合に前記呼接続数の低下を検出する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の基地局であって、
前記診断手段により生成される診断結果を、所定の保守端末に送信する診断結果送信手段、を有する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか一項に記載の基地局であって、
前記診断手段による診断の後に、送信電力の復旧を指示する通知を前記所定の基地局に送信する復旧指示手段、を有する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項5】
端末をハンドオフする機能を有する基地局であって、
送信電力の減衰を指示する通知を他の基地局から受信する減衰指示受信手段と、
前記送信電力の減衰を指示する通知が受信された場合に、自基地局の送信電力の減衰を行う送信電力制御手段と、
自基地局と呼接続している端末から、当該端末が測定している複数の基地局の受信電力情報を受信する受信電力情報受信手段と、
前記送信電力の減衰の開始後、前記受信電力情報に基づいて、前記他の基地局の受信電力と自基地局の受信電力とを比較することにより、当該受信電力情報を送信した端末を前記他の基地局へハンドオフできるか否かを判定するハンドオフ判定手段と、
ハンドオフできると判定された端末を前記他の基地局へハンドオフするハンドオフ手段と、を有する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項6】
請求項5に記載の基地局であって、
前記ハンドオフ判定手段は、自基地局の受信電力が前記他の基地局の受信電力より低い場合に、前記受信電力情報を送信した端末を前記他の基地局へハンドオフできると判定する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項7】
請求項6に記載の基地局であって、
前記ハンドオフ判定手段は、前記他の基地局の受信電力が所定の受信電力よりも低い場合に、前記受信電力情報を送信した端末を前記他の基地局へハンドオフできないと判定する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項8】
請求項5〜7いずれか一項に記載の基地局であって、
送信電力の復旧を指示する通知を前記他の基地局から受信する復旧指示受信手段、を有し、
前記送信電力制御手段は、前記送信電力の復旧を指示する通知が受信された場合に、自基地局の送信電力の復旧を行う、
ことを特徴とする基地局。
【請求項9】
端末をハンドオフする機能を有する基地局を備える無線通信システムであって、
第1の基地局と第2の基地局を備え、
前記第1の基地局は、
自基地局と前記端末との間の呼接続数の低下を検出する呼接続数検出手段と、
前記呼接続数の低下が検出された場合に、送信電力の減衰を指示する通知を前記第2の基地局に送信する減衰指示手段と、
前記第2の基地局で行われる送信電力の減衰によって当該第2の基地局から自基地局へハンドオフされる端末と呼接続を行う第1のハンドオフ手段と、
前記ハンドオフによる呼接続に関する記録を取得し、当該記録に基づいて自基地局の診断を行う診断手段と、を有し、
前記第2の基地局は、
前記送信電力の減衰を指示する通知を前記第1の基地局から受信する減衰指示受信手段と、
前記送信電力の減衰を指示する通知が受信された場合に、自基地局の送信電力の減衰を行う送信電力制御手段と、
自基地局と呼接続している端末から、当該端末が測定している複数の基地局の受信電力情報を受信する受信電力情報受信手段と、
前記送信電力の減衰の開始後、前記受信電力情報に基づいて、前記第1の基地局の受信電力と自基地局の受信電力とを比較することにより、当該受信電力情報を送信した端末を前記第1の基地局へハンドオフできるか否かを判定するハンドオフ判定手段と、
ハンドオフできると判定された端末を前記第1の基地局へハンドオフする第2のハンドオフ手段と、を有する、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
端末をハンドオフする機能を有する基地局を備える無線通信システムにおける基地局の診断方法であって、
前記無線通信システムは、第1の基地局と第2の基地局を備え、
前記第1の基地局は、
自基地局と前記端末との間の呼接続数の低下を検出する呼接続数検出ステップと、
前記呼接続数の低下が検出された場合に、送信電力の減衰を指示する通知を前記第2の基地局に送信する減衰指示ステップと、
前記第2の基地局で行われる送信電力の減衰によって当該第2の基地局から自基地局へハンドオフされる端末と呼接続を行う第1のハンドオフステップと、
前記ハンドオフによる呼接続に関する記録を取得し、当該記録に基づいて自基地局の診断を行う診断ステップと、を実行し、
前記第2の基地局は、
前記送信電力の減衰を指示する通知を前記第1の基地局から受信する減衰指示受信ステップと、
前記送信電力の減衰を指示する通知が受信された場合に、自基地局の送信電力の減衰を行う送信電力制御ステップと、
自基地局と呼接続している端末から、当該端末が測定している複数の基地局の受信電力情報を受信する受信電力情報受信ステップと、
前記送信電力の減衰の開始後、前記受信電力情報に基づいて、前記第1の基地局の受信電力と自基地局の受信電力とを比較することにより、当該受信電力情報を送信した端末を前記第1の基地局へハンドオフできるか否かを判定するハンドオフ判定ステップと、
ハンドオフできると判定された端末を前記第1の基地局へハンドオフする第2のハンドオフステップと、を実行する、
ことを特徴とする基地局の診断方法。
【請求項11】
端末をハンドオフする機能を有する基地局であって、
自基地局と前記端末との間の呼接続数の低下を検出する呼接続数検出手段と、
前記呼接続数の低下が検出された場合に、所定の基地局に対して、当該所定の基地局に呼接続されている端末を自基地局にハンドオフさせる指示を送信するハンドオフ指示手段と、
前記ハンドオフの指示を受信した前記所定の基地局からの指示に従って自基地局へハンドオフを要求してきた端末と、呼接続を行うハンドオフ手段と、
前記ハンドオフによる呼接続に関する記録を取得し、当該記録に基づいて自基地局の診断を行う診断手段と、を有する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項12】
端末をハンドオフする機能を有する基地局であって、
他の基地局から、自基地局に呼接続されている端末を当該他の基地局にハンドオフさせる指示を受信するハンドオフ指示受信手段と、
自基地局と呼接続している端末から、当該端末が測定している複数の基地局の受信電力情報を受信する受信電力情報受信手段と、
前記ハンドオフの指示が受信された場合に、前記受信電力情報に基づいて、前記他の基地局の受信電力と所定の受信電力とを比較することにより、当該受信電力情報を送信した端末を前記他の基地局へハンドオフできるか否かを判定するハンドオフ判定手段と、
ハンドオフできると判定された端末に、前記他の基地局へのハンドオフを指示するハンドオフ指示手段と、を有する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項13】
請求項12に記載の基地局であって、
前記ハンドオフ判定手段は、前記他の基地局の受信電力が前記所定の受信電力よりも高い場合に、前記受信電力情報を送信した端末を前記他の基地局へハンドオフできると判定する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項14】
端末をハンドオフする機能を有する基地局を備える無線通信システムであって、
第1の基地局と第2の基地局を備え、
前記第1の基地局は、
自基地局と前記端末との間の呼接続数の低下を検出する呼接続数検出手段と、
前記呼接続数の低下が検出された場合に、前記第2の基地局に対して、当該第2の基地局に呼接続されている端末を自基地局にハンドオフさせる指示を送信する第1のハンドオフ指示手段と、
前記ハンドオフの指示を受信した前記第2の基地局からの指示に従って自基地局へハンドオフを要求してきた端末と、呼接続を行うハンドオフ手段と、
前記ハンドオフによる呼接続に関する記録を取得し、当該記録に基づいて自基地局の診断を行う診断手段と、を有し、
前記第2の基地局は、
前記第1の基地局から、自基地局に呼接続されている端末を当該第1の基地局にハンドオフさせる指示を受信するハンドオフ指示受信手段と、
自基地局と呼接続している端末から、当該端末が測定している複数の基地局の受信電力情報を受信する受信電力情報受信手段と、
前記ハンドオフの指示が受信された場合に、前記受信電力情報に基づいて、前記第1の基地局の受信電力と所定の受信電力とを比較することにより、当該受信電力情報を送信した端末を前記第1の基地局へハンドオフできるか否かを判定するハンドオフ判定手段と、
ハンドオフできると判定された端末に、前記第1の基地局へのハンドオフを指示する第2のハンドオフ指示手段と、を有する、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項15】
端末をハンドオフする機能を有する基地局を備える無線通信システムにおける基地局の診断方法であって、
前記無線通信システムは、第1の基地局と第2の基地局を備え、
前記第1の基地局は、
自基地局と前記端末との間の呼接続数の低下を検出する呼接続数検出ステップと、
前記呼接続数の低下が検出された場合に、前記第2の基地局に対して、当該第2の基地局に呼接続されている端末を自基地局にハンドオフさせる指示を送信する第1のハンドオフ指示ステップと、
前記ハンドオフの指示を受信した前記第2の基地局からの指示に従って自基地局へハンドオフを要求してきた端末と、呼接続を行うハンドオフステップと、
前記ハンドオフによる呼接続に関する記録を取得し、当該記録に基づいて自基地局の診断を行う診断ステップと、を実行し、
前記第2の基地局は、
前記第1の基地局から、自基地局に呼接続されている端末を当該第1の基地局にハンドオフさせる指示を受信するハンドオフ指示受信ステップと、
自基地局と呼接続している端末から、当該端末が測定している複数の基地局の受信電力情報を受信する受信電力情報受信ステップと、
前記ハンドオフの指示が受信された場合に、前記受信電力情報に基づいて、前記第1の基地局の受信電力と所定の受信電力とを比較することにより、当該受信電力情報を送信した端末を前記第1の基地局へハンドオフできるか否かを判定するハンドオフ判定ステップと、
ハンドオフできると判定された端末に、前記第1の基地局へのハンドオフを指示する第2のハンドオフ指示ステップと、を実行する、
ことを特徴とする基地局の診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−259133(P2011−259133A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130894(P2010−130894)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】