説明

基地局及び該基地局の制御方法

【課題】移動端末との再接続処理を効率的に行うことのできる基地局及び該基地局の制御方法を提供する。
【解決手段】移動端末との通信が切断されているか否かを検出する通信切断検出部2bと、移動端末との通信中に当該移動端末から位置情報を取得する移動端末測位部2cと、通信切断検出部2bにより移動端末との通信の切断が検出された場合に、取得した位置情報に基づいて移動端末と再接続を行うことができるか否かを判定する移動端末再接続可能性判断部3aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局及び該基地局の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機や携帯ゲーム機など、基地局と無線通信を行うことのできる移動端末(以下、適宜ユーザ端末ともいう)が各種登場している。
これらのユーザ端末は、基地局との間で電波の送受信を行うことにより、メール等の様々なデータの送受信を行う。
【0003】
このようなデータの送受信に関し、例えばユーザ端末が地下にある場合のように、ユーザ端末の位置等によっては、基地局とユーザ端末との接続が途切れる場合がある。
【0004】
従来、このような場合、基地局は、図3に示すような、一連の再接続処理を行っていた。
図3に示すように、基地局は、ユーザ端末との通信が切断されたことが確認されると(ステップS101)、該ユーザ端末との再接続処理を行う(ステップS102)。
これにより、ユーザ端末との再接続が成功したか否かを判断し(ステップS103)、成功した場合には、再接続処理のフローを終了する(ステップS104)。一方、ユーザ端末との再接続が成功しない場合には、所定の時間をセットしたタイマが時間切れとなったかを判定し(ステップS105)、まだ時間切れとなっていない場合には、再び再接続処理を行う(ステップS102)。タイマが時間切れとなっている場合には、ユーザ端末情報を解放(消去)し(ステップS106)、再接続処理のフローを終了する(ステップS104)。
【0005】
また、従来、上記の再接続処理と並行して、一定時間の間、ユーザ端末情報に紐付けた通信データのバッファリングも行っていた。図3に示す例では、このバッファリングは、タイマが時間切れとなるまで行われる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−43959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の再接続処理によると、例えば列車内のユーザ端末がトンネル内に入った場合など、再接続の可能性が極めて低い場合にまで、基地局は、一定の時間が経過するまで、ユーザ端末情報を記憶し、またバッファリングを行うため、多くのメモリを使用することとなり、再接続処理を効率的に行うことができないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、移動端末との再接続処理を効率的に行うことのできる基地局及び該基地局の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る基地局は、移動端末と無線通信を行う基地局であって、前記移動端末との通信が切断されているか否かを検出する通信切断検出部と、前記移動端末との通信中に当該移動端末から位置情報を取得する移動端末測位部と、前記通信切断検出部により前記移動端末との通信の切断が検出された場合に、前記取得した位置情報に基づいて前記移動端末と再接続を行うことができるか否かを判定する移動端末再接続可能性判断部と、を備えるものである。
【0010】
本発明の好適一実施形態では、前記移動端末の識別情報を管理する端末識別情報記憶部と、該移動端末識別情報に関連付けた通信データを格納する通信バッファ部とをさらに備え、前記移動端末再接続可能性判断部が前記移動端末と再接続を行うことができないと判定した場合に、当該移動端末に対する移動端末識別情報及び通信データを前記端末識別情報記憶部及び前記通信バッファ部から消去する。
【0011】
さらに、本発明に係る基地局の制御方法は、移動端末と無線通信を行う基地局の制御方法であって、前記基地局の通信切断検出部により、前記移動端末との通信が切断されているか否かを検出する工程と、前記基地局の移動端末測位部により、前記移動端末との通信中に当該移動端末から位置情報を取得する工程と、前記通信切断検出部により前記移動端末との通信の切断が検出された場合に、前記基地局の移動端末再接続可能性判断部により、前記移動端末と再接続を行うことができるか否かを判定する工程と、を含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、移動端末との再接続処理を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にかかる基地局の要部を示す概略構成図である。
【図2】本発明による基地局の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【図3】従来の、基地局による再接続処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる基地局の要部を示す概略構成図である。
本実施形態の無線基地局1は、通信部2と、基地局制御部3と、端末識別情報記憶部4と、通信バッファ部5とを備えている。
【0015】
通信部2は、図示しないユーザ端末(移動端末)から受信する電波の強度を計測する電波強度計測部2aと、計測した電波強度に基づいてユーザ端末との通信が切断されているか否かを検出する通信切断検出部2bと、ユーザ端末との通信中にユーザ端末から位置情報を取得するユーザ端末測位部2cと、を有する。
なお、ユーザ端末は、例えばGPSなどの既知の測位システムにより、定期的に自己の位置情報を取得して基地局1に送信する。
【0016】
基地局制御部3は、ユーザ端末との通信の切断が検出された場合に、上記の取得したユーザ端末の位置情報に基づいてユーザ端末との再接続の可能性を判断する再接続可能性判断部3aと、その結果に応じてユーザ端末との再接続処理を制御する再接続処理制御部3bと、を有する。再接続可能性判断部3aには、当該基地局1の通信エリア内での再接続見込みが無いゾーンが予め登録されている。
【0017】
端末識別情報記憶部4は、ユーザ端末の情報を記憶して管理するものであり、例えばユーザ端末の電話番号、メールアドレスなどに相当する識別情報を記憶する。
【0018】
通信バッファ部5は、端末識別情報記憶部4に格納されたユーザ端末情報に関連付けた送信データをバッファリングするものである。
【0019】
以下、本発明に係る、図1に示す基地局によるユーザ端末との通信方法について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0020】
図2に示すように、通信部2の電波強度計測部2aは、ユーザ端末から受信する電波の強度を計測し、通信部2の通信切断検出部2bは、計測された電波強度の値に基づいてユーザ端末との通信が切断されたか否かを検出する(ステップS301)。
【0021】
そして、ユーザ端末との通信の切断が確認された場合、再接続可能性判断部3aは、ユーザ端末測位部2cから当該ユーザ端末の最新の位置情報を取得して、その取得した位置情報と予め登録されている再接続の見込みが無いゾーンとを照合した結果から、ユーザ端末と再接続することができるか否かを判定する(ステップS302)。
【0022】
次に、ステップS302において、ユーザ端末と再接続可能であると判定された場合には、以下、図3に示した方法と同様の処理を行う。すなわち、まず再接続処理制御部3bにより、ユーザ端末との再接続処理を行う(ステップS303)。
【0023】
これにより、ユーザ端末との再接続が成功した場合(ステップS304)には、再接続処理のフローを終了する(ステップS305)。
一方、ユーザ端末との再接続が成功しない場合には、再接続処理制御部3bは、所定の時間をセットしたタイマが時間切れとなったかを判定し(ステップS306)、まだ時間切れとなっていない場合には、再び再接続処理を行う(ステップS303)。タイマが時間切れとなっている場合には、基地局制御部3は、ユーザ端末情報及び該ユーザ端末情報に紐付けられた通信データをバッファリングする通信バッファを解放し、つまり当該ユーザ端末に対するユーザ端末情報及び通信データを端末識別情報記憶部4及び通信バッファ部5から消去し(ステップS307)、再接続処理のフローを終了する(ステップS305)。
【0024】
これに対し、ステップS302において、再接続可能性判断部3aにより、ユーザ端末との再接続ができないと判定された場合には、基地局制御部3は、ただちに、端末識別情報記憶部4及び通信バッファ部5からユーザ端末情報及び該ユーザ端末情報に紐付けられた通信データを解放する(ステップS307)。
【0025】
本実施形態によれば、ユーザ端末との再接続の可能性を判定し、その結果に応じた再接続処理を行うことができる。
このため、再接続の見込みがない場合には、基地局制御部3は、ただちに端末識別情報記憶部4に記憶したユーザ端末情報や、このユーザ端末情報に関連付けて通信バッファ部5にバッファリングされた送信データを解放することができる。
従って、本実施形態によれば、再接続処理に当たり使用メモリ数を減らすことができるため、効率よく再接続処理を行うことができる。
【0026】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、図2のステップ302において、再接続することができるか否かを判定するのは、エリア情報と過去の再接続の成功確率の統計データとを関連付けたマップ情報を再接続可能性判断部に予め登録し、取得したユーザ端末の位置情報と、このマップ情報とを照合して、再接続の可能性を判定し、再接続が成功する可能性が所定の基準値以上である場合には、ステップS303へと進み、再接続が成功する可能性が所定の基準値未満である場合には、ステップS307へと進むようにすることもできる。
【符号の説明】
【0027】
1 基地局
2 通信部
2a 電波強度計測部
2b 通信切断検出部
2c ユーザ端末測位部
3 基地局制御部
3a 再接続可能性判断部
3b 再接続処理制御部
4 端末識別情報記憶部
5 通信バッファ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末と無線通信を行う基地局であって、
前記移動端末との通信が切断されているか否かを検出する通信切断検出部と、
前記移動端末との通信中に当該移動端末から位置情報を取得する移動端末測位部と、
前記通信切断検出部により前記移動端末との通信の切断が検出された場合に、前記取得した位置情報に基づいて前記移動端末と再接続を行うことができるか否かを判定する移動端末再接続可能性判断部と、
を備えることを特徴とする、基地局。
【請求項2】
前記移動端末の識別情報を管理する端末識別情報記憶部と、該移動端末識別情報に関連付けた通信データを格納する通信バッファ部とをさらに備え、
前記移動端末再接続可能性判断部が前記移動端末と再接続を行うことができないと判定した場合に、当該移動端末に対する移動端末識別情報及び通信データを前記端末識別情報記憶部及び前記通信バッファ部から消去する、請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
移動端末と無線通信を行う基地局の制御方法であって、
前記基地局の通信切断検出部により、前記移動端末との通信が切断されているか否かを検出する工程と、
前記基地局の移動端末測位部により、前記移動端末との通信中に当該移動端末から位置情報を取得する工程と、
前記通信切断検出部により前記移動端末との通信の切断が検出された場合に、前記基地局の移動端末再接続可能性判断部により、前記移動端末と再接続を行うことができるか否かを判定する工程と、
を含む、基地局の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−62702(P2013−62702A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200249(P2011−200249)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】