説明

基地局及び通信制御方法

【課題】移動局に個別に割り当てられた無線リソースが解放されることを防止するために移動局に周期的にTiming Advanceが送信される場合でも、移動局をDRX(間欠受信)状態に遷移させ得る基地局及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】基地局100は、移動局200Aにおける送受信データの存在を検出する送受信データ検出部と、送受信データ検出部によって送受信データが存在しないことが検出された場合、移動局200Aにおける送受信データが存在しない時間を計測するTraffic Inactivity Timerを起動するタイマ制御部と、タイマ制御部によって起動されたTraffic Inactivity Timerの計測時間が所定の閾値に到達した場合、周期的なTiming Advanceの送信を停止するTA送信制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上りリンクにおける移動局からの送信タイミングのずれの調整に用い得るTiming Advanceを周期的に当該移動局に送信する基地局及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3rd Generation Partnership Project(3GPP)において標準化されているLong Term Evolution(LTE)では、移動局(UE)が基地局(eNB)に向けて送信する上りリンク(UL)の送信タイミングのずれを補正するため、基地局が移動局に対してTiming Advance(TA)を送信することが規定されている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
移動局は、基地局からのTiming Advanceを受信すると、上りリンクの送信タイミングを補正し、Time Alignment Timerを起動(または再起動)する。また、移動局は、Timing Advanceを受信しない状態が継続してTime Alignment Timerの計測時間が閾値に到達した場合、当該移動局に割り当てられていた個別の無線リソースを解放する。具体的には、移動局は、Physical Uplink Control Channel(PUCCH)やSounding Reference Signal(SRS)などの無線リソースを解放する。無線リソースを解放した移動局は、上りリンクまたは下りリンクにおけるデータが発生した場合、Random Access手順を改めて実行し、個別の無線リソースを割り当てられる必要がある。
【0004】
このように、移動局は、送信または受信するデータが存在するか否かに関わらず、Timing Advanceを受信しない状態が継続すると、PUCCHやSRSなどの無線リソースを解放してしまう。そこで、基地局は、移動局に周期的にTiming Advanceを送信することによって、当該無線リソースが解放されることを回避する必要がある。
【0005】
具体的には、基地局は、上りリンクの送信タイミングにずれが発生していない場合でも、Time Alignment Timerの計測時間が閾値に到達しないように、周期的にTiming Advanceを移動局に送信する。また、基地局は、上りリンクの送信タイミングに大きなずれが発生した場合には、周期的にTiming Advanceとは別のTiming Advance(Event triggered TA)を移動局に送信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 V10.3.0, 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2 (Release 10)、2011年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の通信制御方法には、次のような問題があった。すなわち、移動局が送信または受信するデータが存在しないにも関わらず、周期的にTiming Advanceが移動局に送信されるため、移動局は、当該Timing Advanceを受信する度にDRX Inactivity Timerをリセットする。このため、移動局は、DRX(間欠受信)状態に遷移できず、無駄にバッテリを消耗する問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、移動局に個別に割り当てられた無線リソースが解放されることを防止するために移動局に周期的にTiming Advanceが送信される場合でも、移動局をDRX(間欠受信)状態に遷移させ得る基地局及び通信制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴は、上りリンクにおける移動局(例えば、移動局200A)からの送信タイミングのずれの調整に用い得るTiming Advanceを周期的に前記移動局に送信する基地局(基地局100)であって、前記移動局における送受信データの存在を検出する送受信データ検出部(送受信データ検出部103)と、前記送受信データ検出部によって前記送受信データが存在しないことが検出された場合、前記移動局における送受信データが存在しない時間を計測するタイマ(Traffic Inactivity Timer)を起動するタイマ制御部(タイマ制御部105)と、前記タイマ制御部によって起動された前記タイマの計測時間が所定の閾値に到達した場合、周期的なTiming Advanceの送信を停止するTA送信制御部(TA送信制御部107)とを備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の第2の特徴は、移動局と、上りリンクにおける前記移動局からの送信タイミングのずれの調整に用い得るTiming Advanceを周期的に前記移動局に送信する基地局とを含む無線通信システムにおける通信制御方法であって、前記基地局が、前記移動局における送受信データの存在を検出するステップと、前記基地局が、前記送受信データが存在しないことを検出した場合、前記移動局における送受信データが存在しない時間を計測するタイマを起動するステップと、前記基地局が、起動した前記タイマの計測時間が所定の閾値に到達した場合、周期的なTiming Advanceの送信を停止するステップと、前記移動局が、前記周期的なTiming Advanceを所定時間に渡って受信しない場合、所定の通信チャネルの受信を間欠的に実行する間欠受信状態に遷移するステップとを含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の特徴によれば、移動局に個別に割り当てられた無線リソースが解放されることを防止するために移動局に周期的にTiming Advanceが送信される場合でも、移動局をDRX(間欠受信)状態に遷移させ得る基地局及び通信制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基地局100の機能ブロック構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る移動局200Aの機能ブロック構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る基地局100(eNB)及び移動局200A(UE)における各種タイマの動作例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る基地局100におけるTiming Advanceの制御動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0014】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0015】
(1)無線通信システムの全体概略構成
本実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る無線通信システムは、Long Term Evolution(LTE)方式を採用しており、コアネットワーク50、基地局100(eNB)及び移動局200A, 200B(UE)を含む。
【0016】
基地局100は、コアネットワーク50に接続されている。基地局100は、セルC1を形成し、移動局200A及び200BとLTE方式に従った無線通信を実行する。
【0017】
特に、本実施形態では、基地局100は、上りリンクにおける移動局200A(または移動局200B、以下同)から送信される上りリンク(具体的にはフレーム)の送信タイミングのずれを検出し、Timing Advanceを移動局200Aに送信することによって、当該送信タイミングを調整するように構成されている。Timing Advanceは、上りリンクにおける移動局200Aからの送信タイミングのずれの調整に用い得るものであり、基地局100は、Timing Advanceを周期的に移動局200Aに送信する。
【0018】
移動局200Aは、基地局100から送信されたTiming Advanceに基づいて基地局100に送信する上りリンクの送信タイミングを調整する。このような基地局100及び移動局200Aの動作によって、上りリンクの同期が維持される。
【0019】
また、移動局200Aは、下り制御チャネル、具体的には、Physical Downlink Control Channel(PDCCH))を所定時間(例えば、1秒間)に渡って受信しない場合、PDCCHの受信を間欠的に実行する間欠受信(DRX)状態に遷移する。
【0020】
(2)機能ブロック構成
次に、本実施形態に係る無線通信システムの機能ブロック構成について説明する。図2は、基地局100の機能ブロック構成図である。図3は、移動局200Aの機能ブロック構成図である。
【0021】
(2.1)基地局100
図2に示すように、基地局100は、無線通信部101、送受信データ検出部103、タイマ制御部105及びTA送信制御部107を備える。
【0022】
無線通信部101は、移動局200A(200B)とLTE方式に従った無線通信を実行する。
【0023】
送受信データ検出部103は、移動局200Aにおける送受信データの存在を検出する。具体的には、送受信データ検出部103は、移動局200Aに対して割り当てられている専用トラフィックチャネルまたは移動局200Aに対して割り当てられている専用制御チャネルを用いて移動局200Aに送信される下りデータが存在せず、かつ、当該専用トラフィックチャネルまたは当該専用制御チャネルを用いて移動局200Aから送信される上りデータが存在しないことを検出する。
【0024】
本実施形態では、専用トラフィックチャネルとは、LTEにおいて規定されるDedicated Traffic Channel(DTCH)を意味し、専用制御チャネルとは、Dedicated Control Channel(DCCH)を意味する。送受信データ検出部103は、移動局200A向けのDTCH及びDCCHと対応付けられる下り論理チャネルに関するデータが存在しない場合、かつ、当該DTCH及びDCCHと対応付けられる上り論理チャネルグループに関するデータが存在しない場合、移動局200Aにおける送受信データが存在していないと判定する。
【0025】
タイマ制御部105は、基地局100が無線通信を実行する移動局毎に設けられる各種タイマを制御する。具体的には、タイマ制御部105は、(1)Traffic Inactivity Timer、(2)Time Alignment Timer、及び(3)DRX Inactivity Timerの制御を実行する。
【0026】
特に、タイマ制御部105は、送受信データ検出部103によって移動局200Aにおける送受信データが存在しないことが検出された場合、移動局200Aにおける送受信データが存在しない時間を計測するTraffic Inactivity Timerを起動する。Traffic Inactivity Timerは、上述したように、タイマ制御部105によって移動局毎に管理される。
【0027】
タイマ制御部105は、移動局200Aに対して割り当てられている専用トラフィックチャネル(DTCH)または移動局200Aに対して割り当てられている専用制御チャネル(DCCH)を用いて移動局200Aに送信される下りデータが存在せず、かつ、当該DTCHまたは当該DCCHを用いて移動局200Aから送信される上りデータが存在しない(或いは、移動局200Aから上りデータが存在しない旨を報告された)場合、Traffic Inactivity Timerを起動する。Traffic Inactivity Timerを起動することによって、移動局200Aにおける送受信データが存在しない時間の計測を開始する。
【0028】
また、タイマ制御部105は、TA送信制御部107によってRandom Access手順によるRA Responseが移動局200Aに送信された場合には、RA Responseが送信されたタイミングでTraffic Inactivity Timerを起動してもよい。
【0029】
さらに、タイマ制御部105は、Traffic Inactivity Timerが起動中の場合において、DTCHまたはDCCHを用いて移動局200Aに送信される下りデータが発生した場合、或いは当該DTCHまたは当該DCCHを用いて移動局200Aから送信される上りデータが発生した場合、Traffic Inactivity Timerを停止する。すなわち、タイマ制御部105は、下りリンクまたは上りリンクにおいて送信または受信データが発生した時点で、Traffic Inactivity Timerをリセットして停止する。
【0030】
また、タイマ制御部105は、Traffic Inactivity Timerの計測時間が閾値ThstopperiodicTAに到達した場合にも、Traffic Inactivity Timerをリセットして停止する。
【0031】
TA送信制御部107は、Timing Advance(TA)の移動局200Aへの送信を制御する。具体的には、TA送信制御部107は、タイマ制御部105によって起動されたTraffic Inactivity Timerの計測時間が閾値ThstopperiodicTA(所定の閾値)に到達した場合、周期的なTiming Advanceの送信を停止する。
【0032】
このように周期的なTiming Advanceの送信を停止した後において、TA送信制御部107は、Random Access手順によるRA Responseを移動局200Aに送信した場合、周期的なTiming Advanceの送信を再開してもよい。
【0033】
また、TA送信制御部107は、周期的なTiming Advanceの送信を停止した後において、移動局200Aにおける送受信データが発生した場合、周期的なTiming Advanceの送信を停止する前におけるTiming Advanceの送信周期(例えば、200ミリ秒)と一致するように、周期的なTiming Advanceの送信を再開してもよい。
【0034】
なお、周期的なTiming Advanceの送信を再開するタイミングは、Random Access手順を伴うdata resumingの場合と、Random Access手順を伴わないdata resumingの場合とで異なるようにしてもよい。具体的には、Random Access手順を伴うdata resumingの場合、TA送信制御部107は、上述したように、RA responseに含まれるTiming Advanceの送信を基準として、周期的なTiming Advanceの送信を再開する。
【0035】
一方、Random Access手順を伴わないdata resumingの場合、TA送信制御部107は、移動局200Aにおける送受信データの発生時、或いは送受信データの発生後所定の時間経過後に周期的なTiming Advanceの送信を再開してもよい。
【0036】
(2.2)移動局200A
図3に示すように、移動局200Aは、無線通信部201、データ送受信部203、TA受信部205及びDRX遷移制御部207を備える。
【0037】
無線通信部201は、基地局100とLTE方式に従った無線通信を実行する。
【0038】
データ送受信部203は、無線通信部201を介して移動局200Aにおいて生成されたデータを送信したり、無線通信部201を介して基地局100から送信されたデータを受信したりする。
【0039】
TA受信部205は、無線通信部201を介して基地局100からTiming Advanceを受信する。TA受信部205は、受信したTiming Advanceに基づいて、データ送受信部203から送信されるデータ(フレーム)の送信タイミングを進めたり、或いは遅らせたりする。なお、上述したように、Timing Advanceは、通常基地局100から周期的に送信される。また、TA受信部205は、受信したTiming AdvanceをDRX遷移制御部207に通知する。
【0040】
DRX遷移制御部207は、TA受信部205が受信したTiming Advanceに基づいて、無線通信部201における各種チャネルの受信状態などを制御する。
【0041】
具体的には、DRX遷移制御部207は、基地局100と同様のTime Alignment Timer及びDRX Inactivity Timerを用いて、無線通信部201における通信チャネルの受信状態などを制御する。Time Alignment Timerは、移動局200Aが最後にTiming Advanceを受信してからの経過時間を計測するものであり、Timing Advanceを所定の時間以上受信しない場合には、PUCCHやSRS用の上りリンク無線リソースを解放する。
【0042】
また、DRX遷移制御部207は、下りリンクにおける送信、または上りリンクにおけるGrantを指示するPDCCHを所定時間に渡って受信しない場合、所定の通信チャネル(Physical Downlink Control Channel(PDCCH))の受信を間欠的に実行する間欠受信(DRX)状態に遷移する。
【0043】
(3)無線通信システムの動作
次に、本実施形態に係る無線通信システムの動作について説明する。具体的には、基地局100と移動局200Aとの間におけるTiming Advanceの送受信及びDRX状態への遷移動作について説明する。
【0044】
(3.1)基地局100及び移動局200Aにおけるタイマの動作
図4は、基地局100(eNB)及び移動局200A(UE)における各種タイマの動作例を示す。なお、図4では、Timing Advanceの送受信タイミングについて主に図示されており、Ackなどの図示は省略されていることに留意されたい。
【0045】
図4に示すように、基地局100は、移動局200Aにおける送受信データ(図中のDL/ULデータ)が存在しないことが検出されると、Traffic Inactivity Timerを起動する。基地局100は、Traffic Inactivity Timerの計測時間が閾値ThstopperiodicTAに到達した場合、周期的なTiming Advanceの送信を停止する。
【0046】
また、基地局100及び移動局200Aは、Timing Advanceを送受信すると、Time Alignment Timerを起動(または再起動)する。なお、基地局100は、Timing Advanceに対する移動局200Aからの送達確認(ACK)を以て、Time Alignment Timerの起動を決定してもよい。移動局200A(及び基地局100)は、Time Alignment Timerの計測時間が所定の閾値に到達した場合(図中のT.O.)、PUCCHやSRS用の上りリンク無線リソースを解放する。
【0047】
さらに、基地局100及び移動局200Aは、PDCCHを送受信すると、DRX Inactivity Timerを起動(または再起動)する。なお、基地局100は、PDCCHに対する移動局200Aからの送達確認(ACK)を以てDRX Inactivity Timerの起動を決定してもよい。移動局200A(及び基地局100)は、DRX Inactivity Timerの計測時間が所定の閾値に到達した場合(図中のT.O.)、PDCCHの受信を間欠的に実行するDRX状態に遷移する。
【0048】
すなわち、基地局100は、移動局200Aにおける送受信データ(UL/DLデータ)がなくなり、Traffic Inactivity Timerが閾値ThstopperiodicTAに到達すると、周期的なTiming Advanceの送信を停止する。この結果、Time Alignment Timerが閾値に到達し、移動局200A用の個別無線リソース(PUCCHやSRS用)が解放される。次いで、基地局100のDRX Inactivity Timerが閾値に到達し、移動局200AはDRX状態に遷移したと判定する。
【0049】
一方、移動局200Aは、周期的なTiming Advanceの送信が停止されると、Time Alignment Timerが閾値に到達し、移動局200A用の個別無線リソースを解放する。次いで、移動局200AでもDRX Inactivity Timerが閾値に到達し、移動局200AはDRX状態に遷移する。
【0050】
(3.2)基地局100の動作フロー
次に、図5を参照して基地局100の動作フローを示す。図5は、基地局100におけるTiming Advanceの制御動作フローを示す。図5に示すように、基地局100は、Traffic Inactivity Timerが起動中か否かを判定する(S10)。Traffic Inactivity Timerが起動中の場合、基地局100は、移動局200Aにおける送受信データ(DL/ULデータ)が存在するか否かを判定する(S20)。
【0051】
送受信データが存在する場合、基地局100は、Traffic Inactivity Timerをリセットして停止する(S30)。一方、送受信データが存在しない場合、基地局100は、Traffic Inactivity Timerの計測時間が閾値ThstopperiodicTAよりも大きいか否かを判定する(S40)。
【0052】
Traffic Inactivity Timerの計測時間が閾値ThstopperiodicTAよりも大きい場合、基地局100は、周期的なTiming Advanceの送信を停止する(S50)。一方、Traffic Inactivity Timerの計測時間が閾値ThstopperiodicTA以下の場合、基地局100は、図5に示す動作フローを終了する。
【0053】
また、Traffic Inactivity Timerが起動していない場合も、基地局100は、移動局200Aにおける送受信データ(DL/ULデータ)が存在するか否かを判定する(S60)。
【0054】
送受信データが存在する場合、基地局100は、周期的なTiming Advanceの送信を停止しているか否かを判定する(S70)。周期的なTiming Advanceの送信を停止している場合、基地局100は、周期的なTiming Advanceの送信を再開する(S80)。
【0055】
一方、送受信データが存在しない場合、基地局100は、Traffic Inactivity Timerを起動する(S90)。
【0056】
(4)作用・効果
基地局100によれば、タイマ制御部105は、送受信データ検出部103によって移動局200Aにおける送受信データが存在しないことが検出された場合、移動局200Aにおける送受信データが存在しない時間を計測するタイマを起動する。さらに、タイマ制御部105によって起動されたTraffic Inactivity Timerの計測時間が所定の閾値に到達した場合、TA送信制御部107は、周期的なTiming Advanceの送信を停止する。
【0057】
このため、移動局200Aが送信または受信するデータが存在しないにも関わらず、周期的にTiming Advanceが移動局に送信されることによって、移動局200Aが当該Timing Advanceの送信に用いられる下り制御チャネル(PDCCH)を受信する度にDRX Inactivity Timerをリセットしてしまう状態が回避される。すなわち、基地局100及び移動局200Aによれば、移動局200Aに個別に割り当てられたPUCCHやSRSなどの無線リソースが解放されることを防止するために移動局200Aに周期的にTiming Advanceが送信される場合でも、移動局200AをDRX状態に遷移させ得る。
【0058】
本実施形態では、移動局200Aに対して割り当てられているDTCHまたは移動局200Aに対して割り当てられているDCCHを用いて移動局200Aに送信される下りデータが存在せず、かつ、DTCHまたはDCCHを用いて移動局200Aから送信される上りデータが存在しない場合、Traffic Inactivity Timerが起動される。さらに、DTCHまたはDCCHを用いて移動局200Aに送信される下りデータが発生した場合、或いはDTCHまたはDCCHを用いて移動局200Aから送信される上りデータが発生した場合、Traffic Inactivity Timerが停止する。
【0059】
このため、移動局200Aにおける送受信データが存在しない場合が所定時間継続した場合にのみ、移動局200AをDRX状態に遷移させ得る。
【0060】
本実施形態では、Random Access手順によるRA Responseを移動局200Aに送信した場合、周期的なTiming Advanceの送信が再開される。さらに、移動局200Aにおける送受信データが発生した場合、周期的なTiming Advanceの送信を停止する前における当該Timing Advanceの送信周期と一致するように、周期的なTiming Advanceの送信を再開することもできる。
【0061】
このため、周期的なTiming Advanceの送信を維持することによって無線リソースの解放を回避しつつ、移動局200Aにおける送受信データが存在しない場合には、移動局200AをDRX状態に遷移させ得る。
【0062】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0063】
例えば、上述した本発明の実施形態では、移動局200Aにおける送受信データが発生した場合、周期的なTiming Advanceの送信を停止する前における当該Timing Advanceの送信周期と一致するように、周期的なTiming Advanceの送信を再開するようにしたが、このような動作は、必ずしも行われなくても構わない。
【0064】
また、上述した実施形態では、基地局100がTiming Advanceの送信制御を実行していたが、基地局100以外の通信装置、例えば、コアネットワーク50に接続されているMME(Mobility Management Entity)が当該制御を実行してもよい。
【0065】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0066】
50…コアネットワーク
100…基地局
101…無線通信部
103…送受信データ検出部
105…タイマ制御部
107…TA送信制御部
200A, 200B…移動局
201…無線通信部
203…データ送受信部
205…TA受信部
207…DRX遷移制御部
C1…セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上りリンクにおける移動局からの送信タイミングのずれの調整に用い得るTiming Advanceを周期的に前記移動局に送信する基地局であって、
前記移動局における送受信データの存在を検出する送受信データ検出部と、
前記送受信データ検出部によって前記送受信データが存在しないことが検出された場合、前記移動局における送受信データが存在しない時間を計測するタイマを起動するタイマ制御部と、
前記タイマ制御部によって起動された前記タイマの計測時間が所定の閾値に到達した場合、周期的なTiming Advanceの送信を停止するTA送信制御部と
を備える基地局。
【請求項2】
前記タイマ制御部は、前記移動局に対して割り当てられている専用トラフィックチャネルまたは前記移動局に対して割り当てられている専用制御チャネルを用いて前記移動局に送信される下りデータが存在せず、かつ、前記専用トラフィックチャネルまたは前記専用制御チャネルを用いて前記移動局から送信される上りデータが存在しない場合、前記タイマを起動する請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記タイマ制御部は、前記専用トラフィックチャネルまたは前記専用制御チャネルを用いて前記移動局に送信される下りデータが発生した場合、或いは前記専用トラフィックチャネルまたは前記専用制御チャネルを用いて前記移動局から送信される上りデータが発生した場合、前記タイマを停止する請求項2に記載の基地局。
【請求項4】
前記TA送信制御部は、Random Access手順によるRA Responseを前記移動局に送信した場合、周期的なTiming Advanceの送信を再開する請求項1に記載の基地局。
【請求項5】
前記TA送信制御部は、前記移動局における送受信データが発生した場合、周期的なTiming Advanceの送信を停止する前における前記Timing Advanceの送信周期と一致するように、前記周期的なTiming Advanceの送信を再開する請求項1に記載の基地局。
【請求項6】
移動局と、
上りリンクにおける前記移動局からの送信タイミングのずれの調整に用い得るTiming Advanceを周期的に前記移動局に送信する基地局と
を含む無線通信システムにおける通信制御方法であって、
前記基地局が、前記移動局における送受信データの存在を検出するステップと、
前記基地局が、前記送受信データが存在しないことを検出した場合、前記移動局における送受信データが存在しない時間を計測するタイマを起動するステップと、
前記基地局が、起動した前記タイマの計測時間が所定の閾値に到達した場合、周期的なTiming Advanceの送信を停止するステップと、
前記移動局が、前記Timing Advanceの送信に用いられる下り制御チャンネルを所定時間に渡って受信しない場合、前記下り制御チャネルの受信を間欠的に実行する間欠受信状態に遷移するステップと
を含む通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−46258(P2013−46258A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183048(P2011−183048)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】