説明

基地局及び通信制御方法

【課題】ハンドオーバーまたは再接続時の、PDCP status reportの送受信による移動局のDRX状態からnon-DRX状態への復帰に伴う無線リソースの浪費と、移動局のバッテリ消耗とを防止する。
【解決手段】基地局100AのDRX制御部109は、移動局のハンドオーバーまたは再接続の開始からの経過時間を計測するペンディングタイマによって計測された経過時間がPDCP status reportの送信及びPDCP status reportの送達確認に必要な時間よりも長いペンディングタイマ閾値を超えた場合、かつ移動局に送信すべきデータが存在しない時間を計測するインアクティブタイマによって計測された時間がインアクティブタイマ閾値を超えている場合、DRX command MAC CEを移動局に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局のハンドオーバーまたは再接続の開始後において、上り方向データの受信状況を報告するPDCP status reportを当該移動局に送信する基地局及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3rd Generation Partnership Project(3GPP)において標準化されているLong Term Evolution(LTE)では、移動局(UE)のバッテリ消耗を抑制する観点から、移動局が送受信するデータが一定期間以上存在しない場合、基地局(eNB)から送信される下り制御チャネル(PDCCH)を特定の期間のみ、間欠的に受信するDRX(Discontinuous Reception)制御が採用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
移動局がDRX状態に遷移する契機のひとつとして、移動局毎に当該移動局に送信すべきユーザデータが存在しない時間を計測するUE Inactive Timerの値が閾値(Thdrxcommand)を超えた場合に、基地局が送信するDRX command MAC Control Element(以下、DRX command MAC CE)が規定されている。移動局は、DRX command MAC CEを受信すると、DRX状態に遷移する。
【0004】
DRX command MAC CEは、移動局のハンドオーバーまたは再接続時における制御チャネル(DCCH)の受信によって移動局がDRX状態に遷移し難い場合に、当該移動局を強制的にDRX状態に遷移させるために好適に用い得る。
【0005】
また、LTEでは、移動局のハンドオーバーまたは再接続の完了後において、当該移動局が、既に基地局が受信済みの上り方向データ(ULデータ)をハンドオーバーまたは再接続先の基地局(セル)に再び送信することを抑止するため、基地局側におけるULデータの受信状況を移動局に報告するPDCP status reportが規定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 V10.3.0, 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2 (Release 10)、2011年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の移動局の制御方法には、次のような問題があった。すなわち、移動局のハンドオーバーまたは再接続後において、ハンドオーバー先または再接続先の基地局がPDCP status reportを送受信すると、DRX command MAC CEを受信することによってDRX状態に遷移した移動局が、non-DRX状態に復帰してしまう。このため、移動局のバッテリ消耗を効果的に抑制できない問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ハンドオーバーまたは再接続時において、PDCP status reportの送受信による移動局のDRX状態からnon-DRX状態への復帰に伴う無線リソースの浪費と、移動局のバッテリ消耗とを防止し得る基地局及び通信制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴は、移動局(移動局200)のハンドオーバーまたは再接続の開始後において、上り方向データの受信状況を報告するPDCP status reportを前記移動局に送信する基地局(例えば、基地局100A)であって、制御チャネルを間欠的に受信するDRX状態に前記移動局を制御するDRX command MAC CEを前記移動局に送信するDRX制御部(DRX制御部109)と、前記移動局のハンドオーバーまたは再接続の開始からの経過時間を計測するペンディングタイマ(UIT Pending Timer)を制御するタイマ制御部(タイマ制御部107)とを備え、前記DRX制御部は、前記ペンディングタイマによって計測された経過時間が前記PDCP status reportの送信及び前記PDCP status reportの送達確認に必要な時間よりも長いペンディングタイマ閾値を超えた場合、かつ前記移動局に送信すべきデータが存在しない時間を計測するインアクティブタイマによって計測された時間がインアクティブタイマ閾値(Thdrxcommand)を超えている場合、前記DRX command MAC CEを前記移動局に送信することを要旨とする。
【0010】
本発明の第2の特徴は、移動局のハンドオーバーまたは再接続の開始後において、上り方向データの受信状況を報告するPDCP status reportを前記移動局に送信する通信装置による通信制御方法であって、制御チャネルを間欠的に受信するDRX状態に前記移動局を制御するDRX command MAC CEを前記移動局に送信するステップと、前記移動局のハンドオーバーまたは再接続の開始からの経過時間を計測するペンディングタイマを制御するステップとを備え、前記DRX command MAC CEを送信するステップでは、前記ペンディングタイマによって計測された経過時間が前記PDCP status reportの送信及び前記PDCP status reportの送達確認に必要な時間よりも長いペンディングタイマ閾値を超えた場合、かつ前記移動局に送信すべきデータが存在しない時間を計測するインアクティブタイマ(UE Inactive Timer)によって計測された時間がインアクティブタイマ閾値を超えている場合、前記DRX command MAC CEを前記移動局に送信することを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の特徴によれば、ハンドオーバーまたは再接続時において、PDCP status reportの送受信による移動局のDRX状態からnon-DRX状態への復帰に伴う無線リソースの浪費と、移動局のバッテリ消耗とを防止し得る基地局及び通信制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基地局100Aの機能ブロック構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る基地局100Aと移動局200との間におけるハンドオーバー時における通信シーケンスを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る移動局200のハンドオーバーの決定に伴う基地局100AにおけるDRX command MAC CEの送信動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0014】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0015】
(1)無線通信システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る無線通信システムは、Long Term Evolution(LTE)方式を採用しており、コアネットワーク50、基地局100A, 100B(eNB)及び移動局200(UE)を含む。
【0016】
基地局100Aは、コアネットワーク50に接続されている。基地局100A(100B)は、セルC1(セルC2)を形成し、移動局200とLTE方式に従った無線通信を実行する。特に、本実施形態では、基地局100A(または基地局100B、以下同)は、移動局200のハンドオーバーまたは再接続の開始後において、上り方向データ(以下、ULデータ)の受信状況を報告するPDCP status reportを移動局200に送信する。
【0017】
移動局200は、基地局100Aから受信したPDCP status reportに基づいて、基地局100Aに向けて送信すべきULデータの内容を決定する。
【0018】
(2)無線通信システムの機能ブロック構成
次に、本実施形態に係る無線通信システムの機能ブロック構成について説明する。具体的には、基地局100Aの機能ブロック構成について説明する。図2は、基地局100Aの機能ブロック構成図である。
【0019】
図2に示すように、基地局100Aは、無線通信部101、データ送受信部103、PDCP制御部105、タイマ制御部107及びDRX制御部109を備える。なお、なお、基地局100Aは、これらの機能ブロックを、プラットフォーム部(PF)及びアプリケーション部(AP)によって実現する。
【0020】
無線通信部101は、移動局200とLTE方式に従った無線通信を実行する。
【0021】
データ送受信部103は、無線通信部101を介して移動局200向けの制御データ(C-planeデータ)及びユーザデータ(U-Planeデータ)を送受信する。特に、本実施形態では、データ送受信部103は、PDCP制御部105から送信された制御データの一種であるPDCP status reportを下り制御物理チャネル(PDCCH)を介して移動局200に送信する。
【0022】
PDCP制御部105は、ULデータの受信状況を報告するPDCP status reportを移動局200に送信する。また、下り方向データ(以下、DLデータ)の受信状況を報告するPDCP status reportを移動局200から受信する。
【0023】
具体的には、PDCP制御部105は、移動局のハンドオーバーまたは再接続の開始後において、移動局200が、ハンドオーバーまたは再接続元のセルを形成する基地局が既に受信しているULデータ(実際には、移動局200が当該基地局から送達確認を受けてないULデータ)を、ハンドオーバーまたは再接続先のセルを形成する基地局に再び送信してくることを抑止するため、基地局側におけるULデータの受信状況をPDCP status reportにより移動局200に報告する。
【0024】
また、PDCP制御部105は、ハンドオーバーまたは再接続の開始後において、移動局200のハンドオーバーまたは再接続手順の実行前において、移動局200が送信してくる移動局200におけるDLデータの受信状況を示すPDCP status reportを受信する。受信したPDCP status reportは、移動局200のハンドオーバーまたは再接続先のセルを形成する基地局における下りリンクのスケジューリングに利用される。
【0025】
タイマ制御部107は、基地局100Aにおいて用いられる各種タイマを制御する。具体的には、タイマ制御部107は、UIT Pending Timer及びUE Inactive Timerを有する。
【0026】
UIT Pending Timerは、移動局200のハンドオーバーまたは再接続の開始からの経過時間を計測する。本実施形態において、UIT Pending Timerは、ペンディングタイマを構成する。また、UE Inactive Timerは、移動局200に送信すべきユーザデータが存在しない時間を計測する。本実施形態において、UE Inactive Timerは、インアクティブタイマを構成する。
【0027】
DRX制御部109は、移動局200をDRX(Discontinuous Reception)状態、またはnon-DRX状態の何れかに制御する。DRX状態の移動局200は、制御チャネル、具体的には、PDCCHを特定の期間のみ、間欠的に受信する。一方、non-DRX状態の移動局200は、PDCCHを継続して受信する。
【0028】
具体的には、DRX制御部109は、DRX command MAC CEを移動局200に送信することによって、移動局200をDRX状態に制御する。なお、通常のケースでは、移動局200が送信すべきユーザデータがなくなると、基地局100AからPDCCHが送信されなくなるため、移動局200のDRX Inactivity Timerが閾値に達し(つまり、DRX Inactivity Timerが満了し)、移動局200はDRX状態に遷移する。
【0029】
DRX制御部109は、UIT Pending Timerによって計測された経過時間がペンディングタイマ閾値を超えた場合、かつUE Inactive Timerによって計測された時間がインアクティブタイマ閾値(Thdrxcommand)を超えている場合、DRX command MAC CEを移動局200に送信する。ペンディングタイマ閾値(THuit,HOまたはTHuit,re-est)は、PDCP status reportの送信及びPDCP status reportの送達確認(ACK)に必要な時間よりも長く設定される。
【0030】
DRX制御部109は、PDCP status reportの送信及び前記PDCP status reportの送達確認が終了するまで、つまり、UIT Pending TimerがTHuit,HOまたはTHuit,re-estを超えるまで、UE Inactive Timerによって計測された経過時間がインアクティブタイマ閾値(Thdrxcommand)を超えたか否かの判定を中止する。
【0031】
一方、DRX制御部109は、UIT Pending Timerによって計測された経過時間がTHuit,HOまたはTHuit,re-estを超えた場合、UE Inactive Timerによって計測された経過時間がThdrxcommandを超えているか否かの判定を再開する。なお、THuit,HOまたはTHuit,re-est及びThdrxcommandの値は、同一としてもよい。
【0032】
また、DRX制御部109は、UIT Pending Timerによって計測された経過時間がTHuit,HOまたはTHuit,re-esttを超えた時点において、UE Inactive Timerがリセットされている場合には、DRX command MAC CEの送信を中止する。
【0033】
また、DRX制御部109は、DRX command MAC CEを移動局200に送信した後において、当該DRX command MAC CEを含むMAC PDUに対する送達確認(ACK)を受信した場合、またはハイブリッドARQ(HARQ)による再送が最大回数に到達した場合、移動局200がDRX状態に遷移したと判定する。
【0034】
(3)無線通信システムの動作
次に、本実施形態に係る無線通信システムの動作について説明する。具体的には、基地局100A(eNB)による移動局200(UE)のDRX状態への制御動作について説明する。
【0035】
(3.1)通信シーケンス
図3は、基地局100Aと移動局200との間におけるハンドオーバー時における通信シーケンスを示す。ここでは、移動局200が基地局100Aにハンドオーバーしてきたものとして説明する。
【0036】
図3に示すように、基地局100Aは、移動局200のハンドオーバーに伴って実行されるハンドオーバーRBSID設定処理(マクロ)を実行する(S10)。なお、ここで、UE Inactive Timerの状態がPFとAPとの間で引き継がれる。
【0037】
移動局200のハンドオーバーが開始されると、基地局100Aは、UE Inactive Timer及びUIT Pending Timerの起動し、両タイマによる計測を開始する(S20)。
【0038】
移動局200は、基地局100AとRandom Access(RA)手順を実行し、基地局100Aとの接続を確立する(S30〜S40)。
【0039】
次いで、基地局100A及び移動局200は、上りリンク(UL)及び下りリンク(DL)におけるPDCP status reportを送受信する(S50)。
【0040】
PDCP status reportの送信及びPDCP status reportの送達確認の完了後、UIT Pending Timerの計測時間がTHuit,HOに到達し、UIT Pending Timerは満了し、計測を停止する(S60)。UIT Pending Timerが満了後において、UE Inactive Timerの計測時間がThdrxcommandを超えていると、基地局100Aは、DRX command MAC CEを移動局200に送信する(S70)。
【0041】
DRX command MAC CEを受信した移動局200は、DRX状態に遷移する(S80)。
【0042】
(3.2)基地局100Aの動作フロー
図4は、移動局200のハンドオーバーの決定に伴う基地局100AにおけるDRX command MAC CEの送信動作フローを示す。
【0043】
図4に示すように、基地局100Aは、移動局200とハンドオーバーに必要な手順(RA手順など)を実行する(S110)。なお、上述したように、移動局200のハンドオーバーが開始されると、UE Inactive Timer及びUIT Pending Timerが起動される。
【0044】
次いで、基地局100Aは、UIT Pending Timerが満了しているか否かを判定する(S120)。UIT Pending Timerが既に満了している場合、基地局100Aは、UE Inactive Timerの計測時間がThdrxcommandを超えているか否かを判定する(S130)。
【0045】
UE Inactive Timerの計測時間がThdrxcommandを超えている場合、基地局100Aは、DRX command MAC CEを移動局200に送信する(S140)。基地局100Aは、当該DRX command MAC CEを含むMAC PDUに対する送達確認(ACK)を受信した場合、またはMACレイヤにおけるHARQ最大再送回数を超過した場合、移動局200がDRX状態に遷移したと見なす。
【0046】
なお、上述した動作例は、移動局200の基地局間ハンドオーバーの場合であったが、移動局200の基地局100A内におけるハンドオーバーの場合や、基地局100Aへの再接続の場合も、基地局100Aは、概ね同様の処理を実行すればよい。なお、この場合、UE Inactive Timerの状態が基地局100Aの内部で引き継がれる。
【0047】
(4)作用・効果
基地局100Aによれば、UIT Pending Timerによって計測された経過時間がペンディングタイマ閾値(THuit,HOまたはTHuit,re-est)を超えた場合、DRX command MAC CEが移動局200に送信される。また、THuit,HOまたはTHuit,re-estは、PDCP status reportの送信及びPDCP status reportの送達確認に必要な時間よりも長く設定される。
【0048】
このため、移動局200のハンドオーバーまたは再接続後において、基地局100AがPDCP status reportを送信及び受信する期間には、DRX command MAC CEの送信が中止される。すなわち、基地局100Aによれば、DRX command MAC CEの送信によってDRX状態に遷移した移動局が、PDCP status reportの送受信によってnon-DRX状態に復帰してしまうことが回避されるため、無線リソースの浪費を抑制しつつ、移動局200のバッテリ消耗を防止し得る。
【0049】
より具体的には、移動局200がハンドオーバーまたは再接続を頻繁に繰り返す場合、移動局200に対して適切なタイミングでDRX command MAC CEを送信することが可能となり、その後不要なPDCCHの送信も回避されるため、移動局200のバッテリ消耗を防止し得る。つまり、送受信すべきユーザデータが存在しない場合でも、ハンドオーバーまたは再接続の手順が起動されると、基地局100Aは制御データを送信するために移動局200に対してPDCCHを送信するため、移動局200は、当該PDCCHの受信によってnon-DRX状態に遷移してしまう。
【0050】
一旦non-DRX状態に遷移した移動局200は、再びDRX Inactivity Timerが満了するまでDRX状態に遷移することができないため、ハンドオーバーまたは再接続を頻繁に繰り返す場合、移動局200はその間DRX状態に遷移することができないこととなる。上述した実施形態によれば、このような問題も解消する。
【0051】
また、本実施形態では、UIT Pending Timerによって計測された経過時間がTHuit,HOまたはTHuit,re-estを超えた時点において、UE Inactive Timerがリセットされている場合には、DRX command MAC CEの送信が中止される。このため、移動局200が送受信すべきデータが存在する場合などに、DRX command MAC CEが送信されることによって不用意に移動局200がDRX状態に遷移してしまうことを防止し得る。
【0052】
さらに、本実施形態では、基地局100AがDRX command MAC CEを移動局200に送信した後において、当該DRX command MAC CEを含むMAC PDUに対する送達確認(ACK)を受信した場合、またはハイブリッドARQ(HARQ)による再送が最大回数に到達した場合、移動局200がDRX状態に遷移したと判定される。このため、DRX command MAC CEを含むMAC PDUに対する送達確認(ACK)が確認できれば、移動局200がDRX状態に遷移したことを担保できる。また、DRX command MAC CEを含むMAC PDUについてHARQによる再送が最大回数に到達した場合に、移動局200をDRX状態に遷移したと見なすことで、移動局200がDRX command MAC CEを含むMAC PDUを受信できている場合には、基地局100Aと移動局200間においてDRX状態に関する状態不一致を回避することができ、適切なスケジューリングを行うことができる。
【0053】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0054】
例えば、上述した実施形態では、UIT Pending Timerによって計測された経過時間がTHuit,HOまたはTHuit,re-estを超えた時点において、UE Inactive Timerがリセットされている場合には、DRX command MAC CEの送信が中止されていたが、このような処理は必ずしも実行されなくても構わない。
【0055】
また、上述した実施形態では、基地局100AがDRX command MAC CEの送信に関する処理を実行していたが、このような処理の全部または一部は、例えば、コアネットワーク50に接続されている他の通信装置(例えば、MME)において実行するようにしてもよい。
【0056】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0057】
50…コアネットワーク
100A, 100B…基地局
101…無線通信部
103…データ送受信部
105…PDCP制御部
107…タイマ制御部
109…DRX制御部
200…移動局
C1, C2…セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局のハンドオーバーまたは再接続の開始後において、上り方向データの受信状況を報告するPDCP status reportを前記移動局に送信する基地局であって、
制御チャネルを間欠的に受信するDRX状態に前記移動局を制御するDRX command MAC CEを前記移動局に送信するDRX制御部と、
前記移動局のハンドオーバーまたは再接続の開始からの経過時間を計測するペンディングタイマを制御するタイマ制御部と
を備え、
前記DRX制御部は、前記ペンディングタイマによって計測された経過時間が前記PDCP status reportの送信及び前記PDCP status reportの送達確認に必要な時間よりも長いペンディングタイマ閾値を超えた場合、、かつ前記移動局に送信すべきデータが存在しない時間を計測するインアクティブタイマによって計測された時間がインアクティブタイマ閾値を超えている場合、前記DRX command MAC CEを前記移動局に送信する基地局。
【請求項2】
前記タイマ制御部は、前記移動局に送信すべきユーザデータが存在しない時間を計測するインアクティブタイマを有し、
前記DRX制御部は、
前記PDCP status reportの送信及び前記PDCP status reportの送達確認が終了するまで、前記インアクティブタイマによって計測された経過時間がインアクティブタイマ閾値を超えているか否かの判定を中止し、
前記ペンディングタイマによって計測された経過時間が前記ペンディングタイマ閾値を超えた場合、前記インアクティブタイマによって計測された経過時間が前記インアクティブタイマ閾値を超えているか否かの判定を再開する請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記DRX制御部は、前記ペンディングタイマによって計測された経過時間が前記ペンディングタイマ閾値を超えた時点において、前記インアクティブタイマがリセットされている場合には、前記DRX command MAC CEの送信を中止する請求項1に記載の基地局。
【請求項4】
前記DRX制御部は、前記DRX command MAC CEを前記移動局に送信した後において、前記DRX command MAC CEを含むMAC PDUに対する送達確認を受信した場合、またはハイブリッドARQによる再送が最大回数に到達した場合、前記移動局がDRX状態に遷移したと判定する請求項1に記載の基地局。
【請求項5】
移動局のハンドオーバーまたは再接続の開始後において、上り方向データの受信状況を報告するPDCP status reportを前記移動局に送信する通信装置による通信制御方法であって、
制御チャネルを間欠的に受信するDRX状態に前記移動局を制御するDRX command MAC CEを前記移動局に送信するステップと、
前記移動局のハンドオーバーまたは再接続の開始からの経過時間を計測するペンディングタイマを制御するステップと
を備え、
前記DRX command MAC CEを送信するステップでは、前記ペンディングタイマによって計測された経過時間が前記PDCP status reportの送信及び前記PDCP status reportの送達確認に必要な時間よりも長いペンディングタイマ閾値を超えた場合、かつ前記移動局に送信すべきデータが存在しない時間を計測するインアクティブタイマによって計測された時間がインアクティブタイマ閾値を超えている場合、前記DRX command MAC CEを前記移動局に送信する通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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