説明

基地局装置、及び同期信号取得方法

【課題】移動端末との通信中に生じる同期ずれを修正する。
【解決手段】基地局装置は、端末装置との間で通信を行う通信モードを周期的に休止する手段と、前記通信モードの周期的な休止中に、他の基地局装置からの送信信号を受信して同期信号を取得するための同期モードを実行する手段と、を備えている。前記同期モードでは、前記同期信号に基づいて、前記通信モード中に生じた同期ずれを修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、及び同期信号取得方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)ように移動端末が通信可能な無線通信システムにおいては、基地局が各地に多数設置される。各基地局がカバーするエリア(セル)内にある移動端末は、当該エリアをカバーする基地局との間で通信を行うことができる。
【0003】
移動端末が移動することにより、移動端末の通信相手となる基地局は変更されるが、基地局が変更される際、移動端末は、同時に二つの基地局(サービング基地局とターゲット基地局)からの信号を受けることになる。
このため、移動端末の基地局間移動をスムーズに行うには、隣接する基地局間で、送信タイミングが揃っている基地局間同期が確保されている必要がある。
【0004】
基地局間同期がとれていると、移動端末の基地局間移動の際、移動端末が同時に二つの基地局からの信号を受信でき、基地局間移動をスムーズに行える。
ここで、基地局間同期のための技術としては、例えば、特許文献1記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−6642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基地局間同期をとるには、特許文献1のように、各基地局装置が、GPS衛星からGPS信号を受信し、各基地局が共通の同期信号によって動作することが考えられる。
しかし、GPS信号を利用して同期をとる場合、各基地局が、GPS受信機を備える必要があり、大型化・コストアップを招く。また、室内等のGPS信号を受信できない環境に設置される基地局の場合、基地局間同期をとることが不可能になる。
【0007】
そこで、隣接する他の基地局が送信した同期信号を受信して、隣接する当該他の基地局の送信タイミングを検出し、当該送信タイミングで同期をとることが考えられる。
この場合、移動端末との通信を行う周波数と同じ周波数を用いた無線通信で同期をとれるので、GPS信号を受信する場合のGPS受信機のように同期用の特別な受信系が必要ない。
このため、基地局の小型化・コストダウンを図ることができ、室内等に設置される小型の基地局として適したものとなる。
【0008】
ここで、前述のWiMAXは、移動端末との間の無線通信に、送信と受信とを高速に切り替えるTDD(時分割複信)によってデュプレックス通信を実現する通信方式を採用する。
具体的には、図17に示すように、WiMAXでは、一つの基本フレームが、下りサブフレーム(基地局の信号送信時間)と上りサブフレーム(基地局の信号受信時間)とが時間方向に並べて配置されている。なお、下りサブフレームは、先頭にプリアンブル(Preamble)を備えている。
【0009】
図17は、複数の基地局間で、送信タイミング及び受信タイミングが一致し、同期がとれている様子を示している。
このような基地局間同期をとる処理は、基地局の起動時に行われ、基地局間同期がとれてから、移動端末との間での通常の通信が行われる。
【0010】
ところが、基地局が有しているクロック発生装置の精度の違いなどによっては、時間の経過等によって、同期にずれが生じる。つまり、基地局の起動時に他の基地局との同期をとっても、その後、移動端末(端末装置)との通信を行っていると、クロック発生装置の精度の違いなどによって、次第に同期ずれが発生する。
【0011】
そこで、本発明は、端末装置との通信中に生じる同期ずれを修正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、端末装置との間で通信を行う通信モードを周期的に休止する手段と、前記通信モードの周期的な休止中に、他の基地局装置からの送信信号を受信して同期信号を取得するための同期モードを実行する手段と、を備え、前記同期モードでは、前記同期信号に基づいて、前記通信モード中に生じた同期ずれを修正することを特徴とする基地局装置である。
【0013】
上記本発明によれば、周期的に通信モードが休止され、その休止中に同期モードが実行される。したがって、基地局装置が端末装置との間で通信を行っている間に同期ずれが発生しても、当該同期ずれは周期的に修正される。
【0014】
また、前記通信モードを休止する周期を、変更する手段を備えるのが好ましい。前記通信モードを休止する周期を、ランダムに変更する手段を備えるのが好ましい。前記通信モードを休止する周期を、過去の同期ずれ量に基づいて、変更する手段を備えるのが好ましい。
【0015】
さて、同期ずれを解消するためには、上述のように、たとえ移動端末との通信中であっても、基地局間同期をとり直す必要が生じる。
【0016】
ここで、他の基地局が送信した同期信号を用いて同期をとる方式を採用した場合、同期をとろうとする基地局は、他の基地局が移動端末への送信を行っているタイミングで、同期信号の受信をしなければならない。
つまり、基地局間同期をとるには、移動端末に対して信号を送信すべき時間において、移動端末への信号送信を休止しなければならない。
【0017】
このため、他の基地局(第1の基地局)との間で基地局間同期をとろうとしている基地局(第2の基地局)は、その間、更に他の基地局(第3の基地局)のための同期信号を送信することができなくなる。
この結果、前記第3の基地局における基地局間同期の取り直しが妨げられる。
【0018】
そこで、他の基地局装置から同期信号を取得するために通信モードを休止しても、更に他の基地局装置へ与える影響を少なくすることも望まれる。
【0019】
上記観点からの本発明は、端末装置との間で時分割複信による無線通信を行う基地局装置を複数有する無線通信システムにおける基地局装置の同期信号取得方法であって、基地局装置が、端末装置との間で通信を行うための通信モードを休止して、当該休止中に他の基地局装置からの送信信号から同期信号を取得するための同期モードを実行するステップを含み、前記同期信号を取得するタイミングが、基地局装置毎に異なることを特徴とする同期信号取得方法である。
【0020】
上記本発明によれば、同期ずれを解消するために同期信号を取得するタイミングが、基地局装置毎に異なるため、他の基地局装置から同期信号を取得するために通信モードを休止しても、更に他の基地局装置へ与える影響が少ない。
【0021】
また、基地局装置に係る本発明は、端末装置との間で時分割複信による無線通信を行う基地局装置であって、端末装置との間で通信を行うための通信モードを休止して、当該休止中に他の基地局装置からの送信信号を受信して同期信号を取得するための同期モードを実行する手段と、前記同期モードにおいて前記同期信号を取得できなかった場合には、次の通信フレームのタイミングにおいても、前記同期信号の取得を試みる手段と、を備えることを特徴とする。
上記本発明によれば、同期信号取得のための同期モードを、他の基地局装置と同時に開始しても、同期信号の取得タイミングは、ずらすことができる。
【0022】
基地局装置に係る他の本発明は、端末装置との間で時分割複信による無線通信を行う基地局装置であって、端末装置との間で通信を行うための通信モードを休止して、当該休止中に他の基地局装置からの送信信号を受信して同期信号を取得するための同期モードを実行する手段と、前記同期モードが、設定された周期で行われるように制御する手段と、前記周期の設定値をランダムに変更する手段と、を備えることを特徴とする。
上記本発明によれば、同期モードの周期がランダムに変更されるため、同期信号取得のための同期モードが、他の基地局装置と同時に行われる可能性が低い。
【0023】
基地局装置に係る他の本発明は、端末装置との間で時分割複信による無線通信を行う基地局装置であって、端末装置との間で通信を行うための通信モードを休止して、当該休止中に他の基地局装置からの送信信号を受信して同期信号を取得するための同期モードを実行する手段と、前記同期モードが、設定されたタイミングで行われるように制御する手段と、前記同期モードの設定タイミング値が、当該基地局装置固有のユニークな値であることを特徴とする。
上記本発明によれば、同期モードの設定タイミング値が、当該基地局装置固有のユニークな値であるため、同期信号取得のための同期モードが、他の基地局装置と同時に行われることを防止できる。
【0024】
通信フレームのカウントを行うフレームカウンタと、他の基地局装置からの送信信号に含まれるフレームインデックス情報を取得する手段と、前記フレームカウンタの値を、取得したフレームインデックス情報に基づいて、前記他の基地局装置におけるフレームカウンタの値と一致させる手段と、を更に備え、前記同期モードの設定タイミング値は、当該基地局装置固有のユニークなフレームカウンタ値であるのが好ましい。この場合、基地局装置間のフレームカウンタを一致させ、基地局装置固有のユニークなフレームカウンタ値が、同期モードの設定タイミング値として設定されているため、同期モードのタイミングを基地局装置間でずらすのが容易である。
【0025】
基地局装置固有のユニークなフレームカウンタ値を、当該基地局装置固有の識別子情報から求める手段を更に備えているのが好ましい。この場合、基地局装置固有のユニークなフレームカウンタ値自体が設定されていなくても、基地局装置固有の識別子情報から求めることができるため、基地局装置固有のユニークなフレームカウンタ値を個々の基地局装置に設定する必要がない。
【0026】
基地局装置に係る他の本発明は、端末装置との間で時分割複信による無線通信を行う基地局装置であって、他の基地局装置からの送信信号を受信して同期信号を取得するための同期モードを実行する手段と、設定されたタイミングになると、端末装置との間で通信を行うための通信モードを休止して、前記同期モードが行われるように制御する手段と、を備え、前記同期モードを行っても同期信号を取得できなかった場合には、前記通信モードを再開し、その後、前記通信モードを休止して、再び前記同期モードを行うよう構成されていることを特徴とする。
上記本発明によれば、同期信号取得のための同期モードを、他の基地局装置と同時に開始しても、同期信号の取得タイミングは、ずらすことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、端末装置との通信中において同期ずれが発生しても、通信モードを休止して実行される同期モードにおいて同期ずれを修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】無線通信システムの全体図である。
【図2】通常通信モードと同期モードの切り替えを示すフローチャートである。
【図3】同期モードのフローチャートである。
【図4】プリアンブルのタイミングを検出するための説明図である。
【図5】複数の基地局装置が同時に同期モードになった場合の説明図である。
【図6】第1実施形態に係る方法を示すタイムチャートである。
【図7】第2実施形態に係る方法を示すタイムチャートである。
【図8】第3実施形態におけるフレームインデックスの取得方法を示すフローチャートである。
【図9】同期タイミング算出関数の説明図である。
【図10】同期タイミングの判定フローチャートである。
【図11】第4実施形態における、常通信モードと同期モードの切り替えを示すフローチャートである。
【図12】第4実施形態における同期モードのフローチャートである。
【図13】第5実施形態に係る基地局装置の構成を示す図である。
【図14】同期ずれ(タイミングオフセットが生じた)フレームを示す図である。
【図15】図15(a)はクロック周波数オフセットを示すグラフであり、図15(b)はタイミングオフセットを示すグラフである。
【図16】同期モードにおいてパケット損が生じる様子を示す図である。
【図17】基地局間同期がとれているときのWiMAXフレームの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、複数の基地局装置(BS:Base Station)1,2,3,・・・を有する無線通信システムを示している。この無線通信システムでは、例えば、広帯域無線通信を実現するために直交周波数分割多元接続(OFDMA)方式をサポートするIEEE802.16に規定される「WiMAX」に準拠した方式が採用されている。
【0030】
各基地局装置1,2,3は、それぞれの基地局装置1,2,3がカバーするエリア(セル)内にある端末装置(移動端末MS;Mobile Station)との間で通信が可能である。
図17に示したように、WiMAXでは、一つの基本フレームが、下りサブフレーム(基地局装置の信号送信時間)と上りサブフレーム(基地局装置の信号受信時間)とが時間方向に並べて配置されており、TDD(時分割複信)によって送信と受信の複信を行う通信システムとされている。
【0031】
一つの基本フレームの長さは、5msecである。下りサブフレームは、基地局装置1,2,3が、自エリア内の端末装置へ信号を送信する時間帯であり、上りサブフレームは、基地局装置1,2,3が、自エリア内の端末装置からの信号を受信する時間帯である。
なお、下りサブフレームは、先頭に、既知信号であるプリアンブル(Preamble)を備えている。
【0032】
複数の基地局装置1,2,3には、少なくとも一つのマスタ基地局装置と、スレーブ基地局装置とが含まれている。
マスタ基地局装置は、基地局間同期のためのタイミングを他の基地局装置が送信した信号の受信波から検出して取得する必要がない基地局装置である。例えば、マスタ基地局装置は、自装置が発生する同期信号(クロック)に基づいて信号の送信タイミングを決定する自走マスタ基地局装置として構成することができる。なお、マスタ基地局装置は、GPS受信機を備え、GPS信号を用いて信号の送信タイミングを決定するものであってもよい。
【0033】
スレーブ基地局装置は、基地局間同期のためのタイミングを、他の基地局装置が送信した信号の受信波から検出して取得する基地局装置である。
以下では、図1に示す第1基地局装置1を、マスタ基地局装置とし、第2基地局装置2及び第3基地局装置3をスレーブ基地局装置とする。
【0034】
スレーブ基地局装置2,3は、起動時において、他の基地局装置(マスタ基地局装置又は他のスレーブ基地局装置)のうち、一の基地局装置をソース基地局装置として選択し、当該ソース基地局装置が送信した信号(プリアンブル;既知信号;同期信号)の受信波(ソース受信波)を検出して、基地局間同期のためのタイミング(信号の送信タイミング)を取得する。なお、基地局装置が起動したとき行われる基地局間同期のための処理を初期同期処理というものとする。初期同期処理は、前述のように起動時に実行され、より具体的には、基地局装置が起動してから、端末装置との通信が開始されるまでの間に行われる。また、この初期同期処理の具体的内容は、後述の「通信を休止した同期モード」における処理とほぼ同様である。
【0035】
そして、スレーブ基地局装置は、ソース基地局装置の送信タイミング(受信タイミング)と同期をとりながら、自エリア内の端末装置との通信を行う。つまり、初期同期処理の後に、スレーブ基地局装置が端末装置との間で行う通信(通信モード)は、ソース基地局装置(他の基地局装置)の送信タイミング及び受信タイミング(通信タイミング)とタイミングが一致したものとなる。
ただし、スレーブ基地局装置のクロック発生器の精度が十分でなかったり、基地局装置間でクロック精度にばらつきがあったりすると、時間の経過によって、同期ずれが生じる。つまり、基地局装置が、端末装置との通信を行っていると、次第に、他の基地局装置の送受信タイミング(通信タイミング)とずれ(同期ずれ)が生じる。
すなわち、基地局装置が具備するクロック発生器のクロック周波数の誤差が、基地局装置間で存在するため、そのクロック周波数(基準信号)に基づいて生成される一つの通信フレーム(下りサブフレーム)の時間長さ(例えば、規格上は5msec)が、基地局装置間で僅かに異なることになる。一フレームの時間長さの誤差が僅かでも、端末装置へのフレームの送信が繰り返されると、前記誤差が蓄積して、比較的大きな同期ずれ(例えば、1μsec程度)となるおそれもある。
このように、初期同期処理にて基地局装置間の通信タイミングを揃えても、端末装置との通信の間に、同期ずれが次第に大きくなる。
【0036】
そこで、スレーブ基地局装置2,3は、所定のタイミングで、端末装置との通信(送信信号;下りサブフレーム)を休止(停止)し、同期ずれを解消するための同期モード(通信を休止した同期モード)になる。
図2は、基地局装置2,3が、端末装置との通信を行う(通常)通信モードから、他の基地局装置(マスタ基地局装置又はスレーブ基地局装置)からの信号を受信する同期モードに切り替わるためのフローチャートを示している。
【0037】
図2に示すように、基地局装置2,3は、同期モードになるべき同期タイミングであるか否かの判定を行う(ステップS1)。同期タイミングは、例えば、同期モードになる周期(所定時間毎又は所定フレーム数毎)として設定されている。周期を時間で設定する場合、例えば、5分程度とすることができる。
端末装置との間で通信を行う通常通信モードであるときに、同期モードへ移行すべきタイミングになったと判定された場合(ステップS2)、基地局装置2,3は、同期モード(ステップS3)に移行する。同期モードが終了すると、再び通常通信モードに戻る(ステップS4)。
基地局装置2,3は、端末装置との間で通信を行いつつも、定期的又は必要に応じて随時、同期モードを実行することで、同期ずれが生じても、それを解消することができる。
【0038】
図3に示すように、基地局装置2,3が、同期モードになると、まず、同期処理(ステップS12〜S14)を開始する前に、自エリア内の全端末装置へ、ブロードキャストにて、端末装置をスリープモード又はアイドルモード(省電力モード)にするための通知を行う(ステップS11)。
【0039】
端末装置は、基地局装置2,3からスリープモード等の通知を受けると、スリープモードに移行する。スリープモード等は、端末装置が通信を実行していないときの管理モードであるため、消費電力が抑えられる。
端末装置のスリープモードは、少なくとも、基地局装置2,3が同期処理を行う間は、継続するようにスリープ時間が設定される。
【0040】
端末装置は、基地局装置2,3が同期処理を行っている間、スリープモード等にあるため、基地局装置2,3からの信号が受信できなくても、異常であると判断するおそれがない。
【0041】
基地局装置2,3は、端末装置へのスリープモード等の通知後、同期処理(通信を休止した同期処理)に移行する。この同期処理の間は、端末装置との間の通信(下りサブフレームの送信)は休止され、本来、下りサブフレームとなる時間においても、信号を受信する状態となる。
【0042】
同期処理(通信を休止した同期処理)では、まず、他の基地局装置2からの信号を受信する(ステップS12)。本実施形態では、他の基地局装置2が送信した下りサブフレームDLの先頭にあるプリアンブルを基地局間同期のための同期信号として用いる。このため、基地局装置1は、他の基地局装置2が送信した下りサブフレームDLの先頭にあるプリアンブルのタイミングを検出する。
なお、同期信号としては、ミッドアンブル、パイロット信号などであってもよい。
【0043】
基地局装置2,3は、プリアンブルタイミングを検出するため、自装置に隣接する他の基地局装置からの受信波をスキャニング(信号の受信)する機能を有している。
基地局装置2,3は、他の基地局装置1,2が使用する可能性のあるプリアンブルパターンを既知パターンとしてメモリに有している。基地局装置2,3は、これらの既知のプリアンブルパターンを用いて、プリアンブルのタイミング等を検出する。
【0044】
図4は、プリアンブルのタイミングを検出する方法の一例を示している。プリアンブルは既知信号であるから、プリアンブルの信号波形も既知である。サンプリング後の受信信号をX(t)、プリアンブルの離散時間領域での信号をP(n)(n=0,・・・,N−1)とすると、図4(a)に示す受信波X(t)に対して、下記式に基づいて、時間方向にP(n)のスライディング相関をとる。
【数1】


そして、図4(b)に示すように、受信波X(t)と既知プリアンブルパターンP(n)の相関値がピークをとった位置を、プリアンブルのタイミングtとして検出することができる。
このプリアンブルタイミングtが、自装置2,3が下りサブフレームを送信する際の送信タイミングとなる。
【0045】
他の基地局装置1,2からの信号をスキャニング(受信)しても、プリアンブルの検出(タイミングの取得)ができなかった場合(ステップS13)、プリアンブルの再検出のためステップS14の処理が行われる(詳細は後述)。プリアンブルが検出できた場合(ステップS13)、同期ずれの修正が行われる(ステップS15)。
【0046】
同期ずれの修正は、基地局装置2,3が、取得したプリアンブルタイミングtを、下りサブフレームの送信開始タイミングとなるように設定することで行われる。つまり、自装置2,3の送信タイミングと、検出されたプリアンブルタイミングtとの差が、同期ずれ(タイミングオフセット;同期誤差)として検出される。そして、自装置2,3の送信タイミング(フレームタイミング)を、検出された同期ずれに基づいて修正することで、自装置2,3の送信タイミングを、他の基地局装置1,2の送信タイミングに一致させることができる。換言すると、自装置の送信タイミング(フレームタイミング)を、検出された同期信号のタイミングを基準として、検出された同期誤差分ほど正しい方向にずらすことで同期を取り直すことができる。
なお、送信タイミングを他の基地局の送信タイミングと一致させれば、自然に、受信タイミングも一致する。すなわち、他の基地局との間でフレーム同期がとれた状態となる。
このように、端末装置との間で通信を行う通信モードを休止して、他の基地局装置からの同期信号を用いて同期をとるため、同期をとるための制御用チャネルがなくても、同期をとることができる。
【0047】
以上の同期処理が終了すると、基地局装置2,3は、同期モードから通常通信モードに戻り、端末装置との間の通信が可能な状態となる。
また、スリープモード等にある端末装置は、設定されたスリープ時間(アイドル時間)が経過すると、自動的に、基地局装置2,3との通信を行う通常通信モードとなる。つまり、基地局装置2,3及び端末装置がともに通常通信モードに戻ると、両者の通信が再開される。
前記同期モードは、随時、通信モードを休止して、繰り返し行われるため、通信モード中に同期ずれが生じても、他の基地局装置との同期を維持することができる。
【0048】
さて、図3のステップS13において、プリアンブルが検出できなかった場合のステップS14の処理について説明する。
ここでは、図1のスレーブ基地局装置3(BS3)が、プリアンブルを検出できなかったものとする。また、スレーブ基地局装置3は、スレーブ基地局装置2(BS2)からプリアンブルが送信されていれば、それを受信できるものとする。
【0049】
上記の条件であっても、基地局装置3が、基地局装置2からプリアンブルを検出できないのは、図5に示すように、基地局装置3(BS3)が同期モードでスキャニング(信号の受信)を行っているときに、基地局装置2(BS2)も同期モードでスキャニング(信号の受信)を行っており、基地局装置2がプリアンブルを送信していないからである。
【0050】
つまり、基地局装置2(BS2)及び基地局装置3(BS3)が同時に同期モードとなって、同時にスキャニング(信号の受信)を行うと、基地局装置3は、プリアンブルを検出できない。
また、スキャニングを行う周期を予め設定しておき、プリアンブルが検出できなかったときには次の周期で再スキャニングを行うようにした場合、スキャニング(同期モード)のタイミングが両基地局装置2,3で一致してしまうと、当然に、次の周期でも、両基地局装置のスキャニング(同期モード)のタイミングが両基地局装置2,3で一致してしまい、再スキャニングを成功させることができない。
【0051】
そこで、本第1実施形態では、設定されたスキャニング周期に対応する通信フレームのタイミングにおいて、プリアンブル検出ができなかったら、設定されたスキャニング周期にかかわらず、その次の通信フレームのタイミングで、再スキャニングを行う。
【0052】
図6は、基地局装置3(BS3)による上記の再スキャニング処理を説明するものである。図6では、基地局装置2(BS2)が、図6のフレームF2の下りサブフレームDLの時間内で、スキャニングを行っている。
基地局装置2は、フレームF2のタイミングでスキャニングをすれば、基地局装置1(BS1)から同期信号(プリアンブル)を取得できる。その代わり、基地局装置2は、フレームF2の下りサブフレームDLに対応する時間内において、信号を送信することができない。
【0053】
このような状態で、基地局装置3(BS3)が、フレームF2の下りサブフレームDLの時間内にスキャニングを行っても、基地局装置2からの同期信号(プリアンブル)を取得することはできない。
【0054】
そこで、基地局装置3は、次のフレームF3の下りサブフレームDLに対応する時間において、再スキャニングを行う(図3のステップS14)。このフレームF3のタイミングにおいては、基地局装置2は同期モードを終了しており、下りサブフレームDLを送信しているため、基地局装置3は、同期信号を取得することができる。
また、基地局装置3が、次のフレームF3においても、同期信号を取得できなければ、さらに次のフレームで再スキャニングを行えばよい。
【0055】
なお、基地局装置2(BS2)のフレームF2では、上りサブフレームULに関しては、端末装置との間の通常の通信が行われる。これは、上りサブフレームUL内のユーザ(端末装置)割り当ては、前のフレームF1の下りサブフレームDL中に含まれるUL−MAP(アップリンクマップ)で行われているからである。
したがって、上りサブフレームULに関しては、フレームF2の下りサブフレームDLが休止されることから、次のフレームF3の上りフレームULが休止となる。
【0056】
同様に、基地局装置3(BS3)においても、上りサブフレームULは、フレームF2においては休止とならず、次のフレームF3において休止となる。また、基地局装置3では、再スキャニングのため、次のフレームF3の下りサブフレームDLも休止となるため、更に次のフレームF3の上りサブフレームULも休止となる。
【0057】
以上のように、本第1実施形態では、同期信号が取得できなかった場合、スキャニング周期にかかわらず、次のフレームで再スキャニングを行うため、複数の基地局装置2,3が同時に同期モードになっても、同期信号を実際に取得するタイミングをずらすことができる。
【0058】
しかも、すべてのスレーブ基地局装置2,3が次フレームでの再スキャニングを行う機能を有していれば、自動的に、複数の基地局装置において同期信号取得タイミングをずらすことができる。
つまり、複数の基地局装置において同期信号取得タイミングをずらすには、基地局装置の設置時に、個々の基地局装置をそのように手動設定することも考えられるが、そのような設置時の手動設定は、基地局装置の設置作業を繁雑にして好ましくないが、各基地局装置2,3が、自動的に同期信号取得タイミングをずらす機能を有することで、基地局装置の設置作業が容易となる。
【0059】
[第2実施形態]
図7は、同期信号を取得するタイミングを基地局装置2,3間でずらすための他の方法を示している。図7に示す第2実施形態において、特に説明をしない点は、第1実施形態のものと同様である。また、第2実施形態の方法は、第1実施形態における次フレームでの再スキャニングの方法に加えて、又は代えて、適用することができる。
【0060】
本第2実施形態では、基地局装置2,3が、図2のステップS1において行われる同期タイミングの判定に用いられる設定値(設定された同期タイミング周期)を適宜変更するよう構成されている。
つまり、第2実施形態の基地局装置では、同期タイミング周期を変更する変更周期が設定されており、この周期ごとに同期タイミングを変更する機能を有する。
【0061】
例えば、基地局装置2(BS2)は、ある時点までは同期タイミング周期がT1であったのが、設定された変更周期において、同期タイミング周期がT1からT2に変更される。また、次の変更周期において、同期タイミング周期がT2からT3に変更される。
変更後の同期タイミング周期は、乱数等を用いてランダムに決定される。
【0062】
また、基地局装置2(BS3)は、ある時点までは同期タイミング周期がT1であったのが、設定された変更周期において、同期タイミング周期がT1からT4に変更される。また、次の変更周期において、同期タイミング周期がT4からT5に変更される。これらの変更後の同期タイミング周期も、ランダムに決定される。
【0063】
このように同期タイミング周期を、定期的にランダムに変更することで、仮に、同期タイミング周期の初期設定値が、各基地局装置において共通の値T1で製造されていても、基地局装置を稼働させれば、自動的に、各基地局装置において同期タイミング周期が異なるようになり、各基地局装置の同期信号取得タイミングをずらすことができる。
【0064】
[第3実施形態]
図8〜図10は、同期信号を取得するタイミングを基地局装置2,3間でずらすための更に他の方法を示している。図8〜図10に示す第3実施形態において、特に説明をしない点は、第1実施形態のものと同様である。また、第3実施形態の方法は、第1実施形態における次フレームでの再スキャニングの方法に加えて、又は代えて、適用することができる。
【0065】
第3実施形態では、システム内の各基地局装置1,2,3に通信フレームをカウントするフレームカウンタ機能を具備させ、各フレームカウンタの値を基地局装置間で一致させる。また、第3実施形態では、フレームカウンタ値を基準にして、異なるフレームのタイミングで、各基地局装置2,3が同期信号取得のためのスキャニングを行うようにした。
【0066】
ここで、フレームカウンタは、基本フレーム一つ一つをカウントするものであり、カウンタ値は、カウンタ最小値からカウンタ最大値までをとる。また、フレームカウンタは、カウンタ値が最大値を超えるとカウンタ最小値に戻る循環的カウントを行う。
フレームカウンタのカウンタ値は、端末装置へ送信される下りサブフレーム内にフレーム番号を示すフレームインデックス情報として含められる。フレームインデックス情報は、全端末装置が読み取り可能な制御信号(FCH;フレームコントロールヘッダ))としてブロードキャスト送信されるため、基地局間同期をとった後の他の基地局装置は、これを読み取ることができる。
【0067】
第3実施形態では、フレームカウンタ値を、ソース基地局装置との間で一致させるため、同期モードにおける同期処理後に、フレームインデックス情報の取得を行う。具体的には、図8に示すように、同期処理(ステップS12〜S15)の後、他の基地局装置(ソース基地局装置)から送信されたフレーム(下りサブフレームDL)から、フレームインデックス情報を取得する(ステップS16)。そして、取得したフレームインデックス情報を、自装置のフレームカウンタにセットする。これにより、ソース基地局装置のフレームカウンタ値と、自装置のフレームカウンタ値が一致し、これらの基地局装置間でフレームカウンタ同期がとれたことになる。
なお、図8において、ステップS11,S12,S13,S15,は、それぞれ、図3のステップS11,S12,S13,15と同じ処理である。
【0068】
また、ここでは、同期モードの度に、フレームインデックス情報を取得しているが、基地局装置起動時の基地局間の同期処理の直後にフレームインデックス情報を取得すれば、その後の同期モードのときには取得しないようにしてもよい。
【0069】
本実施形態では、各基地局装置のフレームカウンタ値が一致しているため、各基地局装置が同期信号を取得するタイミングを決定する際に、このフレームカウンタ値を基準にすることができる。
つまり、第2実施形態のように、単に同期信号取得タイミングをランダムにするだけも通常、スキャニングのタイミングは基地局装置間でずれることになるが、スキャニングのタイミングが一致してしまう可能性も残る。そこで、確実に同期信号取得タイミングをずらすには、第1実施形態のような方法を併用する必要がある。
【0070】
一方、各基地局装置1,2,3が共通の基準(フレームカウンタ)を持てば、その基準を用いて、同期信号取得タイミング(スキャニングタイミング)を決定することで、同期信号取得タイミングを基地局装置間で確実にずらすことが可能である。
【0071】
このため、第3実施形態に係る基地局装置は、図9に示すように、各基地局装置固有の識別子情報(BSのID又はセルのID)から、同期信号取得タイミング(同期タイミング;同期信号取得の周期)を決定する機能を有している。
図9に示す同期タイミング算出関数は、各基地局装置2,3が有する共通の関数(演算式)である。この関数は、基地局装置のユニークな識別子(以下、「BSのID」という)から、各基地局装置にとってユニークなフレームカウンタ値(フレームインデックス)Isを決定するものである。この関数によって決定される値は、フレームカウンタ最小値から最大値までの値をとる。
このような関数は、例えば、ハッシュ関数(完全ハッシュ関数でなくてもよい)によって実現される。
【0072】
図10は、図9の関数を用いて決定された同期タイミングIsを用いて、図2のステップS1の判定を行うためのフローチャートを示している。まず、自装置のフレームカウンタ値が、同期タイミングとなるフレームインデックスIsと一致するか否かを判定する(ステップS21)。そして、フレームカウンタ値がIsと一致していれば、同期タイミングであると判定する(ステップS22)。なお、フレームカウンタ値がIsと一致しない場合は、同期タイミングではないのでそのまま終了する。
【0073】
なお、フレームカウンタは、基地局装置が同期モードに入って、フレーム(下りサブフレーム)を送信しない場合にも、カウントがなされる。つまり、他の基地局装置からの同期信号を受信する時間は、下りサブフレームを送信しないが、他の基地局装置とのフレームカウンタ同期を維持するため、同期モードに入っていても、通常通信モードであれば、本来、フレーム(下りサブフレーム)を送信するタイミング毎に、フレームカウンタがカウントされる。
【0074】
上記のように、第3実施形態では、BSのIDのように基地局装置固有の識別子情報から、各基地局装置固有の同期信号取得のタイミングを基地局装置自身が自動的に決定できるため、BSのIDのように基地局装置固有の識別子情報が設定されていれば、各基地局装置固有の同期信号取得のタイミングまで手動で設定する必要がない。
【0075】
また、前記関数自体は、各基地局装置において共通であるため、同期信号取得のタイミングを各基地局装置においてずらすための特別な設定を行う必要がない。
しかも、基地局装置自身が自動的に同期信号取得タイミングを決定しても、各基地局装置間で共通のフレームカウンタ値を基準としているため、確実に基地局装置間でタイミングをずらすことができる。
【0076】
[第4実施形態]
図11及び図12は、同期信号を取得するタイミングを基地局装置2,3間でずらすための更に他の方法を示している。図11〜図12に示す第4実施形態において、特に説明をしない点は、第1実施形態のものと同様である。また、第4実施形態の方法は、あるフレームで同期信号を取得できなかった場合に、第1実施形態のように次フレームで再スキャニングを行うのではなく、暫定的に通常通信モードを再開し、その後、再スキャニングを行うものである。
【0077】
具体的には、図11に示すように、基地局装置2,3は、同期モードになるべき同期タイミングであるか否かの判定を行う(ステップS1)。同期タイミングは、例えば、同期モードになる周期(所定時間毎又は所定フレーム数毎)として設定されている。
端末装置との間で通信を行う通常通信モードであるときに、同期モードへ移行すべきタイミングになったと判定された場合(ステップS2)、基地局装置2,3は、同期モード(ステップS3)に移行する。基地局間同期に成功して同期モードが終了すると(ステップS5)、再び通常通信モードに戻る(ステップS4)。
【0078】
一方、同期モードにおいて、同期信号が取得できず、基地局間同期を失敗した場合(ステップS5)、基地局装置2,3は、再び同期信号の取得を試みる再同期タイミングであるか否かの判定を行う。
再同期タイミングは、前記同期タイミングが到来する前のタイミングとなるように、予め設定されているか、あるいは乱数を用いてランダムに決定される。また、再同期タイミングとして、予め設定された値を用いる場合、基地局装置間で再同期タイミングを異ならせるのが好ましい。
【0079】
再同期タイミングでなければ(ステップS7)、通常通信モードに一旦復帰し、基地局装置2,3は、再同期タイミングになるまで、端末装置との間で通信を行う(ステップS8)。つまり、基地局装置2,3は、同期モードにおいて基地局間同期に失敗すると、一旦、通常通信モード(暫定的通信モード)に戻る。この暫定的通信モードでは、基地局装置2,3は、端末装置との間で通信を行うことができる。
【0080】
そして、暫定的通信モードにおいて、再同期タイミングが到来すると(ステップS6,S7)、再び同期モード(再同期モード)が行われる。
ステップS5〜S9の処理は、ステップS9の同期モードによる基地局間同期が成功するまで繰り返し行われるが、ステップS1で判定される同期タイミングを超える前に、繰り返しは、終了する。
【0081】
図12は、図11のステップS3及びステップS9に示す同期モードの処理を示す。
図12に示すように、基地局装置2,3が、同期モードになると、まず、自エリア内の全端末装置へ、ブロードキャストにて、端末装置をスリープモード又はアイドルモード(省電力モード)にするための通知を行う(ステップS11)。
【0082】
続いて、基地局装置3は、他の基地局装置2からの信号を受信する(ステップS12)。そして、基地局装置3は、他の基地局装置2からのプリアンブルタイミングを検出する。
【0083】
基地局装置3が、他の基地局装置1,2からの信号をスキャニングして、プリアンブルを検出し、プリアンブルタイミングを取得できた場合(ステップS13)、当該プリアンブルタイミングを用いて、同期ずれの修正が行われる(ステップS15)。
ステップS15での基地局間同期が成功した場合、同期成功のフラグが設定され、同期モードが終了する。
【0084】
一方、ステップS13において、他の基地局装置1,2からの信号をスキャニングしても、プリアンブルを検出できなかった場合、スキャニングを継続する所定時間が到来するまで、スキャニングを継続する(ステップS17)。
スキャニングを継続する所定時間が経過してもプリアンブルを検出できなかった場合(ステップS17)、同期失敗のフラグが設定され、同期モードが終了する。
このように、本第4実施形態では、同期に失敗して同期モードを終了することもある。
【0085】
ここで、図11のステップS5の同期成功判定においては、前記同期成功のフラグが設定されていれば、同期成功とみなし、同期失敗のフラグが設定されていれば、同期失敗とみなす。
【0086】
[第5実施形態]
図13は、第5実施形態に係る基地局装置1,2,3の構成を示している。第5実施形態の基地局装置は、同期モード実行のために端末装置との通信を休止する周期(タイミング)を変更することができるものである。この周期変更機能は、既述の実施形態においても既に説明したところであるが、第5実施形態においては、この周期変更機能について更に詳述する。なお、第5実施形態において特に説明しない点については、第1〜第4実施形態のものと同様にすることができる。
【0087】
図13は、基地局装置における受信部10と送信部20を中心とした構成を示している。受信部10は、受信信号を増幅するアンプ11、受信信号をA/D変換するA/D変換部12、及びデジタル信号に変換された受信信号を復調する復調部(DEM)13を備えている。
また、送信部20は、デジタル信号である送信信号を変調する変調部(MOD)21、送信信号をD/A変換するD/A変換部22、及び、送信信号を増幅するアンプ23を備えている。
基地局装置は、TDD(時分割複信)で端末装置との通信を行うため、アンテナ30との接続を、受信部10側と送信部20側とに切り替えるための切り替えスイッチ(SW)31を備えている。つまり、送信フレーム(下りサブフレーム)のタイミングでは、スイッチ31が送信部20側へ切り替えられ、受信フレーム(上りサブフレーム)のタイミングでは、スイッチ31が受信部10側へ切り替えられる。
【0088】
なお、前記A/D変換部12及びD/A変換部22の動作クロックは、基準信号発生器40から与えられる。基準信号発生器40は、水晶振動子などのクロック発生装置を含み、所定周波数の動作クロックを発生する。なお、当然ながら、当該動作クロックは、前記フレームタイミングカウンタ40など、基地局装置における他のデジタル回路における動作クロックにもなる。
【0089】
ここで、D/A変換部22の動作クロックの精度は、送信フレーム(下りサブフレーム)の時間長さの精度に影響する。したがって、基地局装置ごとに基準信号発生器の精度が異なると、基地局装置間の動作クロックに誤差が生じ、生成される送信フレームの時間長さが、基地局装置ごとに僅かに異なることになる。
【0090】
送受信の切り替えは、フレームタイミングカウンタ32におけるカウンタ値に従って行われる。つまり、送信フレームの時間長さ、受信フレームの時間長さ、及びそれらのフレーム間の時間間隔は、予め決まっており、前記カウンタ値が所定の送受信切り替えタイミングに一致したら、切り替えスイッチ31によって送受信の切り替えが行われる。
【0091】
他の基地局装置との同期ずれが生じた場合は、このフレームタイミングカウンタ32のカウンタ値を補正することで、同期ずれを修正できる。例えば、同期ずれ(同期誤差)がnカウンタ値分あると検出された場合、カウンタ32のカウンタ値をnほど正しい方向にずらすことで、送受信の切り替えタイミングを他の基地局装置と一致させることができる。
【0092】
同期ずれ(同期誤差)の検出は、同期誤差検出部33によって行われる。同期誤差検出部33は、図4に示すようにして、受信信号(受信波)から同期信号(プリアンブル)を検出して、同期誤差(タイミングオフセット)を検出する。検出された同期誤差は、前記フレームタイミングカウンタ32に与えられ、同期ずれ(同期誤差)の修正が行われる。
【0093】
他の基地局装置から送信された信号を用いて同期誤差を検出するため、受信部10は、受信信号を復調部13側又は同期誤差検出部33側に切り替えるための切り替えスイッチ14を備えている。この切り替えスイッチ14は、端末装置からの信号を受信可能な通信モードの間は、受信信号を復調部13側へ与え、通信モードが休止された同期モードでは、受信信号を同期誤差検出部33へ与える。
【0094】
また、送信部20も、切り替えスイッチ24を有している。この切り替えスイッチ24は、端末装置へ信号を送信可能な通信モードの間は、送信信号をD/A変換部22へ与え、通信モードが休止された同期モードでは、送信信号をD/A変換部22へ与えないようにするものである。
【0095】
受信部10及び送信部の切り替えスイッチ14,24の切り替えは、周期制御部34によって行われる。周期制御部34は、通信モードを休止する周期(同期タイミング)を制御するためのものである。周期制御部34は、図2のフローチャートに従った処理を行う。つまり、周期制御部34は、端末装置との間で通信を行う通常通信モードであるときに、同期モードへ移行すべきタイミングになったと判定すると、同期モードとなって、スイッチ14,24の切り替えを行う。そして、同期モードが終了すると、再び通常通信モードに戻る。
【0096】
また、周期制御部34は、通信モードを休止する周期を変更する機能を有している。つまり、周期制御部34は、通信モードを休止する周期を、例えば、あるときは5分とし、またあるときは6分とすることができる。通信モードを休止する周期(同期タイミング)の変更は、既述の実施形態のように、基地局装置間で同期信号取得タイミングをずらすことを目的として行うこともできるが、その他の目的のために行っても良い。その他の目的としては、具体的には、通信モードを休止する周期(同期タイミングの間隔)の適応制御が挙げられる。
【0097】
ここで、通信モードを休止する周期(同期タイミングの間隔)の適応制御とは、同期ずれ(同期誤差)が大きくなりやすい状況では、通信モードを休止する周期等を短くして、頻繁に同期モードを実行するようにして同期誤差ずれが大きくならないようにし、同期ずれ(同期誤差)があまり生じない状況では、通信モードを休止する周期等を長くして、同期モードを実行する頻度を低くするものである。
【0098】
さて、図14は、マスタ基地局装置(マスタBS)1と、スレーブ基地局装置(スレーブBS)2との間の同期ずれ(タイミングオフセット)を示している。
前述のように、スレーブ基地局装置の通信フレーム一つ一つの誤差は僅かでも、フレーム送信が繰り返されると、フレームの時間長さの誤差が蓄積し、図14に示すように、同期ずれ(タイミングオフセット)が大きくなる。
【0099】
この同期ずれを解消するため、スレーブ基地局装置2,3では、端末装置との間で通信(送信)を行う通信モードを周期的に休止して、同期をとりなおす同期モードが実行される。
図15(a)は、マスタ基地局装置1のクロック周波数に対する、スレーブ基地局装置2のクロック周波数のオフセットを示している。図15(a)に示すように、スレーブ基地局装置2のクロック周波数は、時間の経過によって、マスタ基地局装置1のクロック周波数に対して、オフセットが大きくなる。このオフセットの変化の原因として環境温度の変化が挙げられる。
【0100】
図15(b)は、5分ごとに同期モードを実行した場合の、スレーブ基地局装置2における同期ずれ(タイミングオフセット)の変化の様子を示している。図15(b)において矢印で示すタイミングで同期モードが実行されると、タイミングオフセットがほぼ0となるが、同期モードと同期モードの間(通信モード中)では、タイミングオフセットが徐々に増加する。
【0101】
図16に示すように、同期モードにある基地局装置2,3は、送信フレーム(下りサブフレーム)となるべき時間帯において、受信を行うため、当該時間帯で送信されるはずであったパケットが送信されないパケット損が生じる。同期ずれの修正を行うには、少なくとも1フレーム分を同期モードとすればよいが、同期モードに数フレームを要する場合には、さらにパケット損が大きくなる。
したがって、パケット損ができるだけ生じないようにするという観点からは、同期モードが実行される頻度が少ない方が良い。一方、同期ずれが大きくなりやすい状況では、多少のパケット損があっても、同期モードが実行される頻度は大きくすべきである。
【0102】
そこで、周期制御部34は、前述のように同期モードが実行される周期(頻度)を適応的に変更する。本実施形態では、過去の同期誤差に基づいて、当該変更を行う。図13に示すように、過去の同期誤差に基づいて、同期モードの実行周期を変更するため、基地局装置は、同期誤差の過去の履歴を記憶する同期誤差履歴記憶部35を備えている。
【0103】
同期誤差履歴記憶部35は、過去の所定期間分の同期誤差(過去の1又は複数の同期誤差)を記憶することができる。
周期制御部34は、同期誤差の履歴情報に基づいて、同期誤差の過去の傾向を示す情報(統計量)を計算し、その情報(統計量)の大きさに合わせて、同期モードが実行される周期(頻度)を変更する。つまり、過去の同期誤差が大きければ、周期を短くし(頻度を高くし)、過去の同期誤差が小さければ、周期を長く(頻度を低く)する。
ここで、クロック周波数オフセットは、時間の経過によって、急激に変化するわけではなく、図15(a)に示すように、時間の変化に対してなだらかに変化する。したがって、同期誤差の過去の傾向に基づくと、適切に周期を変更することができる。
【0104】
なお、同期誤差の過去の傾向を示す情報(統計量)は、過去の同期誤差の平均であってもよいし、過去の同期誤差の分散値、標準偏差、又は二乗平均値であってもよい。
【0105】
なお、同期モードになる周期(間隔)の変更は、同期ずれに影響を与える他の情報に基づいてもよい。例えば、環境温度は、クロック周波数の精度に影響を与えるため、基地局装置に温度センサを具備させて温度情報を取得し、温度情報に基づいて同期モードの周期(間隔)を変更してもよい。具体的には、温度センサによって検出される温度の変化が大きければ、同期モードの周期(間隔)を小さくし、温度の変化が小さければ同期モードの周期(間隔)を大きくするように制御することができる。
【0106】
また、同期精度は、マスタ基地局装置1からの段数にも影響を受けるため、マスタ基地局装置1からの段数に応じて、同期モードの周期を変更してもよい。ここで、マスタ基地局装置1からの段数とは、マスタ基地局装置1を第1段目とすると、図1に示すように、マスタ基地局装置1をソース基地局とするスレーブ基地局装置2が第2段目となり、第2段目の基地局装置2をソース基地局とするスレーブ基地局装置3が第3段目となる。マスタ基地局装置1からの段数が大きい基地局装置ほど、同期精度が下がるため、同期モードの周期を小さくし、段数が小さい基地局装置ほど、同期モードの周期を大きくすることができる。
【0107】
なお、マスタ基地局装置1からの段数は、予め、各基地局装置に設定されていてもよいし、同期モードの際に、他の基地局装置(ソース基地局装置)の段数を取得し、当該段数に1を加えた値を自装置の段数としてもよい。他の基地局装置(ソース基地局装置)の段数を取得するには、例えば、WiMAXの場合、プリアンブルのパターンとして複数種類が規定されているため、これを利用することができる。具体的には、各段に、所定のプリアンブルパターンを予め割り当てておけば、同期処理を行う基地局装置は、プリアンブルパターンの識別によって、他の基地局装置(ソース基地局装置)の段数を把握することができる。
【0108】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
1 基地局装置
2 基地局装置
3 基地局装置
32 フレームタイミングカウンタ
33 同期誤差検出部
34 周期制御部
35 同期誤差履歴記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置との間で通信を行う通信モードを周期的に休止する手段と、
前記通信モードの周期的な休止中に、他の基地局装置からの送信信号を受信して同期信号を取得するための同期モードを実行する手段と、を備え、
前記同期モードでは、前記同期信号に基づいて、前記通信モード中に生じた同期ずれを修正することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記通信モードを休止する周期を、変更する手段を備える請求項1記載の基地局装置。
【請求項3】
前記通信モードを休止する周期を、ランダムに変更する手段を備える請求項1記載の基地局装置。
【請求項4】
前記通信モードを休止する周期を、過去の同期ずれ量に基づいて、変更する手段を備える請求項2記載の基地局装置。
【請求項5】
端末装置との間で時分割複信による無線通信を行う基地局装置を複数有する無線通信システムにおける基地局装置の同期信号取得方法であって、
基地局装置が、端末装置との間で通信を行うための通信モードを休止して、当該休止中に他の基地局装置からの送信信号から同期信号を取得するための同期モードを実行するステップを含み、
前記同期信号を取得するタイミングが、基地局装置毎に異なることを特徴とする同期信号取得方法。
【請求項6】
端末装置との間で時分割複信による無線通信を行う基地局装置であって、
端末装置との間で通信を行うための通信モードを休止して、当該休止中に他の基地局装置からの送信信号を受信して同期信号を取得するための同期モードを実行する手段と、
前記同期モードにおいて前記同期信号を取得できなかった場合には、次の通信フレームのタイミングにおいても、前記同期信号の取得を試みる手段と、
を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項7】
端末装置との間で時分割複信による無線通信を行う基地局装置であって、
端末装置との間で通信を行うための通信モードを休止して、当該休止中に他の基地局装置からの送信信号を受信して同期信号を取得するための同期モードを実行する手段と、
前記同期モードが、設定された周期で行われるように制御する手段と、
前記周期の設定値をランダムに変更する手段と、
を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
端末装置との間で時分割複信による無線通信を行う基地局装置であって、
端末装置との間で通信を行うための通信モードを休止して、当該休止中に他の基地局装置からの送信信号を受信して同期信号を取得するための同期モードを実行する手段と、
前記同期モードが、設定されたタイミングで行われるように制御する手段と、
前記同期モードの設定タイミング値が、当該基地局装置固有のユニークな値であることを特徴とする基地局装置。
【請求項9】
通信フレームのカウントを行うフレームカウンタと、
他の基地局装置からの送信信号に含まれるフレームインデックス情報を取得する手段と、
前記フレームカウンタの値を、取得したフレームインデックス情報に基づいて、前記他の基地局装置におけるフレームカウンタの値と一致させる手段と、
を更に備え、
前記同期モードの設定タイミング値は、当該基地局装置固有のユニークなフレームカウンタ値である請求項8記載の基地局装置。
【請求項10】
基地局装置固有のユニークなフレームカウンタ値を、当該基地局装置固有の識別子情報から求める手段を更に備えている請求項9記載の基地局装置。
【請求項11】
端末装置との間で時分割複信による無線通信を行う基地局装置であって、
他の基地局装置からの送信信号を受信して同期信号を取得するための同期モードを実行する手段と、
設定されたタイミングになると、端末装置との間で通信を行うための通信モードを休止して、前記同期モードが行われるように制御する手段と、
を備え、
前記同期モードを行っても同期信号を取得できなかった場合には、前記通信モードを再開し、その後、前記通信モードを休止して、再び前記同期モードを行うよう構成されていることを特徴とする基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−42543(P2013−42543A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−237494(P2012−237494)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2008−121547(P2008−121547)の分割
【原出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】